2012年2月10日 郵便事業株式会社 代表取締役社長 鍋倉 眞一殿 郵政労働者ユニオン 中央執行委員長 松岡 幹雄 2012年度賃金引き上げ等に関する要求書 郵政ユニオンは、2月4日、5日の両日第9回中央委員会を開催し、2012春闘における賃 金引き上げ要求額ならびに正社員化・均等待遇要求、大幅増員と労働時間短縮等に対しての要 求を決定しました。賃金引き上げ要求の決定にあたっては、ユニオンをはじめ郵政産業労働組合 や郵政倉敷労働組合で取り組んだ12春闘アンケート結果を参考に諸情勢を検討した結果の要 求となっています。 郵政社員の基準内賃金は296,203円で10年前と比較して5,000円以上のダウンと なっています。1,000人以上の産業計(2010年)の所定内給与348,100と比較し 5万円以上も低い水準となっています。また、昨年の一時金の年間支給額は、平均90万円前後 で大手企業(経団連調査2010)と比較すると50万円も低額となっており郵政労働者はかつ てなく厳しい生活に追いやられています。 また、非正社員はアンケート結果、「会社収入が主な生活費かどうか」の問いに対して「なっ ている」と回答した人が74.7%となり過去最高となりました。郵政各社が非正社員の時給を 引き上げることは企業の社会的責任として当然の責務であると考えます。 平成23年度中間決算では郵便事業会社をのぞいて他社は軒並み黒字決算となりました。郵便 事業会社も平成22年度決算では、資本剰余金、利益剰余金、退職給付引当金を合計すると1兆 1,405億円もの内部留保を蓄えています。また、日本郵政、郵便局会社、郵便事業会社3社 合計8兆4,082億円の内部留保となっています。郵政各社が、私たちの要求に応える体力は 十分備わっています。誠意ある労使交渉とそれを踏まえた回答を求めます。なお、回答について は3月14日を期限として行われることを申し添えます。 記 1、賃金引き上げに関する要求 (1) 正社員の基本給月額を一人一律20,000円引き上げること。 (2) 正社員の初任給を大幅に引き上げること。 (3) 高齢再雇用社員の基本給月額を一人一律フルタイム勤務社員10,000円、短時間勤務 社員5,000円引き上げること。 (4) 短時間社員の基本給月額を一人一律10,000円引き上げること。 (5) 月給制契約社員の基本月額賃金を一人一律20,000円引き上げること。 (6) 時給制契約社員の時給を200円引き上げること。 (7) 年間一時金については、正社員・高齢再雇用社員・短時間社員の年間一時金については 4.3月分を支給すること。月給制および時給制契約社員については正社員に準じて支給 すること。 (8)期間雇用社員最低賃金を下記の通り保障し、最賃協定を締結すること。 ① 誰でも、どこでも時給1,200円以上とすること。 ② 誰でも、どこでも月額150,000円以上とすること。 (9)時間外労働等割増率について正社員、非正社員かかわりなく以下の通りとすること。 ①時間外割増率は、超勤時間数に関係なく100分の150とすること。 ②休日労働は、100分の200とするここと。 ③夜勤手当は、100分の50とすること。 (10)月給制契約社員、時給制契約社員、短時間社員の平均賃金額を明らかにすること 2、正社員が育児休業を取得した場合一時金からの減額について日割り計算にさえされていない ため、例えば数日の取得でも1.2ヶ月しか支給されなくなるという不合理が生じている。昨 年11月30日公布人事院規則では国家公務員について、一ヶ月以下の短期間取得では一時金 を満額受け取る制度改正がなされている。これにならい一時金の減額をやめること。最低でも 日割り計算に改めること。 3、期間雇用社員等の正社員化・均等待遇、福利厚生に関する要求 (1) 正社員登用を拡大すること ① 希望者は原則全員正社員登用すること。 ② 11年度の正社員登用数を明らかにすること。 ③ 12年度の正社員登用について、応募要件の緩和、登用基準の緩和と透明化、協約化を行う こと。 ④ 12年度の正社員登用計画を明らかにすること。 (2) 時給制契約社員から月給制契約社員登用制度の見直しを行うこと。 ①応募要件の緩和と登用基準の透明化、協約化を行うこと。 ② 時給制契約社員から月給制契約社員への応募基準を満たす期間雇用社員人数を明らかにす ること。 ③11年度における時給制契約社員から月給制契約社員への登用人数を明らかにかにすること。 ④12年度における月給制契約社員登用予定人数を明らかにすること。 ⑤登用受験者が不合格の場合、通知の際にその理由、今後の課題を伝えること。 (3)短時間社員に関して以下の通りとすること。 ① 希望者全員を正社員へ登用すること。 ② 11年度の短時間社員から月給制契約社員への転換人数を明らかにすること。 (4)手当関係 ① 祝日勤務については、正社員が祝日に非番日が指定された場合の手当支給すること。 ② 時給制契約社員の非番日労働割増率について、社員同様100分の135とすること。 ③ 早朝・夜間割増賃金の支給額は正社員の「早出勤務手当等」と同様とすること。 ④ 深夜割増賃金は100分の50とすること。 ⑤ 作業能率手当に関して、各支店における標準物数・標準作業時間に隔たりがあることを踏ま え、各レベルの評価基準について労使間の協議で決定すること。また、基準を満たす期間雇 用社員全員を支給対象とすること。 ⑥ 深夜勤手当について、正社員と同様「夜間特別勤務手当」を支給すること。 ⑦ 扶養証明提出により、扶養手当を支給すること。 ⑧ 家賃支払い証明等の提出に基づき、住居手当を支給すること。 ⑨ 深夜勤務の期間雇用社員が非番日に勤務した場合、全勤務時間を非番日労働として割増賃金 を支給すること。 ⑩ 正社員と同様に、年末年始勤務手当を支給すること。 (5)勤務・休暇関係 ① 1日の勤務時間及び1週間の勤務日数、また4週間の勤務日数を労働条件通知書に明記する こと。 ② 夏期休暇3日・冬期休暇3日を期間雇用社員に付与すること。 ③ 年始3日間を特別休暇とすること。 ④ 期間雇用社員への計画年休制度を設けること。 ⑤ 特別休暇に関し、正社員協約を準用し適用すること。 ⑥ 期間雇用社員の病気休暇に関し以下の通りとすること。 ア)正社員と同様有給の病気休暇制度を新設すること。 イ)当面、病気休暇における傷病手当金の手続きについて、請求手続きの指導・代行を行うこと。 ウ)傷病手当支給額と平均時給の差額を会社負担とすること。 ⑦祝日勤務については、正社員同様の代休の付与の扱いとすること。 (6) その他 ① 時給制契約社員に退職金を支給すること。 ② 期間雇用社員に正社員と同様のボランティア休暇を新設すること。 ③ 定期健康診断・特別健康診断をすべて勤務時間内受診できるようにすること。また、勤務時 間内受診が不可能な場合は、深夜業に従事する社員と同様に全社員に超過勤務手当相当額を 支給すること。 ④ 勤務時間外の受診については、非番日、若しくは週休日等で自宅から行く場合は受診会場ま での移動時間を含めて、超過勤務手当相当額を支給すること。 ⑤ 人間ドッグについて、期間雇用社員についても正社員同様の扱いとすること。 ⑥ 時給制契約社員の賃金は支店長権限で決定されており、時給制契約社員の時給については支 部団体交渉事項とすること。 4、労働時間短縮及び増員要求 (1) 民営化以後の業務量の増加、65歳以上の期間雇用社員の雇止め等により正社員、非正 社員を問わず時間外労働が大幅に増大している。過去3年間の時間外労働の推移を明ら かにすること。 (2) 12春闘アンケートによっても正社員、非正社員を問わず多くの労働者が精神的ストレ スを増大させ、精神的・肉体的な疾患の危機にさらされている。近年、ワーク・ライフ・ バランスが社会的な課題となる中で事業会社においても所定内外の労働時間を短縮する ことが急務である。以下の労働時間の短縮を行うこと。 ①8時間勤務の正社員・非正社員の所定内労働時間を当面、1日7時間45分、週38時間4 5分とすること。 ②労働時間短縮に伴い、短時間社員、時給制契約社員の不利益とならない措置を講じること。 ③ 深夜勤及び新夜勤に従事する社員の所定内労働時間は、夜間労働の特殊性を考慮し、当面、 所定内労働時間を1日7時間、1週35時間とすること。 (3)雇用情勢は戦後最悪の状況となっている。社会的企業として「雇用対策」 「地域貢献」の 重要性を受け止め、さらには国民・利用者へのサービス低下をさせないために大幅増員を 行うこと。 (4)今春卒業予定の学生の就職内定率は、就職氷河期と同水準にとどまっている。通年採用を 含め新卒者の採用に努めること。平成25年度新卒者採用計画を明らかにすること。 5、2013年よりはじまる年金支給年齢の引き下げが大きな社会的問題となっている。現在の 高年齢者雇用安定法の見直しも審議が始まろうとする中、希望者全員を65歳まで継続雇用 するよう協約の改定を行うこと。また、60歳定年の延長も広がりを見せる中、郵政におい ても労使間の協議を開始すること。 6、JPEX統合失敗により生じた赤字損失について、郵便事業会社経営陣の経営責任を明確に すること。また、郵政労働者に犠牲を転嫁する賃金引き下げ、一時金カット、リストラ人減 らしは行わないこと。 以上
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