高等学校 平 成12年 度 教 育研 究員研究報 告書 地 理 歴 史 ・公 民 東京都教育委 員会 平 成12年 度 教 育 研 究 員(地 理歴 史 ・公 民)名 氏 No. 名 学 簿 校 名 一 1 佐 藤 創 一 郎 都 立 戸 山 高 等 学 校 2 渡 辺 純 規 都 立 玉 川 高 等 学 校 3 山 田 美 保 都 立 大 泉 学 園 高 等 学 校 一 4 北 原 淳 弥 都 立 向 丘 高 等 学 校 5 関 口 英 之 都 立 城 北 高 等 学 校 6 今 川 恭 一 都 立 水 元 高 等 学 校 z 濱 田 准 一 都 立 深 8 杉 浦 理 花 都 立 深 川 商 業 高 等 学 校 9 尾 澤 聡 都 立 町 田 工 業 高 等 学 校 io 佐 向 顕 都 立 武 蔵 村 山 東 高 等 学 校 11 沼 田 大 作 都 立 青 梅 東 高 等 学 校 12 萩 尾 慎 亮 都 13 森 義 輝 都 立 久 留 米 高 等 学 校 14 小 林 正 人 都 15 西 尾 理 都 立 小 平 西 高 等 学 校 立 立 福 田 川 生 無 高 高 高 等 等 等 学 学 学 校 校 校 』 一 16 17 』 1 担 大 山 梅 原 康 敏 都 立 府 中 西 高 等 学 校 弘 都 立 南 野 高 等 学 校 一 当 東京都教育庁指導部 高等学校教育指導課 指導主事 高 橋 基 之 都 立 教 育 研 究 所 教 科 教 育 部 指導主事 横 田 浩 二 研 究 主 題 〈地 理 歴 史〉 主 体 的 に学 び行 動 で きる 資 質 や 態 度 を育成 す る指 導 の工 夫 研 究 主 題 〈公 民〉 現 代 社 会 の 諸 問 題 に対 し、主 体 的 に考 え 、 自 ら課 題 を把 握 し、 判 断 し、 解 決 して い く資 質 や 態 度 を育 成 す る 指 導 の 工 夫 次 目 地理 歴史 2 主 題 設 定 の 理 由 と研 究 経 過 Qσ 1 異 民 族 ・異 文 化 と の 共 存 を 考 え る た め の 視 点 3 旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の 解 体 と民 族 紛 争 2 バ ル カ ン半 島 にお け る民 族 対 立 3 国際 協 力 に見 る異 文 化 との 共 存 7﹁ II日 5 1 ii 幕 末 日本 をめ ぐる国 際 環 境 11 日本 に よ る植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮 13 20世 紀 初 頭 の 国 際 関 係 と十 五 年 戦 争 の 始 ま り 15 サ ン フ ラ ン シ ス コ平 和 条 約 の 成 立 17 - 本 の 国 際 関 係 の あ り方 を 考 え る た め の 視 点 り4 3 4 Q) 1 皿 ア ジ ア を め ぐ る 文 化 交 流 と交 易 Qり 1 i 中 国 仏 教 僧 の イ ン ド旅 行 と 東 ア ジ ア に お け る 仏 教 圏 の 形 成 方 見 聞 録)』 か ら探 る モ ン ゴ ル 帝 国 に お け る 東 西 交 流 3 「陶 磁 器 か ら 見 た 世 界 商 業 の 進 展 」 3 り4 『 世 界 の 記 述(東 1 り4 2 25 ま とめ 公 民 1主 II豊 皿 題 設 定 の 理 由 と研 究 の 経 過 26 か な 生 活 と 社 会 福 祉(第1分 科 会) 一 ラ イ フ プ ラ ン作 成 を 通 して 将 来 の 課 題 を 追 究 す る 「 現 代社 会 」 の授 業一 望 ま し い 政 治 の あ り方(第2分 科 会) 一 擬 似 体 験 を 通 じて の 将 来 の 社 会 シ ス テ ム を 考 え る 「政 治 ・経 済 」 の 授 業 一 28 <2》 民 主政 治 の大 切 さ を知 ろ う く3》 民 主 政 治 の基 本 原 理 を知 ろ う <4》 現 代 日 本 政 治 の 諸 課 題 を知 り、 望 ま しい 政 治 を作 る た め の 行 動 を 考 え よ う 0 4 望 ま しい政 治 とは何 なの か 考 え よ う 7 Qり <1》 .........36 1 4 IV分 析 と考 察 … …44 48 一i一 研究主題 主体 的 に学 び行動 で きる資質 や態度 を育成 す る指導 の工夫 主 題 設 定 の 理 由 と研 究 経 過 第 三 の 産 業 革 命 を も た ら す と言 わ れ る 情 報 技 術(IT)革 命 。 パ ソ コ ンや 携 帯 電 話 等 、 生 徒 の 身 近 な 環 境 の 中 に も 、 そ の 流 れ は 着 実 に 浸 透 して き て い る 。ITに よっ て情 報 は、 瞬 時 に世 界 を 駆 け め ぐ り、 社 会 を大 き く変 革 す る 。 こ の よ う な 激 変 す る21世 紀 の 情 報 社 会 を 生 き ぬ き 、 平 和 的 ・民 主 的 な 国 際 社 会 を 建 設 して ゆ く た め に 、 必 ず や 一 人 ひ と りが 国 際 的 視 野 か ら の 判 断 を 求 め られ る こ とに な る で あ ろ う。 そ こ で 、 本 部 会 で は 、 こ う し た21世 紀 に 続 くで あ ろ う 時 代 変 化 の 認 識 に 基 づ き 、 生 徒 一 人 ひ と りが 自 ら課 題 を 設 定 し 、 考 察 ・判 断 ・行 動 で き る 資 質 や 態 度 を 育 む こ と を 目 的 と して 、 以 下 の3つ 1異 の 視 点 か ら 、 こ の 研 究 に 取 り組 ん だ 。 民 族 ・異 文 化 と の 共 存 を考 え る た め の 視 点 冷 戦 終 結 は 民 族 の 対 立 や 融 和 と経 済 の グ ロ ー バ ル 化 を 招 い た 。 国 際 化 と は こ の 文 脈 の 中 で 理 解 さ れ る べ きで あ り、 そ こ で 必 要 と な っ て く る の は 異 民 族 ・異 文 化 と の 共 存 の 能 力 で あ る 。 共 存 に 至 る 過 程 に は 認 知 、 衝 突 、 譲 歩 な ど様 々 な 相 が 見 ら れ る が 、 本 グ ル ー プ で は 、 異 民 族 ・異 文 化 との 接 触 か ら共 存 に 至 る 過 程 の 諸 相 に 対 し て 、 バ ル カ ン 半 島 に 於 け る 民 族 紛 争 と 国 際 協 力 とい う2つ の 問 題 を 取 り上 げ 、 生 徒 が こ の 共 存 能 力 と い う点 に 於 い て 、 主 体 的 に 学 び 行 動 で き る 資 質 や 態 度 を 身 に 付 け 、 高 め ら れ る指 導 の 工 夫 を 試 み た 。 II日 本 の 国 際 関 係 の あ り方 を考 え る た め の 視 点 これ まで 、 わ が 国 の 国 際 関 係 は 、経 済大 国 と しての 優 位 性 に依 存 す る 部 分 が 大 きか っ た。 し か し、 こ れ か ら は 、 激 変 す る世 界 情 勢 の 中 で 多 様 な 視 点 に 基 づ い て 、 再 構 築 さ れ な け れ ば な ら な い 。21世 紀 に 生 き る 日 本 人 と して 、 国 際 関 係 の あ り方 を 考 え る た め に ど の よ う な 視 点 が 大 切 な の か に つ い て 、 生 徒 一 人 ひ と りが 自 ら の 課 題 と して 学 習 す る こ と が 重 要 で あ る 。 本 グ ル ー プ は そ う した 観 点 か ら 、 「幕 末 日本 の 国 際 環 境 」、 「日 本 に よ る 植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮 」、 「今 世 紀 初 頭 の 国 際 関 係 と15年 戦 争 」、 「サ ン フ ラ ン シ ス コ 平 和 条 約 の 成 立 」 を 題 材 と し て 選 び 、 生 徒 が 主 体 的 に 学 び 行 動 で き る 資 質 や 態 度 を 育 成 す る 指 導 の 工 夫 を試 み た 。 皿 ア ジ ア を め ぐ る 文 化 交 流 と交 易 国 際 化 や 世 界 の 一 体 化 が 進 み 、 人 的 物 的 交 流 ・接 触 の 機 会 は 限 りな く増 加 し て い る 。 そ れ に 伴 い 、 自 国 の 文 化 を 認 識 した 上 で 、 多 様 な 文 化 を理 解 ・尊 重 し 、 複 眼 的 な 視 点 か ら物 事 を 判 断 で き る 生 徒 を 育 成 す る こ とが 、 よ り一 層 求 め ら れ て くる 。 ま た 欧 米 だ け で な く、 ア ジ ア と の 国 際 交 流 の 比 重 は 、 今 後 ます ます 高 ま っ て 行 くで あ ろ う。 過 去 の 時 代 に も 、 ア ジ ア を め ぐ る 文 化 交 流 や 交 易 は 、 盛 ん に 行 わ れ て き た 。 ア ジ ア は 長 い 間 文 明 の 先 進 地 域 を 抱 え て お り、 そ こ か ら 派 生 す る 交 流 や 交 易 は 新 し い 豊 か な 文 化 を創 造 し 、 そ の 後 の 歴 史 に 多 大 な 影 響 を 与 え た 。 こ の よ う な歴 史 を学 ぶ こ とは 、国 際 社 会 に生 きる 生徒 の資 質 を育 成 す るの に大 い に役立 つで あ ろ う。 そ こ で 本 グ ル ー プ で は 、 「東 ア ジ ア に お け る 仏 教 圏 の 形 成 」、 「 『世 界 の 記 述 』 か ら 見 た 東 西 交 流 」、 「陶 磁 器 」を 題 材 に ア ジ ア を め ぐ る 交 易 と 文 化 交 流 の 視 点 か ら授 業 展 開 の 工 夫 を 試 み た 。 一2一 1異 民 族 ・異 文 化 との共 存 を考 え る た めの視 点 1旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィアの 解 体 と民 族 紛 争 (1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 第 一 次 世 界大 戦 が 終結 す る まで世 界 地 図 に はユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア と い う 国 は な か っ た 。 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィア と い う 国 が つ く ら れ た 地 域 は 以 前 は オ ー ス ト リ ア の 領 土 で あ り 、 オ ス マ ン帝 国 の 領 土 で あ っ た 。 第 一 次 世 界 大 戦 後 、 ス ラ ブ 系 の 民 族 で あ る セ ル ビ ア 人 、 ク ロ ア チ ア 人 、 ス ロ ベ ニ ア 人 、 モ ン テ ネ グ ロ 人 、 マ ケ ドニ ア 人 が 住 ん で い る 地 域 に セ ル ビ ア 人 ・ク ロ ア チ ア 人 ・ ス ロ ベ ニ ア 人 王 国(1929年 王 国 に 改 称)が に ユ ー ゴス ラ ヴ ィア つ く られ た 。 住 民 の 多 くは キ リ ス ト教 徒 で あ っ た が 、 中 に は ス ラ ブ 人 で あ り な が ら も 、 長 い オ ス マ ン 帝 国 支 配 の あ い だ に イ ス ラ ム 教 に 改 宗 した ス ラ ブ 人 も い た 。 ま た 、 キ リ ス ト教 徒 で あ っ て も カ ト リ ッ ク も い れ ば ギ リ シ ア 正 教 徒(セ ル ビ ア 正 教 徒)も い た 。 そ して 第 二 次 世 界 大 戦 終 了 後 、 連 邦 共 和 国 が 成 立 し た が 、 テ ィ トー 亡 き 後 は 、 以 前 か ら の 民 族 対 立 や 経 済 の 地 域 格 差 に 対 す る 不 満 な ど か ら連 邦 は 解 体 し 、 各 地 で 民 族 紛 争 が み ら れ る よ う に な っ た 。21世 紀 の 国 際 社 会 は 今 ま で 以 上 に 異 民 族 や 異 文 化 と の 接 触 ・交 流 が 多 く な り 、 異 民 族 や 異 文 化 と の 共 存 ・協 調 が 重 要 な 課 題 と な る で あ ろ う 。21世 紀 に生 き る 人 間 と して 、 民 族 の 違 い や 文 化 の 違 い に よ っ て 生 じ る 諸 問 題 を い か に 解 決 し 、 異 民 族 や 異 文 化 と の 共 存 に つ い て 、 生 徒 が 自 ら考 え 、 課 題 を 追 究 して い く こ と が で き る よ う 本 教 材 を 取 り上 げ た 。 (2)本 時 の ね らい 本 時 は5時 間 構 成 の 第4時 限 に あ た る 。 第1時 世 界 の お も な 人 種 と そ の 分 布 に つ い て 学 習 す る 。 第2時 も な 語 族 と そ の 分 布 に つ い て 学 習 す る 。 第3時 い て 学 習 す る 。 第4時 限 で は 、人 種 とは 何 か 、 限 で は、 民 族 と は何 か 、世 界 の お 限 で は 、 世 界 の お も な 宗 教 とそ の 分 布 に つ 限 で は 旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の 民 族 問 題 に つ い て 学 習 す る 。 第5時 限 で は キ プ ロ ス とス リラ ンカ の民 族 問 題 につ い て学 習 す る 。学 習 指 導 要 領 で の 関 連 分 野 は 地 理Bの (3)展 「(3)現 代 世 界の 諸 課 題 の 地 理 的 考 察」 の 学 習 活 動 備 考 ○ 旧ユ ー ゴス ○ 旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア と新 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア を 確 認 す る 。 ○ ラ ヴ ィァ と新 ○ 旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア は6つ パ にお け る ユ ー ゴス ラヴ ィ の 言 語 、3つ ア 入 民 族 、 領 土 問題 の 地域 性」 であ る。 開例 学習項 目 導 「ク の 宗 教 、2つ の 共 和 国 、5つ の 民 族 、4つ の 文 字 が あ る民 族 構 成 が 複 雑 な 1つ の 国 家 で あ っ た こ と を 理 解 さ せ る 。 ヨ ー ロ ツ 旧ユ ー ゴス ラ ヴ ィア の ○ 旧ユ ー ゴス 位 置 を地 図 ラ ヴ ィア の 複 帳 とプ リン 雑 な民族構 成 トの 地 図 で 確認 「 一3一 ○ユ ー ゴス ラ ○ ヨ ー ロ ッ パ 人(ゲ ヴ ィアの国 名 と南 ス ラ ブ 人 の 起 源 と移 動 に つ い て 理 解 させ る 。 の 由来 06つ の 共 和 国 、5つ ○複 雑 な民族 2つ 構成 つ の 言 語 、3つ 展 ル マ ン 民 族 、 ラ テ ン 民 族 、 ス ラ ブ 民 族) の 民 族 、4つ の 文 字 を 理 解 さ せ る(6つ の 宗 教 、2つ の 言 語 、3つ の 共 和 国 、5つ の宗 教 、 の 民 族 、4 の 文字 の 関係 を ま とめ た プ リ を プ リ ン ト の地 図で 確 認 05つ の 民 族 ご と に5つ の共 和 国 の位 置 ン ト を 配 布 す る)。 ○ お も な5つ 06つ の共 和 国 が 構 成 さ れ て い る が 、 ボ ス ニ ア ・ヘ ル ツ ェ ゴ ヴ ィ ナ 共 和 国 は 複 数 の 民 族 ・宗 の民 族 の分 布 を 地 図 で確 認 教 が 混 在 し て い る こ と を 理 解 させ る 。 ○ 歴 史 的 な民 族対 立 や 、連 邦 内 で の 南 北 の経 済格 差 な どの た め に民 族 紛 争 が 激 化 し 、 分 離 独 立 した こ と を理 解 さ せ る 。 開 ○ 分 離 独 立 し た 新 しい 国 家 に お い て も 、 内 戦 が お こ っ た こ と を 理 解 さ せ る(特 に ボ ス ニ ア の 内 戦 に つ い て)。 ○ 新 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア に お い て も コ ソ ヴ ォ 自治 州 の ア ル バ ニ ア 人問 題 な ど、 まだ 民 族 問題 が 解 決 して い な い こ と を理 解 させ る 。 ま と め ○多民 族 国家 ONATOを の課 題 い る こ と を理 解 させ る 。 中 心 と し て 、 平 和 ・共 存 へ の 努 力 が な さ れ て ○ 民 族 問 題 の 解 決 は 容 易 な こ とで は な い が 、 こ れ か ら の 国 際 社 会 に お い て は 重 要 な 課 題 で あ る こ と を理 解 さ せ る 。 (4)評 価の観点 ① 世 界 の 諸 地 域 に は 深 刻 な 民 族 問 題 ・民 族 紛 争 が み ら れ る 地 域 も あ る こ とを理 解 で きた か 。② 民 族 問題 の 解 決 は国 際社 会 に お い て重 要 な課 題 で あ る こ とが 理 解 で き た か 。 ③ 異 民 族 ・異 文 化 を 理 解 し、 尊 重 す る こ と が 大 切 で あ る こ と を 認 識 で き た か 。 (5)指 導上 の留意点 ① 世 界 の 国 々 の 中 に は 複 数 の 民 族 か ら な り、 複 数 の 言 語 が 使 わ れ て い る 国 も 多 い こ と を 理 解 さ せ る 。 ② 世 界 の 多 くの 地 域 で 民 族 問 題 ・民 族 紛 争 が み ら れ る こ と を理 解 さ せ る 。 ③ 多 民 族 国 家 で あ っ て も特 に 問 題 の み ら れ な い 国 家 も あ れ ば 、 多 く の 問 題 を 抱 え て い る 国 家 、 さ ま ざ ま な 努 力 を して い る 国 家 も 多 い こ と を理 解 さ せ る 。 一4一 2バ ル カ ン半 島 に お け る 民族 対 立 (1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 米 ソ 冷 戦 構 造 が 崩 壊 した の ち 、 世 界 各 地 で 民 族 自 立 を 掲 げ た 多 く の 民 族 紛 争 が 勃 発 し て い る 。 中 で も最 も複 雑 で 過 酷 な 状 況 を も た ら して い る 紛 争 が 「バ ル カ ン の 民 族 紛 争 」 で あ る 。 バ ル カ ン 半 島 に お け る 民 族 対 立 は 、 半 島 の 地 理 的 特 殊 性 に よ り多 くの 民 族 が 半 島 内 に 流 入 した こ と 、 ビ ザ ン ツ 帝 国 、 オ ス マ ン帝 国 の 支 配 に 対 す る 異 文 化 の 受 容 と反 発 、 ま た 、 ハ プ ス ブ ル ク 帝 国 に よ る 支 配 な ど複 雑 な 支 配 関 係 を 歴 史 的 観 点 か ら 追 求 し、 そ こ か ら派 生 した 民 族 主 義 が 現 在 の バ ル カ ン紛 争 の 要 因 と な っ て い る こ と を 学 ぶ 。 こ の 問 題 を とお し、 民 族 の 違 い 、 文 化 の 違 い に よ る 摩 擦 が 戦 争 に ま で 発 展 す る こ と 、 ま た 異 文 化 を 受 容 し、 国 際 協 調 、 共 存 の 考 え が 大 切 で あ る こ と を 理 解 さ せ る 。 現 代 社 会 で は 異 文 化 との 接 触 は避 け られ な い状 況 で あ る 。 その よ うな国 際 状 況 の 中 、異 文 化 と の 接 触 で ど の よ う な 問 題 が 派 生 し、 そ れ を解 決 し と も に 真 の 国 際 社 会 を 築 い て い く た め に は ど う す れ ば よ い の か を 考 え て い か な け れ ば な ら な い 。21世 紀 に 生 き る 生 徒 が 、 国 際 社 会 に 生 き る 人 と して 、 主 体 的 に 考 え 、 行 動 で き る よ う本 教 材 を 取 り上 げ た 。 (2)本 時 の ね らい 本 時 は4時 間 構 成 の 第3・4時 限 目 に あ た る 。 第1・2時 ロ シ ア の 南 下 政 策 と オ ス マ ン帝 国 の 領 土 を め ぐ る 限 目で は 、 「東 方 問 題 」 を 学 ぶ 。 本 時 で は 、 第 一 次 世 界 大 戦 前 の バ ル カ ン 戦 争 か ら 大 戦 後 の 国 境 線 画 定 ま で を サ ラ イ ェ ヴ ォ の 街=に 焦 点 を あ て 、 「ヨ ー ロ ッ パ の 火 薬 庫 」 か ら 第 一 次 世 界 大 戦 へ 、 そ の 後 の 国 家(ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア)の 成 立 が 強 国 の 利 害 に よ っ て 決 定 さ れ た 歴 史 的 背 景 を理 解 させ る 。 さ ら に 、 第 二 次 世 界 大 戦 後 の テ ィ トー に よ る 多 民 族 国 家 の 経 営 、 冷 戦 構 造 崩 壊 後 の 民 族 対 立 の 噴 出 、 異 民 族 共 存 の 難 しさや ま た その 必 要 性 を理 解 させ る こ と を 目的 とす る 。最 後 に現 在 のユ ー ゴス ラ ヴ ィ ア 紛 争 の 概 略 を 解 説 し た う え で 、 イ ン タ ー ネ ッ ト ・新 聞 を 利 用 し 過 去 の 歴 史 で は な く 同 時 代 に 起 き て い る 問 題 で あ る こ と 、 そ の 解 決 の 難 し さ 、 必 要 性 を 認 識 させ て い く予 定 で あ る 。 学 習 指導要領での関連分野 は 国 際社 会」 及 び 「世 界 史B」 で あ る 。 ま た 、 「地 理B」 の 「世 界 史A」 の の 「((5)地 「(3)現 「(3)現 代 の 世 界 と 日本 」 の 球世界の形成」の 「工 「オ 地域紛 争 と 国際対 立 と国際協 調」 代 社 会 の 諸 課題 の 地理 的 考 察 」 の 「ク 民 族領 土 問 題 の 地 域 性 」 と 関 連 して 学 ん で い く こ と も有 意 義 で あ る 。 (3)展 開 例(2時 間 続 き の 指 導 案 で あ る が 、1時 学習項 目 導 入 学 習 間 ご と の 授 業 も 可 能 で あ る 。) 活 動 ○新ユ ー ゴス ラ ○ 新 ユ ー ゴ の大統 領選挙 の結 果や 外務 省の ホ ームペ ー ヴ ィアの 概 要 ジ をみ て 身近 に感 じる。 ○第一次 大戦 前 ○ 白 地 図 に3C政 の列強の政策 また 地 図 か ら ロ シア の 策 の 拠 点 、3B政 備 考 パ ソ コ ン 策 の拠 点 を記 し、 白地 図 「南 下 政 策 」 の ね ら い を 知 り 、 プ リ ン ト バ ル カ ン半 島 の 戦略 的重 要 性 を理 解 す る。 ○民族主 義 、 領 ○ オ ー ス トリア の ボ ス ニ ア併 合 、バ ル カ ン同 盟 の 結 土拡張政策 成 まで の 出 来事 を時 系 列 に理 解 す る。 一5一 「現 代 世 界 」 0バ ル カ ン戦 争 に つ い て 学 び 、 特 に 第 二 次 バ ル カ ン 戦 争 は ス ラ ヴ民 族 同 士 の 戦 争 だ っ た 事 に 着 目 す る 。 ○ サ ラ イェ ヴ ォ ○ サ ラ イ ェ ヴ ォ事 件 お よ び そ の 逸 話 を 紹 介 し僅 か な 事件 き っ か け と偶 然 か ら 、 セ ル ビ ア の 一 青 年 が 放 っ た 銃 プ リン ト 弾 が 世 界 大 戦 に 繋 が っ た こ と を 理 解 させ る 。 展 ○ 第一 次 大 戦 後 ○ ヴ ェ ル サ イユ 体 制 の も と ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア が 、 列 の新 国 家誕 生 国 の 利 害 の も と に 誕 生 した こ と を知 る 。 ○ ナ チ ス ○ 第 二 次 世 界 大 戦 時 、 ナ チ ス ・ ド イ ツ の 政 策 に よ り、 ・ ド イ ツに よる民族 分 民 族 分 断が 図 られ ク ロア チ ア 人 の極 右 組 織 断政策 シ ャ」 に よ る セ ル ビ ア 人 虐 殺 が あ り民 族 対 立 が 激 化 「ウ ス タ した こ とを知 る。 ○ テ ィ トー の 民 0テ ィ トー 大 統 領 に よ る 「自 主 管 理 社 会 主 義 」 の 概 族共存 政策 略 を 説 明 し、 危 う い バ ラ ン ス の 上 に も民 族 共 存 の 道 が 開 か れつ つ あ った こ とを 理 解 す る。 ○連邦 崩壊 ○ 現 在 の バ ル カ ン 諸 国 の 地 図 を用 い 、 経 済 不 振 や 米 白地図 ソ 冷 戦 構 造 の 終 結 後 連 邦 が 崩 壊 した 事 を 理 解 す る 。 開 ○民族紛争 092年 ボ ス ニ ア紛 争 の資 料 写真 をホ ー ムペ ー ジ か ら パ ソ コ ン ダ ウ ン ロ ー ド し 、 サ ラ イ ェ ヴ ォ と い う街 の 悲 劇 お よ び 戦 争 と平 和 に つ い て 考 察 させ る 。 ま た 、 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア 関 係 の ホ ー ム ペ ー ジ を見 て 、 民 族 紛 争 の 解 決 が 容 易 で な い こ と 、 逆 に 政 治 ・国 連 の レ ベ ル で 共 存 の 道 を 探 っ て い る こ と な ど を知 る 。 一 ま と ○ 「戦 争 と平 和 」 ○ 「民 族 紛 争 」 め 「サ ラ イ ェ ヴ ォ 」 「民 族 主 義 」 「民 族 共 存 」 の テ ー マ で 戦 争 と平 和 に つ い て 自 分 な りの 考 え を ま と め て み る 。 (4)評 価の観点 評 価 は単 に歴 史 的 知識 の習 得 の み に観 点 をお か ず 、 過 去 の 出来 事 か ら現 在 に 学 ぶ こ と は 何 で あ る か 考 察 す る こ と が 大 切 で あ る 。 パ ソ コ ンや 新 聞 ・資 料 を 多 く使 う こ と に よ り 、 生 徒 自 身 が 考 え 多 様 な 価 値 観 を持 つ プ ロ セ ス を 大 切 に した い 。 ま た 、 最 後 に レポ ー トを 課 す こ と に よ り 自 ら の 考 え を ま と め る 力 を 養 う こ と も大 切 で あ る 。 ① 大 戦 前 の 列 強 の 政 策 が 理 解 で き た か 。 ② 民 族 主 義 が 戦 争 に 繋 が る こ と も あ り得 る こ と を 理 解 で き た か 。 ③ 異 民 族 ・異 文 化 を 理 解 し尊 重 す る 態 度 が 大 切 で あ る こ と を 認 識 で き た か 。 (5)指 導上の留意点 ① ホ ー ム ペ ー ジ は あ らか じめ ア ド レス を提 示 し、 見 に 行 く ま で に 時 間 が か か ら な い よ う に す る 。 ② 生 徒 が 視 覚 的 に 理 解 で き る よ う に 地 図 ・資 料 は わ か りや す い も の を 用 意 す る 。 ③ 生 徒 が 自 ら考 え る こ と が 出 来 る よ う 、 考 察 す る 時 間 や 発 問 に 考 慮 す る 。 ④ 関 連 す る 他 の 科 目 、 特 に 地 理 との 連 携 に 配 慮 し、 「地 理B」 課 題 の 地 理 的 考 察 」 の 「ク の 「〔3)現 代 社 会 の 諸 民 族 領 土 問 題 の 地 域性 」 との 関 連 に配 慮 す る 。 一6一 3国 際協 力 に 見 る異 文 化 との共 存 (1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 現 在 に 至 る まで 様 々 な 援 助 主 体 に よ り国 際 協 力 が 行 な わ れ て き た が 、 そ の 過 程 で 多 くの 問 題 点 が 浮 上 し、 そ の 幾 つ か は 解 決 さ れ 、 ま た 残 り の 幾 つ か は 課 題 と し て 残 っ た 。 問 題 発 生 の 根 源 的 要 因 の 一 つ と して 、 「非 西 欧 的 な も の は 遅 れ た も の 、 開 発 ・改 善 さ れ な け れ ば な ら な い もの 」 とす る 考 え 方 が 、 こ れ ま で の 国 際 協 力 の 主 体 者 側 に あ っ た こ とが あ げ ら れ る 。 先 進 国 の 技 術 や 生 産 様 式 、 ま た そ の 背 景 と な る 考 え 方 が そ の ま ま で は発 展 途 上 国 に適 合 せ ず 、 問題 を解 決 す る どこ ろか む しろ拡 大 す る場 合 す ら 少 な く な か っ た 。 今 や 、 そ う し た 考 え 方 を 払 拭 し、 多 様 性 を 認 め 、 尊 重 す る こ と が 求 め ら れ 始 め て い る 。 援 助 が 定 着 し 、 援 助 対 象 の 自立 を 促 す た め の 条 件 は 、 援 助 を さ れ る 側 の 主 体 性 を 引 き 出 す よ う な 「援 助 さ れ る 者 の 立 場 に 立 っ て 考 え ら れ た も の 」 で あ る と い う こ と で あ り 、 そ れ は 地 域 性 の 理 解 の 上 に の み 成 り立 つ 異 文 化 の 尊 重 と理 解 に 他 な ら な い の で あ る 。 そ して 、 こ の 非 西 欧 的 な る も の の 中 に 、 我 々 先 進 国 が 模 索 して い る 「 持 続 可能 な進 歩 ・ 発 展 ・成 長 」 の 方 策 の ヒ ン トが 隠 さ れ て い る 可 能 性 が あ る 点 で も 、 こ の こ と は 大 き な 意 味 を持 つ 。 (2)本 時 の ね らい 1∼3時 こ こ に 示 す の は9時 間 構 成 の 第4∼5時 限 と 第8∼9時 限である。 第 限 で は 、 途 上 国 の 抱 え る 諸 問 題 と そ の 構 造 、 国 際 協 力 の 主 体 と し て 国 際 機 関 、O DA、NGOそ れ ぞ れ に つ い て の 仕 組 み と 実 績 及 び 問 題 点 な ど を 、 第4時 基 礎 知 識 と し て 紹 介 す る 。 第4∼5時 限以 降のため の 限 で は 、 ア ジ ア にお い て 食 糧 増 産 援 助 策 と して 導 入 さ れ た 先 進 国 型 農 業 が も た ら し た 社 会 的 変 化 の 事 例 を 通 し て 、 「地 域 性 の 尊 重 の 重 要 性 」 に つ い て 理 解 さ せ る 。 第6∼7時 限 で は 、 バ ン グ ラ デ シ ュ に お け る 日 本 のNGOの 具 体 的 活 動 例 を 通 し て 、 「異 文 化 と の 共 存 」 の 鍵 と な る 、 「表 面 事 象 の 背 景 や 構 造 的 要 因 の 理 解 の 必 要 性 」 に つ い て 理 解 さ せ る 。 第8∼9時 限 で は 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン教 材 を 利 用 し た 参 加 型 学 習 に よ り 、 「異 文 化 と の 共 存 」 に つ い て の 実 践 的 考 察 を 深 め る 。 な お 、 学 習 指 導 要 領 に お け る 関 連 分 野 は 、 「地 理A」 「イ 地 球 的 課題 の 地理 的 考 察」 の 「(3)現 (3-1)展 開 例(第4∼5時 学 習項 目 「ア 「キ 域 性 を踏 まえ て と ら え る現 代 世 界 の 課 題 」 の 諸 地 域 か ら 見 た 地 球 的 課 題 」 や 、 「地 理B」 「オ 居 住 、 都 市 問 題 の 地域 性 」 な どで あ る 。 限) 学 習 活 動 ○ ア ジ ア各 地 の 絶 対 的 貧 困者 数 の 多 さを 日本 の 人 口 対 的貧困者 数 と対 比 さ せ な が ら 理 解 す る 。 ○稲魂 信仰 ○ ジ ャ ワ 島 の 二 ・ポ ハ チ 伝 説 と ア ニ ア ニ を 知 る 。 1 の 環 境 、 エ ネ ル ギ ー 問 題 の 地 域 性 」、 「力 ○ ア ジアの 絶 入 1 「(2)地 代 世 界の 諸課 題 の 地理 的 考 察 」 の 人口、食料問題の地域性」 及び 導 の 備 考 「ア ジ ア 地 域 の 貧 困者 数 」 「二 ・ポ ハ チ 伝 説 ○緑 の 革 命 は 、貧 困 層 救 済 の た め 、 食 料不 足 解 消 の 概 略 」 「ア ニ ア ニ 決 定 打 と して 導 入 さ れ た 経 緯 を 理 解 す る 。 の 図」 ○ 国 及 び 地域 を地 図 帳 で確 認 す る 。 ○ 在 来 種 とH ○ 高 収 量 品 種(HYV)開 発 の歴 史 とそ の特 性 につ い 一7一 「米 の 在 来 種 と 高 YVの 特性の 比較 て 、 在 来 種 の そ れ と 比 較 対 照 しな が ら理 解 す る 。 在 来 種 の 特 性 が 自 然 条 件 に 合 致 し、 そ れ に 応 じて 在 来 OHYV定 着 の条件 定 着 に は相 当 の経 済 力 が 必 要 で あ り、 貧 困 層 救 済 に な り得 な か っ た 事 を理 解 す る 。 OHYVの 開 OHYVの 短 OHYV導 と め 「HYV導 入 に必 要 な諸 条 件 」 入 に よ る コ ス ト増 加 は 収 穫 量 増 加 を 上 回 所 り、 農 業 経 営 を 圧 迫 した こ と を理 解 す る 。 ○ ジャ ワ島に ○ ジ ャ ワ 島 に お い て 、 人 口 急 増 とHYV導 お け るHYV ク ロ ー ジ ャ ー を 進 め 、 貧 困 層 を拡 大 させ た こ と を 、 導 入 に よ る社 社 会 構 造 の 観 点 か ら理 解 す る 。 「HYV導 入 に よ る生 産 費 変 化」 入が エ ン 「緑 の 革 命 に 起 因 す る社 会 問 題 」 「ジ ヤ ワ の 収 穫 制 会変化 ま 「ト ラ ク タ ー 導 入 に よ る影 響 」 農 法 が 確 立 さ れ た事 を 理 解 す る 。 展 収量種の比較」 度 の変 遷 」 ○ 地域性 を重 OHYVと 視 した 新 品種 例 を 通 して 、 地 域 性 の 尊 重 の 重 要 性 を 理 解 す る 。 ○有 機農 法へ ○ フ ィ リ ピ ン に お け るNGOに よる緑 の 革 命 か ら有 「病 虫 害 の 爆 発 的 の転換事例 機 農 法 へ の 転 換 の 成 功 事 例 を 通 して 、 地 域 性 の 尊 重 発 生 の 要 因 」 「在 の重 要 性 を理 解 す る 。 来 品 種 ・農 法 尊 重 ○ 地域 に合 っ ○ 途 上 国 に導 入 す る には どの よ うな農 法 が よい か を の 有 効 性 」 「有 機 た農法 考える。 農法の有効性」 (4-1)評 価 の観 点 在 来 種 浮 き稲 と の 交 配 種IR422の 成功 「化 学 肥 料 使 用 と 地 力維 持 の重要 性」 ① 途 上 国 地域 の在 来 農法 、社 会 構 造 、文 化 な ど は 、先 進 国 に対 して 決 し て 遅 れ た もの で は な く、 地 域 性 と の 調 和 を 持 っ て 必 然 的 に 形 成 さ れ て い る こ と を 理 解 で き た か 。 ② 先 進 国 技 術 に よ る 緑 の 革 命 が 途 上 国 の 農 村 社 会 に もた ら し た 功 罪 に つ い て 理 解 で き た か 。 ③ 開 発 ・成 長 、 進 歩 ・発 展 の 理 念 を具 現 化 す る 方 法 に つ い て 、 先 進 国 の も の が 唯 一 絶 対 で は な く 、 文 化 が 異 な れ ば そ の 方 法 も ま た 異 な る こ と を 認 識 し 、21世 紀 の 国 際 協 力 の 在 り方 を 考 え る こ とが で き た か 。 (5-D指 導上の留意点 ① 貧 困 の 原 因 は 人 口急 増 で は な く、所 得 分 配 の 不 平 等 で あ る こ と を 押 え る 。 ② 取 り上 げ た 地 域 に つ い て は 地 図 帳 な ど を 用 い て 確 認 さ せ る 。 ③ 先 進 国 の 文 化 と途 上 国 の 文 化 の ど ち らが 正 しい の か と い う よ う な 二 者 択 一 的 思 考 に 陥 らせ ず 、 文 化 は 夫 々 の 地 域 性 に 根 ざ し た もの で あ り、 必 然 性 を備 え て い る こ と を 押 え る 。 (3-2)展 1 開 例(第8∼9時 限) 学 習 項 目1学 習 活 動 導 ○ シ ミ ュ レー ○ シ ミュ レー シ ョン教材 入 シ ョンの説 明 プ ラ ン」 に つ い て 説 明 す る 。 ○ シ ミュ レー ○ 状 況 設 定 、Y国 シ ョンの 開始 国 関 係 者 資 料 を 説 明 し、 ス ラ イ ドに よ る 地 域 紹 介 を 展 1開 1行 う 。 そ の 後4つ 「Y国Z村 基 礎 デ ー タ 、Z村 考 の農村 開発援 助 農 村 マ ッ プ 、Y の 開 発援 助 プ ラ ンを示 す 。 一8一 備 ○ ワ ー ク シ ー ト 1-3 0ス ラ イ ド ○援 助 プ ラ ン ○ グ ル ー プ に分 か れ 、 援 助 プ ラ ンの 検 討 を 指 示 す る 。 の検 討 ○ 決 定 した プ ラ ン と そ の 決 定 理 由 を 発 表 さ せ る 。 ○ 発 表 ・再 発 ○ プ ラ ン の 再 検 討 を指 示 す る 。 表及 び討論 ○ 再 決 定 プ ラ ン とそ の決 定 理 由 を再 発 表 させ る 。 ○ グ ル ー プ の 発 表 が 終 了 後 、 質 疑 応 答 と討 論 を 行 う 。 ○ ま とめ ○ 立場 や 考 え の違 い に よ って 採 択 す る プ ラ ン が 異 な ま る こ とを示 し、誰 の ため の 援 助 か慎 重 に 考 え る こ と が 重 要 で あ る こ とを説 明 す る。 そ の際 、 地域 性 の 理 と 解 の上 に立 って 相 手 先 の 文 化 を尊重 す る こ とが 大 切 で あ る こ とを説 明 す る。 め ○ こ の 授 業 で 学 ん だ こ と及 び 感 想 を記 入 させ る 。 (4-2)評 価の観点 ○ ワ ー ク シ ー ① 主 体 的 に 学 び 行 動 す る こ と が で きた か 。② 地 域 性 の 理 解 の 上 に 立 っ て 、 異 文 化 を 尊 重 ・理 解 す る こ と が 重 要 で あ る こ と を 認 識 で き た か 。 ③(4-1)の (5-2)指 ト4 導上の留意点 ③ に 同 じ。 ① 発 展 途 上 国 の 人 々 も 日本 人 も 同 じ地 球 に 生 き る 市 民 で あ る こ とに 気 づ か せ る よ う留 意 す る。② 国 際社 会 に お け る先 進 国 日本 の 役 割 につ い て 発 展 的 に 考 え ら れ る よ う 留 意 す る 。 ③ 各 グ ル ー プ の 援 助 プ ラ ンの 検 討 が 進 ま な い 場 合 、 状 況 に よ っ て は検 討 が 進 む よ う教 師 が 適 宜 助 言 を行 う。 ◎資料 ●1.「 「望 ま し い 援 助 と は ∼Y国Z村 状況設定」 家 チ ー ム で す 。 今Y国 方 は4つ の 農 村 開 発 援 助 プ ラ ン 」 ワ ー ク シ ー ト1∼4抜 『あ な た 方 は 後 発 発 展 途 上 国 で あ るY国 で はZ村 を 選 択 し、Y国 の 仕 事 は 責 任 重 大 で す 。 そ れ で は 頑 張 っ てY国 ●2.「Y国 に派 遣 され た援 助 プ ラ ン評 価 専 門 の 農 村 開 発 援 助 プ ラ ン が4つ の 援 助 プ ラ ン か ら最 適 の も の を1つ 概 要 及 び 基礎 デ ー タ」 粋 示 され て い ます 。 そ こで あ な た は 政 府 に助 言 し て 下 さ い 。 あ な た 方 に 最 適 の 援 助 プ ラ ン を 決 定 し て 下 さ い 。』 「Y国 は 東 南 ア ジ ア の 赤 道 直 下 に 位 置 す る 後 発 発 展 途 上 国 で あ る。 国 土 は 山が ち で 、気 候 は主 に熱 帯 雨 林 気候 、宗 教 は上 座 部 仏 教 であ る。主 な産業 は、 在 来 種 を 在 来 農 法 で 栽 培 す る 稲 作 を 中 心 と した 農 業 で 、 人 口 の 約80%は 農 村 に居 住 して い る 。 農 民 は 大 地 主 、 自 作 農 民 、 小 作 人 、 土 地 な し農 民 で 構 成 され て い る 。 人 口 は こ の30年 間 で 急 激 に 増 加 し、 貧 困 層 が 増 え 貧 富 の 差 も 拡 大 して い る 。 農 村 で は 土 地 な し農 民 が 増 え 、 貧 し く て 学 校 に 行 け な い 子 ど も の 数 も激 増 して い る 。 山 間 部 に は 焼 畑 や 狩 猟 を 行 っ て 自 給 自 足 の 生 活 を 営 む 少 数 民 族W族 が 暮 ら して い る 。 援 助 対 象 地 域 のZ村 て い る 。 山 地 に は 熱 帯 雨 林 とW族 は 平 野 と 山 地 か ら な り大 き なX川 の 居 住 地 域 が あ る 。 こ のZ村 が流れ は 首 都 か ら 遠 く離 れ 、Y国 の中 で も 開 発 の 遅 れ た 貧 しい 地 域 で あ る 。 な お 今 回 の プ ラ ン の 予 算 上 限 額 は10億 円 で あ る 。』 ●3.「Y国 1.Y国 関 係 者 か らの 聞 き 取 り 調 査 」 政府官僚 「こ の 国 は 貧 しい で す が 、 人 々 は 仕 事 熱 心 で 大 変 よ く働 き 、 こ れ か ら 発 展 す る 可 能 性 は 高 い と言 え ます 。 従 っ て 電 力 や 道 路 や 水 道 な ど を 整 備 し て 工 場 を 建 設 す れ ば 、 急 速 に 発 展 して い く と考 え て い ま す 。 ま た こ の 国 の 豊 か で 美 し い 自然 と歴 史 の 古 い 寺 院 や 伝 統 一9一 文 化 を 外 国 の 人 々 に 知 っ て も ら う た め 、 観 光 地 化 し た い と思 っ て い ます 。 従 っ て 外 国 の 会 社 と 資 金 を 出 し合 っ て 観 光 開 発 を した い と 思 っ て い ま す 。』 4,Z村 土 地 な し農 民 『私 た ち の 生 活 と い っ た ら ひ ど い もの だ 。 食 事 は1日2回 だね。当 然 私 の 家 に は 電 気 な ん て い う もの は な い 。 病 気 に な っ た と きが 一 番 つ ら い な 。 だ け ど子 ど も た ち に は 、 読 み 書 き と計 算 が で き る よ う に な っ て も ら い た い 。 私 は 字 が 読 め な く て 、 農 業 か ら 他 の 仕 事 に 転 職 で き な い ん だ 。 よ い 暮 ら し を した い と思 っ て も地 主 の 土 地 は 小 作 人 た ち が 借 りて し ま っ て 、 私 た ち の 借 り ら れ る 農 地 は こ の 村 に は 無 い ん だ よ 。 だ か ら農 業 労 働 者 と し て 地 主 や 自 作 農 民 や 小 作 人 に 雇 っ て も ら う の だ け れ ど 、 私 と 同 じ土 地 な し農 民 が 最 近 増 え て な 。 農 作 業 に あ りつ く競 争 が 激 し くて 、 毎 日 は 仕 事 が な い ん だ 。 ま た 労 賃 も下 が っ て き た 。厳 しい 現 実 だ よ 。 だ け ど子 ど も も働 い て くれ る し、 毎 日 お 寺 で 祈 っ て い る か ら 、 何 とか 生 活 し て い け る ん だ 。』 こ の 他2,Z村 ●4.「Z村 1.農 大 地 主3.Z村 小 作 人5.Y国 実 業 家6.少 数 民 族W族 農 村 開 発 援 助 プ ラ ン」 業 用 水 路 の 建 設 、 トラ ク タ ー の 輸 入 、 化 学 肥 料 ・農 薬 工 場 の 建 設 費 補 助 導 入 の た め に 、X川 に ポ ン プ 場 を 建 設 しZ村 『高 収 量 品 種 まで の 農 業 用 水 路 を 建 設 して 水 不 足 を 解 消 す る 。 そ し て トラ ク タ ー を10台 輸 入 す る 。 ま た 化 学 肥 料 ・農 薬 工 場 の 建 設 費 を 補 助 す る 。 工 場 が 建 設 さ れ れ ば 、 化 学 肥 料 や 農 薬 が 安 くな る の で 、 農 民 一 人 当 た りの 生 産 量 は 格 段 に 高 く な る 。 ま た 建 設 関 連 の 雇 用 及 び 工 場 労 働 者 と して の 雇 用 が 期 待 で き 、Y国 の 工 業 化 に も 結 び つ く。 し か し 村 の 一 部 に は 、 収 入 が 増 え る の は 地 主 だ け とい う 声 や 工 場 の 公 害 を 心 配 す る 声 が 聞 か れ る 。 な お 電 力 供 給 は 他 の 国 の 援 助 に よ っ て 近 々 実 現 す る 見 込 み で あ る 。』 2.有 機 農 法 の 協 同 生 産 組 合 設立 『小 作 人 や 土 地 な し農 民 を 組 織 化 して 、 水 田 を 購 入 し 有 機 農 法 の 協 同 生 産 組 合 を 設 立 して 、 無 農 薬 有 機 肥 料 の 農 産 物 を 生 産 す る 。 養 魚 場 の 建 設 や 鶏 ・ 豚 の 飼 育 を 行 い 、 糞 は 有 機 肥 料 に す る 。 ま た 組 合 で 、 貧 しい 人 に も低 利 で 融 資 で き る よ う 融 資 制 度 を 実 施 す る 。 有 機 農 法 は 人 手 が か か る の で 多 くの 農 業 労 働 者 が 必 要 と な り、 か な り多 く の 雇 用 が 期 待 で き る 。 しか し農 民 一 人 当 た りの 収 入 は 低 く、 組 合 の 生 産 物 の 売 り込 み も 組 合 員 で 行 わ な け れ ば な ら な い 。 ま た 生 産 規 模 も簡 単 に は 大 き くで き な い 。』 3.外 資 と の 合 弁 に よ る 自然 を生 か し た観 光 開 発 『外 国 企 業 と資 金 を 出 し合 っ て ホ テ ル を 建 設 し、 異 文 化 理 解 を 目 的 と し た 伝 統 工 芸 や 民 族 舞 踊 の 体 験 ツ ア ー 、 山 間 部W族 の 集 落 を訪 れ た り貴 重 な 熱 帯 雨 林 の 森 を観 察 す る ネ イ チ ャ ー ツ ア ー を 実 施 す る 。 ま た 歴 史 的 寺 院 を 観 光 地 と して 整 備 す る 。 雇 用 だ け で は な く、 手 工 芸 品 の 販 売 や 農 産 物 の 販 売 も期 待 で き る が 、 そ の 規 模 は そ れ ほ ど 大 きい も の で は な い 。 観 光 客 相 手 の 伝 統 工 芸 体 験 や 民 族 舞 踊 が 単 な る 観 光 シ ョ ー と 化 し伝 統 の 破 壊 と 考 え る 人 々 や 祈 りの 場 の 寺 院 を 観 光 地 に す る こ と に 反 対 す る 人 々 が い る 。』 4.大 人 の た め の 識 字 教 室 ・職 業 訓 練 の 実 施 及 び 学 校 ・診 療 所 の 建 設 『生 活 レ ベ ル の 向 上 に は学 問 が 不 可 欠 で あ る 。大 人 向 けの 読 み書 きや 簡 単 な 計算 を学 ぶ 夜 間の 識 字 教 室 を 開催 す る 。 ミ シ ン を 輸 入 して 、 縫 製 技 術 を 身 に つ け る 職 業 訓 練 所 を つ く る 。 技 術 指 導 時 以 外 は 無 料 で ミ シ ン を利 用 で き る 。 ま た 学 校 と診 療 所 を 数 カ所 ず つ 建 設 し 、 教 材 ・学 用 品 、 医 療 機 器 ・医 薬 品 な ど も援 助 す る 。』 一ia一 H日 本 の国際 関係 のあ り方 を考 えるための視点 1幕 末 日本 をめ ぐる 国際 環 境 (1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 幕 末 か ら明 治 維 新 に い た る 時 期 は 、 二 百 数 十 年 来 の 幕 藩 体 制 の 崩 壊 の ド ラ マ が 、 め ま ぐ る し く展 開 す る 時 期 で あ る 。 ま た 一 方 で 、 ア ジ ア の 東 端 の 島 国 日 本 が 、 パ ワ ー=ポ リテ ィ クス が支 配 す る有 機 的 な世 界史 の 中 に編 入 させ られ て ゆ く とい う画 期 も な し て い る 。 近 年 、 こ の 時 期 に お け る 英 仏 な ど 欧 米 列 強 の 影 響 に つ い て は 、 「世 界 の 中 の 日 本 」 と い う 視 点 か ら も 、 重 視 さ れ て き て い る 。 し か し 、 教 科 書 の 記 述 な ど は断 片 的 か つ表 面 的 で 、視 野 がせ まい 。 そ こで 、 近 年 の 明 治 維 新 の 国 際 的 環 境 につ い て の 研 究 を ふ ま え 、 開 国 後 の 政 局 の 展 開 を 、 国 際 的 な 背 景 と結 び つ け な が ら 考 察 さ せ る こ と が 必 要 で あ る 。 つ ま り、 朝 廷 や 尊 王 穰 夷 の 志 士 た ち と公 武 合 体 の 幕 閣 や 諸 侯 と の 対 決 、 幕 府 独 裁 か 倒 幕 か を め ぐ る 複 雑 な 対 抗 や か け ひ き な どが 、 つ ね に 外 圧 に 対 す る 国 家 的 対 応 の 方 策 い か ん を め ぐっ て 展 開 して い る と い う視 点 を 持 た せ る こ と 。 さ ら に 、 民 衆 の 世 直 しの 潮 流 も また 、列 強 の圧 迫 と為 政者 た ち の政 争 激 化 の 中 で 、 ます ます 大 き くな り、歴 史 を 動 か す 原 動 力 と な っ た こ と に 着 目 さ せ る 。 こ の よ う な 中 か ら 、 パ ワ ー=ポ リテ ィク ス の支 配 が 進 む で あ ろ う21世 紀 の 世 界 の 中 で 、 国 民 と し て の 自 覚 を 持 ち 、 日 本 の 国 際 関 係 の あ り 方 を 自 ら考 え 、 判 断 す る 力 を 培 う こ と を ね ら い と して 、 本 教 材 を 取 り上 げ た 。 (2)本 時 の ね らい 本 時 は3時 の 転 換 に つ い て 、 第2時 間 構 成 の 第3時 限 に 当 た る 。 第1時 限では、開国後の 政局 限 で は 、 尊 王 撰 夷 運 動 の 展 開 を 概 観 す る 。 そ の 際 、 第1時 限で は 、 ロ シ ア の 対 馬 占 拠 事 件 を と りあ げ 、 植 民 地 化 の 危 機 を 感 じ と ら せ 、 か つ 民 衆 の 抵 抗 が こ の 事 件 を 解 決 す る 大 き な 力 と な っ た こ と を 理 解 さ せ る 。 第2時 の意図 を 「オ ー ル コ ッ ク の 覚 書 」 や ア ー ネ ス ト;サ トウ の 限 で は 、 イギ リ スの 砲 艦 外 交 「英 国 策 論 」 な ど を 通 じ て 理 解 させ る。 ま た英 仏の 横 浜 軍 事 基 地 建 設 につ い て も注 目させ る 。 本 時 で は 、 イギ リ ス外 交 の 変 化 に よ る 倒 幕 勢 力 の 形 成 の よ うす 、 そ して フ ラ ン ス 外 交 の 幕 府 へ の 影 響 な ら び に そ の 意 図 を 理 解 さ せ る 。 そ し て 日本 が 独 立 を 保 ち 得 た 理 由 を 考 察 さ せ 、 さ ら に 、 そ の よ う な 環 境 の 中 で 主 体 的 に 行 動 し た 日本 人 の 姿 を 通 して 、 今 日 の 国 際 社 会 の 中 で い か に 行 動 して ゆ く べ き か を 考 察 さ せ る 。 学 習 指 導 要 領 の 関 連 分 野 は 、 「日 本 史B」 とア ジ ア」 の (3)展 1学 「(5)近 明 治 維 新 と立 憲 体 制 の 成 立 」 で あ る 。 習項 目 学 習 活 動 ○ 前 時 の イギ リ スの 対 日政 策 を確 認 す る 。 対 日政 策 入 [ 代 日本の形 成 開例 ○ イギ リスの 導 「ア の 備 考 ◎ ワ ー ク シ ー ト① ◎ ワ ー ク シ ー ト② ○ 長州 藩 の藩 ○ 下 関 戦 争 で 援 夷 の 不 可 能 を悟 っ た の み な ら ず 、 植 論転 回 民 地 化 の 危 機 感 を持 ち、貿 易 に よる富 国強 兵 を 目指 し た 、 高 杉 晋 作 ら の 蜂 起 ・改 革 運 動 を 理 解 す る 。 一il一 ・史 料 「遊 清 五 録 」 (高 杉 晋 作) ○長 州再 征 と 0外 圧 を 機 に 藩 論 を 転 回 した 薩 長 両 藩 が 倒 幕 と い う 薩長 連合 の形 共 通 の 目標 に む か う こ と を 確 認 す る 。 成 ○ 長 州 再 征 宣 言 に よ り窮 地 に 陥 っ た 長 州 藩 を 援 助 す る こ と で 、 薩 摩 藩 との 盟 約 を 導 い た 坂 本 龍 馬 の 努 力 ・ 意 図 を 理 解 す る 。(イ ギ リ ス の 役 割 に も留 意 す る) 展 ・ グ ラ フ 「大 坂 に ○ 強 行 さ れ た 幕 長 戦 争 は 米 価 高 騰 に と も な う 「打 ち お け る物 価 指 数 」 こ わ し 」「世 直 し 一 揆 」を 頻 発 さ せ 、 つ い に 中 止 に 至 っ 「幕 末 の 百 姓 一 揆 」 た こ とを理 解 す る。 ○ フ ラ ンス の ○ 公 使 ロ ッ シ ュ 着 任 以 来 の 幕 府 支 援 策 を振 り返 り 、 ・資 料 幕府 支援 と慶 彼 の意 図 を考 え る。 とフ ラ ンス外 交 」 喜 の 巻 き返 し ○ 親 仏 派(小 栗 忠 順 ら)が 幕 政 の主 導 権 を握 り、 徳 川 絶 対 主 義 を 目 指 した こ と 、 ま た そ れ に 対 す る 勝 海 開 舟 の 批 判 の 意 図 を理 解 す る 。 ○ 倒 幕 勢 力 内 の 挙 兵 討 幕 路 線(薩 長)と 公 議政 体路 王政 復古 の ク ー 線(土 デ タ ー ○ 幕 府 勢 力温 存 をは か っ た慶 喜 の選 択 の 意 図 を理 解 そ れ ぞ れ の 意 図 を理 解 す る 。 ・史 料 「議 題 草 案 」 (西周 助) す る 。 ・史 料 「海 舟 日 記 」 「開 国 起 原 」(勝 海 舟) ○大 政奉還 と 佐)の 「幕 末 日 本 1 ま と め ○ 日本 が 独 立 ○ 英 仏 の 対 日 政 策 を 振 り返 り 、 そ れ に 対 し て 日 本 人 を 保 ち 得 た理 は どの よ うに対 応 した か もう一 度 、概 観 す る。 由 ○ なぜ 日 本 は 独 立 を 保 ち 得 た の か 考 え る 。 (4)評 価 の観 点 ◎ ワ ー ク シ ー ト③ ① 列 強 の 外 圧 を う け 、 そ れ と 衝 突 ・妥 協 ・利 用 しな が ら 、 独 立 を 保 ち 、 明 治 維 新 を 実 現 させ た 当 時 の 日 本 人 の 行 動 を 理 解 で き た か 。 ② 民 衆 の 主 体 的 な 行 動 及 び 変 革 を 求 め る パ ワ ー が 歴 史 を 動 か す 力 と な っ た こ と を 理 解 で き た か 。 ③ そ れ ら を 通 して 、 今 日 の 国 際 社 会 の 中 で 日本 人 と し て 生 きて ゆ く上 で 重 要 な こ と に つ い て 考 え る こ と が で き た か。 (5)指 導上の留意点 ① 資 料 を 活 用 し や す い よ う に ワ ー ク シ ー トを 工 夫 す る 。 ② 資 料 ・統 計 を 読 み と り 、 生 徒 自 らが 考 え 判 断 して 歴 史 を 再 構 築 して ゆ け る よ う 、 適 切 な 助 言 を 与 え る。 一12一 2日 本 に よ る植 民地 支 配 下 の 朝 鮮 (1)教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 韓 国(大 韓 民 国)の 日 本 文 化 解 禁 政 策 、 ワ ー ル ドカ ッ プ の 日韓 共 催 な ど に 見 ら れ る よ う に 、 日韓 関 係 の 新 しい 時 代 が 始 ま っ た 。 ま た 、 大 韓 民 国 と 朝 鮮 民 主 主 義 人 民 共 和 国 、 日 本 と朝 鮮 民 主 主 義 人 民 共 和 国 の 関 係 に お い て も新 し い 展 開 が 期 待 さ れ て い る 。 日 本 と 大 韓 民 国 、 日本 と朝 鮮 民 主 主 義 人 民 共 和 国 が 友 好 関 係 を 深 め て い くた め に は 、 相 互 が 客 観 的 な 歴 史 事 実 を ふ ま え 、 誤 解 や 偏 見 を な く し、 現 在 の 課 題 を 解 決 し て い く こ とが 大 切 で あ る 。 そ の よ う な 観 点 か ら 、 日本 に よ る 植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮 に つ い て 、 生 徒 が 主 体 的 に 学 ぶ2時 間 構 成 の授 業 を構 想 した 。生 徒 が 能 動 的 に知 識 や 概 念 を 獲 得 す る 授 業 、 生 徒 が 新 た な 探 求 心 や 問 題 意 識 を持 て る 授 業 とす る た め に 、 授 業 時 間 を 多 く 確 保 し て 、 資 料 や 授 業 展 開 を 工 夫 し 、 ワ ー ク シ ー ト作 業 や 判 断 ・思 考 ・意 見 表 明 の 場 面 を 設 け た 。展 開例 と して示 す 、土 地 調 査 事 業 と興 南工 業 地帯 の 実 態 は 、 日本 に よる 植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮 の 状 況 と して 具 体 的 で あ り 、 生 徒 の 学 習 意 欲 を 引 き 出 す 要 素 を 多 く含 む も の で あ る と 考 え 、 教 材 化 した 。 (2)本 時 の ね らい 本 時 は2時 間 構 成 の 第1時 限 にあ た る。 本 時 で は土 地 調 査 事 業 を取 り 上 げ 、 そ れ を糸 口 に、 韓 国 併 合 まで の経 過 とそ の後 の植 民 地 政 策 につ い て理 解 させ 、 日本 の 植 民 地 下 に お か れ た 朝 鮮 の 状 況 に つ い て 具 体 的 に 考 え させ る 。 第2時 の 人 々 は 独 立 を 願 い な が ら も(三 ・一 独 立 運 動)、 皇 民 化 政 策(日 限 で は朝 鮮 の 多 く 本 語 使 用 ・神 社 参 拝 の 強 制 、 創 氏 改 名 な ど)に 組 み 込 ま れ て い く こ と を学 習 す る 。 学 習 指 導 要 領 の 関 連 分 野 は 、 「世 界 史B」 の 「(5)地 球 世 界 の 形 成 」 の 「ア の 「(3)現 代 の 世 界 と 日 本 」 の 「イ (3)展 導 ニ つ の 世 界 大 戦 と平和 」 で あ る 。 開例 学 学習項 目 』 ニ つ の 大 戦 と世 界 」、 ま た は 「世 界 史A」 習 活 備 動 考 ○朝 鮮 を植 民 ○ 日本 の 企 業 が 朝 鮮 に 作 っ た 興 南 工 業 地 帯 に つ い て 資 料 「日 本 窒 素 肥 地 に して い た の 資 料 を 見 て ワ ー ク シ ー ト作 業 を 行 わ せ 、 日 本 が 朝 料朝鮮事業絵 図」 日本 鮮 を 植 民 地 と し て い た こ と を確 認 す る 。 ○ 日本 の 植 民 ○ 教 科 書 で 日韓 併 合 後 の 日 本 の 植 民 地 政 策 の 概 要 に 地 政 策 の概 要 つ い て 調 べ さ せ る(ワ ○土 地調 査事 0土 入 展 ー ク シ ー ト作 業)。 地 調 査 事 業 の 「申 告 書 」 の 書 式 を 紹 介 す る 。 業の 業 の 「申 告 書 」 開 資 料 「土 地 調 査 事 『申 告 書 』」 ○土 地 調査事 0土 地 調 査 事 業 に つ い て の 韓 国 ・歴 史 教 科 書 の 記 述 資 料 「韓 国 の 教 科 業 の実態 を 紹 介 し、 申 告 に よ り所 有 権 が 明 らか に な ら な い 土 書 に書 か れ た 土 地 地 は 朝鮮 総督 府 の所 有 に され た こ とを確 認 す る。 調査事業の実態」 一13一 ゆ 臓 併合ま ① 「故 意 に 申 告 を しな い もの も多 か っ た 」 と い う 韓 で の 経 過 と朝 国 教 科 書 記 述 に つ い て 、 な ぜ 「申 告 書 」 を 提 出 し な 鮮 の 人 々 の抵 い の か 、 本 当 に そ ん な 人が い た のか ど うか を 問 題 提 抗 起 す る。 ② 上 記 の 問 題 に つ い て 自 分 の 意 見 を 形 成 す る1つ の 資 料 「韓 国 併 合 ま 材 料 と して 、 韓 国 併 合 ま で の 経 過 と 朝 鮮 の 人 々 の 抵 での略年表」 抗 に つ い て 資 料 を 見 て 調 べ さ せ る(ワ 資 料 「義 兵 闘 争 の ー ク シ ー ト作 業)。 回数」 ③ 自 分 が 当 時 の 朝 鮮 の 農 民 だ っ た ら 『申 告 書 』 を 提 *判 断 す る 過 程 で 出 す る か ど うか考 え させ る。 当時の具体 的状 況 (a>2、3人 の生 徒 に 自分 の 判 断 とそ の理 由 を 発 言 に 目 を向 け 、 様 々 な こ と に気 づ き 、 させ る 。 (b)そ の 他 、 疑 問 に 思 っ た こ と を 出 さ せ る 。 疑 問 を持 つ こ と を 目的 とす る。 ○ 日本 の 植 民 ○ 他 人 の 意 見 や 疑 問 も参 考 に しな が ら 、 土 地 調 査 事 提 出用紙 地 政策 と朝鮮 業 を 中 心 と す る 日本 の 植 民 地 政 策 と朝 鮮 に つ い て 、 *提 出 さ れ た 意 見 自 分 の 意 見 ・感 想 ・疑 問(以 等は 「 世 界 史通信 」 ま 下3項 目)を 用 紙 に記 入 させ 提 出 させ る 。 と と して ま と め 、 後 (a)自 分 が 当 時 の 朝 鮮 の 農 民 だ っ た ら 出 す か 、 出 さ な い か(判 め 『申 告 書 』 を 断 と そ の 理 由)る 日、生 徒 に 配 付 す 。 (b旧 本 の 植 民 地 政 策 と 朝 鮮 に つ い て の 意 見 ・感 想 (c)疑 問 に 思 っ た こ と 、 知 り た く な っ た こ と 〈4)評 価 の 観 点 ① 韓 国 併 合 ま で の 経 過 と 日 本 の 植 民 地 政 策 の 概 要 を理 解 で き た か 。 ② 朝 鮮 総 督 府 に よ る 植 民 地 政 策 の1つ の 具 体 例 と して の 土 地調 査 事 業 の実 態 を理 解 で きた か 。 ③ 土 地 調 査 事 業 を 中 心 とす る 日本 の 植 民 地 政 策 と朝 鮮 に つ い て 、 し っ か り考 え る こ と に よ り 、 知 りた い こ と や 疑 問 を 持 つ こ と が で き た か 。 ④ 日 本 の 植 民 地 政 策 と朝 鮮 に つ い て 、 自 分 の 意見 を形 成 で きた か 。 (5)指 導上の留意点 ① 日本 の 植 民 地 政 策 の 評 価 に つ い て 様 々 な 意 見 が あ る こ と もふ ま え 、 教 師 が 生 徒 に示 す 内容 は具 体 的 事 実 に と どめ る 。② 判 断や 思 考 の 過 程 で 、知 識 を 活用 す る こ と 、 様 々 な こ と に 気 づ く こ と 、 様 々 な 疑 問 を持 つ こ と を 重 視 す る 。 ③ 韓 国 の 教 科 書 も含 め 、 教 科 書 の 記 述 に つ い て は 、 具 体 的 事 実 の 記 述 部 分 と解 釈 を ふ く む 記 述 部 分 が あ る こ と を 指 導 す る 。 ④ 提 出 され た 意 見 等 は 、 後 日 、 「 世 界 史 通 信 」 と して 生 徒 に 配 付 し 学 び あ い を 深 め る 。 状 況 に よ っ て は さ ら に紙 上 討 論 を 組 織 す る 。 ⑤ な お 、 生 徒 か ら疑 問 や 意 見 等 が 多 く引 き出 せ る よ う発 問 や 雰 囲 気 作 りに 留 意 す る 。 一14一 320世 紀 初 頭 の 国 際 関 係 と十 五 年 戦 争 の 始 ま り (1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 最 近 の 日本 史100年 間 を振 り 返 っ て 最 大 の 惨 禍 を あ げ る とす れ ば 、満 州 事 変 か ら太平 洋 戦 争 敗 戦 まで の十 五 年 戦 争 で は な い だ ろ うか 。 航 空 機 に よ る 空 か ら の 爆 撃 だ け で も 日 本 側 の 死 者 約25万6千 人 、 焼 失 家 屋 約221万 戸 、 罹 災 者 約920万 人 に も の ぼ っ た 。 ま た 、 広 島 ・長 崎 に お い て は 先 の 死 者 の ほ か 、 原 爆 に よ っ て 約19万 人 も の 命 が 失 わ れ た 。 さ ら に 、 沖 縄 で は 住 民 を 巻 き込 ん だ 戦 い が 行 わ れ 戦 死 者 は 約18万8千 人 に もの ぼ る 。死 んで い っ た 人 々 に は そ れ ぞ れ の家 族 が い たで あ ろ う し、家 や財 産 、 職 場 や 仕 事 を 失 っ た 者 な ど は 計 り知 れ な い 。 今 日 の 豊 か な 日本 で 育 っ た 者 に は 、 戦 中 戦 後 の 人 々 の 暮 ら し は 想 像 もつ か な い 悲 惨 さ を 含 ん で い る 。 こ の20世 紀 の 日本 人 の 体 験 は 、 生 徒 達 に 考 え さ せ た い と思 い 教 材 と して 選 択 し た 。 (2)本 時 の ね らい 本 時 は4時 間 構 成 の 第3時 限 目 に 当 た る 。 毎 時 間 の 導 入 と して 、 パ ソ コ ン を活 用 した ク イズ形 式 の 問題 演 習 を通 して こ の 時代 を考 察 す る こ とに必 要 な知 識 を学 習 さ せ る 。 展 開 例 と し て 第1時 限 目 は 玉 音 放 送 か ら始 ま るVTRや 写 真 な どの 視 聴 覚 教 材 を 使 用 し 第 二 次 世 界 大 戦 、 と くに 太 平 洋 戦 争 や 当 時 の 国 民 生 活 の 様 子 を 中 心 に 提 示 す る 。 ま た 、 今 世 紀 初 頭 の 外 交 関 係 を 鳥.rさ せ る た め に 、 あ らか じめ 作 成 し た 年 表 を 中 心 と し た チ ャ ー ト図 等 を 、 教 科 書 や 資 料 集 を 使 っ て2∼4名 を 行 う 。 第2時 構 成 の グ ル ー プ で 完 成 させ る 作 業 学 習 限 目 に ヴ ェ ル サ イユ 体 制 と 日本 の 国 際 的 地 位 、 第3時 限 目に ワ シ ン トン会 議 か ら 日 独 伊 三 国 同 盟 ま で を 、 と く に 日本 を 取 り巻 く国 際 情 勢 と 国 内 事 情 を 中 心 に 考 察 す る 。 と く に 日本 の 対 中 国 政 策 が 欧 米 列 強 と対 立 し て い た こ と を 理 解 さ せ る 。 さ ら に 満 州 事 変 後 の 日 本 の 外 交 方 針 と政 策 が 、 ア ジ ア に 利 権 の 持 つ 国 々 と 摩 擦 を 増 幅 さ せ た こ と を 考 察 させ る 。4時 「日本 史B」 (3)展 限 目 に は 日米 開 戦 と 日本 の 敗 戦 ま で を 扱 う 。 学 習 指 導 要 領 の 関 連 分 野 は 、 の 「(6)両世 界 大 戦 期 の 日 本 と世 界 」 の 「ウ 第二 次 世 界大 戦 と 日本 」 で あ る 。 開例 1 学習 項 目 ○今 世紀 初頭 導 の 日 本 と世 界 入 展 開 学 習 活 動 備 ○ パ ソ コ ン を使 っ た ク イズ形 式 の 問題 演 習 。 02∼3人 で1台 の パ ソ コ ン を利 用 (年 号 、 史 実 、 人 物 等 の 知 識 を 深 め る) 01900年 考 代 初 頭 の 東 ア ジ ア に お け る 日本 、 欧 米 列 強 ○大 型 プロ ジェ ク の 勢 力 図 を提 示 説 明 。 ター の 活 用 ○ ワ シ ン トン ○ ワ シ ン トン会 議 に の ぞ む 日 本 の 方 針 や 立 場 を 、 平 ○ 石橋 湛 山 会 議 前 の 日本 和 主 義 の 観 点 か ら 論 じ た 、 大 正10年7月23日 経 済 新報 』社 説 と世 界 社 説 か ら 当 時 の 日 本 と世 界 の 情 勢 を 探 る 。 一15一 の雑誌 『東 洋 ○ 日本 の 対 中 ○ 第1次 若 槻 内 閣 の辞 職 か ら、対 中 国外 交 政 策 の 流 国方針 と政策 れ と 変 化 を 理 解 し、 な ぜ 日本 が 大 陸 進 出 を 目指 し 、 ○東方会議 『対 支 政 策 綱 領 第6項 』 満 州 を 重 要 な 地 域 と 見 な した の か を探 る 。 展 ○ 中国大 陸の ○ 列 車 の通 過 を妨 げ なか っ た ほ どの爆 破 が 、 な ぜ 昭 ○ 石 原 莞爾 情勢 と関東軍 和20年 ま で の 戦 争 へ 拡 大 した の か を 考 察 す る 。 問題私見』 ・中 国 の 政 治 的 分 裂 → 柳 条 湖 事 件 → 不 拡 大 方 針 → 承 認 と国 内世 論 → 日本 政 府 の リ ッ トン 調 査 団 「満 蒙 ○ 『満州 事変 機密 作 戦 日記 』 へ と展 開 。 ○ 満 州 国 と国 ○ な ぜ 満 州 国 放 棄 よ り国 際 連 盟 脱 退 を 選 択 し た の か 際連盟 の脱退 を探 る 。 ○そ の後 の外 ○ 「満 州 は 日本 の 生 命 線 で あ る と」 い う 日 本 の 意 見 ○ 国際連盟 規約 第 交政策 に 対 し て リ ッ トン が 反 論 す る 根 拠 と し 、 後 に 東 京 裁 11条 、 九 力 国 条 約 、 判 の根 拠 に もな った 国 際 条約 とは 、 どの よ う な もの パ リ不 戦 条 約 開 ○ リ ッ トン 報 告 書 だ っ たの か を理 解 す る。 ○宣戦 布告 な ○ 国 際 連 盟 脱 退 後 の 日 本 は ど う 動 い た の か 。 そ れ に ○ 『五 相 会 議 決 定 き戦 争 と南 進 対 す る 国際 情 勢 を探 る。 対支 方策』 政策 ○ 日 中 戦 争 と南 進 政 策 を 通 して 、 日 本 と諸 外 国 の 対 立 を探 る。 ま と め ○国 際的孤 立 ○ 日本 は 、 ドイ ツ や イ タ リ ア と 同 盟 を結 び 枢 軸 陣 営 回避の外交 を 形 成 し 、 自 由 主 義 陣 営 ・共 産 主 義 国 の ソ 連 と 世 界 が3勢 (4)評 価の観点 力 に分 割 され た こ と を理 解 す る。 ① 太 平 洋 戦 争 へ の 道 の り を 、 今 世 紀 前 半 に お け る東 ア ジ ア を め ぐ る 国 際 情 勢 と 日本 の 外 交 政 策 、 及 び 国 内 事 情 の 関 係 か ら 見 つ め 直 せ た か 。② なぜ 日本 は 世 界 の 国 々 と戦 争 関 係 に 陥 っ て し ま っ た の か を 自 分 な り に 考 え を 持 つ こ と が で き た か 。 (5)指 導 上 の 留意 点 ① 事 前 に 実 施 し た 、 戦 争 に 関 す る 生 徒 ア ン ケ ー トを 十 分 に 活 用 す る と と も に 、 生 徒 が 公 正 に 判 断 が で き る よ う に つ と め る 。 ② 知 識 の 定 着 と考 察 の 向 上 を 図 る た め に パ ソ コ ン を 利 用 した 問 題 演 習 を グ ル ー プ で させ る 。 ③ 各 学 習 項 目 に お い て 適 度 な 設 問 を重 視 し 、 生 徒 の 発 言 を 促 し主 体 的 考 察 と授 業 参 加 を 喚 起 す る 。 一ts一 4サ ン フ ラ ン シ ス コ平 和 条 約 の 成 立 (1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 今 日 国 際 社 会 で は さ ま ざ ま な 問 題 を抱 え て い る が 高 度 成 長 ・安 定 成 長 をへ て 経 済 大 国 と な っ た 日 本 が そ の 中 で どの よ う な 役 割 を 果 た し て い くか 、 世 界 か ら注 目 さ れ て い る 。 戦 後 の 日本 の 再 出 発 は サ ン フ ラ ン シ ス コ 平 和 条 約 で あ っ た 。19 45年 か ら1952年 に わ た る 約7年 間 のGHQに よ る 日 本 の"非 軍 事 化 ・民 主 化"を はか っ た 占 領 政 策 下 で は 徹 底 的 に 日 本 経 済 は 抑 え ら れ た 。 しか し 占領 政 策 が 転 換 され 、"経 済 自 立 ・ 再 軍 備"へ とむ か っ た条 約 締 結 を実 現 させ た の は 、 国 際 環境 の 変 化 とそ れへ の 対 応 で あ っ た 。 す な わ ち 米 ソ 冷 戦 の 進 行 が 米 国 の 占 領 政 策 を転 換 させ 、 全 面 講 和 か 単 独 講 和 か 揺 れ る 中 後 者 が 選 択 さ れ 独 立 を し 、 さ ま ざ ま な 問 題 を抱 え て な が ら も 経 済 大 国 へ 歩 み 始 め た こ と を 、 史 料 を 用 い て 考 察 させ 今 日の 日 本 の 出 発 点 を 知 り、 い つ の 時 代 で も 国 際 環 境 を も と に 政 策 が 行 わ れ る こ と を 確 認 させ る こ と を 目的 と す る 。 (2)本 時 の ね らい 本 時 は2時 間 構 成 の2時 限 に あ た る 。 第1時 に つ い て の 内 容 を 取 り上 げ る 。 特 にGHQの を確 認 さ せ る 。 第2時 五 大 改 革指 令 の 内容 、 国民 生活 の 圧 迫 の 様 子 限 で は米 ソ冷 戦 の 進 行 、 占領 政 策 の転 換 に よる 日本 の独 立 、サ ン フ ラ ン シ ス コ 平 和 条 約 締 結 に ま つ わ る2つ の 講 和 論 、 条 約 の 内 容 と現 代 に つ な が る 問 題 点 を 取 り上 げ る 。 学 習 指 導 要 領 で は 「日 本 史A」 の 「(4)第2次 「ア (3)展 世 界 大 戦 後 の 日 本 と世 界 」 の 戦 後 政 治 の動 向 と国 際社 会 」 で あ る。 開例 学 学習項 目 導 限 で は 占領 政 策 と諸 改 革 習 活 動 ○ 占領 期 の ○ 占領 期 の 日本 は どん な状 況 で あ っ た か 、 前 回 日本 の 授 業 を 思 い 出 し、GHQの 備 考 対 日初期 政 策 を復 習 す る 。 また この 時期 極 度 に圧 迫 され て い た 国 入 民 生 活 の 様 子 も再 確 認 す る 。 ○ 米 ソ冷 戦 ○ 戦 後 の 世 界 の 国 々 の情 勢 を地 図 で確 認 し、 米 の進行 ソ 冷 戦 の 進 行 を年 表 事 項 ・参 考 資 料 で 確 認 す る 。 前 首 相 フ ル ト ン 演 説 」、 参 考 資 料 は 「チ ャ ー チ ル 「中 ソ 友 好 同 盟 相 互 援 助 条約」 展 開 ○ ア メ リカ ○ 終 戦 後 共 産 主 義 陣 営 が 勢 力 を 拡 大 し、 米 国 が 参 考 資 料 は 「ロ イ ヤ ル 陸 の 対 日占 領 極 東 に お け る 共 産 主 義 の 防 壁 と し て 日本 に 期 待 軍長官の演説」 政策の転換 して い た こ と、米 ソ冷 戦 の 進 行 と い う 国 際 環 境 の 変 化 に よ っ て 日本 の 位 置 づ け が 変 わ っ た こ と、 そ の た め 米 国 が 日本 を"非 線 か ら"独 軍 事 化 ・民 主 化"路 立 ・経 済 自 立"路 線 に い か に 切 り替 え た か を 年 表 事 項 ・参 考 資 料 を も と に考 察 す る 。 一17一 ○ 単独 講和 ○ 当 時 講 和 形 式 を め ぐ っ て 全 面 講 和 論 と単 独 講 参 考資 料 は と全 面 講 和 和 論 が あ っ た が 、後 者 が 選 択 され た理 由 を参 考 「吉 田 首 相 の 国 会 発 言 」 資 料 を 読 み な が ら考 え る 。 東 大 総 長 南 原 繁 が 知 (『毎 日新 聞 』)「世 論 調 査 識 人 の 立 場 か ら永 世 中 立 ・非 軍 事 化 を提 唱 し 、 結 果 」(『 朝 日 新 聞 』 『毎 吉 田 内 閣 は現 実 的 に 当時 の国 際 環 境 で は 冷 戦 終 日 新 聞 』) 「世 界 』、 結 後 共 産 陣 営 を含 め た 全 面 講 和 を 待 つ こ と は 難 し く 、 と りあ え ず 資 本 主 義 陣 営 と講 和 を 結 ん で い く 以 外 、 方 法 は な い とい う 考 え を持 っ て い た こ と を理 解 す る 。 ○ 講和 条約 ○ 条 文 を 読 み 、 連 合 国 との 戦 争 状 態 が 終 結 し た 参 考 資 料 は 「サ ン フ ラ ン の 内容 と問 こ と を理 解 す る 。 ま た 、 条 約 締 結 国 と の 間 の 国 シ ス コ平和 条 約 」 題点 家 と して の補 償 問題 は解 決 してい った が 、 ア ジ ア 諸 国 の 人 々 か ら個 人 と し て の 補 償 を 求 め る 声 が あ が っ て きて い る こ とを理 解 す る。 ○ 千 島列 島 の帰 属 をめ ぐる認 識 の 違 い か ら、 旧 ソ連 との 間 に 領土 問題 が生 じて い る こ と を理 解 す る 。 ○ 同 日結 ば れ た 日米 安 全 保 障 条 約 に よ っ て 米 軍 が 日 本 に駐 屯 す る よ う に な り 、 基 地 問 題 が 生 じ て い る こ と を理 解 す る 。 ○ ま とめ ○ い つ の 時 代 で も一 国 だ け で 政 策 は 行 え ず 、 国 ま 際 環 境 に左 右 さ れ る と い う こ と 、 そ の 中 で 状 況 と を 見 極 め 判 断 しな け れ ば な ら な い こ と を 理 解 す め る 。 また 一 つ の 政 策 が様 々 な意 味 で 後 世 に影 響 を 与 え る こ と も理 解 す る。 (4)評 価 の観 点 ① 史 料 を 読 解 し 、 当 時 米 ソ 冷 戦 が 進 行 した た め ア メ リ カ の 対 日 政 策 が 転 換 し た こ と を 読 み 取 れ た か 。 ② 講 和 条 約 締 結 に お け る2つ の 考 え 方 を理 解 で きた か ③ 講和 条 約 締 結 の 影響 、 そ の 後 の 日本 の社 会 の変 化 が 理 解 で きた か 。 (5)指 導 上 の 留意 点 ① 史 料 の 精 選 に 努 め 、 生 徒 が 理 解 しや す い よ う に 工 夫 す る 。 ② 両 講 和 論 に つ い て は簡 潔 、 客 観 的 に説 明す る 。 一18一 皿 ア ジァ をめ ぐ る文 化 交 流 と交 易 1中 国 仏 教 僧 の イ ン ド旅 行 と東 ア ジ ア に お け る 仏 教 圏 の 形 成 (1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 仏 教 は 紀 元1世 紀 頃 、 シ ル ク ロ ー ドの 彼 方 か ら キ ャ ラ バ ン と 共 に 中 国 へ 伝 来 し た と言 わ れ て い る 。 中 国 の 支 配 者 た ち は 国 家 の 安 定 の 拠 り所 を 仏 教 に 託 し 、 そ の 求 め に 応 じて 西 域 の 多 く の 僧 た ち が 中 国 へ や っ て き た 。 西 域 僧 の 布 教 と 漢 語 訳 の 仏 典 を 通 し て 、 人 々 は 仏 教 を理 解 し 、 そ れ と共 に 仏 教 は 中 国 に 根 付 く こ と に な る 。 し か し 、 信 仰 の 深 ま り と共 に 、 イ ン ドに 赴 い て 、 よ り深 く仏 法 を 知 り た い とい う 中 国 僧 も 続 出 し た 。5世 紀 の 法 顕 や7世 紀 の 玄 奨 ・義 浄 は 多 くの 国 々 を訪 れ て 、 そ れ ぞ れ の 地 域 の 人 々 と親 し く交 わ り、 文 化 交 流 を 果 た す と共 に 経 典 を 持 ち 帰 り 、 漢 訳 を し た 。 そ し て 、 そ れ ら の 漢 訳 経 典 に基 づ い た 仏 教 文 化 が華 開 き、東 ア ジ アへ 伝 播 したの で あ る 。 こ れ か らは ます ます 地 球 規模 で物 事 を 考 え 、行 動 しな け れ ば な らな い 時代 とな った 。 そ の た め に は 国 や 民 族 の枠 を超 えて 交流 し、 異文 化 を お互 いが 十 分 理 解 しあ え る 関 係 を築 く 必 要 が あ る 。 ま た 、 新 しい 時 代 に ふ さ わ し い 文 化 を 形 成 し な け れ ば な ら な い 。 そ こ で 中 国 仏 教 僧 の イ ン ド旅 行 と そ の 後 の 仏 教 文 化 と い う点 か ら 、 国 際 交 流 と そ れ に よ る 文 化 形 成 を 学 習 し 、 国 際 社 会 に 生 き る 人 間 と して の 自覚 を 育 成 す る こ と を ね ら い と し て 、 こ の 教 材 を と りあ げ た 。 (2)本 時 の ね らい 本 時 は 「東 ア ジ ア ・内 陸 ア ジ ア 世 界 の 形 成 」 の8時 1時 限 目 は 東 ア ジ ア ・内 陸 ア ジ ア の 風 土 、 第2時 は 秦 ・漢 帝 国 、 第5時 限 目に あ た る。 第 限 目 は 中 華 文 明 の 起 源 、 第3・4時 限 目 は 遊 牧 国 家 の 動 向 、 第6・7・8時 限 目 限 目は唐 帝 国 と東 ア ジ ア 諸 民 族 の 活 動 を と りあ げ る 。 本 時 で は 玄 突 の 旅 行 記 な ど を 資 料 と し て 、 旅 の 様 子 や 帰 国 後 の 経 典 の 漢 訳 化 した こ と を 知 り 、 東 ア ジ ア 文 化 の 特 色 で あ る 漢 訳 仏 教 圏 の 形 成 を考 察 させ る 。 学 習 指 導 要 領 で の 関 連 分 野 は 「世 界 史A」 の 「(1)諸 地 域 世 界 と交 流 圏 」 の ア 世 界 」、 「世 界 史B」 の 「(2)諸 地 域 世 界 の 形 成 」 の 「ウ 「ア 東アジ 東 ア ジ ア ・内 陸 ア ジ ア 世 界 の 形 成」 で あ る。 (3)展 開例 学習項 目 導 学 習 活 動 ○ 「西 遊 記 」 の 絵 を 見 て 、 三 蔵 法 師 は実 在 の 人 物 で 、 ワ ー ク シ ー ト 遊記」 本 や ドラ マ な ど の ○ 挿 し絵 「西 遊 記 」 の モ デ ル に な っ た こ と 「西 遊 記 」 を確 認 す る。 を した こ と を確 認 す る 。 ○ 玄 装 以 外 に も 、 中 国 人 で イ ン ドに 取 経 の 旅 に 出 た 一 考 ○ 玄 と 「西 ○ 玄 装 は イ ン ドに経 典 を 求 め 、 仏 教 を学 ぶ た め に 旅 入 備 僧 が 百 人 以 上 い た こ と を理 解 す る 。 一19一 } ○旅 の行程 ○ 法 顕 ・玄 ・義 浄 の ル ー ト を 地 図 上 で 確 認 す る 。 ワ ー ク シ ー ト ○ ル ー トに 関 連 す る 地 形 を 記 入 し 、 旅 行 の 困 難 さ を ○ 東 ア ジ ア大 地 図 考 える。 ○ トル フ ァ ン 、 カ シ ュ ガ ル 、 ガ ン ダ ー ラ な ど の 写 真 ○写真 を見 て 、 旅先 の雰 囲気 をつ か む 。 展 ○ 旅行の様子 0玄 の 旅 行 は 高 昌 国 王 や 西 突 厭 国 王 な ど の 援 助 に よ っ て も 助 け ら れ た こ と を考 察 す る 。 ○ 玄奨 と義 浄 は ナ ー ラ ン ダー寺 院 で研 究 生 活 を した ρ ○資料 「大 慈恩寺 三 蔵法 師伝 」 こ と を学 習 す る 。 ○ ハ ル シ ャ 王 の 開 い た 大 法 論 大 会 で 玄 奨 は イ ン ド僧 と学 術 交 流 した こ と を 学 習 す る 。 開 ○帰 国後 の経 ○ 帰 国 後 、 求 法 僧 は 持 ち 帰 っ た 経 典 の 翻 訳 に 従 事 し、 ○資 料 典の翻訳 中 国 人 は ま す ま す 漢 訳 経 典 か ら仏 教 に 入 る こ と に な 「玄 癸 帰 唐 図 」 り、 仏 教 が 中 国 に 普 及 し た こ と を 学 習 す る 。 「般 若 心 経 」 ○ 玄突 著 「 大 唐 西域 記」 は 当 時知 られ て い な か っ た 「大 唐 西 域 記 」 西 域 ・ イ ン ド の 地 理 ・風 俗 ・宗 教 な ど が 記 さ れ て い た こ と を学 習 す る 。 ・日本 ○ 新 羅 は 仏 教 を 国 教 と し 、 す ぐれ た 仏 教 建 築 や 美 術 ワ ー ク シ ー ト など漢訳 仏教 が 生 ま れ 、 高 麗 の 時 代 に は 「高 麗 大 蔵 経 」 を 完 成 さ ○ 中 国 ・朝 鮮 圏の形 成 せ た こ と を学 習 す る 。 本の年表 ○ 日本 は 遣唐 使 を 派 遣 し、唐 に な らっ て律 令 国 家 の ○パ ネ ル ○朝鮮 ま と 建 設 を す す め 、 仏 教 を盛 ん に し た こ と を学 習 す る 。 ・日 「仏 国 寺 」 「高 麗 大 蔵 経 」 め 「薬 師 寺 」 レ 東大寺」 (4)評 価 の観 点 ① 中 国 仏教 僧 の 旅行 の 困難 さ と同 時 に 多 くの 人 の援 助 に よ って 助 け られ た こ と を 理 解 で き た か 。 ② 玄 な ど の 漢 訳 した 経 典 が 朝 鮮 ・日 本 に 伝 わ り 、 東 ア ジ ア 世 界 の 特 徴 で あ る 漢 訳 仏 教 圏 を 形 成 した こ と が 理 解 で き た か 。 (5)指 導上の 留意点 ① ワ ー ク シ ー トに 図 や 写 真 、 地 図 、 資 料 を の せ 、 興 味 ・関 心 を 育 て 、 わ か り や す い も の に 工 夫 す る 。 ② 難 解 な 資 料 に つ い て は 、 生 徒 が 理 解 しや す い よ う に 意 訳 す る 。 ③ 中 国 仏 教 僧 の 訳 し た 漢 訳 経 典 に 基 づ く仏 教 文 化 が 朝 鮮 や 日 本 に 伝 播 し 、 東 ア ジ ア 文 化 を 形 成 した こ と を 注 目 さ せ る 。 一20一 2『 世 界 の 記 述(東 (1)教 方 見 聞 録)』 か ら探 る モ ン ゴ ル 帝 国 に お け る 東 西 交 流 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 モ ン ゴ ル 帝 国 の 成 立 に よ り、13∼14世 紀 の ユ ー ラ シ ア大 陸 の 大 部 分 に は 、 政 治 的 秩 序 が も た ら さ れ 、 経 済 ・文 化 両 面 で 東 西 交 流 が 盛 ん に な っ た 。 モ ン ゴ ル 帝 国 は 、 広 大 な 領 土 に駅 伝 制 を 設 け て 、 内 陸 の 交 通 路 を 整 備 し 、 通 商 に 力 を 注 い だ 。 同 じ頃 、 十 字 軍 を 契 機 に め ざ ま しい 経 済 発 展 を遂 げ た イ タ リ ア 諸 都 市 の 商 人 は 、 東 方 の 産 物 を 求 め て 、 モ ン ゴ ル 帝 国 の 商 業 路 に 足 を踏 み 入 れ る こ と に な る 。 ヴ ェ ネ チ ア 出 身 の マ ル コeポ ー ロ は 、 父 や 叔 父 と と も に 、 中 央 ア ジ ア 経 由 で 元 を 訪 れ 、 フ ビ ラ イ=ハ え た 。 マ ル コeポ ンに仕 ー ロ は 、 モ ン ゴ ル 人 の 補 佐 役 と し て 支 配 層 を形 成 した色 目人 の 政 策 ス タ ッ フ と し て 活 躍 し、 元 朝 に お け る 色 目 人 重 用 の 具 体 例 と して 、 モ ン ゴ ル 帝 国 の 世 界 帝 国 的 性 格 を 象 徴 し て い る 。 マ ル コeポ ー ロ が 、 口 述 した 「 世 界 の 記 述(東 方 見 聞 録)』 は 、 途 中 の 陸 海 路 の 見 聞 や フ ビ ラ イ 治 世 の 出 来 事 の み な ら ず 、 ジ パ ン グ な ど の 伝 聞 も含 ん で い る 。 そ して泉 州 や杭 州 な どの都 市 の 繁 栄 が 当 時 の 世 界 最 高 水 準 だ っ た こ と も紹 介 して い る 。 「世 界 の 記 述 』 の 中 の 文 章 を 紹 介 す る こ と に よ り 、 モ ン ゴ ル 帝 国 に お け る 東 西 交 流 の 様 子 を 理 解 させ た い 。 ま た 、 最 近 話 題 に な っ た マ ル コ=ポ ー ロ は、 実 は 中 国 に行 って い な い と い う説 と そ れ に 対 す る 従 来 か ら の 説 明 を 提 示 し、 生 徒 に 考 え さ せ る 。 「モ ン ゴ ル の 平 和 」 に よるユ ー ラ シ ア循 環 交 易 路 の 発 展 とユ ー ラ シ アの 一 体 化 、及 び 元 の 大 都 を 中心 と した 東 西 交 流 を理 解 さ せ る た め 、 『世 界 の 記 述 』 を 取 り上 げ た 。 (2)本 時 の ね らい 中 国 支 配 、 第2限 本 時 は 、3時 間 構 成 の 第3時 限 目 に あ た る 。 第1時 限 目 で は 遼 ・金 の 目 で は モ ン ゴ ル 帝 国 の 出 現 と 元 の 中 国 支 配 を 学 習 す る 。 本 時 で は 、 『世 界 の 記 述 』 を 用 い 、 モ ン ゴ ル 帝 国 の 出 現 とい う 時 代 背 景 の 中 で の 東 西 交 流 の 発 展 を 考 察 さ せ る 。 学 習 指 導 要 領 で の 関 連 分 野 は 、 世 界 史Aの ラ シ ア の 交 流 圏 」、 ま た は 世 界 史Bの 「(3)諸 「(1)諸 地 域 世 界 と交 流 圏 」 の 地 域 世 界 の 交 流 と再 編 」 の 「オ.ユ 「ウ.内 ー 陸 ア ジ ア の動 向 と諸 地 域 世 界 」 で あ る 。 (3)展 開例 学 学習項 目 ○ マ ル コ=ボ ー ロ の紹 介 活 動 ー ロ は黄 金 の 国 ジパ ン グ を西 欧 に初 め て紹 介 し、 ヴ ェ ネチ アか ら中国 、 イ ン ドまで 旅 した 導 入 ○ マ ル コ=ポ 習 備 考 ○ マ ル コ=ポ ー ロ の 肖像 画 と コ イ ン 旅 行 家 と して有 名 な こ とを説 明 す る。 ○ マ ル コ=ボ ー ロの旅 の行 程 ○ マ ル コ=ポ ー ロの 旅 の 行 程 をモ ンゴ ル帝 国 の 領 域 と と も に、 確 認 させ る。 ○ 地図 「モ ン ゴ ル 帝 国の地図 とマ ル コ=ポ ー ロの行路 」 一 ○ モ ン ゴ ル帝 ○ マ ル コ=ポ 国 の 発 展 とマ 父 が 東 方 貿 易 に 従 事 し た 商 人 だ っ た こ と 、 フ ビ ラ イe OVTR:映 ル コ=ポ ハ ン に 色 目 人 と して 重 用 さ れ た こ と 、 ハ ン の 使 節 と 『マ ル コ=ポ の一生 ー ロ ー ロの 人 生 と略 歴 を知 る。 特 に 父 と叔 して 中 国 各 地 を 歴 訪 した こ と 、 帰 国 後 自 らの 体 験 を 一21一 ○ 資 料 「略 年 譜 」 画 ー ロ 』 口 述 し た こ と な ど を 年 譜 やVTRか 展 ら確 認 させ る 。 ○元 の中 国統 ○ 元 が モ ン ゴ ル 人 第 一 主 義 を と り、 モ ン ゴ ル 人 と 色 治 の 説 明 と、 目 人 が 支 配 構 造 を 形 成 し 、 マ ル コ=ポ モ ンゴル帝 国 多 くの 色 目人 が 元 朝 に お い て 重 用 さ れ た こ と を 説 明 で 活 躍 した 西 す る 。 そ して 、 東 西 交 通 網 の 発 達 に 伴 い 、 多 く の 西 二 、 ル ブ ル ッ ク 、 方世 界の 人々 方 世 界 の 人 々 が 多様 な 目的で モ ンゴ ル帝 国 を 訪 れ た イ ブ ンeバ の紹 介 こ と を紹 介 す る 。 タ等 の略 歴 ○ 『世 界 の 記 ○ マ ル コ=ポ 述(東 の 紀 行 文 を 当 時 の 挿 し絵 や 写 真 付 きで 紹 介 し 、 生 徒 方見 聞 録)』 の 紹 介 ー ロ著 ー ロ を は じめ 『世 界 の 記 述 』 の 中 の い く つ か に 様 々 な 事 実 を 読 み と らせ る 。 ○ ワ ー ク シ ー ト ・元 の 支 配 構 造 ・ プ ラ ノeカ ル ビ ッ ト ゥー ○ ワ ー ク シ ー ト 『世 界 の 記 述 』 と 14世 紀 写 本 の 挿 し 絵 写 真 「交 紗 」 ○ マ ル コeボ ー ○ マ ル コ=ポ ー ロ は 、 中国 に行 って い ない とい う説 ○ ワ ー ク シ ー ト ロ は中国 に行 っ が あ る こ と を説 明 し 、 そ の 理 由 を 提 示 す る 。 そ れ に て い な い とい 対 す る 従 来 か ら の 説 明 も提 示 し 、 生 徒 に 考 え させ る 。 ル コeポ う説 の 紹 介 F.ウ ッ ド著 『マ ー ロ は本 当 に 中国 に行 っ た の か』 開 ○ モ ンゴル帝 ○ モ ン ゴ ル 帝 国 に よ る 「世 界 交 易 シ ス テ ム 」 が 形 成 国に よる さ れ た こ と 、 そ し て マ ル コ=ポ 「世 ー ロ に代 表 され る イ ○ ワ ー ク シ ー ト 「ユ ー ラ シ ア 大 陸 界交易 シ ステ タ リ ア商 人 も東 方貿 易 に進 出 した こ と を地 図 で 説 明 ム」 の 形 成 と す る 。 文化 交流 ○ モ ン ゴ ル の 征 服 は 、 多 くの 文 化 圏 との 接 触 を 促 し、 ○ ワ ー ク シ ー ト マ ル コ=ポ 循 環 交 易 路 図」 ー ロ も ロ ー マ 教 皇 と フ ビ ラ イ の 仲 介 を し、 西 方 に 火 薬 ・羅 針 盤 等 が 伝 わ っ た こ と を 説 明 す る 。 ま と め ○ マ ル コ=ポ ー ○ モ ン ゴル帝 国 の成 立 に よ る東 西 交 流 の 活 発 化 とい ロ の 旅 と後 世 う 時 代 背 景 と マ ル コ=ポ の影 響 航 海 時代 へ の影 響 をふ まえて 説 明 す る。 (4)評 価 の観 点 ー ロ の旅 につ い て 、 後 の 大 ① モ ン ゴル帝 国 の成 立 に よ り、東 西 の貿 易 や 文 化 の 交 流 が 飛 躍 的 に発 展 し た こ と を 理 解 し た か 。 ② 元 に お い て は 、 モ ン ゴ ル 人 と 色 目 人(西 を 形 成 し 、 マ ル コ=ポ 方 の 人 々)が 支配構 造 ー ロ を は じ め とす る 多 くの 色 目 人 が 重 用 さ れ た こ と を 理 解 し た か 。 ③ 多 少 の フ ィ ク シ ョ ン性 を持 つ 『世 界 の 記 述 』 を 検 証 し て い く こ と に よ り 、 様 々 な 事 実 が 導 き 出 さ れ る こ と を理 解 した か 。 (5)指 導 上 の留 意 点 ① 生 徒 の 学 習 意 欲 を高 め 、 モ ン ゴル 帝 国 時 代 の 東 西 交 流 につ い て の 理 解 を 深 め る よ う な 資 料 を用 意 す る 。 ② 資 料 を 活 用 しや す い よ う に 、 図 や 写 真 を使 用 す る 。 ③ 紀 行 文 か らの文 章 の 引用 の際 に は 、適 切 な選 択 を行 う よ う留 意 す る。④ 生 徒 に考 え させ る ワ ー ク シ ー トで は 、 資 料 を 整 理 し て 提 示 し、 理 解 しや す い よ う に す る 。 一22一 3「 陶 磁 器 か ら見 た 世 界 商 業 の 進 展 」 (1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 英 語 でchinaと 呼 ば れ る よ うに 、磁 器 は 中 国 で 発 明 され 、 主 原 料 や 製 造 方 法 な どの 点 で 、 か つ て 他 地 域 で は 生 産 が 難 しい 商 品 で あ っ た 。 各 地 に 残 さ れ た 陶磁 器 か ら陶 磁 器 の 生 産 や 交 易 の 実 態 を知 る こ とが で き、 さ らに 、 中 国磁 器 そ っ く り に 作 ら れ た ヨ ー ロ ッパ の 陶 磁 器 や 西 ア ジ ア や 日 本 ・ヨ ー ロ ッパ の 影 響 を受 け た 中 国 磁 器 か ら 、 東 西 の 文 化 交 流 を 理 解 で き る 。 陶 磁 器 を 一 つ の 例 と し て 、 世 界 商 業 の 進 展 と17・18世 紀 の ア ジ ア を め ぐ る 交 易 と 文 化 交 流 の 歴 史 を 理 解 さ せ る こ と を ね ら い と して 、 本 教 材 を 取 り上 げ た 。 (2)本 時 のね らい 本 時 は2時 目 に あ た る 。 第1・2時 動 向 を 、 第3・4時 間連続の 「演 習 世 界 史 」3回(6時 間)に お け る 第5時 限 限 目 に 明 ・清 ・李 氏 朝 鮮 ・ 日 本 と 、 オ ス マ ン な ど イ ス ラ ム 帝 国 の 限 目 に オ ラ ン ダの 盛 衰 、 イ ギ リ ス 革 命 、 三 十 年 戦 争 、 ブ ル ボ ン朝 と普 ・ 填 の 動 向 、 ロ シ ア の 発 展 を 学 ぶ 。 本 時 は 陶 磁 器 や 茶 を 例 と し て ア ジ ア 交 易 へ の ヨ ー ロ ッパ 人 の 参 入 と17・18世 紀 の 東 西 文 化 交 流 を 学 び 、 第6時 限 目 に は 砂 糖 ・綿 花 ・コ ー ヒ ー ・奴 隷 な ど の 取 り引 き を 中 心 に した 大 西 洋 貿 易 の 展 開 と英 仏 植 民 地 争 奪 戦 争 に つ い て 学 ぶ 。 学 習 指 導 要 領 で の 関連 分 野 は 「世 界 史A」 の 「(2)一 体 化 す る 世 界 」 の 「イ ア ジア の諸帝 国 と ヨ ー ロ ッパ の 主 権 国 家 体 制 」 で あ る 。 (3)展 開例 学習項 目 導 入 学 習 活 動 備 考 ○ 磁 器 の特 ○ 市 販 の 磁 器 を 手 に 取 り 、 土 器 ・陶 器 と 比 べ 、 原 料 素 焼 き の 植 木 鉢 ・陶 徴 、 英語 の と焼 成 温 度 ・製 造 技 術 が 違 う こ と を 理 解 す る 。 か つ 器 の 鉢 ・有 田 焼 の 壺 ・ chinaと て の 中 国 の 特 産 品 と し て 、 磁 器 が 英 語 でchinaと 英 和 辞 書 ・VTR い う よ 言 葉 の由 来 ば れ る こ と を知 る。 ○ アジ アの ○ 中 国 磁 器 は ア ジ ア各 地 に運 ば れ 、 イス ラ ム 世 界 に 磁 器交 易 と も 多 く伝 わ っ た こ と を 復 習 す る 。 青花」 ○ 当時 の世 界商 業 に お け る ア ジ ア 産の 主 な商 品 は 香 VTR「 アジ アにお 辛 料 、 絹 な ど で あ っ た こ と を 確 認 す る 。!7世 紀初 頭 行」 け る交易 と オ ラ ン ダ は 東 イ ン ド会 社 を 設 立 し 、 中 国 の 生 糸 や 絹 資料 ヨ ー ロ ツ パ 織 物 ・陶 磁 器 、 東 南 ア ジ ア の 香 辛 料 な ど を 輸 入 し て の輸 入 品 」 人の参入 ヨ ー ロ ッパ 各 国 に 販 売 す る と 共 に 中 国 産 の 生 糸 と 日 「日 曜 美 術 館 」 「トプ カ プ 宮 の 中 国 イ スラム世 界 展 017世 紀 の 世 界陶 芸紀 「東 イ ン ド か ら 本 銀 と の 交 易 で も利 益 を あ げ た こ と を理 解 す る 。 年表 ○ 日本 の 磁 ○ 秀 吉 の 朝 鮮 出 兵 以 後 、 朝 鮮 人 陶 工 に よ り有 田 で 日 資 料 「オ ラ ン ダ 東 イ 器 生 産の 開 本 の磁 器 生 産 が 始 ま った こ とを 理 解 す る 。 ン ド会 社 名 入 り有 田 開 始 の染 付 」 地図 一23一 紀 初 頭 ヨ ー ロ ッパ で 中 国 磁 器 な ど を 模 倣 し て VTR「 世 界陶 芸紀 ○ ヨ ー ロ ツ 018世 パの 磁器 生 磁 器 生 産が 始 ま っ た こ と を知 る 。 行 」 「マ イ セ ン 」 産 ○ 当 時 の 人 々 が どの よ う な 食 器 を 使 用 して い た か を 資料 知る ○ ヨ ー ロ ツ ○ ヨ ー ロ ッパ と ア ジ ア の 文 化 交 流 を示 す も の と し て 資料 パ とアジ ア は 暦 法 ・時 計 ・地 理 や 科 挙 ・農 本 思 想 ・庭 園 ・漆 器 ・ ア ジ ア の文 化 交 流 」 の文化交流 扇 子 な どが あ る こ と を 知 る 。 日 本 の の 「ヨ ー ロ ッ パ と 「鎖 国 」 や 中 国 「海 禁 」 は ヨ ー ロ ッ パ と の 交 流 が 体 制 の 動 揺 に は 至 らぬ よ う に した 政 策 で あ る こ と を確 認 す る 。 018世 紀英 018世 紀 英 国 で 、 喫 茶 の 習慣 が 広 まる よ うに な っ た 国の 喫茶 の こ と 、 茶 の 対 価 と して 中 国 に 大 量 の 銀 が 流 入 し た こ 習 慣 の広 ま と を知 る。 資 料 「広 東 に お け る 茶 の 取 り引 き」 り ま ○ 世 界商業 017・18世 の進展 る と共 に、 ア メ リ カや ア フ リカ と ヨー ロ ッパ と の 交 紀 の ア ジ ア と ヨー ロ ッパ との 交 流 を 知 と 資 料 「中 国 か ら イ ギ リスへ の茶 の輸 出額 」 易 と文 化 交流 や世 界商 業 の進 展 を示 す 例 と して 何 が め あ る か な ど を考 え る 。 (4)評 価 の観 点 ①17・18世 紀 の ア ジ ア と ヨ ー ロ ッパ と の 交 易 に お い て 、 陶 磁 器 が 商 品 の 一 つ で あ り、 世 界 各 地 の 陶 磁 器 生 産 も東 西 文 化 の 交 流 の 一 例 で あ る こ と を 理 解 で き た か 。 ② 生 糸 ・香 辛 料 ・茶 な ど が 当 時 の 世 界 商 業 に お け る 重 要 な 商 品 で あ る こ と を 理 解 で き た か 。 (5)指 導上の留意点 ① 絹 や 茶 ・陶 磁 器 な ど の 商 品 の 対 価 と し て の 銀 の 中 国 へ の 流 入 に 着 目 さ せ る 。 さ ら に 、 ヨ ー ロ ッパ に お け る 茶 の 消 費 拡 大 に 伴 う 中 国 へ の 銀 の 流 入 が 、 そ の 後 の ア ジ ア と ヨ ー ロ ッ パ と の 貿 易 構 造 の 変 化 に つ な が る こ と に 触 れ る 。 ② 図 版 ・VTR・ 材 提 示 装 置 な ど を 活 用 し 、 よ り具 体 的 に 理 解 で き る よ う に す る 。 一24一 教 まとめ 今 回 の 研 究 は 、 「生 徒 の 主 体 的 な 学 習 」 の 研 究 ・実 践 を 目指 し、 常 に 「主 体 的 に 学 ぶ と は ど う い う こ と か 」 と い う 問 い を 念 頭 に 、 互 い の 意 見 を ぶ つ け 合 い な が ら 、 指 導 案 を 作 成 して きた 。 そ の 中 か ら 「生 徒 に 主 体 的 に 学 習 さ せ る 」 と い う こ と は 、 単 に 作 業 的 ・体 験 的 な 学 習 を 導 入 す る こ と で あ る と い う 限 定 的 な と ら え 方 を す る の で は な く、 も っ と 多 様 な 指 導 の 工 夫 が 可 能 な の で は な い か とい う共 通 の 認 識 に到 っ た。 そ こで まず 、 シ ミ ュ レー シ ョン教材 を利 用 した取 組 で は 、 生 徒 同 士 の 討 論 ・発 表 を 通 し て 、 生 徒 が 問 題 意 識 を 持 ち 、 自 ら探 求 して ゆ こ う と す る 姿 勢 を 引 き 出 した 。 ま た 、 パ ソ コ ン や 視 聴 覚 教 材 を 利 用 す る こ と に よ り、 生 徒 の 興 味 ・関 心 を 引 き っ け る と と も に 、 探 究 さ せ る 材 料 を 与 え よ う と した 取 組 を 行 っ た 。 さ ら に 、 プ リ ン ト(ワ ー ク シ ー ト)の 工 夫 に よ る 生 徒 の 能 動 的 な 活 動 や 資 料 等 の 提 示 方 法 の 工 夫 か ら 、 主 体 的 な 探 求 を 導 き 出 す 取 組 な ど を 行 っ た が 、 い ず れ も何 らか の 場 面 に お い て 「生 徒 の 主 体 的 な 学 習 」 を 引 き 出 す こ と にが で きた 。 しか し、 我 々 の 研 究 主 題 に も掲 げ た よ う に 、 主 体 的 に 「学 ぶ 」 だ け で な く 、 「行 動 す る(で き る)」 こ とが 今 、 地 理 歴 史 科 に 求 め ら れ て い る 課 題 で あ る 。 そ の 点 か ら 考 え て み る と 、 必 ず し も 各 々 の 取 組 が 充 分 で あ っ た と は 言 え な い 。 例 え ば 、 「国 際 協 力 」 に つ い て そ の 重 要 性 を 理 解 す る と い う だ け で な く 、 も う一 歩 す す ん で 積 極 的 に 参 加 して ゆ こ う とい う 生 徒 の 意 識 を 高 め る た め の 工 夫 が 必 要 で あ っ た 。 ま た 歴 史 で は 、 歴 史 的 な 見 方 ・考 え 方 を も と に 今 、 ど の よ う に 行 動 で き る か(す べ き か)を 具 体 的 に 考 察(決 意)さ せ る ため の 工 夫 が 大 切 で あ っ た 。今 回 の 研 究 で 得 た 、 こ れ ら の 課 題 を 踏 ま え 、 今 後 も 「主 体 的 に 学 び 行 動 で き る 」 よ う な 指 導 の 工 夫 を 追 究 し、 継 続 的 な 検 証 を し て ゆ き た い 。 一25一 概究主題 現 代 社 会 の 諸 問 題 に対 し、主 体 的 に考 え 、 自 ら課 題 を把 握 し、 判 断 し、解 決 してい く資質 や態 度 を育 成 す る指 導 の 工 夫 1主 1主 題 設 定 の 理 由 と研 究 の 経 過 題 設 定 の理 由 科 学 技 術 の 発展 は 、生 産 や 流 通 か ら消費 生 活 の あ りよ うまで を変 え、 私 た ち に物 質面 で の 充 足 を も た ら し た は ず で あ る 。 た と え ば 、 情 報 通 信 技 術 の 発 達 に よ り実 現 した 、 フ ァ ッ ク ス や 携 帯 電 話 、 パ ー ソナ ル コ ン ピュ ー タの飛 躍 的 な普 及 は、 私 た ちの 社 会 生 活 に大 きな利 便 を 与 え た 。 こ の 情 報 化 の 進 展 は ま だ 過 渡 期 の 段 階 で あ り 、 公 共 部 門 で は 次 代 の 社 会 目標 と も 見 な さ れ つ つ あ る 。 しか し、 こ の こ と が 、 本 来 は 社 会 の 現 実 の な か で 見 聞 き し、 あ る い は 触 れ た り言 葉 を 交 わ した り して 獲 得 して き た は ず の 事 物 や 人 間 との 関 係 を 、 そ の 関 係 を 形 成 す る 際 の 入 口 に 相 当 す る情 報 の み で 覆 い 隠 して しま う よう な社 会 の 実 現 に終 わ っ て し ま うな ら、 私 た ち か ら事 物 や 人 間 と の 関 係 を積 極 的 に つ くろ う と試 行 錯 誤 す る 個 々 人 の 主 体 性 を 奪 っ て し ま うだ ろ う。 また 、 そ の 情 報 が 玉 石 混 清 で 多 岐 に わ た る ため に 、受 動 的 で 偏 っ た 受 け 取 り 方 を す れ ば 、 公 正 な 判 断 に つ な が る も の か ら は ほ ど遠 い も の と な っ て し ま う に 違 い な い 。 私 た ち は 、 科 学 技 術 の 発 展 が 人 間 の さ ま ざ ま な 活 動 に 「光 」 を 与 え た 反 面 、 自然 環 境 へ の 負 荷 を増 大 さ せ 、 人 間 自 身 の 安 全 を 脅 か す 「影 」 を も与 え た こ と を 、 す で に 知 っ て い る 。 地 球 環 境 問 題 は そ の な か で も重 要 な 一 例 だ ろ う 。 しか し 、 酸 性 雨 に よ る 森 林 破 壊 や 温 室 効 果 ガ ス の 地 球 温 暖 化 に つ い て 、 情 報 と し て 知 っ て い る=眺 め て い る だ け で は 、 そ れ を 課 題 と して 把 握 し問 題 を 解 決 し よ う とす る 姿 勢 に は ほ ど 遠 い 。 こ の こ と を 、 自分 の 身 近 な 生 活 を 見 直 し た 上 で 、 自 分 に は 何 が で き る の か を 考 え 、 社 会 シ ス テ ム そ の も の が もつ 問 題 点 と して 主 体 的 に考 え られ る よ う に な らな け れ ば 、私 た ちが そ の事 象 と関係 を結 ぶ接 点 に な らな い か ら だ。 現 代 社 会 は 、一 つ の情 報 で 判 断 す る こ と を許 さぬ 、複 合 的 な要 因 で生 じて い る 諸 問 題 か ら 成 り立 っ て い る と言 っ て も よ い 。 学 校 教 育 の 現 場 で は 、 生 徒 が 情 報 を与 え ら れ 語 彙 を 増 や し て い く だ け で な く 、 具 体 的 な 事 例 を 通 して 学 び 、 そ れ を 使 っ て 言 葉 で 説 明 で き た り 、 社 会 人 と な っ た 後 も職 業 上 ・生 活 上 生 起 す る 諸 問 題 に 対 処 で き る よ う な 見 方 ・考 え 方 を 、 自 分 の 従 来 の 見 方 ・考 え 方 に 組 み 込 め るe成 長 で きる よ う な授 業 が 肝 要 で あ ろ う。 そ の よ う な精 神 態 度 は 、 物 質 的 に は 豊 か な 社 会 の な か で 、 現 状 を 追 認 し 、 無 関 心 な ま ま そ の な りゆ き を 現 在 の 政 治 に 任 せ き り に な っ て い る 、 ご く私 的 な 生 き方 を 豊 か に して い く契 機 に な り う る 。 「生 き る 力 」 の 源 泉 と は 、 つ ま る と こ ろ 自 己 の 幸 福 を 追 求 す る 意 志 に ほ か な ら な い 。 そ の た め に は 、 自 分 の 個 人 史 を ど の よ う に 未 来 に 向 か っ て か た ち つ くっ て い くの か を 、 具 体 的 に イ メ ー ジ す る こ とが 必 要 で あ る 。 未 来 の 個 人 史 は 自 己 責 任 に よ る 選 択 の 連 続 だ か ら で あ る 。 そ し て 、 こ こ で 引 き 出 さ れ た 当 事 者 感 覚 を 、 さ ら に す す ん で 社 会 シ ス テ ム の 選 択e改 革 の意 志 へ と架 橋 で き る よ う な 「考 え る 力 」 の 育 成 は 急 務 で あ ろ う 。 課 題 追 究 型 学 習 は 、 そ の た め の 準 備 運 動 と し て 必 要 不 可 欠 な の で あ る 。 新 学 習 指 導 要 領 に 即 して 、 こ の 課 題 追 究 の 型 や 方 法 を 工 夫 す る こ とが 、 今 年 度 公 民 科 研 究 の 主 題 で あ る 。 一26一 2研 究 の経 過 公 民 科 部 会 で は 、 主 題 の 趣 旨 に 沿 っ た テ ー マ と して 、 「豊 か な 生 活 と 社 会 福 祉 」 と 「望 ま し い 政 治 の 在 り方 」 を 扱 う こ と と し 、2つ 第1分 の 分 科会 に 分 か れ て研 究 を 行 っ た 。 科 会 で は 、 課 題 追 究 型 学 習 を 公 民 科 の 導 入 部 と し て 進 め る た め 、 『現 代 社 会 』 に 新 し く加 わ っ た 大 項 目 「現 代 に 生 き る 私 た ち の 課 題 」 の う ち 「豊 か な 生 活 と社 会 福 祉 」 を 取 り 上 げ 、LHRで の 進路 指導 や ビ ジ ネス系 の専 門学 校 で す で に一 部 行 わ れ て い る ラ イ フ プ ラ ン の 作 成 を 通 し て 、 生 徒 自 己 の 将 来 を具 体 的 な 未 来 像 と し て 提 示 す る 作 業 を とお し て 、 人 生 各 過 程 に お け る さ ま ざ ま な 問 題 に 対 処 す る た め 、 就 業 ・結 婚 ・出 産 ・娯 楽 ・住 宅 ・医 療 ・税 な ど の う ち か ら興 味 関 心 に 応 じて 課 題 を設 定 し 、 特 に 社 会 保 険 や 国 民 年 金 、 公 共 事 業 な ど 公 共 部 門 が 担 う社 会 福 祉 に つ い て 、 少 子 高 齢 社 会 と の 関 連 で 将 来 の 社 会 状 況 の 変 化 を 見 据 え な が ら 、 基 礎 的 な 説 明 も 交 え た 授 業 展 開 の 工 夫 を 検 討 した 。 第2分 科 会 で は 、 新 学 習 指 導 要 領 、 『政 治 ・経 済 』 の 大 項 目 に お け る 「現 代 の 政 治 」 の 中 の 「民 主 政 治 の 本 質 」 と 「現 代 政 治 の 特 質 」 を取 り上 げ る 。 最 初 に 、 生 徒 に 独 裁 政 治 と 民 主 政 治 と を 対 比 させ 、 生 徒 が 身 近 な 問 題 と照 ら し合 わ せ な が ら主 体 的 に 判 断 す る 授 業 を 組 む 。 次 に 、 独 裁 制 へ の 批 判 と し て ヒ ト ラ ー を 取 り上 げ 、 な ぜ 当 時 の ドイ ツ 人 が 民 主 制 を 放 棄 し、 一 人 の 人 間 に全 権 を委 ね 、遂 に は戦 争 に至 っ て しま っ たの か を学 習 す る。 さ らに 、現 代 の 民 主 政 治 の 体 制 を 比 較 検 討 す る 。 そ の こ と に よ っ て 、 民 主 政 治 の 本 質 を 深 く追 究 す る 。 最 後 に 現 代 政 治 の 特 質 と し て 、 薬 害 エ イ ズ の 問 題 を 取 り上 げ 、 そ の 中 か ら 、 生 徒 は 民 主 主 義 が 国 民 の 不 断 の 努 力 に よ っ て 維 持 、 発 展 さ れ て 行 く もの で あ る 事 を 考 察 す る よ う 指 導 の 工 夫 を 行 っ た。 3主 題 の展 開 図 [問 題 解 決 的 視 点 を 生 み 出 す 土 壌 と は な に か?l l l幸 福 の 追 求=「 生 き る 力 」 の 源 泉1 1f 豊 か な 生 活 と社 会 福 祉(第1分 科 会) 望 ま しい 政 治 の 在 り方(第2分 科 会) ラ イ フ プ ラ ン作 成 を 通 して 将 来 の 擬 似 体 験 を 通 じて 将 来 の 社 会 シ ス テ 課 題 を 追 究 す る 「現 代 社 会 」の 授 業 ム を 考 え る 「政 治 ・経 済 」 の 授 業 - 経 済 的側 面 か らの ア プ ロー チ 政 治 的 側 面 か らの ア プ ロ ー チ 自 己 選 択 か ら社 会 選 択 へ 1社 会 選 択 か ら 自 己 選 択 へ! 1 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 装 置 と して の 当 事 者 感 覚 を 引 き出 す た め の ラ イ フ プ ラ ン作 成 擬 似 体 験(モ i 個 人 の 幸 福 追 求=「 1[ 生 きる力 」 の育 成 デ リ ン グ) 1 「i社 一27一 会 の 幸 福 追 求e「 考 え る力 」 の育 成 H豊 か な 生 活 と 社 会 福 祉(第1分 一 1研 科 会) ラ イ フ プ ラ ン 作 成 を通 して 将 来 の 課 題 を追 究 す る 「現 代 社 会 」 の 授 業 一 究 内 容 と方 法 本 分 科 会 で は 、 全 体 で4時 間 の 単 元 学 習 を 設 定 した 。 第1・2時 で は 、 ラ イ フプ ラ ンの 基 礎 と な る 諸 活 動 を 、 人 生 上 の い つ 頃 の 時 期 に 設 定 す る か を ア ン ケ ー ト方 式 で 記 入 し、 さ ら に そ の 諸 活 動 に か か る 費 用 を 生 涯 賃 金 との 差 で 考 え る 作 業 を 行 わ せ る 。 第3時 で は 、 自 己 の 身 体 ・生 命 の 安 全 が 脅 か さ れ た 事 態 に 備 え る 社 会 保 険 制 度 に つ い て 紹 介 し、 そ れ を 補 う生 命 保 険 や 老 後 に 備 え る た め の 年 金 制 度 に つ い て も説 明 し 、 そ の 多 く を 私 費 で ま か な う ア メ リ カ 合 衆 国 の 例 、 日 本 以 上 の 高 福 祉 を 実 現 し 、 現 在 で は さ ま ざ ま な 問 題 も 抱 え る ス ウ ェ ー デ ン の 例 を 取 り上 げ 、 比 較 し な が ら 将 来 の 高 齢 福 祉 社 会 の 進 展 を 見 据 え た 公 共 部 門 の 規 模 も考 え る 。 第4時 卒 無 業 者(い わ ゆ る フ リ ー タ ー)の で は、 学 問 題 を 取 り上 げ 、 ラ イ フ プ ラ ン作 成 に 際 して 見 え 隠 れ す る 、 多 様 な 経 験 を し た い 、 有 名 に な り た い な ど 、 若 者 文 化 で 個 性 を発 揮 し た い と す る 「夢 」 指 向 を 実 際 問 題 と して 検 証 す る こ と を 通 して 、 「豊 か な 生 活 」 と は ど う い う こ と な の か を 考 え る 。 こ の4時 間 の 授 業 の 後 、 生 徒 は 個 々 に 、 自 己 の 未 来 に お い て 生 起 し て くる 諸 課 題 の う ち 、 最 も 関 心 の も て る 主 題 を 設 定 し て 、 課 題 追 究 の 学 習 に 取 り組 む こ と に な る 。 な お 、 新 学 習 指 導 要 領 に お け る 関 連 分 野 は 、 「現 代 社 会 」 の 「(1)現 代 に 生 き る 私 た ち の 課 題 」 の う ち 、 「豊 か な 生 活 と 福 祉 社 会 」 で あ る。 2指 導計画 1学 《1》 習 項 目1具 体 的 な 学 習 内 容 ・学 習 項 目i留 意 点 ラ イ フプ ラ ンの 作 成 ラ イ フプ ラ ンの 作 成 第 ・自 己 の ラ イ フ プ ラ ン を 作 成 す る 。 ・生 涯 の 収 入 と 、 諸 活 動 に か か る 費 用 を i 時 ラ イ フプ ラ ンの検 討 ・ラ イ フ プ ラ ン 中 の 収 入 の 種 別 や 支 出 の 2 各 項 目 を検 討 す る 。 時 ・租 税 に つ い て 理 解 す る 《2》 うにす る 。 ・収 支 の 差 を 計 算 さ せ る お お まか に 計算 す る 。 第 ・具 体 的 に 考 え さ せ る よ ・給 与 明 細 書 や 各 種 カ タ ロ グ な ど を具 体 的 に 示 。 す 。 ラ イ フプ ラ ンか らの 展 開 例 第 社 会 保 険 をめ ぐって ・社 会 保 険 を 理 解 す る 。 3 ・こ れ か ら の 高 齢 社 会 の 中 で の 社 会 保 障 時 ・将 来 の 自 分 に も 関 わ る や 国 家 の 役 割 を考 え る 。 ・ 第 4 備 軍」 に な っ て い な 通 じて 、 働 く こ と の 意 味 や 時 い か? 活 」 につ い て 考 え る 。 「フ リ ー タ ー 予 させ る 。 「フ リ ー タ ー 」 に つ い て 考 え る こ と を 君 は 問題 で あ る こ と を 意 識 「豊 か な 生 一 ・現 時 点 の ラ イ フ プ ラ ン と現 実 の ギ ャ ッ プ に 気 つ かせ る 。 《3》 ラ イ フ プ ラ ン か ら 展 開 す る 課 題 追 究 学 習 第 各 自の課題 追究学習 ・ラ イ フ プ ラ ン の 作 成 を も と に 、 第3・ ・身 の 回 り の 出 来 事 か ら 5 4時 の 授 業 を 参 考 に し な が ら 自分 の 将 社会 システムの選択 ま 時 来 に関 わ る こ とが らに つ い て個 々 に主 で カバ ー で きる よ う適 題 を 設 定 して 課 題 追 究 学 習 を行 う 。 宜助言す る。 s 一28一 3指 導案 第1時 ラ イ フ プ ラ ンの 作 成 (1)本 時 の ね らい 「ラ イ フ プ ラ ン 」 の 作 成 を 通 じ て 、 将 来 の 進 路 、 収 入 、 家 族 構 成 、 経 済 活 動 を 考 え 、 将 来 起 こ る 選 択 や 決 定 を 意 識 させ る 。 ま た 、 各 種 の 保 険 制 度 が 予 想 外 の 事 態 に 対 し て 必 要 不 可 欠 な 制 度 で あ る こ と を 認 識 させ る 。 (2)本 時 の展開 一 学 導 入 10 分 習 項 目 生 涯賃金の実態 ① 人生設計の作成 学 習 活 動 指導上の留意点 ・ 「ラ イ フ プ ラ ン 」作 成 前 に 、 各 種 資 ・各 種 の 白 書 を 示 し 、 平 均 賃 料 を 参 考 に 、 生 涯 賃 金 と生 涯 に 必 要 金 や 職 種 ・年 齢 に よ る 賃 金 な金 額 を計 算 す る。 差 に 注 目 させ る 。 ・ラ イ フ プ ラ ン の 計 算 の 前 段 階 と し て 将 来 設 計 を 問 う ア ン ケ ー トに 答 え る 。 ・不 確 定 要 素 が 大 き い の で 、 細 部 に こ だ わ らず 、 ア ン ケ ー ト記 入 さ せ る 。 ② 将来の収 入つ い 展 ・ア ン ケ ー ト の 結 果 に 沿 っ て 資 料 プ リ ン トを使 い 、 生 涯 の 家 計 収 入 の 概 算 て を出 す 。 開 ③ 必 要 なお 金 に つ いて ④ い く ら余 裕 が あ 30 る か? ⑤ 予 想 外 の支 出 ・生 涯 に 必 要 と な る お 金 を 項 目 別 に 整 理 し、 具 体 的 に 金 額 計 算 す る 。 ・予 想 収 入 か ら 支 出 を 引 い た 余 剰 金 を 計算する。 ・ア ン ケ ー ト項 目 以 外 の 基 本 的 な 支 出 あ る こ と を理 解 す る 。 入 の伸 び な どの不 確 定 要 素 ・各 個 人 で 考 え ら れ る 収 入 (遺 産 相 続 等)や 支 出が あ る か 考 え させ る。 ・ ア ン ケ ー ト結 果(多 を 上 回 る こ と)か あ り、 金 利 や 物 価 動 向 、 収 が あ る こ と を意 識 させ る 。 (直 接 税 や 各 種 保 険 費 用)が 分 ・作 業 は シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で くは 支 出 が 収 入 ら、 予 想 以 上 に経 ・普 段 は 意 識 し な い 所 得 税 や 保 険 制 度 を強 調 す る 。 済 的 自立 が 大 変 な こ と を理 解 す る。 保険制度 の存 在 ・将 来 の 設 計 は 予 定 通 り に 行 か な い こ と 、 予 想 外 の 事 態 に 対 して 経 済 的 な ま と め 10 分 ・突 然 の 死 や 大 病 、 各 種 災 害 の 可 能 性 を 認 識 させ る 。 解 決 の 方 法 を考 え る。 ・予 想 外 の 事 態 に 対 応 す る た め に 公 的 な社 会 保 険 制 度 や 私 的 な生 命 保 険 ・ ・保 険 制 度 に つ い て は 、 簡 単 にふ れ る だ け にす る 。 損 害 保 険 制 度 が あ る こ と を理 解 す る 。 一 (3)評 ① 価 の観 点 ア ン ケ ー トは す べ て 将 来 の こ と な の で 、 不 確 定 要 素 に 対 して 具 体 的 に イ メ ー ジ で き る か が ポ イ ン トに な る 。 作 成 過 程 で い い 加 減 に 記 入 さ せ ず 、 真 剣 に 考 え て 出 来 た か ど うか 。 ② 将 来 の 収 入 や 支 出 に つ い て の 意 識 が 深 ま っ た か 。予 想 外 の 支 出 や 収 入 の 設 定 が 出 来 た か 。 ③ 将 来 の マ イ ナ ス 要 因 を 考 え る こ と 、 具 体 的 な 解 決 方 法 を 考 え る こ とが 出 来 た か 。 一29一 第2時 ラ イ フプ ラ ンの検 討 (1)本 時 の ね らい 「ラ イ フ プ ラ ン」 の 結 果 か ら予 想 外 の 支 出 項 目で あ る 直 接 税 ・各 種 保 険 が あ る こ と を 理 解 さ せ る 。 ま た 、 個 人 の 興 味 に あ わ せ て 支 出 項 目 を 具 体 的 に検 討 す る 。 (2)本 時の展開 皿 学 習 項 目 所 得 税 ・住 民 税 ・ 導 入 10 分 保 険の存在 学 習 活 動 指導上 の留意点 ・給 与 明 細 書 を 使 い 、 収 入 か ら 税 金 を ・特 に 生 徒 の ア ル バ イ ト経 験 納 め る こ と、 就 職 後 は 社 会 保 険 に 加 者 か ら具 体 例 を 提 示 す る 。 入 す る こ とを理 解 す る。 ①計 算の留意点 ・収 入 に は 企 業 規 模 別 ・産 業 別 ・学 歴 ・各 種 統 計 の 提 示 別 格 差 が あ る こ と 、 支 出 に も個 人 に よっ て 大 きな 違 い が あ る こ とを 理 解 する。 展 ② 個 別展 開 ・ラ イ フプ ラ ンの各 項 目 につ い て 、 個 人 ・具 体 的 な 生 涯 賃 金 、 住 宅 路 の 興 味 ・関 心 に あ わ せ て 各 自 で 資 料 線 価 、 自動 車 カ タ ログ 等 の にあ た り、 具 体 的 な金 額 を計 算 す る 。 開 ③ 所 得 税 ・住 民 税 と は 何 か? 30 ④ 社 会 保 険 と は何 か? ・各 種 白 書 を資 料 に し て 生 涯 に 直 接 税 を どれ くらい納 め る か理 解 す る。 ・社 会 保 険 に は 健 康 ・厚 生 年 金 ・雇 用 の 各保 険 が あ る こ とを給 与 明 細 書 を 資 料 を示 す 。 ・各 種 控 除 、 税 率 の 累 進 制 等 に注 意 させ る。 ・保 険 が 必 要 な ケ ー ス を 自 動 車 保 険 を例 に示 す 。 通 して理 解 す る。 分 ⑤ 生 命 保 険 ・損 害 保険 ・人 生 が プ ラ ン通 り に 行 か な い 場 合 は ・一 般 的 な 生 命 保 険 の モ デ ル ど う い う状 態 が 考 え られ る か 、 ど う プ ラ ン ・カ タ ロ グ を 使 い 展 し た ら対 応 で き る か 考 え 、 具 体 的 に 開 す る。 書 く。 税 金 ・保 険 の 重 要 ま と め 10 分 ・収 入 に 比 べ て 税 金 ・保 険 の 額 が 高 い こ と、 なぜ そ れ だ け必 要 なの か考 える。 性 ・交 通 事 故 ・火 事 等 に よ る 家 屋 の 被 害 ・経 済 破 綻 に 関 し て 、 保 険 が 多 くの 役 割 、 大 き な 効 果 が あ る こ と に気 づ か せ る 。 や 癌 な どの 病 気 等 で どれ くらい の お 金 が 必 要 に な るか 理 解 す る 。 (3)評 価 の観 点 ① 直 接 税 ・各 種 保 険 が ど れ だ け 生 活 に 関 わ っ て い る か 。 そ の 必 要 性 を 理 解 で き た か 。 ② 将 来 の 予 想 外 の 事 態 に 対 して 解 決 方 法 を 考 え る こ と が で き た か 。 保 険 制 度 の 重 要 性 を 認 識 した か 。 第3時 (1)本 社 会 保 険 をめ ぐ って 時 の ね らい 一30一 第1・2時 で 簡 単 に ふ れ た 社 会 保 険 に つ い て 、 そ の 必 要 性 を 具 体 的 に 考 え させ 、 社 会 保 険 制 度 の 概 要 を 理 解 さ せ る 。 そ して 、 そ れ に つ い て 大 き く異 な る や り方 を と っ て い る ア メ リ カ 合 衆 国 と ス ウ ェ ー デ ン を と りあ げ 、 両 者 の 比 較 を 通 じて 、 こ れ か らの 日本 の 社 会 保 障 や 政 府 の あ り方 に つ い て 考 え さ せ る 。 (2)本 時 の展 開 一 学 習 項 学 目 習 活 動 指導 上の留意点 一 導 入 10 分 人 生 に お け る リス 病 気 に な っ た 場 合 、 どの よ う な 費 用 が 、 ・医 療 費 に 関 す る 資 料 を 用 意 ク どの 程 度 必 要 か知 る 。 ・そ れ 以 外 の リ ス ク に 関 わ る ・病 気 、 入 院 、 重 病 の 場 合 な ど 社会 保険 社 会 保 険 につ い て 理 解 す る 。 ・社 会 保 険 に つ い て の 概 略 費 用 もお お ま か に 示 す 。 ・資 料 を 用 意 す る 。 ・ワ ー ク シ ー トに 保 険 料 な ど 現 在 の 日 本 の 医 療 、 年 金 、介 護 、労 災 、 計 算 させ な が ら記 入 させ 、 雇 用 の 各 保 険 制 度 の 概 要 を理 解 し、 保 自分 の ラ イ フ プ ラ ン の 中 で 険 料 や 給 付 額 、 給 付 内 容 を知 る 。 考 え させ る 。 ・民 間 医 療 保 険 、 生 命 保 険 に 展 つ い て も簡単 に ふ れ る。 開 ア メ リ カの社 会 保 医 療 制 度 を中心 に ア メ リ カの社 会 保 障 ・資 料 を 用 意 す る 。 障制 度 制 度 を理 解 す る。 ・背 景 、 国 民 の 意 識 、 問 題 点 ・国 民 皆 保 険 の 制 度 は な い 30 分 に もふ れ 、 考 え さ せ る 。 ・民 間 医 療 保 険 の 発 達 ス ウェ ー デ ン の 社 医 療 制 度 を 中心 に ス ウ ェー デ ンの 社 会 会保 障制度 保 障 制 度 を理 解 す る 。 ・高 福 祉 典 型 的 な2つ ・高 負 担 の タ 医 療 制 度 を 中心 にそ れ ぞ れ の 国 の 社 会 ・「大 き な 政 府 」 「小 さ な 政 府 」 イプ の社 会 保 障 制 保 障 制 度 につ い て 比 較 しな が ら 考 え ・政 府 の 役 割 度 について る。 ・租 税 か 保 険 か な ど も 考 え させ る 。 ま と め 10 分 こ れ か らの 日本 こ れ か ら の 日 本 の あ る べ き社 会 保 障 に ついて考える。 ・今 後 の 高 齢 化 の 進 行 に つ い て も資 料 と と も に 示 す 。 ・政 府 の 規 模 、 役 割 な ど ・自分 の ラ イ フ プ ラ ン と の 関 連 も意 識 させ る 。 「 (3)評 ① 価 の観 点 社 会 保 険 の 必 要 性 を 十 分 に 理 解 し 、 こ れ か ら の 自分 の 生 活 に も 関 わ る 問 題 で あ る と い う意 識 を も っ て 考 え る こ と が で き た か 。 ② 社 会 保 障 の さ ま ざ ま な か た ち や 方 向 性 に 対 し て 、 興 味 ・関 心 を 持 っ て 目 を 向 け ら れ た か。 ③ こ れ か ら の 社 会 保 障 や 政 府 の あ り方 に つ い て 、 考 え て い こ う と す る 意 識 が も て た か 。 一31一 (4)資 料 ワ ー ク シ ー ト1(自 分 が 支 払 う社 会 保 険 料 は い く ら ぐ ら い?) (抜 粋) ①健康保 険保険料 一 般 の 労 働 者(政 管 健 保)の 場 合 標 準 報 酬 月 額 の8.5%(そ 賞 与 等 の1%(本 (標 準 報 酬 月 額 は 、8月1日 れ を 労 使 で 折 半) 人 負 担 は そ の5分 を 基 準 と し た そ の 前3ヶ の1) 月の報酬の平均金額 を も と に 算 定) ・年 収550万 円の人の場合 標 準 報 酬 月 額 は 約(〉 1ヶ 月 の保 険 料 は 円 約()円 ×0.085=約(円 そ の うち、 本 人 の 負担 分 は 約()円 一 一→1年 ×0.5e約()円 間 では 自 分 の10年 約()円 ご と の 保 険 料 を 計 算 し て 、 ワ ー ク シ ー ト2に 記 入 しよ う ③介護保 険保険料 40才 ∼64才 で は … 一般 労 働 者 の 場 合 、標 準 報酬 月 額 を もと に算 出 一人平均 65才 月3100円(政 管 健 保 の 場 合)で あ る(そ れ を 労 使 で 折 半) 以 上 で は … 所 得 段 階 に 応 じ市 町 村 で 設 定 、 一 人 平 均 1年 で は)円 一 一→ 自 分 の10年 ご との保 険 料 を計 算 して 、 ⑤雇用保険保険料 ・年 収550万 円 の 人 の場 合 1ヶ 月 の保 険 料 の本 人負 担 は 1年 で は)円 → 自 分 の10年 約(円 ×0。0055=約(円 ご と の 保 険 料 を 計 算 し て 、 ワ ー ク シ ー ト2に (※ 数 値 は 、 東 洋 経 済 新 報 社 「社 会 保 障 年 鑑2000年 ワー ク シ ー ト2 保険 料 版 」 に よ る) (社 会 保 険 料 一 覧 表) 10代 20代 30代 健康保険 年金保険 介護保険 雇用保険 合 記 入 しよ う 計 一32一 S 80代 ∼ 合 計 ワ ー ク シ ー ト(生 涯 の 収 入 と支 出 一 覧 表) 20代 10代 ()才 3・ 代i 合 計 の時 私 は その頃 は こん な私 で い た い 収 賃 本人 金 配偶者 入 年 金 収入合計 基本生活費 支 子 どもの 教 育 (公 立) 自動 車 出 住 賃貸料 宅 住 宅購入 旅 国内 行 海外 趣 味 一人 暮 ら し 月12万 円 … 年144万 円 夫 婦 月20万 円 … 年240万 円 子 ど も1人 月6万 円 … 年72万 中 学 校 ま で350万 円 高 校 ま で570万 円()円 大 学 ま で1100万 円 ()万 ζ 円 × × 円 ×()台=() … 年()万 円 ×()年=() 税 社会保 険料 支出合計 第4時 2 君 は 「フ リ ー タ ー 予 備 軍 」 に な っ て い な い か? (1)本 時 の ね らい せ っ か く ラ イ フ プ ラ ン を 立 て な が ら 、 実 際 に は 職 業 人 と して の 将 来 設 計 に 関 して 、 フ ァ ッ シ ョ ン と して の 「夢 」 と 、 着 実 な キ ャ リ ァ 形 成 の 現 実 との 間 が 不 分 明 に な っ て い る 生 徒 が 多 い こ と が 予 想 さ れ る 。 本 時 で は 、特 に大 都 市 と そ の 周 辺 で 急 増 す る 高 校 生 の 「フ リ ー タ ー 」 指 向 を取 り上 げ 、 進 路 指 導 の 観 点 も織 り込 み な が ら 、 将 来 の 「豊 か な 生 活 」 が 、 「い ろ い ろ 経 験 した い 」 「合 わ な い 仕 事 は した くな い 」 「有 名 に な りた い 」 「夢 を 追 い 続 け た い 」 と い っ た 近 視 眼 的 な 職 業 ・勤 労 観 か ら は 必 ず し も 実 現 し な い こ と を 理 解 さ せ 、 き た る べ き 社 会 を 生 きぬ く た め の 基 本 的 な 姿 勢 を 形 成 し、 か つ 自 身 に と っ て の 「豊 か な 生 活 」 を 模 索 す る足 が か りを獲 得 す る こ と を 目標 とす る 。 一33一 (2)本 時の展開 学 習 項 目 学 習 活 指導上の留意点 動 ・前 時 で 作 成 し た ラ イ フ プ ラ ン を 見 直 ・前 時 作 成 の ラ イ フ プ ラ 導 し 、 再 検 討 す る 。 記 入 した 出 来 事 が ン を あ ら か じめ 回 収 し 入 極 端 に 少 なか っ た り、不 自然 な 出 来 て お き、 問 題 に な る 部 事 の連 続 や 実 現 可 能 性 の 薄 い 出 来 事 分 を生徒 毎 にチ ェ ッ ク ラ イ フ プ ラ ンの再 検 討 10 分 して お く 。 が な い か チ ェ ックす る。 キ ャ リ ア ・イ メ ー ジ の 難 しさ 展 ・チ ェ ッ ク が 特 に 多 か っ た 生 徒 の プ ラ ・プ ラ ン を 紹 介 す る 生 徒 ン を 紹 介 し、 本 人 に そ の 理 由 を 述 べ に はあ らか じめ 断 っ て て も らい 、将 来 の夢 とそ れ を具 体 的 お く。 プ ラ イ バ シ ー の な 職 業 と結 び つ け る こ と の 難 し さ を 尊 重 に努 め る こ と。 考 え る。 開 フ リー タ ー と は何 か 30 将 来 の職 業 を考 え る 分 ・最 近 の 高 校 生 の 中 に フ リ ー タ ー 指 向 ・資 料 を 配 布 し 、 個 々 の が 出 て き て い る こ と を 紹 介 し、 フ リー 類 型 が 理 解 しや す い よ タ ー 指 向 に は どの よ う な 類 型 が あ る う実 際 の 経 験 者 の 証 言 の か を理 解 す る 。 な ど具 体 例 を 挙 げ る 。 ・ ワ ー ク シ ー ト記 入 作 業 を 通 し て 、 自 ・産 業 ・業 種 ・職 種 の 一 分 が 選 ぶ 職 業 と興 味 ・関 心 や 適 性 の 覧 表 も配 布 し 、 自 分 の 判 断 との 関 連 な どを 考 え る 。 選 ぶ 職 業 と適性 を考 え る際 の参 考 とす る。 仕 事 を 通 して 得 ら れ る ・ ワ ー ク シ ー ト記 入 結 果 を 踏 ま え 、 ・社 会 福 祉 の 観 点 か ら 職 ・金 銭 の 業安定所 な どの公 共部 と 獲 得 や 夢 の 実 現 だ け で は な く、 自 己 門が職業紹介や労 働市 め の 適 性 や 興 味 ・関 心 を も考 慮 し て 考 場 の 拡 大 に果 た して い 10 え られ るべ きこ とを理 解 し、就 職 難 る 役 割 も指 摘 す る 。 分 の 現 代 社 会 に お け る 「生 き が い 」に ま 「働 く と い う こ と 」 が 名 声 もの つ い て 考 える 。 1 (3)評 ① 価の観点 フ リ ー タ ー 指 向 が 、 高 校 生 だ け で な く 、 大 学 生 や20代 の 会 社 員 な ど の 世 代 に も見 ら れ る こ と を 理 解 し た か 。 就 職 し た 後 も 「仕 事 が 合 わ な い 」 な ど の 理 由 で こ の 指 向 を 再 び も つ こ と も あ り え る こ と を 理 解 し た 上 で 、 フ リー タ ー を め ぐ る 職 業 観 に つ い て 考 え る こ と が で きた か 。 ② 「働 く と い う こ と 」 に 対 す る 自 分 の ス タ ン ス を 考 え 、 そ れ を 具 体 的 な 職 業 と 結 び つ け る こ と が で き た か 。 仕 事 を 通 し て 得 ら れ る 「生 き が い 」 に つ い て 、 考 え を 深 め ら れ た か 。 一34一 (4)資 1.フ 料 リ ー タ ー の 類 型(日 本 労 働 研 究 機 構 作 成) 一 類 型1概 要1割 合 モ ラ トリア ム 型 A離 学 モ ラ トリ ア ム 型 職 業 や 将 来 に対 す る見 通 し を持 た ず に 教 育 機 関 を 中 退 ・修 了 し 、 フ リ ー タ ー 男 性 の40% と な っ た タ イプ B離 職 モ ラ トリアム 型 離 職 時 に 当 初 の 見 通 しが は っ き り し な 女 性 の40% い ま まフ リー ター と な った タ イプ 夢 追求型 C芸 バ ン ドや 演 劇 、 俳 優 な ど 、 芸 能 関 係 を 能志向型 志 向 して フ リー ター と な っ た タ イプ D職 人 ・フ リ ー ラ ン ス ケ ー キ職 人 、バ ー テ ン ダー 、 脚 本 家 な ど 、 自 分 の 技 能 ・技 術 で 身 を 立 て る 職 志 向型 男 性 の20% 女 性 の30% 業 を志 向 して フ リー タ ー とな る タ イプ や む を得 ず 型 E正 正 規 雇 用 を志 向 しつ つ フ リー タ ー とな っ 規雇用志向型 た タ イ プ 、 特 定 の 職 業 に参 入機 会 を 待 っ て い た タ イプ 、お よび 比 較 的 正 社 員 に近 い派 遣 を選 ん だ タイ プ F期 間 限定 型 学 費稼 ぎの た め 、 また は 次 の 入 学 時 期 や就 職 時期 まで とい っ た 期 間 限 定 の 見 男 性 の40% 女 性 の30% しを もっ て フ リー ター とな る タイ プ Gプ ラ イ ベ ー ト ・ ト ラ ブ ル型 本 人 や 家 族 の病 気 、事 業 の 倒 産 、 異 性 関 係 な どの トラブ ル が契 機 と な っ て フ リ ー タ ー と な っ た タ イ プ 2.ワ ー ク シ ー ト の 一 部(全 国 高 等 学 校 進 路 指 導 協 議 会 編 『大 学 ガ イ ダ ン ス ノ ー ト 』実 務 教 育 出 版 よ り) 「働 く とい う こ と」 の 意 味 や 意 義 を 、 具 体 的 な 職 業 を 例 に 考 え て み よ う 。 ■ 私 が あ こが れ る職 業 職 業 名 そ の 職業 に ひか れ る理 由 ど ん な 能 力 ・資 格 が 必 要 か 圏 ■ 上 記 の 職 業 に つ い て 、 次 の 点 か ら チ ェ ッ ク して み よ う 。 興 味 ・関 心 に 合 っ て い る ど ん な 興 味? 性 格 や 行 動 の特 性 に 合 って い る ど ん な性 格?行 仕 事 に や りが い が あ る ど の よ う な 点 に? 一35一 動 の 特 性? 皿 1指 望 ま しい政 治 の あ り方(第2分 科 会) 一擬 似体 験 を通 じての将来の社会 システム を考 える 「政 治 ・経 済 」 の 授 業 導計 画 学 習 項 目 留 具体 的 な学 習 内 容 ・学 習 活 動 意 点 《1》 望 ま しい政 治 と は何 な の か考 え よ う ・身近 な問 題 か ら望 ま しい 政 治 の 在 り方 を 独 裁 政 治 は悪 い か 第 視 した り無 関 心 で あ る 考 え る きっ か け をつ か む。 ・ワ ー ク シ ー トで 独 裁 政 治 と 民 主 政 治 を 比 1 ・人 々が 自己 の 都 合 を重 こ と に注 目 させ る。 較 し、 そ れぞ れ につ い て の 問 題 意 識 を持 時 つo 第 民 主 政 治 を批 判 す る 2 時 ・多様 な独 裁 政 治 の 形 態 を理 解 し、 民 意 を ・独 裁 政 治 の 民 衆 抑 圧 に ま とめ る 困難 さに気 づ く。 ・現 代 日本 政治 の諸 課 題 か ら民 主 政 治 の 問 ・身 近 な 問 題 に 引 きつ け も触 れ る。 て 考 え させ る。 題 点 の概 要 を学 習 す る。 《2》 民 主政 治 の大 切 さを 知 ろ う 第 強 力 な 指 導 者(ヒ 3 権 を 委任 した 経 緯 トラ ー)に 全 ・議 会 制民 主 主義 を放 棄 して しま う実 例 を 知 り、危 険性 と必 然 性 につ いて学 習 す る。 時 第 ・現 代 日本 の 議 会 制 民 主 主 義 の 現 状 と比 較 させ る 。 ・なぜ ヒ ト ラ ー が 支 持 さ れ た の か を 考 え る 。 君 の 心 が 戦 争 を起 こす 4 時 ・い じめ な ど 身近 な問 題 ・身 近 な 問題 に似 て い る こ と に気 づ く。 に引 きつ け て考 え させ ・独 裁 制 の 危 険性 と民 主 主 義 の 重 要 性 につ る。 いて理解する。 《3》 民 主 政 治 の 基本 原理 を知 ろ う 第 ・民 主 政 治 の 意義 と原理 を理 解 す る。 現 代の民 主政治体制 ・基 本 原理 相 互 の 関 連 を ・議 院 内 閣 制 と大 統 領 制 を比 較 す る。 5 重 視 させ る 。 ・制 度 や機 構 の維 持 運 用 に対 す る主 権 者 の 6 時 ・具 体 例 を 示 す 。 不 断 の努 力 の必 要 性 を理 解 す る。 《4》 現 代 日本政 治 の諸 課 題 を知 り、望 ま しい政 治 を作 るた め の 行 動 を考 え よ う "薬 害 エ イ ズ"問 題 に み る 日本 第 政 治 の 諸 課 題(Part1薬 7 イ ズ っ て 何?) 時 8 時 ト作 業 か ら企業 、行 政 、医 療 機 関の 三 者 題 に み る 日本 政 治 の 諸 課 題(Part2な ぜ? 薬 害 エ イ ズ) (指 導 案 は省 略) 政 治 へ の 国 民 の参 加 に つ い て 企 業 、行 政 、 医療 機 関 の行 動 に つ い て の シ ミュ レー シ ョン を通 して 問題 解 決 の視 ・主 権 者 の 主 体 的 な行 動 が民 主政 治 を支 え ・行 政 ・企 業 く、可 能 性 を 示 す 。 ・国 民 ・医 師 ・マ ス コ ミ の 各 立 場 を調 べ 予 習 す る と と もに で ロー ル プ レイ を行 い なが ら問 題解 決の 方途 を探 る。 ジ シ ョ ン)が 持 つ 制 約 を知 り そ れ を乗 り越 え る可 能性 を 追 究 す る 。 一36一 し自分 に 引 きつ け て 考 え させ る 。 9 ・各 立 場(ポ ・正 答 を 求 め る の で は な ・身近 に あ る類 似 点 を示 点 を探 る。 第 la に伝 える よ う工 夫す る 。 ・政 治 の 力 と 世 論 の 力 を 理 解 す る 。 る もの で あ る こ と を理 解 す る 。 時 ・具 体 例 を 示 し 、 リ ア ル の 関 係 を理 解 す る 。 ・行 政 の 機 能 の 重 大性 を理 解 す る 。 (指 導 案 は省 略) "薬 害 エ イ ズ"問 第 害 工 ・薬 害 エ イ ズ 問 題 の 概 要 を知 り、 ワ ー ク シ ー 、 ・状 況 設 定 が 内 包 す る問 題 点 を示 唆 す る。 ・総 合 的 な 提 案 をす る よ うに促 す 。 2指 導案 <1>望 ま しい 政 治 と は 何 な の か 考 え よ う 第1時 「独 裁 政 治 は 悪 い か 」 q)本 時 の ね らい 望 ま し い 政 治 の 在 り方 に つ い て 考 え る 導 入 部 で あ る 。 民 主 政 治 の 在 り方 を 考 え る 観 点 か ら 、 独 裁 政 治 を民 主 政 治 に 対 立 す る 政 治 と して 取 り上 げ 、 両 者 を 対 比 さ せ な が ら そ れ ぞ れ につ い て の 問 題 意 識 を持 たせ る。 (2)本 時 の展 開 学 学習項 目 生徒 の手 に よ る文 化祭 とは? 導 習 活 動 指導上 の留意 点 ・文 化 祭 の 出 し物 に つ い て 、 文 化 祭 委 員 主 導 型 と生 徒 話 し合 い 型 、 ど ち ら が い い か 考 え ん ど く さい ・自 分 の 都 合 し か 考 え て い か ら 文 化 祭 委 員 が や っ て くれ た 方 が い い 。 ない こ とに気 づ かせ る 。 (文 化 祭 委 員 主 導 の 回 答 例:め 分 ・そ れ ぞ れ 挙 手 さ せ 数 人 に 意 見 を 聞 く。 る 。 入 10 ・ワ ー ク シ ー ト① を 配 布 話 し合 い 型 の 回 答 例;や っぱ り自分 た ち で や り た い 。) あ な たが 望 む 政 治 とは ・住 み 良 い 独 裁 政 治 の 国(=A国)と て い る 民 主 政 治 の 国(=B国)を 腐敗 し ・ワ ー ク シ ー ト② を 配 布 比 較 し、 自分 が ど ち ら を支 持 す るか を考 え る。 ・数 人 に 発 表 さ せ 、 次 の 発 問 につ な げ る板 書 を す る 。 ・A国 選 択 者 はB国 展 選 択 者 へ 、B国 選択 者 は A国 選 択 者 へ 、 そ れ ぞ れ 批 判 を 考 え る 。 (A国 選 択 者 へ の 批 判)支 配 者 が 変容 した ・数 人 に 発 表 さ せ 、 次 の 展 開 に関 連 させ る よ う に 板 書 す る。 ら ど うす る の か 。 国 民 に は ど うす る こ と も 開 で き ない で は な い か 。 (B国 35 選 択 者 へ の 批 判)議 員 が 腐 敗 して い る とい う こ とは そ れ を選 ん で い る 国民 自 身 が不 真 面 目だ とい う こ とで は な い の か 。 分 独 裁 政 治 と民 主政治の 問題 点 ・そ れ ぞ れ の 批 判 の 具 体 例 を 考 え 、 問 題 意 識 を持 つ 。 (A国 せ る 。 選 択 者 へ の 批 判 の 具 体 例) ど ん な 国 が あ る か? (B国 選 択 者 へ の 批 判 の 具 体 例) 日本 の 選 挙 体 質 、 圧 力 団 体 、 低 投 票 率 ま と め 一 ・考 え さ せ 、 数 人 に 発 表 さ ・独 裁 政 治 に つ い て 、 自 己 の 都 合 や 無 関 心 を 理 由 に 支 持 す る もの が い る こ と を 確 認 す る 。 ・民 主 政 治 で は 主 権 者 の 行 動 が 問 わ れ る こ と を確 認 す る。 一37一 ・簡 単 な 紹 介 に と ど め る 。 ・A国 に つ い て; 独 裁 につ い て の 議 論 は多 岐 にわ た 乙が 、独 裁 につ い て の 以 下 の よ う な定 義 、す な わ ち 「 ① 行 政 ・立 法 ・司 法 ・軍 事 な ど の 諸 権 力 が 身 分 的 支 配 者 や 君 主 で は な い と こ ろ の 一 人 ま た は 少 数 の グ ル ー プ に 実 質 的 に 集 中 す る こ と で あ り、 ② そ れ は 現 行 法 体 系 を 停 止 あ る い は 無 視 す る こ と に よ っ て 成 立 し、 ③ そ の 結 果 、 市 民 的 自 由 権 は 大 幅 に 否 認 さ れ 、 ④ 諸 権 力 手 段 は 専 制 的 に 使 用 さ れ 、 しか も⑤ 政 治 的 決 定 は 、 イデ オ ロギ ー や 使 命 感 に よ っ て 迅 速 か つ 脅 迫 的 に な さ れ や す い と い う特 徴 を 持 つ 政 治 支 配 の 形 態 」(高 畠 通 敏 政 治 学 へ の 道 案 内 』 三 一 書 房1984)を 『新 版 押 さえた 上 で 、授 業 に お い て は 、 民 主 政 治 に対 立 す る 政 治 の 在 り方 と し て 、 民 意 が 極 め て 反 映 さ れ に く く主 権 者 の 自 由 な 政 治 的 意 思 表 明 が 弾 圧 され る上 記 ③ ④ ⑤ を強調 した モデ ル を設 定 す る 。 ・B国 に つ い て: 日 本 を モ デ ル とす る 。 民 主 政 治 の 基 本 原 理 で あ る 、 国 民 主 権 主 義 、 議 会 制 民 主 主 義 、 権 力 分 立 制 、 法 の 支 配 が 制 度 と して 整 っ て い る 一 方 で 、 制 度 の 運 用 、 主 権 者 の 行 動 等 の 面 で 問 題 を抱 え てい る モ デ ルで あ る。 (3)評 価の観点 ① 独 裁 政 治 を 支 持 す る 者 が い る こ と に 気 づ く こ とが で き た か 。 ② 政 治 家 の腐 敗 は主 権 者 の行 動 に依拠 す る もの で あ る こ とに気 づ くこ とが で きた か 。 第2時 「民 主 政 治 を批 判 す る 」 (1)本 時 の ね らい 独 裁 政 治 の 具 体 的 な 事 例 お よ び 民 主 政 治 の 問 題 点 に つ い て の 具 体 的 な 事 例 を 取 り上 げ 、 現 実 の 民 主 政 治 の 課 題 に つ い て の 問 題 意 識 を 深 め 、 望 ま し い 政 治 の 在 り方 を 探 らせ る 。 (2)本 時の展開 学習項 目 生徒 の 手 に よ る 文 化 祭 と は? 学 習 活 動 指導上 の留意点 ・前 時 の プ リ ン ト の 結 果 を 見 な が ら 、文 化 祭 の 出 し物 を ど うや っ て 決 め れ ば よ (Qど う や っ て 決 め る?A話 ば い い 。Qど 入 る?み 10 化 祭 化祭委員は司会で き ん な 、 ち ゃ ん と 意 見 と か い う の? バ ラバ ラ の 意 見 が 出 て き た ら ど う す る の?「 分 う や っ て?A文 し合 え 委 員 が 司 会 し て 、 み ん なで 意 見 言 っ て 、 採 決 して 。Q文 時 の 生 徒 の意 見 を ま と め た も の)を 配 布す る。 ・前 時 の プ リ ン ト結 果 を 読 む いか考える。 導 ・資 料(前 早 く帰 りた い か ら な ん で もい い 」 と か 言 う 人 い る ん じ ゃ な い?) ・民 意 を ま と め る 困 難 さ に 気 づ く → み ん な の 意 見 を ま と め て くれ る リ ー ダー が必 要 だ。 時 間 を持 つ 。 ・指 導 者 が 必 要 な こ と に 気 づ か せ る。 ・ク ラ ス の メ ン バ ー が 積 極 的 で な い と、 決 め る こ とが 困 難 な こ と に気 づ か せ る。 ・ク ラ ス の メ ン バ ー が ク ラ ス 全 体 の こ と を考 え る必 要 が あ る こ とを 気 づ か せ る。 ・説 教 調 に な ら な い よ う 気 を つ け た い 。 一38一 → メ ンバ ー 一 人 一 人 が ク ラ ス の こ と を 考 え て くれ な き ゃだ め だ。 1 一 さ ま ざ ま な独 裁 ・多 様 な 独 裁 政 治 の 形 態 が あ る こ と を 理 ・資 料 を 配 布 す る 。 政 治(リ 解す る。 ・ナ ポ レ オ ン の 例 か ら 、 独 裁 は 政 治 的 安 ・そ れ ぞ れ の 例 は あ く ま で 一 ー ダ ー が 必 要 だ) 展 面 で あ り、一 方 で 民 衆 の 抑 ナ ポ レオ ン 定 を も た らす 一 面 が あ る こ と を 理 解 す 1圧 開発独裁 る 。 民 主 集 中制 、 他 もお こ なわ れ た こ と に も ふ れ る 。 ・開 発 独 裁 の 例 か ら 、 経 済 発 展 に は 強 力 な 指 導 力 が 必 要 な場 合 が あ る こ と を 理 開 解 す る。 35 分 現 代 日本 政 治 の ・制 度 が 整 っ て い て も 、 主 権 者 の 行 動 と 課 題 か らみ る民 運 用 如 何 で は、 民 意 の 反 映 は 失 わ れ る 主 政 治 の 問題 点 危 険 が あ る こ と を理 解 す る 。 ・資 料 を 配 布 す る 。 ・批 判 的 な 視 点 で は な く 、 ク ラ ス 文 化 祭 出 し物 問 題 に 引 (一 人 一 人 が ち ゃ きつ け て 誰 もが 陥 る 可 能 性 ん と考 え な き ゃ を示 す 。 だ め だ) 日本 の 選 挙 圧 力団体 低投 票率 ・望 ま し い 政 治 の 在 り方 に つ い て 考 え る 。 ま と め 5 (主 権 者 が 主 体 的 に リ ー ダ ー を 選 択 し ・次 時 の 予 告 を 含 ん だ 問 題 意 識 を持 たせ る。 監 視 す る 民 主 政 治) 分 ① ② ③ (3)評 価の観点 多 様 な 独 裁 政 治 の 形 態 を理 解 で き た か 。 民 主 政 治 の 問題 点 を理 解 で きた か 。 望 ま し い 政 治 の 在 り方 を 追 究 し よ う と して い る か 。 〈資 料 〉 《ワ ー ク シ ー ト① 》 ど っ ち が い い? ① 文 化 祭 。 ク ラ ス の 出 し物 ど っ ち が い い で す か 。(ど ち ら か に ○ を つ け る) A:文 化 祭 委 員 が な ん で も 決 め て み ん な が そ れ に 従 っ て や っ て い く型 B:み ん な で 話 し 合 っ て 決 め 、 そ れ に 従 っ て や っ て い く型 ● そ れ は な ぜ で す か 。() ② 文 化 祭 。 ク ラ ス の 出 し物 み ん な で 決 め る と し て 、 ど う や っ て 決 め た ら い い で す か 。 具 体 的 に 書 い て くだ さい 。 ()1 《ワ ー ク シ ー ト② 》 ど っ ち が い い?そ の2 ① この 世 に次 の 二 つ の 国 しか な い と した らあ な た は ど ち らの 国 に住 み た い で す か 。 A国:と て も住 み 良 い ん だ け ど独 裁 政 治 の 国 この 国 は政 治 に対 して ま じめ な 一 人 の 支 配 者 に支 配 され て い る 国 で す 。 そ の 支 配 者 は 国 民 が 幸 せ に 暮 らせ る よ う に と、 い ろ い ろ な 施 策 を迅 速確 実 に お こな い ます 。普 通 に暮 ら して い る 分 に は な に不 自由 の な い 生 活 が 保 障 され て い ます 。 しか し、 国 民 が 政 治 に 口 を出 す こ とや 支配 者 を批 判 す る こ とは絶 対 に 許 され ませ ん 。 一39一 即 死刑 で す 。 この 点 に つ い て は とて も厳 し く取 り締 ま りが あ ります 。 つ ま り、い い 支 配 者 な ん だ け ど国 の 政 治 に つ い て は一 切 物 が言 え ず 、 刃 向 か う とち ょっ と怖 い国 で す 。 B国:民 主 政 治 な ん だ け ど国 会 議 員 が腐 敗 して い る 国 この 国 は民 主 的 な 政 治 を行 うた め の 制 度 が整 っ て い る国 で す 。 選 挙 を して 国 会 議 員 を選 ん で そ の 人 達 の 話 し合 い に よっ て 政 治 が 決 ま ります 。 しか し、 国会 議 員達 は あ ま りま じめ で はあ りませ ん。 彼 らは腐 敗 して い ます 。 国 民 もあ ま り心 地 よ くは 暮 ら して い ませ ん 。 で も政 治 に 関 して国 民 は全 く自 由 に物 が言 え ます 。 国 会 議 員 を い く ら批 判 しよ う と捕 ま る こ とは あ りませ ん 。立 候 補 も年 齢 以 外 の制 限 は あ りませ ん 。 つ ま り、 国 会 議 員 は腐 敗 して い るん だ け ど、 政 治 につ い て 自由 に考 え る こ とが で き、場 合 に よ っ て は 国民 が 政 治 参 加 す る こ と も可 能 な 国 で す 。 さあ 、 どち らが い い で す か 。 よい と思 う方 に○ をつ け て くだ さい 。A国 ・B国 ② ど う して そ の 国 を選 ん だの で す か 。 () <2>民 主 政 治 の 大 切 さ を知 ろ う 国 の 指 導 を 一 人 に 任 せ て し ま う こ と の 危 険 性 一 ヒ トラ ー を例 と して 一 第3時 強 力 な 指 導 者(ヒ (1)本 トラ ー)に 全 権 を委 任 した経 緯 時 の ね らい 生 徒 が 、 議 会 制 民 主 主 義 の 精 神 を 放 棄 して 、 一 人 の 指 導 者(ヒ トラ ー)に 全権 を委任 し て し ま っ た 経 緯 を 勉 強 す る こ と に よ っ て 、 そ の 危 険 性 を 現 代 の 民 主 主 義 の 現 状 と照 ら し 合 わ せ なが ら、考 察 す る 。 (2)本 時の展開 学 学習項 目 導 入 10 分 ヒ トラ ー と い う人 物 の 紹 介 会 制民主 主 義 開 35 分 活 動 ・ヒ ト ラ ー の 写 真 を提 示 す る 。 ア ウ シ ュ ビ ッ ツのユ ダヤ 人 虐殺 の話 をす る。 指導上 の留 意点 ・ヒ トラ ー の 危 険 性 を 認 識 す る よ うに す る 。 ・ヒ ト ラ ー の 生 い 立 ち を 簡 潔 に 話 す 。 ヒ トラ ー の 議 展 習 ・ 『我 が 闘 争 』 を 資 料 と し て 、 生 徒 に 読 ま せ 義 の 在 り方 及 び 総 理 大 臣 る。 の リー ダー シ ッ プ に つ い 批 判の紹 介 ワ イマ ー ル 共 ・ワ イ マ ー ル 共 和 国 に お け る 議 会 制 民 主 主 義 和 国の崩 壊 と の 混 乱 ぶ り と ドイ ツ の 困 難 な 状 況 が 、 当 時 「独 裁 制 」 へ の ドイ ツ国 民 に、 強 力 な リー ダー シ ッ プ を の道 ・現 代 日本 の 議 会 制 民 主 主 て 考 え させ る 。 発 揮 す る 政 治 家 を 求 め た こ と を理 解 す る 。 ・全 権 委 任 法 に よ っ て 、ヒ ト ラ ー に 全 権 を 委 ね た 経 過 を説 明 す る。 なぜ ヒ トラ ー ま と め 5 分 に全 権 を 委 ね たの か ・ヒ トラ ー に 全 権 を 委 任 した 経 緯 は 理 解 し た が 、 で は な ぜ も っ と立 派 な指 導 者 に委 ね ず 、 ヒ トラ ー の よ う な 男 に 委 ね た の か を 考 察 す る。 (3)評 ① ・左 の よ う な 疑 問 を 生 徒 は 持つ。 ・第4時 に この 疑 問 を深 く 考 察 す る。 価 の観 点 現 代 日本 の 民 主 主 義 と ワ イ マ ー ル 共 和 国 に お け る 議 会 制 民 主 主 義 の 現 状 と が 比 較 で き 1' たか。 ② ワ イ マ ー ル 共 和 国 が 「ヒ トラ ー の 独 裁 」 に 至 っ て し ま っ た 危 険 性 と 共 に そ の 必 然 性 を 理 解 で きたか 。 ③ な ぜ ヒ トラ ー の よ う な 男 に 全 権 を 委 ね て し ま っ た の か とい う 疑 問 が 持 て た か 。 第4時 君 の 心 が 戦 争 を起 こ す (1)本 時 の ね らい 第3時 の 授 業 を 受 け て 、 な ぜ 当 時 の ドイ ツ 人 が ヒ トラ ー を 支 持 した の か を 追 究 す る 。 さ ら に 戦 争 に 至 っ て し ま っ た 理 由 に つ い て 深 く追 究 し 、 そ れ が 自 分 の 身 近 な 問 題 と類 似 し て い る こ と に 気 付 く。 (2)本 時の展 開 学 習項 目 復 習 と ヒ トラ ー 導 入 10 分 の ビデ オ 鑑 賞 学 習 活 指導上 の留 意点 動 ・前 時 の 復 習 を 簡 潔 に 行 い 、 ヒ ト ラ ー の 演 説 の ビデ オ を見 せ る 。 ・ヒ トラ ー と い う 人 物 と そ れ を熱 狂 的 に 支持 す る 人 た ち を 実 感 と して 知 っ て も ら う。 なぜ ヒ トラ ー ・ヒ トラ ー の 巧 み な 大 衆 操 作 を 知 る 。 を支 持 した か ・当 時 の ド イ ツ 人 の 置 か れ た 状 況 と そ の 怒 り ・具 体 例 を 挙 げ て 説 明 す る 。 と夢 に つ い て 話 し、 そ れ を ヒ トラ ー が 語 っ 展 た こ と を話 す 。 開 35 分 なぜ戦 争 に至 っ ・ヒ トラ ー を 支 持 した 層 、 反 対 した 層 、 傍 観 ・い じ め の 問 題 な ど 生 徒 の て しまっ た の した 層 、 無 関 心 な 層 に 分 け 、 そ れ ぞ れ に つ 身 近 な問 題 と照 ら し合 わ か い て 、考 察 す る。 せ なが ら説 明 す る 。 ・丸 山 真 男 の 論 文 を 資 料 に し て 戦 争 の 芽 が 徐 々 に で き て い く過 程 を 説 明 す る 。 「独 裁 制 」 の ま と め 5 分 危険性 (3)評 ・生 徒 と と も に ジ ェ ス チ ャ ー を交 えて 説 明 す る 。 ・君 の 心 が 戦 争 を 起 こ す と い う こ の 授 業 の 題 ・さ ま ざ ま な 欠 陥 は あ る が 名 の 意 味 を 考 え させ る 。 そ こ か ら 生 徒 は 、 民 主 政 治 の 大 切 さが 生 徒 ヒ トラ ー の 例 か ら一 人 の 人 間 に 政 治 を 任 せ に 深 く認 識 さ れ る よ う に る こ とが よ い こ と な の か ど う か 考 え る 。 す る。 価 の観 点 ① ヒ トラ ー を 支 持 し て し ま っ た 社 会 的 、 心 理 的 メ カ ニ ズ ム を 理 解 した か 。 ② 上 記 の こ とが 現 在 の 自 分 た ち に もあ り え る 事 だ と 追 究 し た か 。 ③ <3>民 「独 裁 制 」 の 危 険 性 と民 主 主 義 の 重 要 性 に つ い て 、 切 実 に 捉 え た か 。 主 政 治 の 基 本 原 理 を知 ろ う 第5・6時 (1)本 前4時 現 代の民主主義体制 時 の ね らい 間 の 授 業 を ふ り返 り 、 民 主 政 治 の 意 義 と そ の 原 理 を 理 解 す る と と も に 、 世 界 の 政 体 一41一 を 比 較 し、 わ が 国 の 政 体 の 特 徴 と 、 そ の 問 題 点 を 知 る 。 (2>本 時の展 開 学 学習項 目 民 主 政治 の 導 正統制 習 活 動 ・前 時 ま で の 授 業 を ふ り 返 り 、(個 指導上 の留意点 人 と社 会 の 幸 福 追 求 と い う 観 点 か ら)民 入 ・A国 と ドイ ッの 類 似 性 や 相 意 主政 点 に 言 及 し、 第 二 次 世 界 大 戦 治が現在 、世 界 にお いて正統 制 を認 め が 人類 に とっ て 、 ま た は 日本 られ て い る こ とを 知 り、 そ の 背 景 と な に とっ て も、 そ こか ら多 くを る歴 史 的 経 験 との 関 連 を理 解 す る 。 ま 学 ば な け れ ば な ら ない 経 験 と た 、 ドイ ツ の 経 験 は わ が 国 の経 験 と類 な っ て い る こ とに 触 れ る。 似 す る 面 も あ る こ と を知 る 。 民主 政 治 の 原理 民主 政 体の 比較 展 ・民 主 政 治 を 支 え る 原 理 で あ る 国 民 主 権 ・用 語 の 説 明 に 終 始 す る こ と な や代 議 制 、 人 権 の 保 障 、 権 力 の 分 立 、 く、 相 互 の 関 連 に よ り民 主 政 法 の支 配 な ど を理 解 し、 な ぜ そ れ らが 治 が 成 り立 っ て い る こ と へ の 民 主 政 治 を支 え る もの とな っ て い る か 理 解 を促 す 。 を考 察 す る 。 ・民 主 政 体 の 代 表 的 な も の で あ る イ ギ リ ・三 権 分 立 の 原 則 の 意 義 に つ い ス の議 院 内 閣 制 と ア メ リカ の 大 統 領 制 て触 れ 、 各 国 が そ の原 則 を踏 日本 国 憲 法 を比 較 し、 そ の 相 違 点 と共 通 点 に 気 付 まえ な が ら政 体 を工 夫 す る こ に み る 日本 く。 民 主 政 体 に も い ろ い ろ な も の が あ とに よ って 、 そ れ ぞ れの 政 治 の政治体制 り、 各 国 そ れ ぞ れ が 、 そ の 国 の 歴 史 や 風 土 をつ くって い る具 体 例 を 文 化 、 社 会 に 合 っ た 政 体 を持 っ て い る 示す 。 こ と を理 解 す る。 ・日 本 の 現 在 の 政 治 政 体 は 開 . 、 イ ギ リス の 議 院 内 閣 制 に似 て い る こ とに気 付 く。 ・旧 憲 法 下 の 体 制 と 新 憲 法 下 の 体 制 を 比 ・日本 が 第 二 次 世 界 大 戦 へ と 突 較 し、 そ の 相 違 点 に 気 付 く。 ど の よ う き進 ん で い っ た 原 因 を 、 旧 憲 な 意 図 か ら現 在 の わ が 国 の 政 治 体 制 が 法 下 の 体 制 の 問題 点 か ら考 察 つ くられ て い る の か を考 察 す る。 す る よ う促 す 。 ・ ドイ ツ の 現 政 体 も 、 ワ イ マ ー ル 時 代 へ ・ ドイ ツ の 大 統 領 の 性 格 、 ま た の 反省 か ら、 ど の よ うな 配 慮 が な さ れ て は 内 閣 不 信 任 制 度 にお け る建 い るか を知 る 。 設 的 不 信 任 投 票 な ど、具 体 例 を示 す 。 日本 の 政 治 ・ 日 本 の 政 治 体 制 ・機 構 に お い て 、 国 民 ・情 報 の 公 開 、 地 方 分 権 化 、 行 体制 の 問題 審 査 、 地 方 政 治 と 国 政 との 関 係 、 行 政 政 の民 主 化 な どの 動 きに触 れ 点 の 在 り方 な ど に ど の よ う な 課 題 が あ る る 。 か 考 える 。 ま と め 国民主権 ・制 度 や 機 構 は 絶 対 的 な も の で は な く そ ・政 治 権 力 は 国 民 よ り 設 定 さ れ の機 能 が 十 分 に発 揮 さ れ る よ う に 修 正 る が 、 そ の 行 使 の あ り方 も 、 され 、 そ の 運 用 上 の 工 夫 が 不 断 に な さ 国 民 に よ り吟 味 さ れ る 必 要 が れ る必 要 が あ る こ と 、 ま た そ れ が 主 権 あ る こ とを指 摘 す る 。 者 で あ る 国 民 の 義 務 で もあ る の が 民 主 政 治 の根 本 原理 で あ る こ とを理 解 す る 。 一42一 〈資 料 〉 ※ 第8校 時 に て使 用 シ ミ ュ レ・一 シ ョ ン シ ー ト ア メ リ カ で は 早 期 に エ イ ズ へ の 対 応 が な さ れ た の に 、 日 本 で は ア メ リ カ と 比 較 し て2年 4ヵ 月 対 応 が 遅 れ た 。 そ の 間 の 企 業(製 薬 会 社)・ 行 政 ・医 療 機 関 の 態 度 や 行 動 は 、 ど の よ う な 過 程 で 決 定 さ れ た の か 。 想 像 し な が ら 、 意 志 決 定 過 程 の3つ の モ デ ル の どれ に 当 て は ま る か 考 え よ う。 〈 問 題 の2年4ヵ 月(1983年3月 ∼85年7月)〉 ア メ リ カで は… … 1983年3月 ア メ リ カ 防 疫 セ ン タ ー(CDC)が 、 次 の こ と を 正 式 発 表 した 。 「… 血 友 病 患 者 の エ イ ズ は 、 治 療 薬 と し て 使 わ れ て い る 非 加 熱 血 液 製 剤 が 原 因 とみ られ る … 」 → エ イ ズ は ウ ィル ス で あ り、 輸 血 に よ る 感 染 経 路 が 疑 わ れ る 、 と い う 見 解 に対 して 、 血 友 病 の 治 療 薬 と して エ イ ズ に 対 す る 有 効 性 が 期 待 さ れ た加 熱 製剤 が 認 可 され た 。 1984年5月 同 年9月 エ イ ズ ウ ィル ス は 同 定 さ れ 、 抗 体 検 査 も 開 始 さ れ る 。 血 液 製 剤 に 含 ま れ る エ イ ズ ウ ィ ル ス を 加 熱 す る と不 活 性 化 す る こ と が 証 明 され る。 同 年10月 ア メ リ カ 血 友 病 財 団(NHF)も 非 加 熱 製 剤 か ら加 熱 製 剤 へ 変 更 す べ き こ と を勧 告 。 日本 で は … … 1985年7月 加 熱 製 剤 は5社 意 志 決 定 過 程 の3つ ⑤ 一 括 して承 認 さ れ る。 のモデ ル 合理 的決定 明 確 な 問 題 意 識 が あ り 、 解 決 ま で の 過 程 が 目的 に 向 け て 合 理 的 で 首 尾 一 貫 し て い る 。迅 速 に 決 定 す る 。 最 適方法 A三 最 ⑤ 圖 一 短 組織 的決定 組 織 内 の 作 業 手 続 き に 基 づ い て 決 定(前 例 重 視)。 各 組 織 の 要 請 を 重 視 す る 。 ま た 、 組 織 内 の 利 益 を 重 視 す る 傾 向 。 決 定 の 結 果 が 合 理 的 で な くて も 説 明 が 可 能 。 一43一 脚 ⑤ 関 係 重 視(組 織 内 ・組 織 間) 政治的決定 組 織 内 の 人 間 関 係 の 反 映 した 決 定 。 個 々 人 の 問 題 へ の 利 害 と駆 け 引 き を重 視 す る 。 人 人 人 人 人 注G.Allisonの 力 関 係 ・利 害重 視 政 策 決 定 過 程論 を参 考 に考 案 した モ デ ル で あ る 。 <4>現 代 日 本 政 治 の 諸 課 題 を知 り 、 望 ま し い 政 治 を 作 る た め の 行 動 を 考 え よ う 第10時 政 治 へ の 国 民 の参 加 に つ い て (1)本 時 の ね らい 望 ま し い 政 治 の あ り方 の ま と め と し て 、 架 空 の 状 況 設 定 で 行 政 ・企 業 ・国 民 ・医 師 ・マ ス コ ミの 立 場 か ら 、 ど の よ う に 問 題 解 決 に 向 け て 関 わ っ て い くか の ロ ー ル プ レ イ を 行 う 。 そ れ ぞ れ の 立 場 の 持 つ 制 約 を 乗 り越 え て 、 い か に 望 ま しい 結 果 を 引 き 出 す か 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン す る 中 で 、 国 民 が 具 体 的 な ビ ジ ョ ン を 持 っ て 、 政 治 に 関 わ っ て い く重 要 性 と 主 権 者 と して そ れ を 担 う責 任 に 気 づ く。 ロ ー ル プ レ イで は 、 そ れ ぞ れ の 立 場 か ら主張 、 行 動 す る こ とに よ って 、 そ れ ぞ れ の 立 場 の論 点 、状 況 を把 握 させ 、お 互 い の 立 場 を理 解 させ る よ うにす る 。今 回 の ロー ル プ レ イ で は 、 さ ら に 、 お 互 い の 立 場(ポ ジ シ ョ ン)か ら の 見 解 が 、 課 題 に 対 して 建 設 的 な 合 意 や 提 案 の 創 造 に 結 び つ く よ う 、 工 夫 して 進 め る こ と と す る 。 ま た 、 第9校 時 に お い て は 、 ロ ー ル プ レ イ の 方 法 を 学 ぶ と と も に 、 行 政 ・企 業 ・国 民 ・ 医 師 ・マ ス コ ミ に つ い て 、 イ ン タ ー ネ ッ トや 担 当 者 を 訪 問 す る な ど に よ り 、 そ れ ぞ れ の 役 割 を十 分 理 解 す る調 べ 学 習 を行 う。 一44一 (2)本 1 時の展開 学 学 習項 目 習 活 動 指導上の留 意点 一 ロ ー ル プ レ 導 イの 確 認 ・架 空 のA病 れ の 立 場(ポ の 発 生 に対 して 、 そ れ ぞ ジ シ ョ ン)か ら どの よ う に 関 わ っ て い くか を ロ ー ル プ レ イ 入 ・状 況 設 定 の ポ イ ン ト と な る 点 を わ か りや す く提 示 で き る よ う に 配慮する。 する こ とと、 その状 況設 定 につい て 理 解 す る。 5者 展 開 の立場 上の制約 各立 場 の方 ・5つ の グル ー プに分 かれ 、 それぞ れ ・国 民 と マ ス コ ミ の 立 場 は 、 こ の の 立 場 の 制 約 に つ い て あ ら か じめ 確 状 況 につ い て い ま だ知 ら され て 認 す る。 い な い とい う設 定 なの で 、 も し ・グ ル ー プ 毎 に ど の よ う な 行 動 を と る 仮 にA病 の 存 在 を知 っ た ら ど う 針制作 か 方針 を立 て る 。 ま た 、 そ の 方 針 を す る か 、 また は 他 の 立 場 に対 し 各立 場 の方 遂行 す る に あ っ た っ て 、 他 の 立 場 へ て 、 どの よ うに 対 応 して ほ しい 針 、要望 発 の 要 望 事 項 を 挙 げ て お く。 か を考 え る よ う に指 示 をす る 。 ・時 間 を 決 め て 相 談 タ イ ム を と る 。 表 ・各 立 場 の 方 針 要 望 を き き 、 そ れ に 対 して 、 ど の よ う な 回 答 を す る か 、 ま ・ 「マ ス コ ミ 」 は 各 立 場 へ の イ ン タ ビ ュー事 項 を考 え る 。 た 、 方針 を 変 更 す る 必 要 は な い か 、 他 の 立 場 へ の 質 問 等 を協 議 す る 。 要 望 へ の 回 答 ・あ ら か じめ 司 会 者 を た て て 各 立 場 同 士 で 質疑 応 答 をす る 。 合 意 の形 成 (討 論) ・こ の 事 態 に ど の よ う に 対 応 す る べ き か を討 論 す る 。 ・各 立 場 の 要 求 を 主 張 す る だ け で な く、 総 合 的 な 提 案 を す る よ う に 促 す 。5つ の立場以外 の立場 へ の 要 望 ・依 頼 も 可 能 で あ る 事 最終 決論 を 示唆 す る 。 ・各 立 場 毎 に 再 度 、 方 針 と他 の 立 場 へ の 要 望 を 話 し合 う 。 ま と 結論 発表 ・各 立 場 の 決 定 を 発 表 し 、 こ の ロ ー ル プ レイ に よ っ て 気 づ い た 事 な ど 、 互 め い に感 想 を述 べ 合 う。 (3)評 価の観点 ① そ れ ぞ れ の 立 場 の 持 つ 制 約 を 乗 り越 え る こ と の 難 し さ を 感 じる こ と が で き た か 。 ② 問 題 解 決 に 向 け て 、 自他 の 立 場 を活 か し合 う 発 想 を持 つ こ と が で き た か ③ お 互 い の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 通 して 、 事 態 を 解 決 に 導 く糸 口 を 探 る 事 が で き た か 。 ④ 情 報 の 公 開 は 、 責 任 の 分 散 に つ な が り、 最 終 的 に は 国 民 の 自 己 責 任 が 問 わ れ る 事 に 気 づ い た か? 一45一 〈資 料 〉 状況設定 最 近 、 原 因 不 明 のA病 が ア メ リ カ か ら 日 本 に 上 陸 して き た 。 突 然 に3日 間、高熱 を出 し て 亡 く な る ケ ー ス が 増 え て き て い る 。 治 療 薬 は ま だ 開 発 さ れ て い な い 。A病 患 者 の10%が ガ ン患 者 と して 抗 が ん 剤Bを 抗 が ん 剤Bの 、 投 与 さ れ て い る 者 で あ っ た と報 告 さ れ て お り、 ア メ リ カ で は 投 与 を 一 時 停 止 す る よ う勧 告 す る 措 置 が 取 ら れ た 。 た だ し、 抗 が ん 剤BとA 病 との 因 果 関 係 は 立 証 さ れ て い な い 。 日本 で は 、 抗 が ん 剤Bは 副 作 用 も 少 な く、 ガ ン ー 般 に は 効 果 が 高 い と し て 、 比 較 的 安 価 に て大 量 に販 売 され て 、 使 用 され て い る。 一 方 、 抗 が ん 剤 と して は 、Bよ り も 効 果 が 高 い と して 製 薬 会 社 が 認 可 を 求 め て い る 新 薬 Cは 副 作 用 と して 性 染 色 体 に損 傷 を 与 え る 等 の 懸 念 が あ り、 厚 生 省 で は 認 可 を 手 控 え て い る状 況 で あ る 。 ち な み に 新 薬Cを 開 発 して い る の は 一 社 で あ り、 大 量 生 産 体 制 は 整 っ て い な い 。 販 売 さ れ れ ば高 額 とな る こ とが 予 想 され る 。 ま た 、 い ま だ 日 本 で はA病 に つ い て の 情 報 は マ ス メ デ ィア に 乗 っ て い な い 。 各立場 の制約 【 行 政(厚 生 省)1国 民 全 体 の 健 康 の 維 持 増 進 を図 る 責 任 を負 い 企 業 や 医 師 に対 して 、指 導 的 立 場 にあ る。 国民 の 安 全 を考 え薬 品 の 認 定 な ど を図 る と と もに判 断 に よって は 、 企 業 に 多 大 な 損 害 を 与 え 、 国 民 か ら も損 害 賠 償 を 要 求 さ れ る 立 場 に あ る 。 1企 業(製 薬 会 社)i医 薬 品 の 販 売 開 発 を 通 して 、 社 会 に 貢 献 し て い る 。 しか し、企 業 で あ る か ら には 営 利 が 第 一 目的 で あ る。 他 社 との競 争 に 勝 ち残 って い か な け れ ば な ら な い 。 ま た 、 同時 に 、賠 償 責 任 を負 う リス ク も も って い る。 塵 医 療 の 専 門 家 で あ る 。 しか し 、A病 は 難 し い 。 そ して 、A病 につ い て は 不 明 な点 が 多 く、 説 明 や 判 断 も ガ ン も患 者 の 生 命 に か か わ る 病 気 で あ り、 経 過 に よ っ て は 、 訴 訟 に 発 展 す る 可 能 性 も あ る 。 ま た 、 新 薬Cの 効 果 とそ の対 価 と して の 価 格 を どの よ う に 判 断 す る か が 迫 ら れ て い る 。 塵 医 学 の 専 門家 で は な い。 そ の た め 、実 際 の 医 療 現 場 で は 、医 師 の判 断 に依 存 す る 傾 向 が あ る 。 高 額 の 新 薬Cは す べ て の 人 が 服 用 で きる訳 で はな い。 また 、 情 報 の 真 偽 が 判 断 で きな いの で 、 ・ セ ンセ ー シ ョナ ル な 報 道 に触 れ る と、 パ ニ ッ ク に陥 る危 険 性 を持 っ てい る。 1マ ス コ ミ(新 聞 社)1国 民 に 最 新 の 情 報 を提 供 し、 世 論 を形 成 す る 一 助 と な る と い う 社 会 的 役 割 を 担 っ て い る 。 しか し 、 マ ス コ ミ も企 業 で あ る か ら に は 営 利 を 考 え る 必 要 もあ る 。 一46一 ワ ー ク シ ー ト 一47一 IV分 析 と考 察 1生 徒の状況 第1分 科 会 、 第2分 科 会 そ れ ぞ れ に 、 指 導 案 を実 際 の 授 業 に 取 り入 れ て 試 行 錯 誤 を 行 っ た 。 第1分 科 会 の ラ イ フ プ ラ ン の 作 成 で は 、 生 徒 自 身 が い ま だ 夢 と現 実 の 分 離 し た 意 識 の 中 で 生 活 して い る 年 代 で あ る こ と か ら 、 プ ラ ン の 立 て 方 が い きお い ス テ レ オ タ イ プ の 型 に は ま っ た も の に な り や す く、 個 々 人 の 生 き方 の 志 向 性 を 反 映 し た も の に な り に く い と い う傾 向 が 見 ら れ た 。 第2分 科 会 の意 思 決定 過 程 モ デ ル を使 った作 業 学 習 で は 、個 々 の意 思 決定 の 過 程 を な ぜ そ れ ぞ れ の モ デ ル に 分 類 し た の か 、 言 葉 で 説 明 す る こ と に 困 難 を示 す 生 徒 が 見 受 け ら れ た 。 し か し 、 こ の2つ の 作 業 学 習 は い ず れ も生 徒 が 問 題 の 本 質 に 深 く 関 わ っ て い く視 点 や 態 度 を育 て る 仕 掛 け(ハ ー ド)で あ り、 む し ろ そ こ に つ ま ず い て くれ る こ と が ね ら い で も あ る 。 そ の つ まず き 、 引 っ 掛 か りを 見 守 り、 解 き ほ ぐ し、 導 く援 助(ソ フ ト)を 担 当 す る の が わ れ わ れ 教 員 の 役 目 で あ る 。 そ の 意 味 で こ の 指 導 案 は 、 生 徒 が 自 ら課 題 を 把 握 す る 契 機 を つ く る も の で あ る が 、 同 時 に そ れ が 生 徒 そ れ ぞ れ の 中 で 展 開 さ れ る よ う指 導 の 工 夫 が な さ れ る こ と を 教 員 側 に要 求 す る もの で もあ る 。 2第1分 第1分 科 会 の研 究 内 容 に つ い て 科 会 で は 、 ラ イ フ プ ラ ンの 作 成 を 通 して 自 己 の 未 来 像 を か た ち づ く り、 そ こ か ら さ ま ざ ま な 課 題 を 追 究 し て い く授 業 を 工 夫 し た 。 生 徒 は 、 ラ イ フ プ ラ ン の 作 成 と 人 生 の 諸 費 用 の 計 算 を 通 し て 将 来 の 自分 の 姿 、 生 き方 を 具 体 的 に イ メ ー ジ し よ う と し 、 自分 を 取 り ま き こ れ か らそ の 中 で 生 き て い く社 会 を 実 感 を も っ て と ら え る 端 緒 とす る こ とが で きた 。 そ の 上 で 、 社 会 保 険 や フ リ ー タ ー の 問 題 に つ い て 考 え る こ と を 通 し て 、 自分 自 身 に と っ て の 活 」、 自 分 を と り ま く真 の 「豊 か な 生 「豊 か な 社 会 」 を 実 現 し て い く た め に 主 体 的 に 考 え 、 学 ん で い こ う と い う姿 勢 を も た せ る こ とが で き た 。 そ れ を 課 題 追 究 学 習 や 公 民 科 科 目 の 他 の 領 域 で の 学 習 を 通 じて さ ら に 深 め さ せ て い く こ と が 、 こ れ か ら の 課 題 で あ る 。 3第2分 第2分 科 会 の研 究 内容 に つ い て 科 会 で は 、 「望 ま しい 政 治 の あ り方 」 を 考 察 す る よ う 、3つ の 視 点 か ら授 業 の 工 夫 を 行 っ た 。 第 一 の 視 点 は 、 独 裁 政 治 と民 主 政 治 を 、 生 徒 の 身 近 な 問 題 か ら対 比 さ せ る こ と に よ っ て 、生 徒 に そ れ ぞ れ に つ い て の問 題 意 識 を持 た せ た 。 第二 の視 点 は 、過 去 の歴 史 か ら ヒ トラ ー を 取 り上 げ 、 国 の 指 導 を 一 人 に 任 せ て し ま う こ と の 恐 ろ し さ を 生 徒 に 認 識 さ せ た 。 第 三 の 視 点 は 、 現 代 日本 政 治 の 問 題 と して 、"薬 害 エ イ ズ 問 題"を の よ う に 政 治 に 参 加 す べ き か を 考 え させ た 。 以 上 の3つ 取 り上 げ 、 主 権 者 と し て ど の 視 点 に 共 通 して 意 識 した こ と は 、 生 徒 をそ の 当 事 者 の立 場 に立 たせ 、生 徒 が 主 体 的 に 問 題 解 決 を す る よ うな授 業 を 計 画 した こ とで あ る。 一48一
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