固定電話・携帯電話の普及が国際経済の発展に及ぼす影響の実証分析 ―ITU長期時系列データを用いた観察― 浦川邦夫(九州大学) 篠﨑彰彦(九州大学) 末永雄大(九州大学) 〔要 約〕 本稿では、篠﨑・田原(2012)で整備した「ICT及び経済・社会に関する世界約200カ国・地 域のグローバル・データ・セット」を基に、固定電話と携帯電話の普及と経済発展の関係 性について国際比較分析を行った。具体的には、経済発展の代理変数として1人あたりGDP を取り上げ、 「携帯電話の普及率」や「固定電話の普及率」との相関関係を世界約200ヵ国・ 地域の1997年から2010年までの長期データをもとにパネル・データ分析を行った。 本稿の分析結果は、以下の点に要約される。第一に、携帯電話普及率を説明変数とした 「対数-対数モデル」のパネル・データ分析では、「先進国」のグループで経済成長との相 関が強くなっている。ただし、その効果は「2003-2008年」がピークであり、近年は、減少 傾向にある。第二に、固定電話普及率を説明変数としたパネル・データ分析においては、 複数の計量モデルにおいて、固定電話の影響は漸減の傾向が確認された。特に、「先進国」 や「BRICS」では、係数の値はマイナスになるケースもあり、固定電話の普及と経済成長と の間に相関が見られなくなっている。 情報通信技術(ICT)の普及は、2000年代半ば以降、様々な地域で急速に進展し、世界経済 全体のデジタル・ディバイドは縮小傾向にある。とはいえ、「先進国」や「BRICS」などの 地域では、携帯電話の普及と成長との間に相関が読み取れるものの、「アフリカ」や「そ の他途上国」の地域では、いまだその傾向は小さい。今後、教育環境の改善や社会インフ ラの整備が進められることで、さらに経済発展への影響が強まることが期待される。また、 「先進国」も、近年は携帯電話の普及と経済成長との相関が低くなっており、その原因解 明に向けた検証が期待される。 〔キーワード〕 ICT、経済発展、パネル・データ分析、国際比較分析 〔JEL Classification Number〕F01, 1 〔目 次〕 1. はじめに:目的と背景 2. 先行研究 3. データ及び分析方法 4. 分析結果 5. おわりに:課題と展望 1. はじめに: 目的と背景 Chandler(2000)は、20世紀最後の10年である1990年代を18世紀以降続いてきた「工業の時 代(Industrial Age)」から「新しい情報の時代(Information Age)」への一大転換期として 位置づけている。確かに、1990年代はインターネットの登場や携帯電話のデジタル化など、 新しい情報通信技術(ICT)の発展が先進国を中心に急速に進んだ年代であった。わが国にお いても、90年代は、それまで通信の主役であった固定電話の普及がピークアウトした時期 と重なる。 Chandlerが指摘した「新しい情報の時代」は、2000年代を迎えてさらに進化の様相をみせ ている。2010年時点では、新興国・途上国においても携帯電話が急速に普及したことによ り、携帯電話の世界約200ヵ国の平均普及率は90%を超えるにいたった。また、インターネ ット普及率も30%を超え、固定電話の平均普及率を上回ってなお成長を続けている。携帯 電話及びインターネットのグローバル化は、世界経済全体にも大きな影響を与えており、 その動向はUNCTADのInformation Economy Reportなど国際機関の報告書でも注目されてい る(篠﨑・田原(2012))。 このようなICTの進歩と、インターネットや携帯電話の急速な普及がもたらす経済効果に ついては、1990年代以降に先進国を中心に多くの研究が積み重ねられてきた。その一方で、 新興国や途上国も含めた包括的な国際比較研究は、いち早く情報化が進み諸々の統計が整 備されている先進国と比べてデータに制約があることから、実証分析の面で必ずしも十分 に蓄積されていないi。 そこで本稿では、90年代半ば以降の携帯電話の国際的な普及と固定電話の普及のピーク アウトに着目し、それらの普及の動向と経済成長との関係について、篠﨑・田原(2012)で整 備した、 「ICT及び経済・社会に関する世界約200カ国・地域のグローバル・データ・セット」 を活用した実証分析を行い、各地域でどのような特徴が見られるかを検証する。 なお、世界経済の成長と停滞には、ICT投資だけでなく、労働、ICT投資以外の物的資本、 国民の教育水準、健康水準など様々な要因が影響しているため、本来は、それらの多様な 諸変数をコントロールした上で、ICT普及の経済効果を検証する必要がある。しかし、その 一方で、これらの複数の要因を制御することにより、ICTの普及が人的資本や健康資本の改 2 善を通じて経済成長に影響を与えるといった間接的な効果が拾えなくなる可能性もある。 そのため、本稿の分析においては、携帯電話もしくは固定電話の普及率と経済発展(一人 当たりGDP)との関係性に焦点を絞った検証を行う。すなわち、ここではICT普及の趨勢と 経済発展の趨勢との関連を時代別、地域別に極力平易な形で把握し、各地域における時代 の転換点が主としてどの部分に具体的に表れているかを観察することを分析の主眼とする。 本稿の構成は以下の通りである。まず2節において、これまでの代表的な先行研究の成果 を概観する。次に3節において、本稿で使用するデータセットの概略と分析手法について述 べ、4節において、その分析結果を示す。最後に、5節では、結論と今後の課題を述べる。 2. 先行研究 IT や ICT への投資や普及と経済成長との関連については、Jorgenson, et al (2008)など、既 に多くの実証分析がなされているが、日本国内の分析としては、篠﨑・飯塚(2009)で、情報 技術(IT: Information Technology)への投資の増加が 2010 年代の経済成長率にどの程度の影 響をもたらすかについて、複数のマクロ計量モデルを用いたシミュレーションを行ってい る。その結果、労働の質を考慮したマクロ計量モデルのシミュレーションでは、技術投資 や情報流通の活発化で 2010 年代の経済成長率が 2%台半ばにまで高まる可能性があること などが示されている。 また、ICT と経済成長に関する各国別の分析に加えて、複数国を対象にした国際比較研究 も近年増加傾向にある。その中で定量的な実証研究の例として、直近では Lam and Shiu (2010)が挙げられる。そこでは、世界 105 ヵ国の 1980 年から 2006 年までの「固定電話普及 率」 、 「携帯電話普及率」、 「1人あたり GDP(購買力平価)」のデータを用いることにより、 技術の普及と経済発展の因果性についての検証がなされている。GMM (Generalized Method of Moments: 一般化積率法)推定から得られたパラメータを用いたグレンジャー因果性検定 の結果によると、1997 年から 2006 年までの携帯電話普及率と1人あたり GDP の因果性に ついては、105 ヵ国全サンプルでは、両変数の間に双方向のグレンジャー因果性が認められ ることが示されている。 この他にも、Khuong(2011)では、世界 102 ヵ国の 1996 年から 2005 年までの ICT 及び経済 指標のパネル・データを用いて、Lam and Shiu (2010)と同様に GMM 推定が行われている。 その推定結果によると、インターネット、携帯電話、パソコンの普及は、経済成長に対し て有意な正の相関が見られる点が指摘されている。 上記の分析にみられるように、ICT と経済成長の動向に関する国際比較研究では、利用可 能な国際統計データに基づいた実証分析が蓄積されつつある。ただし、これらの研究では、 ICT と経済発展に関する国際機関や各国の議論や戦略の動向を包括的に概観した分析はさ ほど見られない。その点に焦点を当てた篠﨑・田原(2012)では、2000 年代における国連や国 際機関の報告書・宣言文を渉猟し、国際的な議論の変遷をまとめるとともに、世界各国の 長期時系列データの観察を行っている。その結果、携帯電話やインターネットが教育水準 3 や所得水準を問わず世界の隅々にまで急速に普及している、しかもそれが、2000 年代後半 に一段と加速していることを長期観察で動的に検証している。また、1990 年から 2010 年ま でのジニ係数を計測し、デジタル・ディバイドが 2000 年代に縮小していることを明らかに している。 これらの文献が示すように、世界全体で見ると、2000 年代以降は ICT の急速な普及が見 られ、デジタル・ディバイドにも縮小の傾向が見られるが、多様な各国データを用いて ICT の発展が経済成長に与える影響を地域別、時代別に抽出する試みは、未だ少ない。そこで、 本稿では、 ICT の普及と経済成長の関係を検証するため、1997 年から 2010 年までを対象に、 6 年分のパネル・データを順次構築し、それぞれのデータセットで地域別の分析を行い、そ こで得られた推定結果の比較を行う。そうすることで、携帯電話や固定電話の普及が一人 当たり GDP の増加に影響を与えている地域や時期の特徴を明らかにする。 3. データおよび分析方法 3.1 使用するデータ 本稿では、携帯電話・固定電話の普及が世界各国の経済成長にどのような経済効果をも たらしてきたかを実証分析する上で、ITUの統計データ(ITU World Telecommunication / ICT Indicators Database 2011,15th Edition)とWorld Bankの統計データ(World Development Indicators & Global Development Finance, 28)をもとに篠﨑・田原(2012)で整備した「ICT及び 経済・社会に関する世界約200カ国・地域のグローバル・データ・セット」を使用する。 このグローバル・データ・セットは、電話加入者数やインターネット普及率などの ICT に関するものは ITU の諸統計データを、また、人口、国内総生産、識字率などの経済・社会 に関するものは World Bank や UNESCO の各種統計データを基礎としている。また、国名の コードについては、国連の M49 基準に準拠しつつ、台湾など同基準に存在しない一部の国・ 地域を追加して、各種機関の国際統計を比較可能な形で共通コードに統一している。整備 されたデータセットのうち、本稿で用いるのは、携帯電話、固定電話の普及率及び経済状 況を表す一人当たり GDP である。なお、一人当たり GDP については 2012 年 9 月時点で把 握可能な最新データに更新している。 分析対象となる国は、国連加盟の世界192 カ国に香港などの特別行政区や自治領などを 加えた213 カ国である。また、本稿では、それぞれの国を特定のカテゴリーに分類して分 析を行うものとする。具体的には、OECD 加盟の34 カ国に香港、台湾、シンガポール、 マカオを加えた38 カ国・地域を「先進国」とし、ブラジル、ロシア、インド、中国(除く 香港、マカオ)、南アフリカの5 カ国を「BRICS」、旧ソ連・東欧圏のうちロシアとOECD 加 盟国を除く17 カ国を「移行経済」、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ブル ネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの9 カ国を「ASEAN」、南アフリカを 除く52 カ国を「アフリカ」、上記以外の92 カ国・地域を「途上国」としているii。 4 上記のグローバル・データセットを用いて 1990 年代後半から 2000 年代における携帯電 話及び固定電話の普及と経済成長との関連を検証する前に、このデータセットから携帯電 話普及率と固定電話普及率の国際的な動向を確認しておく。図 1-1 は携帯電話普及率、図 1-2 は固定電話普及率の推移を各地域カテゴリー別に示したものである。 これらの図からは、 1990 年代に固定電話の普及が頭打ちとなる一方で携帯電話が急速に普及している様子が読 み取れる。固定電話の回線数は、「先進国」のカテゴリーで 2002 年から前年割れが続き、 中国などの「BRICS」でも 2007 年から前年割れが生じた。これを境に、固定電話の普及は 世界全体で減少傾向にある。他方、1990 年代から二桁の増加が続く携帯電話の利用者数は 2002 年に固定電話の普及率を上回った。したがって、この前後で固定電話と携帯電話がグ ローバルな経済に及ぼす影響に一定の変化が起きているものと考えられるiii。 また、図 2 は、 地域カテゴリー別に電気通信投資の対 GDP 比の推移をみたものである。図から明らかなよ うに、とりわけ 2000 年代半ばから後半にかけて「BRICS」、「ASAN」、「移行経済」、 「アフリカ」、「その他途上国」などの様々な地域カテゴリーで電気通信投資が積極的に 行われてきたことが読み取れる。ただし、金融危機の最中であった 2009 年には ASEAN を 除く地域カテゴリーで電気通信投資の低下が見られており、携帯電話や固定電話の普及率 と成長との関係にも一定の影響を与えている可能性が読み取れる。 3.2 分析に用いるモデルの概要 本稿の分析では、前節で示したデータセットに基づき、被説明変数を「1 人当たり GDP」、 説明変数を「携帯電話の普及率」(もしくは「固定電話の普及率」)とする次の(1)式から (3)式で表される簡単なモデルによって、サンプル全体をプールした「プーリング回帰モデ ル」(以下、「プーリングモデル」と称す)とパネル・データ分析の「固定効果モデル」 および「ランダム効果モデル」のそれぞれについて、各地域別に説明変数の係数がどのよ うに変化しているかを観察するiv。具体的には、1997 年を起点に 6 か年分のパネル・データ を 2010 年まで順次構築した上で、それぞれのデータセットを用いたモデルの推定を地域別 に行う。推定の結果得られた係数の大きさと動きを先進国・新興国・アジア・アフリカと いった地域カテゴリー別に比較することで、固定電話・携帯電話の普及と一人当たり GDP の関係性について、地域や時期にどのような特徴が見られるかを検討する。 (プーリングモデル) 𝑦𝑖𝑡 = 𝐱𝑖𝑡 𝜷+𝑒𝑖𝑡 (1) (固定効果モデル) 𝑦̈ 𝑖𝑡 = 𝐱̈ 𝑖𝑡 𝜷 + ë 𝑖𝑡 ⇔ 𝑦𝑖𝑡 − 𝑦̅𝑖 = (𝐱𝑖𝑡 − 𝐱̅𝑖 )𝜷 + 𝑒𝑖𝑡 − 𝑒̅𝑖 5 (2) (ランダム効果モデル) ∗ 𝑦𝑖𝑡∗ = 𝐱𝑖𝑡 𝜷 + 𝑣𝑖𝑡∗ ̅𝑖 , 𝐱 ∗𝑖𝑡 =𝐱 𝑖𝑡 − α𝐱̅𝑖 , ⇔ 𝑦𝑖𝑡∗ = 𝑦𝑖𝑡 − 𝛼𝑦 ̅𝑖 𝑣𝑖𝑡∗ = 𝑣𝑖𝑡 − α𝑣 (3) ここで、𝑦𝑖𝑡 は被説明変数を表し、本稿の分析では「1 人当たり GDP」 (原数または対数) が用いられる。𝐱 𝑖𝑡 は説明変数のベクトルであり、本稿の分析では、 「携帯電話普及率」 (原数または対数)もしくは「固定電話普及率」(原数または対数)と切片からなる単 純なモデルを想定する。𝑒𝑖𝑡 は誤差項であり、「平均値がゼロ」、「均一分散」、「誤差項同士 の共分散がゼロ」 、 「説明変数ベクトルと無相関」などの標準的な仮定を満たすものとする。 また、(3)式の𝑣𝑖𝑡 は、𝑣𝑖𝑡 = 𝑐𝑖 + 𝑒𝑖𝑡 であり、𝑐𝑖 はサンプリング単位(本稿の分析では国)ごと の観察不可能な差異(individual heterogeneity)を示す。 「固定効果モデル」、 「ランダム効果モデル」といったパネル・データ分析では、統計的 に望ましい推定量を得るため、𝑐𝑖 を消去ないし変形する形でパラメータの推定が行われる。 「固定効果モデル」では、𝑐𝑖 を無作為(non-random)ではなく、他の制御変数ベクトル𝐱 𝑖𝑡 と相 関するものとして取り扱う。一方、 「ランダム効果モデル」では、𝑐𝑖 が他の制御変数ベクト ル 𝐱 𝑖𝑡 と 無 相 関 で 無 作 為 (random) に 分 布 し て い る も の と し て 取 り 扱 う 。 (3) 式 の α は 1 − 𝜎𝑒 ⁄√𝑇𝜎𝑐2 + 𝜎𝑒2 で定義され、𝜎𝑒2 、𝜎𝑐2 はそれぞれ𝑒𝑖𝑡 、𝑐𝑖 の分散を表す。ここでの式変形は、 𝑣𝑖𝑡∗ の分散を𝜎𝑒2 とすることで、パラメータの分散が小さい効率的な推定量を得るための措置 である。v 一般的に、𝑐𝑖 が他の制御変数ベクトル𝐱 𝑖𝑡 と無相関のケースでは、一致性があり効 率的である「ランダム効果モデル」の推定量が望ましいが、相関があるケースでは、一致 性が確保されている「固定効果モデル」の推定結果が用いられる。 本稿では、上記の 3 つのモデルのうち、いずれのモデルが統計的に望ましいかについて、 推定されたパラメータをもとに以下のような作業で検定を行う。まず、第一段階として「プ ーリングモデル」と「固定効果モデル」の選択には F 検定を行う、次に第二段階として「固 定効果モデル」と「ランダム効果モデル」の選択にはハウスマン検定を用いて適切なモデ ルの判別を行うこととするvi。 なお、説明変数に携帯電話普及率を採用したモデルでは、被説明変数(1人当たりGDP) と説明変数の双方を対数変換して用いた(a)「対数-対数モデル(Log-log model)」の推定結果 と、被説明変数のみを対数変換して用いた(b)「対数-原数モデル(Log-level model)」の推定結 果、及び被説明変数、説明変数のいずれも元データの原数をそのまま用いた(c)「原数-原数 モデル(Level-level model)」を比較することで、推定結果がどのように異なるかについてもあ わせて検証する。これは、時点間・地域カテゴリー間であてはまりの度合いが高くなるモ デルの形状が異なる可能性を考慮したものである。ただし、携帯電話の効果との比較のた めに行う固定電話普及率を説明変数としたモデルの推定では、全時点を通じて推定モデル の決定係数の値が比較的高い(a)の「対数-対数モデル(Log-log model)」の推定結果に基づい て検討を加えることとする。さらに、本稿では扱ったほぼ全ての計量モデルのF検定で「プ 6 ーリングモデル」と比して「固定効果モデル」が選択されたため、次節以降の分析結果で は、主として「固定効果モデル」もしくは「ランダム効果」モデルの推定結果に基づいた 解釈を行うものとする。 4. 推定結果 4.1 携帯電話普及率 4.1.1 対数-対数モデル(Log-log model) 携帯電話普及率と 1 人当たり GDP との関係をカテゴリー別に推定した結果を見ていく。 ここで、1人当たり GDP は豊かさ、すなわち経済発展の水準を、また、普及率は1人当た りの携帯電話装備量の水準を表すものと解釈される。 まず、被説明変数を 1 人当たり GDP の対数値、説明変数を携帯電話普及率の対数値とす る「対数-対数モデル(Log-log model)」の推定から得られる各カテゴリーの係数の推移は、図 3-1、図 3-2、図 3-3 で示されている。図 3-1 は「プーリングモデル」による推定結果の係数 が各地域カテゴリー別にどのように推移しているかを示したものであり、同様に、図 3-2 は 「固定効果モデル」による推定結果の係数の推移、図 3-3 は「ランダム効果モデル」による 推定結果の係数の推移を示している。Log-log model における説明変数(携帯電話普及率) の係数は、1人当たり携帯電話装備量が現在の数値から 1%上昇した(1.01 倍になった)場 合に、1人当たり GDP が何%増加するかの関係性を表している。それぞれの図の下には、 カテゴリー別に携帯電話普及率の係数の値の推移を示している。ハウスマン検定で採択さ れたモデルの係数は下線部を引いて示しており、Log-log model のケースでは、「固定効果 モデル」が採用されたケースが非常に多いことが読み取れる。 以上のことを踏まえて、改めて図3-1の「プーリングモデル」の推定結果を参照すると、 以下のようなことが明らかとなる。第一に、係数は全ての地域カテゴリーで全期間にわた って有意に正(有意水準1%)であること、第二に、地域別には「先進国」グループで2000 年頃から係数の上昇が緩やかになり、「2003-2008年」をピークに係数が減少傾向にあるこ と、第三に、その一方で、先進国以外の地域カテゴリーでは、一貫して係数は上昇傾向に あることである。 ただし、これらの結果は、「プーリングモデル」のものであり、各国の異質性を考慮し ていないため、全体的に係数の値がやや高くなる傾向にある。そこで、次に各国の異質性 を考慮したパネル・データ分析の結果について検討を加える。 「固定効果モデル」の推定結果(図3-2)および「ランダム効果モデル」の推定結果(図 3-3)を参照すると、「先進国」の係数が最も大きくなっており、上記の単純な「プーリン グ回帰モデル」による分析結果では「先進国」の係数が他の地域カテゴリーと比較して相 対的に低く評価されていたといえる。とはいえ、ここでも先進国の係数は「2003-2008年」 がピークで近年低下傾向にある点は「プーリング回帰モデル」の推定結果と同様である。 また、「BRICS」は「先進国」の次に係数が高い状態が続いている。「移行経済」、「アフ 7 リカ」、「その他途上国」を比較すると、キルギスやアルメニアなどを含む「移行経済」 のカテゴリーが、一貫して「アフリカ」、「その他途上国」の係数を上回っている。 なお、「対数-対数モデル(Log-log model)」の推定結果は、ハウスマン検定で「固定効果モ デル」が採択されるケースが多く、各地域カテゴリー別に導出されたパラメータの推移の 傾向は「固定効果」と「ランダム効果」で大きな違いはみられなかった。 4.1.2 対数-原数モデル(Log-level model) 次に、前節の結果と説明変数である携帯電話普及率を原数のままとした「対数-原数モデ ル(Log-level model)」についてみていく。図3-4はLog-Level modelの「プーリングモデル」、 図3-5はLog-level modelの「固定効果モデル」、図3-6は Log-level modelの「ランダム効果モ デル」の推定結果の係数のトレンドを地域カテゴリー別に示したものである。ここで、 Log-level modelにおける説明変数(携帯電話普及率)の係数は、普及率が現在の数値から1% 「ポイント」上昇した場合に、1人当たりGDPが何%変化するかを表している。 推定結果を見ると、Log-log modelのケースと同様、Log-level modelでも通常のOLSである 「プーリング回帰モデル」とサンプリング単位の異質性を考慮したパネル・データ分析(固 定効果モデル、ランダム効果モデル」との間で係数の動きに差が見られることがわかる。 「プーリングモデル」では、時代が推移するにつれて携帯電話普及率の係数が同じ値に収 斂していく傾向が読み取れるが、パネル・データ分析では必ずしも収斂の動きは見られな い。検定の結果からは、多くの推定で「固定効果モデル」が採択されるため、固定効果モ デルの係数のトレンドを中心に見ていくと(図3-5)、全体として係数のピークは、2000年 代前半に観察され、2000年代後半はどの地域カテゴリーにおいても係数は横ばいないし低 下に転じている。 特に注目されるのは、近年「先進国」の係数が「移行経済」と同じ水準となっているこ とが象徴しているように、Log-log modelのケースと比べて高所得地域グループと低中所得地 域グループ(ASEAN、移行経済、アフリカ)との間で二極化の傾向が観察されないことで ある。このようなLog-log modelとLog-level modelの推定結果の違いは、「先進国」では既に 携帯電話が大衆に普及し一定の飽和水準に近づいて、1人当たりGDPの増加への効果が逓 減していることを示唆している。「アフリカ」や「移行経済」の地域カテゴリーは、1990 年代後半から2000年代半ばまでは、携帯電話普及率とGDPとの間に高い関連があった点は 興味深い傾向である(ただし、近年はその効果は減衰している)。 4.1.3 原数-原数モデル(Level-level model) 次に被説明変数と説明変数の双方を原数のままとしたLevel-Level modelの推定結果(図3-7、 図3-8、図3-9)を検討する。この場合、説明変数(携帯電話普及率)の係数は、普及率の1% ポイントの上昇が1人当たりGDP(=豊かさ)をどの程度増加させるかを示している。無論、 本来はGDPに影響があると考えられる物的資本、人的資本関連の多様な変数をモデルで制 8 御する必要があるため、ここでの解釈には十分な注意が必要であり、あくまでカテゴリー 間、時点間の係数の“相対的”な大きさと変化に関心があることを付言しておく。 まず、図3-7の「プーリングモデル」の推定結果の係数の推移をそれぞれ見ると、「先進 国」を除く全地域カテゴリーで係数が低下の傾向にあることがわかる。F検定とハウスマン 検定で支持されるケースが多い「固定効果モデル」の推定結果(図3-8)に注目して各地域 カテゴリー別に係数の推移を見ると、先進国は2000年代前半に係数が大きく上昇しており、 普及の効果を絶対額で計測した場合は、先進国での普及が所得水準の増加に最も大きく関 係しているといえる。ただし、「2003-2008年」をピークとしてそれ以降は係数が低下して いる点は注意が必要である。その他の地域カテゴリーは、「BRICS」の係数がやや高いが、 基本的に横ばいもしくは低下傾向にあり、2000年代後半は、前半と比べてどの地域におい ても、携帯電話と成長との関連は小さくなっている。 4.2 固定電話普及率 最後に、携帯電話普及率の効果と比較するため、固定電話普及率と 1 人当たり GDP との 関係についても地域カテゴリー別にパネル・データ分析を補足的に行った。「対数-対数モ デル(Log-log model)」の推定によって得た各カテゴリーの係数の推移を図 4-1、図 4-2、図 4-3 で示している。図 4-1 は、「プーリングモデル」による推定結果の推移であり、図 4-2 は、「固定効果モデル」、図 4-3 は「ランダム効果モデル」による推定結果の推移を示して いる。これらの推定結果のうち、「固定効果モデル」と「ランダム効果モデル」に注目す ると、固定電話普及率の係数は、携帯電話普及率とは対照的な動きを見せていることがわ かる。例えば、図 4-2 を見ると、「アフリカ」、「移行経済」、「その他発展途上国」のよ うな発展途上国の地域カテゴリーで固定電話普及率は有意にプラスであり、「先進国」よ りも一貫して高い係数をとっている。特に、「移行経済」の係数は、他のカテゴリーと比 べて非常に高い。その一方、「先進国」や「BRICS」に関して言えば、2000 年代後半の係 数はもはや有意に負の値を示している。 これらの点を踏まえると、2000 年代以降は「先進国」や「BRICS」では固定電話普及率 の上昇と1人当たり GDP との関係性がかなり弱まっていることが読み取れる。これは、固 定電話から携帯電話への代替が行われた時代において、経済の拡大が進んできたことを示 すものといえる。ただし、「移行経済」については、2003 年-2008 年をピークとして「固 定電話」の普及と 1 人当たり GDP との関係性が高まっており、固定電話の普及と経済発展 が依然として対応しているものとみられる。なお、推定結果の詳細は割愛するが、説明変 数を原数のままとした Log-level model の推定結果においても同様の傾向が確認される。 5. 課題と展望 以上、本稿では、ICT及び経済・社会に関する世界約200カ国・地域のパネル・データを基 に、固定電話と携帯電話の普及が経済発展に及ぼす影響について検証を行った。本稿の分 9 析をまとめると以下のようになる。まず、「携帯電話普及率」を説明変数として「1人当た りGDP」との関係をLog-log modelによって検討したパネル・データ分析の結果によると、分 類された地域カテゴリーによって、両者の関係性にはいくつかの相違点と類似点が明らか になった。係数の大きさでは「先進国」が最も高く、次いで「BRICS」となっているが、注 意されるのは、「ASEAN」を除くすべての地域カテゴリーで2000年代中盤(2003-2008年も しくは2004-2009年」の係数の値がピークであり、近年はやや減少傾向にあるという点であ る。もっとも、この時期は米国発の金融危機の時代と重なるので、金融危機の影響を制御 した詳細な検証が今後の課題である。 また、1990年代後半から2000年代後半にかけての「固定電話普及率」と「1人当たりGDP」 との関係をLog-log modelによって検討したパネル・データ分析の結果によると、 「アフリカ」、 「移行経済」、「その他発展途上国」のような発展途上国の地域で有意にプラスであるも のの、時系列でみてその効果は漸減しており、「先進国」や「BRICS」に関して言えば、2000 年代後半の係数はもはや有意に負の傾向を見せていることがわかった。 ただし、本稿の分析は、携帯電話などのICTと1人当たりGDPとの関係について、比較的 シンプルなモデルによる相関の検証にとどまっており、因果関係の確認はできていない。 また、教育やインフラなど経済発展に影響を及ぼすと考えられる他の重要な経済・社会変 数が明示的には考慮されたモデルの推定でもない。これらを視野に入れた実証分析は、今 後に残された大きな課題であることを本稿の最後に記しておきたい。 10 参考文献 Gruber, H. and Koutroumpis (2011) “Mobile telecommunications and the impact on economic development,” Economic Policy, July, pp.387-426. Hill, R. C., Griffiths, W. E. and Lim, G. C. (2011) Principles of Econometrics 4th ed, Wiley. ITU (2012) World Telecommunication/ICT Indicators Database 2012 (16th Edition) Khuong M.Vu (2011) “ICT as a source of economic growth in the information age: Empirical evidence from the 1996–2005 period,” Telecommunications Policy, Vol.35, pp.357–372. Lam, P.L. and Shiu, A. (2010) “Economic growth, telecommunications development and productivity growth of the telecommunications sector: Evidence around the world,” Telecommunications Policy, Vol.34, No.4, pp.357–372. OECD (2011) “ICT Investments and Productivity: Measuring the Contribution of ICTS to Growth,” Working Party on Indicators for the Information Society, June 2011. Schreiber, S. (2008) “The Hausman test statistic can be negative even asymptotically,” Journal of Economics and Statistics, No.228, pp.394-405. UNCTAD(2010) Information Economy Report 2010, United Nations, New York and Geneva. 北村行伸(2005)『パネルデータ分析』岩波書店. 篠﨑彰彦(2003)『情報技術革新の経済効果』日本評論社. 篠﨑彰彦・飯塚信夫(2009)「企業投資と日本経済の中期成長率�―情報技術への投資加速を 織り込んだシミュレーション―」『経済学研究』Vol.76, No.1, pp.99-124. 篠﨑彰彦・田原大輔(2012)「ICTの普及が経済の発展と格差に及ぼすグローバルな影響の分 析―国際的議論の変遷と実態変化のデータ観察―」ESRI Discussion Paper Series, No.289, pp.1-22. 11 図 1-1 カテゴリー別に見た携帯電話普及率の推移 140.0 120.0 世界全体 先進国 BRICS ASEAN アフリカ 移行経済 その他途上国 100.0 80.0 60.0 40.0 20.0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 図 1-2 カテゴリー別に見た固定電話普及率の推移 140.0 世界全体 先進国 BRICS ASEAN アフリカ 移行経済 120.0 その他途上国 100.0 80.0 60.0 40.0 20.0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 (注) 篠﨑・田原(2012)の「グローバル・データ・セット」より作成。 「先進国」、 「BRICS」、 「ASEAN」、 「アフリカ」、 「移行経済」、 「その他途上国」の分類は、巻末の Appendix を参照。 12 図 2 カテゴリー別に見た電気通信投資の推移(対 GDP 比) 3.0 (%) 世界全体 先進国 BRICS ASEAN アフリカ 移行経済 その他途上国 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 1995 1996 1997 1998 1999 2000 表1 2001 2002 GDP 2004 2005 2006 2007 2008 2009 使用データの出所 変数 1 人当たり 2003 出典 The World Bank の HP: World Development Indicators & Global Development Finance,28 September, 2012, http://data.worldbank.org/data-catalog/world-development-indicators 携帯電話 普及率 固定電話 普及率 ITU(2011) ‘Mobile cellular telephone subscriptions per 100 inhabitants’, ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database 2011, 15th Edition, June 2011,(CD-ROM) ITU(2011) ‘Fixed telephone lines per 100 inhabitants’, ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database 2011 ,15th Edition, June 2011,(CD-ROM) (注) 篠﨑・田原(2012)の「グローバル・データ・セット」を参照。 13 図 3-1 携帯電話普及率の係数の推移 先進国 BRICS [Log-log, プーリングモデル] 移行経済 ASEAN アフリカ その他 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 97-02 世界全体 98-03 99-04 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 1998-2003 1999-2004 2000-2005 2001-2006 2002-2007 2003-2008 2004-2009 2005-2010 0.441 ** 0.463 ** 0.499 ** 0.553 ** 0.613 ** 0.668 ** 0.737 ** 0.823 ** 0.912 ** 先進国 0.324 ** 0.409 ** 0.557 ** 0.689 ** 0.775 ** 0.793 ** 0.799 ** 0.777 ** 0.754 ** BRICS 0.265 ** ** ** ** ** ** ** ** 0.841 ** ASEAN 0.576 ** 0.573 ** 0.588 ** 0.613 ** 0.670 ** 0.712 ** 0.756 ** 0.823 ** 0.902 ** ** ** ** ** ** ** ** ** 0.754 ** 移行経済 0.213 0.280 0.216 0.312 0.230 0.363 0.256 0.436 0.278 0.534 0.308 0.657 0.338 0.743 0.386 アフリカ 0.285 ** 0.301 ** 0.335 ** 0.394 ** 0.457 ** 0.502 ** 0.532 ** 0.597 ** 0.654 ** その他 ** ** ** ** ** ** ** ** 0.626 ** 0.355 0.365 0.387 0.420 0.457 図 3-2 携帯電話普及率の係数の推移 先進国 BRICS 0.484 0.584 [Log-log, 固定効果モデル] 移行経済 ASEAN 0.540 アフリカ その他 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 97-02 98-03 99-04 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 1998-2003 1999-2004 2000-2005 2001-2006 2002-2007 2003-2008 2004-2009 2005-2010 0.059 ** 0.062 ** 0.070 ** 0.085 ** 0.106 ** 0.127 ** 0.149 ** 0.152 ** 0.145 ** 世界全体 先進国 0.117 ** 0.149 ** 0.230 ** 0.340 ** 0.498 ** 0.605 ** 0.670 ** 0.630 ** 0.591 ** BRICS 0.104 ** ** ** ** ** ** ** ** 0.329 ** ASEAN 0.094 ** 0.111 ** 0.124 ** 0.136 ** 0.162 ** 0.176 ** 0.184 ** 0.182 ** 0.186 ** 0.082 ** 0.090 ** 0.107 ** 0.132 ** 0.144 ** 0.167 ** 0.183 ** 0.189 ** 0.189 ** アフリカ 0.042 ** 0.044 ** 0.050 ** 0.065 ** 0.082 ** 0.105 ** 0.119 ** 0.126 ** 0.121 ** その他 0.050 ** 0.140 ** 0.131 ** 移行経済 0.120 0.050 ** 0.132 0.057 ** 0.153 0.069 ** 14 0.195 0.093 ** 0.253 0.110 ** 0.320 0.141 ** 0.331 図 3-3 携帯電話普及率の係数の推移 [Log-log, 変量効果モデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 97-02 世界全体 98-03 99-04 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 1998-2003 1999-2004 2000-2005 2001-2006 2002-2007 2003-2008 2004-2009 2005-2010 0.064 ** 0.067 ** 0.076 ** 0.093 ** 0.115 ** 0.137 ** 0.157 ** 0.159 ** 0.151 ** 先進国 0.119 ** 0.152 ** 0.233 ** 0.343 ** 0.502 ** 0.608 ** 0.671 ** 0.632 ** 0.593 ** BRICS 0.105 ** 0.120 ** 0.132 ** 0.155 ** 0.201 ** 0.268 ** 0.365 ** 0.469 ** 0.526 ** ASEAN 0.097 ** 0.112 ** 0.124 ** 0.137 ** 0.164 ** 0.177 ** 0.185 ** 0.183 ** 0.187 ** 移行経済 0.084 ** 0.093 ** 0.111 ** 0.136 ** 0.148 ** 0.172 ** 0.187 ** 0.193 ** 0.191 ** 0.044 ** 0.046 ** 0.052 ** 0.067 ** 0.085 ** 0.108 ** 0.121 ** 0.128 ** 0.123 ** 0.052 ** 0.052 ** 0.060 ** 0.073 ** 0.097 ** 0.114 ** 0.145 ** 0.144 ** 0.136 ** アフリカ その他 ※1表中の世界全体は全 213 か国を対象としたモデルの係数である。 ※2**は係数が有意水準 1%で有意、*は 5%で有意、+は 10%で有意を示す。 ※3表中の下線はハウスマン検定で採択されたことを示す。 15 図 3-4 携帯電話普及率の係数の推移 [Log-level, プーリングモデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 0.10 0.09 0.08 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 0.00 97-02 98-03 99-04 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 1998-2003 1999-2004 2000-2005 2001-2006 2002-2007 2003-2008 2004-2009 2005-2010 世界全体 0.041 ** 0.037 ** 0.035 ** 0.032 ** 0.030 ** 0.028 ** 0.026 ** 0.024 ** 0.023 ** 先進国 0.009 ** 0.010 ** 0.011 ** 0.011 ** 0.011 ** 0.010 ** 0.009 ** 0.008 ** 0.007 ** BRICS 0.044 ** 0.038 ** 0.030 ** 0.021 ** 0.018 ** 0.017 ** 0.016 ** 0.015 ** 0.014 ** ASEAN 0.084 ** 0.067 ** 0.055 ** 0.047 ** 0.042 ** 0.034 ** 0.028 ** 0.024 ** 0.017 ** 0.043 ** 0.035 ** 0.027 ** 0.022 ** 0.018 ** 0.015 ** 0.013 ** 0.011 ** 0.010 ** 0.086 ** 0.075 ** 0.067 ** 0.058 ** 0.047 ** 0.040 ** 0.033 ** 0.028 ** 0.026 ** 0.046 ** 0.037 ** 0.032 ** 0.027 ** 0.024 ** 0.021 ** 0.019 ** 0.017 ** 0.016 ** 移行経済 アフリカ その他 図 3-5 携帯電話普及率の係数の推移 [Log-level, 固定効果モデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 0.010 0.008 0.006 0.004 0.002 0.000 97-02 98-03 99-04 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 0.004 ** 1998-2003 0.005 ** 1999-2004 0.005 ** 2000-2005 0.006 ** 2001-2006 0.006 ** 2002-2007 0.006 ** 2003-2008 0.005 ** 2004-2009 0.004 ** 2005-2010 0.004 ** 先進国 0.004 ** 0.004 ** 0.005 ** 0.006 ** 0.007 ** BRICS 0.012 ** 0.012 ** 0.010 ** 0.007 ** 0.007 ** 0.007 ** 0.007 ** 0.007 ** 0.007 ** 0.006 ** 0.007 ** 0.005 ** 0.007 ** ASEAN 0.006 ** 0.007 ** 0.007 ** 0.007 ** 0.008 ** 0.007 ** 0.006 ** 0.005 ** 0.003 ** 0.010 ** 0.010 ** 0.010 ** 0.010 ** 0.008 ** 0.008 ** 0.007 ** 0.005 ** 0.005 ** 0.008 ** 0.008 ** 0.009 ** 0.009 ** 0.008 ** 0.007 ** 0.006 ** 0.005 ** 0.004 ** 0.005 ** 0.004 ** 0.004 ** 0.004 ** 0.005 ** 0.005 ** 0.004 ** 0.003 ** 0.003 ** 世界全体 移行経済 アフリカ その他 16 図 3-6 携帯電話普及率の係数の推移 [Log-Level, 変量効果モデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 0.010 0.008 0.006 0.004 0.002 0.000 97-02 98-03 99-04 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 1998-2003 1999-2004 2000-2005 2001-2006 2002-2007 2003-2008 2004-2009 2005-2010 世界全体 0.005 ** 0.005 ** 0.006 ** 0.006 ** 0.006 ** 先進国 0.004 ** 0.004 ** 0.005 ** 0.006 ** 0.007 ** 0.006 ** 0.007 ** 0.006 ** 0.007 ** 0.005 ** 0.006 ** 0.004 ** 0.005 ** BRICS 0.012 ** 0.013 ** 0.010 ** 0.007 ** 0.007 ** 0.008 ** 0.008 ** 0.008 ** 0.007 ** ASEAN 0.007 ** 0.008 ** 0.008 ** 0.008 ** 0.009 ** 0.008 ** 0.006 ** 0.005 ** 0.003 ** 0.011 ** 0.010 ** 0.011 ** 0.010 ** 0.009 ** 0.008 ** 0.007 ** 0.006 ** 0.005 ** 0.008 ** 0.009 ** 0.010 ** 0.010 ** 0.008 ** 0.008 ** 0.006 ** 0.005 ** 0.004 ** 0.005 ** 0.004 ** 0.005 ** 0.005 ** 0.005 ** 0.005 ** 0.004 ** 0.004 ** 0.003 ** 移行経済 アフリカ その他 ※1表中の世界全体は全 213 か国を対象としたモデルの係数である。 ※2**は係数が有意水準 1%で有意、*は 5%で有意、+は 10%で有意を示す。 ※3表中の下線はハウスマン検定で採択されたことを示す。 17 図 3-7 携帯電話普及率の係数の推移 [Level-level プーリングモデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 97-02 98-03 1997-2002 99-04 1998-2003 00-05 1999-2004 01-06 2000-2005 02-07 03-08 2001-2006 2002-2007 04-09 05-10 2003-2008 2004-2009 2005-2010 世界全体 376.033 ** 349.015 ** 329.753 ** 309.474 ** 290.106 ** 271.421 ** 252.675 ** 234.390 ** 222.528 ** 先進国 180.539 ** 192.713 ** 216.900 ** 236.360 ** 253.321 ** 253.104 ** 251.322 ** 234.609 ** 231.054 ** BRICS 164.589 ** 152.073 ** 134.094 ** 106.241 ** 104.921 ** 110.130 ** 120.091 ** 119.798 ** 121.089 ** 852.884 ** 679.698 ** 550.713 ** 463.209 ** 418.495 ** 349.829 ** 286.992 ** 243.203 ** 179.894 ** 200.581 ** 109.764 ** 354.906 ** 232.746 ** 519.667 ** 300.998 ** ASEAN 移行経済 アフリカ その他 167.178 ** 306.635 ** 419.028 ** 129.496 ** 269.711 ** 356.687 ** 95.086 ** 192.831 ** 254.210 ** 86.920 ** 163.954 ** 219.038 ** 78.817 ** 137.376 ** 191.989 ** 71.523 ** 69.586 ** 120.243 ** 111.627 ** 171.175 ** 157.985 ** 図 3-8 携帯電話普及率の係数の推移 [Level-level, 固定効果モデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 300 250 200 150 100 50 0 97-02 98-03 99-04 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 79.383 ** 1998-2003 77.533 ** 1999-2004 81.486 ** 2000-2005 77.644 ** 2001-2006 78.437 ** 2002-2007 73.218 ** 2003-2008 63.972 ** 2004-2009 46.858 ** 2005-2010 36.166 ** 先進国 86.443 ** 91.188 ** 108.868 ** 135.176 ** BRICS 58.885 ** 71.553 ** 65.494 ** 53.042 ** 183.608 ** 59.664 ** 210.039 ** 67.003 ** 219.862 ** 79.546 ** 192.563 ** 76.654 ** 179.987 ** 68.355 ** ASEAN 78.937 ** 79.521 ** 65.555 ** 58.463 ** 64.162 ** 52.524 ** 36.390 ** 23.086 ** 14.081 ** 59.957 ** 54.642 ** 57.466 ** 54.641 ** 49.704 ** 48.450 ** 46.701 ** 39.498 ** 33.058 ** 50.553 ** 44.738 ** 53.942 ** 53.875 ** 47.461 ** 43.416 ** 34.794 ** 26.625 ** 21.545 ** 59.382 ** 56.648 ** 62.097 ** 59.316 ** 57.787 ** 50.353 ** 42.937 ** 29.800 ** 22.497 ** 世界全体 移行経済 アフリカ その他 18 図 3-9 携帯電話普及率の係数の推移 [Level-level, 変量効果モデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 300 250 200 150 100 50 0 97-02 98-03 99-04 00-05 1997-2002 1998-2003 世界全体 81.942 ** 80.855 ** 86.409 ** 83.939 ** 先進国 87.199 ** 91.973 ** 109.993 ** BRICS 59.761 ** 72.310 ** ASEAN 79.954 ** 80.660 ** 62.848 ** 57.874 ** 59.868 ** 55.664 ** 60.859 ** 58.040 ** 移行経済 アフリカ その他 1999-2004 01-06 2000-2005 02-07 2001-2006 03-08 2002-2007 04-09 2003-2008 05-10 2004-2009 2005-2010 136.726 ** 85.596 ** 185.138 ** 80.372 ** 210.996 ** 70.167 ** 220.553 ** 51.090 ** 193.230 ** 39.496 ** 180.816 ** 65.892 ** 53.386 ** 60.622 ** 69.155 ** 85.763 ** 90.486 ** 90.697 ** 66.450 ** 59.080 ** 64.802 ** 52.927 ** 36.661 ** 23.263 ** 14.157 ** 59.359 ** 56.389 ** 51.548 ** 50.225 ** 47.912 ** 40.460 ** 33.899 ** 68.439 ** 65.581 ** 53.058 ** 47.537 ** 37.531 ** 28.260 ** 22.760 ** 63.843 ** 60.898 ** 59.130 ** 51.604 ** 44.213 ** 31.241 ** 24.105 ** ※1表中の世界全体は全 213 か国を対象としたモデルの係数である。 ※2**は係数が有意水準 1%で有意、*は 5%で有意、+は 10%で有意を示す。 ※3表中の下線はハウスマン検定で採択されたことを示す。 19 図 4-1 固定電話普及率の係数の推移 [Log-log, プーリングモデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 97-02 世界全体 先進国 98-03 ** 0.745 ** 0.705 ** 0.726 ** アフリカ 0.584 ** その他 0.679 ** ASEAN 移行経済 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 1998-2003 1999-2004 2000-2005 2001-2006 2002-2007 2003-2008 2004-2009 2005-2010 0.654 ** 0.659 ** 0.664 ** 0.667 ** 0.668 ** 0.666 ** 0.668 ** 0.671 ** 0.673 ** 0.992 BRICS 99-04 1.001 ** 0.737 ** 0.703 ** 0.753 ** 0.577 ** 0.685 ** 1.002 ** 0.718 ** 0.684 ** 0.778 ** 0.571 ** 0.690 ** 0.990 ** 0.684 ** 0.675 ** 0.794 ** 0.561 ** 0.700 ** 0.966 ** 0.637 ** 0.643 ** 0.799 ** 0.551 ** 0.704 ** 0.925 ** 0.596 ** 0.614 ** 0.796 ** 0.537 ** 0.703 ** 0.880 ** 0.573 ** 0.576 ** 0.788 ** 0.534 ** 0.701 ** 0.833 ** 0.777 ** 0.556 ** 0.550 ** 0.539 ** 0.537 ** 0.769 ** 0.746 ** 0.540 ** 0.540 ** 0.697 ** 0.682 ** 図 4-2 固定電話普及率の係数の推移 [Log-log, 固定効果モデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 1.5 1.0 0.5 0.0 -0.5 -1.0 -1.5 97-02 世界全体 先進国 98-03 ** 0.334 ** 0.368 ** 0.485 ** アフリカ 0.265 ** その他 0.310 ** ASEAN 移行経済 00-05 01-06 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 1998-2003 1999-2004 2000-2005 2001-2006 2002-2007 2003-2008 2004-2009 2005-2010 0.325 ** 0.288 ** 0.286 ** 0.280 ** 0.197 ** 0.187 ** 0.167 ** 0.137 ** 0.101 ** 0.558 BRICS 99-04 0.128 -0.485 ** 0.520 ** 0.314 ** -0.736 ** 0.734 ** 0.281 ** -0.960 ** 0.887 ** 0.253 * -0.926 ** -0.852 0.896 ** 0.619 0.331 ** 0.404 ** 0.442 ** 0.549 ** 0.746 ** 1.215 ** 1.398 ** 1.437 ** 0.220 ** 0.244 ** 0.247 ** 0.221 ** 0.136 ** 0.259 ** 0.233 ** 0.228 ** 0.268 ** 0.330 ** 20 ** -0.595 ** -0.447 ** -0.886 * 0.354 ** 0.151 ** -0.307 0.376 ** 1.485 ** 1.270 ** 1.120 ** 0.099 ** 0.086 ** 0.069 ** 0.324 ** 0.273 ** 0.164 ** 図 4-3 固定電話普及率の係数推移 [Log-log, ランダム効果モデル] 先進国 BRICS 移行経済 ASEAN アフリカ その他 1.5 1.0 0.5 0.0 -0.5 -1.0 -1.5 97-02 世界全体 先進国 98-03 99-04 00-05 02-07 03-08 04-09 05-10 1997-2002 1998-2003 1999-2004 2000-2005 2001-2006 2002-2007 2003-2008 2004-2009 2005-2010 0.461 ** 0.460 ** 0.477 ** 0.493 ** 0.447 ** 0.431 ** 0.398 ** 0.331 ** 0.244 ** 0.784 ** 0.639 ** 0.368 ** BRICS 0.351 ** 0.425 ** 0.535 ** ASEAN 0.392 ** 0.472 ** 0.353 ** 0.526 ** 0.598 ** 0.765 ** アフリカ 0.358 ** 0.312 ** 0.338 ** その他 0.392 ** 0.403 ** 0.405 ** 移行経済 01-06 0.124 0.061 0.729 ** 0.338 ** 1.035 ** 0.360 ** 0.394 ** -0.006 0.825 ** 0.327 ** 1.067 ** 0.341 ** 0.428 ** -0.076 0.761 ** 0.384 ** 1.056 ** 0.248 ** 0.475 ** -0.162 + -0.193 ** 0.589 * 0.289 0.401 ** 0.371 ** 0.161 ** 1.063 ** 0.995 ** 0.979 ** 0.190 ** 0.148 ** 0.112 ** 0.470 ** 0.420 ** 0.318 ** -0.033 ※1表中の世界全体は全 213 か国を対象としたモデルの係数である。 ※2**は係数が有意水準 1%で有意、*は 5%で有意、+は 10%で有意を示す。 ※3表中の下線はハウスマン検定で採択されたことを示す。 ※4移行経済については異常値と考えられるタジキスタンの 2006 年固定電話普及率データは欠損値扱 いとした。 21 Appendix 「ICT 及び経済・社会に関する世界約 200 カ国・地域のグローバル・データ・セット」の 地域対応表 [先進国] 韓国、台湾、シンガポール、メキシコ、トルコ、香港、マカオ、オーストラリア、 ニュージーランド、ノルウェー、スイス、カナダ、アメリカ、日本、イスラエル、 チリ、アイスランド、フランス、ポーランド、ドイツ、ポルトガル、オーストリア、 ギリシャ、スロバキア、ベルギー、ハンガリー、スロベニア、チェコ、 アイルランド、スペイン、デンマーク、イタリア、スウェーデン、エストニア、 ルクセンブルク、イギリス、フィンランド、オランダ [BRICS] ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ [移行経済] アルメニア、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、ボスニア、ベラルーシ、 クロアチア、グルジア、モンテネグロ、カザフスタン、セルビア、キルギス、 マケドニア、モルドバ、アルバニア、タジキスタン、トルクメニスタン、 ウクライナ [ASEAN] インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、 ミャンマー、カンボジア [アフリカ(南アフリカ除く)] アンゴラ、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、 カーボベルデ、中央アフリカ、チャド、コモロ、コンゴ共和国、コートジボワール、 赤道ギニア、エリドリア、エチオピア、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、 ギニアビサウ、ケニア、シント、リベリア、リビア、マダガスカル、マラウイ、 マリ、モーリタニア、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、 ナイジェリア、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、セネガル、セーシェル、 シエラシオネ、ソマリア、スーダン、スワジランド、タンザニア、トーゴ、 ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ、アルジェリア、ジブチ、エジプト、モロッコ、 チュニジア [途上国] ブルガリア、マルタ、キプロス、ラトビア、リトアニア、モナコ、サンマリノ、 アンドラ、リヒテンシュタイン、その他 82 か国 (注)データセットは、篠﨑・田原(2012)の作成による。 22 i 篠﨑・田原(2012) p.4 参照。 ii UNCTAD の Information Economy Report の分類では、国際政治力学等を反映して、ルーマニア やキプロスなど OECD に加盟していないいくつかの国が「先進国」に分類されている一方、韓 国、台湾、メキシコ、トルコなどは「先進国」に含まれていない点は注意を要する(篠﨑・田原 [2012]参照) 。なお、分類の詳細については、巻末の Appendix を参照されたい。 iii 付言すると、ITU(International Telecommunication Union)の World Telecommunication/ICT Indicators Database 2012 (16th Edition) によれば、2006 年にインターネットの普及率が固定電話 の普及率を上回った。 iv 本稿の主な目的は、変化が著しい携帯電話の普及と一人当たり GDP の関係性にあるが、携帯 電話の効果との比較のため、後に説明変数を固定電話普及率とした計量モデルについても、若干 の検討を加える。 v 𝜎𝑒2 の推定値は、(2)式(固定効果モデル)を Pooled OLS 推定することで得られる残差平方和 (𝑆𝑆𝐸𝑊𝑖𝑡ℎ𝑖𝑛 )を自由度(NT-N-K)で割って求める。 (数式では、𝜎̂𝑒2 = 𝑆𝑆𝐸𝑊𝑖𝑡ℎ𝑖𝑛 ⁄𝑁𝑇 − 𝑁 − 𝐾𝑠𝑙𝑜𝑝𝑒𝑠 と 表現される。)また、𝜎𝑐2 の推定値は、Between estimator model である𝑦̅𝑖 = 𝐱̅𝑖 𝜷+𝑐𝑖 + 𝑒̅𝑖 を Pooled OLS 推定することで得られる残差平方和(𝑆𝑆𝐸𝐵𝑒𝑡𝑤𝑒𝑒𝑛 )と上記の𝜎̂𝑒2 を用いることで求める。(数式では、 𝜎̂𝑐2 = (𝑆𝑆𝐸𝐵𝑒𝑡𝑤𝑒𝑒𝑛 ⁄(𝑁 − 𝐾𝐵𝐸 )) − (𝑆𝑆𝐸𝑊𝑖𝑡ℎ𝑖𝑛 ⁄𝑇 ∙ (𝑁𝑇 − 𝑁 − 𝐾𝑠𝑙𝑜𝑝𝑒𝑠 ))と表現される。証明は Hill et al.(2011), p.584.を参照。𝐾𝐵𝐸 は Between model 推定におけるパラメータの数であり、𝐾𝑠𝑙𝑜𝑝𝑒𝑠 は、固 定効果モデル推定におけるパラメータの数である。) vi「プーリングモデル」 と 「ランダム効果モデル」の識別のための検定として Breush and Pegan 検定があるが、本稿ではモデル選択の循環の可能性を考慮し、F 検定とハウスマン検定のみ でモデル選択を行うこととした。 23
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