全国私教連速報 神奈川:白鵬女子高校 黒崎先生不当雇い止め撤回闘争 1 月 23 日(木)、この日、神奈川の白鵬女子高校黒崎先生の不当雇い止め闘争は大きなヤマ場を迎 えました。第5回の口頭弁論が横浜地方裁判所第 7 民事部 502 号法廷で開かれ、午前 10:00~午後 5:00 までの証人尋問が執り行われたのです。学園側は4人、原告である黒崎先生はご自身 1 人の証 人を立て、その 5 人の尋問を 1 日で終えるという、裁判闘争においては文字通り天王山となる口頭 弁論でした。 学園側の証人は、前職を辞職させてまで白鵬の常勤講師として黒崎先生を招きながら、今回の雇 い止めに関与している教員、水球部の同僚顧問、事務長、校長の 4 人でした。10:00 の開廷から 学園側の証人尋問がつづきました。学園側代理人は各証人の尋問の最初に、必ず「年契約の最初は 1 年限りという確認でしたね」 と常勤講師は年契約であることを印象づける尋問を繰り返しました。 4 人への尋問とそれに応える証言は、黒崎先生が白鵬へ勤務するまでの経緯、常勤講師となった後 の実践について、誹謗ともいえる内容を繰り返しました。 傍聴席には黒崎先生の前職場の同僚、白鵬への紹介のきっかけの場となったスイミングスクール の同僚など、事実を知る人が並んでいます。傍聴席は繰り出される証言に怒りの空気があふれまし た。昼食をはさんだ午後最初の事務長の尋問では、黒崎先生の代理人からの反対尋問で追求される 中、事務長本人が見ていたわけではない証言内容もあることなどが明らかになっていきました。 学園側最後の証人である藤原校長の尋問が、この日最大のヤマ場となりました。契約時のやり取 り、今回の雇い止め理由とされた出来事、それに対する校長による指導、そして雇い止めを決定す るまでの経過等について、学園側代理人からの尋問にうわずった声で証言する校長。その後、黒崎 先生の代理人による反対尋問によって、午前中の 2 人の証言と校長証言の食い違いが明らかになっ ていく中で、校長の顔がだんだんと紅潮し、声が震える状況になっていきました。そして校長に呼 ばれ 2 年目に向けた話をされた時のやりとりについての校長証言について、黒崎さん側から後出証 拠が提出されました。この校長とのやり取りを、黒崎先生はボイスレコーダーで録音していたので す。これにより、校長証言の曖昧さ、虚偽性が明白になり、その後の反対尋問に対しての校長証言 は「覚えていない」 「記憶にない」という証言になっていきました。 最後の証人は黒崎先生ご自身です。黒崎先生は、学園側証人の証言を裏付けようとする学園側代 理人の尋問にまったくひるむことなく、挙げられた出来事について「やっていない」と胸を張って 証言しました。白鵬に戻ってまずしたいこと、として「ぶつかりあいも有った子たちが、2013 年 学校に入れてもらえなくなったところで『何で先生やめちゃったの?』と悲しんでくれた。まずこ の生徒達を送り出してやりたい」と教壇復帰の熱い思いを語りました。 報告集会では、弁護団から「サポーターの多さに元 気が出た」という発言が続きました。裁判所が 2/6 に 次の弁論を入れたのは、年度変わりでの復帰を視野に いれていると見えます。教壇復帰を勝ち取るために、 学園を包囲する運動を強めることが訴えられました。 全国私立学校教職員組合連合 No.96 2014 年 1 月 28 日(火) 1 月 25 日(土)、非常勤講師の違法請負問題、不当雇い止め解雇を闘っている小島先生の闘 いを県民に広く訴えるため、埼玉県さいたま市浦和のさいたま共済会館を会場に、 「シンポジ ウム「えっ、学校の先生が派遣・請負?!」を開催しました。当日は、埼玉私教連各単組をはじ め「小島先生を支える会」に結集した諸団体から約 100 名が参加し、派遣講師問題について 議論を展開しました。 主催者あいさつ及び基調報告で「小島先生の事件は、全国で広がっている常勤講師問題 とそれを土壌にした間接雇用講師問題として教育の問題であり、社会の派遣をはじめとし た間接雇用の問題につながる大きな事件であって、このシンポジウムでその打開の道筋を 議論したい」と桜井埼玉私教連委員長と西谷副委員長から訴えられました。 その後、シンポジスト発言では、小島さんがご自身の経験から、派遣会社がマージンを 取るので賃金は専任の 1/3(保険もないことを考えると実質 1/10)であり、持ちコマ数が わかる 4 月まで収入がわからないという賃金問題、授業中に何かあった場合の責任をだれ が負うのか? つけた成績の最終責任は学校でなくなるのか? という責任の問題、月の収 入が不安定な問題と問題点を3つ挙げ派遣講師は学校にふさわしくないと訴えました。 業務委託の経験のあるAさんとBさんは、登録で働いていたとき派遣会社にかなりの額 を取られていたこと、自分が登録で働いていた学校のパンフレットには「全部専任の教員 がやっています」と書いてあったこと、某大学の派遣技術員の時見た書類には派遣会社に 支払う予算が「物品購入」という項目になっていたこと、派遣会社というのは時間数を増 やした方が実入りが多くなること、派遣というのは私立学校にとってはコストは高く「学 校が払っている額は直接雇用の講師よりも高いのだから、業務が少なくなることは無い」 と校長からいわれたこと、会社は営業のことしか考えていないことなど、なまなましい実 態が報告されました。 中川弁護士からは、企業の脱法的実態を基に直接雇用と無期雇用という雇用の原則が弛 められてきた労働の規制緩和の情勢が生んだ問題であり、派遣法の大改悪に反対する運動 の中にこの闘いを位置づける必要が述べられました。 教育研究者の世取山洋介新潟大学准教授からは、 「競争的に教育を再組織して測定可能な 陳腐な学力獲得をめざすのが新自由主義教育改革。テスト勉強だけやって○つけしておけ ば成り立つ内容なら正規の必要ない。3 割正規で良いだろうという見方が教育の世界にも 広がっているのではないか。派遣講師問題もその情勢が根本にある。その意味では集団的 営為である学校教育の質が問わる問題である。非正規の教員は①その学校の教育課程の特 色を教えてもらえない「担当教科の中での孤立」、②子どもの情報が回ってこないという「生 活指導の中での孤立」、③行事の日程などが知らされない「学校運営からの孤立」という 3 重 の意味での孤立に追い込まれている。私学助成制度が、固定費に流れやすい問題も原因の 1 つ。このカリキュラムのためには正規が必要なんだ、ウチの教育の質を劣化させないため に正規雇用が必要なんだ、私学の存在意義がなくなるんだ、という闘いが必要だ」と、私 学教職員組合運動に檄をとばすような発言となりました。 こうした発言を受け、市民県民に教育の問題として「派遣講師問題」を訴え広げていく 運動の方向が提起され、この日のシンポジウムは終了しました。 問題の性質上、プライバシー保護の 観点から写真は割愛しました
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