2015 年 10 月 1 日 ファイザー株式会社 厚生労働省発薬食 0901 第 1 号に係る改善命令に対する改善計画書 1.厚生労働省薬食 0901 第 1 号に係る業務の改善命令の内容 ① 次のとおり安全管理業務手順書を改めることにより、適切に副作用報告を行えるよ うにすること。 ・医薬情報担当者(MR)については、医療関係者等からの自発的、積極的な報告以 外で知り得た全ての副作用等であっても安全管理統括部門に報告すべき対象であ ることが安全管理業務手順書に既に明記されているが、全社員についても MR と 同様に明記すること。 ・安全管理実施責任者は MR を含むその管理下の社員が安全管理統括部門に副作用 報告を適切に実施していることを確認し、その記録を保存しなければならないこ とを安全管理実施責任者の業務として明記すること。 ・米国ファイザー社の業務手順書を参照しなければ具体的な内容が把握できない箇 所には、参照で済ませるのではなく具体的に書き下すなど、国内の安全管理業務 手順書だけで業務を適切に実施できるよう必要な見直しを行うこと。 ② ①の安全管理業務手順書の改善内容も含め、適切な副作用報告業務を実施できるよ う、全社員に対する教育訓練を行うこと。 ③ ①及び②の再発防止策を踏まえ、平成 27 年 10 月 1 日(木)までに、是正措置及び 再発防止策に係る改善計画を策定して、厚生労働省に提出すること。 2.改善命令に対する是正措置及び再発防止に係る改善計画 2-1.是正措置としての安全管理業務手順書の改訂(改善命令①への対応) 1)有害事象情報の収集範囲と情報収集に関する責務 弊社の安全管理業務手順書は安全確保業務のそれぞれについて規定しておりますが、有 害事象情報の収集に関しては JPN-GVP02 に定められております。また、手順書は本則と なる LSOP と付随する細則の WI で構成されております。 2015 年 4 月 1 日付の安全管理業務手順書(JPN-GVP02-WI01)では、MR による有害事 象報告においては、医療関係者等からの自発的、積極的な報告以外の情報源から知り得 た有害事象情報も安全管理統括部門への報告対象であることを記載していました。しか し、厚生労働省発薬食 0901 第 1 号に係る業務の改善命令①にあるとおり、弊社の全社員 も同様に情報収集の責務があることは記載していませんでした。また、有害事象情報の 収集範囲の定義は米国ファイザー社が規定する有害事象報告に係るポリシー(以下、ポ リシー)として全世界のファイザー社に適用されていますが、安全管理業務手順書に記 載がなく同ポリシーを参照しなければその具体的な内容を確認することができない状態 1 になっておりました。 この状態を解消するため、2015 年 9 月 1 日付で全社員が有害事象情報収集の責任を負う ことを安全管理業務手順書(JPN-GVP02-LSOP)に明記するとともに、有害事象情報の 収集範囲を具体的に安全管理業務手順書(JPN-GVP02-WI01)において明記しました。 この改訂により、重篤性、弊社製品との因果関係、添付文書に記載されている事象か否 かに関わらず、すべての有害事象が安全管理統括部門への報告対象であり、全社員に有 害事象情報の収集・報告に関する責務があることが安全管理業務手順書で理解できる状 況としました。この内容は 9 月 11 日に実施した全社員を対象とした特別研修時に周知し ました。 2)安全管理実施責任者及び安全管理責任者の責務 安全管理実施責任者の責務は、安全管理業務手順書の上位に位置する総括製造販売責任 者保有の手順書(GM01)に定めていますが、総括製造販売責任者又は安全管理責任者か らの指示に基づく業務を実施することのみに限定された記載でした。 そこで、2015 年 9 月 1 日付で総括製造販売責任者保有の手順書(GM01)を改訂し、安 全管理実施責任者が有害事象情報の収集・報告等安全管理業務手順書に定める個々の業 務を理解して MR による確実な実施を日々確認・指導するよう、以下の安全管理実施責 任者の業務を明記しました。 ・ 安全管理情報の収集・報告を適切に実施するよう医薬情報担当者等を指導する こと。 ・ 医療関係者等への適正使用情報の提供・伝達を医薬情報担当者等に適切に実施 させること。 ・ 市販直後調査を医薬情報担当者等に適切に実施させること。 ・ 安全管理実施責任者として必要な教育を受講するとともに、医薬情報担当者等 に製造販売後安全管理に関する業務を実施する上で必要な教育を受講させるこ と。 同時に、安全管理実施責任者の責務として、傘下 MR の有害事象報告の実施状況の確認 結果を安全管理責任者へ報告することを 2015 年 9 月 1 日付で安全管理業務手順書 (JPN-GVP05-LSOP)に定めました。 上記の改訂の結果、安全管理責任者は安全管理実施責任者からの報告内容を確認するこ とにより、安全確保業務が適正かつ円滑に行われているかを確認するとともに、安全管 理責任者が安全管理実施責任者と直接対話する機会を設定して、その管理・監督の強化 を図って参ります。 さらに、安全管理責任者及び安全管理統括部門の組織体制強化を図ります。 2-2.是正措置としての教育訓練の実施(改善命令②への対応) 1)MR に対する再教育 2 弊社では全社員を対象とした全世界共通の教育プログラム「あなたの報告責任」の受講 を年一回義務付けています。 「あなたの報告責任」の教育プログラムは報告するべき有害 事象情報の範囲、及び当該情報を知った場合は重篤性、弊社製品との因果関係、添付文 書に記載されているか否かに関わらず安全管理統括部門に 24 時間以内に報告する規定 を含んでおり、報告すべきか判断に迷う場合も安全管理統括部門へ報告することの重要 性を強調しています。受講者は理解度チェック(テスト)を行い、全問正解がプログラ ム完了の必須条件としており、受講日を含む受講記録はシステム内に電子的に保持され ます。 MR による報告漏れが生じた根本原因の究明及び検討を米国ファイザー社と共同で行い ました。その結果、 「あなたの報告責任」の教育プログラムに示されている安全管理統括 部門に報告するべき有害事象の収集範囲について MR 及びその上司である営業所長及び 支店長/営業部長の理解に差があることが原因のひとつとして挙げられました。具体的に は、医療関係者等からの自発的、積極的な報告以外の情報源から知り得た有害事象情報 も安全管理統括部門への報告対象であること、重篤性、弊社製品との因果関係、添付文 書に記載されているか否かに関わらず安全管理統括部門への報告が必要であること、有 効性の欠如やファイザー製品服用中の基礎疾患の進行もまた安全管理統括部門に報告す るべき情報であることが十分に理解されていないことが明らかになりました。有害事象 の収集範囲に対する理解の差を解消するため、MR、営業所長及び支店長/営業部長(安 全管理実施責任者)に対して複数回にわたる臨時の教育訓練を実施しています。 MR 等を対象とした継続的な教育訓練(フィールド・フォース・トレーニング、以下「FFT」 ) は年 10 回実施しておりますが、2015 年度の教育の年間計画として 2015 年 4 月の FFT か らは有害事象報告に関する内容を毎回含めることといたしました。2015 年 4 月の FFT で は、 「コンプライアンスと安全性」をテーマに医薬品のリスク管理サイクルと有害事象報 告の重要性に焦点を当てた解説の時間を設定しました。 2015 年 5 月の FFT では、 「あなたの報告責任」教育プログラムの内容を再確認した後、 支店長/営業部長・営業所長が各傘下の MR とともに有害事象報告の重要性を再認識する ためのワークショップを実施しました。さらに、2015 年 6 月の FFT では、「あなたの報 告責任」教育プログラム内容を再度復習し、医療現場で MR が遭遇すると想定される事 例を交えた実践的な内容で実施しました。 6 月の時点において、実施した一連の再教育の効果を判定するため、安全管理統括部門 が受領した有害事象情報の自発報告について 3 ヵ月間の月平均症例数を確認したところ、 前年同期に比較し約 40%増加していました。この間他に増加する特段の要因がないこと から、一連の再教育によって有害事象報告の収集範囲とその報告の重要性の理解が深ま ったものと判断しております。 2015 年 7 月の FFT では、薬害教育を通じて有害事象報告の重要性を教育しました。2015 年 8 月の FFT には、医療現場で MR が遭遇すると想定される事例を取り上げてその内容 を解説し、2015 年 9 月の FFT では安全管理業務手順書改訂の概要を紹介しました。 3 なお、後述のように、2015 年版「あなたの報告責任」教育プログラムは 2015 年 9 月 15 日より全世界一斉に展開しております。 今後とも有害事象情報の収集範囲とその報告の重要性に対する理解の維持・向上につな がるよう、安全管理業務手順書の内容や背景の説明、医療現場で MR が遭遇すると想定 される追加事例の解説、有害事象報告に関するワークショップ等を毎回の FFT において 取り上げて実施して参ります。 2)全社員に対する教育 2015 年 9 月 11 日に全社員を対象とした特別研修(全社ウェブ会議)を実施しました。 この研修は、改善命令を受けたことを踏まえた社長及び各事業部門長からのメッセージ に始まり、コンプライアンス・セッション、改善命令及び改善計画の概要説明(安全管 理業務手順書の改訂内容を含む) 、2015 年版「あなたの報告責任」教育プログラムの重 要なポイントの解説を行いました。本研修は全社員の必修教育とし、研修当日に参加で きなかった社員に対しては後日録画の聴講を補講として実施しました。 2015 年 9 月 15 日からは全世界一斉に実施する e-learning の 2015 年版「あなたの報告責 任」教育プログラムを全社員が受講しています。 今後も年 1 回の「あなたの報告責任」教育プログラムの受講に加えて、有害事象報告の 重要性に対する全社員の理解度の向上に配慮した補足的教育を年 1 回薬害教育時に継続 的に実施して参ります。 3)安全管理実施責任者の責務に関する教育 2015 年 6 月、医薬営業の安全管理実施責任者である支店長/営業部長に対して、2015 年 9 月 1 日付で総括製造販売責任者保有の手順書(GM01)に記載した安全管理実施責任者の 責務である有害事象情報の収集・報告等の適切な実施に係る指導等について追加教育を 実施し、安全管理実施責任者の責務に対する認知レベルの向上を図りました。 なお、安全管理実施責任者の責務に対する認知レベルについては、2-3. 3)自己点検の強 化に示す、安全管理統括部門が支店/営業部・営業所を直接訪問してのインタビューや点 検により確認します。 今後は、安全管理実施責任者の責務についての導入教育を実施するとともに、年 2 回の 継続教育を実施することとし、この中で営業現場における管理・監督に関するワークシ ョップ等を企画・実施して参ります。 2-3.その他の是正措置 1)MR 及びその上位職者の職務記述書(Job Description)/役割定義の改訂 2015 年 8 月に MR 及び MR の直属の上司である営業所長及び支店長/営業部長を含む営業 統括部門のマネジメントそれぞれの職責に応じた有害事象情報の収集・報告、市販直後 調 査 、情 報伝 達 活動 を含 む安 全 確保 業務 にお ける 責 務に つい て 職務 記述 書(Job 4 Description)/役割定義へ追記しました。上位職者に関しては傘下 MR に対する安全確保 業務の管理・監督責任を記載しました。 2)症例フォローツールの管理手順書新規作成 弊社製品に関する有害事象を記録する可能性のある症例フォローツールを管理・監視す るための手順がなく、有害事象情報の安全管理統括部門への報告漏れを未然に防ぐ手順 を定めていませんでした。現在は一次停止しているものの、今後症例フォローツールの 使用も想定されることから、2015 年 8 月 21 日付で症例フォローツールの管理運用を定 めた安全管理業務手順書(JPN-GVP13-LSOP)を新規に作成しました。これに基づき、 すべての症例フォローツールは安全管理統括部門の事前レビューを必須として弊社製品 に関する有害事象を記録する可能性について確認し、運用に当たっては定期的な品質確 認計画を作成し実行することとしました。 さらに症例フォローツール及び関連する品質確認に係る記録を本社で一元管理し、安全 管理統括部門が定期的に実施状況を監視することで未報告有害事象の発生を防止してい きます。 3)自己点検の強化 安全管理統括部門が定期的な自己点検を実施していたにも関わらず安全管理統括部門へ の有害事象報告の不遵守を検出できなかった事実を踏まえ、自己点検の内容を見直しま した。その結果、チェックリストで設定した医薬営業の安全管理実施責任者の業務に関 する確認項目が具体的でなく不十分であったため、安全管理実施責任者及びその傘下の 安全確保業務の実施状況をより確実に把握できるようチェックリストの項目を網羅的で 具体的な内容に変更しました。 2015 年 9 月より開始した本年度の定期的な自己点検においては、安全管理実施責任者は 新しいチェックリストを用いて実施状況を点検し、その結果を安全管理統括部門へ報告 します。報告を受けた安全管理統括部門は、支店/営業部・営業所を直接訪問してのイン タビューや点検を必要に応じて実施し、有害事象報告の遵守状況を含む安全確保業務が 適正かつ円滑に行われていることの確認をするとともに安全管理実施責任者による管 理・監督の強化を図って参ります。なお、定期的な自己点検において問題が認められた 場合には、問題点に特化した臨時の自己点検により改善を図ります。 3.改善計画の実施状況確認 本改善計画に定める是正措置については、米国ファイザー社と共同で実施する定期的な 監査の対象とし、実施状況を継続的に検証していきます。2015 年 11 月に予定している 監査では、改訂・新規設定した安全管理業務手順書の遵守状況及びその他の是正措置等 の評価を行う予定です。 以上 5
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