2.C 2.CR回路の周波数特性 準備 図2-1に CR 回路を示す.入力に交流電圧を加え,その周波数を変えたとき,出力電圧がどの ように変化するかを求める.周波数による変化(周波数特性)は電圧(振幅)の大きさと,波形の 時間遅れ(位相)の両方に表れる. 図2-1 CR回路 入力電圧を V(ω),コンデンサの両端の電圧[出力電圧]を Vo(ω)とすると、 VO (ω) = 1 / jωC 1 1 − jωCR 1 V (ω) = V (ω) = V (ω) = e jφ 2 2 2 R + 1 / jωC 1 + jωRC 1 +ω C R 1 +ω2 C 2 R 2 となる。ただし、 φ = − tan −1 (ωCR ) 従って,入出力電圧の振幅比 |Vo(ω)/V(ω)| は VO (ω) 1 = V (ω) 1 +ω2 C 2 R 2 となる.これはゲイン(利得)と呼ばれるが,工学の分野では,以下のようにして求められるデシベ ル[dB]で表現されることも多い.log を常用対数[ log10 ]として,デシベル表示では 20 log VO (ω) 1 = 20 log = −10 log(1 + ω2 C 2 R 2 ) 2 2 2 V (ω) 1 +ω C R となる.ゲインをデシベルで表現して,ゲインと周波数の関係を図示したものが図2-2である. CR回路の周波数特性 CR回路の周波数特性 2.000 [dB] 0.000 -2.000 1 ン -4.000 イ -6.000 ゲ 10 100 1000 10000 100000 -8.000 周波数[Hz] -10.000 図2-2 CR回路の周波数特性[両対数表示] また,時間遅れΔt と周波数の関係は, Δt/T= φ/2π より,Δt=φ/ω となる。 従って, Δt = -[ tan-1(ωC R)]/ω となる. なお,ωC R = 1 [従って,ゲインが 1 / 2 となる周波数を遮断周波数といい,これをfC とす ると, fC=1/2πCR と表される.fC より低い周波数帯域を通過帯域[ゲイン ≒ 1 ],高い 周波数帯域を阻止帯域と呼ぶ. - 10 - CR回路の周波数特性 簡単な回路(低域通過フィルタ[Low pass filter] )の作成 その回路の特性を測定(周波数fに対するゲインGの変化) ゲイン(Gain):出力電圧vo[V]/入力電圧vi[V] G(f) 参考 遮断周波数 fC :通過できなくなる周波数 (ゲイン 1/√2) 両対数グラフ:横軸,縦軸を対数で表示 Log-Log 時定数:CR回路(1次系)の時定数 T=CR [s] 実験手順 1.回路の作成 (図2-3参照) 抵抗器 R の電気抵抗の大きさ,コンデンサ C の容量の大きさの表示: 3桁の数値,単位 抵抗:Ω(オーム),コンデンサ:pF(ピコファラッド) 例: 103 → 10×103 Ω あるいは,10×103 pF 逆に, 1 kΩは, 10Ω×100 であるから, 102 と表示 1000 pF は,103=10×102 であるから,102 と表示 カラーコード:数値を色で表す.例: 茶黒橙 → 103 (10 kΩ) 接続 グランド(アース)を共通に接続する.(信号発生器,回路,オシロスコープ) 2.特性測定 2.1 信号発生器から正弦波を発生させる.信号の大きさは一定にしておく. 入力電圧(一定)谷から山まで, peak to peak, p-p)viを測定する(オシロス コープの縦軸を用いる.下記参照)[一度だけ測定して記録する]. 電圧の測定 [縦軸](CAL に注意[右に回し切る UNCAL 消灯]) (1) CH.1(or CH.2)のつまみを調整し,波形が適当な大きさで見えるようにする. (2) つまみ[VOLTS/DIV]の白線の位置の数値を読み取り,すぐ記録する. たとえば,0.2 V 記録用様式参照 (3) 波形の谷から山までの大きさを縦軸の目盛り[DIV]数を読み取り記録する. (4) 両者の積から出力信号の大きさが分かる. 2.2 周波数を変えながら,回路の出力電圧(谷から山まで, peak to peak, p-p)vo を 測定する(オシロスコープの縦軸を用いる).上記 電圧の測定を参照 さらに,入力波形の山(頂点)から出力波形の山(頂点)までの時間Δtを測定 する.(図2-4参照のこと) - 11 - 図2-3 CR 回路のブレッドボード上への作成 1.5 ∆t 1 0.5 0 0 V 0.5 1 Vo -0.5 -1 -1.5 図2-4 入出力電圧と遅れ時間Δ 入出力電圧と遅れ時間Δt - 12 - 1.5 2 周波数の選択 遮断周波数:正弦波信号を通さなくなる周波数(ゲインが1/√2) 今の回路の場合: 1/(2πRC) R [Ω],C[F] 遮断周波数の近辺で特性の変化が大きい.従って,その近辺を多く選ぶ. ・遮断周波数を計算で求めよ.fC= kHz ? ・ 1 kHz~ 100 kHz の間で,10 個の周波数について測定する. 1 kHz, 100 kHz,50 kHz,5 kHz, fC ± 2, 4, 6 kHz 記録様式の例 (後で経過を確かめたくなったときそれができるように) 入力電圧(peak to peak) vi の測定 出力電圧 vi (peak to peak) 周波数 数値 単位 10.3 k Hz VOLT/DIV 2 V 目盛数 電圧( 電圧(単位) 単位) 1.5 3.0 V 出力電圧( ) vo の測定 出力電圧(peak to peak) 周波数 数値 単位 10.3 k Hz 出力電圧 VO (peak to peak) VOLT/DIV 2 V ゲイン 時間 目盛数 電圧( 電圧(単位) 単位) vo/vi μs 1.3 2.6 V 0.87(=2.6/3.0) 10.5 参考 カラーコードの覚え方 参考 「黒い礼(0)服」 周波数特性の計算値 周波数 kHz ゲイン 「小林 (1) 茶」「茶 (1) 服」 1 1.00 「赤い人(2)参<にんじん>」 5 0.95 「橙色の蜜(3) 「橙色の蜜(3)柑」「第(橙) (3)柑」「第(橙)( 柑」「第(橙)(3) の男」 10 0.85 「岸<( 「岸<(黄) (4 (4)> 恵子」 12 0.80 「嬰児<みどりご>(5)」 14 0.75 「青二才のろく(6)でなし」 16 0.71 「紫式部<七部>(7)」 18 0.66 「ハイヤー(灰)(8)」 20 0.62 「ホワイト(白)ク(9)リスマス」 50 0.30 100 0.16 カラーコードの覚え方については、各自工夫して下さい。(岸恵子、映画『第 3 の男』とか知らなかったりする し、嬰児の意味がわからなかったり。)覚え方は工夫しましょう。 - 13 - 3.測定結果をグラフに表す 周波数特性のグラフ(一部)を以下に示す。図2-5は、横軸・縦軸とも下の数値(等目盛)で示し てある。両軸を対数で表したグラフ(両対数フ)は、既に図2-2に示してある。図2-2では、 横軸は周波数fとして log(f)を、縦軸はデシベル[dB]で表したゲイン G を示している。 [Gain = 20 log (Vo/Vi) ] CR回路の周波数特性 CR回路の周波数特性 1.1 (Vo/Vi) 1 0.9 0.8 比0.7 力 出0.6 入 0.5 0.4 0 5000 10000 15000 周波数 20000 25000 [Hz] 図2-5 CR 回路の周波数特性(等目盛) ◆ 参考:入出力比のデシベル表示 Vo/Vi 0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000 2 √2 3 4 5 dB 表示 計算値 -60 -60.000 -40 -40.000 -20 -20.000 0 0.000 20 20.000 40 40.000 60 60.000 6 6.021 3 3.010 約 10 9.542 12 12.041 14 13.979 dB = 20 log(Vo/Vi) 注意:log は常用対数 log10 を表す。 2010 = 1024 ≒ 103 ∴ log(210) = 10 log2 ≒ 3 ∴ log2 ≒ 0.3 32 ≒ 10 ∴ log(32) = 2 log3 ≒ 1 ∴ log3 ≒ 0.5 (かなり粗い近似) - 14 - 30000
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