「化粧品GMPに関する説明会」資料 主催 日本化粧品工業連合会

「化粧品GMPに関する説明会」資料
平成27年
6月
9日(火) 東京会場
6月 10日(水) 大阪会場
6月 12日(金) 名古屋会場
主催
日本化粧品工業連合会
化粧品GMPに関する説明会資料目次
プログラム
2
講演者の略歴
3
教育訓練について
5
製造管理について
31
品質管理について
57
逸脱・規格外・変更管理について
83
衛生管理について
117
文書化について
141
「化粧品GMPに関する説明会」プログラム
10:00
開会
10:00~10:10(10分)
開会挨拶
日本化粧品工業連合会 化粧品GMP委員長 内藤 昇
10:10~10:50(40分)
教育訓練について(化粧品GMP第3章従業員)
NPO-QAセンター 庄司 和壽
10:50~11:50(60分)
製造管理について(化粧品GMP第6章原料及び包装材料、第7章生産、
第8章最終製品)
NPO-QAセンター 美濃屋 雅宏
11:50~13:00
(昼食休憩)
13:00~14:00(60分)
品質管理について(化粧品GMP第9章品質管理試験室)
NPO-QAセンター
14:00~14:50(50分)
松村 行栄
逸脱・規格外・変更管理について(化粧品GMP第10章規格外品の処理、
第13章逸脱、第15章変更管理)
NPO-QAセンター 庄司 和壽
14:50~15:10(20分)
(休憩)
15:10~16:10(60分)
衛生管理について(化粧品GMP第3章従業員、第4章構造設備)
NPO-QAセンター
16:10~16:40(30分)
文書化について(化粧品GMP第17章文書化)
NPO-QAセンター
16:40
閉会
越谷 清一
庄司 和壽
講演者の略歴
特定非営利活動法人 医薬品・食品品質保証支援センター
(略称:NPO-QAセンター)
URL:http://www.npo-qa.jp/
〒540-0026 大阪市中央区内本町 1-4-12 301 号室
TEL:06-6910-1455
FAX:06-6910-1456
○庄司 和壽(しょうじ かずとし)
カネボウ(株)、
(株)カネボウ化粧品で、化粧品研究所、技術部門にて処方
設計、研究管理、技術管理、薬事管理に従事。
(株)カネボウ化粧品を退職後、
(株)ファンケルで品質管理本部長として、
2011 年まで勤務し定年退職。
退職後、NPO-QA センター 顧問として活動。
<業界活動>
・日本化粧品工業連合会の薬事法対策委員会、化粧品 GMP 委員会、技術委
員会委員として活動。
・化粧品・医薬部外品に係る薬事法改正、化粧品・医薬部外品の全成分表示、
製造販売業制度における GVP 指針・GQP 指針、ISO 化粧品 GMP ガイド
ラインの作成に携わった。
○美濃屋 雅宏(みのや まさひろ)
あすか製薬(株)にて医薬品の製造部(原薬・無菌製剤・固形製剤・包装・
物流)、品質管理部、品質保証部に所属し GQP/GMP 業務に従事する。
その後、
(株)ファンケルにて化粧品・医薬部外品製造販売業の GQP 及び製
造業の GMP 業務に従事する。
退職後、NPO-QA センター 顧問として活動。
<業界活動>
・日本製薬団体連合会(日薬連)にて GMP 委員会、品質委員会の常任委員
を務めた。
○松村 行栄 (まつむら たかよし)
エーザイ(株)にてグローバルなポリシーや手順の文書策定、欧米からの査
察の受入れ等の国際的な GMP 関連業務に従事した。変更管理や逸脱/OOS
処理等の工場における GMP 実務経験も豊富である。2011 年に同社退社。
NPO-QA センター 顧問として活動。
<業界活動>
・製薬協 GMP 常任委員会 副委員長、および日薬連 GMP 委員会委員(こ
の間に ICH Q7a のサポートメンバーをつとめる
・厚労省の委嘱により電子記録/電子署名指針の策定委員
・ICH-Q9 品質リスクマネジメントの日本のトピックリーダーであり、
2011 年には ICH での業績を評価され US-FDA より表彰を受ける。
・欧州 APIC 認定査察官
・また、特定非営利活動法人 日本チョウ類保全協会 理事として、自然を守
る活動に携わっている。
○越谷 清一(こしや せいいち)
三機工業株式会社(空調設備設計部門)にて主に半導体工場、製薬施設、病
院手術室などクリーンルームの設計・施工エンジニアリングに従事。
退職後 NPO-QA センター 理事。医薬品 GMP, 健康食品 GMP 関連の講
演、教育、コンサルティング活動に従事
<業界活動>
・製剤機械技術学会
GMP 委員会 委員
化粧品GMPに関する説明会
教育訓練について
2015年6月9日(東京)
2015年6月10日(大阪)
2015年6月12日(名古屋)
NPO―QAセンター
1
本日の内容
1.教育訓練の目的
2.化粧品GMPの要求事項
3.教育訓練の体系化
4.教育訓練の手順
5.教育訓練プログラム
6.教育訓練実施の際の留意事項
2
1
1.教育訓練の目的
•製品の品質に関わる製造管理及び品質管理業務
に従事する従業員のみならず、すべての従業員
に自らの役割を果たすに必要な十分な力量(知識
や技能)を備えさせることにある。
•全ての作業についてどのような力量が必要か明
確にしたうえで、作業を担うひとり一人にどの
ような教育訓練を実施していくかがポイントと
なる。
3
•従業員の力量と作業に求められる力量とのギャ
ップを分析したうえで、従業員に合った教育訓
練の実施とその有効性の評価によって一人ひと
りの能力を向上させ、GMPシステムを製造所
全体に定着させることである。
•教育訓練を通して人為的な誤りを防止し、高品
質の化粧品・医薬部外品を製造し、消費者に品
質、安全、効能を適時かつ恒常的に提供するこ
とが目的となる。
4
2
2.化粧品GMPの要求事項
3.従業員
3.1原則
このガイドラインに記述された活動の実施に関係する者は、
所定の品質の製品を生産、管理及び保管する適切な教育・
訓練を受けていること。
3.2.2従業員数
会社は、このガイドラインの所定の活動に関して十分な数
の適切な教育・訓練を受けた従業員を確保すること。
3.3.2従業員の責任
すべての従業員は、次の責任を負うものとする。
a.組織における自分の位置を知っている。
b.自分の所定の責任及び活動を知っている。
5
c.自分の責任の範囲内の文書を閲覧し、それに従う。
d.個人に求められている衛生管理要求事項に従う。
e.自分の責任のレベルで生じうる異常その他の不適合を
自ら進んで報告する。
f.割り当てられた責任及び活動を行う十分な技能を有し、
教育・訓練を受けている。
(化粧品GMP要求事項は枠囲い黄色で示す)
⇒従業員は上記項目について教育訓練を受けていなければな
らない。
組織⇒従業員にそれぞれの位置を知らしめなければならない。
従業員のそれぞれの責任と所定の活動(業務)内容を知
らしめなければならない。
文書の次の閲覧者がだれであるか知らしめなければな
らない。
従業員に衛生管理のための必要な事項を知らしめなけ
ればならない。
異常その他の不適合を知らしめなければならない。 6
3
3.4教育・訓練
3.4.1教育・訓練及び技能
生産、管理、保管及び出荷に携わる従業員は、自分
の責任及び活動に適した関連する教育・訓練及び経
験を習得し、あるいはそれらの組み合わせに基づい
た技能を有すること。
経営⇒ 教育訓練を行い、技能があると認められ
る者を配置すること。
技能が有すると認められるにするにはどうするか?
7
<参考>ISO 9001:2008の要求事項
には以下のような規定がある。
6.2人的資源
6.2.1一般
製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事す
る要因は、適切な教育、訓練、技能及び経験を判
断の根拠として力量がなければならない。
6.2.2力量、教育・訓練及び認識
組織は次の事項を実施しなければならない。
a)製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事
する要員に必要な力量を明確にする。
8
4
b)該当する場合には(必要な力量が不足している場合
は)、その必要な力量に到達することができるよう
に教育・訓練を行うか、又はその他の措置をとる。
c)教育・訓練又はその他の措置の有効性を評価する。
d)組織の要員が、自らの活動をもつ意味及び重要性を
認識し、品質目標の達成に向けて自らがどのように
貢献できるかを認識することを確実にする。
e)教育、訓練、技能及び経験について該当する記録を
維持する。
力量の把握には化粧品GMPについても同様のこ
とが必要と思われる。
9
3.4.2教育・訓練とGMP
3.4.2.1すべての従業員に対してこのガイドライン
の所定の活動に関連した適切なGMPの教育・訓練が
実施されること。
3.4.2.2社内の職位又は勤続年数にかかわらず、す
べての従業員の教育・訓練のニーズを明確にし、
対応する教育・訓練プログラムを作成し、実施す
ること。
3.4.2.3教育・訓練コースは、それぞれの従業員の
専門知識及び経験を考慮して、組織内における個
人の仕事及び責任に適したものとなるように策定
すること。
10
5
3.4.2.4教育・訓練コースは、ニーズと利用できる
社内資源に応じて、会社自身が設計し、実施して
もよいし、必要に応じて外部の専門機関の協力を
得て設計し、実施してもよい。
3.4.2.5教育・訓練は、定期的に更新され、不断か
つ継続的なプロセスと見なすこと。
対象:全ての従業員 職位、勤続年数は関係しない。
方法:教育訓練プログラムを作成
・教育訓練コースは、組織内における個人の仕事及び
責任に適したものとする。
・外部委託して実施しても良い。
・定期的に見直しながら、継続的に実施する。
11
<参考>
医薬品の場合
GMP省令(教育訓練)
第十九条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、
手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければ
ならない。
一 製造・品質管理業務に従事する職員に対して、
製造管理及び品質管理に関する必要な教育訓練を
計画的に実施すること。
二 教育訓練の実施状況を製造管理者に対して文書に
より報告すること。
三 教育訓練の実施の記録を作成し、これを保管する
こと。
12
6
3.教育訓練の体系化
•教育訓練計画作成の前に、教育訓練を体系
化する。
•体系化では、職種、キャリアを定義するととも
に、知識、スキルをレベル分けし、決められた
職種、職務が実行レベルに到達あるいは維持
するために必要な教育訓練を個人に割り当て
る。
13
キャリアとレベル分けの例
達成レベルあるいは基準
職務分類
責任者
経験
知識
スキル
主任業務1年以上または管
理業務者
上級者(主任・ ベテラ 製造・品質業務、3年を超え
ン作業者)
て経験あるいは管理業務
中級者(単独作業者)
製造・品質業務を1年から3
年経験または担当者
初級者(補助作業者)
異動あるいは新人教育を受
講
14
7
キャリアと教育訓練内容の例
教育科目
薬機法等法令について
標準品管理
計量機器管理
製造機器管理
中級者
製造 品質
●
●
上級者
製造 品質
●
●
責任者
製造 品質
●
●
GMPの目的と遵守
●
●
●
●
●
●
●
●
GMP組織体制
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
〇
〇
△
△
〇
〇
●
●
●
●
〇
〇
衛生管理概論
●
●
●
●
○
○
△
△
各部門の作業について
●
●
●
●
〇
〇
〇
〇
GMP文書管理
○
○
●
●
●
●
△
△
原料保管の手順書
●
●
△
△
△
原料管理操作訓練
●
○
●
△
△
薬機法等法令 製造品質管理概論1
及びGMP概論 製造品質管理概論2
原料管理
初級者
製造 品質
●
●
標準品管理の手順書
●
●
●
△
△
標準品取扱訓練
●
○
△
△
△
計量機器操作手順書
●
●
●
●
△
△
計量機器操取扱訓練
●
●
●
●
△
△
製造機器管理手順書
●
○
●
●
△
△
製造機器取扱訓練
●
●
●
●
△
△
凡例:●受講、○選択可能、△必要に応じて受講
15
基本計画の立案
工場の方針を決める
工場教育訓練の種類分け
対象者別教育訓練項目の設定
年間スケジュールを策定
実施した内容についての検証、見直し
16
8
3.4.3新規採用従業員
新規採用従業員は、GMPの理論及び実践に関する基礎的な
教育・訓練以外に、自分に与えられた職務に適した教育・
訓練を受けること。
新規採用の従業員に対しては、
• GMPの理論、実践に関する基礎的教育
• 自らの職務に適した教育、訓練 両方が必要。
3.4.4従業員の教育・訓練の評価
従業員が習得した知識は、教育・訓練中及び/又は教育・
訓練後に評価を行うこと。
•評価の方法は、教育訓練の内容に照らし、
適切な方法で行う。
– テスト、– 講師による評価、– 感想文等
17
3.5従業員の衛生及び健康
3.5.1従業員の衛生
3.5.1.1衛生管理プログラムは工場のニーズに合う
ように設定すること。これらの要件は、活動が生
産、管理及び保管区域にかかわるすべての者に
よって理解され、従われること。
3.5.1.2従業員は手洗い設備を使用するよう指導す
ること。
3.5.1.3生産、管理及び保管区域に入るすべての者
は、化粧品の汚染を防止するために適切な衣服及
び防護衣を着用すること。
18
9
3.5.1.4生産、管理及び保管区域における飲食、ガ
ムを噛むこと、喫煙、又は飲食物、喫煙具、個人
の薬の保管は避けること。
3.5.1.5生産、管理及び保管区域内又は生産が悪影
響を受ける可能性のあるその他の区域における非
衛生的な行為は禁止すること。
・衛生管理プログラムの設定及び理解
・手洗い設備の使用
・衣服及び防護衣の着用(化粧品の汚染防止)
・飲食、喫煙等を避けること。
・非衛生的な更衣の禁止
・従業員の健康管理(病気・外傷等がある者の
作業等制限)
19
3.5.2従業員の健康
明らかに病気にかかっている者、又は露出されて
いる体表面に覆われていない外傷がある者は、症
状が回復するか、あるいは医療担当者によって化
粧品の品質が損なわれないと判断されるまで、製
品に直接触れないことを実際的な範囲で確保する
措置を講じること。
健康に関する教育
20
10
3.6訪問者及び教育・訓練を受けていない従業員
訪問者及び教育・訓練を受けていない従業員は、生産、管
理及び保管区域内に立ち入らせないことが望ましい。これ
が避けられない場合は、特に個人の衛生及び所定の防護衣
について予め情報を与えること。また、これらの者は厳重
に監督すること。
→ 管理区域内への立入時の情報提供は、教育訓練と位
置づけることが望ましい。
GMP管理区域立入時の教育訓練の内容例
1.健康を害している場合は、入室してはならないこと。
2.立入を許可する範囲。
3.管理区域内での更衣、手洗い等の手順。
4.許可された以外の設備等にふれないこと。
5.(許可された場所以外での)飲食等の禁止。
6.持ち込んではいけないもの(シャープペン等)等 21
<参考> 医薬品の場合 GMP省令(変更の管理)
第十四条 製造業者等は、製造手順等について、製品の品
質に影響を及ぼすおそれのある変更を行う場合においては、
あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる
業務を行わせなければならない。
一 当該変更による製品の品質への影響を評価し、その評
価の結果をもとに変更を行うことについて品質部門の承認
を受けるとともに、その記録を作成しこれを保管すること。
二 前号の規定により品質部門の承認を受けて変更を行う
ときは、関連する文書の改訂、職員の教育訓練その他所要
の措置を採ること。
化粧品GMPの変更については、「製品の品質に影響を及ぼ
す可能性のある変更は、十分なデータに基づいて権限所有
者が承認し、実施すること。」と規定しているだけで、明
示されていませんが、医薬品の規定同様、変更管理におい
22
ても教育訓練は必要であると思われる。
11
<参考>GMP省令(教育訓練)
第十九条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順
書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。
一 製造・品質管理業務に従事する職員に対して、製造管
理及び品質管理に関する必要な教育訓練を計画的に実施
すること。
二 教育訓練の実施状況を製造管理者に対して文書により
報告すること。
三 教育訓練の実施の記録を作成し、これを保管すること。
化粧品GMPでも、教育はまず教育に係る手順書を作
成すること、計画的に実施すること、実施状況を薬
事上の責任者に報告すること、実施記録を作成して
保管することを求めている。
23
GMP組織外の従業員の教育訓練内容例
1.医薬品医療機器等法の許可を得て化粧品等
を製造していること。
2.化粧品GMPに基づき製造及び品質を管理し
ていることと、その自社GMPの概要。
3.社内組織と対象者の位置づけ。
4.立入禁止区域。
5.GMPへの参加意識の向上。等
24
12
4.教育訓練の手順 フロー(例)
教育訓練責任者の任命
ア 教育訓練の計画
責任技術者への報告
反映
実施状況・内容の報告
教育訓練計画の策定
・年間計画(方針・頻度)
・教育訓練ごとの計画(内容・参加者)
イ 教育訓練の実施
年間計画に基づく教育訓練
臨時の教育訓練
オ 報告書・記
録の保管
エ 報告書・記
録の作成
ウ 教育内容の
評価
・新製品、製品の変更、機器の導入等
・逸脱管理、是正措置の一環としての教育等
25
ア 教育訓練の計画
教育訓練責任者は、自社の状況に応じて年間計画あ
るいは長期的視点に立って、教育訓練年間計画書(両
者を併せて、以下「年間計画等」という。)を立案するこ
とが必要となる。
年間計画等の策定に当たっては、優先課題を明確にし、
製造部門及び品質管理部門等の対象部門の現状を各
部門責任者などと協議しGMP・法規制の理解、製造・
品質管理・衛生管理等のルールの理解を計画的に行う
ことができるようにする。
26
13
教育訓練年間計画書の作成例
●●年 化粧品GMP教育訓練基本計画書
期日
実施内容
対象
講師又は教育訓練
実施担当者
4月 5Sについて
5月 薬機法について
6月 GMPの目的と遵守事項
7月 GMP組織体制
8月 製造品質管理概論1
初級者
教育・訓練
プログラム
をスケ
ジュール化
する
9月 衛生管理概論
10月 微生物汚染について
11月 防虫管理について
12月 作成日:●●年●●月●●日
教育訓練責任者
教育訓練実施担当者
27
保存期間:作成日から5年間
イ 教育訓練の実施
•教育訓練は、年間計画等に基づいて実施することが
基本となる。
•新入社員への教育訓練の手順としては、全ての新
入社員を対象に行う教育【社内規定の周知、コンプ
ライアンス及び業界のプロモーションコード(守るべき
行動基準)の説明等】を行った後、GMP対象事業所
に配属された社員に対して行う導入教育が始めとな
る。
28
14
•導入教育を完了した後、配属先の年間計画等に基
づき、SOP(Standard Operating Procedure: 標準
作業手順書)教育、いわゆるOJT(On-the-Job
Training:オン・ザ・ジョブ・トレーニング)による実地訓
練を行うが、配属時点では、各部門の役割や機械操
作・作業手項等の教育を一通り行う。
•教育訓練担当者としては部門の責任者や先輩社員
が担当するのが一般的であると考えられる。
•新人等に対する教育訓練が終了した後も教育訓練
は継続して行われ、その実施については他の社員と
同様に年間計画等に基づいて行っていく。
29
ウ 教育訓練の評価
•教育訓練担当者は受講者が必要な内容をどの程度
理解しているかを把握し、教育訓練中又は教育訓練
後に評価を行う。なお、必要により再教育を実施す
る場合もある。
•評価の方法は、教育訓練内容についての習得度、
理解度を適切な方法 で評価する。
•例えば、テスト、口頭試問、講師による評価、レポート
、感想文等が考えられるが、教育訓練対象者が自己
評価する場合もある。
•また、評価結果を基に次回の教育訓練計画へ反映
させることも有効である。
30
15
口頭試問の例
•あなたはどの手順書を見て作業していますか?
•手順書等はどこに保管されていますか?
•作業の指図は誰から受けていますか?
•なぜ作業室の入室時に手洗いをするのですか?
•なぜ作業中にマスクをしなければならないのですか?
•ラインから落下した製品はどの様に取扱っていますか?
•最近の朝礼でGMPに関する話はどの様な内容でしたか?
•工程異常が発生した場合どのように対応していますか?
31
エ 教育訓練報告書・記録の作成
•教育訓練担当者は教育訓練実施後、教育内容や評
価などの詳細を記録した教育訓練実施報告書を作
成し、教育訓練責任者及び責任技術者へ報告し、
確認・承認を得る。
•また、個人ごとに教育訓練の実施状況や内容を記
録した個人別教育訓練記録を作成することも必要と
考える。
32
16
例 教育訓練実施報告書その1
化粧品GMP教育訓練実施記録
教育名
表題
教
育
内
容
受講内容
概要
実施年月日
受講年月日
●●年●●月●●日
教育訓練を受けた者
氏名
所属
氏名
所属
氏名
受講者
所属
※受講者の手書きであれば、
出席の証拠にも。
確認印欄
教育訓練
責任者
作成日:●●年●●月●●日
教育訓練実
施担当者
品質部門
責任者
他の責任者
33
保存期間:作成日から5年間
例 教育訓練実施報告書その2
化粧品GMP教育実効性評価結果報告書
実効性の
評価方法
実施対象
実施日時(期間)
所 属
氏 名
実施場所
教育訓練の内容
評
価
コメント
□定期 □新人・転入従業員 □基準書・
手順書類の変更 □設備・機器の更新・変
更 □再教育訓練 □その他
教育訓練を
行った者
教育訓練を
受けた者
(所
(所
(所
(所
(所
(所
属
属
属
属
属
属
氏
氏
氏
氏
氏
氏
名)
名)
名)
名)
名)
名)
実効性
評価結果
(計
名)
教育訓練を行っ
た目的又は理由
教育訓練内容
教育訓練
実施担当者
記載日:
印
年
日
月
受講者の
所属長
記載日:
年 月
日
印
受講した教育の実効性(理解度)を受講対象者の所属長が評価する。
34
17
例 個人別教育訓練記録
化粧品GMP教育訓練個人別教育訓練履歴書
氏名:
社員番号:
№
教育
年月
日
教育内容
所属と職務
実施した教育・訓練は
個人別に把握しておく
ことが重要。
個人別に把握することで、
●対象者が何の教育を受講し
たか一目でわかり、未受講の
ものが明確化できる。
●履歴が確認でき、再受講の
必要性が判断できる。
35
オ 記録の保管
•教育訓練実施報告書の保管については、原則として
作成の日から5年間保管する。
•なお、教育訓練に使用した教材は記録類と一緒にフ
ァイルすることは必ずしも必要ではなく、確認すること
ができるように保存しておくことで差し支えない。
•ただし、個人別教育訓練記録については、在籍中は
すべて保管する。
36
18
5.教育訓練プログラム (例)
教育訓練の種類
【1】【開催方法による分類】
•内部教育訓練
•外部教育訓練(出張):
社外の企業、団体及び行政等が実施する講習会、
研究会等についても教育訓練の対象とする。なお、
外部研修では、国内外のGMP等の動向について修
得することができ、受講者の研鑚の場となる。また、
外部研修の内容を社内関係部門に的確に報告・展
開することも教育訓練の一環となる。
37
【2】【開催時期による分類】
•新入社員教育:
新人等を対象に、GMP概論、衛生管理概論及び薬事に
関する基本的要件などについて行う基礎教育をいう。
•作業導入時教育:
新しく作業を行う場合の教育をいう。
•定期教育:
初期教育訓練終了後、年間計画又は長期計画に基づき
計画的に行う教育訓練をいう。
•非定期(臨時)教育:
あらかじめ立案してある計画書に基づかない必要時に行う
教育訓練をいう。 通例、新しく取扱う製品に関する教育訓
練、変更管理に関する教育訓練、逸脱管理に関する教育
訓練、当局からの法令・通知等を趣旨徹底するために行う
38
教育等がある。
19
非定期的教育訓練としては、以下のようなものが考え
られる。
① 新製品製造開始時
② 変更管理に基づく教育訓練
③ 逸脱管理に基づく教育訓練
④ 担当者(試験者・作業者)変更時
⑤ 薬事法等を始めとする法律改正時
⑥ 基準書・手項書類の改訂時
⑦ 回収時
⑧ 査察による指摘後
⑨ 自己研鑽(業界情報、学会情報の閲覧)
39
<参考>GMP事例集(2013年版
[問]GMP19-3(教育訓練) 一部改正施行通知第
3章第3の19(5)ア「GMP概論」、イ「衛生管理
概論」とは具体的にどのようなことを意味するのか
。
一部改正施行通知第3章第3の19(5)
第1項第1号の「製造管理及び品質管理に関する必要な教育訓練」とは、
作業の種類に応じ、次の事項を含むものであること。
ア.GMP概論(関係法令を含む。)
イ.衛生管理概論
ウ.当該製造業者等(又は製造所)におけるGMPの概要
エ.実際に実施する作業に関連する事項(実地訓練を含む。)
[答]「GMP概論」とは、関係法令を含め、医薬品・
医薬部外品GMP省令の目的、考え方等の概要を
いい、「衛生管理概論」とは、医薬品・医薬部外
品GMP省令に規定する衛生管理の目的、考え方
等の概要をいう。
40
20
【3】【目的による分類】
•GMP基礎的教育:
GMP概論 (関係法令を含め、化粧品GMPの目的
、考え方等の概要を教育するもの)、衛生管理概論(
GMP省令に規定する衛生管理の目的、考え方等の
概要を教育するもの)
• 導入時教育、継続的再評価教育:
(1)当該製造業者(製造所)におけるGMPの概要
①GMP文書:製造管理基準書、衛生管理基準書、
品質管理基準書、製品標準書及び各種手項書、
指図書、記録書等
②人事組織:製造管理者、製造部門の責任者、品質
部門の責任者等の責任体制
41
③製造管理業務
⑤構造設備の概要
④品質管理業務
(2)実際に実施する作業に関連する事項
①実際に実施する製造手項及び試験検査手項等を
教育するもの(実地訓練を含む。)
• 責任者認定教育
• 手順書制定・変更等に伴う教育
• 是正措置の一環としての教育
• スキルアップ教育
専門知識に関する事項 (製造・製造機器に関する
もの、品質管理・分析に関するもの )
42
21
実効性のある教育訓練のために
•あることをするためには、どのような知識・経
験が必要か考える。
•教育訓練の対象者を選定する。
•適切な教育訓練の方法を考える。
•適切に評価しうる方法を考える。
•必要に応じて再教育を実施する。(反復するこ
とで理解が深まる。)
※ただ、押しつけの教育訓練であってはならな
い。
43
<例>新入社員を製造作業につける
1. 新入社員教育
(内容)会社概要、GMP概論、文書管理方法、ロット番号表
示管理、衛生管理概論、手洗い着替え方法(実技)
(評価)GMP概論は小テスト、手洗い等は実技試験
2. 製造部門導入教育
(内容)製造部門の業務概要、生産品目(講習会)
(評価)講師の判断、感想文等
3. 製造作業導入教育・再評価教育
(内容)手順書、製品標準書(講習会)、製造作業(OJT)
(評価)監督者による力量評価、資格認定制度等
⇒あくまで例。製造所の規模等に応じた教育訓練を。
44
22
<例>内部監査員認定
1. 一定の職歴がある者を確認
(評価)経歴表による確認等
2. 外部団体における内部監査員研修に派遣
(評価)外部団体による修了証等
3. 実際の内部監査に臨席させる。
(評価)レポート等
45
教育訓練報告書・記録
•個別の教育訓練の実施報告(評価含む。)(実施者
→教育訓練責任者)
•その教育訓練を受けるべき者が全て受講しているこ
と。→受けていない者は再教育
•年間の教育訓練の実施報告(評価含む。)(教育訓
練責任者→責任技術者)
•教育訓練計画に照らし、適切に実施されていること。
•個人教育訓練記録又は力量表
•その従業員が業務上受けておくべき教育訓練につ
いて修了済であることがわかる記録とすること。
46
23
<参考> GMP事例集(2013年版)
[問]GMP19-1(教育訓練) 教育訓練の時間につ
いては、作業の内容により一概には決められないと考
えるが、最低何時間行えばよいか。
一部改正施行通知第3章第3の19(4)
第1項第1号の「教育訓練」とは、理論的教育と実地訓練
からなるものであること。
[答]製造する製品の種類、作業の内容等により教育訓練の内
容は大きく異なりうることから、一概に決められるものではない。
製造業者等において、実効性を評価した上で内容、時間、時期
(作業等の変更を予定している場合には、当該変更の実施前ま
でに十分な時間的余裕をもって行うこと。)等を定め、計画的に
実施すること。
47
<参考> GMP事例集(2013年版)
[問]GMP19-4(教育訓練) 一部改正施行通知第3章第3
の19(7)に「教育訓練の実効性を定期的に評価したうえで」と
あるが、この「定期的」とはどのくらいの頻度と考えればよいか。
また、「実効性を評価する」とは具体的にどのような対応をすれば
よいか。
一部改正施行通知第3章第3の19(7)
第1項第1号の「計画的に実施すること」とは、教育訓練
の実効性を定期的に評価したうえで計画的に実施する
との趣旨であること。
[答]教育訓練の実施頻度については、例えば、実地訓練は製
造する製品の種類、使用する構造設備等によって大きく異なり
うるので、製造業者等が実情に合わせ定めて差し支えない。
また、「実効性の評価」とは、製造業者等として、教育訓練の内
容が的確に実務に反映されていることを、例えば模擬製造等
により評価することをいう。
48
24
<参考> GMP事例集(2013年版)
[問]]GMP19-5(教育訓練) 医薬品・医薬部外品GMP省
令第19条第3号の教育訓練の実施の記録の中に教材を一緒
に保存しておく必要があるか。
医薬品・医薬部外品GMP省令第19条第3号
教育訓練の実施の記録を作成し、これを保管すること。
[答]必ずしも必要ない。教育訓練に使用した教材を確認する
ことができるように保存しておくことで差し支えない。
49
<参考> PIC/S GMP ガイドライン パート 1(2012年2月1日
厚労省医薬食品局監麻課事務連絡「PIC/SのGMPガイドライ
ンを活用する際の考え方について」)
第2章 人員
原則
良好な品質保証システムの確立及び維持管理、並びに医薬品
を正しく製造することにおいて、人の果たす役割に依存している
。その為、製造業者が負っている全ての責務を実施する為に十
分な数の適格な人員を有しなければならない。各人の責務はそ
れぞれの人により明確に理解され、又記録されていなければなら
ない。全ての人員は該当するGMPの原則を認識し、衛生管理の
指導を含め必要に沿った訓練を、導入時及びその後も継続的
に受講しなければならない。
⇒教育訓練は反復が大事である。
50
25
6.教育訓練実施の際の留意事項
•教育訓練は品質目標に沿って目的・教育方針を定
め、実情に合わせて計画し、実施する。教育する
側が現状を把握せず一方的に押し付けるだけでは
効果は期待できない。教育訓練は現状を把握する
ことからスタートしなければならない。
•従業員に自らの役割・位置づけを認識させ、自ら
が目標意識を持つように意欲付けさせる教育訓練
が必要である。
51
•教育訓練の手順を文書化し、計画し実施し、そ
の有効性(効果)を評価して次の教育訓練に結び
付ける。一人ひとりの力量を定期的に確認し評
価したうえで必要な教育訓練計画を立て、さら
に能力を向上させるようなプログラムにしてい
かなければならない。
•教育訓練は、GMPに関わるすべての業務に従事す
る者を対象として実施する。
したがって、従業員だけでなく、設備・施設の
保守や清掃作業に従事する者、派遣社員、工事
業者等で品質に影響を及ぼしうる作業に従事す
る者も教育訓練の対象者である。
52
26
化粧品GMPに関する説明会
製造管理について
2015年6月9日(東京)
2015年6月10日(大阪)
2015年6月12日(名古屋)
NPO―QAセンター
1
本日の内容
化粧品とは
化粧品GMPにおける製造管理
製造における重要工程と工程管理
化粧品GMPにおける製造管理の事例
(1)第6章 原料及び包装材料
(2)第7章 生産
(3)第8章 最終製品
製造環境のゾーン管理・動線管理
2
1
化粧品とは
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の
確保等に関する法律」(略:医薬品医療機器等法)
平成25年11月27日公布 法律第85号
平成26年11月25日施行
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を
増し、容貌〈ぼう〉を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保
つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使
用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和
なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二
号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的と
されている物及び医薬部外品を除く。
注:第7章「生産」 関連文書の完備
薬事法から医薬品医療機器等法に改正されたことから、製造・包装等の文書に旧
法の表現、条項を引用している場合は改訂して下さい。
3
化粧品GMPにおける製造管理
1.製品標準書に基づき製造指図書を作成し製造を指示す
ること(製造工程の指示・注意・その他必要事項)
2.製造に関する記録(製造記録)を作成し保管すること
3.原料・資材・製品の出納を記録し保管すること
4.構造設備の清浄を確認し、記録を作成し保管すること
5.職員の衛生管理を行い記録し保管すること
6.構造設備の定期点検及び計器の校正を行い記録し保管
すること(キャリブレーション)
7.製造・保管・清掃・衛生・保守点検の管理を行い、記録し
保管すること
8.その他、製造管理に必要な業務
原料・資材の受入から、原料の秤量、バルク等の調製(混合・練合等)、
充填、装てん、包装、表示、保管、最終製品の出荷までに係る一連の製
造作業を管理することにより製品の品質を確保すること。
注)製造指図書 : 以下、製造作業指図書及び包装作業指図書を含む。
製造記録 :以下、製造作業記録及び包装作業記録を含む。
製造
:化粧品GMPガイドラインでいう「生産」のこととして使用。
4
2
製造における重要工程と工程管理
品質に影響ある工程で、製品が規格に適合することを保証するため
に事前に決定した限度値以内で管理される必要のある工程条件、試
験、その他関連あるパラメータを含む工程を重要工程と言い、工程管
理を適切に行うことが求められる。
第6章
原料及び
包装材料
1.供給業者の選定
2.原材料の受入
3.試験検査
4.識別
5.保管
6.倉庫からの出荷
7.原材料の引当
8.容器洗浄
9.その他
製造管理
の流れ
第7章
生産
第8章
最終製品
1.製造指図
2.秤量・混合
3.練合(乳化)
4.充填・装填
5.包装・表示
6.試験検査
7.設備・装置の校正・点検
8.洗浄・清掃等
9.その他
原料
容器類
1.識別
2.保管
(参考品含む)
3.出荷判定
(工場・市場)
4.返品
5.苦情
6.その他
包装材料
受入試験検査
保管・出庫
保管・出庫
洗浄・乾燥等
保守
点検員
保管区域
製造用水
作業者
清掃員
5
製造作業
包装作業
秤量・混合・
練合(乳化)
充填(装てん)
包装・表示
品質管理区域
空調
ガス類
生産区域
試験検査室
外部試験室
防虫等委託先
スチーム
付帯区域
最終製品
保管・出荷
保管区域
市場
6
3
化粧品GMPにおける
製造管理の事例
7
ISO化粧品GMPガイドライン
第6章 原料及び包装材料
8
4
第6章 原料及び包装材料
6.1 原則 : 購入する原料及び包装材料は、最終製品の品質に関連して定められ
た判定基準に合致すること。
6.2 購入 : 原料及び包装材料の購入に際して、供給者の評価及び選定、欠陥、
変更、輸送条件等の技術条項を設定する。また供給者の間との関係
及び交流を設定すること。
6.3 受入 : 注文書、送り状、引渡品を照合する。輸送コンテナの完全性(目視点
検)、必要に応じ輸送データの追加的な点検を行うこと。
6.4 識別及び状態 : 原料及び包装材料の容器を識別し、表示すること。不適合
品は隔離などの状態で適切な方法で識別すること。
6.5 出庫 : 出庫許可された原料及び包装材料だけが使用されるように物理的シ
ステム又は代替システムを設けること。出庫許可は品質の権限所有者
が行うこと。
6.6 保管 : 保管条件は各原料及び包装材料の特性に適した方法で保管すること
。原料及び包装材料の容器は床から離して保管すること。モニターす
ること。
6.7 再評価 : 原材料が所定の保管期間の後に使用に適しているか判断するため
に必要に応じて再評価するシステムを設けること。
6.8 生産で使用する水の品質 : 水処理システムは、所定の品質の水を供給するも
のであること。水質の確保のためモニタリングし、
水処理装置は貯留及び汚染リスクを避けること。
9
原料及び包装材料
6.2 購入 事例
製造管理
事項
供給者と取り交わした試験検査の省略、試験検査規格以外の試験
検査の取扱い、供給業者で試験検査の一部ができない場合の扱い
等
対応事例 1
原材料メーカー(供給者)の試験検査成績書の利用による試験省略
については、少なくとも3バッチの試験検査を実施後、原材料メー
カー(供給者)の信用、納入実績、コンプライアンス遵守等を勘案し
試験省略することが望まれます。試験省略のルールについては、手
順書に規定しておきます。なお、試験省略を継続し続けることなく、
適切な間隔で全項目の試験を行うことが望まれます。
対応事例 2
供給者と品質に関する覚書等で試験検査結果の扱いを規定すると
き、①規格外の結果が出た場合の取扱い、②取り交わした試験検
査規格でも試験機器等がない、特別な試験である場合の取扱い、
③購入側で試験検査して不合格であれば返品するなどの取扱い、
などを規定することが望まれます。
対応事例 3
容器・表示・箱・能書等の外観検査は寸法・内容以外に写真・現物
見本を受入検査規格に貼付するなど、品質を確保する方法を明確
にしておくことが望まれます。
10
5
原料及び包装材料
6.3 受入 事例
製造管理
事項
入荷した原料・包装材料の受け入れ、及びバルク製品の受け入れ
対応事例 1
入荷した原料及び包装材料は、適正な表示物(供給者の名称等)を
伴う物なので受け入れる前に、表示を確認すること。容器の破損、封
緘の破損、表示内容等の無断変更、又は汚染の形跡などがないこと
を外観検査により確認することが求められます。
外装の濡れ、泥や足跡等の汚れなどは内容物の品質への影響のお
それもあることから外観検査を実施することが望まれます。
対応事例 2
識別するための表示材料は、発行量、使用量及び返却量の収支を
確認し、表示材料を貼付した容器又は被包の数と発行量等に差異
が生じた場合には、間違って他の物に貼付している場合もあることか
ら調査(原因究明)を行うことを勧めます。
対応事例 3
バッチ番号その他バッチに関連した事項が表示された余剰表示材料
については、混同防止の観点から全て廃棄することが望まれます。
11
化粧品原料・包装材料受入部門における照合及び外観検査(参考)
検 収 事 項
分類
原料
容器
表示材料及
び包装材料
バ
ル
ク
購入品
品
仕掛品
半製品
照合確認
メーカー、品名、仕様、
数量、管理番号等につ
いて現品及び納入伝票
を注文書と照合する
外観確認
容器、梱包等の汚損チェック
材質、形態、汚損等チェック
材質、形態、汚損等チェック
品名、仕様、数量、製造
番号等を納品伝票、出
荷伝票等で照合する
材質、形態、汚損等チェック
品名、数量、製造番号等
を製造指図書と照合する
汚損等について、チェックシートと
照合する。(前工程の担当者立会
いでチェックする)等
12
6
原料及び包装材料
6.4 識別及び状態 事例
製造管理事項
原料・包装材料受け入れ後の管理方法、識別・表示方法、状態表
示方法
対応事例 1
供給者の付与したバッチ番号を使わず、自社で原料・包装材料に
バッチ番号を付与する場合は、原料の製造番号設定基準、包装材
料の管理番号設定基準等(仮称)のルールを定め手順書に規定し
た内容で付与することが望まれます。バッチ番号は、入荷年・入荷月
日・使用大分類(有効成分・添加物等)入荷順などが分かる番号が
望まれます。原料・包装材料入荷後の試験検査は、品質管理部門
(QC)による抜取ラベルを貼付し、原料・包装材料の受入試験検査
を実施する。原料・包装材料のバッチごと試験中・合格・不合格・返
品等の状態が分かるように表示しておくことが求められます。
対応事例 2
自社で原料にバッチ番号を付与する場合は、他の原料と区別が出
来ること以外に、起源・原産地等トレイサビリティーの取れる識別が
望ましいが、バッチ番号等の表示にそれらの情報が盛り込まれなく
ても、直ぐに追跡できる管理を行うことが望まれます。
13
原料及び包装材料
6.5 出庫 事例
製造管理事項
原料・包装材料出庫のコンピュータ管理、先入れ先出しのルール、
在庫管理の方法
対応事例 1
原料・包装材料の出庫管理をコンピュータで管理している場合は、
品質部門の責任者の試験検査合格判定が行われてから品質部門
の責任者(権限所有者)がコンピュータのロックを解除するなど、間
違って出庫しないように管理することが求められます。
対応事例 2
原料・包装材料の出庫は、先入先出を行います(在庫回転)。再試
験等の理由で先入先出ができない場合の対応は、使用した原料・
包装材料のトレイサビリティーが取れるよう製造管理標準書等に規
定し運用します。その処置は、逸脱管理で対応し記録しておくなど
の方法があります。
対応事例 3
原料・包装材料の出庫後、在庫引当を行った後で差異が認められ
た場合、出庫ミス、秤量ミス、表示ミスが疑われるので徹底した原
因究明を行い、是正措置を行うことが求められます。
14
7
原料及び包装材料
6.6 保管 事例
製造管理事項
原料・包装材料の保管条件、その他の注意点
対応事例 1
原料・包装材料の容器(ファイバードラム、バッグ、箱等)は、直接床
の上に置かないこと、また清掃や検査を行うため、必要な場合は適
切に間隔をあけて保管することが望まれます。
対応事例 2
原料を他の容器等へ移し換えるとき、又は秤量後の原料を他の包
材(内袋)に移し換える場合、静電気防止対応のビニール袋等の使
用で異物混入対策を行うなどの方法があります。
対応事例 3
原料・包装材料の保管は、識別管理及び防虫管理を、保管条件を
守るなど、製造管理標準書で定めたルールに従い管理・記録するこ
とが求められます。
原料、包装材料は、品目名、バッチ番号、使用数量、不良数量、戻
入数量、密閉状態を確認し異種品と混同しないよう適正に保管す
ることが求められます。
15
原料及び包装材料
6.7 再評価 事例
製造管理事項
原料・包装材料の使用後の取扱い、再使用の評価
対応事例 1
製品のバッチ番号が印字・押印された表示、包装材料は使用残と
して製造記録に記入し、廃棄数量を記録した後、廃棄し混同を防
止することが望まれます。(戻入品以外)
対応事例 2
原料の使用期限を設定する場合、及び再試験(リテスト)による使
用を設定する場合は、妥当性を確認し原料試験有効期間設定基
準書等(仮名)に規定して運用する方法があります。
なお、再評価(使用)のルールがなく、安定性が確認できない原料
で使用期限を超えた場合は、廃棄するようにして下さい。
対応事例 3
保管期間の超えた包装材料を再使用する場合は、再検査等の
ルールを規定し運用するなどの方法があります。再使用が無理な
包装材料の場合は、廃棄に関するルール定め混同を防止すること
が望まれます。
16
8
生産で使用する水の管理のポイント (参考)
1.水の用途により水の種類を定めて使用することが求められます。
製造設備等の洗浄 : 水道水
作業者の手洗い等 : 水道水
製造用水
: 水道水(水道法の水質基準、WHO飲料水指針)
(日本薬局方の常水)
精製水(医薬部外品原料規格「以下:外原規」、
日本薬局方「以下:日局」)
*他にRO水、UF水、蒸留水
2.製造用水は適切な方法で管理することが望まれます。
①日常管理(導電率・全有機体炭素「TOC」・不溶性微粒子・
生菌数等)
②定期期的なモニタリング(外原規・局方の規格参照*)
③定期的な洗浄・滅菌(消毒含む)
④計測機器の校正
*使用目的に応じ生菌数、特定微生物、エンドトキシン等を検査する。
17
原料及び包装材料
6.8 生産で使用する水の管理 事例
製造管理事項 製造用水のモニタリング
対応事例 1
製造用水の全てのユースポイントで、目的とする品質基準を満たしてい
ることを保証できるようにモニタリングすることが望まれます。また計測
器の校正は日常管理等で保証することが望まれます。
品質基準については、外原規あるいは日局を参照して下さい。
対応事例 2
外部試験検査機関に試験を委託している場合、水のサンプリングの方
法、サンプリング箇所、サンプリング容器、輸送方法等は、委託先の試
験検査機関と相談し適切な方法で行うことが望まれます。
対応事例 3
精製水の配管で滞留などのおそれのある個所は、バイオフィルム形成
など精製水の汚染につながることから、定期的に分解洗浄、あるいは
日常的に洗浄、滅菌(消毒含む)を行うことが望まれます。
18
9
精製水の品質比較
項目
外原規2006追補2
第16改正日本薬局方
性状
無色の色、においなし
無色澄明、無味無臭
PH
5.0~7.0
(1)塩化物
変化しない
導電率(25℃)
(2)硫酸塩
変化しない
2.1μS・cm-1以下
(3)残留塩素
純
度
試
験
ー
ー
(4)アンモニア
比較液より濃くない
(5)二酸化炭素
変化しない
(6)カルシウム
変化しない
(7)重金属
変化しない
(8)過マンガン酸
カリウム還元性物質
変化しない
蒸発残留物
1mg以下
全有機体炭素(TOC)
0.5mg/L以下
ー
19
ISO化粧品GMPガイドライン
第7章 生産
20
10
第7章 生産
7.1 原則
: 製造作業及び包装作業の各段階において、
所定の特性を満たす最終製品を生産するよ
うに措置を講じること。
7.2 製造作業 : 製造作業の関連文書を完備すること。作業
開始前の点検、バッチ番号の指定、作業工
程の識別、工程管理等を適切に行うこと。バ
ルク製品は適切な容器に入れ適切な条件で
保管すること。
7.3 包装作業 : 包装作業の関連文書を完備すること。作業
開始前の点検、バッチ番号の指定、包装ライ
ンの識別、工程管理等を適切に行うこと。包
装材料の再保管は適切に識別すること。
21
生産・製造管理
7.2 製造作業
関連文書 「製造指図書」
事例
製造管理事項
製造指図書の記載内容の一部省略、標準時間・標準収量の考え方
対応事例 1
製造指図書記載事項の省略は原則さけることが望まれます。毎日
同じ製品を同じ量、同じ製造方法により製造する場合、共通事項を
省略して、指図年月日、バッチ番号等必要事項のみ記載する方法
は、バッチの混同等のミス、バッチ毎の製造工程の未確認に繋がり
製造管理の信頼性を損なうおそれがあることから製造指図書は全
ての必要事項を記載することが望まれます。
対応事例 2
実際に製造した時の標準的(平均的)作業時間・製品収量(収率)を
製品標準書に規定し、製造指図書に「標準時間」「標準収量」として
指図すると、実製造で「標準時間」「標準収量」から逸脱した場合は、
製造工程の異常などが考えられることから、原因究明することは品
質保証するうえで有効な方法となります。
22
11
製造指図書
[目的]
製造指図書を作成する目的は、各製造工程において、混同、手違いがなく、
作業が正しく行われるようにすることです。
[作成]
製造指図書は製造管理業務の内容を熟知した職員のなかから責任者として
あらかじめ指定したものが作成することが望まれます。
[様式]
製造指図書の様式は、製造する製品、各製造所の実情等を考慮して出来る
だけ使用しやすく、かつ必要事項が盛り込まれていればどのような様式でも可
能です。
[記録]
製造指図書に基づく製造・包装の記録は、製造工程ごとに作成する方法、全
工程を一括して作成する方法があります。また、製造記録であることが明確に
なっていれば、製造指図書と同一用紙に記録することをお勧めします(製造指
図書・記録書)。必要事項がその都度確実に記録されるものを作成すること
が望まれます。
23
製造指図書の記載内容(例)
1.製造指図書作成者名・製造指図書承認者名(指図者)・製造指図年月日
2.製品名(販売名)・製品コード№(識別コード№) ・バッチ番号・生産数量
3.製造開始年月日~製造終了年月日・製造標準時間・製造標準収量
・製造作業標準人数
4.全成分名と基準仕込み量(基本処方)・全成分の使用量(バッチ番号)
5.包装材料及び表示材料の出庫数量・使用数量
6.製造に関連する文書番号 (例: 製品標準書・製造管理標準書・品質管理
標準書・衛生管理手順書・******製品の製造手順書他)
7.製造及び包装作業順ごとの詳細な作業手順又は工程名・使用施設(作業
所)・設備装置(パラメータ等条件含む)
8.品質試験検査関連指示事項
9.注意事項・特記事項・その他
12
7.2 製造作業 秤量 事例
製造管理事項
原料の秤量
対応事例 1
秤量の都度、原料を秤量室へ搬入し、秤量後原料倉庫に戻すこと
は煩雑なので外装を清潔な状態にし、混同や汚染を避けるようにし
て秤量室で保管してよいかとの問いがあるが、現場在庫は、誤使用、
汚染、劣化等などの原因となることから避けること。
・例外として、例えば「適量」使用としているpH調整剤等を現場在庫
する場合、保管方法・使用期限等を品質管理標準書に規定して現
場在庫として使用する方法があります。
対応事例 2
原料の残庫確認は、使用後その都度行うことが望まれます。理論残
庫量と差異がある場合は、他の物を秤量したり、秤取量を間違った
り等の秤量ミスのおそれがあることから原因究明が求められます。
対応事例 3
秤量に使用する調製タンク等の設備は、洗浄の妥当性確認の結果
(出来れば)に基づき洗浄、消毒、乾燥しておくこと。また、秤量に使
用する容器・器具類は異物汚染、キャリーオーバー等を防止するため
十分に洗浄・消毒・乾燥し保管しておくことが求められます。製造に
使用する前には、洗浄済表示等を確認することが望まれます。
対応事例 4
秤量残の原料は、保管条件に合わせ容器を閉じて(密閉容器・気密
容器・密封容器等)保管し識別しておくことが求められています。
25
7.2 製造作業 計器の校正・トレーサビリティ 事例
製造管理事項
校正の対象計器、校正の状態表示
対応事例 1
製造作業、工程管理等に使用する計器類うち校正の対象とする計
器とは、計器の特性、使用目的、使用頻度により、製品の品質確保
に必要と思われる計器を選定し校正の対象計器として定める方法が
あります。少なくとも品質に影響を及ぼしうる計器については定期的
に校正を実施することが求められます。
対応事例 2
重要な計器については、校正状態が分かるように表示(適合・次回
校正実施日等)しておくことが望まれます。校正基準に適合しない計
器には「使用不可」の識別表示を行うことが求められています。重要
な計器が、校正において、逸脱していた場合は、原因究明、当該製
品の措置と同時に、前回校正以降に当該計器を用いて製造された
製品の品質への影響を評価し、所要の措置を採ることが望まれます。
対応事例 3
国家標準が存在する場合には、当該標準まで追跡することが可能な
方法により校正されていること(トレーサビリティ)、国家標準が存在し
ない場合には、校正の根拠について記録しておくことが望まれます。
26
13
7.2 製造作業 作業開始前の点検 事例
製造管理事項
作業開始前のチェック方法、製造における工程管理の方法等
対応事例 1
作業開始前には、設備、機器の清掃及び消毒済(必要に応じ)の記
録を確認することが求められています。なお、作業終了後は清掃・消
毒(必要に応じ)を行い記録をつけ、ラインに洗浄済の表示しておくこ
とが望まれます。その他、製造記録には、前の製造製品が何か、装置
内に他の製品が残っていないかを確認し記録することなどが異物汚
染・交差汚染防止に役立つ方法の一つです。
対応事例 2
工程管理は、製品の特性に応じ判定基準を定め、異物・充填量・質
量・粒度・粘度等をチェックすることが求められます。製造設備のパラ
メータ管理は、機器の特性に合わせ、例えば、供給温度及び排気温
度・湿度・時間・回転数・速度・圧力等の許容幅を設定し運用すること
が求められます。判定基準を満たさない場合の処置については、手順
書に原因究明・当該製品の処置等を規定しおき適切に処理すること
(逸脱管理)が求められます。
対応事例 3
製品毎に設定された管理目標値を確認し、製造記録の収量・作業時
間・作業人数等と標準値の差を管理することは、工程の安定化や逸
脱防止等に有効な方法の一つです。
27
製造作業のチェック項目 (参考)
「始業時点検」
・製品名、バッチ番号、設備の洗浄状態等の確認、試運転、検
査装置は限度見本等による不良品検出感度の確認、設備に
使用するエアーの汚れ(油汚染等)
「稼動時点検」
・定期的な工程管理項目のチェック、チョコ停発生頻度の確認、
稼動時間
「終了時点検」
・稼動時間、生産収量、ライン内の製品残、洗浄済
28
14
7.3.2 包装作業 作業開始前の点検
事例
製造管理事項
包装作業開始前の工程管理の方法等
対応事例 1
作業区域及び包装設備は、他の製品等による交差汚染が起きな
いよう片づけられていること、清潔であることが求められます。なお、
設備は必要に応じ検査用見本品等を準備し設備稼働前のチェック
を行い設備が適切に稼働できる状態であることを記録しておくこと
が望まれます。また、チェック後は検査用見本品を戻入したことを記
録し製品に間違って混入しないようにして下さい。
対応事例 2
日常点検では、作業開始前に、計測機器、製造に係る装置類の稼
働状況等の点検を行うことが望まれます。そのための標準品、標準
分銅、検査見本・限度見本等を準備しておくことが望まれます。
包装工程内にあるウエイトチェッカーは、作業開始前、作業途中、
作業終了時に標準分銅等で確認し、記録することが望まれます。
定期点検では、製造に係る装置類の稼働状況等の保守点検以外
に校正の対象計器類は有効期限内であることを確認することが求
められています。
対応事例 3
作業開始前は、作業者の健康及び衛生チェック、作業衣チェックを
行い記録することが求められます。作業担当の責任者は、作業従
事者の健康状態を確認する場合、作業従事者からの自己申告は
29
少ないこと(過小評価)を認識しておくことが望まれます。
包装作業のチェック項目 (参考)
「始業時点検」
・製品名、バッチ番号、製造年月日、使用期限、シール温度、
シール圧力、のり接着状態、ウエイトチェッカーの過不足検知状
態、使用エアーの汚れ(油汚染等)
「稼動時点検」
・印字又は押印の有り無し、印字又は押印不良有り無し、チョコ
停の内容記録、真空及び加圧数値、外観(汚れ、毛髪、昆虫
等)、稼動時間
「終了時点検」
・稼動時間、生産収量、ライン内の製品残、包装材料の使用数
量又は使用残と製品の整合性、廃棄の記録、系外排出品、洗
浄済
30
15
7.3 包装作業
工程管理 事例
製造管理事項
異種品等の混入防止(交差汚染防止)、不良品の見逃し防止等
対応事例 1
包装ラインは隣のラインから他の製品、不良品等が混入しないよう
パーテーション等の間仕切り又はつい立等の適切なものでラインを
明確に分けるなどの方法があります。
対応事例 2
一人の外観検査者に、汚れ・印字・損傷・封緘状態等数通りの
チェックを課しても検査できませません。検査項目を絞る、検査機器
の導入、検査員の増員などを検討して下さい。
外観検査の集中力を維持するには、適切な休憩時間、定期的な交
代などの方法があります。
対応事例 3
不良検知センサー類の欠点(特徴)を知っておくと工程管理に有益
です。例えば、くっついて流れた場合、反対方向、裏返しに流れた場
合、チョコ停からの復帰の場合などです。
対応事例 4
法定表示が義務付けられている包装材料は枚数管理を厳密に行い、
過不足が発生した場合、即対応できる作業方法を確立しておくこと
が望まれます。例えば、過不足があれば、その作業単位の製品を全
て開封し原因を調査するなど、分からないままにしないことが大事で
す。
31
7.3.4 包装作業 識別・表示 事例
製造管理事項 表示項目の確認等
対応事例 1
化粧品の表示については、「医薬品医療機器等法第61条」に記載され
ている表示が正しく記載されているか確認することが大事です。
誤字、脱字等があれば回収に繋がりますので作業開始前、作業中を通
し、目視検査の状況、印字装置のトラブル等回復後、印字等検査機の
稼働状況を確認することが望まれます。
対応事例 2
製品の試験検査が終了する前に自社の分置倉庫に移動する場合は、
試験検査の結果が上がり次第、分置倉庫にある本製品の検査表示を
「合格・再検査中・不合格等」の状態に合わせた表示を行い識別区分し
保管することが求められます。
対応事例 3
包装材料の確認方法として、一部切り取り製造記録へ貼付する方法が
あります。
32
16
製造記録の記入のポイント (参考)
・空欄がないこと(書いていないと実施してないと判断)
・鉛筆やメモ書きがないこと(記録の信頼性)
・修正・変更は、前の文字が判読できよう、一重線又は二重線
で消し、署名・日付・理由を明らかに
(改ざんの否定、記録の正確性、記録の信頼性)
・製品名、製造所(作業室)名、バッチ番号、作業者、使用原料
(製造用水含む)及び包装材料の名称・管理番号等・使用量・
廃棄量、承認者の署名等抜けがないこと(記録の信頼性)
・収量・収率の計算に間違いないこと(標準的作業の担保)
・次工程に送る場合、数量があっていること(作業の信頼性)
・バッチ構成は指図書通りになっていること(作業の正確性)
・重要工程は2人以上の確認、署名(作業の信頼性)
・作業、検査、出荷、確認、承認等日付の整合性(作業の信頼性)
・工程管理の結果及び逸脱があった場合の内容・評価・措置・結
論(作業の適切性)
・製造途中の措置があれば、その内容(作業の適切性)
・変更の有無、変更の内容・評価・措置・結論(作業の適切性)
・作業室内の環境管理(温湿度、室間差圧、微粒子等)の状態等
(製造環境の適切性)
・使用後の設備の洗浄、点検等の記録(設備の信頼性)
17
ISO化粧品GMPガイドライン
第8章 最終製品
35
第8章 最終製品
8.1 原則 : 最終製品は定められた判定基準を満たすこと。保
管、出荷及び返品は最終製品の品質を維持できる
方法で管理すること。
8.2 出荷 : 全ての最終製品は、市販する前に、確立された試
験方法に従って管理され、判定基準に適合するこ
と。出荷は品質に責任ある権限所有者が行うこと。
8.3 保管 : 最終製品は所定の場所に、適切な条件下で適切
な期間保管すること。必要に応じモニターすること。
出荷可、検査中、不合格とする場合は、それらをそ
れぞれ物理的あるいは同程度の信頼性がある他の
システムを用いて保管すること。
8.4 出荷 : 判定基準を満たす最終製品の出荷を確実にする措
置を講じること。
8.5 返品 : 返品は適切な方法で識別し、所定の区域に保管す
ること。
36
18
製造所出荷及び市場出荷
作業者の妥当性
GMP
原
材
料
等
保管
場所
製
造
業
者
の
保
管
場
所
製造手順・原材料
受入
QC
合
格 製造
場所
工程
管理
QC
合
格
製品
試験
QC
仮置き
又は
保管場所
試験
検査室
確認者・承認者
逸脱・変更管理
合格
出荷
判定
製造所から
の出荷
製販の情報有無
試験検査
GQP
製造販売業の
品質保証責任者
又は
製造業の指名者
市場
可否
判定
市場への出荷
製造記録の確認、洗浄記録、環境記録、
防虫記録、校正、包装・表示、製造所から
の出荷、試験検査記録・品質等情報・安全
性情報等
販売業者の倉庫
物流センター
店舗
消費者
37
最終製品・製造管理
8.2 出荷 製造所からの出荷 事例
製造管理事項
製造所からの出荷
対応事例 1
製造所から出荷された最終製品の識別は、市場へ出荷するための
試験検査中なのか試験検査合格済製品なのか適切に表示している
ことが求められます。
対応事例 2
同一法人でも販売業の保管場所(製造業の保管場所以外)へ移動
する場合は「市場への出荷決定」が行われた製品であるか確認して
おくことが大事です。
38
19
製造所からの出荷判定 チェック表例 (参考)
分類
チェック項目
表示
製品名
バッチ番号
製造年月日
使用期限
成分名称
内容
原料の受入れ試験結果は適切か
包装材料の受入れ試験結果は適切か
最終製品の試験結果は適切か
製造記録・品質記録は適切か
製造各工程における責任者等の確認(承認)は適切に行ったか
衛生記録・清掃記録・環境管理は適切に行ったか
計測機器の点検・校正(キャリブレーション)適切か
使用設備の洗浄結果は適切か
逸脱、変更があった場合の管理は適切に行ったか
製造販売業者等からの品質情報はなかったか
その他
品質部門の権限所有者が「製造所からの出荷判定」をする
確認
レ点
39
8.3 保管
事例
製造管理事項
製品の保管
対応事例 1
製品の個々の容器及び一群の容器は、識別コード、バッチ番号、(受
領番号)等で識別表示し、当該番号により各バッチの配置、移動を管
理する。また各バッチの管理状態として、「試験検査中」「合格品」「不
合格品」「返品」「出荷可否決定待ち」「出荷可」「出荷不可」「回収品」
「廃棄」等の表示を行い確認できるようにしておくことが求められます。
対応事例 2
製品が保管されている容器(ファイバードラム、箱等)は原則として直
接床に置かないことが求められています。また、清掃、検査を行うため
に必要な場合は適切な間隔をあけて置いておくことが望まれます。
対応事例 3
不合格(不適合)と判定された製品は、許可なく使用されることの無い
よう識別され、所定の区域に区画して保管することが望まれます。
対応事例 4
製品の保管に際しては、区別・区分・区画保管を手順書等に規定し適
切に保管することが望まれます。(参考:区別とは、場所、物を識別す
るために類によって分けることをいう。区分とは、線引き、ついたて等
により一定の場所や物を分けることをいう。区画とは、壁、間仕切り板
等により仕切られた一定の場所をいう。)
40
20
8.4 出荷 事例
製造管理事項
市場への出荷
対応事例 1
市場への出荷は、製造販売業者の品質保証責任者か、製造販
売業者から市場への出荷決定の委託を受けた製造業の指定され
た者が出荷の決定を行い出荷することになります。製造業者の指
定された者が市場への出荷を行った場合、出納記録等を品質保
証責任者に報告することになります。
対応事例 2
最終製品は先入先出の規定に基づき出荷することが求められて
います(在庫回転の確保)。先入先出のルールからの逸脱した場
合は、逸脱管理等の手順書に取扱いのルールを規定し適切に処
理することが望まれます。
対応事例 3
適切な出荷のため、運送業者を選定する場合の選定方法は以下
による選定方法などがあります。
・製品の輸送テストの実施
・輸送に関する品質維持の契約書
・温度管理等の保管条件のある製品は温度自記記録センサー等
で確認する(例:データロガ使用)
41
市場への出荷判定 チェック表例 (参考)
分類
チェック項目
確認
レ点
表示
製品名
バッチ番号
製造年月日
使用期限
成分名称
内容
製造所からの出荷は適切に行ったか
ラベル・包装表示の管理は適切に行ったか
製造業者の製造管理・品質管理は適切か
最終製品の試験監査記録は適切か
担当者、責任者等の確認及び承認は適切に行ったか
製造所の衛生記録・清掃記録・環境管理は適切に行ったか
使用設備の洗浄記録は適切か
逸脱、変更管理は無かったか、あった場合の処置は適切に行ったか
製造業者等からの品質情報(品質、有効性、安全性)はなかったか、
あった場合の処置は適切か
その他
品質保証責任者が「市場への出荷判定」をする。
(製造業者に委託可能)
42
21
化粧品・医薬部外品の市場への出荷の可否決定記録 例 (参考)
市場への出荷可否決定書
下記の化粧品・医薬部外品の出荷の可否について、以下のとおり決定する
販売名 :
製造番号 :
数量
:
<確認事項>
製造所からの出荷可否の決定の記録
: 有( 可 ・ 否) ・ 無
当該製品の試験検査成績書
: 有( 適 ・ 不適) ・ 無
当該製品の品質、有効性及び安全性に関する情報 : 有* ・ 無
原材料等の品質、有効性及び安全性に関する情報 : 有* ・ 無
逸脱の有無と措置の確認
: 有(措置 適正 ・不適正) ・ 無
<特記事項>
*情報、判断結果、理由を記載
<決定>
市場への出荷の可否 : 可 ・ 否
決定年月日 :
年
月
日
決定者:品質保証責任者・ 品質保証部門の指定者 (該当者に○)
氏名 :
8.5 返品
印
43
事例
製造管理事項 返品に伴う処理、及び再加工の扱い
対応事例 1
返品された製品の保管、輸送条件、容器の状態により、その品質
が疑われる場合は再加工、廃棄等の処置を行うことが求められま
す。
対応事例 2
再加工とは、基準又は規格に合格しないものを、設定された製造
工程に戻し製造を繰り返すことをいいます。合格すれば再出荷可能
であるが返品された製品ごとに、①荷受者の氏名、荷受け場所、
②製品名・バッチ番号、③返品理由を製造記録に残すことが望ま
れます。
対応事例 3
返品された製品等は区分または区画した場所で保管し間違って出
荷されないよう識別し表示することが求められます。返品の原因調
査を行い、必要に応じ是正措置・予防措置を計画することが望まれ
ます。
44
22
製造環境のゾーン管理と動線管理
GMPで求める構造設備は、「間違いを防止する」、「汚
染を防止する」ことが基本にあります。
(1)ゾーニング
原材料を保管する部屋、原料を量る部屋、化粧品を
充填する部屋、化粧品を箱詰めする部屋、それぞれ
必要な清潔レベル(清浄度)は違います。必用とされ
る清浄度を保つため、特に高い清浄度を保つべき部
屋は他の部屋と区別する必要があります。
45
(2)動線
原材料等、物の出入口と作業者等、人の出入り口は
区別して交差汚染・異物汚染・混同を防止する必用が
あります。清浄度の高い部屋に入るには、様々な方法
で汚れを落とし綺麗な状態にしてから入室、持ち込み
を行います。廃棄物は人・物の動線と区別し交差汚染
を防止することが求められます。構造設備上同じ動線
を使う場合は時間区分を設け交差しないように手順
書に定めておくなどで運用することが望まれます。
46
23
ISO化粧品GMPガイドライン
4.構造設備
4.2 区域の種類
保管区域、生産区域、品質管理区域、付帯区域、手
洗い・トイレ区域など区画するか又は範囲が定められた
区域を提供すること。
4.4動線
混同を防止するように建物内の材料、製品及び従業
員の動線を規定すること。 *11.3で解説
47
ISO化粧品GMPガイドライン
11.3 動線
11.3.1 廃棄物の動線は生産及び試験の作業に影響を及
ぼさないこと。
11.3.2 廃棄物の収集、輸送、保管及び処分に関して適切
な措置を講じること。
11.4 容器
廃棄物の容器は、必要に応じて内容物その他の情報で識別す
ること。
11.5 処分
廃棄物の処分は、十分な管理の下で適切な方法で行うこと。
48
24
4.2 区域の種類 「ゾーニング」 事例
製造管理事項
生産区域と清浄度区分
対応事例 1
生産区域は、製造作業の管理レベルを評価し、汚染防止、混同防
止の観点から清浄度を設定することが望まれます。清浄度は、その
清浄度区分ごとに作業者(部外者含む)の衛生管理(入室制限、
飲食行為の禁止、行動の制限、健康状態等)、服装基準、更衣手
順を規定すること、また清浄度区分に応じて環境管理基準(空調・
清掃・消毒・持込物取扱等)を規定することが望まれます。別紙参
照
対応事例 2
事例1で管理した記録を日常衛生管理あるいは清掃・消毒履歴、
製造衛生管理等として記録することは、作業の信頼性・製造環境
の適切性に繋がりますので対応しておくことが望まれます。
対応事例 3
清浄度区分は各設定区域・作業室に色別等で分かるように明示
しておくことが望まれます。製造管理標準書または衛生管理手順
書等に詳細に規定しておくことが望まれます。
49
11.3 動線 事例
製造管理事項
作業者・原料、包装材料・廃棄物の動線表示、廃棄物の種類、廃
棄物と原料・包装材料の混在する場合の対応等
対応事例 1
作業者、原料、包装材料、廃棄物の流れ(動線)を衛生管理手順
書に図示しておくことが望まれます。
対応事例 2
廃棄物とは化粧品の製造後不要となった全ての物で、原料の粉
末・カプセル・廃液等、包装材料の個装箱・お知らせ文書・PTP屑・
容器類等があり分別して排出する等の手順を規定することが求め
られます。
対応事例 3
廃棄物は廃棄物であることが分かるように表示し、原料、包装材
料、製品と区分して保管し、廃棄物による汚染、混同を防止をする
こと。製品等と廃棄物の動線を分けることが求められています。動
線を分けることが難しい場合は時間帯を分けて移動するなど手順
書に規定しておく方法があります。
50
25
化粧品GMP解説1988年版(厚生省薬務局監視指導課編)
清 クリーム
浄 乳液類
度
口紅類
参考
白粉打粉類 マニュキュア アイライナー
類
等特殊
化粧品類
A
秤量・調製
・充填
B 秤量・調製・充 秤量・調製・充
填(成形
填(成形
装填含む)
装填含む)
装填
C
秤量・調製・ 秤量・調
充填
製・充填
(プレス成
形含む)
D 包装
包装
包装
包装
包装
清浄度 A>D 各清浄度の基準値は未設定
リスクに応じた清浄度区分
51
清浄度別作業室の作業区分事例(参考:医薬品の場合)
クラス100
無菌
操作
区域
重要区域
直接支援
区域
クラス
10000
その他の支援区域
・充填前の無菌作業
グレードA ・無菌充填
・容器閉塞 等
・重要区域の運転操作及び監視作業
グレードB ・滅菌後の製品及び資材等の搬出入
・滅菌前の製品及び原材料の秤量等作業区域
グレードC ・滅菌前の薬液の調製作業
・無菌操作に使用する装置、器具等の洗浄作業
グレードD
・密封容器を使うなど汚染を極力少なくしている
場合は溶液の調製、原料の秤量が許容される
・容器類の充填前の調整
注)クラス分類については、日本薬局方の参考情報を参照して下さい。
52
26
化粧品GMPに関する説明会
品質管理について
2015年6月9日(東京)
2015年6月10日(大阪)
2015年6月12日(名古屋)
NPO―QAセンター
1
1. 品質管理の意義
2. 原料及び資材の試験検査
1. サンプリングでの留意事項
(9.1 原則)
(9.7 サンプリング)
2. 試験検査での留意事項
試験方法
分析法の妥当性確認
試薬、試液、標準品、培地
3. 生データの品質と保存
規格外の結果(OOS)
3. 工程内検査
4. 最終製品の試験検査
1. 出荷許可
2. 参考品・保存品の管理
3. 安定性モニタリング
(9.2 試験方法、9.3 判定基準、9.4 結果)
(5.4 校正)、ICH Q2A・Q2B
(9.6 試薬、溶液、標準品、培地)
(Q8-10)
(9.5 規格外の結果)
(7.2.5 工程管理)
(8.1 原則、8.2 出荷許可)
(9.8 保管サンプル)、医薬品GMP
医薬品GMP
5. 品質マネジメント
1.
製品品質の照査
医薬品GMP、ICH Q10
2.
原料等供給業者の管理
医薬品GMP、ICH Q10
3.
品質リスクマネジメントについて
医薬品GMP、ICH Q9
() 内は化粧品GMPの該当事項
2
1
品質管理の意義
9.1 原則
9.1.1 「従業員」、「構造設備」、「機器」、「委託」
及び「文書化」について述べた原則を品質管理
(試験室)に適用すること。
9.1.2 品質管理(試験室)は、品質が要求される
判定基準を満たしている場合にのみ、原材料の
使用が許可され、製品の出荷が許可されるよう
に、サンプリング及び試験のための必要かつ関
連する管理が実施されるようにする責任を負う。
3
目玉焼きを作ろう!!
化粧品製造は、
料理作りに似て
います!
4
2
様々なチェックポ
イントがあります
5
原材料管理
•受け入れ・保管
(FIFO、保証期間)
•適否判定
•不適品の処置
先ず、良い原料を使わな
くてはなりません
6
3
製造管理
•手順書(製造指図書原本)
•バッチ製造記録
•工程管理(IPC、ILC)
•時間制限
•再加工・再処理
次にレシピに従って
料理します
7
試験室管理
•試験検査
•出荷判定
•安定性試験
•参考品・保存品
最後に、できばえを確認し、
食卓に運びます
8
4
品質マネジメント





全てがうまくいくように、ア
レンジすることも必要です
経営者の関与
製品品質の照査
マネジメントレビュー
品質部門の独立性
品質部門の責任


品質文書の承認
製品品質の監視
(含:是正措置、変更管理等)

供給業者の管理
9
それを管理するのが品質部門です
品質部門(品質保証及び品質管理)を行う部門は、
製造所の他の部門から独立していること(3.2.1.3)
[組織図の例]
製造所
工場長
品質保証の責任者
品質管理の責任者
品質部門
製造部門の責任者
10
5
品質管理の仕事を整理すると;
品質管理の仕事
1. 原料、包装材料、バルク製品及び最終製品のサンプルのサンプリング方法
2. サンプルのサンプリング場所を指定する事項
3. 原料のサンプルのサンプリングを原料の保管場所で行う場合、原料に対する汚
染防止の方法
4. 原料、包装材料、バルク製品及び最終製品の試験検査に関する事項
5. 試験検査の実施に関する事項
6. 試験検査結果の記録に関する事項
7. 試験検査結果の判定方法
8. 判定結果の生産部門への伝達方法
9. 保管サンプルのサンプリング及び管理に関する事項
10. 経時変化試験を実施する場合の方法に関する事項
11. 試験検査に関する設備及び器具の点検整備に関する事項
12. 試験検査に用いられる標準品及び試薬試液等の品質確保に関する事項
13. 再試験検査を必要とする場合の取り扱いに関する事項
14. 試験検査について、他の試験検査設備又は他の試験機関を利用する場合のサ
ンプルの送付方法、試験検査結果の判定方法に関する事項
15. 制定者及び制定年月日
16. 改訂した場合には、改訂者、改訂年月日、改訂事項及び改訂理由
サンプリング
試験検査
使用許可(含 IPC)
参考品・保存品
安定性試験
保守・点検、管理
規格外試験値
委託先管理
文書管理 11
品質管理の仕事を
細かく確認します
原材料管理
原料及び資材の試験検査
12
6
原材料管理の流れ
:品質管理の仕事
倉庫管理
教育訓練
文書管理
倉庫管理
サンプリング
試験実施
試験結果
使用許可
文書管理
校正・保守
13
1.サンプリングでの留意点
9.7 サンプリング
9.7.1 サンプリングは権限所有者が行うこと。(原
則として品質管理試験室の者)
9.7.2 サンプリングについて次の事項を定めること。
a. サンプリング方法
b. 使用する機器
c. 採取する量(試験+保存試験)
d. 汚染又は劣化を避けるための注意事項
e. サンプルの識別
14
f. 頻度
7
9.7.3 サンプルは次の情報で識別すること。
a. 名称又は識別コード
b. バッチ番号
c. サンプリング日
d. サンプルを採取した容器
e. サンプリング箇所(該当する場合)
• 原料、包装材料、バルク製品及び最終製品のサンプリング場
所を指定し、原料のサンプリングを原料の保管場所で行う場
合、原料に対する汚染防止の方法を文書化する
15
サンプリング
サンプリング方法
• 何梱包サンプリングするか
• どの梱包から採るか
• どのようにサンプリングするか
• 何を使ってサンプリングするか
• どのくらいの量をと採るか
• どんな容器に採るか
• 幾つの容器に採るか
• サンプリングした後の再封は
サンプルを採取した容器
サンプリング日
サンプリング者
その後、再封
a.
b.
c.
d.
e.
名称又は識別コード
バッチ番号
サンプリング日
サンプルを採取した容器
サンプリング箇所(該当する
場合)
サンプリング計画が重要
16
8
2.試験検査での留意事項 1
9.2 試験方法
9.2.1 品質管理試験室は、製品が判定基準に適
合することを管理確認するのに必要なすべての
試験方法を用いること。
9.2.2 管理は適切で利用可能な所定の試験方法
に基づいて行うこと。
17
9.3 判定基準
原料、包装材料、バルク製品及び最終製品につ
いて満たされなければならない要件を指定する
ため判定基準を設定すること。
9.4 結果
結果はすべて照査すること。この照査の後、合
格、不合格又は保留の判定を行うこと。
18
9
試験検査
試験方法
試験結果
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
試験方法の識別番号
試験項目
試験方法
規格値
承認者・発効日
試験方法の識別番号
試験者と試験日
使用した試薬・試液・標準品
使用した機器
測定値
計算結果
試験結果
全てのデータ
試験指示
品質保証が照査・承認
19
2.試験検査での留意事項 2
分析法の妥当性(分析法バリデーション:ICH Q2A, B)
20
10
5.4 校正
5.4.1 製品の品質に重要な試験用及び生産用の計測
器は、定期的に校正すること。
5.4.2 校正の結果が判定基準を満たしていない場合
は、計測器を適切に識別し、使用を停止すること。
5.4.3 校正外れの状態が、製品の品質に影響がある
場合は、原因発見のために調査を行い、調査結果
に基づいて適切な措置を講じること。
21
2.試験検査での留意事項 3
9.6 試薬、試液、標準品、培地
試薬、溶液、標準品、培地などは次の情報で識別
すること。
a. 名称
b. 力価又は濃度(該当する場合)
c. 有効期限(該当する場合)
d. 調製者の名前及び/又は署名(該当する場
合)
e. 開封日
f. 保管条件(該当する場合)
22
11
3.生データの品質と保存
バッチ毎の試験検査の記録
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
サンプル名
バッチ番号又は管理番号
サンプリング年月日(注)
サンプリング者名(注)
試験検査実施年月日
試験環境(室温、湿度)
試験検査担当者名
試験検査項目及び試験検査結果
判定
判定年月日
判定者名
不合格の場合の措置方法
23
外部の試験検査施設に委託を行った場合には、
試験検査担当者名に代えて次の事項を記載する。
・ 試験検査機関名あるいは当該生産業者の他の試験検査設備名
・ 試験検査依頼年月日
・ 試験検査結果受理年月日
(注)サンプルのサンプリングに関する事項を別に「サンプリング記
録」として作成してもよい。
24
12
9.5 規格外の結果
9.5.1 規格外の結果は権限所有者が照査を行い、適
切に調査すること。
9.5.2 再試験を行う場合は、十分に妥当性を示すこと。
9.5.3 調査の後、特に逸脱、不合格又は保留に関し
て権限所有者による判定を行うこと。
25
一般的なOOS調査手順
26
13
製造管理
工程内検査(IPC)
27
製造管理の流れ
:品質管理の仕事
倉庫管理
製造工程
文書管理
包装工程
試験結果
倉庫管理
出荷許可
製造結果・工程管理
文書管理
安定性試験
参考品
28
14
7.2.5 工程管理
7.2.5.1 工程管理とその判定基準を定めること。
7.2.5.2 工程管理は所定のプログラムに従って行う
こと。
7.2.5.3 判定基準を満たさない結果が認められた場
合は報告し、適切に調査すること。
29
PAT(プロセス解析工学)
従来法: 各工程の終了後に試験を行い品質管理を行う
原材料
原材料
混合工程
混合工程
打錠工程
打錠工程
包装工程
包装工程
PAT: 各工程内で高頻度または継続的に試験を行ない
品質管理を行う
PAT: Process and Analytical Technology 30
15
試験室管理
最終製品の試験検査
31
製造管理の流れ
:品質管理の仕事
倉庫管理
製造工程
文書管理
包装工程
試験結果
倉庫管理
出荷許可
製造結果・工程管理
文書管理
安定性試験
参考品
32
16
1.出荷判定
8 最終製品
8.1 原則
最終製品は定められた判定基準を満たすこと。
保管、出荷及び返品は最終製品の品質を維持
できる方法で管理すること。
8.2 出荷許可
8.2.1 すべての最終製品は、市販する前に、確立
された試験方法に従って管理され、判定基準に
適合すること。
8.2.2 製品の出荷許可は、品質に責任のある権限
所有者が行うこと。
33
5.出荷判定の手順 (8.2.1)
生産管理及び品質管理結果をバッチごとに評価する。
(1)生産管理に関する記録の確認
(2)生産部門の責任者の承認の確認
(3)その他の生産管理に係る業務の確認
(4)製品規格との適合性を確認
(5)その他の品質管理に係る業務の確認
34
17
5.出荷判定の手順 (8.2.1)
(6)逸脱の有無を確認
あり
なし
調査、解決されており、品
質に影響のないことを文書
又は記録により確認
(7)出荷可否の判定
(8)判定結果を記録
35
保管方法
[状態識別の一例]
最終製品保管区域
合格区域
試験前または試験中区域
現物への表示で識別
試験中
合格
試験前
不合格区域
不合格
36
18
日本GMPとPIC/S GMPのギャップ
•バリデーションおよび適格性評価
•年次レビュー(製品品質の照査)
•安定性モニタリング
•参考品
•原料メーカー(サプライヤー)の管理
•リスクマネジメントの概念
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについて
厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長 薬食監麻発0830第1号 平成25年8月30日
37
2.参考品・保存品の管理
医薬品GMPの定義
参考品:
市場に出荷後の不具合等、将来品質を評価する
こととなった場合に備えるための分析試験用のサ
ンプル
保存品:
市場にある製品との同一性を確認するためのサン
プルで、最終製品のロットから採取したものである。
保存品の包装形態及び保存条件が参考品と同
等の場合は、参考品と区別して保管する必要は
38
ない。
19
9.8 保管サンプル
9.8.1 最終製品のサンプルは、適切な方法で指定区
域に保管すること。
9.8.2 最終製品のサンプルの量は、国内の規則に従っ
て分析が行えるものとすること。
9.8.3 最終製品の保管サンプルは、一次包装した形で
推奨される保管条件下で適切な期間保管すること。
9.8.4 原料のサンプルは、会社の手順に従うか、又は
国内の規則に従って保管してもよい。
[Q8-15] サンプルを保管する目的は、品質等に関する
苦情が発生したとき、原因を究明するためのサンプルを調
査すること (医薬品GMPでの参考品?)
39
このスライド以降は化粧品GMP
の要求事項ではありませんが、
より進んだ品質管理のために
参考として紹介します
40
20
3.安定性モニタリング
医薬品GMPの定義
製造した最終製品あるいは原薬が定められた保管
条件下で、有効期間、リテスト期間又は使用の期
限にわたり、保存により影響を受け易い測定項目
及び品質、安全性又は有効性に影響を与えるよう
な測定項目が規格内に留まっており、また留まり続
けることが期待できることを、適切な継続的プログ
ラムに従った安定性モニタリングによって監視し、
その結果を記録し保管する
41
より進んだ品質管理のためには
システム化した品質管理
品質への経営者の関与
が重要になります
品質マネジメント
42
21
1. 製品品質の照査
医薬品GMPの定義
製品品質の照査は、定期的又は随時、製品品質
に関する結果・状況等を照査・分析することにより、
製品が適切に管理された状態で製造されているか、
又は改善の余地があるか確認するために実施する
43
少なくとも以下の事項が含まれると考えられるが、製造所の実
情に応じて製造業者が適切な項目を設定して実施すること。
1. 原料及び資材の受入時における試験検査の結果の照査
2. 重要な工程管理及び最終製品の品質管理の結果の照査
3. 確立された規格に対し不適合であつた全バッチの照査及びそれらの調査
4. すべての重大な逸脱又は不適合、それらに関連する調査、及び結果として実施さ
れた是正処置、予防措置の有効性についての照査
5. 工程又は分析方法に対し実施したすべての変更の照査
6. 提出し、承認され、又|ま承認されなかつた製造販売承認事項の変更(輸出届事
項の変更を含む。)についての照査
7. 安定性モニタリングの結果及びすべての好ましくない傾向についての照査
8. 品質に関連するすべての返品、品質情報及び回収並びにその当時実施された原
因究明調査についての照査
9. 工程又は装置に対して実施された是正措置の適切性についての照査
10. 新規製造販売承認及び製造販売承認事項―部変更に関しては、市販後の誓
約についての照査 .
11. 関連する装置及びユーティリティーの適格性評価状況
12. 委託している場合は、委託先に対する管理についての照査
44
22
製品品質の照査
定期的又は随時、製品品質に関する結果・状況等を照査・分析す
ることにより、製品が適切に管理された状態で製造されているか、
又は改善の余地があるか確認するために実施するものである 45
2. 原料等の供給者管理
医薬品GMPの定義
(ア) 原料及び資材は、品質部門によって承認さ
れた供給者から購入し、あらかじめ定められた
規格に適合するものを受け入れることとし、こ
れらが文書により規定されていること。
(イ) 重要な原料及び資材は、供給者との間で製
造及び品質に関する取決めを行うこと。
(ウ) 供給者と取り決めた内容に従って製造及び
品質の管理ができていることをリスクに応じて
適切に確認すること。
46
23
商業生産における品質マネジメントの例
マネジメントレビュー
プロセス稼動性能及び製品品質のモニタリング
製造方法
洗浄方法
支援設備
コンピュータ
分析方法
Process Validation
Cleaning Validation
Validations
Computer Validation
Method Validation
再バリデーション
Re-Validation
逸脱報告
規格外試験値
Deviation Report
Out of Specification
知識管理
調査
品質リスクマネジメン
ト
Investigation
変更管理
是正措置・予防措置
Change Control
Corrective Action & Preventive Action
変更マネジメント
47
3. 品質リスクマネジメント(QRM)
設計品質
既知の副作用
回避可能
情報品質
製品品質
誤使用
製品不良
回避不可能
回避可能な
副作用
予測不可能な
原因
健康危害
使用者のリスク
48
24
リスク
危険源 (hazard)
(交差汚染など)
危害 (harm)
(健康被害など)
リスク(risk)
(危害の発生する可能性と重大性)
49
リスクマネジメント
リスクアセスメント
健康被害(危害)が
発生する可能性と
それによるダメージの大きさ
(重大性)
リスクコントロール
副作用の軽減
品質情報の提供
製品不良の低減
リスクレビュー
管理が機能しているか確認
50
25
51
26
化粧品GMPに関する説明会
逸脱・規格外・
変更管理について
2015年6月9日(東京)
2015年6月10日(大阪)
2015年6月12日(名古屋)
NPO―QAセンター
1
目次
1.逸脱について
2.規格外について
3.変更管理について
2
1
GMPにおける逸脱
• 医薬品:2005年のGMP省令改正で追加。
• 化粧品:2008年のISO22716制定で追加。
• それまでは異常、不適合が使用されていた。
ISO9000(2005)でも3.6適合性に関する用語に3.6.2
不適合、3.6.12逸脱許可として記載されている。
3.6.2不適合 要求事項(3.1.2)を満たしていないこと。
3.6.12逸脱許可 製品(3.4.2)の当初の規定要求事項(3.1.2)からの逸脱を
製品実現に先立ち認めること。
注記)逸脱許可は一般に製品の数量又は期間を限定し、また、特定の用途に
対して与えられる。
参考)3.1.2要求事項 明示されている、通常、暗黙のうちに了解されている
若しくは義務として要求されている、ニーズ又は期待。
3
化粧品GMPの要求事項
2.用語と定義
2.14逸脱(deviation)
GMPの対象となっている一つ又は複数の活動に関す
る計画的あるいは計画外の、いずれにしても一時
的な状況のために特定の要件から乖離する許可に
関係する内部の組織及び責任。
13.逸脱
13.1所定の要件からの逸脱は、決定を裏付ける十
分なデータで許可すること。
13.2逸脱が再発するのを防止するため、是正措置
を行うこと。
4
2
逸脱を考える
• 定められた手順から外れて作業をした場合、
その製品の品質に対する影響をどうなるの
か?
• 試験検査で不適となった場合は、製造工程で
のミスか?それとも試験検査操作のミスなの
か?
• 重大な逸脱を犯した場合、製品の変質への影
響を確認し、状況によっては回収・廃棄処置
をとらなければならない。
• そのような状況を招いた根本原因を追究し、
再度同じような誤りを繰り返してはならない。
5
• 決まり事から逸脱してしまった際、それ
ぞれの内容に応じて対応を考えたり、同
じような誤りを繰り返さないよう手順を
変えたりなどの処置が必要です。
• そうした際の処理手順が逸脱処置手順書
です。
6
3
逸脱処理は何のために行うのか
• GMP要件の一つだから ⇒ その通りなの
ですが、それだけでやるのですか。もっ
と意義を見出す。
①
②
③
④
製品の品質を安定化させる
工程、作業をよりよくする
コストの改善(低減)
職場をよくする
7
逸脱事例1
製品名
逸脱発生工程
逸脱対象文書
逸脱内容
逸脱レベル
応急処置
対応内容
発生原因
A乳液
充填工程
製造指図書
個包装内の内袋数量違いを箱詰工程で発見した。
正:5個、誤:6個
中程度の逸脱
検品工程の徹底を指導した。
① 発見までに生産された製品の数量を再確認した。
② 現場作業員を集め、検品の徹底を指導した。
作業者の入れ間違い(充填工程は手作業により計数し
ている)。検品工程での見逃し。
参考:充填工程→包装工程→検品工程→箱詰工程
製 品 品 質 へ の 影 再包装したことにより、製品品質への影響はない。
響
再発防止策
製造ラインの充填工程と包装工程の間に数量検査装置
を設置して、数量違いが生ずると、自動的に停止する
ようにした。
8
4
逸脱事例2
製品名
逸脱発生工程
逸脱対象文書
逸脱内容
逸脱レベル
応急処置
対応内容
発生原因
製品品質への影響
再発防止策
Bローション
包装工程
包装作業手順書
新、旧ラベルの貼り間違い。
重大な逸脱
ラベルの貼り替え。
出荷可否判定検査で間違いに気づき、新ラベルに
貼り替えて出荷した。
薬事法改正により4月1日から新ラベルを貼らなけ
ればならないところ、旧ラベルを貼った。
表示が法令違反となるが、製品品質への影響はな
い。
① 旧ラベルを破棄した。
② 変更情報の管理徹底(教育訓練を含む)
③ 作業指示の明確化
9
逸脱事例3
製品名
逸脱発生工程
逸脱対象文書
逸脱内容
Cクリーム
洗浄工程
洗浄手順書
使用前点検で乳化釜のブレードパッキンの汚れを発
見した。
逸脱レベル
中程度の逸脱
応急処置
乳化釜の使用を停止した。
対応内容
乳化釜の再洗浄を行った。
発生原因
作業者が洗浄後の清浄度確認を怠ったため。
製品品質への影響 再洗浄後、清浄度を確認して使用したので、製品品
質への影響はない(前回使用時に汚れはなかった)。
再発防止策
清浄度の確認をダブルチェックとする。
手洗浄の有効性を保証するために、定期的に目視に
よる洗浄の有効性を評価する。
10
5
逸脱事例4
項目
製造を支援するシステム
逸脱発生工程
逸脱対象文書
逸脱内容
製造用水製造装置の管理
製造管理基準書
製造用水製造装置の保守管理手順書には、殺菌灯の交
換時期を使用時間数(メーカーの推奨時期)で規定し
ていたが、実際には1年に1回の頻度で交換していた。
逸脱レベル
応急処置
対応内容
軽微な逸脱
なし
品質を確保し、作業員の過誤を防止しやすい手順にな
るよう手順書を改訂した。
発生原因
作業員が手順書をよく理解していなかった。
製 品 品 質 へ の 交換時間数と1年間の点灯時間はほぼ同じであった。ま
影響
た、定期的に菌数試験を実施しており、適合していた
ことから、製品品質への影響はない。
再発防止策
従業員の過誤防止のため、従来の方法、頻度とメー
カーの推奨方法を比較し、できるだけ作業しやすい方
法で手順書を作成することとした。
11
逸脱管理
• 逸脱:承認された又は設定された基準から乖離
すること。
• 管理とは、:『PDCAサイクル』を回すこと。
• 計画を立て(P)、これに基づいて実施し
(D)、実施結果を確認して(C)、計画から
外れていれば、修正する処理(A)を行う。
• 逸脱管理とは:定められた手順・基準からのか
い離をすべて記録し、品質への影響の有無を評
価し、原因究明と改善措置、QA部門の承認等
の一連の対応を行うことをいう。
12
6
逸脱処理の流れ(例)
適切な管理項目の設定
逸脱の影響の評価
管理項目からの逸脱
製品の処分の決定
(原則として)作業の中止
再発防止策の検討
逸脱の内容を記録
是正措置
製造販売業者への報告
措置の実効性の検証
製造販売業者の指示
13
逸脱報告書と是正措置対策計画書
及び報告書
逸脱報告書
品名
バッチNo
工程
備考
(1)逸脱の内容及び即時にとった措置
発生年月日
報告年月日
発見者
所属
是正措置対策計画書及び報告書
<計画>
件名
(1)改善案
(2)工程責任者・逸脱管理責任者のコメント
完了予定日
印
印
日付
印
日付
印
日付
印
日付
日付
工程責任者
逸脱管理責任者
(2)コメント・指示
(3)品質部門の責任者のコメント
製品への影響
有り又は不明
要
不要
製品品質影響分
析調査
(4)製品品質影響分析結果
印
日付
印
日付
(3)実施内容
印
日付
(4)内容の確認
無し
<実施>
報告者
品質 部門 の 責任
者
実施完了日
(5)品質部門の責任者のコメント
是正措置
終結承認
(6)送付先
要
認
不要
否
日付
発信者
14
7
OOTとOOSという言葉、どう違うか
• OOSはOut-of-Specification (result)
(規格外試験結果)、OOTはOut-of-trend
(result) (傾向外試験結果)の略です。
• OOSは試験結果が規格範囲外になった場合
をいう。OOTは試験結果が規格外にはなら
ないが、それまでに得られている試験結
果の傾向から外れていることを意味する。
どちらの場合も試験結果の逸脱となる1)。
15
• OOSとなる試験結果が発生した場合の調査
手順についてFDAからはガイダンスが出さ
れている2)。
• このガイダンスの中では、OOTについても
同様に扱うことが有用であるとされてい
る。
•
•
1) Guidance for Industry: Quality Systems Approach to Pharmaceutical
CGMP Regulations (September 2006)
2) Guidance for Industry: Investigating Out-of-Specification (OOS) Test
Results for Pharmaceutical Production (October 2006)
• 試験結果がOOTかどうかについて規定した
ガイダンスはないが、各社が手順書など
で設定していることが医薬品では多い。
16
8
• 例えば、シューハート管理図のUCL/LCL(上方/
下方管理限界)や過去の試験結果の平均±3σを
超える試験結果をOOTとする方法がある。
• また、安定性試験においては、含量や分解物など
が時間とともに変化する試験結果についてはOOT
を判断する必要がある。この場合は、試験結果の
直線回帰式などから試験結果の予想値を算出し、
「予想される値±k×s」を超えた場合にOOTとす
る方法(Regression control chart method)があ
る。
(一般社団法人製剤機械技術学会ホームページより)
17
逸脱管理においての推奨事項
• あらかじめ管理値毎に規格値、異常値(社内規格・
ACTION LEVEL)等を設定しておくことが望ましい。
• 各値の設定は、生産実績等合理的根拠に基づくことが望
ましい。
警告値:超えると情報蓄積
統計処理で偏りが見られるとき
などに逸脱管理処理を実施
異常値:超えると逸脱管理処理を実施
製品の出荷は可とする。
規格値:超えると不適合(自動的に廃棄等)
18
9
<参考>GQP省令に記載されて
いる逸脱管理事項(1)
GQP省令
(製造業者等との取決め)
施行通知(薬食発第0922001号) (平成16年9月
22日)
5.製造業者等との取決め(第7条関係)
第七条 医薬品の製造販売業者は、製造業
者等における製造管理及び品質管理の適正
かつ円滑な実施を確保するため、製品の製
造業者等と次に掲げる事項を取り決め、こ
れを品質管理業務手順書等に記載しなけれ
ばならない。
六
当該製品について得た情報のうち次に
掲げるものについての製造販売業者に対
する速やかな連絡の方法及び責任者
イ 当該製品に係る製造、輸入又は販売
の中止、回収、廃棄その他保健衛生上
の危害の発生又は拡大を防止するため
に講ぜられた措置に関する情報
ロ その他当該製品の品質等に関する情
報
(11) 第6号ロの「その他当該製品の品質等
に関する情報」には、品質に関する情報の疑
い又はおそれがある情報も含まれること。ま
た、製造所において逸脱管理(体外診断用医
薬品においては不適合製品の特別採用等)を
実施した内容も含まれること。
19
<参考>GQP省令に記載されて
いる逸脱管理事項(2)
GQP省令
(市場への出荷の管理)
第九条 医薬品の製造販売業者は、品質管理業務
手順書等に基づき、製造管理及び品質管理の結果
が適正に評価され、市場への出荷の可否の決定が
適正かつ円滑に行われていることを確保するとと
もに、適正に当該決定が行われるまで医薬品を市
場へ出荷してはならない。
5 医薬品の製造販売業者が第二項に定める業務
を製造業者に行わせる場合には、次の各号に掲
げる事項によらなければならない。
一 あらかじめ、製造業者と次に掲げる事項を
取り決めること。
イ 製造業者が行う市場への出荷の管理に関
する手順
ハ イに規定する手順からの逸脱等があった
場合には、製造業者は速やかに品質保証責
任者に対して文書により報告し、品質保証
責任者の指示に基づき、市場への出荷の可
否の決定及び市場への出荷を行うこと。
施行通知(薬食発第0922001号) (平成
16年9月22日)
7.市場への出荷の管理(第9条関係)
(8) 第5項第1号ハの規定は、手順から逸脱したときは、
速やかに品質保証責任者の指示を仰ぐことを趣旨とし
たものであり、「逸脱等」とは、逸脱の疑い又はそのおそ
れがある場合も含むものであること。また、同号イ~ハに
関し取り決めた事項については、GMP省令で求める製
品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映さ
れる必要があること。
20
10
逸脱のレベルと処理対応
逸脱の重度
ランク
軽度の逸脱 レベル
1
中度の逸脱 レベル
2
重大な逸脱 レベル
3
定義内容
製品に大きな影響を及ぼさないが、その発生原
因を調査し、必要に応じて是正措置を講じる、
製品の品質に及ぼす大きさは不明、あるいは製
品の品質に影響を及ぼす可能性が想定され、Q
C責任者及び製造管理者の指示により、及ぼす
影響の範囲、原因究明及び必要な対処措置を行
う。
製品品質あるいは製造に大きな影響を及ぼす可
能性があり、緊急に是正措置が必要である。
・重大性の判断、一律に示すことは難しい。製造所ごとに
適切と思われるレベルで設定すること。
・製造販売業者との摺合せは重要。取り決め書や付属書で、
重大―軽微、事前報告―事後報告等のランクを示しておく
ことが望ましい。
21
<参考>逸脱管理が不適切の場合の
指摘事項
• 逸脱レベルの判断を発生部署で実施しており、品質
部門の関与に問題。
逸脱組織、責任、承認
逸脱評価基準
逸脱管理体制
GQP条項順守
• 重要な逸脱が発生した場合の製造販売業者との連
絡体制や関連部署間での連絡体制が不適切。
GMP条項順守
• 根本原因まで究明されず、再発防止策が不十分で
同じ逸脱が発生している
CAPA管理不備
22
11
<参考>
CAPA(是正・予防措置)
• CAPA(Corrective Action and Preventive
Actionの略)
不具合の再発防止に関する標準的な方法
・CAPAは大きく二つの種類
Corrective Action ⇒是正措置
Preventive Action ⇒予防措置
※ちょっと足りない部分
措置には実効性の検討が必要である。
23
<参考>
「医薬品品質システムに関するガイド
ラインについて」(平成22年2月19日付け薬食審査
発0219第1号/薬食監麻発0219第1号)
http://www.pmda.go.jp/ich/q/q9_06_9_1.pdf参照
ICH:PHARMACEUTICAL QUALITY SYSTEM Q10
2008.6.4(H20年)
医薬品品質システムと称される、製薬
企業のための実効的な品質マネジメン
トシステムのモデルを記載したもの
24
12
<参考>
3.2 医薬品品質システムの要素
以下に記述された要素は、一部、各極GMP規則の下で要件
化されているかもしれない;しかしながら、Q10モデルの
意図するところは、製品品質に対するライフサイクルアプ
ローチを促進するためにこれらの要素を増進することであ
る。これらの4つの要素は下記のとおり:
● 製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリング
システム;
● 是正措置及び予防措置(CAPA)システム;
● 変更マネジメントシステム;
● 製造プロセスの稼働性能及び製品品質のマネジメント
レビュー。
25
<参考>3.2.2是正措置及び予防措置
(CAPA)システム
製薬企業は、苦情、製品不合格、非適合、回収、逸脱、監
査、当局の査察及び指摘事項についての調査並びに製造プ
ロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングからの傾向
に起因する、是正措置及び予防措置を実施するためのシス
テムを有さなければならない。また、根本的原因を決定す
る目的で、調査プロセスに対する構造化された取り組みが
用いられなければならない。
ICH Q9に述べられているように、調査の労力、正式さ及び
文書記録のレベルは、リスクレベルと相応しなければなら
ない。CAPAの方法論は、製品及び製造プロセスの改善並び
に製品及び製造工程のより深い理解に結びつかなければな
らない。
26
13
<参考>
是正措置(Corrective Action)
• 検知された不適合又は他の望ましくない
状況の原因を除去する措置。
(ICH Q10,ISO9001:2005)
• 再発防止策のこと(同じことが起きない
ようにする。)
• 発生した出来事の原因を除去する。原因
除去できない場合は原因回避してよい。
27
<参考>
予防措置(Preventive Action)
• 起こり得る不適合又は他の望ましくない
起こり得る状況の原因を除去する措置。
(ICH Q10, ISO 9001:2005)
• 未然防止策のこと(予測して事前に策を
講じる)
• 潜在的原因を除去、除去出来ないときは
回避してよい。
28
14
• 化粧品の製造でも是正措置より予防措置
が望ましい。
・・・リスクが発生してしまってからで
は遅い。
• 経営者(管理者)は予防措置を嫌う。
そこまでする必要あるのか?
どれだけお金をかけたら済むのか?
• 実際は予防措置の費用は是正措置の費用
より少額で済むことが多い。
29
計画的逸脱
化粧品GMP
2.14逸脱(deviation)GMPの対象となっている一つ又は複
数の活動に関する計画的あるいは計画外の・・・
計画的逸脱とは、変更管理がなされる前の、次の例のような
突発的な手順などの変更をいう。
例1.容器の受け入れ試験において、一部の材料に印刷のか
すれが発見されたため、包装・仕上げ工程の人員を10名
から12名に増やし、容器の検品を行いつつ製造を行うよ
うな場合
例2.10人で実施することと規定されている包装・仕上げ
工程において、新入社員に工程を理解させるため、この者
を加えて、計11名で作業を実施するような場合
30
15
目次
1.逸脱について
2.規格外について
3.変更管理について
31
化粧品GMPの要求事項
2.用語と定義
2.21 規格外(out-of-specification)
定められた判定基準に合致しない検査、測定又は試験の
結果。
9.品質管理試験室
9.5 規格外の結果(Out-of-specification results)
9.5.1 規格外の結果は権限所有者が照査を行い、適切に
調査すること。
9.5.2 再試験を行う場合は、十分に妥当性を示すこと。
9.5.3 調査の後、特に逸脱、不合格又は保留に関して権
限所有者による判定を行うこと。
32
16
10規格外の製品の処理(Treatment of product that is out
of specification)
10.1 不合格となった最終製品、バルク製品、原料及び包装材
料
10.1.1不合格となった製品又は原材料の調査は、権限所有者
が行うこと。
10.1.2破棄するか再加工するかの決定は品質に責任のある者
が承認すること。
10.2 再加工した最終製品及びバルク製品
10.2.1最終製品又はバルク製品のバッチの全部又は一部が定
められた判定基準を満たさない場合、所定の品質を得るため
の再加工の決定は品質に責任のある者が承認すること。
10.2.2再加工の実施方法は規定し、承認を受けること。
10.2.3再加工した最終製品又はバルク製品に関して管理を行
うこと。結果は最終製品又はバルク製品が判定基準に合致し
ていることを確認するために権限所有者が照査すること。
33
規格外の結果
OOS調査(例)
1 ラボエラー調査
(分析手順、分析機器、調製液、手順書)
2 追試験
(1回、別の担当者、同サンプル)
3 再試験:十分な妥当性
(2回まで、別の担当者、再サンプリング)
4 品質部門の責任者が結論(品質管理責任者が
結論を出し、品質保証責任者が承認する。)
製品の不合格
34
17
規格外の処理(事例1)
製品名
規格外発生工程
規格外対象文書
規格外内容
規格外レベル
応急処置
対応内容
発生原因
製品品質への影
響
再発防止策
医薬部外品ローション
製品試験
試験指図書、製品規格
製品分析を行ったところ、有効成分の規格値が配合量の90%
以下であった。
重大な規格外
製品を倉庫の不合格品置き場に隔離保管した。
OOS手順に従い分析者を変更して再分析、調製試薬を再調
製して再分析を行ったが、同様に規格値を下回った結果が得
られたため、製品を不合格とした。
製造工程での中和化の際、pH値は管理値内ではあるものの
管理値下限に近い値であったため、中和が不十分で、完全に
可溶化しなかったため有効成分の規格が不合格になったもの
と推定。
製品規格不合格であり、リプロセス等も不可能である製品の
ため廃棄処分とした。
中和化時のpHの管理値を見直し、管理幅を狭くして中和を
行うこととする。製造作業手順書に注意事項を明記し、作業
者に教育を実施した。
35
規格外の処理(事例2)
A乳液
製品名
規格外発生工程 中間製品試験
規格外対象文書 粘度測定マニュアル
規格外内容
粘度測定試験において、規格外れが発生した。
逸脱レベル
軽微な逸脱
応急処置
翌日の充填作業を中止した。
対応内容
OOSの手順に従い、ラボ調査を行った結果、ラボエ
ラーが判明したため、再試験を実施した。
調査の結果、普段は使用していない未整備のB型粘度
発生原因
計を使用したことが原因であることが判明した。
製品品質への影 ラボエラーが明確であったことから、製品品質への影
響
響はない。
再発防止策
不良機器を検査室から撤去した。試験装置の検査合格
証を確認後試験を行うようマニュアルを改訂した。
36
18
規格外品処理のフロー
規格外が発生
規格外結果の確認(試験、検査、測定に誤りはないか)
規格外結果が確定
関係部署への連絡
規格外の原因調査
逸脱の有無⇒逸脱管理
不合格ラベル貼付
隔離保管
廃棄処分
再加工
再加工品の使用・出荷
返品
37
不合格となった最終製品、バルク
製品、原料及び包装材料の処理
ポイント:調査を行う責任を持つ担当者に不合
格品の情報が確実に通知される体制が必要
• 不合格となった原因は何か?
• また、不合格に何らかの傾向はないか?
・・・原料メーカー、工程、作業者、製品等に
偏りはないか?(単発事例か?繰り返し発生し
てない?等)
改善・是正の必要性を検証
38
19
• 不適合の結果を報告する役割と責任
• 不適合品の特定(製品名、バッチ等)
• 関係者への通知・連絡方法
• 適合製品等からの区別方法
• 製造工程等からの隔離方法
• 不適合の原因調査と傾向分析、是正措置へのつながり
• 不適合品の処置方法
ㇾ責任の所在
ㇾ処置の決定手順、処置が完了したことの確認手順等
• その他必要な事項
作業内容を実証する記録の作成
39
品質措置票の発行
品質措置票
品質部門は、規格外品につ
いて「品質処置措置票」を
発行し、責任技術者及び生
産部門の責任者に報告する。
生産部門は、当該バッチの
生産製造又は受入れの不適
合発生状況を調査し、取扱
い及び処置措置に対する意
見を記入して責任技術者へ
報告する。
品質部門の責任者は不適合
発生状況調査、取扱い及び
処置措置に対する意見をも
とに、規格外品に対して、
再加工、選別、廃棄等の処
置措置を決定し、生産部門
の責任者に作業を指示する。
整理番号
品名
発生年月日
バッチ No
報告年月日
工程
発見者
備考
所属
(1) 規格外の内容及び即時にとった措置
(2) 品質部門のコメント
印
日付
印
日付
印
日付
品質部門
(3)生産部門のコメント
生産部門
(4)品質部門の責任者の評価・判定
処置
終結承認
(5)送付先
再加工 選別 廃棄 その他(
認
)
否
日付
発信者
40
20
目次
1.逸脱について
2.規格外について
3.変更管理について
41
化粧品GMPの要求事項
2.用語と定義
2.7 変更管理(change control)
製造、包装、管理及び保管されたすべての製品が定
められた判定基準に合致するように、GMPの対象と
なっている一つ又は複数の活動の計画的な変更に関
係する内部の組織及び責任。
15 変更管理
製品の品質に影響を及ぼす可能性のある変更は、十
分なデータに基づいて権限所有者が承認し、実施す
ること。
42
21
<参考>GMP省令 変更の管理
第十四条 製造業者等は、製造手順等について、製品の
品質に影響を及ぼすおそれのある変更を行う場合におい
ては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次
に掲げる業務を行わせなければならない。
一 当該変更による製品の品質への影響を評価し、その
評価の結果をもとに変更を行うことについて品質部門の
承認を受けるとともに、その記録を作成し、これを保管
すること。
二 前号の規定により品質部門の承認を受けて変更を行
うときは、関連する文書の改訂、職員の教育訓練その他
所要の措置を採ること。
⇒規定はないが化粧品でもこのような対応が必要。
43
変更管理適用の範囲
製造所の構造設備並びに手順、工程(製造
方法)、その他の製造管理(原材料、支援
システム等)及び品質管理の方法(試験検
査方法、規格等)に係る製品の品質に影響
を及ぼすおそれのある全ての変更について
適用する。
なお、装置を定められた頻度で点検し、
消耗品等を機能的に同一な部品と交換する
ことは定期点検の一環として取扱い、変更
管理は適用しない。
44
22
製品の品質に影響を及ぼす変更とは
変更管理が必要と思われる変更について例示す
る。
ア 製造管理関係
① 原料の変更
有効成分に関する変更(承認書記載内容に関
する変更、粒子径等社内基準の変更、名称の
変更等)、有効成分以外の変更(分量、組成
の変更、グレードの変更、名称の変更等)、
動物由来製品の使用部位・原産国の変更
45
② 資材の変更
直接容器・一次包装資材の材質変更、直接の
容器の形状の変更、材質のグレード変更、資
材の厚みの変更、納入形態の変更
③ 製造場所の変更
原料製造所の変更、資材製造所の変更、製造
販売する製造所の変更
なお、製造所の変更には、他社への変更、自
社の他工場への変更、同一敷地内の別の場所
への変更等がある。
④ 製造設備の変更
承認書に記載している設備以外への変更、承
認書に記載がない設備変更
46
23
⑤ 製造方法の変更
原理が異なる製法への変更、仕込み量の変更、
溶液・溶媒の濃度の変更、承認書に記載され
た事項の変更、承認書に記載がないクリティ
カルな操作条件・パラメーター及び目標管理
値の変更、品質に影響を与える可能性が否定
できない操作条件・パラメーターの変更、目
標管理値を達成するためのパラメーターの変
更等
⑥ 作業方法の変更
作業手順等の変更
⑦ 処方の変更
1品目と認められる範囲内での処方変更
47
⑧ 製造指図・記録の変更
⑨ 構造設備の変更
作業室、保管設備等の変更
⑩ 製造を支援するシステムの変更
製造用水システムの変更、製造用水の採
水方法・殺菌方法の変更、ユースポイン
トの変更、空調設備の変更、差圧・換気
回数などの空調設計の変更
⑪ 洗浄方法の変更
48
24
イ 包装表示保管関係
⑫ 包装等設備の変更
包装表示保管工程で使用する機器の変更(検査
工程を含む。)
⑬ 包装資材の変更
一次包装資材又は二次以降の包装資材の材質・
形状・厚みの変更、表示材料の変更、糊・イン
ク等の変更
⑭ 作業方法等の変更
シール条件の変更、表示方法(ラベル→印刷)
の変更、包装作業の変更
49
⑮ 承認書に記載された保管条件外への変更、
保管条件の変更(安定性などへの 影響が懸
念されるもの又はその可能性のないもの)、
保管場所の変更、輸送条件の変更等
⑯ 表示内容(添付文書内容等を含む)の変更
ウ 品質管理関係
⑰ 試験方法の変更
社内試験方法の変更、承認書規格及び試験
法の変更、承認書記載事項以外の試験手順
等の変更
⑱ 試験室の変更
50
25
⑲ 試験設備の変更
試験設備の更新、液クロのカラムの変更
等
⑳ 試験担当者・試験機関の変更
試験検査の新たな外部委託、外部試験検
査機関の変更
エ その他
用法用量・効能効果の変更、製造所名称
の変更、責任者の変更
51
変更のクラス分け
レベル
1
一変申請が必要な変
更
製品品質へ及ぼす影響が大で妥当性
の検証を必ず行わなければならない
変更。
レベル
2
軽微届出が必要な変更 製品品質へ及ぼす影響が比較的軽微、
(又はGMP範囲内での変 あるいは影響がない場合であるが、
更)
妥当性の検証を行い、製品品質への
影響がないことを確認する必要があ
る変更。
レベル
3
妥当性検証が不要な変 妥当性検証により製品品質への影響
更
の検証を行わなくても、製品品質へ
の影響がないことを確認できる変更。
例えば、社内文書の改訂など、製造
管理・品質管理において直接関係の
ない内容の検討。
52
26
変更管理事例1
剤型
医薬部外品クリーム
変更内容
有効成分Aに関する試験法の変更
変更理由
有効成分Aの試験法は医薬部外品製造販売承認書に規定さ
れている。その試験に使用する試薬Bは試験法で規定され
ているが、試薬Bの製造が中止となったため、試薬Bを使用
しない試験法に変更。
変更レベル
レベル1(一変申請が必要な変更)
製販業者への報告 事前報告
妥当性の検証
妥当性検証を実施し、試験法の適格性に問題がないこと、
新旧両試験法での比較で同等性を確認した。。
製品品質への影響 試験法の適格性及び変更前後での試験法の同等性が確認さ
れたことから製品品質への影響はない。
教育訓練の実施
一変承認後、試験方法変更に関する教育訓練を実施。
GMP文書の改廃
製品標準書、標準操作手順書、試験検査手順書
等
53
変更管理事例2
剤型
医薬部外品乳液
変更内容
液体クロマトグラフィー装置の更新
変更理由
液体クロマトグラフィー装置が老朽化したため新機種
を購入
変更レベル
レベル2(GMP範囲内での変更)
製販業者への報告
報告不要
妥当性の検証
設備据付時適格性評価(IQ)、運転時適格性評価
(OQ)、及びキャリブレーションを実施した。
製品品質への影響
設備据付時適格性評価(IQ)、運転時適格性評価
(OQ)、及びキャリブレーションの結果が良好であっ
たことから製品品質への影響はない。
教育訓練の実施
品質部門の担当者に対して操作法の教育訓練を実施。
GMP文書の改廃
品質管理基準書、機器操作手順書
54
27
変更管理事例3
剤型
ローション
変更内容
一個箱のデザイン変更
変更理由
製造販売元の指示によるリニューアル変更。
変更レベル
レベル3(妥当性検証が不要な変更)
製販業者への報告
事前報告
妥当性の検証
不要
製品品質への影響
一個箱のデザイン変更であり製品品質に影響はない
教育訓練の実施
製造部門及び品質部門にそれぞれデザイン変更に関す
る教育訓練を実施。
GMP文書の改廃
製品標準書、製造指図記録書
等
55
生産及び品質管理に係るあらゆる手順は標
準化するため、すべて文書化されている
手順書、標準書等は、製品品質の確保の観
点から根拠を持って作成されている
文書化された手順書、標準書等の変更
56
28
十分なデータに基づいて権限所有
者が承認し、実施する
GMP組織における権限所有者としては、
「製品品質に及ぼす影響を評価する」ことから
品質部門の責任者が適任
<判断基準>
①品質に影響を与えないことを保証できるか?
②製造販売業者の承認は得られているか?
③届出・承認事項への影響は?
57
変更管理のシステムフロー
変更の起案(起案者)
変更申請書
目的、内容
データ(品質への影響)
起案部門の責任者
品質への影響
起案部門の責任者
なし
品質部門の責任者への提案
58
29
起案部門の責任者
変更不可
変更継続検討
変更申請書
品質部門の責任者
関連部門の責任者
目的、内容
データ(品質への影響)
品質への影響
(承認事項等への影響)
あり
なし
変更可
品質部門の責任者
製造販売業者の責任者への提案
59
品質部門の責任者
目的、内容
データ(品質への影
響)
変更申請連絡書
製造販売業者
なし
品質への影響
(承認事項等への影響)
変更可
変更申請確認書
変更可、条件等
あり
変更不可
変更申請確認書
変更不可、理由等
60
30
品質部門の責任者
審査結果回答書
審査結果回答書
変更可、条件等
変更不可、理由等
責任技術者、起案部門、関連部門に報告、
製造販売業者に連絡
手順書・標準書の変更
(関連部門)
品質部門における承認
教育訓練(関連部門)
教育・訓練の評価
61
変更管理報
告書(案)
製造所
報告者
変更管理番号
変更のレベル
□レベル1
□レベル2
□レベル3
製版への報告
□事前報告
□事後報告
□報告不要
変更受付年月日
再検討指示年月日
変更可否決定年月日
変更実施年月日
変更の概要
販売名
工程
変更内容
妥当性検討の概要
内容
結果
製品品質への影響
変更措置の確認
対象者
教育訓練
実施年月日
対象文書
GMP文書の改廃
終了年月日
特記事項
一変承認または軽微変更届出年月日
変更完了年月日
確認者
62
31
変更管理報告書(案)拡大1
製造所
報告者
変更管理番号
変更のレベル
□レベル1
□レベル2
□レベル3
製版への報告
□事前報告
□事後報告
□報告不要
変更受付年月日
再検討指示年月日
変更可否決定年月日
変更実施年月日
変更の概要
販売名
工程
変更内容
63
変更管理報告書(案)拡大2
妥当性検討の概要
内容
結果
製品品質への影響
変更措置の確認
教育訓練
対象者
実施年月日
GMP文書の改廃
対象文書
終了年月日
特記事項
一変承認または軽微
変更届出年月日
変更完了年月日
確認者
64
32
<参考>GMP事例集(2013年版)
[問]GMP14-2(変更管理) 変更管理に関し留意す
べき事項について示してほしい。
[答]変更管理に関し一般的に留意すべき事項としては、例
えば以下の事項が挙げられる。
1.GMPに関連するすべての変更は、適切な部門が起案を
行い、品質部門による承認を受けること。
2.医薬品・医薬部外品GMP省令第8条第4項の変更管理
手順書には、次の事項を含めること。
(1) 医薬品・医薬部外品GMP省令第14条第1号の評価に
おいては、再バリデーションを行う必要性、変更を正当
化するために必要な追加試験検査の必要性等の評価を含
むこと。
65
(2) 変更後の製品品質の評価方法及び評価基準を変更の前
にあらかじめ定めること。
(3) 変更に関連する文書の改廃及び職員の教育訓練の方法
を変更の前にあらかじめ定め、かつ当該文書改廃及び教
育訓練を確実に実施すること。
(4) 医薬品・医薬部外品GMP省令第14条第2号のその
他所要の措置として、規格及び試験検査方法、有効期間
若しくは使用期限又はリテスト日及び表示を改める必要
性の有無について、変更の前にあらかじめ決定しておく
こと。
3.変更の実施後、変更の下で製造又は試験検査を行った
最初の複数のロットについて、必要に応じて評価を行うこ
と。
66
33
<参考>GMP適合性調査における
実地調査(PMDA指摘事項)
管理監督サブシステム:変更管理
問題点:変更管理が不適切である。
指摘の背景 品質部門の承認の不履行
・品質部門の承認前に変更を実施している。
品質への影響を適切に評価する義務を怠っている
・品質への影響を適切に評価していない
バリデーション実施義務の不履行
判断根拠となった資料がない。
67
34
化粧品GMPに関する説明会
衛生管理について
2015年6月9日(東京)
2015年6月10日(大阪)
2015年6月12日(名古屋)
NPO―QAセンター
1
化粧品GMPと衛生管理
GMPの三原則
◇人為的な誤りを
最小限にすること
◇汚染および品質低下
を防止すること
◇高い品質を保証する
システムを構築すること
衛生管理
清潔で衛生的な
作業環境での
化粧品の生産
2
1
衛生管理に関わる化粧品GMP (ISO22716)
の主要該当要求項目
3.従業員
(Personnel)
3.5
従業員の衛生及び健康 (Personnel hygiene and health)
3.6
訪問者及び教育・訓練を受けていない従業員
(Visitors and untrained personnel)
4.構造設備
(Premises)
4.2
区域の種類
(Types of area)
4.5
床、壁、天井、窓
4.6
手洗い・トイレ設備
4.9
パイプ、排水管及びダクト (Pipework, drains and ducts)
(Floors, walls, ceilings, windows)
(Washing and toilet facilities)
4.10 清掃及び消毒 (Cleaning and sanitization)
4.13 防虫対策
5.機器
5.5
(Pest control)
(Equipment)
清掃及び消毒
(Cleaning and sanitization)
3
製品への汚染、品質低下の要因
3. 従業員
4. 構造設備
塵あい
皮膚片
毛髪
微生物
異物
6. 原料
包装材料
残留物
油
破片
小動物
細菌
塵あい
5. 機器
昆虫
異物
微生物
異種原料
微生物
かび
7.生産
11.廃棄物
4
2
衛生管理のポイント
化粧品の生産は、清潔で衛生的な作業環境でおこなうことが
大切です。 そのためには
人(作業員)、物(原料・資材)、構造設備(作業室、設備・機器、
空調など)が正しく管理されなければなりません。
【衛生管理のポイント】
作業室内に汚染の原因となるものを
衛生管理プログラム(手順書)を設定
5
衛生管理プログラム(基準書/手順書)
医薬品GMPでは製造所ごとに作成しなければならない 「3基準書」
として1.衛生管理基準書 2.製造管理基準書 3.品質管理
基準書 が定められている。
化粧品GMP には衛生管理の項立てがないが、従業員、構造設備
等の項目の中に規定されている。
化粧品GMP
3. 従業員
3.5 従業員の衛生及び健康
3.5.1 従業員の衛生
3.5.1.1 衛生管理プログラムは製造所のニーズに合うように設定
すること。これらの要件は、活動が生産、管理及び保管区域
にかかわるすべての者によって理解され、従われること。
6
3
化粧品GMP
3.5.1.2 従業員は手洗い設備を使用するよう指導すること。
3.5.1.3 生産、管理及び保管区域に入るすべての者は、化粧品
の汚染を防止するために適切な衣服及び防護衣を着用
すること。
3.5.1.4 生産、管理及び保管区域における飲食、ガムを噛むこと、
喫煙、又は飲食物、喫煙具、個人の薬の保管は避けること。
3.5.1.5 生産、管理及び保管区域内又は生産が悪影響を受ける
可能性のあるその他の区域における非衛生的な行為は禁止
すること。
7
化粧品GMP
3.5.2 従業員の健康
明らかに病気にかかっている者、又は露出されている体表
面に覆われていない外傷がある者は、症状が回復するか、
あるいは医療担当者によって化粧品の品質が損なわれな
いと判断されるまで、製品に直接触れないことを実際的な
範囲で確保する措置を講じること。
3.6 訪問者及び教育・訓練を受けていない従業員
訪問者および教育・訓練を受けていない従業員は、生産、
管理及び保管区域内に立ち入らせないことが望ましい。
これが避けられない場合は、特に個人の衛生及び所定の
防護衣について予め情報を与えること。また、これらの者
について厳重に監督すること。
8
4
人(従業員)の衛生管理 (1)
化粧品は汚染されてはいけません。
ところが、人が最大の汚染源と言われています。
・ 人の手指には細菌が106~107個も付着しています。
・ 一日一人あたり数十本の毛髪が作業室に落ちると言
われています。
・ 感染症や皮膚の剥がれを伴う炎症などがあると汚染
のリスクは増大します。
・ 寝不足や体調不良はウッカリミスや怪我などにつながる
可能性があります。
9
人(従業員)の衛生管理 (2)
・食べカスや飲み残しなどは細菌の繁殖、虫の発生、侵入
など汚染の原因になるので、生産、管理、保管区域での
飲食は禁止。
・不要なものを生産区域内に持ち込んだり、製品への汚染
につながる行為の禁止。
・装身具類(ヘアピン類、指輪、ピアス、イアリングなど)
の生産区域内への持ち込みの禁止。
10
5
人(従業員)の衛生管理 (3)
服装の点検(例)
作業前の手洗い・消毒の励行
鏡
帽子
毛髪が帽子から
出ないように
よく泡立て
マスク
作業服
作業服に付着した
毛髪や異物を作業室
に持ち込まないよう、
粘着ローラなどで
除去する。
手の甲と指の間、爪の間、しわの
間も、よく洗いましょう!
作業用の靴
・消毒薬の使用方法等
入室時手洗い手順書に記載
⇒ 確認/記録
入室時着衣手順書に記載
⇒ 確認/記録
11
人(従業員)の衛生管理 (4)
消毒薬分類
分
類
低
水
準
消
毒
薬
中
水
準
消
毒
薬
成分
特徴
粘膜適用
病原性微生物
細菌
真菌
ウイルス
塩化ベンザル
コニウム
粘膜適用
もあり
〇
△
△
×
グルコン酸
クロルヘキシジン
粘膜非適
作用長い
×
△
△
×
塩酸アルキルジ
アミノエチルグリ
シン
殺菌力弱
多くの微
生物有効
△
△
△
×
×
〇
〇
〇
×
〇
〇
〇
×
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
エタノール
イソプロパノール
エタノール+IPA
ポピドンヨード
強力で万
能・安価
だが侵襲
性強
殺菌力強
着色あり
※侵襲性; 生体を傷つける。この場合は手荒れなどの障害
12
6
人(従業員)の衛生管理 (5)
作業室内での行動基準
(1)定められた手順規則を守り作業を行うこと。
(2)作業中の従業員へ不必要に話しかけないこと。
(3)作業室内を走らないこと。
(4)他の作業室内に不用意に立ち入らないこと。
(5)定められた以外の通路を通行しないこと。
(6)作業室内で、飲食、喫煙等をしないこと。
13
空気中汚染物質の粒子径(参考)
分子中の原子間距離
エアロゾル
霧
ガス分子の大きさ
たばこの煙
ミスト
雨滴
微粉炭
大気塵
ウイルス
細菌
花粉
工業用クリーンルームの評
価基準粒径
くしゃみの飛まつ
毛髪
バイオクリーンルームの
評価基準粒径
0.0001 0.001
〔Å〕
〔1n m〕
0.01
人の可視範囲
0.1
1
0.5μm
5 10
100
粒 径(μm)
1,000 10,000
〔1m m〕
14
7
作業者の着衣と動作による発生塵埃/菌の個数(参考)
露出部分
(a) 静止
一般着衣部分
着衣仕様 1
・オーバーオール形
・フード帽
・手袋
・マスク
・ソックス
動作
後向き
上体の前屈 30 回
(c) 首の上下左右 30 回
足踏み 30 回
( 個/min)
500,000
400,000
発生 300,000
塵埃数 200,000
着衣仕様 2
・上下型
・帽子
・靴下
・スリッパ
着衣仕様 3
・実験衣形
・帽子 ・手袋 ・マスク
・セーター(タートル・毛)
・ズボン (コール天)
・靴下 (ナイロン)
・スリッパ (ビニル )
前向き 横向き
(b) 腕の上下 30 回
100,000
0
(a)
(b)
(c)
(a)
(b)
(c)
(cfu/min)
600
発生
菌数
400
200
0
着衣と動作の重要性 !
日本空気清浄協会 資料より
15
物(原料・資材)の衛生管理 (1)
・原料や包装材料の外装は付着しているチリやホコリ
などを持ち込まないように清潔にする。
・外装に使用された段ボールは異物に汚染されていたり、
虫が付着している可能性があるので、作業室には持ち
込まない。
・パレットは室内用と屋外用の区別を間違えないよう
に気を付ける。
16
8
物 (原料・資材)の衛生管理(2)
原料
資材
作業テーブル
室内用パレット
整理・整頓がされていないと、人為的な誤りや混同が
起こり易い。
このため、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾) の励行
原料や資材などの整理・整頓はGMPの基本です。
17
職場環境の維持改善等で用いられるスローガン
5S(ごエス)
整理
(Seiri)
要るものと要らないものを
明確に分けて
要らないものを捨てる
躾
(Sitsuke)
清潔
(Seiketsu)
決められた
ことをいつも
正しく守る
整理、整頓、清掃
の基準が何時も
守られている状態
整頓
(Seiton)
要るものを使い易いよう
にきちんと置き
誰でもわかるようにする
清掃
(Seisou)
常に掃除をし、
きれいにする
18
9
です
19
化粧品GMP
4. 構造設備
4.1 原則
4.1.1 構造設備は、次のように配慮し、設計し、建設し、利用すること。
a)製品の保護を確保する。
b)効率的に清掃、衛生管理及び保守が行える ようにする。
c)製品、原料及び包装材料の混同のリスクを 最小限にする。
4.1.2 このガイドラインに構造設備の設計に関する推奨が記述されて
いる。設計に関する決定は、生産される化粧品の種類、既存の条件
及び清掃方法、必要があれば消毒措置に基づくこと。
4.2 区域の種類
保管区域、生産区域、品質管理区域、作業区域、手洗い・ トイレ区域
など区画するか又は範囲が定められた区域を提供すること。
20
10
化粧品GMP
4.3
空間
受入れ、保管、生産などの作業を容易にするため、十分な空間をとること。
4.4
動線
混同を防止するように建物内の材料、製品及び従業員の動線を規定すること。
4.5 床、壁、天井、窓
4.5.1 生産区域の床、壁、天井及び窓は清掃しやすく、清潔で手入れが行き届
くように設計又は建設すること。
4.5.2 換気が十分な場合は、窓は開かないものとすること。窓が外部の環境に
向かって開いている場合は、適切に網戸等の設置がされていること。
4.5.3 生産区域を新しく建設する場合は、適切な清掃及び保守について考慮す
ること。新しい建造物の設計は必要に応じて滑らかな表面を含み、そしてこの
表面は洗浄剤に対して耐腐食性であること。
21
化粧品GMP
4.6 手洗い・トイレ設備
従業員用に適切で清潔な手洗い・トイレ設備を設置すること。
手洗い・トイレ設備は生産区域とは区別されているが、利用しやすい
場所に設置すること。必要に応じて適切なシャッター及び更衣用の設備
を設置すること。
4.7 照 明
4.7.1 すべての区域において作業に十分な適切な照明器具を設置する
こと。
4.7.2 照明器具は破損片が封じ込められるような方法で設置すること。
あるいは、製品を保護するための具体策を講じること。
4.8 換 気
換気は目的とする生産作業に十分なものとすること。あるいは、製品
を保護するための具体策を講じること。
22
11
区域の設定(衛生ランク)
区 域
ラ
ン
ク
A
原料・バルクが暴露
される
生産領域
対象室の例
備 考
秤量室
・入室前に更衣、手洗い必要
混合室
・ランクA専用作業服、帽子、靴
バルク一時保管
マスク着用
充てん室(一次包装室)
・原材料の入庫前室を設置
サンプリング室
・ランクB,Cより陽圧あるいは
仕上げ室(二次包装室)
・入室前に更衣、手洗い必要
気流の逆流がない。
ラ
ン
ク
B
バルクの暴露がない
生産領域
ラ
ン
ク
C
一般の領域
仕掛品保管室(充てん済) ・必要な作業服、靴、帽子着用
支給バルク保管
・ランクCより陽圧あるいは
完成品一時保管
気流の逆流がないこと。
一般生活域
・一般作業服
(食事、トイレ、休憩etc.)
・物の搬入前に清拭
生産以外業務
(品管、総務、計画etc.)
保管庫
23
区域の設定(動線計画)
人(作業者),もの(原料・バルク・製品),資材(包装材料)
の動線を明確に分離して、交叉汚染を防止する
人
資材
製造支援
サンプリング
システム
もの
水
空気
作業区域
原料
入荷
蒸気
N2等
廃棄物
製品出荷
24
12
衛生ランク区域と人、物、空気の清浄化のイメージ図
一般の領域
バルクの暴露がない
ランクB
生産領域
ランクC
ひと
ランクA
(無塵衣)
更衣
ランクB
一般
作業服
更衣
手洗い
洗剤洗浄
ランクA
原料・バルクが暴露
される生産領域
洗剤洗浄
ランクC
前室
(エア
ロック)
清拭
(消毒)
もの
+++
高性能フィルター
++
中性能フィルター
室内圧 陽圧の順
ランクA
+++
+
粗塵フィルター
> ランクB > ランクC
++
外装
除塵
清拭
空気
+
25
室圧管理(空調設備からみた汚染防止)
陽圧管理 と陰圧管理 のちがい
給気量 < 排気量
給気量 > 排気量
HEPAフィルタ
HEPAフィルタ
排気
ファン
室内
陰圧
室内
陽圧
給気
ファン
陽圧管理
• 周囲の汚染物質から室内を清浄に守る
給気
ファン
排気
ファン
陰圧管理
・ 室内の汚染物質を外部に出さない
26
13
室圧管理(1)
清浄廊下最高圧方式
局所排気
清
浄
廊
下
生
産
室
(B)
局所排気
(+)
(+)
清
浄
廊
下
生
産
室
(A)
±0
(++)
(++)
(+++)
前
室
エア
ロック
前室
±0
更衣ゾーン
(+)
更
衣
ゾ
ー
ン
生
産
室
(-)
(-)
清浄廊下最高圧方式の平面図
大気圧
(A)
(B)
清浄廊下最高圧方式の圧力図
27
室圧管理(2)
生産室最高圧方式
(+)
局所排気
(+)
局所排気
生
産
室
廊
(B)
下
生
産
室
(A)
(+++)
(+++)
±0
(++)
前
室
更
衣
ゾ
ー
ン
廊
下
生
産
室
(A)
(B)
大気圧
エア
ロック
前室
±0
更衣ゾーン (+)
生産室最高圧方式の平面図
(-)
(-)
生産室最高圧方式の圧力図
28
14
化粧品GMP
4.9 パイプ。排水管及びダクト
4.9.1 パイプ、排水管及びダクトは、滴又は凝縮水が材料、製品、表面
及び機器を汚染しないような方法で設置すること。
4.9.2 排水管は清潔に保つこと。また、逆流しないものとすること。
4.9.3 下記について設計上考慮すること。
a) 露出した頭上の梁、パイプ及びダクトは避けること。
b) 露出したパイプは、壁に触れないようにするか、腕木から吊り下
げるか腕木で支えて十分に壁から離して完全に清掃できるようにす
ること。
c) あるいは、製品を保護するための具体策を講じること。
29
☆
構造設備の例
☆
空調吹出口
天井埋込み照明
エアフィルターで
除塵処理された
空気を供給する。
アクリルカバー付き
手洗い設備
温風乾燥機、洗剤入れ
足踏みペダル、鏡付き
配管
露出配管は壁から
離し清掃し易くする
外部
環境
生産室
Rコーナー処理
長尺塩ビシート(例)
床コンクリート
前室
外側廊下
更衣室
壁や床材は平滑で清掃し易い材料にする
外部に面した窓
開かないか開く場合
は網戸等を設置
30
15
化粧品GMP
4.10 清掃及び消毒
4.10.1 このガイドラインで述べる活動で使用する構造設備は、清潔
な状態に保つこと。
4.10.2 各製品を保護する目的を達成するために清掃及び消毒を行
うこと。
4.10.3 使用する洗浄剤及び消毒剤は指定し、有効なものとすること。
4.10.4 各区域の特定のニーズに対応した清掃及び消毒プログラム
を備えること。
31
化粧品GMP
5. 機 器
5.5 清掃及び消毒
5.5.1 すべての機器は、適切な清掃及び衛生管理プログラムを対象
とすること。
5.5.2 洗浄剤及び消毒剤は指定し、有効なものとすること。
5.5.3 連続生産又は同一製品の連続するバッチの生産に機器を指定
する場合は、適当な間隔で機器を清掃すること。
32
16
作業室の清掃作業手順(例)
清掃・消毒手順
日常清掃場所と周期
清 掃 場 所
周
期
作 業 室
更衣室(脱・着)
エアシャワー
作業中汚れを認めた時
前室(パスボックス等)
作業終了後
午前、午後各1回
廊
下
午前、午後各1回
作業終了後
床
1.生産作業は終了している
2.作業室扉に清掃中の表示
3.クリーナーで床の粉塵除去
4.水拭き
5.消毒液拭き
壁・天井 水拭き後消毒液拭き
(ヒビテン・オスペン)
設備・ドアノブなど 消毒用エタノール噴霧
設備・機器及び用具類の洗浄
1.定められた方法と頻度で機械・設備を清掃する
2.機械・機器を定められた方法で清掃後、清浄になったことを、目視点検する。
3.精製水でリンスをおこなう。
4.洗浄後の点検で破損不具合などがあれば報告する。
5.機械・機器に洗浄済の表示をおこなう。
6.器具・工具は清掃後所定の場所に戻す。
33
機器の洗浄手順(例)
清掃・消
毒・間隔
清掃・消毒手順
調整タンク
バッチ毎
CIP・SIP
(難溶解物は最後に
エタノール等溶媒洗
浄)
乳化機
バッチ毎
衛生管理手順書に規 ①精製水・ソーダー灰・ブラシ、
定
②洗浄バリデーションで確認済
充填機
バッチ毎
同上
①掃除機・常水・無塵不織布・
無水エタノール
②肉眼観察:汚れなし
包装機
バッチ毎
同上
①掃除機・常水・無塵不織布・
無水エタノール
②肉眼観察:汚れなし
照明器具
1回/年
全面を常水含む無塵
不織布で拭く
①常水・無塵不織布、
②肉眼観察:汚れなし
機器・器具
①使用する用具・水・薬剤等
②評価
①精製水・ピュアースチーム・
70%エタノール、
②洗浄バリデーションで確認済
34
17
☆ 防虫対策 ☆
虫の侵入は生産環境や製品の汚染、製品の信頼性に
悪影響を及ぼします。そのため、防虫対策が重要です。
屋外から侵入する虫には
・飛んでくる虫
・歩いたり、這ってくる虫
・排水系から入ってくる虫
・食べカス、皮膚の破片などをエサに繁殖する虫
がいます。
35
化粧品GMP
4.13 防虫対策
4.13.1 構造設備は昆虫、鳥、齧歯動物、有害な小動物、その
他の害獣が侵入しないように設計し、建設し、維持すること。
4.13.2 構造設備に適した防虫対策プログラムを備えること。
4.13.3 構造設備の外側が有害な小動物を引き寄せたり有害な
小動物のすみかにならないように管理するための特別な
措置を講じること。
36
18
防虫対策プログラム
継続的改善
異常なし
継続
・方法
・場所
・調査数
・管理値
現状の把握
・外部環境
(立地、自然環境、生態)
教育
訓練
・構造設備
(開口、劣化、排水系)
・搬入品
全員参加の
予防活動
修正
教育
(梱包状態、原料、資材)
モニタリング
5Sとの融合
・日常作業
虫・異常を発見
手順
(動線、生産環境の変化)
虫の捕獲、報告
見直し・改善
処置の検討・対策
昆虫相動態調査
37
作業室の防虫、防塵対策
人(従業員)の衛生管理
手順書、室内行動基準を守る
物(原料・資材)の衛生管理
5S活動の励行
構造設備の衛生管理
清潔、洗浄、特に水回りの隙間、
排水溝、室の気密性
虫モニタリングの例
ライトトラップ
床置き式粘着トラップ
38
19
☆ 防虫対策(例) ☆
・ 侵入経路を無くす。
・ 入口にエアーフェンスを使用。
・ 捕虫トラップ(ライトトラップ、粘着トラップ)を設置。
・ ダンボールをそのまま室内に持ち込まない。
・ 仕切りや自動閉式ドアを利用。
・ 頻繁に清掃して虫の繁殖を防ぐ。
・ 建屋に鳥が巣を作るのを防ぎ、落ち葉など除く。
39
倉庫の 防虫、防塵対策(例)
・ 運搬車側シャッター A と 倉庫側シャッター B の 同時解放
を禁止
・ シャッターの閉め忘れは厳禁
ライトトラップ
外壁
シャッターB
倉庫
シャッターA
屋内専用リフト
チリ、ホコリ、虫
荷受け室
粘着トラップ
前室(清掃、清拭)
・ 捕虫トラップ(ライトトラップ、粘着トラップ)を設置し、モニタリング
・ 荷受け室や前室の清掃を定期的に実施
40
20
防虫管理手順書
1.処置方法
(1)殺虫剤の散布による方法「スミチオン・ダイヤジノン等」
(2)捕虫・捕鼠トラップによる方法
(3)薫蒸剤による方法
(4)誘引捕虫器による方法
(5)エアゾール自動噴霧装置(オートミスト)による方法
(6)樹脂蒸散剤(樹脂プレート)による方法
2.処置期間・設置場所
3.記録及び確認
4.異常時の対策
41
化粧品GMPの衛生管理関連の手順書の例
① 作業所の衛生ランク区分図
⑩ 入退室手順
② 作業所の構造設備の点検手順
⑪ 健康状態点検手順
③ 作業室の清掃作業手順
⑫ 原料・資材の外装清掃消毒手順
④ 清掃用具の管理手順
⑬ 防虫・防そ管理手順
⑤ 洗浄・消毒剤の調整・使用手順
⑭ 製造用水管理手順
⑥ 作業室清掃後の点検手順
⑮ 環境モニタリング試験手順
⑦ 設備機器・用具類の洗浄確認手順 ⑯ 逸脱処理手順
⑧ 作業服基準
⑰ 廃棄物処理手順
⑨ 更衣手順
⑱ 教育訓練計画・実施手順
42
21
化粧品GMP
11. 廃棄物
11.1 原 則
廃棄物は適時、衛生的な方法で処分すること。
11.2 廃棄物の種類
生産及び品質管理試験室の調査に基づき、会社は製品の品質に
影響を及ぼす可能性のあるさまざまな種類の廃棄物を規定すること。
11.3 動 線
11.3.1 廃棄物の動線は生産及び試験の作業に影響を及ぼさないこと。
11.3.2 廃棄物の収集、輸送、保管及び処分に関して適切な措置を講
じること。
11.4 容 器
廃棄物の容器は、必要に応じて内容物その他の情報で識別するこ
と。
11.5 処 分
廃棄物の処分は、十分な管理の下で適切な方法で行うこと。
43
衛生管理記録の例
衛生管理記録
点検日
No
1
年
点検場所
室内
月
包装室 月次点検表
日
生産管理
責任者
工程責任者
作業責任者
点検者
点検内容
点検結果
処置後結果
照明器具は正常か(照度、汚れ、取り付け状態)
天井、壁、床、窓、ドアは清潔に保たれているか
作業台は整理、整頓、清掃 されているか
配管、ダクトの室内露出部は清掃されているか
空調吹出口、吸込口は清潔か
2
防虫管理
包装室内に虫はいないか
殺虫プレートは設置されているか
有効期限はまもられ
44
22
衛生管理記録の例
更衣室
点検日
No
年
月次点検表
月
日
点検内容
ロッカー
工程責任者
作業責任者
点検者
点検場所
1
生産管理
責任者
点検結果
処置後結果
全てのロッカー内が整理、整頓、清掃されているか
汚れた衣服は入っていないか
2
手洗い場
正常な水が出るか
清潔が保たれているか
逆性石鹸液は入っているか
3
掃除用具
掃除用具は清浄か
決められた場所に収納
45
衛生管理記録(例)
作業員、作業員服装、点検記録書
工程
区
分
作
業
員
服
装
管
理
作
業
員
衛
生
管
理
チ ェ ッ ク 項 目
服装
帽子
履物
喫煙
飲食
手洗い
消毒
私物の
持込
1
一般作業服、防塵服との更衣は所定の場所でおこなわれているか
2
一般作業服、防塵服は何時も清潔なものが着用されているか
3
服装は主意類別に正しく着用くぶんされているか
4
一般作業服、防塵服は定期的に洗濯されているか
1
帽子、履物は何時も清潔に、汚れたら直ぐに洗濯されているか
2
帽子、履物は種類別に正しく着用区分されているか
1
喫煙は定められた場所でおこなわれているか
2
吸殻の後始末は完全に火気のない事を確認して処理しているか
3
最終退場者は吸殻の処置及び戸締りの確認をしたか
1
製造室、工程管理室で飲食していないか
1
前室へ入室の際、石鹸と常水での手洗いを励行しているか
2
作業室へ入室の際の手洗い消毒は励行されていいるか
3
塩化ベンザルコニウム液は清浄なものに交換されているか
4
塩化ベンザルコニウム液は所定の場所にはいきされているか
衛生管理
責任者
作業責任者
年 月 日
チェック
曜日
サイン
1
46
23
化粧品GMPに関する説明会
文書化について
2015年6月9日(東京)
2015年6月10日(大阪)
2015年6月12日(名古屋)
NPO―QAセンター
1
内容
1.文書化の価値と目的
2.管理対象となる文書
3.文書管理に係る事項
4.電磁記録や記録を原本として
保管する条件
5.文書の作成
2
1
1(1)なぜ文書化が必要か
•文書化とは目に見える形にする、すなわち可
視化する、ということ。
•可視化したものでなければ、これでよいかの
評価ができない。
•手続きを可視化することで有効性評価が可能
となる。
•有効性評価の内容・結果も文書として残す必
要がある。
3
1(2)文書化の価値
ISO 9000:2005より
文書化によって、意図を伝達し、行動性に一貫性を持た
せることが可能になる。その利用は次の事項に役立つ。
a)顧客要求事項への適合の達成及び品質改善
b)適切な教育・訓練の実施
c)再現性及びトレーサビリティ
d)客観的証拠の提供
e)品質マネジメントシステムの有効性及び適切性が継続している
ことの評価
文書の作成はそれ自体が目的ではなく、価値を付加する
活動であることが望ましい
4
2
1(3)なぜGMPで文書化が大事な
のか
GMPの求めの一つ:
誤りなく製品を製造し、製造された製品の適格性を
確認したことの証を作成し残すこと。
そのためには
①誤りなく製品を製造するための手続き、方法、
手段を明確にする。
②製品の適格性を誤りなく確認するための手続
き、方法、手段を明確にする。
③そして製造記録、適格性確認記録を保管する。
5
化粧品GMPを含むすべての製品の品質保証は、
実際の作業と完全に整合した文書、文書に基
づく正確な運用を基本としている。
すべての品質保証規格の原則は
第三者に対する
「透明性」『公平性」『客観性」である。
全てに共通の基本ツールは、文書・記録類であ
る。
6
3
1(4)一方、文書管理をおろそかに
すると・・・
•製造販売承認書における規定と実態とのかい離
•製造販売承認申請書におけるデータの誤記
•品質試験における規定と実態のかい離
•品質試験におけるデータの誤記
•改訂前処方/製造方法等での生産による不具合
の発生
⇒信用の失墜
⇒企業の消滅
7
1(5)文書化の目的
(1)情報を他人に伝達すること
(2)情報をとどめること
知識の共有(組織の経験を広め、保管するため)
(3)適合の証明
計画したことが実際に行われたという証拠
情報を伝える手段、とどめる手段は、情報
の種類、状況によって変わる
8
4
1(6)化粧品GMPの要求事項
17 文書化
17.1 原則
17.1.1 各会社はその組織構造及び製品の種類に適し
た独自の文書システムを立ち上げ、設計し、備え付け、
維持すること。文書の作成及び管理に電子システムを使
用してもよい。
17.1.2 文書化はGMPに不可欠である。したがって、文
書化の目的は、このガイドラインに述べられている活動の
履歴について述べ、言葉による伝達に伴う解釈、情報の
喪失、混乱又は間違いのリスクを防止するため、これらの
活動を記述することである。
9
文書化外で言及している文書事項①
3.3.2従業員の責任
すべての従業員は、次の責任を負うものとする。
c. 自分の責任の範囲内の文書を閲覧し、それに従う。
3.4.2.2社内の職位又は勤続年数にかかわらず、すべ
ての従業員の教育・訓練のニーズを明確にし、対応す
る教育・訓練プログラムを作成し、実施すること。
10
5
文書化外で言及している文書事項②
7.2
製造作業
7.2.1 関連文書の完備
7.2.1.1関連文書は、製造作業の各段階で利用できるようにして
おくこと。
7.2.1.2製造作業は次のものなど製造に関する文書類に従って
行うこと。
a.適切な機器
b.製品の処方
c.関連文書に従って識別され、バッチ番号及び量を示したすべて
の原料のリスト
d.原料の投入、温度、速度、混合時間、サンプリング、機器の清
掃、バルク移送などの各段階についての詳細な製造作業
11
文書化外で言及している文書事項③
9品質管理試験室 9.1原則
9.1.1 「従業員」、「構造設備」、「機器」、「委託」及び「文書化」
について述べた原則を品質管理試験室に適用すること。
12委託 12.1原則
委託業務を対象として委託者と受託者の間で契約書又は合意
書を作成し、お互いに確認し、管理すること。ここでの目的は、
所定の委託者の要件に合致する製品又はサービスを得ることで
ある。
12.5契約書
12.5.1委託者と受託者の間でそれぞれの義務及び責任を定め
た契約書又は合意書を作成すること。
12
6
1(7)どの様な文書を作成しなけれ
ばならないか?
①誤りなく製品を製造するための手続き、方法、手段
基本的事項:誰が、 誰の指図で、 どこで(どのような
環境で)、どの様な方法で、 どの様な設備を用いて、
製造するかを定める。
②製品の適格性を誤りなく確認するための手続き、
方法、手段
基本的事項:誰が、 誰の指図で、 どこで(どのような
環境で)、どの様な方法で、 どの様な設備を用いて、
検査するかを定める。
③そして製造記録、適格性確認記録を保管する
基本的事項:誰が、 誰の指図で、 どの様な方法で、
確認・保管するかを定める。
13
1(8)文書化のフロー
教育
訓練
実施
文書によ
る手順作
成/改訂
手順の変更
手順に
基づく実
行
活動履
歴の記
録・保管
作業・工程などの変更(逸脱
の改善、苦情、内部監査等)
文書システムとして管理
14
7
内容
1.文書化の価値と目的
2.管理対象となる文書
3.文書管理に係る事項
4.電磁記録や記録を原本として
保管する条件
5.文書の作成
15
化粧品GMPの要求事項
17.2 文書の種類
17.2.1文書は、このガイドラインの対象となって
いる活動に適した手順、指示、規格、作業手順
、プロトコール、報告、方法、記録のような要素
で構成されていること。
17.2.2文書は、紙の文書でも電子データ記録で
もよい。
16
8
管理対象文書
・法律による規定はない。⇒各会社責任判断
・活動に適した以下のような要素から構成
手順(procedure)
指示(instruction)
規格(specification)
作業手順(protocol)
方法(method)
報告(report)
記録(record)
⇒ex)
⇒
⇒
⇒
⇒
⇒
⇒
品質管理手順書
製造指図書
製品標準書
SOP(標準作業手順)
試験検査方法
改善報告書
製造作業記録
17
GMP文書には2種類の文書がある
1.指図系文書
規格書:基本文書(原材料と製品の適合要求事項の詳細記述書)
処方、製造、包装、試験の指図書:反応、製造工程、包装工程、
試験の指図を規定したもの
SOP:特定の作業を行うための指示を行うもの
実施計画書(Protocols):作業を実行、記録の指図を与えるもの
契約書:委受託契約文書
2.記録系文書
記録書:指図書に従って実施した証拠文書(生データ含む)
試験成績書:試験結果の概要書(規格値との比較含む)
報告書:特定業務、プロジェクト、調査実施結果、結論、
勧告の記録
18
9
内容
1.文書化の価値と目的
2.管理対象となる文書
3.文書管理に係る事項
4.電磁記録や記録を原本として
保管する条件
5.文書の作成
19
3(1)文書を管理するとはどういう
ことか
①文書及び記録の管理に関する手順書を定める。
②その手順書には次のことを定める。
a)責任者(作成者、確認者、承認者)を明らかにする
b)作成文書をだれにどのような方法で配布するか
c)作成文書をだれがどのような方法でいつまで保管するのか
d)手順書等を作成・改訂の際は日付を記載し、それ以前の
改訂履歴を保管すること。
e)手順書等を廃止するときの責任者(廃止起案者、確認者、
承認者)及び文書回収の手順を定める
20
10
③手順書等を作成・改訂したときは、次のことを文書
に記載すること。
a)だれがいつ作成し、確認し、承認したのか
b)だれがどの部分を、いつ、どのような理由で、改訂
し、確認し、承認したのか。
④文書は、業務を行う従業員が理解できる言語で
記載すること。
⇒難解な文章表現は不可。
⑤文書は、関連するほかの文書との間の相互関係が
わかるように作成すること。⇒関連文書を紐つける。
⑥記録は、定められた欄に消去できない方法で記入
し、記入者名を明記すること。また訂正のルールを
定めておくこと。
21
3(2)文書管理、手順書の要件
①責任者(作成者、確認者、承認者)
の明確化
従業員がなすべき職務をGMP管理を定めた
文書の中でも明確に定めておく。
責任者を明確にすることは作成した文書や
記録の責任の所在を明確にし、文書の信頼
性と正当性を証明するための必要要件。
職務権限が不明なヒトの多数のハンコの羅列
は不可。
22
11
②責任者の要件
作成者:作成文書で方法・手順を定める作業に関し
ての情報を有する人(作業の内容を理解して
いる人)
確認者:作成文書で方法・手順を定める作業に関し
て必要な情報(作業で使用する設備機器に
ついて原理や操作方法、法的事項、原料、資
材、中間製品、製品についての情報)を広く
熟知している人
承認者:確認者の上位職責者(責任者)
注)確認者、承認者は同一人であってもよい。
23
③作成文書の把握
品質部門はすべての文書を把握すべきである。
※すべての作業について文書化が必要。
⇒法令の制定・改正、製造方法・条件、試験検査方
法・条件等の変更に合わせて関連文書の見直し
が必要。
⇒見直し対象文書の漏れを防ぐためにも把握必要。
文書把握の方法は?
文書に識別番号や記号を振る。
識別番号は文書の種類、改訂の版数、製造品目の
種類や数などの情報を織り込む。
24
12
④作成文書の配布先の把握
配布先をなぜ把握しておくのか?
1)永続的に一定の規格、品質を複数者が共同で生
産する場合には、生産方法及び手順が生産時点で
生産に係るすべてのものに同じ情報が伝達されて
いなければならない。
2)関係するもの、すべての部署にもれなく情報を伝
達するため、伝達漏れがないか確認をするため、
品質部門は、文書配布先を把握しておく必要があ
る。
3)生産する時点で同じ情報 = 最新版の文書がな
ければならない。
25
4)品質部門は文書改訂(最新版文書発行)の
際、次のことを行わなければならない。
ア)当該文書を配布すべき部署に配布すること。
イ)改訂前の文書を回収すること、または配布先で
文書廃棄させ、廃棄の確認を行うこと。
この作業を完遂するためにも文書配布先の把握
が必要。
配布先の把握の方法は?
把握の方法は製造所の規模や組織にそって規定。
ex):文書と配布先のマトリックスを作成し、文書
管理の責任者が配布する。
26
13
⑤作成文書及び配布文書の保管
具体的にどの期間保管しなければならないの?
•文書保管の規定はない(記録は3年間)。
•規定されていない事項は、他の省令等を照らし
各製造所で判断する。
ex)薬事法施行規則第90条、GQP省令第19条
化粧品GMPでは
1)記録:作成の日から5年間
2)手順書等:使用しなくなった日から5年間
27
•1)2)は保管しておかなければならない最短
期間
⇒製造所の規定にてこれ以上長い期間保管
することは問題がない。
•PL法の規定を考慮。
•製造業者によっては手順書に規定した期間
よりも漠然と長期間保管している例あり。
都道府県から
⇒手順書規定を遵守していないとの判断を
される場合がある。
28
14
化粧品GMPの要求事項
17.5 文書の保管
17.5.1文書原本を保管し、管理されたコピーだけを使
用すること。
17.5.2文書原本の保管期間は適用される法律及び規
則に従って定めること。
17.5.3文書原本の保管は適切に管理すること。
17.5.4文書は電子的に記録するか又はハードコピーと
して保管してもよく、読みやすさを確保すること。
17.5.5バックアップデータは、定期的に別の安全な場
所に保存すること。
29
⑥文書の作成日及び改訂履歴の保管
改訂履歴作成と保管の目的
1)履歴を作成することで現在のGMP管理が適切で
あることを過去から現在まで保証する。
2)現在の文書が最新で承認されたものであることの
保証。
配布文書と原本の改訂履歴を比較すること
で容易に確認できる。
30
15
⑦生データ・記録の取り扱い
1)手順書に生データの扱いを規定する。
2)データシート(様式)を使用したものを生データと
する(メモも含む)。
3)機器からの打ち出し記録データは、シートに貼付
する。
4)年月日・何時・担当者名を記録する。
5)生データは配布・回覧しない。
6)試験成績表に転記する。
<参考>GMP事例集GMP20-5(文
書等の管理)
[問]「生データ」にはどのようなものが該当するか事例
を示してほしい。
[答]設問の「生データ」とは、最終結果を得るために使
用した元となるデータ及び最終結果を得るに至った過
程を含む記録のことをいい、最終結果が正しく出された
ことを検証することができるものであることが必要であ
る。例えば、試験検査に係る生データとしては、次のも
のが挙げられる。
1.測定機器からプリント機能により出力されるデータ
32
16
2.記録計から出力されるチャート又は読み取った値
を記録したもの
3.測定機器に表示される値を書き取ったもの
4.観察結果を書きとめたもの
5.チャートなどの波形データを電子的に記録したファ
イル
6.写真
7.上記のデータを使用し計算、換算等を行った際の
過程を記録したもの等
注意点
・記録の訂正ルール
例えば:
記入事項の修正は、日付を入れ、署名
し、修正前の記載事項も読めるように
しておくことが必要。
修正・削除の箇所は線引き(一重線ま
たは二重線)をして,消し去らないこと。
34
17
⑧文書の廃止及び回収の管理
作業を行う場所では最新の文書のみを保管する
のはなぜ?
⇒旧文書を間違って参照し作業を行うことを
未然に防止する
文書廃止及び回収の方法は?
⇒把握の方法は製造所の規模や組織にそっ
て規定する
ex)文書と配布先のマトリックスを作成し、
文書管理の責任者が配布する
35
⑨複数文書の相互の把握
GMP管理における作業(特に製造作業)を規定
した文書では、文書引用することが多い。
その場合は相関性を明記する欄を設け、変更が
生じた場合のリレーを容易にしておく工夫が必
要である。
⇒システムを構成する文書類は「一定の秩序あ
るまとまり」が必要となってくる。文書ではいわゆ
る「ソーティング(層別)である。
36
18
階層別文書体系の例
GMP管理監督基準書
製造管理基準書・衛生管理基
準書・品質管理基準書等手順
書(規則類)、製品標準書
Level
1
Level 2
GMP組織図、製造指図、SOP、
試験検査手順書、規格書、工
程装置操作手順書
Level 3
指示書、設備機器の運転操作
手順、設備配置図
Level 4
GMP文書の基準となる文書
製造の基本となる文書
製品製造の手順書、検査手
順書等
操作、作業の手順書
操作単位、その他
階層別文書としてLevel1~Level4文書に分類した。左記文書は各
階層の事例である。
37
文書番号付与の例
文書のクラス、種類及び個別番号の組み合わせによること
とし、個別には次による。
• 総則は、L1-00 とする。
• 手順書は、L2-** とし、**には任意の数字、基本的には
ISO22716の項目番号を充てる。
必要に応じ、さらに枝番号又は枝文字を設定することが
できる。
• L3クラスの文書は、L3-**-?-*** とし、**には上位文書
の番号、?には下表による文字、***には連番を充てる。
• 必要に応じ、さらに枝番号又は枝文字を設定することが
できる。
38
19
文書名
製品標準書
SOP(標準作業書)
指図書
規格
台帳
組織
記号
S
P
I
Q
L
O
L2-09-S-001
L3-07-P-001
L3-07-I-001
L3-06-Q-001
L4-17-L-001
L2-03-O-001
参考例
製品標準書
生産時の標準作業書
生産時の製造指図書
原料の品質規格書
文書台帳
組織図
•各文書に附属する記録様式は、文書番号の頭文字
をDに変え、その後に連番(-***)をつける。
39
内容
1.文書化の価値と目的
2.管理対象となる文書
3.文書管理に係る事項
4.電磁記録や記録を原本として
保管する条件
5.文書の作成
40
20
4(1)コンピュータ化への対応
 製造所でコンピュータの利用が拡大、一般化
– 文書、記録の作成・保管のコンピュータ利用拡大
– コンピュータを搭載した製造機器、分析機器が増
加
 紙から電子ファイル、人からコンピュータ
– 文書・記録の作成と保存管理の業務を軽減化
– 文書・記録の共有による利便性の向上
– 品質保証業務の質の向上
41
 コンピュータ依存が増加し信頼性に問題・・・・
-操作ミスでデータの喪失
-権限のないものがデータを書き込み⇒承認
-保存データの破損、読み取りできない
-プログラムの欠陥で正しくデータ処理されず
重要な技術情報、蓄積されたデータを失う
製品の品質に関する判断情報の提供が適切に
行えない 等々
42
21
4(2)電磁的保存方法の法的整備
 e-文書法あるいは電子文書法
「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術
の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)と「民間事業
者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関
する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成
16年法律第150号)の総称。
-電磁的に行う場合はコンピュータシステムの信頼性を確保する
ことが前提
-文書・記録等の取扱いについては関係省令に基づく要件を満
足する。
43
GMP関連 コンピュータ利用関連法令等
 厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が
行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する
省令 (平成17年3月25日厚生労働省令第44号)
 医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化
システム適正管理ガイドライン(平成22年10月21日薬食監
麻発1021第11号)
GMP省令が適用される医薬品又は医薬部外品を製造販売
する製造販売業者又は製造する製造業者等における、GQP
省令及びGMP省令に基づく業務に使用されるコンピュータ化
システムに係る適正管理ガイドラインを別添のとおり定め、平
成24年4月1日より適用する。⇒化粧品は適用外
44
22
4(3)電磁的記録保管の必要な措置
(1)記録の保護について電子媒体等に保管さ
れた記録の故意または過失による書き換え、
消去及び混同を防止するために、次に掲げる
措置を講じること
(真正性の確保:ほんものである)
a)電子媒体等への記録の入力を行う装置は、あら
かじめ指定された作業者を認識し、指定された者
以外の者による記録の入力、変更及び削除を防
止できるものであること。
45
4(3)電磁的記録保管の必要な措置
b)あらかじめ定められた手順によらない記録の入力、
変更及び削除が禁止されていること。
C)記録の入力、変更及び削除を行った場合において
、その内容及び理由(変更又は削除の場合)、作業
した日時、職員の氏名又は識別記号等作業者を特
定する情報、入力を行った電子媒体等を特定する
ための固有標識についての記録を作成すること。
d) 記録の滅失防止のために予備の記録(バックアッ
プ)を作成し、保管すること。
46
23
(2)記録の印字等について電子媒体等に保管された
記録について書面への印字やディスプレイ装置への
表示を行うための設備及び方法が整備されている
こと。(見読性(or可視性)の確保:人が読むことが
できる)
(3)電子媒体等の管理について記録を保管するための
電子媒体等の管理について次に掲げる事項を定め
ておくこと。
a)電子媒体等の保管方法、保管期間、保管場所及
び保管責任者
b)磁気媒体等の劣化、損傷等の防止措置
c)磁気媒体等の劣化、損傷等が生じた場合の措置
(保存性の確保:必要な期間適切に保管できる) 47
<参考>GMP事例集 GMP20-4(文書
等の管理)
[問]製造管理又は品質管理に関する記録を磁気媒体等により
保管する場合、元の手書きの記録は保存せずに、新たにコンピュ
ータに記憶させて保管することは認められるか。
[答]「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ
化システム適正管理ガイドライ ン」(平成22年10月21日薬食
監麻発1021第11号)に従い適切に管理されたコンピュータ化
システムで、一部改正施行通知第3章第3の35(7)及び「医薬
品等の承認又は許可等に係る申請等に関する電磁的記録・電
子署名利用のための指針」(平成17年4月1日薬食発第040
1022号別紙)の要件を満たした条件で保管することとした場
合には、元の「手書きの記録」を別途保管する必要はない。なお
、加工されていない生データは適切に保管する必要がある。
48
24
•紙に記載された生データを磁気媒体等で保
管する場合は
⇒ 生データの記載された紙の保管は不要。
•生データを加工して得たデータ(の記載された
紙)を磁気媒体で保管する場合
⇒加工して得たデータの記載された紙は保存
しなくてよいが、元の生データそのものを記載
した紙の保管は必要。
49
<参考>GMP事例集GMP20-9(コンピ
ュータの利用等)
[問]コンピュータにより製造指図書(原本の写し) を作成する場
合、その内容を印刷したものに指図年月日の記入、指図者の署
名又は記名押印が必要か。
[答]
1.製造指図書の作成を書面により行う場合には、指図年月日
については、機械的に印刷されたもので差し支えない。ただし、
製造指図を行うこととされた者の署名又は記名押印(記名は印
刷されたもので差し支えない。)が必要である。
2.製造指図書を書面での指図に代えて電磁的記録による指図
とする場合には、製造指図を行うこととされた者は、e-文書法
厚労省令、「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等に関す
る電磁的記録・電子署名利用のための指針」(平成17年4月1
日薬食発第0401022号別紙)の規定を踏まえ、電子署名を 50
行うこと。
25
<参考>GMP事例集GMP20-10(コン
ピュータの利用等)
[問]品質部門が、原料や資材に関する試験検査結果の判定結
果の製造部門への報告書として、コンピュータから打ち出された
ものを用いる場合、品質部門の署名又は記名押印は必要か。
[答]文書により報告を行う場合には、署名又は記名押印がなさ
れていることが必要である。品質部門による試験検査結果の判
定結果の製造部門への報告については、書面によるほか、コ
ンピュータ上で電磁的方法により行うことも可能であるが、その
場合には、「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等に関する
電磁的記録・電子署名利用のための指針」(平成17年4月1日
薬食発第0401022号別紙)の規定を踏まえた電子署名が必
要である。
51
<参考>GMP事例集GMP20-11(コン
ピュータの利用等)
[問]試験検査成績をインプットするとあらかじめ記憶されている
規格と対比し、各項目が規格内の場合、自動的に合格とアウト
プットされるシステムにより品質判定を行ってもよいか。
[答]「アウトプット」すること自体は差し支えないが、品質部門は
あらためて試験検査の結果を検討して適否の判定を行う必要が
ある。
⇒試験結果の判定は責任者が行う。
52
26
<参考>GMP事例集GMP20-12(コン
ピュータの利用等)
[問]製造所の製造管理及び品質管理に係るコンピュータ化シス
テムの開発及び利用に際してバリデーションは必要か。また、そ
の際に遵守すべき事項は何か。
[答]コンピュータ化システムを製造管理及び品質管理のために
開発及び利用するのであれば、コンピュータ化システムバリデーシ
ョン(CSV)は必要であるが、加えてそのシステムの開発から運
用、廃棄まで適正に管理されることが必要である。コンピュータ
化システムの管理に当たっては、「医薬品・医薬部外品製造販
売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン」
(平成22年10月21日薬食監麻発1021第11号)や、関連
ガイドラインの最新版等によること。
53
内容
1.文書化の価値と目的
2.管理対象となる文書
3.文書管理に係る事項
4.電磁記録や記録を原本として
保管する条件
5.文書の作成
54
27
化粧品GMPの要求事項
17.3 記述、承認及び配付
17.3.1文書は目的を明確に定め、このガイドラインに関連するす
べての活動で実施される作業、講じられる予防措置、適用される
手段について適切な詳しさで述べること。
17.3.2文書の表題、性格及び目的について述べること。
17.3.3文書は、次の事項に従うこと。
a.読みやすく包括的な方法で書く。
b.使用する前に権限所有者が承認し署名し、日付を記入する。
c.作成、改訂、撤回、配付、分類を行う。
d.廃止文書が使用されないようにするために参照をつける。
e. 関係者が利用できる。
f. 無効となったものは作業区域から取り去り、破棄する。
55
化粧品GMPの要求事項
17.3.4手書きデータの入力を必要とする記録は、次の事
項に従うこと。
a.何を入力すべきか指示する。
b.パーマネントインクで読みやすく書く。
c.署名して日付を記入する。
d.訂正がある場合は、元の記入は読めるように残してお
く。必要に応じて訂正の理由を記録する。
56
28
文書作成(表示)
文書作成は以下の項目を取り込むことが望まし
い。
ex)
5(1)(表紙):
表紙には次の事項を記載する。
名称、(識別番号)、版、
発行日、運用日、責任者、担当部署、改訂
経過、改訂理由、改訂事項、承認者署名
57
表紙の事例
識別番号
GMP-1701
品質保証部
担当部署
17.文書化手順書
文書名称
平成○年○月○日制定・発行
制 定 者
責任技術者
(氏
作
名)
印
成
(氏
者
名)
印
平成○年○月○日
平成○年○月○日
58
29
5(2)(本文):
本文には次の事項を記載する。
範囲:文書が適用される作業範囲、部署
目的:文書作成の目的
責任: 作業の責任者又は責任部署の記載
関連文書: 関連文書を識別記号等で引用
手順: 規定する手順を具体的に記載
逸脱発生時の対応: 想定外の状況が発生し
た場合の報告先や措置方法を記載
(措置方法を別文書で記載する場合は識別番号を
記載して紐付ける)
本文事例については平成20年6月25日付け化粧品GMP別添
「各種手順書」を参照されたい。
59
化粧品GMPの要求事項
17.4 改訂
文書は必要に応じて改訂し、改訂番号を示すこと。それ
ぞれの改訂の理由を保管すること。
60
30
5(3)改訂履歴
改訂履歴には下表の事項を記載する
改訂番号
発効日
改訂理
由
新規
H24.2.1
1
H25.2.28
大きな文書改
訂ののちには
必要に応じ従業
員の教育訓練
改訂箇所
作成者
確認者
承認者
新規制
定
○○○○
H24.1.20
○□□△
H24.1.21
凸凹△□
H24.1.27
内部監 (なるべく詳
査時の 細に)
指摘に
よる(内
部監査
指摘報
告書D24010-00
1)
○○○○
H25.2.22
○□□△
H25.2.25
凸凹△□
H25.2.27
サインには判断を
行った日を合わせて
記載する
改訂の起因となった記録をリンクして
おくとわかりやすい(改訂の背景がわ
かるように)
61
ご清聴ありがとうございました。
NPOーQAセンターのURL/連絡先
URL:http://www.npo-qa.jp/
〒540-0026大阪市中央区内本町1-4-12 301号室
TEL:06-6910-1455
FAX:06-6910-1456
62
31