11月14日 土

い の ち
やさしく生命をまもる
第14回 錦秀会
医療・福祉
フォーラム
後援/NPO法人 健康寿命増進機構
第14回「錦秀会医療・福祉フォーラム」抄録集に寄せて
毎年11月に恒例となりました「錦秀会医療・福祉フォーラム」も、今回で第14回目を迎え
ることが出来ました。錦秀会の中で一つの大きなイベントとして定着し、職員の皆さんがそ
れぞれ主体的に取り組まれ、回を増すごとに成長していることを大変嬉しく思っています。
皆さんの日々の研究成果の発表の場として、また、錦秀会グループ内での法人あるいは、
病院・施設間の垣根を越えた交流の場として有効に活用して頂いていると実感しています。
さて、今回、退院支援、在宅生活、地域連携等、時代に即した演題が多く見られた中、最
優秀賞に輝いた阪和病院リハビリテーション部の「おいしいごはん 楽な姿勢で楽しく食べ
たい!~食事姿勢について~」では、適切な姿勢で食事を摂れば、介助の軽減となり、さら
には、食事への意欲を高める効果があるということで、病院は勿論、社会福祉法人の各施設
平成27年
土
11月14日●
13:00〜 阪和記念会館講堂
17:30〜 懇親会
にも非常に参考になったと聞いています。
食事は、日常生活の中で、最大の楽しみの一つであり、医食同源の言葉のとおり、健康を
保つ重要な要素に違いないと改めて感じた次第です。
また、今回は、特別報告として、HIMCを代表する3名のセンター長から、これまでの
HIMCの10年の歩みと今後の展望について、お話をして頂きました。忙しい中、時間を割い
て頂きました先生方に、改めてお礼を申し上げます。
最後に本フォーラムを企画運営して頂いた渡邉医務局長や演者の皆さんは勿論、司会進行
や座長、審査委員等を引き受けて頂いた先生方、医務局の方々、各事務局スタッフに重ねて
感謝致します。
錦秀会グループ
CEO
(最高経営責任者)籔
─1─
本雅巳
- 目 次 -
一般演題A:座長 辻 涼子(阪和第一泉北病院 看護部長)
1.目指せ!ナースコールゼロ ~患者のニーズを先読みしたナースコールに頼らない看護を目指す~ �����4
一般演題C:座長 松 尾 緩 子 (阪和第一泉北病院 医療社会福祉部 課長)
9.
「家に連れて帰りたい」
~家族の願いを叶えるために、私たちが出来ること~������������26
介護老人保健施設 錦秀苑3階フロアー
医療法人錦秀会 阪和記念病院 7病棟
○近 江 梨 恵、古別府香奈、木 岡 広 美
2.Do not open the door so much ~その扉の開閉必要ですか?~ ����������������6
○井 口 真 弓、岩 倉 佑 介、要 琴 乃、宮 崎 太 地
10.アルコール依存症患者への退院支援 ~B4閉鎖病棟でのはじめての取り組み~ ����������28
医療法人財団 兵庫錦秀会 神出病院 B4病棟
医療法人錦秀会 阪和住吉総合病院 手術室
○工 藤 里 美、桃 井 悠 希
○山 中 里 菜 、 西 郡 神 奈
3.元気に活き活き楽しく暮らしたい “アクティビティケアの効果” ����������������8
11.医療と介護の連携 ~多職種協働を念頭に…今後の展開を考える〜�����������������32
阪和第一泉北病院 介護事業部会
阪和病院 16詰
○黒 木 真 奈、平 田 裕 美、紙 透 君 代、田 中 栄 子、西 尾 優 維、金 沢 佳 子
武 政 隆 子、清 水 隆 子、松 原 正 明、安 部 愛 海、西 柳 朱 梨、三 浦 明 美
川本真由美、清竹小夜子
4.40年の入院生活から地域へ 人生の大半を病院で過ごしてきた人への退院支援からみえてきたこと �����11
阪和いずみ病院 精神科開放病棟
○吉 本 絹 子、北 平 千 穂、田 邉 友 也
居宅介護支援センター・事務部・看護部・医療社会福祉部・ネットワーク室・デイケア・GH清泉・福祉部2課
○上 野 秀 香、高林三代嗣、辻 涼 子、松 尾 緩 子、福 井 真 敬、伊 達 慶 子
瀧 るり子、吉 川 良 二
パフォーマンス賞
12.PRMセンターをご存知ですか? ���������������������������34
医療法人錦秀会 4S推進局 PRMセンター
○川 上 純 子、植 田 真 美、奥田ゆうこ
一般演題B:座長 髙 木 卓 司 (阪和第二泉北病院 リハビリテーション部 課長)
特別報告
特別報告
NPO法人賞
5.
「住み慣れた家で安心できる生活を支えたい」
~意識改革から生まれたプロ意識~��������13
阪和第一泉北病院 通所リハビリテーション
座長 守 口 篤
(阪和第二泉北病院 院長)
HIMCの歩み ―がん検診を中心に― ��������������������������36
阪和第二泉北病院 阪和インテリジェント医療センター 健診センター長
○辻 林 律 子、金 崎 泰 成
楠 洋子
優秀賞
先生
阪和インテリジェント医療センター10年の歩み������������������42
6.緩和ケア病棟におけるリハビリテーション ~全身状態が低下した時、療法士は何ができるか?~���15
阪和第二泉北病院 リハビリテーション部 A5北病棟 阪和第二泉北病院 阪和インテリジェント医療センター PETセンター長
小川洋二
先生
○福 田 輝 路、出 路 育 未、宮 崎 巳 美、徳 留 由 貴、山 口 真 人、岩 朝 勤
HIMC10年の歩み 阪和人工関節センター ������������������������44
阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター長
最優秀賞
7.
「おいしいごはん 楽な姿勢で楽しく食べたい!」
~食事姿勢について~ �����������19
格谷義徳
先生
阪和病院リハビリテーション OT・PT・ST・Ns.
○矢部奈津美、山 本 桐 子、隅 野 友 紀、佐々木裕美、坂 元 敦、藤 倉 英 雄
西 川 知 佐、御 野 仁 孝、吉 井 美 紀、黒 木 麻 耶、中園真理子、野 村 奈 保
柴 坂 大 樹、脇田より子
フレッシュ賞
8.実現できる私たちの夢 ~ゆかいな仲間と希望を語ろう~�������������������23
阪本病院 デイ・ナイト・ケア なかまの家
○吉 本 ⾥ 帆、⿊⽥有加⾥
─2─
─3─
目指せ!ナースコールゼロ
~患者のニーズを先読みしたナースコールに頼らない看護を目指す~
医療法人錦秀会 阪和記念病院 7病棟
○近 江 梨 恵 古別府香奈 木 岡 広 美
はじめに
7病棟は施設基準「障害者施設等入院基本料」を算定している病棟であり、約64.9%の患者がベッド上の生活を送っ
ている。また点滴や気管切開チューブ、NGチューブ挿入中の患者も約62.5%入院している。自分の意志でナースコール
を鳴らせる患者は約25%であるが、患者のニーズの発信源であるナースコールが鳴りやまない、看護師は迅速に対応で
きていない現状があり、患者が必要な時に対応できるよう取り組んだので報告する。
まとめ
今回の取り組みは、患者が必要とする時に迅速に対応することはできなかったが、私たちのナースコールへの認識を
深め、何故ナースコールが鳴ったかを考える機会となった。
患者のニーズを先読みするためには患者の状態や環境に目を配り想像することが求められる。
不要なナースコールはできるだけ減らせるよう、業務改善や情報共有に努める。
参考文献
高橋法恵:患者のニーズに気づき、不要なナースコールを生み出さない ナースマネージャー Vol.15 No.10
下村陽子:病棟の安全・安心ケア実践のための着眼点
ナースマネージャー Vol.14 No.8
研究方法
期間 平成26年10月1日~12月31日
対象 7病棟に勤務する看護師・准看護師・看護補助者29名
方法 ①ナースコール認識調査1回目
②各部屋担当看護師はノートパソコン・カルテを持って担当病室で記録
「目指せ!ナースコールゼロ」と毎朝唱和
③②取り組み後 ナースコール認識調査2回目
結果
自分の意志でナースコールを鳴らせる患者は入院患者の25%にもかかわらず、看護師1人当たり1日平均26.2回対応
していた。コールセンサーが反応するものを含めれば約41.2回となる。その内容は、
「お茶やリモコンを取って欲しい」
といった環境調整に関わるもの、
「疼痛や掻痒」といった療養上の訴え、
「排泄」といった基本的欲求に関するものが多
く、その他「寂しい」
「ただ押してみた」というものもあった。また看護師がナースコールにすぐ対応できない理由とし
て「排泄や吸引等他患者の対応」が最も多く、
「ナースコールに振り回されている」という感覚を感じている看護師がほ
とんどであった。また「ナースコールが鳴る前にニーズに気付いて対応したい」という思いを抱えていることもわかっ
た。しかし取り組み後も看護師1人当たり1日平均20.3回と有意に減少したとは言えない結果であった。ナースコール
の内容も前後で変化はなかった。今回患者の声は調査できなかったが、看護師がベッドサイドにいることを評価する指
標として身体拘束率、インシデント発生率、褥瘡発生率を比較してみたがいずれも優位な変化は見られなかった。
(表1)
考察
ナースコールの内容から患者がナースコールを鳴らさなくても済むものが意外に多く含まれていることがわかった。
それは、
「環境調整」
「点滴や吸引等の処置」
「排泄誘導」などがあげられる。しかし看護師が病室に滞在する時間が増
えてもナースコールの質に変化は見られなかった。これは看護師が患者の状況を把握できていない現状、業務の多忙を
示唆していると考える。インシデントからも対象の期間中に気管切開チューブ抜去の重大事故が2件、転倒による重大
事故が1件発生したことから、患者のニーズを先読みして看護を提供するという目標とは大きく異なる結果となったと
考える。看護師は患者の視点に立って日々の業務を遂行しなければならないが、ナースコールの対応という視点で考え
れば患者からのナースコールでやっとニーズを把握し対応することに精一杯という現状が見えてきた。またナースコー
ルが鳴る前に対応したい思いはあるが、対応できない要因としては「患者のニーズに気づいていないのか」あるいは
「気づいているが対応できないのか」に分けられると考える。もちろんコールセンサーのように鳴らないといけないナー
スコールもあるため、看護師が患者の安全を確保するため鳴らさなくて済むニーズについてはベッドサイドに行き、患
者の観察や環境への気配りをすることでニーズを想像することが必要と考え、今後もっとベッドサイドへ行き、一人ひ
とりの患者をしっかり捉えていきたいと思う。
─4─
─5─
Do not open the door so much
~その扉の開閉必要ですか?~
医療法人錦秀会 阪和住吉総合病院 手術室
○山 中 里 菜 西 郡 神 奈
で再調査前との回数の有意差は認めなかったが、背景別で分析すると、手術必要物品の収集による扉の開閉に、大幅
な減少を認めた。このことから、物品リストの見直しにより、経験値の少ない卒後2年目も他スタッフと統一した準
備ができたことで、術中に不足物品を取りに行く回数が減り、扉開閉回数の減少につながったと考える。しかし、間
接介助者補助の為の扉開閉回数は全体の32.6%を占め、前回より増加の結果となった。前回の調査から時間が経ち、扉
開閉への意識が薄れたことで、他スタッフの目的が明確でない入室が増えたことも増加要因であると考える。
PHS導入後は、手術進行状況の確認による扉開閉回数に減少は認めなかった。進行状況の確認は実際に目で確認する
1.はじめに
手術室は、清浄度の高い状態を維持し術後感染を回避した手術が出来る環境を作ることが重要である。手術室の空
調は、空気圧を高く維持することで、空気の流れが手術室から外に向かい、外部からの空気が入ってこない陽圧になっ
方が確実かつ有効的である為、PHSの使用が浸透しなかったのではないかと考える。しかし、他部署への連絡時、通路
の電話を使用せずPHSを代用することは扉開閉減少に有効であると考える。
ている。しかし、手術室扉の開閉を行うことによって気流が発生し、この空気の流れは破綻する。CDCガイドライン
今回の研究を行ったことで課題が明確となり、リストの見直しやPHSの導入などの対策を講じた結果、背景別の要因
には「手術室のドアは機材・スタッフ・患者の通過時を除いて閉めておくこと、必要最低限の人員に入室を限定する
を軽減していくことはできたが、明らかな扉開閉減少につなげることはできなかった。今後、扉開閉への意識の風化
こと」とある。また「1時間に6回以上の扉の開閉」が手術部位感染(以降SSI)のリスク要因の一つとして挙げられ
を防ぎ、継続的に扉開閉の減少に取り組むことが課題であり、清浄度の高い環境を維持し、安全な手術空間を提供し
ている。当手術室では、消化器外科手術が全体の4割を占め、緊急手術や同時間帯に数件の手術が重なることも多く、
ていけるよう、課題に取り組んでいきたいと考える。
手術中の扉の開閉が多い現状である。そこで、当院の扉開閉について検証し、可視化したことで当手術室の現状が明
らかになった為、ここに報告する。
4.結論
1)
開腹・腹腔鏡手術の手技別、予定・緊急手術別による扉開閉回数の有意差は認めない。
2)
物品リストの見直しは、スタッフ間で統一した物品準備ができ、扉開閉の減少に有効であった。
2.研究方法
(1)
研究期間:平成26年10月31日~平成26年12月9日
3)
他部署への連絡等は扉の開閉を行わずにできるPHSを代用していく。
4)
扉開閉への意識の風化を防ぎ、継続的に扉開閉の減少に取り組む必要がある。
平成27年7月7日
(再調査)
(2)
対 象:研究期間中に行われた消化器外科手術 31件(内1件は再調査)
予定手術の約4割、緊急手術の約8割が消化器外科手術である為、研究対象を消化器外科とした。
(3)
研究方法:量的研究
・カウント計を用いた扉開閉回数の調査
・ビデオを用いた扉開閉の背景調査
3.結果・考察
今回の調査で1時間あたりの開閉回数の平均は11.2回で、30件すべてに1時間あたり6回以上の開閉を認めた。背景
別では、部屋間の移動、手術必要物品の収集が特に多く、出入りする人別では、麻酔科医、間接介助者、管理者で約
8割を占めていた。また、開腹・腹腔鏡手術の手技別、予定・緊急手術別では、有意差は認めなかった。
時間帯別では午前中に開閉回数が多く、午前中は次の手術の時間調整や準備、手術が同時間帯に2件以上行われて
いることが多く、麻酔科医の部屋移動も開閉回数増加要因の1つであると考える。
手術件数別では、頻繁にある腸切除術に比べ、件数の少ない膵頭十二指腸切除術(以降PD)の方が開閉回数が多い
要因として、経験が少ないことから予測が難しいことや、長時間の手術であり、進行状況の確認による出入りが扉開
閉の増加につながったのではないかと考える。
米国手術看護師協会推奨業務基準には「通行による乱気流を最小限にすべきである。
」と記されているが、患者の状
態観察の為麻酔科医が部屋を移動することは不可欠である。しかし、手術の進行状況や手術時間調整などの確認は扉
の開閉を行わずにできるツールを考慮することが必要であると考える。
次に、背景を経験年数に由来するものに絞り分析した結果、他スタッフに比べ卒後1年目は手術必要物品の収集と、
卒後1年目を補助する為の他スタッフの扉の開閉が多くみられた。卒後1年目は間接介助の経験が浅いことから他の
スタッフが補助に入ることが多く、回数の増加につながったと考える。
当院には手術準備の際使用する物品リストがあるが、実際は経験値で物品を集めることもある為、経験値の少ない
卒後1年目は、術中の不足物品の収集による開閉が多くなったと考える。
以上の考察をもとに統一した準備を行うことで、不足物品の収集による扉の開閉が減少すると考え、全物品リスト
の見直しと手術進行状況などの確認の為のPHSを導入し、その後再調査を実施した。
再調査は、術式別、経験年数別に有意差がみられたPDで行った。結果、1時間あたりの扉開閉回数の平均は13.1回
─6─
─7─
元気に活き活き楽しく暮らしたい
共有し注意深く食事介助を行った。
10.かみ合わせの良くない患者様は家族、主治医と相談のうえ歯科に依頼し、入れ歯等の調整や治療を行った。
“アクティビティケアの効果”
阪和病院 16詰
○黒 木 真 奈 平 田 裕 美 紙 透 君 代 田 中 栄 子 西 尾 優 維 金 沢 佳 子 武 政 隆 子
清 水 隆 子 松 原 正 明 安 部 愛 海 西 柳 朱 梨 三 浦 明 美 川本真由美 清竹小夜子
11.家族の協力を得ておやつの時間を設定し、談話室に出てもらうことで離床回数を増やした。
12.おやつは患者様の嗜好と食事形態に合わせた。
Ⅳ 結果および考察
1.車椅子に移乗させると見守りにて自操で談話室へ出てこれる患者様が増えた。
‌ 片麻痺のある患者様は、昼食の時間前に談話室の手すりを用いて立位訓練を行っている。また、大腿骨骨折
Ⅰ はじめに
療養病棟には病状は比較的安定しているが在宅復帰に向けて様々な準備が必要な後期高齢者の入院が多数を占めて
いる。
加齢に伴う認知機能の低下や身体機能の低下は「基本的な」衣食住の生活を維持することも困難となり食事・排
泄・清潔の維持にも介助が必要となってくる。私たちは老年期入院患者様の現存機能を維持し、その人らしく健や
かに日々が送れるようケアをする必要がある。
OPE後の患者様も見守りで車椅子から椅子への移乗がスムーズにできるようになった。見守りで歩行可能な患
者様は杖やシルバーカーにて補助具の使用で談話室へ出ている。
また、現在入院中の5名が経管栄養から経口摂取へ移行できた。
2.離床することで、背筋・腹筋が鍛えられ食事中の姿勢がよくなった。
‌ これは車椅子を自操することや椅子に座って食事をするなど、毎日離床することで座位保持が安定し、その
私たちの病棟では
① 患者様に笑顔で人格を尊重した声かけができる。
② 褥瘡をつくらないよう栄養状態を改善し、効果的な体位変換を行う。
③ 経口摂取が維持できるよう嚥下機能の維持改善につとめる。
④ 口腔ケアを徹底し、嚥下性・逆流性肺炎を予防する。
を目標にケアに取り組んでいる。
結果、食事中の姿勢などADLの維持につながったと考える。
‌ 運動器の障害の原因は「運動器そのものの疾患」と「加齢による運動器の機能不全」に大別される。加齢に
よる運動器の機能不全による廃用症候群に対しては離床を促すことでADLの維持・向上につながったと考えら
れ、運動の促進・強化、姿勢と動作の改善、ADL訓練、運動療法などが有効であった。
3.‌ポップキャンデを舐めることは唾液の分泌を促し、口腔内の環境をよくする効果が十分にあった。加齢に伴う
今回、
認知症や難聴の患者様には嚥下体操のみでは効果が期待できなかったが、キャンディを舐めることで摂食・嚥
① 離床する時間を多くする。
下などの評価ができ口腔機能の回復効果があった。しかし、ポップキャンディを舐めてもらうことはすべての
② 現存機能を維持する。
患者に適応できない。残存歯があったり、噛み砕いてしまう危険性のある患者様には適応は難しい。摂食・嚥
③ 日々の生活の中に楽しみをつくる。
の3点を加え、平成25年1月から本格的にアクティビティケアを開始し成果があったので、その内容と結果に考察
を加えて報告する。
下機能も筋力やなどの身体機能と同様に加齢や疾患の影響で低下する。摂食・嚥下機能の低下は唾液を飲み込
めなくなるなど誤嚥性肺炎の発症リスクを高めると考えられ、その確率を下げるためにも、効果的な摂食・嚥
下訓練の方法を今後も検討していくことが必要である。
Ⅱ 研究対象
4.‌自己にて食事が摂取できる患者様が多くなったことで、スタッフにゆとりができ一人ひとりへの気配りや嚥下
16詰入院患者数 42名 男女比8:34
平均年齢 男性78.1歳 女性85.8歳
状態を常に観察することができるようになった。その患者様に合った食事を提供することでムセや嗄声なく安
後期高齢者の割合 男性8名中4名(50%)
全に食事をすることができている。
女性34名中31名(91.1%)
‌ ただ「食べる」
ということをサポートするだけでなく、摂食・嚥下というものが一つの運動であることを意識
経口摂取42名中20名 男性3名(76.3歳)
女性17名(89.3歳)
すること、嚥下機能の効果を高めること、誤嚥を予防し改善することが重要であると考えられ、口腔ケアの徹
経管栄養42名中22名 男性5名(79.2歳)
女性17名(82.0歳)
底も重要である。
5.‌おやつの時間を設定したことで談話室に出てくる患者様が多くなった。患者様の表情も明るくなり、他患者と
Ⅲ ケアの実際
1.座位保持が可能な経口摂取の患者様は毎食談話室に誘導した。
2.車椅子の自操が可能な患者様はできるだけ見守り自操とした。
3.立位の可能な患者様は車椅子から椅子への移乗を行った。
4.経管栄養の患者様もできる限り車椅子やリクライニングチェアーに移乗し、談話室で経管栄養の注入を行った。
の交流の場となり会話も増えている。
‌ また、それぞれの患者様の嚥下状態に合わせたおやつを提供している。口の中で溶けやすいビスケット、家
族様の持ち込みでプリンやゼリー、バナナ、カステラ、コーヒー・紅茶・ジュースなどを提供している。
‌ おやつの時間は日々の生活に潤いを与え生活リズムへの刺激となり、また楽しみになっている。経口摂取患
5.昼食前に、摂食機能の改善や唾液の分泌がスムーズになるよう、ポップキャンディを舐めてもらった。
者様の平均年齢は87.2歳と高齢であるが現在も経口摂取が維持できている。これはおやつの時間が楽しみとな
6.ラジオ体操で全身を動かし、嚥下体操をすることで摂食・嚥下機能の改善をはかった。
り食べるということが生きる活力にもつながっていると思われる。
7.食事介助の必要な患者様も直ぐに介助するのではなく自力で摂取できるよう介入した。
8.患者様の嚥下状態を常に観察し、主治医と相談して食事の形態を随時変更した。
9.‌食事中のムセやスムーズに嚥下のできない患者様は主治医に報告し、嚥下造影を依頼し、結果をスタッフ間で
Ⅴ まとめ
1.車椅子を自操することで背筋・腹筋が鍛えられ、座位姿勢がよくなる。
2.食前のポップキャンディは唾液の分泌を促し、摂食・嚥下機能の評価にも役立つ。
─8─
─9─
40年の入院生活から地域へ
3.口腔機能の改善は食への意欲につながっただけでなく、誤嚥性肺炎発症のリスクも少なくできる。
4.おやつの時間は、日々の生活のリズムを整え、ADLの維持・改善となり、患者様の表情が明るくなる。
人生の大半を病院で過ごしてきた人への退院支援からみえてきたこと
阪和いずみ病院 精神科開放病棟
おわりに
○吉 本 絹 子 北 平 千 穂 田 邉 友 也
今回、看護研究をすることで日々病棟で行っているケアの見直しができ、効果があったことも分かった。しかし、老々
介護や独り暮らしなど在宅復帰に対してのハードルは高い。今後も入院患者様の快適な生活環境が維持できるようケア
の見直しを行っていきたい。
Ⅳ.事例紹介とこれまでの経過
Ⅰ.はじめに
わが国の精神疾患患者の処遇は、私宅監置制度
ご清聴ありがとうございました。
<事例紹介>
(1950)の廃止まで、座敷牢に収容されるという時
代が続いていた。戦後、精神病床の圧倒的な不足が
文献
明らかとなり、これを解消するために日本各地で建
参考文献
・山田律子、井出 訓:生活機能からみた老年看護過程、医学書院、2008
・北川公子:老年看護学、医学書院、2010
設された多くの精神科病院が社会的長期入院患者を
うみだすきっかけになった。後の法整備により、長
期入院患者の退院が望まれたが、2011年現在、入
院患者数の緩やかな減少は認められるものの実質
引用文献
・道又元裕:看護技術 リハビリテーション実践、メヂカルフレンド社、2013
・六角遥子:より個別性に注目したアクティビティケアの提供に向けて、臨床老年看護、2000
的な問題解消には至っていない(精神科看護白書,
2014)
。このような歴史のなかで、患者は、病院規
則のなかで生活することに慣れ、本来もっていた能
<当院入院までの経過>
力を失い、生活力の獲得する機会を逃してきた。
今回、事例として挙げるA氏もこのような時代を
中学校卒業後、就職するが、ものに怯えるように
生きた“社会的長期入院患者”の一人である。A氏は、
なり、父を殴るような行為も見られるようになった
親への暴力がきっかけで入院となり、今回の退院支
ため、A病院に1年半入院。退院後も再就職するが、
援により地域に戻るまで約40年間もの入院生活を続
すぐに解雇され、B病院で1年半の入院生活をおく
けていた。なぜ、退院までにこれほどの年月を要し
る。その頃から絶えずゲラゲラ笑うようになり、昭
たのか。約半世紀もの看護記録をひも解くことで見
和49年より当院に入院となる。
えてきたA氏の生活史を概観しながら、退院支援の
<当院入院後の経過>
入院当初は、幻聴やそれに伴う興奮が見られ、注
取り組みを振り返ってみた。
射や内服による治療が行われた。A氏は当時のこと
Ⅱ.研究目的
を思い出し、次のように語っている。
長期入院患者の退院支援活動から、長期入院に及
んだ要因を明らかにし、今後の看護支援への手がか
りとする。
Ⅲ.方法
1.データ収集方法:
40年分の診療録
‌過去の入院カルテを参照し、インタビューは対
象者とそのご家族、当院スタッフに対して実施
した。
者との生活上のトラブルや錐体外路症状に関する記
2.期間:
[平成25年4月~平成27年9月]
述が中心になっていく。 3.倫理的配慮:
‌対象者と家族に対して、研究の趣旨、目的、研
究同意と撤回の自由、個人情報の保護、協力を
断っても不利益は生じないこと、公表の仕方に
ついて口頭と書面で説明し同意を得た。
─ 10 ─
数年後には、精神症状に関する記述は減り、他患
─ 11 ─
<退院後の現在>
日常生活においては、看護師の雑用を手伝うこと
人賞
O法
NP
「住み慣れた家で安心できる生活を支えたい」
日中は作業所に通い、ガイドヘルパーの付き添い
が日課となり、年月が過ぎていった。
~意識改革から生まれたプロ意識~
で、ショッピングセンターやレジャー施設などへも
阪和第一泉北病院 通所リハビリテーション
外出している。外来受診時には、当院のフロアで過
○辻 林 律 子 金 崎 泰 成
ごしたり、院内レクリエーションに参加したりして
過ごしている。施設では、個室でTVを見ながらお
菓子を食べるなどして、自分の時間を過ごしている。
退院後のいま、A氏とお姉さんから現在の生活に
ついて次のような言葉を聞くことができた。
A氏の言葉
「自分だけのTVを見られるようになった。」
「人間らしい生活ができてる。」
このような経過から、本人の退院を望む言葉も
はじめに
通所リハとは、自宅で生活されている高齢者が主にリハビリを目的に利用されるサービスです。ケアマネジャーから
のケアプランを基にサービス計画を立案し、個々にあった在宅生活の一部をサポートする役割があります。多方面との
連携が必須であり、全体で継続したサポートを続ける必要がありますが、今までは通所リハとしての機能が活かされて
いるとは言えず、提供するサービスが通所リハだけで終わってしまっているのが現状でした。
そこで、職員の意識改革と情報収集の見直し・在宅生活重視のサービス展開、この2つの課題に対しての取り組みと
結果について報告します。
お姉さんの言葉
徐々に少なくなっていった。
「これまで、色々なことを、ごまかしてきたけど、
<長期入院により経験する機会を逃してきたA氏>
もう、うそをつかなくて良くなりました。」
40年後の平成25年より、本格的な退院支援が開始
となる。処方については主治医と検討し、薬の副作
用によって受けた生活障害からQOLを取り戻すた
①職員の意識改革と情報収集の見直し
職員アンケートの結果から、通所サービスは基本が在宅であることの認識が薄れていく傾向が強くみられます。お迎
えに行き、入浴、リハビリを終え、お送りすればそれで終わり…そうではありません。飽くまで利用者は家に帰り、通
Ⅵ.考察
<退院支援から見えてきた長期入院の要因とは>
め、可能な限りの減量に取り組んだ。合せて、院外
での活動も積極的に増やすことを行ったが、退院支
退院に40年もの期間を要した背景には、A氏の諦
援を進めるなかで、長期入院による弊害が明らかに
めや疾患による問題以外にもいくつかの要因がある
なっていった。
と考えられた。
所リハは自宅での生活の延長である理解が必要でした。通所リハの専門職の仕事として在宅生活まで視野を広げるには、
今までとは違った視点が必要になってきます。自宅では、なんとか歩行している利用者が通所リハの移動手段に車椅子
を使用していることが稀にあります。これは通所リハが在宅生活の延長と言えるでしょうか。サービスが在宅生活の一
部であるためには家での情報が重要なカギになります。
そこで、業務改善と合わせて家族やケアマネジャーからの情報収集の方法を見直し、ほしい情報がお互いに収集でき
るようにし、また情報を与えてもらうだけでなく、自ら取りに行く姿勢で在宅からの継続したサービスを毎日展開でき
るようにしています。そして、日常会話から出てくるヒントをその場限りで終えないために利用者の本当の気持ちを大
切にし、目標設定にも反映します。
利用者に目標や希望を直接確認すると明確な目標を持っている高齢者は極少数です。私たちは声に出ない、目に見え
ないニーズや問題点を発見していかなければいけません。今まで見落としてしまいがちだった日々の利用者の生活や気持
ちの変化を拾い上げることが、結果として利用者の本当に過ごしたい生活に繋がっていくことを知ることが出来ました。
このような体験を経て、平成26年に退院した。
一つは、このような精神科医療の風土のなかで、
誰もが「退院する」ということを考えなくなってい
Ⅴ.[退院支援開始から現在まで]
<A氏の不安を理解した退院後のサポート>
地域での生活とは比べものにならない期間を病院
②在宅生活重視のサービス展開
平成27年度の介護保険改正に伴い、活動と参加に焦点を当てたリハビリの充実とリハビリ会議の開催が大きな課題と
なりました。今までの現状維持が中心の通所リハではなく、攻めの姿勢が求められています。
たことである。長い長い時の流れのなかで、A氏は
そこで毎月実施していたリハビリカンファレンスからリハビリ会議への移行を始め、自立支援と卒業を視野に入れた
「退院したい」と言わなくなり、お姉さんも「病院
動きに変わっていきました。自立支援のためには、今までの「サービスがあるから出来る」ではなく、
「自分で出来るよ
で過ごしてきたA氏にとって、地域に戻ることは希
に居てくれる方が安心」と思うようになっていた。
うになるためにサービスを使う」という考えにシフトする必要がありました。利用者の出来ていることやもう少しで出
望でありながらも、不安であったはずである。その
病院にとっても「おとなしくて、いい患者」であっ
来るようになることを生活全般で捉えたサービス提供が必要です。そして提供するサービスに対しての目的と目標を明
思いを汲み、退院後も“A氏と病院を”完全に切り離
たため、積極的な退院支援に動くことがなかったの
確にした上でその人に合ったサービス内容を利用者と決める。リハビリ会議で具体的方策を利用者や家族そして多方面
すことのないよう次のような支援に取り組んだ。
だと考えられる。またなにより、医療者側が、患者
の連携によって生み出す。通所リハは生活の一部であり、目標や課題に対しての利用者の認識とそれを支えるすべての
の能力を低くみていたことも、退院を長期化させた
人達との情報共有が必要です。セラピストが家に行く機会も増え、実生活を現実で捉えたうえで本当に必要なリハビリ
要因であると考えられる。
を考えられるようになりました。利用者の気持ちにも少しずつ変化がみられています。利用者の今まで見たことのない
笑顔や希望に満ちた表情など、日に日に若返っていく利用者も中にはいらっしゃいます。新たな試みやチャレンジが今
Ⅶ.おわりに
“入院生活を必要最小限にして、地域での生活に
の状態を維持することだけでなく、小さな積み重ねでも自立支援やADL・意欲の向上に直結し、これからの進化した通
所リハの方向性が確立していこうとしています。
つなげる支援”は、長期入院患者に限った話ではな
い。今回の学びを、これからかかわる様々な状況の
患者さまにも活かしていきたい。
─ 12 ─
─ 13 ─
優
終わりに
この取り組みを通して職員の意識は在宅生活に自然と着目出来るようになりました。利用者の本当の意味での暮らし
きと生活が出来るために、私たちの取り組みはこれからも続いていきます。
そして、今後益々増加していく高齢者が、住み慣れた地域で安心して生活できるためにも、私たちは通所リハが存在
賞
緩和ケア病棟におけるリハビリテーション
~全身状態が低下した時、療法士は何ができるか?~
を良くするためには、継続と更なる挑戦が欠かせません。職員の意識も確実に変化がみられています。大きな変化では
ないですが、確実に少しずつプロとしての自覚が芽生え始めています。利用者の笑顔が少しでも増えるために、活き活
秀
阪和第二泉北病院 リハビリテーション部 A5北病棟
○福 田 輝 路
(OT)
出路育未
(PT)
宮崎巳美
(Ns)
徳 留 由 貴
(Ns)
山口真人
(PT)
岩朝 勤
(MD)
する意味を見失わず、地域に誇れるものでいなければなりません。在宅で生活されている多くの高齢者や家族は少なか
らず不安を感じていることが考えられます。私たちは一人ひとりの気持ちや繋がりを大切にし、小さな通所リハでも大
きな力になれることができるように、在宅生活を続ける高齢者や支える人達にとっての頼れる存在であり続けたいと思
います。
─ 14 ─
─ 15 ─
─ 16 ─
─ 17 ─
秀賞
最優
「おいしいごはん 楽な姿勢で楽しく食べたい!」
~食事姿勢について~
阪和病院リハビリテーション 1)OT 2)PT 3)ST 4)Ns.
○矢部奈津美1 山 本 桐 子1 隅 野 友 紀1 佐々木裕美2 坂 元 敦2 藤 倉 英 雄2
西 川 知 佐1 御 野 仁 孝2 吉 井 美 紀3 黒 木 麻 耶3 中園真理子3 野 村 奈 保2
柴 坂 大 樹1 脇田より子4
現状
「おいしいごはん
楽な姿勢で楽しく食べたい!」
・食べにくそうだな
・こぼれているな
~食事姿勢について~
・見えにくそうだな
阪和病院 リハビリテーション部
作業療法士 矢部 奈津美
山本 桐子
なぜか?
そこで
自分自身で姿勢の崩れを直すことが
おいしく食べる喜びをもう一度
むずかしい!
私たち医療従事者が姿勢を整えることが
病棟へ行き、姿勢を整えよう
できていないこともしばしば…
取組みについて
食事とは
<対象>
在宅復帰機能強化型病棟の患者様
活動力の根源であり、一番最後まで残る
<期間>
H27.04.27~H27.05.27
「おいしい」という楽しみである
食べることが楽しいから、身体を動かせる
という活動意欲の素ともなる
<伝達方法>
デモンストレーション、写真提供
~食べることの障害とアプローチ 山根寛~
─ 18 ─
<内容>
食事姿勢の三原則を基に
環境設定やポジショニングの検討
─ 19 ─
A様(環境設定)
食事姿勢の三原則
介入前 (前から)
疲れるな・・
しんどいよ・・
・軽度うなずき嚥下
・姿勢保持
(90°ルール)
アプローチした
ポジショニングと環境設定
介入前
・食べこぼしが見られる
・姿勢が崩れている
・姿勢が崩れている
・手が上がりにくい
・手が上がりにくい
・足底接地
B様(環境設定+ポジショニング)
B様(環境設定+ポジショニング)
①クッションの使用
②滑り止めの使用
・食べこぼしがみられる
③座面の高さ調節
・表情に余裕なし
④足台の設置
~ADLとシーティング 土中伸樹~
A様(環境設定)
A様(環境設定)
介入前 (横から)
アプローチした環境設定
・食事が見えにくい
①机と体の距離を調節
・机と体が離れ過ぎ
②座面の高さを調節
・フットレストに上がっている
③フットレストから
足台へ変更
・臀部がずれている
B様(環境設定+ポジショニング)
患者様に得られた効果
介入後
姿勢の崩れ軽減
おいしい♪
・姿勢の崩れなし!
食べこぼし、取りこぼし軽減
・手がよく上がる!
介助量軽減
・食べこぼしなし!
食事意欲の向上
食べにくいな
A様(環境設定)
介入後 (前から)
おいしいなあ♫
A様(環境設定)
介入後 (横から)
取組みで得られたこと
病棟の声
おかわり!
・食べこぼしなし!
・姿勢の崩れなし!
・食事が見える!
(うなずき嚥下)
・手が上がる!
・机と体の距離が近い!
・表情に余裕あり!
・骨盤や足が安定!
食べこぼしが減った!
─ 20 ─
病棟スタッフと療法士の
情報共有機会が増えた

姿勢の崩れに
目を向ける機会が増えた

専門的な知識を
活用することが出来た
食事姿勢の大切さを実感した!
食事以外の時間でも姿勢を
気にするようになった!
姿勢の崩れが減った!
・意欲高い!

─ 21 ─
ュ賞
ッシ
レ
フ
実現できる私たちの夢
~ゆかいな仲間と希望を語ろう~
阪本病院 デイ・ナイト・ケア なかまの家
○吉 本 ⾥ 帆 ⿊⽥有加⾥
はじめに
実現できる私たちの夢
病棟の声
改善が必要な点
2011年12⽉〜2012年1⽉に当院外来患者361⼈を対象に
「患者のニーズに合ったデイケアサービスなどの提供」の調査
〜ゆかいな仲間と希望を語ろう〜
どのようなことが
したいですか?
姿勢を直しても、時間が経つと崩れる
伝達後の情報交換の少なさ
日によって姿勢の崩れ方が違う
伝達された通りにポジショニングできない
仕事について
どのように考えて
おられますか?
様々な患者様に適応するのが難しい
療法士がその場にいないとき、
働きたい
医療法⼈聖和錦秀会 阪本病院 デイ・ナイト・ケアなかまの家
○吉本 ⾥帆 ⿊⽥ 有加⾥
すぐに相談できない
おわりに
今後の課題
なかまの家で⼤切にしている事
2013年4⽉開所
伝達後も継続して情報交換を行う
カンファレンスや勉強会を活用し
希望
夢
「おいしく食べる」ために
重要なことは、、、
きれいな姿勢で自分で食べること
食事姿勢に興味をもってもらう
その⼈らしい⼈⽣をいきいきと過ごす
対象と⽅法
開所から現在までの
ひとりの気づきが大きな気づき!
食事姿勢に目を向けてみませんか?
・就労実績
・プログラム、
利⽤者の変化
開所から2年半を契機に
利⽤者の変化を調べた
を調べた
なお、対象者のプライバシー及び
匿名性の保持に充分配慮した。
なかまの家利用者
─ 22 ─
─ 23 ─
②プログラムの変化
結果と考察
①就労実績
⼀般就労
1)利⽤者が夢や希望を語る中で⽣まれたプログラム
福祉的就労
ぴあアロマ
ハンドマッサージ
なかまの家を利⽤して、病気とのつきあい⽅や
⼈間関係を学びました。
FMかっつん
(⾳楽番組)
現在は⼀般就労し、時々なかまの家へ来ている。
②プログラムの変化
DJになるのが
夢でした
(^o^)
不定期で⾳楽番組をしています。
リクエスト募集中♪
週2回、仕事終わりに
なかまの家に来ています。
実戦形式
⾃⼰決定
⾃⼰選択
WRAP(元気回復⾏動プラン)を
デイケア・病棟で⽉に1回実施
⾃信回復
社会性の習得
就労の基盤づくり
を⽬的
A型作業所で頑張って
います。今は施設外就
労に⾏っています。
しっかり頑張って⼀般
就労に結び付けたいと
思っています。
③なかまの家以外の当事者との交流
2)新たに開始した就労⽀援プログラム
健康管理
⼊院中の患者・家族・利⽤者・
スタッフを対象に傾聴と分かち合い
就職
16⼈
20⼈
Aさん
なおちゃんとひまつぶし
FMかっつん
Peer Café(喫茶)・当事者研究
は⼊院中の⽅も参加
D⽒
得た知識
WRAPが好き。⼀⼈⼀⼈と深く対話でき、
⾃分を振り返る事が出来る。
精神障害とか健常者の枠を越えて、⼼⾝ともに
健康を保つのに必要な事として伝えていきたい。
多職種で実施
ぴあアロマハンドマッサージ
⼀般就労だけでなく、
⾃分の働きたい希望・⽬標に
合わせて前進していく姿が
⾒られた。
利⽤者のおかれた状態や⽣活を決めつける事をせず、
社会に⽣きる⼀⼈の「⼈」としてその⼈の持つ夢や
希望を⼤切にしていきたい。
なおちゃんとひまつぶし
お客様を
癒やせたのが
⾃信になりました
(*^_^*)
感謝の気持ちを
聞き、語り合う楽
しさと⽣きがいを
感じてます♪
毎週⾦曜⽇
アロマハンドマッサージ
アロマフットマッサージをしています。
毎週⾦曜⽇
⼊院中の患者・家族・利⽤者・
スタッフを対象に傾聴と
分かち合いをしてます(^o^)
─ 24 ─
─ 25 ─
「家に連れて帰りたい」
~家族の願いを叶えるために、私たちが出来ること~
介護老人保健施設 錦秀苑3階フロアー
○井 口 真 弓 岩 倉 佑 介 要 琴 乃 宮 崎 太 地
<新たな課題>
この3つの課題を中心に、定期的なカンファレンスを行い取り組んできた。食事や排泄動作の介助量は軽減し、在
宅復帰可能となったが、入所3ヶ月頃より、ご家族様の心境に変化がみられる。ADL向上するとともに、転倒や夜間
の対応についての不安と本人のいない生活に慣れてしまったため、
「家に連れて帰りたい」という意欲が低下する。
1つ目の新たな課題として、動作が活発になり、立ち上がりや歩こうとするなど、転倒に繋がるような危険動作が
増える。対策としては、常時見守りしやすい場所で過ごして頂き、テーブルやトイレ内に《立ち上がる前に呼んで下
<はじめに>
介護老人保健施設の役割の中に在宅復帰があります。平成27年度介護報酬改定で、在宅復帰支援機能が更なる強化
さい》と言う貼り紙をし、車椅子座位中はフットレストをあげておくなどの対応を実施する。すると、現在では、転
となり、錦秀苑も在宅復帰を支援していくため、各職種が協力し、1人でも多くの利用者様が在宅復帰出来るよう日々
倒に繋がる行動も少なくなる。また、転倒リスクと対策をスタッフ全員が意志統一し、注意して見守りすることにより、
努力しています。今回、錦秀苑に入所されているT氏を事例にあげ、「家に連れて帰りたい」という願いを持ったT氏
ハットヒヤリ件数は激減する。
のご家族様に対し、家に帰るためにはどうすれば良いかを検討し取り組んだことを報告する。
2つ目の新たな課題として、夜間の頻回なオムツ外しに対しては布オムツの使用・パット交換の時間を変更してみ
たが変わることはなかった。そのため、オムツ外しの集中する時間帯に、頻回に訪室し、声かけにてトイレ誘導を行
うと、オムツを外す回数が減り、現在ではトイレ誘導することでオムツ外しも殆どなく、良眠される。
<事例紹介>
T氏 86歳男性・要介護度4。平成27年5月9日に病院から入所する。既往歴は小脳出血後遺症・廃用症候群・糖
<結果>
尿病
食事や排泄動作の介助量は軽減したが、ADL向上により転倒リスクにつながる危険な動作が増えたため、常時見守
○入所までの経過
‌平成26年5月に脳出血で入院。右下肢に麻痺が残るが自宅へ帰る。介護サービスを受けながら、妻と2人で生活
される。平成27年4月に言葉が出にくくなり受診。MRI撮影するも、脳に異常なく脱水と診断される。
○入所時の意向
‌ご本人様からは聴取出来ず。ご家族様は、家に連れて帰ってあげたいと強い希望を持っている。しかし、現在の
状態では共倒れになると周囲から反対される。
りが必要となる。又、夜間のオムツ外しの対応など新たな課題が、ご家族様の、在宅復帰への意欲を低下させる要因
の一つではないかと考えられる。
<まとめ>
今後は新たな課題の対策を継続して実施し、評価・検討を行い、T氏が在宅生活に必要な支援サービスを提案し、ご
家族様の「家に連れて帰りたい」という願いを、再度持って頂けるよう、各職種全員で支援していきたい。
<在宅復帰の課題>
入所当初のADLは、ほぼ全般全介助の状態である。認知面は、長谷川式簡易知能評価スケールでは30点中5点。意
思疎通や会話も殆どなく、短い返事が返ってくる程度である。そのため、在宅復帰するにあたり課題として、食事・排泄・
認知面の検討が必要と考え取り組んだ。
○課題① 食事面
入院中よりバラつきがあり、入所後も全粥・きざみ食を提供するが1から5割程と食事量の少ない日が続く。そ
のため、医師・歯科医師・栄養士をはじめ多職種がミールラウンドを定期的に行い、5月15日から昼・夕1本ず
つメイバランスを提供。すると、気力・体力が向上し、日々食事量が増え、提供開始8日目の5月22日からは毎
食全量摂取されるまでになる。その後も、食事量低下はなかったので、メイバランスの提供を中止する。その後は、
食事形態を、米飯や副食一口大・常食に変更しても摂取良好、嚥下も問題なく、全介助に近い状態であった摂取
動作も、現在はスプーンとお箸を使い、自己摂取されるまでになる。
○課題② 排泄面
入院中及び入所当初はオムツ交換で対応していたが、ご家族様の希望もあり、トイレでの排泄介助を試みる。し
かし、立位困難なため、日中は2人介助での対応。介助量が大きいため、リハビリで立ち上がり・平行棒歩行運
動・マシーンでの下肢筋力向上訓練を行った。結果、軽介助にて立位可能となり排泄介助は1人介助で可能となる。
その後、本人様から「トイレへ行きたい」
、と訴えることも増えるようになったが、夜間帯でのオムツ・パット外し・
脱衣等の行為が新たな課題としてなる。
○課題③ 認知面
入所後は殆ど会話もなく、声かけに対し短い返事をされるだけである。時折、帰りたいと帰宅願望がみられる。
レクリエーション等を通じて、意思疎通を図ると、笑顔が増え、会話も多くなる。しかし、危険認識が乏しい状
態でADLが向上したため、帰宅願望時やトイレ時に、車椅子から立ち上がり、フットレストをまたいで歩こうと
するなど、ハットヒヤリも多く転倒等に繋がる行動が頻回にみられる。
─ 26 ─
─ 27 ─
アルコール依存症患者への退院支援
~ B4閉鎖病棟でのはじめての取り組み~
医療法人財団 兵庫錦秀会 神出病院 B4病棟
○工 藤 里 美 桃 井 悠 希
はじめに。。。
アルコール依存症患者への退院支援
②内服に対する管理
アルコール依存症患者は飲酒をコントロールできな
くなる精神・身体的依存状態にあり、回復には断酒
の決意が必要不可欠である
が、しかし!!
~B4閉鎖病棟でのはじめての取り組み~
B4病棟では看護師が積極的な退院支援まで踏み込め
ていなかった
そこで!
医療法人財団 兵庫錦秀会神出病院B4病棟
工藤里美 桃井悠希
再飲酒によって入退院を繰り返して
いる患者の退院への援助ができた為
報告する
研究対象
入院までの経過🏠🏠
KP:母
父
弟の死後、飲酒量が増える。
通院し一時断酒するがその後も飲酒を継続、意識喪失し病
院に搬送される。身体状態は落ち着くが、意味不明な発言
や幻視がみられ在宅への退院は困難であり当院へ入院と
なる。
アルコール依存症
A氏
弟
自発性がなく
薬に対して無関心
内服チェックリスト
検討会
医療保護入院
看護師間での
医師
「自分で飲む」
入院時3点 ⇒⇒⇒ 研究開始時28点
自信
中期
内服に対する管理
商店街
BUT!
早く家に帰りたい!!
退院前訪問指導
病棟内カンファレンス
─ 28 ─
結果
まずはアルコールや断酒に対する知識を養う必要がある
自宅周辺ではいつでも飲酒できる環境
「その気になればいつでも止めれる」
具体的な断酒への対処法を考えなかった
違う話題に逸らす 当初の話をするのが嫌な様子
自分には関係ない!
精神保健福祉士
アルコール
③退院前訪問指導
① アルコール問題の振り返り
アルコール問題の振り返り
家族
任意入院
初期
看護の実際
看護師
情報共有
長谷川式簡易知能評価スケール
研究方法
STEP2 本人用薬BOX
酒は飲まん
スタッフ同士の意見交換
寝たきりの状態あったが、徐々に精神状態も安定し車椅子を
押し歩けるまでに身体状態も回復した。
50代前半 男性
アルコール依存症
趣味:読書、詩を書くこと
STEP1 内服セッティングBOX
カンファレンスの実施
入院後の経過🏥🏥
飲酒時に
心臓発作にて死去
隠れて酒を飲んだということに対して
皆には飲んでないと嘘をつく事はできるが
自分自身の身体に嘘はつけないということを
酒で体が動かんようなって自分に腹立った。
忘れてはならない
僕自身が酒を止め、
2度とあんな生活に戻りたくない。
代わりにコーヒーや日本茶などを楽しみます
手や足、腕や腰のしびれが起こる事は
自分自身の身体で1番分かっている
自分から会いに行くこともなく、
本気で悲しい思いをした
前と今では心のバランスが変化したような気がする
酒が酒がという気持ちが少しもない
気持ちが浮くぐらい軽い
自宅
1. 当院で医師が行っているアルコール勉強
会の参加を促す
2. 勉強会の内容を振り返り、レポートにする
再飲酒について振り返りを行う時間を増やす
以前のように飲酒してしまいそうな状況に遭遇したらどう対処
するかを考える
断酒生活を前提として今までの飲酒パターンを振り返る
飲み仲間と会っても断る
「飲みたくない、用事がある」
夜に出歩かない、余計なお金は持たない
断酒を続けるためにできることを考えた!
・通院、断酒会 ・本を読む
・自転車の練習 ・抗酒剤
─ 29 ─
抗酒剤
退院計画表
初期
初期
中期
中期
結果
結果
「飲んでも飲まんでも一緒」
「誰にも迷惑かけたことないし」
と言いながら内服していた。
外出外泊から帰院する度に話し合う
・抗酒剤の継続の必要性
・アルコール依存症は家族を巻き込む病気である
ことを認識してもらう
⇒今までの家族との関係性を振り返る。
「父も弟も酒で亡くなって自分まで酒で倒れて
母はショックやったと思う」
自分のためだけでなく、母を安心させるためにも
断酒するための意思表示として自ら進んで内服す
おわりに
「退院してから考える」
計画表を書かなかった・・・
退院後の生活がイメージできるように外出外泊を重ねた。
その都度、退院後にどのような生活が必要である
か話し合った。
早期に患者や家族のニーズに合わせ
プログラムを作成し社会資源を活用していれば、
患者・家族に対し退院後の生活をより想像しやすくなり、
スムーズな退院支援が行えたのではないかと思う。
飲酒欲求なく過ごせた
自ら退院計画表を作成できた!
・通院、断酒会
・本を読む
・自転車の練習 ・抗酒剤
・退院後に姪っ子と遊びに行く!
現在も通院・断酒会の参加を行い
飲酒することなく過ごしています。
るようになった。
母の心境の変化
初めての外出でいつ酒を飲むか
面会する度に本人の状態や表情も良くなり、
退院するなら絶対施設、
心配でドキドキしたが飲まずにいれた。
ここまで回復すると思わなかった。
家に帰って来てほしくない
毎回、薬も自分で飲んでるし、
帰宅してから匂いを確認した。
退院はまだ考えられないけど
もう面倒見きれない
酒を飲んだ様子はなく、
お酒を飲む様子もないし、
外出ぐらいなら一緒にしてもいいかなぁ・・・
買った物もコソッとチェックした
本人も飲まん言うてるから
大丈夫やね。
安心できた。
ケースワーカーと共に
入院当初より母親との面談を繰り返し
母親のお酒に対する素直な気持ちを
面談を繰り返し
思いを表出できるように関わる。
聞き出し不安な気持ちに寄り添う。
信頼関係を深める。
考察
アルコール依存症患者の退院支援には
患者に寄り添い信頼関係を築き、断酒の為
に何が必要であるかをスタッフと患者が共
に考え患者自身が決定し断酒を継続できる
よう関わることが大切である。
自宅退院
更に、家族の理解・協力が不可欠である。
─ 30 ─
─ 31 ─
医療と介護の連携
医療法人 錦秀会
阪和第一泉北病院
● 地域に根ざし、信頼・安心していただける病院へ
~多職種協働を念頭に…今後の展開を考える~
医療法人 錦秀会 理念
い の ち
やさしく生 命をまもる
● 阪和第一泉北病院
阪和第一泉北病院 介護事業部会
運営方針
患者様・家族様への安心
地域社会への貢献
生き甲斐・働き甲斐のある職場創り
創意工夫による能率増進
○上 野 秀 香(居宅介護支援センター) 高林三代嗣
(事務部)
辻 涼 子
(看護部)
松 尾 緩 子(医療社会福祉部) 福 井 真 敬
(ネットワーク室)
伊 達 慶 子
(デイケア)
瀧 るり子(GH清泉) 吉 川 良 二
(福祉部2課)
ご自由にお持ち帰りください
部署ご紹介 ▲
年間行事 ▲
施設紹介 ▲
院長挨拶 ▲
▲
〈 I N D E X 〉 今後の行事予定
創刊号
vol.1
【はじめに】
2015.9.1
平成24年1月10日、阪和第一泉北病院に介護事業部会が発足した目的等を先に説明しておきたい。平成24年4月の
医療と介護保険の同時改定にむけて、堺市内の「医療と介護の連携」流れを見据えつつ、地域で根ざし利用して頂く
病院として何をすべきか等を検討し対策を講じることを目的として発足。構成メンバーは、事務部・看護部・医療社
会福祉部・ネットワーク室・デイケア・GH清泉・福祉部2課・居宅介護支援センターであり、定期的に毎月1回開催
している。現在9月末で、その開催総数は49回となっている。
【開催当初からの経過】
第2回阪和第一泉北病院
ケアマネージャーとの
意見交流会開催のお知らせ
○第1回~第7回
‌ 平成24年の医療と介護保険の同時改定にあたり、報酬改定について事業部会全体で改定ポイントを学ぶことから開
要
対象:堺・泉北地域周辺ケアマネージャー
定員:20名程度
○第8回以降~第35回
‌ 平成27年度介護報酬改定にむけて情報収集し、事業部会で情報共有した上で、錦秀会全体の入院増加やデイケア
概
内容:第1部
「高齢者の認知症予防」
第2部
「ケアマネージャーとの意見交流会」
ムやデイケア等の併設)が開設されるも、当院デイケア利用者は減ることなく増加となっている。
○第36回(平成26年10月)~現在
催
場所:阪和第一泉北病院入院棟2階会議室
堺市南区豊田1588番地1
し、利用者獲得に向けた対策を具体的に実施することが出来た。その結果、近隣に大規模施設(療養型病院と特養ホー
市医師会を中心とした関係機関との連携を強化し、入院数やデイケア利用数増加に繋げる動きを行っている。
また、当院認知症疾患センター 三木センター長による講演も行ないます。
日時:平成27年9月1日(火) 14時~16時
スに影響があるか等を、現状の顧客満足度調査等を実施。その内容を事業部会で報告し、皆で情報共有・評価・検討
化病院連絡協議会「CCコネット」に、当院として各々に世話人が出ており、そこで得た情報等を基に、行政や堺
のさらなる
「医療と介護の連携」
を推し進めてまいりたいと考えております。
ぜひご参加いただきますようお願いいたします。
開
始。堺市内(特に南区中心)在宅サービス利用の流れがどのように変化し、当院での入院やデイケア等の居宅サービ
‌ 堺市における医療と介護の連携強化のための関係者会議「いいともネットさかい」、堺地域・医療と介護の連携強
この度、
「医療と介護の連携」
を図るため、ケアマネージャーの方々を対象に
意見交流会を下記の通り開催いたします。堺・泉北地域において当院と地域
お問合せ
4月に開催した当院認知症疾患センター 三木センター長による
『デイケア健康教室』での講演時の様子。
阪和泉北病院居宅介護支援センター(上野:かみの) TEL 072-295-2527
【おわりに】
当院では、事業部会が発足することにより、各部署の多職種が風通しよく何でも話し合い協力し合える関係が構築
された。今後は当院周辺の足場を整えつつ、錦秀会全体の入院数増加に繋がるような各地域のニーズに合わせた企画
等を多職種協働で進めていきたい。
利用者獲得等を見据えた動きを検討。当院として、地域に根ざし必要とされる病院としてあるため、平成27年3月
19日に地域のケアマネジャー対象として第1回ケアマネジャーとの意見交流会を実施。ケアマネジャーからの当院
へ頂いた貴重なご意見・ご要望等に耳を傾け、可能な限りの対応をする病院として、信頼を勝ち得ていくための具
体的な対策をとっている。例えば、①福祉部・医療社会福祉部・居宅が、介護事業部会とは別枠で、毎週金曜日に
打合せ会を実施し、密に情報共有や急ぎの対応を検討②福祉部2課が訪問活動する際に、意識して意見交流会後の
当院の対応の進捗状況を説明する等をさせて頂いている。10月1日には、第2回意見交流会を開催し、各ケアマネ
ジャーより、前回3月をふまえた当院の入院対応の動きを評価して頂く声を多数頂戴している。来年3月予定の第
3回意見交流会では、ケアマネジャーに加えて地域の医師にも参加して頂き、当院への理解を深め入院紹介に繋が
る対策を講じていきたいと考えている。
─ 32 ─
─ 33 ─
賞
ンス
ーマ
ォ
パフ
PRMセンターをご存知ですか?
医療法人錦秀会 4S推進局 PRMセンター
○川 上 純 子 植 田 真 美 奥田ゆうこ
PRMセンターをご存知ですか?
医療法人錦秀会
4S推進局 PRMセンター
川上 純子・植田
真美・奥田
ゆうこ
7
2
8
どんな業務をしているの?
小川部長
ありがとう
ございます
4
3
9
10
2015年7月 電話交換業務データより
架電者
宛先・内容
職員宛の電話
部署宛の電話
医療機
施設
関
事業所
役所
警察
消防
学校
保育所
幼稚園
企業
保険会
社郵便
局
職員
職員
家族
薬局
662
101
1273
674
364
159
1358
8
806
20
552
217
352
11
343
27
82
38
57
18
特定出
来ない
場合
セールスの電話をシャットアウト!!
総計
477
332
5408
222
156
2706
150
21
188
2005
0
0
0
0
0
0
0
0
1095
0
1095
PET・人間ドック
163
0
502
3
1
0
13
0
15
77
病院(施設)よりの着信
535
7
17
18
9
2
32
0
56
53
729
7
0
16
3
2
0
6
0
31
523
588
352
3
14
29
15
0
19
0
114
3
549
診療科宛の電話
内線
ワン切り・無言・間違い・FAX
詰所宛の電話
検査関連
診察科目・診察時間・医師
内線発信
1445
1
5
774
14
0
382
2
1
0
3
0
4
4
410
144
1
5
8
0
2
1
2
2
218
383
0
0
0
0
0
0
0
0
335
0
335
病院案内(住所・送迎バス等)
37
検診・健康診断
0
3
4
0
1
3
0
3
89
140
52
0
0
0
0
0
1
0
0
70
123
セールス対応
0
0
0
0
0
0
95
0
0
17
112
患者照会
7
0
1
1
3
0
0
0
0
26
要望・クレーム・その他
6
0
2
1
0
0
0
0
0
1
10
4230
133
2849
998
804
180
1892
187
2375
1757
15405
総計
5
弁護士
司法書
士後見
人
患者
家族
38
6
─ 34 ─
11
─ 35 ─
告
報告
別報
特
特別
HIMCの歩み
―がん検診を中心に―
阪和第二泉北病院 阪和インテリジェント医療センター 健診センター長
楠 洋子先生
HIMC 10年の変遷
第13回 錦秀会 医療・福祉フォーラム 2015年11月14日
大阪府の成長戦略
H18年 HIMCオープン(PET/CT検査+MRI検査で開始)
H20年 人間ドック開始
HIMCの歩み
小川現PETセンター長着任
H21年 メチオニン脳腫瘍検査開始
健診コース全面リニューアル(現行に近い形式に)
人工関節センターオープン
3周年記念講演会
ーがん検診を中心にー
H22年 健保ドック開始
メディカルツーリズム開始
H23年
楠 洋子、小川洋二、今泉昌男、乾 可苗
坂本 隆
国際医療交流の主軸
楠
着任
+
5周年記念講演会
来日客へのホスピタリティー機能の強化
乾医師
H25年 HPリニューアル(健診web登録開始)
着任
H26年 各種オプション検査の充実
今泉副PETセンター長着任
BNCT中性子がん治療に対する検査開始
H27年 新規脳ドックコース開始
2.高度がん治療に関する交流と機能充実
PET保険
受診者のツアー
PET健診
ドック健診
関西は日本の文化を代表する国宝が多数ある
7,000
7000
1.PET/CTがん検診
PET/CT検査
MRI/MRA検査
各種の超音波検査
消化器内視鏡検査
など
受診者受け入れの体制
観
6000
6,000
光
健
診
中国旅行会社
5000
5,000
業務提携
3000
3,000
2.ドック健診
2000
2,000
3.脳ドック健診
BNP(心疾患予知)、アディポネクチン(生活習慣病)、
アミノインデックス(がんリスクスクリーニング)など
PET件数の推移
大阪
企業などの団体
個 人
奈良
1000
1,000
0
京都
日本を出発
H18年4月~H27年9月 計40,435件
日本に到着
4000
4,000
1
H18
2
H19
3
H20
4
H21
5
H22
6
H23
7
H24
8
H25
9
H26年
和歌山
【広報・募集・集客】
15
来日客へのホスピタリティー機能の強化
鳥インフルエンザ
20
日中問題悪化
中国語問診表
尖閣問題
25
東日本大震災
30
17
16
15
14
13
1111
9
10
8
2.高度がん治療に関する交流と機能充実
000
0
─ 37 ─
00
9
7
6
4
3
5
─ 36 ─
【中国語対応】
【企画】
H22.4月~
のべ535件
~ メディカルツーリズム
総数 438件
国際医療交流の主軸
+
H
I
M
C
メディカルツーリズム
ー関西の強みを活かす総合特区構想(2011)ー
1.健診機能の充実
業務提携
現在:40社と契約
(うち中国企業4社)
大阪府の成長戦略
計:のべ約34,000件
日中の旅行会社 日本の企業
件
HIMCで健診受診者受け入れ
10周年記念講演会
PET & 健診 件数推移
健診内容
健康と観光ツアーを医療機関でも取り扱う
本邦初の取り組み
ーメディカルツーリズムー
1.健診機能の充実
H24年 優良総合健診施設認定
政府観光庁事業に参画
阪和第二泉北病院
阪和インテリジェント医療センター
健診や医療目的の訪日促進事業
ー関西の強みを活かす総合特区構想(2011)ー
11
2
0
000
1
2
27
25
20
17
1515
13
13
13 13
1111
8
7
5
11
10
99
8
5
5
2
0
件数
2
0
1
22
0
3
6
中国人受診者アンケート調査-1
中国人受診者アンケート調査-2
高度がん医療拠点形成事業
2011年11月~2014年3月(244人)
検査の満足度は?
また受けたいですか?
医療サポーターは?
また受けたい
非常に満足
26%
満足
非常に良い
未記入
普通
1% 6%
良い
8%
7%
わからない
未記入
他人に推薦したいですか?
推薦したい
9%
2%
わからない
未記入
7%
また検査を受けたい また受
けたい
他人に紹介しますか
たい
また検査を受けたい 考えて
ない
検査に満足か? 非常に満
足
サポーター 非常に良
サポーター 良い
検査に満足か? 満足
検査に満足か? 未記入
満足以上:93%
93%
中国総領事 受診
産学官の多施設共同研究:
京大原子炉研究所、京都大学、大阪大学
大阪医科大学、大阪府立大学
地の利を活かし、産学官と地域一体
となった先端的がん医療拠点を形成
大阪府、熊取町、HIMC
他人に紹介しますか
HIMC:適応症例の選択と治療効果
サイクロトロンを使用したトレーサー
化合物の合成とPET/CT検査の実施
83%
サポーター 未記入
91%
また受けたい:83%
良い以上:100%
医療学術研究都市の実現
他人に紹介しますか
ない
また検査を受けたい 未記入
検査に満足か? 普通
67%
中性子がん治療研究ネットワーク
推薦したい:91%
ー中性子がん医療研究開発ー
日本に来るのが容易ではない
(ビザの件、費用の件)
がんの年代別死亡率
政府観光庁事業計画の進捗
2014,12.18
2011年
厚労省「人口動態統計」より
肺がん
・2012年 6月29日
医療観光プロモーション推進連絡会総会
・2012年11月22日
第1回医療機関ワーキンググループ
健診(検診)について
胃がん
大腸がん
胃がん
政府関係、医療機関、エージェント、
健診機関(当センター参画)
肺がん
大腸がん
・2013年 9月25日、2014年10月16日(WG)
医療観光プロモーション推進連絡会総会
男
大阪府の成長戦略
がんの予防
ー関西の強みを活かす総合特区構想(2011)ー
症状のない早期にがんを発見する
ためには、自分で見つけるしかあ
りません。
(WHOがん対策の基本3本柱)
国際医療交流の主軸
関西の強みを活かす
総合特区の提案
1.健診機能の充実
+
来日客へのホスピタリティー機能の強化
“がん”にならない方法
1次予防
(肺がんでは禁煙)
“がん”で死なない方法
“がん”の疼痛解除とQOL
─ 38 ─
「自分で見つける」とは?
2次予防
(早期発見・早期治療)
2.高度がん治療に関する交流と機能充実
女
3次予防
─ 39 ─
積極的に検診を受けて、治るうちに
がんを見つける方法をとるというこ
とです。
政策型がん検診の対象年齢と頻度
検診について
住民検診
政策型検診
職場検診
人間ドック
任意型検診(健診)
個別検診
対象年齢
頻度
胃がん
40歳以上
年1回
大腸がん
40歳以上
年1回
肺がん
40歳以上
年1回
子宮頸がん
20歳以上
2年に1回
乳がん
40歳以上
2年に1回
2012年 閣議決定
がん対策推進基本法
●
胃がん、大腸がん、肺がん検診は、毎年受診しないと、早期がんで発見
される率は低下する。
●
子宮頸がんと乳がんは、毎年受診しても、 2年に1回の受診に比べて
効果はあまり上がらずに、不利益 (がんではないのにがんの疑いがか
けられる)は増加する。
PET検査の優位性
H22年度がん検診受診率(%)
ー悪性疾患発見率ー
健診予定時刻票
がん教育
平成26年からPET枠20件へ
2014年 全国70か所
小中高校でモデル事業
開始
日本人受診者アンケート調査-1
日本人受診者アンケート調査-2
(H26年度)
1,043人
ー大阪府第II期がん対策推進計画書よりー
従来の検診による発見率 0.05~0.15%
1)大腸がん
2) 胃がん
3) 乳がん
4)子宮がん
5) 肺がん
:
:
:
:
:
また受けたいですか?
0.15 %
0.14 %
0.09 %
0.067 %
0.05 %
胃がん 大腸がん 肺がん 乳がん 子宮頸がん
(1998年 厚労省発表)
市 全国平均 10
町 大阪府
5
村 (順位
44
17
17
19
24
11
44
8
43
16
37
22
37)
医師の対応?
H26年度 医師の対応
スタッフの対応?
良かった
5%
5%
H26年度 スタッフの対応
普通
悪かった
未記入
良かった
普通
6%
6%
0%0% 1%
1%
0%
0%
悪かった
また受けたい
未記入
考えていない
未記入
3%
11%
0% 0%
また検査を受けたい また受けた
い
リピーター55%
また検査を受けたい 考えてない
また検査を受けたい 未記入
*
CT検診による肺がん発見率 0.39 %
(2000年 東京から肺がんをなくす会)
PET検査による発見率 0.98%(56/5716件)
(2002年 月刊新医療)
国
全国平均 30
生
22
調 大阪府
47
査 (順位
25
19
46
23
15
47
31
27
44
32
28
44)
94%
94%
94%
94%
94%
86%
良かった:94%
良かった:94%
また受けたい:86%
費用の件、時間の件?
* 国民生活基礎調査
早期診断割合(%)
検診の受診率高い地域は
肺がん死亡率減少効果が高い
ー大阪府第II期がん対策推進計画書よりー
2004~2006年
胃がん 大腸がん
大阪府
最良県
平成27年度 全体目標件数
1. 保険PET件数
肺がん 乳がん 子宮頸がん
39
42
20
56
62
59
61
37
64
78
(新潟)
(長崎)
(新潟)
(宮崎)
(長崎)
上半期分
4%増
大阪府第II期がん対策推進計画
(平成25年~平成29年)
早期発見に40%位のウエイト
大阪府がん対策推進委員会 肺がんワーキング委員長
─ 40 ─
2. 健診PET件数
月平均415件 ⇒ 440件
18%増 ⇒17%増
3. ドック(新規脳ドック含む)
31%増 ⇒31%増
─ 41 ─
告
報告
別報
特
特別
阪和インテリジェント医療センター10年の歩み
阪和第二泉北病院 阪和インテリジェント医療センター PETセンター長
小川洋二先生
阪和インテリジェント医療センターは平成18年4月に診療を開始し、今年10年目を迎えている。当センターはPET
検査を中心とした画像診断センターとしてスタートしており、その歩みを振り返る。
FDG-PETに保険診療の適用が認められたのが平成14年4月で、この時悪性腫瘍については、肺癌、大腸癌など10疾
患に限定されていた。当センターが診療を開始した平成18年4月には、食道癌、子宮癌、卵巣癌の適用が追加され、
悪性リンパ腫の治療効果判定
PET検査件数の推移(平成19年4月~)
同時にPET/CTの保険点数が新たに設定された。平成22年4月からは、早期胃癌を除くすべての悪性腫瘍にFDG-PET
健診
の保険適用が認められている。現在のFDG-PETの保険適用要件は、悪性腫瘍の病期診断(スライド1)、および悪性腫
保険
総数
474件(H27.8月)
500
450
瘍治療後の再発・転移診断(スライド2)であり、PET/CT検査はこれらの診断に大きな威力を発揮する。悪性リン
400
パ腫に限っては、治療後の効果判定も保険適用として認められ、診療の上で重要な役割を果たしている(スライド3)
。
300
307件(H22.3月)
350
250
当センターでは主に近隣の医療機関からの紹介を受け、上記のような保険適用症例のFDG-PET/CT検査を実施して
200
150
おり、さらに自由診療として、FDG-PET/CTによる癌スクリーニング検査を行っている。これらを合わせたPET検査
100
50
件数は年々増加傾向にある。1ヶ月間の検査件数は、開設後4年で300件を超え、最近では400件を大きく上回るよう
0
になった(スライド4、5)
。PET検査の有用性が広く認知された結果と考えている。
治療後:完全寛解
Hanwa Intelligent Medical Center
Hanwa Intelligent Medical Center
当センターはサイクロトロン、ホットラボを保有し、放射性薬剤の合成を専任の薬剤師とオペレータが担当している。
3
これまでFDG以外の薬剤合成にも取り組んできており、そのなかで最も臨床応用が進んでいるのがメチオニンPETで
4
ある。メチオニンはアミノ酸の一種で、脳腫瘍の検査として有用性が高い(スライド6)。当センターでは平成21年5
月からメチオニンPET検査を開始し、保険適用が認められていないため、現在は自由診療として行っている。ひと月
に3回、最大12件の検査を行い、これまでのべ600件を超える検査を実施している。
平成26年からはホウ素中性子捕捉療法に関わるPET検査を開始した。ホウ素中性子捕捉療法は癌細胞を選択的に殺
傷できる治療法であり、熊取町の京都大学原子炉実験所で行われている。フルオロボロノフェニルアラニン(FBPA)
によるPET検査は、この治療法の適応決定、治療効果予測に不可欠な検査だが、実施できる施設は少ない。そこで、
大阪大学で合成されたFBPAを搬送し、当センター内でPET検査を行う取り組みを行っている(スライド7、8)
。
これまで、大阪大学や近隣の医療機関との連携を深めつつ、診療を行ってきた。今後も多くの医療機関から信頼さ
れるようなセンターを目指していきたい。
神経膠腫術後再発
PET検査件数
年度総数
月平均
平成22年
3764
314
平成23年
4078
340
平成24年
4327
361
平成25年
4611
384
平成26年
4776
398
FDG
MET
Hanwa Intelligent Medical Center
肺癌の病期診断
直腸癌術後の再発の診断
Hanwa Intelligent Medical Center
5
6
ホウ素中性子捕捉療法前の[18F]FBPA-PET
[18F]FBPAの輸送
ⅢA期
肺癌病変:径31mm (T2a)
上顎洞癌
化学療法・放射線治療後再発
肺門・縦隔リンパ節転移 (N2)
遠隔転移なし (M0)
再発
再発なし
Hanwa Intelligent Medical Center
Hanwa Intelligent Medical Center
1
2
─ 42 ─
Hanwa Intelligent Medical Center
Hanwa Intelligent Medical Center
7
8
─ 43 ─
告
報告
別報
特
特別
HIMC10年の歩み
阪和人工関節センター
阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター長
格谷義徳先生
阪和人工関節センター
本邦での人工関節の現状
• 手術件数>2000例(膝1172・股858例)
HIMC10年の歩み
45
40
阪和人工関節センター
35
30
阪和人工関節センター
306例
295例
320例
355例
420例
333例(10月迄)
膝
• 大阪府内での人工関節置換術手術数(2013)
股関節
「人工関節ライフ」http://kansetsu-life.com/index.cfm より
股関節と膝関節で96%を占める
人工膝関節
Total Knee Arthroplasty
(TKA)
関西医科大学附属枚方病院
465
社会福祉法人恩賜財団済生会支部 大阪府済生会 中津病院
457
3
独立行政法人労働者健康福祉機構大阪労災病院
444
4
独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター
417
20
5
厚生年金事業振興団大阪厚生年金病院
387
6
7
医療法人寿会富永病院
市立吹田市民病院
381
380
8
医療法人錦秀会阪和第二泉北病院
358
9
大阪府立急性期・総合医療センター
343
10
社会医療法人愛仁会高槻病院
336
10
5
0
1 3 5 7 9 1 1 3 5 7 9 1 1 3 5 7 9 1 1 3 5 7 9 1 1 3 5 7 9 1 1 3 5 7 9
1
1
1
1
1
本邦での人工関節の現状
人工膝関節と人工股関節
1
2
25
15
格谷義徳
人工股関節
Total Hip Arthroplasty
(THA)
2010
2011
2012
2013
2014
2015
阪和人工関節センター
関節疾患と要支援・要介護
8万件
膝関節
人工(膝)関節の現状
6万件
「人工関節ライフ」http://kansetsu-life.com/index.cfm より
股関節
10年度
15年度
医療経済上も大きな負担となっている
膝関節の手術数増加の方が著しい
日米の手術数の比較
阪和人工関節センター
関節痛の頻度
変形性膝関節症
• 2009年5月17日設立

常勤整形外科医5名

常勤麻酔科医1名

病棟51床

クリーン・ルーム2室

大阪大、大阪市大の関連研修施設
正常な関節
「人工関節ライフ」http://kansetsu-life.com/index.cfm より
膝関節:約3.8倍、股関節:約2.6倍
今後さらに増加すると予想される
関節痛に悩んでいる人はとても多い
─ 44 ─
摩耗し始めた関節軟骨
摩耗が進んだ関節軟骨
「人工関節ライフ」http://kansetsulife.com/index.cfm より
関節の変性・摩耗と骨の増殖性変化を
伴い関節が変形する疾患
─ 45 ─
人工関節の効果
変形性膝関節症では
変形性膝関節症では
• 除痛効果はほぼ確実
軟骨が消失して、
硬い骨が露出している部分
• 関節可動域はやや改善する程度


人工関節置換術
変形性膝関節症の治療
• 手術をしないで治す方法
• 痛みが取れる割合が一番高い
体重減少・運動療法
鎮痛消炎剤
 装具療法
 関節注射(ヒアルロン酸・ステロイド)
 サプリメント??

正常な関節ほどは曲がらない
• 隣接関節への負担減少
骨棘
(骨のとげ)
軟骨が残存
している部分
人工関節の効果

腰椎・股関節・足関節
近藤誠先生のご厚意による
関節の痛みを無くして、全体としての
日常生活機能を向上させる
変形矯正による美容的効果
足がまっすぐになりました(^_^)
人工関節の耐久性
人工膝関節の設置法
3DCG_⼈⼯膝関
Swedish National Registry(2011)
殆どの人で痛みが取れます

• 効果が長持ちします

10-20年の耐用期間が期待できます
• 入院期間が短い
• 手術的治療
内視鏡を使った洗浄
骨切り術
 人工膝関節置換術



早ければ3週間、普通は1ヶ月以内です
• 医療経済の観点から見ても優れた術式
理想の人工(膝)関節とは?
人工膝関節置換術の手術件数
1970年代後半より着実に向上してきている
変形性関節症では95%@10y, 90%@20y
人工膝関節の設置法
• 有効性
• 痛みが取れて
• 耐久性
• 長持ちして
人工(膝)関節の現状と問題点
• 高機能
• 何でも出来て
• 低価格
• 懐に優しい
阪和人工関節センターの役割

個人&国家
「人工関節ライフ」http://kansetsu-life.com/index.cfm より
近年著しく増加して現在>8万件/年
人工膝関節の現状は?
─ 46 ─
─ 47 ─
医は心か・技術か
良い手術とは?
人工膝関節の現状
医は心か・技術か?
•名医
• >80000件/年,毎年10%程度増加
•誰でも
• 専門家の手術ではなく、一般的な手術
•安全に
• Small Volume Surgeon(10-20膝/年)

•再現性のある結果が得られる
全体では総数の60-70 %が行われる

赤ひげタイプ(内科医、心系)

BJ, 財前五郎タイプ(外科医、技術系)
技術○
最高
?
•心があっても技術(判断・手技)が伴わない
技術X
?
最低
とどうにもならない(と思いませんか?)
安全域(Safety margin, Forgiveness)
専用手術器具の開発
Proflex-G
神の手・良い医師願望
名医(良い技術者)を増やすには
名医(良い技術者)を増やすには
•手術を論理的にする
•名医・病院ランキング
•神業礼賛、神の手礼賛
ンスを得るための専用器具

最高の先生に最高の手術を受けたい

“先生が手術してくださるんですよね”

患者の心理としては至極当然でしょう
Education, Education, Education

誰でも、安全に、再現性良くする

正しい意味でのマニュアル化

手術器械の開発
•Education, Education, Education
して見せて、言って聞かせて、させてみて、
褒めてやらねば人は動かじ(育たじ)


“神の手”の要らない手術”
良い手術=凡人には出来ない難しい手術
神の手・良い医師願望
神の手願望からの脱却
現実の医療を支えている医師(外科医)は

ブラックジャックはどこで修行したの?
• 先進素材

誰に教わったの?
• 物作りの伝統

やっぱり失敗したのかな?
•皆がイチローにはなれないし、何時も
ファインプレーばかりは出来ない
•美談仕立て・コマーシャリズム
外科手術は現実的・効率的であるべき
─ 48 ─
山本五十六
• 先進技術
•どんな名医も経験不足の修業時代がある
大多数の平均的凡人医である
By
Why?
本邦での人工膝関節の現状
•皆が名医の手術を受けられる訳では無い
•医療全体としてはマイナス面が多い

どっちに手術してもらいたいですか?
•白い巨塔・ブラックジャック・医龍
ように、正確な軟部組織バラ
心X
•技術あっての心
“良い医者とはまず技術、技術職だ
から当たり前”(by徳田虎雄)
•膝の不安定性が起こらない
心○
手術の平均レベルの向上
許容出来ないレベルの手術の根絶
• 京セラメディカル: 2,900
• ナカシマメディカル: 1,953
手術に対する考え方(良い手術とは?)
手術手技器械も含めての製品の価値
Education, Education, Education
㈱矢野経済研究所「2013年版メディカルバイオニクス(人工臓器)
市場の中期予測と参入企業の徹底分析」より
両社合わせても国産シェアは6.4%
─ 49 ─
あとがき
おわりに
•人工関節置換術は非常に優れた手術です
大阪市大・大阪大学の関連研修施設
開院以来国内外から多くの
医師が見学に来られています

痛みを取る効果

効果の持続性

日常生活の改善と満足度
•症状がひどくなり、万策尽きたら人工関節
がレスキューしてくれます。
•医療経済上も優れた術式で、今後ますます
増加することが予想されます。
第14回「錦秀会医療・福祉フォーラム」は阪和第二泉北病院が担当
させていただきました。
おかげさまで和やかではありますが活発な発表が続き、大盛況のう
ちに終了させていただきました。演者の方や出席いただいた全ての方
に感謝致します。
今回の発表エントリーは12演題と当初は少し少ない気がしていまし
たが、活発な発表が続いたわりには進行がスムーズに進み、結果的に
おわりに
阪和人工関節センター
•当センターは開院以来6年半経過し、多く
は適正であったと思います。
また、今年は医療現場だけではなく、PRMセンターのような錦秀会
の本部組織である現場を支える支援業務の事も詳しく理解する事がで
の手術実績を積み重ねてきました。
•今後も優れた医療技術を安定して提供する
きました。
プロフェッショナルな集団として努力し続
ただ、開催目的の一つとしてグループ内連携を目指した和合がある
ける所存です。
•それと併せて名医(良き技術者)を育てるた
かと思いますが、複数エントリーがある施設とまったく無い施設があり、
めの専門教育施設としての機能も果たして
今後ともお見知りおきの上
よろしくお願いいたします
いきたいと考えています
少しバランスを欠いていた点は次回以降の課題であると感じました。
このフォーラムは錦秀会グループの様々な職種の職員が一堂に会す
る数少ない貴重な機会であります。これからも益々発展して行く事を
祈願しつつ、あとがきと致します。
阪和第二泉北病院
院長 ─ 50 ─
─ 51 ─
守口 篤
平成27年11月14日
(土)
発行:医療法人 錦秀会 医務局
局
長
診
療
部
学
術
部
阪
和
病
院
阪 和 記 念 病 院
帝 塚 山 福 祉 会
看
護
部
看護介護技術部
放
射
線
部
検
査
部
栄
養
部
リハビリテーション部
医療社会福祉部
渡
守
東
増
邉
口
森
井
建
浩
義
彦
篤
一
一
部 部 院 顧 施 設
長
長
長
問
長
部 長 福 田 悦 子
部 長
部 長
局 長
部 長
課 長
課 長
薬
剤
部 部 長
部 長
健康寿命増進機構 事 務 局
阪
本
病
院 部 長
阪 和 い ず み 病 院 院 長
兵 庫 錦 秀 会 部 長
帝 塚 山 福 祉 会 統括部長
施 設 長
施 設 長
宗 田 滋 夫
服部幸次郎
新 本 吉 浩
渡邊以久子
栁 宏 司
古 川 真 裕
中辻めぐみ
安達千賀子
玉 登 ま き
西 本 稔
藤 木 千 年
大 西 英 周
網 田 幹 彦
上 田 陽 之
山 田 英 親
中 野 明 男
医療・介護・福祉の複合体をめざして
錦秀会グループ
〒558-0011
大阪市住吉区苅田9丁目14番25号
TEL. 06(6696)5591 ㈹
FAX. 06(6696)3473 1602 600 Printed by DAICOLO