測定のイロハ(第 9 回 連載 2/3) 電界強度測定は変わった! ~デジタル

アンリツ計測器カストマサービス株式会社
計測サポートセンター
測定のイロハ(第 9 回 連載 2/3)
電界強度測定は変わった! ~デジタル通信時代の電界強度測定
1 はじめに
無線通信は、アナログ通信からからデジタル通信へと移り変わり、従来の電界強度測定器では対応できない場合
もでてきました。前回(連載 1 回目)では、電界強度測定の対象となる信号の違いについて紹介しました。
今回は、使用する測定器、電界強度測定器とスペクトラムアナライザ(以下スペアナとします)の違いについて
紹介します。
2 電界強度測定、電界強度測定器とスペアナの違いについて理解する
前回、記述しましたように、従来の電界強度測定器では測定できなかった広帯域な信号でも比較的信号レベルが
高ければ、スペアナでも測定することができます。
(1) 電界強度測定器は、入力部に周波数選択性のあるフィルタが入っており、多くの電波が飛びかう屋外などで必要な
信号のみを選び出して測定することが容易にできます。
しかし、スペアナは汎用機のため入力部に帯域制限フィルタが入っておりませんので、必要な信号を測定するため
にリファレンスレベルを下げると、自動設定では内部アッテネータの設定が変化し、所望しない信号(妨害波信号)に
よりスペアナ内部でひずみなどが発生し、正常な測定ができなくなる場合があります。この様な場合には、スペアナ
の前段に帯域制限フィルタ(BPF)を付けて妨害波信号を阻止する必要があります。
(2)希望波用の電界強度測定器の通過帯域幅は、6dB 帯域で 8kHz、15kHz、120kHz となっています。また、妨害波用の
電界強度測定器では、200Hz、9kHz、120kHz と、妨害波測定の規格に基づいた通過帯域幅の構成になっています。
しかし、電界強度測定器の通過帯域幅に相当するスペアナの分解能帯域幅(RBW)は、通常 3dB 帯域で、1-3 シーケ
ンスとなっており、電界強度測定器とは異なります。
(例 RBW:1Hz,3Hz,10Hz,30Hz,100Hz・・・・・・・・3MHz)
スペアナの中には準尖頭値検波(QP)モードを持っているものもあり、妨害波用の電界強度測定器と同様に 6dB 帯域
で 200Hz 、9kHz、120kHz の 3 種類から通過帯域幅を選択できるものもあります。
(3)電界強度測定器の検波方式は、平均値(Average)検波です。また、妨害波測定まで対応した電界強度測定器には、
平均値の他に準尖頭値(QP)、尖頭値(Peak)が選択できるものもあります。一方、スペアナでは、Peak、Negative Peak、
RMS,Average、Sample などが一般的で、電界強度測定器の検波モードを含んでいるものもあります。
続きは次号で。次号(連載 3 回目/最終回)は、スペアナで電界強度測定をする時の注意点について紹介します。
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