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カナダにおけるEHRの現状調査

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調査報告書
「カナダにおけるEHRの現状調査」
2011年2月1日
特定非営利活動法人
日本医療ネットワーク協会
1
目次
1 緒言
4
2 調査概要
5
3 カナダの医療制度
3.1 医療制度の経緯
6
3.2 医療制度の現状
6
4 カナダのEHR
4.1 Canada Health Infoway
4.1.1 設立の経緯
7
4.1.2 EHRの定義
7
4.1.3 EHR導入原則
7
4.2 EHRS Blueprint
4.2.1 Blueprintの概要
8
4.2.2 EHRSフレームワーク
9
4.3 EHR推進体制
4.3.1 Infowayの役割
10
4.3.2 州政府の役割
10
4.3.3 保健医療サービス提供者の役割
10
4.3.4 IT企業の役割
10
4.4 EHR開発投資
4.4.1 開発投資概要
11
4.4.2 開発投資の実態
12
4.5 規格
4.5.1 規格管理組織
12
4.5.2 規格採用状況
13
4.6 各州のEHRの状況
4.6.1 EMRの普及状況
13
4.6.2 EHR導入状況
14
2
5 アルバータ州のEHR
5.1 アルバータ州のEHR体制
5.1.1 AHWとAHS
16
5.1.2 保健医療サービス行政の現状
17
5.2 Netcare
5.2.1 ビジョン
17
5.2.2 戦略
17
5.2.3 管理組織体制
18
5.2.4 臨床作業部会
19
5.3 Netcareポータル
5.3.1 特徴
19
5.3.2 アーキテクチャ
20
5.3.3 情報源
21
5.3.4 慢性病管理
22
5.3.5 利用状況
23
5.3.6 開業医の例
23
6 カナダのEHRの展望
24
参考文献/参考情報
26
3
1 緒言
者により構成されるInfowayというユニークな
組織を生む背景になっている。
カナダは北アメリカ大陸北部に位置する連邦立
憲君主制国家であり、イギリス連邦加盟国、す
このやり方はカナダという国の特殊性に基づく
なわちイギリス連邦王国の一国である。国は
ものであり、これをそのまま日本に適用するこ
1 0 の 州 と 3 つ の 準 州 に 区 分 さ れて いて ( 図
とには無理があるかも知れないが、後述する
1)、首都はオンタリオ州のオタワで、総人口
InfowayのEHRフレームワークやアルバータ州
は3,400万人弱(2009年6月時点)である。先
のEHRは大いに参考になるものである。
進 国 の 中 で カ ナ ダ は 世 界 保 健 機 構 ( Wo r l d
Health Organization、以下WHOと記す)の
健康達成度総合評価で上位にランクされている
国である。[1]自由主義国家でありながら、連
邦政府主導で社会主義的とも言える医療制度を
築き、全カナダ国民に公平な保健医療サービス
を提供しており、カナダ国民の満足度も高い。
カナダのElectronic Health Record(EHR、電
子的な保健医療の記録)はそのような医療制度
を側面から支えるものとして、医療制度と同じ
ように連邦政府主導で進められてきた。カナダ
のEHRの現状を調査するにあたり、我々が関
図1 カナダの州区分
心を持ったのは以下の2点であった。
カナダの国土は南部に位置する10の州と北部
に位置する3つの準州に区分されている
(1) 連邦政府主導のEHRとはどのようなもの
で、いかにしてでカナダ全土に展開してい
るのか。
(2) カナダのEHRはどの程度日本にとって参考
になるのか。
調査の結果わかったことは、かなり強引とも思
える連邦政府主導のEHRの取り組みが周到な
計画の下に進められており、着実に成果を上げ
ていたことである。連邦政府はCanada Health
Infoway(以下Infowayと記す)[2]という独立
した非営利の会社を設立し、EHRに必要な財
源は出すがやり方は全てInfowayに任せるとい
う思い切った政策を採用した。カナダは州政府
が医療以外にも教育などの重要なプログラムに
関して主体的に責任を担うという地方分権制に
基づく国家を築いてきた経緯があり、このこと
が連邦政府と13の州および準州の政府の代表
4
2 調査概要
Michel Craig:カナダ法人副社長
我々はアルバータ州の首都エドモントンを訪問
Dr. Chris Hobson: 医療担当最高執行役員
し、アルバータ州政府関係者や主力IT企業と会
James Date:営業担当役員
議を持ち、EHRの状況についての説明を受け、
議論を行うとともに、実際にEHRが稼働してい
③メドウラークヘルスセンター(Meadowlark
る現場を視察する機会を得た。訪問先の概要は
Health Center、以下MHCと記す)
以下の通りである。
エドモントン市内のMeadowlark地域にあり、
多数の専門医が一ヶ所に集まって保健診療サー
訪問日:2010年9月27日(月)∼28日(火)
ビスを行っている総合施設。施設内の内科開業
訪問先:
医であるDr. Allen Ausfordより医療現場での
Netcareの利用状況についての説明を受けた。
①アルバータヘルスサービス(Alberta Health
Service、以下AHSと記す)[3]
なお、訪問後も訪問先の関係者とコンタクトを
アルバータ州保健省(Alberta Health and
取り、理解が困難な点についての補足説明をも
Wellness、以下AHWと記す)[4]傘下で保健医
らった。
療サービス行政全般の実務を担当している政府
の組織。アルバータ州のEHRであるNetcare[5]
を開発・配備・運用している。
AHWやAHSの下記主要メンバーよりNetcare
についての詳しい説明を受けた(図2)。
Susan Anderson:AHW、医療情報担当理事
Clarire McCrank:AHS、医療IT担当副代表
Mark Scheffer:AHS、医療情報サービス担当
理事
図2 AHSでの会議
Susan Watson:AHS、Netcare担当マネー
Netcareの主要メンバーとの会議
ジャ
②オリオンヘルス(Orion Health、以下Orion
と記す)[6]
ニュージーランドに本社を持つ医療IT専門企業
で、EHR関連のユニークな製品を持つととも
に、顧客の要望に合わせた開発(カスタマイ
ズ)を得意としている。カナダのEHR市場に参
入するためにカナダ法人を設立し、Netcareの
開発を請け負うとともに、カナダ全土のEHR
開発プロジェクトに参画している。下記の会社
幹部よりNetcareの詳細説明を受けるととも
図3 OrionでのOrion幹部との会議
に、Infowayやカナダの他の州におけるEHRの
状況に関する話を聞いた(図3)。
5
3 カナダの医療制度
足度も高く、カナダを代表する特徴のひとつに
カナダは自由主義の国であるが、医療制度にお
挙げられている。
いては日本と同じように社会主義的な国民皆保
険制度を採用している。その経緯と現状を手短
カナダの医療費は、2007年度で総額約1,600億
に概観する[7][8]。
カナダドルであり、国民一人当たりの平均では
5,000弱カナダドルになる。経済的に豊かな州
3.1 医療制度の経緯
とそうでない州では一人当たり医療費に差があ
カナダの医療制度は、1945年頃に最初の制度
り、アルバータ州とケベック州では約2割の差
設計提案が行われ、長きに亘る政治的な議論を
がある。しかし、カナダの保健医療サービスの
経て1960年代後半に連邦政府により導入が決
レベルは全体的に高く均一であり、概ね公平な
定された公的医療制度が原点になっており、そ
保健医療サービス行政が行われていると言え
の後の幾多の変遷を乗り越えて現在はカナダ全
る。
土に完全に定着し機能している。この制度は税
金によってまかなわれ、全国民に共通に適用さ
カナダの医療制度は13の州および準州の医療
れる制度であり、国民全体を対象にしているた
保険制度で構成されており、州政府は住民に対
め、国民医療制度あるいは国民皆保険制度、さ
する保健医療サービスの体制づくりと管理、そ
らには1966年に成立した法律である
してサービスの提供に責任を持つ。また、カナ
「Medical Care Act」にちなんで「メディケ
ダ保健法(CHA、1984年)[9]で規定された基
ア」と呼ばれている。
準や条件を州や準州が遵守することにより、州
や準州はカナダ医療補助金(CHT、2004年)
本制度導入当時は、州が医学的に必要な専門的
[10]に基づいて連邦政府から財政支援を受ける
サービスを住民に提供するために提示した4つ
ことができる。
の条件、公的な運営・包括性・普遍性・ポータ
ビリティ性を満たすものであれば、連邦政府が
医療費の約7割は公的な財源でまかなわれてお
費用の半分を補助することが約束されていたた
り、残りは民間の医療保険給付や家計からの支
めに一気にカナダ全土の州と準州において実施
出になっている。日本の健康保険制度と同じよ
に移された。しかし、医療費が年々増加する一
うに、公的保険ではカバーされない医療の費用
方で、補助に対する連邦政府の財源確保が徐々
は民間が負担しており、その比率は日本よりも
に困難になり、また、カナダ特有の地方分権的
高い。また、カナダ国民が納める税金は政府に
構造も大きく影響して、最近は政府の公的支出
集められ、その税金が再配分されて医療費とし
の大半を州政府が担うようになっている。
て使われ、国民は直接医療費を支払うことがほ
とんどないために、医療費はタダであるという
メディケアが定着した今日の連邦政府の役割
意識が国民の間には根強くあり、これが医療費
は、カナダ全土の保健医療サービスの基準を明
を増大させているひとつの要因にもなってい
確にすることと、公平な保健医療サービス行政
る。
の維持に限定されるようになってきている。
現状のままで保健医療サービスの多様化・高度
3.2 医療制度の現状
化が進めば、医療費は更に増大し、州政府の財
カナダの医療制度に関する評価は世界の中で高
政を悪化させることは避けられない。保健医療
く、WHOの健康度達成では先進国の中でも上
サービスの質を低下させることなく財政状況を
位にランクされており、また、カナダ国民の満
改善させることは非常に困難な課題ではあり、
6
国民皆保険制度を維持するために連邦政府も州
推進している。政府から独立している会社とは
政府も更なる改革を迫られている。そういう現
言え、活動に必要な財源は全てカナダ政府から
状にあって、EHRはこの課題を解決する直接の
提供されており、実質的に連邦政府の機関とし
切り札にはならないものの、効率的に高品質の
ての色合いが濃い。
保健医療サービスを提供する有効なツールとな
るものであり、相対的な意味で医療費の低減に
Infowayのミッションはカナダ全土にEHR網を
貢献することができるものであり、カナダが国
構築することであるが、州毎にバラバラな
を挙げて導入に取り組んでいる理由のひとつに
EHRにならないために必要最低限の共通の指
もなっているものと思われる。
針を決めることと、連邦政府の財源を各州に配
分することが主な役割であり、実際のEHRシ
4 カナダのEHR
ステムの開発・配備・運営は各州に任されてい
カナダのEHRは、医療制度を側面から支える
る。
ものとして連邦政府主導で進められてきた。一
見大きな政府が全てのことをやるようなイメー
Infowayが最初に手を付けたのは、相互運用性
ジを持つが、カナダ特有の地方分権的構造が働
を持つEHRアーキテクチャであり、その他の
いていて国と州はその役割を棲み分けており、
指標とともに、2006年にEHRS(Electronic
導入は最終的には州の責任の下に進められてい
Health Record Solutions、以下EHRSと記
る。
す) Blueprint[11]として発表した。この
EHRS Blueprintは、カナダのEHRSを構築する
4.1 Canada Health Infoway
ためのフレームワークであり、EHRS開発の総
カナダのEHRの中心的な役割を果たしているの
合的な指標を示すシステム仕様を明記してい
がInfowayであり、設立の経緯とInfowayが理
る。各州はこのEHRS Blueprintに従って、自
想に掲げるEHRについて概要を述べる。
州のEHRシステムの開発・配備・運営に取り組
んでいる。
4.1.1 設立の経緯
メディケアがごく当たり前の制度としてカナダ
4.1.2 EHRの定義
全土に定着していく中、カナダ政府が当初掲げ
InfowayはカナダのEHRを以下のように定義し
た条件のうちで、普遍性(全国民にメディケア
ている。
を適用すること)とポータビリティ性(国民が
「カナダのEHRは、全国民に対して、その人の
ある州から別の州に移動しても適切な保健医療
生涯に亘る保健医療経歴の記録をセキュアに提
サービスを受けることができること)を理想的
供し、それを利用してメディケアの下での医療
な形で実現するためのものとしてEHRの重要性
を受けることができるようにするものである。
が提起され、2000年に当時の首相が保健医療
この記録は、保健医療サービス提供者が高品質
サービス行政における最優先政策としてEHRを
の保健医療サービスを行う際に、いつでもどこ
国レベルで構築することを決定し、2001年に
でも電子的に利用することができる。」
カナダ政府によりInfowayが設立された。
Infowayは独立した非営利の会社であり、カナ
4.1.3 EHR導入原則
ダ政府と10の州および3つの準州の保健省の代
InfowayはEHRを導入する際に守るべき原則を
表者がメンバーとして参画している。Infoway
以下のように厳しく規定している。各州政府
は、政府以外に保健医療サービス提供者やIT企
は、EHRを導入するにあたり、この原則に照
業などと共同して、カナダ全土のEHRの構築を
7
らし合わせてプランを作成し実行することが義
る正しい意思決定を支えるための正確で信頼で
務付けられる。
きるサービス時点(Point of Service、以下
・患者中心であること
PoSと記す)の情報を、適切かつセキュアなや
・全ての臨床データをまとめて見せること
り方で管理し共有することによって、保健医療
・保健医療サービス提供者に対する付加価値を
の質を高めること」
考慮すること
・適時で正確な情報を提供すること
また、EHRSにより、以下のような具体的な意
・地域や州の中で、そして州を跨いで情報の共
思決定が可能になると言及している。
有が可能であること
・開業医やプライマリケア医は、患者の病歴や
・標準の規格に準拠していること
最近の検査結果を知ることで、患者の健康状態
・繰り返し使用できるようにパターン化・部品
改善のための最善の治療を行ったり、救急時の
化を行うこと
重篤な病状に対する手当を行ったりすることが
・旧いシステムやソリューションは力づくでも
できる。
変えること
・救急部門の医師は、昏睡状態にあるか容体が
・決めた期間内でやり切るように計画すること
はっきりしない患者に対し、どのような応急処
・スケーラブルであること
置が効果的であり安全であるのかを決めること
・将来の展開が図れるように拡張性を持たせる
ができる。患者の合意なしで情報にアクセスす
こと
ることを break the glass と言い、基本的に患
・費用対効果を考慮すること
者の情報には担当医以外はアクセスできないよ
・セキュア性を確保し個人の秘密を守ること
うに鍵をかけてあるが、どうしても必要なとき
・自由な革新と競争を認めること
は誰でもアクセスすることができる、という暗
・包括的であること
黙の了解がある。ただし、アクセスは常に監視
されており、不正アクセスに対しては重大な罰
4.2 EHRS Blueprint
が科せられることになるため、この暗黙の了解
Infowayはカナダ全土で情報を共有するEHR網
は守られているという。
を構築するに当たり、基本的な理念とともに具
・調剤薬局は、薬剤情報を利用することによ
体的なガイドラインを明示することが最も重要
り、処方箋に記載されている投薬に関する可能
であると結論付け、約5年を費やしてEHRS
な限りの助言を患者に対して行うことができ
Blueprintを作り上げた。その概要と生命線で
る。
あるEHRSフレームワークについて述べる。
・教育者や保健医療人材の育成に携わる人は、
保健医療の専門家の訓練のためにどのように教
4.2.1 Blueprintの概要
育システム環境を整えるべきかを決めたり、将
Blueprintでは、序論でEHRSの必要性と目的を
来に向けて最善のカリキュラムを開発したりす
述べた上で、フレームワークに関して詳しく説
ることができる。
明している。また、どのようなサービスを提供
・現時点(2006年)のInfowayの投資範囲に
できるのか、そのために必要なソフトウェアの
は含まれていないが、糖尿病やその他の慢性病
構成要素についても解説している。
に最適に対処するために、医師や理解力のある
Blueprintの中ではEHRSの目的を次のように記
患者を教育したり、指針を改定したりすること
述している。
ができる。
「患者自身や保健医療サービス提供者・研究
者・教育者・保健制度管理者・政策立案者によ
8
さらに、EHRS Blueprintでは次のようなビ
・保健医療サービス提供者(Provider
ジョンを掲げている。
Registry)
「カナダの住民や保健医療サービス提供者が、
・保健医療サービスが行われる場所
時間や場所に関係なくカナダの医療制度を利用
(Location Registry)
する際に、正しい情報に適時に、適正かつセ
・このシステムにアクセスするエンドユーザー
キュアにアクセスできるようにするための情報
(End User Registry)
構造を構築することによって、高品質で継続可
・病名等に使われている用語(Terminology
能な、かつ効果的な保健医療サービスが実現で
Registry)
できる」
これらの情報は特殊な方法で特定できるよう
にすることが規定されている
4.2.2 EHRSフレームワーク
・レポジトリ(EHR Data & Service)
EHRSの第一の目的は、カナダ人が国のどこに
臨床データを保存するレポジトリで、診断用
いても保健医療サービスを受けることができる
画像を保存するPACSも含まれる
ように、臨床的に正しいデータの共有を可能に
・経過記録(Longitudinal Records
することであり、それを実現するためのフレー
Services)
ムワークとして、図4に示すようなEHRSの概念
その患者に関する一連の長期的な記録で、複
が作られた。EHRSは大きく分けて、EHR情報
数の地域に分散している情報も全てひとつにま
構造(EHR Infostructure、以下EHRiと記す)
とめられる
とサービス(PoS)で構成されている。
・標準化(Health Information Access
Layer、以下HIALと記す)
異なるシステム間の相互運用性を担保するた
めに、情報を標準化形式に変換しEHRiとPoS
の間の情報のやり取りが正しく行えるようにす
る
・ビューア(EHR Viewer)
エンドユーザーがシステムにアクセスし患者
の臨床データを検索したり閲覧したりするとき
に使用する
ビューアには患者の全ての保健医療情報が一
覧表やグラフなどで表示される
図4 EHR Solutionの概念 また、サービス(PoS Systems)に関しては、
必要な情報にアクセスできるためのEHRiとこ
一般的な臨床システムの中で行われている多様
れを使って実現されるPoSの概念を示す
なサービスに対応できるように考えられてい
る。カテゴリーで整理すると次のようになる。
EHRiは大まかに以下の要素で成り立ってい
・公共の保健医療機関におけるサービス
る。
(Pablic Health Services)
・登録システム(Registries Data &
・調剤薬局におけるサービス(Pharmacy
Services)
System)
登録される情報は次の項目である。
・放射線施設におけるサービス(Padiology
・患者名(Client Registry)
Center)
9
・検査機関におけるサービス(Laboratory
ける重要な要求事項や核になる要素技術を提供
System)
する。
・病院におけるサービス(Hospital System)
・戦略的な投資者として、州のEHRS開発プロ
・診療所の電子カルテに関するサービス
ジェクト費用の最大75%までの財源を負担す
(Physician Office EMR)
る。
・州のEHRSの各プロジェクトが目標通り開発
さらに、各州のEHRSを接続することにより、
され実際に機能するまで監視する。
州を跨いで全カナダで情報を共有することがで
きる。その概念を図5に示す。
4.3.2 州政府の役割
州政府の役割についても次のように規定してい
る。
・InfowayのEHRS Blueprintに従って自州の
EHRSを計画し、開発・配備・運営する。
・自州のEHRSの各開発プロジェクト計画と予
算をInfowayに申請し承認を受ける。承認を受
けたプロジェクトに対しては総予算の最大
75%までの財源をInfowayより譲り受け、残り
は州で負担する。
・直接IT企業を使って各プロジェクトの開発を
行う。
図5 全カナダの情報共有の概念
各州のEHRSのHIALを接続することにより、
4.3.3 保健医療サービス提供者の役割
全カナダの情報を共有することができる
Infowayは医師や看護師、薬剤師、その他の保
健医療サービス提供者に対して、彼らがEHRを
4.3 EHR推進体制
利用することで患者により良い保健医療サービ
Infowayはカナダ政府と10の州および3つの準
スを提供することができるということを理解し
州の保健省の代表者により構成されているが、
積極的に参加するように呼びかけている。そし
Infowayの役割と各州の役割は重複しないよう
てEHRを活用して、患者を関連医療機関全体で
に分担されている。また、Infowayは保健医療
連携して面倒見ること(Circle of Care)を求
サービス提供者やIT企業に対してもその役割に
めている。EHRを利用することにより、例え
ついて言及している。
ば、救急で運び込まれた患者にまず急性期治療
を施し、引き続き通常の治療や療養を行い、必
4.3.1 Infowayの役割
要であればリハビリテーションプログラムを実
EHRS BlueprintにはInfowayの役割を次のよ
施し、安定すれば在宅ケアに移す、というよう
うに規定している。
な一連の患者中心の 保健医療サービスをうま
・独立した組織として、カナダにおける電子的
くマネジメントすることが可能になる。
な保健医療記録の利用を加速するために、州や
準州、保健医療サービス提供者、IT 企業と協
4.3.4 IT企業の役割
力してEHR網を構築する。
InfowayはIT企業に対して、カナダのEHR開発
・保健医療情報技術の牽引役として、国として
に協力するよう呼びかけている。Infowayに協
の方針を示すとともに、EHRS Blueprintにお
力しプロジェクト開発で一定の成果を上げた製
10
品に対してはInfowayから認定が与えられ、そ
る内容を基に、その概要と実態について述べ
れによりIT企業はその製品を拡販することが可
る。
能になる。プロジェクトは州単位で実施される
ので、例えば、ある州のプロジェクトで開発し
4.4.1 開発投資概要
た製品が認定されると、それは他の州へも展開
Infowayは、EHR開発投資に必要な財源とし
することを求められることになる。また、規格
て、設立から2009年度(2009年4月∼2010年
については、後述するInfowayの規格管理組織
3月)までに合計21.4億カナダドルを確保し
が示すガイドラインに従って開発することが求
た。合計293件のプロジェクトを承認し、予算
められているが、どのような方法でガイドライ
化した金額は財源の76%にあたる16.3億カナ
ンを満たすかはIT企業の裁量に任されている。
ダドルであった。開発中のものもあるため、州
に支払った実績はそれよりも少なく、2010年3
4.4 EHR開発投資
月末時点で9億5千万カナダドルであった。
カナダのEHR開発投資の実態については正確
Infowayの2010年度ビジネスプラン[12]に掲載
にはつかめない。過去の資産を引き継いでいる
されている総財源21.4億カナダドルの使い道で
ものや、州が独自に負担しているものなどがあ
ある投資計画を図6に示す。
るためである。ここではInfowayが公表してい
図6 Infowayの投資計画
12のプログラムに関してその用途と計画の金額が示されている
11
4.4.2 開発投資の実態
管理組織を作り、そこで議論し決定した規格を
Infowayの開発投資のやり方は大変ユニーク
全カナダ標準として使うように努めている。
で、州のやる気と現実的なリスク管理を巧みに
組み合わせた方法で行っている。まず州から開
4.5.1 規格管理組織
発プロジェクト計画を提出させ、Infowayの方
Infowayはカナダ規格評議会(Standards
針に合致しているかどうかを厳しく審査し、そ
Council of Cnada、SCC)とカナダ医療情報
の審査に合格したプロジェクトに対して予算化
学会(Canadian Institute for Health
の承認を下す。しかし、予算化された時点で予
Information、CUHI)の協力を得て、共同で
算の全額を州に支払うのではなく、州にプロ
規格戦略委員会(Standards Collaborative
ジェクト毎にマイルストーンを設定させ、その
Strategic Committee、以下SCSC)という組
マイルストーンに達したと判定できた時点で予
織 を 作 り 、 E H R に 採 用 す る 規 格 を 決 めて い
算のある割合を支払い、残りは最終的にそのプ
る。SCSCの下には規格協議委員会
ロジェクトが完了した時点で支払われる。従っ
(Standards Collaborative Coodinating
て、州は設定したマイルストーンまでの費用を
Committee、以下SCCC)を設け、SCCCは、
一時的に負担しなければならないし、プロジェ
臨床的な内容を協議する臨床小委員会と技術的
クトを計画通り完了させないことには予算の全
な内容を協議する技術小委員会を持つととも
額を受け取ることができない。しかも、
に、カテゴリー毎に専門的な検討を行う9つの
Infowayが予算化するのは州が見積もった費用
作業部会を設け規格化の作業を行っている。
の75%までに決められているため、州は残り
各組織の役割は次のようになっている。
の少なくとも25%を、また、万一プロジェク
トが長引いた場合は追加の費用も含めて負担し
規格戦略委員会:
なければならないことになる。Infowayのこの
・全カナダ標準を開発し、普及維持させるため
縛りがあるため、州はプロジェクトの精度を上
の戦略的方針を示す
げ、計画通りに開発を遂行することを求められ
・全カナダ標準のライフサイクルにおける重要
ていることになる。さらに、開発後のサポート
なマイルストーンを決める
や保守の費用も州が負担することになるため、
規格協議委員会:
州は真剣に取り組まざるを得ないしくみになっ
・SCSCにより示された方針と優先順位に基づ
ている。
いて、全カナダ標準について協議し調整する
・規格化におけるプロセスとサービスに関する
開発投資との直接的な関係はないが、カナダの
手引きを提供する
保健医療分野におけるIT費用は少なく、全分野
を合計したIT総費用のわずかに1.4%しかな
臨床小委員会:
い。さらに、病院における予算のうちIT費用の
・医療情報規格の全カナダレベルでの臨床的整
比率は大半が2%以下であるが、カナダ全土に
合性を図る
EHR網が完成することによりこれらの比率は
・規格化の活動やサービスに関して臨床的な指
徐々に上がることが予想される。
導を行う
技術小委員会:
4.5 規格
・医療情報規格の全カナダレベルでの技術的整
全カナダの相互運用可能なEHR網を構築する
合性を図る
ためには、州が任意に標準規格を使うことを避
・規格化の活動やサービスに関して技術的な指
けなければならない。従って、Infowayは規格
導を行う
12
作業部会:
使っているシステムはほとんど無く、カナダの
・採用する規格を推薦し、医療情報規格の内容
州が開発の大半を依頼するアメリカのIT企業
に検討を加え議決を行う
は、HL7 V2の製品は持っていたがV3の製品化
はしていなかった。HL7 V2が普及していたア
4.5.2 規格採用状況
メリカのIT企業の中には、カナダのプロジェク
上記組織では、規格の開発から普及維持までの
トへの参画を中止した企業もあったという。ま
ライフサイクルに焦点を置いた議論と決定が行
た、SONOMED CTの採用についても問題が
われている。その理由は、全カナダで相互運用
あった。カナダ東部はフランスの影響を強く受
できるEHRを長期的に規格に基づいて安定的
けており、公用語としてフランス語が使われて
に運営していくためである。従って、開発する
いる。ケベック州ではInfowayの方針通り
規格や採用する規格については、全カナダで受
SNOMED CTを使おうとしたが、SNOMED
け入れられかつ保守が容易なものが求められ、
CTにはフランス語のバージョンがなかったた
国際規格やそれに準じるものが対象になるのは
めに、InfowayはSNOMED CTをフランス語に
当然である。Infowayは各委員会で検討対象に
翻訳することまでやったという。さらに、法律
する国際的規格開発団体(Standards
は州によって異なっており、Infowayの方針通
Development organization、SDO)をHL7
りに進めるためには法律の改正までしなければ
[13]、ISO、IHTSDO(International Health
ならなかった州もあったという。
Terminology Standards Development
Organization)[14]に絞っている。何故そのよ
以上のように問題は多くあったが、Infowayは
うに決定したのかの経緯は不明である。
自らの方針を変えることなく進めてきており、
このある意味強引とも言えるやり方で進めてき
現在InfowayがEHR用としてサポートしている
たことにより、カナダのEHRの普及は加速して
規格は以下の通りである。
いることに間違いはない。規格の問題は、最終
・HL7 V3 Messaging
的には州の仕事を請け負うIT企業にしわ寄せが
HL7:Health Level 7
行くことになり、IT企業は大きな負担を強いら
・LOINC:Logical Observation Identifiers
れることになるが、ひとつの州で成功すればカ
Names and Codes [15]
ナダ中に展開できるといううまみもあり、負担
・SNOMED CT:Systematized
に対応できる企業が生き残るという業界構図も
Nomenclature of Medicine - Clinical
見せている。
Terms[16]
・IHE Profiles(XDS)
4.6 各州のEHRの状況
IHE:Integrating the Healthcare
前述したように、EHRの導入は最終的に州の
Enterprise
判断で進められている。従って、アーキテク
XDS:Cross-Enterprise Document Sharing
チャは同じであっても、実際のシステムはその
州の実情に合うものが開発されている。また、
HL7 V3の採用については、カナダ国内ではか
州によって風土も財政状況も異なることなどが
なり議論があったようだが、Infowayは方針と
影響して、EHR導入の進捗はまちまちである。
して決定した。Infowayの方針に従わないと開
発費用の財源を賄えないために、州はやむを得
4.6.1 EMRの普及状況
ずこれを受け入れたようである。Blueprontが
EHR網を構築するためには、まずカルテの電
公開された時点では、カナダにはHL7 V3を
子化が必要である。カナダにおけるEMR
13
(Electronic Medical Record、電子カルテ)
を求めた結果、EMRベンダーの数は減少し、
の普及率は国平均で約20%、最も進んでいる
現在は5社程度に絞られてきたという。
アルバータ州では大規模病院ではほぼ100%、
開業医も含めた州平均の普及率は約50%にな
4.6.2 EHR導入状況
るという。この普及率は、国平均が一桁である
InfowayはEHRの進捗状況を毎年の年次報告書
日本とは比べ物にならない高レベルであるが、
の中で詳しく公表している。進捗率を数値化す
EHR網構築を加速するにはさらにEMRの普及
ることは難しいが、Infowayは保健医療サービ
を、特に開業医への普及を促進しなければなら
ス提供者がどのような情報に価値を置いている
ないとInfowayは考え、2009年度からEMR導
かということを調査し、その情報を実際に提供
入支援費用を投資計画に組み込むようになっ
できるシステムになっていることを達成度の指
た。開業医がEMRを導入する場合、基本的に
標に掲げた。
その費用の70%をInfowayが負担し、Infoway
が提示するインセンティブプログラムの達成度
指標に取り上げられたのは以下の6項目であ
が高ければ開業医が負担する費用はさらに少な
る。
くなり、ほとんど負担しなくてもいいような
・患者登録情報(Client Registry)
ケースもあるという。
・保健医療サービス提供者登録情報(Provider
Registry)
アルバータ州では、Infowayが設立される前か
・診断画像データ(Diagnostic Images)
らEMRの導入が進められており、開業医向け
・検査結果データ(Laboratory Test Result)
のEMRベンダーは20数社あったという。しか
・調剤情報(Drugs Dispensed)
し、InfowayがBlueprintでEHRSアーキテク
・免疫情報(Clinical Reports)
チャを発表し、全カナダEHR網と繋がること
図7 各州のEHR進捗率
社会主義的傾向が強い西部の州の進捗率が高い
14
州の住民全員について6項目の情報が利用でき
るようになっていれば100%の進捗率になり、
利用できない項目があったり、一部の住民に限
られていたりする場合は、その比率に応じて進
捗率は下がるという評価になる。2009年度年
次報告書[17]に記載されている各州の進捗率を
図7に示す。Infowayはカナダ全体のEHRの普
及率(人口ベース)を2010年末に50%、2016
年に100%にする目標を立てているが、今のと
ころ2011年前半に50%という数字を達成する
図8 カナダ標準の採用状況
見込みである。
概ねカナダ標準の採用が進められている
また、InfowayがEHRS Blueprintで定めた全
カナダ標準を、各州が上記6項目の情報を提供
州が導入するEHRはEHRS Blueprintに示され
するシステムでどの程度採用しているのか、と
たアーキテクチャに合致していれば、その州の
いうことも評価している。この評価は以下の6
事情に合わせて自由に構築することができる。
段階で行われる。
しかし、Blueprint以前に既に各州で進められ
ていたEHRもあり、その資産を大事にしている
A:システムにカナダ標準が採用されている、
州などは、すぐに資産を捨ててカナダ標準に合
又はカナダ標準に適合する代替のソリューショ
わせて作り直すことは現実的に困難であり、
ンを持つ
徐々に変更しているのが実状である。アルバー
B:システムの一部にカナダ標準が採用されて
タ州のEHRは後述するので、ここではその他
いる、又はカナダ標準に部分的に適合する代替
のいくつかの州の状況について現地で聞いた話
ソリューションを持つ
を紹介する。
C:カナダ標準を実装するプロジェクトが進行
中
カナダで一番大きな州であるオンタリオ州の
D:カナダ標準の実装を表明している
EHR導入はあまり進んでいない。この州には
E:カナダ標準の素案段階で先行開発したシス
以前より独自の医療情報ネットワーク組織
テムを持つ
(Local Health Information Network
F:カナダ標準を採用したシステムではない、
System、LHINS)があり、XMLベースの独自
又は未だプロジェクトが開始されていない
の規格を持っていた。この大きな資産をカナダ
標準に合わせて作り替えることは非常に困難で
2009年度年次報告書に記載されている各州の
あり、LHINS内での意見の統一がなされていな
評価状況を図8に示す。これを見ると、
いために取り組みは遅れているという。オンタ
Infowayが定めたカナダ標準を使って新規に
リオ州でユニークなのは、患者が保健医療サー
EHR開発が進められているか、旧いシステムか
ビス機関にアクセスするための共同センター
ら置き換えていることが窺える。しかし、
(Community Care Access Center)というプ
Infowayのお手本になったアルバータ州のカナ
ロジェクトにより、患者の状況に関する評価方
ダ標準の採用状況が最高評価になっていないの
法を標準化する取り組みが行われていることで
は、少し奇異な感じがする。
ある。一例としてメンタルヘルスに対応するオ
ンタリオ州独自の評価規格(Ontario
15
Common Assessment of Need、OCAN)の
を作成し、カナダ全土に展開しているという。
導入を行っている。
アルバータ州のEHRは世界的にも注目されてお
り、EHR導入の参考にするためにアルバータ
サスカチュアン州では、州の経済状況がよくな
州を訪れる国も多いという。また、アルバータ
いために順調に進んでいた導入がスローダウン
州のEHRはデフォルトで全ての患者のデータを
しているという。
集める Opt-out の仕組みになっている。患者
は自分の意思によりデータを提供しない、つま
ニューブランズウィック州のEHRはほぼ出来上
りEHRから脱退する権利を持っているが、実
がっているが、Blueprintに規定されているプ
際に脱退する患者は稀であるという。ちなみ
ライバシーに関するガイドラインを守るために
に、日本のEHRでは、国民的合意が形成され
は、州法を変更する必要があり、政治的決定が
ていないため、患者の意思で参加する Opt-
なされるのを待っている状況にある。また、
in 方式が一般的である。
ニューブランズウィック州では、他の州にはな
いB to Cのサービス、すなわち患者に対する情
5.1 アルバータ州のEHR体制
報サービスが進められている。詳細は後述す
アルバータ州のEHRはAHWとAHSが共同で取
る。
り組んでいる。また、州都エドモントン地域に
は医療IT専門企業も多く、EHRを構築する環
プリンスエドワードアイランド州は人口が約
境が整っている。
14万人の小さな州であり、大きな公共病院が2
つしかないため、カナダの中でも比較的早く
5.1.1 AHWとAHS
EHRが構築されている。しかし、自由主義的
エドモントンでは、以前よりAHW傘下の
傾向の強い東部の州らしく、カナダ標準に縛ら
Capital Healthという組織によりエドモントン
れないシステムがここでは機能している。
地域の保健医療サービス行政が行われていた。
この組織を母体として2008年5月にAHSが設立
ニューファンドランド・ラブラドール州は、地
され今日に至っている。Capital Healthの頃か
理的な理由から車を使うなどして直接保健医療
らEHR構築は進められており、2004年にエド
サービスを受けることが困難であり、ここでは
モントンでNetcareの運用を開始している。そ
遠隔保健医療サービスであるテレヘルス
して、InfowayがEHRS Blueprintを出した
(Telehealth)が大きな役割を果たしている。
2006年に、アルバータ州政府はNetcareを州全
域に展開することを決定し、その宣言通り
以上のように、各州のEHRの取り組みは足並
2008年には州全域にNetcareが導入された。
みが揃っていないし、実際に運用に至っている
AHSは設立時に、AHWが持っていた権限の一
州も少ない。従って、図5に示したような州を
部を譲り受け、アルバータ州の保健医療サービ
跨って情報を共有するサービスや、アメリカの
ス行政を担当するとともに、州全域のEHRの
疾病管理予防センター(CDC)のような機能
開発・配備・運用を行っている。AHWは主に
をカナダが持つのは将来の話になる。
保健医療サービス行政に関わる方針と法整備を
担当している。
5 アルバータ州のEHR
アルバータ州は、カナダの中で最もEHRが進
んでいる州であり、Infowayはこのアルバータ
州のEHRモデルを参考にしてEHRS Blueprint
16
5.1.2 保健医療サービス行政の現状
AHSが管轄している保健医療サービス行政の概
要を図9に示す。
図10 EHRの地域区分
大都市のエドモントン地区とカルガリー地区、
それ以外は北部・中部・南部に区分されている
図9 AHSの概要
アルバータ州の人口は約370万人(2009年6
5.2 Netcare
月)で、一人当たりの年間保健医療予算
NetcareはAHSの前身であるCapital Healthが
(全ての保健医療サービスに要する費用)は約
最初に運用を開始したことから Capital
3,200カナダドルになる
Health EHR とも呼ばれている。IT企業の
OrionがCapital Healthから開発を請け負っ
アルバータ州は、オイル埋蔵量が豊富なために
て、カナダで最初に手掛けたEHRである。
カナダの中では比較的経済的に豊かな州であ
り、保健医療環境も充実しているため、住民一
5.2.1 ビジョン
人当たりの保健医療費支出はカナダの中で最も
AHSはアルバータ州のEHRについての定義と
高い。元々9つの保健医療地域に分けてサービ
Netcareのビジョンを次のように掲げている。
スを行ってきたが、州全体をひとつに統合する
これらは当然のことながらInfowayが掲げてい
作業が進められている。一方EHRは、データセ
るものと共通している。
ンター設置の関係もあって、5つの地域に区分
・EHRとは、保健医療サービスシステムにおけ
して運用されている(図10)。地理的に5つに
る様々なサービスにおいて、場所に関係なく適
区分されているとは言え、単一のEHRである
切な方法で提供される、全アルバータ住民のた
Netcareで繋がっており、医師も住民も住んで
めの機密の臨床記録である。
いる場所に関係なく均一なサービスが受けられ
・Netcareのビジョンは、全てのアルバータ住
るようになっている。
民がより良い保健医療サービスを受けることが
できるように、適切かつ正確な患者情報を、必
要な時に必要な場所に、持続可能なやり方で提
供することである。
5.2.2 戦略
Netcareを構築するに当たりAHS(当時の
Capital Health)は、アルバータ州医師会
17
(Alberta Medical Association、以下AMAと
記す)と医科および薬科の専門学校との広範囲
の共同研究を実施し、まず実際の保健医療サー
ビスの現場でどのような課題があるのかについ
て調べ、それを解決するためにどのような新た
なサービスを開発すべきかを決め、それに必要
な要素技術の開発を行ってきた。サービスモデ
ルの構築の一例を図11に示す。
図12 Netcareの進化
上は取り扱う情報の進化で下はビューアの進化
を表している
5.2.3 管理組織体制
Netcareの開発・配備・運用は、しかるべき組
織の下に管理されている。その中枢を担ってい
るのが保健医療情報経営委員会(Health
Information Executive Committee)である。
この組織はAHW、AHS、AMA、そしてAPA
図11 Netcare構築モデル
(アルバータ州薬剤師会)の代表により構成さ
現場のニーズ(上)と開発すべきサービス
れており、ここで討議された内容は保健省の大
(中)、それを支える要素技術(下)に整理さ
臣に報告されることになっている。この傘下に
れている
戦略委員会とEHRスポンサー委員会、運用管
理委員会が設けられている。戦略委員会は文字
さらに、集めるデータについては、簡単なもの
通りNetcareの戦略を作成する組織であり、
から始めて徐々に進化させていく戦略で進めて
EHRスポンサー委員会はNetcareの開発を推進
きた。Netcareの進化の概要を図12に示す。最
する組織、そして運用管理委員会はNetcareの
初に必要とされた情報は調剤情報であり、次に
運用を推進する組織である。EHRスポンサー
検査結果、画像診断報告書、口述報告書とイベ
委員会は複数の小委員会を持ち、そこで個別の
ント、そして検査画像というように情報を拡大
開発プロジェクトが進められる。また、小委員
していき、現在は診療所に保存している患者の
会の活動を専門的な見地から支えるための3つ
記録をNetcareの中に移していくことを始めて
の作業部会が設けられている。ひとつは規格を
いる。ビューアについても、誰でもアクセス可
担当する作業部会、ふたつ目は臨床的な助言と
能なスタンドアロンのツールから始めて、次に
要求を担当する臨床作業部会、そしてもうひと
他の病院の医療情報システム(CIS)や電子カ
つはアーキテクチャを担当する作業部会であ
ルテ(EMR)の情報をビューアで閲覧できる
る。この中で臨床作業部会は、開発プロジェク
ようにしてきた。将来的にはSOA(Service
トを具体的に進める上で、またNetcareを運用
Oriented Architecture)のようなビューアに
する上で非常に重要な役割を果たしている。そ
していくことを考えているという。
の内容については後述する。全体の管理組織体
制を図13に示す。
18
5.3 Netcareポータル
Netcareポータル(Alberta Netcare Portal、
以下ANPと記す)はAHWが所有し、AHSが5
年契約で管理運用している。ANPはOrionの
Concertoという製品をベースにして開発され
たビューアである。ビューアの裏ではEHRSを
構成する様々なツールが動いていて、これらの
大半もOrionが開発した製品である。
5.3.1 特徴
ANPは次のような特徴を持っている。
図13 Netcare管理組織体制
・州内の全ての保健医療サービス機関からアク
保健医療情報経営委員会の下に実務組織が構成
セスができる
されている
・2項目の認証を受けることでビューアに入り
EHRを閲覧することができる
5.2.4 臨床作業部会
・独自の識別番号で患者を特定し、その患者の
臨床作業部会は、保健医療サービス提供者であ
情報を統合整理する
る医師や看護師、薬剤師、セラピスト、さらに
・州内の複数の場所やシステムから患者記録を
は診療所管理者などで構成されており、個別の
集め統合して閲覧することができる、PACSの
開発プロジェクトやNetcareの運用に関して、
データも含む
臨床的な見地からの専門的な指導や要求を提言
・高度なセキュリティにより患者のプライバ
する多角的な専門作業部会である。この中には
シーや秘密を保護する
詳しい専門領域を担当する小作業部会が設けら
・患者検索にEMPI(Enterprise Master
れていて、このような組織を作る際の原則を次
Person Index)を使っている
のように規定している。
・患者記録は臨床学的なフォルダ構成(CDV
ツリー)で整理されている
・利害関係にある様々な団体から参画する多角
・検査結果の異常や患者特定ミスなどを確認す
的代表で構成されること
るための警告を出す
・代表は自分が所属する団体を擁護する立場に
・検査の工程表と累積データを図表で表示する
立たないこと
・他のCISプラットフォームから患者記録を送
また、作業部会のメンバーの責務として次のよ
り出し、ANPで閲覧することができる
うに規定している。
・慢性病管理(Chronic Disease
・臨床的に正しい見方と機能的な視点でレ
Management、以下CDMと記す)機能を有す
ビューを行い、利益が実現できるようにフィー
る
ドバックを与えること
・個々のサービスを開発する際の設計や実装に
関する臨床的助言を継続して行うこと
・EHRで記述される臨床項目の定義付けと開
発の優先順位付けを行うこと
19
5.3.2 アーキテクチャ
NetcareのアーキテクチャはInfowayのEHRS
Netcareではアーキテクチャの各レイヤーの随
Blueprintと同じであり、データを集めるアプ
所にOrionの製品が組み込まれているが、代表
リケーションとそのデータを保存するレポジト
的なものは Rhapsody と Concerto である。
リ(Clinical Data Repository、以下CDRと記
RhapsodyはHIALに組み込まれている統合エン
す)との間をHIALで結び、情報変換処理
ジンで、異なるシステムから受け取る情報を独
(Health Information Exchange、HIE)を実
自のマッピング機能を使って標準のメッセージ
行しながら通信する。Netcareのアーキテク
ング形式に変換して送り出すことにより、分散
チャを図14に示す。
システム間のデータの相互運用性を可能にして
いる。ConcertoはANPそのものであり、臨床
医向けのユーザインターフェースを持ち、患者
中心の包括的な記録ビューを提供する。情報取
得の高速化が図られているとともに、ワークフ
ローの統合化と最適化を実現することにより、
保健医療サービス機関の業務の効率化に寄与し
ている。また、高度なセキュリティとプライバ
シー機能を持ち、安心して利用できるEHRを提
供している。
図14 Netcareアーキテクチャ
InfowayのBlueprintと同じ構成である
CDRは州内に複数配置されているが、患者の
記録を閲覧する場合は、それぞれのCDRに保
存されている患者の全ての情報がビューアに送
られてくる。集められた情報はビューアが持つ
機能で画面上にまとめて表示される。図15に
ビューア画面上に表示される情報の一例を示
図15 ビューア画面表示の一例
す。
複数の情報がひとつの画面に表示される
ここで、Netcareの開発を行ったOrionの概要
と、中核を成している主な製品について紹介す
る。
Orionは1993年にニュージーランドで医療IT専
門会社として設立され、北米を中心に欧州やア
ジアの各地に拠点を展開し、急成長しているグ
ローバル企業である。保健医療分野のIT統合と
臨床ワークフローソリューションが得意で、国
や地域レベルでのIT統合から単体組織のソ
リューションなどを提供している。
20
5.3.3 情報源
ANPは35を超える主要な保健医療サービス機
関とデータ共有の契約を結び、様々な情報を提
供してもらっている。レガシーシステムから送
られてくる情報もあり、それは次のような内容
である。(予定中も一部含む)
・調剤情報:調剤内容、処方箋、アレルギーや
過敏症の情報
・検査結果:公的検査機関の情報、民営検査機
関の情報、カナダ血液サービスの情報(2010
年末予定)
図16 検査結果のグラフ表示
・口述記録:退院サマリ、手術報告書、経過
一定期間内の変化をプロットしている
歴、診察記録、他
(複数の検査機関のデータを統合して表示する
・画像診断記録:公的画像診断機関の診断記
ことも可能)
録、民営画像診断機関の診断記録
・検査用画像:エドモントン地区の検査用画
像、それ以外の州内の全ての検査用画像
(2011年予定)
・免疫情報:エドモントン地区の公的機関の情
報、州全体の情報(2011年予定)
・イベント情報:病院・在宅ケア・ガン施設・
メンタルヘルスなどにおける対面口述記録
臨床医に調査を実施し、ANPに集められる情
報の中でどの情報に価値があると思うかという
質問に対する回答では、検査結果(93%)、
検査画像(89%)、口述記録(86%)、経過
図17 検査用画像の表示
歴(76%)が上位にランクされた。
超音波画像が表示されている
Netcareでは検査結果の一定期間内の変化をグ
ラフにプロットして表示したり(図16)、
PACSに保存されている検査用画像(CT、
MRI、超音波など)を表示したり(図17)す
ることもできる。画像診断記録の例を図18
に、緊急時にBreak the Glassを申請する画面
の例を図19に示す。
図18 画像診断記録
胸部レントゲン写真の診断記録を表示している
21
また、Dashboardという機能を使えば、医師
は糖尿病で管理しなければならない検査項目に
関する登録済み患者の分布状況をグラフで見る
ことができ(図21)、ここで例えばA1Cのグ
ラフをクリックすると登録されている全患者の
リストが表示され、その中から目的の患者を探
してクリックすれば、その患者の詳しい情報に
辿り着くことができる(図22)。州レベルで
比較されることを望まなかった医師も、自分の
図19 Break the Glass
患者の管理がしっかりできるので、この機能を
緊急時のアクセス申請が行われている
使うようになったという。
5.3.4 慢性病管理
Netcareには慢性病管理(Chronic Disease
Management、以下CDMと記す)という機能
がある。これはOrionが開発したアプリケー
ションであり、慢性病にかかっている患者を登
録し、医師が長期にわたって管理することがで
きるものである。例えば糖尿病の患者の場合は
複数の病気を持っていることが多く、従って、
こういう患者には施すべき検査や処置がたくさ
んあり、そのタスクを一覧表で表示することに
よって漏れが無いように管理することができ
図21 Dashbord Reporting
る。これは一種の患者モニタの役目を果たす。
登録患者の分布状況がグラフで表示される
図20はタスク表示画面の一例である。
図22 Dashbord Drill Down
図20 タスク一覧表
分布グラフを追跡することにより特定の患者の
期限内にタスクを受けなかった場合は、赤い
詳細情報が得られる
マークが付いて警告が出る
22
5.3.5 利用状況
また、医師が実際の臨床活動の中で、どういう
Netcareの利用者の数は毎月増加している。ア
場面においてNetcare利用の効果があったか、
クティブなユーザー(1ヶ月の間にアクセスが
という調査を行ったところ、複数の複雑な問題
あったユーザー)は2010年8月時点で21,000
を抱える患者の管理に効果があったという回答
人強、1年前と比べると約5,000人増えている
が最も多く、次いで過去の病歴を持つ患者の管
という。Netcareは2004年にエドモントンで
理、他の保健医療機関でサービスを受けた患者
開始した経緯があるため、エドモントン地区の
の管理、日常的問題を持つ患者の管理、という
ユーザー数が最も多いが、最近は他の地区の利
順番であったという。
用が増えており、増加の大半は他の地区のユー
ザーになっている。Netcareでは一度登録する
5.3.6 開業医の例
とユーザーIDは永久に付与されることにな
Netcareは多くの保健医療サービス提供者に利
り、Netcare開始からのユーザーID総発行数は
用され効果を上げているという話を聞き、その
約47,000になるという。全く使っていない人
実態がどうなっているのかを確認するために、
もいるが、1ヶ月以上ログインしていないが利
エドモントン市内の総合医療施設内にある開業
用している人数を加えると約30,000人が実際
医の診療所を訪問し、実際にNetcareが使われ
のユーザー数になると推測されるという。アク
ている現場を見学した。この診療所では、最近
ティブユーザーの内訳を図23に示す。最も多い
EMRを導入したということで、EMRとEHRを
のは看護師で30%、次が医師で21%となって
うまく使い分けながら診療に役立てていた。図
いる。アルバータ州で資格を持つ医師の数は
24は診察室の様子で、デスクの上にEMRの画
7,373人なので、医師の62%が利用しているこ
面とEHRの画面を並べ、両者を連動させなが
とになる。アルバータ州ではEMRを使ってい
ら診療を行っているということであった。初診
ない医師でもNetcareにアクセスして患者記録
患者に対しても、他の保健医療サービス機関の
を閲覧することを許可しており、EMRの普及
過去の記録を参照することができ、医療を安全
率が約50%なので、EMRを導入していないが
に行うという観点からも大変良いことであると
Netcareは利用している医師が約12%いること
開業医は説明した。図25はこの診療所が導入
を、この数字は表わしている。
したEMRサーバーの写真、図26は診療所の事
務所の様子で、膨大な量の紙カルテが残ってお
り、順次EMRに移し替える作業が進められて
いるという。また、この開業医は慢性病患者の
治療にも積極的に取り組んでおり、Netcareの
CDM機能を日常的に活用しているという話で
あった。
図23 Netcareユーザーの内訳
全ての保健医療サービス提供者が利用している
ことがわかる
23
6 カナダのEHRの展望
カナダのEHRはメディケアを側面から支えるも
のとして順調に発展している。全国民に公平に
保健医療サービスを提供するという国の方針が
徹底されており、各保健医療サービス機関の患
者記録の全てを共有するということが当たり前
のように行われていた。サマリ程度を共有して
いる日本とは全く異なる次元のものである。カ
ナダがこのようにEHRに成功している要因は、
次のように整理することができる。
・連邦政府の政治主導で進められ、必要な財政
図24 開業医の診察室
の手当てが行われていること
向かって左側がEMR、右側がEHR
・明確なフレームワークが示され、それを遵守
する義務を負わせていること
・技術や規格の進歩を考慮して、柔軟性のある
アーキテクチャを採用したこと
・各州の事情を勘案し、実際の活動は州に任せ
ていること
・国中の利害関係者が協力してEHR構築に取り
組んでいること
・まずできる小さなことから始めて、それを拡
大させていく手法を取っていること
・全ての活動に公約を求め、それに基づいて確
実に実行されていること
図25 EMRサーバー
・アメ(インセンティブ)とムチ(公約)と果
事務所の隣の小さな部屋に管理されている
実(利益)をうまく使い分けていること
しかし、カナダのEHRには、患者中心という
観点からふたつの大きな課題が残されている。
ひとつは患者のEHR利用であり、もうひとつ
は医療連携である。
現在は保健医療サービス提供者が主体のEHR
になっており、患者は自分の健康の全てを保健
医療サービス提供者に委ねている。患者が自分
の診療記録にアクセスし、それを基に医師と相
談しながら病状を改善していくことや、自分に
必要な健康情報に容易にアクセスし、自ら健康
図26 事務所の様子
状態を改善していく、いわゆるPHR
膨大な紙カルテが棚に保管されており、端末で
(Personal Health Record)の考え方などが
EMRに移し替えられている
将来は必要になってくる。IT企業のOrionはこ
24
のような製品開発に取り組んでおり、既にカナ
ダのある州では特にリハビリを受けている患者
に的を絞って運用されているという。Patient
Portalと呼ばれるこの製品では、患者は自分の
ホームページを持つことができ(図27)、医
療機関からのメッセージを受け取ったり、次回
の診察の予約を行ったりすることができる。自
宅でリハビリを行っている患者は日常生活の中
で様々なことに気付き、次の診察日まで待つこ
となく医師と直接相談したいと思うことがあ
る。Telehealth用のビデオ会議の機能を使え
図28 ビデオ会議
ば、医師に直接相談することができるし(図
自宅から医師に相談することができる
28)、会議の様子を録画したビデオを患者は
いつでも見ることができ、自宅での日常の訓練
に活かすことができる。さらに、Health
Libraryにアクセスすれば、患者が参考にでき
るファイルが準備されていて、患者はこのファ
イルを自分のリハビリに役立てることができる
(図29)。Patient Portalを使うことで、患者
からも様々な情報が出されるようになり、最初
はこれに興味を示さなかった医師も診療に役立
てるようになったという。
図29 Health Library
杖を使った歩行訓練ファイルの例
医療連携に関してはふたつの側面がある、ひと
つは患者の日常のケアをグループとして行
う Circle of Care であり、もうひとつは州を
跨った医療連携である。
Circle of Care については、EHRを使うこと
図27 Patient Portalのホームページ
により保健医療サービス提供者の間ではその考
医療機関からのメッセージが表示され、左のメ
え方が徐々に浸透しているようであるが、現実
ニューから必要なアクセスを行う
は患者不在である。患者が主体的に参加し、ど
のようなケアが本当に患者の利益になるのかと
いう観点で行われるようになれば理想に近づく
ことになる。
25
州をまたがった医療連携については、現時点で
[9] Health Canada: Canada Health Act:
技術的には一定のレベルに達しているので、各
http://www.hc-sc.gc.ca/hcs-sss/medi-
州がその気になれば実現させることは可能であ
assur/cha-lcs/index-eng.php
る。しかし、EHR配備レベルが州毎にまちま
[10] Health Canada: Canada Health
ちであることや、州によって政治経済状況や法
Transfer: http://www.hc-sc.gc.ca/hcs-sss/
律が異なるため、実際に実現できるのはまだ先
delivery-prestation/fedrole/index-
になりそうである。また、伝染病の管理や対策
eng.php
のためにEHRを活用する取り組みもアメリカ
[11] Canada Health Infoway: EHRS
と比べると遅れており、連邦政府や州政府によ
Blueprint: https://www2.infoway-
る環境整備を待たなければならない。カナダは
inforoute.ca/Documents/EHRS-Blueprint-
理想のEHRを求める長い道のりの途中にあ
v2-Exec-Overview.pdf
り、アルバータ州の関係者の間では次のような
[12] Canada Health Infoway, Business Plan
言い方をしている。
2010-2011: https://www.infoway-
EHR is a journey
inforoute.ca/flash/lang-en/bp2010-2011/
docs/Business_Plan_2010-2011_ENG.pdf
[13] HL7ホームページ: http://www.hl7.org/
【参考文献/参考情報】
[14] IHTSDOホームページ: IHTSDO ホーム
ページ http://www.ihtsdo.org/
[1] World Health Organization: The World
[15] LOINCホームページ: http://loinc.org/
Health Report 2000 ‒ Health Systems:
[16] International Health Terminology
improving performance, http://
Standards Development Organization:
www.who.int/whr/2000/en/
SNOMED CT, http://www.ihtsdo.org/
whr00_annex_en.pdf
snomed-ct/
[2] Canada Health Infowayホームページ:
[17] Canada Health Infoway, Annual Report
https://www.infoway-inforoute.ca/lang-
2009-2010: https://www.infoway-
en
inforoute.ca/flash/lang-en/ar2009-2010/
[3] Alberta Health Seviceホームページ:
docs/
http://www.albertahealthservices.ca/
CHI_AnnualReport_2009-2010_ENG.pdf
[4] Alberta Health and Wellnessホームペー
ジ: http://www.health.alberta.ca/
[5] Alberta Netcareホームページ: http://
www.albertanetcare.ca/
[6] Orion Healthホームページ: http://
www.orionhealth.com/
[7] James H Tiessen: カナダにおける保健医
療の財政基盤-その歴史と課題,
http://www.ipss.go.jp/syoushika/
bunken/data/pdf/18814003.pdf
[8] Health Canadaホームページ: http://
www.hc-sc.gc.ca/index-eng.php
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