東臨床1 19)肩凝り 4月4日 鈴木 ・項部〜肩上部、肩甲間部の軟部組織に生じる 緊張感、重圧感、疼痛等の不快な自覚症状 ・他覚的 − 筋の過緊張、圧痛を認める状態 ○ 肩凝りの悪い循環 筋緊張 組織内 筋緊張:同じ姿勢の持続 虚血 炎症 腕の使いすぎ、パソコン 老廃物 貯溜 ・原因 ねこ ぜ ・不良姿勢 − 円背、平背、凹背 ・体形 ―― なで肩 ・頸肩筋疲労 − 長時間の作業(VDT作業) (空を見上げる) ・頸椎疾患 ―― 頸椎症(後屈→項背部、上肢に放散痛、痺れ感) ・眼科疾患 ―― 眼精疲労 調節性(眼鏡不適、乱視、近視、遠視・・・) 環境(照明不適、VDT作業等) ・耳鼻科疾患 ― 扁桃炎(項背強ばる、無汗、悪寒、発熱・・・) ・内科疾患 ・心疾患 ・左肩へ放散痛 ・胃、膵疾患 ・胆石症 ・右肩へ放散痛 ・肝疾患 ・高血圧症、低血圧症 ・慢性便秘、下痢 ・婦人科疾患 ―― 更年期障害(自律神経失調等) (むくみ、のぼせ等) ・精神科疾患 ― 鬱病 絶望感、自殺願望 早期覚醒 ノイローゼ う し ・歯科疾患 ―― 齲齒(虫歯) ・内分泌疾患 ― 甲状腺亢進症(動悸、息切れ、不眠等) A.注意を要するもの 各科領域疾患で、器質的疾患のもの B.適応となるもの 身体的、心理的疲労に起因するもの (共通)症状 肩凝り以外に特徴的症状なし 愁訴部の圧痛、筋緊張 → 頭痛、上肢痛 1 その他 ・程度により適応 内臓疾患によるもの ―― その疾患の治療の後に ・頸椎症 ・眼精疲労 ・高血圧症、低血圧症 ・慢性便秘、下痢 ・慢性胃炎、更年期障害など 鑑別 ・風寒 風− 木 −筋−関節 肩凝り(項背強ばる) 悪寒、発熱、無汗、頭痛、関節痛 薄い痰、鼻汁・・・ 舌 苔 白 脈 浮 緊 寒 表 ・肝陽亢進 ・肩凝り ・顔面紅潮、目赤、のぼせ、口渇、眩暈 熱証 ・イライラ、怒りっぽい ― 肝 熱 舌 紅 脈 弦 数 肝 ・寒 飲 ・肩凝り (寒痰) ・胸悶、咳嗽 痰飲が胸部に阻帯 ・疾涎(うすい痰) ・眩暈、浮腫 ―― 痰が皮下に溜まる ・寒気、四肢の冷え 舌 苔 白 脈 沈 遅 寒 裏 ・気滞血瘀 ―― 肩凝り 胸脇苦満、怒りっぽい、溜め息― 肝の疏泄悪化 月経不順 情志失調 ― 月経前後に増悪 舌 暗紅 又は紫(瘀点、瘀斑) 脈 弦 悪血の実証 肝 しょく 濇 瘀血 2 血瘀→気虚、血虚→血流停滞 肩凝り 肩凝り 〈治療方針〉 ・頸肩部周囲の血流改善 ・筋緊張、硬結、不快感、疲労感、疼痛、圧痛の除去 ・精神の安定 ・自律神経の調整 〈按マ指〉 頸〜肩、肩上部、肩甲間部の諸筋 ・僧帽筋 ・胸鎖乳突筋 ・菱形筋 ・軽擦法 ・棘上筋、棘下筋 → ◎揉捏法 ・斜角筋 ・圧迫法 ・大胸筋、小胸筋 ・叩打法 ・上肢の諸筋 併用療法・・・・・・ 温熱療法(ホットパック、赤外線、極超短波) 水治療法 電気療法 *施術前に行うと効果的 運動療法・・・・・・ 肩の上下運動 頸の前、後屈、側屈、回旋運動 肩関節の自動運動、 他動運動 〈鍼灸〉 天柱、風池、肩井、肩外兪、肩中兪、 曲垣、扶突、膏肓、 曲池、支正、外関 3 肩凝り 肩凝り(東洋医学的) 痙 病・・・・・・中医学 項背強・・・・・・傷寒論太陽病 実証 風寒 ・風寒の邪 → 太陽経、陽明経に侵襲 営衛の運行悪化 ・汗をかいて風を受ける 肝陽亢進(虚実挟雑証) 陰虚 → 陽を制御できない → 肝陽亢進 → 頭頸部に上衝 情志失調(憂鬱等)→ 肝の疏泄機能悪化 肩部の血行悪化 不良姿勢、外傷 → 経絡を損傷 虚証 肝血虚 眼精疲労 → 血虚 → 頸肩部の経絡を濡養できない 病後、産後 <治療方針及び処方例> ・共 通・・・舒筋括絡 (督脈) 大椎・・・ 督脈の通り改善→陽気の循環改善 至陽 →気血の運行促進 天柱・・・醒神活路→膀胱経を通じさせ、頭頸部を治療 列缺、後谿・・・・・・頭頸部の治療穴 局所(肩井、頸部・胸部の夾脊穴) ・風 寒・・・去風散寒 合谷 ・・・・・・四総穴、手陽明大腸経原穴 (手足太陽経、陽明経) 風池 ・・・・・・去風 ・肝陽亢進・・・平肝潜陽(陰虚にて上亢した肝陽を収める) (足厥陰肝経)太衝・・・・・・肝経原穴 曲池・・・・・・清熱理湿、高血圧症の主治穴 ・寒 飲・・・温陽化飲(陽虚にて発生した寒を温め、痰飲を除去) (足太陰脾経) 豊隆・・・・・・胃経絡穴 → 脾経へ 和胃気、化痰 膈兪・・・・・・血会 定喘・・・・・・止咳 ・気滞血瘀…理気清血(気滞、血行の改善) 膈兪・・・・・・血会 (足厥陰肝経) 血海・・・・・・理気調経 陽陵泉・・・・肝経原穴 ・肝血虚…補益肝血(血虚の改善) 三陰交・・・足三陰交の交会穴 (足太陰脾経) 陰陵泉・・・通利三焦、健脾→気血の生成力の回復 血海・・・・・・理気調経 膈兪・・・・・・血会 4 り 気滞血瘀 凝 平素から胸郭部に寒飲停滞 → 胸陽不宣 → 背部に重圧感、拘急 肩 寒飲 頸 肩 部 の 経 脈 拘 急 肝血虚 ・肩凝り ・眩暈、目のかすみ、目の乾き − 肝は目 ← 肝血不足 唇、爪の色淡い ・顔色萎黄 血不足 つやがない ・心悸 舌 淡 血虚 脈 細 20)頸肩腕痛 ・原因疾患 ・頸椎疾患 ・頸椎症 ―― 頸椎の退行性変化 → 神経根・脊髄症状 ・頸椎椎間ヘルニア ・後縦靱帯骨化症 ― 肥厚・骨化 ・腫瘍 ―――――― 症状進行性 ・肩関節疾患 ・肩関節周囲炎(五十肩) (上肢痛で ・肩腱板障害 詳しくやる) ・石灰沈着性腱板炎・・・夜寝れない程痛い ・胸郭出口症候群 ・頸肋症候群 (上肢痛で ・斜角筋症候群 詳しくやる) ・肋鎖症候群 ・過外転症候群 ・内臓疾患からの関連痛 ・左肩背部痛・・・ 心疾患、胃、膵疾患 ・右肩背部痛 ― 肝、胆疾患 ・(狭義の)頸肩腕症候群 A.注意を要するもの 1. 発熱等 全身症状(だるい等) ・結核性炎症(頸椎カリエス) 頸椎の炎症 頸椎の著明な疼痛性運動制限 ・化膿性炎症 ・発熱、自発痛顕著 ・疼痛、運動制限強い 2. ・症状進行性 ・頸・肩・上肢の激しい自発痛、夜間痛 ・ホルネル徴候 頸椎・頸髄の腫瘍(悪性腫瘍) パンコースト腫瘍 けん 縮瞳、眼瞼裂の狭小(眼瞼下垂:眼瞼板筋の麻痺)、眼球の陥没、発汗低下 ・急速に発現する四肢の麻痺 ※パンコースト腫瘍(肺尖部腫瘍) 肺尖部の肺癌 → 胸膜を破って、腕N叢を浸潤 → ・一側性上肢の疼痛、手の筋肉委縮、ホルネル徴候 ・強い安静時痛 頸椎の運動による増悪なし ・手のチアノーゼ、浮腫、橈骨A拍動減弱 5 3.下肢の痺れ感、歩行障害 握力低下、巧緻運動(細かい作業)障害 膝蓋腱反射亢進、時に病的反射(バビンスキー反射等)出現 膀胱直腸障害 脊髄症 ・中心性ヘルニア ・腫瘍 ・後縦靱帯骨化症 中心性ヘルニア 4.原因によらず筋委縮、麻痺症状の強いもの B.適応となるもの 頸椎症 ―― 頸椎症性神経根症 ・頸椎の退行性変化 → 骨の変形 → 神経根・脊髄障害 ・C5C6 に多い ・頸椎運動に伴う放散痛 → 神経根症状 ・検査法 ジャクソン・テスト スパークリング・テスト ○高位診断 知 C5 覚 腱反射 上腕外側 (C4/C5) C6 上腕二頭筋腱 腕橈骨筋腱 前腕外側 (C5/C6) C7 中指付近 (C6/C7) 上腕三頭筋腱 C4 C5 C6 T2 T1 C8 C7 6 筋 力 三角筋 (上腕二頭筋) 手根伸筋群(背屈) 手根屈筋群(掌屈) ○その他 適応となるもの ○頸椎椎間板ヘルニア − 神経根症 ○頸肩腕症候群 ・広義 − 頸〜上肢にかけての疼痛、痺れの原因疾患がすべて含まれる ・狭義 − 原因疾患の明らかなものを除外 自覚症状のみで病態を把握し得ない原因不明の頸肩腕痛 ○所見 自覚症状のみで、他覚的所見に乏しい 唯一の所見 − 圧痛(頸、肩、上肢) ○程度により適応 ・頸椎症性脊髄症 夏 冬 痹症 − 外邪(風 寒 湿)、(風 熱 湿)の侵襲 ① 行痹 (風痹) 痛み − 遊走性(部位一定しない) − 風の遊走性 悪寒、発熱、関節の痛み、屈伸不利−風は木→肝→筋→関節運動 舌苔 薄 白 脈 浮 弦 表 風 ② 痛痹 (寒痹) 痛み − 強く、固定性 − 寒の収引性 肌肉、関節の冷え、痛み 寒がり、四肢の冷え 喜温、冷 → 増悪 舌苔 白 脈 弦 緊 寒 体に入ると痰 ③ 着痹(著痹) (湿痹) 痛み − 固定性 ― 湿の粘着性 関節の重だるさ ― 湿の重濁性 麻木感(感覚がなくなる) 、浮腫 雨天時に増悪 舌苔 白 膩 脈 濡 湿、痰 (ぬれるから湿だと憶える) ④ 熱痹 (風熱の邪が湿邪に絡んで侵入) 痛み ― 四肢関節の疼痛、局所の発赤、熱感、腫脹 冷 → 軽快 口渇、小便短赤、煩燥(精神的にイライラ) 発熱、多汗 舌苔 脈 黄 膩 滑 数 熱 湿 実 熱 7 ○ 肝 腎 陰虚 ・頸 〜 肩 〜 上肢の疼痛、凝り ・筋力低下、筋萎縮、知覚障害 肝 精血不足 肝 → 筋骨栄養できない ・腰膝だるく、力入らない ― 腎虚(腰は腎の府) 腎 虚 ―― 耳鳴り、難聴、眩暈 顔のほてり、不眠 虚熱 舌 紅 脈 腎虚(精血不足) ―――― 陰虚 → 虚熱 虚熱が頭にいくと 舌苔 少 弦 細 又は細 数 肝 虚 熱 ※ 行痹 ― 刺鍼を主 痛痹 ― 鍼より灸を多用 着痹 ― 鍼と灸を併用 熱痹 ― 瀉法で刺鍼 8 頸肩腕痛 頸肩腕痛 <治療方針> ・頸椎症……神経根周辺の循環改善を促し、炎症を除去 神経根の興奮を抑制 神経走行に沿った反応点では、疼痛部位の鎮静 ・頸肩腕症候群………頸肩部筋のスパズムの除去 <按マ指> ・頸肩背部等の筋緊張 圧痛 軽擦法 → 硬結 坐位又は側臥位にて行う 揉捏法 圧迫法 叩打法 ・上肢の反応点 揉捏法 圧迫法 ・理学療法 温熱療法 *施術前に行うとより効果的 水治療法 電気療法 ・運動療法 頭頸部 肩背部 上肢 自動運動 → 他動運動 *自宅での体操等を指導 <鍼灸> ・頚椎症 風池、大椎、天鼎 ・頸肩腕症候群 肩貞、曲池 *頸椎症・・・・・・障害部の神経根部 9 頸肩腕痛 頸肩腕痛(東洋医学的) 多くは「痹証」に属する。 *「痹」…詰まって通じない 痹証型 外邪 → 経絡阻滞 → 気血運行不良 肌肉、筋骨の疼痛、麻木、重だるさ 肝腎陰虚型 痹証が長期化 → 精血不足 → 筋骨、経脈を栄養できない <治療> ①行痹・・・・・・血行改善 「血めぐれば風おのずと滅す」 (去風) ・血に作用する治療穴を主に取穴 風池……解表疏通 膈兪……血会 血海……活血行血 太衝……理気をはかり、活血を助ける ②痛痹・・・・・・陽気を助け、寒邪の除去 (温経散寒、去風去湿) 腎兪、関元・・・・・・温陽散寒 局所配穴 ③着痹・・・・・・脾胃の運化機能を改善することにより、湿を除去 (去湿通絡、去風散寒) ・足陽明胃経、足太陰脾経 陰陵泉、足三里・・・脾胃の運化機能が改善すれば水湿が除去される 局所配穴 ④熱痹・・・・・・熱邪、湿邪の除去 循環改善 (清熱利湿、去風活血) ・督脈、手陽明大腸経 大椎・・・・・・清熱散風、陽気を通じさせ、気血を循らせる 曲池、合谷・・・多気多血 局所配穴 ⑤肝腎陰虚・・・経絡気血の流れ改善(補益肝腎) ・手陽明大腸経……曲池、手三里 ・手太陽小腸経……天宗、肩中兪、肩外兪、後谿 ・足太陽膀胱経……天柱、風門 ・手少陽三焦経……天髎、天井、支溝 ・足少腸胆経・・・・・・懸鍾(髄会)、陽陵泉(筋会)、完骨、丘墟 肝兪、腎兪――肝腎の精気補う 10 頸 肩 腕 痛 関節の腫脹、変形、屈伸不利 → 四肢の運動機能に影響 21)肩関節痛 ・原因 ・烏口突起炎 ・上腕二頭筋腱長頭腱炎 ・腱板炎(五十肩の前段) ・腱板損傷(断裂) 肩峰下滑液包炎 ・五十肩 (殆ど二次性) ・RA 外傷性 肩関節脱臼 上腕骨骨折 関連痛 左 ― 心疾患 胃 右 膵疾患 ― 肝、胆疾患 A.注意を要するもの ① 局所の熱感、腫脹 発 熱 (肩関節) 化膿性関節炎 自発痛 ② 受傷後 自発痛 骨折 脱臼 ドロップ・アーム・テスト(+)陽性・・・患者の手を離したらNG(認定試験) 骨の転位 又は 関節の輪郭異常 ③ 60°以上の自動外転不能(疼痛と筋力低下) 外転可動域 − 正常(他動的には外転可能・・・五十肩との鑑別点) (五十肩は制限) → 肩・腱板損傷(悪くすると断裂) ※ 棘上筋腱が大結節に付着する付近(肩髃) − 血行動態的に欠乏部 → 変性断裂の好発部位 B.適応となるもの ① 腱 板 炎 肩甲骨 棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋 → 肩J付近で腱様組織となって集束 → 上腕骨上端に付着 → 「腱板」 → 周囲組織に圧迫、摩擦加えられやすい → 変性、腱炎発生 11 症状 ・五十肩の初期症状で肩J拘縮のみられないもの ・疼痛 − 肩J疾患中最も強い刺激 ・圧痛 − 大結節部 ・検査法 − 有痛弧(+) ペインフルアークサイン陽性 ・10代、20代にも発生 ※ 石灰沈着性腱板炎 棘上筋腱には石灰沈着が発生しやすい (血液の循環が悪い) → 沈着物が肩峰下滑液包に流れ 疼痛 − 急性 激烈 症状 夜間に発症 圧倒的に女性に多い (25〜50 代) ② 肩峰下滑液包炎 部位 − 肩峰と三角筋の下方 からの移行が一番多い ・腱板炎 ・腱板断裂 に引き続いて起こるものが殆ど ・五十肩 症状 ・圧痛 − 大結節部 → ダウバーン徴候(+)陽性 ・運動痛、雑音(こすれる音) ・夜間痛 ・肩J腫脹、熱感 ③ 上腕二頭筋長頭腱炎 肩J運動時 − 長頭腱が結節間溝を滑動 → 長頭腱や腱鞘は常時機械的圧迫を受ける ・摩滅性 − スポーツ(野球等)、仕事等過激な運動によるもの (オーバユース症候群) ・変性性 − 加齢変性によるもの 症状 疼痛 肩J外転、外旋時 (重量物拳上時) 圧痛 − 結節間溝 検査法 ・ヤーガソンテスト(+) ・スピードテスト(+) ・ストレッチテスト(+)・・・肩J後屈、肘を曲げると圧痛消失 12 ※ 肩J運動制限 − ないことが多い 20〜40代 長頭腱に限局・・・スポーツによる摩滅 ・周囲組織への波及 ・関節拘縮に発展 40〜50代 (後半) ない 炎症が周囲組織に拡大 → 五十肩の症状に移行 ④ 五十肩(狭義) 明らかな誘因なく、徐々に発症 肩J周囲の軟部組織の変性、炎症 → 複数の病態合併 → 炎症の消退 → 関節包の肥厚、癒着、循環障害 → 関節拘縮 症状 疼痛と運動制限 30〜80歳代(50代を頂点として好発) ・前半(急性期) − 疼痛、運動痛 夜間痛 → 睡眠障害 ・部位 − 三角筋部に限局するもの 〜手指にまで波及するものまで様々 ・後半(慢性期) − 疼痛の鎮静と共に拘縮 → 運動制限 ・結帯障害、結髪障害 ・有痛弧 ・予後 − 比較的良好 (参考)カルテの付け方 C7 − 母指間の記録 A、B の初診時の長さを計測記録し 治療前後で計測すると改善経過が解る (長さが少なくなると改善) A B 13 14 肩関節痛 肩関節痛 五十肩 〈治療方針〉 ・急性期・・・・・・障害を受けた組織の消炎、鎮痛 ・慢性期・・・・・・ 拘縮の進行防止 → 循環改善 関節可動域の回復、維持 → 運動療法 (施術部位) ・ 肩J周囲の諸筋 (按マ指に書いてある筋) ・ 肩Jを通過する腱(棘上筋腱、二頭筋腱 等)の圧痛、疼痛、硬結、筋緊張の反応点 〈按マ指〉 ・上肢〜頸肩背部の広い範囲にかけて施術を行う 三角筋 上腕二頭筋 軽擦法 上腕三頭筋 揉捏 大円筋 圧迫法・・腋窩等の両母指圧迫(極泉) 小円筋 叩打法 棘上筋 *強擦法……腋窩、肩関節周辺 棘下筋 生体反応として、冷却による反発で循環を良くする。 ・併用療法 温熱療法(冷却療法)・・・寒冷による場合は温罨法 水治療法 電気療法 ・運動療法 コッドマン体操 棒体操 伸張運動法 壁対抗運動、壁上行運動 自動抵抗運動 モビリゼーション 等・・・・引っ張って関節可動域を広げる *スポーツ障害 症状の回復に合わせて負荷を与え、 他動運動〜自動運動〜抵抗運動に移行 〈鍼灸〉 肩三針 肩髃、肩髎、巨骨、肩貞、臂臑 中国 肩前(肩内陵)・・・肩髃と腋下横紋の外端との中央 天柱、臑兪、膏肓、天府、天幕、極泉 曲池、外関 関節裂隙部、腱板部、大結節部、小結節部、 結節間溝部(天府、侠白)←長頭腱炎 15 肩関節痛 東洋医学的 けん ふ き ょ 「霊枢・経脈篇」・・・・・・肩不拳 「鍼灸甲乙経」 風湿の外襲、外傷 ……肩不挙、手臂不可上頭 「金匱要略」・・・・・・・・但臂不遂 →・肩関節痛 → 腕 肩臂痛、肩前臑痛、肩重痛 ・腕を拳ることができない ・頸項が急にこわばる (運動障害を伴う病態) 二の腕 外部(風、寒、湿)・・・・・・痹証 肩部に侵入→経絡気血の阻滞・・・・・・・・・・・・・・・・・(経絡型)・・・急性期型 →気滞血瘀 手の陽明経の流れ悪くなる→経筋に影響・・・・・・・(経筋型)・・・慢性期型 A)経絡型(急性期) ・気滞・・・・・・運動障害 + 疼痛(内旋、外旋時)・・・運動時痛 ・血瘀・・・・・・夜間痛(固定痛) 〈治療方針〉 ・経絡の通り改善→気血の運行を促す(疏通経絡) ・散風止痛 風邪を除去して痛みを止める *手陽明経、手太陽経、手少陽経・・・・・・鍼にて瀉法、灸を併用 B)経筋型(慢性期) ・運動制限 結帯障害 結髪障害 長期化→ 肩部筋の萎縮 〈治療方針〉 ・気血の流れ促す→経筋の改善 ・血行の改善と瘀血の除去(疏調気血) *手陽明経、手太陽経、手少陽経・・・・・・鍼にて瀉法、灸や吸角を併用 〈処方例〉 肩髃・・・・・・鎖骨上神経、腋下神経 肩貞・・・・・・腋下神経 肩膠・・・・・・通経絡 五十肩 透刺 曲池・・・・・・手陽明経、合穴 外関・・・・・・手少陽経、絡穴 難しい 条ロ−承山(透刺)・‥肩痹 表裏の刺入方向が一直線になればOK 条口 陽陵泉・・・筋会 16 承山 22)上肢痛 ・原因疾患 ① 頸、肩の障害− 頸肩腕Syn、五十肩 胸郭出口Syn、RA ② 肘関節の障害− 上腕内・外側上顆炎、肘トンネルSyn(尺骨神経管) (テニス肘で詳しく勉強する) 変形性肘関節症(老化) 、各種神経痛(尺骨、橈骨、正中神経) ③ 手関節の障害− 腱鞘炎、手根管Syn(正中神経) 腱鞘炎 親指・・・ドケルマン (大陵) その他・・バネ指 尺骨神経管Syn(ギヨン管Syn) (神門) ④ その他 左頸肩腕痛 ← 心疾患 A.注意を要するもの ① 左頸肩腕痛 + 前胸部痛、胸内苦悶 → 狭心症 ② 麻痺症状が強いもの ― 重症の末梢神経障害 ③ 症状が頑固 B.適応となるもの 神経、血管束 C7 肋骨 斜角筋三角 腕神経叢 C7 突起が 前斜角筋と 鎖骨下A.V 異常に長い 中斜角筋の間 肋鎖間隙 鎖骨 第1肋骨 小胸筋 胸壁 上腕を下降 ① 胸郭出口症候群(T・O・S) (斜角筋隙) 神経圧迫 斜角筋Syn 頸肋Syn 肋鎖Syn (稀にいる) 過外転Syn (小胸筋Syn) 検査法 ・ 頸肋Syn ― アレンテスト、アドソンテスト ・ 斜角筋Syn ― ・ 肋鎖Syn 〃 、 〃 、モーリーテスト(斜角筋を 押さえる) ― エデンテスト(エデンの後で憶える) ・ 過外転Syn ― ライトテスト(過外転テスト) 症状 ・上肢の痺れ、疼痛、脱力感、倦怠感、 ・上肢の拳上保持困難 増悪(3分間拳上テスト) 症状のある腕が下がってくる 3分間拳上テストで陽性の場合各々のテスト実施 ・頸部 〜 頸肩部の凝り ・若いなで肩の女性に多い ― ・上肢拳上作業(理・美容師、教師等) ・上肢作業(VDT作業) 17 ② その他の絞扼性神経障害 a.橈骨神経 ・ 絞扼部位 ― 短橈側手根伸筋と回外筋 ・ 症状 疼痛 ― 外側上顆を中心とする肘の外側 ― 浅枝が絞扼 ― 手指の橈側の支配領域の疼痛、知覚異常 深枝が絞扼(長期) ― 手関節、手指の伸展が障害(下垂手) 圧痛 ― 上腕外側上顆前側 〜 前腕上部 b.正中神経 「円回内筋Syn」 ・ 絞扼部位 ― 円回内筋の両頭(上腕頭と尺骨頭)の間 ・ 症状 疼痛、知覚障害 ― Ⅰ〜Ⅲ指 ― c.尺骨神経 運動障害 母指の対立運動、Ⅰ〜Ⅳ指の屈曲 圧痛 円回内筋部、母指球筋部 検査 チネル徴候 筋萎縮(長期化) 猿手 「肘部管Syn(肘トンネルSyn)」 ・ 絞扼部位 ― 肘部管(尺側手根屈筋の上腕頭と尺骨頭の間) ・ 症状 疼痛、知覚障害 ― Ⅳ指尺側、Ⅴ指掌側、小指球部、手背尺側 ― 運動障害 Ⅳ、Ⅴ指の末節屈曲 手関節の掌屈、尺屈 検査 フローマン徴候(親指と人指指で紙を押さえる 巧緻運動障害 → 親指が立ってくる) 鷲 手 ③ テニス肘 ・上腕骨外側上顆炎 ・短橈骨手根伸筋炎 ・中年のテニス選手、初心者 ・前腕の回外、手関節の背屈を反復する作業 原因、 短橈骨手根伸筋の牽引 → 起始部の筋膜や、骨膜の微小な部分断裂及び炎症 → 線維化、変性 症状 疼痛 ― 運動時痛 手関節背屈 ・タオル絞れない 前腕回外 ・蛇口ひねれない ・ドアノブ回せない ※ 肘の外側に痛み − バックハンドテニス肘(初心者) 肘の内側に痛み − フォアハンドテニス肘(上級者)強いサーブや スマッシュ 18 手根 屈筋 外側上顆の腱起始部 ・・・・・・・・曲池 圧痛 長・短橈側手根伸筋・筋腹・・・手三里 腕橈関節裂隙や橈骨頭部 検査法 チェア・テスト(手掌を下にして持ち上げる) トムゼンテスト 肘を伸ばして 手を背屈させ検者が コーゼンテスト 肘を曲げ 負荷をかける 中指伸展テスト 中指を伸ばし検者が負荷をかける ミルテスト(ドアノブテスト)肘を曲げ手を回内 バックハンドテニス肘 フォアハンドテニス肘 トムゼンテスト 逆トムゼンテスト(手関節掌屈試験) ④ 腱鞘炎 a.ド・ケルバン病 ド・ケルバン・・・スイス人の医者 b.弾発指(ばね指) a.ド・ケルバン病 原因 手関節、手指の過度の使用 第1区間を通過 長母指外転筋腱、短母指伸筋腱が摩擦 → 腱鞘の肥厚、狭窄 症状 母指運動時の摩擦音 橈骨茎状突起部の疼痛、圧痛 腫脹、熱感 握る、絞る、撮む → 増悪 ♂:♀ = 7:1(中高年の女性に多い)・・・皮下の肥厚 新婚の女性も ド・ケルバン の特徴 − 運動時痛が著明 ばね現象は見られない 検査 − フィンケル・ステイン・テスト (スタイン) 母指を握りこんで手関節を尺屈 b.弾発指(ばね指) 指屈筋 症状 腱鞘入口の肥厚と、それによる絞扼 手指屈曲・伸展の途中で指がひっかかった様に止まり 他動的に動きを強制すると、突発的に動く 女性に多い 母指に好発 19 上肢痛 22)上肢痛 ①胸郭出口症候群 〈治療方針〉 ・神経、血管束が圧迫されているそれぞれの部位の筋緊張の緩解 ・頸肩背部の筋スパズムの除去 〈按マ指〉 ・頸肩背部・・・・・・圧痛、硬結、筋緊張部を中心に 軽擦法 揉捏法 圧迫法 *特に前頸部、側頸部には十分注意 神経、血管束があり、患者の変調をきたす。 ・運動法 ・併用療法 目的…筋緊張の軽減 温熱療法 筋力の増強、伸張 水治療法 頸部 肩背部 肩甲部 牽引(注意が必要) → 自動運動、他動運動 *施術前に行うと効果的 伸張運動 〈鍼灸〉 共通穴…………天柱、風池、曲垣、曲池 斜角筋症候群…天鼎、扶突 肋鎖症候群……兪府、気戸、中府、雲門 過外転症候群…屋翳、中府、庫房 ②その他の上肢の絞扼性神経障害 〈治療方針〉 3疾患共通 ・筋緊張の除去 ・組織の消炎 ・腫脹の軽減 ・絞扼されている部(神経等)の循環改善 〈処方例〉 *絞扼部位の圧痛点を中心に施術 ①橈骨神経・・・・・・手陽明大腸経、手少陽三焦経 消濼、手三里(孔最)、外関 ②円回内症候群…手厥陰心包経 曲沢、郄門、内関、大陵 ③肘部管症候群…手少陰心経 少海、支正、神門 20 上肢痛 ②テニス肘 〈治療方針〉 ・局所の消炎、疼痛緩解、圧痛の除去 ・急性期は、安静に努める → 患部にはアイスパック(冷やす)等 RICE 〈按マ指〉 ・上肢 前腕外側 → 軽擦法 外側〜肘関節 揉捏法(把握、鋸切、縦行等部位により選択) 筋と腱の移行部 → 強めの揉捏法(又は強擦法) 腱と骨の付着部 ・併用療法 温熱療法…ホットパック・・・急性期を過ぎてから バック 電気療法…低周波、超音波 運動療法…リストカール、ストレッチ 専門指導者によるフォームの改善 フォア 〈鍼灸〉 筋線維を斜めに入れて中指伸展テスト(運動鍼) 曲池、肘髎、天井 伸筋群…手三里、陽池 尺沢、曲沢 屈筋群…支正、大陵 小海、少海 ③腱鞘炎 ド・ケルバン病 弾発指(ばね指) 〈治療方針〉 ・消炎、鎮痛 ・基本的には、安静 (治療して効果なく、再発繰り返す様であれば手術) 〈鍼灸〉 ・圧痛の強い部位 ・列缺(母指に向け水平刺)・・・鍼後、灸が良い ・母指弾発指…母指の付け根 *鍼の後、灸 21 試合の時皮内鍼も良い 上肢痛 東洋医学的 肘痛(肘労)・・・痹証 外感(風寒湿邪)、労損、外傷等により 肘の局部の経絡が損傷されて起こる 風寒湿 湿気の多い居所 →風寒湿の邪が虚に乗じ、 雨に濡れる 肘関節の経絡に侵襲 睡眠中冷える 肘 労損 テニス、木工等 労損 気滞血瘀 肘局部の捻挫、打撲→経絡損傷 スポーツ外傷:悪い血が溜まる 〈治療方針〉 ・労損…気血の流れを促し、経筋の改善を図る(行気活血) 筋を緩め、経絡の循環改善(舒筋通路) *手足陽明経(多気多血)から主に取穴 ・・・・・・鍼にて中等度刺激、必要に応じ灸 〈処方例〉 曲池、肘髎、合谷、阿是穴・・・行気、通絡 陽陵泉・・・・・・筋会 〈鑑別〉 ① 風寒湿 肘部のだるい痛み、重だるさ ― 寒邪の収引性、湿の重濁性 雨天に増悪(湿邪) 肘部の麻木感 (痹証の特徴) 屈伸不利 陽気が通じなくなり、筋を栄養できない ・舌苔 白 又は 膩 脈 寒 湿 弦 緊 又は 濡 風 寒 湿 22 痛 長期に渡り肘に負担 →肘部の経筋、経脈を → 気血の運行阻滞 → ② 労損 ・ 肘外側の疼痛、無力感、肘伸展制限 ・ 握るだけで痛む ・ 肘の外側に圧痛 損傷部位に気血が瘀滞 舌 淡紅 又は 暗紅 (正常に近い) 瘀血 脈 弦 濇 筋 ③ 気滞瘀血 局所の腫脹、疼痛 圧痛、運動制限 ― 捻挫打撲 気血が阻滞 舌 暗紅 脈 弦 濇 瘀血 23 23)腰下肢痛 原因 1.腰椎、仙椎 退行変性 ・変形性脊椎症 ・腰椎椎間板ヘルニア・・・若い人にも起きる ・椎間 関節性腰痛 代謝異常 脊椎 外傷性 骨粗鬆症 腰椎(圧迫)骨折等(棘突起、横突起が折れる) 腰椎捻挫 脊椎分離症 ・先天性 ・外傷性 姿勢性腰痛 2.軟部組織 ・筋・筋膜性腰痛 腰部筋痙縮 外傷、炎症 → 自己保護的 内臓疾患 → 内臓 − 体壁反射 3.炎症・腫瘍 炎症 ・結核性脊椎炎(カリエス) ・化膿性腰痛(含、椎間板炎) ・RA ・脊椎腫瘍(他よりの転移) ・血管腫 ・骨髄腫 4.腹腔、骨盤内臓器 消化器系 ・胃・十二指腸潰瘍 ・肝炎 ・常習性便秘 ・悪性腫瘍 泌尿器系 尿路結石(疝痛 → 側腹部痛 〜 腰痛) 腎炎 婦人科系 ・更年期障害 ・月経困難症 ・子宮内膜症 ・子宮筋腫 24 A.注意を要するもの ① 発熱、るい痩等 ② 安静時痛 全身症状 炎症性疾患 夜間痛の著しいもの ぎっくり腰でもある 悪性腫瘍 ③ 膀胱直腸障害 中枢神経症状 ④ 疼痛性の可動制限 脊柱(圧迫)骨折 叩打痛 ⑤ 原因に拘わらず、運動麻痺の強いもの B.適応となるもの ① 腰痛 a.筋・筋膜性腰痛 病態 急性 過伸展、捻転等 → 筋・筋膜の炎症 (ギックリ腰の代表的疾患) 慢性 局所の炎症に基く循環障害 → 疼痛、筋硬結 筋疲労、組織の瘢痕化 症状 ・患部に限局した痛み L3 の高さに好発(脊柱起立筋外縁部) (腎兪、志室付近) ・ 疼痛部に一致して著明な圧痛と筋硬結 → 疼痛性側弯(患測に傾く) ・前屈動作の障害(FFD:Finger Floer Distance)指床間距離 b.椎間 関節性腰痛 病態 急性 急激な動作 → 関節組織の損傷 → 椎間関節の捻挫 飛び出す かん とん → 関節包断裂や、関節内への嵌頓(ヘルニア) (ギックリ腰の代表的疾患) 慢性 ・加齢変性を基盤とした椎間関節症 ・軟骨表層の消失 ・辺縁での増殖変化 症状 疼痛 ― 下位腰椎部(腰仙部) (〜 上臀部にも) ※ 腰部の運動 75% ― L5/S1 間 20% ― L4/5 間 圧痛 椎間関節部の深い押圧で検出 (L4/5 L5/S1 の椎間関節部) 棘突起間の高さ、正中より2cm外方 運動制限 前屈、後屈 共に制限 特に捻転と後屈困難 25 c.変形性脊椎症 病態 加齢 → 脊椎、周囲組織の変性 (40歳前後〜 ) ・椎体辺縁の骨棘形成 → 神経刺激 → 坐骨神経痛 ・椎間板の退行変性 若い人 水分 90% 老人 〃 60%(カサカサで潰れる→突出) ・靱帯、傍脊柱筋の緊張、疲労、肥大 ・脊柱、その周辺の循環障害 症状 中高年以後 疼痛 徐々に発症 → 慢性の経過たどる 起床時、動作開始時痛(脊椎付近の循環障害) スターティングペイン だるい) (臀部、大腿等も重い → 運動と共に軽快 下位腰椎の高さ(L4、L5) 他覚的所見 ・腰椎の前弯減少又は後弯 ・腰部筋の緊張、圧痛、硬結 L4、L5 は L4 L5 他腰椎より曲がりの 角度が強く負担がかかる ② 坐骨神経痛 a.根性坐骨神経通 腰椎に原因 原因 赤線のように飛び出すと 坐骨神経通ではなく脊髄 圧迫でもっと症状は重篤 ・腰椎椎間板ヘルニア ・変形性脊椎症 ・腰部脊柱管狭窄症・・・変形性脊椎症の一つ ○ 腰椎椎間板ヘルニア 加齢で水分が無くなりもろくなる ・椎間板の線維輪の一部に断裂 → 変形した髄核が脊柱管や椎間孔内に侵入(L4/5 最多) → 神経根を圧迫 症状 ・神経走行に沿った下肢への放散痛、知覚鈍麻 大腿後側−下腿後側 棘突起間 ・圧痛― 棘突起外方 ・前弯減少 (脛骨神経) ・疼痛性側弯(健側に傾く)− 筋筋膜性と反対 26 下腿外側 検査 ・SLR(+) 下肢 伸展 拳上 L S R ・ケンプテスト・・・後屈して患側に傾ける(スパーリングテストの腰版) ・サイクルテスト・・・自転車こぎ:前かがみになる(圧迫がなくなるため) ・腱反射・・・減弱又は消失 ○ 高位診断 知 覚 腱 反 射 下腿内側〜母趾 L4 PTR 力 前脛骨筋 (膝蓋腱反射) (椎間L3/4) 筋 (出口L4/5) 足関節内反、背屈 踵歩き:踵が上らない 下腿外側〜足背中央 L5 長趾伸筋 (椎間L4/5) (足趾背屈) (出口L5/S5) 抵抗加える:背屈できない 足部外側(小趾) S1 (椎間L5/S1) ATR 長腓骨筋 (アキレス腱反射) 〜足底 (出口S1/S2) 爪先立ち:爪先上らない L L 大腿 4 頭筋 ○ 足関節外反、底屈 足背中央:足 5 本 アキレス:AchilleS1 で記憶 腰椎椎間板ヘルニア 加齢 → 退行性変化 → 脊柱管周辺の 骨組織の変形 軟部組織の肥厚 → 神経根、馬尾神経圧迫 (変形性脊椎症の一つの形) 症状 中年以後(40歳〜)♂に多い 下肢神経痛と共に間歇性跛行 (馬尾神経圧迫による→脊柱管狭窄症の特徴) 痺れ感、脱力感 27 C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 T1 T2 L1 L2 L3 L4 L5 S C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 T1 T2 T12 L1 L2 L3 L4 L5 S1 検査 ・SLRの陽性率は低い ・ケンプテスト(+)・・・出易い ・サイクルテスト(+)(前かがみだと楽) 所見 ・腰椎前弯減少 ・後屈制限 姿勢による症状の消長 立位、歩行・・・増悪 座位、側臥位・・・軽減、消失 腰椎伸展位 ・・・下肢痺れ感増強 (後屈制限) ※ 下肢の痛み、痺れ、間歇性跛行あり 知覚、深部反射等に異常なし 腸骨動脈付近の 大腿動脈に拍動の減弱、消失 閉塞性疾患 (足背動脈 ) → バージャー病 〃 b.梨状筋症候群 梨状筋の筋膜炎、筋痙攣 → 臀部を通過する坐骨神経圧迫 誘因 ・歩行中の捻り ・重量物の拳上時の股関節外転 ・長時間立位 症状 臀部 〜 下肢への神経痛 圧痛 ― 梨状筋部 ♀に多い 脊柱形態異常 知覚障害 ない 腱反射異常 検査法 Kボンネットテスト + (参考)K:片山 SLR(−) 腰下肢痛 28 腰痛 〈治療方針〉 ・腰 痛・・・・・・・・・局所の血流改善 筋スパズムの緩解 ・坐骨神経痛・・・ 障害神経根部の循環改善 臀部、下肢部の筋緊張緩解による疼痛鎮静 ・梨状筋症候群・・・梨状筋の筋緊張の緩解 〈按マ指〉 施術部・・・大転子部、 臀筋下溝部 大腿後側中央部〜膝窩中央〜下腿 脊柱起立筋 軽擦法(筋筋膜性腰痛で腫脹あるものは軽擦法程度にとどめる) 胸腰筋膜 揉捏法 腰方形筋 圧迫法←疼痛性硬結、筋緊張部 叩打法 大臀筋 大腿二頭筋〜下腿三頭筋・・・・・・持続的圧迫法 梨状筋 ザブルドスキー氏圧迫法 *腰痛の防止、軽減・・・朝晩一回づつでも、両手で腰部を揉む様に心がける ・併用療法 温熱療法(筋筋膜性等の急性のものは冷罨法) 水治療法 温泉療法 電気療法 ・運動法 ウイリアムスの腰痛体操 ・腰椎の前彎骨盤の前傾矯正 脊椎の柔軟性高める 体幹の屈筋、伸筋の筋力増強 萎縮、拘縮した筋を伸展 坐骨神経伸展法(非観血的神経伸展法) ・生活指導 ・2〜3日は安静(仰臥位) (膝の下に毛布を丸めて入れる、又は側臥位、膝屈曲位) ・腰椎の前化の防止……ハイヒール、腹臥位、反り身姿勢避ける ・長時間立位が続く職場……片足を台の上に乗せる等 〈鍼灸〉 ・腰 痛 ・・・・・・脾兪、胃兪、腎兪 ・梨状筋症候群・・・・・・大腸兪、次膠、殿圧 志室、大腸兪 承扶、委中、陽陵泉 ・坐骨神経痛…(腰痛の治療穴に加えて) 胞肓、次髎、承扶、殷門 委中、承筋 29 腰痛 東洋医学的 A)急性(実証) ・気血阻滞(血瘀) 運動の不注意 →腰部経脈、経筋損傷 → 気血阻滞 外傷(捻挫、打撲) 腰 B)慢性 ・寒湿 霧露等にあたる → 寒湿の邪 痛 → 腰部の経絡気血の阻滞 ・腎虚 房事過多 久 病 → 腎精の不足→ 経脈を栄養できない 老化 〈治療方針〉 ・気血阻滞 ・寒 活血化瘀 経脈の通り改善、瘀血の序去 → 足太陽経 通絡止痛 気血の運行改善 湿 去湿散寒 陽気を強め、寒湿の除去 温通経絡 ・腎虚 鍼にて瀉法 →足太陽経 経脈の通り改善、気血の運行改善 補益腎精 鍼と灸を併用 (腎を補い、経絡気血の運行改善)→足少陰経、足太陽経 通絡止痛 鍼にて補法 必要に応じ灸 腎愈(腎気の補益) <処方例> 共通穴 腎兪(腎気の補益) 委中(通路活血) 大腸兪 環跳 気血阻滞 寒湿 腰陽関 督脈の経気を調整 膀胱経の穴(次髎等) 膀胱経の 〃 太陽型・・・崑崙 次髎 膀胱経の経気を通調し、風寒を散じる 夾脊穴 *住居に防湿措置 少陽型…風市 陽陵泉 飛陽(疏筋通絡) 腎虚 腎陰虚…太谿、志室 腎精の補益 →補法・置鍼、同時に灸 腎陽虚…命門、腰眼 腎陽の補益 (腎陰虚で虚熱あるものに灸は適さない) 30 24)膝痛 膝関節 ・大腿骨と脛骨とを連結する関節 ・ 体重の支持と安定性を保つ ・ 運動を行う可動性が要求される → 構造が複雑で障害を生じやすい 原因疾患 ・関節症 変形性膝関節症(膝OA) 血友病性膝関節症 − 外傷 → 関節内に出血 → 腫脹、疼痛 ・炎症性疾患 ・RA ・結核性関節炎 ・化膿性関節炎 ・膝内障 (膝関節と周辺軟部組織の損傷、障害を総称) ・ 半月板損傷 ・ 靱帯 ・前・後十字靱帯損傷 ・内・外側、側副靱帯損傷 ・ 骨軟骨 離断性骨軟骨炎 滑膜骨軟骨腫症 ・ 弾発膝 ・滑液包疾患 ・前膝蓋滑液包炎 (小さい物が ・鵞足包炎 20 個ぐらい ・膝窩部嚢腫(ベーカー嚢腫) ある) ・その他 ・痛風 ・悪性腫瘍 ・外傷など A.注意を要するもの ① 自発痛、夜間痛強く持続性に増悪 − 悪性腫瘍 ② 発赤、腫脹、熱感著明 化膿性関節炎 ③ 嵌頓症状 半月板損傷 弾発膝 膝くずれ ④ 受傷後激痛 (関節ネズミ)− 離断性骨軟骨炎 1時間以内に著明な腫脹 → 嵌頓症状 → 半月板損傷 異常動揺性 内・外動揺性 − 内・外側靱帯損傷(断裂) 引き出し症状 − 十字靱帯損傷(断裂) 31 鑑別 気血阻滞 ・固定性の刺痛(夜間に増悪) − 寝ると気血の流れ緩慢 拒按 実証 局所の著明な圧痛、筋緊張 − 瘀血が肌腠に停滞 運動制限、牽引痛 舌 紫 瘀血 脈 濇 寒湿 ・ 腰部の冷え・疼痛・重だるさ 寒 湿 ・ 雨天、寒冷時増悪 寒邪の侵襲 喜温 太陽型 下腿後側 少陽型 下腿外側 膩 舌苔 白 脈 遅(緊) 湿 濡 (慢性)(慢性) 寒 腎虚 腰下肢のだるさ、無力感、鈍痛 − 腰は腎の府 疲労時増悪 − 「腎は作強の官」 強い作業:重労働に耐える(腎虚により耐久性低下) 腎陽虚 − 舌 淡 脈 細 弱 脈 細 数 冷え 腎陰虚 − 舌 紅 熱 他 大腿四頭筋断裂 膝蓋靱帯断裂 膝関節周辺の骨折など ※ 検査法 半月板 − マックマレーテスト − 膝伸ばしたまま関節を押さえて内・外旋 ステインマンテスト − 膝曲げて 〃 内・外反テスト 圧アプレーテスト 十字靱帯 − うつぶせ 踵を押す 引き出しテスト ラックマンテスト N テスト 側副靱帯 N:中島 内・外反動揺テスト − やり方は半月板の内・外テストに同じ 引アプレー − うつぶせ 32 踵を引く 24)膝 膝痛 痛 膝OA 〈治療方針〉 ・膝関節周囲の消炎、鎮痛、循環改善を主眼とする ・関節変形の予防、進行の防止 ROMの改善、腫脹の除去 ・筋力増強 〈按マ指〉 ・施術部位・・・・・・①大腿部(前、外、後側)から始めて膝関節へ ②膝関節を中心に、周囲の筋、腱、靭帯、血管、神経等 軽擦法 *疼痛が激しい場合・・・・・・粗暴な施術は避ける 揉捏法 圧迫法 叩打法 ・腰背部・・・・・・膝障害により生ずる筋緊張、疲労等に対して施術 ・併用療法 温熱療法 水治療法 電気療法 ・運動法 大腿四頭筋を中心とした下肢筋 筋力増強(等尺性運動)→ 膝関節の安定支持の強化 伸張 変形の防止 進行の予防 ・生活指導 *運動療法について注意 ・体重を減らす 不適当な関節の運動や疼痛を我慢させて ・正座をしない 無理に行わない ・歩行時に杖を使用 →関節の軟骨・骨の破壊、炎症、骨棘の形成 ・階段に手すり設置 ・膝サポーターを装着するだけでも痛みは軽減する 運動性膝関節痛 (含 滑液包炎) 〈治療方針〉 ・まず安静(運動の中止) ・疼痛、圧痛、腫脹等の炎症症状の消退 ・関連筋・靭帯の緊張を緩解させて、機械的ストレスを和らげる 〈按マ指〉 ・大腿部、膝関節を中心に 軽擦法 揉捏法 *炎症のひどい場合・・・・・・冷湿布→安静→その周囲に施術(誘導的に) ・大腿四頭筋(2〜3部位に分けて施術) 33 丁寧に 手掌軽擦法 揉捏法(母指、把握、鋸切状) ・補助的に、大腿部内側、外側、後側の筋群にも施術 〈鍼灸〉 ・膝OA・・・・・・梁丘、血海、犢鼻、委中、曲泉、鶴頂、膝眼 その他膝周囲の圧痛点 ・運動性膝関節痛・・・・・・膝OAの穴に加え、 大腿四頭筋、脛骨外側部等の圧痛点 ・滑液包炎 ・・・・・・各滑液包部(教科書 p.92 図 2−2−15) 34 膝痛 東洋医学的 ・労損 長距離歩行等 → 経筋、経脈を労損 → 気血の運行阻滞 膝 長期に渡り膝に負担 ・痹証 外邪の侵襲 → 経路阻滞 → 気血の運行不良 ・行痹(風痹) ・痛痹(寒痹) 痛 ・着痹(湿痹) ・熱痹 ・挫傷 打 撲 圧 迫 → 軟部組織の損傷 〈治療方針〉 ・労 損 行気活血(気血の流れを促し、経筋の改善をはかる) 舒筋通路(筋緊張の緩解、経絡の循り改善) ・痹 証 ・行痹(風痹)・・・・・・血行改善、去風 ・痛痹(寒痹)・・・・・・温経散寒、去風去湿 ・着痹(湿痹)・・・・・・去湿通路(脾胃の機能改善をすることにより、湿を除去) 去風 ・熱痹・・・・・・・・・・・・・・清熱利湿、去風活血 ・挫傷 活血化瘀 消腫止痛 〈処方例〉 膝周囲の穴 足三里、犢鼻、梁丘、陽陵泉 足の陽関、陰陵泉、膝関 曲泉、陰谷、委陽、委中、浮郄 など 右膝を検査する場合,検者の右手で右 足の外側部をもち内旋しつつ台より浮か せ,検者の左手は膝の外側にあて母指を 腓骨頭後方にあて,外反力と下腿の内旋 力を加えつつ,膝を屈曲 90°位から徐々に 伸ばしていく。陽性の場合 40°から 20°の 間で突然瞬発的にガクッと下腿が内旋か つ前方へすべるのが視診また触診で認め られ(不安定性陽性),患者は不安感(恐 しい感じ)を覚える.(Nakajima,H.,et al. による)。 35 24)膝 痛 B.適応となるもの ①変形性膝関節症(膝OA:Knee Osteo Aathiritis) 原因 膝関節の退行性変化→関節軟骨の摩耗 → ・骨の増殖性変化 ・半月板の変形、摩耗、断裂 ・靱帯の過緊張、変形、弛緩 ・関節包の肥厚、滑膜の炎症 ・大腿四頭筋の萎縮 etc. 症状 (♀:♂=3:1) ・中年以後の肥満した女性に多い・・・女性は筋肉が弱い、膝が安定しない ・歩行痛、正座痛、和式トイレにしゃがめない ・階段昇降時痛(特に降りるとき)・・・脛骨にあたる ● ・自発痛・・・・・・膝蓋骨下部〜膝内側(関節裂隙) ・圧痛・・・・・・・・ 他覚的所見 ・ 〃 、膝窩部 関節腫脹 これが痛い ・動作開始時痛(立ち上がり痛、歩行開始時痛) → 内反 ・ 膝蓋跳動(← 浸出液) ・ 膝蓋骨圧迫テスト・・・動かして痛ければ陽性 側副 靱帯 ← 外反 ・ 内・外反試験(← 内側に痛み)、ステインマンテスト、マクマレーテスト ・ (進行すれば)内反変形(O脚)・・・内側に痛み 大腿四頭筋萎縮(→ 大腿周径) ②運動性膝関節痛 a.ジャンパー膝(跳躍膝)・・・・・・膝蓋靱帯炎 原因 膝関節の過使用→膝蓋靱帯、膝蓋骨の障害 膝蓋靱帯の膝蓋骨付近にかかる牽引力→靱帯の膠原繊維の小断裂 ジャンプ・ランニングの着地時のショック 一番負担がかかる → 大腿四頭筋→膝蓋骨→膝蓋靱帯→脛骨粗面へ伝わる 症状・膝蓋骨下端に限局される疼痛、圧痛(ゆっくり進行:初期に気付かないことが多い) ・自発痛、運動痛 あく せつおん ・腫脹、軋轢音(握雪音) ※ジャンパー膝になりやすい素因 ・膝蓋骨の過移動性 ジャンパー膝と機序が同じだが身長が ・外反膝 伸びる時、脛骨粗面に負荷がかかる。 ・O脚、X脚 (サッカー少年) ・オスグッド・シュラッター病 Osgood−Schlatter(成長痛) ・脛骨粗面に存在する骨端核にかかる機械的牽引力 ・活発な発育期(10〜15 歳)の男子に多い → 運動時に増悪 ・スポーツ等により膝伸展の繰り返し→牽引力働く →膝蓋骨遠位端 → 膝蓋靱帯 → 脛骨粗面が弱点 → 疼痛 36 b.ランニング膝 中年以上、ジョギングをやっている人 →膝に過度の負担 →膝の鈍痛 ・ 年齢的に膝OAが合併 ・ ランニングが膝OAを発症させる引き金 c.平泳ぎ膝 平泳ぎのキック→下腿が外旋 →内側側副靱帯に過度の緊張 →膝関節内側に痛み 圧痛・・・・・・内側側副靱帯 外反試験→ 膝内側に痛み d.腸脛靱帯炎 (腸脛靱帯・・・・・・上前腸骨棘→脛骨外側窩) 過度のランニング → 腸脛靱帯が大腿骨外側顆と摩擦 → 膝関節外側部の腸脛靱帯に沿って圧痛 *検査・・・・・・ グラスピングテスト(+) 37 運動麻痺 25)運動麻痺 中枢神経麻痺 障害部位 抹消神経麻痺 大脳皮質〜内包、脳幹、脊髄 脊髄前角細胞〜抹消部 〜脊髄前角細胞の前まで 麻痺の性質 痙性 弛緩性 筋萎縮 少ない 著明 深部反射 亢進 減退 or 消失 病的反射 出現 なし A.注意を要するもの ①中枢神経麻痺症状があるもので、診断が未確定のもの ②発症時、重篤な経過(意識障害等)があり、時間を経ていないもの→ ・脳外傷 ・脳血管障害 ③麻痺の程度、範囲の拡大が進行性 → ・ 中枢神経腫瘍 ・ 運動ニューロン障害 ④筋萎縮、麻痺程度の強いもの → 重度の抹消神経障害 B.適応となるもの ①脳血管障害後遺症(片麻痺) ←医師の診断を受けてから ・脳内出血 ・原因の多くは高血圧(脳内細動脈の動脈瘤破裂) ・頭痛(頭が割れる様な)、悪心を伴わない ・数時間以内に局所神経徴候 ・脳梗塞 脳血栓 ・原因・・・糖尿病、脂尿病、脂質代謝異常、血液凝固能亢進 ・アテローム硬化に伴う脳動脈の血栓 ・緩除で階段状に進展 脳栓塞 ・原因・・・心疾患(弁膜症、心筋梗塞、心房細動) ・血流中の血栓、空気、脂肪、腫瘍等が脳血管を閉塞 →局所神経徴候突発、数分以内に完成 ・くも膜下出血 ・原因・・・・・・脳動脈瘤が圧倒的に多い、 脳血管奇形、高血圧性脳動脈硬化疾患 ・突発性の激しい頭痛 ・その他・・・・・・ 脳外傷、脳腫瘍 etc. 〈症状〉 ・後遺症 ・マン・ウェルニッケ肢位・・・・・一側性の上下肢の運動麻痺(痙性) 上肢:屈曲、下肢:下垂足、歩行:ぶんまわし ・失行、失認、失語症(左脳出血 → 右半身麻痺) ・精神症状・・・・・・おこり中風、泣き中風 38 ②抹消神経麻痺 運動麻痺 a)橈骨神経麻痺 *橈骨神経・・・・・・構造上、外傷や圧迫による麻痺を起こしやすい 〈原因〉 上腕部 ・上腕骨骨幹部骨折 骨片による神経麻痺 徒手整復時に、骨折部に挟み込まれる ・筋肉注射 ・肩関節脱臼 ・切創 ・長時間の圧迫(Honemoon palsy,Saturday night palsy) 肘部 ・上腕骨顆上骨折 ・職業(肘屈曲位持続) 〈症状〉 ・ 下垂手、落下手・・・・・・(手根伸筋群、総指伸筋、長母指伸筋の麻痺) → 橈骨手根関節の背屈 不能 手指MPの伸展 不能 母指伸展 不能 ・知覚障害 ・ 母指 ・ 示指背側 b)正中神経麻痺 〈原因〉 上腕、前腕部・・・切創(ガラス、ナイフ)、骨折、胸郭出口症候群 手関節部・・・ ・ 切創(含、自殺のためらい傷) ・ 手根滑液包腫脹 ・ 関節リウマチ ape hand 〈症状〉 ・ 猿手 ・ 末端肥大症 etc. ・母指、小指対立運動低下 ・母指球筋隆起の萎縮 ・橈側手根屈筋が障害 → 尺側手根屈筋の過作用 → 手関節屈曲すると尺側に引かれる ・ 知覚障害・・・・・・ Ⅰ〜Ⅲ指掌側(特に抹消部) ・ 発汗障害、カウザルギー(灼熱感)・・・交感神経が多く含まれるため ・ 検査・・・・・・ チネル徴候、 パーフェクト 0 ティアードロップ型 c)尺骨神経麻痺 〈原因〉 ・上腕、前腕部・・・・・・ 骨折、外傷、切創 ・手関節部 ・・・・・・ 切創、関節リウマチ ・ガングリオン等による圧迫 〈症状〉 ・ 鷲 手(奪略手態、カギ爪様手、clow hand) ・・・・・・末節骨屈曲(虫様筋麻痺→総指伸筋優位) ・知覚障害 ・・・・・・ V指全体及びⅣ指尺側 ・検査・・・ フローマン徴候 39 d)総腓骨神経麻痺 〈原因〉腓骨頭部付近の圧迫 ・ギプス、骨折後の仮骨形成 ・腫瘍 etc. 〈症状〉 ・ 下垂足 → 鶏歩(前脛骨筋、長趾伸筋、腓骨筋等の麻痺) ・ 内反尖足 (← 後脛骨筋の過作用) ・ 知覚障害・・・・・・ 下腿前外側〜Ⅱ趾中足骨周辺 e)脛骨神経麻痺 *腓骨神経に比べ、麻痺頻度は少ない(膝窩、下腿の深部にある為、損傷は稀) 〈原因〉膝関節脱臼等による損傷 〈症状〉 ・ 外反鉤足 → 踵足、鷲足 腓腹筋、ヒラメ筋等の麻痺+足底の筋の麻痺 →拮抗筋(総腓骨神経)の過作用 →足関節背屈、外反(踵足) ・ 足弓・・・低下、消失 知覚障害・・・・・・ 足、外果〜足背外側、足底部 40 運動麻痺 運動麻痺 A)脳血管障害後遺症(片麻痺) 〈治療方針〉 ・脳循環の改善 ・麻痺神経及び、麻痺筋への刺激→ 痙性麻痺の緩解 進行の防止 〈按マ指〉 ・発病1〜2週間位から機能回復と平行して行う (早期に治療開始する程、筋萎縮を防ぎ、麻痺の回復も早める) ①全身施術(麻痺側を中心に) * 高血圧が原因でも、血流を降下させる目的の施術は行わない 脳内の血流を悪化させることは禁物 軽擦法・・・・・・・・・初期には軽擦法を多く施術 揉捏法 段階的に刺激量を増加させる 圧迫法 叩打法 ②関節部 目的・・・・・・関節拘縮の緩解 ・関節周囲の組織への施術 ・他動運動、自動運動法 ③併用療法 ・温熱療法・・・・・・温泉療法、ホットパック ・電気療法・・・・・・低周波 ・水治療法・・・・・・ハバート・タンク ・運動療法 *「中風三年」・・・・・・3年経過すると再発の可能性ある ・脂肪食の過食を避ける ・減塩食 ・野菜、果実を多く摂る ・十分な睡眠 〈鍼灸〉 天柱、曲池、合谷 伏兎、足の三里、委中 麻痺が起きてる場所 41 運動麻痺 B)末梢神経麻痺 〈治療方針〉 ・障害部神経、麻痺筋の血行改善 ・筋、神経機能の促進 *筋萎縮の予防の為、早期よりの施術開始が効果的 〈按マ指〉 ・麻痺した神経の支配下にある筋肉・・・・・・収縮能力を呼び起こす ・拮抗筋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・拘縮、短縮防止の為の施術と他動運動 軽擦法 揉捏法 *特に軽擦法を中心に施術 圧迫法 叩打法 筋 肉 経 穴 補装具 a.橈骨神経麻痺 b.正中神経麻痺 c.尺骨神経麻痺 総指伸筋 橈側手根屈筋 尺側手根屈筋 長橈側手根伸筋 腕橈骨筋 長掌筋 曲池、合谷 手三里 郄門 内関 少海 神門 Cook−up splint Long opponens splint Knuckle bender (手関節背屈位保持) (手関節固定、 (MP関節屈曲補助) 母指対立位保持) 筋 肉 経 穴 補装具 d.総腓骨神経麻痺 e.脛骨神経麻痺 前脛骨筋 腓腹筋 長趾伸筋 長、短腓骨筋 ヒラメ筋 陽陵泉 承山 懸鐘 承筋 底屈制限スプリント 足関節背屈足吊り 〈併用療法〉 ・温熱療法・・・・・・ ホットパック 癒着防止 パラフィン浴 瘢痕形成防止 渦流浴 循環改善 ・電気療法・・・・・・低周波通電(筋萎縮防止) 〈治療体操〉 ・初 期・・・・・・・・・・・・・・・他動運動(関節拘縮、筋萎縮防止) ・筋力回復につれ・・・・・・・介助運動〜自動運動〜抵抗運動(筋力の増強図る) *下肢・・・・・・・肋木につかまって、しやがむ、立ち上がる等 (四頭筋、腸腰筋等強化) 42 運動麻痺 東洋医学的 素問「痿論篇」……痿証 へき 痿躄、四肢不用、四肢不挙 痿・・・・・・四肢に力なく、運動障害のあること 関節弛緩して意のままにならないこと へき 躄・・・・・・下肢が萎えること、軟弱で力ないこと 実証 いざり 肺熱 温邪(熱毒)→肺、津液損傷 → 皮毛、筋脈を栄養できない 湿熱 痿 湿邪→長期間除去されない→熱化→湿熱→筋を傷る 辛いもの、甘いもの→脾胃熱→津液損傷→筋脈を栄養できない 筋が弛緩して戻らない 虚証 証 脾胃虚弱 脾胃の機能低下 → 気血の生成不足 → 筋脈、肌肉栄養されない 肝腎陰虚 老化、久病 → 肝腎陰虚 → 血不足 房事過多 〈治療方針〉 上肢、下肢の経絡気血の疏通はかる(疏通経絡) 筋肉、骨の栄養改善 (筋骨濡養) *主に手足陽明経穴を取穴 〈処方例〉 上肢・・・・・・肩髃、曲池、手三里、外関、陽谿、合谷等 下肢・・・・・・髀関、環跳、伏兎、梁丘、足三里、解谿等 肺 熱・・・・・尺沢、肺兪 (清熱、生津を図る) 温 熱・・・・・陰陵泉、脾兪、内庭 (清熱、利湿を図る) 脾胃虚弱・・・脾兪、胃兪、太白 (健脾益気を図る) 肝腎陰虚・・・肝兪、腎兪 (肝腎の精気補う) 懸鐘(髄会) 陽陵泉(筋会) (筋骨の改善) *中風七穴「類経図翼」 (患側)・・・・・・百会、肩井、曲池、足三里、風池、間使、大椎 「明堂灸経」 (健側)・・・・・・百会、肩井、曲池、足三里、曲鬢、風市、懸鐘 *頭皮鍼、醒脳開竅法 43 運動麻痺 鑑別 ①風熱 ・四肢の筋力低下 or 筋の萎縮 ・・・・・・熱邪が肺を犯す ・むせる様な咳、発熱 ・皮膚乾燥、口渇、小便短赤、心煩 ・・・・・・津液損傷 ・舌紅、舌苔 黄 ・脈滑数 ②湿熱 ・四肢の筋力低下 or 運動麻痺 ・胸、腹の痞え ・・・・・・湿が中焦に阻滞 ・身体の重だるさ(湿の重濁性) ・患肢の熱感 ・小便短赤、排尿痛 ・・・・・・湿熱下注 ・ 舌紅、舌苔 黄膩 ・ 脈濡数 or 滑数 湿、実 ③脾胃虚弱 ・四肢軟弱〜運動麻痺 or 筋肉萎縮 とう はく ・食欲不振、大便溏薄 ・疲労倦怠感 ・・・・・・・・・・脾胃の運化機能低下 水っぽい便 ・顔のむくみ 〃 ・・・・・・・・・・脾虚→水湿の運化悪化 ・舌淡、舌苔薄白 ・脈細弱 ④脾腎陰虚 ・四肢軟弱無力(筋力低下)or 運動麻痺〜筋骨やせる ・腰膝だるい 眩暈、耳鳴り ・・・・・・・・・・・腎虚 ・微熱、咽喉乾燥感 尿量減少、大便秘結 ・・・・・・・・・・・虚熱、血不足 ・遺精 月経不順 ・・・・・・・・・・・腎虚→蔵精できない ・・・・・・・・・・・脾腎両虚→衝任失調(衝脈、任脈) ・舌紅、舌苔少 ・脈細数 44 スポーツ障害 スポーツ医学 スポーツ外傷とスポーツ障害 ①スポーツ外傷 a)一回の強い外力による外傷(転倒、衝突) →骨折、脱臼、捻挫、挫傷、打撲 etc. b)自己の筋力によるもの ・腱断裂(アキレス腱等) ・肉離れ、筋力による骨折 (一部分の断裂) ②スポーツ障害 同じ運動動作を反復して行うスポーツに起きやすい ・局所に小さな外力が反復して加えられる →小外傷が頻回に起こる →炎症、組織障害 a.局所的障害・・・「使い過ぎ症候群(0ver uSe syndrom)」 b.全身的障害 a.局所的障害・・・「使い過ぎ症候群(0ver uSe syndrom)」 ・局所に限定 ・時間長い → 程度大きくなる ・高頻度 ※ いくつかの原因が組み合わさって起こる為、発生機転不明なことが多い 外傷と障害を明確に区別出来ない →スポーツ障害 injury b.全身的障害 ・過激運動を1週間持続→ 運動性貧血 マラソン等→衝撃によりHb破壊 (非鍛錬者、蛋白質・Fe摂取量小) ・食後の過激運動 → 消化器障害 ・高温環境下で過激遊動→ 熱射病(炎天下で起きると日射病) スポーツ外傷の救急処置 RICE・・・・・・疼痛緩和、腫脹を抑え、患部の安静 初期のRICE処置→予後を決定すると言っても過言ではない Rest ・・・・・・・・・・・・ 安静 Ice ・・・・・・・・・・・・ 冷す Compression・・・・・・ 圧迫 Elevation ・・・・・・ 拳上 Suport・・・・・・・・・・・ 支持固定 45 スポーツ障害 野球肩 投 球 動 作 の 始 め A) 投球動作の分析 時 期 上肢の動き ワインドアップ期 頭の後方に持っていく 〜コックするまで コックアップ期 手関節伸展(背屈) 肘関節屈曲 前腕回内位 肩関節 外転 最大外旋 後方分回し肢位 加速期 肩関節 内旋 内転 → 遠心力で牽引 リリース期 終 わ り フォロースルー期 障害部位 肩 の 前 方 過 要 緊 素 張 ブ後 かレ方 牽け 要 引つキ素 さつをが れ る 上腕二頭筋長頭 腱板(棘上筋) 肩峰下滑液包 三角筋下滑液包 烏口肩峰靭帯 腱板 小円筋 棘下筋 上腕三頭筋 腋窩神経 B)診察 a)肩前方の障害 ・上腕二頭筋長頭腱 ・ヤーガソンテスト ・スピードテスト ・ストレッチテスト ・腱坂炎(断裂) ・ドロップアームテスト (棘上筋) ・ペインフルアークサイン ・肩峰下滑液包炎 ・ダウバーン徴候 ・肩峰下プッシュボタン徴候 (患者・・・坐位にて (術者・・・後方より、肩上から肩峰下滑液包を圧迫 ・圧痛・自発痛・・・・・・ 上腕骨 大結節 烏口肩峰靱帯 ※肩甲上神経障害→棘上筋、棘下筋の萎縮、屑の疼痛 b)肩後方の障害 ・棘上筋腱 肩から骨頭が抜けない様に、緊張が続く 小円筋腱 ↓ 使い過ぎ症候群(浮腫、炎症、変性、断裂) →圧痛、運動痛 ・障害 圧痛、自発痛 三角筋後部 上腕二頭筋長頭 腋窩神経 (→三角筋、小円筋) → 狭い間隙を通る為、障害を生じやすい 上腕回旋 動・静脈 ↓ 神経、血管障害 →疼痛、痺れ感 ※腋窩神経障害・・・・・・三角筋の萎縮 肩外側の知覚障害、放散痛 46 スポーツ障害 〈治療方針〉 ・筋の過緊張の緩解 ・循環の改善 ・疼痛の緩和 *使い過ぎ症候群 ・患者の理解 ・長期の機能訓練(フォームの改善等) 〈按マ指〉 ・治療後の訓練 ①急性期 ・直接、患部への施術は避ける →痛みがる間 ・投球の禁止 ・局所の安静 アイスパック(鎮痛、消炎) ストレッチング(筋繊維の短縮防止) ・等尺性運動(筋力低下の防止) ②亜急性期以後 ・軽擦法 → 三角筋 ・揉捏法 上腕二頭筋 上腕三頭筋 腱板筋(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋) ・強擦法 → 腋窩 肩関節 ・運動法 ・他動運動法 外転、内転 屈曲、伸展 外旋、内旋 内分廻し、外分廻し →症状の回復によって自動運動法 〜 抵抗運動法 ・併用療法 温熱療法 温浴 ホットパック 極超短波 ・予防法 投球前 施術 ウォミングアップ ストレッチング 投球後 自然に冷やす 〜アイシング15分間(早期に局所の充血、腫脹除去) 過緊張を起こしている筋 →軽擦、揉捏、圧迫、叩打法 〈鍼灸〉 *1人に無理な負荷、疲労等が残らない様、交代要員の充実 ・三角筋 ・・・・・・臑会、肺兪、肩貞 ・上腕二頭筋・・・ 天府、侠白、結節間溝 ・棘上筋 ・僧帽筋 ・広背筋 ・その他 ・・・・・・曲垣、秉風 ・・・・・・肩井、肩外兪 ・・・・・・腎兪、志室 ・・・・・・圧痛、硬結、運動痛部 47 スポーツ障害 運動性下肢痛 急性 直接外力・・・・・・骨折、打撲→コンパートメント症侯群 自己筋力・・・・・・腓腹筋等肉離れ、アキレス腱断裂 慢性 シンスプリント(疲労性骨膜炎)(後脛骨筋の使い過ぎ) コンパートメント症候群 アキレス腱炎 疲労骨折 コンパートメント症候群 Compartment syndrome (コンパートメント・・・・・・強固な筋膜で区画された間隙) 急性 骨折、挫傷、打撲、火傷、激しい運動等 →コンパートメント内で出血(血腫) 、浮腫 →筋膜はすぐには拡大しない →コンパートメント内圧上昇 →神経、筋、腱の循環不全→虚血 →機能傷害(発赤、腫脹、硬結、強度の疼痛・夜間痛、圧痛) (運動障害、知覚障害) 壊死 *受傷時に腫脹、筋緊張があればコンパートメント症候群を疑う 神経症状が出現すれば、直ちに筋膜切開(不可逆的変化が生ずる前……12時間以内) 慢性 ランニング等→筋肉の酸素需要が高まる →血管が拡張、筋肉が肥大 →筋膜はすぐには拡大しない →コンパートメント内圧上昇 →筋肉へ十分な血液の供給ができない →筋肉の虚血 診断 急性・・・・・・進行性、激痛 慢性・・・・・・ ・軽度・・・・・・疼痛が数分の安静で軽減 ・重度・・・・・・歩行だけでも増悪 ・圧痛・・・・・・下腿外側、前脛骨筋群 ・可逆性の筋・神経損傷 48 スポーツ障害 アキレス腱炎 ・アキレス腱周囲組織に生ずる非感染性炎症 ・アキレス腱部の痛み ・腱付着部の慢性滑液包炎 (アキレス腱滑液包、踵骨後滑液包) ・慢性アキレス腱炎 ・アキレス腱周囲炎 ・パンプバンプ(きつい靴の慢性の摩擦によって腱部の腫大したもの) ・腱停止部の仮骨形成 ・アキレス腱断裂 〈原因〉 ・足関節に負荷がかかる運動(跳躍、長時間の歩行等) ・過度のスポーツ 陸上競技(短距離、長距離) バレーボール、バスケットボール、体操 etc. ・ストレス ・きつい靴→パンプバンプ 〈症状〉 ・運動開始時痛(走る、階段昇降時等)(特に初期) →アキレス腱付着部を中心に腱の周囲に腫脹、疼痛、軋轢音 ・温まると軽減→慢性化しやすい 〈検査〉 症状の再現 踵部を床から上げずに、膝を前方に出す(足関節背屈) → 疼痛部位が足関節背屈しても移動しない *アキレス腱が部分断裂→ 疼痛部位が移動 〈治療方針〉 ・下腿部の筋の柔軟性を維持させる為の施術 →運動しやすい状態にして筋力強化をはかる ・アキレス腱炎とアキレス腱断裂とは関係あるという報告あり →十分な予防と、早期治療に心がける 〈按マ指〉 ・初期・・・・・・運動休止 炎症を抑えることに努める 慢性化させない ・炎症が消失した段階から施術開始 ①下腿三頭筋 軽擦法 圧迫法 揉捏法 把握揉捏法 鋸切状揉捏法等の揉捏法を入念に行う ②アキレス腱部 ・急性期、圧痛、腫脹がある場合・・・・・・直接施術は避ける ・亜急性期以降・・・・・・アキレス腱両側の母指揉捏(強度に注意) ③運動法 ・他動運動法・・・・・・主に背屈運動 → アキレス腱 下腿三頭筋の柔軟性高める 〈鍼灸〉 圧痛点=治療点 外合陽、内合陽 承筋、承山、飛陽、跗陽、崑崙 築賓、太谿 (限局された痛みが出やすいので、経穴にとらわれない治療をする) ・予防 ・運動後に下腿後側の筋のストレッチ ・衝撃吸収性に優れた靴・・・・・・腱への負担軽減 49 スポーツ障害 シンスプリント Shin spints 広義・・・下腿部の痛み 狭義 ①脛骨骨膜炎 ②後脛骨筋の使い過ぎ症候群 ①脛骨骨膜炎 ランニング等(硬い路面等) →強い衝撃が脛骨前面に達する →脛骨骨膜に刺激 →炎症 そのまま運動を続ければ ②後脛骨筋の使い過ぎ症候群「後脛骨シンスプリント」 必ず悪化 偏平足、足の形の異常 →スポーツで後脛骨筋が牽引される (1.6km で 50〜70 回/分も後脛骨筋にストレス) 〈症状〉 ・疼痛部位 主に下腿前面 初期・・・・・スポーツを止めてから2〜3時間後に痛み 症状の悪化に伴い・・・・・・スポーツを始めてすぐに痛み出す ・圧痛・・・・・・脛骨前面部(脛骨内側緑)・・・・・・足関節の上8cm〜症状の悪化に伴い広範囲 ※脛骨自体に圧痛→骨膜炎の証拠 〈治療〉 1、スポーツ活動中止 (1 週間は一切中止・・・・・・足への大きなストレスをなく *慢性化した場合・・・・・長期間運動休止(数日〜数週間) 2、20 分間の氷冷(2 回/日)(冷却に圧迫、高挙をすれば更に効果的) 3、炎症消退後、スポーツ再開 ・柔らかい路面(芝生、人工トラック等)で 再開1週目・・・受傷前の 25%の運動量 2週日・・・ 〃 50% 〃 (又は、水泳、自転車、ウエイトリフティング等体重を負荷しない活動を続ける) →1ヵ月かけて通常のスポーツ活動に戻す 4、靴・・・・・・踵のショックを吸収してくれる素材 *シンスプリントを放置しない、放置すれば悪化するだけ <按マ指>(シンスプリント、慢性コンパートメント症候群 (1) 下腿部内側 軽擦法 (足関節〜膝関節) 下腿部前側(伸筋群) 圧迫法 揉捏法 (2)後脛骨筋のストレッチ・・・・・・傾斜面又は壁でのプッシュアップ (3)後脛骨筋の強化運動・・・・・・・・つま先立ち (4)足のアーチのサポート・・・・・・靴の中敷きの着用 →足のアーチの扁平化や後脛骨筋のストレス防止 (中敷きは半硬質のものが適している。硬いプラスチック製のものは不適当) 〈鍼灸〉圧痛点を目安に取穴 50 スポーツ障害 スポーツ・マッサージ 対象 ・スポーツ選手 ・一般のスポーツ愛好家 スポーツ選手に比べ、スポーツを行う機会少ない 普段のトレーニングもしていないことが多い →その割にスポーツ活動は激しい →スポーツ傷害の発生頻度高くなる 目的 ・スポーツトレーニング・システムを構成する― 要素 ・スポーツ選手、チームにとって必要不可欠 競技力向上の一手段として定着 ・スポーツ傷害の予防と治療 ①スポーツ前……心身を運動できる状態にする (競技前) ・・・血液循環の促進、神経系の興奮 ②スポーツ中・・・・心身を運動が継続できる状態に維持する (競技中) ・・・筋疲労を取り除き、競技を最後まで行える様、回復させる ③スポーツ後・・・・・・疲労した心身を回復させる (競技後) ・・・乳酸等、代謝老廃物の分解吸収の促進により、身体機能の早期回復 ④スポーツ間・・・・・・スポーツ障害の予防と治療 (中間日) ・・・特に一般のスポーツ愛好家 以上の4点をふまえ、競技能力を向上させることが大きな目的と言える。 ス ト レ ッ チ ン グ スボーツ活動(練習)→筋・腱の弾性低下 →スポーツ傷害発生しやすくなる →ストレッチング(伸張運動)の意義大 ①自分の力で行う ②他人にしてもらう a.反動をつけて行う b.反動をつけずに、ある姿勢を維持 静的 ※スタティック・ストレッチング(①+b) 動的 Static stretcting(static←→dynamic) ・自分の力で、静かに、痛くない範囲で、一定時間、伸張運動を維持 Ballistic ・スポーツ障害の予防や治療 activ ・練習や競技に先立っての準備運動 (按マ指と共にスタティック・ストレッチングを用いることは効果大) (どれだけ按マ指が効いたかという目安にもなる) ・注意事項 ①反動をつけずに、ゆっくり伸展 ②緊張感はあるが、強い痛みを感じない伸張姿勢をとること ③10〜30 秒間、伸張姿勢を維持 ④呼吸しながら行う ※ PNFストレッチ (PNF Stretch) Proprioceptlve(固有受容性感覚器) Neuromuscular(神経−筋) Facilitation(促通) 51
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