野生生物調査法3

野生生物調査法3
生活史・個体群動態
生活史調査項目と個体識別標識
生活史・個体群動態の調査
• 生活史・個体群動態は繁殖、死亡、年齢構成、
短寿命種では発生時期といった項目を調査
する。
• 対象年度の個体群構成を調べることでも推
定可能。
• 個体ごとの繁殖、生存、成長、死亡といった
データで、生活史・個体群動態を調べるため
には個体標識が必要。
個体群構成による個体群動態の推定
• 年齢推定法→哺乳類では歯の摩耗が指標と
なることがある。
• 両生類や爬虫類では骨標本切片の年輪が指
標となることがある。(個体標識指切り法との
併用)
• 体サイズ分布での推定法(キャシー法)
個体標識法
• 短期的標識法→ペイント法、シール接着、毛
刈りなど
• 中期的標識法→プラスチック足環、発信タグ、
ビーズ縫い付け、軽度の焼き印、鱗切除など
• 長期的標識法→金属足環、指切り法、PITト
ランスポンダー、甲羅刻印、皮下入れ墨など
• 無侵襲的個体識別→顔面や体の模様のカル
テ、鱗配列カルテ(爬虫類)、DNA指紋など
ペイントマーク
• チョウにポスターマーカーを使用してマークを
塗布している場面
マーク済み個体
• チョウの翅の場合はペイントマークを数字や
文字で書くことができる例
ミツバチのペイントマーク
(ポスカがよく用いられる)
• 金網が張ってある枠を用いてミツバチの動き
を止めて、ペイントマークを塗っている場面
発信タグを装着したハチ
• 超小型の発信タグだと、大型のハチの背に発
信タグを接着することができる例
番号シールを貼ったミツバチ
• ミツバチ用に考案された番号入りプラスチック
シールを貼ってある例
ミツバチの番号シールを転用したアノール
• 番号シールをアノールトカゲに用いた例
カエル類の指切り番号指定例
• カエルの左右の前肢と左右の後肢の各指に
番号を指定する例
カメ類の甲羅刻印番号指定例
• カメ類の各縁甲板に番号を指定した例
トカゲ類(アノール)の指切り番号指定例
• トカゲ類の左右の前肢と左右の後肢の各指
に番号を指定した例
トカゲ類(ハリトカゲ)のペイントマーク
• ペイントマークを数字や文字で書くことができ
ない場合には、マークの位置や形を変えて、
色だけでなく多くの組み合わせを作る必要が
ある例
ヘビ類の鱗切除番号指定例
• ヘビの鱗を切除して個体識別マークを行う場
合に肛板(総排出孔のところの鱗)から数え
て番号指定する説明図
繁殖データの取り方
• 哺乳類は同行幼体の数で調査することが多い。
• 鳥類は樹洞営巣種は巣箱で繁殖させて調査、オープ
ンネスターは観察計数
• 両生類は集合繁殖種は卵塊数と卵塊中の平均卵数
で推定
• 両生類の分散産卵種は野生捕獲個体を一時飼育し
て繁殖させる。
• 爬虫類は野生捕獲個体を一時飼育して繁殖させるか
標本の卵巣・輸卵管分析
• 昆虫類は卵塊の卵数計数か一時飼育下での繁殖
再捕獲データから得られる項目
• リンカーン法等による個体群密度、移出入、
新規加入など
• 捕獲期間中の成長率
• 行動圏
• 成熟年齢(初繁殖時期)
• 死亡消失