第128号(2012.10) (PDF:20009KB)

岐阜県 白川郷 (写真提供 看護学部 衣斐 達教授)
=第 128 号 =
2012. 10 月
愛知県長久手市岩作雁又1番地1
〒480 ‒1195
学校法人 愛知医科大学
■ 主 な 目 次 ■
平成25年度予算編成方針……………………… 2
平成24年度総合防災訓練……………………… 4
平成25年度大学院入試………………………… 5
医学部学外体験実習体験記…………………… 8
新病院トピックス……………………………… 10
愛知医科大学ホームページアドレス
海外研修派遣研修記 ………………………… 16
www. aichi-med-u. ac. jp
健康と病気 …………………………………… 22
平成25年度予算編成方針
日本経済は,欧州の債務問題に起因する世界経済の減
費について適正化と効率化の手を緩めることはできませ
速や円高の影響を受け,依然として厳しい状況にありま
ん。
す。また,消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革
平成25年度は,11月には新病院棟が竣工することか
関連法の成立で,消費税率は平成26年4月に8%,平成
ら,昨年度に引き続き,新病院建設事業と関連事業を中
27年10月に10%と2段階で引き上げられます。
心に,主に病院の収益アップに繋がる事業を優先とし,
消費税の本学負担は,主な収入である学納金,医療収
目標達成のための施策,投資には重点配分することとし
入等が,非課税売上であることから課税売上は少なく課
ます。他の財政支出は事業項目の見直しと効率化を図る
税売上割合は,3.8%(平成23年度実績)です。一方で,
こととします。
薬品材料,診療材料等の課税仕入れに対する消費税分を
また,平成25年度は,本学が,認証評価制度導入後2
転嫁することができず,現在,本学は国の施策による診
回目となる公益財団法人大学基準協会による認証評価の
療報酬消費税補填後で3.6億円程の消費税を負担してい
ための実地視察を受ける予定としております。教育機関
ます。平成28年度,通年10%の税率では,仮に平成23年
が教育活動の活性化を図り,
質の向上に努めるとともに,
度と同規模だとしても倍の7.2億円の負担となり,事業
社会的責任を果たしていくためには,不断の自己点検を
拡大に伴い消費税負担は更に増加することから,確実に
行い,
改善への努力を行っていくことが必要です。特に,
本学の財政負担を増大させます。
地域社会との連携強化と貢献を目指し,
「選ばれる医科
今後,本学が永続的に発展し続けるためには,まさに
大学」であり続けるために,常により高度の目標に向け
『財の独立無くして,学の独立無し』であり,着実に財
て発展するよう推し進めることとします。
政基盤の強化・安定を図っていくことが必要となります。
なお,平成25年度からは借入金の償還も始まり,ピー
今年度の収支見込は,上半期決算状況から病院の医療
クが平成30年度となること,平成26年からの消費増税に
収支改善努力により,予算を上回る帰属収支差額を確保
対応するため,できるだけ資金の積み上げを行うために
できる見通しですが,財政状況を大幅に改善するまでに
も,平成25年度も引き続き黒字予算の成立を図ることと
は至っていないところです。将来の財政基盤の強化・安
します。
定を図るためには支出の8割強を占める人件費と医療経
愛知医科大学公開講座
(長久手市連携事業)
開催
平成24年10月26日(金)午後1時から,長久手市文化
の家「風のホール」において,
愛知医科大学公開講座(長
久手市連携事業)を開催しました。
本講座は,長久手市との連携事業の一環として,地域
住民の方々を対象に,生涯学習の機会を提供することを
目的として,今年度から始まりました。
当日は,長久手歴史トラベラーズの演武で幕を開け,
田一平市長にご出席を賜り,開講のご挨拶を頂きまし
た。
続いて,本学泌尿器科学講座の住友誠教授による,
「ロ
会場の様子
ボット支援機器da Vinciを用いた根治的前立腺摘除術の
現状と将来展望」と題した講演が行われ,平日にも関わ
らず約130名の方々にご参加頂きました。また,質疑応
午後3時ごろ終了しました。
答の際には,参加者の方々からたくさんの質問を頂き,
来年度も,長久手市を始め地域の皆さまの生活に役立
地域の方々の関心の高さが伺えました。
つ公開講座の開催を予定していますので,多くのご参加
講演終了後に,石川直久学長から閉講の挨拶があり,
をよろしくお願い致します。
− 2 −
平 成 24 年 度 愛 知 医 科 大 学 公 開 講 座 終 了
平成24年9月1日(土)
・8日(土)
・15日(日)
・29日
また,4日間全てに出席頂いた151名の方には,最終
(土)の計4回にわたり開催された,平成24年度愛知医
日となる29日(土)の講座終了後の閉講式において,石
科大学公開講座が終了しました。
川直久学長から修了証書が手渡されました。
今年度のテーマは「ここまで進んだ医療と予防」と題
来年度も皆さまの生活に役立つ公開講座を企画してい
し,
各日2名の講師が講演を行いました。開催期間中は,
きたいと思いますので,多くのご参加をよろしくお願い
近隣住民の方を始め,4日間で延1,195名の方々に出席
致します。
頂きました。
学長招聘特別講演会開催
大輪芳裕先生,後藤百万先生
医学や看護学の枠組みを越えて,幅広い分野で活躍しておられる著名人の方々を講師としてお招きしております「学
長招聘特別講演会」が9月に2回開催されました。
詳細は以下のとおりです。
平成24年9月20日(木)午後6時から,大学本館302
講義室において,愛知県医師会理事,荒川医院院長であ
り,本学卒業生の大輪芳裕先生【写真】を講師にお招き
し,
「愛知県医師会における医療安全対策」と題した講
演会が開かれました。
講演では,愛知県医師会が医療安全対策として講じて
いる三つの取り組みについて,実際の事例に触れながら
お話頂きました。
会場の様子
その中でも,2010年9月に新設された会員相談窓口は
医療者のための窓口で,患者さんからの暴言暴力,未払
いや診療録の開示請求への対応などの相談が多くを占め
ており,相談された医療機関に適切な患者対応をして頂
くことで,トラブル回避の一助を担っているとお話があ
りました。
次に,平成24年9月28日(金)午後5時から,大学本
館302講義室において,名古屋大学大学院医学系研究科
大輪芳裕先生
病態外科学講座泌尿器科学教授の後藤百万先生【写真】
を講師にお招きし,
「名古屋大学におけるダ・ヴィンチ
導入とロボット支援手術の展望」と題した講演会が開か
れました。
手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)は,3次元の正確
な画像情報下に,複雑で細やかな手術手技を可能とし,
より安全かつ低侵襲な手術を実現するもので,従来の内
後藤百万先生
視鏡下手術の利点を向上させ得る次世代医療改革の一端
を担う分野である。特に,名古屋大学では,平成24年4
各講演会には,多くの関連分野の教職員や学生の参加
月からロボット支援前立腺全摘術が保険適用となり,他
があり,参加者は熱心に聞き入っていました。
領域にも急速に広がりつつある。
また,講演後には,活発な質疑応答が行われ,大変貴
講演では,名古屋大学病院でのダ・ヴィンチ導入の経
重な時間を過ごすことができました。
験と今後のロボット支援手術の展望についてお話頂きま
今後も,著名人をお招きして「学長招聘特別講演会」
した。
を開催していきます。
− 3 −
平成24年度総合防災訓練実施
学校法人愛知医科大学消防計画第69条に基づき,平成
24年10月4日(木)に教職員,学生を始め,近隣の医療
機関及び長久手市消防本部,尾張旭,瀬戸,尾三の各救
急隊を含む約1,000人の参加協力を得て,平成24年度総
合防災訓練を実施しました。
防災訓練は,午後2時20分に東海・東南海地震でマグ
ニチュード9.0,長久手市で最大震度6強の地震を観測
し,病院は自ら被災し病院機能が麻痺したという想定の
下で行いました。訓練会場については,例年,病院正面
玄関付近で行っておりましたが,今年度は,病院機能が
災害対策本部
麻痺したという想定から,大学本館101講義室に災害対
策本部及び各災害対策室を設置して行われました。
訓練は,大きく本部共通訓練と部門個別訓練とからな
り,新たに取り組んだ本部共通訓練では,実動訓練に参
加しない方を対象に,主に職員参集状況及び被害状況等
の報告書の提出による現状把握,災害対策本部と各災害
対策室との連携確認並びに情報共有について検証する訓
練を実施しました。このうち,携帯電話のメールを使っ
た安否確認については,全職員を対象に行いましたが,
メールアドレスの登録者は500人程度に止まり,今後の
病院対策本部
普及が検討課題として残りました。
また,部門個別訓練では各災害対策室が,それぞれ独
自の訓練を展開しました。病院災害対策室では,職員,
学生のほか,近隣の医療機関及び救急隊等も加わり,図
上訓練及びトリアージ訓練を実施しました。
医学部及び看護学部の各災害対策室では,学生の避難
誘導訓練及び東日本大震災に係る語り部を実施しました。
また,法人本部災害対策室では,施設被害状況の調査・
報告,電源確保対策,患者搬送訓練及び初期消火訓練等
を実施しました。
近い将来に必ず来ると言われている巨大地震(東海・
南海・東南海)に備え,私達一人ひとりがその時何をす
べきか考え,できることから始めることが大切だと思い
ます。地震の発生を止めることはできませんが,対策を
講ずることで減災はすることができます。アクションカ
ードにご記入頂いた行動計画など,皆さんの思いを組織
としての対策に反映することにより,患者さんを始め皆
さんの大切な命を守るため,より一層実効性のある訓練
の実施に努めて参ります。
防災訓練の様子
− 4 −
平成25年度大学院医学研究科入学試験
第57回論文博士外国語試験実施
平成24年10月5日(金)
,
大学本館101講義室において,
制度の拡充などを行い,大学院教育を受けやすい環境を
大学院医学研究科入学試験第1次募集及び第57回論文博
整えてきましたので,研究意欲の高い方が多数応募され
士外国語試験が行われました。受験者数は,大学院医学
ることを期待しています。
研究科入学試験が18名,論文博士外国語試験が7名とな
なお,大学院医学研究科入学試験第2次募集及び第58
りました。
回論文博士外国語試験は,平成25年2月15日(金)に行
本研究科では,これまで社会人入学制度や学納金減免
われます。
平成25年度大学院看護学研究科入学試験
平成24年9月5日(水)に大学院看護学研究科入学試
より多くの方に受験して頂きたいと考えています。
験が実施されました。
なお,大学院看護学研究科入学試験第2次募集は,平
当日は,社会人特別選抜の受験生10名が試験に臨み,
成25年2月6日(水)に行われる予定です。
受験生たちは緊張した雰囲気の中,真剣なまなざしで試
【看護学研究科入試結果】
験問題に取り組んでいました。
本研究科では,
医療等の現場で活躍されている方々が,
○志願者 11名
退職したり休職することなく学べるよう,平日の夜間や
○受験者 10名
土曜日などにも講義,
研究指導等を行っておりますので,
○合格者 4名
平成24年度看護実践研究センター
認定看護師教育課程入学式挙行
看護実践研究センター認定看護師教育課程の平成24年
度入学式が,平成24年10月1日(月)午前10時から医心
館1階多目的ホールにおいて挙行されました。
【写真】
式は,開式の辞に続き,感染管理分野24名の新入学生
が紹介された後,新入学生を代表して,山本昌代さんか
ら「課程設置規程並びに諸規則等を守るとともに,認定
看護師を目指す学生としての本分を尽くすことを誓いま
す。
」と宣誓が行われました。
次いで,夛喜田惠子センター長から「感染管理分野の
専門知識や技術を極めるだけでなく,状況を読み解く判
断力やリーダーとしての資質の向上に努めてください。
」
さい。
」との式辞がありました。
と告辞があり,続いて,石川直久学長から「本学の教育
最後に課程の教員紹介があり,午前10時40分ごろ式は
環境を十分活用し,社会のニーズに対応できる優れた認
終了しました。
定看護師になることを目指して,しっかりと学んでくだ
− 5 −
平成24年度医学部解剖慰霊祭挙行
秋晴れの好天に恵まれた平成24年10月26日(金)
,覚
王山日泰寺において,
平成24年度の医学部解剖慰霊祭が,
本学から医学部長及び解剖学講座の教授を始めとする関
係教職員約30名,それに学生200名が参列する中,250名
余りのご遺族をお迎えして執り行われました。
今年度の慰霊祭では,平成23年10月からの1年間に系
統解剖と病理解剖にご遺体を供せられた79柱の御霊を新
たに合祀し,総数4,653柱の御霊に対し法要が営まれま
した。
午後2時,導師の入堂により祭儀が始まり,佐賀信介
ご冥福を祈り焼香する学生
医学部長と北村直哉不老会理事長の慰霊の辞,続いて学
生代表の3学年次笠井麻以さんが
「実際にご遺体に触れ,
この後,
広い本堂に僧侶の読経が厳かに響きわたる中,
人体の仕組みを直接自分の目で確かめ,
得られた経験は,
佐賀医学部長,解剖学講座を代表して浅本憲教授,病理
書物や座学を通して得られる有限の知識に対し,無限で
学講座を代表して池田洋教授,学生代表の3学年次佐藤
あることを知りました。尊い命をかけてご教授くださっ
賢司さんがそれぞれ焼香し,その後,参列者一人ひとり
た命の尊厳さ,
ご献体くださった故人のその崇高な思い,
が焼香して献体者のご冥福を祈りました。
ご遺族の思いをしっかりと胸に刻み,医学の進歩に貢献
午後3時,佐賀医学部長の参列者に対する謝辞をもっ
し,患者さんやそのご家族の幸せという大きな希望に変
てつつがなく慰霊祭が終了し,参列者は,学生が見送る
えるため,私たちは日々精進してまいります。
」と礼辞
中を帰路につきました。
を述べ,御霊に深い感謝と尊崇の念を捧げました。
国際交流
ドイツルール大学医学部教員来学
(RUHR-UNIVERSITÄT BOCHUM SCHOOL OF MEDICINE, RUB)
∼更なる国際交流の発展と充実を目指して∼
医学部では,学術国際交流の一環として,アメリカ南
イリノイ大学医学部との国際交流協定に加え,平成23年
度にタイ国コンケン大学医学部及びドイツルール大学医
学部と,新たに学術国際交流協定を締結しました。
平 成24年 9 月 4 日( 火 )
,ルール大学医学部から
Thorsten Schaefer先生(ルール大学医学部教育部長,
医学教育センター教授)が来学され,相互理解と今後の
親交を深めるため,本学の学生や教員との交流が行われ
ました。
来学時には,石川直久学長,佐賀信介医学部長等への
表敬訪問や昼食懇談会を行い,初顔合わせながら良い友
この講演により同校の教育・医療システム等を知るこ
好関係を築くことができ,今後の相互の親睦と発展を確
とができ,海外留学や海外の医療に興味がある学生等に
信できるよい機会となりました。
とっては,大変有益な時間となりました。
懇談会後は,本学の職員・学生に対してSchaefer先生
今後は更に国際交流を充実させ,学生等が多様な異文
による,同校で新たに立ち上がる教育システム等につい
化に触れる機会を設ける取り組みを積極的に行っていく
ての講演が行われました。
予定です。
− 6 −
平 成 24 年 度 キ ャ ン ド ル セ レ モ ニ ー 挙 行
平成24年10月13日(土)午前10時から,大学本館たち
ばなホールにおいて,2学年次生を対象とした『平成24
年度看護学部キャンドルセレモニー』
が挙行されました。
当日は,石川直久学長から,
「臨地実習を始めるにあ
たりナイチンゲールの『自分の言葉で表現するよりも行
動で示して欲しい』という言葉を皆さんに贈ります。こ
れは看護の心は行動する事によって初めて表れるという
事を示しています。
」との式辞が述べられ,続いて,八
島妙子看護学部長から,
「看護職者は専門職者としての
知識や技術は勿論のこと人間としての在り方や生き方に
関する深い洞察力と現実を正しく理解する力を養うよう
引き続き行われた『キャンドルサービス』では,学生
努めていく必要があります。
これから学生生活において,
一人ひとりが八島学部長から手渡された燭台に,ナイチ
更に専門的な講義や実習が増えていきます。まず自分自
ンゲール像から灯火を受け継ぎ,場内通路に整列後,全
身を大切に,そして一人ひとりが責任を持って看護の基
員で『誓いの言葉』を述べ,愛知医科大学看護の歌『愛
礎を身に付け,更に学び続けるベースを育てて頂きたい
の使命』を合唱し,10時50分に無事セレモニーが終了し
と思います。様々な困難にあった時には,今日の感動と
ました。
誓いを思い起こし看護職者としてありたいと思った今の
このキャンドルセレモニーは,ナイチンゲールの精神
気持ち,それを変わらず持ち続けて頂きたいと思いま
を受け継ぎ,看護職者となるための決意を新たにする場
す。
」とのメッセージが学生たちに送られました。
として2学年次の実行委員が中心となって企画し,学生
たちが一致団結して運営しているものです。
これを機に,
これから本格的に始まる看護学の勉学に一層力を注ぎ,
高度な知識・技術を兼ね備えた心豊かな看護職者へと育
っていってほしいものです。
交通安全講習会開催
平成24年10月22日(月)午後4時30分から大学本館
302講義室において,医学部・看護学部の学生約110名を
対象として,
名東警察署交通課の落合修氏を講師に迎え,
交通安全講習会を実施しました。
落合氏からは,愛知県全体の交通死亡事故の約6割は
交差点での事故であるため,交差点は危険地帯と認識し
てほしいとの話があり,交差点での事故を防ぐ方法につ
いて,交差点への進入時と交差点を右折するとき,左折
するときに分けて,それぞれ説明がありました。
続いて交差点での事故のDVDを鑑賞しましたが,一
層身にしみる映像となりました。
この講習会を通じ,今後も交通安全に対する意識の高揚
を図りつつ常に交通安全に努めてくれることを期待します。
− 7 −
医学部学外体験実習体験記
近隣の病院等にご協力頂き,医学部学生が学外体験実習を行いました。本院以外での実習は,学生にとって貴重な体
験となったようです。実習を終えた学生の感想文をご覧ください。
実際の介護現場での体験を通して
実習施設:医療法人福友会福友病院
4学年次生 駒澤 綾乃
私は,今回の学外体験実習で初めて介護というものを
場では見ていることの方が多いですが,今回は色々なこ
実際に自分の目で見て,体験しました。まず,私の中で
とをやらせて頂けて嬉しかったし,患者さんに実際に触
「介護」というと,暗くて静かであまり雰囲気の良いイ
れて学ぶというのはこの先もずっと忘れない体験になる
メージがなかったのですが,介護士さんたちはどんなに
ことと思います。
患者さんの耳が遠くても,喋ることが上手にできなくて
介護は非常に力を使う仕事ですが,常に最悪なことが
も,何かする際には絶対に声かけをしていて,たとえ目
起こることを想定して行動しなければいけないため,気
が悪くても笑顔で接して,時には冗談を言って笑いあっ
を張っていることも必要で,すごく大変な仕事だなとつ
たりしていて,私が想像していた「介護」のイメージは
くづく思いました。医師は治療がメインとなり,患者さ
早速崩れました。それは,どんなに患者さんの機嫌が悪
んの生活に触れることはあまりないですが,やはりこう
くて,暴言をはかれたり叩かれたりつねられても変わる
いった普段から患者さんを注意深く観察して生活を支え
ことがなく,年齢的にも,もう先の長くない患者さんに
ている介護士さんや看護師さんのおかげで何か起きても
少しでも笑顔でいてもらいたい,笑って過ごしてもらい
早いうちに処置が行えたり,大事に至らなかったりする
たいというスタッフの想いが表れている証拠であり,ケ
ので,医師だけで患者さんを救うことはできないのだと
アをする側も大変ですが,どんな時でも患者さん中心に
改めて思いました。
考えるという心がけを自分も見習いたいと強く思いまし
私は,今回の実習を終えて,少しだけではありますが,
た。
チーム医療を行う上で周りの人間の大変さや苦労がわか
介護の現場では何をするにおいても,常に「もし,最
る医師になれるのではないかと思います。お忙しい中,
悪なことが起こったら...」という危険を考えて行動しな
私たちの実習に協力してくださった福友病院のスタッフ
ければならず,例えば廊下を歩くにしてもただまっすぐ
の方や患者さんには本当に感謝しています。
前を向いて歩くのではなく,開いているドアから患者さ
んが危険な行動をしていないか,異常はないかを確認し
ながら歩いたりするそうで,一瞬も気の休まる時はない
のだと知りました。また,何を行うにしても慎重かつ丁
寧にやらないと,寝たきりの状態でいることが長かった
り,高齢で皮膚や骨が弱くなっているので,褥瘡を起こ
したり骨折をしやすく,例えばシーツを交換するにして
も皺がないように敷いたりするなど,日々のケアを行う
際に,同時に患者さんの身体を注意深く観察し,変化は
ないかチェックすることも必要です。これを怠り発見が
遅れると,治療が大変になり医師が困るだけではなく患
者さんに大きな負担となるので,若くて健康な人ならば
「これくらい放っておいてもなんとかなるよ。
」と思う程
度の傷でも,逐一看護師を呼んで判断してもらい,処置
を行っており,小さな変化も見逃さない鋭い観察力に感
心しました。仕事を一生懸命にやるというのは,ちょっ
としたことでもそれに真剣に向き合うことなのだと学び
ました。
この3日間は本当に忙しくて疲れましたが,毎日が新
しいことばかりで,私にはとても充実した実習となりま
した。私たちはまだ何の資格も持っておらず,医療の現
− 8 −
平 成 24 年 度 医 大 祭
志
平成24年度の医大祭のテーマは「志」です。医学部の学生も看護学部の学生もそれぞれの志を胸に,未来に向かって
進んで行きます。今年の医大祭は11月3日(土,祝)
,4日(日)の2日間行われますが,この志に沿った内容となっ
ています。特別企画「復興福島寄席」∼ふるさとを取り戻そう∼はチャリティーとして行われ,介助犬講演会「障がい
者の自立を支える介助犬」では実演もあります。他にも模擬病院や看護体験コーナーなど盛りだくさんの内容となって
います。
【主なイベント紹介】
11月3日(土,祝)
★2日間開催イベント
・復興福島寄席∼ふるさとを取り戻そう∼
・模擬病院
・テニス大会
・看護体験コーナー
・サッカー大会
・模擬店
・バスケットボール3ON 3大会
・病院ロビーイベント
11月4日(日)
・やくぜんセミナー かふぇ
・介助犬講演会
・ナースカフェ
・リサイクルマーケット
・クロスレター
・スタンプラリー
・学生イベント
・献血・骨髄バンク啓蒙活動
・ソフトボール大会
第64回西日本医科学生総合体育大会等において健闘
平成24年7月27日(金)から8月17日(金)にかけて,
岡山大学医学部を主幹校として開催された第64回西日本
医科学生総合体育大会及び平成24年8月9日(木)から
8月11日(土)にかけて,岩手医科大学を主幹校として
開催された全日本医科学生アーチェリー連盟主催第27回
全国大会において,
本学学生が優秀な成績を収めました。
また,他の学生の模範となったことを評価し,平成24
年10月11日(木)に,石川直久学長から表彰状等が贈呈
されました。
今後も文武両道の学生が、数多く後に続くことを期待
します。
第64回西日本医科大学生総合体育大会(平成24年7月27日∼8月17日)
競技名
種 目
成 績
個人 女子800m
優 勝
個人 女子1,500m
優 勝
団体 女子
2 位
陸上競技
氏名又は団体名
市川 博子
バドミントン
バドミントン部
全日本医科学生アーチェリー連盟主催 第27回全国大会(平成23年8月9日∼11日)
競技名
アーチェリー 種 目
ハーフ
− 9 −
成 績
氏名又は団体名
1 位
汐中 はるか
第11回近畿・中部地区大学知的財産連絡会議開催
平成24年8月22日(水)11時から大学本館202講義室
において,本学が幹事校となり,23の大学・機関等から
45名が参加して,第11回近畿・中部地区大学等知的財産
連絡会議が開催されました。
渡辺秀人知財委員長(分子医科学研究所教授)の開会
の辞に続いて,石川直久学長(産学連携室長)から挨拶
があり,次いで特許庁企画調査課課長補佐の加藤幹氏に
「大学の知的財産活動について」と題して,ご講演頂き
ました。
その後,昼食をはさんで会場を7号館(医心館)に移
会場の様子
し,四つのグループ(分科会方式)に分かれて「出願判
断と技術移転」というテーマで,2時間半に及ぶ意見交
換及び情報交換を行いました。
閉会後は,大学本館1階のレストラン「オレンジ」に
続いて,グループごとに結果発表・質疑応答を行い,
おいて交流会を開催し,グループを超えた意見交換や情
閉会しました。
報交換が行われ,17時30分に全日程を終了しました。
参加大学等名(50音順)
近畿地区大学:
関西医科大学,京都工芸繊維大学,神戸学院大学,奈良県立医科大学,
兵庫医科大学,龍谷大学,和歌山大学
中部地区大学:
愛知医科大学,愛知学院大学,静岡県立大学,富山大学,
名古屋市立大学,浜松医科大学,福井大学,三重大学
関 係 機 関:
一般社団法人 発明推進協会,近畿経済産業局,中部経済産業局,
特許庁,独立行政法人 工業所有権情報・研修館
特別参加大学:
金沢医科大学,京都産業大学,滋賀医科大学
新病院トピックス
新病院関連報告会開催
新病院建設は,平成25年11月の竣工,平成26年5月の
「Handicapを解消し最先端を目指す」と題して,本院の
開院に向けて順調に工事が進み,新病院建設委員会や各
置かれてきた背景,新病院の高機能・高回転病院の特徴
専門委員会等では,新病院における機能,情報システム,
(医療情報システム,総合物流システム,医療機器整備
医療機器整備等について検討を行っています。今般,こ
計画,患者給食システム)と新病院のデザインコンセプ
れまで検討してきた新病院の各種システムの特徴,建設
ト等について報告がありました。最後に,島田孝一法人
工事の進捗状況,募金の状況等の現状について,平成24
本部長から,新病院建設工事の進捗状況,募金の状況に
年9月25日(火)17時30分から,大学本館たちばなホー
ついて報告がありました。
ルにおいて報告会を開催して,職員の皆さんにお知らせ
当日は,240名を超える職員が参加し,最大関心事で
しました。
ある新病院の状況について,
熱心に聴き入っていました。
この報告会では,まず,三宅養三理事長から,本学の
今後も定期的に報告会を開催して,皆さんに状況をお知
経営の推移,実施してきた構造改革について説明があり
らせしていく予定です。
ました。続いて,
佐藤啓二新病院建設委員会委員長から,
− 10 −
新病院建設現場見学会開催
平成24年9月16日(日)
,医学部において指導教員と
ご父兄との個人面談会が行われ,その際に参加されたご
父兄を対象に,最新の免震装置など新病院の内部構造を
見学する「新病院建設現場見学会」を開催しました。
【写
真】
新病院は,近い将来に想定される巨大地震(東海・南
海・東南海)への備えのため5種類のそれぞれ異なる免
震装置158基を設置しています。ご父兄にとっては,ご
子弟の臨床学習の場でもあり,工事関係者からの説明に
熱心に耳を傾けていました。当日は,3班に別れて見学
し,参加者は約70名でした。
また,平成24年11月4日(日)にも,同様に「新病院
建設現場見学会」を開催する予定です。
愛知医科大学新病院建設へのご協力のお願い
愛 知 医 科 大 学 病 院 は, 昭 和49年
(1974年)6月の開院以来,地域に
根ざした特定機能病院として高度先
進医療を提供するとともに教育病院
として優秀な医療人の育成に努めて
まいりました。平成8年(1996年)
には高度救命救急センターに認定さ
れ,平成14年(2002年)からはドク
ターヘリの運航を開始し,重篤な救急患者さんへの迅速
な対応を行っています。
更に,平成18年(2006年)には基幹災害医療センター
の指定も受けました。近年では,多様化・複雑化する社
会的ニーズに応えるために,睡眠医療センター,生殖・
周産期母子医療センター,痛みセンター,脳卒中センタ
【募金要項】
1.募金目標額
20億円
2.募金の期間
平成23年3月∼平成28年3月
(5年間)
3.募金1口の金額
10,000円
※できるだけ多数口のご協力をお願
ー等を開設し,患者さん中心の医療を実践し,地域に根
ざした医療サービスの提供に努力しています。
しかしながら,高齢化社会の到来,医学・医療技術の
い申し上げます。
4.免税の取扱
飛躍的な進歩,
医療保険制度の変革等が急速に進む中で,
現病院の施設・設備の老朽化等が顕在化してきています
本学は,所得税の税額控除が適用さ
れる対象法人として証明を受けてお
ります。
5.顕 彰
このような事態を打開し,本院の安定的な発展を維持
10万円以上の寄附者は「愛知医科大
学新病院建設寄附者銘板」にご芳名
するために,新しい時代の流れにふさわしい新病院を建
を刻み,
末永く顕彰させて頂きます。
設することとしました。
新病院は,平成26年5月の開院めざして建設工事が進
【問い合わせ先】
められています。
募金に関するお問い合わせは,以下の部署にお願い
この新病院建設は,開学以来最大の事業であり,全職
します。
員一丸となって取り組んでいます。厳しい経済情勢では
〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1番地1
ありますが,本事業の趣旨をご理解頂き,募金に対する
格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
学校法人愛知医科大学新病院建設募金委員会
(法人本部 資金・出納室)
学校法人愛知医科大学 理事長 三宅 養三
− 11 −
Tel: 0561-63-1062(直通)
こころのケアセンター設置
本院は,精神科医療の充実とチーム医療が社会的なニ
ていく精神医学の一分野です。
ーズとなってきているのを受け,身体的な疾患を持つ患
本センターのリエゾン部門では,身体疾患のある入院
者さんに対して広くメンタル面のサポートをしていく体
患者さんに対する精神科医の往診に加えて,多職種で構
制を作ることを目的に,平成24年7月に「こころのケア
成したリエゾンチームによるラウンド及びリエゾンカン
センター」を新たに設置しました。
ファレンスを行っています。
本センターは,本院の精神神経科以外の入院患者さん
2)臨床心理部門
を対象とし,リエゾン部門と臨床心理部門で構成されて
臨床心理部門では,臨床心理士による心理面接,心理
います。
査定,研究,地域支援を行っています。精神疾患のない
1)リエゾン部門
方の心理面接及び心理査定は,医療連携センター内臨床
リエゾン精神医学とは,身体科の患者さんの抱える精
心理相談室において,身体科主治医の直接依頼に基づい
神科的問題について,身体科と精神科が連携して対応し
た業務も行っています。
脊椎脊髄センター設置
医療の進歩に伴い,脊椎脊髄疾患については,脳神経
付けで「脊椎脊髄センター」を,新たに設置しました。
外科・整形外科・痛みセンター・神経内科・放射線科等
脊椎脊髄センターを構築することにより,脊椎脊髄疾
で診断・治療を行っているのが現状ですが,患者さんの
患に関する治験の受け皿,共同研究拠点,科研費申請の
側からすれば,脊椎脊髄疾患に関する総合的窓口がない
母体ともなる他,講座とは別組織である為に,臨床トレ
為,極めて分かりづらい状態が続いていました。
ーニングセンターとして学内外より多くの医師が集まり
また,上記診療科に加えて,運動療育センターにおけ
やすい環境づくりを行います。
る運動療法も重要であり,今後益々学際的アプローチが
医学部を擁する県内4大学では,これまで脊椎脊髄疾
求められることから,本院では,脳神経外科,整形外科,
患に対する学際的取組はなされておらず,本学が先鞭を
神経内科,放射線科,痛みセンター,運動療育センター
つける形となり,脊椎脊髄疾患の総合的診断治療拠点と
等を含めた総合研究治療拠点として,平成24年10月1日
して内外にアピールしていきます。
臨床研修指導医のための教育ワークショップ開催
臨床研修指導医のための教育ワークショップ(WS)
が,平成24年9月22日(土)
・23日(日)に東京第一ホ
テル錦で開催されました。
厚生労働省の監督の下,この趣旨にそって今回で8回
目となるWSは,院内から18名,蒲郡市民病院,名古屋
掖済会病院,名古屋第一赤十字病院,総合大雄会病院か
ら5名が参加しました。
野浪敏明病院長及び春日井邦夫卒後臨床研修センター
長を始め,池田洋教授(病理学講座)を中心とした運営
出席者による記念撮影
陣に加え,学外からも伴信太郎教授(名古屋大学大学院
医学系研究科総合診療医学)
,松井俊和教授(藤田保健
ュニケーションスキル研修も行われました。
衛生大学医学教育企画室長)をタスクフォースとしてお
受講者からは,
「参加者同士の考える『よい指導医』
迎えし,2日間に渡りグループ作業を中心としたワーク
について,共通認識が持てて良かった。
」
,
「今の研修医
ショップが行われました。
のスケジュールにどのように組み込んでいくか。
」など
また,厚生労働省東海北陸厚生局から川尻宏昭臨床研
活発な意見がありました。
修審査専門官をお招きした特別講演,
(株)エスアール
このワークショップを受講された指導医の方々を核に
エル営業人材開発チームの浅田均主任研究員によるコミ
更なる臨床研修の充実が期待されています。
− 12 −
医療安全講演会開催
平成24年8月30日(木)午後5時30分から,大学本館
を図るため,AMUSE患者基本情報画面に重要診療情報
たちばなホールにおいて,医療安全講演会が開催されま
を提供するシステムが紹介されました。
した。
今回の受講者数は568名(医師110名,看護師265名,
今回で28回目となる講演会は,高安正和医療安全管理
コメディカル他193名)でした。過去2年間に医療安全
室長を座長に次の二つのテーマが紹介されました。
講演会を一度も受講していない職員は,医師231名,看
1 「WHOの手術安全チェックリスト」
護師288名,コメディカルその他126名おり,厚生労働省
藤原祥裕麻酔科部長
による立入調査の折に,受講率の向上について厳しく指
藤原部長には,タイムアウトだけでなく,マーキング
導を受けています。受講できなかった職員に対しては,
や手術前後にサインインやサインアウトを行うことによ
講演会の模様を録画したDVDの貸し出しを行っており
り,手術の安全性が向上することから,本院でも取り入
ますので,医療安全管理室(内線:2009)までお問い合
れるべきとの提言があり,その根拠が示されました。
わせください。
2 「情報共有を目的とした当院の取り組み」
医療安全管理室では,今後もより実践的な研修会を開
飯田章人医療安全管理室副室長
催していくこととしています。
飯田副室長からは,診療科を越えて医師間の情報共有
厚生労働省・瀬戸保健所による立入検査
毎年行われる厚生労働省・瀬戸保健所の立入検査が,
視察及び実地指導終了後,厚生労働省東海北陸厚生局
今年は平成24年10月18日(木)に実施されました。
医療指導監視監査官と瀬戸保健所長から今回の立入検査
午前中は,特定機能病院としての医療法関係規定等に
の講評が行われ,
「概ね良好な運営状況であった。引き
基づく管理・運営状況,安全管理全般に関する実施計画,
続き職員の健康診断の受診率向上及び医療安全・感染予
実施状況を中心に書類審査と各所属担当者との質疑応答
防対策研修の受講促進に努めてほしい。
」との要請があ
が行われました。午後からは,厚生労働省東海北陸厚生
りました。
局の医療監視員と愛知県医務国保課職員及び瀬戸保健所
この講評の後,野浪敏明病院長から今回の指摘事項に
の各部門担当調査員による,病棟や中央放射線部,薬剤
ついて,
「今後一層努力し,早急に整備していきたい。
」
部,臨床工学部等の視察と実地指導が行われました。
と抱負を述べ,今年度の立入検査は終了しました。
ブラック・ジャックセミナー開催
平成24年10月21日(日)
,本院とジョンソン・エンド・
ジョンソン株式会社の共催により,
長久手市内の小学5・
6年生30人を対象として「ブラック・ジャックセミナー」
と題した医療体験セミナーを開催しました。
体験セミナーでは,子供たちは手術用ガウンと帽子を
着用して臨み,外科手術等の模擬体験をしました。日本
ではまだ導入の少ないダ・ヴィンチによるロボット手術
体験では,左右のアームを上手に操作し輪ゴムの受け渡
しを行っていました。
また,超音波メス体験では,鶏肉を相手に真剣に取
り組む子供たちの姿には,未来の医師の姿が想像され
ました。
この体験を通し,何よりも尊い人の命を救うと
いう医師の仕事に触れ,子供たちが将来の医療を
支えるきっかけとなればと願っております。
本セミナーを修了した子供たちには,野浪敏明
病院長から未来の医師としての認定証が授与さ
れました。
− 13 −
高校生の一日看護体験研修
平成24年8月1日(水)午前10時から,愛知県内の長
午後からは,ドクターヘリの見学を行い,間近で見る
久手高校・名古屋商業高校・中央高校・富田高校の4校
ヘリコプターに興味をもち,写真撮影などをしていまし
から30名の高校生の参加により,看護体験研修が行われ
た。
ました。
研修後に行ったアンケート調査では,
「やりがいのあ
まず,野浪敏明病院長から挨拶があり,一日看護師の
る仕事」
,
「看護師さんの大変さがわかった。
」
,
「体力と
辞令交付を受けた後,ナース服に着替え各病棟で看護業
機転が必要」
「将来看護師を目指したい。
」などの意見が
務の一部を体験しました。
あり,高校生にとっては,命の尊さを学び新鮮で貴重な
初めは,緊張して患者さんと話をすることができない
体験をすることができ,大変有意義で充実した研修とな
ようでしたが,時間が経過するうちになごやかに会話し
ったようでした。
ている様子が伺え,車椅子をひいたり,食事の介助をし
参加した高校生が今回の体験を通して,
「看護」のす
ていく中で少しずつ慣れ笑顔が見られるようになりまし
ばらしさを理解し,看護師を目指して頂けることを願っ
た。
ております。
第24回日本医師会認定産業研修会開催
産業保健科学センター長 小林章雄
平成24年9月1日(土)に,第24回日本医師会認定産
務づけられている職場巡視を有効に活用し,衛生管理者
業医研修会を開催し,61名の先生方にご参加頂きました。
と連携をとりながら職場の衛生管理を進めていくための
今回は,
「産業保健活動に必要な基礎知識と実務の進
具体的手法は,今後の活動に非常に役立つものと思われ
め方」をテーマに,産業保健分野で数多くの実務を経験
ます。
され,幅広い知識をお持ちの先生方を講師にお招きしま
最後に,労働安全衛生法における健診の事後措置につ
した。
いて,実地研修を行いました。法的根拠を明確に解説頂
聖霊健康診断センターの内野明日香先生には,嘱託産
いた後,事例を提示し,就業上の配慮について考えると
業医の役割と活動について,最近の話題である印刷業に
いう内容です。難しいテーマでしたが,講師の富田晃行
おける胆管がん,過労死などの作業関連疾患,がん患者
先生(三菱電機)や飯田和子先生(三井化学)には,参
の就労など,産業保健の今日的課題を取り上げて頂きま
加された先生方から多くの意見を引き出して頂き,活気
した。
ある討論を行うことができました。
続いて,小規模事業場に長年携わって来られた労働安
産業保健科学センターでは,事業場の医療専門職を支
全衛生コンサルタントの金森英二先生に,危険有害業務
える活動の一つとして,今後も継続して産業医研修会を
と労働衛生教育についてお話し頂きました。産業医に義
開催していく予定です。
加齢医科学研究所 岩崎 靖講師
愛知県医師会 難病研究功労者表彰受賞
加齢医科学研究所の岩崎靖講師【写真右下】が,難病
の研究に関し顕著な功労のあった方々に授与される,愛
知県医師会の「難病研究功労者表彰」を受賞され,平成
24年10月6日(土)に愛知県医師会館で授与式が行われ
ました。
表彰を受けられた岩崎講師から,
「この度は名誉ある
賞を頂き,大変光栄に存じます。加齢医科学研究所が継
続してきた神経難病の研究業績が評価された結果であ
り,吉田眞理教授を始め,研究室一同に頂いた表彰と考
えています。神経難病の病態解明のために,今後も神経
病理学的な研究を継続していきたいと思います。
」と喜
びの言葉を頂きました。
− 14 −
組織内における能力開発研修会を実施
事務部門では組織力強化を目的に,職員の能力開発と
織の生産性向上に向けた,業務の「見える化」について
モチベーション向上に焦点をあわせた職員研修を実施し
学習しました。グループワークでは,A 4用紙を8つ切
ています。
りにしたカードを利用して,KJ法や連関図法を用いた
主事(中堅職員)を対象とした研修では,組織に貢献
問題の「見える化」を行い,
「なぜ」を繰り返して問題
できる「自立型人材育成」を目的に,講義,グループワ
の真因を探る実習を行いました。スキルの解説のみなら
ークをとおして,必要とされるコンピテンシーの習得を
ず,業務改善に懸ける講師の熱意あふれる講義となり,
行いました。今回の研修は2日間構成となっており,第
受講者からは,
「仕事の『見える化』と『共有化』を部
2日目までの期間に,各自の課題解決への取り組みをま
署の中で実践したい。
」
「業務の無駄を省いた仕事をした
とめて持ち寄り,研修に臨む予定です。
い。
」といった,職場での実践に向けた意欲ある感想が
監督者(主査・主任)を対象とした研修では,事務組
ありました。
○事務組織主事研修
○事務組織監督者研修
∼自立型人材に必要な8つの意識・スキル∼
∼「見える化」による業務改善の進め方∼
実施日:第1回 平成24年10月11日(木)
実施日:平成24年10月16日(火)
第2回 平成24年11月9日(金)
参加者:主査8名,主任11名
参加者:主事13名
講師:寺山廣得氏(日本経営協会)
講 師:亀田耕司氏(株式会社インソース)
内容:
研修内容:
(1)なぜ「見える化」が必要なのか?
(1)役割認識 (6)論理的思考力
(2)
「見える化」を導入する際のポイント
(2)PDCAサイクル遂行 (7)フォロワーシップ
(3)
「見える化」の視点と進め方
(3)コミュニケーションスキル (8)問題解決力 (4)業務改善演習
(4)リーダーシップ
(5)職場の業務改善計画書の作成
(5)チームワーク 財団法人愛恵会
フラワーアレンジメントレッスンの開催
フラワーショップリアンが主催した「フラワーアレン
ジメントレッスン」が,平成24年8月20日(月)に本院
3階「喫茶ラ・シベール」で開催されました。
【写真】
生花に特殊加工を施したお花
(プリザーブドフラワー)
を使って,花のバランスを取りながらオアシス(土台)
に花を活けるもので,最初は見本を参考にしながらも,
次第に自分の好きなようにアレンジをして,オリジナリ
ティのある作品に仕上げていくものですが,初心者も多
い中で,参加者全員が時間内にそれぞれ個性を発揮した
作品を創ることができました。
レッスン終了後は,コーヒーとシュークリームで意見
交換等懇親を深め,楽しいひと時を過ごしました。
なお,今後は,11月19日(月)と12月6日(木)に開
催します。皆さんも是非参加をしてみませんか。
− 15 −
海外研修派遣研修記
本学の教育,研究等の向上に寄与するため,外科学講座(消化器外科)の伊藤暢宏講師が海外研修を行いました。研
修者の感想をご紹介します。
伊 藤 暢 宏
(外科学講座(消化器外科)
・講師)
研修課題:大腸肛門疾患とその腹腔鏡下手術に関す
る臨床研究
研 修 先:クリーブランドクリニックフロリダ(米国)
研修期間:H23. 9. 19∼24. 9. 18
この度,私はフロリダのクリーブランドクリニックフ
ロリダ(以下CCF)に1年間Research Fellow(研究員)
として,研究留学に行く機会を得ました。まずは,この
場をお借りして,快く送り出して下さった野浪教授を始
めとする医局の先生方,スタッフ,関係者の皆さまに深
Wexner,他のFellowと
(前列左から2人目が筆者)
く感謝申し上げます。
私は,かねてより海外留学を望んでいたものの,なか
なかそのタイミングを掴めずにおりました。しかし,こ
こ数年積極的に参加するようになった海外の学会で知り
検査がうまくできるようになってくると達成感も生まれ
合った先生方の様々な留学話に刺激を受け,また,野浪
ました。更に,後から来た研究員に検査の仕方を教える
教授が是非勉強してきなさいと背中を押して下さり,実
のも我々の仕事です。
現することとなりました。
研究は,学会で発表するための抄録作り,スライド,
CCFには,大腸肛門外科,腹腔鏡手術の世界的権威
ポスターの作成,予演会,学会での発表,論文作成とい
Dr. Wexnerがおり,留学先はそこに決定しました。多
う流れになります。当然,
すべて英語でやらねばならず,
岐にわたる手続きに悪戦苦闘しながらも,何とかフロリ
大変苦労しましたが,海外の学会での口演発表は,非常
ダに旅立ちました。
によい経験となりました。また,普段の,色々な先生方
CCFは,マイアミから約30マイル程北西のWestonと
とのディスカッションも非常に勉強になり,この留学中
いう町にあります。治安は,非常に良くのんびりとした
の日々は私にとって正に全てが学びの場でありました。
町で,気候は,ほぼ熱帯,冬でも昼間ならプールで泳げ
最後に,留学を迷っている先生方,とにかくまず一歩を
る程の暖かさです。
踏み出してみて下さい。海外留学は,なにものにも代え
CCFには,常時10人以上の研究員がおりますが,日
難い経験ができると信じています。
本人は滅多におらず,様々な国のドクターが参加する多
国籍なチームです。私が行った時も,日本人はいないだ
ろうと思っていたのですが,偶然にも少し前に赴任され
た日本人の先生がいらっしゃり,公私にわたって非常に
心強く留学期間を過ごすことができました。また,
昨今,
様々な問題が取り沙汰されている,中国や韓国の先生方
も単身で留学した私に非常に親切にして下さいました。
研究員の一日は,7時過ぎからの朝のカンファから始
まります。そして,手術見学(場合によっては助手とし
て手洗い)や外来の見学,自分の研究の仕事もしくは,
他の研究員の手伝いの業務にあたります。夕方は,何も
なければ5時か6時前には帰ることができます。
また時々,マイアミ大学との合同の抄読会がありまし
た。数週に一回,一週間の検査担当となります。実際に
患者さんの検査を担当するので,最初はコミュニケーシ
ョンをとるだけでも大変でしたが,
ある程度慣れてきて,
− 16 −
学 術 振 興
学 位 授 与
◆大学院医学研究科
◆大学院看護学研究科
安藤 景一
金岡 正枝
学位授与番号 乙第349号
学位授与番号 第46号
学位授与年月日 平成24年8月23日
学位授与年月日 平成24年9月28日
論文題目:
「Laparoscopic Surgery in the
論文題目:
「クリティカルケア領域の看護
Managementof Hypersplenism and Esophagogastric
師による意識のない患者への擁護の実践とそれを困難に
Varices: Our Initial Experiences(脾機能亢進症と食道
する要因」
胃静脈瘤の腹腔鏡手術操作∼我々の初期の経験∼)
」
吉田 美和
学位授与番号 乙第350号
学位授与年月日 平成24年8月23日
論文題目:
「Loss of heterozygosity on
chromosome 16q suggests malignancy in core needle
biopsy specimens of intraductal papillary breast lesions
(Core needle biopsy(CNB)検体における16qLOH解析
を応用した乳管内乳頭状病変の良悪性の鑑別)
」
外国人研究員のご紹介
本学において研修するため,外国人研究員として来学された方をご紹介いたします。
(敬称略)
Sharmina Deloer
国籍:バングラデシュ
現職:バングラデシュ国際保健人口研究セ
ンター・研究員
受入講座:感染・免疫学講座
研究期間:H24.10.1∼H24.9.29(1年)
研究課題:寄生虫の遺伝子診断
(シャルミナさんからの一言)
:
「I always knew that it
would be a great opportunity for me to work as a
foreign researcher at Aichi Medical University, but I
genuinely realized it when I first stepped on this
campus and met Prof. Takashi Yokochi and Makoto
Itoh, who are known not only for their knowledge but
also for their rare simplicity, friendliness and cooperation. Beautiful buildings with silent green
environment and a clam front lake simply made me
fascinated. This is also the place where I meet some
distinguished professors, besides my supervisor, whose
dedication to knowledge is not only helpful but also
contagiously inspiring. As for my colleagues they are
amazingly cordial, gentle and helpful beyond anything.
At last I want to express my thanks to professor,
colleague and all who gave me a worm reception after
arrival in Japan.」
− 18 −
学 術 振 興
研究助成等採択者
○公益信託第24回日本医学会総会記念医学振興基金
○公益財団法人豊秋奨学会
平成24年度研究助成金
平成24年度研究費助成
●氏 名 谷川 徹(耳鼻咽喉科学講座・准教授)
●氏 名 佐藤元彦(生理学講座・教授)
研究題目
メニエール病の画像診断に使用されるガ
研究題目
ドリニウム系造影剤の局所投与は,どの
同定と解析
ようにして内耳障害をひきおこすのか?
助成金額
腎疾患に発現するG蛋白活性調節因子の
助成金額
1,000,000円
1,000,000円
○公益財団法人佐川がん研究振興財団
○公益財団法人日東学術振興財団
平成24年度研究助成
第29回(平成24年度)研究助成
●氏 名 中山享之(輸血部・講師)
●氏 名 飯岡英和(先端医学研究センター・助教)
研究題目
研究題目
新規抗がん療法を目指した細胞極性制御
ッチ)は,どのように形成されるか
因子による腫瘍抑制効果の研究
助成金額
悪性リンパ腫細胞を保持するniche(ニ
助成金額
1,000,000円
700,000円
○公益財団法人日東学術振興財団
第29回(平成24年度)海外派遣助成
●氏 名 谷川 徹(耳鼻咽喉科学講座・准教授)
学会名称
アメリカ耳鼻咽喉科学会
助成金額
300,000円
本学講座等の主催による学会等
【開催日】
【会長等】
・第23回愛知眼科フォーラム
【学会名】
9月9日(日)
岩城 正佳
・第33回日本超音波医学会中部地方会
9月9日(日)
伊吹 恵里
・第86回日本糖尿病学会中部地方会
10月13日(土)
中村 二郎
・第15回日本救急医学会中部地方会
10月13日(土)
中川 隆
第23回 愛 知 眼 科 フ ォ ー ラ ム
愛知眼科フォーラムは,本学眼科学講座が主催し,一
会でありました。
般眼科医に公開している,眼科全般の学会であります。
特別講演では,招待演者として,福井大学医学部眼科
毎年1回開催を慣行しており,本年度は第23回大会を迎
学教室教授の稲谷大氏をお招きし,
「血管新生緑内障の
え,平成24年9月9日(日)に名古屋市中区栄コーワビ
診断と治療」と題した講演が行われました。
ルにおいて開催されました。
参加者は難治である血管新生緑内障の最新の病態の知
当日は,愛知医科大学眼科学講座と関連病院から16題
識を得て,治療法についての理解を深め意義ある会とす
の一般演題の発表があり,いずれも高度な眼科医療,高
ることができました。なお参加者は79名を数えました。
い水準の研究を示すもので,活発な質疑応答もあって盛
− 19 −
第33回 日 本 超 音 波 医 学 会 中 部 地 方 会
平成24年9月9日(日)大学本館2階たちばなホール
52題の一般演題の発表と活発な討議が繰り広げられまし
ならびに1∼3階各フロアにおいて,第33回日本超音波
た。
医学会中部地方会を開催しました。
その他に,
「胆膵疾患における造影超音波の有用性」と
日本超音波医学会は社団法人日本専門医制評価・認定
題する消化器病学に関する特別講演1題,
「最新の装置を
機 構(Japanese Board of Medical Specialties) に 加 盟
駆使した腹部超音波検査」及び「予後を見据えた心血管
しており,
「超音波専門医・超音波指導医」及び「超音
イメージング」と題するランチョンセミナー計2題,ま
波検査士」を認定している日本における超音波医学界を
た,産婦人科,乳腺外科・泌尿器科各領域をテーマとし
リードする学会です。
た講習会計3題も開催し,盛会裡に終えることができま
本地方会では,中部7県(愛知,岐阜,三重,静岡,福
した。
井,石川,富山)の消化器科,循環器科,泌尿器科,産婦
ご協力賜りました方々には心より厚く御礼申し上げま
人科,乳腺・内分泌科,血管外科,整形外科及び放射線
す。
科など超音波医学に携わる医療従事者約400名が参集し,
第86回 日 本 糖 尿 病 学 会 中 部 地 方 会
平成24年10月13日(土)名古屋国際会議場において,
され,糖尿病専門医のみならず研修医を含む若手医師及
第86回日本糖尿病学会中部地方会が,
本学内科学講座
(糖
びコメディカルスタッフを含めて約800名が参加し,活
尿病内科)の中村二郎教授を会長とし,神谷英紀准教授
発な討論がなされました。
を事務局長として開催されました。
本学会の開催にあたり,ご支援頂きました関係各位に
一般演題68題に加えて,日本糖尿病学会糖尿病専門医
心より御礼を申し上げます。
更新のための指定講演(教育講演)4講演がプログラム
第15回 日 本 救 急 医 学 会 中 部 地 方 会
平成24年10月13日(土)大学本館2階たちばなホール
を置いた教育コース(MCLS)の紹介に続き,シンポジ
において,第15回日本救急医学会中部地方会が開催され
ウムとして東日本大震災後の病院や地域の取り組みにつ
ました。
いて議論しました。また,二つのパネルディスカッショ
本学会は東海・甲信,北陸地方の9県で構成され,医
ンでは,着々と全国整備が進むドクターヘリの隣県同士
療の原点ともいうべき救急医療について,医師,看護師
の効果的活用及びトリアージナースによる救急部門の運
のみならず薬剤師,臨床検査技師,放射線技師などの病
用について熱心な議論が展開されました。
院職員に加え,救急隊員(救急救命士)等も参加する学
更に,教育セミナーでは,各領域の気鋭の4名の講師
会で,参加者は約700名と大変盛況でした。
を招き,参加型講演は大変好評でした。
今回は「新たな扉を開けよう」というテーマで,特別
一般演題も100題を超え熱心な意見交換がなされまし
講演として,局地災害における医療と消防の連携に主眼
た。
ご支援に感謝します
次の方々からご寄付を賜りました。厚く御礼申し上げます。
(H24. 8. 1∼H24. 10. 31)
◎ 教育研究事業寄付金のご寄附
◆ 在学生御父兄 5件 合計 14,000,000円
− 20 −
規 則
規則の制定・改廃情報をお知らせします。
なお,学内者の方は,メールシステム・インフォメーションの「規則広報」に詳細を掲載していますので,ご確認く
ださい。
「施設・設備整備費等貸付金制度について」
の裁定 医療ガス安全管理委員会規程の一部改正
愛知医科大学病院医療ガス安全管理委員会規程の一部
平成24年11月1日付けで「愛知医科大学施設・設備整
が改正され,同委員会の委員構成が整理されました。
備費等貸付金制度について」が理事長裁定され,講座等
施行日は平成24年10月1日
において,一時的に多額の資金を必要とする施設・設備
メディカルクリニック規程の一部改正
を整備する場合に,当該講座等を支援するため,学内予
算として貸付する際の貸付基準,手続き等が定められま
愛知医科大学メディカルクリニック規程の一部が改正
した。
され,診療科として新たに睡眠科が設置されました。
施行日は平成24年9月4日
総合医学研究機構規程等の一部改正
メディカルクリニック治験実施要綱の
一部改正 愛知医科大学医学部総合医学研究機構規程及び「総合
医学研究機構の部門の組織等及び部門長の選考等につい
て」
(医学部長裁定)の一部が改正され,同機構に設置
愛知医科大学メディカルクリニック治験実施要綱の一
される部門の組織が整理されました。
部が改正され,本院における治験実施手順等との統一を
施行日はいずれも平成24年8月1日
図るため,関係条文が整理されました。
施行日は平成24年9月1日
「運動療育センター料金規定について」の
裁定 指名型プロポーザル方式実施規程の制定
平成24年8月1日付けで「運動療育センター料金規定
本学が発注する施設管理,保守点検等の業務委託にお
について」が理事長裁定され,運動療育センターにおけ
いて,技術的に最適な業者を選定するため,指名型プロ
る利用料金,メディカルチェック料金等が改定されまし
ポーザル方式を導入し,これに係る必要な手続き等を定
た。
めるため,学校法人愛知医科大学指名型プロポーザル方
式実施規程が制定されました。
病院規程の一部改正等
施行日は平成24年10月5日
病院の中央診療部門に「脊椎脊髄センター」を設置し,
脊椎脊髄疾患の総合治療拠点としての体制整備を図るた
め,愛知医科大学病院規程の一部が改正され,新たな中
央診療部組織として「脊椎脊髄センター」が設置されま
した。
施行日は平成24年10月1日
また,この改正に伴い,次の関係規則が制定されまし
た。
施行日はいずれも平成24年10月1日
・愛知医科大学病院脊椎脊髄センター規程
・愛知医科大学病院脊椎脊髄センター運営委員会規程
− 21 −
生理学講座 教授 佐藤
元彦
心の臓器「心臓」
を制御する
心臓は人間の活動の源
モンが放出され,それらが心筋細胞の表面にあるアドレ
長い間,心臓は生命あるいは魂を宿す臓器と考えられ
ナリン受容体に結合します。ホルモンが結合した受容体
ていました。古代エジプト人にとって,心臓は感情・思
は,細胞内にあるスイッチを入れることにより,ホルモ
考の座であり,死後,心臓の重さで生前の善悪の審判を
ン刺激を細胞内へと伝えていきます。このスイッチとし
うけると考えられていました。
古代ギリシャにおいては,
て作用する蛋白がG蛋白と呼ばれるものです。
アリストテレスが心臓にこそ霊魂が宿るとしました。
このように心臓は,
「人間らしい活動の源」と考えら
しくみを明らかにして治療の可能性を探る
れてきましたが,現代医学では心臓は血液を送る大切な
生理学講座では,自律神経による体の調節,特にスイ
ポンプと言えます。すなわち,全身に絶えず酸素と栄養
ッチであるG蛋白に注目して研究を行っています。我々
素を送り老廃物を回収するという,大変重要な役割を果
の研究で,心臓病に応じてG蛋白のスイッチを入れやす
たしています。循環が停止してしまうと,組織には二酸
くする「調節蛋白」が増えてくることが解りました。ま
化炭素など老廃物がたまってしまい,機能が停止,更に
た,
「調節蛋白」は心臓病の悪化に強く関係しているこ
は個体の死へつながることになります。
とも明らかになりました。私たちは,
「調節蛋白」を抑
えることにより,自律神経のスイッチ機能を調整するこ
心臓と心はつながっている
とを目指しています。遠回りに思えるかもしれません
現代の認識では,
心を宿す場所は脳へと移りましたが,
が,全てのスイッチを同時に入れたり消したりするよ
心臓と心(脳)が密接につながっていることには変わり
り,副作用が少なく効果的な治療につながると考えてい
はありません。心(脳)は自律神経の活動を介して血液
ます。
ポンプである心臓をコントロールしています。移植され
た心臓がすぐに働くことから分かるように,心臓は自分
心臓と心の関係を良好に保つ
自身でリズムをつくり働くこともできます。しかし,体
人間の絶え間ない活動は文明を発達させましたが,
「人
の中でより効果的に働くために,体の状態を統合的に調
間らしい活動の源」である心臓の病気は増えてしまいま
節する自律神経(交感神経,副交感神経)の指示を受け
した。日本人の死因でも,心疾患は第二位となっており
ているのです。つまり,交感神経が興奮すると心拍数の
年々増加しています。
増加,心臓の収縮力の増大,血圧の上昇などがおきます。
心臓と心(脳)の影響を切り離すことはできませんが,
一方,副交感神経が興奮すると,逆の変化がおこります。
私たちの心がけと適切な治療で悪い影響を少なくするこ
とは可能です。私たちの講座も少しでもお役に立てるよ
心の興奮が心臓の病気を悪くすることもある
う日々努力を重ねているところです。興味のある方のお
交感神経の興奮は,単に循環動態を変化させるだけで
問い合わせ,研究への参加をお持ちしております。
はなく,様々な病気の発症の引き金となることが知られ
ています。例えば,急激な交感神経の興奮は不整脈や心
筋梗塞・狭心症などの冠動脈疾患,また,脳血管疾患の
発症につながるといわれています。一方,交感神経の興
奮がいつも高いと心不全(心臓のポンプ作用が低下した
状態)を悪化するとも考えられています。このため,自
律神経の過度の影響を防ぐことが病気の治療に良いと考
えられるようになりました。そのため,交感神経の作用
を遮断する薬剤(βアドレナリン受容体遮断薬など)が
心疾患の治療に用いられることがあります。
心の興奮が心臓に伝わるしくみ
ところで,交感神経の刺激はどのようにして心臓に伝
わるのでしょうか?交感神経が興奮すると神経末端から
ノルアドレナリンが,副腎からアドレナリンというホル
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