第148回 ワイン勉強会 ~根菜とドルチェット~ 2011年1月18日(火曜) 2011年はイタリア固有品種も少し掘り下げていきましょう!ということで、新年一発目に華々しく行き たいところを食材テーマが根菜類ということもあり、あえて地味な“ピエモンテ第三の黒ブドウ”《ドル チェット》とさせていただきます。 ドルチェットという品種、一部リグーリア州にもまたがりますが日本への流通は聞きませんので即ピエ モンテ州を思い浮かべてもらって良いかと思います。 “ドルチェ”とは[形]甘い[名]菓子といった意味ですが、《ドルチェット》の語源としてはまずはもともと 生食用であったため、果実としての甘い。 他説で《ネッビオーロ》や《バルベーラ》といったこの地 方の他の品種のタンニンや酸と比較しての甘い(渋くない、酸っぱくないという意味)。 ピエモンテ州の赤ワイン(黒ブドウ)、第一はなんといっても威厳ある《ネッビオーロ》、イアリア最高の 品種との声も多し!ですから。 第二に華のある《バルベーラ》です。 比して今日の主役《ドルチェ ット》は地味。 寒さに強い頑張り屋さんなので条件のいい畑は他品種に優先され、それらの品種 に不向きな条件の悪い、高地過ぎる畑や日照の不足する畑、に《ドルチェット》は回されがちです。 それでも健気に熟するんですが・・・ またネッビオーロと比べれば4週、バルベーラと比べても2週 早く収穫できることから保険的な意味合いも・・・? 《ドルチェット》というブドウ、果皮に色素を多く含むので抽出を控えるためにごく短期に発酵期間を控 える生産者が多い。 タンニンも豊富だが前記のような造りが主なので全開に発揮されることはあま り見受けられない。 しかしながらこの品種は元来酸に乏しい(《ドルチェット》の酸度は《バルベー ラ》の最低ラインの酸を超えることはない)のでバランス上、正しいのだとは思います。 とはいえ、な んとなく《ドルチェット》の本気を追求してないような気も・・・ しかし現スタンスで“どんな食事とも合う食中酒”のポジションを獲得しています。 あのアンジェロ・ガ ヤ(バルバレスコ最高の造り手)曰く、“一本だけ無人島に持ち込む事が許されるならばどんな食事 にも対応する《ドルチェット》を!” 本日のワインは新年の乾杯にスプマンテを捻じ込んであとは《ドルチェット》を3種用意しました。 ①ガヴィ デル コムーネ ディ ガヴィ スプマンテ ブリュット ロヴェレッロ Gavi del Comune di Gavi Spumante Brut Roverello (ブローリア) (Broglia) コルテーゼという土着品種を使った辛口の白ワイン“ガヴィ”は割と有名ですが実はスプマンテも認 定されています。 シャルマー方式。 (日欧商事 ¥2600) ②ドルチェット ダルバ (コルデロ ディ モンテツェモロ) Dolcetto d‘Alba (Cordero di Montezemolo) 歴史的なバローロの生産者です。 バローロのエリアの中では比較的軽めの土壌であるラ・モッラ 近辺なので《ドルチェット》向きではあります。 それでも当然“バローロありき”、他にも広域DOCでネ ッビオーロ、バルベーラも造っているのでかなり追いやられてる? (飯田 ¥2700) ③ドルチェット ダルバ (ボルゴーニョ) Dolcetto d‘Alba (Bolgogno) こちらも本来は「バローロ」を造る生産者であり、広域DOCで《バルベーラ》も造っています。 《ドルチェット》の収穫は9月頭(!)、発酵は1週間弱です。 同社のバルベーラが10日間の発酵 を行うのでやはり抽出は短いですね。ちなみにバローロだと同社では15~20日間。オーク樽での 熟成も1ヶ月のみ。 (日欧商事 ¥3000) ④クルサレット ドルチェット ディ ドリアーニ (ジッラルディ) Cursalet Dolcetto di Dogliani (Gillardi) 上の二つのアルバのワインと異なる点、それはドリアーニは《ドルチェット》が主役の土地であるという こと。(他にオヴァーダやディアーノといったエリアも同様にドルチェットがメインの産地)。 もちろんそも そもネッビオーロやバルベーラに不向きな土地であるということですが。 ここは標高500mとやや耕地に位置している。収穫は9月末と③のボルゴーニョと比べれば3週程 遅い。 発酵も10日近く行い、10ヶ月ほどステンレスタンクで寝かせて瓶詰するなど心なしか大事 に扱われているような・・・? (日欧商事 ¥2900) お疲れ様です。 次回は2月8日(火)です。 また今後も土着品種を掘り下げていく機会があればと思いますので、最 後に意見いただく時に興味お持ちの品種を伝えてください! 皆さん、かなり飲んできているのでいろいろと名前が挙が ることを期待しています!! よろしくお願いします。
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