コンピュータサイエンス学部(PDFファイル)

コンピュータサイエンス学部の科目編成
-平成 28 年度入学生カリキュラム-
1.カリキュラム体系
教育課程は、教養教育科目、専門基礎教育科目および専門教育科目から構成されます。このうち、教
養教育科目は、社会人、国際人として活躍するのに必要な知識を身に付けることを目的としています。
本学の全学部に共通の考え方で構成されていますが、コンピュータサイエンス学部での専門教育の円
滑な履修につながるよう、情報リテラシー関連科目では本学部の特徴を加味したものになっています。
専門基礎教育科目は、教養教育科目の修得のための基盤として専門分野の基礎知識を深めるとともに、
関連分野の技術的見識を得ることを目的として構成されています。
専門教育科目は、コンピュータサイエンス学部の4つのコースそれぞれの専門技術を身に付けるこ
とを目的としており、自らが選択したコースに応じて 2 年次以降に学んでいきます。専門教育科目で
は、各コースを特徴付ける専門性の高い科目のほか、コースで共通の科目やコース横断的な科目を学
びます。また、講義形式の授業だけでは身に付けることが難しい実際のデータや機器の取り扱いを学
ぶための実験やプロジェクト形式の実習があります。さらに、創造性を育むために、学生が自発的に工
夫を凝らして取り組む授業科目として創成課題を学びます。4 年次には、学部教育の集大成として卒業
課題に取り組み、企画力、問題解決力を実践的に育むとともに、文章表現力、プレゼンテーション力も
身に付けます。
2.教養教育科目の編成と履修
(1) 人文・社会
専門教育科目で学ぶ様々な知識を実社会で活かしていくためには、現代社会の仕組み、文化を本質
的に捉える必要があります。そこで、政治や法律、経済をはじめ、心理や哲学、文化についての広い見
識を養うための科目ならびにこれらを連関させた総合科目から構成されています。
(2) 外国語
1 年次の学生は全員、“話す・聞く・読む・書く”スキルの向上と“文法・語彙”の知識の強化を目
指して実践的な英語を学びます。2 年次、3 年次では、4 つのスキルを養成するコースの他に、ビジネ
ス英語、TOEIC 対策に特化した科目を選択することができ、より高度な英語を学びます。
英語の他に、フランス語と中国語を選択できます。留学生には日本語科目が設けられています。
(3) 情報・数理・自然科学
情報では、コンピュータの基本操作やネットワークの基礎といった情報リテラシーを講義と演習を
通して修得します。
数理では、専門教育を学ぶうえで必要となる数学的手法、すなわち自然現象を論理的で定量的に表
現するための解析的手法を身に付け、急速に変化し発展する専門領域に的確に対処できるようにしま
す。このため、微分積分や線形代数に関する数学の基礎知識を修得し、数学が実社会でどのように応用
されているかを学びます。
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自然科学では、一般教養として知っておくべき自然科学分野を広く理解すると共に、自然科学関連
のニュースなどに興味を持ち、自分で考える習慣を身に付ける必要があります。全員参加型の授業形
態を目指し、討論、調査、観察、課題発表、ものづくり、ゲームなどを取り入れた体験型グループワー
クを前期・後期にそれぞれ2回程度実施します。
(4) ウェルネス
生涯を健やかに過ごすための基礎となる知識や心構えを学ぶ講義科目のほか、実際に身体を動かし
て心身の均衡化や活性化を図るスポーツ実技科目から構成されます。特に、スポーツ実技は、学内施設
を中心として行う通常の実技と、学外で行う集中実技があります。
(5) 社会人基礎
豊かな人間性と創造力を兼ね備えた行動力のある人間は、いつの時代にも、どんな変化にも適応で
きるものです。社会人基礎科目群は、実社会で必要となる社会人基礎力(自ら学ぶ力と等価)の理解に
基づきその能力の育成を目的としています。
この科目群には、1 年次には、大学に入学した意義を理解するとともに、大学生としての自覚の徹底
および自主的な勉学意欲を持つために大学での目標設定をすすめ、大学での履修の要点を把握すると
共に、学習に必要なスキル向上を目指したフレッシャーズゼミが必修科目として用意されています。
さらに、2 年次~3 年次には、社会人としての目標やそれに向けた道程を明らかにするために、キャリ
ア形成について自己発見と自己形成、社会・業界・企業研究を通じてキャリアビジョンを形成するキャ
リアデザイン講義が必修科目として準備されています。講義系科目と連動した科目として、実際に社
会へ赴き現場での体験を通じてキャリアビジョンを醸成することを目的とした企業へのインターン
シップ研修、ボランティアや社会貢献の実践プログラムを単位化した社会体験科目が複数用意されて
います。
1 年次から 3 年次まで必修科目として一貫した教育方針であること、アドバイザー教員による個別
ケアが連携していることが大きな特長です。
3.専門基礎教育科目の編成と履修
専門基礎教育科目は、以下の各分野の科目から編成されており、必修と指定された科目は全て履修
する必要があります。また、数理、自然・情報、コンピュータの各科目群では、所属するコースが指定
するコース選択必修科目を必要単位数以上履修します。さらに、選択科目を加えて専門基礎教育科目
合計で所定の単位数以上を履修する必要があります。
(1) 実験
プログラミングの基礎を実験を通して学ぶプログラミング実験と、自然科学分野の諸分野について
高等学校教育と大学教育との橋渡しを行うための講義付き実験科目を1年次に履修します。プログラ
ミング実験では、プログラミングの基礎となる制御構造などを実際にプログラムを書きながら学び、
アプリケーションの作成などを通して理解を深めます。講義付き実験では、実験の内容に対応した知
識や理論的背景を講義で学び、実験を通して理解を深めます。
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(2) 数理
専門教育科目を学ぶうえで必要となる数学的手法、すなわち自然現象の論理的な表現、解析手法を
十分に身に付け、急速に変化する技術分野、深化する専門領域に柔軟かつ自信を持って対処できるよ
うにします。
(3) 自然・情報
自然現象、それらの関わり合いを示す物理分野の基本科目を学びます。
また、電子・光系での専門分野形成の土台作りとして、論理回路、電気回路、電子回路、電磁気学な
どの基本科目を修得します。
加えてコンピュータ技術と情報科学の専門基礎を修得するため、情報・符号理論、データベース技
術、アルゴリズムの基礎、ネットワーク技術、Web 技術などを修得します。
(4) コンピュータ
コンピュータサイエンス学部の全ての学生が身に付ける必要があるコンピュータ技術の重要な基礎
知識に関して、ハードウェアとソフトウェアの両面からその基礎を修得します。
また、コンピュータを自在に操り活用するためのプログラミング技術に関して、1 年次から 3 年次
までの間にプログラミングの基礎から応用までを講義と演習を通して実践的に学びます。
4.専門教育科目の編成と履修
専門教育科目は、コースコア科目群と実験・総合科目群からなります。コースコア科目は、4つの
コースを特色付ける科目であり、それぞれのコースにおいて重要な技術や知識を修得するための中核
となる科目です。実験・総合科目では、コンピュータサイエンスの基礎技術を実践的に修得するため、
4つのテーマに分かれた基礎実験・応用実験があり、この中から2つのテーマを選択して学びます。な
お、希望者は応用実験に代わり特定のテーマを掘り下げるプロジェクト実習を選択することもできま
す。また、創造性・自主性を涵養するための創成課題、卒業課題があります。
専門教育科目のうち必修科目は全員が必ず履修します。実験については、2 年次にはコンピュータサ
イエンス基礎実験Ⅰ・Ⅱを、3 年次にはコンピュータサイエンス応用実験Ⅰ・Ⅱまたはプロジェクト実
習Ⅰ・Ⅱのいずれかを履修する必要があります。コースコア科目群に対して、所属するコースが指定す
る「選択必修科目」を必要単位数以上履修すると共に、その他の科目を選択科目として加えて専門教育
科目合計で所定の単位数以上を履修する必要があります。
5.4つの「コース」とその考え方
コンピュータサイエンス学部では、コンピュータ・ソフトウェアコース、システムエンジニアリング
コース、ネットワークコース、応用情報コースの4つの「コース」を設置しています。
これらの「コース」は、専門家としての技術基盤を固めるために適合する科目群を漏れなく修得する
ための履修科目体系であり、自己の適性、将来志望などに照らし合わせて選べるようにしたものです。
2 年次進級要件(後述)を満たした者は、本人の希望と適性に応じたコースに所属することになります。
3 項で詳説したように、専門基礎教育科目では、専門の基礎となる科目群の中で、所属するコースで
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指定された選択必修科目を指定された単位数以上履修する必要があります。また、4 項で詳説したよう
に、専門教育科目では、所属するコースが指定する選択必修科目を必要単位数以上履修する必要があ
ります。以下に各コースのねらいと履修の要点をまとめます。
(1) コンピュータ・ソフトウェアコースのねらいと履修
このコースは、最先端の ICT を作り出すことができる、中核的なエンジニアを育成することを目的
としています。このために、確固たるプログラミング能力を身につけるだけではなく、コンピュータの
動作原理を基本から理解することを目的として、ソフトウェアからハードウェアにわたるコンピュー
タ全般について学びます。その結果、コンピュータの原理や仕組みを体験的に深く理解することが可
能になります。付け焼刃でない本物の技術理解とエンジニアスピリットに基づき、実践的かつスマー
トなソフトウェア開発技法とスキルを修得することにより、卒業時には ICT 技術者・研究者の立場に
立って、社会に向けて大きく羽ばたく可能性を手にすることができます。卒業後はコンピュータ機器
製造やインターネットサービス等の情報産業分野の中核エンジニアばかりでなく、自動車から金融に
至る、我が国の幅広い分野の産業で今や不可欠の要素となっている情報技術領域で活躍できる人材と
なることが期待されます。
専門基礎教育科目では、今後の飛躍的成長の基盤となる数理科目をはじめ、基礎情報技術、ネット
ワーク概論などコンピュータ分野の基礎を学びます。専門教育科目では、プログラミング関連科目を
体系的に学ぶとともに、コンピュータを構成する主要要素技術である、OS、コンピュータアーキテク
チャ、プログラミング言語理論、情報セキュリティ、データベース、並列・分散処理システム技術を確
実に学修できるカリキュラム構成になっています。
(2) システムエンジニアリングコースのねらいと履修
このコースでは、顧客の思い(要望)を情報システムとして手際よく実現するシステム開発のプロ
フェッショナルの育成を目指します。システム開発者は、要求抽出・分析、モデル化、設計、実装(コー
ディング)および検証・試験などの諸能力が求められます。また、現実の様々な制約のもと開発チーム
の一員として個々人が役割を適切に果たすための適応力・マネジメント力・コミュニケーション力も
必要です。このコースでは、これらのシステム開発者に必須の能力とスキルとして具体的にどのよう
なものがあるのかを、可能な限り実践的(hands-on)な演習を交えながら、体験的に知り運用できる
ようになるように工夫されています。
以上のように、真のシステム開発プロフェッショナルになるためには、様々な知識・スキル・能力が
求められますが、情報システム開発、すなわち、企画提案から要件定義、設計、コーディングおよび検
証・試験までの一連の開発プロセスを体験的・実践的に学びますので、自分にあった職種を見つけるこ
とも可能です。
このような考えのもと、ソフトウェア工学、モデル記述とその応用、プロジェクトマネジメント、ソ
フトウェアプロセス、ビジネスモデル設計論など、21世紀型システムエンジニアリング(SE)に必
要な科目を学ぶことができます。なお、プログラミング能力を身に付けることを推奨しますが、少なく
ともプログラミングの基礎知識、コンピュータやネットワークの基礎知識は身に付けることを勧めま
す。
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(3) ネットワークコースのねらいと履修
このコースでは、ネットワーク技術者の育成を目標としています。ここでいうネットワーク技術者
は次のような人材です。通信関連企業でネットワークの企画、構築、運用に携わる人材。通信システム
メーカで通信機器や通信ソフトウェアの開発を行う人材。ネットサービス企業で携帯や Web などの
ネットワークアプリケーションの開発に携わる人材。インターネットなどを利用した新しいネット
ワークサービスの企画や開発に携わる人材。
まず専門教育科目を学ぶ準備として、すべての基礎になる数学やプログラミングを学習するととも
に、ネットワークの基礎技術となる電気回路、電子回路、論理回路、電磁気学、情報・符号理論につい
て学習します。ネットワークの全体的な仕組みを理解するために、情報ネットワーク概論やインター
ネットを学習します。志向と適正に応じて、信頼性工学、Web 技術について学修します。
専門教育科目ではコースを特色づける次のような科目を設けています。ネットワークの物理レイヤ
を理解するディジタル通信、その中で特に光技術に関するオプトエレクトロニクス、フォトニック通
信、無線技術に関するワイヤレス通信。インターネットを構成している通信システムの仕組みを学ぶ
IP ネットワーク、ブロードバンドネットワーク。ネットワークを分析するためのグラフ理論やトラ
フィック理論を学ぶネットワーク解析。ネットワークの運用管理保守技術を学ぶネットワークマネジ
メント。システム開発手法や国際標準について学ぶテクノロジーマネジメント。信号変換技術につい
て学ぶ信号処理、サウンド情報処理。ネットワークを利用したアプリケーションやサービスを学ぶイ
ンターネットアプリケーション。これらの多彩な科目から志向と適性に応じて学べます。
(4) 応用情報コースのねらいと履修
このコースでは、コンピュータを通じて人や社会、環境に対して働きかけ、より良い未来を創造して
いく上で必要となる知識やスキルを修得し、人の心を豊かにする新しい応用情報システムの研究・開
発を進めていく力を養うことを目標としています。コースを特徴づける学術分野としては、人とコン
ピュータとの接点を扱うコンピュータインタラクション、人の心にダイナミックに作用するゲームプ
ログラミングや人工知能、人間・社会・環境に関する情報を取得するセンサ技術をはじめ、情報処理シ
ステムの全体を支える種々の項目について、具体的な実例とともに学んでいきます。そして、プロジェ
クト実習や創成課題、卒業課題といった実践の場を経ることで、実社会において役立つ応用アプリケー
ションや情報サービスを幅広い視点からつくりあげていける応用情報技術のプロフェッショナルを目
指します。
このような目標を達成するために、2年次に開講する専門基礎科目においては力学や数学といった
応用情報コースにおける基盤となっている科目を学ぶことと並行して、人とコンピュータとの間で絶
え間なく対話が行われるコンピュータゲームや、インターネットを用いた情報サービスなど、人間・社
会・環境に関する幅広い視点から応用情報システムを考えていく上での基礎を修得します。続いて3
年次に開講する専門科目では、画像・サウンド情報処理や人工知能、コンピュータグラフィックス、
ヒューマンインターフェース、センサエレクトロニクスといった、応用情報システムを構築する個々
の専門分野についての知見を深めます。さらには、高度な応用情報技術が社会において果たす役割や
その影響を考察するマーケティング、実際のゲーム制作のプロセスを体験するコンピュータサイエン
ス応用実験などの幅広い科目群より個々の興味や将来計画に応じて適宜選択して学ぶことができます。
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