30~ 講演 2 短時間勤務正職員制度

ママは放射線科医
こんにちは。川口あすかと申します。
私は卒後臨床研修を 2 年経て、放射線科入局後 5 年目の放射線科医です。私は 1 歳 4 ヶ
月の息子のママでもあり、現在は育児をしながら仕事をしています。私の今までの経過や
現在の仕事などについてお話させていただきます。
私は臨床研修終了後、放射線科に入局しました。入局した理由ですが、もともと画像に
興味があったということと、臨床研修で放射線科を 3 ヶ月研修した時に、マイペースで仕
事ができる科であると思ったことです。また、結婚や出産後も細々と仕事を続けたいと思
っていたことも、理由のひとつでした。私は結婚しても仕事は続けようとは思っていまし
たが、子供ができたら子育てに重きをおきたいと以前から思っていました。放射線科なら、
読影バイトだけという形でも、仕事を続け易いのではないかと思いました。
実際に入局してみると、やはり自分のペースで仕事ができる点が私には合っていました。
自分の頑張りによって早く仕事を終えられますし、反対にじっくりと調べたいことには時
間がかけられます。また、休みはしっかりあるということがよい点だと思います(診断部の
みですが)。診断部では受け持ち患者さんがいないので、休みはしっかりとれ、予定が立て
易いです。
私は入局して 1 年後に結婚し、その 1 年後に放射線科認定医を取得しました。その後妊
娠し、長男を出産しました。私は妊娠中につわりがひどく、寝込んでしまうほどでした。
つわり中は仕事に行けずに休んでしまいましたが、仕事を代わっていただいたり手伝って
いただいたり、仕事量も妊娠前よりも軽減していただいたりと、気を遣っていただき、な
んとか乗り切ることができました。また、マイペースで仕事ができるので無理はせず、お
腹が大きくなってきても座り仕事なので楽でした。当科は妊婦に優しい職場でもあると思
います。
出産後は育児に専念したかったので、1 年間の育児休暇を頂きました。初めての育児なの
で、家庭と仕事の両立は難しそうだと思ったことと、子供とべったりと過ごしたかったか
らです。育児休暇中は、毎日子供と一緒に過ごしました。慣れない育児に戸惑うこともあ
りましたが、子供が日々成長していく姿を見るのはとても嬉しいものです。また、育児休
暇中に専門医試験に合格し、放射線科診断専門医を取得しました。
現在は、当院の短時間勤務正職員制度を利用し、週に二日間、午前中のみ仕事をしてい
ます。午前中の CT、MRI を担当し、読影をしています。子供は院内の保育所で預かって貰
っています。しかし病時保育は無いため、子供がよく熱を出したりして、私もお休みしな
ければいけないこともしばしばあります。
子育て期間は、子供が小学校を卒業する頃までと考えると、まだあと 15 年程あるかと思
います。子供が大きくなってから、もし私が再び仕事を本格的に再開しようとしたときに、
長いブランクができることと、日々技術も進歩するので、まともにはたらけるのか…とい
う不安があります。多くの科では、患者さんと向き合うことでしか得られない多くの知識、
技術があると思います。しかし画像診断の分野では、画像と向き合うため、最新の知識、
経験を得るにも、時間の融通が利き、知識を習得しやすいというメリットがあると思いま
す。このため、短時間勤務でも最新の技術に触れられ、また、自分の専門分野を作るため
に意識して学んでいくことができると思います。そのため、子育てが一段落ついて通常勤
務に戻った時にも、大きなブランクなく勤務に入っていけるのではないかと考えています。
今後は、仕事と育児を両立しながら、自宅で遠隔診断をすることも考えています。
私のようにのんびりと仕事をしたい人も、バリバリ仕事をしたい人にも、放射線科は対
応できる科だと思います。当科も最近は女性医師が増えてきました。当科の仕事に興味を
持っていただけたら幸いです。ありがとうございました。