シティプロモーションによるまちづくりに関する 調査研究 報告書 平成 27 年 3 月 公益財団法人 堺都市政策研究所 目次 はじめに .................................................................................................................................. 1 1.本調査の背景と目的 ..................................................................................................... 1 2.調査内容 ....................................................................................................................... 2 第1章 シティプロモーションによるまちづくりに関する現状課題の整理......................... 4 1.堺市の都市魅力及び課題に関する整理(定量面からの整理).................................... 4 2.堺市の都市魅力及び課題に関する整理(定性面からの整理).................................. 13 3.堺市関連部署からのヒアリング ................................................................................. 21 第2章 シティプロモーションによるまちづくり実施事例の調査 ..................................... 24 1.ヒアリング調査 .......................................................................................................... 24 2.文献・事例調査のまとめ ............................................................................................ 35 第3章 堺市におけるシティプロモーションによるまちづくりの取組の検討 ................... 36 1.学識者・有識者ヒアリング ........................................................................................ 36 2.取組むべき施策に係る方向性の整理.......................................................................... 42 3.堺市プロモーション推進スケジュール(仮称)の提案 ............................................ 44 4.今後に向けて .............................................................................................................. 57 はじめに 1.本調査の背景と目的 (1)調査の背景 過年度実施した「スポーツを活かした観光まちづくりに関する調査研究」において、 まちづくりは、ブランド戦略やシティセールスと密着しており、その基本はマーケティ ング活動であることが理解できた。また、これと同時に、堺市では地域ブランドとの接 点や個別の魅力はあるものの、それがブランドの向上につながり、最終的な成果である 市民の愛着度や居住意向、来訪意向にはつながっていないことが分かった。 一方、堺市は、 「歴史文化のまち・堺」を推し進めている。これに関連する具体的な事 業として、 「さかい利晶の杜」が平成 27 年 3 月オープンし、市内観光スポットを結ぶ観 光周遊バスの運行が開始される。さらには、大阪府、羽曳野市、藤井寺市とともに百舌 鳥・古市古墳群の平成 29 年の世界文化遺産登録に向けたユネスコへの国内推薦をめざし ている。 (2)本調査の目的 このような状況のもと、市外はもちろん、市民に対しても堺市の魅力情報を発信する ことが求められる。すなわち、市外の人に対しては堺市に憧れを感じてもらえるような シティプロモーション活動が必要であり、市民においてはシビックプライドの醸成を図 る必要がある。 また、他の自治体においては、シティセールを積極的に推進する動向がみられ、堺市 においては上述の「歴史文化のまち・堺」を通じたシティプロモーションを推進してい るが、他自治体の動向に後れを取らない施策が求められるとともに、 「歴史文化のまち・ 堺」を通じたシティプロモーションの是非についても検証する必要がある。 人口減少が叫ばれる昨今において、現状維持の施策では、都市間競争に勝ち抜くこと はできない。選ばれ・選ばれ続ける都市となるための視点を、常に保持する必要がある。 これらを踏まえ、どのようにすればシティプロモーション活動が計画倒れになること なく成功するかを先進事例調査等により明らかにするとともに、堺市における歴史、文 化、スポーツ等を活かしたシティプロモーションによる地域づくりの具体的なあり方を 検討することを本調査の目的とする。 1 2.調査内容 (1)報告書の構成 本報告書の構成は以下のとおりである。 まず、堺市の都市魅力と課題を文献調査等により整理する。文献調査においては、定 量面からの整理とともに、定性面からの整理も実施する。また、同時に、堺市職員への ヒアリングを実施し、シティプロモーションに対する現状認識等を把握して以下の調査 に役立てる。 次に、シティプロモーションに関する先進的な取組を実施している自治体に対して、 ヒアリング調査を行い、堺市が実施すべきシティプロモーションに関する示唆を得る。 さらには、これまでの調査概要をとりまとめ、堺市が実施すべきシティプロモーショ ンに関する仮説を設定したうえで、学識者・有識者に対しヒアリング調査を行う。当該 調査を通じて、仮説に対して実効性・実現性等の観点から助言を得る。 最後に、調査で得られた結果を総括し、堺市が実施すべきシティプロモーションを施 策レベルで提言し、堺市がシティプロモーションに関し今後実行すべき施策を示す。 2 (2)調査フロー (1)を踏まえ、本業務は、以下のフローで実施した。 文献・事例調査 文献・事例調査 のまとめ まとめに対する 学識者等からの 意見 第1章 シティプロ モーションによるまち づくりに関する現状課 題の整理 第2章 シティプロ モーションによるまち づくり実施事例の調査 1.ヒアリング調査 第2章 シティプロモーションによるまちづくり実施 事例の調査 2.文献・事例調査のまとめ 第3章 堺市におけるシティプロモーションによるま ちづくりの取組の検討 1.学識者・有識者ヒアリング 第3章 堺市におけるシティプロモーションによるま ちづくりの取組の検討 2.取組むべき施策に係る方向性の整理 提言 3.堺市プロモーション推進スケジュール (仮称)の提案 4.今後に向けて 3 第1章 シティプロモーションによるまちづくりに関する現状課題の整理 1.堺市の都市魅力及び課題に関する整理(定量面からの整理) 「地域ブランド調査 2013 ハンドブック」及び「都市データパック」における、堺市の 自治体内における順位から、堺市の魅力や課題を分析・整理した。 (参考) 全国自治体 :791 自治体( (1)のみ 1047 自治体) 大阪府内の自治体 :33 自治体 政令指定都市 :20 都市 (1)ブランド力 「魅力度」は、府下では、大阪市、岸和田市、箕面市に続いて 4 位と上位である。一 方、全国順位では、大阪市と堺市で大きな差がみられ、全国的には、大阪市と、堺市を 含めた府内の他市とで、魅力度に大きな差があることが分かる。 <全国順位> 府下 自治体名 大阪 堺 岸和田 豊中 箕面 池田 吹田 泉大津 高槻 貝塚 守口 枚方 茨木 八尾 泉佐野 富田林 魅力度1 46 323 266 337 282 652 352 592 454 613 513 446 534 547 780 664 認知度2 7 112 133 237 280 300 183 338 248 473 342 242 242 327 362 387 情報接触度3 観光意欲度4 移住意欲度5 8 167 108 281 291 285 231 400 287 526 382 279 337 279 334 427 80 321 297 767 490 916 563 652 867 825 662 646 704 916 798 874 26 261 337 186 172 520 273 441 304 592 304 371 304 390 741 694 産品購入 意欲度6 49 359 479 771 334 851 568 479 832 538 437 851 886 653 514 746 食品 47 454 481 688 309 819 518 553 873 518 375 900 819 641 598 785 食品以外 140 115 328 838 292 732 581 204 498 419 732 498 838 498 222 419 123456 1 2 3 4 5 6 「魅力度」 「認知度」 「情報接触度」 :各市町村についての魅力を 5 段階で回答したものを点数化 :各市町村についての認知を 5 段階で回答したものを点数化 :過去 1 年間に各市町村の情報・話題の接触について 5 段階で回答 したものを点数化 「観光意欲度」 :各市町村への観光意欲を 5 段階で回答したものを点数化 「移住意欲度」 :各市町村への居住意欲を 5 段階で回答したものを点数化 「産品購入意欲度」 :各市町村の産品の購入意欲(食品・食品以外)についてそれぞれ 3 品まで自由回答してもらい、100 人あたりの記入数で点数化 4 <大阪府内のみの順位> 府下 自治体名 大阪 堺 岸和田 豊中 箕面 池田 吹田 泉大津 高槻 貝塚 守口 枚方 茨木 八尾 泉佐野 富田林 魅力度 認知度 1 4 2 5 3 18 6 15 8 17 10 7 11 12 27 19 情報接触度 観光意欲度 移住意欲度 1 2 3 6 12 13 4 16 9 22 17 7 7 15 18 19 1 3 2 8 11 9 5 17 10 23 16 6 15 6 14 19 1 3 2 14 4 24 5 8 20 17 9 7 10 24 16 21 1 4 9 3 2 18 5 14 6 20 6 11 6 12 30 26 産品購入 意欲度 食品 1 3 5 21 2 25 10 5 24 9 4 25 29 11 7 19 食品以外 1 4 5 16 2 25 6 9 30 6 3 31 25 13 10 22 2 1 6 27 5 22 16 3 13 8 22 13 27 13 4 8 政令指定都市において堺市は、 「魅力度」最下位である。1 位は京都と仙台であり、両 都市とともに、札幌、横浜及び神戸が「認知度」、 「情報接触度」、 「移住意欲度」及び「産 品購入意欲度」において上位に位置している。その一方で、堺市はすべて下位に位置し ている。 <政令指定都市のみの順位> 自治体名 札幌 仙台 さいたま 千葉 横浜 川崎 相模原 新潟 静岡 浜松 名古屋 京都 大阪 堺 神戸 岡山 広島 北九州 福岡 熊本 魅力度 認知度 3 1 18 17 4 14 19 16 12 10 7 1 8 20 5 15 10 13 6 9 情報接触度 観光意欲度 移住意欲度 5 8 15 14 5 10 18 17 13 11 2 1 4 20 3 16 12 19 7 9 5 6 11 16 2 10 19 18 13 14 3 1 4 20 7 17 12 15 7 9 1 5 19 17 3 16 20 15 11 13 9 2 10 18 4 14 8 12 6 7 4 7 10 18 1 9 15 19 10 15 6 2 8 20 3 14 13 17 5 12 産品購入 意欲度 1 4 19 15 9 18 20 14 13 6 2 2 10 17 8 12 7 16 5 11 食品 食品以外 1 3 20 15 9 18 18 14 13 5 2 4 10 17 8 11 7 16 6 12 出所: 「地域ブランド調査 2013 ハンドブック」(ブランド総合研究所、平成 25 年)より 日本総合研究所が作成 堺市独自の産品などが少なく、認知度が低いため、観光意欲度につながらず、その結 果がブランド力の弱さの要因となっていると考えられる。 5 2 5 19 17 7 15 20 14 15 8 9 1 12 11 9 12 4 18 6 3 (2)住みよさ 「住みやすさ」のうち、 「利便」は大阪府内の多くの市が全国で 39 位と上位であり、 大阪市と並び堺市も同位である。堺市を含め、大阪府には利便性の高い都市が多いこと が分かる。 その一方で、 「安心」 、 「住居」については、下位に位置する。 <全国順位> 府下 自治体名 大阪 堺 岸和田 豊中 池田 吹田 泉大津 高槻 貝塚 守口 枚方 茨木 八尾 住みよさ 7 総合 253 188 717 156 177 77 743 675 612 428 222 154 349 安心7 548 562 651 594 647 604 725 694 376 646 620 526 648 8 8 利便 9 39 39 610 11 39 39 39 614 634 543 39 39 39 39 10 7 快適9 95 229 411 181 233 44 528 340 478 348 347 193 455 裕福10 51 143 394 40 57 28 246 202 316 236 192 73 222 住居11 788 688 598 748 719 755 694 643 613 732 620 730 654 「安心」 :病院・一般診療所病床数、介護老人福祉施設・介護老人保健施設定員数、出 生数 8 「利便」 :小売業年間商品販売額、大型小売店舗面積 9 「快適」 :汚水処理人口普及率、都市公園面積、3 年間の転入転出人口比率、新設住宅着 工数 10 「裕福」 :財政力指数、地方税収入額、課税対象所得額 11 「住居」 :住宅延べ床面積、持ち家世帯比率 6 大阪府内においても、 「利便」が2位であることから、堺市の利便性の高さが分かる。 <大阪府内のみの順位> 府下 自治体名 大阪 堺 岸和田 豊中 池田 吹田 泉大津 高槻 貝塚 守口 枚方 茨木 八尾 住みよさ 総合 安心 14 10 31 7 8 3 32 30 28 20 13 6 17 利便 9 10 26 12 24 13 30 29 2 23 17 7 25 快適 2 2 30 2 2 2 31 32 28 2 2 2 2 裕福 3 7 17 5 8 2 23 11 21 13 12 6 20 住居 4 10 30 3 6 1 17 13 23 16 11 7 14 33 22 9 30 26 31 23 18 12 28 14 27 19 全国の政令指定都市の中では「利便」が 1 位である一方、 「快適」は 18 位と下位に入 る。 <政令指定都市のみの順位> 住みよさ 自治体名 札幌 仙台 さいたま 千葉 横浜 川崎 相模原 新潟 静岡 浜松 名古屋 京都 大阪 堺 神戸 岡山 広島 北九州 福岡 熊本 総合(位) 20 13 1 4 3 9 19 5 15 7 2 17 8 6 11 10 12 16 14 18 安心 利便 18 13 19 20 15 16 17 2 12 5 11 9 8 10 14 4 6 3 7 1 快適 14 8 5 3 6 11 20 9 19 15 4 16 1 1 10 12 13 18 7 17 裕福 4 5 3 10 11 2 13 19 20 16 6 17 7 18 9 15 12 14 1 8 住居 18 12 4 5 3 1 9 19 10 15 2 11 6 14 8 16 13 17 7 20 14 15 4 6 9 18 8 1 3 2 16 13 19 7 10 5 12 11 20 17 出所: 「都市データパック」(東洋経済社、平成 25 年)より、日本総合研究所が作成 7 住まいの近くに小売店や大型店があり、買い物をするには利便性の高い堺市であるが、 快適さの欠ける市であることが伺える。また政令指定都市全般にいえることだが、病院 や福祉施設数を表す指標である「安心」の順位が低いことから、都市に集まる人口数に 病院や介護の場が対応しきれていないことが伺える。 (3)成長力 成長力は、全国では 125 位であるものの、府内では 4 位、政令指定都市の中では 2 位 と上位に入り、堺市は、大都市の中においては、成長力が高い都市といえる。 また、成長力のうち、 「消費」よりも「産業」が強く、産業が堺市の成長力を牽引して いることが分かる。 「消費」が弱い背景として、堺市で生産されているものが堺市民によって消費されず、 市外で消費されていることが考えられる。 <全国順位> 府下 自治体名 1213 12 13 大阪 堺 岸和田 豊中 池田 吹田 泉大津 高槻 貝塚 守口 枚方 茨木 八尾 成長力 消費12 総合 482 125 398 179 739 138 362 204 412 745 249 628 344 547 411 344 400 664 106 572 384 445 780 595 349 330 産業13 399 89 474 98 741 308 346 170 391 604 87 684 268 「消費」 :人口、世帯数、新設住宅着工床面積、乗用車・軽自動車保有台数、課税対象所 得額、小売業者年間販売額、従業者数 「産業」 :小売業者年間販売額、従業者数、事業所数、製造品出荷額等、卸売業年間販売 額 8 <大阪府内のみの順位> 府下 自治体名 成長力 総合 消費 産業 大阪 22 19 20 堺 4 15 4 岸和田 18 10 22 豊中 7 14 6 池田 31 25 32 吹田 6 3 16 泉大津 14 21 17 高槻 8 12 11 貝塚 19 16 19 守口 32 33 29 枚方 10 22 3 茨城 27 11 31 八尾 13 8 14 泉佐野 5 4 12 富田林 21 7 27 寝屋川 28 26 25 <政令指定都市のみの順位> 河内長野 25 5 26 松原 16 成長力27 13 大東 20 23 10 自治体名 和泉 総合 1 消費 2 産業 1 箕面 2 1 15 札幌 7 15 3 柏原 33 28 33 仙台 20 17 19 羽曳野 12 24 5 さいたま 1 1 5 門真 15 31 9 千葉 15 20 11 摂津 3 13 2 横浜 8 2 10 高石 11 29 7 川崎 16 7 18 藤井寺 23 9 28 相模原 19 13 20 東大阪 26 18 23 新潟 4 11 4 泉南 30 30 30 静岡 13 6 16 四条畷 29 32 24 浜松 17 5 17 交野 24 17 21 名古屋 12 4 15 大阪狭山 17 6 18 京都 10 18 7 阪南 9 20 8 大阪 18 19 13 堺 2 12 1 神戸 3 16 2 岡山 5 9 9 広島 6 8 6 北九州 14 14 12 福岡 9 10 8 熊本 11 3 14 出所: 「都市データパック」(東洋経済社、平成 25 年)より、日本総合研究所が作成 9 (4)財政健全度 財政健全度の堺市の順位は、全国で 227 位、府下で 12 位。大阪市や高石市と同じく「財 政力」に比べて「弾力性・自主性」や「脱借金体質」の順位が低い傾向である。 政令指定都市の中では「財政基盤」の順位が低い。 <全国順位> 財政健全度 府下 自治体名 総合 大阪 堺 岸和田 豊中 池田 吹田 泉大津 高槻 貝塚 守口 枚方 茨木 八尾 317 227 500 106 100 33 451 77 355 365 137 30 265 脱借金 弾力性15 財政力16 財政基盤17 体質14 自主性 707 758 12 99 352 577 96 154 610 746 393 225 172 343 74 59 183 148 102 105 8 206 59 41 698 703 228 189 10 172 223 175 487 608 255 217 344 697 252 279 50 204 295 147 19 22 93 62 211 431 285 232 14151617 <大阪府内のみの順位> 府下 自治体名 大阪 堺 岸和田 豊中 池田 吹田 泉大津 高槻 貝塚 守口 枚方 茨木 八尾 泉佐野 富田林 財政健全度 総合 19 12 31 6 5 2 27 4 21 22 8 1 15 33 9 脱借金 体質 30 23 28 13 14 1 29 2 25 22 5 3 16 33 4 弾力性 自主性 32 20 31 10 2 7 28 3 21 27 6 1 12 33 8 財政力 財政基盤 1 9 22 7 10 6 13 12 15 14 18 8 16 5 27 5 10 20 3 6 2 14 11 18 28 9 4 22 23 21 14 「脱借金体質」 :人口 1 人あたり地方債残高、地方債依存度、実質公債費比率、将 来負担比率 15 「弾力性・自主性」 :経済収支比率、公債負比率、自主財源比率 16 「財政力」 「財政基盤」 :財政力指数、地方税増加率、人口 1 人あたり地方税収額 :生産年齢人口比率,人口増加率,納税義務者1人あたり課税対象 所得,地価上昇率(全用途) 17 10 <政令指定都市のみの順位> 財政健全度 自治体名 札幌 仙台 さいたま 千葉 横浜 川崎 相模原 新潟 静岡 浜松 名古屋 京都 大阪 堺 神戸 岡山 広島 北九州 福岡 熊本 脱借金 体質 総合 7 14 1 17 4 2 3 16 13 9 5 19 12 6 11 10 18 20 8 15 5 11 1 20 15 7 2 14 10 4 12 18 13 3 9 6 19 16 17 8 弾力性 自主性 10 18 1 16 6 12 3 7 8 2 14 17 20 13 11 5 15 19 9 4 財政力 17 14 4 7 5 2 11 15 8 18 3 13 1 9 10 12 16 19 6 20 財政基盤 9 5 4 7 2 1 8 19 18 17 6 13 10 14 11 16 12 20 3 15 出所: 「都市データパック」(東洋経済社、平成 25 年)より、日本総合研究所が作成 納税義務者1人あたり課税対象所得などの指標である「財政基盤」が弱いことから、 都市の“勢い”を示す(3)の「成長力」にもつながりにくくなっていることが伺える。 11 (5)まとめ ブランド力について、堺市は、政令指定都市の中では最下位となっている。全般的に 低位であるが、なかでも「認知度」、「情報接触度」が最下位であることから、堺市が、 大都市であるのにも関わらず、全国的な知名度を獲得できていないことが伺える。シテ ィプロモーションの推進にあっては、まずは、堺市という都市の存在の認知を獲得する ことを意識する必要がある。 政令指定都市内・府内の自治体と比べると住みよさにおける「利便」 、成長力における 「産業」は上位であるが、住みよさにおける「安心」 、 「快適」 、成長力における「消費」 、 財政健全度における「脱借金体質」 、 「弾力性・自主性」の順位は低い傾向となっている。 これらを整理すると、以下のとおりである。 ○ 湾岸部の工業地帯等の存在により、産業の力が強い。 ○ 湾岸部の工業地帯及び大阪市のベットタウンとして開発され、人口が流入し、そ れに対応する形で、生活用品を販売する小売店舗が拡大した。 ○ その一方で、病院、公共介護老人福祉施設、都市公園など、公共インフラの整備 が遅れている。 ○ その理由としては、財政状況が芳しくないため、インフラ投資に充てる財源が十 分でないことが考えられる。 ○ 財政状況が芳しくない原因としては、個人の消費の低さが考えられる。 短期的には、財政状況改善のため、交流人口の増加を図ることで堺市内における個人 消費を促進させ、中長期的には、定住促進を図るため、堺市の財政状況に配慮しつつ公 共インフラを充実させることが必要と考えられる。 12 2.堺市の都市魅力及び課題に関する整理(定性面からの整理) 文献調査を通じて、定性面から、堺市の都市魅力についての整理・情報棚卸しを行い、 現状課題の整理を行う。整理の視点としては、都市魅力及び課題を「内なる視点:堺市 みずからが魅力又は課題だと考えていること」と「外からの視点:堺市外から魅力又は 課題だと認知されていること」の 2 方向で把握する。 (1)魅力についての抽出結果 内なる視点での魅力としては、環境、教育、市民性など、住環境に関連する魅力を挙 げる文献が多い。 外から見たときの魅力としては、 「千利休」、 「与謝野晶子」 、 「仁徳天皇陵古墳」や「ま つり」など、歴史文化に関連した事項を魅力として挙げる文献が多い。また、歴史文化 を目的とした観光を魅力に挙げる文献も存在した。 これら市内外の魅力を比較すると、堺市の魅力に対する認識が、市内外で大きく異な ることが分かった。 有形のもの 無形のもの ○居住しやすい環境イメージ ○親切な市民性 ・居住地近くでの買い物環境が充実している ・住宅地のコストパフォーマンスがいい ・困っている人がいたら声をかけるなど親切な 市民性を有す ○高い教育水準 ○高い教育意識 ・公立高校では大学合格実績数が多く、近隣市 ・多数の子どもが日ごろから読書に親しむ ではトップクラスの良好な教育環境 ○高い環境意識 内 な ○先進的な環境産業の立地 ・環境モデル都市の認定や環境産業振興に関す る 視 ・シャープをはじめとした企業群を有する国内 る取組など環境に対する市政の意識の高さ 点 最大級の太陽光電池生産拠点 ・日ごろからごみの減量・リサイクル活動や、 で の バスや公共交通の利用を心掛けるなど環境に 魅 ○観光資源における「食」のイメージ 力 ・食関連施設に関して、特に商品に対しては全 対する意識の高さ 国的に見て高水準 ○市役所が観光拠点 ・市役所 21 階展望ロビーは、眺望・立地・環境・ アクセス容易性・周囲の雰囲気・庁舎の外観 が高評価 13 有形のもの 無形のもの ○文化的で著名な観光地の存在 ○伝統工芸や住民気質に魅力 ・ビジターの訪問が一番多いのは「仁徳天皇陵」 などの古墳 ・地域ブランド力ではどの項目でも平均以上だ が、特に「工芸品・工業品」、「住民の気質や ・仁徳天皇陵は多くの人に認知されている 人柄」で高ポイントを獲得 ・ 「歴史」 、 「博物館」 、 「交通の便」 、 「産業や企業」、○歴史や伝統のイメージ、特に千利休と与謝野晶 外 か 「伝統的技術」に評価が高い 子 ら ・ 「歴史や伝統が息づいている都市」 、 「ビジネス の ○行動的な観光客の年代層~アクティブ・シニア 視 ・観光客の多数が 50 歳代以上である や産業の盛んな都市」のイメージが強い 点 で ○市内には数多くの潜在的な観光資源 ・東京で 7 割、大阪でほとんどの人が認知 の ・地域産業等に関する資源 ・堺市出身の千利休、与謝野晶子の認知度が高 魅 力 ・温泉、文化・スポーツに関する資源 い ・文化財・歴史的風土等に関する資源 ○市内にはイベントが豊富 ・優れた自然・良好な景観等に関する資源 ・まつり・イベント等に関する資源 (詳細は【参考資料】参照) (詳細は【参考資料】参照) 出所: 「平成 25 年度 堺市市民意識調査(平成 26 年) 」 「堺のシティプロモーションに関する調査研究(平 成 23 年)」 「堺市集客資源調査結果の概要(平成 24 年)」 「堺市日常生活と都市のイメージに関す るアンケート報告書(平成 24 年)」 「平成 21 年度版 堺市ビジター実態調査報告書(平成 22 年)」 「堺観光戦略プラン策定基礎調査報告書(平成 24 年)」「地域ブランド調査 2012(平成 24 年)」 「堺観光についてのアンケート(平成 26 年) 」「地域ブランドサーベイ 2013(平成 25 年)」及 び「泉州地域の地域プロモーションに関する調査研究(平成 24 年)」より、日本総合研究所が 作成 14 【参考資料】 堺市における各資源一覧表 地域産業等に関する資源 ・きゅうり ・みつば 温泉その他、文化・スポー ツに関する資源 その他の資源 ・堺市立サッカーナショナ ・堺浜シーサイドステージ ・しろな ・ねぎ ・春菊 ルトレーニングセンター ・イオンモール堺北花田プ ・ほうれん草 ・小松菜 (J-Green 堺) ラウ ・泉州黄玉葱 ・トマト ・みなと堺グリーンひろば ・アリオ鳳 ・泉州きゃべつ ・水なす ・海とのふれあい広場 ・プラットプラット ・泉州たまねぎ ・花壇苗 ・大仙公園 ・クロスモール ・観葉植物 ・植木 ・大浜公園 ・パンジョ ・大阪唐木銘木仏壇 ・白鷺公園 ・リーガロイヤルホテル堺 ・大阪泉州桐箪笥 ・荒山公園 (現アゴーラ リージェ ・大阪塗仏壇 ・かばん ・鴨谷公園 ンシー堺) ・ガラス製品 ・玩具 ・舟渡池公園 ・コンフォートホテル堺 ・建築金物 ・堺土人形 ・大阪府営浜寺公園 ・シティホテル青雲荘 ・堺打刃物®※・堺線香 ・大阪府営大泉緑地 ・東横イン堺東駅 ・堺手織緞通 ・作業工具 ・大阪府立大型児童館ビッ ・ダイワロイネットホテル ・紙器 ・敷物・地酒 グバン 堺東 ・自転車 ・本 ・アパホテル堺駅前 ・人造真珠硝子細工 ・市立堺病院 ・繊維機械 ・ねじ ・独立行政法人労働者健康 ・ベアリング ・金属熱処理 ・石けん ・洗剤 ・銑鉄鋳物 ・鍛工品 福祉機構大阪労災病院 ・泉北地域中小企業支援セ ンター ・ナビタス㈱本社工場 ・鉄管継 ・農業用機械 ・㈶堺市産業振興センター ・農業機械 ・刃物 ・㈱さかい新事業創造セン ・袋物 ・婦人子供服 ・紡績 ・普通線材製品 ・綿スフ織物 ・撚糸 ・堺自転車会館 ター ・自転車博物館サイクルセ ンター ・関西電力㈱堺港発電所 ・(特非)さかい企業家応援 団コンソーシアム PR 館(堺太陽光発電所) ・エコタウン(堺 7-3 区) ・注染和晒 ・染ゆかた ・(特非)南大阪地域大学 ・㈱RAC 関西 ・堺和ざらし浴衣 ・テクノフロンティア堺 ・朝日新聞堺工場(㈱朝日大 ・丸編ニット ・横編ニット ・堺伝統産業会館 ・浪華本・魔法瓶 ・㈱梅栄堂(ショールーム・ ・ライオン㈱大阪工場 ・木材加工品 ・木製家具 工場) 阪プリンテック堺工場) ・コンペイトウミュージア ・和菓子 ・堺五月鯉幟 ・堺五月鯉幟工房 ・堺昆布(酢昆布など) ・堺式手織緞通 ・大阪府立大学 ・堺ブランド推進事業 ・㈶堺市産業振興センター ・堺泉北臨海工業地帯 15 ム 文化財・歴史的風土等に関 まつり・イベント等に関す 優れた自然・良好な景観等 する資源 る資源 に関する資源 ・百舌鳥古墳群・堺市茶室 ・だんじり祭り ・堺 緑のミュージアム ・大仙公園 ・ふとん太鼓 ・ハーベストの丘 ・堺まつり ・フォレストガーデン ・諏訪ノ森駅西駅舎 ・堺市民オリンピック ・とれとれ市 ・旧堺燈台 ・堺市農業祭 ・堺市立町家歴史館 ・堺大魚夜市 ・山口家住宅 ・泉州国際市民マラソン ・浜寺公園駅 ・堺市博物館 ・土塔 ・清学院 出所: 「泉州地域の地域プロモーションに関する調査研究(平成 24 年)」に基づき、日本 総合研究所が作成 ※「堺打刃物®」は堺刃物商工業協同組合連合会の登録商標である。 16 (2)課題についての抽出結果 内なる視点から見た課題としては、産業の未発達、観光客に対するおもてなし不足、 中心部の賑わいの欠落など、市としての対応不足を指摘していると考えられる文献が多 い。 外からの視点での課題としては、土産物・特産品の少なさ、グローバルの認知度の低 さを指摘する文献が多かった。 有形のもの 無形のもの ○居住しにくい環境要因 ○防災・防犯に対する低い意識 ・大学・短期大学数などが下位に位置し、流入 する学生数は他の政令指定都市と比較して少 ない ・地域で防災活動、子どもの見守りやパトロー ルの活動が不活発 ○文化活動に対する低い意識 ・コンビニエンスストアの人口当たりの店舗数 は大阪市や岸和田市など、近隣市の中でも下 位 ・サークル活動、講座への参加、芸術活動など の生涯学習や文化活動への参加が低調 ・市民の堺市の歴史的なスポット訪問が少ない ・住んでみたいまちランキングの選外。ブラン ○教育に対する低い意識 ドとして認知されていない 内 な る 視 ・PTA など子供の教育に関する活動、子供会な ・保育所数は近隣市に比べやや少なく、人口当 たりの待機児童数は近隣市より多い ・地域の人が子供の教育によく関わってこない ・高齢者にとって堺市内で買い物がしにくいた ○暮らしの質の課題 め、市外での買い物をする状況 ・働く意欲がある人たちの雇用が確保されてい 点 ○市内産業に対する取組不足 か ら 見 た ない ・市内に水に関するインフラ事業者はあるが、 海外展開に向けた取組が特にない ・年齢や性別にかかわりなく、能力を十分に発 揮できる環境が整っていない ・文化産業のブランドの全国的な知名度は大き くはない ・自分の知識や教養を発揮することができる場 がない 課 ○市内産業の未発達な分野 題 どの活動やイベントへの参加が少ない ・家計の状況に余裕がない ・他の政令指定都市と比べ、映像・音声・文字 ○産業に対する PR 不足 情報作業に関わるクリエータ従業者は非常に 少ない ・堺市の伝統産業品の PR は十分にされていると 思われていない ・医薬品製造業に携わる従業者数は政令指定都 ○環境に対する意識の低さ 市の中でおよそ中位。ただし、研究所はなく、 新薬開発・バイオメディカルへの強みはない ・ロボット技術開発に取組む関連企業は近隣市 と比較しても少なく、目立った企業は少ない ・宇宙技術開発に取組む事業所はあるが他市と 17 ・堺市の企業・事業者は環境に配慮した取組を 行っていると思われていない ・地球環境を意識した生活スタイルを実践して いる人が多いと思っているのは 19.3% 有形のもの 無形のもの 比べて集積しているとは言えない ○市内に対する問題意識~活気や魅力のなさ・特 ・IT 関連の従業者は政令指定都市の中で最少 ○観光面で満足度が低いサービス~おもてなし不 足 色のなさ ・堺市のまちの中心部ににぎわいを感じる割合 が少ない ・旅行に適した宿泊施設は少なくはないが、京 阪神観光の拠点になるには厳しい ・堺市には海外の人たちが訪れたくなる魅力が あるスポットが認識されていない ・仁徳天皇陵を除き、史跡の認知度は低い ・自分が住んでいる区の特色を認知していない ・知的興味にこたえる施設の認知度・来訪率は ・国際性が豊かではない ともに高くない ・観光客に向けたバリアフリーの取組の情報発 信が進んでいない ・CS 評価結果のうち、 「娯楽・スポーツ」の価 格と「観光・旅行」の環境・施設・商品・接 客・価格についての評価が低い ・文化・芸術・歴史資源周辺の観光資源の情報 提供が不十分となっている ・観光案内所は、宿泊手配や情報提供サービス などの評価が極めて低く、全般的に厳しい評 価が出ている ・高速道路インターや駅等からの案内表示標識 などの整備状況について、最寄駅や高速道路 のインターなどからの「案内表示」の評価は 全ての施設で低い満足度となった 18 有形のもの 無形のもの ○定番の土産物・特産品が少ない ○グローバルな都市イメージがない ・半数以上のビジターは土産物を特に買わない ・堺市を魅力的と感じる人の割合が 2 割以下 ・ネットで興味を引くためには、映画やテレビ ・国際的なイメージがない のロケなど非日常空間を市内で数多く実施し 外 か ら の 視 点 で の 課 題 ていくことが重要である ・撮影実績の情報発信を行い、話題性を上げる ことが重要である ・観光、レジャースポットが少ない ・食べ物がおいしいイメージが低い ・ 「レジャー施設」、 「土産や地域産品」 、 「食事」、 「宿泊施設」の評価が低い ・堺市の産業認知のうち、 「刃物」の認知度は過 半数の認知があるが、その他はすべて 3 割以 下の認知となった 出所: 「平成 25 年度 堺市市民意識調査(平成 26 年) 」 「堺のシティプロモーションに関する調査研究(平 成 23 年)」 「堺市集客資源調査結果の概要(平成 24 年)」 「平成 21 年度版 堺市ビジター実態調査 報告書(平成 22 年)」 「堺観光戦略プラン策定基礎調査報告書(平成 24 年)」 「地域ブランド調査 2012(平成 24 年) 」 「堺観光についてのアンケート(平成 26 年)」及び「地域ブランドサーベイ 2013(平成 25 年) 」に基づき、日本総合研究所が作成 19 (3)魅力と課題に関するまとめ 魅力、課題ともに、市内外で、認識が大きく異なることが分かった。これは、堺市が大都 市であり、都市の統一的なブランドイメージを打ち出せていないことが要因と考えられる。 内なる視点については、ある文献では魅力とされている分野が、他の文献では課題として 指摘されていることが多数見受けられた。市内においても、地域ごとに魅力と課題に対する 認識が、全く異なることが理由として考えられる。 外からの視点については、魅力、課題ともに、観光に関連するものを指摘する文献が多か った。魅力については、仁徳天皇陵古墳やまつりなど、観光の動機となりうる事項が挙げら れているが、課題においては、観光客に対するおもてなし不足や土産物・特産品の少なさが 挙げられている。このことから、観光を目的で堺市に訪れることはあっても、特定の目的が 終われば大阪市をはじめとした周辺地域に流出し、 堺市に長時間滞在していない可能性が考 えられる。すなわち、堺市は、観光のポテンシャルを有しているものの、それが活かしきれ ておらず、その結果、堺市が観光都市であるという都市ブランドの形成に至っていないこと が伺える。また、同時に、観光客が堺市に長時間滞在していないため、観光客の来訪による 経済的効果を十分に享受できていないことも考えられる。 20 3.堺市関連部署からのヒアリング (1)ヒアリングの概要 日時:平成 26 年 10 月 2 日(木) 対象:市長公室 広報部、企画部 (2)ヒアリング結果 ①堺市のシティプロモーションの目的 堺市の考えるシティプロモーションの目的は、市外のイメージ向上のうえ、市民のイメ ージを向上させ、定住に繋げることにある。 ○ シティプロモーションの目的は、二つあると考えている。 一つは、市外から見て、 「堺市はいい街」だと思われること。 もう一つは、市外から「堺市はいい街」だと思われるようになった結果、 堺市民が「住んでいてよかった」と感じるようになること。 ○ シティプロモーションを以前堺市に在住していた人のふるさと納税につなげた い。また、転勤があった場合に、居住地として選んでもらいたい。 その中で、シビックプライドを醸成し、その結果「わがまち意識」を醸成 したいと考えている。このためにはシティプロモーションはもちろん、そ れ以外の取組も必要となる。 ②堺市のシティプロモーションの現状 堺市は、歴史文化によるシティプロモーションを推進することをめざしている。 ○ 庁内全体として、堺市が推進すべきシティプロモーションを、歴史・文化によ るまちづくりと捉える雰囲気が強い。 シティプロモーション担当の役割は、堺市が「歴史・文化のまち」である ことを市内外に浸透させることである。 堺市が「歴史・文化のまち」であることを市外に浸透させる目的は、堺市 への訪問意向を持たせることにある。 ③歴史文化によるシティプロモーションの推進現状 歴史文化によるシティプロモーションの一環として、環濠再生の 100 年構想の策定等、 既に各種事業に着手済みである。 ○ 庁内では、古墳、与謝野晶子、千利休を利用したまちづくりを推進する雰囲気 が強い。 具体的には、 環濠再生の 100 年構想の策定 21 百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産申請 「さかい利晶の杜」の浸透 この他、旧市街地の魅力再生と堺東の活性化も大きなテーマである。 これらは、いずれも歴史・文化に関連するものである。 ○ 職員向けに世界遺産の説明(勉強)会を、随時開催している。 ④歴史文化によるシティプロモーションの課題 歴史文化に関連する事業に着手する一方で、歴史文化によるシティプロモーションが、 市民の理解を得られない可能性を認識しており、 シティプロモーションに歴史文化を活用 することに対し、一定の限界があることが示唆されている。 また、そのうえで、全庁的な視点でシティプロモーションの取組を検討する必要性が示 唆されている。 ○ 古墳は市民の生活との関わりが弱いことが懸念である。 歴史はテーマとして重い。市民にとって親しみやすく伝えることが難しい のが悩み。 テーマの重さがビジネスの障害にならないようにしたい。 ○ 歴史・文化への取組と定住人口の増加は、繋がらないと認識している。 ○ 広報部の業務分掌の一つが、世界文化遺産登録であるため、 「堺市のシティプロ モーションは、歴史・文化を核として行う」という前提の議論になりがちだが、 シティプロモーションは歴史・文化だけとは限らない。歴史・文化以外の分野 を、堺市のシティプロモーションとする検討もありえる。 ○ 情報発信が足りないことが課題であると認識している。良い取組は行われてい るものの、市内外に対して情報発信が不足している。 22 ⑤都市ブランドの構築 シティブランド構築やシティプライド醸成など、 シティプロモーションに関連した取組 が検討・実施されているものの、散発的である。これらの事実から、堺市のシティプロモ ーション全体を貫く、一貫したコンセプトが欠如していることが伺える。 ○ シティブランドとして構築したいのは、都市マスタープランにおける 3 つの挑 戦(子育て・歴史文化・低炭素)と安全安心。 シティプライドを醸成するため、 「シティプロモーション認定事業」を実施 している。 観光ボランティアは、10 年以上継続している。近年認知度が高まったと認 識している。 「シティプロモーション認定事業」として「&ライス」というホームペー ジを作成しているものの、堺市は食の発信が弱いと認識している。 23 第2章 シティプロモーションによるまちづくり実施事例の調査 1.ヒアリング調査 (1)ヒアリング実施概要 シティプロモーションに関して、特徴的・先進的な取組を実施しており、堺市が今後実施 すべきシティプロモーションの参考になりうると考えられる自治体を選定のうえ、ヒアリン グ調査を実施した。 ヒアリングを実施した自治体は以下のとおりである。 ヒアリング対象自治体 北九州市 熊本市 奈良市 対応部署 ・総務企画局政策部企画課 ・広報室報道課 イメージアップ担当ライン ・観光文化交流局 シティプロモーション課 ・総合政策部奈良ブランド推進課 ・観光経済部観光戦略課 ヒアリング実施日 平成 26 年 9 月 24 日 平成 26 年 9 月 25 日 平成 26 年 12 月 2 日 金沢市 ・経済局プロモーション推進課 平成 26 年 12 月 5 日 広島県 ・商工労働局 ひろしまブランド推進課、観光課 平成 27 年 1 月 19 日 ・総務局広報課 広島市 ・経済観光局 観光政策部観光プロモーション担当 平成 27 年 1 月 20 日 (2)ヒアリングの内容 ヒアリング先の各自治体から、主に以下の事項について、意見を聴取した。 1.貴県/市シティプロモーションの体制について ・担当部署 ・業務内容 ・人員配置 ・担当内の民間経験者の有無、外部委託の状況 ・部署の設置年月 ・設置の背景・目的 ・シティプロモーション担当部署の変遷 ・年度別当初予算額 ・シティプロモーション担当部門を設置した効果 ・シティプロモーション業務実施上の課題 ・首長や各課との連携の方法及び状況 24 2.貴県/市のシティプロモーションの取組について ・戦略や指針など ・年間計画 ・これまでの具体的な取組内容 ・メディアへの情報発信 ・庁内向けの広報活動 ・活動の成果・課題 3.貴県/市における都市ブランドの構築、シビックプライドの醸成につながる施策・事業 の実施について ・ブランドロゴ策定の背景・経緯 ・ブランドロゴ浸透のプロセス ・シビックプライド醸成に関する施策・事業 ・シビックプライド醸成の効果・課題 25 (3)ヒアリング結果 ①シティプロモーションの取組体制 担 当 部 署 業 務 内 容 人 員 配 置 民 間 登 用 の 有 無 ・ 外 部 委 託 の 状 況 北九州市 ●総務企画局政策部企画課 ●広報室報道課イメージアップ 担当ライン(以下、 「IU」という) など 熊本市 ●観光文化交流局シティプロモ ーション課 ●【総務企画局政策部企画課】 ●シティプロモーションに係る 都市ブランドを基軸としたシ 総合的企画及び調整に関する ティプロモーションの推進 こと ●【広報室 IU】 ●熊本シティブランドに係る総 新聞、雑誌、テレビ等を活用し 合的企画及び調整に関するこ たシティプロモーション と ●熊本シティブランド戦略の推 進に関すること ●フィルム・コミッションに関す ること 等 ●【総務企画局政策部企画課】 合計 2 名 (係長 1 名、職員 1 名) ●【広報室 IU】 合計 3 名 (課長 1 名、係長 1 名、職員 1 名) 奈良市 ●総合政策部奈良ブランド推進 課定住促進係 金沢市 ●経済局営業戦略部プロモーシ ョン推進課 広島県 ●商工労働局ひろしまブランド 推進課、観光課 ●総務局広報課 広島市 ●経済観光局観光政策部観光プ ロモーション担当 ●シティプロモーションに関す ること ●定住人口の増加策に関するこ と ●市庁内関係課との施策形成等 の調整に関すること ●北陸新幹線の開業に向けたシ ティプロモーション等に関す る業務 ●都市間交流に関する業務 (北陸新幹線の開業に係るもの に限る) ●【ブランド推進課】 ブランドコンセプトの立案及 び県外の人からのイメージ向 上を役割としている。定住促進 も役割には含まれる。 ●【観光課】 観光客増を目的とした施策を 立案及び実行する。 ●【広報課】 情報の発信方法に関するコン サルティングを実施。現課から 上がってきたものに対して、付 加価値を付与する対応を実施 している。 ●【ブランド推進課】合計 3 名 ●【観光課 観光プロモーション G】 合計 4 名(課全体では 29 名) ●【広報課】 合計 13 名 (報道・戦略 G(2.5 名+3.5 名)、 自主広報 G3 名、県民対応 G4 名) ●過年度、ブランドコンセプトブ ック作成にあたって、広告代理 店に業務を委託した。 ●プロモーションのプロデュー スで、イベント企画で広告代理 店に業務を委託している。 ●観光行政(インバウンド)に係 る企画及び調整に関すること ●観光プロモーションに関する こと ●観光関係団体との連絡に関す ること ●修学旅行の誘致に関すること ●シティセールスの推進に関す る調査、企画及び調整に関する こと ●合計 6 名 ●合計 2 名 (課長、課長補佐、係員 4 名) (定住促進係長 1 名、係員 1 名) ― ●ブランドコンセプトの策定な ●ブランド立ち上げ時は、民間か ●今後、定住促進事業のアドバイ どを行った「北九州市ブランド らの人材登用が必要だとの認 ザーとして招致する予定。 戦略会議」には、大阪府立大の 識から民間登用を行なったが、 橋爪先生など、市内外の有識 現在、行なっていない。 者・関係者が参画 施策の見直し等の際には、専門 ●戦略会議に次いで、「ブランド 家からの意見・アドバイス等に 推進会議」を開催。市民・NPO・ よる支援を得て行ないたいと 企業・行政からなるブランド推 考えている。 進体制として位置づけ 26 ― ●合計 9 名 (課長、課長補佐、職員 4 名、 嘱託員 3 名) ― 担 当 部 署 創 設 の 目 的 ・ 背 景 担 当 部 署 の 変 遷 北九州市 熊本市 奈良市 金沢市 ●平成元年度から、本市の認知度 ●平成 23 年春の九州新幹線鹿児 ●少子高齢化による人口減少社 ●新幹線の開通 の向上とイメージアップを図 島ルートの全線開業を前に、来 会にあたり、当市においても若 るため、報道課に IU を配置 訪者の増加が見込まれる反面、 年層の転出過多の傾向があり、 ●平成 12 年度、報道課に映画等 都市間競争が激化することに 魅力ある奈良市づくりと定住 の撮影誘致・支援を専門的に行 より、熊本市が福岡・鹿児島間 促進を課題に設置された。 う「北九州フィルム・コミッシ の単なる通過点と化し、人口や ョン」(以下、「KFC」という) 資本が福岡市等に吸い寄せら を設立 れる(ストロー現象)懸念もあ ●平成 18 年度から、ビジターズ・ ったことから、企画課内に都市 インダストリー振興の取り組 ブランドの確立を目的として みを更に促進するため、企画政 「ブランド推進室」を設置し、 策室ににぎわいづくり企画課 平成 21 年3月に「熊本シティ を設置 ブランド戦略プラン」を策定。 ●平成 20 年度には、にぎわいづ くり企画課の他、都市ブランド 創造課設置とあわせてシティ プロモーション部を発足 広島県 ●平成 23 年から観光プロモーシ ョンを推進する大きな庁内の 動きがあった。 広島市 【観光政策部】 ●ヒト・モノ・カネの大きな循環 を生み出す地域経済の活性化 に向けた観光政策を総合的に 推進する必要があり、訪れた人 に「また来てみたい」、 「住んで みたい」と感じてもらえるよ う、まち全体としての観光起こ しを推進するとともに、観光ビ ジネスの推進や近隣市町との 観光プロモーションの共同実 施など各種観光施策を強力に 進めていくため。 ●平成元年度 報道課に IU を配 ●企画部の一組織を観光文化交 置 流局に移管し、平成 23 年にシ ●平成 12 年度 KFC を設立 ティプロモーション課を設立 ●平成 18 年度 にぎわいづくり 企画課を設立 ●平成 20 年度 企画文化局シテ ィプロモーション部を設立。部 に、にぎわいづくり企画課(ビ ジターズ・インダストリー担 当)と都市ブランド創造課(都 市ブランド・シティプロモーシ ョン担当)を設置 ●平成 22 年度 にぎわいづくり 企画課と都市ブランド創造課 を廃止し、シティプロモーショ ン部へ一本化 ●平成 23 年度 総務企画局に改 組。シティプロモーション部に 周年事業担当ラインを設置 ●平成 24 年度 シティプロモー ション部を廃止、ブランド推進 ラインを総務企画局企画課へ 移管。集客担当ラインを産業経 済局観光部観光・コンベンショ ン課へ移管。 ●ブランド推進課、観光課観光プ ロモーション G ともに、平成 24 年度に設立 ●観光振興 G から観光プロモーシ ョン G が分離独立し、プロモー ションに特化した。 ●現知事になってから広報に力 を入れ始め、それに伴い戦略広 報を平成 23 年度に設置した。 ●平成 24 年 4 月設置 ●平成 24 年 4 月、都市活性化局 の観光交流部を、経済局に移管 し、経済観光局とし、観光政策 部を設置。 ●平成 26 年 4 月 1 日設置 ●平成 25 年度に設置 27 観光交流部 ⇒観光政策部 観光課、修学旅行担当、交流課、 水の都担当⇒観光企画担当、観光 ビジネス担当、観光プロモーショ ン担当、MICE 戦略担当 担 当 部 署 の 年 度 別 予 算 額 担 当 部 署 設 置 の 効 果 ・ 課 題 そ の 他 北九州市 ●シティプロモーション部の主 要事業の予算額 平成 20 年度 約 30 百万円 平成 21 年度 約 28 百万円 平成 22 年度 約 29 百万円 平成 23 年度 約 42 百万円 ●IU の予算額 年間 約 40 百万円 ●ブランド戦略会議とブランド 推進会議の実施をとおして、本 市の都市ブランド浸透のポイン トの一つが、シビックプライド の醸成であることが分かった。 ●IU が環境施策など本市の特徴 となる取組を情報発信するこ とで、知名度や都市イメージの 認知につながった。 ●報道課で活動を開始した KFC が、日本を代表するフィルム・ コミッションに成長した。 ●市民意識調査を見ると、都市ブ ランド構築の課題として、北九 州市のことは「好き」だが、自 分のまちを自慢しない市民が 多いことがある。シビックプラ イドの醸成により、この差を埋 めていく必要がある。 ― 熊本市 ●ブランド戦略施策関連予算 平成 21 年度 約 25 百万円 平成 22 年度 約 80 百万円 平成 23 年度 約 81 百万円 平成 24 年度 約 72 百万円 平成 25 年度 約 54 百万円 奈良市 金沢市 ― ― ●今年度、担当課が設置されたこ とで、関係各課とより連携した 取組ができるようになった。● 奈良市ブランドとして広報で きるもの。住民ニーズ。それぞ れの把握とマッチングが課題。 ― ― ― ― ― 28 広島県 ●観光プロモーションに対し、 平成 25 年度 約 1 億 50 百万円 平成 26 年度 約 2 億 40 百万円 広島市 ●観光政策部(観光費) 平成 26 年度 約 5 億 87 百万円 平成 25 年度 約 5 億 10 百万円 平成 24 年度 約 4 億 42 百万円 ●観光プロモーション担当 平成 26 年度 約 50 百万円 平成 25 年度 約 55 百万円 平成 24 年度 約 38 百万円 (事業費のみ) ●プロモーション開始の効果と しては、全国への情報発信がで きたこと。広告換算でも結果が 出ている。「おしい!広島」は 32 億円以上の広告換算。 「泣け る!広島」は 11 億円。 ●課題は、効果検証の手法だと認 識している。プロモーションの 結果、どれだけ観光客が増えた かを正確には把握できない。よ って、今年度はインターネット 調査を実施している。 ●これまでの 2 課制から 4 担当課 制に変更することにより、課の 垣根を取り払い、各担当間でよ り連携した取組を行う環境が 整った。 ●外国人観光客向け業務をこれ までの観光課から別担当とす ることで、多くの事業を企画、 実施し、外国人観光客の増加に つながった。 ●総括的な情報収集(情報が集ま りやすい環境づくり) ●部内外の関係者との連携によ る積極的なプロモーション活 動。 ●首長や各課との連携の方法及 び状況: 広島都市圏の広域連携全般を 担当する企画調整部とは、情報 交換を行い、事業実施や広報面 で連携している。 ●ブランド推進課とはもちろん、 ●都市像に「国際平和文化都市」 広報課とも強く連携している。 を掲げている本市では、平和推 広報に関するアドバイスを受 進課を設置し、「平和都市」と けている。 しての情報発信等を行ってい ることから、平和分野からのシ ティプロモーションにも取り 組んでいる。 (平和首長会議の運営、2020 ビ ジョンキャンペーンの展開な ど) ②シティプロモーションの取組状況 戦 略 ・ 指 針 等 年 間 計 画 北九州市 熊本市 奈良市 金沢市 ●シビックプライドの醸成によ ●熊本は、歴史的に官公需で発展 ●定住希望者に対応する支援メ ●新幹線の開通により、首都圏か り、市民の皆さんにまちのプロ してきており、産業があまり強 ニューを充実させ、市役所全体 らの交流人口を大幅に増加さ モーションの一翼を担ってい くなく、民間が強い街ではな で広報活動を行い、転入を応援 せること。 ただく。 い。観光による経済の活性化が する仕組みをつくる。 ●IU が、本市の認知度やイメー 他の政令指定都市市以上に重 ●定住促進アドバイザーによる ジアップを図るために、本市の 要であると認識している。 HP 等、効果的な広報戦略 強みや特徴を活かしたプロモ ●熊本は首都圏、関西から距離が ーションを実施する( 「環境」 あるので、人を呼び込むのに工 「観光」など) 夫が必要だと認識している。 ●KFC による映画等の撮影誘致・ 支援をとおしたシティプロモ ーションを実施する。 広島県 ●現在はコンセプト整理の段階 である。従って、まだプロモー ション実施は考えていない。コ ンセプトが整った時点で、プロ モーションを打ち出していき たい。 ●総務企画局企画課で行ってい ●平成 26 年度は、熊本市新町の る、シビックプライドの醸成に プロモーションを進めている。 軸足をおいたプロモーション 新町が、「るろうに剣心」のモ については、今年度は、ワーク チーフの一人である河上彦斎 ショップなどのシビックプラ の生誕の地であるということ イドプロジェクトや、時と風の がきっかけ。 博物館を活用した展開を継続 ●水戸岡鋭治氏デザインの超低 していく予定である。 床電車 COCORO の運行開始に併 ●今年度、IU では「北九州市新 せ路面電車のプロモーション 成長戦略」の取組を重点的に情 を首都圏を含む県内外で実施 報発信する。 ●市としてのプロモーション活 ●KFC による映画等の撮影誘致・ 動は、今後とも継続していく必 支援。 要があると考えるが、基本方針 として定めた「熊本シティブラ ンド戦略プラン」が第6次総合 計画に依っており、この総合計 画が平成 27 年度に見直し予定 であるため、合わせて見直す必 要が生じている。 ●短期的なプロモーションのみ を、繰り返し実施している。 ●移住・交流・地域おこしフェア への参加 ●定住促進サイト開設 ●イベント・フォーラム参加 ●イベント配布用印刷物制作 ●転出入者データ分析 ― 29 広島市 【市政全般】 ●市政推進に当たっての基本コ ンセプト“世界に誇れる「まち」 の実現に向けて”があり、 「活 力にあふれにぎわいのあるま ち」の実現に向けた取組の方向 性の中に「観光の振興」が位置 づけられている。 【アクションプログラム】 ●ひろしまビジターズ・インダス トリー戦略行動計画~住んで よく、訪ねてよい、千客万来の 都市の実現~(平成 23 年 3 月) ●本市で行われる大規模イベン トの PR(随時) フラワーフェスティバル(5 月) 、広島みなと夢花火大会(7 月)、フードフェスティバル(10 月) 、広島城大菊花展(10 月)、 ひろしまドリミネーション(11 月~1 月) 、天皇盃全国都道府 県対抗男子駅伝競走大会 (1 月) など ●修学旅行生の誘致(通年) ●広島・宮島・岩国地方観光連絡 協議会による観光 PR(通年) ●中国広域観光連絡協議会によ る観光 PR(通年) ●首都圏での PR(東京タワーな ど)(10 月) ●神楽による観光振興(通年) ●おもてなしパス推進事業(通 年) ●水の都「ひろしま」の推進(通 年) ●MICE 誘致(通年) 北九州市 熊本市 奈良市 金沢市 ●北九州市のまちへの気づきを ●親善大使を相当数任命し、市の ●奈良女子大学との共同研究に ●新幹線開業プロモーション・イ 生み、市民のつながりをつくり プロモーションを行ってもら よる転出者・転入者アンケート ベント実施計画の策定 ながら、シビックプライドを醸 っている。ただし、報酬は支払 分析 ●首都圏プロモーションの強化 成することで、都市ブランドの っていない。 ●定住のためのリーフレット作 ・JR との共同プロモーション 基礎力を高めていくため、「北 ●平成 10 年度から復元整備を行 成 の展開 九州版ワークショップ」を展開 っている。熊本市では、「一口 ●東京ビッグサイト「定住イベン ・首都圏旅行代理店に対する商 し、これまでに 3,000 人以上の 城主」という制度を設け、一口 ト JOIN への参加」 品造成の働きかけ 市民が参加した。 1 万円の単位で寄付金を募り、 ・首都圏有力媒体の活用 ●IU が、 「環境」や「モノづくり」 その寄付金を熊本城復元整備 ・東京銀座に「銀座の金沢」を など本市の強みや特徴となる 基金に積み立て、熊本城復元整 設置 取組や「市制 50 周年事業」等 備事業の財源に充当している。 など のタイムリーな市の重点施策 ●くまもとの豊かな水で育った を情報発信した。 農産物をタニタ食堂(東京・丸 ●KFC による映画等の撮影誘致・ の内)で PR した。 支援を実施した。 こ れ ま で の 主 な 取 組 30 広島県 ●ブランドコンセプトブック試 案の作成 ●「おしい!広島」と「泣ける! 広島」のプロモーション 広島市 ●各イベント実施の PR (メールマガジン「ひろしまフ ァンクラブ」、広報紙への掲載) ●修学旅行誘致活動(個別訪問、 説明会の実施など) ●県との連携による観光 PR 「泣ける!広島県」、楽天トラ ベルのサイト、広島ブランドシ ョップ TAU(東京)との連携、 クルーズ客船誘致・受入など ●県観光連盟との連携による観 光 PR 大都市観光情報説明会、(県作 成)発地型パンフレット、観光 PR イベント、教育旅行誘致活 動、観光 PR 冊子「広島さんぽ」、 NHK 地デジ放送など) ●広島観光コンベンションビュ ーローとの連携による観光 PR 観光ホームページの運営、観光 パンフレット(発地型・着地型) の作成、フィルム・コミッショ ンによるロケ誘致・支援 ●周辺市町との広域連携組織(広 島・宮島・岩国地方観光連絡協 議会及び中国広域観光連絡協 議会)による観光 PR 圏域内外のイベントへの出展、 フリーペーパー「るるぶ FREE」 の記事掲載、観光ガイドブック 作成、マスコミ招聘事業の実施 等 ●周辺市と連携した観光アプリ の制作(スマート観光アプリ) ●市特任大使による PR(平和、 観光、文化、スポーツ分野) メ デ ィ ア へ の 情 報 発 信 庁 内 向 け の 広 報 活 動 活 動 の 成 果 ・ 課 題 そ の 他 北九州市 熊本市 奈良市 金沢市 ●市民の手で、まちの魅力を発信 ●東京ではモノレールに年間広 ●東京文化放送「大人ファンクラ ●JR の北陸新幹線開通 CM の放映 するウェブサイト「北九州市 告をしている。その他、大阪、 ブ」出演 時と風の博物館」を立ち上げ 名古屋、博多でも広告を出して た。現在、2,200 点を超える投 いる。 稿が寄せられている。ウェブサ ●シティプロモーション専用 HP イトの発展を通じて、シビック を開設している。 プライドの醸成や交流人口の 増加を期待している。 ●IU が、新聞、雑誌、テレビ等、 各々の媒体の特性を活かして 情報発信を行っている。取材へ の協力・支援などを含めてパブ リシティとペイドパブリシテ ィにより実施している。 ●KFC が撮影誘致・支援した映画 等がメディアで放映される。 ●新規採用職員に対するワーク ショップの開催など ●庁内イントラを活用した職員 への情報発信 ●始業時にわくわくソングを放 ●奈良市人口政策プロジェクト 送するなど、職員向けにわくわ ●定住促進ワーキング会議 く都市くまもとを PR する取組 を実施している。 ●まちへの愛着や誇りを育てる ●平成 24 年度認知度調査結果を には時間がかかるため、市民意 平成 18 年度結果と比較する 識調査における市への好感度 と、山陽新幹線沿線(69.9%→ などの数値の改善等を目指し、 87.1 % )、 関 西 ( 59.7 % → 今後も活動を展開していく。 75.8 % )、 関 東 ( 55.8 % → ●IU が、 「環境」や「モノづくり」 72.4%)との認知度が伸びてい など本市の強みや特徴となる ることが分かる。 取り組みを情報発信すること ●認知度調査結果で得られた魅 により、本市の知名度や「環境 力度と認知度のギャップを埋 都市」のイメージが認知されて める施策の展開を図っていき きた。 たい。 ●報道課で活動を開始した KFC が、日本を代表するフィルム・ コミッションに成長した。 ― ●熊本県と市が連携してプロモ ーションを推進している。予算 上も県と市が連携しシティプ ロモを推進している。シティプ ロモに関わらず連携した取組 が多い。予算を共同で出す場合 もある。 広島県 ●県の公式フェイスブック、ツイ ッターがある。最近は部署単位 でアカウントを作成している。 情報発信を強く意識している。 ●「おしい!広島」と「泣ける! 広島」のプロモーション 広島市 ●プレスリリース(随時) ●旅行会社、メディアの招聘 ●新聞社・雑誌社等への観光 PR 訪問 (イベント実施時) ●広告物の掲載(インバウンド推 進) ●庁内 LAN 掲示板への掲載 ― ●職員提案を公募し、その中から ●連日北陸新幹線の開通が報道 新年度事業に結びついた。 され、その中で金沢が紹介され ることが多いので、一定の成果 が上げられていると考えられ る。 ●今後、広報広聴課と協力連携す ることで、市内に向けても積極 的なプロモーション効果を目 指す。 ― 31 ― ●「おしい!広島」は 32 億円以 ●世界的な口コミサイト「トリッ 上の広告換算。 「泣ける!広島」 プアドバイザー」のランキング は 11 億円。 において本市及び観光スポッ トを紹介された。 ●更なる情報発信の充実に向け、 魅力的な素材の発掘とブラッ シュアップ、多言語化などの対 応が課題である。 ●観光プロモーション活動を展 開するに当たって、周辺市町と の連携による共同プロモーシ ョンの実施などが課題である。 ― ― ③都市ブランドの構築、シビックプライドの醸成につながる施策・事業 ブ ラ ン ド ロ ゴ 策 定 の 経 緯 ブ ラ ン ド ロ ゴ 浸 透 の プ ロ セ ス シ ビ ッ ク プ ラ イ ド に 関 す る 施 策 ・ 事 業 北九州市 ●ブランドを広める上でのロゴ マークは作成していない。 熊本市 奈良市 ●ブランドロゴ「わくわく都市く ●定住促進としてのロゴは準備 まもと」は、民間プランナーに していないが、平成 27 年度に 検討に参画いただいて、策定し 広報戦略のコンセプトに合え たもの。 ば、作成することも検討してい ●平成 21 年に「熊本シティブラ る。 ンド戦略プラン」を策定し、こ の中でブランドロゴを「わくわ く都市くまもと」とすることを 決定した。 金沢市 ●新幹線開通の効果を極大化さ せるために策定した。 ●ブランドを広める上でのロゴ マークは作成していない。 ●ブランドコンセプトは、ワーク ショップや「北九州市 時と風 の博物館」を通じて広めてい る。パンフレットの配布を通じ たブランドコンセプトの認知 獲得には限界があると考えて いる。 ●わくわくロゴのピンバッジを ●定住促進としてのロゴは準備 作成し、市職員に着用させた。 していないが、市の推薦するブ ●市の職員が閲覧できる庁内掲 ランド農産品(いちご)のロゴ 示板に、ピンバッジの着用を促 を当課で策定。 す内容や、市の刊行物にはわく わくのロゴを入れることを徹 底する内容を投稿した。 ●市電にわくわくロゴのラッピ ングを行い、市民にも広く PR した。 ●わくわくロゴのハンカチを作 成し、県内外向けにノベルティ として配布した。 ●新幹線開通に関する各種プロ モーションにおけるパンフレ ットの配布等を通じて広めた。 ●シビックプライドの醸成は、ワ ●シビックプライドの醸成は、今 ークショップを中心に展開し 後の課題と認識している。 ている。市民から市民への展開 これまで特段の取組を行って を期待している。 いない。 ●「北九州市 時と風の博物館」 サイトにより、まちの魅力を掘 り起こすとともに、まちへの愛 着や誇りを醸成。 ●IU が「環境」や「モノづくり」 など本市の強みや特徴となる 取組をメディアに情報発信す ることで、本市の知名度や「環 境都市」のイメージを定着さ せ、シビックプライドの醸成に つなげる。 ●KFC の活動による都市ブランド 「映画の街 北九州」の構築に つなげる。 ●HP や定住のためのプロモーシ ョンビデオ作成を計画してい る。 広島県 広島市 ●ブランドロゴはまだ準備して ●ロゴを設定していない。 いない。将来的な作成可能性は ある。ブランドロゴ作成の前 に、4 つのコンセプトの浸透度 を検証・調査する必要がある。 ●ロゴを設定していない。 ― ●まちの個性を生かす取組を、長 ●観光プロモーションとシビッ い年月をかけ実施してきた。例 クプライド醸成をつなげる動 えば、 きはない。 ・21 世紀美術館や金沢駅など、 まちのシンボルとなる施設 の整備 ・水路の景観改善のため、駐車 場や街路となっていた水路 を開渠する取組 など 32 ●メールマガジン「ひろしまファ ンクラブ」の発行 ●市民パブリシストの設置 本市のメールマガジン「ひろし まファンクラブ」などに寄稿す る市民のボランティア記者 ●ひろしま通認定事業(現在、見 直し検討中) 上 記 施 策 ・ 事 業 の 効 果 ・ 課 題 そ の 他 北九州市 ●「北九州版ワークショップ」を 発展的に展開していくために は、更なる担い手の掘り起こし が必要である。 ●「北九州市 時と風の博物館」 サイトの情報発信の担い手で ある会員は現在約 600 名。サイ トの閲覧数は月 3~4 万ビュ ー。このサイトを発展的に継続 していくには、サイトに関わる 市民の輪を広げていくことが 必要である。 ●「環境都市」や「モノづくりの 街」としての都市イメージが構 築されてきた。 ●KFC のエキストラ登録者数は約 6,000 人にのぼり、地域住民の シビックプライドの醸成にも 寄与している。 熊本市 ― ― 奈良市 ●奈良市への愛着や誇りをいか に市民意識に醸成するか。 金沢市 ●本質を見失わずまちづくりを 推進してきた効果が、ここに来 て顕著になってきたのではな いかと考えている。 ― 広島県 広島市 ●メールマガジン「ひろしまファ ンクラブ」への登録者数の増 加。 ●市民パブリシストの担い手の 掘り起こしが必要。 ●ひろしま通認定者の活用。 ― ― ― ― ― 33 (4)ヒアリングから得られた示唆 ①シティプロモーションの取組体制 シティプロモーションを所管する部署は、首長等トップの意向により設立され、プ ロモーションの推進状況により統廃合を繰り返すことが一般的なようである。シティ プロモーション所管部署は、トップとの連携が求められる組織であり、トップの影響 が色濃く出る組織であることが分かった。また同時に、広報部署をはじめとしたプロ モーションに関連する部署との連携の重要性を指摘する自治体が多く、全庁的な活動 が必要とされる組織であることも分かった。 シティプロモーション所管部署は、観光系の局に設置されることが多く、シティプ ロモーションを交流人口の増加に結び付けようとする自治体が多いことが分かった。 部署の人数としては、プロモーションの段階により様々だが、プロモーション初期段 階においては比較的人数を多く配置し、状況の進捗に応じ人数を削減していく傾向が ある。 民間登用や外部委託については、有用性を認めつつも、その導入には慎重な姿勢を 示す自治体が多かった。これは、市民の理解を得られないことが原因と考えられるた め、市民の理解を得やすい、民間特有のノウハウ・ネットワークが必要となる分野や、 高度な専門性が必要な分野については、民間登用や外部委託が考えられる。 ②シティプロモーションの取組状況 歴史文化によるシティプロモーションを実施している自治体を抽出し、ヒアリング を実施したが、歴史文化を前面に押し出し、プロモーションを実施する自治体は見受 けられなかった。ヒアリングを実施した自治体においては、歴史文化を、都市が有す る多くの魅力の一つと位置づけ、歴史文化のほか、MICE やスポーツなど、その都市が 有する魅力を複合的に組み合わせ、プロモーションを実施していた。 ③都市ブランドの構築、シビックプライドの醸成につながる施策・事業 各自治体ともに、都市ブランドを構築する必要性を認めつつも、都市ブランドを構 築する具体的な動きを見せている自治体は少なかった。特に、ブランドロゴの策定に 至っている自治体は 1 つのみであり、都市ブランドを一般化することは簡単ではなく、 その検討と調整に時間と労力が必要となることが伺える。 シビックプライド醸成に対する取組は、自治体ごとに様々であった。シビックプラ イド醸成をシティプロモーションの目的と捉える自治体、シビックプライド醸成をシ ティプロモーションそのものと捉える自治体、シティプロモーション推進前に既にシ ビックプライドが十分醸成されていた自治体の 3 つに大別することができる。シビッ クプライドが十分醸成されていた自治体から、シビックプライドの醸成は長期的な視 点に立った施策が必要となることが分かった。 34 2.文献・事例調査のまとめ これまでの調査結果から、堺市がシティプロモーションに関して実施すべき事項は、 (1)シティプロモーション全般に係る取組・施策、 (2)個別の施策(短期的視点) (3) 個別の施策(長期的視点)の3つに分類できる。これらをまとめると、以下のとおりと なる。 (1)シティプロモーション全般に係る取組・施策 シティプロモーションに対する堺市全体としての統一的な取組が把握できていない。 これは、各部署が個別の取組を実施するのが基本で、個別の施策を連携させたり、市と して統一した施策を打ち出す組織がないことに起因するものと考えられる。これらの組 織上の課題を解決する必要があると考えられる。また組織の整備に関連し、市民が主体 となったプロモーションが促進する仕掛けも必要と考えられる。 堺市は、大都市であるため、魅力が複数存在するものの、魅力が発散されがちである。 そのため、市外に対して魅力が十分認知されていない。これらを解決するため、堺市と しての都市ブランドの確立が必要かもしれない。 ブランドの確立に関連し、ブランド戦略会議の設置等が考えられる。また、外部の専 門家の登用、ノウハウを有する企業に対する委託も有用と考えられる。 (2)個別の施策(短期的視点) 魅力的な歴史文化の資源の存在を背景に、歴史文化によるシティプロモーションを推 進することは、一定程度有用と考えられる。 一方、歴史文化のみでシティプロモーションを実施し、成功させている自治体がない こと、歴史文化が市民の理解を得難い分野であることなどから、他の分野を組み合わせ、 複合的なプロモーションを実施する必要があると考えられる。堺市の現状を踏まえると、 歴史文化以外の分野としては、スポーツ、低炭素(環境配慮)等が考えられる。 (3)個別の施策(長期的視点) 短期的には、上記のような取組を行い、長期的には、これらの取組を定住人口の増加 につなげる必要がある。少子高齢化、人口減少により、税収が落ち込み、ひいては、都 市の消滅可能性が叫ばれる昨今においては、定住人口の増加は、自治体における究極的 な目標の一つと考えられ、これらの事実は、先進自治体へのヒアリングを通じても裏付 けられている。 定住人口の増加のために有用な施策としては、シビックプライドを醸成することが考 えられるが、シビックプライドの醸成のためには、その都市の「本質」を見極めたうえ で、長期的な視野に立った施策の立案が必要となる。 35 第3章 堺市におけるシティプロモーションによるまちづくりの取組の検討 1.学識者・有識者ヒアリング (1)ヒアリング実施概要 シティプロモーションに関連する事項について、高い専門性及び知見を有する学識者・有 識者に対して、ヒアリング調査を実施した。 ヒアリングを実施した学識者・有識者は以下のとおりである。 ヒアリング対象者 専門性・知見 ヒアリング実施日 東海大学 河井孝仁教授 シティプロモーション全般 平成 27 年 2 月 23 日 京都嵯峨芸術大学 坂上英彦教授 観光計画、堺市のまちづくり 平成 27 年 2 月 26 日 都市ブランド戦略 平成 27 年 2 月 27 日 薫習房(くんじゅうぼう)代表 二村宏志氏 (2)ヒアリングの内容 学識者・有識者から、主に以下の事項について、意見を聴取した。 1.堺市に対する印象 ・堺市の都市全般に対する印象 ・堺市のシティプロモーションに対する印象 ・堺市が有する魅力及び課題に対するご認識 2.堺市が推進するシティプロモーションに対する意見 ・仁徳天皇陵等の歴史文化によるシティプロモーションを推進する際の留意点 ・歴史文化以外の分野によるシティプロモーションの実施に対するご意見 ・シティプロモーションを、シビックプライドの醸成、ひいては、定住人口の増加につな げる際の留意点 3.シティプロモーション推進に有効と考えられる施策の実施についての意見 ・ブランド推進会議等、シティプロモーションに関する会議体を設置することに対する意 見 ・ブランドロゴ等を作成することに対する意見 ・シティプロモーション関連部署の拡充・増強に対する意見 ・外部委託や民間出身者の登用などの実施の際の留意点 ・シティプロモーション推進に関し大阪府との連携の在り方 ・シティプロモーション推進に関しての広域連携に対するご意見 36 4.堺市が参考にすべき自治体 ・堺市がシティプロモーション推進に関して参考にすべきと考えられる他自治体や事例情 報等があれば教唆ください (3)ヒアリング結果 ①堺市に対する印象 東海大学 河井教授 京都嵯峨芸術大学 坂上教授 くんじゅうぼう代表 二村氏 ●与謝野晶子や千利休など、堺 ●楽しさや遊び心が非常に少な ●堺市に対する印象は、特段な 市には歴史があるというイメ い。面白くない街といったイ い。歴史があるまちという認 ージが強い。 メージが強い。 識はあるが詳細は知らない。 ●周辺都市に飲み込まれないま ●重層的な文化があり、本来多 ちづくりが必要ではないだろ くの市民の楽しみがあるはず うか。大阪都への飲み込みを だが、全く発信できていない。 ●包丁が有名であることは認識 拒否した現在は、シティプロ だから定住促進にもつながっ しているが、産業のイメージ モーションを開始するのに最 ていない。 はない。 適なタイミングだと考える。 仁徳天皇陵古墳が堺市にある ことも知らなかった。 ●持っている宝が全く生かされ ていない。市民も自信を持て ないでいるのではないか。 ②堺市が推進するシティプロモーションに対する意見 東海大学 河井教授 京都嵯峨芸術大学 坂上教授 ●「歴史文化を活かした・・」 ●堺市の場合、新たな魅力を作 と言った瞬間に、他人事にな り出す必要はない。素材はい で、推進しているシティプロ る市民が多い。そうなってし くらでもある。その意味では モーションに対して、意見す まっては、市民参画は見込め 「プロデュース」が悪いか、 ることができない。 ない。 「プロデュース」が出来てい ●堺市にはシンボルが必要だと ない、ということになると思 考えるが、古墳をシンボルと う。 するのは困難との認識。 ●歴史文化によるシティプロモ ーションは、堺市庁内の1ア イデアとして懐に置いておく べき。 ●都市のブランド化には、差別 ●シティプロモーションは、一 般的なことをやっても意味が ない。特殊性やエッジが立っ 化が重要である。この分野な たことをやらないといけな ら世界一になれるという分野 い。 を見つける必要がある。 ●堺市では、無難な提案を受け 入れるような大企業病的な役 37 くんじゅうぼう代表 二村氏 ●堺市に対する印象がないの 所気質がとても強いと感じ る。それではプロモーション には向かない。 ③シティプロモーション推進に有効と考えられる施策の実施についての意見 東海大学 河井教授 京都嵯峨芸術大学 坂上教授 くんじゅうぼう代表 二村氏 ●ブランド推進会議は有用と考 ●市民の潜在的な自信を引き出 ●プロモーションとは、マーケ える。外部の意見を取り入れ す(顕在化させる)ためには、 ティングの一部だが、シティ ることは重要である。 「外部からの高評価」が必要 プロモーションという言葉を ●組織のあり方は私が取材した である。百舌鳥・古市古墳群 使用すると、「何を売るべき 当時の札幌が参考になる。ト の世界遺産登録はその意味で か?」というマーケティング ップと近い組織とする必要が 非常に重要である。 における重要な要素が欠けて ある。職員に職務の自由度を ●ガイドブックにのれば一時的 しまう。 与えることが大切である。 に多くのインバウンド効果が ●堺市においては、都市の強み ●民間活用は重要である。民間 ある。問題は、それがリピー に対する分析なしに、シティ 出身者を理解し、役所に取り ターにつながるかどうか、で プロモーションを推進してい 込む必要がある。同時に民間 ある。 るのではないだろうか。 出身者の力を発揮させる環境 ●3 月にオープンする「さかい利 ●堺市には、多くの地域が存在 づくりが重要となってくる。 晶の杜」を最大限に活用すべ するため、 「ブランド体系」を ここにもトップのフォロー・ きと考える。 整理・構築すべきである。 後ろ盾が必要となる。 ●仁徳天皇陵古墳→鉄砲→包丁 ●ブランドロゴやキャラクター ●「陵の存在そのものに止まら →自転車といった堺市の地域 は、ブランディングの手法の ず、陵を作った人がかつて住 産業が示すことは「技術の伝 ひとつに過ぎない。都市のブ んでいたまち」という事実に 承」である。都市においてこ ランドを体系化することこそ スポットをあてるのはどう のように技術が伝承されるケ が重要と考える。 か。人にスポットを当てるこ ースは欧米ではあまり多く見 ●堺市は大都市であり、体系化 とで、市民を当事者化するこ られない。技術も途絶えてし は簡単ではない。市民全員の とができ、市民の関心を惹起 まうケースが多い。堺市とし 納得は得られないだろう。 することができる。 て是非アピールするべき素材 ●外部の人間の活用は重要であ ●ブランドロゴ作成に関して であろう。 る。特に、堺市のことをあま は、宇都宮が参考になる。宇 ●民間出身の副市長のトップダ り知らない専門家の存在は重 都宮市では、ブランドロゴを ウンで非常に特殊な戦略を採 要になりうだろう。堺市を客 市民に選ばせるというのがよ 択し実行していくような体勢 観的な視点で、専門的な見地 かった。 が必要である。出る杭を打つ から見ることが重要。 ●役所は、一般的にキャッチフ のではなく、出る杭を伸ばす ●内部の人間だけで「誇りを持 レーズが大好き。企画部や市 組織風土に変わっていく必要 とう」といっても、誇りを持 38 東海大学 河井教授 京都嵯峨芸術大学 坂上教授 くんじゅうぼう代表 二村氏 長公室が率先してキャッチフ がある。副市長のように庁内 てるようになるものではな レーズ的なロゴを作成しまう の横断的責任者を置くことが い。誇りを持つには外部から と、市民の関心が薄れる。 必要。他の自治体では「政策 の刺激が必要。 ●戦略と評価システムは、ロジ 監」と呼ばれるポストである。 ●マーケティングに特化した地 カルに整理されていることが ●地域にもっとディープに入り 域総合商社を設立することを 重要である。伊勢原市の戦略 込む発想も必要ではないか。 提唱する。この事業体(株式 が参考になる。伊勢原市では、 京都嵯峨芸術大学でも京都と 会社)が堺市をブランディン 最終目標が明確に示されたう いう文字をはずそうというよ グをすればいい。 えで、それに至るプロセスの うな議論がある。京都よりも ●事業体は、堺市のブランディ 評価も明確化されている。 嵯峨を打ち出す、京都ではも ングに関心のある企業が中心 ●地域総合魅力創造サイクルに う埋もれてしまうのではない となり設立されることが望ま 基づき、シティプロモーショ かという危機感の発露であ しい。場合によっては、堺市 ンを推進していくことが重要 る。 が若干出資してもいいかもし と考える。 ●ミクロな地域には様々な薀蓄 れない。 ●サイクルを回し始めるのは役 や物語があるはず。これらに ● 観 光 に お け る Destination 所だが、サイクルを回すエン スポットライトを当てていく Marketing/Management ジンは市民である必要があ ことが必要だ。そしてその多 Organization (DMO)が類似し る。市民の参画が重要。どこ くの薀蓄や物語を再編集し、 ている。 かのタイミングで、役所は見 骨太のシナリオを作るべき。 ●多くの自治体で実施している ているだけのスタンスに切り ●情報の発信者を集め、グルー 認定制度は、都市のブランド 替え、主体を市民に切り替え プ化するというような作業 るべき。 は、いまや SNS を使えばコス ●ブランド体系は、行政が構築 化とは結びつかない。 ●大都市においては、地域の独 トがかからない。SNS の活用に し、そののちに事業体が都市 自のブランドを認め、その上 ついては、行政としての制限 のブランド化を実施すること を覆う傘的なブランドを構築 も指摘されるところもあるの が望ましい。市で会議体を設 することが重要となる。 で、市役所で管理するのでは 置し、一年程度をかけ、ブラ なく、民間でやることが肝要。 ンド体系を構築し、そののち ●広域連携は有用と考える。広 域連携においては、自分たち ●ここ数年、シティプロモーシ の弱いところをカバーしてく ョンには「アート」を入れ込 ●堺市は危機感がないのではな れる相手を見つけることが重 むことが必須となりつつあ いか。危機意識をどのように 要。広域連携前に、堺市とし る。堺市に存在する多くの素 喚起するかが重要になってく てのシティプロモーションの 材とそのアート化を議論しな るのではないだろうか。 方向性を明確化させることが ければならない。それも「再 必要ではないだろうか。方向 編集」作業である。古墳とア 性が明確化しないと、自分た ート、お茶とアート、短歌と ちの弱みも明確化しないの アートなど切り口はいくらで で、組むべき相手も見つける もあると思う。 39 事業体を設立すればいい。 東海大学 河井教授 京都嵯峨芸術大学 坂上教授 くんじゅうぼう代表 二村氏 東海大学 河井教授 京都嵯峨芸術大学 坂上教授 くんじゅうぼう代表 二村氏 ●政令指定都市では、川崎市が ●アートを活用した事例として ●大都市において、都市ブラン 川崎市シティセールス戦略プ は、兵庫県の城崎温泉での「世 ディングで成功している自治 ランを策定しているが、堺市 界演劇フェスティバル」があ 体は少ないとの認識。 でも類似計画が必要ではない ると思う。 ことができない。 ④堺市が参考にすべき自治体 だろうか。川崎市では、計画 の中で目標を明確に打ち出 し、それを周知することで、 シティプロモーションを推進 し、市民の理解を得てきた。 ●伊勢原市でも近年シティプロ モーションに力を入れてお り、シティプロモーション関 連計画を作成途中である。 (4)ヒアリングから得られた示唆 ①堺市に対する印象 堺市に対する印象は三者三様だったが、堺市に知見のある有識者が、否定的なイメージ を抱いている点には、留意が必要である。 また、関東を中心に活動する有識者は、特段の印象を持っていなかったことから、関東 地方の在住者には、堺市に歴史文化があるという印象があまり存在しない可能性が示唆さ れている。理由としては、関東地方在住者にとっては、近隣の京都市や大阪市などの方が、 歴史文化のイメージが強く、堺市がこれらの都市に劣るプロモーションしか実施できてい ないことが考えられる。 ②堺市が推進するシティプロモーションに対する意見 歴史文化を前面に押し出したシティプロモーションに対しては、否定的な意見が多い。 シティプロモーションにおいては、市民が当事者となり参画することが重要だが、歴史文 化の中でも、特に古墳を前面に出した場合、市民の参画が見込めないためである。 都市のブランド化には差別化が重要と指摘する意見が多かった。近隣には、歴史文化の 分野において、堺市より知名度の高い自治体が複数存在するため、相当の工夫が必要なう えに、特殊性が高く「尖った」活動が必要となるとの指摘があった。また、そのためには、 40 堺市職員の意識改革が必要との意見があった。 ③シティプロモーション推進に有効と考えられる施策の実施についての意見 全ての有識者から、シティプロモーションには、市民参画が重要との指摘があった。シ ティプロモーション推進に係る取組の初期段階は行政が担い、ある段階から市民が主体と なることを見据えた取組が必要と考えられる。 市民参画の手法の一つとして、 「陵を作った人がかつて住んでいたまち」という事実にス ポットをあてることが考えられる。これにより、現在堺市が進める百舌鳥・古市古墳群の 世界文化遺産登録への動向と、市民のシティプロモーションへの関心惹起とを結びつける ことができる可能性がある。 また、民間出身者の活用の重要性を指摘する意見も多かった。堺市が必要とする専門性 を有していることはもちろん、堺市のことを知らずしがらみのない、客観的な目を持った 人物であることも求められる。同時に、庁内としての受け入れ態勢についても留意が必要 である。トップの後ろ盾が必要であるとともに、前述の堺市職員の意識改革も必要となる。 ④堺市が参考にすべき自治体 大都市においては、参考となる都市はないことが分かった。 シティプロモーションに係る計画立案のプロセスにおいては、神奈川県の川崎市及び伊 勢原市が参考になることが指摘されている。 41 2.取組むべき施策に係る方向性の整理 (1)堺市が迎えるイベント ①世界文化遺産登録 堺市は、大阪府、羽曳野市、藤井寺市とともに百舌鳥・古市古墳群の平成 29 年の世界 文化遺産登録に向けたユネスコへの国内推薦をめざしており、これに向けた機運も高ま りを見せている。よって、世界文化遺産登録が、現在堺市が推進する「歴史文化のまち・ 堺」における一つの節目になることが想定される。 ②オリンピック・総合計画の見直し 世界文化遺産登録後の大きなイベントは、東京オリンピックとなる。東京オリンピッ クは、国を挙げてのイベントであるため、世界に対して、「新しい日本」の価値観を発信 するきっかけになる。また、同時期に、堺市の総合計画の見直しが予定されており、総 合計画の見直しを通じて「新しい堺」を市内外に対して発信していくこととなる。 これらから、東京オリンピックと堺市総合計画の見直しが、 「新たな日本・新たな堺市」 を発信していく一つの契機になることが考えられる。 (2)目標の設定 以上を踏まえると、短期的な節目は、世界文化遺産登録、中期的な節目は、東京オリン ピックと堺市総合計画の見直しになる。 これらの節目を踏まえ、短期、中期、長期それぞれにおいて、堺市のシティプロモーシ ョンにおける目標を設定すると以下のとおりとなる。 ①短期的な目標 世界文化遺産登録は、堺市に大きな影響を与えることが想定される。世界文化遺産登 録により、堺市の知名度が、国内だけではなく、世界的にも向上し、観光客が増加する ことが期待される。また、堺市は、百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録以外にも、 「さ かい利晶の杜」のオープンや、環濠都市堺の再生へ向けた取組も実施しているため、世 界文化遺産登録は、 「歴史文化のまち・堺」の浸透にも多大な影響を与えることが考えら れる。 よって、短期的な目標は、 「世界遺産が眠る『歴史文化のまち・堺』に」とする。 ②中期的な目標 世界文化遺産登録を通じて、 「歴史文化のまち・堺」は、一定程度、市内外に浸透する し、堺市は、そのメリットを享受できると考える。一方、世界文化遺産登録の効果は長 続きしないことに留意が必要である。 42 世界遺産登録後の観光客の推移 (単位:千人) 法隆寺 H5登録 1,100 1,070 1,050 1,030 992 916 883 3年前 2年前 1年前 登録年 1年後 2年後 3年後 姫路城 古都京都 原爆ドーム 厳島神社 古都奈良 日光社寺 H5登録 H6登録 H8登録 H8登録 H10登録 H11登録 811 57,317 8,541 2,718 13,546 6,786 871 55,731 9,334 3,014 13,468 6,260 885 55,673 9,304 2,893 13,392 5,809 1,020 57,040 9,494 2,980 12,961 5,737 883 49,662 10,235 3,119 13,060 6,514 695 51,764 9,259 2,681 13,261 6,105 861 54,036 9,581 2,475 13,603 6,041 出所: 「世界遺産登録による経済波及効果の分析((財)えひめ地域政策研究センター)」 より日本総合研究所が作成 また、歴史文化によるシティプロモーションに対する厳しい見方があることに留意す る必要がある。先進自治体へのヒアリングにおいて、歴史文化のみでシティプロモーシ ョンを実施している自治体は存在しなかったうえに、古墳をメインにしたプロモーショ ンは、市民の参画が見込みにくいことから、有識者からは否定的な意見が多かったこと を踏まえる必要がある。 よって、この期間は、歴史文化以外も含めた新たな堺市の価値観を形成するべき期間 であるとともに、シティプロモーションに、市民(地元企業をはじめとした民間企業を 含む。以下同じ。 )の積極的な参加を促していく期間であるといえる。市民が参画し、市 民がブランドを考え、市民によるブランドを形成すべき時期である。 よって、中期的な目標は、 「新たなブランドの創出を市民とともに」とする。 ③長期的な目標 東京オリンピックというビッグイベントにより、日本が世界的に注目を集めることと なる。注目が集まるこのタイミングに、総合計画の見直しを通じた新たな堺市のイメー ジを世界に対して発信すべきである。 堺市は、豊富な歴史文化の観光資源を有しているとともに、関西空港の近隣であるの で、インバウンドのポテンシャルは高いといえる。東京オリンピックは、インバウンド を取り込む格好の機会になると考えられるので、堺を世界に発信する大きなチャンスと いえる。 よって、長期的な目標は、「新たなブランドを国内外に発信し、世界の堺に」とする。 43 (3)堺市プロモーション推進スケジュール(仮称) 以上を踏まえ、以下の図のとおり「堺市プロモーション推進スケジュール(仮称)」を設 定する。 堺市プロモーション推進スケジュール(仮称) 平成29年 世界遺産認定 目標 平成32年 オリンピック・総合計画見直し <短期> <中期> 世界遺産が眠る 「歴史文化のまち・堺」に 新たなブランドの創出を 市民とともに 主体 官 庁内組織の整備 CP推進 施策 CP 推進 コンテンツ 新たなブランドを国内外 に発信し、世界の堺に 官民連携 ワークショップ の開催、ブラン ド推進会議 の設置 ブランドの 体系化 専門家の登用 歴史文化による プロモーション ・古墳女子の促進 ・利晶の杜の積極発信 ・堺打刃物の認知向上 など <長期> シティプロ モーション 推進計画の 策定 歴史文化によるプロモーション ・世界遺産学習 ・食の発掘 など 歴史文化以外のプロモーション ・スポーツ ・環境都市 など シビックプライド醸成 民間主体組織による ブランド戦略推進 市民による新たなコン テンツ軸の確立 3.堺市プロモーション推進スケジュール(仮称)の提案 (1)短期 ①シティプロモーションの推進施策 短期的な施策としては、世界文化遺産登録に向けた取組をはじめとした現在推進中の 施策を実行しつつも、中期的に必要となる歴史文化以外によるプロモーションや、市民 の積極参加によるプロモーションを行うための土台づくりが必要となる。 ア 庁内組織の整備 学識者・有識者ヒアリングにおいて、組織は、札幌市が参考になるとの意見が得ら れている。札幌市のシティプロモーション所管部署は以下のとおりである。 札幌市における市長政策室は、堺市における市長公室と類似する組織と考えられる が、札幌市においては、 「部」を設置しているため、堺市より大きな組織でシティプロ 44 モーションを推進していることが伺える。 これらより、堺市においても、シティプロモーションをより推進させるため、組織 の拡充を図るとともに、市長の直轄組織であることを継続するべきである。 (参考)札幌市におけるシティプロモーション所管部署 出所:札幌市 HP 札幌市行政組織図(平成 26 年 4 月 1 日現在) イ 専門家の登用・活用 先進自治体へのヒアリング及び学識者・有識者ヒアリングのいずれにおいても、専 門家の登用・活用の重要性が確認されている。職員が得意とはしない「プロデュース」 や「マーケティング」などの分野における専門家の登用・活用を検討すべきである。 しかし、その一方で、専門家は、堺市職員からすれば「外様」であるため、市職員 との連携が取れず、せっかくの専門性を有効活用できない可能性を認識し、専門家の 45 能力が発揮しやすい環境整備を行うことが必要である。 例:熊本市のブランドロゴ 熊本市のブランドロゴは、民間プランナーが作成。熊本市のイメージ浸透に寄与してい る。 ②シティプロモーション推進のためのコンテンツ 百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録を目標と掲げている時期であるので、歴史文 化に関連するコンテンツでプロモーションを実施することが有効と考えられる。世界文 化遺産登録を最終目標に、現在堺市が既に有している歴史文化に関連するコンテンツを、 市内外に発信していくべきである。 ア 古墳女子の促進 女性口コミ力、影響力は、重要である。たとえば、 「カープ女子」など、近年「○○ 女子」と名称が付されたものが、マスコミで取り上げられ、それをきっかけに、さら なる人気を獲得する現象が起きている。 昨今「古墳女子」が注目されている。百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の動 きと、 「古墳女子」の人気向上を組み合わせることで、百舌鳥・古市古墳群の知名度向 上、ひいては「歴史文化のまち・堺」の知名度向上が期待される。よって、 「古墳女子」 の知名度向上に力を入れるべきである。 46 (参考)古墳女子への関心の高まり 出所:平成 26 年 9 月 19 日毎日新聞夕刊 イ 「さかい利晶の杜」の積極発信 昨年の NHK 大河ドラマの「軍師官兵衛」において、千利休が登場し、世間の注目を 集めたところである。この状況下において、 「さかい利晶の杜」がオープンした。千利 休への注目が集まっている現状を活用し、「さかい利晶の杜」を積極発信することで、 堺市の認知向上が期待される。 47 (参考)さかい利晶の杜 出所:堺市 HP ウ 堺打刃物®の認知向上 文献調査等において、堺打刃物®の認知度の高さが確認できたので、プロの料理人に 対するだけではなく、一般人に対しても、その使用割合を高めていくことが可能と考 えられる。 近年料理をする男性の割合が高まってきている。男性は道具にこだわる傾向がある ので、一般人の使用割合を高めるプロモーションを効果的に実施できれば、堺打刃物® の使用割合が高まり、その認知を高めることができると考えられる。 仁徳天皇陵古墳の建設に端を発すると考えられる、堺市の職人技術伝承の賜物であ る堺打刃物®の認知向上により、 「歴史文化のまち・堺」の知名度向上が期待できる。 48 (参考)堺打刃物® 出所:堺刃物商工業協同組合連合会 HP 49 (2)中期 中期的には、市民を巻き込んだ形で、プロモーションを実施することが重要となる。市 民が積極参画し、市民自身が「わがまちのブランド」を議論し、決定するとともに、これ らの活動の結果として、堺市がシティプロモーション推進計画を策定することが必要とな る。 ①シティプロモーションの推進施策 ア ワークショップの開催、ブランド推進会議の設置 先進自治体へのヒアリングを通じて、市民参画には、ワークショップの開催が有効 であることが把握できた。堺市をいくつかの地区に区分し、地区ごとにワークショッ プを開催し、当該地区におけるブランドを、ワークショップを通じて整理することが 考えられる。この活動により、後述のブランド体系化の基礎が形成できる。 また、ワークショップと同時並行で、有識者から成る「ブランド推進会議」を設置 し、ワークショップの内容を踏まえながら、堺市のブランドを議論・検討することも 有用である。 (参考)北九州市 “語り合い”を重視したワークショップ「きたト~ク」 1.概要 北九州市のいいところ、自慢できるところについて「語る場」を定期的に設ける。 2.目的 〔短期〕 「このまちが好き」 「このまちが誇り」「このまちと関わりたい」と思い、自らがま ちの魅力を発信していく人の輪を広げ、北九州市への愛着・自信・誇り を高める。 〔中長期〕北九州市と聞けば、多くの人が良いイメージを抱き、北九州市へのあこがれと いった思いを抱かせるような北九州ブランドを構築する。 出所:北九州市 HP 50 イ ブランドの体系化 堺市は、政令指定都市であり、大都市といえる。居住する人口も多く、それぞれの 地域・地区には、長い年月で積み上げられた様々な歴史的背景が存在する。これらの 事実を踏まえると、堺市全体を覆う画一的なブランドを確立することは、容易ではな い。 従って、まずは、地域の独自のブランドを認め、そのうえで、堺市全体を覆う傘的 なブランドを構築するべきと考える。また、地域独自のブランドを確立するために、 前述のワークショップを活用することを想定する。 (参考)ブランド体系図 南アルプス花桃源郷 極める花桃源郷 (登山) ピークハント 癒しと感動の花桃源郷 (山岳観光) 結ぶ花桃源郷 (果の里観光) トレッキング 北岳 広河原 南アルプス連峰 北沢峠 白根三山 夜叉神峠 フルーツ狩り サクランボ 桃 スモモ 柿 キウイ 櫛形山 アヤメ 天然記念物 大渓谷 食 眺望パーラー 新緑 避暑 紅葉 (キタダケソウ) ライチョウ 味わいの花桃源郷 (青果・花工特産出荷) パフェ タルト ケーキ ニホンカモシカ 温泉 芦安温泉郷 フルーツ料理 おざら・ほうとう フルーツカフェ 景観眺望 インタープリテーション 山岳景観 盆地景観 里の花見 エコツアー 伝統・文化 夜景 八珍果 サクランボ 桃 スモモ 柿(あんぽ柿) キウイ ぶどう なし りんご 花工特産 ジャム ワイン フルーツ菓子 蜂蜜 アイスクリーム 出所:地域ブランド戦略ハンドブック(ぎょうせい ウ 二村宏志著) シティプロモーション推進計画の策定 ワークショップの開催、ブランド推進会議の設置やブランドの体系化を通じて、堺 市のブランドイメージや、堺市及び堺市民が推進すべき、シティプロモーションの形 が、一定程度整理されることが想定される。これらの取り組みの一つの成果として「シ ティプロモーション推進計画」を策定すべきと考える。これにより、シティプロモー ションを堺市の重要施策に位置付けることができるとともに、シティプロモーション に対するより幅広い市民の理解を獲得することが可能となる。 51 (参考)川崎市シティプロモーション戦略プラン(案) 出所:川崎市 HP 川崎市シティプロモーション戦略プラン(案)の概要版 ②シティプロモーション推進のためのコンテンツ 歴史文化以外も含めた新たな堺市の価値観を形成するべき期間であるため、この時期 は、歴史文化に関連するコンテンツでのプロモーションを継続するとともに、歴史文化 以外のコンテンツでプロモーションを実施することに力を入れる必要がある。 ア 歴史文化によるプロモーション 世界文化遺産登録がなされた百舌鳥・古市古墳群を活用するべきである。 この時期は、市外に対する情報発信はもちろんのこと、市民のシティプロモーショ ンへの参画を促すために、市民の関心惹起も重要となる。歴史文化を通じた市民の関 心惹起の手法としては、先進自治体へのヒアリングを通じて得られた世界遺産学習な どが考えられる。 また、堺市には土産物・特産品が少ないことが指摘されているので、歴史文化、た とえばお茶などのグルメを組み合わせ、発信していくことも考えられる。 52 (参考)奈良市世界遺産学習 出所:奈良市 HP (参考)B-1 グランプリ in 北九州の様子 出所:北九州市 HP 53 イ 歴史文化以外のプロモーション 文献調査、学識者・有識者へのヒアリングから、堺市には、既に十分な魅力が存在 することが分かった。また、歴史文化のみでシティプロモーションを実施することの 困難さを指摘する意見も多かった。よって、この時期は、歴史文化以外の堺市の魅力 を、市内外に発信していくことが求められる。 歴史文化以外の堺市の魅力としては、例えば、スポーツや、環境モデル都市といっ た点が挙げられる。堺市の有する優良なスポーツ資源や、高度な環境配慮施設等を、 上述のワークショップやブランド推進会議を通じて整理し、それを市内外に発信して く取組が求められる。 (参考)J-GREEN 堺 出所:J-GREEN 堺 HP 54 (3)長期 ①シティプロモーションの推進施策 この時期には、市民が主体となったプロモーションが実施されていることが期待され ているので、市民が考えるプロモーションを実施すべきである。よって、堺市としては、 市民が行うプロモーションを裏方としてサポートしていくことが求められる。 ア シビックプライド醸成 官民が連携し、シティプロモーションを実施することで、市民のわが町意識の醸成 が期待される。確立したブランド戦略に沿った形で、まちのシンボルを整備すること により、市民のわが町意識をさらに醸成する施策が考えられる。 金沢駅鼓門 金沢 21 世紀美術館 出所:金沢駅にぎわい.com HP 出所:金沢市観光協会 HP 55 イ 民間主体組織によるブランド戦略推進 シティプロモーションにおいては、都市のブランディングやシティセールスなど、 マーケティングに関連するノウハウが重要となる。一方、堺市には、これらのノウハ ウが蓄積されていないため、民間と連携した取組が必要となる。 官民が連携したシティプロモーションの推進方法として、地域総合商社の設立が考 えられる。官民それぞれの強みを生かした組織を設立し、国内外に対し、シティプロ モーションを推進していくべきである。 (参考)地域総合商社 出所:くんじゅうぼう「地域総合商社提案書」 ②シティプロモーション推進のためのコンテンツ この時期は、民間が主体となったシティプロモーションが推進されていることが期待 されている。よって、市民が主体となった新たなコンテンツ軸を確立し、それをプロモ ーションすることが重要となる。 56 4.今後に向けて 「堺市プロモーション推進スケジュール(仮称) 」のとおり、シティプロモーションを推 進する場合、課題になりうる事項を以下のとおり整理した。これらの課題を解決し、シテ ィプロモーションを推進することが望まれる。 (1)堺市職員の意識改革 堺市が有する長い歴史が、排他的な文化を形成してしまっており、無難な提案のみを受 け入れる体質となっていることが指摘されている。シティプロモーションにおいては、「差 別化」、 「特殊化」された活動や、自由で大胆な発想が求められるが、これらの体質は、取 組の阻害要因となりうることが想定される。 人口減少が叫ばれる昨今においては、都市の規模に関わらず自治体経営が厳しくなるこ とが想定される。現状を堅持するだけの自治体経営では、周辺自治体から後れをとり、都 市が衰退してしまうことが懸念される。よって、堺市は、現状に対し、危機感を持つべき である。大阪都構想を拒否した今だからこそ、危機感を持ち、今までの風土・文化を変革 させるべきである。 シティプロモーションの推進に際しては、危機感を持ち、保守的な文化を断ち切ること が求められる。 (2)歴史文化偏重からの脱却 歴史文化を前面に押し出したシティプロモーションを、中長期的に継続することは困難 だと考えられる。なぜならば、歴史文化という軸では、市民が当事者となり参画すること が困難であるとともに、堺市の周辺都市には、京都、奈良など、歴史文化の分野において、 既に全国・全世界的な認知を獲得している都市が存在するからである。 堺市が有する歴史文化を活用しつつも、これに、スポーツや環境モデルといった、歴史 文化以外の魅力を組み合わせ、新たな方向性を形成していくことが必要である。新たな方 向性の形成を意識した取組が、早期から実施されることが望まれる。 57 例:都市が有する様々な魅力・イメージ 出所:広島市「広島ブランドコンセプトブック(試案) 」 (3)市民主体のプロモーション シティプロモーションの最終目的の一つとして、一般的に、市民のまちへの愛着意識の 向上が挙げられる。堺市においても、市民の愛着意識の向上、すなわちシビックプライド の醸成により、定住人口を増加させることを目的に、シティプロモーションへの取組を開 始している。 現在は堺市が主体となってシティプロモーションを推進しているが、これからは、市民 の理解獲得に努め、いずれは市民が主体となったプロモーションの実施が可能となる施策 の流れを形成していく必要がある。なお、ここでいう市民には、地元企業をはじめとした 民間企業も含まれる。 シティプロモーションにおいては、都市のブランディングやシティセールスといった、 行政関係部署ではノウハウの蓄積が少なく、不得手とする取組が重要となる。不得手とす るこれらの取組を、官で抱えるのではなく、民に徐々に移管していく官民連携の発想が求 められる。官民連携の推進にこそ、堺市のシティプロモーションの未来があると考える。 58 (参考)さいたまスポーツコミッション 出所:さいたまスポーツコミッション HP 出所:さいたま市 HP 59 シティプロモーションによるまちづくりに関する調査研究 発 行 平成 27 年(2015 年)3 月 発 行 所 公益財団法人 堺都市政策研究所 主任研究員 齊藤 晃 〒590-0077 堺市堺区中瓦町 1 丁 4 番 21 号 第一住建堺東ビル 5 階 TEL. 072-228-0254 FAX. 072-228-0284 URL http://www.sakaiupi.or.jp/ E-mail [email protected] 60
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