愛知万博開催と株式市場へのインパクト

愛知万博開催と株式市場へのインパクト
伊澤 俊泰
名古屋学院大学経済学部
要旨
先日閉幕した愛知万博(愛・地球博)は予想を上回る入場者数を数え,成功
裡に閉幕したと伝えられているが,本稿ではこの万博の開催前の経過について
注目する。
国際博覧会のようなメガイベントは会場建設や観光振興,新技術の紹介など
数々のビジネス・チャンスをもたらすと考えられ,愛知県でも同様な経済効果
が期待された。しかし,1997 年 6 月に万博開催が決定してから会場建設に至
るまでには多くの紆余曲折があった。環境問題や財政問題により幾度となく会
場計画の変更がなされ,事業の成功について多くの疑問が投げかけられたこと
も事実である。本稿では,博覧会準備期間における会場計画変更のニュース報
道が与えた影響を,関連企業群の株価変動に注目する「イベント・スタディ」
手法により分析した。実証分析の結果,万博開催決定時には地元建設企業を中
心に,計画の拡大・縮小のニュースに対する株価反応が観察された。また,縮
小規模での計画が定まったところでの堺屋顧問による会場拡大提案は,予想外
のニュースとして大きなインパクトを持っていた。
119
News Announcements on EXPO2005 Aichi and Japanese stock market
reactions
Toshiyasu IZAWA
Faculty of Economics, Nagoya Gakuin University
Abstract
In June 1997, BIE announced that Aichi would host the EXPO2005.
Generally, mega-events like EXPO would be accompanied by many business
opportunities, such as cite-constructions, sightseeing and advertising new
technologies of firms. Therefore it could be argued that Aichi anticipates
economic benefits to accrue from hosting EXPO2005 and providing related
social infrastructures.
But, these cite planning had been in many twists and turns owing to
considerations of environmental problems and financial difficulties.
Consequently, people's expectations for the success of EXPO2005 had been
affected through a series of news on the expansion or cut-back of the cite
planning.
In this paper, we examine these impacts reflecting on the stock market by
employing a 'event study' method which analyses relationships between
news announcements and fluctuations of related firms' stock value. As
results of econometric estimations, we can observe that keen reactions in
many industries' portfolios on the stock market to the news on the cite
planning of EXPO2005. Especially, stock values of the construction business
and the traffic business sector show significant positive impacts to the news
that announced the expansion of cite planning and significant negative
impacts to the ones that announced the cut-back of it.
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愛知万博(愛・地球博)開催と
株式市場へのインパクト1
名古屋学院大学経済学部
伊澤
俊泰2
1.はじめに
先ごろ閉幕した「2005 年日本国際博覧会」(略称「愛知万博」,愛称は 2002
年1月より「愛・地球博」)は,会期 185 日間に約 2205 万人の入場者を集め,
当初の目標入場者数 1500 万人を大幅に上回る結果となった。入場料収入の予
想外の増加により,100 億円程度の剰余金が見込まれ,興行としての愛知万博
は大きな成功を収めたと報じられている。
また近年,名古屋を中心とする中部経済の活況振りが全国の注目を集めてい
る。この地域の経済の活況を支えているものとしては,自動車や工作機械を中
心とした製造業の生産・輸出の好調ぶりが挙げられる一方,中部国際空港と愛
知万博という二大事業の貢献をあげる声が大きい。特に愛知万博は,その開催
に間に合わせるかたちで,中部国際空港や東海環状自動車道といった交通イン
フラ整備が急がれた経緯もあり,この地域の経済活性化に大きな役割を果たし
てきたと思われる。
愛知万博(愛・地球博)は 21 世紀最初のいわゆる「一般博」3に相当する。
この種の博覧会は,わが国においては 1970 年の「日本万国博覧会(大阪万博)」
以来となる。表1に挙げた第二次大戦後の主要な国際博覧会の概要比較を見る
とわかるように,オイル・ショック以前の高度経済成長期に企画された一般博
には規模の大きさで譲るとしても,愛知万博は現計画においてもこの 30 年間
で会場面積ではセビリャ万博(スペイン)に次ぐ2番目,参加国数ではハノー
ファー万博(ドイツ)に次ぐ2番目であり,かなりの規模のものとなっている。
しかし,博覧会終了後のいま,この巨大事業,愛知万博の構想から開催計画
決定までをたどると,かつて例の無いほどの紆余曲折を経てきたことが思い出
される(表2.参照)。本稿が注目するのは,愛知万博が構想され,計画が定ま
るまでの 1990 年代後半の出来事である。計画期間中の紆余曲折の際には,博
1 本稿の作成に当たっては,名古屋学院大学 EXPO2005 研究プロジェクトの参加メンバー,
ならびに名古屋学院大学経済研究会のメンバーから有益なコメントをいただいた。またこの研
究は財団法人市原奨学財団の研究助成(2005 年度)を受けた。ここに感謝の意を記したい。
2 連絡先:〒480-1298 愛知県瀬戸市上品野町 1350 名古屋学院大学経済学部.
Email: [email protected] , TEL: 0561-42-0350(代表), FAX:0561-42-1144(総合研究所)
3 「愛知万博」は BIE の正式なカテゴリー分類では「国際特別博」となっている.これは博覧
会条約の改訂により以前の「一般博」分類が消えたためであるが,
「愛知万博」のテーマ領域の
広さ・規模から考えて,ほぼ従前の「一般博」に相当すると考えられる.
121
覧会開催を危ぶむほどの時期もあったのである。そのような状況が地域経済に
どのような影響を思ったかを考えるのが本稿の課題である。
1988 年 10 月,愛知県より国際博覧会開催の構想が正式に打ち出された。当
初の地元基本構想がまとまった際は,事業区域面積 250ha,想定入場者数 4000
万人,会場建設費 2500 億円以上のビッグ・プロジェクトであった。それが環
境問題などの制約を受けて見直しが繰り返され,最終的に会場面積 173ha,想
定入場者数 1500 万人,会場建設費 1350 億円に落ち着くこととなった。そして
このような計画変更はそれにかかわる当事者ばかりでなく周囲の企業・市民の
期待をも大きく左右することとなった。経済効果に関する試算もまたいくたび
も修正を余儀なくされてきた。
愛知万博が前述のように開催計画の変更を余儀なくされた背景として,この
時期の経済社会状況を考えることは重要である。愛知万博は基本構想の出発か
ら開催決定,着工に至るまで,バブル崩壊後のいわゆる「十年不況」の真只中
で策定され,将来不安の下で消費や投資の落ち込んだ時期の計画である。景気
対策のための国債累増や税収の落ち込みの中で,国や地方自治体が関与する大
規模事業が将来へツケを回すことになるのではという不安感がつきまとった時
期である。大規模公共イベントが無条件に歓迎される時代ではなくなってきて
いた。たとえば,1996 年に東京臨海部で開催が予定されていた「世界都市博覧
会」が東京都の財政悪化とともに成功を疑問視され,前年の都知事選で都市博
中止を公約した候補者が当選し,結果としてこの事業は中止されることになっ
た。また,1996 年発足の橋本内閣の下で進められた財政構造改革路線のなかで,
国が主催する国際博覧会といえども財政支出の大盤振る舞いが期待できない経
済状況にもあった。
加えてこの時期は,人々の環境意識が高まり,従来の開発一辺倒の開催計画
に疑問が持たれており,人々の価値観がより多様化した時期でもある。特に愛
知万博については,当初のメイン会場予定地であった瀬戸・海上の森の貴重な
動植物の保全を求める市民らの開催反対活動が活発であり,政治的にも開催の
是非が問われたほどであった。
以上のように国際博覧会開催は愛知県にとって待望の国際的イベントである
一方,かなりの逆風下での計画策定であったのである。このような紆余曲折の
中で人々は,愛知万博開催の経済効果をどのようにとらえていたのであろうか?
このような国際博覧会の経済効果を事前に分析するにあたって,しばしば用
いられるものは産業連関表を用いた投入・産出分析やマクロ・モデルを用いた
計量経済学的推計である。たとえば,共立総合研究所(1997)や本学の「名古
屋学院大学 EXPO2005 プロジェクト」においても,小井川(1999)によって
平成2年度産業連関表に基づき,総産出増加の推計がなされている。また平成
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7年度産業連関表の発表(2000 年)後に,試算をやり直した,日本政策投資銀
行東海支店企画調査課(2000),UFJ 総合研究所(2002)なども存在する。こ
れらの調査で言及されているところによれば,博覧会開催は産業別には,建設
業,サービス業,商業等において相対的に大きな需要拡大効果や雇用者所得増
が期待されている。
このほかにも博覧会事業に関する将来期待については,広範なアンケート調
査によるサーベイ手法が用いられてきた。名古屋学院大学 EXPO2005 プロジ
ェクト(2000)で行った地元産業界へのアンケート調査では,愛知万博(愛・
地球博)の開催をビジネス・チャンスとして好意的に受け止める声が非常に少
なく,開催が利益をもたらすという期待は非常に小さかった。
以上のように,経済効果については大きな需要創出が期待される一方で,地
元中小産業界における冷めた雰囲気が伝えられている。さらに愛知万博自体の
全国における認知は,開催決定以降,現在に至るまで低いことが各メディアを
通じて報道されており,これもまた経済効果予測に水を差す結果となっている。
そもそも「愛・地球博」という愛称設定が「愛知万博」ではローカルすぎると
いう声から生まれた産物である。
博覧会の開催は地域経済の動きに大きな影響を与えたのであろうか? 本稿で
は,博覧会に対する将来期待と関係する企業群の資産価値への影響を分析する
ために,広範な市場参加者がいる株式市場の株価反応を見ることで探ってみた
いと考える。
国際博覧会のような大規模な公共イベントの開催は,準備期間から開催に至
るまで長い期間が必要とされ,会場予定地の土地造成,アクセス手段(道路・
鉄道など)の整備,パビリオンなど建造物の建築など大規模な工事が必要とさ
れる。このような工事計画は当然ながら民間の企業が主催団体・国・地方自治
体などから受注し,これら企業の収益にプラスの効果を与えると推測される。
また,かつてより国際博覧会が企業の持つ技術・製品の見本市的性格を持って
きたように,出展・参加企業においても,将来の販路拡大につながり,これら
企業の収益期待へプラスとなることが想像される。
株式市場は,様々な投資家・機関が企業収益に関する情報を幅広く集め,参
加している市場である。その株式市場に伝えられる様々なニュースは,それが
予想の範囲を超えたものであれば,企業収益にプラスの情報であれば株価を押
し上げ,マイナスの情報であれば株価を押し下げることで反応する。つまり,
ニュースに対する株価の反応を見ることで人々の将来期待が読みとれるのであ
る。こうした企業収益に関するニュースの発生と株価の反応を検証する手法は
「イベント・スタディ」と呼ばれ,企業金融(corporate finance)の分野では
123
たびたび用いられている実証分析手法4である。この手法では,株価に影響を及
ぼすニュースが報じられる前後のイベント期間中の株価収益率と,イベントの
影響のない期間での株価収益率を比較し,その乖離(超過収益率)が有意な差
であるかを分析することでイベントの影響を計測するものである。この分野の
過去の研究では,特定企業の合併・人員整理や特定業界に密接な規制改革の実
施に関するニュースと当該企業・産業の株価の上昇・下降の因果関係を分析す
るものが主であるが,より広範な適用例も存在する。
たとえば,福田・計(2002)や福田(2002)は,日本政府の財政政策発動の
ニュースが株価(日経平均)に与えるインパクトの変化を見ることで,1990
年代の財政支出拡大のスパイラル現象が生じた様子を論じている。また,本研
究と関連の深いところでは,シドニー・オリンピック開催のニュースと株価の
イベント・スタディを行った,Berman, Brooks and Davidson (2000)がある。
彼らは五輪開催のニュースのインパクトを株式市場全体・産業別・州別に分析
し,特定産業や開催ホスト州に有意なプラスの影響があったことを見出してい
る。
本稿では,これら過去の先行研究を踏まえ,愛知万博開催にまつわる様々な
ニュースを開催計画の変遷の中でいくつかに分類し,それらが株式市場全体,
特定企業の株価に与えた影響を計量的手法で考察する。先に述べたように,か
つての右肩上がりの経済期と異なり,愛知万博の開催準備がなされたこの 10
年は,長引く不況により企業の投資意欲が衰え,一部の成長分野を除き,将来
需要の拡大に悲観的な見方が横溢した時期であった。加えて日本政府の国債発
行累増による財政不安がつきまとい,大規模公共イベントの後押しを国が十分
に出来ない時期であった。このような時期において「愛知万博」の開催は,こ
の事業を受注する企業にとっては,またとない収益チャンスを提供するものと
いえる。また,将来の観光客増加を見込んだ投資事業のチャンスも生まれるか
も知れない。しかし一方で,国・自治体からの大きな援助が期待できない中で
は,多額の建設費用を,かなりの部分民間が負担せざるを得なくなる。そのよ
うな負担を多く背負う企業にとっては,万博の開催は将来収益を減少させる働
きも持つ。そして愛知万博のように開催規模が拡大・縮小を行ったり来たりと
繰り返した場合には,これら企業収益への影響もイベントごとに大きく変化す
ることとなる。ここでは,新聞記事を時系列にしたがって丹念に追うことで,
株式市場に影響を与えると思われる愛知万博開催関連のイベントを抽出し,
日々の株価データへの反応を計量的手法によって確かめる。対象となる株価デ
ータは,愛知万博の事業と関連が深いと思われる個別企業群の株価データであ
イベント・スタディに関しては,たとえば,Campbell, Lo and Mackinlay (1997)が代表的な
文献であり有用である.
4
124
る。
本稿の構成は以下の通りである。このイントロダクションに続き,第2節で
は実証分析方法の設計とイベントの選択について述べる。そして第3節では,
株価へのインパクトを見た計量分析の結果を記述する。なお,この節では主要
なイベントごとにさらにサブセクションに分けて論ずる。第4節では実証分析
から得られた結論をまとめて本稿を閉じる。
2.実証分析の設計
(1)ニュース・イベントの設定
株価へのインパクトを計測する上では,愛知万博に関する主要な出来事(イ
ベント)を整理分類し,抽出することが必要である。まず,これまでの会場計
画の変遷の概要をたどってみよう。
前掲の表2には,愛知万博(愛・地球博)の開催計画にかかわる主な出来事
を時系列で列挙してある。それを眺めると,1995 年 12 月の万博構想閣議決定
時(海上の森会場 540ha,入場者数 2500 万人,建設費約 1000 億円)から現
在に至るまで,いくつもの計画変更に至る節目が存在している。第1番目は,
1997 年6月の BIE(博覧会国際事務局)総会における愛知万博開催決定であ
り,この時点で建設費は 1000 億~1500 億と増加している。第2番目の大きな
出来事は,かねてから貴重な動植物の存在が環境保護団体から指摘されていた
海上の森会場予定地でオオタカの営巣が確認され,会場計画の縮小・変更がな
されたときである(愛知青少年公園を代替地として追加)。分散会場が確定し,
会場間アクセス面での追加投資などが必要となり,建設費が 1800 億円に増加
する引き金となる。
さらに第3の衝撃的な出来事としては,2000 年1月に BIE 幹部が通産省(当
時)担当部局に対し,新住事業批判を行った議事録内容が明らかとなり,跡地
利用計画が頓挫したことである。
「悪い開発事業」と指摘を受けた新住事業は結
局白紙に戻され,海上の森会場の大幅縮小を余儀なくされる。
その後博覧会協会は,市民団体・環境保護団体の代表と有識者からなる「愛
知万博検討会議」を発足させ,市民参加による会場計画策定という画期的事態
となる。この検討会議は短期間に計画見直しを行い,
「海上の森」利用を大幅に
縮小することで合意し,これに基づき,博覧会協会は 2000 年8月に全体計画
を策定し,BIE に登録申請を行う。この時点で会場面積はほぼ 180ha,入場者
数 1500 万人,建設費は 1350 億円に定まった。これが第4の計画にかかわる大
きな出来事である。
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登録申請を行ったことで会場計画が決定したと思われたが,中部地区財界な
どの三顧の礼により,最高顧問に堺屋太一氏を迎えたあたりから状況が一変す
る。堺屋氏は就任早々(2001 年3月),当時の会場計画を批判し,会場・入場
者数の拡大(2000 万人へ),ヘクタール・ビジョン,巨大パビリオン建設,会
場への鉄道乗り入れなどの構想を次々に打ち出していく。これら構想は,一時
は財界などの支持を受け,県・協会も拡大を検討するものの,検討会議メンバ
ーの反対,県の財政難や再度の環境アセスメント実施といった制約により,や
がて県・協会も消極的となり,結局,6月末の堺屋氏最高顧問辞任後,拡大案
そのものは白紙に戻り,既存施設を活用した基本計画に戻ることとなる。これ
が第5の出来事である。
本稿でイベント・スタディの対象となる出来事はこの5つに大別することに
する。しかし,これら大イベントはそれぞれ時系列に従って前後に様々な経緯
が小イベントとして存在する。そこで,イベント前後の出来事をさらに細かく
抽出するために,朝日新聞社が提供する記事検索オンライン・データベース「聞
蔵」を利用し,
「愛知万博」または「愛・地球博」をキーワードに 1988 年以降
の記事をすべて検索した。検索にあたっては,これらの語を見出し・本文に含
む朝日新聞朝夕刊記事(東京および名古屋発行)をすべて抽出して一覧を作り,
上記5つの出来事を中心に関連の深い記事を選び,各イベントの発生日を確定
した。イベント・スタディにおいては,株価変動がそのイベントに基づくもの
であるかどうかをなるべく高い確度で決める必要があり,新聞記事を丹念にた
どる必要がある。
以上の手順に基づいて,①愛知万博開催決定,②オオタカ営巣発見,③BIE
批判発覚,④万博検討会議による計画見直し,⑤堺屋最高顧問による会場拡大
提案,の5つについて前後の主要なイベントをまとめたのが,表3~7である。
後の回帰分析において用いるダミー変数はこのイベント表に基づいて選択され
る。
(2)回帰分析の推計式とデータ
本稿の実証分析の目的は,株価の日次データを用いて,愛知万博開催計画に
影響を与える報道や計画案そのもののニュースに対する株価の反応を計測し,
株式市場参加者の期待の変化を読みとることである。愛知万博のように度重な
る計画変更があり,計画規模が上下する場合には,ニュースの内容如何では株
価へのインパクトは上方にも下方にも振れることとなる。あるいは繰り返され
る計画変更に対し,市場参加者が計画の実現性に疑問を持ち,反応がほとんど
見られなくなることもあるかも知れない。また,愛知万博の広報面でよく指摘
されるように,東海三県を除く他の地域では愛知万博の知名度が薄く,国家規
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模の事業として十分に認知されていないがために,投資家たちがほとんど関心
を持っていないことも考えられる。いずれにせよ,そのような市場の声がどの
ようなものであるかを計測することで,経済効果への期待度を知ることが出来
るのではないかと筆者は考える。
このような目的に基づき,本稿ではイベント・スタディの通常の手法に則り,
以下のような市場モデルに基づく式をベースに考える。
rit = α i + β i rmt + eit i = 1,....., I t = 1,....., T
(1)
(1)式において, rmt は t 期におけるマーケット全体の株式収益率であり,
rit は t 期における第 i 企業の株式収益率, α i は定数項, eit は誤差項を表す。 rmt
の係数βは計測期間を通じて一定であると仮定する。
株式市場で CAPM が成立していれば,ニュース・イベントが発生したとき
の株価変動の残渣は非正常利潤(abnormal return)に関連付けられる。ここで,
愛知万博開催に関連するニュースが伝えられた時点で 1 の値をとり,その他の
時点で 0 の値をとるダミー変数を加えると上式は以下のように加工される。
rit = α i + β i rmt + ∑ d ij D jt + eit i = 1,....., I t = 1,....., T
j
(2)
(2)式において, D jt はニュースが報道された日,時点 t = j においてのみ値
1をとるダミー変数である(その他の時点では値は0)。ニュース・イベントの
数だけ存在するダミー変数の係数は,これが統計的に有意であるならば,均衡
において通常の株式収益率から乖離する超過利潤が発生していることを意味す
る。以下では,まず予備的に(2)式に基づく最小二乗法(OLS)の推定を行
い,愛知万博の会場計画に関するさまざまなニュースに対し,ダミー変数が統
計的に有意であるかどうかを見る。なお,αとβの計測については,ニュース
報道日から 121 日前~240 日前の最小自乗推定量を用い,イベントの影響のな
いときの値を用いた。
さらに,ニュースが報道された前後で企業の株式収益率に超過収益率(AR)が
127
どのように動いているかを見る。この超過収益率と平均超過収益率は以下の式
で与えられる。
^
^
ARit = rit − α − β rmt
ARt =
1
N
(3)
N
∑ AR
t =1
(4)
it
ここで,ハット付のα,βは,イベントの影響がないときのマーケットの収
益率に基づき推定された最小自乗推定量である。このとき,イベント期間中の
各日について,帰無仮説「 ARt = 0 」を統計的に検証する。この帰無仮説の下で
は,検定統計量は以下の式で与えられる。
t=
ARt
(5)
σ ( AR t )
σ ( ARt ) =
1
N
N
−121
∑ ∑ (r
t =1 t = −240
it
^
^
− α i − β i rmt ) 2 / 119
(6)
次に推定に用いるデータについて説明しよう。まず株価については,デイリ
ーのデータを用い,各日の終値データを採用する。なお株価データをとる企業
は2種類に分けて採集した。まず 第1の株価データ・グループは万博関連事
業によって直接需要が生じる建設関連業界の企業から選んだ。サンプルの選択
にあたっては,愛知県での事業受注可能性が高い企業として,中経連(社団法
人 中部経済連合会)に常任理事以上の役員を出している建設業企業および,
東証と名証の双方に上場している企業 17 社(大成建設,大林組,清水建設,
鹿島建設,熊谷組,不動建設,大末建設,大東建託,五洋建設,積水ハウス,
トーエネック,三機工業,矢作建設工業,名工建設,徳倉建設,シーキューブ,
日本電話施設)を選び,株価データを入手した。
第2の株価データ・グループは,愛知万博建設費の民間負担分 450 億円のう
ち,名古屋商工会議所と中部経済連合会から割り振られた 135 億円を負担する
主要企業9社(いずれも愛知県に本社を置く企業)を選択した。通常,国際博
覧会のような国家規模のメガイベントについては,国が事業費の半額程度を負
担することが多いが,愛知万博に関しては,国の財政が厳しいなか,国の建設
128
費負担は三分の一に抑えられ,地元財界主要企業の建設費負担が重くなってい
る。この主要企業とは,トヨタ自動車,中部電力,東海銀行(当時)で負担額
は各二十億円,それから名古屋鉄道,JR東海(各十二億円負担),デンソー(七
億円負担),日本ガイシ,東邦ガス,豊田自動織機製作所(各三億円負担)であ
り,愛知県財界の主要企業グループといってよい。これら企業は愛知万博関連
事業やパビリオン出展を担う主要企業であり,万博の成功がこれら企業の将来
業績に影響する可能性がある一方で,巨額の負担を受け持つことが将来収益へ
の不安を抱かせる可能性がある。特にこの民間負担については,万博開催決定
時より,会場計画の変更の度に中部財界から負担金の縮減を訴える声がたびた
び起こり,企業自身が敏感に反応していることが窺える。極端な会場縮小によ
り,万博の成功がおぼつかなくなることを恐れる一方で,巨額の負担にもまた
二の足を踏んできたのが実状である。このような点を鑑み,株式市場がどのよ
うにこれら企業の株価に反応してきたかを探ることが目的の一つとなる。
以上の企業の株価データは,東洋経済新報社「株価 CD-ROM」および「Pan
Rolling 株 式 相 場 デ ー タ 」 の ダ ウ ン ロ ー ド ・ ペ ー ジ
( http://www.panrolling.com/execs/data/ )より入手した。
推計に当たって用いるイベント・ダミーについては,上述のように,表3~
表7に抜き出した朝日新聞記事を下に複数作成した。株価は報道発表直後に反
応するものと仮定し,朝日新聞記事から報道された時間を割り出して,適切な
日にダミー変数を置くようにした。報道された日が週末や休日の株式取引のな
い日の場合は,直後の株式取引日(週末の出来事なら翌週月曜日)にダミー変
数を設定した。
3.株価へのインパクト:回帰分析結果
(1)愛知万博開催決定時のインパクト
愛知万博開催決定時(1997 年6月 12 日)をはさむ前後 60 日のニュース(表
3参照)に対する株価の反応は,表8にまとめられている。なおこの間の株価
データについては前節で挙げたサンプル企業のうち,JR東海については未上
場であったため除かれている。
まず建設業界企業につての反応を見ると地元の矢作建設工業(筆頭株主は名
古屋鉄道),名工建設(筆頭株主は JR 東海),徳倉建設の株価などが開催決定
日のダミー(D970613)に対し,プラスで有意な反応を示している。つまり,
開催決定が株価を上昇させている。愛知県に本社を持つ建設業界企業について
は,株価の上昇度合いがきわめて大きく,きわめて有意である。投資家たちが
地元建設業界への発注増加を予想した結果といえる。愛知県財界の主要企業グ
129
ループについての反応を見ると名古屋鉄道がプラスで有意な反応を示している。
名鉄の株価反応は,国際博覧会開催はアクセス手段の新規工事などの関連事業
増加が見込まれることと一致する。
イベント日周りの超過収益率の推移を示したのが表 9 である。これによれば,
開催決定のニュースが流れた当日と翌日で超過収益率が大きくなり,有意とな
っている。
(2)オオタカ営巣発見時のインパクト
絶滅が危惧されるオオタカの営巣が会場予定地海上の森で確認されたニュー
スについては表4にまとめてある。実は,海上の森にオオタカが住み着いてい
る可能性についてはこのイベント期間のはるか前から,一部専門家によって指
摘されていた。5 それゆえ,1999 年4月 30 日の日本野鳥の会による営巣確認
ニュースは,ある程度市場参加者の間で織り込み済の情報であった可能性もあ
る。表8にまとめられたこのニュースへの反応をみると,有意な株価変動が見
られる企業はない。しかし,その後愛知県の調査により,正式に営巣が確認さ
れた知事が計画見直しを表明した日(5月 19 日)においても同様である。
しかし,6月1日の会場計画縮小の判断を県首脳が固めたというニュースに
ついては,株価の反応は,有意なサンプルについては1社(大林組)が正で有
意な符号を示している他では徳倉建設と名古屋鉄道の株価が負で有意な変動を
示している。大林組の変動は会場縮小というマイナスの影響から考えると整合
的ではないが,地元建設関連企業については会場縮小と整合的な結果となって
いる。最初のオオタカ発見に対する反応がはっきり出なかったことは,当時反
対運動を受けて,県側が当時の 2500 万人規模という入場者数を維持したまま
周辺の新会場利用を模索していることが噂されており,会場規模の変更に関し
て投資家たちが確報を待った影響が考えられる。この後,県は愛知青少年公園
を代替会場と決め,発表する(6月 28 日)
。
(3)BIE 批判発覚時のインパクト
2000 年1月 20 日の BIE による新住事業批判発覚は,結果として跡地利用の
目玉であった 500 億円規模の事業が撤回される大きなインパクトを持ったニュ
ースであった。この間のニュースの動きは表5のようであった。また回帰分析
結果は表8にまとめられている。しかし,1月 20 日の最初のニュース報道自
体の株価へのインパクトはほとんど観察されない。その後,2月 12 日に正式
朝日新聞 1995 年 06 月 18 日朝刊記事「オオタカの繁殖調査始める 愛知万博予定地で野鳥
の会支部」や,同 1999 年 01 月 29 日朝刊記事「海上の森、オオタカ繁殖か 求愛行動を確認
野鳥の会」などに既に記載が見られる.
5
130
に BIE の計画見直しが報道され,愛知万博の5月登録が困難になったというニ
ュースが流れると,大手建設業企業において負で有意な株価反応が観察されて
いる。このニュースをもって大規模な住宅造成事業の見込みが完全に消えたこ
とになり,建設企業株価の反応はイベント内容とまさしく整合的である。その
後の県の新住事業断念の観測報道(3月9日)については,それぞれ地元建設
業界 1 社のみ株価反応が負で有意であるが,建設業界の中で反応は割れている。
(4)万博検討会議の計画見直し時のインパクト
新住事業断念によって海上の森会場が縮小を余儀なくされ,愛知県と博覧会
協会は入場者数を 2000 万人に下方修正する。しかし,海上の森保護を求める
世論は日増しに強くなり,万博開催への疑問がますます強まっていく。BIE へ
の登録申請の実質的期限(2000 年9月)も迫り,万博開催が危ぶまれた中,市
民団体・環境団体の代表を加えた「愛知万博検討会議」が発足する。市民参加
による会場計画策定というかつて無い事例となったわけであるが,この会議メ
ンバーは様々な制約の中で短期間に,懸案の海上の森の扱いなど会場見直し案
を策定した。この検討会議の結論を受けて海上の森会場を大幅に縮小し,全体
面積 180ha(当初の計画のほぼ3分の1),入場者数 1500 万人の全体計画が定
まり,9月の BIE 登録申請にこぎ着けることとなった。
この間のニュース・イベントをまとめたのが表6であり,回帰分析結果は表
8にまとめられている。海上の森会場の大幅縮小で検討会議が合意したニュー
ス(2000 年7月 25 日)への反応については地元建設業企業1社(矢作建設工
業)の株価が有意に下落していることが観察される。しかし,その他の有意な
反応はプラスのインパクトをもっており,これは会場計画の決着が付いたこと
を好感した反応とも読めるが確たることは言えない。その他のニュースへの反
応を見ると,入場者数削減ニュース(8月 11 日)などでは地元建設企業 1 社
が負で有意な結果であり,整合的だが,その他は顕著な反応が見えない。登録
申請の閣議決定ニュース(9月 19 日)については鉄道企業1社について株価
の上昇が有意に観察される。会場計画が定まったことでアクセス手段整備の方
針が決めやすくなることを好感した反応と思われる。
(5)堺屋最高顧問の会場拡大提案時のインパクト
BIE 登録申請によって,博覧会計画は定まったかに見えたが,相次ぐ縮小(会
場面積・入場者数)に万博の成功を疑問視する声が強くなってくる。民間負担
を賄う中部財界では建設費の削減を求める声が登録申請前後から強くなり,結
局建設費も 1350 億円に圧縮される。銀行・シンクタンクなどでも経済波及効
131
果を大幅に下方修正する報告が出始める。6こうした万博への期待の低下を懸念
してか,中部財界では,博覧会の内容充実を図るため大阪万博を手がけた作家
の堺屋太一氏(前経済企画庁長官)をプロデューサーに迎えようとする動きが
出てくる。7 氏は博覧会協会のシニア・アドバイザーとして以前から愛知万博
について積極的に発言してきており,地元財界の期待が高まったのであるが,
プロデューサー就任は固辞することになる。しかし,結局,翌年2月新設され
た愛知万博最高会議の最高顧問として就任することになる。堺屋顧問は就任直
後から愛知万博の会場計画について積極的に発言を開始し,現計画の批判,会
場拡大案の提示,巨大パビリオン建設などの構想を打ち出していく。一連の発
言は前年の検討会議を経て定まった基本計画を覆しかねない状況を生み,会場
計画は再度迷走を始める。一時は愛知県と協会も拡大案を模索するが,結局様々
な批判と制約のため,これを断念していく。その結果 2001 年6月末に堺屋氏
は最高顧問を辞し,財界に堺屋案の支持の声はあったが最終的に既存施設を活
用した基本構想に落ち着くことになる。この間のニュースの経緯は表7にまと
められている。縮小を繰り返した会場計画が一時拡大に向かうかの観測が流れ
たこの間,株式市場はどのように反応したであろうか? その結果は表 12 に
まとめられている。
堺屋氏が就任後いきなり現計画を批判し,拡大の必要性を最高顧問として訴
えたニュース(3月 20 日)への反応は,地元企業群を中心に,きわめて有意
なインパクトをもっていた。既に登録を済ませ,会場計画は動かないと思われ
たところに当然入ってきたこの報道は,株価に大きな影響を与えたと思われる。
建設業企業や堺屋氏登場を待望してきた地元主要企業グループの株価も強い株
価上昇を示している。8 堺屋氏という全国区の人物が愛知万博を語ったことで
ようやく全国の投資家の判断に愛知万博が入ってきたのではないだろうか。そ
れが,苦心して作り上げた現計画を覆すような内容であったことは非常に皮肉
である。発言の是非はともかく実証結果から見る限り,氏の拡大提案は愛知万
博に関連する企業群の将来収益拡大につながると判断されたようである。建設
事業拡大による受注企業の収益増と同時に,万博を知り尽くしたと語られる人
物の主導により,愛知万博成功の見込みが出てきたことで,民間負担を受け持
つ地元企業グループの採算が合ってくるのではないかという期待が出てきたと
たとえば,日本政策投資銀行東海支店は波及効果が当初計画より 4000 億円減少するとの試
算を発表している(2000 年 10 月 14 日 朝日新聞朝刊)
.
7 「万博総合プロデューサーに堺屋氏を
安部・中経連会長」朝日新聞 2000 年 12 月 05 日 朝
刊記事より.
8 このイベント間の回帰分析においては,3月末をもって東海銀行が三和銀行と合併し,UFJ
銀行に生まれ変わったため,全期間の連続した株価データが取れないので回帰分析の対象から
外している.
6
132
解釈できる。その後の県・協会の拡大案検討などのニュースには一部企業の株
価が正で有意な反応をもったことが観察される。
しかし,神田知事の否定的な発言以降,堺屋氏の辞任に至るまで反応は,負
の符号を持つものの有意ではない。逆に地元建設企業において 1 社が正で有意
な結果である。これは堺屋氏が最高顧問の辞表を提出したあとも氏の計画案は
しばらく生きており,中部財界を中心に支持する声が続いていたことと関係す
る結果かも知れない。6 月末に地元財界が堺屋案の採用を訴えた際には,同じ
企業において正で有意な反応があり,会場拡大案への期待がまだ続いていたこ
とをうかがわせる。しかし,徐々に堺屋提案が白紙化され,愛知環状鉄道の会
場直接乗り入れが撤回されたニュースの報道時(8月3日)以降元の計画にも
どっていくことになる。
4.おわりに
本稿では,たびたび繰り返された愛知万博の会場計画変更にかかわるニュー
ス報道を整理し,それらを変更の節目となった5つの主要なイベント群「愛知
万博開催決定」,
「オオタカ営巣発見」
,
「BIE 批判発覚」,
「万博検討会議による
計画見直し」,「堺屋氏の会場拡大提案」に分類し,これらイベントが日次の株
価データ与えるインパクトを実証的に分析した。この分析によって株式市場参
加者がどのようなイベントに強く反応するか,将来の企業収益の変化に対する
期待の程度が読みとれることになる。主要なイベントとして選んだ5つの事象
についての実証結果をまとめると以下の通りである。
①愛知万博関連のニュース・イベントは計画の発展・拡大または定着をうか
がわせるもの(開催決定・堺屋氏会場拡大提案・BIE 登録申請など)について
は地元企業・建設業企業の株価を押し上げる傾向を多く観察できた。一方で計
画の縮小を懸念させるもの(オオタカ営巣・BIE 批判・会場拡大案撤回など)
については株価を押し下げる傾向が比較的多く観察でき,理論的におおむね整
合的な結果であった。
②建設業界企業に関しては,最大手企業を中心に愛知万博関連ニュースへの
反応が活発であった。特に地元建設企業について顕著な反応が見られ,博覧会
の建設事業が地元業界を潤すものと受け止める投資家が多かったことをうかが
わせる。博覧会開催は土地造成,パビリオン建設などいわゆるハコモノ主体の
事業であると考える傾向が依然強いと考えられる。
③株式市場全体への影響については,ほとんど有意な影響は観察されなかっ
た。しかし唯一全国的に有名な堺屋太一氏の会場拡大提案がなされたときに株
133
価を押し上げる状況が観察された。この傾向はサンプルとした建設業・地元主
要企業についても一斉に観察されることである。このニュースは会場計画が動
かないと思われていたところに突然出た拡大案であり,予想を超えた報道であ
ったが故に大きく反応したとも受け取れる。また別の見方をすれば,愛知万博
の事業がローカルなものとして認知されて来たことが氏の登場によってより広
く投資家の関心を呼んだことを示唆するかも知れない。
最後にこのような分析手法を 2010 年開催の上海万博の経済効果研究に用い
ることの意味を指摘して本稿を閉じよう。上海万博は愛知万博に比べ,事業規
模において数倍のスケールに上る計画が構想されている。この万博は上海とい
う都市の成長,生産性を高めるものになることが今から予想されている。中国
においても株式市場の整備が進んでおり,多数の投資家が参加する株式市場に
おける株価反応を見るイベントスタディは十分可能な研究と思われる。万博開
催決定時及び準備期間において計画の全容が明らかになった日においてどのよ
うな業種で,どのような株価反応が,どの程度の規模で起こったかを調べるこ
とは,人々の上海万博開催への期待の大きさを測る上で重要な研究となるであ
ろう。
134
<参考文献>
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開催効
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Campbell, J.Y., Lo, A.W. and A.C. Mackinlay (1997), The Econometrics of
Financial Markets, Princeton U. P.
135
註1
表1.第二次大戦後の主要な国際博覧会の概要
開催期間
1949/ 12/8
~1950/
6/8
1958 年
4/17~
10/19
1962 年
4/21~
10/21
1964 年
4/22~
10/18
1965 年
4/21~
10/17
1967 年
4/28~
10/27
1968 年
4/6~10/6
開催都市
(次ページに続く)
博覧会
会場
博覧会名称
カテゴリ
面積
ー
参加国・
機関数
入場者
数
開催テーマ
Bicentennial of the
foundation of
250,000
Port-au-Prince(入植 200
年記念)
Evaluation of the World
for
a more human world
41,454,4
12 (より人間的な世界へのバ
ランスシート)
ポルト・オウ・プラ 入植 200 年記
ンス
念
(ハイチ)
国際博覧会
第 2 種一
般博
30ha
?
ブリュッセル(ベル
ギー)
ブリュッセル
万国博覧会
第 1 種一
般博
200h
a
42
シアトル(米国)
シアトル世界
博
(21 世紀博
覧会)
第 2 種一
般博
30ha
37
10,000,0
00
Man in the space age
(宇宙時代の人類)
ニューヨーク(米国) ニューヨーク
註2
世界博
BIE 承認
外
261h
a
46
51,607,0
37
理解を通じての平和
第 1 種一
般博
405h
a
62
50,306,6
48
Man and his World Land
(人間とその世界)
特別博
38ha
23
6,384,84
2
The confluence of
civilizations in the
モントリオール(カ
ナダ)
サンアントニオ(米
国)
モントリオー
ル
万国博
ヘミスフェア
‘68
136
1970 年
3/15~
9/13
1974 年
5/4~11/3
1975/ 7/20
~1976/
1/18
1982 年
5/1~
10/31
大阪(日本)
日本万国博覧
会
第 1 種一
般博
330h
a
76 ヶ国
4 国際機
関
64,218,7
70
スポーケン(米国)
国際環境博覧
会
特別博
40ha
?
4,800,00
0
沖縄(日本)
沖縄国際海洋
博覧会
特別博
100h
a
37
3,485,75
0
ノックスヴィル(米
国)
国際エネルギ
ー
博覧会
ルイジアナ世
界博
(国際河川
博)
特別博
29ha
16
11,127,7
86
特別博
33ha
26
7,335,27
9
1984 年
5/12~
11/11
ニューオーリンズ
(米国)
1985 年
3/17~
9/16
筑波(日本)
国際科学技術
博覧会
特別博
102h
a
111
20,334,7
27
開催期間
開催都市
博覧会名称
博覧会
カテゴリ
会場
面積
参加国・
機関数
入場者
数
137
Americas
(アメリカ大陸における文
明の交流)
Progress and Harmony for
Harmony for Mankind
(人類の進歩と調和)
Celebrating tomorrow’s
fresh environment(汚染な
き進歩)
海 - その望ましい未来
Energy turns the world
(世界の原動力としてのエ
ネルギー)
The worlds of Rivers
-Fresh water as a
source of life
(川の世界-水は命の源)
Dwellings and
Surroundings
-Science and technology
for man at home
(人間・居住・環境と科学
技術)
開催テーマ
ー
1986 年
5/2~
10/13
1988 年
4/30~
10/30
1990 年
4/1~9/30
1992 年
4/20~
10/12
バンクーバー(カナ
ダ)
国際交通博覧
会
特別博
?
54
ブリスベン(豪州)
国際レジャー
博覧会
特別博
40ha
38
国際園芸
博覧会
一般博
(Univers
al)
140h
a
83
註3
大阪(日本)
国際花と緑の
博覧会
セビリャ
セビリャ(スペイン)
万国博覧会
1992 年
5/15~
8/15
ジェノヴァ(イタリ
ア)
国際船と海の
博覧会
特別博
1993 年
8/7~11/7
大田(韓国)
大田世界
博覧会
特別博
リスボン(ポルトガ
ル)
リスボン
国際博覧会
特別博
ハノーファー(ドイ
ツ)
ハノーファー
国際博覧会
一般博
(Univers
al)
1998 年
5/22~
9/30
2000 年
6/1~
10/31
138
World in Motion – World
in Touch
(動く世界,触れ合う世界)
Leisure in the age of
18,574,4
technology
16
(技術時代のレジャー)
23,126,9
自然と人間との共生
34
22,111,5
78
108 ヶ国
41,814,5 Age of Discovery (発見の
23 国際
71
時代)
機関
Christopher Columbus –
The ship and the sea
1,694,80 (クリストファー・コロン
6ha
54
0
ブス
-船と海)
The challenge of a new
108 ヶ国
road to development
90.1h
14,005,8
33 国際
a
08 (発展のための新しい道へ
機関
の挑戦)
Oceans-A Heritage for
10,128,2
the future(海洋-未来への
50ha
?
04
遺産)
Humankind, Nature,
160h
18,000,0
Technology
155
a
00
(人間・自然・技術)
216h
a
15,000,0
00 Nature’s wisdom (自然の
173h
愛知(日本)
(予想
a
叡智)
数)
資料出所: BIE ホームページ(http://www.bie-paris.org/),平野繁臣(1999)
『国際博覧会歴史事典』をもとに筆者作成.
2005 年
3/25~
9/25
2005 年日本
国際博覧会
(愛・地球博)
国際特別
博
121 ヶ国
4 国際機
関
註1.第二次大戦後のごく小規模な国際博覧会は紙幅の都合で割愛した.
註2.BIE 承認外の国際博覧会であるが,規模の大きさゆえここに含めた
註3.通常の BIE 承認の博覧会ではなく国際園芸家協会(AIPH)によるもの
139
表2.愛知万博開催計画の変遷
年 月
内
容
1988.10
愛知県・財界より 21 世紀初頭の国際博開催構想が打ち出される
1990.2
愛知県が瀬戸市南東部を会場候補地に選ぶ
1994.6
万博地元基本構想がまとまる.(会場予定地:海上の森 650ha のうち事
業区域を 250ha とする)
1995.12
愛知万博構想閣議決定.会場予定地の規模は動植物保護のため 540ha
1997.6
に縮小.
1997.9
モナコの博覧会国際事務局(BIE)総会で,日本・愛知で 2005 年開
1999.5
催が決定
1999.6
住宅開発地(跡地利用)を 100ha 分,縮小する計画を公表
1999.11
海上の森でオオタカの営巣確認.会場計画の見直しを検討.
2000.1
県,万博の会場縮小を表明.代替地として愛知青少年公園 200ha を追加
2000.3
博覧会協会が会場建設費を 1800 億円規模に変更することを表明
2000.4
BIE幹部による新住事業批判が発覚
2000.5
2000.7
県が新住事業(500 億円相当)断念
見直し案発表.海上の森会場を 5~20ha 程度に縮小
愛知万博検討会議発足
2000.8
愛知万博検討会議の委員長試案を発表.海上の森南地区の利用を抑え、
西地区の積極利用を打ち出す
2000.9
愛知万博検討会議において海上の森利用を大幅縮小することで合意
博覧会協会,検討会議に見直し後の全体計画を報告.会場面積は愛知青
少年公園を中心に 182ha(うち海上の森会場は 19ha).
2000.12
通産省,愛知県,博覧会協会が会場建設費を 1350 億円に圧縮,運営費
2001.2
を 550 億円とする方針を固める
2001.3
博覧会国際事務局(BIE)登録申請
2001.5
愛知万博をBIE総会が正式に承認
2001.6
140
想定入場者数
4000 万人
会場建設費
2500 - 3000 億
円
2500 万人
1000 億円弱
1000 - 1500 億
円
2000 万人
1800 億円
(1000 万人)
1500 万人
1447 億円
1350 億円
2001.12
2002.1
愛知万博最高会議設置.最高顧問に堺屋太一氏を発表
堺屋氏,現計画を批判.会場計画の再検討を表明
万博協会と愛知県が堺屋提案を受け,会場・入場者数拡大を検討
愛知県知事,堺屋案に否定的見解.月末堺屋氏最高顧問辞任.
既存施設を活用した愛知万博の基本計画を正式発表
「愛知万博」の愛称が「愛・地球博」に決まる
141
(2000 万人)
1500 万人
表3.愛知万博開催決定前後のニュース(朝日新聞より)
年月日
報道内容
1997 年 06 月 04 日 愛知万博誘致に暗雲(対立候補カナダを支持する国の
朝刊
新加盟相次ぐ)
2005年「愛知万博」決定 愛知県・瀬戸市,BIE
1997 年 06 月 13 日 総会投票でカナダに競り勝つ
朝刊
名商・谷口会頭,愛知万博に節約・計画縮小の必要性
を提唱.
1997 年 06 月 26 日 ただし,鈴木愛知県知事は見直し否定.
朝刊
表4.オオタカ営巣発見関連ニュース(朝日新聞より)
年月日
報道内容
1999 年 04 月 30 日 夕 日本野鳥の会愛知県支部,海上の森で「オオタカの営
刊
巣確認」.愛知県に調査要請
愛知県,万博予定地でオオタカの営巣を確認
1999 年 05 月 13 日
刊
朝
1999 年 05 月 19 日
刊
夕
1999 年 06 月 01 日
刊
朝
1999 年 06 月 28 日
刊
夕
愛知県知事,オオタカ問題で来月中に万博見直し案を
と表明
愛知県,オオタカ保護で道路の全線開通困難
博会場計画,縮小へ判断固める
愛知万
神田真秋知事,愛知万博の会場縮小を正式表明
表5.BIE 批判発覚関連ニュース(朝日新聞より)
年月日
報道内容
2000 年 01 月 20 日 朝 BIE 事務局,通産省担当者に新住事業を「開発事業」
刊
と非難し,愛知万博の修正を迫った議事録が発覚
BIE,計画再考求め,愛知万博の5月登録困難に
142
2000 年 02 月 12 日
刊
夕
2000 年 03 月 09 日
刊
朝 愛知万博の計画を縮小.新住事業を正式に断念するこ
とで国・県と合意
2000 年 04 月 05 日
刊
朝
愛知万博,県が新住事業断念の判断固める
表6.万博検討会議による見直し案策定関連ニュース(朝日新聞より)
年月日
報道内容
2000 年 07 月 03 日 朝 万博検討会議、委員長が試案提示
刊
「海上の森」利用を5分の1に 会場の大幅縮小で決
2000 年 07 月 25 日 朝 着
刊
愛知万博の想定入場者,1500 万人に縮小する博覧会
2000 年 08 月 11 日 朝 協会方針固まる
刊
愛知万博民間負担,大手企業8社で8割する方向が明
らかに
2000 年 08 月 17 日 朝
刊
愛知万博建設費,1447 億円で調整
2000 年 08 月 23 日
刊
夕 愛知万博で地元財界一致して会場建設費の引き下げ
要求
2000 年 08 月 24 日
刊
夕 万博閣議決定,来月 19 日を想定
BIE 申請へ調整
愛知万博建設費,1300 億円台後半に圧縮
2000 年 08 月 25 日
刊
朝
2000 年 09 月 09 日
刊
朝 愛知万博の登録申請を閣議決定
愛知万博の建設費は 1350 億円
143
資金計画固まる
2000 年 09 月 11 日
刊
夕
2000 年 09 月 19 日
刊
夕
表7.堺屋最高顧問による会場拡大提案関連ニュース(朝日新聞より)
年月日
報道内容
2001 年 02 月 27 日 朝 愛知万博に「最高会議」設置 最高顧問に堺屋太一氏
刊
愛知万博最高顧問就任会見で堺屋太一氏が現計画を
2001 年 03 月 20 日 朝 批判
刊
愛知県・協会が万博アクセスに愛環鉄道乗り入れを検
2001 年 05 月 08 日 夕 討
刊
愛知県・協会が万博想定入場者 2000 万人台へ会場拡
2001 年 05 月 15 日 朝 大検討
刊
愛知万博計画めぐる堺屋氏案にたいし,神田知事「実
2001 年 06 月 04 日 夕 現性低い」と定例会見でコメント
刊
愛知万博、堺屋氏補佐が修正案を提示.拡大面積を5
分の2に抑える.
2001 年 06 月 07 日 朝
刊
愛知万博最高顧問の堺屋太一氏が辞表
2001 年 06 月 14 日
刊
2001 年 06 月 30 日
刊
名商会頭,愛知万博の堺屋氏最終案「採用すべきだ」
朝 と表明
「脱堺屋」計画振り出しへ.愛知万博の「基本的な枠
朝 組み」発表
愛知万博「堺屋色」を一掃
2001 年 07 月 24 日
刊
朝
2001 年 08 月 03 日
刊
朝
2001 年 09 月 21 日
刊
朝
主会場に既存施設を活用
る
144
愛環鉄道の直結断念
愛知万博,計画の大枠固ま
表8. OLS による推定
結果
開催決定
オオタカ発見ダミー
D970613
D990430 D990519
D990601
大成建設
0.0222
-0.0138
-0.0241
-0.0515
(-0.6850)
(-0.4275) (-0.7450)
(-1.5924)
大林組
-0.0213
0.0124
-0.0225
0.0634
(-0.7325)
(0.4278) (-0.7746) (2.1852)**
清水建設
-0.0253
0.0192
0.0019
-0.0195
(-0.8624)
(0.6557)
(0.0663)
(-0.6648)
鹿島
-0.0289
0.0049
0.0124
-0.0471
(-1.0134)
(0.1728)
(0.4340)
(-1.6531)
熊谷組
0.0418
0.0245
0.0202
0.0458
(0.9464)
(0.5549)
(0.4583)
(1.0374)
矢作建設
0.1520
-0.0214
0.0085
-0.0050
(4.4886)*** (-0.6305) (0.2497)
(-0.1483)
名工建設
0.0417
0.0005
0.0008
-0.0114
(2.9301)*** (0.0376)
(0.0591)
(-0.8019)
徳倉建設
0.1677
0.0292
0.0024
-0.0537
(6.4490)*** (1.1222)
(0.0938) (-2.0621)**
大東建託
-0.002603 0.015298 -0.025346 -0.013531
(-0.090635) 0.532646 -0.882140 -0.470981
不動建設
0.009165
0.008251 -0.012399 -0.006737
(0.274374) 0.246979 -0.370996 -0.201593
五洋建設
0.008666 -0.005423 -0.004153 D990601
(0.339349) -0.212359 -0.162531 -0.551849
BIE 批判発覚ダミー
検討会議ダミー
D000120
D000214
D000309
D000725
D000811
D000919
0.0137
-0.0737
0.0405
0.0321
-0.0138
0.0058
(0.4248)
(-2.2802)**
(1.2520)
(0.9916)
(-0.4273)
(0.1782)
0.0056
-0.0909
0.0470
0.0197
0.0185
0.0185
(0.1935)
(-3.1337)*** (1.6204)*
(0.6779)
(0.6369)
(0.6376)
-0.0191
-0.0332
0.0473
0.0369
0.0298
0.0193
(-0.6512)
(-1.1328)
(1.6150)*
(1.2613)
(1.016)
(0.6602)
0.0021
-0.0513
0.0476
0.0482
-0.0009
0.0149
(0.0724)
(-1.8009)*
(1.6713)*
(1.6912)*
(-0.0301)
(0.5245)
-0.0124
-0.0197
0.0761
0.0843
-0.0693
-0.0052
(-0.2806)
(-0.4452)
(1.7227)*
(1.9105)*
(-1.5691)
(-0.1173)
-0.0002
0.0436
-0.0048
-0.0634
-0.0021
0.0211
(-0.0063)
(1.2863)
(-0.1419)
(-1.8730)* (-0.0612)
(0.6227)
0.0003
0.0005
0.0006
-0.0219
0.0001
0.0001
(0.0184)
(0.0358)
(0.0433)
(-1.5370)
(0.0063)
(0.0068)
0.0005
-0.0172
-0.0560
-0.0300
-0.0723
-0.0001
(0.0186)
(-0.6613)
(-2.1534)**
(-1.1540)
(-2.7800)
(-0.0028)
-0.022656
0.005260
0.019989
-0.069501 -0.019636 -0.009257
-0.788940
0.183142
0.695916 -2.420178** -0.683718 -0.322333
-0.006625
0.000783
0.004091
0.023196
0.007295
0.039910
-0.198330
0.023427
0.122460
0.694442
0.218382
1.194734
0.012009
-0.000614
-0.004740
0.008739
-0.005840 0.034392
0.470261
-0.024050
-0.185577
0.342209
-0.228668 1.346692
145
D01
-0.
(-0.
0.0
(2.46
0.0
(1.4
0.0
(0.1
-0.
(-1.
0.0
(0.7
-0.
(-0.
-0.
(-0.
0.00
0.13
0.03
1.15
-0.0
-0.1
大末建設
積水ハウ
ス
トーエネッ
ク
シーキュ
ーブ
日本電話
三機工業
名古屋鉄
道
中部電力
東邦ガス
豊田自動
織機
デンソー
-0.012010 D990430
(-0.260379) -0.204448
0.000651
0.014112
0.013073
0.283309
-0.034345
-0.744621
-0.044291
-0.960198
0.022493
0.487568
-0.061859
-1.341151
-0.006101
-0.132273
-0.005874
-0.127344
-0.0
-0.2
-0.011283 -0.011118
0.017246
-0.012575
0.013499
0.004421
-0.008154
-0.000830
0.011951
0.00
(-0.587397) -0.669309 -0.659200
1.022652
-0.746006
0.800744
0.262210
-0.483751
-0.049236
0.708946
0.16
-0.009902
0.068632
0.030364
-0.001314
0.023098
-0.009616
-0.043416
-0.029453
0.025190
0.009986
0.034604
0.01
(1.798784)*
0.795735
-0.034431
0.605137
-0.252020
-1.137822
-0.771801
0.660222
0.261702
0.906891
0.33
0.024563
0.003042
-0.005972
-0.030601
-0.000249
-0.050035
-0.030463
0.021291
-0.028241
0.016296
0.00
(0.925878)
0.006131
(0.177368)
-0.001231
(-0.054971)
0.114669
0.014104
0.407984
0.014751
0.658476
-0.224992
-0.003839
-0.110997
0.015044
0.671263
-1.152998
-0.015131
-0.437552
0.023776
1.061018
-0.009380
0.000365
0.010549
-0.002721
-0.121473
-1.885858*
0.003073
0.088889
0.006175
0.275656
-1.148065
-0.050707
-1.466643
0.014381
0.641920
0.802527
-0.001198
-0.034669
-0.051231
-2.287140**
-1.064407
-0.001510
-0.043682
-0.008327
-0.371715
0.614220
-0.001426
-0.041260
0.021170
0.945021
0.17
-0.0
-0.5
0.00
0.17
0.0275
0.0003
-0.0012
-0.0311
-0.0167
0.0025
0.0204
0.0040
0.0043
0.0208
(2.1189)**
0.0041
(0.3675)
-0.0123
(-0.7254)
(0.0266)
-0.0052
(-0.4671)
0.0029
(0.17035)
(-0.0901)
0.0081
(0.6462)
0.0019
(0.1132)
(-2.3982)**
0.0043
(0.3400)
0.0032
(0.1889)
(-1.2855)
0.0027
(0.2134)
0.0230
(1.3597)
(0.1937)
-0.0233
(-1.852)*
0.0026
(0.1509)
(1.5707)
0.0025
(0.1987)
0.0039
(0.2321)
(0.3055)
-0.0045
(-0.3592)
0.0151
(0.8890)
(0.3318)
-0.0065
(-0.5175)
0.0116
(0.6873)
(1.6033)*
0.0168
(1.3358)
-0.0028
(-0.1623)
-0.0090
0.0175
-0.0227
0.0218
0.0037
-0.0125
-0.0006
0.0237
0.0043
0.0024
(-0.5796)
-0.0132
(1.1217)
-0.0066
(-1.4581)
0.0353
(1.3976)
0.0092
(0.2394)
-0.0098
(-0.8028)
0.0180
(-0.0389)
-0.0040
(1.5199)
0.0157
(0.2763)
-0.0048
(0.1528)
0.0030
146
0.0
(2.03
0.0
(3.10
0.0
(2.38
0.0
(3.73
0.0
トヨタ
日本ガイ
シ
(-0.5952)
0.0122
(0.6592)
(-0.2962)
-0.0157
(-0.8496)
(1.5896)*
-0.0241
(-1.3028)
(0.4118)
0.0182
(0.9858)
(-0.4418)
0.0609
(3.2925)***
(0.81170)
-0.0164
(-0.8893)
(-0.1823)
0.0210
(1.1329)
(0.7080)
0.0323
(1.7466)*
(-0.2167)
0.0103
(0.5553)
(0.1365)
-0.0068
(-0.3658)
(1.6
0.0
(0.1
-0.0106
-0.0214
-0.0208
0.0161
0.0460
-0.0334
-0.0161
-0.0079
0.0548
-0.0155
0.0
(-0.5484)
(-1.1071)
-0.0138
(-0.7694)
-0.0270
(-1.039)
(-1.0784)
0.0050
(0.2794)
0.0151
(0.5796)
(0.8324)
-0.0061
(-0.3422)
-0.0156
(-0.6022)
(2.3802)***
-0.0105
(-0.5839)
-0.0072
(-0.2788)
(-1.7282)*
0.0130
(0.7243)
-0.0390
(-1.5029)
(-0.8335)
0.0040
(0.2255)
0.1348
(5.1926)***
(-0.4064)
-0.0098
(-0.5500)
-0.0016
(-0.0621)
(2.8373)
-0.0048
(-0.2675)
0.0224
(0.8628)
JR 東海
東海銀行
0.0267
(1.0277)
注.下段の値は t 値を
表す。
表 9.万博開催決定日前後の超過収益率
日
AR
t値
-10
0.004108
0.703463
147
(-0.8026)
(1.1
0.0522
0.0
(2.9167)*** (1.7
-0.0054
-0.
(-0.2065) (-2.0
-9
-8
-7
-6
-5
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
サンプ
ル企業
数
0.002494
-0.00148
-0.00087
-0.00544
-0.00033
-0.00288
-0.00278
0.001895
-0.00035
0.018836
0.012354
0.003505
-0.00363
-0.00486
-0.00408
-0.00191
0.001266
-0.00476
0.007244
0.001994
0.427061
-0.254
-0.14951
-0.93179
-0.05713
-0.49248
-0.47591
0.324528
-0.06034
3.225647
2.115725
0.600255
-0.62171
-0.83211
-0.69854
-0.32663
0.216827
-0.81544
1.240482
0.341538
25
148