思うこと。 ∼3.11 から1年経って

NPO・えんは、市民活動・まちづくり・
女性のキャリア実現をサポートします!
No.53
◆「思うこと」 1P.
◆「えんとネットワークする女性たち」3P.
NPO・えん ニュースレター
◆「スタッフ藤原育児日記 最終回」4P.
2012. 3.31 発行
◆「ドラゴン・タトゥ‐の女」 4P.
思うこと。 ∼3.11 から1年経って∼
理事
東日本大震災から1年が経ちました。絆ばかり
奥田 公恵
す。平均すると男性は 19.9%、女性は 54.7%です。
が強調され復興が進んでいるようには見えませ
また、国立社会保障・人口問題研究所の分析で、
ん。被災された方たちは、先の見えない状況に対
65 歳以上の単身で暮らす女性の相対的貧困率は
して、どんなに暗澹とした思いでおられるかと思
48%、母子世帯は 47%、単身で暮らす 20∼64 歳の
います。政府には最大限の支援と、東電には速や
女性の三人に一人が貧困状態にあることが分かっ
かな賠償とを願っています。
たそうです。なぜ女性の貧困率がこんなにも高い
こんな時に、基本的人権としての所得保障があ
ればなあと思います。ベーシックインカムと呼ば
のでしょう。それは女性の賃金が男性の半分近く
しかないからです。
れているものですが、生まれたての赤ちゃんから
働くことは一種の自己実現であり、社会的にも
亡くなるまでの間、毎月一定額を一人一人に無条
意義のあることです。人は基本的に働く事が好き
件で所得を保障するというものです。生きるとい
なのではないかと思っています。だから企業家は
うことが無条件で保障される仕組みです。その代
頼まれなくても起業をしようとするのだし、お金
り、現在の社会保障はベーシックインカムに置き
を儲けたい人はどんどん儲けて、所得税を沢山払
換わります。非常に複雑化した仕組みの年金、申
ってくれればいいのです。その反対にその仕事が、
請してもなかなか申請が下りなかったり窓口でひ
NPO やコミュニティビジネスのように需要はあっ
どい対応をされる生活保護、支給所得制限が問題
ても必ずしも収入に結びつかない仕事や、後継者
になる児童手当などがなくなり、面倒な手続きな
不足の農業でも、ベーシックインカムがあれば、
しで支給されるという政策です。
やってみようと思う人が増えてくるに違いありま
財源はどうするのだ、非現実的だ、そんなこと
せん。
をしたら働かなくなるのではないか、などといろ
目指すは社会主義でもなく新自由主義でもない
いろな意見があると思います。専門家の試算によ
新しい地平なのではないでしょうか。自分たちが
れば、所得税を財源にして十分可能であるとのこ
住みよいと思う方向に社会が向うには、どうした
とです。働かざる者食うべからず、という思想は
ら良いのかと思っているこのごろです。
深く浸透していますからね。でも、生活保護を受
けている人たちは、働かないのではなく、働けな
いのだと思うのです。
今経済の悪化で非正規雇用の人達がものすごく
増えてきています。2011 年総務省の労働力調査に
よると(岩手・宮城・福島は除いた数値)、男性
は 15∼24 歳が 45.6%、25∼34 歳は 15.2%、女性
はそれぞれ 50.0%と 41.0%が非正規雇用の人で
奥田
公恵: NPO・えん 理事・東京ウィメ
ンズプラザ専門員
NPO・えん 活動報告
∼2012年度が、いよいよスタートします!∼
NPO・えん自主事業
多世代交流ひろば パルぷらす@たつみ
∼新年度の展開そしてチャレンジ∼
∼地域社会に更に必要な存在に∼
新年度の自主事業は 5 月から始まる「講師養成
4 回目の開催となる、地域の高齢者を対象とし
スクール」第 3 期と「講座開催支援プログラム」
た「まごころ食事会」(3/14)には今迄で最多の
が 2 つの柱になります。
26 名の参加がありました。開催するごとに参加者
第 1 期∼2 期と好評だった「講師養成スクール」
数が増えてきているという結果が、この企画の魅
は 3 月末から募集をスタート、また「講座開催支
力、地域での認知度を表しているように思います。
援プログラム」は今回の登録希望者数 7 名、内 1
現役ママの子育て支援グループ「エヴリ」が講
名は諸事情により辞退、結果 6 名の方が登録し、
師の「マム
個人面談を 2∼3 月におこないました。
べりひろば」(1/24・2/21・3/27)と名称を変え、
専門分野はコーチング、キャリアカウンセリン
グ、メイクセラピー、チベット体操、子育て支援、
整理収納、アロマトリートメント、とそれぞれで、
今後の展開が楽しみです。
また、4 月 12 日(木)には登録者を対象にした
「勉強会」を恒例の飯田橋ボランティア市民活動
センターで開催します。
テーマは「出版プロデューサーに学ぶ自分の『売
s カフェ」は「親子で楽しむおしゃ
内容も母親と子どもが一緒に楽しむものになりま
した。
「試食でなごむ会」(1/31・2/21・3/6)では地
域の方に、簡単な一品の試食をきっかけとして、
ひろばでゆっくりなごんだり、参加者同士おしゃ
べりを楽しんでいただきました。
他にも、健康企画「やさしいヨガ」(1/17・2/9)、
福祉企画「介護相談」(2/14)、手仕事をしなが
り』を相手の心に届けるため文章力養成ワークシ
らおしゃべりを楽しむ「たつみんさろん」
(2/14)、
ョップ」、講師に出版プロデューサー、キャリア
音楽企画「楽しいオカリナ体験会」(3/30)など
アドバイザーの梅木理佳さんをお招きします。
を開催しました。
クローズドのイベントですが、これまで顔をあ
また、ひろばの登録団体(サークル)が新たに
わせることの無かったメンバーの交流会として実
2 つ発足しました。どちらもヨガのサークルで、
りの多いものになると期待しています。
辰巳在住のヨガインストラクターがボランティア
そして、新年度の新たな収益事業としてトライ
するのが「えん」の講師人材を活用した講座、「え
んカレッジ」。4 月スタートで上半期、約 10 回の
で指導を引き受けてくれる事になり、メンバーも
ほぼ全員が辰巳地域、周辺在住の方です。
「まごころ食事会」の参加者数が増えている事、
セミナーを予定しています。働く女性を対象にし
サークルが新たに地域から生まれた事などから、
た夜間講座など昨年実地して好評だったものをさ
地域の中でのひろばの認知度、必要性が更に高く
らにパワーアップして集客を図ります。(根本)
なってきている事を実感します。(長島)
「第 13 回 NPO・えん定期総会」開催
◆ 日時:2012 年 5 月 19 日(土)
13:00∼15:00
◆ 会場:パルシステム東京たつみ店 2 階
パルぷらす@たつみ
「まごころ食事会」(3/14)の一場面。
えんとネットワークする女性たち
輝きたい女性のサポートに期待
∼こんな素敵な女性たちを応援しています!∼
子育て支援グループで活動中
マナー・接遇サービスアドバイザー 川崎 理恵
エヴリ代表
磯野 未夏
昨年 10 月に NPO・えん様主催の元「みるみる人
私と NPO・えんとの出会いは、2010 年の「親支
間関係がうまくいく、ハッピーコミュニケーショ
援メンター育成講座」でした。子育てが一段落し
ン術」講座を開催させていただきました。こちら
たところで、資格もキャリアもない私でもできる
はえん様のキャリアクリエイト事業・講座開催支
こと、そしてなにかしら社会の役に立てることは
援プログラムを利用したもので、2010 年に続いて
何かと思った時、自分の子育て経験を活かせるこ
の第 2 回目の開催となりました。
とをしていきたいと考えるようになりました。そ
第 1 回目では「第一印象 UP」を目標に掲げ、参
の時目についたのが、「親支援メンター育成講座」
加者同士で相互印象チェックを行ったり、表情筋
でした。ここで私は初めて自分を知るためのワー
トレーニングや姿勢・感じの良い挨拶の仕方など
クや、傾聴の体験をするワークなどを体験したの
をレクチャーいたしました。今回は更に「コミュ
ですが、それまで気づかなかった自分の一面に気
ニケーション」にまで踏み込んだ内容を盛り込み
づかされたりしました。
ました。聞く態度や人との関わり合い方のクセを
しかし、この講座を終えた時点でも、具体的に
チェックし、よりよい人間関係を築くためのコツ
何をしたらいいのか、見えないままでした。それ
をいくつかのワークを通してお伝えしました。参
でも、「子どもたちが健やかに育つためには、お
加した方々はとても積極的に取り組んで下さり、
母さんたちが元気で、子育てを楽しいと思うこと
短時間ではありましたが中身の濃い講座となりま
が大事だ」ということは、ますます確認できたよ
した。
うです。
受講後のアンケートでは「経験や例を混じえた
講座終了後、えんから「修了生の皆さんで、子
講義はとても楽しかった」「もっと詳しく話を聞
育て支援のグループ活動をしませんか」というお
きたい」などのコメントをいただき、とても嬉し
誘いを受け、このチャンスに飛びつきました。そ
く、自分の活動の自信にも繋がりました。
れが現在も活動を続けている「エヴリ」というグ
また、講座開催に先立ちましては、企画案ヒア
ループの原型です。
リングから会場手配・広報活動・当日の運営アシ
今、私たちはパルぷらす@たつみで、月1回の
スタントなど、えんスタッフの皆さまから全面的
「親子で楽しむおしゃべりひろば」を行っていま
にサポート頂き、大変心強く思いました。本当に
す。毎月、遠くから参加してくれる親子に会う企
ありがとうございました。
画は、とても楽しい時間です。
NPO・えん様には、今後ともぜひ一人でも多くの
現在はメンバー3 人での活動ですが、このワーク
「自分らしく輝きたい」と願う女性達をサポート
のためにたくさん話し合い、考え方をぶつけ合っ
していって頂きたいと、更なる期待を寄せており
た仲間ができたことも NPO・えんのおかげと、とて
ます。
も感謝しています。
川崎理恵さん:「女性のためのキャリア・クリエイト
磯野未夏さん:NPO・えん主催「親支援メンター育
事業・講座開催支援プログラム」2010&2011 年度
成講座」を受講した女性たちが 2011 年に結成した
登録者。元客室乗務員の経験を生かし、現在マ
「現役ママによる子育て支援グループ・エヴリ」の
ナー・接遇サービスアドバイザーとして活躍中。
代表。「パルぷらす@たつみ」で月に1度のプログ
ラムを、同グループが企画・運営している。子ども
たちが簡単な調理に挑戦したり、母親たちが子育
ての悩みなどを語りあう内容が大好評。
最終回
スタッフ藤原
今回で 4 年続いた育児日記を最終回にするにあたり、どかっと天から降
育児日記
ってきた試練のお話です。
先日子どもが丸々1 週間自宅療養。高熱のせいで
今までなら想像しただけで脂汗が滲み出そうな
いつもの 3 倍増しでジャムトーストをねだる長男、
この状況も、今回は意外に子どもと楽しく遊び、家
すぐに熱が下がったものの外出もできず退屈な長
事を効率的にパキパキこなしながら忙しい日々を
女、水疱瘡から治ったばかりなのに姉兄に付き合っ
なんとか乗り切れてしまったのです。終わりの見え
て外出できずストレスで夜泣き復活した次男。自宅
ない家事・看病・育児生活をまるで 4 月からの職場
滞在時間は毎日 8 時間以下、寝て起きたら仕事に行
復帰に向けて卒業試験のように与えられ、なんとか
く…という繁忙期の連れ合いは不在に等しく、買い
合格できたような気分です。そして、これから起こ
物も行けず、一人で朝から寝るまで子どもに付きっ
るであろうもっと大変な状況もなんとかなるか
きり、食料も補充できず…という日々が続きまし
も?と楽天的な気持ちで臨みたいと思っています。
た。
今までお読みいただきありがとうございました。
物語はスウェーデンで展開する。女性の失踪事
件を「ミレニアム」という月刊誌の記者が追う。
私のお薦め
その調査員、リスベット・サランデルがこの物語
の主人公で、彼女の人生そのものが事件への解明
お薦め人 ❤ 生原 勇さん(会員)
につながっていく。
「ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女」
スティーグ・ラーソン著(ハヤカワ書房)
リスベットの背中全面には竜の刺青がある。政
ニュヨークタイムスの数々の調査報道には眼を
見張らせられたが、ミステリーのジャンルで調査
報道的な作品を読んだのはこれが始めて。という
のも作者は元ジャーナリスト。
編集後記
治のシステムに虐待され、陵辱される彼女は負け
ない。あるだけの力と知力をもって敢然と戦う。
そう、この物語は、背中に竜の刺青を背負った女
がいわば血まみれで闘う物語である。彼女はすさ
まじく、そしてかわいい。
NPO・えんは、こんな支援ができます!
❤ 女性のためのキャリアサポート
「キャリア・クリエイト事業」を始め、女性のキャリアづくりのお手伝い。
★改正 NPO 法で認定 NPO 法人取得の条件が変わ
❤ まちづくりのサポート
り、多くの団体にとってはこれまでより認定が
行政の市民活動応援の HP 運営、市民労働への提言活動、
取りやすくなりました。このニュースで、えん
NPO・企業・行政のネットワークづくりの推進など、
の事務局スタッフのあいだでは、
「目指せ! 認
さまざまなまちづくり支援。
定 NPO 法人化!」という声も。2012 年度は、自
❤ NPOのサポート
主事業のいくつかの新たな試みも始まります。
NPO やワーカーズ・コレクティブ゙立ち上げのサポート。
ご支援をよろしくお願いします。(兼高)
NPO や CB に関するセミナーの企画、開催など。
NPO・えん 会員募集中
編集/発行
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✽ 年会費:個人 1口 3,000 円(何口でも)
団体 1口 3,000 円(2 口以上)
✽ NPO・えん会員状況(2012 年 3 月 31 日現在)
会員数 76 名
【正会員 33 名/賛助会員 43 名(内団体 1)】
✽ ボランティアも募集。詳しくは事務局まで。