Untitled - 整骨院経営.com

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【目次】
1.はじめに .................................................... 3
2.著者・大竹一彰とはどういう人物なのか ........................ 5
◆整骨院経営を夢見た理由
◆整骨院経営の実状を思い知る
◆整骨院売却期に考えた事
3.10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院を作るための準備 ...... 9
◆10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院のキモ
◆物件の選定(保証金、家賃)
◆物理療法関係の機器について
◆内装関係(居抜き推奨)
◆運転資金について
◆開業までに大切なことまとめ
4.開業から売却に向けて行うこと ............................... 15
◆「プレオープン告知」及び「プレオープン」
◆1 年目の整骨院運営
◆2 年目から 4 年目の整骨院運営
◆5 年目の整骨院運営
5.整骨院店舗の事業売却(M&A)の進め方 ........................ 20
◆「M&A」業者の選び方
◆売却までの進捗に関して(概要)
◆「M&A」書類の準備及び具体的な交渉
◆「売却金」受け渡し方法について
◆事業売却後のフォローに関して
6.事業売却(M&A)後の事業展開について ........................ 28
7.最後に。 ................................................... 30
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1.はじめに
初めまして、株式会社 ADLIFE の代表取締役「大竹一彰」と申します。本著「10
坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院の作り方」を手に取って頂き誠にあり
がとうございます。本著を記すきっかけになったのは、「整骨院経営.com」
(http://seikotsuin-keiei.com)という整骨院の経営情報を配信するメディア
運営の中で誕生しました。
この「整骨院経営.com」を運営しようと思ったきっかけは、私が実際に、
「柔
道整復師」であり、
「鍼灸師」である中、
「整骨院」を 3 店舗経営した経緯から、
この業界の内部事情に精通し、問題点に気づいたためです。
それは、
「健康保険」を使う制度である「療養費委任払い制度」という制度を
利用した患者との委任契約には限界があるということです。さらにはこの限界
が原因で、社会的に思わしくない事態が発生していることも事実で、内容は驚
愕的な事実であるということも知りました。
専門学校での「国家資格」取得教育課程でも、
「委任払い制度」に関すること
は「関係法規」で勉強はするのですが、現実では机上の空論であることに気づ
きます。
そんな中で、私は整骨院事業の撤退を決めました。そして、我らが整骨院業
界のできる限り正しい方向性を探るべく、情報発信のメディアである「整骨院
経営.com」を立ち上げることに至りました。
それに付帯する事業として、
「10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院の作
り方」というものを、私が実際に経験したモノに基づいてお伝えしていく事業
を進めています。
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立ち上がりのハードルが低い「委任払い制度」を使った整骨院でしっかりと
した経営を学び、5 年後に蓄えた内部留保金と売却益を使って、「完全自費型の
整骨院を開院」、「他事業参入」、「リラクセーション」、「エステ」、「リフレクソ
ロジー」等といった「療養費委任払い制度」を利用せずとも、生きていける事
業への転換を推奨する方法論です。
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2.著者・大竹一彰とはどういう人物なのか
~整骨院経営を夢見た理由~
まず、具体的な説明をする前に、著者である私のことについて記しておきた
いと思います。私が「整骨院経営」をしようと思ったきっかけにはいくつかの
理由がありました。
それは、私が「ノンプロ」と言われる「社会人野球」という世界で野球を行
ってきた経緯が大きく関わっています。現役時に「肩」の故障に悩まされ、結
局その怪我によって引退をしました。そこで「私と同様の経験をする野球選手
が今後出てこないように」、「同じ思いで苦しむ選手を 0 にしたい」という思い
のもと開業を夢見ました。
さらに、当時の私に付きっ切りで「肩のケア」や「コンディショニング」を
施してくれたトレーナーの存在に看過され、将来に同様の仕事がしたいという
思いもありました。
そんな時に、「柔道整復師」、「鍼灸師」という、「国家資格」があることを知
り、野球引退後はその資格を取得する決意をし、将来的には拠点を持って「整
骨院」や「鍼灸院」を経営する目標を持ちました。
まとめてみると、いままでの私の人生は野球ありきの人生でした。そのため、
何をするにしてもこういった野球基準で考えていました。スポーツは違えども、
多くの「柔道整復師」や「鍼灸師」の方が共通して持っている考え方ではない
でしょうか。しかし、そんな純粋な思いを駆逐してしまっているのが、昨今の
整骨院業界となっているのは悲しい事実です。
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~整骨院経営の実状を思い知る~
そして、整骨院経営を実際に行い、3 店舗の整骨院を経営するまでになりまし
た。その経営の中で起こっていることは、野球選手時代の当時に思い描いてい
たこととは全く違っていました。違うといっても全てが悪いという意味ではな
く、選手時代には気づいていなかった良いことも当然あり、反対に悪いことも
あったという意味です。
整骨院を経営するとは実店舗を持つことを意味しますが、その店舗を持つと
いうことはある意味社会的な信用につながります。
「固定電話がある」といった
レベルの話も含めての信用です。
また、整骨院は「地域密着型」のものが大半で、その地域の方々と「仲良く
なれたこと」、
「遠方からわざわざ足を運んでくれた患者様に出会えたこと」、
「筋
骨格系だけではなく、その他の不調でも、まずは何処にいったらいいのかとい
ったことまでを聞きに来る患者様が沢山いたこと」、
「スタッフを褒めてくれる
患者様が多かったこと」、「真摯に向き合うだけで、収益的には高い水準で安定
ができたこと」、上げ出せばキリがないぐらい良いことがたくさんありました。
しかし、それらとは反対に、
「整骨院」という業界に根差した問題が存在して
いたため、個人レベルではどうすることもできない悪しき部分がたくさんあり
ました。
「療養費委任払い制度の、患者から委任を受けたという署名をもらうタ
イミングが正式に行うとうまくいかないこと」、「施術者・スタッフの求人募集
がなかなかうまくいかないこと」、「マッサージ屋さんだと思ってくる患者さん
がいたこと(マッサージ関連は全てお断りしていましたが)」、
「患者様がたくさ
ん来すぎると嬉しいというよりも苦しさが上回ること(笑)」、
「それなのに患者
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様が来ないと不安になること」などこちらも上げ始めるとキリがありません。
そして、最も私の心をすり減らしたのが整骨院業界にはびこる「不正」の問
題でした。
「来院日の水増し」、
「多部位請求の横行」などが非常に多く、逮捕さ
れる事件まで頻繁に発生していました。それはもちろん、「本人の考え方」や、
「モラル」などの問題が大きいとは思いますが、物理的にできない可能性が高
い仕組みを作って施工している国の制度にも問題が少なからずありました。
さらに、国の「療養費の見直し」によって、収入が左右されてしまうという
不可抗力的なリスクにも気づき、私はこの整骨院事業から身を引いていこうと
いう思いが沸き上がってくることになりました。そしてそれと同時に、この業
界を不正などしなくとも、健全に患者様・社会の役に立つことができる「整骨
院」の本来の在り方を取り戻す方法を模索しました。
~整骨院売却期~
さて、整骨院事業からどのように身を引いたのかというと、私は「事業売却」
を利用しました。「M&A」や「事業譲渡」という言い方をしたりもします。私が
「事業売却」した理由は経営を続けることの「メリット」を「懸念材料」を上
回ったためです。
中でも最大の要因は「人材確保の難しさ」です。当然、私の能力不足なとこ
ろがあるのは確かです。しかし、整骨院業界での人材とは、「技術職」で、「お
客様である患者に対して直接触れる職業であること」、「コミュニケーション能
力が一定水準以上必要なこと」、
「人間的な好感性」などが求められます。
そういった人材と、雇用するための給与がマッチングすることは困難で、な
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かなか優秀な人材を確保できません。仮に雇用できても継続させる難しさが常
に付きまとうものです。ちなみに売却を決意した当時は、3 つの店舗それぞれで
4 ヶ月ほどの間に 5 名ほどのスタッフが一気に退職意向を示してきました(売却
意向は伝える前)。
あらゆる手段で早急な人材確保をしながら、自分自身も現場に戻り、店舗の
運営に尽力しなんとか問題を回避しました。今後、
「店舗を増やす」構想も持っ
ていましたが、3 店舗でさえ発生した問題に、それ以上に増えた店舗で同様の問
題が発生する不安が頭をよぎり、さらに売却決意を高めることになりました。
振り返ってみて精神的に苦しんだ整骨院事業でしたが、それに伴って得た財
産もありました。それこそが「10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院の作
り方」を開発できたことです。
実際にどのように行えば、「整骨院経営を立ち上げ 2 ヶ月目から黒字化」し、
そのまま「5 年間の運営で 1 億円の純利益をあげることができる」というノウハ
ウが手に入ったのです(最短では4年程)。
「整骨院経営」は、コンパクトに、経費をかけずに、利益の最大化を目指し
た時に優位性を持てる事業体です。この特性を存分に活かしながら、5 年後にバ
イアウトし、夢のある「完全自費治療型の治療院」、「次の事業」、「別の事業」
へと羽ばたいていくことが可能です。上記の内容をまとめた唯一の経営方法こ
そが「10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院の作り方」です。これからの
整骨院業界を考えていく上でも、重要になる考え方だということにも取り入れ
た後に気づくはずです。ここからは、
「10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨
院の作り方」を具体的に記していきたいと思います。
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3.10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院を作るための準備
さて、ここからは実際にどうやって行っていけばいいのだろうということを
お伝えしていきます。まずは整骨院を開業するところからです。現在お持ちの
整骨院が、規模的に該当するもの、またはより近いものであれば問題はありま
せん(とはいえ、違う形でも方法はあるのでお困りの方はご連絡くださいね)。
~10 坪 4 床5年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院の肝~
10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を達成するための最大の肝は、
「できる限り費用
をかけずにはじめるということ」です。
「店舗家賃」、
「保証金」、
「医療機器」ほ
か、
「消耗品」、
「備品」関係含めてクオリティーが高く安価なものを選ぶ必要が
あります。当然、最初から過剰なサービスをする必要はありません。
開業までの作業を怠っては、損益分岐点を迎えるまでに時間がかかってしま
います。ここでの損益分岐点は事業全体を考えた損益分岐点です。開業資金の
目安は多くても 500 万円までで十分です。
そして開業時にもう一つ大切なことがあります。これは「初期費用」をおさ
えることに通ずるものですが、
「自分 1 人で始めること」です。整骨院業界は何
かと初めからスタッフを雇いがちです。しかし、人件費はかなり重い固定費に
なります。開業当初は、可能な限り早く黒字化するために、
「自分 1 人で始める
こと」を推奨いたします。ここさえしっかりクリアにできれば、立ち上がりの
肝となる部分はほぼクリアになります。以下に開業時に大切なことをまとめて
おきます。
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・医療機器を格安でクオリティーの高いものを入れること
・家賃、保証金はできる限り抑えること
・自分 1 人で始めること
・消耗品などは開院してから増やしていくこと
~物件の選定(保証金、家賃)~
では、どのような物件を選定すればいいのでしょうか(既存店舗が該当して
いる場合は問題ありません)。具体的な数字で言えば、
「家賃 20 万円/月以内の
店舗」、
「敷金礼金や保証金は 100 万円以下にする」ことが大切になってきます。
とはいえ立地も重要なので、どこでもいいというわけではありません。店舗周
囲にはある程度の人の流れがあり、人が集まる場所が近隣にあること、近所付
き合いがあるような商店街などの近くがいいでしょう。
上記のような立地の店舗を探し、金額的な部分で合わないのであれば、交渉
することが大切です。開業当初は意外と交渉しない人が多いです。交渉も、面
と向かって行うことが適切な場合もありますが、テクニックを使う方法もあり
ます。確実に家賃 20 万円/月以下、敷金・礼金・保証金は 100 万円以下とし、
開業時のキャッシュアウトは防ぎましょう。これは必ず守てください。
家賃とはいつまでも「固定費」として毎月支払わなくてはならない経費にな
るため可能な限り抑えましょう。まず、この条件がクリアできれば「10 坪 4 床
5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院」への道は半分以上クリアしたと言っても過言
ではありません。それぐらい大切なことで、大半の整骨院がやっていないこと
です。整骨院経営において、
「家賃」と「人件費」がキーポイントです。その1
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つである「家賃」をできるだけ減らすことは成功への大きなポイントです。
~物理療法関係の機器について~
次に、
「物理療法機器」、
「ベッド」などの初期費用はどうしたらいいのでしょ
うか。当然ながら、こちらの初期費用も可能な限り抑制しましょう。ここには
様々なテクニックが存在しています。「新品」で購入するのか、「中古」で購入
するのかというところも大きなポイントです。
干渉波的な「電療機器」は程度の良い中古を1台用意しましょう。次には、
比較的治療効果が出る「特殊電気治療機器」を、こちらも程度の良い中古で1
台用意しましょう。
「超音波治療器」等を希望する場合はおいても問題ないでし
ょう。
次には、
「罨法」として「ホットパック」や「氷嚢」など温めたり冷やしたり
することができるものを用意します。これは安価なもので十分でしょう。そし
て「ベッド」に関しては、こだわることを辞めましょう。とにかく安いものを 4
床揃えましょう
大きな備品関係は、合計で 150~200 万円以内で購入できるようにしましょう。
この範囲内で収まらない場合は何かおかしいと思ってもらってもいいかもしれ
ません。方法を探しましょう。新品であっても、お知り合い等を通じて安く手
に入ることもありますし、最悪はリースなどを使い、キャッシュアウトを遅ら
せるという手もあります。とにかくはじめは安価に、キャッシュアウトを抑え
て始めることが鉄則です。
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~内装関係(居抜き)~
次に大きな買い物は、内装関連でしょう。ベストな選択肢としては、状態の
良い居抜き物件を見つけることです。最初の段階から「スケルトン物件」を 1
から全て内装工事することは絶対に辞めましょう。
「居抜き」またはある程度「造
作」のある物件を探します。物件が決まったら、ご自身が行いたいコンセプト
にマッチングしたイメージの壁紙や看板等で対処していきましょう。
内装関係の費用は 100 万円以内で収める必要があります。10 坪の大きさであ
れば、「居抜き物件」もしくはある程度「造作」のある店舗なら、100 万円前後
で工事を行うことができるので必ずこの金額以内で収めるようにしましょう。
~運転資金について~
さて、ここまでくれば、立ち上げまでの完成度はかなり高くなってきていま
す。ここまでの資金的な状況をまとめてみましょう。
・物件取得費用(敷金・礼金・保証金関係・初月家賃):120 万円
・医療機器、ベッド、備品関係:150~200 万円
・内装工事(看板、カウンター含む):100 万円
トータルすると「370~420 万円」かかっていることになります。これに「棚
類」
、
「消耗品」等の購入費用を 30 万円ほど見積もればオープンまでは漕ぎ着け
ることができます。となると、残り「50~100 万円」が運転資金ということにな
ります。では、ここで記した店舗を作ると月毎のランニングコストはいくらか
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かるのでしょうか。
・家賃:20 万円
・消耗品関係:5 万円
・通信費等:2 万円
・水道光熱費:3 万円
・その他雑費:5 万円
となりトータルすると「35 万円/月」となります。運転資金は「50~100 万円」
残っていることを考えると 1~3 ヶ月の運転資金が捻出できている計算となりま
す。開院してしまえば売上が見込めてきますので、100%キャシュアウトするわ
けではありません。そのため普通にいけば 2~6 ヶ月ほどの運転資金と考えるこ
ともできます。
~「開業までに大切なこと」まとめ~
「10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院」に向けた開業までの準備で大
切なことをまとめておきます。
「10 坪」で家賃 20 万円/月以内の店舗を見つけます。敷金・礼金・保証金・
1 ヶ月分の賃料を支払います。その後、内装業者が「内装」、
「看板」、
「カウンタ
ー」を設置し、一先ず整骨院としての箱は完成します。
次に、
「物理療法」のための機械、施術するために必要な「備品」、
「棚」、
「シ
ーネ」、「包帯」などの「消耗品」を準備します。
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「物理療法機器」は、汎用の「干渉波」、治癒促進能力の高い「治療器」、
「罨
法」が行えるものがあれば十分でしょう。経済的な部分から中古でも十分です。
触れていなかった内容としては、
「保険請求代行」の組合や、その他「代行業
者」への依頼に関しては前もって行っておくことを忘れないようにしましょう。
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4.開業から売却に向けて行うこと
さて、ここまで指定してきた事項をおさらいしましょう。まずは 10 坪という
小規模で行うということが大切です。また、
「特殊電気治療器」を入れることも
大切です。この 2 点は必ず抑えたいポイントです。
この理由は、小規模であれば確実に家賃を下げることができて、
「特殊電気治
療器」を入れる理由は治療効果を出すためであり、自費治療収入を増やしやす
くするために有効という意味があります。この 2 点はしっかり押さえた上で開
院を迎えましょう。
そして「10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院」を作るために最後のポ
イントである売却まで、プレオープンからしっかりと目標を立て達成させてい
くことが大切です。それでは、この章ではプレオープンから売却までの流れを
見ていきましょう。
~「プレオープン告知」及び「プレオープン」~
まず、オープンに際して、まずは「プレオープン」を企画しましょう。これ
はスタートダッシュをかけるためには必要なことです。
「整骨院内覧会」、
「高齢
者アルバイト募集」、「施術体験会」など、その土地や患者の層を加味しながら
企画を練っていきます。
この企画においてどれだけ地域の方々に「整骨院」を知ってもらえるかが最
大のポイントとなります。3 日間くらいを予定して行うことがいいでしょう。3
日間が終了したら、終了日の翌日が定休日になるように設定し、
「プレオープン」
で出た課題を洗い出した上で、「通常のオープン」に備えるのがベストです。
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プレオープン告知方法は、「新聞折込」や、「FAX-DM」、「ポスティング」など
の費用が少額で済み、効果が高いものを選びましょう。
~1年目の整骨院運営~
「プレオープン」も終了し、課題の洗い出しも完了し、実際のオープンに向
けたロールプレイングも行った後、いよいよ待ちに待った本番オープン日です。
そんなまず「1 年目」の経営・運営方法についてみていきましょう。
1年目の目標は、
「オープン」から 3 ヶ月で単月黒字化を目指しましょう。で
きれば 2 ヶ月目から単月黒字化したいところです。
「委任払い制度」を利用した
保険請求も、通常医師の保険請求と同様に、請求から支払いまでのタイムラグ
が生じます。このタイムラグは各保険者様々ですが約 4 ヶ月の支払いサイトが
生じます。この間の収入は窓口料金しか入ってこない状態となるため、この窓
口料金のみで固定費を最低限まかなえるようにしてしまいたいところです。
3 ヶ月経ったところで、黒字化を達成させると、次は患者の増患に力を注ぎま
しょう。
「ネット媒体」、
「ブログ」、
「チラシ」、
「メルマガ」等を駆使しながら一
度来院した患者さんに認めてもらえるような「技術」、「笑顔」、「人柄」が大切
になってきます。そして、増患に最強の方法である口コミが出るように目の前
の患者さんの症状改善に全力を注ぎましょう。
ここまできっちりできれば 1 年目は成功です。あとは自然と患者さんは集ま
り出しますので目の前の患者さんの症状改善に全力を尽くしていきましょう。
施術者を増やすタイミングとしては、
「1 日の来院患者数が 25 名を超える日が 1
ヶ月で半分以上」になったところでスタッフを 1 名増やしましょう。ここから
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は 2 人体制での整骨院経営になります。
気づいたかと思いますが、ここまで特殊な集患手法などは必要ありません。
真面目に患者様に向き合い、初期費用を可能な限り落した整骨院経営をすれば、
黒字化するのは難しくない業界であるということです。
~2 年目から 4 年目の整骨院運営~
1 年目が終了し、2年目に入ります。1 年目の過ごし方を完全に果たしている
と、あなたの整骨院は地域に密着した形の土台が出来上がっているはずです。
「口コミ」もコンスタントにでて、
「新規患者」及び「1 日の来院者数も 30 名か
ら 40 名ほどで推移」するようになっていると思います。カルテ数も 400 枚ほど
になっているとだいたい予定通りでしょう。
2 年目に入ったら、売上を加速させなければいけません。2 年目はカルテ枚数
も 1 年で 600 枚~800 枚ほど増えるように新規獲得しなければなりません。ここ
まで予定通りに来れば「1 日の来院者数は 50 名ほど」になっているはずです。1
日の来院患者数が 50 名に届くようになった時点で、二人目のスタッフをいれま
しょう。この時には、月間売上は 200 万前後を達成している必要があります。
続いて行うことは 3 人目のスタッフを増やすタイミングです。そのタイミン
グとは、1 日の来院患者数が 50 名の日が 1 ヶ月で 10 日ほどになった時点でもう
一名スタッフ増員です。ここで同時に、休診日をなくしましょう。つまり年中
無休状態にするということです。
この時点で、オーナー自らが院長として施術しているのであれば、4 人体制で
行っている計算となりますが、自分以外のスタッフにある程度任せられるよう
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になった時点で、あなたは現場を離れるようにしていきましょう。他スタッフ 3
名で整骨院運営ができるように指導及びマネージメントしてきます。タイミン
グとしては、4 年目の中頃までに作り上げましょう。この時の月間売上は 250~
300 万ほどいけばいいのですが、実は厳しいレベルなので、200~250 万ほどあ
れば十分です。この数字を安定させるように運営していくことが目標になりま
す。
~5 年目の整骨院運営~
そして、とうとう 5 年目に入ります。ここで必ず達成しておきたいことは、
「ス
タッフ 3 名で整骨院の運営の 9 割がまかなえて、売上を維持、または上昇させ
ている」ことです。ここは最後の肝となる部分なので慎重に進める必要があり
ます。スタッフが合計 3 名、月間売上 250 万円前後の状態です。ちなみに、250
万円から「固定費」や「消耗品」関係を引くと月間粗利は 100~130 万円残って
いるはずです。
この残った利益を、最小限の「管理費」等に当て、可能な限り内部留保させ
ることをお勧めいたします。お金を残す為の合法的な方法もたくさんあります
ので、そういった方法を使って節税するといいでしょう。
「顧問税理士」やお知
り合いの「税理士」、または「区役所」、
「市役所」で支援をしてくれるところも
あるので、どんどん相談しましょう。とにかくポイントは「経費を抑え、売上
を上げて、月間粗利を最大化」させておくことです。この月間粗利が「事業売
却」にはとても大切です。
5 年目に入って、「条件を満たしている」、「条件に近い状態」となったら「事
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業売却」を視野に入れて動き出しましょう。そしてここで「事業売却」の基礎
知識があります。それは、「事業売却の売却額の相場は月間純利益の 24 倍であ
る」ということです。100 万円の純利益が出ている整骨院は 2.400 万円を基本と
して価格がつくということです。買い手の言い分も考えた時、2.000 万円ほどで
話がつけば成功と言えるでしょう。
この後は、
「法律的なこと」、
「店舗のみ売却」、
「法人すべて売却」など専門性
がでてくるので、事業売却の専門家にお願いすることが最善の方法となります。
そのためここからは、M&A に関する内容、どういった業者選びが大切かなどを詳
しくお伝えしていきます。
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5.整骨院店舗の事業売却(M&A)の進め方
ここからは、実際に「事業売却」、「法人売却」する際の詳しい内容をお伝え
していきます。「M&A」と聞くとニュースでは大手企業等が取り上げられていま
す。しかし、何も大手だけの経営手法ではなく一個人でも行うことが可能で、
また一般的に行われている経営手法です。なかなか自分で行う機会や、周りで
そういったことを行っている方々も少ないために馴染を感じないかもしれませ
ん。
「M&A」を行うことのメリットとしては、「一定以上の現金収入が得られると
いうこと」、「事業を縮小または廃止せずとも他の事業への移行ができること」
があげられます。整骨院業界の中では、
「売却」と聞くと「居抜き」という形を
イメージする先生方が大半ではないでしょうか。
「居抜き」は「内装関係」や、その他備品類等もそのままに、二束三文の金
額で買い手に渡してしまうというのが実情です。「M&A」であれば「居抜き」で
の売却の 10 倍以上の金銭的価値は見込めます。さらに言えば「居抜き」は売却
先が見つけにくいのが特徴です。それに対し、
「事業売却」は売却先探しに困る
ことが非常に少ないのが特徴です。
~「M&A 業者」の選び方~
「M&A」と聞いても、イメージできないのが実情ではないでしょうか。かくい
う私も検討し始めた頃は同様でしたが、勉強し、英検することで沢山の知識を
得ました。初めはみんな分からないことだらけなので心配ありません。
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つまり最初はどうしても素人なので、しっかり対応してくれる業者を選ぶこ
とが売却時には何よりも大切です。「M&A」は単純に物販のように売買すればい
いというようなものではなく、
「事業のみ」、
「法人全体」というように売却形態
も変化させることができます。
そのため、かなり複雑な内容になってくることから、最初の段階で全てに対
して「時間」と「労力」を注ぐのは機を逃すことになります。そんため、専門
業者に依頼するのが通例でしょう。または、
「顧問税理士」や「弁護士」も「M&A」
の専門家の方がいらっしゃるので彼らに相談するのも一つの手だと言えます。
そのような方々が近くにいないのであれば、「M&A」の業者に依頼してしまうの
が得策です。
しかし、
「M&A」の業者にも様々な業者があります。
「業者に支払う手数料も様々
で、「着手金をとる業者」や「成功報酬型の業者」など様々です。「書類作成」
等は別途かかる業者もあります。
~売却までの進捗に関して(概要)~
実際に、ここからは、売却しようと決意してからどのような形で進んでいく
のかということを記していきます。前述した通り、優良な業者が見つかった場
合、そこに依頼することが得策なのですが、まずは「売却側企業(=つまりあ
なた)」の「事業情報」を開示して「概要書面」を作成してもらいます。
その後、
「仲介業者」が買い手を探し始めます。そして、興味がある候補企業
が見つかった時点で「秘密保持契約」という契約を結ぶことになります。これ
は「売却側」と「売却先」で交わすもので、この「M&A」に関して情報が漏れる
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のを防ぐ契約書になります。
「業者」や「売却先」候補者が情報を流すことを避
けることで、
「従業員」、
「その身内」などに事前に情報漏洩が無いようにするた
めのものとなります。
もちろん優良な売却案件はすぐに買い手がつきますが、そうでない案件に関
しては、なかなか出てこない場合もあるでしょう。とはいっても、
「10 坪 4 床 5
年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院」の条件であれば買い手の募集をし始めて 1~3
ヶ月ほどで簡単に決済まで進んでいくことが多いです。
実際に「売却先」候補が見つかり、業者と「売却先」候補企業で、様々な念
密な打ち合わせ後、
「売却先」との条件がすり合わされてきた時点で、
「売却側」
と「売却先」が初めて面談をします。
どのような面談をするのかと言うと、実際の経営状態を細かく Q&A のように
な形で面談を勧めます。その面談の結果で、
「売却側」と「売却先」共に興味が
高まった時、
「独占交渉権」を「売却先」が得ることになります。この時点で他
の「売却先」候補は交渉ができなくなります。この独占交渉が始まった後に、
「デ
ューデリジェンス」、「合意契約」、「最終交渉」、「決済」といった流れで事業売
却(M&A)が完了していきます。
ここで一番気をつけなければいけないことは、基本合意に至るまで情報の漏
洩は避けなければならないということです。それはあくまで「譲渡する条件」
を決済まで満たしている必要があるためです。その際の最大のネックは従業員
が影響してくることが大きく、情報漏洩によって従業員の不安を煽り、退職し
てしまうことを防ぐためです。
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~「M&A」書類の準備及び、具体的な交渉~
ここでは、「売却側」に大切な条件の書類に関して記載し解説していきます。
書類に関して、大きく分けると「準備期」「交渉期」「契約期」に分類をするこ
とができます。
【準備期】
買い手・仲介業者との間で「提携仲介契約の締結」を行います。これは、そ
れほど難しいものではなく、
「売却側」と「業者」間で業務をお願いするにあた
っての契約書のことです。
また、「企業及び事業において必要な書類の提供」を行います。仲介業者が、
貴方の企業や事業の状態を把握するために、
「売上」や「経費」の部分について
把握し、企業および事業の評価を行うためのものです。
【交渉期】
「企業概要書(ノンネームシート)」の作成を行います。この企業概要書とは
「売却先」が「売却側」に、
「売却側」が「売却先」に細かい内容を伏せた状態
で一部の情報を開示するものです。
「大まかな場所」、
「主な事業内容」、
「譲渡希
望額」といった概要を伝えるためのものです。
さらに「秘密保持契約書」の作成を行います。
「ノンネームシート」が作成さ
れた後、
「ノンネームシート」以上の情報開示を行わないという「売却先」候補
企業と契約するためのものです。
次に、更に詳しい「企業概要書」の作成を行います。初めに提出した「ノン
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ネームシート」よりも詳しい内容が書かれた概要書面を作成し、
「売却先」候補
企業に開示するためのものです。それを確認し、更に購入意欲が前進した時点
で次のフェーズに入ってきます。
その後、
「トップ面談」及び、
「現場確認」を行います。ここで初めて、
「売却
先」候補企業と「売却側」が顔をあわせることになります。この会談では、口
頭にて、より詳しい質問を行い、お互いの「様子」や「誠実さ」等を確認して
いくことになります。高額な金銭のやりとりが行われるわけですから、「人柄」
や「誠実さ」ということも売却額を決定する上で重要になってきます。
ここからいよいよ価格交渉に入っていきます。あらかじめ大まかな価格は伝
えてはいるのでそこまで恐れる必要もありません。とはいえ「売却先」候補は
減額交渉してくるのは必然なので油断をしてはいけません。
【契約期】
「基本合意契約書」の締結を行います。いよいよ最終局面です。お互いの希
望が合致した時点で「基本合意契約書」を締結します。これも「売却先」企業
と「売却側」で締結するもので、締結してしまえば、
「売却先」企業を変更する
ことはもうできません。
この後には、
「デューデリジェンス」という、実際に提出された書類に虚偽が
ないかを専門家を交えて「収入」や「経費」を開示していき、大きな会社であ
れば数週間から 1 ヶ月、小さな企業や店舗であれば数時間で終了する内容です。
また「不動産賃貸」、
「従業員」への情報開示を行うことになります。
「基本合
意」が締結された時点でタイミングを見て、
「不動産契約」や「従業員」との今
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後の契約内容等に関して交渉を始める事となります。事業が譲渡された時点で、
締結した条件が適用されることになるので、丁寧な交渉が必要です。ここでの
交渉が滞りなく完了した時点で最終の契約に進みます。
そしてとうとう「最終契約の締結」及び、決済が行われます。しかし、まだ
まだ安心できないのが「M&A」です。なぜなら、実際に金銭的なやりとりが終了
するまでは安心はできません。最後の契約を締結し、譲渡金額が実際に入金と
なった時点で終了となります。
~「売却金」受け渡し方法について~
さて、ここまで来た時に、「M&A」において注意しなくてはいけない事があり
ます。それは、金銭のやりとりに関わる部分です。金銭のやりとりが終了しな
いことには、譲渡が成立しません。
私が実際に M&A を行った中で、注意した部分でもあるのですが、金銭のやり
とりは、
「現金一括支払い」に限ります。あらかじめ購入資金はあるのかといっ
たところを確認する必要はあるのですが、「現金一括支払い」がベストです。
業者の中には、借入金から行うという場合もあります。また、分割での受け
渡しという場合もあります。あくまで最終的に判断するのは、
「売却主」である
あなたですが、金銭の受け渡し方法はあらかじめ確認しておいたほうがよく、
可能な限り「現金一括支払い」を選択しておくことをおススメします。順位付
けを行うのであれば以下を参考にしてみてください。
【1】現金一括支払い
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【2】現金分割支払い
【3】融資一括払い
【4】融資分割払い
優先順位はこの1~4の順番で選択するようにしましょう。状況や考え方に
よっても選択肢はいくつかあるとは思うのですが、
【1】の現金一括支払い以外
は、要検討で最終手段として考えたほうがいいぐらいです。シビアに検討する
べきところだと思います。
~事業売却後のフォローに関して~
「事業譲渡」や「企業買収」に関して、どうしても売却後のフォローはつき
ものです。それは、
「売却先」企業にとって初めての事業だった場合や、初めて
ではないにしても、実際に運営してみた時に不測の事態などが発生することも
考えられるからです。そんな時に「前オーナー」が近くにいるということは非
常に心強いものです。
また、
「従業員」も「前オーナー」にフォローしてもらうことのほうが精神的
なストレスが減少するという利点もあります。整骨院業界は職人気質の方々が
非常に多いため、フォローは必要になります。ある程度、新オーナーが業務を
理解し、運営ができるようになると予測される期間のサポート日数等も、最終
契約書には織り込まれるので、その期間は適切にフォローしていきましょう。
予想よりも早い段階で新オーナーも事業を理解して、運営も正常化されること
が多いのでそこまで心配になることではありません。
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ここまでが、一連の動きとなってくるのですが、実際の「M&A」は伝えきれてい
ないことも当然あります。それは「売却先」、「売却側」共に様々な方々が存在
し、仲介業者によっても内容は変わってくるため、最後は臨機応変な対応が必
要になってくるためです。
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6.事業売却(M&A)後の事業展開について
いよいよ事業を売却し、自分の行いたい事業展開やビジョンに力を注ぐ時が
きました。冒頭の開業の章でも伝えた通り、当初思い描いていた整骨院を 1 回
目で作り上げることは困難です。また、一度始めた整骨院の延長線上で、おそ
らくあなたが思い描いた整骨院を経営するのも簡単なことではないと、経営す
れば分かったと思います。そこで一度、
「事業売却」を行うという経営手法をお
ススメしてきました。
さてこの章では「事業売却」後に行うと良さそうなことをお伝えしていこう
と思います。もちろん貴方のやりたいこともあるでしょうから考え方として参
考までにとどめていただけたら幸いです。
「事業売却」によって得た「売却益」と「留保」していた金額を合わせると
「3.000~5.000 万円」程のキャッシュがある状態だと思います。このキャッシ
ュを使って、
「保険を一切使わない整骨院」や「その他の事業」を行うことがで
きます。
通常の整骨院とは違って、初期投資費用は少なく済むと思いますので、ほと
んどが運転資金に回せます。運転資金がたくさんあれば、集客を焦る必要もあ
りません。完全予約制にして、通常の整骨院時代のような、患者に追われて仕
事をするような日々は無くなるでしょう。
また、
「柔道整復師」や「鍼灸師」のような体に関わる事業から手を引きたい
と考える方は、
「商品開発」や、その他の事業への「投資」を行うのもいいでし
ょう。まとまった資金があると、ある程度のことはできてしまいます。
収益を上げていけるようなマーケットを探して、そこにチャレンジしてもい
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いでしょう。資格を無駄にしたくないのであれば、再度違ったコンセプトの整
骨院を立ち上げてもいいと思います。海外留学だって、大学に行くことだって
できます。
売却後というのは選択肢が沢山増えてきます。定期的な収入がなくなるもの
の、まとまったキャッシュが入ってくることによる選択肢の増え方を感じると
思いのほか安心感があることに気づきます。
「分割」で「売却益」を支払っても
らった場合には、上記のような展開は不可能です。そのため、
「現金一括支払い」
にこだわっていた部分があります。
このように事業売却(M&A)を行い、本当に自分がやりたかったことに、「時
間」と「資金」を費やしてみてはいかがでしょうか。夢を夢で終わらせないた
めにも。
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7.最後に。
最後まで「10 坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院の作り方」を読んでい
ただきありがとうございました。いかがだったでしょうか。一見ありきたりに
見える部分もあったかもしれませんが、なるべくリアルになるように記しまし
た。経験のある整骨院の先生では共感して頂ける部分も多々あったと思います。
そこまで共感してもらえるような部分があったのは、実際に私自身が経験し
てきたことだけを記してきたからです。そして私自身が整骨院経営を経て失敗
し、改善してきた内容をベースに記したからです。
ここに記された内容は、ある整骨院先生からすれば、非常に窮屈で真面目す
ぎると感じるかもしれません。そこまでしなくてもある程度の所で経営を続け
ていけばいいと考える人もいると思います。
しかし、問題は国の「医療費」や「療養費」は削減されていく方向性が確実
だということです。そして不正問題の発覚が続出している中で、今よりも保険
内での治療が厳しくなることも目に見えて分かっていることです。そんな中で、
特に変化をつけずに継続していこうとすると、どうしても不正が横行してしま
うのかもしれません。
ただ、本当に不正を続けていていいのでしょうか。不正を続け、儲け続けた
としても、常に何か精神的な疲労を追うことになります。しかもそんな業界を
見ても夢を描くことができる若手が育つこともありません。つまり、業界の水
滞につながるということです。
「柔道整復師」とは、「外傷のスペシャリスト」として「医師」にも、「薬」
にも治すことのできない領域を担当する本来の在り方があるはずです。そして、
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求める患者が存在しているはずです。そして、あなたが何らかの夢や目標があ
って取得した国家資格であるはずです。そのためには「クリーン」で「社会に
求められる」業界にしていく必要があるはずです。
こんな問題を多く抱えた業界が進化していくための一つの方法論こそが「10
坪 4 床 5 年間で粗利 1 億円を稼ぐ整骨院の作り方」です。既に気づいている先
生方や企業は次々と M&A を成立させていっています。まさに業界の変革期に差
し掛かっています。問題のある整骨院業界の部分にばかり光が当たってしまっ
ていますが、真摯に素晴らしい独自の技術で患者に貢献している先生方がたく
さん存在し、そういった先生方しか生き残ることができない業界へと移行して
いっています。残りは雇用という立場で大手の企業が経営する整骨院で働き続
けることになるでしょう。
全て最後はあなたの選択です。ここに記した整骨院業界の未来も、あくまで
私が推測しているに過ぎません。しかし可能性がないと言い切ることはできな
いはずです。経営を続けていく、もしくはこれから始める上では、今後のリス
クについて考え、対策をもっておく必要があります。そんな時に、本書が何か
の役に立ったとしたらこれ以上の幸せはありません。
最後になりましたが、皆さまと一緒に、本来の整骨院業界を取り戻し、次世
代の「柔道整復師」が育つクリーンな業界になるように貢献して参りたいと思
います。今後も業界の最新情報などは、弊社が運営する「整骨院経営.com」
(http://seikotsuin-keiei.com)という情報サイトで配信して参りますので、ぜ
ひ本著と合わせてご確認ください。
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各種お問合せ、コンサルティングの依頼に関しては弊社 LINE アカウント
(https://line.me/ti/p/%40zng4234d)までご連絡ください。また、「整骨院経
営.com」からの最新の情報も届くのでぜひ弊社アカウントを「友だち追加」し
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