No.28 - Thermo Fisher Scientific

ライフテクノロジーズ情報誌 NEXT 1 月号
2015 / January / No.28
NEXT FORUM 2014
[ 夢 見 る サ イ エ ン ス ナ イト ! ] 開 催
P. 04
Lipofectamine ® MessengerMAX™ Reagent
P. 06
Ion AmpliSeq™ Transcriptome Human Gene Expression Kit
Ion Proton™ シーケンサ
P. 07
QuantStudio ® 3D デジタル PCRシステム
P. 08
Click-iT ® Plus TUNEL Assay
P. 09
EVOS ® イメージングシステムシリーズ
P. 10
GeneArt ® CRISPR Nuclease mRNA & GeneArt® CRISPR Strings™ DNA
GeneArt ® PerfectMatch TALs
GeneArt ® Precision TALs
P. 12
Total Exosome Isolationシリーズ
P. 17
Attune ® NxT Cytometer
Invitrogen™
Applied Biosystems®
Gibco®
Molecular Probes®
Novex®
Ambion®
Ion Torrent™
NEXT FORUM 2014
page
02
[ 夢見るサイエンスナイト ! ]開 催 報 告
ライフサイエンス研究者へ新しい出会いの場を提供する、NEXT FORUM 。
「生命の根源に迫る最先端リサーチ」をテーマに東京・六本木のニコファーレで開催しました。
2014 年は、
第 1 部はゲノム編集、再生医学、がん研究のそれぞれの分野で活躍する研究者レクチャー、
第 2 部は公募した研究者川柳コンテストや受賞作品の発表、
第 3 部は若手を交えたトークセッション。
MCとして出演した、ジャーナリストの津田大介氏とフリーキャスターの石田紗英子氏が、
ニコ生中継ののべ 2 万 5 千人の視聴者からのコメントを拾いつつ、イベントを盛り上げました。
2014 年 10 月24 日(金)18 時より、ニコファーレにて
講演者
山本 卓 氏(広島大学理学研究科教授)
谷口 英樹 氏(横浜市立大学医学研究科教授)
藤田 恭之 氏(北海道大学遺伝子病制御研究所教授)
ヤングプレゼンター
柴藤 亮介 氏(株式会社エデュケーショナル・デザイン代表取締役社長)
今村 公紀 氏(京都大学霊長類研究所助教)
▶ お知らせ
NEXT FORUM 2014 のダイジェスト動画( 3 分)と全編( 3
時 間 )をウェブで公 開 中です。ぜひご覧ください 。またイベ
ントアンケートにご協力いただくと、本誌表紙の壁紙や研究
室で役立つ素敵なグッズをプレゼントします!
www.lifetechnologies.com/nextforum2014
第1部
細胞との間に起こる相互作用、つまり細胞同士の「せめぎ合い」。正常
レクチャー「生命の根源に迫る最先端リサーチ」
細胞とがん細胞を 100 対 1 の割合で混ぜ、タイムラプスムービーで観
トップバッター の 山 本 卓 氏 の 講 演 は 、今 注 目 の ゲノム編 集につ い て 。
た。この「細胞競合」と呼ばれる現象を利用して、新しい発想でがんと
「この技術により、だれもが遺伝子改変ができる時代が到来し、今後の
いう疾患に立ち向かいたいと、藤田氏は語ります。
察した動画が大画面に映し出されると、会場から感嘆の声が漏れまし
ライフサイエンスのツールとして必要不可欠になるのは間違いありま
せん。将来のノーベル賞候補の技術」と語ります。さらに使いやすいゲ
第2部
ノム編集ツールや、遺伝子を効率よくノックインするシステムの開発な
研究者川柳コンテスト「川柳 in the ラボ 2014 」
ど、自身の最新の研究を説明。
「ウイルスからiPS 細胞まで幅広く使え、
さらに家畜の育種や抗体医薬などの医療分野での応用も期待されま
9 月に募集した研究者川柳には、212 人から 1248 句の応募がありまし
す」とその大きな可能性に言及しました。
た。次々と紹介されるユニークな作品に、会場は笑いに包まれました。
続いて登壇した谷口英樹氏は、昨年話題を呼んだ iPS 細胞からオリジ
ノミネート 5 作品のうち、ニコ生視聴者からの投票で人気作品賞に選
ナルな手法で肝臓を創る研究を紹介。谷口氏が目指すのは、
「患者を
ばれたのは「よし逃げろ 学会帰りの ボスが来た」。コメンテーターの
救うために臓器をつくること」。機能に特化した細胞だけを創るのでは
藤田氏は、
「学会帰りのボスはアイデアが活性化しているが、だいたい
なく、発想を転換して、iPS 細胞から臓器を構成する複数の前駆細胞
面白くない実験のアイデア。だからラボのメンバーは逃げようとなる」
を分化させ、シャーレの中で共に培養することで三次元構造と肝臓機
と笑います。講演者特別賞は、
「 発現を 制御できない 恋心」。優秀賞
能を有する肝臓の元を創りだしました。今後、企業と連携しつつ進める、
「 飲み会の あとはシ
は、
「 だれかくれ モチベ増やせる プライマー」、
培養技術のロボット化など、新たな取り組みも紹介しました。
「 妖怪の せいだと思うよ このデータ」の 3 作品。また、
メの 実験へ」、
最後の演者、藤田恭之氏は「誰もやっていない方法でがんを治すのが
MC2 人が選んだサイエンスナイト賞は「縁結び いつもしてます 動
私の夢」と語り始めました。藤田氏が取り組む研究は、正常細胞とがん
物の」でした。
page
03
第3部
するサービス「アカデミスト」を運営しています。
「このファンディング
サイエンスナイト セッション「夢から広げる生命科学」
が広がれば、国からの研究費だけに頼らず、だれもが直接自分の判断
最初に柴藤亮介氏が、クラウドファンディングによる研究費調達につい
りました。
てショートプレゼン。柴藤氏は、研究費をクラウドファンディングで調達
次に今村公紀氏が、iPS 細胞を使った研究についてプレゼンしました。
で研究者を支援でき、研究がオープンになると考えています」と夢を語
今村氏は「医療以外の iPS 細胞の利用についても研究を広げたい」と
言います。ひとつは、種の保存につなげるために、希少な動物の iPS 細
胞を冷凍保存する試み。もうひとつは霊長類の iPS 細胞を比較した進
化の研究と言います。
最後は、出演者全員のトークセッション。
「 25 歳の頃の夢は ? 」など6 つ
「ゲノム編集や iPS 細胞を使っ
の問いに 5 人がそれぞれ回答しました。
( 山本氏)、
て改造するとしたらなにをしますか ? 」という問いには「頭髪」
「光合成」
(藤田氏)などの回答が会場を沸かせました。一方「これから
「研究、事務、教育
の生命科学研究に欲しい環境は ? 」という問いには、
の分業化」
(今村氏)、
「基礎研究への正当な評価」
(藤田氏)など、現状
の研究環境の課題を指摘する回答が相次ぎました。
「生命科学で叶え
「ゲノム編集によるがん治療」
(山本氏)、
たい夢とは ? 」という問いには、
「 瀕 死 の 患 者さんを助ける」
( 谷 口 氏 )、
「がん の 新たな治 療 法 確 立 」
(藤田氏)。若手二人は「生命科学の総合大学」
(今村氏)、
「研究者版
( 柴藤氏)と意気込みを見せました。
Gunosyをつくりたい」
Invitrogen™
page
04
“ mRNA をトランスフェクション”するという選択
神経細胞、初代細胞、幹細胞への新たなアプローチ
■ Lipofectamine ® MessengerMAX™ Reagent
Lipofectamine ® 導入試薬シリー
ズに、直接 mRNA を細胞へ導入する
ためのトランスフェクション試薬が新
▶ DNA 導入 vs. mRNA 導入
mRNA の導入では、DNA の導入とは異なり、核への取り込みステップ(ステップ 4 )がないため、ゲノムへの組
み込みのリスクがなく、
しかも迅速にタンパク質が発現します。
たに加わりました。
DNA トランスフェクション
[特長]
1.
Attachment
to cell
● 一般的な DNA の導入に比べて、
ト
2.
Endocytosis
into cell
3.
Escape
from endosome
4.
Nuclear
entry
Protein
expression
ランスフェクション効 率を大 幅に
改善
Reagent–
DNA complex
● 核に入る必要がなく、細胞質で迅
速にタンパク質を発現
DNA
● ゲノム組込みのリスクがない
● 神経細胞、初代細胞、幹細胞を用
Nucleus
Endosome
いた研究を促進
Protein
mRNA
Reagent–
mRNA complex
mRNA トランスフェクション
▶ 神経細胞や初代細胞でトランスフェクション効率が改善
神経細胞
NEW!
hNSC
BJ 線維芽細胞
RAW 264.7
Lipofectamine®
MessengerMAX™
Reagent
DNA
導入用試薬
他社 mRNA
導入用試薬
製品名
サイズ
製品番号
Lipofectamine ® MessengerMAX™ Reagent
0.1 mL
LMRNA001
¥9,400
価格
0.3 mL
LMRNA003
¥27,300
0.75 mL
LMRNA008
¥66,200
1.5 mL
LMRNA015
¥94,000
10 反応
AM1345
¥86,100
※ mRNA 転写産物の作製には、下記の転写キットをお薦めします。
mMESSAGE mMACHINE ® T7 ULTRA Transcription Kit
page
Invitrogen™
05
▶ トランスフェクション選択ガイド
NEW!
多くの文献で引用されている
DNA の導入に最適な
siRNA の導入に
mRNA の導入に
試薬では導入困難な細胞の
ロングセラー製品
リポフェクション試薬
最適なリポフェクション試薬
最適なリポフェクション試薬
エレクトロポレーション装置
製品名
Lipofectamine ® 2000
Lipofectamine ® 3000
Lipofectamine ® RNAiMAX
Lipofectamine® MessengerMAX™
Neon ® Transfection System
サンプルタイプ
●プラスミド DNA ● siRNA
● DNAとsiRNA のコトランス
●プラスミド DNA ● siRNA
● DNAとsiRNA のコトランス
● siRNA
● mRNA
●プラスミド DNA ● siRNA
● microRNA ●タンパク質
フェクション
フェクション
★★
★★★
★★★
★★★
★★★★
0.1mLサイズ( L3000001 )
0.1mLサイズ( 13778-100 )
0.1mLサイズ( LMRNA001 )
デモ受付中
導入効率
トライアルサイズ
● microRNA
User's Report / vol.04
武田英里 氏(大阪大学微生物病研究所 ウイルス感染制御分野)
ウイルス感染抑制因子の作用メカニズム解明から感染予防へ
高効率な遺伝子導入を実現するLipofectamine ® 3000 が拡げる新たな可能性
様々なアプローチで進むウイルス感染に対する予防研究。外被タン
パク質に対する中和抗体や細胞障害性 T 細胞の誘導などのワクチン
開発と並んで、近年、宿主が潜在的に持つ感染抑制因子の作用機序
の解明が新しい予防法や抑制法の開発へのアプローチとして注目さ
れています。大阪大学の武田英里氏は、HIV が細胞内に侵入する際、
ウイルスゲノムとタンパク質からなる「コア」を特異的に認識して破
壊するHIV 感染抑制因子「 TRIM5α」の研究を進めています。
HIVウイルス感染の全体像を捉える
「これまで HeLa 細胞を使って研究を進めてきましたが、この細胞に
新たな研究へも取り組みたい
「 A549 細胞はインフルエンザウイルスの研究で汎用される細胞です
が、試薬での遺伝子導入が難しかったので、エレクトロポレーション法
やウイルスベクターを使う研究者も多いようです。しかしウイルスベク
ターを使うためには様々な制約を受けます。試薬を使用するほうが実
験の自由度も上がり、研究促進にもつながりそうです」と武田氏。今後
ゲノム編集やリンパ球など浮遊細胞での実験にも取り組み、これまで
はできなかった実験系で、研究の幅を広げていきたいと語ります。
武田氏(右)とイギリスLeeds 大学の Richard Atherton 氏(左)。
Richard 氏は、交換留学生として研究中。
は出芽するウイルスを細胞表面に留める制御因子が発現しています。
ウイルス感染から出芽までの全体像を捉えるためには、別の培養細
胞を使う必要がでてきました」と武田氏。そこで候補に思いついたの
が、以前インフルエンザウイルスの研究で使用したことがあるヒト肺
胞基底上皮腺癌細胞( A549 細胞)です。通常の状態では HeLa 細胞
の様な制御因子を定常状態で発現していないため、研究をさらに発
[実験メモ]
細胞数: 1×10 6 個
細胞種:ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞( A549 細胞)
プロトコル:マニュアル通り
導入遺伝子: GFP 遺伝子( 2µgGFP 発現ベクター)
展できると考えました。
Lipofectamine ® 3000 で A549 細胞への
遺伝子導入効率が大幅に増加
「インフルエンザ研究の時は、遺伝子導入にエレクトロポレーション
装置を使用していましたが、実験に使う細胞数が固定されていて、コ
Lipofectamine®
LTX
エレクトロポレーション
(他社製)
Lipofectamine®
3000
スト的にも作業的にも不便な面がありました。しかも導入後の細胞
のバイアビリティが下がることも問題でした」。そこで武田氏は、新
Blank
Lipofectamine® LTX
エレクトロポレーション
(他社製)
Lipofectamine®
3000
しいトランスフェクション試薬 Lipofectamine ® 3000 を試してみ
ることに。
「 GFP 遺伝子を使い、導入効率を比較したところ、従来の
Lipofectamine ® LTX で 5-10% 、エレクトロポレーションで 2030% でしたが、Lipofectamine ® 3000 では 50-60%という高効率
で遺伝子が導入できました(図参照)。しかも遺伝子導入後も細胞は
元気が良く、その後の感染実験にも問題なく使えそうです。また試薬
を使った遺伝子導入なので、エレクトロポレーションとは異なり、実験
スケールに合わせて細胞数も選べて便利ですね。新たな実験を始め
る時のファーストチョイスとして有用だと思います」と語ります。
2 種類の Lipofectamine ® 試薬とエレクトロポレーション装置(他社製)を使い、
トリ
GFP 遺伝子の導入効率を比較。24 時間後の細胞を蛍光顕微鏡で観察後(上段)、
プシン処理をして、フローサイトメトリーで GFP 蛍光強度( FL-1 )を測定しました(下
®
段)。その結果、Lipofectamine LTX や他社エレクトロポレーション製品に比べ、
Lipofectamine ® 3000では遺伝子導入効率が向上していました。
Ion Torrent™
page
NGS で微量サンプルからマイクロアレイ同様に
NEW!
発現変動遺伝子を網羅的に解析
■ Ion AmpliSeq™ Transcriptome Human Gene Expression Kit
これまでのマイクロアレイによる発現解析を、次世代シーケンサで網羅的にハイスループットで行えるようになりました。このキットは、イ
オントレントの Ion AmpliSeq™ テクノロジーを応用し、臨床研究サンプル由来の微量 RNA から、ターゲットRNA のアンプリコンシーケ
ンスを行い、高感度で再現性高く、発現量の変化を捉えます。
▶ 4 つの特長
1
広範な遺伝子を網羅
3
RefSeq の 20,802 遺伝子を網羅し、1 ラ
7 時間のライブラリー作製と2 日間のトー
タルワークフローです。Ion PI™ チップ
を使い、8 サンプル / ランで発現解析デー
ンで広範な遺伝子の発現プロファイルを
得られます。
2
FFPE など微量 RNA サンプルに対応
10ng ∼のトータル RNA から検出できる
ので、FFPE などの臨床研究サンプルで
迅速かつハイスループット
タを取得します。
4
簡単操作のデータ解析
専用解析ソフトウェア Ion Reporter™
により、発現解析をサポートします。
も発現解析できます。
パネルデザイン
ターゲット遺伝子
RefSeq の 20,802 遺伝子
プライマー設計
20,802プライマーペア/1プール
必要サンプル数
10∼100ng/サンプル
トータルワークフロー
約 2日
マルチプレックス対応
8サンプル/ Ion PI™ チップ
▶ アンプリコン RNA シーケンスによる発現解析の流れ
※
※
※キットは、この 2つの試薬セットから構成されます。
製品名
サイズ
製品番号
価格
Ion AmpliSeq™ Transcriptome Human Gene Expression Kit
24 反応
A26325
¥270,000
96 反応
A26326
¥864,000
384 反応
A26327
¥2,592,000
RNA シーケンスからエクソーム解析まで、この一台で
■ Ion Proton™ シーケンサ
パワフルで、使いやすい次世代シーケンサです。AmpliSeq™ テクノロジーの力を最大限に利
用し、基礎研究から臨床研究まで、幅広く対応します。RNA アンプリコンシーケンスなら FFPE
切片からの微量なサンプルも解析できるので、がん研究にも最適です。
製品名
サイズ
製品番号
Ion Proton™ システム テンプレート調製自動化システム付
1式
PROTON-020S2( 2 年保証)
価格
¥29,800,000
06
page
Applied Biosystems®
07
Ion Torrent™
User's Voice
田 中 宏 樹 氏( 旭 川 医 科 大 学 臨 床 消 化 器・肝 臓 学 連 携 講 座 特 任 講 師 、写 真 右 ) 佐 々 木 勝 則 氏( 同 特 任 教 授 、写 真 左 )
RNA シーケンスとデジタル PCR がもたらす発現解析の新時代
IonProton™ シーケンサとQuantStudio ® 3D デジタル PCR で代謝疾患関連遺伝子の網羅的解析へ
慢性肝疾患や血液系の代謝疾患の原因究
プレックスで PCR 増 幅を行 い 、微 量なサ
倍 以 下 の 変 化や、変 化は大きくても発 現
明を目指す旭川医科大学内科学講座の研
ンプルにも対応します。またカバレッジも
量が低い遺伝子は、リアルタイム PCR 解
究グループ。疾患に関わる遺伝子変異や
150 ∼ 400と高く、感度良く遺伝子変異を
析では限界があります。実際にリアルタイ
発 現 変 動から病 因 究 明を目指して、次 世
同定します。
「各研究グループ間の垣根を
ム PCR ではキャッチできなかった変化が、
代シーケンサとデジタル PCR を組み合わ
越えた解析ができるため、ある研究グルー
デジタル PCR で検出できた例がいくつか
せ、エクソームやトランスクリプトームの
プが想定していた遺伝子変異だけではな
ありました」と田中氏。さらに「血清エキソ
網羅的解析を着実に進めています。
く、他のグループが候補として挙げた遺伝
ソーム中の mRNA のバリアントをデジタ
疾患関連遺伝子の網羅的解析の
ために開発した「第三内科パネル」
子変異が見つかるなど想定外の結果も得
ル P C R で 解 析 する研 究 も 進 めて います。
られております」。ほぼ休みなく稼働する2
感度が高いだけでなく、絶対定量ができる
台の次世代シーケンサが、ユニークな「第
点も便利ですね」と佐々木氏もコメントし
「 2 年ほど前から IonProton™ シーケン
三内科パネル」の網羅的な解析を支えて
ます。
サ を 使 い 始 めましたが 、全 エクソー ム 解
析 で は 解 析 で きる サ ンプ ル 数 が 少 なく
いるようです。
これからの研究に向けて
「 代 謝 関 連 の 異 常を網 羅 的に解 析するに
をある程 度 絞り込 んだアンプリコンシー
2 倍以下の遺伝子発現の違いや
微量サンプルをデジタル PCR で解析
ケンスを行うことにしました。研究対象と
「一方、遺伝子発現解析については、各種
りますが、導入コストや運用が大変な点な
して は 遺 伝 的 背 景 が 不 明 の 疾 患 患 者 の
疾患の病態を模倣したモデルマウスを作
どが気になります。ですから、使いやすい
血液から採取したゲノム DNA です。関連
成し、ホー ルトランスクリプトーム解 析を
次世代シーケンサとデジタル PCR で構築
なってしまうため、解析対象とする遺伝子
は、産 物を質 量 分 析で解 析する手 法もあ
性 が あ ると考 えら れる 遺 伝 子 に つ い て
行っています。マイクロアレイよりも非常
した遺伝子ベースの解析系に満足してい
IonProton™ シーケンサの 1 ランで解析
に高 感 度 な ので、新たなアプローチが行
ます。また、これらの 手 法からエキソソー
できるキャパシティとサンプル数のバラン
えますね 。例 えば 慢 性 肝 疾 患 では 、重 要
ム中の mRNA が疾患バイオマーカーにな
スを考慮し、できる限り多くの遺伝子を解
な疾患関連遺伝子の発現変化は確認で
り得る可能性など、新たな知見も得られ始
析したいと考えました。そこで消 化 器・血
きても、そ れだけでは疾 患 の 説 明がつか
めており、今後、さらに研究を加速させて
液腫瘍制御内科学分野(第三内科パネル)
ない場合もありました。ところがこれまで
いきたいですね」と田中氏と佐々木氏は語
の臓器別に別れる各研究グループから各
マイクロアレイでは検 出できなかったハ
ります。
種疾患に関わりそうな候補遺伝子を挙げ
ウスキーピング遺 伝 子と考えられている
てもらい、それらをまとめて一つのカスタ
ような 代 謝 関 連 酵 素 などの 発 現 変 動 も 、
ムパネ ルを作 成した ん です」と田 中 氏 は
IonProton™ シーケンサでは検出でき
振り返ります。このパネルには、約 1000 種
ています。新たなアプローチで肝 硬 変や
類の遺伝子が含まれ、約 12,000 のプライ
肝がんとの関係を探っていきたいですね」
マーペアを使ってアンプリコンシーケンス
と語ります。さらに特定の遺伝子を詳細に
を行います。Ion Ampliseq™ テクノロ
調べたいときは、Quant Studio ® 3D デ
ジーで、ライブラリ調製前に数千のマルチ
「2
ジタル PCR システムを使うそうです。
■ QuantStudio ® 3D デジタル PCR システム
チップベースのコンパクトなデジタル PCRシステムが、第三世代 PCR 技術を研究室へ届けます。
20,000 個の微細なウェルを持つチップで、1 サンプルあたり20,000 データポイントを提供します。
[特長]● 20,000 データポイントを実現
●
シンプルなワークフロー
●
貴重なサンプルを無駄なく定量
製品名
QuantStudio ® 3D デジタル PCRシステム ProFlex™ PCRシステム付き
QuantStudio ® 3D デジタルPCR 本体、デュアルフラットブロックProFlex™ PCRシステム
QuantStudio ® 3D ChipLoader 、インスタレーション試薬、設置基本取扱説明
サイズ
一式
製品番号
QS3D-PF( 2 年保証)
価格
¥5,900,000
Molecular Probes®
page
08
in situ でアポトーシス細胞を高感度に検出 !
■ Click-iT ® Plus TUNEL Assay
NEW!
小さくて特異性が高い標識分子と、明るい蛍光色素を用い、組織や培養細胞中のアポトー
シス細胞を高感度に検出します。標識分子はスムーズにDNA 断片中へ取り込まれ、クリック
反応は GFP や RFP などの蛍光シグナルを保護する穏やかな条件下で進みます。
● 安定で光退色に強い色素 : Aelxa Fluor ® 色素で検出
● 選べる蛍光 : Alexa488 、Alexa594 、Alexa647 の 3 種
● 高感度を実現 : 反応分子が小さく、標識取り込みが向上
● 蛍光タンパク質と同時検出可能 : 蛍光タンパク質を阻害せずに機能
● 経済的 : 実験に必要な量だけ使用できて無駄が少ない
▶ 組織中でのアポトーシス細胞の検出
腎臓と腸の組織切片でもアポトーシス細胞を検出できます。GFP やファロイジンと同時測定もできます。
図 1 FFPE 化マウス組織切片における DNA 断片化細胞の検出
したマウスの腎臓(左)と
ホルマリン固定パラフィン包埋( FFPE )
腸(右)を、DNAse 処理で、アポトーシス細胞様にDNA を断片化
しました。その後、Alexa Fluor ® 647 色素(紫)を用いた Click-
iT ® Plus TUNEL アッセイで、断片化 DNA を検出。アクチンを
ActinRed™ 555 ReadyProbes®(赤)、細胞核をヘキスト33342
(青)でカウンター染色しました。TUNEL 反応後も、GFPを発現し
ている上皮細胞がはっきり見えています(右、緑色)。
肝臓
腸
▶ 高感度検出 & 豊富なカラーで多重染色にも便利
Click-iT ® Plus TUNEL with Alexa Fluor® 594
他社製品
図 2 HeLa 細胞における DNA 断片化細胞の検出
HeLa 細胞を、 CellLight ® Mitochondria-GFP( BacMam
2.0( 緑 ))で形 質 導 入し、 DNase で処 理して DNA を断 片 化し、
TUNEL 陽性としました。その後、弊社 Click-iT ® Plus TUNEL
with Alexa Fluor ® 594(左図、赤)、もしくは他社 R2(右図、オレ
ンジ)で、TUNEL 陽性細胞を同定しました。Dnase 処理後の細胞
‐ DNase
(コントロール)
で特異的に反応が進んでいます。
アクチンフィラメントは、Alexa Fluor ® 647 色素標識ファロイジン
(紫)で染色。
+ DNase
( TUNEL 陽性)
製品名
サイズ
製品番号
価格
Click-iT ® Plus TUNEL Assay for In Situ Apoptosis Detection, Alexa Fluor® 488 dye
1キット
C10617
¥84,600
Click-iT ® Plus TUNEL Assay for In Situ Apoptosis Detection, Alexa Fluor® 594 dye
1キット
C10618
¥84,600
Click-iT ® Plus TUNEL Assay for In Situ Apoptosis Detection, Alexa Fluor® 647 dye
1キット
C10619
¥84,600
page
Life Technologies™
09
モニターで直接観察だから、
“コロニーピック”も簡単 !
■ EVOS ® イメージングシステムシリーズ
iPS 細胞のコロニーの継代など、狙ったコロニーを接眼レンズ
で覗きながら回収するのは、難しい作業です。しかし EVOS ®
システムを使えば、大きなモニターでコロニーを見分け、楽な
姿勢で回収もスムーズ。しかもクリーンベンチに入るコンパク
トサイズなので、コンタミの心配も最小限です。
● オールインワン :
PCとカメラ、顕微鏡の一体型イメージングシステムです。
モニターで確認できるので、培養フードの外から透明シャッター越しに観察可能。
● 場所を取らない、コンパクト設計 : 培養フードに入り、重量は約 10Kg 。培養中の細胞を無菌状態で観察できます。
LED 光源で長寿命 : 起動から観察・撮影までがスピーディー。シャットダウンも素早く。
●
▶ iPS 細胞のコロニー回収も簡単です。
クリ ー ン ベ ン チ の
中に E VO S ® システ
こ の 実 験 で 使 用した i P S 細 胞 は 、
Essential 8™ 培地( A1517001 )、お
ム を 設 置 し 、楽 な
よび Vitronectin 基質( A14700 )を用
姿勢でモニターに
いてフィーダーフリーで培 養しました。
映った 細 胞 を 回 収
写真は、継代後 4 日目の iPS 細胞です。
できます。モニター
E VO S ®システムは G i b co ® 細 胞 培 地
に 黒く映り込 ん で
製品と共に、革新的な細胞培養を提案
いるの は 、チップ の
します。
先です。
赤丸の iPS 細胞のコロニーをチップ先端で擦って、ディッシュから
剥がしたコロニー(赤丸)をピペットで回収します。
剥がします。
コロニー回収を簡単に完了しました。同様に、培養中の iPS 細胞か
ら分化した細胞だけを除去することもできます。
製品名
対物レンズ
Light Cube
EVOS FL Auto System
4XPh, 10XFl, 20XFl, 40XFl
GFP,RFP,DAPI
電動
モノクロ & カラー
¥6,800,000
EVOS Ⓡ FL system
4XPh, 10XFl, 20XFl, 40XFl
GFP,RFP,DAPI
○
モノクロ または カラー
¥3,200,000
20 倍固定( 20XFl )
GFP,Texas Red,DAPI
-
モノクロ
¥1,980,000
Ⓡ
Ⓡ
Ⓡ
EVOS FLoid station
*
メカニカル XYステージ
カメラ
価格
EVOS XL system
4XPh,10XPh,20XPh,40XPh
-
○
カラー
¥1,403,000
EVOS Ⓡ XL Core system
4XPh,10XPh,20XPh,40XPh
-
○
カラー
¥985,000
Ⓡ
※上記は組み合わせの 1 例です。用途にあわせて多数のアクセサリーからカスタマイズできます。
EVOS の使いやすさをご体験ください !
EVOS ®シリーズは、蛍光顕微鏡を含め全部で 5 機種。すべて使いやすいシステムです ! お申し込みはこちらから → www.lifetechnologies.com/EVOS
Invitrogen™
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10
ゲノム編集が拡 げるサイエンスワンダーランドへ !
生命科学研究の潮流を変えるテクノロジー、ゲノム編集。ゲノム上の任意の位置に遺伝子改変を誘導します。
生物種を選ばず、これまで不可能だった細胞や生体における遺伝子機能解析を強力に進める技術として期待されています。
弊社のツールやサービス、充実したテクニカルコンテンツによるサポートが、ゲノム編集をぐっと身近にし、はじめての実験もわかりやすく道案内します。
STEP 1
旅のはじまり
マンガで学ぶゲノム編集
ゲノム編集って何 ? いまさら聞けない原理や、実験の流れについて、マ
ンガで書いたキャラクターがゲノム編集の基礎やワークフローで使う
ツールを、分かりやすく解説します。
旅の友
STEP 2
研究者インタビュー
ゲノム編集が拓く未来や、研究のパラダイムシフトについて、この技術を
いち早く研究に取り込み使いこなす研究者たちが語ります。
● 誰もが使いこなすゲノム編集時代の
幕開けへ
鍵は技 術 の 使 い 分けと新たな 基 盤
技術の開発
● 新たなライフサイエンス時代へ
ゲノム編集技術がもたらす遺伝子改
変生物作製のパラダイムシフト
● ゲノム編集を活用し、先天性異常の
疾患解析へ
● 神 経 幹 細 胞における非 対 称 分 裂 の
シグナル伝達機構を探る
これらの ゲノム 編 集 の 情 報 を 網 羅した 特 設 サイト はこちら
www.lifetechnologies.com/GenomeEditors
します。
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Invitrogen™
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■ GeneArt ® CRISPR Nuclease mRNA & GeneArt ® CRISPR Strings™ DNA
■ GeneArt ® PerfectMatch TALs
■ GeneArt ® Precision TALs
NEW!
STEP 3
旅の準備
オンラインセミナー & ハンズオンワークショップ
ゲノム編集の実験ワークフローに沿って、
各ステップのコツや注意点を分かりやす
く解説するオンラインセミナー。ハンズ
オンワークショップでは、弊 社テクニカ
ルサポートスタッフが face to face で
サポートします。
パート1
ターゲットサイトのデザイン方法( CRISPR/Cas9, TALENs )
パート2
変異導入の成功を評価する方法
パート3
相同性組換え用ノックインベクターの設計と、
新しい遺伝子導入試薬で成功率をぐっと向上
パート4
標的サイトの変異導入パターンや
オフターゲットの可能性を次世代シーケンサで評価する
STEP 4
いざ旅立ち !
多様なニーズに応えるゲノム編集ツール
実験目的に応じて選べる多様な製品をご用意しています。
▶ GeneArt® CRISPR Nuclease mRNA &
GeneArt® CRISPR Strings™ DNA:
Cas9 mRNAとgRNA 発現エレメントを共導入
することでゲノム編集の効率向上が期待できます
▶ GeneArt® PerfectMatch TALs:
末端 T の制約がなく自由に設計できるT-less TALEN 、新発売
5’
NEW!
▶ GeneArt® Genomic Cleavage Detection Kit: DNA 抽出不要 & 簡単
5ステップで、ゲノム編集による標的サイトの切断を評価します。
▶ GeneArt ® CRISPR Nuclease vector 構築サービス: gRNA デザ
インから、オー ルインワンベクター構築を代行する受託サ ービスです。
培養細胞での活性評価もオプションで提供します。
Invitrogen™
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Technical Review
Exosomes: different origin, different fu nc
エ キソソー ム : 様 々 な サ ンプ ル 由 来 、様 々 な 機 能 、様 々 な サ ブ
Ketil W. Pedersen & Axl Neurauter
Ketil Winther Pedersen( Ph.D ): Thermo Fisher Scientific R&D 部門スタッフサイエンティスト。オスロ(ノルウェー)の磁性 Dynabeads の生産施設を拠点に、
エキソソームのサブポピュレーションの単離およ び解析用の新しいツールを開発する研究リーダー。
Axl Neurauter: Thermo Fisher Scientific R&D 部門シニアマネージャー(細胞分子研究部門のヘッド)。拠点は同上。
細 胞 外 小 胞( E V : E x t r a c e l l u l a r
Vehicle )は、細胞から分泌される脂質に囲
まれた小胞であり、急速に注目を集めている
生物学の魅力的な分野です。EV の中でも小
サイズ( 30 ∼ 100nm )のエキソソームは、血
液 、唾 液 、尿 、母 乳などの 様々な体 液 中に存
在し、多様な自然の生物学的プロセスに関与
していることから、特に関心を持たれていま
す。この分野の研究がますます進展するにつ
れ、細胞間の複雑な情報伝達などエキソソー
ムが 関 与 する機 能 が 明らかとなってきて い
ます。また多くの論文で、がん細胞由来のエ
図 2 磁性ビーズ( Dynabeads ®)で単離したエキソソームのフローサイトメトリー解析
A: 磁性ビーズに結合したエキソソームのスキャッタープロット(前方及び側面散乱とゲイティング)。
BとC: 抗ヒトCD63 PE-A 抗体( B )、もしくは抗ヒトCD9 PE-A 抗体( C )で、それぞれ染めたエキソソーム。
キソソームが、免 疫 反 応を抑えたり、抗 原 抗
体反応を抑制することで、がんを進行させた
り、治療効果を低下させることが報告されて
います。このようなエキソソームには原発が
エキソソームは、その潜在的な機能の多様性
ンの 詳 細 な 特 性 解 析に用 いることができま
ん由来のがん遺伝子が含まれることから、エ
から、幅広い様々なタイプが存在することが
す。最近、Oksvoldらは様々なタイプの B 細
キソソームは非 侵 襲 的な手 法でがんを早 期
示 唆されています。そ のため、エキソソーム
胞リンパ腫細胞株から分泌されたエキソソー
発見するためのターゲットとなる可能性が期
のサブポピュレーションについて特性解析お
ムの 比 較 および特 性 解 析について報 告して
待されます。がん診断の可能性に加えて、エ
よび比較を行うために、簡単で信頼できる方
います( Clinical Therapeutics 2014 )。
キソソームは腫 瘍 免 疫 療 法 の 研 究 開 発にも
法は非常に有用です。
Dinabeads ® は、フローサイトメトリー解析
詳 細 な 特 性 解 析 を 行 う た め に は 、エ キ
ても使えるでしょう。
用 のエキソソーム調 製 の 標 準 的 な 方 法とし
重要であり、がん治療を変革する可能性を秘
めています。
ソソ ー ム を 濃 縮 す る 必 要 が ありま す 。
ThermoFisher Scientific では、エキソ
ソー ム の 単 離 および 解 析 用 の 製 品 ライン
Exosomes
ナップをさらに拡 大し、新 製 品を発 売しまし
1
た。現在、CD9 、CD63 、CD81 および上皮細
2
胞接着分子 EpCAM などのエキソソームマー
カーを発 現 するエキソソームを特 異 的に回
収できます。
上 記 マ ー カ ー を 発 現 す る エ キ ソソ ー ム
Dynabeads ®
の 単 離 に は 、抗 体 ベ ー ス の 磁 性 ビ ー ズ
( D y n a b e a d s ® )を固 相 結 合 面として 使 用
します(図 1 )。エキソソームは Dynabeads ®
と結 合 さ せ ることにより、フロ ー サ イトメト
図 1 磁性ビーズ( Dynabeads )表面にキャプチャーされた
®
リー( 図 2 )やウェスタンブロッティング( 図
エキソソーム
3 )などのアプリケ ーションで 簡 単に解 析 で
磁 性ビ ー ズを 抗ヒト C D 8 1 でコート後 、エ キソソー ムを 単 離し、
きます。このアプローチは、多 様な細 胞から
表面に結合したエキソソームをそのまま電子顕微鏡で観察しま
した。ビーズ表面に濃縮されたエキソソームが観察できます。
分泌されたエキソソームサブポピュレーショ
図 3 抗 CD9 抗体でコートした磁性ビーズ( Dynabeads ® )を単
離したエキソソームのウェスタンブロット解析 単離したエキソソームを電気泳動後、ウェスタンブロッティングを
行い、クローンTS9 で CD9 を標識しました。レーン1 は磁性ビーズ
濃縮前、
レーン2は磁性ビーズで単離したエキソソームの CD9 標識
です。
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Invitrogen™
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fu nctions, different subpopulations
々 な サ ブポピュレ ー ション の 解 析 を 可 能 に
また、多くの研究者は、CD9 、CD63 、CD81
オンラインセミナー(録画版・日本語)も
CHECK!
などの エ キソソー ムマ ーカー をウェスタン
ブロッティングで検出できないという問題に
直 面しています。当 社では、エキソソーム研
「イムノキャプチャーによるエキソソーム精
究に有 用 なツー ルをさらに提 供 するために、
製と解析 - B 細胞リンパ腫モデルを参考と
CD9 、CD63 、CD81 などのエキソソームの
した研究法の提案」
ターゲットの 検 出に適したケミルミネッセン
www.lifetechnologies.com/jpwebinar13
ス系 の 検 出システムについても広 範な試 験
を行っています(図 4 )。
図 4 エキソソーム中のマーカーの確認
エキソソーム中のマーカーを評価済みの各抗体で確認しました。
ThermoFisher は、現 在 、様々なレベ ルで
エキソソームを単 離 および 解 析 するための
幅広いツールを提供しています。
無 料!
さらに充実 ! エキソソーム解析のためのエキスパート試薬 ■ Total Exosome Isolation シリーズ
製品名
サイズ
製品番号
価格
Total Exosome Isolation(細胞培養上清)
50 mL
4478359
¥43,100
Total Exosome Isolation(血清)
6 mL
4478360
¥39,900
Total Exosome Isolation(血漿)
6 mL
4484450
¥42,000
Total Exosome Isolation(尿)
50 mL
4484452
¥28,400
エキソソームの単離
Total Exosome Isolation(その他体液)
6 mL
4484453
¥42,000
Exosome-Human CD63 Isolation/Detection(細胞培養上清)
3 mL(約 30 prep/150 rxn)
10606D
¥42,000
Exosome-Human CD9 Isolation(細胞培養上清) 2 mL(約 50 prep )
10614D
¥60,900
2 mL(約 50 prep )
10616D
¥60,900
2 mL(約 50 prep )
10618D
¥60,900
2 mL(約 100 rxn )
10620D
¥27,300
2 mL(約 100 rxn )
10622D
¥27,300
2 mL(約 100 rxn )
10624D
¥27,300
3 mL(約 30 prep/150 rxn)
10608D
¥42,000
¥39,900
NEW!
Exosome-Human CD81 Isolation(細胞培養上清) NEW!
Exosome-Human Ep-CAM Isolation(細胞培養上清) NEW!
Exosome-Human CD9 Flow Detection(細胞培養上清) NEW!
Exosome-Human CD81 Flow Detection(細胞培養上清) Exosome-Human Ep-CAM Flow Detection(細胞培養上清)
NEW!
NEW!
Exosome-Streptavidin for Isolation/Detection※
エキソソームRNAやタンパク質の精製
Total Exosome RNA & Protein Isolation Kit
40 rxn
4478545
Exosome Immunoprecipitation( Protein A )※
1 mL
10610D
¥23,100
Exosome Immunoprecipitation( Protein G )※
1 mL
10612D
¥23,100
ウエスタン解析用抗体
Exosome Anti-CD9(ウエスタン解析) NEW!
0.2 mL
10626D
¥30,500
Exosome Anti-CD63(ウエスタン解析) NEW!
0.2 mL
10628D
¥30,500
Exosome Anti-CD81(ウエスタン解析) NEW!
0.2 mL
10630D
¥30,500
※ 別途目的に応じた抗体が必要になります。
■ 製品についての詳しい情報はこちらから → www.lifetechnologies.com/exosomes
Ambion®
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Technical Review
Cells-to-C T ™ 1-Step TaqMan ® Kit を用 いた迅 速 で シン
遺伝子発現プロファイル解析のためのトータルソリューションの提案
木坂真由美(テクニカルサポート)
典 型 的 な 遺 伝 子 発 現 実 験 で は 、細 胞 から
RNA を精製後、DNA へ逆転写してリアルタ
イム PCR を実施するため、2 ステップ操作が
必要で数時間かかる作業でした。これに対し
て Ambion ® Cells-to-C T ™ Kit は、培養
細 胞 から R N A 精 製 なしで 、直 接リア ルタイ
ム P C R を実 施 するシリー ズ 。手 間と時 間を
省き、しかも高 精 度な結 果が得られます。こ
の 度 、より迅 速 で 、より簡 単をコンセプトに、
逆転写とリアルタイム PCR を 1 ステップで行
える Cells-to- C T ™ 1-Step TaqMan ®
K i tとC e l l s - t o - C T™ 1 - S t e p P o w e r
SYBR ® Green Kit の 2 製品が、このシリー
ズに仲間入りしました。ここでは新しいキット
の 利 点や 使 用 方 法を始 め、他 製 品との 比 較
図 2 データ精度と検出感度
16,500 個の Jurkat 細胞をサンプルに、ランダムに選択した 72 種類の TaqMan ® Gene Expression Assaysを用い、RNAを精製した場
合と比較しました。その結果、高い相関性を示しました( A )。また HeLa 細胞の細胞数を 10 から100,000まで振り、検出レンジを確認しまし
た。ACTB 遺伝子をターゲットにレンジを確認にし(◆:Cells-to-CT、■:RNA 精製)、XENOスパイクは細胞溶解液中の夾雑物による阻害レ
ベルの確認のために設定しました(▲:Cells-to-CT、■:RNA 精製)。ACTB およびXENOは、Cells-to-CT™ Control Kit 付属のアッセイ
を使用しました( B )。
を紹介します。
す。付 属 の TaqMan ® 1-Step qRT-PCR
胞溶解の液量に影響を受けず一定であり、精
Master Mix を使って Fast モードランが行
製 RNA の Ct 値と一致し、細胞溶解液による反
解 析 ス ピ ード で は 、C e l l s - t o - C T ™
えるの で 、逆 転 転 写 からリア ルタイム P C R
応阻害も受けませんでした(図 2B )。
1 - S t e p Ta q M a n ® K i t が 優 れて いま
までの反応時間はわずか約 53 分。細胞調製
迅速でシンプルな操作
を含 めても 1 時 間 程 度 で 解 析 結 果 が 得られ
ます( 図 1 )。また、qRT-PCR に必 要な試 薬
を 1 本 のチューブにまとめているので、試 薬
典型的な精製を行った
2ステップ反応
Cells-to-CT™
1-Step TaqMan ® Kit
RNA 精製
∼ 1hr
細胞調製
∼ 7min
調製も単純です。
( Cells-to-C T ™ 1-Step
Power SYBR ® Green Kit は、standard
モードのみ対応です。)
このキットは、弊社がデザインした TaqMan ®
優れたパフォーマンス
しました。そのため他メーカーの類似製品で
このキットは、所 用 時 間が短 いだけでなく優
逆転写反応
逆転写 +リアルタイム PCR
∼ 1hr
( Fast モード)
∼ 53min
∼ 1hr
リアルタイム PCR
( Standard モード)
TaqMan ® Gene Expression
Assaysに特化した
Cells-to- C T ™ 1-Step
TaqMan ® Kit
れたパフォーマンスも提供します。同一の培
養細胞サンプルから、RNA 精製して解析した
結果とも高い相関性を示し( R 2 =0.9768 、図
2A )、同等の広い検出レンジを示すことを確
認しています(図 2B )。しかも Cells-to- CT™
∼ 1hr 30min
1-Step TaqMan ® Kit は、スタート時の細胞
∼ 3hr 30min
数が同じでも、精製 RNAと比較して Ct 値が低
Gene Expression Assaysに特化して開発
は予期せぬ増幅不良や検出不能が生じるアッ
セイでも、確実な結果が得られます(図 3 )。他
社システムでは、内 在 性 のコントロー ルとし
て汎用される 18S-rRNA アッセイに増幅不
良が生じる点など、特に注意が必要です(図 3
左下)。
製操作にともなうロスがないため、感度が高
リアルタイム PCRによる
遺伝子発現プロファイル解析の
提案
でランでき、逆転写もわずか 5 分なので、
トータル∼ 53min で逆
くなったと考えられます。この性能は、微量サ
この キットはハイス ル ープット解 析 で 、さら
転写反応からリアルタイム PCR ランが終了します。面倒な RNA
ンプルを扱う際に有効です。またスパイクさ
に 優 位 性 を 発 揮します 。例 えば Ta q M a n ®
れた Xeno RNA の検出 Ct 値も持ち込みの細
Array Gene Signature 96 well Plate
図 1 典型的な 2 ステップ法との所要時間の比較
キット付属の TaqMan ® 1-Step qRT-PCR Mix は Fast モード
精製もないので、細胞サンプルからqRT-PCR の解析までわずか
∼ 1 時間程度でデータが得られます。
い傾向があります(図 2B )。このキットでは精
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Ambion®
15
NEW!
速 で シンプル な 遺 伝 子 発 現 解 析
と組みわせたハイスループット解析がお勧め
です(図 4 )。この製品は、Protein Kinase
Pathways や Alzyheimer ’
s Disease のよ
うに、生体プロセスやパスウェイ、疾患関連遺
伝子に対するTaqMan ® Gene Expression
Assays を 96ウェルフォーマットに分注後、凍
結乾燥状態でお届けする製品です。現在 132
種 類 の セットを 提 供して い ま す( 指 定した
TaqMan ® Gene Expression Assays を
分 注 するカスタマイズ商 品も あります)。プ
レート上のポジション情報をファイルに保存
した CD-R が付属しているので、弊社リアル
タイム P C R システムにこのファイ ルをイン
ポートすれば、面倒なソフトウェア上でのセッ
トアップ操作も省略できます。
ま た 、解 析 で は フ リ ー ソ フト ウ ェ ア の
細胞溶解
( Cells-to-CT™ lysate の調製)
図 3 TaqMan ® Gene Expression Assaysに特化したCells-to-CT™ 1-Step TaqMan ® Kit
1,000 個の HeLa 細胞由来の細胞溶解液を用いた検出で、発現レベルの非常に高い 18s-rRNA( Hs99999901_s1 )と、発現レベルの低
い IL8( Hs00174103_m1 )で他社の同等製品と比較しました。その結果、他社製品のアッセイでは予期せぬ増幅不良( 18S-rRNA )および
( data not shown )、試薬による問題だと予想されます。
未増幅( IL8 )が確認されました。このトラブルはJurkat 細胞でも確認されており
細胞溶解液と
TaqMan ® Array
RT-PCR 試薬の混合
プレートへの分注
Real-time RT-PCR
反応 / 解析
Expression Suite Software を用い、従
来の Study™ Software にない Heat map
や Scatter plot ベースの解析ができるので、
感覚的な比較も行えます。さらに遺伝子発現
プロファイル解析だけでなく、マイクロアレイ
解析や次世代シーケンシングで得られた結果
の検証、siRNA スクリーニング実験のノック
ダウン効果の確認、ユニークな発現レベルを
示すサンプルのスクリーニングなど、様々な
アプリケーションに応用できます。
図 4 TaqMan ® Array Gene Signature 96 well Plate
細胞を使った実験では、細胞数の測定も重要で
( TaqMan ® Arrayプレート)と組み合わせた
遺伝子発現プロファイル解析
ExpressionSuite Softwareによる網羅解析
細胞溶解液でサンプルを回収後、RT-PCR 用の試薬と混合するだ
す。その目的には、簡単・迅速なワンステップ測
定の次ページCountess ®Ⅱをお勧めします。
けで、反応と解析へ進めます。ハイスループット解析も迅速でシン
プルに行えます。
製品名
サイズ
製品番号
価格
Cells-to-CT™ 1-Step TaqMan ® Kit
20 反応
A25605
¥40,700
Cells-to-CT™ 1-Step Power SYBR ® Green Kit
100 反応
A25603
¥161,000
400 反応
A25602
¥617,400
20 反応
A25601
¥38,000
100 反応
A25600
¥134,500
400 反応
A25599
¥512,700
Life Technologies™
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Technical Review 細胞密度の測定もワンステップで !
全自動セルカウンター Countess ® Ⅱ FL, Countess ® Ⅱで、
簡単・迅速な細胞カウント
宮崎陽造(テクニカルサポート)
細胞を扱う実験では、細胞濃度の測定を頻繁に行います。血球計算盤の測定は煩雑で時間がかかりますが、
全自動セルカウンター Countess ® Ⅱ FL を使えば、スライドを挿入後、十数秒で測定できます。
今回、Countess ® Ⅱ FLと血球計算盤で細胞密度の測定にかかった時間を調べ、
同じ細胞濃度になるよう調製・継代し、3 日後の細胞濃度を比較しました。
その結果、血球計算盤では 3 分以上かかった測定が、Countess ® Ⅱ FL では約 10 秒に短縮され、
3 日間培養後の細胞濃度も両者でほぼ同じでした。
[ Countess ® Ⅱ FLによる測定方法]
1. サンプルを入れたスライドを挿入
2.オートフォーカスでピントが合ったら、
Captureボタンを押すだけ
3. 約 10 秒で測定結果が表示されます。
※トリパンブルーを用いれば、自動で細胞の生死判定できます。
[実験 1 ]
[実験 2 ]
Jurkat 細胞の生細胞濃度をCountess ® Ⅱ FLと血球計算盤で
測定しました。測定にかかった時間は、血球計算盤で 3 分∼ 4 分
弱、Countess ® Ⅱ FL では 10 秒∼ 15 秒でした(表 1 )。
実験 1 のサンプルを 1.0 × 10 5 cells/mL に調製して 3 日間培養
し、細胞濃度を測定しました。その結果、Countess ® Ⅱ FLと血
球計算盤で同等の結果を得ました(表 2 )。
細胞濃度
測定時間
Countess ®Ⅱ FL
3.58 × 10 5 cells/mL
Countess ®Ⅱ FL
1.11 × 10 6 cells/mL
12 秒
血球計算盤
3.46 × 10 5 cells/mL
血球計算盤
1.47 × 10 6 cells/mL
225 秒
[まとめ]
▶ 血球計算盤では 3 分程度かかっていた細胞濃度測定が、Countess ® Ⅱ FL では約 10 秒で行えました。
▶ Countess ® Ⅱ FL は、血球計算盤と違って測定者による差異がなく、客観性の高い結果が得られます。
▶ 測定結果も血球計算盤と同じく正確なため、細胞濃度が重要な実験や安定した細胞継代に有用です。
製品名
サイズ
製品番号
Countess ®Ⅱ FL Automated Cell Counter
1セット
AMQAF1000
価格
¥550,000
※蛍光測定機能をご使用いただくには、別売のライトキューブが必要です。
関連製品(カウント用スライド)
サイズ
製品番号
価格
Countess ® 専用スライド(ディスポーザブル式)
50 枚
C10228
¥11,000
Countess ® Ⅱ FL 専用ガラススライド( FL のみ対応)
1枚
A25750
¥35,000
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Life Technologies™
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No-Lyse, No-Wash, No–Cell Lossで行う
全血からのフローサイトメトリー
■ Attune ® NxT Cytometer
Attune ® NxT Cytometer は、細胞溶解、洗浄、細胞ロスがないので、低密度の細胞や
細胞数の少ないサンプルでも、高精度の測定が可能です。特に全血からの解析において、
赤血球細胞( RBCs )の洗浄処理、溶血処理は、時に著しい細胞ロスと細胞へのダメージ
を伴います。Attune ® NxT Cytometer はサンプル流量をより高められるため、洗浄不
要、溶血不要のプロトコルを実現します。細胞ロスを最小限に抑え、サンプル調製を簡略
化できます。
▶ 細胞のロスなしアプリケーションの実現へ
Attune ® の操作
従来の操作
全血
抗体反応
バッファーで
5∼100µLを分注
[ 10 分]
希釈
全血
抗体反応
[ 10 分]
抗体反応
[ 10 分]
50∼100µLを分注
約 15 分 !
測定
洗浄
[遠心 5 分]
洗浄
[遠心 5 分]
洗浄
[遠心 5 分]
測定
約 60 分 !
サンプ ル流 速が高 いという特 長は、最 初から密 度 の 低 いサンプ ルや
いサンプルでも、洗浄処理や赤血球の溶血処理を行わずに希釈のみ
少 量しか得られな い サンプ ルに対して特に有 効です。例えば脳 脊 髄
で測定できます。高速でデータを取得できるので、わずか 4 分間で最大
液( C S F )や 幹 細 胞 など密 度 の 低 い サンプ ルや 、細 胞 数 の 少 な い サ
4mL のサンプルを解析できます。しかもサンプル調製によるロスがな
ンプ ル のような 希 釈 試 料 はデ ータ取 得 時 間 が 長くなります 。しかし
いため、遠心や溶液交換操作にともなう貴重な試料の損失もなく効率
Attune ® NxT Cytometerを使えば、このような密度の低いサンプル
的に解析できます。
でも迅速に、
しかも質を損なうことなくデータを取得できます。マウス
下記に、細胞のロスなしアプリケーションの一例として、マウスの全血
の血液や骨髄、細針吸引液など採集困難なサンプルや細胞数の少な
( 5µL )からの溶血不要・洗浄不要のプロトコルをご紹介します。
実例
溶血不要・洗浄不要プロトコル
必要なもの
※ Violet laser が必須となります。
全血 + 抗体
マウス全血 : 5µL
希釈
測定
蛍光標識 : CD45 抗体あるいは Dye Cycle Violet, Hoechst33342
任意の蛍光標識抗体 :
各種色素に対応可能 : Alexa Fluor ® 405, Alexa Fluor ® 488, Horizon V500,
FITC, Pacific Orange™, Pacific Blue™, PE, PerCP, PE-Alexa Fluor ® 610,
PE-Alexa Fluor ® 700, PE-Alexa Fluor ® 750, PE-Alexa Fluor ® Cy5.5,
PE-Alexa Fluor ® Cy7
図 1. 全血細胞から、溶血・洗浄せずに、各種血球集団を解析
サンプル調製を省略し、全血( 5µL )サンプルを抗体で染色
後、インキュベーションしました。4mL のバッファーで希釈し、
Attune ® NxT サイトメーターで解析。赤血球は 405nm の
光を容易に吸収するため、パネル下部の異なる側方散乱光
ゲーティングが使用でき、405nm vs. 488nm 側方散乱光
デュアルパラメータプロットを白血球集団と赤血球集団の
識別に使用しました。このゲーティング集団から作成した前
方散乱光と側方散乱光との娘プロットを、蛍光標識を使用せ
ずに白血球集団、単球集団、および顆粒球集団の同定に用
いることが可能です。
まずは See it! → www.lifetechnologies.com/attune
Invitrogen™
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18
Technical Review マルチプレックス定量 PCR で実験系をシンプルに !
NEW!
新しい TaqMan ® QSY ® Probe で、加工食品に含まれる 4 種類の肉を一度に判定
有賀博文( R&D 部門 スタッフサイエンティスト)
加工食品に含まれる肉の種類を調べることは、食物アレルギーや宗教上の忌避食物、そして食肉偽装の判定に必要な作業です。近年、
正確な肉種の判定法として、複数の定量 PCR の活用法が報告されています。本稿では 4 つの肉種を異なる 4 色の TaqMan ® QSY ®
ProbeとTaqMan ® Multiplex Master Mixを利用し、定量 PCR で一度に検出する方法を紹介します。シンプルな作業で、加工食
品中の肉種を高精度に検出・判定でき、しかも短時間で結果が得られます。
方法
田邉ら( 2007 )の論文 *1を参考に4 つの肉種( Mutton, Pork, Chicken,
れた TaqMan ® Multiplex Master Mix を用いて 4-plex の qPCR を
B e e f )の そ れぞ れ対 応する Ta q M a n Q SY P ro b e を作 成し( 図 1 )、
4-plex のマルチプレックス定量 PCR( multiplex qPCR )に用いる濃
度のコンビネーションを検討しました(表 1 )。次に、この手法に最適化さ
行いました *2(図 2 )。食品からの gDNA 抽出は DNA Extract All Lysis
®
図 1 TaqMan® QSY probe
®
Reagentsを用いてホモジナイズ後のサンプルから調製しました。
Mutton
Pork
Chicken
Beef
F-primer
300nM
300nM
600nM
300nM
R-primer
300nM
300nM
600nM
300nM
probe
50nM
50nM
20nM
50nM
表 1 アッセイの使用濃度
図 2 4-plex qPCR の手順
結果
今 回 の 4 - p lex の 実 験 系において、そ れぞ れのターゲット用アッセイは
ター ゲット以 外 の サンプ ル g D N A が 1 n g ず つ 含まれる反 応 で 1 0 0 f g /
reaction を検出できました( data not shown )。これは 0.01% のター
ゲット肉種の混入であれば検出が可能である事を示しています。実際の
加工食品を用いた検出実験では、各加工食品で期待される食肉種が使用
されている(いない)ことが示されました(図 3 )。また、Fast PCR モード
を利用することにより、gDNA の簡易抽出作業開始から1 時間以内に定量
PCR の結果を得ることができ、この方法は検査現場においても迅速で簡
易な検査法になりえることを示しました。
*1 Tanabe et al., A Real-Time Quantitative PCR Detection Method for Pork, Chicken,
Beef, Mutton, Horseflesh in Foods. Biosci. Biotechnol. Biochem., 2007, 71( 12 ), 31313135
*2 TaqMan ® Multiplex Master Mixは、passive referenceとしてROX の代わりにMustang Purple
を含むため、5 色以上の蛍光フィルタを装備するリアルタイムPCRシステム7500, 7500Fast, ViiA™ 7,
QuantStudio ® 6/7/12K の使用が適しています。 図 3 加工食品からの肉種判定
a.ビーフコロッケ、b. ポテトコロッケ、c. ハンバーグ(牛豚合い挽き)の増幅曲線を示します。
ビーフコロッケでは beef アッセイのみがポジティブとなり、ポテトコロッケでは全ての食肉用
アッセイがネガティブでした。ハンバーグではbeefとporkがポジティブとなりました。ハンバー
グで示されたchicken のポジティブは、極微量の chicken の混入もしくはブイヨン、鶏卵など
の使用が原因と考えられます。合い挽きの比率もおおまかに推測できます。
TaqMan ® Multiplex Real-Time( qPCR )ソリューションとは?
遺伝子発現解析では最大 4 ターゲット、ジェノタイピング解析では 2 ター
タマーサービス、
リアルタイム PCR 装置およびソフトウェアと連携し、卓越
ゲット( 2SNP )を同時に検出するソリューションです。蛍光スペクトルの
したソリューションを提供します。コントロールキット、マルチプレックスマ
オーバーラップを最小限にする至適化された 4 種類の蛍光色素と新しい
スターミックス、各種キャリブレーションプレートも提供しています。製品
QSY ®クエンチャーをもつ TaqMan ® プローブ、専用マスターミックス、お
詳細、参考文献はウェブをご参照ください。
よびスペクトルキャリブレーションプレートから構成されます。信頼のカス
⇒ www.lifetechnologies.com/multiplexqpcr
製品名
サイズ
製品番号
TaqMan ® QSY ® Probe
6,000 pmol
4482777
¥54,600
TaqMan ® QSY ® Probe
20,000 pmol
4482778
¥102,900
TaqMan ® QSY ® Probe
50,000 pmol
4482779
¥143,200
※ QSY ®プローブのご注文はこちらから: www.lifetechnologies.com/taqman-order
価格
page
Life Technologies™
19
い つ 行 く ? どうす る ? 海 外 留 学
Title
Name
自分のタイミングで留学しよう!
やりたいことをベースに
研究テーマを切り拓く
井垣 達吏 氏(京都大学大学院
Number
10
生命科学研究科 教授)
アポトーシスを研究テーマに修士課程を修了後、4 年間製薬企
メールを出しました。彼が開発した『 モザイク解析法 』という、異
業で研究を続け、再度アカデミックに戻った井垣氏。研究者と
なる細胞間のコミュニケーションを解析するパワフルな技術を
して自立することを目標に研究に打ち込み、博士課程、そして
習得したいと思ったのです」。しかしTian 氏の返事は思いがけな
留学へ旅立ちます。アポトーシスのシグナルが細胞内でどのよ
いものでした。
「彼は国際電話で新たに開発した実験系を熱く語
うに伝えられていくかだけでなく、細胞同士の柔軟なコミュニ
りました。それはがん細胞の転移と浸潤のモデルの構築であり、
ケーションシステムに多細胞生物の生き残り戦略の面白さを感
それにはがん遺伝子 rasと、細胞極性に関わるscribble 遺伝子
じ、独自の視点から研究テーマを発展させたと語たります。
企業研究員から再び学生へ
「製薬企業でも、大学時代と同じく細胞死関係の研究に取り組み、
充実した生活を送ってきました。ただ残業時間の制限や研究成
果の取り扱いなど、企業としての制約を少しずつ窮屈に感じてき
の機能不全という2 つの条件が必要だということです。しかも彼
は僕の Eiger の論文を読んでおり、この細胞のシグナル解析を
提案してきました。自分が必要とされていると感じ、喜んで引き
受けました」と留学を決めた理由を話します。
自身の研究テーマを切り拓く
ました。そこで思う存分に研究をやってみたくなり、アカデミック
最 初 の 10 か月はなかなか成 果が出ませ んでしたが、実 験に明
に戻ることにしたんです」と井垣氏。安定した企業研究員を退職
け暮れる日々の中から少しずつ結果が出てきます。論文をまと
し、医学部の博士課程に入学します。
めつつ、井垣氏は、ふと面白い現象を見つけます。
「 scribble 遺
ショウジョウバエを研究ツールに
するのに、正常な細胞に囲まれると消滅することに気づいたん
「それまで哺乳類の培養細胞を使っていましたが、博士課程で
伝子だけを潰した細胞は、それだけだとものすごい勢いで増殖
です。明らかに細胞間のコミュニケーションで、何かが起きてい
はハエを使い細胞死の研究を遺伝学的に行うことになりました。
ると確信しました。そしてこの現象に細胞内の Eiger を起点に
研究室でも始めたばかりだったので、基本的な実験も試行錯誤
JNK 経路が関わることを突き止めたのです。ボスからもオリジ
の連続でした」と振り返ります。しかし生体レベルで研究する面
ナルの研究と認められ、
『 細胞間の協調と競合 』をテーマに日本
白さに夢中になり、1 年目には Bcl-2 のホモログ遺伝子を、3 年
でラボを立ち上げ、独立しました」と語ります。
目には無脊椎動物で初めて TNF ファミリーの遺伝子を発見し、
Eigerと名付けます。さらにEigerによる細胞死はカスパーゼに
依存せず、JNK を介する新たなシグナル経路を取ることを明ら
自分のタイミングで留学を
「留学する時、Tian 以外の 2 つの研究室のボスからも前向きな
かにしました。細胞死リガンドによる細胞死の機構が進化的に保
感触を得ていました。30 才を過ぎての留学は少し遅めでしたが、
存されていることを初めて示したのです。
論文を出していたことがプラスに働いたようです。自分自身も留
学生を受け入れる立場になり、最初のフィルターは論文になる
さらに研究を極めたい !
ので、わかる気がします。留学先では 14 、5 人のポスドクと議論し
「ハエの研究をさらに発展させたくて、Yale 大学の Tian Xu 氏に
ながら切磋琢磨する中で、自分自身とも深く向き合い、研究の意
義や目標を明確化できました。ボスは中国人としてラボを立ち
上げた野心家であり、研究室にはアメリカ以外にもヨーロッパや
アジアの留学生もいて、異なる文化の中で刺激的な日々を過し
ました。もちろん海外での生活自体も楽しみました」と留学の良
さを語ります。
デパートメントのソフトボールチーム
フェアウェルパーティー 。大 学 のトレー ナー
(紺)を着用。彼から右 2 人目が Tian 氏。
2003 年大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了、医学博士。2003 年∼ 2007 年 Yale
大学にてポストドクトーナルフェロー、2007 年より神戸大学大学院医学研究科テニュアト
ラック独立特命助教、同准教授(テニュア)等を経て、2013 年より現職。
INFORMATION
2015 / January / No.28
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した方は、ぜひオンライン版でご覧ください。そして今号も新製品やテクニカルレビュー満載です。ゲノム編集のページのイラストも細
やかに描き込まれています。実験の合間にお楽しみください。人気の留学記は京都大学の井垣氏。好きな研究を軸に、様々な環境を楽
しむ姿勢が印象的でした。ぜひ皆様のご感想をお聞かせください ! 抽選で 10 名様にQuoカード( 2000 円分)をプレゼントします。
アンケートはこちらから → www.surveymonkey.com/s/NEXT28
photographs: keiichiro muraguchi(p.02-03)
販売店
illustration: ryuji nouguchi(p.10-11)
art direction & design: masami furuta(opportune design)
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● 記載価格は 2015 年 1 月現在の価格です。● 消費税は含まれていません。● 価格は予告なしに変更する場合がありますので
あらかじめご了承ください。● 最新の価格および在庫数は、弊社ホームページ右上の
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でご確認いた
だけます。● 研究用にのみ使用できます。● 診断目的およびその手続き上での使用は出来ません。● 記載の社名および製品
名は、弊社または各社の商標または登録商標です。● 販売条件はこちらをご覧ください。www.lifetechnologies.com/TC
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures. © 2015 Thermo Fisher Scientific Inc. All rights
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TaqMan is registered trademark of Roche Molecular System, Inc. Printed in Japan. LFT076-A1412HS
サーモフィッシャーサイエンティフィック
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