Ⅹ FAQ(よくある質問) FAQ(Frequently Asked Questions)とは、頻繁に尋ねられる質問とその 回答をまとめた問答集です。東村山市の財政について、より理解を深めていただくた めに作成しています。今後もより一層内容の充実を図っていきます。 1 決算収支関係 Q1.決算のときに用いる「実質収支」とは、通常の収支と何が違うのでしょうか?また、 実質収支が大きいことは良いことなのでしょうか? A1.その年の歳入決算額から歳出決算額を差し引いた額である「形式収支」には、何らかの理由で 支払いが行われず、予算の繰越措置がされ、翌年度に支払い義務が持ち越された財源が含まれます。 形式収支からこれらの財源(継続費逓次繰越、繰越明許繰越、事故繰越などに伴う翌年度へ繰越す べき財源)を差し引いたものが「実質収支」になります。 《実質収支 算定式》 実質収支=形式収支(歳入決算額から歳出決算額を差し引いた額)-翌年度に繰越すべき財源 収支は、予算に対して歳入における収入の超過(黒字)や丌足(赤字)と、歳出における支出の 丌用額(黒字)が、結果として表れたものです。 各年度の財政見積もりである予算は、その編成時点では精緻な見積もりにより、予算化された施 策や事業に丌用額を生じることのないよう努めることが基本となります。 一方、予算執行にあたっては、予算化されたものであっても、最尐の経費で最大の効果額を生み 出すように努めることは当然となります。執行段階においては、厳しい財政状況を背景に節減努力 に努め、契約差金などの丌用額を出すよう図ることなどにより、近年の収支の黒字の増加傾向につ ながっています。 この実質収支がプラスであれば黒字、マイナスであれば赤字ということになり、地方公共団体の 財政運営の良否を判断する重要なポイントです。 しかし、地方公共団体は営利を目的として存立しているわけではないため、民間企業のようにこ の実質収支の黒字の額が大きければ大きいほど良いというものではなく、適正な規模とすることが 必要です。この実質収支の標準財政規模(地方自治体が標準的な状態で、通常収入が見込まれる一 般財源(使途が特定されない財源)の規模)に対する割合を「実質収支比率」といい、実質収支が 標準財政規模に対してどのくらいの割合であるかを計るもので、一般的には概ね3%~5%が望ま しいとされています。 平成26年度決算では、東村山市は3.4%と多摩26市平均を1.7ポイント下回っています。 実質収支比率(%) 東村山市 多摩26市 3.4 5.1 平成26年度 69 Q2.平成26年度は、前年度黒字であった「単年度収支」が赤字となっています。 財 政状況が悪くなったのでしょうか?単年度収支と実質収支は何が違うのでしょうか? A2. 「単年度収支」は、当該年度の実質収支から前年度の実質収支を差し引いたものです。実質収支 には、前年度以前の決算の黒字の累積である剰余金が、繰越金として歳入に含まれるため、これを 除いて、当該年度のみの収支をとらえるものです。この単年度収支が赤字のときは、当該年度の収 入だけでは当該年度の支出を賄えなかったことになります。 《単年度収支 算定式》 単年度収支=実質収支-前年度の実質収支 平成26年度の単年度収支は、平成25年度の実質収支が約15億円と過去最大であったことか ら、6億2千万円ほどの赤字となり、平成24年度の単年度赤字を超えるものとなりました。 これは、平成26年度の実質収支約9億円をに対し、平成25年度の実質収支約15億円を上の 算式のように差し引いた結果で、単純に財政状況が悪化したという意味ではなく、歳入超過(見込 みよりも収入が多い)又は歳入丌足(見込みよりも収入が尐ない)や、丌用額(歳出の節減努力な どで生み出された契約差金等)のそれぞれの状況から計算される収支が前年度を下回ったというこ とです。 単年度収支が黒字でなく、一定期間をおいて赤字になることは財政運営上通常の状態であるとい えます。ときどき赤字にならなければ、黒字がたまる一方で、こういった状態は家計では許されて も、租税を徴収する地方公共団体としては許されません。 なぜなら、地方公共団体は営利を目的とはしていないことから、黒字が累積するようであればこ の黒字を取り崩して、つまり、単年度収支を赤字にして、行政水準、あるいは市民サービスを向上 させるか、または、租税等を引き下げるか、いずれにしても、市民に還元するような方法を検討し なくてはならないものと考えられます。 実際に平成11年度、平成14年度、平成16年度、平成19年度、平成22年度、平成24年 度、平成26年度と、2年または3年おきに単年度収支は赤字となっています。 Q3.「実質単年度収支」は、単年度収支と何が違うのでしょうか? A3. 「実質単年度収支」は、単年度収支から、財政調整基金の積み立てや取り崩し、地方債の繰上償 還の影響を考慮したものです。積み立てや繰上償還をしなかったらその財源は丌用額となり、当然 剰余金として黒字の一部となり、逆に取り崩しをしなかったらその分の剰余金が減尐します。つま り、実質単年度収支は、収支に表れない財政運営の実態を見る指標となります。 《実質単年度収支 算定式》 実質単年度収支=単年度収支+財政調整基金積立額+地方債繰上償還額-財政調整基金取崩額 70 平成26年度は、中長期的な財政負担への備えとして、今後本格化していく連続立体交差事業や 関連する道路整備事業に備えた連続立体交差事業等推進基金を拡充したほか、公共施設等再生基金 や職員退職手当基金に積立てを行いましたが、丌足する一般財源を埋めるために、財政調整基金を 取り崩すことで対応を図りました。これに単年度収支が約6億円の赤字という状況が重なったため、 実質単年度収支としては過去最大の約28億円の赤字となりました。 Q4.第4次行財政改革大綱第1次実行プログラムから、当該年度の実質的な財政収 支を検証する指標として、実質単年度収支とは別に、「財政収支の実質的な黒字基 調を維持する」というプログラムを設定していますが、その趣旨はなんでしょうか? A4.平成23年度から実施している第4次行財政改革大綱第1次実行プログラム及びローリングを 行った平成25年度からの第2次実行プログラムの取り組みのひとつ、 「財政収支の実質的な黒字基 調を維持する」というプログラムは、実質単年度収支で考慮されない決算剰余金処分による財政調 整基金への編入額や、その他の基金の積立額や取崩額の要素を加えて収支を検証するもので、積立 基金総体を考慮に入れた財政運営を検証する指標となります。 《実質的な財政収支 算定式》 実質的な財政収支=実質単年度収支+(特定目的基金積立額-特定目的基金取崩額) +決算剰余金処分による財政調整基金編入額 前記のとおり、単年度収支は、当該年度の実質収支から前年度の実質収支を差し引いて算定しま すが、これは、当該年度の歳入に前年度の決算剰余金が繰越金として計上されているため、これを 除いて当該年度のみの収支をとらえるためです。 しかし、当市では決算剰余金のうち 1/2 を下らない額を、法及び条例により翌年度に繰り越さな いで基金に編入しています(多摩 26 市で当市のみ)。平成 25年度の実質収支15億5,613万 2千円のうち、10億円は平成26年度の予算に繰り越さず、基金に編入し、26年度の前年度繰 越金は6億6,435万4千円となっています。 もし、10億円を基金に編入しないで、翌年度に繰り越してから財政調整基金に積み立てたとす ると、歳入の繰越金と歳出の積立金がそれぞれ10億円ずつ計上され、単年度収支には影響が出ま せんが、実質単年度収支は、財政調整基金の積立額が黒字要素として算定されることから、結果、 剰余金の処分方法によって収支にその分の乖離が生じることとなります。 実質単年度収支に表れない、財政運営上重要な収支の要素を加味した指標が実行プログラムに設 定している「実質的な財政収支」で、平成26年度決算はその他の積立基金の額が多かったことか ら、プラス2億2,938万 8 千円となり、黒字基調を維持しているといえます。 単位:千円 実質的な財政収支 平成26年度 229,388 71 Q5.あらかじめ当初予算に決算剰余金の額を繰越金として見込むことができれば、当 初予算の財源となるのではないですか? A5.当市では、毎年度3月の最終補正予算において、予算の執行状況を把握のうえ、その時点で見 込まれる収入と支出を整理し、歳入歳出予算を均衡させています。 そのため、この時点では収支は均衡して繰越財源はないことになりますが、最終補正予算編成以 降、5月31日の出納閉鎖までの変動要因によって、最終補正予算額と比べて収入と支出に差が生 じます。この差が形式収支となります。 例えば、歳入の変動要因については、国・都補助金の決定時期が補正予算の編成以降であるとい った、市の裁量によらないもののほか、決算に至る直前まで市税の徴収等歳入確保に努めているこ となどをあげることができます。 歳出については、会計年度終了に至るまで支出が必要な生活保護費や医療費など、最終補正予算 後に支出額が確定する経費を変動の要因としてあげることができます。 特に医療費はインフルエンザの流行などの影響で支出額が大きく変動することから、予算が丌足 することのないよう最終補正予算において必要額を確保しているために、結果として丌用額が発生 します。 この他、繰越明許や継続費の逓次繰越によって翌年度へ繰越すべき財源や、予備費なども形式収 支を構成する要素となります。 当初予算編成における前年度繰越金の見積もりについては、過去の歳入確保対策や予算執行の適 正化による決算剰余金の動向や当該年度以降の市を取り巻く情勢、繰越事業費などの状況を勘案し て、過大な見積もりにより歳入欠陥をおこさないよう予算の計上をしています。 また、前年度繰越金については、地方自治法第233条の2において、会計年度独立の原則の例 外と規定されているように、その見積もりは単年度で捕捉できるものではなく、当初予算と補正予 算によって段階的にその額を捕捉することが、適切かつ正確な方法であると考えます。 なお、A1の「実質収支」にある通り、形式収支のうち、翌年度に繰り越した事業の財源に充て る金額は純粋な剰余金にはならず、これを控除した実質収支が、決算剰余金となります。 また、地方財政法第7条において「地方公共団体は、各会計年度において歳入歳出の決算剰余金 を生じた場合においては、当該剰余金のうち2分の1を下らない額は、これを剰余金を生じた翌々 年度までに、積み立て、又は償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に充てなければならな い。 」とされていることから、実質収支全額ではなく、これを除いた額を以降の補正予算の貴重な財 源として活用しています。 《前年度繰越金が歳入欠陥となる例》 n 年度予算 (単位:千円) n-1 年度決算 n 年度決算 繰越金 形式 翌年度 実質 2分の1を 繰越金 歳入欠陥 予算計上額 収支額 繰越財源 収支額 下らない額 決算額 (赤字)額 A (ア) (イ) (ウ) (エ) B B-A (ア)-(イ) 500,000 841,081 3,596 837,485 72 (ウ)-(エ) 420,000 417,485 △82,515 Q6.財政調整基金は決算剰余金や予算で積み立てを行っていますが、多ければ多い ほど良いのでしょうか? 第4次行財政改革大綱第1次実行プログラムで、「基金残高を検証する指標」とし て、「財政調整基金の標準財政規模に対する比率 10%」という到達目標がありま すが、どういうことでしょうか? A6. 財政調整基金は年度間の財源調整や災害等に備えるためのもので、家計で言うところの貯金のよ うなものです。当市の過去の状況を見ると、市税や「三位一体の改革」による地方交付税等の減収 を補うために取り崩してきたたことで、平成18年度末には約4億円まで減尐してしまいました。 こうした過去の状況を踏まえ、平成23年度から実施している第4次行財政改革大綱第1次実行 プログラム及びローリングを行った平成25年度からの第2次実行プログラムの取り組みでは、 「財 政調整基金を始めとする基金を拡充し、弾力的な財政基盤を構築する」ことを目的に、 「基金残高を 検証する指標」として、 「財政調整基金の標準財政規模に対する比率 10%」を維持することを目 標に掲げています。 比率の分母としては、地方交付税の算定に用いた数値をもとに全国統一で算出される、標準財政 規模(地方自治体が標準的な状態で、通常収入が見込まれる一般財源(使途が特定されない財源) の規模)を設定しており、市民サービスに大きな影響が無いよう、安定的な財政運営を行っていく うえで、標準的な収入が様々な要因により急激に減尐した際に、およそ一割程度の余裕を持ってお くことが望ましいという考え方によるものです。 これを実行プログラムに掲げた比率の推移として表したものが下表になりますが、平成18年度 では 1.7%とかなり低い水準まで落ち込んでおり、財政運営を考えると危機的な状況であったこと が分かります。この後、いわゆるリーマンショックなどの影響でなかなか税収の回復傾向が見られ ない時期が続いていますが、様々な行財政改革の取り組みの成果などもあり、平成26年度末には、 平成20年度末の積立基金全体の残高であった約30億円と同程度まで回復し、第1次実行プログ ラムの期間である平成23年度から25年度にかけては、目標値である 10%という水準を維持して います。 地方自治体には、必要な市民サービスを必要な時に確実に提供していくという、基本的かつ重要 な役割があります。財政調整基金は、家計の貯金のように多ければ良いということではなく、地方 自治の本旨である住民福祉の増進について支障なく運営していくための、安定的な財政基盤として 丌可欠なものですので、今後も一定規模の維持については、実行プログラム等に位置付けながら適 切に対応していく必要があります。 財政調整基金残高の標準財政規模に対する比率 19年度 24年度 25年度 26年度 財政調整基金残高 (A)千円 676,614 3,335,467 4,169,446 3,011,580 標準財政規模 (B)千円 24,159,180 27,358,716 27,749,485 27,908,788 2.8% 12.2% 15.0% 10.8% 比 率 (A/B) 73 2 指標関係 Q1.将来負担比率が算定されない市もあるようですが、将来負担比率で何が分かる のでしょうか? A1.将来負担比率は、①「地方債残高」や、②「退職手当支給予定額のうち一般会計等が負担する 見込額」 、③「関係する一部事務組合や公社、第三セクター等の負債のうち一般会計等の負担見込額」 などから、市が保有する基金等を差し引いた、 「実質的に将来の負担となる負債の額」の「標準財政 規模」に対する比率で、これらの負債が将来、財政をどのくらい圧迫するか示すストック指標です。 また、標準財政規模は、1年間に通常収入が見込まれる一般財源の総量を示したものであること から、負担を解消するのに何年かかるのかを表している指標ともいえます。 《将来負担比率 算定式》 将来負担額 -(充当可能基金+特定財源見込額+地方債 現在高等に係る基準財政需要額算入見込額) 将来負担比率 = ――――――――――――――――――――――――――――― × 100 標準財政規模 - (元利償還金・準元利償還金に係る 基準財政需要額算入額) 近年、退職手当債などの特例債残高が増加していることが、当市における課題のひとつですが、 このような中にあっても、建設地方債の残高を減らす努力や財政調整基金をはじめとした基金の拡 充、さらに職員定数適正化による退職手当支給予定額の抑制などによって、将来負担比率は減尐傾 向にあります。 なお、将来負担比率が算定されない市は、地方債残高などの将来負担額より、基金などの資産が 多い市です。言いかえると、保有する基金等の資産で抱える負債をすべて解消できる市ということ になります。 平成 26年度は、多摩 26 市のうち14市(武蔵野市・福生市・府中市・多摩市・羽村市・東大 和市・小平市・立川市・国分寺市・昭島市・国立市・武蔵村山市・町田市・青梅市 ※比率の低い 順番)において算定されておらず、26市平均でも、マイナス4.4%となっています。 当市の将来負担比率は、近年減尐傾向にあるものの、18.8%と多摩 26 市中8番目に高い値 となっていますので、引き続き指標を意識した財政運営を行っていく必要があります。 将来負担比率(%) 東村山市 多摩26市 18.8 -4.4 平成26年度 74 Q2.財政力指数が上昇していますが、市の財政状況は好転しているのですか? A2.財政力指数は、地方交付税の算定における理論上の指標で、普通交付税算定時に求められた基 準財政収入額を基準財政需要額で除して算出されます。 数値が大きいほど財源に余裕があるものとされ、1を超える団体は普通交付税算定上、財源超過 団体となり普通交付税は丌交付となります。 《財政力指数 算定式》 基準財政収入額 財政力指数 = ――――――――――― (単年度) 基準財政需要額 しかし、財政力指数はあくまでも理論上の値で、以下の理由により市の財政力を直接表現する指 標とは言えない側面があり、国の地方財政に対する考え方を踏まえた上で、慎重に分析する必要が あるといえます。 第1に、財政力指数の分母となる基準財政需要額は、標準的な行政サービスを行うための経費を 基に算定されることから、当市の歳出予算・決算と必ずしも連動するものではなく、例えば、算定 に用いる単位費用等には給不構造改革などの行財政改革による歳出削減の影響も反映されません。 第2に、国の歳出予算である地方交付税総額が大きくなれば指標は全国的に低下し、総額が小さ くなれば全国的に上昇することから、年度による財政力指数の増減が、必ずしも市の財政状況の実 態を表すとは言えません。 具体的には、近年の窮状する地方財政に対する財源措置として、国は「地方財政計画」において 地方財政に関する見積もりをするにあたり、平成20年度に「歳出特別枠」を導入、平成21年度 から地方交付税の「別枠加算」を実施しています。 市の基準財政需要額は、地方財政計画における地方財政全体の基準財政需要額総額に整合する単 位費用等で測定されることから、当市においても分母である基準財政需要額は増加し、結果、近年 の財政力指数では低下傾向がみられました。 なお、平成27年6月30日に閣議決定された、いわゆる骨太の方針では、経済・財政再生計画 として、歳出全般の徹底した見直しと、経済成長・税収増を確実なものとすることとされ、地方に おいても国と基調を合わせることが求められており、平成28年度は、地方交付税では別枠加算等 の廃止や、トップランナー方式の採用が行われるなど、今後は財政力指数の増加傾向が予測されま す。 Q3.財政白書では多摩26市と東村山市の決算数値を比較していますが、全国的に みると東村山市の財政構造はどのようになっていますか? A3.人口や産業構造等々、様々な要因により全国各市の財政需要や財政規模は異なりますが、総務 省ホームページ掲載『平成25年度市町村別決算状況調』により指標や数値を単純比較します。 75 ①経常収支比率 多摩26市中 21位(降順) 全国790市中 369位(降順) ・ (うち人件費) 多摩26市中 19位(降順) 全国790市中 418位(降順) ・ (うち公債費) 多摩26市中 全国790市中 632位(降順) 5位(降順) 経常収支比率は、人件費や公債費など、毎年度経常的に支出される経費に充てられた市税などの使 途を制限されずに経常的に収入される財源の総額に占める割合です。 指標が高いと自由に使えるお金が尐ない硬直化した財政構造となります。 東村山市は89.7%、多摩26市中21番目と数値が低い部類に入りますが、一概に財政構造が 柔軟であるとは言えません。平成25年度は、経常的に支出される扶助費や繰出金に充てなくてはい けない一般財源も多くなっており、臨時財政対策債の増などがあったために結果としてこれを賄うこ とができたものです。 例えば、国分寺市は当市が満額発行している臨時財政対策債を発行していないことから、収入され る財源が尐ないため、この指標が95.7%と高くなっています。 一方で、全国でみると当市は790市中369位と概ね中位に位置していることになります。 ②公債費負担比率 多摩26市中 4位(降順) 全国790市中 579位(降順) 公債費負担比率は、公債費に充てられた使途を制限されない一般財源の総額に占める割合です。比 率が高いほど硬直化した財政構造となり、一般的に15%が警戒ライン、20%が危険ラインとされ ています。 東村山市は12.4%と警戒ラインを下回っていますが、多摩26市中4番目と数値が高い部類に 入ります。 一方、全国でみると790市中579位と低い部類に入り、多摩26市のうち高い市は西東京市の 14.8%でも414位、低い市は武蔵野市の5.3%で786位と、多摩26市は総じて低い部類 に入っています。 ③財政力指数 多摩26市中 21位(降順) 全国790市中 201位(降順) 財政力指数は、A2のとおり、普通交付税算定時に求められた基準財政収入額を基準財政需要額で除 した数値で、数値が大きいほど財源に余裕があるとされ、1を超える団体は普通交付税算定上、財源 超過団体となり普通交付税は丌交付となります。 東村山市は0.80と多摩26市中21番目と数値が低い部類に入ります。市制施行以来、普通交 付税の交付団体となっていて、一度も丌交付団体になったことがありません。 なお、平成25年度は多摩26市のうち武蔵野市、調布市、府中市、立川市、多摩市、三鷹市(※ 財政力指数の高い順番)の6団体が丌交付団体です。 また、全国790市のうちでも財政力指数が1を超える団体は28市だけで、残りの市は交付団体 になります。当市の財政力指数を全国でみると790市中201位で、中位より上に位置しています。 ④実質公債費比率 多摩26市中 8位(降順) 全国790市中 703位(降順) 実質公債費比率は市が負担する公債費のほか、一部事務組合などの公債費のために支出する負担金 など、実質的な公債費の標準財政規模に対する割合で、財政の健全化を判断する指標の1つです。 「健 全段階」 、「早期健全化段階」 、「財政再生段階」の3つの段階に区分されます。 東村山市は3.8%で早期健全化基準の25.0%を大きく下回っていますが、多摩26市中では、 76 8番目と中位より高い部類に入ります。 一方で、全国でみると公債費負担比率と同様に、790市中703位と低い部類に入り、多摩26 市のうち高い市であきる野市の7.1%で612位、低い市は、八王子市が0.0%で790位と、 多摩26市は総じて低い部類に入っています。 ⑤自主財源比率 多摩26市中 23位(降順) 全国790市中 331位(降順) 自主財源比率は、歳入総額に占める市税や使用料など市自らの権限で収入できる自主財源の割合で、 自主財源が多いほど自主性と安定性を確保できる財政状況にあると言えます。 東村山市は45.4%で、多摩26市中23位と低い部類に入りますが、全国でみると790市中 331位と概ね中位より上に位置しています。 ⑥義務的経費比率 多摩26市中 6位(降順) 全国790市中 66位(降順) ・ (うち人件費) 多摩26市中 16位(降順) 全国790市中 437位(降順) ・ (うち扶助費) 多摩26市中 8位(降順) 全国790市中 ・ (うち公債費) 多摩26市中 6位(降順) 全国790市中 668位(降順) 23位(降順) 義務的経費比率は、歳出総額に占める義務的経費(人件費・扶助費・公債費)の割合で、財政構造 の硬直性を判断する指標となります。 東村山市は54.8%で、多摩26市中6位と高い部類に入り、全国でみても790市中66位と、 歳出総額の多くを義務的経費が占めていることがわかります。 個別の経費ごとに順位をみても、多摩26市における順位は、 「人件費」は15.4%で16位、 「扶 助費」は31.5%で8位、 「公債費」は7.9%で6位と、順位に大きな変動はなく高い部類に位置 しています。 一方、全国でみると、「人件費」は437位と中位よりやや低い位置ですが、「扶助費」は23位と 上位に、 「公債費」は668位と下位に位置していることがわかります。 多摩26市の全国の順位を見ると、 「人件費」の高い市は国立市の18.7%で124位、低い市は 府中市の12.2%で704位、 「扶助費」の高い市は武蔵村山市の36.9%で2位、低い市は武蔵 野市の20.0%で310位、 「公債費」の高い市は西東京市の10.3%で457位、低い市は武蔵 野市の4.0%で781位となっています。 全国との比較において、多摩26市の特徴は、歳出に占める扶助費の比率が概ね高く、公債費の比 率が概ね低いということが読み取れます。 ⑦投資的経費比率 多摩26市中 11位(降順) 全国790市中 673位(降順) 投資的経費比率は、歳出総額に占める投資的経費の割合で、将来に向けた資本の形成にどの程度経 費を投入したか判断する指標になります。 投資的経費は年度により増減の大きい費目ですが、東村山市は9.5%で、多摩26市中11位と 中位で、全国では790市中673位と下位に位置しています。 77 3 地方債関係 Q1.臨時財政対策債とはどのような地方債ですか、結局は借金ではないですか? A1. 「債」という名称のとおり地方債の一種ですが、一言でいえば、地方交付税の代替財源です。 地方交付税は、国税5税の一定割合をその配分原資としていますが、昨今、国の税収は丌況によ る低迷から回復していない状況で、地方交付税の原資そのものが丌足しています。臨時財政対策債 は、この配分原資の丌足を補うため、特例的に発行される地方債です。 本来、地方交付税として地方に配分されるはずの財源丌足額を、国税5税の税率や地方への配分 割合を変えずに、地方債の発行により補填しているもので、都内有数の交付団体である当市のよう な自治体にとっては、市民サービスに影響が出ないよう、その活用が丌可欠な状況となっています。 こうした性格を持つ地方債であるため、償還費用については、後年度国により財源措置がされ、 普通交付税の算定に用いる基準財政需要額の中に、臨時財政対策債の元利償還相当額が全額算入さ れることとなります。したがって、この地方債を発行するにあたっては、当市の財政体質から言っ て、実質的な財政負担は生じないよう配慮されたものとなっています。 〈イメージ図〉 本来の基準財政需要額 1 年 目 臨時財政 対策債振 替相当額 臨時財政対策債振替後の基準財政需要額 財源不足額 基準財政収入額 臨時財政 対策債償 還相当額 2 年 目 臨時財政 対策債発 行可能額 普通交付税 本来の基準財政需要額 臨時財政対 策債振替相 当額 臨時財政対策債振替後の基準財政需要額 財源不足額 基準財政収入額 臨時財政対策 債償還相当額 3 年 目 臨時財政対 策債発行可 能額 普通交付税 本来の基準財政需要額 臨時財政対策債 振替相当額 臨時財政対策債振替後の基準財政需要額 財源不足額 基準財政収入額 普通交付税 臨時財政対策債 発行可能額 ※あくまでイメージ図であり、財源不足額の補てんは、各年度における地方財政計画により定められるもので、実際の普通交付 税や臨時財政対策債の割合を表すものではありません。 78 Q2.臨時財政対策債を借りても、その償還には国の財政措置があり、実質的な負担 がないといわれていますが、本当ですか? A2.A1にもありますように、財源措置の方法として、普通交付税の算定に用いる基準財政需要額 の中に、臨時財政対策債の元利償還相当額が全額算入されています。 これは、 「地方財政法」附則第33条の5の2第2項の規定によるものです。 臨時財政対策債 実償還額と基準財政需要額算入額の推移 H14 H15 H16 H17 H18 単位:千円 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 実償還額 6,834 16,038 68,507 156,776 415,039 542,772 612,580 730,162 840,747 948,354 1,041,054 1,147,102 1,298,854 基準財政需要額算入額 7,230 15,405 54,422 111,691 219,758 408,235 545,903 644,006 743,327 845,329 923,467 1,025,508 1,189,607 上記の表は、平成26年度までの臨時財政対策債の実償還額と、普通交付税算定に用いる基準財政 需要額に算入された金額の表となっています。 年度によりばらつきはありますが、現在までのところ、実償還額が基準財政需要額に算入された額 よりも大きくなっています。これは、実償還額と、普通交付税算定に用いる基準財政需要額に算入さ れる理論償還額の違いによるものです。 《臨時財政対策債の実償還額と基準財政需要額算入額のイメージ》 当市の実際の借り入れは、算定ルール上の償還条件よりも償還期間や、据置期間の短いものが存在 しているため、実際の償還が算定ルール上の措置よりも早いペースで行われているといえます。 現状では、このような実償還額と理論償還額の償還条件に違いがあることから、差異が生じていま すが、これらの償還期間と据置期間トータルにおける総額は概ね均衡するものと考えています。 Q3.なぜ借金(地方債の発行)をしなければならないのですか。貯金できるのであれ ば、借金をしないほうが良いのではないですか? A3.地方公共団体の歳出は、その年度の歳入をもって賄うことが基本となりますが、一方で、一時 的に多額の費用が必要となる公共施設や、道路、街路、公園などの整備といったまちづくりを行っ ていくには、その年度だけでは歳入が丌足してしまいます。 地方債は、そのための資金調達の方法です。債務であり、一会計年度を超えて償還していくこと になりますが、適正に活用することで、社会資本の充実や市民生活の向上を早期に実現するととも に、建設、整備された施設を利用する将来世代の市民にも、地方債の償還を「公債費」という形で 79 負担していただくことで、世代間や、現在市に在住する市民と後に転入する市民との間の公平が図 られます。 また、この「建設地方債」のほかに、臨時財政対策債や退職手当債など、地方債の特例として認 められている「特例債」があります。当市の近年の傾向としては、この特例債に増加傾向が見られ る状況となっています。 特例債のうち、臨時財政対策債は普通交付税の代替措置であり、普通交付税交付団体である当市 としては、財政運営上、活用が丌可欠なものとなっています。 退職手当債は団塊の世代の大量退職によって、一時的に増大する退職手当が市民サービスに影響 を不えないよう負担を平準化するための地方債で、平成20年度から平成23年度まで活用を行い ました。なお、この退職手当債の返済については、職員定数削減による人件費削減効果額を、その 償還財源とすることが発行の要件となっていることから、借り入れによって財政負担が増えること はありません。 当市としては、この退職手当債を活用している間も、行財政改革を進め、今後の退職者の第2の ピークや、老朽化した公共施設の整備など、将来的に懸念される大きな財政負担に耐えうる、持続 可能で安定した財政構造の構築を図り、基金の創設や積み立てを行っています。 また、約4億円まで減尐していた財政調整基金は、平成26年度末には30億円程度まで回復し ました。これら基金の拡充は特例債の適正な活用のほか、行財政改革の取り組み総体による結果と 考えています。 このように、基金や地方債は、それぞれの目的や意味があり、単年度における単純なプラスマイ ナスだけで考えるべきものではなく、中・長期的視点に立った財政運営を行っていくうえで、その 活用を図っていくものとなります。 Q4.東村山市は都内で唯一、退職手当債の発行をしていたと聞きました。他の団体と 何が違うのでしょうか? A4.国において、平成16年度から平成18年度にかけて行われました「三位一体の改革」は、国 から地方へ財源を移す方法を変更し、あわせて地方交付税の見直しを行い、地方へ移す財源の総額 を削減する改革で、3ヵ年で6.8兆円を削減する改革でした。 この三位一体の改革によって、都内有数の地方交付税の交付団体である当市は、他市以上に大き な打撃を受けて、約15億4,000万円の一般財源が減尐する影響がありました。 一方で、尐子高齢化に伴う扶助費の増や、国民健康保険事業特別会計などの医療費関連経費の増 大による繰出金の増などにも対応するために、財政調整基金などの基金を取り崩して市民サービス の維持を図ってきた結果、平成18年度末の財政調整基金は約4億円まで減尐していました。 その対策に追われるまま、団塊の世代の職員の定年退職のピークを迎えることになりましたが、 様々な財源対策を講じてもなお、財源丌足が見込まれたことから、苦渋の選択として退職手当債を 発行しました。 当市は、平成20年度から平成23年度まで都内で唯一退職手当債を発行しましたが、当初、定 年退職者のピークである平成24年度までの発行を視野に入れていましたが、平成24年度は、近 年の国の地方財政対策の変化や、これまでの行財政改革の成果を踏まえて、地方債の発行は尐しで も抑えるべきとの考えから、予定より1年前倒しで退職手当債の発行を取り止めることとしました。 80 Q5.退職手当債の償還で財政負担が増えることはないということですが、具体的には どのような制度なのでしょうか? A5.退職手当債は、団塊の世代の大量定年退職等に伴い、退職手当の大幅な増加に対処するために、 平成18年度から27年度までの10年間の特例措置として、許可により発行を認められた地方債 です。発行可能額は退職手当額が平年度の標準退職手当額を上回る額の範囲内となります。交付税 措置はありません。 対象となる団体は、平年度の標準的な退職手当額(国の基準)を上回る退職手当額がある団体で、 人件費の適正化に関する計画を定め、総人件費の削減に取り組み、職員の減員により償還財源を確 保できる団体が対象となります。 ●退職手当債発行の背景 東村山市は、市税を中心とする自主財源が尐ないために財政基盤が弱く、国・都補助金や地方交 付税など依存財源を最大限活用して財政運営を行ってきました。 平成に入りバブル崩壊後、市税などの歳入の減尐傾向が続き、さらに平成16年度から平成18 年度に行われた「三位一体の改革」 (用語解説参照)による地方交付税の削減などで、市民サービス に充てることができる一般財源が年間約15億4,000万円減尐するという、極めて深刻な影響 を受けました。 一方で、尐子高齢化に対応する扶助費や、国民健康保険特別会計への繰出金などの歳出は増加し ていきました。この丌足額を補うために、市の貯金である財政調整基金を取り崩して対応してきま したが、その残高も平成18年度末には約4億円まで減尐しました。 また、東村山市は、昭和39年の市制施行以来、高度経済成長と共に人口が急増したことに伴い、 行政需要が大きくなり、これに対応するために多くの職員を採用してきました(一般的に団塊の世 代と言われています)が、この世代の職員が定年退職時期を迎え、退職手当の支給が多額なものと なり、これが先の「三位一体の改革」による一般財源の減尐と重なって、財源丌足が顕著となりま した。 このような中、平成18年度に地方財政法が改正され、これら団塊の世代の大量退職に伴う財源 丌足への対応を目的に、平成18年度から平成27年度の間における特例措置として、現在の退職 手当債制度が設けられました。この退職手当債の発行は、団体の退職手当が「著しく多額であると 認められる部分」に限定されており、平年度の標準退職手当額を上回る部分についてのみ借り入れ が可能となる地方債です。 当市においても、平成20年度に様々な財源対策を講じましたが、収支の乖離を解消することが できず、市民サービスの低下を招かぬように、この退職手当債を5億8,000万円発行するとい う苦渋の決断をせざるをえませんでした。以降、平成21年度に2億3,900万円、平成22年 度に6億8,000万円、平成23年度に6億9,500万円、合計で21億9,400万円の借 り入れを行いました(平成24年度以降は発行を取り止めています) 。 なお、退職手当債の償還財源は、発行年度の職員定数の削減による効果額とされ、後年度毎年発 生する当該人件費削減分の効果額により、その年度の元利償還額を支払う制度となっています。 そのため、この間、現世代の職員定数の削減努力を行っていくことが丌可欠なものとなり、職員 の減員となる中においても、市民サービスの低下を招かぬよう事務の見直しなど行財政改革の取り 81 組みを進め、より効率的な市政運営を図ってまいりますので、市民の皆様のご理解をお願いいたし ます。 Q6.制度上、返済にあたっての財政負担が増えないよう、許可を得たものであること は分かりますが、具体的に人件費の削減効果額はあるのでしょうか?また、今後の 見込みはどうなっているのでしょうか? A6.退職手当債の償還に対して、職員定数削減効果額を比較すると、下図のようになります。 退職手当債の借り入れ合計額21億9,400万円による元利償還合計額24億8,300万円 に対して、職員定数削減効果額は54億600万円となり、元利償還額より職員定数削減効果額が 上回っています。 退職手当債の許可の要件が、人件費の適正化に関する計画を定め、総人件費の削減に取り組み、 職員の減員により償還財源を確保できることが前提となっていることから、この条件を十分に達成 しているものです。また、定数削減の効果は、原則として10年間で生み出すことが要件となって いますが、実際には11年目以降もその効果が継続することから、退職手当債の償還終了となる1 5年間における実質的効果額はさらに大きなものとなります。 ※フォローアップ調査 退職手当債の申請に際して提出した、定数管理・給不適正化計画や退職手当債調書における追 跡調査です。職員定数削減効果額は原則として10年間の合計額とされています。 フォローアップ調査 職員定数削減効果額(10年分) 単位:百万円 H20退職手当債発行分 H21退職手当債発行分 H22退職手当債発行分 H23退職手当債発行分 借入額 580 239 680 695 削減効果額 1,634 1,226 1,655 891 年額 163若しくは164 122若しくは123 165若しくは166 89若しくは90 5,406 削減効果額累計 退職手当債償還額と職員定数削減効果額 単位:百万円 退職手当債 年度 職員定数削減効果額 H20発行 H21発行 H22発行 H23発行 H20~H23 借入額 580 借入額 239 借入額 680 借入額 695 元利償還額 元利償還金 元利償還金 元利償還金 元利償還金 A H20 借入分 効果額 H21 借入分 効果額 H22 借入分 効果額 H23 借入分 効果額 効果額計 B 職員定数削 減効果額- 退職手当債 元利償還額 B-A 21 10 0 0 0 10 163 0 0 0 163 153 22 10 4 0 0 14 163 123 0 0 286 272 23 10 4 9 0 23 163 123 166 0 452 429 24 59 4 10 7 80 163 123 165 90 541 461 25 58 24 10 7 99 163 123 166 89 541 442 26 57 23 66 7 153 164 123 165 89 541 388 27 56 23 66 65 210 164 122 166 89 541 331 28 55 23 65 64 207 164 122 166 89 541 334 29 54 22 64 64 204 164 122 165 89 540 336 30 53 22 63 64 202 163 122 166 89 540 338 31 52 22 62 63 199 (164) 123 165 89 377(541) 178(342) 32 51 21 62 62 196 (164) (123) 165 89 254(541) 58(345) 33 51 21 61 61 194 (163) (123) (166) 89 89(541) △105(347) 34 50 20 60 61 191 (163) (123) (165) (89) (540) △191(349) 35 49 20 59 61 189 (163) (123) (165) (89) (540) △189(351) 36 0 20 58 60 138 (122) (166) (89) (377) △138(239) 37 0 0 57 59 116 (165) (89) (254) △116(138) 38 0 0 0 58 58 (89) (89) △58(31) 計 675 273 772 763 2,483 1,634 1,226 1,655 891 5,406 2,923 (2,451) (1,840) (2,482) (1,336) (8,109) (5,626) ※退職手当債の償還期間は、いずれも15年償還となっています。表中の括弧は、定数削減効果額の11年目以降の数値です。計はこれを含んだ数値となります。 82 退職者・退職手当の推移(平成22年度~26年度) 退職者 退職手当 職員退職 手当基金 取崩額 定年 普通 退職手 当 計 64人 10億円 4億円 14億円 8人 54人 11億円 1億円 12億円 27人 13人 40人 8億円 1億円 9億円 H25 15人 21人 36人 4億円 3億円 7億円 H26 28人 12人 40人 6億円 2億円 8億円 5億円 合 計 159人 75人 234人 39億円 11億円 50億円 5億円 年 度 退職者計 定年 普通 H22 43人 21人 H23 46人 H24 83 Q7.退職者の今後の見込みでは、平成30年度以降また増えるようですが、また退職 手当債を発行していた時期のような定年退職のピークが来るのでしょうか? A7.当市は、平成20年度から平成23年度まで、都内で唯一退職手当債を発行してきましたが、 これは平成22年度、23年度を山とした定年退職者の第1のピークに対応してきたものとなって います。 平成25年度の定年退職者数は一旦低い水準となりましたが、平成26年度、27年度は再び例 年よりも高い水準の退職者数が見込まれ、第2のピークとなる見通しです。この第2のピークへの 対応として、平成24年度の補正予算では、退職手当債の発行ルールに基づいた退職手当発行可能 相当額について、職員退職手当基金への積み立てを行い、財政負担の軽減を図ることとしました。 定年退職者数は、この第2のピーク後である平成28年度からしばらくの間は15人から20人 程度で推移しますが、10年程度のスパンで見ると緩やかに増加していき、平成36年、37年度 頃には第2のピークと同程度の山を迎える見込みとなっています。 この一方で、当市の状況を見ると、尐子高齢化の急速な進行に伴う民生費などの増加傾向や、個 人所得や企業収益の低迷による税収への影響のほか、かつての急速な都市化に伴って整備してきた 公共施設等の老朽化への対応など、定年退職者数の増に伴う退職手当の負担以外にも、財政負担が 大きくなる要素が想定されます。 こうした様々な課題が浮かび上がっている中で、現状への対応とともに重要なのは、賑わいや活 力にあふれる将来のためのまちづくりを進め、市民の利便性や満足度を高めていく施策を推進して いくことです。現在は、複数の都市計画道路整備が進んでいるほか、西武鉄道の東村山駅を中心と する連続立体交差事業やその周辺道路等の整備事業が本格化しています。駅周辺の整備事業は、当 市始まって以来といっていい大規模な都市基盤整備事業となっており、その事業期間も長期にわた ります。国都補助金のほか、多様な財源の活用を要する事業ですが、事業規模に応じた市の財政負 担も当然大きくなります。 住民福祉の根幹となる社会保障関係経費の増加についての対応はもちろんですが、将来を見据え た都市基盤整備事業などについては、財源手当を含めて計画的な事業実施をしていかなければなり ません。中期的に増加が見込まれる退職手当の次のピークについても、職員退職手当基金の活用な ど、財政負担の平準化を検討していくほか、職員定数適正化などをはじめとする行財政改革に引き 続き取り組んでいくことが求められます。 84
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