素敵な定番 - So-net

Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者
第18号
港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
2009年1月14日(水)発行
素敵な定番
G.ホルストは,近代イギリスを代表する作曲家の一人である。一番有名なオーケストラ作品は組曲『惑星』だ
ろう。他に,イングランド各地の民謡や東洋的な題材を用いた合唱作品,吹奏楽曲でも有名である。
聞いたことあるかな?
さて,吹奏楽の世界では最も重要な「古典」作品のひとつに,ホルストの作曲した「吹奏楽のための第1組曲」
がある。(組曲には第1,2とふたつあり,第2組曲も有名。)この曲は,オケの世界でのベートーヴェンの「運命」
のような歴史的存在感をもった吹奏楽曲で,第1楽章の「シャコンヌ」,第2楽章の「インテルメッツォ」,第3楽章
の「マーチ」というとても構成力豊かな3つの楽章からできている。(特に,第1楽章のシャコンヌは個人的に大好
き!シャコンヌのテーマの美しさもいいけど,そのあとの変奏の一つ一つが素晴らしくいい!)「吹奏楽」という世
界にいるなら絶対に演奏しておくべき一曲。
A.リードは,アメリカの作曲家・指揮者で,特に吹奏楽では間違いなく20世紀を代表する音楽家の一人で
ある。その吹奏楽作品は数百曲。親日家でもあり来日回数も多かった。(俺は18歳のときにA.リードの指揮す
る演奏会を大阪まで聴きに行ったことがある!あんときは38度くらいの熱があったんだけど根性で行った。そし
たらその直後,肺炎で入院するハメに・・・。)2005年にこの世を去った。リードの作品の中でも最高峰の一つと
されるのが「アルメニアン・ダンス」である。作曲当初は4つの楽章からなる組曲として構想していたが,第1曲目
を「パート1」,第2,3,4曲目を「パート2」として2つに分けた。特に,「アンルメニアンダンス・パート1」は有名
で,吹奏楽に携わる者であれば知らない者はいないほど。5曲のアルメニア民謡のメドレーのような形式で,こ
れ自体が1つの組曲のような構成になっている。それぞれの曲に「杏(あんず)の木」,「ヤマウズラの歌」,「おー
い,僕のナザン」,「アラギャズ山」,「行け,行け」というタイトルが付いていて,実に個性的,色彩的で変化に富
んだ,魅力的な作品である。(個人的には,一番で出し部分,スコアの1ページ目が大好き!リードのこの曲に
対する「気合」を感じる。「吹奏楽」という編成が決して管弦楽に劣らないということを証明するかのような響きを
実現しているように思える!リード博士!最高!!もう一つ大好きな箇所,それはアラギャズ山に入る瞬間。こ
こも管楽器の集合体である吹奏楽ならではの深い息づかいや,倍音豊かな響きが最高級に表現される瞬間!
吹奏楽に出会い,この曲に出会ったことに感謝する瞬間!!)
以上の2曲を,港南吹奏楽団第1回定期演奏会のメイン曲にすることが理事会にて決定された。詳細は,き
ちんとした形で連絡するが,他にも「2009年度全日本吹奏楽コンクール課題曲」から1曲,前回から練習をして
きているバッハの「G線上のアリア」とタイケの行進曲「旧友」ももっときちんとレヴェルの高い演奏になることを目
指して取り組む。
また,地域に根ざした楽団づくりの第一歩として,広くよく知られた曲目もプログラムに入れることが決定され
た。映画音楽から古いところで「雨に濡れても」,新しいところで「ジュラシックパーク」。小さい子どももいることも
意識して「美女と野獣」。昔のヒットソングということで「ジャパニーズ・グラフィティⅥ∼日本レコード大賞」が決
定。他にもあと数曲は今後考えていこうということになっている。アンコールには絶対,ヤン=ヴァン=デル=ロ
ーストの「アルセナール」を!という強い声が多数上がり,これも決定。
この楽団名の「港南」という冠(かんむり)のもとは,紛れもなく「港南中学校」である。
いずれは「港南中」という意味ではなく,名古屋市の港の南の方を拠点とする楽団という意味になっていくこと
をイメージして名付けられてはいるものの,いま現実的には港南中の卒業生たちを中心に設立され,活動して
いる。港南中吹奏楽部での音楽が活動のエネルギーの原点になっている。
アルセナールは2001年度(平成13年度)のマーチング大会で演奏して以来,今年で9年連続,港南中が演
奏している。また,定演のアンコールとして一番最後に演奏するのも同じように定着し,港南中をよく知るお客さ
んは「アルセナール」イコール「港南中」のイメージがあるはずだ。これぞ「定番」なのである。だからこそ港南吹
奏楽団の第1回定期演奏会のアンコールにも「アルセナール」なのだ。
「ん?少しベタじゃないか」と一瞬思ったが,「やりたいことをやりたい仲間とやる」これがアマチュア精神だ!
大いに歓迎!どうせやるなら「さすが『港南』」といわれるアルセナールを目指したいものだ。(ん?だんだんきち
んとしたプログラムとしてものすごく練習したくなってきたぞ・・・!いやいや,あくまでアンコール,アンコール。と
自分の気持ちを抑えてみる・・・。)
さあ,6月28日に向けて練習するぞ!(その前に,「団員募集」に力を注いで・・・っと。順序が逆?いやいや
同時進行です!!団員のみなさん!人が増えるように努力して下さい!!トラの固まりではなく,ちゃんと団員
として第1回の演奏会を迎えたいじゃないですか!な?)