進歩レベル PROGRESS LEVELS

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進歩レベル PROGRESS LEVELS
PL0:石器時代
石器時代の社会における大きな成果は、火の使用、動物の家畜化、農耕の発明です。石器時代
の社会に暮らす人間は原始的ではありますが、かならずしも愚かで騙されやすく、高度な技術を
進歩レベル(Progress Level または PL)は、社会または文明が有する科学技術の発展段階を
いたずらに恐れるわけではありません。PL0における一般的な武器は、棍棒、短剣、槍、弓矢
示す指標です(SF的な背景設定においては、社会や文明は地球以外の惑星に存在する可能性も
です。アーマーの素材は毛皮や皮革で、盾は枝を編んだものです。地元の部族や集落より遠くま
あります)。
で伝わる通信手段は存在しません。旅の手段といえば徒歩に単純なイカダやカヌーです。簡素な
ここでいう科学技術の発展段階は、その社会のあらゆる文化的側面にわたる全般的なものです。
土器、石器、木器が存在し得ます。
ほぼ即時の長距離通信がおこなえるPL5以上の高度な社会では特にそうですが、より低いPL
であっても、人類(や他の知性体)の1グループが、ある分野では特定のPLに達していながら、
別の分野では異なるPLにとどまっている、というようなケースは考えにくいものです(まった
く有り得ないわけではありませんが)。
一方で、同じ惑星、あるいは同じ大陸であってさえ、場所によってPLにかなり大きな差が生
じることはよくあります。
PL1:青銅・鉄器時代
初期の人類文明が金属の加工を始めると、石器時代は終焉に向かいます。銅はその展性ゆえに、
人類が最初に「飼いならし」た金属となりました。銅に錫を加えると、ずっと強度の高い合金と
なります。これが青銅です。この技術進歩によって、極めて強度の高い道具や武器を製作するこ
とが可能となります。続いて、これらの進歩によって生まれた道具が鉄の加工を可能としました。
鉄は道具や武器の素材となって、すみやかに青銅にとってかわります。
(訳注:このファイルの見出しのリストを以下に上げます)
PL0:石器時代
PL1:青銅・鉄器時代
PL2:中世
PL3:理性の時代
PL4:産業化時代
PL5:情報化時代
PL6:融合時代
PL7:重力時代
PL8:エネルギー時代
PL9:それ以上
より低い/より高い進歩レベルの物品を購入する
青銅・鉄器時代の社会においては、土器陶器、建築、農業がさらに発展します。それによって
人間集団の人口が次第に大きくなり、人口に応じて知識の集積と共有が進みます。国、都市国家、
そして帝国が勃興するのが青銅器時代です。通信の整備が組織的に進められ、地域社会の存在を
可能にします。ガレー船や小型の帆船によって比較的長期の航海が可能となり、さらに一部の文
化においては遠隔地を結ぶ大規模な街道や運河のネットワークを整備することも可能となります。
農業の効率があがると、より多くの職人・職工・職業兵士、そのほか多くの食糧生産に直接従事
しない階層を養えるようになります。
兵士たちの間では、棍棒と短剣に代わって剣が好まれるようになります。あぶみの導入によっ
て騎兵が登場してその座を追われるまでの短い期間、戦車が戦闘の主役となります。最初期の軍
隊あるいはそれに類する戦術システムが登場します。アーマーの素材は、縫いつけられた小札や
鱗状板、金属の小環となり、さらには鋳造された胴鎧までもが登場します。そして、さまざまな
金属製の白兵戦用武器が戦場を支配するようになります。
未来における低い進歩レベル
グラヴィティ・インダクション(重力誘導)
PL2:中世
この進歩レベルにおいて、成熟しゆく文明は混乱と調整の時代を経験します。建築、商業、金
属加工、数学の分野では発展が続きます。印刷技術の更なる進展によって、これまで以上に情報
の普及拡散が可能となります。この発展段階の後半における主役は海上交通です。遠洋航海可能
なキャラック型帆船、ガレオン型帆船の研究が次の進歩レベルへの扉を開くのです。
人口が増大し、農業知識が発展するにつれて、人口のさらに大きな割合が都市や町へと移動し
ていきます。この時代の終わりが近付くにつれ、少数の貴族階級が大部分の農業従事者を支配す
るという封建社会は崩壊に向かいます。専門化した製造業が発展し、大学が産まれ、中産階級が
となります。
出現します。最初の「企業」がギルドの形をとってあらわれます。貿易と金融をつかさどる強力
なシステムが発展すると、それらは社会の富をその構成員にこれまでより平等に分配し、貴族階
級の権力はさらに弱くなります。
戦争の道具は革命的な進歩を遂げます。洗練された鎖帷子や板金鎧が戦士を負傷から保護し、
強度を増すための精巧な細工は芸術の域に達します。中世が終りに近づくにつれ、単純な火薬式
兵器が登場し、騎士と重装鎧と剣士の集団からなる軍隊の時代が今にも終わろうとしていること
を知らしめます。
PL5:情報化時代
産業化時代は化学の力によって成り立つ時代でした。しかし、情報化時代においては、コン
ピューター技術と電子工学が支配的な技術となります。人工衛星による情報システムとインター
ネットが、全世界をデジタルに繋ぎます。このレベルではまた、核分裂による発電と核兵器が登
場するため、化石燃料の重要性が低下します。一般的な旅行の手段として自動車が機関車にとっ
てかわります。巨大な化学ロケット、無人探査機と人工衛星、短期の有人ミッションによって、
宇宙旅行への最初の一歩が踏み出されます。
PL3:理性の時代
この時代のテクノロジーによって、より多くの人々が政治に参加することが可能となります。
理性の時代は、思想と思考の方法論の数々が先行し、続く技術的発展をもたらす時代です。
国際的な協力機構の台頭によって国家間の境界は消滅していきます。企業はさらに権力を強め、
科学的な方法論によって、人類は世界をより深く理解していきます。実験が、自然の物理的な
政府の権威を脅かします。テクノロジーは社会全体よりも個人のライフスタイルに大きな影響を
性質を体系的に調査する方法としての地位を獲得します。化学、電磁気学、薬学、生物学、天文
与えます。この時代の武器は大部分が産業化時代の武器の高性能化版です。世界中の兵士が、今
学など、科学のなかで多くの研究分野が分化し、発展します。また、顕微鏡や望遠鏡といった装
なおライフル、マシンガン、大型榴弾砲を使用しています。コンピューターを使用した照準シス
置によって、科学者たちが観測・発見をおこなう領域は大幅に拡大されます。科学への新たな信
テムや誘導兵器は戦闘をより正確で効率的にしました。数分にして自分たちの種族そのものを絶
頼が、社会のあらゆる階層に波乱を引き起こします。迷信はその地位を失い、世界の探検が最高
滅させ得るる力を見せつけた戦略兵器は、テストはされるものの使用されることは決してありま
潮に達します。民主主義のような、新たな社会構造の実験が試みられます。会社組織や経済的共
せん。
同体は発展を続けます。この進歩レベルは、経済的には中世的な家内制手工業から大規模な産業
化への過渡期にあたります。
大砲が海戦における主要な要素となり、マスケット銃の一斉射撃と馬が引く野砲が戦場を支配
人類は情報化時代を通じて、小規模な危機による不安にさらされながら過ごしました。全体と
しては徐々に緊張が緩和されてゆき、新たなスーパーパワーの登場によってこの時代は終わりを
告げます。
します。信頼性の高い弓矢でさえ、もはや姿を消してフリントロック式の銃にその座を譲ります。
白兵戦武器は軽量なものがなお一般的であり続けます。
PL6:融合時代
核融合発電の開発は、効率的で持続的なエネルギー供給を実現し、化学燃料の必要性をほとん
PL4:産業化時代
第4の進歩レベルでは、前の時代の理論的な知識が、広く実用的成果として結実します。水力、
蒸気力、電気力の実用化によって商業と産業が爆発的に成長します。テレグラフ、電話、ラジオ
ど失わせます。これによってさらなる宇宙探査と宇宙植民が可能となりました。コンピューター
はより扱いやすく、信頼性高く、強力になり、バーチャルシステムの発展を導くとともに全世界
におけるインターネットへの広範なアクセスを可能としました。
といった進歩によって、本当の意味での全世界的な通信が可能となります。製造技術における多
ゆっくりと、社会には新たな革命が進行していきます。個別の国家は世界的な権力機構にその
数のブレイクスルーが、鋼鉄の船や鉄道輸送、前時代には想像すらできなかった規模の建築物を
座を譲っていきました。こうした新しいスーパーパワーに連なるメガコーポレーションでは国民
実現します。探検家たちは大気の上層や深海に挑戦していきます。
と従業員の境界線は判然としなくなっていきます。種族そのものを殲滅し得る武装を持ちながら、
都市化が完成し、人々は物品や情報の交換がたやすくなるよう狭い地域に密集します。企業
体はその力を拡大し続け、その多くは世界を調査・探検することでその地歩を固めてゆきます。
政府は今や、政治的な要素と経済的な要素によって成立しています。
世界の権力機構は小競り合いと示威行動を続けました。そして、情報化時代に達成された各分野
の発展はゆっくりと統合されていきます。
遺伝子工学における科学の進歩は、人工的な進化、そして政府(かつ企業)の承認を受けた、
この時代において、戦争の方法は速やかに変化します。飛行機と潜水艦が軍備の一覧に追加さ
最初の遺伝子操作された人間という試みへとつながっていきます。初期の成果は期待の持てるも
れます。信頼性と正確性を備えたライフルとピストル、そして機関銃が一般化します。機械化さ
のでしたが、そうした種族の中では、この時代が終りに近づくにつれて、ポジティブな、あるい
れた兵器群がもたらす戦術・戦略の変容は、騎士の時代が終わって以来の、巨大な変化の先触れ
はネガティブな突然変異が発現します。科学者たちはクローン技術をも完成させ、最初のクロー
ン人間が作り出されます。
この時代の後半には、初歩的な重力誘導(グラヴィティ・インダクション gravity
ます。先端技術一覧表の逆の端では、進歩した建築技術によって、超巨大で持続可能な宇宙都市
の建設が人類にも可能になります。
induction)の粗雑な技術的応用が実現し、物理的な推進力や燃料消費なしに空中を移動する民
間用あるいは軍用の車両が登場します。
この時代でも、化学反応を利用する爆発物や銃火器は選択肢の一つとして残ります。核融合テ
クノロジーを個人戦闘に使用できるほどに効率的に小型化することはできないからです。進歩し
た化学と超伝導技術は多くの武器の素材や性能を変えてしまいます。真の意味での宇宙船が実現
します。これらは強力な核融合エンジンで推進されますが、宇宙空間を移動するには反動質量
(推進剤)を必要とします。
この時代には、単一星系内の他惑星や小惑星にささやかな施設が見られます。
PL7:重力時代
この時代の幕開けとともに、二つの重要技術が発明され、人類が星間宇宙に到達する先触れと
なります。核融合発電はグラヴィティ・リアクター(重力反応炉)へと組織的に置き換えられま
した。エネルギー源としての効率がより優れている上、小型化がきわめて容易なためです。質量
反応炉を使用して、世界中の権力機構は母星系を探検し、分割し、植民地化しつくしました。こ
の間、母惑星における人々の生活に大きな変化はありませんでした。
PL9:それ以上
一般に、それ以上の進歩レベルには、到達することも理解することもできません。しかし、孤
立した世界や未発見の種族の中にはこのレベルに到達したものが存在するかもしれません。多く
の場合、以前の時代に代表的であった技術は、より洗練された、あるいはより強力な技術にその
座を譲って顧みられなくなります。
原子より微細なレベルでの素粒子制御、タイムトラベル、ワープ航法などが、この段階にまで
進歩した技術によって可能になるのかもしれません。
より低い/より高い進歩レベルの物品を購入する
進歩レベルは相対的なものであり、より低い、またはより高い進歩レベルの装備が入手不可能
なのか、本来より安価になるのか、高価になるのか、といったことは、キャンペーンにおける経
済的な背景設定をもとにGMが決定します。GMは、ゲームバランスを維持するために、より低
い/より高いPLのアイテムを購入できることにする場合は、購入DCを下記の通りに修正すべ
きでしょう。
この時代における二度目の前進は、おそらく人類文明史における最大の激変をもたらしました。
重力誘導技術の導入と統合によって、インダクション・エンジンが生み出されたのです。これに
●進歩レベルが現在より1低いごとに、購入DC-2
よって、宇宙船は恒星間の深淵を渡ることが可能になりました。人類が故郷から遠く拡散してい
(アンティークとしての価値がある場合を除く)
くにつれて、政治的・経済的な再構成が進みます。
●進歩レベルが現在より1高い場合、購入DC+5
初歩的なエネルギー火器が製造可能になると、弾丸射出型の銃器の時代は終わりに近づきます。
(入手可能な最新テクノロジーの限界)
また、この時代の戦士はパワード・アーマーを装備することができます。そして、個人用(白兵)
武器が再度活躍の機会を得ます。その理由は、大きくは戦術の変化です。個人対個人の武装闘争
未来における低い進歩レベル
が軍隊スケールにまで大きくなることは、今や稀です。頻繁に起こる小規模部隊同士の遭遇では、
D 20 モダンのキャンペーンはほとんどが進歩レベル5の世界を背景としています。したがっ
遠隔武器は必ずしも有効とは限らないのです。
て、未来の地球を舞台にしたキャンペーンであれば、6以上の進歩レベルを利用可能な社会が中
コンピューター技術によって、星系内のすべての社会、居留地、前哨基地は単一の情報ネット
心になるのが普通です。しかしながら、タイムトラベルによる探査、別の惑星世界への旅、その
でリンクされ、ビジネス、娯楽、学術分野のいずれにおいても、きわめて利便性の高い知識やデー
他の筋書きによって、未来世界を背景とするキャラクターたちが技術的に後退した社会に遭遇す
タの交換をおこなっています。
る可能性もあることでしょう。そのため、ここではより低い進歩レベルについても記述していま
す。
PL8:エネルギー時代
インダクション・エンジンの小型化技術がさらに進むと、おはじき大のパワープラントに基本
グラヴィティ・インダクション(重力誘導)
的な創造力を持たせることが可能になります。個人用の力場スクリーンやエネルギー兵器が戦場
重力をコントロールすることは、進歩レベル7における技術の重要な特徴です。重力子科学な
を支配すると、千年にわたって戦場の支配者だった実弾射出型の武器はついに姿を消します。セ
らびに重力子工学の発展は、奇跡のような装置を数多く生み出します。浮遊する車両、反動質量
ンサー、シールド、エンジンが小型化されたため、小型で実用的な宇宙戦闘機が量産可能になり
を必要としない惑星間航行エンジン、各種さまざまな軍用装備。ちょうど電気の利用が電磁誘導
の発見を促したように、重力エネルギー発生装置の発明が重量の効果的な制御を導いたのです。
重力誘導理論の基盤となるのは、アインシュタインの特殊相対性理論に記述されている現象で
す。すなわち、物体の速度が拘束に近づくと、物体の質量は無限大に近づいていく、というもの
です。サイクロトロン(円形粒子加速器)を使用して、微小な粒子を光速に近い速度まで加速し、
重力発生装置で粒子と周囲の質量のあいだに重力子を作り出します。するとこの重力子は吸い上
げられ、向きを変えてインダクション・コイルの中に蓄えられます。
PL7においては、特殊用途のためのグラヴィティ・インデューサー(重力誘導装置)は小型
化するとホッケー・パック(アイスホッケーにおいて、ほかの球技でいうボールの役目を果たす
小さなゴムの円盤)程度のサイズになります。地球上で人ひとりが受ける重力効果を打ち消す程
度のパワーのインデューサーなら円盤投げの円盤程度です。飛行車両用のインダクション・モー
ターなら、スペアタイヤほどのサイズのグラヴィティ・ジェネレーターを必要とします。
以上