第 25 回日本心エコー図学会学術集会 JSE2014 テーマ THEME 未来型心血管エコーへの挑戦 Let's challenge the next generation echocardiography 会 期 DATE 2014 年 4 月 17 日(木)~ 19 日(土) 会 場 VENUE 石川県立音楽堂 金沢市アートホール 会 長 PRESIDENT 山岸 正和(金沢大学臓器機能制御学・循環器内科) PROGRAM ABSTRACTS 事務局 Congress Office 金沢大学臓器機能制御学・循環器内科 〒 920-8641 石川県金沢市宝町 13-1 TEL:076-265-2251 FAX:076-234-4251 ※学術集会ホームページより、プログラム抄録集の PDF データをダウンロードできます。 ダウンロードには下記のパスワードが必要となります。 パスワード:25JSE2014 学術集会ホームページ QR コード The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ごあいさつ Presidential Remarks 第 25 回日本心エコー図学会学術集会 会 長 山 岸 正 和 (金沢大学臓器機能制御学・循環器内科) 2014 年 4 月 17 日(木)から 19 日(土)の 3 日間、金沢にて第 25 回日本心エコー図学会学術集 会を開催させて頂きます。今回は招請講演として、アメリカ心エコー図学会 (ASE) から Benjamin F. Byrd Ⅲ先生を、ヨーロッパ心エコー図学会(EACVI)から Patrizio Lancellotti 先生を、さらに 韓国心エコー図学会(KSE)より Yong-Jin Kim 先生をお招きしました。また、特別ゲストとして Anthony DeMaria 先生にもお越し頂く予定になっています。仁村レクチャーは別府慎太郎先生にお 願いしました。ASE、EACVI、KSE の YIA winner による International Award Session を企画いた しました。 シンポジウムは、「Structural heart disease 治療における心エコーの有用性」 、 「成人期先天性心疾 患管理における心エコーの役割(診断、術後経過) 」 、 「カテーテル治療と心エコー カテーテルアブ レーション治療(不整脈)での ICE(心内エコー)の活用」 、 「Low flow low gradient AS をどう見 つけ手術するか」、「全身性疾患における心病変のエコー CT, MRI vs 心エコー」 、 「連合弁膜症の治 療方針(連合弁膜症、大動脈、先天性心疾患など) 」 、 「術中心エコー(麻酔科、心臓血管外科、循環 器内科医の communication)」、「心エコーを心不全治療に活かす」 、パネルデイスカッションでは「組 織ドプラ法は生き残れるか?」、「負荷心エコーはなぜ臨床で広まらないのか」 、 「ポータブルエコー の有用性と限界(GE ポケットの役立て方) 」 、 「CRT 適応決定はエコーではだめなのか ? CRT に 対する心エコーの活かし方」、「ASO の診断治療に血管エコーをどう活かす? Vascular team 活用 術」、ワークショップは、「ASO の診断、治療後の評価」 、 「チーム医療(SHD インターベンション、 Heart team アプローチ)における心エコーの役割」 、 「もう一度見直すストレイン計測と 2D-speckle tracking の精度(ストレイン計測の再現性をいかに向上させるか) 」 、 「エコーラボの水準をいかに維 持するかさらに伸ばすためには(医師とのコミュニケーションアップ) 」 、 「救急現場での心エコー図 の活かし方 救急時の心エコー、私ならこうする」 、などのテーマを企画しました。先生方の日常診 療において、疑問となる点を多いに議論していただける場になると思っております。また金沢大学心 肺・総合外科教室のご協力で、手術症例のビデオライブセッションも企画しました。第 24 回大会で 好評でした Japanese Board of Perioperative Transesophageal Echocardiography (JB-POT) の講習会 を再度企画いたしております。術中経食道心エコーを学ぶよい機会になると思います。季節が合えば、 桜舞い散る金沢をお楽しみ頂けるかもしれません。4 月に会場で皆様にお会いできることを楽しみに しております。 3 第25回日本心エコー図学会学術集会 目次 Official Session のご案内 ����������������� 5 交通のご案内����������������������� 6 会場のご案内����������������������� 7 日程表�������������������������� 8 学会集会参加者へのご案内���������������� 14 座長、演者へのご案内������������������ 18 機器等展示のご案内������������������� 20 協賛/共催企業・団体一覧���������������� 21 Official Session プログラム ��������������� 24 プログラム����������������������� 29 抄録�������������������������� 85 索引������������������������� 277 4 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Official Session のご案内 日本心エコー図学会「Official Session」を下記の通り開催いたしますので、会員の方々は ご出席下さい。 日本心エコー図学会 理事長 竹中 克 Official Session 会 場:第 1 会場(石川県立音楽堂「コンサートホール」) 日 程: 4 月 17 日(木) Official Session 1 14:30 ~ 16:00 Young Investigator’s Award 審査会 4 月 18 日(金) Official Session 2 8:50 ~ 9:20 会長講演 9:20 ~ 10:10 理事長報告 表彰 ・名誉会員 ・日本心エコー図学会功労賞 ・海外学会発表優秀論文賞 ・Journal of Echocardiography 論文賞 ・男女共同参画奨励賞 ・Young Investigator’s Award 認定式 ・日本心エコー図学会認定専門技師 次回学術集会会長挨拶 Official Session 3 10:10 ~ 10:40 仁村レクチャー 10:40 ~ 11:10 海外留学助成帰国報告 →詳細は 23 頁 5 第25回日本心エコー図学会学術集会 交通のご案内 会場までのアクセス 会場までのアクセス ■金沢へのアクセス 石川県 SAPPORO 金沢市 至 東京(越後湯沢経由) 至 新潟 富山県 石川県 至 大阪(京都) 至 名古屋 福井県 SENDAI KOMATSU HANEDA FUKUOKA NAHA ● 航空機のご利用:小松空港 東京 :約1時間 札幌 :約1時間30分 ● JRのご利用:JR金沢駅(新幹線/特急等を利用) 東京(越後湯沢経由) :約3時間40分 (米原経由) :約4時間20分 仙台 :約1時間10分 福岡 :約1時間15分 沖縄 :約2時間10分 大阪 :約2時間30分 名古屋(米原経由) :約2時間50分 関西国際空港(京都経由) :約3時間20分 岡山(新大阪もしくは京都経由):約3時間40分 ※小松空港→JR金沢駅前は直通バスで50分程度です。 石川県立音楽堂 〒 920-0856 金沢市昭和町 20-1 TEL:076-232-8111 金沢市アートホール 〒 920-0853 金沢市本町 2-15-1 ポルテ金沢 6F TEL:076-224-1660 J Cardiol Jpn Ed 6 5 3 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 会場のご案内 石川県立音楽堂 B1F 運営本部 ポスター会場 展示会場 第3会場 交流ホール ロビー PC受付 1F もてなしドーム地下広場 第1会場(コンサートホール)は 2Fへ 正面玄関 出入口 総合受付 第2会場(邦楽ホール)は エレベーターもしくはエスカレーターで2Fへ 2F 第2会場 第1会場 邦楽ホール コンサートホール クローク エレベーターもしくは エスカレーターで1Fへ ポルテ金沢 6F 金沢市アートホール 第4会場 金沢市アートホール ホテル日航とポルテ金沢は 6階でつながっています PC受付 ポルテ金沢1Fヘ ホテル日航金沢 7 第25回日本心エコー図学会学術集会 日程表 【第1日目】2014年4月17日 (木) 階 会場名 室名 第 ₁ 会場 ₉:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 開 会 式 コンサー トホール ₈:00 10:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ワークショップ1 (W1) Structuralheartdisease治療 における心エコーの有用性 ASOの診断、 治療後の評価 座長:中谷敏/大手信之 座長:赤阪隆史/ 松尾汎 演者:山野倫代、 桜井美恵、 村田光繁、 竹田泰治、 玉田智子、 出雲昌樹 B1F 第 ₃ 会場 Invited Lecture1 (IL1) EACVIJSEJoint Session 座長:田邊一明 演者:Patrizio Lancellotti 演者:山田博胤、 赤坂和美、 村上未希子、 竹本和司 GEヘルスケア・ ジャパン 株式会社 心血管エコーを治療に活かす (プラクテイカル・ワーク ショップ) (PW) 教育セッション1 (ES1) 先天性心疾患の心エコー診断 3Dエコーで理解する先天性 心疾患 座長:川合宏哉/山田聡 座長:富松宏文/新居正基 演者:瀧聞浄宏、 高橋健、 椎名由美 交流 ホール 1₂:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 シンポジウム1 (S1) 2F 石川県立音楽堂 邦楽 ホール 第 ₂ 会場 11:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 演者:有田武史、 大原貴裕、 鶴田ひかる、 出雲昌樹 一般口演1 (O1) 弁膜症-1 一般口演2 (O2) 弁膜症-2 座長:小林さゆき/ 戸出浩之 座長:水重克文/ 田中信大 一般口演3 (O3) 弁膜症-3 座長:李鍾大/渡邉望 13:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ランチョン セミナー1 (LS1) 1₄:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 Invited Lecture2 (IL2) ASEJSEJoint Session 座長:田内潤 座長:穂積健之 演者:柴田利彦 渡辺弘之 演者:Benjamin F.ByrdIII セント・ジュード・ メディカル株式会社 株式会社 フィリップス エレクトロニクス ジャパン ランチョン セミナー2 (LS2) 座長:皆越眞一 演者:坂田泰史 田辺三菱製薬 株式会社 ランチョン セミナー3 (LS3) 座長:増山理 演者:土肥薫 30 10 ₂0 ₄0 ₅ International Award Session (IA) Yo A 座長:吉田清 演者:R.Sacha Bhatia、 Kyung-Hee Kim、 Christine Henri パネルディスカッション1 (PD1) 組織ドプラ法は生き残れるか? 座長 演 佐藤 シ 成人 お 座長:那須雅孝/田内潤 演者:大手信之、 山田聡、 高野真澄、 大西俊成、 瀬尾由広 座 演 石津 一般口演4 一般口演5 (O4) (O5) 感染症心内膜炎-1 感染症心内膜炎-2 座長:伏見悦子/ 水上尚子 座長:中尾伸二/ 増田喜一 大塚製薬株式会社 6F ポルテ金沢 第 ₄ 会場 金沢市 アート ホール 一般口演7 (O7) 一般口演8 (O8) 心筋症-1 心筋症-2 座長:原田昌彦/森三佳 座長:本間博/林研至 一般口演9 (O9) 腫瘍、 血栓-1 座長:菅原重生/ 桑原栄嗣 ランチョン セミナー4 (LS4) 座長:大手信之 演者:石津智子 中島英樹 一般口演10 (O10) 腫瘍、 血栓-2 座長:鈴木健吾/ 仲宗根出 一般口演11 (O11) 虚血性心疾患 座長:笠巻祐二 岡山英樹 シーメンス・ ジャパン株式会社 B1F 石川県立音楽堂 8 ポスター 会場 交流 ホール ポスター掲示 ポスター 発表 ₄0 ₅0 nvited ecture1 (IL1) EACVISEJoint Session 長:田邊一明 者:Patrizio ancellotti ヘルスケア・ ジャパン 株式会社 かす ク 聡 裕、 演3 ) -3 /渡邉望 演9 ) 栓-1 重生/ 嗣 1₂:00 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 13:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ランチョン セミナー1 (LS1) 1₄:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 Invited Lecture2 (IL2) ASEJSEJoint Session 座長:田内潤 座長:穂積健之 演者:柴田利彦 渡辺弘之 演者:Benjamin F.ByrdIII セント・ジュード・ メディカル株式会社 株式会社 フィリップス エレクトロニクス ジャパン ランチョン セミナー2 (LS2) 座長:皆越眞一 演者:坂田泰史 田辺三菱製薬 株式会社 ランチョン セミナー3 (LS3) 座長:増山理 演者:土肥薫 1₅:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 Official Session Young Investigator's Award 審査会 (YIA) 座長:吉田清 パネルディスカッション1 (PD1) 組織ドプラ法は生き残れるか? 座長:那須雅孝/田内潤 演者:大手信之、 山田聡、 高野真澄、 大西俊成、 瀬尾由広 座長:三神大世/石井克尚 演者:中鉢雅大、 千村美里、 佐藤希美、 岡雅通、 五十嵐崇、 福田智子 シンポジウム2 (S2) 成人期先天性心疾患管理に おける心エコーの役割 (診断、 術後経過) 座長:市田蕗子/安河内聰 演者:富松宏文、 早渕康信、 石津智子、 田代英樹、 椎名由美 座長:大手信之 演者:石津智子 中島英樹 1₈:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 一般口演4 一般口演5 (O4) (O5) 感染症心内膜炎-1 感染症心内膜炎-2 座長:伏見悦子/ 水上尚子 座長:中尾伸二/ 増田喜一 1₉:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 イブニング セミナー1 (EvS1) チーム医療 (SHD インターベンション、 Heartteam アプローチ) における 心エコーの役割 座長:赤石誠 演者:池田隆徳 座長:岩瀬正嗣/ 山野哲弘 ブリストル・ マイヤーズ株式会社/ ファイザー株式会社 演者:田代敦、 木島康文、 丸尾健、 鶴田ひかる ワークショップ3 (W3) もう一度見直す ストレイン計測 と2D-speckle trackingの精度 (ストレイン計測の 再現性をいかに向上 させるか) イブニング セミナー2 (EvS2) 座長:赤阪隆史 演者:川尻剛照 アストラゼネカ 株式会社/ 塩野義製薬 株式会社 座長:石井克尚/ 田中秀和 演者:竹内正明、 浅沼俊彦、 兵頭永一、 石津智子、 高野真澄 未来型心血管エコーへの提案 (未来) 一般口演6 (O6) 症例-1 座長:藤本眞一/豊田茂 大塚製薬株式会社 ランチョン セミナー4 (LS4) 1₇:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ワークショップ2 (W2) International Award Session (IA) 演者:R.Sacha Bhatia、 Kyung-Hee Kim、 Christine Henri 1₆:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 評議員会 座長:山岸正和/山崎延夫 演者:高野真澄、 岩田浩康、 中谷敏、 瀬尾由広、 山崎延夫 一般口演10 (O10) 腫瘍、 血栓-2 一般口演11 (O11) 虚血性心疾患 一般口演12 (O12) 心不全 一般口演13 (O13) 右心 座長:鈴木健吾/ 仲宗根出 座長:笠巻祐二/ 岡山英樹 座長:芦原京美/ 伊藤隆英 座長:高木厚/ 谷本貴志 シーメンス・ ジャパン株式会社 ポスター 発表 セッション種別 一般ポスター1 一般ポスター2 一般ポスター3 一般ポスター4 一般ポスター5 一般ポスター6 一般ポスター7 一般ポスター8 一般ポスター9 一般ポスター10 一般ポスター11 一般ポスター12 一般ポスター13 セッション名 心筋症 心機能 右心系-1 右心系-2 血管 Structualheartdiseaseの Intervention スペックルトラッキング 腫瘍、 血栓-1 症例(心機能) 症例(肥大型心筋症) 症例 (弁膜症/その他) 症例(心房細動) 症例(肥大型心筋症/その他) 座長 神吉秀明 大原貴裕 谷知子 松村敬久 庄野弘幸 室生卓 ポスター 撤去 若見和明 安部晴彦 安田久代 安隆則 宇都宮俊徳 宮坂陽子 川端正明 9 第25回日本心エコー図学会学術集会 日程表 【第2日目】2014年4月18日 (金) 階 会場名 室名 ₈:00 ₉:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 Invited Lecture3 (IL3) コンサー トホール 第 ₁ 会場 会長講演 心血管エ KSEJSEJoint コー検査 と遺伝子 Session 異常 座長:鈴木真事 演者:Yong-Jin Kim 10:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 座長: 赤石誠 Official Session 11:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 Official Official Session Session 仁村レク 海外留学 チャー 助成帰国 報告会 エコーの 醍醐味 座長: 竹中克 2F 演者: 東芝メディカル 山岸正和 システムズ 株式会社 1₂:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 13:00 13:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ランチョン セミナー5 (LS5) 座長:森一博 演者:大西俊成 座長: 平田久美子 株式会社フィリップ スエレクトロニクス ジャパン 演者: 演者: 別府慎太郎 山田亮太郎、 大西哲存、 椎名由美 1₄:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 30 10 ₂0 ₄0 ワークショップ4 (W4) エコーラボの水準を KSE Cas いかに維持するかさ ( らに伸ばすためには (医師とのコミュニ 座長:Joon-H ケーションアップ) 座長:森一博/ 大場教子 ShotaFukud HirokiOe 演者:井口由佳子、 山本克紀、 山尾雅美、 中島英樹 Official Session 石川県立音楽堂 邦楽 ホール 第 ₂ 会場 B1F 第 ₃ 会場 理事長報告 表彰 ・名誉会員 ・海外学会発表優秀論文賞 ・JournalofEchocardiography論文賞 ・男女共同参画奨励賞 ・YoungInvestigator'sAward 認定式 ・日本心エコー図学会認定専門技師 次回学術集会会長挨拶 シンポジウム4 (S4) LowflowlowgradientASを どう見つけ手術するか 座長:吉田清/上松正朗 演者:原田顕治、 宮坂陽子、 佐藤希美、 大倉宏之、 竹内正明 シンポジウム5 (S5) 全身性疾患における心病変の エコー CT,MRIvs心エコー 交流 ホール 座長:岩倉克臣/山田博胤 演者:坂東美佳、 井上勝次、 三好達也、 野間充、 大西俊成 6F ポルテ金沢 第 ₄ 会場 一般口演14 (O14) 新技術 金沢市 アート ホール 座長:千田彰一/ 安河内聰 ランチョン セミナー6 (LS6) 座長:尾辻豊 演者: HahnRebecca エドワーズライフ サイエンス株式会社 ランチョン セミナー7 (LS7) 座長:川合宏哉 演者:伊藤浩 日本ベーリンガー インゲルハイム 株式会社 ランチョン セミナー8 (LS8) 座長:荒木勉 演者:平野勉 パネルディスカッション2 (PD2) 負荷心エコーはなぜ臨床で 広まらないのか ポ 座長:平野豊/竹内正明 演者:諸岡花子、 高木力、 渡部朋幸、 小板橋俊美、 松本賢亮 男 シンポジウム6 (S6) 連合弁膜症の治療方針 (連合弁 膜症、 大動脈、 先天性心疾患など) 座長:赤石誠/大倉宏之 演者:林田晃寛、 村田光繁、 田中秀和、 岩永史郎、 福田祥大 一般口演15 (O15) 小児 座長:福田信夫/ 石井正浩 武 一般口演16 (O16) 心機能-1 座長:田中伸明 宇野漢成 MSD株式会社 B1F 石川県立音楽堂 10 ポスター 会場 交流 ホール ポスター 掲示 ポスター 発表 1₂:00 ₅0 S4) ntASを るか 正朗 陽子、 内正明 S5) 心病変の 心エコー 田博胤 勝次、 西俊成 演14 ) 術 彰一/ 聰 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 13:00 13:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ランチョン セミナー5 (LS5) 座長:森一博 演者:大西俊成 株式会社フィリップ スエレクトロニクス ジャパン ランチョン セミナー6 (LS6) 座長:尾辻豊 演者: HahnRebecca エドワーズライフ サイエンス株式会社 ランチョン セミナー7 (LS7) 座長:川合宏哉 演者:伊藤浩 日本ベーリンガー インゲルハイム 株式会社 ランチョン セミナー8 (LS8) 座長:荒木勉 演者:平野勉 1₄:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 1₅:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 1₆:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 1₇:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 1₈:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 1₉:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ワークショップ4 (W4) シンポジウム3 (S3) エコーラボの水準を KSE Case Conference カテーテル治療と心エコー いかに維持するかさ (KCC) カテーテルアブレーション治療 らに伸ばすためには でのICE (心内エコー) (医師とのコミュニ 座長:Joon-HanShin/伊藤浩 (不整脈) の活用 ケーションアップ) 演者: 座長:森一博/ 大場教子 ShotaFukuda、 Seung-PyoLee、 HirokiOe、 In-JeongCho 演者:井口由佳子、 山本克紀、 山尾雅美、 中島英樹 パネルディスカッション2 (PD2) 負荷心エコーはなぜ臨床で 広まらないのか 演者:山野哲弘、 木島康文、 五十嵐都、 五十嵐都、 井上耕一 パネルディスカッション3 (PD3) ポータブルエコーの有用性と限 界 (GEポケットの役立て方) 座長:平野豊/竹内正明 座長:阿部幸雄/泉知里 演者:渡橋和政、 次橋幸男、 古川敦子、 神山哲男、 木原一 座長:高野真澄/川合宏哉 Image of the meeting Finalist 紹介 イブニング セミナー3 (EvS3) Visual echo album (V) 心エコー美術館 座長:和田靖明 演者:石津智子、 小谷敦志、 高尾壽美惠、 山田博胤 男女共同参画委員会セッション シンポジウム6 (S6) (男女) 連合弁膜症の治療方針 (連合弁 膜症、 大動脈、 先天性心疾患など) 演者:林田晃寛、 村田光繁、 田中秀和、 岩永史郎、 福田祥大 座長:山田博胤/小板橋俊美 座長:井野秀一/麻植浩樹 演者:諸岡花子、 高木力、 渡部朋幸、 小板橋俊美、 松本賢亮 座長:赤石誠/大倉宏之 心エコーウルトラクイズ (Quiz) 座長:三神大世 演者:寺井英伸 第一三共株式会社 Echo U 40 Club Meeting (U40) イブニング セミナー4 (EvS4) 座長:中谷敏/竹内正明 座長:田邊一明 演者:菅野昭憲、 表俊也、 小保方優、 演者:高野真澄、 西上和宏、 柴山謙太郎 武井康悦、 石津智子、 広江貴美子、 町野智子、 福田優子 コメンテーター:尾辻豊、 上松正朗 演者:中谷敏 株式会社 三和化学研究所 イブニング セミナー5 (EvS5) 一般口演15 (O15) 小児 一般口演16 (O16) 心機能-1 一般口演17 (O17) 心機能-2 一般口演18 (O18) 症例-2 座長:福田信夫/ 石井正浩 座長:田中伸明/ 宇野漢成 座長:木原康樹/ 湯田聡 座長:山近史郎/ 遠田栄一 MSD株式会社 BestImageofthe meeting賞表彰式 クイズコンテスト表彰式 ベストポスター賞表彰式 座長:山本一博 演者:那須雅孝 興和創薬株式会社 セッション種別 一般ポスター14 一般ポスター15 一般ポスター16 一般ポスター17 ポスター 一般ポスター18 発表 一般ポスター19 一般ポスター20 一般ポスター21 一般ポスター22 一般ポスター23 一般ポスター24 一般ポスター25 一般ポスター26 セッション名 弁膜症 (大動脈弁) 弁膜症 (僧帽弁/その他) 弁膜症 (その他) 感染症心内膜炎 左房、 心房細動 先天性心疾患-1 先天性心疾患-2 小児 (胎児/その他) 腫瘍、 血栓-2 3Dエコー 症例(虚血性心疾患) 症例(先天性心疾患) 症例(感染性心内膜炎/その他) 座長 長谷川拓也 恒任章 赤坂和美 太田剛弘 松村誠 ポスター 川井順一 撤去 浅沼俊彦 小山耕太郎 皆川太郎 丸尾健 奥田真一 瀧聞浄宏 加賀早苗 11 第25回日本心エコー図学会学術集会 日程表 【第3日目】2014年4月19日 (土) 階 会場名 室名 ₈:00 ₉:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 10:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 11:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ライブセッション (ビデオライブ) (Live) シンポジウム7 (S7) コンサー トホール 第 ₁ 会場 術中心エコー (麻酔科、 心臓 血管外科、 循環器内科医の communication) 座長:尾辻豊/小出康弘 演者:米田正始、 芳谷英俊、 渡橋和政、 能見俊浩 1₂:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 座長:渡辺弘之/坪川恒久 演者:渡邊剛、 森三佳、 藤井怜 コメンテーター:竹村博文、 大西佳彦、 長谷川拓也 13:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ランチョン セミナー9 (LS9) 座長:竹中克 演者:許俊鋭 瀬尾由広 上嶋徳久 日立アロカ メディカル株式会社 1₄:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 Invited Lecture4 (IL4) 座長:山岸正和 30 10 ₂0 ₄0 ₅ パネルディスカッション4 (PD4) CRT適応決定はエコーではだめ なのか?CRTに対する心エコー の活かし方 座長:瀬尾由広/神崎秀明 演者:Anthony 演者:丸尾健、 田中秀和、 杉本匡史、 DeMaria 田渕晴名、 木曽啓祐、 五十嵐都 2F 石川県立音楽堂 邦楽 ホール 第 ₂ 会場 シンポジウム8 (S8) 心エコーを心不全治療に活かす 教育セッション2 (ES2) 右心機能を心エコーで評価する 座長:山本一博/坂田泰史 座長:大門雅夫/田中教雄 演者:坂田泰史、 石津智子、 杉本匡史、 竹田泰治、 米田正始 演者:岡庭裕貴、 麻植浩樹、 川田貴之、 西尾進、 田中秀和 座長:吉田清 ワークショップ5 (W5) 救急現場での心エ JB-POT講習会 (経食道 コー図の活かし方 座長:西野 救急時の心エコー、 演者:村田光繁、 私ならこうする 演者:静田聡 コメンテー ランチョン セミナー10 (LS10) バイエル薬品 株式会社 山田達 座長:岩倉克臣/ 有田武史 演者:福田祥大、 伊達基郎、 木村俊之、 阿部幸雄 ※聴講には参加申し込み 6F ポルテ金沢 第 ₄ 会場 B1F 第 ₃ 会場 交流 ホール 金沢市 アート ホール 教育セッション3 (ES3) 弁逆流の正しい評価法 座長:桶家一恭/土肥薫 演者:杉本邦彦、 高橋秀一、 岩永史郎、 渡辺弘之、 田中正史 パネルディスカッション5 (PD5) ASOの診断治療に血管エコーを どう活かす?Vascularteam 活用術 座長:西上和宏/吉牟田剛 演者:寺上貴子、 大場教子、 横山直之、 小谷敦志、 田口英詞、 山本哲也 一般口演21 (O21) 3Dエコー 一般口演22 (O22) 左房、 心房細動 一般口演23 (O23) 座長:林英宰/ 舛形尚 座長:皆越眞一/ 正木充 座長:宝田明/坂田好美 症例-3 ランチョン セミナー11 (LS11) 座長:高野真澄 演者:鈴木健吾 GEヘルスケア・ ジャパン株式会社 ランチョン セミナー12 (LS12) 座長:坂田泰史 戸出浩之 演者:石津智子 東芝メディカル システムズ株式会社 B1F 石川県立音楽堂 12 ポスター 会場 一般口演19 (O19) スペックル トラッキング 座長:加藤雅彦/ 湯浅敏典 一般口演20 (O20) 血管/大動脈 座長:山浦泰子/ 脇英彦 教育企画1 (EP1) どのようなレポートを 書きますか? 座長:和田靖明/高橋秀一 演者:小谷敦志、 都築千枝、 梅田ひろみ、 西尾進、 数野直美 ウェットラボ (WET) 交流 ホール 開 座長:渡辺弘之 演者:福井寿啓 協賛:株式会社ヴォルフビジョン 林 教育 心エコ 座長:小 演者:高 装置提供: 1₂:00 30 ₂0 ₄0 ₅0 川恒久 、 藤井怜 博文、 拓也 ES2) 評価する 中教雄 浩樹、 中秀和 ョン5 エコーを arteam 牟田剛 教子、 口英詞、 23 ) 坂田好美 13:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 ランチョン セミナー9 (LS9) 座長:竹中克 演者:許俊鋭 瀬尾由広 上嶋徳久 日立アロカ メディカル株式会社 ランチョン セミナー10 (LS10) 座長:吉田清 演者:静田聡 バイエル薬品 株式会社 1₄:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 Invited Lecture4 (IL4) 座長:山岸正和 1₅:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 パネルディスカッション4 (PD4) CRT適応決定はエコーではだめ なのか?CRTに対する心エコー の活かし方 座長:瀬尾由広/神崎秀明 演者:Anthony 演者:丸尾健、 田中秀和、 杉本匡史、 DeMaria 田渕晴名、 木曽啓祐、 五十嵐都 1₆:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 1₇:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 新技術紹介セッション (新技術) 新技術を評価する 座長:西條芳文/岩永史郎 演者:西條芳文、 上嶋徳久、 瀬尾由広、 斎藤雅博、 山田博胤 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 1₈:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 1₉:00 30 10 ₂0 ₄0 ₅0 閉 会 式 ン ) The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ワークショップ5 (W5) 救急現場での心エ JB-POT講習会 (経食道エコーをマスターする) (JB) コー図の活かし方 座長:西野雅巳/岡本浩嗣 救急時の心エコー、 演者:村田光繁、 岡本浩嗣、 山野哲弘、 私ならこうする 山田達也、 小出康弘 座長:岩倉克臣/ 有田武史 コメンテーター:山田達也 演者:福田祥大、 伊達基郎、 木村俊之、 阿部幸雄 ※聴講には参加申し込みが必要です。 (詳細は160頁) ランチョン セミナー11 (LS11) 座長:高野真澄 演者:鈴木健吾 GEヘルスケア・ ジャパン株式会社 ランチョン セミナー12 (LS12) 座長:坂田泰史 戸出浩之 演者:石津智子 東芝メディカル システムズ株式会社 一般口演19 (O19) スペックル トラッキング 座長:加藤雅彦/ 湯浅敏典 一般口演20 (O20) 血管/大動脈 教育セッション4 (ES4) 開業医のための心エコー講座 座長:山浦泰子/ 脇英彦 演者:山田博胤、 宮坂陽子、 林田晃寛、 石津智子、 村田光繁 教育企画1 (EP1) どのようなレポートを 書きますか? 座長:和田靖明/高橋秀一 演者:小谷敦志、 都築千枝、 梅田ひろみ、 西尾進、 数野直美 座長:村田和也/高木力 教育企画2 (EP2) 心エコーの基本を学ぶ 座長:小板橋俊美/種村正 演者:高尾壽美惠、 橋本修治、 勝木桂子 装置提供:GEヘルスケア・ジャパン 株式会社 ウェットラボ (WET) 座長:渡辺弘之 演者:福井寿啓 協賛:株式会社ヴォルフビジョン 13 第25回日本心エコー図学会学術集会 学術集会参加者へのご案内 Ⅰ.参加受付 1.参加受付は会期当日会場にて行います。 プログラムに参加される前に必ず受付をお済ませください。 参加受付は石川県立音楽堂 1 階エントランスホールに設置しております。 2.参加費と引き換えにネームカードをお渡しします。 会場内では、ネームカードを必ず着用ください。なお、参加費は現金のみの取り扱いとなります。 参加費および参加に必要な手続きは下記の通りです。 カテゴリ 医師 技師 参加費 必要な手続き 会員 13,000 円 - 非会員 15,000 円 - 会員 7,000 円 - 非会員 8,000 円 - 学部学生 (大学院生は除く) 初期研修医 無料 学生証提示、無料参加票発行のための登録書提出 無料 初期研修医証明書提出 ※ プログラム・抄録集は総合受付で 2,000 円にて販売いたします。 ※ 学部学生および初期研修医は参加無料です(ただし大学院生は除く)。 学部学生:受付には学生証と無料参加票発行のための登録書が必要となります。 初期研修医:受付には証明書が必要となります。 登録書と証明書はそれぞれ学術集会ホームページ『参加者へのご案内』よりダウンロードいただき、必要事項 をご記入の上、受付までお持ちください。 学術集会ホームページ『参加者へのご案内』:http://www2.convention.co.jp/25jse/participants.html 3.参加受付は当日のみとなります。事前参加登録は行いません。 4.受付日時 1 日目:4 月 17 日(木) 8:10 ~ 19:00 2 日目:4 月 18 日(金) 8:10 ~ 19:00 3 日目:4 月 19 日(土) 8:10 ~ 15:00 ※各日とも 8:00 までは入場できませんのでご注意ください。 Ⅱ.学会入会・年会費 1.石川県立音楽堂 1 階エントランスホールに設置の「日本心エコー図学会学術集会事務局受付」にお越しください。 2.年会費の払い込みも可能です。 14 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Ⅲ.各種会合 1.理事会 日時:4 月 16 日(水)16:30 ~ 18:30 会場:つば甚 2.評議員会 日時:4 月 17 日(木)18:30 ~ 19:30 会場:第 3 会場(石川県立音楽堂「交流ホール」) 3.Official Session 日時:4 月 17 日(木)14:30 ~ 16:00 4 月 18 日(金)8:50~9:20/9:20~10:10/10:10~10:40/10:40~11:10 会場:第 1 会場(石川県立音楽堂「コンサートホール」) Ⅳ.その他 1.石川県立音楽堂 2 階コンサートホールホワイエにクロークを設置しますのでご利用ください。 2.原則として会場内の呼び出しは行いませんので、総合受付付近に設置いたします掲示板をご利用ください。外 部からの呼び出しも原則としてこの掲示板に貼りだします。 3.学術集会会期中は、会場内での喫煙は禁止いたします。 Ⅴ.JB-POT 講習会 聴講には参加費が必要です。講習点数が必要な場合は事前にお申し込みください。 参加費※ 1 ・講習点数(3 点)を必要とする場合 :3,000 円(会員・非会員を問わず)※ 2 ・講習点数(3 点)を必要としない場合 :1,000 円(会員・非会員を問わず)※ 3 ※1:参加費は当日会場前でお支払ください。 「JB-POT 講習会」のみに参加することは出来ません。別途、第 25 回学術集会の参加費が必要です。 ※2:講習点数(3 点)を必要とする場合は事前に登録する必要があります。お申し込み後、上記すべての講義 に参加された場合、講義終了後日本心臓血管麻酔学会にて、JB-POT 認定委員会認定の出席証明書を用意し、 当日お渡しします。 (ただし、途中入室、途中退室の場合はお渡しできません。) ※3:講習点数(3 点)を必要としない場合は、事前受付は行いません。当日会場前での受付となります。 詳細は 160 頁をご覧ください。 15 第25回日本心エコー図学会学術集会 Ⅴ.査読委員 16 一般演題は以下の先生方に査読をお願いいたしました。謹んで御礼申し上げます。 赤石 誠 (学校法人北里研究所 北里大学北里研究所病院 循環器内科) 浅沼 俊彦 (大阪大学医学部 保健学科) 有田 武史 (財団法人平成紫川会 社会保険小倉記念病院 循環器内科) 泉 知里 (天理よろづ相談所病院 循環器内科) 市田 蕗子 (富山大学医学部 小児科) 伊藤 浩 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学) 岩倉 克臣 (桜橋渡辺病院 循環器内科) 大倉 宏之 (川崎医科大学 循環器内科) 川合 宏哉 (兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科) 木原 康樹 (広島大学医歯薬保健学研究院 循環器内科学) 西條 芳文 (東北大学大学院医工学研究科 医用イメージング研究分野) 坂田 泰史 (大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学) 瀬尾 由広 (筑波大学医学医療系 循環器内科) 大門 雅夫 (東京大学医学部附属病院 検査部 / 循環器内科) 高木 厚 (東京女子医科大学 循環器内科) 竹内 正明 (産業医科大学 第二内科) 田中 教雄 (国立循環器病研究センター 臨床検査部) 田邊 一明 (島根大学医学部 内科学第四) 谷 知子 (神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科) 谷本 貴志 (和歌山県立医科大学 循環器内科) 土肥 薫 (三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学) 西上 和宏 (済生会熊本病院 集中治療室) 平野 豊 (近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部(循環器内科兼任)) 穂積 健之 (大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学) 舛形 尚 (香川大学医学部 総合診療科) 増山 理 (兵庫医科大学 循環器内科) 村田 光繁 (慶應義塾大学医学部 臨床検査医学) 安河内 聰 (長野県立こども病院 循環器小児科) 山田 聡 (北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学) 山野 哲弘 (京都府立医科大学 臨床検査部、循環器内科) 山本 一博 (鳥取大学医学部 病態情報内科) 林 英宰 (医療法人三世会 河内総合病院 循環器科) 和田 靖明 (山口大学医学部附属病院 検査部) 渡邉 望 (県立宮崎病院 循環器内科) 渡辺 弘之 (東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター) (50 音順、敬称略) The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Ⅵ.実行委員 第 25 回日本心エコー図学会学術集会プログラム実行委員は下記の先生方です。 謹んで御礼申し上げます 阿部 幸雄 (大阪市立総合医療センター 循環器内科) 市田 蕗子 (富山大学医学部 小児科) 井野 秀一 (金沢大学附属病院 臨床試験管理センター) 岩倉 克臣 (桜橋渡辺病院 循環器内科) 岩瀬 正嗣 (藤田保健衛生大学医学部 循環器内科) 上松 正朗 (関西労災病院 循環器内科) 大手 信之 (名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科学) 大場 教子 (珠洲市総合病院 検査室) 桶家 一恭 (厚生連高岡病院 循環器内科) 神崎 秀明 (国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門心不全科) 田中 教雄 (国立循環器病研究センター 臨床検査部) 土肥 薫 (三重大学大学院医学系研究科 循環器 ・ 腎臓内科学) 中谷 敏 (大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座) 西野 雅巳 (大阪労災病院 循環器内科) 林 研至 (金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) 山野 哲弘 (京都府立医科大学 臨床検査部、循環器内科) 吉牟田 剛 (金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) 李 鍾大 (福井大学 保健管理センター) (50 音順、敬称略) 17 第25回日本心エコー図学会学術集会 座長、演者へのご案内 Ⅰ.口演演題 座長へのお知らせ ・ セッション開始 10 分前までに会場内の次座長席にご着席ください。 ・ 開始時間になりましたらセッションを開始してください。時間厳守でお願いいたします。 ・ 各セッションから 1 題を優秀演題としてご推薦ください。 Ⅱ.口演演題 演者へのお知らせ ・ セッション開始 1 時間前まで(朝一番のセッションは 15 分前まで)に各 PC 受付にお越しください。 2日目、3日目の朝にご発表がある場合はできるだけ前日に受付をお願いいたします。 ・ セッション開始 10 分前までに会場内の次演者席にご着席ください。 ・ 発表は、PC 発表のみとさせていただきます。 ・ 各セッションから 1 題を優秀演題として座長にご推薦いただきます。優秀演題は発表当日の夕刻に、総合受付 付近に設置します掲示板にて発表いたしますのでご確認ください。なお、表彰は 4 月 19 日(土)16:20 から の閉会式にて行います。 【PC 受付設置場所】 第 1 ~ 3 会場:石川県立音楽堂 1 階エントランスホール 第 4 会場 :金沢市アートホール(ポルテ金沢 6F)ロビー 【発表時間】 ◦ 一般口演 11 分(発表 7 分、質疑応答 4 分) ◦ YIA 15 分(発表 7 分、質疑応答 8 分) ※時間厳守でお願いいたします。発表時間終了 1 分前に「黄ランプ」、終了時には「赤ランプ」が点灯します。 【PC 発表について】 ・ ご発表のデータは PowerPoint 2003 以上で作成したものを、CD-R または USB フラッシュメモリーにてご 持参ください。 動画を含む場合や Macintosh をご利用の方は、動作確認済の PC 本体をご自身でお持ちいただき、バックアッ プデータも併せてご持参ください。 ・ ご発表の 1 時間前まで(朝一番のセッションは 15 分前まで)に PC 受付にて試写を行ってください。PC 受 付ではデータの修正はできませんのでご了承ください。 ・ ご発表時には演台に用意したマウス、操作ボックスにてご自身で操作していただきます。 【会場でご用意しているパソコン】 ・ ご使用可能なアプリケーション:PowerPoint 2003 以上 ・ 対応 OS: Windows 7 ・ フォント:OS(Windows7) に標準にインストールされているフォントをご使用ください。 例(MS ゴシック、MS 明朝、Times New Roman、Century) ・ 静止画像:JPEG 形式で作成されることをお勧めします。 ・ 発表ファイルは作成した以外の PC でも動作の確認をしてください。 ・ ウイルス駆除ソフトでファイルのウイルス感染のチェックをお願いします。 ・ お預かりした発表データは学会終了後、事務局にて責任をもって消去いたします。 【PC 本体のお持ち込みについて】 ・ 会場での接続コネクターは D-sub 15 pin タイプです。PC の外部モニター出力端子の形状をご確認ください。 ・ 変換コネクターが必要な場合はご持参ください。 18 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography D-sub15 ピン(ミニ) 付属外部出力 ケーブル 例 ・ AC アダプターは各自ご持参ください。 ・ スクリーンセーバーならびに省電力設定は事前に解除しておいてください。 【動画を使用される場合の注意点】 ・ 動画は可能ですが、本体の液晶画面に動画が表示されても PC の外部出力に接続した画面には表示されない場合 があります。実際にお持ちいただく PC の外部出力にモニターまたはプロジェクターを接続してご確認ください。 Ⅲ.ポスター演題 座長へのお知らせ ・ ポスター演題の座長の方は、セッション開始の 15 分前までにポスター会場(石川県立音楽堂 B1F 交流ホール) 内の「ポスター受付」までお越しください。開始時間になりましたらセッションを開始してください。時間厳守 でお願いいたします。 Ⅳポスター演題 演者へのお知らせ ・ 講演時間は、発表 5 分、質疑応答 3 分の計 8 分です。 ・ セッション開始の 15 分前までに、ポスター会場(石川県立音楽堂 B1F 交流ホール)内の「ポスター受付」ま でお越しください。 ・ 各日のベストポスター賞を参加者投票にて選出いたします。表彰は 4 月 18 日(金)19:50 から行います。 ・ ポスターの掲示および撤去時間は、下記になります。撤去時間までは、ポスターを貼っておいてください。なお 貼付け用の画鋲・ピンは各パネルに貼り付けてあります。 ◦ 4 月 17 日(木) 掲示作業 8:40 ~ 11:00 90cm 撤去作業 17:00 ~ 18:00 20cm ◦ 4 月 18 日(金) 掲示作業 8:20 ~ 11:20 撤去作業 17:00 ~ 18:00 ・ 掲示には横 90cm ×縦 180㎝のパネルを用意いたし 20cm 演題 番号 演題名、氏名、所属 ます。事務局で、パネルの左上角 20cm × 20cm の スペースに演題番号を掲示いたします。 ・ 離れた場所からも判読できるよう、文字の大きさやレ イアウトを工夫して作成してください。 ・ 撤去時間を過ぎても撤去されないポスターは、会期後 掲示スペース 180cm に事務局にて破棄いたします。 Ⅴ.個人情報保護法に関して 個人情報保護法の方針に基づき、学術集会抄録集およ び発表等で使用されるスライド、PC プレゼンテーショ ンにおいて、患者氏名およびイニシャル、ID(個人番 号) 、患者住所、他の情報と照合することで患者が特定 される可能性がある他の情報(例:診療科名、施設名および所在地、患者が特定される生検・剖検・画像情報等 の番号、受診日・入院日・時間)の使用を禁止しております。個人が同定できる部分は、削除ないしマスキング をお願いいたします。マスキングの方法につきましては、学会ホームページにリンク先を案内しておりますので、 19 第25回日本心エコー図学会学術集会 ご利用ください。 日本心エコー図学会ホームページ トップページ>その他(マスキング/ FAQ 他)>マスキング方法について http://www.jse.gr.jp/page-others/others.html 機器等展示のご案内 機器等展示を下記スケジュールで開催いたします。お気軽にご来場ください。 場 所:展示会場(石川県立音楽堂「交流ホール」) 日 時:4 月 17 日(木)8:30 ~ 18:00 4 月 18 日(金)8:30 ~ 18:00 4 月 19 日(土)8:30 ~ 15:00 出展企業: 株式会社紀伊國屋書店富山店 旭光物産株式会社 株式会社グッドマン GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 シーメンス・ジャパン株式会社 正晃株式会社 帝人在宅医療株式会社 東芝メディカルシステムズ株式会社 日本ライトサービス株式会社 ビクター特約店 株式会社コスモサウンド東海オフィス 日立アロカメディカル株式会社 株式会社 前田書店 丸善株式会社金沢支店 株式会社ワイディ 20 (2014 年 2 月 27 日現在) The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 協賛/共催企業・団体一覧 本学術集会の開催にあたり、下記の各企業・団体様のご協力・ご支援をいただきました。ここに厚く御礼申し 上げます。 アクテリオンファーマシューティカルズジャパン株式会社 大日本住友製薬株式会社 アステラス製薬株式会社 武田薬品工業株式会社 アストラゼネカ株式会社 田辺三菱製薬株式会社 アボット バスキュラー ジャパン株式会社 帝人在宅医療株式会社 株式会社医学書院 テルモ株式会社 株式会社ヴォルフビジョン 東芝メディカルシステムズ株式会社 エーザイ株式会社 日本イーライリリー株式会社 エドワーズライフサイエンス株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 MSD 株式会社 日本メドトロニック株式会社 大塚製薬株式会社 日本ライトサービス株式会社 株式会社紀伊國屋書店富山店 ノバルティス ファーマ株式会社 協和発酵キリン株式会社 バイエル薬品株式会社 旭光物産株式会社 ビクター特約店 株式会社コスモサウンド東海オフィス 株式会社グッドマン 日立アロカメディカル株式会社 グラクソ・スミスクライン株式会社 ファイザー株式会社 興和創薬株式会社 株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン サノフィ株式会社 フクダ電子北陸販売株式会社 株式会社三和化学研究所 ブリストル・マイヤーズ株式会社 GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 株式会社前田書店 シーメンス・ジャパン株式会社 丸善株式会社金沢支店 塩野義製薬株式会社 持田製薬株式会社 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ヤンセンファーマ株式会社 正晃株式会社 株式会社ランダルコーポレーション セント・ジュード・メディカル株式会社 株式会社ワイディ 第一三共株式会社 (2014 年 2 月 27 日現在) 21 Official Session 第25回日本心エコー図学会学術集会 Official Session 4 月 17 日(木)14:30 ~ 16:00 第 1 会場(石川県立音楽堂「コンサートホール」) Young Investigator’s Award 審査会 座 長:三神 大世(北海道大学大学院 保健科学研究院病態解析学) 石井 克尚(関西電力病院 循環器内科) 審査委員:三神 大世(北海道大学大学院 保健科学研究院病態解析学) 石井 克尚(関西電力病院 循環器内科) 宇野 漢成(東京大学医学部附属病院コンピュータ画像診断学/予防医学講座) 戸出 浩之(群馬県立心臓血管センター 技術部) 平田久美子(和歌山県立医科大学 循環器内科) 山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科 / 超音波センター) 湯田 聡(札幌医科大学 医学部 臨床検査医学) 1.3D スペックルトラッキング法による心筋虚血評価 -Activation Imaging を用いた検討 大阪大学大学院医学系研究科 機能診断科学講座 岡 雅通 2.急性左室機能低下例における僧帽弁 adaptation:三次元心エコー図による検討 宮崎大学医学部附属病院 第一内科 福田 智子 3.Longitudinal strain による奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症の予後評価 筑波大学医学医療系 循環器内科 佐藤 希美 4.組織ドプラ法による左室弛緩能と充満圧の推定に及ぼす左室収縮機能と肥大の影響 北海道大学病院 検査・輸血部 中鉢 雅大 5.拡張型心筋症における心臓 MRI 遅延造影と心筋ストレインによるリスク層別化 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科 千村 美里 6.拍動心脱転時に伴う僧帽弁 tethering 増悪と乳頭筋変位との関係~ブタ OPCAB モデルに おける 3D 心エコー図法による検討~ 福島県立医科大学 心臓血管外科学講座 五十嵐 崇 4 月 18 日(金)8:50 ~ 10:10 第 1 会場(石川県立音楽堂「コンサートホール」) 会長講演 座長:赤石 誠(北里大学北里研究所病院 循環器内科) 「心血管エコー検査と遺伝子異常」 山岸 正和(金沢大学臓器機能制御学・循環器内科) 理事長報告 表彰・認定式 名誉会員 吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) 皆越 眞一(鹿児島医療センター 循環器科) 日本心エコー図学会功労賞 吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) 海外学会発表優秀論文賞 < ACC > 高野 真澄(福島県立医科大学附属病院 集中治療部) < ASE > 有吉 亨(山口大学医学部附属病院 超音波センター) 今井孝一郎(川崎医科大学 循環器内科) 宇都宮裕人(広島大学病院 循環器内科) < AHA > 山下 英治(群馬県立心臓血管センター 循環器内科) < ESC > 大西 哲存(兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科) 24 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Journal of Echocardiography 論文賞 水越 慶(聖マリアンナ医科大学 循環器内科) Kei Mizukoshi; Kengo Suzuki; Kihei Yoneyama; Ryo Kamijima; Seisyou Kou; Manabu Takai; Masaki Izumo; Akio Hayashi; Eiji Ohtaki; Yoshihiro J Akashi; Naohiko Osada; Kazuto Omiya; Tomoo Harada; Sachihiko Nobuoka; Fumihiko Miyake. Early diastolic function during exertion influences exercise intolerance in patients with hypertrophic cardiomyopathy. 2013;11:9-17. 男女共同参画奨励賞 石津 智子(筑波大学 医学医療系 臨床検査医学) 広江貴美子(松江市立病院 中央検査科) Young Investigator’s Award 結果発表・表彰 日本心エコー図学会認定専門技師 認定式 大沼 秀知(東北大学病院診療技術部 生理検査センター) 神田かおり(東京女子医科大学中央検査部心臓超音波室) 嘉村 幸恵(岩手医科大学附属病院中央臨床検査部) 山口 良子(特別・特定医療法人生長会府中病院 臨床検査室) 渡邊 伸吾(公益財団法人心臓血管研究所付属病院臨床検査室) 佐藤ゆかり(福島県立医科大学附属病院検査部) 福光 梓(九州厚生年金病院中央検査室) 田中 益水(兵庫医科大学病院超音波センター) 川崎 俊博(大阪掖済会病院生理機能検査室) 伊藤さつき(藤田保健衛生大学病院臨床検査部) 次回学術集会会長挨拶 第 26 回学術集会会長 尾辻 豊(産業医科大学 第二内科) 4 月 18 日(金)10:10 ~ 11:10 第 1 会場(石川県立音楽堂「コンサートホール」) 仁村レクチャー 座長:竹中 克(日本大学板橋病院 循環器内科) 「エコーの醍醐味」 別府慎太郎(大阪みなと中央病院 院長) 海外留学助成帰国報告 座長:平田久美子(和歌山県立医科大学附属病院 循環器内科) 山田亮太郎(川崎医科大学附属病院 循環器内科) 留学先:Stanford University Medical Center, Cardiovascular Core Analysis Laboratory 大西 哲存(兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科) 留学先:University of Pittsburgh, Echocardiography Lab 椎名 由美(聖路加国際病院 循環器内科) 留学先:Adult Congenital Heart Program, National Heart & Lung Institute, Imperial College London and Royal Brompton Hospital 25 プログラム The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 仁村レクチャー 特別講演 4 月 18 日(金) 第 1 会場 10:10 - 10:40 座長:竹中 克(日本大学板橋病院 循環器内科) エコーの醍醐味 大阪みなと中央病院 別府慎太郎 会長講演 4 月 18 日(金) 第 1 会場 8:50 - 9:20 座長:赤石 誠(北里大学北里研究所病院 循環器内科) 心血管エコー検査と遺伝子異常 金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科 山岸 正和 Invited Lecture1(IL1) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 11:20 - 12:00 EACVI-JSE Joint Session 座長:田邊 一明(島根大学医学部 内科学第四) IL1Aortic Stenosis and Mitral Regurgitation Assessment and Management Heart Valve Clinic, Echo Department, Intensive Care Unit, University of Liege, Belgium Patrizio Lancellotti 共催:GE ヘルスケア ・ ジャパン株式会社 Invited Lecture2(IL2) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 13:00 - 13:40 ASE-JSE Joint Session 座長:穂積 健之(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科) IL2Echocardiographic Evaluation of the Right Ventricle Professor of Medicine Vanderbilt University School of Medicine, USA Benjamin F. Byrd III 共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 29 第25回日本心エコー図学会学術集会 Invited Lecture3(IL3) 特別講演 4 月 18 日(金) 第 1 会場 8:10 - 8:50 KSE-JSE Joint Session 座長:鈴木 真事(東邦大学医療センター大橋病院 臨床検査部) IL3Multimodality Imaging in Aortic Stenosis Seoul National University Hospital, Korea Yong-Jin Kim 共催:東芝メディカルシステムズ株式会社 Invited Lecture4(IL4) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 12:40 - 13:20 座長:山岸 正和(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) IL4Contrast Echocardiography: Current Status and Future Applications University of California San Diego Medical Center Division of Cardiovascular Medicine, USA Anthony DeMaria International Award Session(IA) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 13:40 - 14:25 座長:吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) IAAn Educational Intervention Reduces the Rate of Inappropriate Transthoracic Echocardiograms in Ambulatory Care Women’s College Hospital, Toronto, Ontario, Canada R. Sacha Bhatia IAUdenafil improves exercise capacity and left ventricular remodeling in patients with systolic heart failure; Study result of ULTIMATE-SHF trial(UdenafiL Therapy to Improve symptoMAtology, exercise Tolerance and hEmodynamics in patients with systolic heart failure ) Sejong General Hospital, Korea Kyung-Hee Kim IASerial B-type Natriuretic Peptide Assessment in Asymptomatic Aortic Stenosis University of Montreal, Department of Medicine, Montreal Heart Institute, Belgium Christine Henri 30 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 海外留学助成帰国報告会 特別講演 4 月 18 日(金) 第 1 会場 10:40 - 11:10 座長:平田久美子(和歌山県立医科大学附属病院 循環器内科) 留学先:Stanford University Medical Center, Cardiovascular Core Analysis Laboratory 川崎医科大学附属病院 循環器内科 山田亮太郎 留学先:University of Pittsburgh, Echocardiography Lab 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科 大西 哲存 留学先:Adult Congenital Heart Program, National Heart & Lung Institute, Imperial College London and Royal Brompton Hospital 聖路加国際病院 循環器内科 椎名 由美 31 第25回日本心エコー図学会学術集会 シンポジウム 1(S1) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 8:40 - 10:10 Structural heart disease 治療における心エコーの有用性 座長:中谷 敏(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座) 大手 信之(名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科) S1-1心房中隔欠損経皮閉鎖術における心エコー図~非全身麻酔下閉鎖のための経食道心エコー図の工夫と心腔内 エコー図の利用について~ 京都府立医科大学附属病院 循環器内科 山野 倫代 S1-2PTAV(Percutaneous Transluminal Aortic Valvuloplasty)における術中経胸壁心エコー図の有用性 仙台厚生病院心臓血管センター 循環器科 桜井 美恵 特別セッション S1-3経カテーテル的大動脈弁置換術施行時のエコーガイドの役割について 慶應義塾大学医学部 臨床検査医学 村田 光繁 S1-4TAVI 合併症検出における経食道心エコー図の有用性 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 竹田 泰治 S1-5僧帽弁逸脱症に対する交連部 edge to edge 法が術後弁口面積に与える影響 川崎医科大学 循環器内科 玉田 智子 S1-6経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)における 3 次元経食道心エコー図の役割 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 出雲 昌樹 シンポジウム 2(S2) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 14:30 - 16:00 成人期先天性心疾患管理における心エコーの役割(診断、術後経過) 座長:市田 蕗子(富山大学 小児科) 安河内 聰(長野県立こども病院 循環器小児科) S2-1成人先天性心疾患診療における経食道心エコー法の役割 東京女子医科大学病院 循環器小児科 富松 宏文 S2-2成人先天性心疾患術後症例における右室機能解析の問題点-ファロー四徴症心内修復術およびラステリ術後 患者の右心室- 徳島大学大学院 小児医学分野 早渕 康信 S2-3体循環右室の同期不全評価における三次元スペックルトラッキングの応用 筑波大学医学医療系 臨床検査医学 石津 智子 S2-4ASD カテーテル閉鎖術 後の経過における年齢の影響 (ASO ) 雪の聖母会聖マリア病院 循環器内科 田代 英樹 S2-5Left Ventricular Dysfunction Has A Negative Impact On Cardiac Outcomes In Adults With Ebstein’ s Anomaly 聖路加国際病院 循環器内科 椎名 由美 32 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography シンポジウム 3(S3) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 15:40 - 17:10 カテーテル治療と心エコー カテーテルアブレーション治療(不整脈)での ICE(心内エコー)の活用 座長:井野 秀一(金沢大学附属病院先端医療開発センター 臨床研究推進部門) 麻植 浩樹(岡山大学病院 超音波診断センター) S3-1心腔内エコー図ガイド心房中隔欠損閉鎖術の初期成績~特に下位欠損例に対する ICE イメージングの有用 性と注意点~ 京都府立医科大学附属病院 循環器内科 山野 哲弘 S3-2卵円孔開存症のカテーテル閉鎖術における ICE の有用性 特別セッション 岡山大学病院 循環器内科 木島 康文 S3-3心房細動アブレーションにおける CARTOSOUND の有用性についての検討 筑波大学医学医療系 循環器内科 五十嵐 都 S3-4CARTOSOUND を用いた左房ストレイン解析:心房細動患者における局所的左房壁運動の評価と構造的 リモデリングとの関連性について 筑波大学医学医療系 循環器内科 五十嵐 都 S3-5カテーテルアブレーションによる不整脈治療における心腔内エコーの役割 桜橋渡辺病院心臓血管センター 不整脈科 井上 耕一 シンポジウム 4(S4) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 10:40 - 12:10 Low flow low gradient AS をどう見つけ手術するか 座長:吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) 上松 正朗(関西労災病院 循環器内科) S4-1A New Noninvasive Index of Left Ventricular Afterload in Aortic Stenosis: Valvuloarterial ) Impedance(Zva 徳島県立中央病院 循環器内科 原田 顕治 S4-2奇異性低流量 - 低圧較差大動脈弁狭窄症の評価と予後の検討 関西医科大学 第二内科 循環器内科 宮坂 陽子 S4-3Paradoxical low-flow, low-gradient AS は積極的治療が必要か?:スペックルトラッキング法による重 症度・手術適応評価の試み 筑波大学医学医療系 循環器内科 佐藤 希美 S4-4左室駆出率の保たれた low flow, low gradient AS の頻度とその特徴 川崎医科大学 循環器内科 大倉 宏之 S4-5本邦における奇異性低流量低圧較差大動脈弁狭窄症は欧米同様予後不良か?多施設共同研究による回答 産業医科大学 第二内科 竹内 正明 33 第25回日本心エコー図学会学術集会 シンポジウム 5(S5) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 10:40 - 12:10 全身性疾患における心病変のエコー CT, MRI vs 心エコー 座長:岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 循環器内科) 山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科/超音波センター) S5-1心サルコイドーシスの左室局所心筋におけるガドリニウム遅延造影と収縮期ストレイン 徳島大学病院 循環器内科 坂東 美佳 S5-2左房機能異常から診る心アミロイドーシス : 心エコー検査と MRI 検査の有用性、限界を含めた検討 愛媛大学大学院 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座 井上 勝次 特別セッション S5-3Speckle Tracking 法を用いた抗がん剤による心毒性の早期発見 神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 三好 達也 S5-4心エコーにて腫瘤性を認めた悪性リンパ腫6症例の心エコー所見と他のイメージングの比較検討 九州厚生年金病院 医療情報部 野間 充 S5-5大動脈炎症候群における心エコー図の役割 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 大西 俊成 シンポジウム 6(S6) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 13:10 - 14:40 連合弁膜症の治療方針(連合弁膜症、大動脈、先天性心疾患など) 座長:赤石 誠(北里大学北里研究所病院 循環器内科) 大倉 宏之(川崎医科大学 循環器内科) S6-1大動脈弁狭窄症に合併する僧帽弁逆流の治療方針:同時に手術するべきか 川崎医科大学 循環器内科 林田 晃寛 S6-2僧帽弁膜症を合併した大動脈弁狭窄症の治療 ~経カテーテル的大動脈弁置換術の経験から 慶應義塾大学医学部 臨床検査医学 村田 光繁 S6-3大動脈基部拡大を伴った大動脈弁閉鎖不全症に対する治療方針-心エコー図で何を見るか?- 神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 田中 秀和 S6-4心房中隔欠損症に合併する僧帽弁閉鎖不全の診断と治療 東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 岩永 史郎 S6-5連合弁膜症に合併する三尖弁閉鎖不全に対する治療方針とその予後 産業医科大学 第2内科 福田 祥大 34 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography シンポジウム 7(S7) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 8:30 - 10:00 術中心エコー(麻酔科、心臓血管外科、循環器内科医の communication) 座長:尾辻 豊(産業医科大学 第二内科) 小出 康弘(葉山ハートセンター 麻酔科) S7-1閉塞性肥大型心筋症に対するエコー支援下のモロー手術 高の原中央病院かんさいハートセンター 心臓血管外科 米田 正始 S7-2三次元心エコー図を術中エコーに活かす 産業医科大学 第二内科 芳谷 英俊 特別セッション S7-3ハートチームにおける心臓血管外科術中TEEの役割 高知大学医学部 外科学(外科二) 渡橋 和政 S7-4術中経食道心エコーによる decision making intraoperative TEE : before-after イムス葛飾ハートセンター 能見 俊浩 シンポジウム 8(S8) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 8:30 - 10:00 心エコーを心不全治療に活かす 座長:山本 一博(鳥取大学医学部 病態情報内科) 坂田 泰史(大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学) S8-1心不全治療の問題点は何か 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 坂田 泰史 S8-2左室駆出率が保たれた心不全発症リスクと長軸ストレイン 筑波大学医学医療系 臨床検査医学 石津 智子 S8-3Atrioventricular and interventricular delay optimization by echocardiography in cardiac resynchronization therapy 伊勢赤十字病院 循環器内科 杉本 匡史 S8-4重症心不全症例における右室後負荷指標の可能性 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 竹田 泰治 S8-5大動脈弁閉鎖不全症にともなう機能性僧帽弁閉鎖不全症に対する外科手術と心エコー 高の原中央病院かんさいハートセンター 心臓血管外科 米田 正始 35 第25回日本心エコー図学会学術集会 パネルディスカッション 1(PD1) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 13:00 - 14:30 組織ドプラ法は生き残れるか? 座長:那須 雅孝(医療法人社団恵仁会三愛病院 循環器科) 田内 潤(大阪労災病院 循環器内科) PD1-1組織ドプラ法によって求めた拡張早期僧帽弁輪速度 e’ による左室弛緩能評価の臨床的意義 名古屋市立大学医学研究科 心臓・腎高血圧内科学 大手 信之 PD1-2組織ドプラ法による左室充満圧推定の問題点を再考する 北海道大学大学院 循環病態内科学 山田 聡 特別セッション PD1-3組織ドプラ法による左室収縮機能評価 福島県立医科大学附属病院 集中治療部 高野 真澄 PD1-4組織ドプラ法を用いて虚血性心疾患を診断する 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科 大西 俊成 PD1-5組織ドプラ法は生き残れるか Dyssynchrony 評価 筑波大学医学医療系 循環器内科 瀬尾 由広 パネルディスカッション 2(PD2) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 13:10 - 14:40 負荷心エコーはなぜ臨床で広まらないのか 座長:平野 豊(近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部(循環器内科兼任)) 竹内 正明(産業医科大学 第二内科) PD2-1当院における負荷心エコーの実際 近畿大学医学部 循環器内科 諸岡 花子 PD2-2負荷心エコー図はなぜ臨床で広まらないか;市中診療所での実態 高木循環器科診療所 高木 力 PD2-3運動負荷心エコー図検査の新規導入施設における learning curve:画像収集における必要経験件数に関す る検討 医療生協わたり病院 循環器内科 渡部 朋幸 PD2-4ベッドサイドでできる簡易負荷心エコーのすすめ~適切な治療方針を立てるために 北里大学医学部 循環器内科学 小板橋俊美 PD2-5非虚血性心筋症患者に対するドブタミン負荷心エコー図検査の実際~どのように行い、何を評価すべきか~ 神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 松本 賢亮 36 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography パネルディスカッション 3(PD3) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 14:40 - 16:10 ポータブルエコーの有用性と限界(GE ポケットの役立て方) 座長:阿部 幸雄(大阪市立総合医療センター 循環器内科) 泉 知里(天理よろづ相談所病院 循環器内科) PD3-1携帯型エコーが診療に与えるインパクト 高知大学医学部 外科学(外科二) 渡橋 和政 PD3-2在宅診療における携帯型超音波検査の有用性と問題点 天理よろづ相談所病院 在宅センター 次橋 幸男 特別セッション PD3-3ポケット心エコー機を用いた大動脈弁狭窄症のスクリーニング 大阪市立総合医療センター 循環器内科 古川 敦子 PD3-4ポケット携帯型超音波装置によるコメットサイン観察の有用性と外来での使用 埼玉医科大学総合医療センター 心臓内科 神山 哲男 PD3-5触診とエコーで見つける AAA 木原循環器内科医院 木原 一 パネルディスカッション 4(PD4) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 13:20 - 14:50 CRT 適応決定はエコーではだめなのか ? CRT に対する心エコーの活かし方 座長:瀬尾 由広(筑波大学医学医療系 循環器内科) 神崎 秀明(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門心不全科) PD4-1START study の結果を考える 倉敷中央病院 循環器内科 丸尾 健 PD4-2Narrow QRS に対する CRT は禁忌か? 神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 田中 秀和 PD4-3心臓再同期療法における AV delay 設定の意義 伊勢赤十字病院 循環器内科 杉本 匡史 PD4-4経胸壁心エコー図左室流出路速度時間積分値 を用いた CRT VV delay 設定の有用性と心電図との関係 (VTI ) 東北薬科大学病院 循環器センター 田渕 晴名 PD4-5核医学による CRT レスポンダー予測 国立循環器病研究センター 放射線部 木曽 啓祐 PD4-6心電図における心臓再同期療法後の予後予測についての検討 筑波大学医学医療系 循環器内科 五十嵐 都 37 第25回日本心エコー図学会学術集会 パネルディスカッション 5(PD5) 4 月 19 日(土) 第 3 会場 10:10 - 11:40 ASO の診断治療に血管エコーをどう活かす? Vascular team 活用術 座長:西上 和宏(済生会熊本病院 集中治療室) 吉牟田 剛(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) PD5-1スクリーニングから鑑別診断に活かす ~下肢動脈エコー検査の見方~ 金沢大学病院 検査部 寺上 貴子 珠洲市総合病院 検査室 大場 教子 PD5-2マルチモダリティによる Vascular Imaging:血管エコー vs. CTA・MRA 特別セッション 帝京大学医学部 内科学講座・循環器内科 横山 直之 PD5-3血管エコーを ASO の治療方針に活かす 近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部 小谷 敦志 PD5-4カテーテル治療に活かす下肢血管形成術施行時における超音波検査の役割 済生会熊本病院心臓血管センター 循環器内科 田口 英詞 PD5-5術後評価に活かす血管エコー 埼玉医科大学国際医療センター 中央検査部 山本 哲也 38 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ワークショップ 1(W1) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 10:20 - 11:20 ASO の診断、治療後の評価 座長:赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科) 松尾 汎(医療法人松尾クリニック) W1-1血管エコー検査と心エコー検査のコラボレーション 徳島大学病院 循環器内科 山田 博胤 W1-2末梢動脈疾患診療におけるエコー検査の活かし方 旭川医科大学病院 臨床検査・輸血部 赤坂 和美 特別セッション W1-3医師の要望にどう応えるか? ~下肢動脈エコー~ 済生会熊本病院 中央検査部 村上未希子 W1-4PAD 診療に役立つ血管エコーとは? 和歌山県立医科大学 循環器内科 竹本 和司 ワークショップ 2(W2) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 16:10 - 17:10 チーム医療(SHD インターベンション、Heart team アプローチ)における心エコーの役割 座長:岩瀬 正嗣(藤田保健衛生大学医療科学部 医療経営情報学科) 山野 哲弘(京都府立医科大学 臨床検査部、循環器内科) W2-1心房中隔欠損症カテーテル的閉鎖栓治療を開始した当施設での留置困難や治療回避因子の経食道心エコー図 所見からの検討 岩手医科大学附属病院 心血管腎内分泌内科・循環器医療センター 田代 敦 W2-2多発性心房中隔欠損症に対するカテーテル閉鎖術における心エコー図の役割 岡山大学病院 循環器内科 木島 康文 W2-3TAVI における心エコー検査の役割 倉敷中央病院 循環器内科 丸尾 健 W2-4大動脈弁狭窄症に対するチーム医療 における心エコーの役割 (Heart team アプローチ ) 慶應義塾大学病院 循環器内科 鶴田ひかる 39 第25回日本心エコー図学会学術集会 ワークショップ 3(W3) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 16:10 - 17:10 もう一度見直すストレイン計測と 2D-speckle tracking の精度 (ストレイン計測の再現性をいかに向上させるか) 座長:石井 克尚(関西電力病院 循環器内科) 田中 秀和(神戸大学大学院 循環器内科学) W3-12D ストレイン心エコー法の現状と問題点 産業医科大学 第二内科 竹内 正明 W3-2ストレイン法の精度と再現性 特別セッション 大阪大学大学院医学系研究科 先進心血管治療学寄附講座 浅沼 俊彦 W3-3EF より一歩進んだ心機能評価 - Global strain の有用性 西宮渡辺心臓血管センター 循環器内科 兵頭 永一 W3-4装置間の差異は克服できるのか 筑波大学医学医療系 臨床検査医学 石津 智子 W3-5自動化トラッキングによるストレイン計測の再現性向上:ACT による自動計測は熟練者のマニュアルトレー スにどこまで迫れるか 福島県立医科大学附属病院 集中治療部 高野 真澄 ワークショップ 4(W4) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 13:10 - 14:10 エコーラボの水準をいかに維持するかさらに伸ばすためには(医師とのコミュニケーションアップ) 座長:森 一博(徳島県立中央病院 小児科) 大場 教子(珠洲市総合病院 検査室) W4-1中規模病院における心血管エコー検査の将来に向けて~ CAS 後数ヶ月で再狭窄を呈した一症例をふまえて~ 珠洲市総合病院 検査室 井口由佳子 W4-2エコーラボの水準をいかに維持しさらに伸ばすためには ―当院での試み― 川崎医科大学附属病院 中央検査部 山本 克紀 W4-3超音波センターで育成される“General sonographer” 徳島大学病院 超音波センター 山尾 雅美 W4-4新しい成果を発信する心エコーラボであるために 筑波大学附属病院 検査部 中島 英樹 40 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ワークショップ 5(W5) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 12:40 - 13:40 救急現場での心エコー図の活かし方 救急時の心エコー、私ならこうする 座長:岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 循環器内科) 有田 武史(財団法人平成紫川会社会保険小倉記念病院 循環器内科) W5-1救急でのポータブルエコー:Quick-look diagnosis を理解する 産業医科大学 第2内科 福田 祥大 W5-2救急でのエコーガイド下心嚢穿刺の実際 桜橋渡辺病院 内科 伊達 基郎 特別セッション W5-3心筋梗塞の救急心エコー図ステップアップ:冠動脈分枝レベルでの責任血管を考える 宮崎市郡医師会病院心臓病センター 循環器内科 木村 俊之 W5-4急性心不全に伴う僧帽弁逆流の心エコー図評価 大阪市立総合医療センター 循環器内科 阿部 幸雄 41 第25回日本心エコー図学会学術集会 心血管エコーを治療に活かす (プラクテイカル・ワークショップ)(PW) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 10:20 - 11:50 座長:川合 宏哉(兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科) 山田 聡(北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学) PW-1体液量調整のための心血管エコー 小倉記念病院 循環器内科 有田 武史 PW-2急性心不全に対する治療法選択のための心エコー 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 大原 貴裕 特別セッション PW-3大動脈弁狭窄に対する治療法選択のための心エコー 慶應義塾大学病院 循環器内科 鶴田ひかる PW-4僧帽弁閉鎖不全症における治療選択のための心エコー ~経皮的僧帽弁形成術を考慮して~ 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 出雲 昌樹 未来型心血管エコーへの提案(未来) 4 月 17 日(木) 第 3 会場 16:10 - 17:40 座長:山岸 正和(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) 山崎 延夫(FUJIFILM SonoSite, Inc.) 未来 -1心エコー図法の未来像~病態評価法として広く用いられるためのアプローチ 福島県立医科大学附属病院 集中治療部 高野 真澄 未来 -2遠隔操作・自動走査が可能なエコー診断支援ロボット 早稲田大学 理工学術院 岩田 浩康 未来 -3Structural Heart Disease 診療のための心エコー図の未来像 大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座 中谷 敏 未来 -4不全心の治療方針を決める心エコー図法の未来像 筑波大学医学医療系 循環器内科 瀬尾 由広 未来 -5血管エコーの未来像 FUJIFILM SonoSite, Inc. 山崎 延夫 42 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 新技術紹介セッション(新技術) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 14:50 - 16:20 新技術を評価する 座長:西條 芳文(東北大学大学院医工学研究科 医用イメージング研究分野) 岩永 史郎(東京医科大学八王子医療センター 循環器内科) 新技術 -12方向ビームステアリングによるリアルタイム2次元血流速度ベクトルの算出 東北大学 医工学研究科 西條 芳文 新技術 -2Vector Flow Mapping - 血流ベクトルから見えてくるもの 心臓血管研究所 循環器内科 上嶋 徳久 特別セッション 新技術 -3スペックルトラッキングにおける新技術:activation imaging 筑波大学医学医療系 循環器内科 瀬尾 由広 新技術 -4Shear wave elastography シーメンス・ジャパン株式会社 クリニカルプロダクト事業本部 超音波ビジネス本部 斎藤 雅博 新技術 -5ネットワーク時代の画像情報管理と Tele-medicine 徳島大学病院 循環器内科 山田 博胤 KSE Case Conference(KCC) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 14:10 - 15:40 座長:Joon-Han Shin(Ajou University School of Medicine) 伊藤 浩(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学) KCC-1Mitral Stenosis Reversed by Medical Treatment for Heart Failure Second Department of Internal Medicine, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health Shota Fukuda KCC-2Valve replacement, is it the resolution of the problem? Or is it another new problem? Cardiovascular Center and Department of Internal Medicine, Seoul National University Hospital Seung-Pyo Lee KCC-3Reversible Severe Ischemic Mitral Regurgitation and Acute Decompensated Heart Failure -Usefulness of Ultrasound Lung Comets SignCenter of Ultrasonic Diagnostics, Okayama University Hospital Hiroki Oe KCC-4Aortic Pathology: An Often Neglected Cause of Left Ventricular Dysfunction Cardiology Division, Severance Cardiovascular Hospital, Yonsei University College of Medicine In-Jeong Cho 43 第25回日本心エコー図学会学術集会 ライブセッション(ビデオライブ) (Live) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 10:10 - 11:40 座長:渡辺 弘之(東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター) 坪川 恒久(金沢大学大学院医学系研究科 麻酔・蘇生学講座) Live-1 金沢大学附属病院 心臓血管外科 渡邊 剛 Live-2 金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科 森 三佳 特別セッション Live-3 金沢大学附属病院 麻酔科蘇生科 藤井 怜 コメンテーター 岐阜大学医学部高度先進外科(第一外科) 竹村 博文 コメンテーター 国立循環器病センター病院 麻酔科 大西 佳彦 コメンテーター 国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科心不全科 長谷川拓也 Young Investigator’ s Award 審査会(YIA) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 14:30 - 16:00 座 長:三神 大世(北海道大学大学院保健科学研究院 病態解析学) 石井 克尚(関西電力病院 循環器内科) 審査委員:三神 大世(北海道大学大学院 保健科学研究院病態解析学) 石井 克尚(関西電力病院 循環器内科) 宇野 漢成(東京大学医学部附属病院コンピュータ画像診断学/予防医学講座) 戸出 浩之(群馬県立心臓血管センター 技術部) 平田久美子(和歌山県立医科大学 循環器内科) 山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科/超音波センター) 湯田 聡(札幌医科大学 医学部 臨床検査医学) YIA-1組織ドプラ法による左室弛緩能と充満圧の推定に及ぼす左室収縮機能と肥大の影響 北海道大学病院 検査・輸血部 中鉢 雅大 YIA-2拡張型心筋症における心臓 MRI 遅延造影と心筋ストレインによるリスク層別化 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科 千村 美里 YIA-3Longitudinal strain による奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症の予後評価 筑波大学医学医療系 循環器内科 佐藤 希美 YIA-43D スペックルトラッキング法による心筋虚血評価 -Activation Imaging を用いた検討 大阪大学大学院医学系研究科 機能診断科学講座 岡 雅通 YIA-5拍動心脱転時に伴う僧帽弁 tethering 増悪と乳頭筋変位との関係~ブタ OPCAB モデルにおける 3D 心エ コー図法による検討~ 福島県立医科大学 心臓血管外科学講座 五十嵐 崇 YIA-6急性左室機能低下例における僧帽弁 adaptation:三次元心エコー図による検討 宮崎大学医学部附属病院 第一内科 福田 智子 44 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Echo U 40 Club Meeting(U40) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 16:10 - 17:40 座長:中谷 敏(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座) 竹内 正明(産業医科大学 第二内科) U40-1ST 上昇型心筋梗塞急性期における 3 次元スペックルトラッキング法による viability 評価と予後に関する 検討 筑波メディカルセンター病院 循環器内科 菅野 昭憲 U40-2運動負荷心エコー図検査における 2D スペックルトラッキング法を用いた Ischemic memory の検討 特別セッション 日本医科大学武蔵小杉病院 内科・循環器科 表 俊也 U40-3透析後 72 時間では運動誘発性の afterload mismatch が起こる : a Serial Observation of Ventricular-Arterial Coupling 群馬大学大学院医学系研究科 臓器病態内科学 小保方 優 U40-4経カテーテル大動脈弁置換術前後の Valvulo-arterial Impedance に関する検討 東京ベイ浦安市川医療センター ハートセンター 柴山謙太郎 コメンテーター 産業医科大学 第二内科 尾辻 豊 コメンテーター 関西労災病院 循環器内科 上松 正朗 男女共同参画委員会セッション(男女) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 14:40 - 16:10 座長:高野 真澄(福島県立医科大学附属病院 集中治療部) 川合 宏哉(兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科) 男女 -1男女共同参画委員会 活動報告と今後の方向性について 日本心エコー図学会 男女共同参画委員会委員長、福島県立医科大学附属病院 集中治療部 高野 真澄 男女 -2梯子ではなくジャングルジム 済生会熊本病院 集中治療室 西上 和宏 男女 -3育児とキャリアの間で。男性医師の立場から。 東京医科大学 循環器内科 武井 康悦 男女 -4冠動脈疾患予後予測における頸動脈プラーク輝度の意義:炎症性バイオマーカとの組み合わせによる検討 筑波大学医学医療系 臨床検査医学 石津 智子 男女 -5超音波検査士として臨床医の傍らにいつづけるために 松江市立病院 循環器内科 広江貴美子 男女 -6平成 25 年度 第 1 回男女共同参画奨励賞 受賞後一年間の活動報告 筑波大学人間総合科学研究科 循環器内科 町野 智子 男女 -7第 1 回男女共同参画奨励賞 受賞後一年間の活動報告 神戸大学医学部附属病院 循環器内科 福田 優子 45 第25回日本心エコー図学会学術集会 教育企画 1(EP1) 4 月 19 日(土) 第 4 会場 12:40 - 14:10 どのようなレポートを書きますか? 座長:和田 靖明(国立大学法人山口大学大学院御学系研究科 器官病態内科学 検査部) 高橋 秀一(社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院 中央検査室) EP1-1僧帽弁逆流;手術を考慮する中等症、定量化についても 近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部 小谷 敦志 EP1-2AR:重症度評価を考慮したレポート 名古屋循環器科・内科 都築 千枝 特別セッション EP1-3その壁運動低下、どのように医師に伝えるか 平成紫川会 小倉記念病院 検査技師部 梅田ひろみ EP1-4先天性心疾患:結局のところ、どういう異常なのか? 徳島大学病院 超音波センター 西尾 進 EP1-5この狭窄病変、どのように医師に伝えますか? 埼玉医科大学国際医療センター 中央検査部 数野 直美 教育企画 2(EP2) 4 月 19 日(土) 第 4 会場 14:20 - 15:50 心エコーの基本を学ぶ 座長:小板橋俊美(北里大学病院 循環器内科) 種村 正(公益財団法人心臓血管研究所附属病院 臨床検査部) EP2-1正しい断層画像の出し方と活かし方 社会医療法人天神会新古賀病院 生理機能検査室 高尾壽美惠 EP2-2カラードプラ法の使い方と活かし方 国立循環器病研究センター 臨床検査部 橋本 修治 EP2-3パルスドプラと連続波ドプラの使い方と活かし方 大阪大学医学部附属病院 超音波センター 勝木 桂子 46 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 教育セッション 1(ES1) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 8:40 - 10:10 先天性心疾患の心エコー診断 3D エコーで理解する先天性心疾患 座長:富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科) 新居 正基(静岡県立こども病院 循環器科) ES1-1先天性心疾患における手術治療における 3D エコーの役割 - 視点をかえ、リアルな 3D 表示をもとに外科医 と対話しよう 長野県立こども病院 循環器小児科 瀧聞 浄宏 ES1-2先天性心疾患における心機能および房室弁機能評価 3D エコーで評価できること 特別セッション 順天堂大学医学部 小児科学教室 高橋 健 ES1-3成人先天性心疾患における心エコーと CMR の組み合わせによる臨床診断の有用性・心エコー医師の新たな 活躍の場 聖路加国際病院 循環器内科 椎名 由美 教育セッション 2(ES2) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 10:10 - 11:40 右心機能を心エコーで評価する 座長:大門 雅夫(東京大学医学部附属病院検査部/循環器内科) 田中 教雄(国立循環器病研究センター 臨床検査部) ES2-1心エコー図による肺動脈圧と肺血管抵抗の推定:その方法と限界 群馬県立心臓血管センター 技術部 岡庭 裕貴 ES2-2右心機能の基本:左心機能と同じに考えて良いか 岡山大学病院 超音波診断センター 麻植 浩樹 ES2-3右心機能を見てみよう:なぜ圧だけではいけないのか 東京大学医学部附属病院 循環器内科 川田 貴之 ES2-4日常診療での心エコー図による右心機能評価;様々な指標の解釈と問題点 徳島大学病院 超音波センター 西尾 進 ES2-5右心機能評価の新技術-スペックルトラッキング法や 3 次元心エコー図法は右心機能評価に有用か?- 神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 田中 秀和 47 第25回日本心エコー図学会学術集会 教育セッション 3(ES3) 4 月 19 日(土) 第 3 会場 8:30 - 10:00 弁逆流の正しい評価法 座長:桶家 一恭(厚生連高岡病院 循環器科) 土肥 薫(三重大学大学院 循環器・腎臓内科学) ES3-1弁逆流の正しい評価法「正しい計測・正しいレポート」 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部超音波センター 杉本 邦彦 ES3-2感染性心内膜炎時の弁逆流の評価とピットホール 恩賜財団済生会中和病院 医療技術部 高橋 秀一 特別セッション ES3-3弁逆流定量評価の問題点:治療戦略決定の為に何を評価すべきか 東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 岩永 史郎 ES3-4経食道心エコー図を使いこなす 東京ベイ浦安市川医療センター 渡辺 弘之 ES3-5僧帽弁逆流に対して僧帽弁形成術を行う外科医が心エコー検査に求めること 湘南鎌倉病院 心臓血管外科 田中 正史 教育セッション 4(ES4) 4 月 19 日(土) 第 3 会場 14:40 - 16:10 開業医のための心エコー講座 座長:村田 和也(むらた循環器内科) 高木 力(高木循環器科診療所) ES4-1遠隔診断を病診連携に活かす 徳島大学病院 循環器内科 山田 博胤 ES4-2左室と左房を診て地域の高齢者医療に役立てる 関西医科大学 第二内科 宮坂 陽子 ES4-3開業医のための心エコー講座 川崎医科大学 循環器内科 林田 晃寛 ES4-4心電図異常と見逃してはいけない心エコー所見 筑波大学医学医療系 臨床検査医学 石津 智子 ES4-5高齢者大動脈弁狭窄症の心エコー図診断について 慶應義塾大学医学部 臨床検査医学 村田 光繁 48 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Visual echo album(V) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 16:10 - 17:20 心エコー美術館 座長:和田 靖明(山口大学医学部附属病院 検査部) 筑波大学医学医療系 臨床検査医学 石津 智子 近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部 小谷 敦志 新古賀病院 生理機能検査室 高尾壽美惠 徳島大学病院 循環器内科 / 超音波センター 山田 博胤 特別セッション JB-POT 講習会(JB) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 13:40 - 16:10 経食道エコーをマスターする 座長:西野 雅巳(大阪労災病院 循環器科) 岡本 浩嗣(北里大学病院 麻酔科) JB-1Amplatzer と TEE 慶應義塾大学 循環器内科 村田 光繁 JB-2基本的な解剖と計測 北里大学 麻酔科 岡本 浩嗣 JB-3大動脈弁形成術を意識した AR の評価 京都府立医科大学 循環器内科 山野 哲弘 JB-4僧房弁形成術と術中 TEE 杏林大学 麻酔科 山田 達也 JB-5TAVI の麻酔と TEE 葉山ハートセンター 麻酔科 小出 康弘 コメンテーター 杏林大学 麻酔科 山田 達也 詳細は 160 頁 ウェットラボ(WET) 4 月 19 日(土) ポスター会場 12:40 - 14:40 座長:渡辺 弘之(東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター) 榊原記念病院 心臓血管外科 福井 寿啓 詳細は 161 頁 49 第25回日本心エコー図学会学術集会 心エコーウルトラクイズ(Quiz) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 18:30 - 19:50 座 長:山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科/超音波センター) 小板橋俊美(北里大学医学部循環器内科学) 特別セッション 50 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(口演)1(O1) 4 月 17 日(木) 第 3 会場 8:40 - 9:46 弁膜症 -1 座長:小林さゆき(獨協医科大学越谷病院 循環器内科) 戸出 浩之(群馬県立心臓血管センター 技術部) O1-1高度大動脈弁狭窄症における左室ストレイン指標と症状との関連 慶應義塾大学病院 循環器内科 鶴田ひかる O1-2大動脈弁置換術後の遠隔期再狭窄は予測できるか? 君津中央病院 循環器科 時政 聡 O1-3低圧較差重症大動脈弁狭窄症 の大動脈弁置換術の予後についての (low gradient aortic stenosis:LGAS ) 検証 榊原記念病院 循環器内科 福本 梨沙 O1-4大動脈弁狭窄症における大動脈弁通過血流の flow rate に対する影響因子 手稲渓仁会病院 臨床検査部 中島 朋宏 O1-5大動脈弁一尖弁による大動脈弁狭窄症の 1 例 聖隷三方原病院 循環器科 榊原 智晶 O1-6大動脈弁狭窄症患者の左室肥大における 3 次元経胸壁心エコー図法と心電図の比較検討 産業医科大学 循環器内科・腎臓内科 永田 泰史 一般口演 一般演題(口演)2(O2) 4 月 17 日(木) 第 3 会場 9:46 - 10:52 弁膜症 -2 座長:水重 克文(国立病院機構高松医療センター) 田中 信大(東京医科大学 循環器内科) O2-1経カテーテル大動脈弁留置直後において大動脈弁周囲逆流を TEE 短軸像で重症度評価をするのは妥当か 湘南鎌倉総合病院 検査科 村上 結香 O2-2大動脈弁口面積の流量依存性が重症度評価に与える影響 心臓血管研究所付属病院 臨床検査室 渡邊 伸吾 O2-3無症候の大動脈弁逆流とメタボリックシンドロームー経胸壁心エコー図法による大動脈根径計測値の検討ー 兵庫県予防医学協会 山浦 泰子 O2-4治療に難渋した僧帽弁形成術後 SAM の一例 (systolic anterior motion of the mitral valve ) 獨協医科大学 心臓・血管内科 伊波 秀 O2-5僧帽弁逆流に対し外科的治療を行わなかった患者における術前経胸壁エコーの僧帽弁形態と術後経過に対す る検討 順天堂大学医学部付属順天堂医院 循環器内科 市川 良子 O2-6動脈硬化性僧帽弁狭窄症における心エコー図による重症度指標の妥当性に関する検討 倉敷中央病院 臨床検査科 遠藤 桂輔 51 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(口演)3(O3) 4 月 17 日(木) 第 3 会場 10:52 - 11:58 弁膜症 -3 座長:李 鍾大(福井大学 保健管理センター) 渡邉 望(県立宮崎病院 循環器内科) O3-1維持血液透析患者における心弁膜病変:多施設共同前向き観察研究 三重大学大学院 循環器・腎臓内科 土肥 薫 O3-2VSD1 型の術後における自然歴並びに大動脈弁逆流症の進行に関する予測因子 天理よろづ相談所病院 循環器内科 天野 雅史 O3-3Complete ring を使用した僧帽弁形成術後の機能的狭窄に関する運動負荷心エコー図を用いた検討 京都府立医科大学附属病院 臨床検査部 大塚 明子 O3-4慢性心房細動を伴った心不全患者において二次性僧帽弁逆流は独立した予後規定因子である 春秋会城山病院 心臓血管センター 伊東 風童 O3-5運動誘発性肺高血圧は無症候性僧帽弁逆流患者の症状出現予測因子である:運動負荷心エコーの有用性 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 上嶋 亮 O3-6ペースメーカー植込み後三尖弁逆流症の頻度と発生時期についての検討 大阪労災病院 循環器内科 加藤 大志 一般演題(口演)4(O4) 一般口演 4 月 17 日(木) 第 3 会場 13:00 - 13:55 感染症心内膜炎 -1 座長:伏見 悦子(平鹿総合病院 循環器科) 水上 尚子(鹿児島大学病院 臨床技術部検査部門) O4-1僧帽弁輪・左房壁に限局した感染性心内膜炎の一例 県立宮崎病院 循環器内科 吉村 雄樹 O4-2メシチリン感受性ブドウ球菌(MSSA)による感染性心内膜炎のため僧帽弁置換術施行後に巨大弁輪周囲 膿瘍を形成した一例 日本大学医学部 内科学系総合内科学分野 橋本 賢一 O4-3左室心内膜に多発性の可動性構造物を認めた感染性心内膜炎の一症例 和歌山県立医科大学 循環器内科 東田 智江 O4-4弁周囲膿瘍を合併した、大動脈二尖弁の感染性心内膜炎の1例 国立病院機構災害医療センター 臨床検査科 柳川 輝子 O4-5血液培養陰性であった人工弁感染性心内膜炎の 1 例 亀田総合病院 臨床検査部 須磨谷いづみ 52 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(口演)5(O5) 4 月 17 日(木) 第 3 会場 13:55 - 14:50 感染症心内膜炎 -2 座長:中尾 伸二(明和病院 循環器内科) 増田 喜一(医療法人 吉田小野原東診療所) O5-1多発性肺膿瘍を合併したペースメーカー感染の1症例 君津中央病院 生理検査部 小野 和重 O5-2肥大型心筋症に感染性心内膜炎を合併した一例 東京医科大学 循環器内科 高橋 のり O5-3右心系感染性心内膜炎疑い例に対する心腔内エコーを施行した2症例 関東中央病院 循環器内科 伊藤 敦彦 O5-4Bentall 手術術後に診断が困難であった弁輪部膿瘍の一例 千葉県循環器病センター 循環器科 多羅尾健太郎 O5-5二尖大動脈弁の経過観察中に左室―右房瘻と両弁穿孔を合併した感染性心内膜炎の 1 例 岩手医科大学附属病院循環器センター 循環器内科 上田 寛修 一般演題(口演)6(O6) 4 月 17 日(木) 第 3 会場 14:50 - 15:56 一般口演 症例 -1 座長:藤本 眞一(奈良県立医科大学 教育開発センター) 豊田 茂(獨協医科大学 心臓・血管内科) O6-1僧帽弁置換術 10 年後に突然の呼吸困難を呈し、三次元経食道心エコーにて人工弁機能不全を詳細に観察し えた一症例 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 検査技術部 神嶋 敏子 O6-2拡張相への形態的・血行動態的な移行が追えた肥大型心筋症の 1 例 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 循環器内科 佐藤 如雄 O6-3特発性心室細動をきたした左室緻密化障害の 1 例~各種心エコー法による潜在性心筋傷害の検出~ 徳島県立中央病院 検査技術科 一宮 千代 O6-4経胸壁心エコーにて心筋梗塞後の左室内血栓に冠動脈 - 左室瘻を認めた一例 自衛隊中央病院 診療技術部臨床検査課生理班 長畑 公宣 O6-5陳旧性心筋梗塞による低心機能例に生じた運動誘発性肺高血圧の病態解析,治療方針決定に運動負荷心エ コーが有用であった一例 国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門心不全科 森川 渚 O6-6Amplatzer Septal Occluder で治療しえた Platypnea Orthodeoxia の 1 例 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 大原 貴裕 53 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(口演)7(O7) 4 月 17 日(木) 第 4 会場 8:40 - 9:46 心筋症 -1 座長:原田 昌彦(東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部) 森 三佳(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) O7-1ミトコンドリア病 MELAS と診断された4成人症例の心エコー図の特徴 筑波大学附属病院 検査部 椎名 亮揮 O7-2Duchenne 型筋ジストロフィー患者の潜在性左室心筋障害の検出における下肢挙上負荷心エコー図検査の 有用性 神戸大学医学部附属病院 検査部 山本 哲志 O7-3ファブリー病における 2 次元スペックルトラッキング解析の有用性について 慈恵医科大学病院 中央検査部 町田 規子 O7-4大動脈弁置換術後に心室中隔菲薄化が出現した心サルコイドーシスの一例 北里大学医学部 循環器内科学 藤吉 和博 O7-5心エコーで左室壁の肥厚を早期発見しえたことで良好な経過をたどった AA アミロイドーシスの一例 熊本大学医学部附属病院 中央検査部 今村華奈子 O7-6左室緻密化障害患者の左室リバースリモデリングは予後予測因子である 信州大学医学部 循環器内科 南澤 匡俊 一般口演 一般演題(口演)8(O8) 4 月 17 日(木) 第 4 会場 9:46 - 10:52 心筋症 -2 座長:本間 博(日本医科大学附属病院 循環器内科) 林 研至(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) O8-1肥大型心筋症における左室長軸方向ストレインレートの時相・波形異常の特徴 北海道大学大学院 保健科学院 岡田 一範 O8-2通常とは異なる壁運動異常を呈したたこつぼ心筋症の 2 例 九州大学病院 ハートセンター 堀川 史織 O8-3拡張型心筋症における反応性後毛細血管性肺高血圧症の心エコー図的特徴 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科 月城 泰栄 O8-4拡張型心筋症における右心機能不全:ASE ガイドラインに基づいた心エコー図による評価 東京大学医学部附属病院 循環器内科 川田 貴之 O8-5タクロリムス (FK506 )投与により心尖部に限局した可逆性左室壁肥厚を認めた症例 三重大学大学院 循環器・腎臓内科 武内哲史郎 O8-6肥大型心筋症における運動誘発性肺高血圧と主要心血管イベントについての検討 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 水越 慶 54 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(口演)9(O9) 4 月 17 日(木) 第 4 会場 10:52 - 11:58 腫瘍、血栓 -1 座長:菅原 重生(山形県酒田市病院機構日本海総合病院 循環器内科) 桑原 栄嗣(医療法人浩然会 指宿浩然会病院) O9-1感冒症状を契機に発見された心臓脂肪肉腫の一症例 山形県酒田市病院機構日本海総合病院 循環器内科 近江 晃樹 O9-2急速に進行し高度肺動脈狭窄をきたした転移性右室腫瘍の一例 日本大学医学部 循環器内科 小熊 秀隆 O9-3他疾患精査中に偶然発見された心臓原発良性腫瘍の 2 例 県立宮崎病院 臨床検査科 田中 美与 O9-4下大静脈を介し右房に進展を認めた二次性心臓腫瘍の 4 症例 島根大学医学部附属病院 循環器内科 渡邊 伸英 O9-56 年の経過で著明に増大し脳梗塞を発症した左房内粘液腫の一例 伊勢崎市民病院 循環器内科 中島 正博 O9-6粘液腫が疑われた右室流出路の乳頭状線維弾性腫の一例 国立病院機構災害医療センター 循環器内科 伊藤 順子 一般口演 一般演題(口演)10(O10) 4 月 17 日(木) 第 4 会場 13:00 - 14:06 腫瘍、血栓 -2 座長:鈴木 健吾(聖マリアンナ医科大学 循環器内科) 仲宗根 出(国立循環器病研究センター 臨床検査部) O10-1右房内で振り子様運動を呈する巨大精巣腫瘍の一例 群馬大学医学部附属病院 検査部 岡田 顕也 O10-2経胸壁心臓超音波検査にて検出された左室内血栓 25 例の検討 藤田保健衛生大学医学部 循環器内科学 宮城芽以子 O10-3心臓原発悪性リンパ腫に対して R-CHOP 療法を行い、経過を心エコーで観察しえた 1 例 石川県立中央病院 循環器内科 油尾 亨 O10-43D 経胸壁心エコーが経過観察に有用であった右室血管腫の一例 獨協医科大学病院 超音波センター 川又 美咲 O10-5診断に苦慮した右房内 high echoic mass の一例 社会保険宮崎江南病院 内科 津守 容子 O10-6多発性脳梗塞を発症し腫瘍との鑑別を要した非細菌性血栓性心内膜炎の一例 東京都健康長寿医療センター 臨床検査科 桜山千恵子 55 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(口演)11(O11) 4 月 17 日(木) 第 4 会場 14:06 - 15:01 虚血性心疾患 座長:笠巻 祐二(日本大学医学部 内科学系総合内科学分野) 岡山 英樹(愛媛県立中央病院 循環器病センター) O11-1左室全体の長軸方向ストレインによる無症候性心筋虚血検出の検討 札幌社会保険総合病院 検査部 宮本亜矢子 O11-2左前下行枝領域における post-systolic shortening と冠動脈血流についての検討 (PSS ) 松江赤十字病院 検査部 高野 智晴 O11-3左室拡張障害の原因となった巨大仮性心室瘤 山口大学医学部附属病院 超音波センター 平山 香莉 O11-4頸動脈プラークの組織性状評価による冠動脈ステントの再狭窄の予測:iPlaque® を用いた検討 徳島大学病院 循環器内科 坂東 美佳 O11-5仮性心室瘤破裂を合併した急性心筋梗塞の一症例 君津中央病院 生理検査部 井上 陽子 一般演題(口演)12(O12) 4 月 17 日(木) 第 4 会場 15:01 - 15:56 一般口演 心不全 座長:芦原 京美(東京女子医科大学 循環器内科) 伊藤 隆英(大阪医科大学 内科学III) O12-1冠動脈バイパス術後8年を経て発生した chronic expanding hematoma の一例 東京女子医科大学病院 循環器内科 海老原 卓 O12-2腎機能低下を合併した駆出率の保たれた心不全症例における腎血行動態と動脈硬化に関する検討 日本大学医学部 循環器内科 相澤 芳裕 O12-3重症心不全患者における心エコー図より求めた Pulmonary arterial capacitance の予後予測性に関する 検討 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 齋藤 佑記 O12-4下半身陽圧器(LBPP を用いた高齢高血圧患者における左室拡張予備能障害の評価 ) 藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院 循環器内科 良永 真隆 O12-52 型糖尿病患者における左室拡張能と内皮機能および運動耐容能との関連 伊勢赤十字病院 循環器内科 石山 将希 56 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(口演)13(O13) 4 月 17 日(木) 第 4 会場 15:56 - 16:51 右心 座長:高木 厚(東京女子医科大学 循環器内科) 谷本 貴志(和歌山県立医科大学 循環器内科) O13-1心エコーを用いた慢性血栓塞栓性肺高血圧症における経皮的肺動脈拡張術治療後の再灌流性肺障害出現の予測 杏林大学医学部 第二内科 上杉陽一郎 O13-2RV remodeling impairs LV free wall contraction in the subclinical patients with repaired tetralogy of Fallot 筑波大学附属病院 人間総合科学研究科疾患制御医学専攻小児科 中村 昭宏 O13-3右室長軸収縮機能は慢性心不全症例の運動耐容能を規定する 筑波大学附属病院 循環器内科 川松 直人 O13-4ルーチン検査における各種右室収縮期指標と三次元心エコー法により求めた右室駆出率との相関 徳島大学医学部 医学科 秋山晋一郎 O13-5膠原病例における 6 分間歩行後右房 - 右室圧較差の経年的変化 徳島大学病院 循環器内科 發知 淳子 一般演題(口演)14(O14) 一般口演 4 月 18 日(金) 第 4 会場 11:10 - 12:05 新技術 座長:千田 彰一(香川大学医学部 総合診療科) 安河内 聰(長野県立こども病院 循環器小児科) O14-1中心循環系血管内超音波カテーテルを用いた経食道心エコー検査についての有用性の検討 静岡県立こども病院 循環器科 新居 正基 O14-2心臓再同期療法の効果を Activation Imaging で観察できた重症心不全の一例 島根大学医学部附属病院 循環器内科 Maidar Tumenbayar O14-3虚血性心疾患患者における局所収縮遅延の同定:ATP 負荷 3D 心エコー図法による Activation Imaging を用いた検討 福島県立医科大学附属病院 集中治療部 高野 真澄 O14-4Vector Flow Mapping を用いた左室内血流のエネルギー損失の計測:小児の基準値と年齢・心拍数・前 負荷の影響 東京大学医学部附属病院 小児科 林 泰佑 O14-5左室 2 次元 Global Strain マルチレイヤー解析による壁内 Strain 勾配より考察される左室駆出率保持型肥 大型心筋症における代償機序 千葉大学大学院医学研究院 循環器内科学 小澤 公哉 57 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(口演)15(O15) 4 月 18 日(金) 第 4 会場 13:10 - 14:05 小児 座長:福田 信夫(国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター) 石井 正浩(北里大学 小児科) O15-1右室自由壁の circumferential strain は、longitudinal strain よりも右室機能解析に有用である 徳島大学大学院 小児医学分野 早渕 康信 O15-2乳児期早期の心室中隔欠損症における組織ドプラ法による心筋壁運動の検討 鳥取大学医学部 周産期小児医学分野 橋田祐一郎 O15-3右室圧負荷を有する先天性心疾患症例では心室中隔の心筋進展性が低下する―DWS を用いた心室中隔のス ティフネス測定― 徳島大学病院 小児科 阪田 美穂 O15-4正常小児における三次元心エコー法を用いた左室容積評価 静岡県立こども病院 循環器科 藤岡 泰生 O15-5正常小児における僧房弁輪面積の心周期変化についての検討 静岡県立こども病院 循環器科 石垣 瑞彦 一般演題(口演)16(O16) 4 月 18 日(金) 第 4 会場 14:05 - 15:00 一般口演 心機能 -1 座長:田中 伸明(山口大学大学院医学系研究科 病態検査学) 宇野 漢成(東京大学医学部附属病院 コンピュータ画像診断学/予防医学講座) O16-1急性心筋梗塞 (AMI ) 患者における、心肺運動負荷試験 (CPX )のパラメータと、心エコー検査 (UCG ) の測定 値との関係 雪の聖母会聖マリア病院 循環器内科 鹿田 智揮 O16-2小児から成人の拡張早期の左室内圧較差の発生機序―流体力学を用いた新たな左室拡張能の解析方法による 検討― 順天堂大学医学部 小児科学教室 高橋 健 O16-3肥満が日本人健常高齢女性の心機能に与える影響 東京大学医学部附属病院 検査部 中尾 倫子 O16-4運動負荷心エコーによる拡張早期の左室内圧較差の発生機序の解析―流体力学を用いた新たな左室拡張能の 解析方法による検討― 順天堂大学医学部 小児科学教室 松井こと子 O16-5高血圧における長軸方向心筋短縮能は遠心性肥大より求心性肥大でより高度に低下する 北海道大学大学院 保健科学院 岡田 一範 58 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(口演)17(O17) 4 月 18 日(金) 第 4 会場 15:00 - 15:55 心機能 -2 座長:木原 康樹(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 循環器内科学) 湯田 聡(札幌医科大学医学部 臨床検査医学) O17-1大動脈縮窄症術後患者における LV stiffness ~ Diastolic wall strain を用いた検討~ 福岡市立こども病院・感染症センター 検査部 林原 亜樹 O17-2スペックルトラッキング法を用いた長軸方向心筋仕事量算出の試み:高血圧性心疾患と肥大型心筋症への応用 北海道大学病院 検査・輸血部 西野 久雄 O17-3高齢者において、diastolic wall strain 低値の患者は運動負荷後に E/E’ 高値となりやすい 高木循環器科診療所 高木 力 O17-4睡眠時無呼吸症候群患者における両心機能の検討 -2D speckle tracking image を用いて 昭和大学医学部 内科学講座循環器内科学部門 松井 泰樹 O17-5左室 2 次元 Global Strain のマルチレイヤー解析による心内膜側依存率を用いた左室駆出率保持型肥大型 心筋症における心筋特性評価 千葉大学大学院医学研究院 循環器内科学 小澤 公哉 一般演題(口演)18(O18) 一般口演 4 月 18 日(金) 第 4 会場 15:55 - 17:01 症例 -2 座長:山近 史郎(春回会井上病院 循環器内科) 遠田 栄一(三井記念病院 中央検査部) O18-1前壁中隔の壁運動低下を伴った感染性心内膜炎の一例 君津中央病院 循環器科 藤巻 晴香 O18-2経胸壁心エコー図検査にて治療効果を経過観察しえたレフレル心内膜炎の一例 北関東循環器病院 検査部 内藤 博之 O18-3感染性仮性動脈瘤が心筋解離をきたした大動脈弁置換術後の一例 福島県立医科大学附属病院 検査部 堀越 裕子 O18-4経胸壁心エコーで緊急手術の適応を判断した左室内の有茎性可動性球状血栓の一例 佐賀大学医学部 先端心臓病学 琴岡 憲彦 O18-5Calcified amorphous tumor の 1 例 愛媛県立中央病院循環器病センター 循環器内科 木下 将城 O18-6難治性心室細動に対して経皮的人工心肺補助管理翌日に左室内巨大血栓が形成された 1 例 鳥取大学医学部附属病院 循環器内科 岡村 昌宏 59 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(口演)19(O19) 4 月 19 日(土) 第 3 会場 12:40 - 13:35 スペックルトラッキング 座長:加藤 雅彦(鳥取大学医学部 病態情報内科) 湯浅 敏典(鹿児島大学 心臓血管・高血圧内科学) O19-1心サルコイドーシスにおける、副腎皮質ステロイドの治療効果予測 -2D スペックルトラッキングと FDG PET を組み合わせて 和歌山県立医科大学 循環器内科 折居 誠 O19-2Two-dimensional Speckle Tracking 法による E/e´sr の有用性に関する検討 関西医科大学 第二内科 辻本 悟史 O19-3肺高血圧症患者の TAPSE 評価における longitudinal apical rotation の影響 神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 元地 由樹 O19-4Impact of left atrial peak systolic strain on prognosis in patients with acute ischemic stroke 山形大学医学部 第一内科 佐々木真太郎 O19-5経胸壁心エコー 2 次元左室 Global Strain を用いた主要心有害事象の予測 肥大型心筋症の冠動脈非狭窄 例における検討 千葉大学大学院医学研究院 循環器内科学 小澤 公哉 一般演題(口演)20(O20) 一般口演 4 月 19 日(土) 第 3 会場 13:35 - 14:30 血管 / 大動脈 座長:山浦 泰子(兵庫県予防医学協会) 脇 英彦(明和病院 臨床検査科・超音波センター) O20-1腎動脈狭窄症診断での acceleration time の臨床的意義 国立病院機構函館病院 循環器科 小室 薫 O20-2高血圧患者の左室肥大様式における血管機能と形態 東邦大学医療センター佐倉病院 生理機能検査部 田端 強志 O20-3糖尿病と虚血性心疾患における眼動脈エコーの有用性 大阪掖済会病院 臨床検査科 宮花 礼子 O20-4大動脈プラークからの血栓塞栓性足趾虚血と考えられた一例 富山赤十字病院 循環器内科 勝田 省嗣 O20-5下肢深部静脈のモヤモヤエコーから DVT 発症を予測できるか 吉田小野原東診療所 増田 喜一 60 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(口演)21(O21) 4 月 19 日(土) 第 4 会場 8:40 - 9:35 3D エコー 座長:林 英宰(河内総合病院 心臓血管センター) 舛形 尚(香川大学医学部 総合診療科) O21-13D スペックルトラッキング法で求めた左房壁ストレインの左房機能評価における有用性 名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学 若見 和明 O21-2心源性脳梗塞の要因として考えられた二重心房中隔の一例-リアルタイム 3D 経食道エコーの有用性- 東北大学病院 生理検査センター 大沼 秀知 O21-3大動脈弁輪形態に影響する因子の性差:3 次元経胸壁心エコー図検査を用いた検討 山口大学医学部附属病院 超音波センター 有吉 亨 O21-4Sorin Memo-3D 弁輪形成 Ring の心周期における長軸方向の柔軟性と短軸方向の安定性 長崎大学病院 循環器内科 恒任 章 O21-5楕円形大動脈弁輪を呈する患者における臨床背景と心血管形態の特徴:3 次元経胸壁心エコー図検査を用い た検討 山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学 原田 典子 一般演題(口演)22(O22) 一般口演 4 月 19 日(土) 第 4 会場 9:35 - 10:30 左房、心房細動 座長:皆越 眞一(国立病院機構鹿児島医療センター 循環器内科) 正木 充(兵庫医科大学 循環器内科・臨床検査医学) O22-1心房細動に対するカテーテルアブレーション前の経食道心エコーによる肺静脈の形態評価の有用性:マルチ スライス CT との比較 大阪厚生年金病院 循環器科 中川 雅美 O22-2Insufficient LA Reverse Remodeling After Successful AF Ablation Associates with Existence of Spontaneous Echo Contrast 筑波大学医学医療系 循環器内科 町野 智子 O22-3老人性全身性アミロイドーシスと家族性ポリニューロパチー患者の左房機能の比較検討 信州大学医学部 循環器内科 南澤 匡俊 O22-4Reliability of Left Atrial Volumes and Functional Indices Measured by Three Dimensional Speckle Tracking Analysis 昭和大学藤が丘病院 循環器内科 江波戸美緒 O22-5Combination of left atrial volume index and thrombogenesis markers strongly predicts left atrial appendage thrombi 山形大学医学部 第一内科 和根崎真大 61 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(口演)23(O23) 4 月 19 日(土) 第 4 会場 10:30 - 11:36 症例 -3 座長:宝田 明(兵庫県立淡路医療センター 内科) 坂田 好美(杏林大学医学部附属病院 第二内科) O23-1心エコーを契機に発見された心臓エキノコックス症の一例 神鋼病院 診療技術部生理検査室 松谷 卓周 O23-23D 心エコーが有用であった心室中部型たこつぼ心筋症の一例:Tl-BMIPP dual scan 心筋シンチとの比較 国家公務員共済組合連合会三宿病院 臨床検査科 斎藤菜々子 O23-3低容量ドブタミン負荷心エコー図法で再現されたたこつぼ型心筋症の一例 JA 秋田厚生連平鹿総合病院臨床検査科 心エコー検査室 丹波 寛子 O23-4心外膜格子状切開(Waffle procedure)が奏功した滲出性収縮性心膜炎の一症例 国立病院機構災害医療センター 循環器内科 近江 哲生 O23-5収縮性心膜炎で発症した悪性末梢神経鞘腫の一例 松江市立病院 中央検査科 広江貴美子 O23-6Stanford A 型急性大動脈解離による心嚢内出血の原因検索に経食道心エコーが有用であった 1 症例 心臓血管センター北海道大野病院 検査部 松原 沙織 一般口演 62 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(ポスター)1(P1) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 心筋症 座長:神吉 秀明(さいたま市立病院 循環器内科) P1-1たこつぼ型心筋症の回復過程に一過性の心尖部肥大型心筋症様の形態を呈した 4 例 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 橋本 剛 P1-2経胸壁心エコー図検査にて経過を観察しえた逆たこつぼ型心筋症の一症例 北関東循環器病院 循環器内科 北條 義明 P1-3僧帽弁逆流を合併したたこつぼ型心筋症の長期予後 川崎医科大学 循環器内科 鍵山 暢之 P1-4タコツボ型心筋障害に左室心尖部血栓を生じ、回復期に脳梗塞を発症した一例 県立宮崎病院 臨床検査科 田中 美与 P1-5急性脊髄炎に非典型的たこつぼ型心筋症を併発した一例 県立宮崎病院 循環器内科 吉村 雄樹 P1-6心エコーで高度の壁運動異常あり冠動脈肺動脈瘻を認め関連を疑われたが、精査にて心サルコイドーシスと 診断された一症例 生長会府中病院 循環器科 吉田 啓子 P1-7心エコー図所見のみ治療戦略に有用であった心サルコイドーシスの一例 沼津市立病院 循環器内科学 甲斐田豊二 P1-8乳癌化学療法におけるタモキシフェンの心筋障害抑制の可能性についての検討 大阪労災病院 循環器内科 井手本明子 一般演題(ポスター)2(P2) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 心機能 座長:大原 貴裕(国立循環器病研究センター 心臓血管内科) 一般ポスター P2-1高血圧治療患者における心血管イベント予測に関する検討 東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部 煙草 敏 P2-2正常患者における年齢・性別ごとの左室拡張機能の指標とその相関関係に関する検討 愛知医科大学 循環器内科 水野 智文 P2-3糖尿病における左室グローバルストレイン低下は左房リザーバー機能低下と関連する 愛媛大学医学部附属病院 検査部 鹿野由香理 P2-4左室充満圧の推定における E/e´ の限界と長軸および円周方向グローバルストレインレートを用いた新たな 指標の検討 北海道大学大学院 循環病態内科学 林 大知 P2-5慢性心不全患者に対する陽圧呼吸療法は左室拡大を介して左室ポンプ機能を改善する 国立病院機構仙台医療センター 循環器内科 篠崎 毅 P2-6Parkinson 病患者における心機能評価:Parkinson 病患者では若年層で拡張能が低下する 秋田県立病院機構秋田県立脳血管研究センター 循環器内科 藤原理佐子 P2-7心房中隔欠損症が側壁側と中隔側の僧帽弁輪移動速度へ及ぼす影響 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 橋本 剛 63 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(ポスター)3(P3) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 右心系 -1 座長:谷 知子(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科) P3-1カラー組織ドプラ法による右室機能評価の有用性 国立病院機構大阪医療センター 循環器内科 古川 哲生 P3-2ファロー四徴症術後患者と肺高血圧症患者における右室機能評価指標の比較 東北大学病院 生理検査センター 藤原 淳子 P3-3高血圧患者における右室拡張能と肥満との関連 自治医科大学 循環器内科 石川 譲治 P3-4TMAD(tissue motion annular displacement)法を用いた右室機能評価の検討 桜橋渡辺病院心臓血管センター 内科 山中 祐子 P3-5どのくらい高度の三尖弁逆流まで連続波ドプラ法による右室 - 右房圧較差の評価は可能か? 北海道大学大学院 保健科学研究院 加賀 早苗 P3-6急性肺血栓塞栓症における McConnell 徴候判定に影響する因子の検討 大阪府済生会野江病院 臨床検査科 波元 智香 P3-7慢性肺血栓塞栓性肺高血圧で肺動脈血栓内膜摘除術後の心エコー図を用いた急性効果判定 東京医科大学 循環器内科 今井 靖子 一般演題(ポスター)4(P4) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 右心系 -2 座長:松村 敬久(高知大学医学部 病態情報診断学講座) P4-1運動負荷心エコーによる肺高血圧の診断 近畿大学医学部 循環器内科 植木 博之 P4-2運動誘発性肺高血圧と身体活動能力の関係 一般ポスター 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 寺本佳楠子 P4-3運動負荷エコーによる心房中隔欠損症の肺高血圧予備能評価 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 伊藤さつき P4-4安静時心エコーで運動負荷心エコーによる肺動脈圧上昇の有無を推測できるか 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 犬塚 斉 P4-5肺高血圧症における心エコー図上の右心系パラメーターについての検討 獨協医科大学 心臓 ・ 血管内科 天野 裕久 P4-6経胸壁心エコー図検査による多断面視覚的評価および定量評価の右室サイズ、右室駆出率推定における有用 性の検討 岡山大学病院 超音波診断センター 武本 梨佳 P4-7肺動脈性肺高血圧症例における 3D Speckle Tracking Strain を用いた右室機能の評価 杏林大学医学部 第二内科 坂田 好美 P4-8右室 Post Systolic Shortening は肺動脈圧を予測し、右室自由壁 dyssynchrony と相関する 長崎大学病院 検査部 古島 早苗 64 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(ポスター)5(P5) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 血管 座長:庄野 弘幸(熊本県済生会みすみ病院) P5-1上行大動脈置換術 2 年後に仮性動脈瘤-肺動脈瘻を生じた1例 県立宮崎病院 臨床検査科 田中 美与 P5-2東日本大地震 検診状況について (南相馬市 )ボランティア活動における深部静脈血栓症 (DVT ) 珠洲市総合病院 検査室 大場 教子 P5-3活動期から寛解期まで観察し得た血管型ベーチェット病の一症例 久留米大学 心臓・血管内科 井形 幸代 P5-4上腕動脈の仮性動脈瘤に対して、穿刺部中枢側高圧圧迫法による効果を血管エコーにて観察した症例 JR 広島鉄道病院 循環器内科 上田 智広 P5-5冠動脈疾患患者における下肢動脈エコーの有用性 大阪掖済会病院 臨床検査科 前田久美子 P5-6コレステロール塞栓症治療中に、大動脈プラークの形態変化をリアルタイム 3D 経食道心エコーで経時的 に観察しえた一例 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科 宮本 敬史 P5-7頸動脈プラークスコアおよび心外膜脂肪厚により冠動脈狭窄が予測できるか? 徳島大学病院 超音波センター 平田有紀奈 一般演題(ポスター)6(P6) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 Structual heart disease の Intervention 座長:室生 卓(みどり病院 心臓弁膜症センター内科) P6-1Mechanism of Transvalvular and Paravalvular Aortic Regurgitation after Transcatheter Aortic Valve Replacement P6-2Impact of Transcatheter Aortic Valve Replacement on the Mitral Valve Apparatus and Mitral Regurgitation 東京ベイ浦安市川医療センター ハートセンター 柴山謙太郎 P6-3経皮的大動脈弁バルーン形成術直前に血圧低下し、術中経食道エコー検査にて経皮的補助人工心肺装置挿入 を決断した症例 四国こどもとおとなの医療センター 循環器内科 宮崎晋一郎 P6-4当院で施行した TAVI 初症例での術中経食道心エコー図の経験 岩手医科大学内科学講座 心血管・腎・内分泌分野 熊谷亜希子 P6-5Amplatzer Septal Occluder を用いた経皮的心房中隔欠損閉鎖術の成績と術前後のエコー所見の変化:外 科手術症例との比較検討 弘前大学大学院医学研究科 循環器内科 山田 雅大 P6-6心腔内エコー(ICE)が経皮経静脈的僧帽弁交連切開術(PTMC)に有用であった一例 弘前大学大学院医学研究科 循環器内科 山田 雅大 P6-7心房中隔二次孔欠損症(ASD)に対する Amplatzer septal occuluder 治療 後の右心房機能~ (ASO ) 3D Area Strain 法による評価 長野県立こども病院 エコーセンター 齊川 祐子 65 一般ポスター 東京ベイ浦安市川医療センター ハートセンター 柴山謙太郎 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(ポスター)7(P7) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 スペックルトラッキング 座長:若見 和明(名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科学) P7-1AMI 後の心筋 Viability の評価における automated global longitudinal strain 計測の有用性- MRI に よる LGE 及び MVO との比較検討 渡邉高記念会西宮渡辺心臓・血管センター 検査科 辻川 恵美 P7-2左室心基部-心尖部の伸展運動の検討 健常者と高血圧性肥大心の比較 兵庫県立柏原病院 内科 田中 健雄 P7-3Comparison of cardiac rotation measured by Doppler speckle tracking with an optical twist device in a pig model Department of Pediatrics, Stollery Children’s Hospital, Edmonton, Alberta, Canada 稲毛 章郎 P7-43次元スペックルトラッキング心エコーによる strain rate を用いた高血圧患者の左室収縮能の評価 岐阜県総合医療センター 臨床検査科 佐伯 茉紀 P7-5肺高血圧モデルラットにおける右室ストレインイメージングの有用性 東京大学医学部附属病院 検査部 岡野 智子 P7-6新規 DPP-4 阻害薬リナグリプチン投与例における心機能変化に関する検討 珠洲市総合病院 内科 寺本 了太 P7-7コントラストエコー法による鬱血性心不全症例での腎循環評価の試み 国立病院機構函館病院 循環器科 小室 薫 P7-8健常人における Post-Systolic Shortening ~ JUSTICE study からの検討~ 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 大西 俊成 一般演題(ポスター)8(P8) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 腫瘍、血栓 -1 座長:安部 晴彦(大阪医療センター 臨床研究センター) 一般ポスター P8-1右房内に多発性石灰化腫瘤を認めた一例 旭川医科大学病院 臨床検査・輸血部 柳谷 貴子 P8-2心エコー図にて両心室内に異常構造物を認めたうっ血性心不全の一例 関西労災病院 循環器内科 須永 晃弘 P8-3心房内腫瘍との鑑別が必要であった右房内血栓症の一例 久留米大学 心臓・血管内科 福井 大介 P8-4心臓原発滑膜肉腫と思われた右房内腫瘍の一例 鹿児島大学病院 心臓血管・高血圧内科 堀添 善尚 P8-5右心室に達する血管内平滑筋腫の一例 琉球大学大学院医学研究科 循環器・腎臓・神経内科学講座 當間裕一郎 P8-6ネフローゼ症候群に合併した右室内血栓の一例 秋田大学医学部大学院 循環器内科学 寺田 舞 P8-7巨大な血管腫と冠動脈瘤における心エコー図所見の対比的検討 兵庫県立姫路循環器病センター 検査・放射線部 武田 祥子 66 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(ポスター)9(P9) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 症例 (心機能 ) 座長:安田 久代(熊本大学 中央検査部) P9-1右室心尖部ペーシングによる dyssynchrony、左室収縮障害が両心室ペーシングへのアップグレードで改 善した一例 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 循環器内科 高井 学 P9-2左室局所壁運動指標と局所ストレイン値の関連性について:心臓 MRI における feature tracking analysis を用いた検討 産業医科大学 第二内科 芳谷 英俊 P9-3リアルタイム 3D 経胸壁心エコーにより、急性心筋梗塞後心室中隔穿孔の形態をより詳細に評価しえた一例 防衛医科大学校 循環器内科 伯野 大彦 P9-4心外膜下脂肪は左室拡張障害や潜在的な収縮不全と関連する 岡山大学病院 超音波診断センター 坂本 瞳 P9-5心臓再同期療法術後早期に I 音の改善を認めた慢性心不全例 愛媛大学大学院 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座 河野 珠美 P9-6両室ペーシング導入後に僧帽弁腱索断裂による急性心不全を発症し弁置換術を要した虚血性心筋症の一例 金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科 津田 豊暢 P9-7心エコー図を用いた強皮症患者の無症候性左室機能障害評価 東京女子医科大学病院 中央検査部 波多野由佳 一般演題(ポスター)10(P10) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 症例 (肥大型心筋症 ) 座長:安 隆則(獨協医科大学日光医療センター 循環器内科) P10-135 年間に渡り持続している原因不明の心膜液貯留の一例 一般ポスター 宮崎大学医学部附属病院 第一内科 福田 智子 P10-2心房中隔欠損症と発作性心房細動を合併した閉塞性肥大型心筋症の一例 島根大学医学部 内科学第四 中村 琢 P10-3心エコー図検査が有用であった閉塞性肥大型心筋症様の病態を併発したたこつぼ心筋症の一例 平塚共済病院 循環器科 立花 恵子 P10-4右冠動脈入口部が剥がれた重症の若年大動脈解離に対し Yacoub 手術に成功し救命しえた一例 前橋赤十字病院 臨床検査科部 有馬ひとみ P10-5心外膜下心室瘤を伴った心サルコイドーシスの一例 明理会中央総合病院 臨床検査部 今井 裕 P10-6心膜切除により左室拡張障害の著明な改善を心エコーで観察し得た収縮性心膜炎の一例 石川県立中央病院 医療技術部検査室 懸高 友美 P10-7肥大型心筋症を伴わない収縮期僧帽弁前方運動を有する患者の臨床像 東京女子医科大学病院 循環器内科 植松 庄子 67 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(ポスター)11(P11) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 症例(弁膜症 / その他 ) 座長:宇都宮俊徳(大町町立病院) P11-1重度の僧帽弁閉鎖不全に合併した不整脈源性右室心筋症の 1 例 君津中央病院 循環器科 時政 聡 P11-2外傷性三尖弁閉鎖不全症の原因検索に 3 次元経胸壁心エコー法が有用であった一例 山口大学医学部附属病院 超音波センター 藤井 彩乃 P11-3AS の重症度診断に苦慮した low flow low gradient severe AS with preserved ejection fraction の 一例 草加市立病院 循環器内科 石丸 剛 P11-4特異な形態を示した僧帽弁副組織の 1 例 金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科 森 三佳 P11-53D スペックルトラッキング法を用いた大動脈弁狭窄症患者における Post-Systolic Shortening の検討 島根大学医学部附属病院 検査部 山口 一人 P11-6大動脈弁狭窄に肺動脈性肺高血圧症を併発し、失神を繰り返した透析患者の一例 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 循環器内科 高井 学 P11-7東日本大地震における継続的な深部静脈血栓症(DVT)検診活動状況について 珠洲市総合病院 検査室 大場 教子 P11-8胸部外傷後の左室心筋解離が疑われた一例 高知大学医学部附属病院 検査部 平川 大悟 一般演題(ポスター)12(P12) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 症例 (心房細動 ) 座長:宮坂 陽子(関西医科大学 第2内科・循環器内科) 一般ポスター P12-1心房細動例の塞栓症低-中等度血栓塞栓症リスク例における経食道心エコー図所見の経時的変化について 富山大学附属病院 第二内科 稲尾 杏子 P12-2Af に起因する左房拡大による僧帽弁閉鎖不全症例の特徴と弁輪縫縮術の短期成績 大阪市立総合医療センター 心臓血管外科 高橋 洋介 P12-3心房細動に対する肺静脈隔離術後の左房リバースリモデリング評価:3D 心エコーを用いた検討 愛媛大学大学院 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座 藤本 香織 P12-4発作性心房細動の有病を心エコー図法で指摘できるか ―心機能良好で E/A 高値の高齢者は高率に発作性 心房細動を認める― 川崎医科大学 総合内科学 3 秋山 真樹 P12-5経胸壁心エコーと造影 CT における左房容積計測の比較検討 天理よろづ相談所病院 臨床検査部 松谷 勇人 P12-6発作性心房細動症例における洞調律時の左房ストレインと心原性脳塞栓の関係 山形大学医学部附属病院 循環器内科 山浦 玄斎 P12-7頻拍性心不全患者に対する肺静脈隔離術により心機能が改善した一例 富永病院 循環器内科 桑木 恒 68 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(ポスター)13(P13) 4 月 17 日(木) ポスター会場 13:55 - 14:59 症例 (肥大型心筋症 / その他 ) 座長:川端 正明(大阪労災病院 救急部) P13-1収縮中期に逆流波を認めた左室中部閉塞性肥大型心筋症の一例 熊本再春荘病院 循環器科 三角 郁夫 P13-2経胸壁心エコー左室 2 次元 Global Strain を用いた心筋線維化群の検出、320 列 CT にて冠動脈狭窄を持 たない肥大型心筋症における検討 千葉大学大学院医学研究院 循環器内科学 小澤 公哉 P13-37 年の経過で顕性化した心尖部肥大型心筋症の 1 例 宮崎江南病院 検査部 黒木 恵美 P13-4重症の僧帽弁逆流が生じていたが、左室流出路の圧較差軽減に伴い逆流の改善が得られた閉塞性肥大型心筋 症の一例 厚生連高岡病院 循環器科 八木麻里子 P13-5S 字状中隔による左室流出路狭窄がアテノロールとコハク酸シベンゾリン内服で著明に改善した 1 例 前橋赤十字病院 心臓血管内科 反町 秀美 P13-6左室補助人工心臓手術後の合併症や患者の病態把握に心エコーが有用であった症例 順天堂大学医学部付属病院 ハートセンター 加藤 倫子 P13-7VSD と鑑別が困難であったバルサルバ洞動脈瘤破裂の一例 愛知医科大学 循環器内科 中野 雄介 P13-8他院で動脈管開存症の診断で手術した後、連続性雑音を聴取した一症例 獨協医科大学病院 救命救急センター 魚住 翠子 一般ポスター 69 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(ポスター)14(P14) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 弁膜症(大動脈弁) 座長:長谷川拓也(国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科心不全科) P14-1超高齢化社会における 80 歳以上の大動脈弁狭窄の予後 島根大学医学部附属病院 循環器内科 Shuai Liang P14-2重症大動脈弁狭窄症の心不全予測因子に関する検討 関西医科大学 第二内科 諏訪 惠信 P14-3高度大動脈弁狭窄における生体弁置換術前後の左室心筋重量 ―大動脈弁逆流の有無による比較― 岩手医科大学附属病院 循環動態検査室 下町 幸子 P14-4本邦における大動脈弁狭窄症の症状別予後調査:多施設共同研究 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 出雲 昌樹 P14-5透析患者における大動脈弁狭窄症進行度の規定因子について 自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器科 和田 浩 P14-6大動脈一尖弁の一手術例 兵庫県立淡路医療センター 検査・放射線部 土居 知子 P14-74 年間で進行した大動脈弁位生体弁機能不全の一若年女性例 山形県酒田市病院機構日本海総合病院 循環器内科 豊島 拓 P14-8大動脈弁狭窄症患者における diastolic wall strain (DWS )の意義 藤田保健衛生大学医学部 循環器内科学 椎野 憲二 一般演題(ポスター)15(P15) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 弁膜症(僧帽弁 / その他) 座長:恒任 章(長崎大学病院 循環器内科) P15-1僧帽弁形成術後に溶血尿をきたした 1 例 一般ポスター 高知医療センター医療技術局 画像検査科 谷内 亮水 P15-2脳梗塞を契機に診断された僧帽弁機械弁血栓症の一例 国立病院機構高崎総合医療センター 循環器内科 福田 延昭 P15-33D Sphericity Index は僧帽弁逆流の手術至適時期を評価する指標になるか 名古屋大学 心臓外科 蒔苗 永 P15-4大動脈弁狭窄の診療における弁 - 動脈インピーダンスの意義:左室肥大との関連について 北海道大学病院 検査・輸血部 市川 絢子 P15-5大動脈弁狭窄症における僧房弁逆流と肺高血圧との関係 河内総合病院 心臓血管センター 林 英宰 P15-6心エコー図による大動脈弁狭窄症の重症度と血清コレステロール値との関連性 弘前大学大学院医学研究科 循環呼吸腎臓内科学講座 藤井 裕子 P15-7閉塞性肥大型心筋症に合併した僧房弁弁瘤を伴う僧房弁閉鎖不全症の一例 熊本中央病院 循環器科 西嶋 方展 P15-8心房細動に伴う僧帽弁逆流症における僧帽弁の形態評価:3 次元経食道心エコー図検査を用いた検討 春秋会城山病院 心臓血管センター 伊東 風童 70 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(ポスター)16(P16) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 弁膜症(その他) 座長:赤坂 和美(旭川医科大学病院 臨床検査・輸血部) P16-1ハートチームにおける弁膜症術前経食道心エコー図検査の意義 藤田保健衛生大学医学部 循環器内科学 椎野 憲二 P16-2高血圧症における弁狭窄、弁逆流の重症度評価の検討 和歌山県医師会 岩田医院 岩田 光司 P16-3心室中隔ペーシングにより流出路狭窄と僧帽弁逆流が劇的に改善した完全房室ブロックの一例 宮崎市郡医師会病院心臓病センター 循環器内科 西野 峻 P16-4リアルタイム三次元経胸壁心エコー図で観察しえた感染性僧帽弁瘤穿孔の一例 榊原記念病院 臨床検査科 江沼小百合 P16-53 次元経食道心エコー図 が術式およびパッチサイズ決定に有用であった僧帽弁形成術後重症三尖 (3DTEE ) 弁閉鎖不全症の一例 国立病院機構岩国医療センター 循環器内科 田中屋真智子 P16-6高度弁膜症における BNP 値の多様性の検討 筑波大学附属病院 循環器内科 中務 智文 P16-7心不全発症を契機に診断された混合性結合組織病に弁の変性による連合弁膜症を合併した一例 千葉大学医学部附属病院 循環器内科 杉浦 淳史 P16-8術前に 3D 経食道心エコー図を用いて右冠尖の ruptured fenestration と診断し大動脈弁形成術を施行し た高度大動脈弁逆流症の一例 榊原記念病院 循環器内科 太田 光彦 一般演題(ポスター)17(P17) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 感染症心内膜炎 座長:太田 剛弘(高の原中央病院 かんさいハートセンター) 一般ポスター P17-1保存的加療を行った感染性心内膜炎の治療過程を経胸壁心エコーにて詳細に観察し得た 1 症例 珠洲市総合病院 検査室 薮 和恵 P17-2血液培養陰性であった大動脈二尖弁、狭窄症に合併した感染性心内膜炎の一例 東京医科大学 循環器内科 黒羽根彩子 P17-3感染性心内膜炎を契機に右左シャントを介し、難治性低酸素血症を来した心室中隔欠損症の一例 関西医科大学 第二内科 前羽 宏史 P17-4感染性心内膜炎における疣腫の特徴- Duke 診断基準陰性群との比較 厚生連高岡病院 臨床検査部 金森 隆樹 P17-5経食道心エコー図にてファロー四徴症心内修復術後遠隔期の肺動脈弁置換術後感染性心内膜炎による疣贅を 描出しえた 2 症例 榊原記念病院 小児循環器科 吉敷香菜子 P17-6Abiotrophia defectiva を原因菌とする感染性心内膜炎の一例 横浜市立大学附属市民総合医療センター 臨床検査部 平林美智子 P17-7僧帽弁前尖の収縮期前方運動が原因と考えられた感染性心内膜炎を合併した閉塞性肥大型心筋症の 1 例 獨協医科大学越谷病院 循環器内科 小林さゆき 71 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(ポスター)18(P18) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 左房、心房細動 座長:松村 誠(埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科) P18-1持続性心房細動に対するアブレーション治療後の早期左心房リバースリモデリングと心房細動再発との関係 国家公務員共済組合連合会横須賀共済病院 中央検査科 南波 雄太 P18-2経食道心エコー検査のカテーテルアブレーションの治療戦略に及ぼす影響 大阪厚生年金病院 中央検査室 森 智美 P18-3持続性心房細動アブレーション治療後の心房細動再発と右心房径との関係 国家公務員共済組合連合会横須賀共済病院 中央検査科 池添 友紀 P18-4左房側壁 strain は心房細動に対する肺静脈隔離術後の再発予測に有用である:heterogeneous population における検討 慶應義塾大学医学部 循環器内科 安田理紗子 P18-5慢性心房細動に対する MAZE 手術後の洞調律維持と術前左心耳流速度の検討 福島県立医科大学 循環器・血液内科学講座 小林 淳 P18-6持続性心房細動から洞調律へ復帰したことによる左房機能の改善を左房ストレイン・ストレインレートで評 価し得た 1 例 一宮西病院 循環器内科 田中 伸享 P18-7心房細動アブレーション後の再発予測における左房機能評価の有用性: 3 次元スペックルトラッキング法 による検討 札幌医科大学 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座 望月 敦史 一般演題(ポスター)19(P19) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 先天性心疾患 -1 座長:川井 順一(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部) P19-1肺高血圧を伴った成人心房中隔欠損症例におけるカテーテル治療前後の右心機能評価 一般ポスター 岡山大学病院 超音波診断センター 渡辺 修久 P19-2経皮的心房中隔欠損閉鎖術後の左室、右室のリモデリング過程:経胸壁三次元心エコー図をもちいた検討 京都府立医科大学付属病院 臨床検査部 木越紗和子 P19-3成人期に達した修正大血管転移症 6 症例 自治医科大学 循環器内科 市田 勝 P19-4Double inlet left ventricule を指摘された 40 歳代男性の一例 藤田保健衛生大学医学部 循環器内科学 高桑 蓉子 P19-5健診にて心拡大を指摘され、経胸壁心エコー図検査を契機に左側相同、多脾症候群の診断に至った一例 阪和記念病院 心臓血管センター 今井 道生 P19-6健診を契機に診断、高齢発症した大動脈弁下膜性狭窄の一例 宮崎大学医学部 検査部 武田恵美子 P19-8僧帽弁上狭窄輪切除後約 30 年後にパラシュート僧帽弁合併が判明し、リアルタイム 3D 経食道心エコー が診断に有用であった一例 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科 宮本 敬史 72 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(ポスター)20(P20) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 先天性心疾患 -2 座長:浅沼 俊彦(大阪大学医学系研究科 先進心血管治療学寄附講座) P20-1ファロー四徴症の長期予後および心エコー図所見 天理よろづ相談所病院 循環器内科 高橋 佑典 P20-2心室中隔欠損症と肺動脈弁狭窄を合併した修正大血管転位症の肺動脈弁狭窄進行に対しバルーン弁形成術を 行った 1 剖検例 北播磨総合医療センター 循環器科 平山 園子 P20-37回目の脳梗塞で入院した、心房中隔瘤の1例 君津中央病院 生理検査部 小野 和重 P20-4アドリアマイシン心筋障害による心不全改善に伴い肺体血流比が変化した心房中隔欠損症の一例 福島県立医科大学 循環器・血液内科学講座 滝口 舞 P20-5卵円孔開存の診断における 3D 経食道心臓超音波検査の有用性について 広島市立広島市民病院 循環器内科 臺 和興 P20-6心房中隔瘤に心房中隔欠損を認めた二症例 JR 東京総合病院 循環器内科 浅川 雅子 一般演題(ポスター)21(P21) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 小児(胎児 / その他) 座長:小山耕太郎(岩手医科大学附属病院循環器医療センター 循環器小児科) P21-1糖尿病母体児の心機能の検討 自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科 丸山 麻美 P21-2胎児心エコーが有用であった先天性右室憩室の一例 岐阜県総合医療センター小児医療センター 小児循環器内科 面家健太郎 一般ポスター P21-3Tracking of mitral annular displacement を用いた先天性心疾患における左室収縮能の評価 北里大学医学部 小児科 木村 純人 P21-4当院における胎児心臓超音波検査の正診率の検討 長野県立こども病院 循環器小児科 小田中 豊 P21-5先天性心疾患に対する心エコーによる左房評価 浜松医科大学 小児科 岩島 覚 P21-6福山型筋ジストロフィー患者の心機能評価 ―β遮断薬の効果について― 東京女子医科大学病院 循環器小児科 森 浩輝 P21-7胎児重症大動脈弁狭窄症の左心室機能評価について 東京女子医科大学病院 循環器小児科 石井 徹子 73 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(ポスター)22(P22) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 腫瘍、血栓 -2 座長:皆川 太郎(みながわ内科・循環器クリニック) P22-1僧帽弁狭窄兼逆流症を生じた左房内悪性腫瘍の一例 関西労災病院 循環器内科 神田 貴史 P22-2僧帽弁輪から連続する高度な石灰化を伴う腫瘤性病変の一例 順天堂大学医学部付属順天堂医院 循環器内科 圓山 雅己 P22-3診断に迷った左心耳内腫瘤の1例 厚生連高岡病院 臨床検査部 上野 剛志 P22-4左房内浸潤を呈した縦隔原発悪性線維性組織球腫の一例 横浜市立大学附属市民総合医療センター 臨床検査部 渡邊 美香 P22-5発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション焼灼部位の腫瘍により左房内腫瘍摘出術左房メイズ手術 に治療法変更された一症例 宮崎市郡医師会病院 検査室 日高 忠良 P22-6左房粘液腫症例にみる心エコー図所見の特徴:病理所見との比較 札幌ハートセンター札幌心臓血管クリニック 循環器内科 古堅あずさ P22-7左室内に発生した脂肪腫の一例 金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科 前川 直人 P22-8心不全に徐脈頻脈症候群を合併し経食道心エコーで心房筋肥大を認めた一例 日本医科大学付属病院 循環器内科 吉永 綾 一般演題(ポスター)23(P23) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 3D エコー 座長:丸尾 健(倉敷中央病院 循環器内科) 一般ポスター P23-1肥大型心筋症では経胸壁心エコー 2、3 次元 Global Longitudinal Strain が両心室で低下する 千葉大学医学部付属病院 検査部 鎌田 知子 P23-23次元心エコー図法が診断に有用であった僧帽弁逸脱症を伴う僧帽弁副組織の1例 自衛隊中央病院 診療技術部 臨床検査課 生理班 大海 延也 P23-3僧帽弁逸脱おける僧帽弁輪拡大の原因に関する検討 倉敷中央病院 臨床検査科 横田佳代子 P23-4心不全患者におけるリアルタイム3次元心エコー図法を用いた心機能評価の有用性 心筋シンチグラムとの 比較による検討 北里大学北里研究所病院 循環器内科 島田 恵 P23-5右室容量計測におけるシングルビートおよびマルチビート構築 full volume 3D エコーの有用性の検討 ‐ MRI との比較 渡邉高記念会西宮渡辺心臓・血管センター 検査科 松岡 京子 74 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 一般演題(ポスター)24(P24) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 症例 (虚血性心疾患 ) 座長:奥田 真一(山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学) P24-1対角枝を責任病変とした限局性の急性心筋梗塞により、前乳頭筋断裂および重症僧帽弁逆流を来たした一例 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 循環器科 金澤 晃子 P24-2急性冠症候群 (ACS )検出における組織ドプラ心エコー法およびスペックルトラッキング心エコー法との有 効性比較検討 関西労災病院 循環器内科 渡部 徹也 P24-3心筋梗塞の治療中に胸壁エコーにて診断した左冠動脈回旋枝-左室瘻の一例 島根大学医学部附属病院 循環器内科 松田 紘治 P24-4左室自由壁破裂術後慢性期に巨大左室仮性瘤を認めた 1 例 愛媛県立中央病院循環器病センター 循環器内科 高橋 龍徳 P24-5冠動脈慢性完全閉塞病変に対する経皮的冠動脈形成術による左室機能改善のメカニズム: 桜橋渡辺病院 検査科 関家季実子 P24-6検診で偶然発見された冠静脈 - 肺動脈瘻の一例 国立病院機構高崎総合医療センター 循環器内科 岩瀬 晴香 P24-7三心房心と診断されていた 2 型部分肺静脈還流異常症 (PAPVR )に伴う冠静脈洞瘤の 1 症例 自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科 野村 陽平 P24-8TRPG/TVIratio で追った特発性肺動脈性肺高血圧症の一例 富永病院 臨床検査科 北村 愛 一般演題(ポスター)25(P25) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 症例 (先天性心疾患 ) 座長:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科) 一般ポスター P25-1先天性心疾患術後症例における Epicardial movement index 値(LV stiffness 指標) 福岡市立こども病院 循環器科 石川 友一 P25-2拘束性血行動態を呈する二腔心修復術先天性心疾患の心エコードプラ所見 国立循環器病研究センター 臨床検査部 幸山佳津美 P25-3動脈管開存症に対するカテーテル治療後の大動脈弁閉鎖不全について 東京女子医科大学病院 中央検査部 高野 一成 P25-4パラシュート僧帽弁に類似した非対称性弁口で、複数の乳頭筋を持つ先天性僧帽弁異常の一例 東京医科大学八王子医療センター 中央検査部生理検査室 岡田 真弓 P25-5心臓再同期療法の前後の評価に心エコーが有用であった非左脚ブロックの小児の 1 例 富山大学附属病院 検査部生理検査室 内山 賢子 P25-6小児期の右房・右室径の正常値の検討とその有用性 東京女子医科大学病院 中央検査部 神田かおり P25-7先天性胆道閉鎖症術後の門脈肺高血圧症の二例 藤田保健衛生大学医学部 循環器内科学 高田佳代子 75 第25回日本心エコー図学会学術集会 一般演題(ポスター)26(P26) 4 月 18 日(金) ポスター会場 14:05 - 15:09 症例 (感染性心内膜炎 / その他 ) 座長:加賀 早苗(北海道大学大学院 保健科学研究院) P26-1感染性心内膜炎との鑑別が困難であった高度弁尖肥厚を伴う僧帽弁逸脱症の一例 石川県済生会金沢病院 循環器内科 大江康太郎 P26-2経胸壁心エコーで疣贅を検出できた非細菌性血栓性心内膜炎の 1 例 JA 愛知厚生連海南病院 臨床検査技術科 柴田真紀子 P26-3肺炎球菌性髄膜炎及び関節炎に対する抗生剤加療中に、感染性心内膜炎による大動脈弁穿孔を起こした 1 例 島根大学医学部 内科学第四 岡田 大司 P26-4感染性心内膜炎による急性大動脈弁逆流をきたし、拡張期僧帽弁逆流を認めた若年男性の一例 和歌山県立医科大学 循環器内科 野澤 有紀 P26-5感染性心内膜炎を合併した心房中隔欠損症の一例 秋田大学大学院医学系研究科 循環器内科学 新保 麻衣 P26-6肺動脈本幹の巨大血栓による血栓塞栓性肺高血圧症の1例 奈良県立医科大学 中央臨床検査部 水野 麗子 P26-7脳梗塞と多発性脳動脈瘤を契機に発見された左房粘液腫の 1 例 川崎医科大学 循環器内科 今井孝一郎 P26-8繰り返す脳虚血発作にて診断された左房内腫瘍の一例 金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科 森 雅之 一般ポスター 76 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Image of the meeting Finalist 紹介 4 月 18 日(金) 第 2 会場 17:20 - 17:30 Finalist (静止画像 ) 1.肝機能障害を主訴に受診し、左室流入血速波形の呼吸性変動から収縮性心膜炎と診断した一例 2.initimal flap の壁に開く entry hole から望む暗闇は、false lumen。 3.Good luck from left atrial appendage!! 4.拡張期奇異性血流 5.巨大左房瘤 6.心室中隔 get! 7.破壊された Aortic-Mitral Curtain 8.巨大な冠動脈瘤 9.バルサルバ負荷による左室流入血流速波形の変化 Example case 10.心尖部に認めた高輝度腫瘤~血管筋脂肪腫の 1 例~ 11.かくれミッキー 12.冠動脈バイパス術8年後に発生した chronic expanding hematoma Finalist (動画像 ) 1.裂けた左室心筋 2.満員電車を想像させる多発性、可動性、左房内血栓 3.ピンポイントで左冠動脈主幹部に吸い込まれるひも状の vegetation 4.右房内に人魂が !! 5.Loeffler’ s endocarditis 6.右室に顔を出す巨大腫瘤 7.恐怖の猫パンチ 8.難治性心室細動に対して経皮的人工心肺補助管理翌日に形成された左室内巨大血栓 9.3次元経食道心エコー法による僧帽弁位人工弁周囲逆流の診断 10.ザ・コラテラル 11.単心房・二心室:房室弁の形態評価に RT3D-TTE が有用であった症例 一般ポスター 12.Jellyfish heart(くらげ心) 13.踊る人工血管 14.解離?した左室心筋 15.世界に一つだけの花 16.心臓の住人 77 第25回日本心エコー図学会学術集会 ランチョンセミナー 1(LS1) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 12:05 - 12:55 三尖弁 どう診る?どう治す? 座長:田内 潤(大阪労災病院) LS1 大阪市立総合医療センター 循環器センター 柴田 利彦 東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器科ハートセンター 渡辺 弘之 共催:セント・ジュード・メディカル株式会社 ランチョンセミナー 2(LS2) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 12:05 - 12:55 座長:皆越 眞一(独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター) LS2心不全におけるβ遮断薬治療 基本と応用 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 坂田 泰史 共催:田辺三菱製薬株式会社 ランチョンセミナー 3(LS3) 4 月 17 日(木) 第 3 会場 12:05 - 12:55 座長:増山 理(兵庫医科大学 内科学 循環器内科) LS3心不全マネージメントにおける利尿薬の現在地:トルバプタンの活用法を考える 三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学 土肥 薫 共催:大塚製薬株式会社 ランチョンセミナー 4(LS4) 4 月 17 日(木) 第 4 会場 12:05 - 12:55 ここまで進化した“オートマ”計測と3D 座長:大手 信之(名古屋市立大学 心臓・腎高血圧内科学) LS4 共催セミナー 筑波大学 臨床検査医学 石津 智子 筑波大学附属病院 検査部 中島 英樹 共催:シーメンス・ジャパン株式会社 78 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ランチョンセミナー 5(LS5) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 12:15 - 13:05 座長:森 一博(徳島県立中央病院 小児科) LS5Structure Heart Disease インターベンション時代の心エコー図の役割 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 大西 俊成 共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン ランチョンセミナー 6(LS6) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 12:15 - 13:05 座長:尾辻 豊(産業医科大学 循環器内科) LS6Selection of Patients for Transcatheter Aortic Valve Implantation: Utility of Echocardiography Invasive and Valvular Echocardiography, Columbia University Medical Center / New York-Presbyterian Hospital, New York, USA Hahn Rebecca 共催:エドワーズライフサイエンス株式会社 ランチョンセミナー 7(LS7) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 12:15 - 13:05 座長:川合 宏哉(兵庫県立姫路循環器病センター) LS7メガトライアルを降圧薬の選択に活かす 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学 伊藤 浩 共催:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 ランチョンセミナー 8(LS8) 4 月 18 日(金) 第 4 会場 12:15 - 13:05 座長:荒木 勉(石川県済生会金沢病院 内科) LS8インクレチン関連薬の抗動脈硬化作用 共催セミナー 昭和大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科学部門 平野 勉 共催:MSD 株式会社 79 第25回日本心エコー図学会学術集会 ランチョンセミナー 9(LS9) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 11:45 - 12:35 日本製 3D TEE と VFM 座長:竹中 克(日本大学板橋病院 循環器内科) LS93D TEE を使いこなす -外科的立場から- 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センタ-副院長 心臓外科 許 俊鋭 LS9左心耳の血流に対する VFM の可能性 筑波大学 医学医療系 循環器内科 瀬尾 由広 LS9正常な血行動態とは? -多施設共同研究による VFM の正常値- 心臓血管研究所付属病院 循環器内科 上嶋 徳久 共催:日立アロカメディカル株式会社 ランチョンセミナー 10(LS10) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 11:45 - 12:35 座長:吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) LS10心房細動合併 PCI 患者への抗血栓療法の最適化を考える ~どうする?抗凝固と DAPT ~ 京都大学医学部附属病院循環器内科 静田 聡 共催:バイエル薬品株式会社 ランチョンセミナー 11(LS11) 4 月 19 日(土) 第 3 会場 11:45 - 12:35 座長:高野 真澄(福島県立医科大学 集中治療部) LS11実践運動負荷心エコー ~運動負荷心エコーのやり方、考え方~ 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 鈴木 健吾 共催:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 ランチョンセミナー 12(LS12) 4 月 19 日(土) 第 4 会場 11:45 - 12:35 共催セミナー 座長:坂田 泰史(大阪大学 大学院医学系研究科 循環器内科学) 戸出 浩之(群馬県立心臓血管センター 技術部) LS12非侵襲的3次元時相マッピングの幕開け 筑波大学 臨床検査医学 石津 智子 共催:東芝メディカルシステムズ株式会社 80 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography イブニングセミナー 1(EvS1) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 17:40 - 18:30 座長:赤石 誠(北里大学北里研究所病院 循環器内科) EvS1心房細動の抗血栓凝固療法におけるパラダイムシフト 東邦大学医学部 内科学講座循環器内科学分野 池田 隆徳 共催:ブリストル ・ マイヤーズ株式会社/ファイザー株式会社 イブニングセミナー 2(EvS2) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 17:40 - 18:30 座長:赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科) EvS2冠動脈疾患予防のための脂質管理 金沢大学医薬保健研究域医学系臓器機能制御学 金沢大学附属病院循環器内科 川尻 剛照 共催:アストラゼネカ株式会社/塩野義製薬株式会社 イブニングセミナー 3(EvS3) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 17:40 - 18:30 座長:三神 大世(北海道大学大学院 保健科学研究院 病態解析学分野) EvS3虚血性心疾患の画像診断における Fractional flow reserve の役割 心臓血管センター 金沢循環器病院 循環器内科 寺井 英伸 共催:第一三共株式会社 イブニングセミナー 4(EvS4) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 17:40 - 18:30 座長:田邊 一明(島根大学医学部内科学講座 内科学第四) EvS4慢性心不全におけるループ利尿薬の使い方 共催セミナー 大阪大学大学院保健学専攻機能診断科学 中谷 敏 共催:株式会社三和化学研究所 81 第25回日本心エコー図学会学術集会 イブニングセミナー 5(EvS5) 4 月 18 日(金) 第 4 会場 17:40 - 18:30 座長:山本 一博(鳥取大学 医学部 病態情報内科学) EvS5超音波診断法による透析患者の血管系合併症の評価 三愛病院 循環器内科 那須 雅孝 共催:興和創薬株式会社 共催セミナー 82 抄録 Abstracts(1) 仁村レクチャー 会長講演 Invited Lecture International Award Session The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 4 月 18 日(金)第 1 会場/ 10:10 - 10:40 仁村レクチャー エコーの醍醐味 別府 慎太郎 大阪みなと中央病院 心エコー図が臨床の場に登場して既に半世紀を超えるというのに、その輝きを失わないのは、何故だろう。患者の 検査でプローブを握っている時間を忘れてしまうのは、何故だろう。 解剖から、心臓の形や大きさはよく分かります。解剖学はすごく大切な学問です。しかし、解剖学はあくまでも停 止した状態での情報です。心臓の息づかいは見えない。生理学、病態生理学はその息づかいを解明分析する手段です が、形には無頓着です。なので、心臓の状態をイメージするのが難しいです。心エコーはその両者の良い所取りがで きる検査法です。しかも「今」の状態が、そのまま分かります。心臓の動きが、息づかいがヒシヒシと分かる。エコー で見れば、中隔がピクンと動く、僧帽弁血流が速くなるのがよく分かる。それがどんな意味があるのかを考えるのは 楽しい。恋人との電話の中で、相手の声の調子がいつもと違うと、 「あっ、何かあったのかな」と感じ取れるセンス。 相手が恋人だからこそ分かる変化。これができるようになると、人生は豊かになるでしょう。エコーも丁度そんな感じ。 エコーを検査していて、一見なんでもない所見の中に、 「あっ、何かおかしい」と感じられるとエコーは無限に楽しい。 このレクチャーでは、恋人の息づかいをどう見ればよいのか、息づかいの違いはどういうことなのか、そんな話が できればと思っています。 85 特別講演 座長:竹中 克(日本大学板橋病院 循環器内科) 第25回日本心エコー図学会学術集会 4 月 18 日(金)第 1 会場/ 8:50 - 9:20 会長講演 特別講演 座長:赤石 誠(北里大学北里研究所病院 循環器内科) 心血管エコー検査と遺伝子異常 山岸 正和 金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科 心血管エコー図検査の対象として重要な疾患群に、遺伝子異常を伴う心血管疾患が挙げられる。肥大型心筋症、一 部の拡張型心筋症や拘束型心筋症、QT延長症候群そしてマルファン症候群などが代表例である。また、家族性高コ レステロール血症を基盤とする動脈硬化性疾患についても心血管エコー検査が重要な役割を果たす。具体例を挙げる と、心肥大を評価する際には、サルコメア遺伝子(ミオシン重鎖、ミオシン結合タンパク、トロポニンI,Tなど) との関連を考慮しながら検索を進めることが大切である。トロポニンI関連遺伝子異常を伴う場合には高頻度で拡張 相肥大型心筋症への移行が認められる。これらの遺伝子異常は単一の病型に留まらず、時には拘束型心筋症として認 識されるので注意が必要である。QT延長症例では拡張障害を認めることがあるが、肥大型心筋症の発症早期の心電 図変化であることもあり、心血管エコー図検査での詳細な壁肥厚、運動に関する観察が肝要である。虚血性心疾患や 末梢血管疾患の背景としての高コレステロール血症の関与は疾患予後を考える上で大変重要である。心室壁運動異常 に血管病変(頸部、末梢)を伴う場合には、全身性動脈硬化性疾患の存在、とりわけ家族性高コレステロール血症の などの存在を考慮することで、診断への寄与が大きい。 参考文献 1. Fujita T, Fujino N, Anan R, Tei C, Kubo T, Doi Y, Kinugawa S, Tsutsui H, Kobayashi S, Yano M, Asakura, M, Kitakaze M, Komuro I, Konno T, Hayashi, K, Kawashiri M, Ino H, Yamagishi M. Sarcomere Gene Mutations Are Associated With Increased Cardiovascular Events in Left Ventricular Hypertrophy. Results From Multicenter Registration in Japan. JACC: Heart Failure 2013;1: 459-66 2. Kawashiri MA, Hayashi K, Konno T, Fujino N, Ino H, Yamagishi M. Current perspectives in genetic cardiovascular disorders: from basic to clinical aspects. Heart Vessels. 2013 Aug 2. [Epub ahead of print] 3. Fujino N, Konno T, Hayashi K, Hodatsu A, Fujita T, Tsuda T, Nagata Y, Kawashiri MA, Ino H, Yamagishi M. Impact of systolic dysfunction in genotyped hypertrophic cardiomyopathy. Clin Cardiol. 2013;36:160-5. 4. Liu L, Hayashi K, Kaneda T, Ino H, Fujino N, Uchiyama K, Konno T, Tsuda T, Kawashiri MA, Ueda K, Higashikata T, Shuai W, Kupershmidt S, Higashida H, Yamagishi M. A novel mutation in the transmembrane nonpore region of the KCNH2 gene causes severe clinical manifestations of long QT syndrome. Heart Rhythm. 2013;10:61-7. 5. Tada H, Kawashiri MA, Ikewaki K, Terao Y, Noguchi T, Nakanishi C, Tsuchida M, Takata M, Miwa K, Konno T, Hayashi K, Nohara A, Inazu A, Kobayashi J, Mabuchi H, Yamagishi M.Altered metabolism of low-density lipoprotein and very-low-density lipoprotein remnant in autosomal recessive hypercholesterolemia: results from stable isotope kinetic study in vivo. Circ Cardiovasc Genet. 2012;5:35-41. 6. Funada A, Konno T, Fujino N, Muramoto A, Hayashi K, Tsubokawa T, Sakata K, Kawashiri MA, Takeda Y, Ino H, Yamagishi M.Impact of renin-angiotensin system polymorphisms on development of systolic dysfunction in hypertrophic cardiomyopathy. Evidence from a study of genotyped patients. Circ J 2010;74:2674-80. 86 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Invited Lecture1 (IL1) EACVI-JSE Joint Session 4 月 17 日(木)第 1 会場/ 11:20 - 12:00 共催:GE ヘルスケア ・ ジャパン株式会社 Aortic Stenosis and Mitral Regurgitation Assessment and Management Patrizio Lancellotti President of the European Association of Cardiovascular Imaging Director of the GIGA Cardiovascular Sciences Heart Valve Clinic, Echo Department Intensive Care Unit University of Liège, CHU Sart Tilman Belgium The prevalence of mitral regurgitation (MR) in patients with severe aortic stenosis is high. In patients undergoing surgical aortic valve implantation, the prevalence of at least moderate MR is approximately 15% [1,2], and reaches 20% in patients undergoing transcatheter aortic valve replacement (TAVR) [3,4]. Detection of mitral regurgitation in such patients has important implications, as it can independently affect functional status and prognosis. Moderate or severe mitral annular calcification, which may restrict mitral valve motion, is responsible for a large proportion of the structural mitral valve disease observed in the elderly population, whereas increased afterload, left ventricular (LV) remodelling, fluid overload and concomitant ischaemic heart disease may account for the development of secondary MR. When MR is moderate-to-severe, a decision to operate on both valves should only be made following a careful clinical and echocardiographic assessment. Indeed, double-valve surgery may increase peri- and post-operative risks, and MR may improve spontaneously after isolated aortic valve replacement. Better understanding of the determinants of these changes is of importance. In the setting of TAVR, MR is inherently left untreated, and its severity may decrease, remain unchanged or even increase following the procedure. Patients with moderate or severe MR have increased TAVR procedural mortality, but survivors still benefit from late functional improvement [5]. Factors predictive of MR reduction in patients undergoing conventional aortic valve replacement or TAVR are still debated, but include MR aetiology (namely secondary versus primary), pulmonary hypertension and atrial fibrillation [5,6]. However, despite similarities in population’s characteristics (older age, higher prevalence of mitral annular calcification), large variations have been reported in terms of MR changes following TAVR [5,7-13]. References: 1. Barreiro CJ, Patel ND, Fitton TP, et al. Aortic valve replacement and concomitant mitral valve regurgitation in the elderly. Impact on survival and functional outcome. Circulation 2005;112:I-443–7. 2. Ruel M, Kapila V, Price J, et al. Natural history and predictors of outcome in patients with concomitant functional mitral regurgitation at the time of aortic valve replacement. Circulation 2006;114:I-541–6. 3. Smith CR, Leon MB, Mack MJ, Miller DC, Moses JW, Svensson LG, Tuzcu EM, Webb JG, Fontana GP, Makkar RR, Williams M, Dewey T, Kapadia S, Babaliaros V, Thourani VH, Corso P, Pichard AD, Bavaria JE, Herrmann HC, Akin JJ, Anderson WN, Wang D, Pocock SJ, for the PARTNER Trial Investigators. Transcatheter versus surgical aortic-valve replacement in high-Risk Patients. N Engl J Med. 2011;364:2187-98. 4. Leon MB, Smith CR, Mack M, Miller DC, Moses JW, Svensson LG, Tuzcu EM, Webb JG, Fontana GP, Makkar RR, Brown DL, Block PC, Guyton RA, Pichard AD, Bavaria JE, Herrmann HC, Douglas PS, Petersen JL, Akin JJ, Anderson WN, Wang D, Pocock S, for the PARTNER Trial Investigators. Transcatheter aortic-valve implantation for aortic stenosis in patients who cannot undergo surgery. N Engl J Med. 2010;363:1597-607. 5. Toggweiler S, Boone RH, Rodés-Cabau J, Humphries KH, Lee M, Nombela-Franco L, Bagur R, Willson AB, Binder RK, Gurvitch R, Grewal J, Moss R, Munt B, Thompson CR, Freeman M, Ye J, Cheung A, Dumont E, Wood DA, Webb JG. Transcatheter aortic valve replacement: outcomes of patients with moderate or severe mitral regurgitation. J Am Coll Cardiol. 2012;59:2068-74. 6. Unger P, Dedobbeleer C, Van Camp G, Plein D, Cosyns B, Lancellotti P. Mitral regurgitation in patients with aortic stenosis undergoing valve replacement. Heart. 2010;96:9-14. 7. Tzikas A, Piazza N, van Dalen BM, Schultz C, Geleijnse ML, van Geuns RJ, Galema TW, Nuis RJ, Otten A, Gutierrez-Chico JL, Serruys PW, de Jaegere PP. Changes in mitral regurgitation after transcatheter aortic valve implantation. Catheter Cardiovasc Interv. 2010;75:43-9. 8. Gotzmann M, Lindstaedt M, Bojara W, Mügge A, Germing A. Hemodynamic results and changes in myocardial function after transcatheter aortic valve implantation. Am Heart J. 2010;159:926-32. 9. De Chiara B, Moreo A, De Marco F, Musca F, Oreglia J, Lobiati E, Bruschi G, Belli O, Mauri F, Klugmann S. Influence of CoreValve ReValving System implantation on mitral valve function: an echocardiographic study in selected patients. Catheter Cardiovasc Interv. 2011;78:638-44. 10. Durst R, Avelar E, McCarty D, Poh KK, Friera LF, Llano MF, Chu J, Anumandla AK, Rodriguez LL, Mack MJ, Hanzel G, Kodali SK, Hung J, Picard MH. Outcome and improvement predictors of mitral regurgitation after transcatheter aortic valve implantation. J Heart Valve Dis. 2011;20:272-81. 11. Hekimian G, Detaint D, Messika-Zeitoun D, Attias D, Iung B, Himbert D, Brochet E, Vahanian A. Mitral regurgitation in patients referred for transcatheter aortic valve implantation using the Edwards Sapien prosthesis: mechanisms and early postprocedural changes. J Am Soc Echocardiogr. 2012;25:160-5. 12. Samim M, Stella PR, Agostoni P, Kluin J, Ramjankhan F, Sieswerda G, Budde R, der Linden M, Samim M, Hillaert M, van Herwerden L, Doevendans PA, van Belle E. Transcatheter aortic implantation of the Edwards-SAPIEN bioprosthesis: insights on early benefit of TAVI on mitral regurgitation. Int J Cardiol. 2011;152:124-6. 13. Unger P, Magne J, Vanden Eynden F, Plein D, Van Camp G, Pasquet A, Cosyns B, Dedobbeleer C, Lancellotti P. Impact of prosthesis-patient mismatch on mitral regurgitation after aortic valve replacement. Heart. 2010;96:1627-32. 87 特別講演 座長:田邊 一明(島根大学医学部 内科学第四) 第25回日本心エコー図学会学術集会 Invited Lecture2 (IL2) ASE-JSE Joint Session 4 月 17 日(木)第 1 会場/ 13:00 - 13:40 特別講演 座長:穂積 健之(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科) 共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン Echocardiographic Evaluation of the Right Ventricle Benjamin F. Byrd III President, American Society of Echocardiography, Professor of Medicine Vanderbilt University School of Medicine, USA Right ventricular size and function are strong independent predictors of outcome in a number of cardiopulmonary diseases. However, the importance of the right ventricle is matched by the difficulty of assessing its size and systolic function by echocardiography - in large part due to its retrosternal location. This presentation will focus on echocardiographic methods for assessing right ventricular cavity size, wall thickness, and systolic and diastolic function. The right ventricle – unlike the other three cardiac chambers, which are derived from the primary heart field - is derived from the anterior heart field, and it has its own unique genetic pathway and chamber specific transcription factors. The anatomy of the right ventricle includes three parts: the inlet, which includes the tricuspid valve and papillary attachments; the trabeculated apex; and the infundibulum (RV outflow tract). This three-part arrangement results in a crescentic shape, which contracts with a peristaltic“bellows”action. The complex shape of the right ventricle - often described as that of a teapot, with inflow and apex portions representing the body of the teapot and RV outflow tract representing the spout, creates difficulty in modeling the right ventricle for volume estimation from M-mode or 2D echo measurements. Traditionally, biplane contrast angiography - and now cardiac MRI - provide accurate measurements of RV volume and ejection fraction. 3D echo represents a significant advance in RV volume and RVEF measurements, although very good image quality is critical for accurate measurements. As an ejection - phase index, ejection fraction is dependent upon a dynamic combination of three factors preload, afterload, and contractility. Assessment of preload is determined by evaluation of RV end-diastolic size. RV afterload is generally measured by pulmonary artery pressure is used a measurement of RV afterload – (determined from the peak tricuspid regurgitation Doppler velocity and right atrial pressure assessed by IVC size and inspiratory collapse.) Contractility of the right ventricle is independent of loading conditions and accessible to echocardiographic techniques - RV ejection fraction is relied upon instead. The ability of the right ventricle to recover from injuries such as ischemic infarction or high afterload state (such as chronic pulmonary thromboembolic disease) after medical or surgical interventions is striking. Thus, measures of RV size and function must be made with at least moderate accuracy. As noted above, unlike the left ventricle (with its truncated ellipsoid configuration), the“bellows”or“teapot”shape of the right ventricle - along with its retrosternal location - makes accurate RV volume measurement challenging for echocardiographers. This presentation will review methods for determining RV volume and wall thickness from M-mode to 3D echocardiography. RV systolic function may be assessed by echo methods including fractional area change, TAPSE, Tissue Doppler Imaging, and the RV index of myocardial performance (RIMP). Diastolic RV function may be assessed by pulsed wave Doppler of tricuspid inflow, as well as TDI of the RV base at the tricuspid annulus. After review of these echocardiographic methods, selected clinical cases will be presented to illustrate their application and clinical importance. 88 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Invited Lecture3 (IL3) KSE-JSE Joint Session 4 月 18 日(金)第 1 会場/ 8:10 - 8:50 共催:東芝メディカルシステムズ株式会社 Multimodality Imaging in Aortic Stenosis Yong-Jin Kim Professor in Cardiology Seoul National University Hospital, Korea Aortic stenosis (AS) is a disease that typically provokes pressure overload to the left ventricle, which left uncured, may lead to left ventricular (LV) hypertrophy, pump failure and also, to sudden cardiac death. Surgery before the development LV dysfunction is of paramount importance for these patients. Currently, evaluation of symptomatic status and LV ejection fraction is recommended for determining surgical timing. However, sudden cardiac death may occur even in patients without symptom and LV dysfunction. 2-dimensional global strain based on speckle tracking imaging is useful for assessing the multidirectional myocardial mechanics, relatively independent of the loading conditions, and also a useful prognostic factor in aortic stenosis. It is useful to detect subclinical myocardial dysfunction especially in patients with paradoxical low-flow AS. Late gadolinium enhancement-cardiovascular magnetic resonance (LGE-CMR) is the most accurate way to visualize the smallest focal fibrosis/scar in the myocardium. Patients with severe AS who had LGE on CMR were more likely to experience worse outcome than those who did not. Also, the degree of LGE has also been shown to correlate well with the degree of histological fibrosis in these patients. However, LGE represents focal myocardial fibrosis. Because following pressure overload, diffuse interstitial fibrosis ensues, preceding focal replacement fibrosis, noninvasive identification of diffuse myocardial fibrosis may be of clinical value in predicting the outcome of patients in severe AS. In this regard, T1 mapping may be useful to quantify the degree of diffuse myocardial fibrosis. Multimodality imaging is very useful to detect subclinical myocardial dysfunction and myocardial fibrosis in AS and thus to identify patients who need early surgery even with normal ejection fraction and asymptomatic status. 89 特別講演 座長:鈴木 真事(東邦大学医療センター大橋病院 臨床検査部) 第25回日本心エコー図学会学術集会 Invited Lecture4 (IL4) 4 月 19 日(土)第 1 会場/ 12:40 - 13:20 特別講演 座長:山岸 正和(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) Contrast Echocardiography: Current Status and Future Applications Anthony DeMaria Division of Cardiovascular, University of California San Diego Medical Center Contrast echocardiography is of established value and fully approved to achieve left ventricular cavity opacification (LVO)and enhance endocardial border definition. Recent studies have established that contrast LVO can increase the diagnostic information in technically suboptimal studies so as to change management and decrease cost of care. Concerns about adverse reactions from contrast have been allayed by the demonstration of safety in large datasets and measurements of pulmonary pressures during imaging. In addition to improved border definition, LVO can be used to assess shunts, detect cardiac masses, enhance Doppler recordings, salvage 3D echograms, confirm the presence of non-compaction, and delineate vascular anatomy. The intravenous injection of microbubble contrast agents in conjunction with advanced low mechanical index alternate pulse imaging can achieve myocardial opacification and delineate myocardial perfusion (MCE). At this time MCE has been demonstrated to be of value in assessing myocardial viability. MCE can provide time-intensity curves of perfusion and from these has the unique ability to provide information that can quantify the degree of coronary stenosis in the experimental setting. Considerable effort has been devoted to the detection of myocardial ischemia and coronary stenosis by MCE in humans, and two recent large multicenter studies have demonstrated non-inferiority to radionuclide techniques. However, MCE has not yet achieved widespread clinical application or FDA approval due to the fact that images are suboptimal in difficult patients, instrument settings are complex, there is no universal protocol, quantitation is not reproducible, few multicenter data are published and with only modest results. Very promising for the future is the use of contrast agents for targeted or molecular imaging by attaching a ligand to a specific receptor onto the microbubble. The variables include shear force of blood flow, ligand-receptor affinity, the density of ligand/bubble and receptor/target, physical presentation of ligand to receptor, and deformational characteristics of the bubble. Studies using bubbles targeted to the p-selectin receptor have demonstrated the feasibility of this approach, and benefit over perfusion only imaging. Contrast microbubbles have also been utilized for delivery of genetic material and to enhance thrombolysis. It is to be anticipated that with improvements in contrast agents and imaging instrumentation that contrast echocardiography will evolve into not only a diagnostic role, but also a molecular imaging technique and a therapeutic modality. 90 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography International Award Session (IA) 4 月 17 日(木)第 1 会場/ 13:40 - 14:25 An Educational Intervention Reduces the Rate of Inappropriate Transthoracic Echocardiograms in Ambulatory Care R. Sacha Bhatia Director, Women’ s College Hospital Institute for Health Systems Solutios and Virtual Care Staff Cardiogist, University Health Network and Women’ s College Hospital Adjunct Scientist, Institute for Clinical Evaluative Sciences Assistant Professor, Department of Medicine, University of Toronto, Canada Objectives: To prospectively study the impact of an Appropriate Use Criteria (AUC) based educational intervention on transthoracic echocardiography (TTE) ordering among housestaff in the outpatient environment. Background: AUC were developed in response to concerns about inappropriate utilization. It is unknown whether an educational intervention can reduce inappropriate outpatient TTEs. Methods: We conducted a randomized control trial in which internal medicine and cardiology trainees were randomized to an AUC-based educational intervention or to a control group in two outpatient internal medicine clinics and one outpatient cardiology clinic in Boston, MA. The primary end point was the rate of inappropriate TTEs. Results: The proportion of inappropriate TTEs was significantly lower in the intervention vs. control (12% vs. 29%, p<0.001) and the proportion of appropriate TTEs was significantly higher in the intervention arm (84% vs. 65%, p<0.001). In the cardiology subgroup, the inappropriate TTE rate was significantly lower in the intervention vs. control (13% vs. 34%, p<0.001) and the appropriate TTE rate was higher (81% vs. 58%, p<0.001). In the internal medicine subgroup, there was no significant difference in the rate of inappropriate TTEs in the intervention vs. control (5% vs. 14%, p=0.34), potentially due to low TTE ordering volume by internal medicine residents. Conclusions: An AUC-based educational intervention significantly reduced the proportion of inappropriate outpatient TTEs and increased the proportion of appropriate outpatient TTEs. 91 特別講演 座長:吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) 第25回日本心エコー図学会学術集会 International Award Session (IA) 4 月 17 日(木)第 1 会場/ 13:40 - 14:25 特別講演 座長:吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) Udenafil improves exercise capacity and left ventricular remodeling in patients with systolic heart failure; Study result of ULTIMATE-SHF trial (UdenafiL Therapy to Improve symptoMAtology, exercise Tolerance and hEmodynamics in patients with systolic heart failure) Kyung-Hee Kim 1,Hyung-Kwan Kim 2,In-Chang Hwang 2, Seung-Pyo Lee 2,Hyun-Jae Cho 2,Hae-Young Lee 2,Yong-Jin Kim 2, Dae-Won Sohn 2 1 Cardiologist, Sejong General Hospital, Korea,2 Seoul National University Hospital BACKGROUND: Over the last few years, the use of phosphodiesterase type 5 (PDE5) inhibitors has been expanded to management of various cardiovascular disorders. We investigated the ability of udenafil, a newly developed long-acting PDE5 inhibitor, to improve functional capacity and hemodynamic status in a cohort of systolic heart failure (SHF) patients METHODS AND RESULTS: Stable, chronic SHF patients were randomly assigned to placebo (20 patients) or udenafil at a dose of 50 mg twice per day (21 patients) for the first 4 weeks followed by 100 mg twice daily for the next 8 weeks. Patients underwent cardiopulmonary exercise testing before and after treatment. The change in peak VO2 from baseline, the primary end point, was greater in the udenafil group (3.47 ± 1.07 mL x kg(-1) x min(-1)) than in the placebo group (-0.36 ± 0.56 mL x kg(-1) x min(-1); P=0.01). Udenafil treatment also was associated with left ventricular (LV) remodeling. LV volume was smaller in the udenafil group compared with the placebo group (baseline LV end-systolic volume, 148ml for udenafil versus 145ml for placebo group; P= NS.; 3month later LV end-systolic volume, 110ml for udenal versus 132ml for placebo, respectively; P< 0.05). LV ejection fraction was greater in the udenafil group than in the placebo group (36% for udenafil versus 31% for placebo, P< 0.05) without mean arterial pressure, heart rate, or systemic vascular resistance. Udenafil treatment also was associated with improvement in 6-minute walk distance (33 m versus placebo; P=0.04) and Minnesota Living With Heart Failure score (-10 versus placebo; P=0.01). Subjects in the udenafil group experienced fewer hospitalizations for HF and a higher incidence of than those in the placebo group without incurring excess serious adverse events. CONCLUSIONS: Phosphodiesterase 5 inhibition with udenafil improves exercise capacity and quality of life in patients with chronic SHF. 92 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography International Award Session (IA) 4 月 17 日(木)第 1 会場/ 13:40 - 14:25 Serial B-type Natriuretic Peptide Assessment in Asymptomatic Aortic Stenosis Christine HENRI 1,2,Julien MAGNE 1,Raluca DULGHERU 1,Saloua LAARAIBI 1,Damien VOILLIOT 1,Seisyou KOU 1,Luc PIERARD 1, Patrizio LANCELLOTTI 1 1 University of Liège, GIGA Cardiovascular Sciences, Departments of Cardiology, Heart Valve Clinic, CHU Sart Tilman, Belgium,2 University of Montreal, Department of Medicine, Montreal Heart Institute, Canada Background: B-type natriuretic peptide (BNP) level may be a useful prognostic marker for the management of asymptomatic patients with aortic stenosis (AS). The aim of this study was to identify the echocardiographic determinants of BNP changes during follow-up in AS. Methods and results : We studied 61 asymptomatic patients with ≥ moderate AS and preserved left ventricular (LV) ejection fraction that underwent rest and exercise Doppler echocardiography with concomitant BNP level measurement at baseline. BNP measurement was repeated after inclusion every 6-month. Patients were divided into 2 groups according to the median of BNP changes (+29 pg/mL) during follow-up. According to resting parameters, patients in the high BNP changes group had significant higher E/e’ratio. Statistically significant correlations were found between BNP changes and E/e’ratio, and indexed left atrial area. According to exercise parameters, patients in the high BNP changes group had significant lower exercise-induced increase in LV ejection fraction. Statistically significant correlations were found between BNP changes and exercise-induced changes in LV ejection fraction. After adjustment for age and mean aortic pressure gradient, multivariate analysis identified indexed left atrial area (β=20.7±6.7; p=0.005), resting E/e’(β=10.0±4.2; p=0.001) and exercise-induced increased ejection fraction ((β=-9.4±4.0; p=0.022) as independent determinants of BNP changes during follow-up Conclusion : This study shows that, in asymptomatic patients with preserved LV function and moderate AS, serial BNP may widely vary. Subclinical LV diastolic and systolic dysfunctions are frequently present in patients with higher serial BNP changes level. Serial BNP measurements may be clinically relevant for risk stratification. 93 特別講演 座長:吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) 抄録 Abstracts(2) シンポジウム(S) パネルディスカッション(PD) ワークショップ(W) 心エコーを治療に活かす(PW) 未来型心血管エコーへの提案(未来) 新技術紹介セッション(新技術) KSE Case Conference(KCC) ライブセッション(Live) Young Investigator’ s Award(YIA) Echo U 40 Club Meeting(U40) 男女共同参画委員会セッション(男女) 教育企画(EP) 教育セッション(ES) Visual Echo Album(V) JB-POT 講習会(JB) ウエットラボ(WET) 心エコーウルトラクイズ(Quiz) 一般演題(口演)(O) 一般演題(ポスター)(P) ランチョンセミナー(LS) イブニングセミナー(EvS) The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography シンポジウム 1(S1) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 8:40 - 10:10 Structural heart disease 治療における心エコーの有用性 座長:中谷 敏(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座) ・大手 信之(名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科) 〈企画趣旨〉 以前から僧帽弁狭窄症にたいする PTMC や、閉塞性肥大型心筋症に対する中隔枝塞栓術など、structural heart disease に対するカテーテ ルを用いた治療が行われてきました。しかしそれらの治療における術中心エコーの役割はそれほど注目されてこなかったのではないでしょう か。平成 25 年 10 月からわが国でも経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)が保険償還されるようになり、以後たくさんの患者さんがこの 治療を受けています。それとともに structural heart disease のカテーテル治療とその際の心エコーの役割が見直されるようになりました。 Structural heart disease のカテーテル治療は何も TAVI だけではありません。心房中隔欠損孔閉鎖術も多く行われていますし、 また近い将来、 僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療も実施されることと思います。これらの手技の適応決定、安全な実施、術後経過観察のためにどの ように心エコーを使っていくべきでしょうか。エキスパートの先生方のご意見をうかがいたいと思います。 特別セッション S1-1 心房中隔欠損経皮閉鎖術における心エコー図~非全身麻酔下閉鎖のための経食道心エコー図の工夫と 心腔内エコー図の利用について~ 山野 倫代 1、山野 哲弘 1、中村 猛 1、岡部 裕美 2、木越 紗和子 2、大塚 明子 2、加藤 ゆず子 2、 坂井 貴光 2、中西 直彦 1、白石 裕一 1、松室 明義 1、白山 武司 1 1 京都府立医科大学附属病院 循環器内科、2 京都府立医科大学附属病院 臨床検査部 【背景】当院では,経食道心エコー図(TEE)ガイド心房中隔欠損(ASD)閉鎖術を一般的な全身麻酔より低侵襲で行うため,様々 な工夫で非全身麻酔下に実施してきた.また一部例では心腔内エコー図(ICE)ガイド非全身麻酔閉鎖術を実施している.【目的】 当院の非全身麻酔 ASD 閉鎖術の妥当性を検討すること.【方法】対象は 2011 年 9 月から 13 年 11 月まで ASD 閉鎖術連続 56 例.全 例で実施日以前に TEE で ASD を評価.この際 Bispectral index モニタ下に静脈麻酔薬(主に Propofol)投与量を調節し適度な鎮 静維持に努め,薬剤反応性や呼吸抑制,分泌物の程度により TEE 忍容性を判定した.忍容例は前評価 TEE 時と同様,もしくは薬 剤強化し,非全身麻酔で原則 TEE ガイド(もしくは ICE 併用)閉鎖を実施.不忍容例で,閉鎖を困難とする要素の無い例(解剖学 的条件)では原則 ICE ガイド閉鎖を試みた.【結果】TEE 忍容 49 例中 46 例は非全身麻酔 TEE ガイド閉鎖を行い,全例で成功した. 1 例で過多鎮静により Bag Valve Mask 換気を要したが,挿管,体動による手技中断例は無かった.他 3 例は解剖学的条件を満たす ことから ICE ガイド閉鎖を試み,2 例は成功.1 例は最終的に TEE ガイドに変更し閉鎖した.TEE 不忍容 7 例中 5 例は解剖学的条 件を満たし,全例 ICE ガイド閉鎖に成功.その他 1 例は全身麻酔 TEE ガイド閉鎖を行い,1 例は ICE ガイド閉鎖を試みたが,術中 に新たに副孔が判明し,静脈麻酔薬強化により非全身麻酔 TEE ガイドで閉鎖した.【結論】前評価 TEE で ASD 形態とともに, TEE 忍容性を確認しておくことで,多くの例では非全身麻酔 TEE ガイド閉鎖術を安全に実施しうる.ICE ガイド閉鎖は有効な選 択肢だが,手技や読影に更なる習熟が必要と考えられた. S1-2 PTAV(Percutaneous Transluminal Aortic Valvuloplasty)における術中経胸壁心エコー図 の有用性 桜井 美恵、多田 憲生、水谷 有克子、滝澤 要、大友 達志、伊藤 祐子、井上 直人、目黒 泰一郎 仙台厚生病院 心臓血管センター 循環器科 本邦では、平成 25 年 10 月より経カテーテル大動脈弁治療(TAVI:Transcatheter Aortic Valve Implantaion)が保険償還された。 それに伴い、PTAV(Percutaneous Transluminal Aortic Valvuloplasty)の存在が再確認されている。仙台厚生病院では、TAVI を念頭に入れ、平成 22 年 6 月から retrograde PTAV を開始した。平成 22 年 6 月~平成 25 年 9 月までに 94 例の retrograde PTAV を経験した。全例を、経胸壁心エコー図によりデバイスサイズを決定し、治療は経胸壁心エコー図ガイド下で施行した。術前、術 直後での、大動脈弁通過血流速、圧較差、弁口面積(連続の式)の測定、大動脈弁逆流の増加の有無判定はリアルタイムで行える ため、治療効果判定が即座に可能であった。また、左室内のガイドワイヤーの形態がデバイスバルーン拡張時のスリップや、その 後の合併症と強く相関すると考えたが、経胸壁心エコー図にて、その形態は確認可能であった。左室穿孔による心タンポナーデの 合併症例を経験したが、その際には血行動態悪化以前に、心エコー図による心嚢液の増加を確認し、bailout 可能であった。TAVI 時代到来の今こそ、PTAV の再確認は実施されるべきであり、94 例の経験をもとに、術中経胸壁心エコー図の有用性を報告する。 97 第25回日本心エコー図学会学術集会 S1-3 経カテーテル的大動脈弁置換術施行時のエコーガイドの役割について 村田 光繁 1、林田 健太郎 2、鶴田 ひかる 2、福田 恵一 2 1 慶應義塾大学 医学部 臨床検査医学、2 慶應義塾大学 医学部 循環器内科 Structural Heart Disease に対するインターベンション治療は経験の集積とデバイスの発展とともに、より安全に施行可能な時代と なりつつある。これらの治療は、心内構造物の解剖学的把握が必須であり治療適応決定、周術期における心エコーの役割は重要で ある。使用されるエコーは、経胸壁心エコー(TTE)、経食道心エコー(TEE)、心腔内エコー(ICE)などがあるが患者の状態や インターベンションの手技によっていずれかを選択する。2013 年、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が本邦でも保険適応と なったが、TAVI における心エコーに対する見解は欧米でも意見がわかれており、米国では術中 TEE 施行下で行われているものの ヨーロッパでは ICE のみで行っている施設が少なくない。ICE は心外アーチファクトを回避でき全身麻酔が不要であるメリットが あるが、描出断面が限られており TAVI 中および deploy 後の人工弁逆流の成因の同定、微量な paravalvular leak や心嚢液の検出 には不十分であり、後拡張の要否判断などについては TEE が優れている。一方、経心尖部アプローチでは TTE で心尖部位置を同 定し、切開部位および心尖部穿刺部位をガイドすることでより安全に手技を行うことが可能である。また、TEE が使用できない患 者の場合術中 TTE を使用せざるを得ない場合もある。以上のように、TAVI 施行時の心エコーの役割は多岐にわたり、患者の状態、 手技などによってエコーの種類を適切に使い分ける必要がある。本シンポジウムでは、当施設における経験を踏まえて TAVI 施行 時のエコーガイドについて概説する。 特別セッション S1-4 TAVI 合併症検出における経食道心エコー図の有用性 竹田 泰治 1、中谷 敏 2、大西 俊成 1、溝手 勇 3、倉谷 徹 4、南都 伸介 3、澤 芳樹 4、坂田 泰史 1 1 大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学、2 大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻機能診断科学、 大阪大学大学院 医学系研究科 先進心血管治療学、4 大阪大学大学院 医学系研究科 心臓血管外科学 3 高リスクの重症大動脈弁狭窄症例に対する治療法として経カテーテル的大動脈弁植え込み術 (TAVI) が開発され、本邦でも保険診療 として行われるようになった。TAVI 施術にあたり、術前、術中、術後において心エコー図は大きな役割を果たす。中でも術中にお ける経食道心エコー図は TAVI の合併症をいち早く感知するモニタリングとして重要である。TAVI の合併症には、脳梗塞や房室 ブロック等の不整脈、大動脈アクセス部位の障害、不適切な人工弁留置位置、冠動脈開口部閉塞、僧帽弁複合体の損傷、人工弁周 囲逆流、大動脈弁輪部、根部破裂、人工弁損傷、急性腎不全があげられる。このうち、不整脈以外の心内で起こる合併症は術中の 経食道心エコー図にて感知することができる。人工弁周囲逆流は最も頻度の多い合併症であるが、逆流の程度が生命予後に影響を 与えると報告されている。これにより、TAVI 施術後の人工弁周囲逆流の多寡がバルーンによる追加拡張を行うか否かを決定するこ とになるため、その評価は非常に重要となる。不適切な人工弁留置位置、冠動脈開口部閉塞、僧帽弁複合体の損傷、大動脈弁輪部、 根部破裂については、まれであるが、生命にかかわる合併症であり、その場での迅速な対応が要求されるため、いかに早く感知す ることができるかが重要となる。この迅速な感知のためには、施術前に、大動脈弁輪部、大動脈根部の状態、僧帽弁逆流、僧帽弁 尖の状態、心嚢液の有無、左室壁運動について評価を行い、術中に変化の有無を観察する。以上のように、術中の経食道心エコー 図は、TAVI 中のモニタリングとして、合併症の感知に非常に重要な役割を果たし、その習熟は TAVI を安全に行うために必要な 条件となる。 S1-5 僧帽弁逸脱症に対する交連部 edge to edge 法 が術後弁口面積に与える影響 玉田 智子、大倉 宏之、林田 晃寛、今井 孝一郎、山田 亮太郎、久米 輝善、根石 陽二、川元 隆弘、 吉田 清 川崎医科大学 循環器内科 【背景】僧帽弁逸脱による僧帽弁閉鎖不全に対する外科治療としては弁形成 術が標準治療となっているが、選択される術式は逸脱部位や範囲により異な る。【目的】僧帽弁形成術式の違いによる、術後の僧帽弁狭窄への影響を検 討すること。【方法】僧帽弁形成術を施行された、僧帽弁逆流 46 例を対象と した。交連部 edge to edge 法 (EE 群 ) を施行された 19 例と人工腱索再建術 (CR 群 ) を施行された 27 例について術後の僧帽弁通過最大血流速度、弁間平均 圧較差を比較した。【結果】(表)EE 群では術後の弁間平均圧較差は有意に 大であり、中等度以上の僧帽弁狭窄の頻度は有意に高かった。【結語】Edge to edge 法では術後の弁口面積が小さくなり、中等度以 上の僧帽弁狭窄を来す例もある。このことが長期予後に影響するか否かについては今後、さらなる検討が必要である。 98 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography S1-6 経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)における 3 次元経食道心エコー図の役割 出雲 昌樹 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 近年、弁膜症に対する外科的治療法は進歩し成績向上を遂げている。その向上には画像診断の進歩による術前病態評価の向上が一 つの要因であると考えられ、内科による診断精度の向上と外科治療の向上との連携によりもたらされていると考えられる。またカ テーテルインターベンションも日々進歩を遂げ、僧帽弁閉鎖不全症に対してもクリップを用いた治療(MitraClip)が全世界で導入 され、弁膜症も Structural Heart Intervention 時代に突入し、更なる低侵襲治療が実現化している。この MitraClip 法の適応決定に は心エコー図法が必須であり、適応のみならず術中、術後の評価及び経過観察すべてにおいて心エコー図法が用いられ、大変重要 な役割を占めている。近年開発された 3 次元心エコー図は心内の解剖学的位置把握を容易にし、また任意断面の描出を可能にする ことにより、従来から日常臨床において大変重要な役割を果たしてきているが、実際に開胸して確認することができないカテーテ ル治療の出現により、その重要性は増していると考えられる。特に 3 次元経食道心エコー図は心エコー室のみならず、心カテーテ ル室やハイブリッド手術室にも常設されつつある装置である。今回、MitraClip 法における経食道 3 次元心エコー図の果たす役割、 特に 2 次元に 3 次元心エコーを加えることにより、どのようなメリットがあるのかについて考えていきたい。 特別セッション シンポジウム 2(S2) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 14:30 - 16:00 成人期先天性心疾患管理における心エコーの役割(診断、術後経過) 座長:市田 蕗子(富山大学 小児科)・安河内 聰(長野県立こども病院 循環器小児科) 〈企画趣旨〉 先天性心疾患の手術成績の向上と共に、成人期に到達する先天性心疾患の症例数は増加し、日常診療上その形態診断と心機能を含む血行動態 診断が要求される機会も増えてきた。 このシンポジウムでは、さまざまな先天性心疾患術後や未手術の心房中隔欠損 / 卵円孔開存の画像診 断について経胸壁心エコー、経食道心エコーを用いた評価方法について専門家による概説をしていただいた。 また成人期先天性心疾患で特 に問題となる右室機能について speckle tracking 方などを用いた同期不全診断も含めて解説もしていただく予定である。 成人先天性心疾患患者の管理を行う上で、心エコーは診断ばかりでなく、治療効果判定、経時的変化を追うための重要な画像診断である。心 エコーならではの画像診断の pit fall を中心にこのシンポジウムは組まれているが、MRI や CT などの他の画像診断を組み合わせることによっ てより詳細な形態診断や機能診断が可能となることも忘れてはならない。 成人先天性心疾患における画像診断法としての心エコーの役割についてこのシンポジウムで再確認していただければ幸いである。 S2-1 成人先天性心疾患診療における経食道心エコー法の役割 富松 宏文、石井 徹子、朝貝 省史、原田 元、本田 啓、杉山 央、稲井 慶、中西 敏雄 東京女子医科大学 医学部 循環器小児科 【背景】心エコー検査は成人先天性心疾患(ACHD)患者の評価において重要な検査である。しかし、成人では音響窓の制約が多く 経胸壁心エコーでは十分な評価が困難なことが多い。【目的】成人先天性心疾患(ACHD)患者に対して当科で施行された経食道心 エコー検査(TEE)を検討し、その現状や役割、および問題点などを明らかにする。【対象】2007 年 1 月から 2012 年 12 月までに循 環器小児科で TEE を施行した、20 歳以上の ACHD 患者のべ 494 人。【方法】後方視的に疾患、検査目的、合併症などについて検討 した。【結果】疾患は 2007 年から ASD のカテ治療が可能となり、ASD の患者が 298 人と多くを占めていた。ASD 以外では基礎疾 患に一定の傾向はなかった。術後例は 163 人、術式としては Fontan 術 66 人、心内修復術 43 人、その他は心房スイッチ、ダブルス イッチ、ラステリ術など多岐にわたっていた。未手術例は 181 人でそのうち ASD が 137 人でほとんどはカテ治療の適応決定が目的 であった。ASD に対するカテ治療中が 150 人であった。検査目的は術後例では血栓検索 99 人、疣贅検索 20 人など。未手術例では ASD 以外では大動脈冠尖の逸脱評価、房室弁形態評価などであった。合併症は特別の処置を要さない軽微な口腔内出血のみであった。 人工物が心内に使用されている術後例では評価が困難な場合があった。【考察】ACHD に対する TEE は基本操作や正常心の解剖学 的知識に加え、先天性心疾患の形態学や手術術式についての知識を知って検査に臨むことが重要である。【結語】ACHD に対する TEE は安全に施行でき、診断および治療上有用である。 99 第25回日本心エコー図学会学術集会 S2-2 成人先天性心疾患術後症例における右室機能解析の問題点-ファロー四徴症心内修復術およびラステ リ術後患者の右心室- 早渕 康信、阪田 美穂、香美 祥二 徳島大学大学院 小児医学分野 特別セッション 先天性心疾患術後患者において右室機能を評価することは非常に重要であるが、簡便で客観性のある方法は確立されていない。近年、 右室機能を組織ドプラ法やストレイン解析を用いて詳細に検討する報告が散見されるが、成人先天性心疾患術後患者にも適応可能 か否かは不明である。右心不全を来しやすいファロー四徴症・両大血管右室起始症などの心内修復術・ラステリ手術後患者におけ る右室機能評価の問題点に関して考察した。右室自由壁のストレイン解析では、Longitudinal strain による評価が一般的であるが、 右室圧容量負荷を来す症例では Circumferential strain がより的確に収縮能を反映する場合がある。小児では胸骨下からのアプロー チで右室自由壁の Circumferential strain を測定することが可能であるが、成人症例では描出が困難である。組織ドプラによる解析 では手術施行による影響が問題となる。術後患者で、s’ が低下していても右室収縮能低下を意味するのか、右室前壁の胸壁への癒着 や心膜切開の影響による壁運動低下であるのかを鑑別する必要がある。また、e’ や E/e’ によって右室拡張能を検討する場合には、 手術に起因する肺動脈弁逆流による拡張早期の急激な容量負荷を念頭に置かなければならない。この場合、e’ は右室の能動的弛緩能 を示すのではなく肺動脈逆流による受動的な拡大を示すことがある。重度肺動脈逆流が存在する症例では、e’ 及び E/e’ は正確な右 室拡張能を示さず、右室拡張末期圧を反映しない点について留意する。組織ドプラやストレイン解析は右室機能を客観的に捉える ことが出来る側面もあるが、評価の上では左心系との相異や手術の影響を考慮しなければならない。 S2-3 体循環右室の同期不全評価における三次元スペックルトラッキングの応用 石津 智子 1、川松 直人 2、菅野 昭憲 2、中村 昭宏 3、瀬尾 由広 2、青沼 和隆 2 1 筑波大学 医学医療系 臨床検査医学、2 筑波大学 医学医療系 循環器内科、3 筑波大学 医学医療系 小児科 成人期先天性心疾患では体循環を担う解剖学的右室の機能不全が加齢ととも に進行することが問題となり心臓再同期治療の応用が注目されている。我々 は体表面心エコー 3 次元スペックルトラッキング法による収縮伝播の 3 次元 マッピングシステムである Activation Imaging(AI)法の右室への応用を試 みた。症例は 35 歳 完全大血管転位症(III 型)Senning 術後 NYHAIII 度。 QRS 幅 160ms 完全右脚ブロックと高度右室駆出率低下 25% を認めた。AI 法では中隔に最早期、側壁基部に再遅延部位を有する同期不全が検出された。 ペーシングスタディにより再遅延部位の右室ペーシングにより再同期および 右室 dP/dT の改善を確認(図)。右室基部側壁心外膜ペーシングと左室心尖 部心内膜ペーシングによる再同期治療を行い、半年後に右室容積の―15%以 上の縮小を伴うリバースリモデリングを得た。3 次元 AI は右室における1) 機能的同期不全の有無2)最早期および再遅延収縮部位の同定3)再遅延収 縮部位の心筋バイアビィティー評価を可能とし心臓再同期治療方針の決定に 有用であった。 S2-4 ASD カテーテル閉鎖術 (ASO) 後の経過における年齢の影響 田代 英樹 1、須田 憲治 2、家村 素史 3、籠手田 雄介 3、池上 新一 4 1 3 社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 循環器内科、2 久留米大学 医学部 小児科、 社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 小児循環器科、4 社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 生理検査室 【目的】年齢によって ASO 後の心臓の経時的変化に差がないかを心エコーに て観察する事を目的とした。【方法】ASO を成功した 50 例。A 群 17 歳以下 17 例 ( 男 6 例 11.9 ± 3.9 歳 ) B 群 18-50 歳 19 例(男 4 例 28.3 ± 8.0 歳) C 群 51 歳以上 14 例 ( 男 3 例 64.4 ± 9.3 歳 ) の 3 群に分けて、ASO 前日、 翌日、1-3ヶ月後、6-12ヶ月後に心エコーをおこない体表面積あたり の左室拡張末期容量 (EDV)、収縮末期容量 (ESV)、左房容量 (LAV)、EF、E’ 、 E/E’ などを計測した。Repeated measures ANOVA を用いた。【成績】各群 EDV, LAV は前と比較して6ヶ月後に有意に拡大した。EF は変化なかった。 E/E’ は C 群で前と比較して6ヶ月後に有意に増加し C 群で有意に高かった。 ANOVA にて交互作用が得られたのは LAV のみであったので左房は C 群で 有意に拡大すると考えられた。【結論】左心室は ASO による血行動態の変化に年齢によらず適応し拡大しうる。ただし、左房は高 齢者で拡張傾向が強かった。これは高齢者で E/E’ が高い事との関連が考えられた。 100 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography S2-5 Left Ventricular Dysfunction Has A Negative Impact On Cardiac Outcomes In Adults With Ebstein’ s Anomaly 椎名 由美、白井 丈晶、丹羽 公一郎 聖路加国際病院 循環器内科 特別セッション Aim: We evaluated non-invasive diagnostic predictiors of cardiac events in Ebstein’ s anomaly.Methods: 105 adults (aged 39.4 ± 15.8) with unrepaired Ebstein’ s anomaly underwent protocolised CMR and echocardiography. Results: At latest follow-up (median 3.71 years), 100/105 were in sinus rhythm, 5/105 (0.5%) in persistent AF, 26/105 (24.8%) patients had presented with new episodes of AT and 2/105 (1.9%) had sustained VT. On multivariate Cox proportional hazard analysis, maximum functional RA indexed volume [hazard ratio 1.01, 95% confidence interval (CI) 1.003-1.02, p=0.005] was an independent risk factor. At latest follow-up, 9/105 patients (8.6%) had fatal cardiac events (cardiac failure, VT, sudden cardiac death). On univariate Cox proportional hazard analysis, oxygen desaturation during exercise, peak VO2 of the predicted value, stroke volume, Maximum functional RA indexed volume, atrialised RV indexed volume, RVEF, LVEF, LV longitudinal global strain (p=0.047) were important predictors of fatal cardiac event. As for left-sided cardiac predictor of cardiac event, 11.5% in LV global strain was a cut off value (sensitivity 77.8%, specificity 82.1%, AUC 0.79 [95%CI 1.003-1.02, p=0.006, log rank P=0.02]). Conclusions: LV dysfunction as well as right sided volume s anomaly. overload has a negative impact on cardiac outcome in Ebstein’ シンポジウム 3(S3) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 15:40 - 17:10 カテーテル治療と心エコー カテーテルアブレーション治療(不整脈)での ICE(心内エコー) の活用 座長:井野 秀一(金沢大学附属病院先端医療開発センター 臨床研究推進部門) ・麻植 浩樹(岡山大学病院 超音波診断センター) 〈企画趣旨〉 心腔内エコーはその侵襲性に比べて得られる画像の情報が乏しく、使用範囲が限られていた。しかし、近年進歩のめざましいカテーテル治療 のガイドとして心内エコーの有用性が脚光を浴びている。既に実績のある冠動脈エコーに加えて新たに臨床応用されているのが、心房中隔欠 損症・卵円孔開存に対するカテーテル閉鎖術および心房細動を含む不整脈に対するカテーテルアブレーションでの心内エコー検査の併用であ る。前者におけるモニタリングとしてはこれまで経食道心エコー図検査が広く用いられてきたが、この方法は患者の苦痛を伴い、全身麻酔下 に行う必要があった。心腔内エコーを用いることで、この苦痛を軽減する事が可能である。また経食道心エコー図法では観察が困難であると される IVC rim の観察に心腔内エコーが有用であるとする報告もある。後者では心房中隔穿刺時のガイドのみならず、左房・肺静脈の 3D 画 像を構築することが可能であり、またアブレーションカテーテルと肺静脈・左房壁面とのコンタクトの確認にも使用できる。 本シンポジウムでは心房中隔欠損症・卵円孔開存に対するカテーテル閉鎖術および心房細動に対するカテーテルアブレーションを取り上げ、 心内エコーがどのように使われているか、またこれからどのように使われるべきかについて討論したい。なお経カテーテル的大動脈弁置換術 (TAVI)も本セッションの対象ではあるが、他のセッションに譲る。 S3-1 心腔内エコー図ガイド心房中隔欠損閉鎖術の初期成績~特に下位欠損例に対する ICE イメージング の有用性と注意点~ 山野 哲弘 1、中村 猛 1、山野 倫代 1、岡部 裕美 2、木越 紗和子 2、大塚 明子 2、加藤 ゆず子 2、 坂井 貴光 2、中西 直彦 1、白石 裕一 1、松室 明義 1、白山 武司 1 1 京都府立医科大学附属病院 循環器内科、2 京都府立医科大学附属病院 臨床検査部 【背景】忍容性に優れる心腔内エコー図(ICE; AcuNav, Johnson & Johnson)は心房中隔欠損(ASD)閉鎖術のガイドとして期待で きるが,イメージングの質は経食道心エコー図(TEE)より劣る部分が多い.【目的】ICE ガイド ASD 閉鎖を安全に施行しうる例 や注意点について検討する.【方法】当院では術実施日以前の TEE 評価で 1) 閉鎖を難しくする要素(ASD 孔径> 18 mm,複数孔 , 周囲縁完全欠損部位あり,後下縁の可動性大(floppy (M モード法振幅> 10 mm))の無い例,2) TEE 不忍容例に対して ICE ガイ ド閉鎖+ケーブル離断前に短時間の確認 TEE,3) 後下縁の詳細な観察が必要な例(floppy,または短い(< 5 mm))に ICE + TEE ガイド閉鎖を施行してきた.これらを検討した.【結果】2012 年 4 月~ 2013 年 11 月の連続 43 例中,初期に ICE を試験併用し た 2 例を除き,ICE 使用は 13 例(適応 1)3 例,1 + 2) 5 例,2) 1 例,3) 4 例)だった.1),1 + 2):ICE ガイド閉鎖に成功した例 は 7 例(88%)だった.他 1 例は確認 TEE で ASD 孔上縁では左房ディスクが右房側に存在し,最終的に TEE ガイドで閉鎖した.2): ASD 孔径 19 mm,後下縁は floppy だった.ICE でのバルーン径と前評価 TEE での ASD 孔径が乖離し,再評価目的に十分な鎮静 のもと TEE 施行.主 ASD 孔近傍の副孔が新たに判明し,TEE ガイドで閉鎖した.3):下大静脈縁が短い 2 例(ともに 4 mm)では, TEE による同縁描出が不十分で,ICE を主たるガイドとして閉鎖術に成功した.【結論】術前の正確な TEE 評価で閉鎖を難しくす る要素の無い例に対して,TEE で最終確認する方法により,ICE ガイド閉鎖は安全に施行できる.後下縁が短い下位欠損例では, ICE 使用で TEE 単独よりも安全に閉鎖できる可能性がある. 101 第25回日本心エコー図学会学術集会 S3-2 卵円孔開存症のカテーテル閉鎖術における ICE の有用性 木島 康文 1、麻植 浩樹 1,3、赤木 禎治 2、中川 晃志 1、高谷 陽一 1、池田 まどか 3、渡辺 修久 3、 佐野 俊二 2、伊藤 浩 1 1 岡山大学病院 循環器内科、2 岡山大学病院 循環器疾患集中治療部、3 岡山大学病院 超音波診断センター 特別セッション 近年、欧米では奇異性塞栓症の 2 次予防として卵円孔開存症(PFO)に対す る閉鎖術が施行されることがあり、心房中隔欠損症(ASD)同様にカテーテ ルによる閉鎖術の施行が可能である。 当施設では 2011 年 12 月から 2013 年 9 月までに PFO 及び ASD に対するカ テーテル閉鎖術を施行した 26 症例において心腔内心エコー図(ICE)(Johnson & Johnson) を使用した。PFO 閉鎖の 4 例と ICE を主たるイメージングガイ ドとした ASD 閉鎖の 8 例について検討した。両群において ICE はデバイス 留置の手技の良好なイメージングガイドであった。但し、PFO 閉鎖では右 左短絡及び形態の評価においても必要なイメージがえられたのに対して、 ASD 閉鎖においてはデバイス選択のための欠損孔径及びバルーンサイジン グ径の計測における信頼性が低い可能性が考慮された。 ICE は心房内短絡に対するカテーテル閉鎖の手技のイメージングガイドとし て有用であり、ASD よりも正確な欠損孔のサイズ評価を必須としない PFO 閉鎖においてより有用性が高い可能性がある。 S3-3 心房細動アブレーションにおける CARTOSOUND の有用性についての検討 五十嵐 都、瀬尾 由広、石津 智子、黒木 健志、町野 毅、関口 幸夫、野上 昭彦、青沼 和隆 筑波大学 医学医療系 循環器内科 【背景】3D マッピングシステム(3DMS)を用いた心房細動 (AF) のアブレーション(肺静脈隔離術:PVI)は標準的な方法である。 詳細な解剖の情報は PVI をスムーズに安全に行う上で有用であり、事前に撮影した CT 画像との統合等が行われてきた。一方、 CARTOSOUND(C-S)は心腔内エコーで得られた 2D 画像をトレースし 3D に構築し、3DMS 上に表示することが可能なシステム である。基礎心疾患を伴うアブレーションでの有用性が報告されているが、PVI での使用に関する報告は少ない。【方法】対象は PVI が予定されている AF 患者 32 例(62 ± 9 歳、発作性 20 例)。まず、超音波カテーテルを右房内に挿入し卵円窩を観察しながら 心房中隔穿刺を行った。その後 C-S により左房の anatomical mapping を行った。通常は右房に超音波カテーテルを留置し左房の情 報を得るが、より鮮明な画像を得るためさらに経心房中隔壁的に左房に挿入し記録した。3D 画像作成後は超音波カテーテルを右室 に留置し左室を持続的にモニターした。 【結果】全例で左心耳、肺静脈入口部等を詳細に記録することができた。1例は造影剤アレ ルギーのため心房中隔穿刺の際の大動脈バルサルバ造影、肺静脈造影を行わなかったが、安全に心房中隔穿刺を行うことができ、 詳細な 3D 画像を得られた。また、1例で PVI 後の心房粗動に対する右房でのアブレーション中に心タンポナーデとなったが、C-S により血圧低下前に心嚢液を検出することができ、余裕をもって穿刺準備をすることができた。PVI 中のタンポナーデ症例はなかっ た。【結語】C-S を併用することにより詳細な 3D 画像を得ることができた。また心房中隔穿刺や PVI 中のモニターに用いることで 安全性向上に有用であった。 S3-4 CARTOSOUND を用いた左房ストレイン解析:心房細動患者における局所的左房壁運動の評価と構 造的リモデリングとの関連性について 五十嵐 都、石津 智子、瀬尾 由広、黒木 健志、町野 毅、関口 幸夫、野上 昭彦、青沼 和隆 筑波大学 医学医療系 循環器内科 【背景】2D スペックルトラッキング法による左房ストレイン解析は、非侵襲的に左房機能を評価できる方法である。しかし、心房 細動 (AF) 患者における左房内の局所的な壁運動についてはほとんど知られていない。CARTOSOUND(C-S)は心腔内エコー画像 を 3D マッピングシステム (CARTO) 上に表示することが可能である。これにより左房内の局所のエコー動画が得られ、また CARTO 上での位置、電位との関係も明らかとなる。【方法】対象は肺静脈隔離術 (PVI) が予定されている AF 患者 32 例 (62 ± 9 歳、 発作性 20 例 )。全例 PVI 前に薬物あるいは電気的に除細動されており、PVI 直前に C-S により左房内のエコー動画を得た。次に CARTO による左房内の voltage mapping を行い低電位領域 ( < 1.0mV=LVA) の有無を評価した。左房内の底部、側壁 ( 僧帽弁輪 近くの短軸像 )、後壁 ( 左右肺静脈間の垂直像 )、前壁~中隔において長軸方向ストレイン (LS) を計測した。ストレイン時間曲線は 心電図の P 波を開始点とした。【結果】左房底部、側壁ではストレイン曲線は陰性に振れるのみであったが (peak LS: - 15 ± 7, - 18 ± 9%)後壁では陽性 - 陰性 - 陽性の3相性を示した(- 12 ± 9%)。また前壁~中隔主に陽性であった ( + 12 ± 6%)。一方 LVA のある群 (>10%, 15 例 ) では後壁の peak LS が有意に低下していた(LVA +:- 8 ± 9%, LVA -:- 16 ± 7%, p < 0.05)。 他の部位でも LVA のある群は peak LS は低下傾向にあるが有意差はなかった。【結語】左房壁運動は部位によって異なり、底部や 側壁は主にポンプとして、前壁~中隔はリザーバーとして機能している可能性が示唆された。また、また左房の電位低下に伴い左 房機能の低下が認められ、特に後壁の収縮能低下が著明であった。 102 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography S3-5 カテーテルアブレーションによる不整脈治療における心腔内エコーの役割 井上 耕一、岩倉 克臣、田中 耕史、豊島 優子、岡 崇史、田中 宣暁、外海 洋平、織原 良行、 藤井 謙司 桜橋渡辺病院 循環器内科・心臓血管外科 特別セッション カテーテルアブレーション(CA)、特に心房細動(AF)に対する CA では、 心臓とその周りにある構造物、カテーテルの位置、通電した位置の 3 次元的 な把握が極めて重要である。最新の心内エコー(ICE; Intra-Cardiac Echo) である SOUNDSTAR は大腿静脈から挿入でき、屈曲操作も可能である。 Phased Array 方式であるうえに先端には特殊な磁気センサーが付いており、 これを CARTO システムと連動させることで、ICE の位置・向き・画像の Depth が表示され、通電部位・カテーテルと左房壁のコンタクト・心内構造 物・合併症の有無を確認しながら治療できる。また、CARTO システムには MERGE と呼ばれる CT 画像を Superimpose させて三次元的位置の把握を補 助 す る 機 能 が あ る。 こ の ICE の エ コ ー 画 像 を も と に し て 容 易 に 正 確 な MERGE を行うことが可能となった。これらの機能を用いることで、透視時 間及び被曝量は劇的に減少した。順調に治療が行われた場合はそれぞれ 5 ~ 10 分である。レントゲンと心内心電図の世界であった CA に超音波の技術 が導入され、より容易で、より安全で、より負担の少ない CA が実現しつつ ある。 シンポジウム 4(S4) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 10:40 - 12:10 Low flow low gradient AS をどう見つけ手術するか 座長:吉田 清(川崎医科大学 循環器内科)・上松 正朗(関西労災病院 循環器内科) 〈企画趣旨〉 大動脈弁狭窄症(AS)は、長らく無症状で経過し、その後急速に心不全、狭心症、失神等の症状が出現する。そのため聴診および心エコー 図による診断が重要である。重症度評価には、 (1)狭窄血流速、 (2)簡易ベルヌーイ式による左室―大動脈平均圧較差、 (3)連続の式によ る弁口面積、が推奨されている。それぞれ利点および限界があるため、単一の指標のみで評価すべきではない。ところで近年重症であるが圧 較差の小さい Low-flow low-gradient AS という概念が提唱されている。有効弁口面積が 1.0cm2 以下と小さいにも関わらず、左室駆出率が 40% 以下で、かつ平均圧較差が 30-40mmHg に達しないものをいう。さらに左室駆出率が正常でも、圧較差の小さな重症 AS が存在すること が知られており、Paradoxical low-flow low-gradient AS と呼ばれる。これらの現象は、圧較差が流量に依存することに起因するが、このよ うな症例はどの程度の頻度で遭遇するのか、診断をどうするか、重症度をいかに評価すべきか、はたして予後はどうか、どのタイミングで手 術を行うべきか等、迷うことも多いのではなかろうか。本シンポジウムではかかる問題点に関する最新のデータを提示していただき、病態へ の理解を深めるとともに明日からの臨床に活かしたい。 S4-1 A New Noninvasive Index of Left Ventricular Afterload in Aortic Stenosis: Valvuloarterial Impedance (Zva) 原田 顕治 1、大木 崇 2、塩田 隆弘 3 1 徳島県立中央病院 循環器内科、2 独立行政法人国立病院機構 東徳島医療センター、3 Cedars-Sinai Heart Institute Over the past five decades, the onset of syncope has been considered the main demarcation point in the prediction of grave prognosis in the natural course of aortic valve stenosis (AS). However, the evaluation of AS severity has been limited to valve-specific factors such as aortic valve area. Recently, valvuloarterial impedance (Zva) was proposed for estimation of the global left ventricular afterload: Zva = (systolic arterial pressure + mean transaortic pressure gradient)/ stroke volume index. Our results suggested that syncope in AS may arise as a result of high Zva underlying multiple mechanisms, not just the conventional parameters of AS severity. Integrating Zva with conventional echocardiographic parameters may promote a more comprehensive assessment of AS patients. Based on the data at Cedars-Sinai Heart Institute, we would like to propose the clinical application of Zva. 103 第25回日本心エコー図学会学術集会 S4-2 奇異性低流量 - 低圧較差大動脈弁狭窄症の評価と予後の検討 宮坂 陽子、諏訪 恵信、前羽 宏史、辻本 悟史、塩島 一朗 関西医科大学 第二内科 循環器内科 【背景】左室駆出率が保持された低圧較差の重症大動脈弁狭窄症患者の日本 人予後調査は少ない。【方法】2007 年 7 月~ 2012 年 6 月に診断した左室駆出 率≧ 50%の重症大動脈弁狭窄症 ( 弁口面積< 1.0 cm2) を対象とし、2013 年 8 月まで全死亡をフォローした。低圧較差は大動脈―左室平均圧較差< 40 mmHg、低流量は左室一回拍出量< 35 mL/m2 と定義した。【結果】連続 208 例 (76 ± 9 歳、男性 39% ) のうち、107 例が低圧較差、うち 83 例 (40% ) が正常流量 / 低圧較差、24 例 (11% ) が低流量 / 低圧較差であった。平均観 察期間 24 ± 20 ヶ月に、 85 例 (41% ) に大動脈弁置換術が施行され、 33 例 (16% ) が死亡した。低圧較差は有意な予後予測因子ではなかった(左図)。しかし、多変量 Cox 比例ハザード解析で年齢・性別・無症候性・ 外科的治療を補正しても、低流量 / 低圧較差は独立した全死亡の予測因子であった ( ハザード比= 3.0、95%信頼区間= 1.3-6.7)(右図)。 【結論】左室駆出率が保持された重症大動脈弁狭窄症で低圧較差の場合、左室一回拍出量の評価が予後予測に重要である。 特別セッション S4-3 Paradoxical low-flow, low-gradient AS は積極的治療が必要か?:スペックルトラッキング法に よる重症度・手術適応評価の試み 佐藤 希美 1、瀬尾 由広 1、石津 智子 1、竹内 正明 2、出雲 昌樹 3、鈴木 健吾 3、山下 英治 4、大島 茂 4、 明石 義浩 3、尾辻 豊 2、青沼 和隆 1 1 筑波大学 循環器内科、2 産業医科大学 第二内科、3 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、4 群馬県立心臓血管センター 循環器内科 【背景】Paradoxical low-flow, low-gradient AS(Paradoxical AS) は、より進行した病態であり予後は不良とする報告と、それに矛盾 する報告もあり多様な病態が混在する可能性がある。【目的】スペックルトラッキング法による global longitudinal strain(GLS) を用 いて治療適応のある Paradoxical AS を判別できるか検討すること。【方法】左室駆出率> 50%、大動脈弁口面積係数< 0.6cm2/m2 を満たす 257 例の重症大動脈弁狭窄症を対象とした。LVSVi < 35ml/m2 を low-flow(LF)、大動脈弁平均圧較差< 40mmHg を lowgradient(LG) と定義して、LFLG、normal-flow(NF), high-gradient (HG)、NFLG、および LFHG の 4 群に分類し、心エコー検査所見、 MACE( 心臓死、大動脈弁置換術、心血管イベント ) の発生率について比較を行った。【結果】116 例 (45% ) が LFLG に該当した。 全症例のうち 82 例 (32% ) に MACE を認めた。LFLG は 2 年間の無イベント生存率 62%と 4 群の中で 2 番目に予後良好であった (LFHG 20% , NFHG 27% , LFLG 62% , NFLG 90% )。イベントに対する ROC 解析により GLS -17%をカットオフ値として LFLG を 2 群に 分けると、GLS 低値群は LFHG、NFHG と同様に予後不良であった (LFLG GLS 低値群 35%、GLS 高値群 75% ; p < 0.0001)。GLS が保たれた症例は、低下群と比較し AS の重症度指標や左室肥大が軽度であった。【結論】Paradoxical AS には多様な病態が存在し、 GLS 解析はそのリスクを層別化し、手術適応決定に有用であることが示唆された。 S4-4 左室駆出率の保たれた low flow, low gradient AS の頻度とその特徴 大倉 宏之 川崎医科大学 循環器内科 近年、左室駆出率が保たれているにもかかわらず、低圧較差を呈する重症大動脈弁狭窄症 (AS)、いわゆる paradoxical low flow (LF), low gradient (LG) AS の存在が注目を浴びている。Paradoxical LF AS の頻度は 17-38% と報告されており、求心性左室肥大を有する、 高齢、女性があげられているその特徴とされている。本邦における AS 症例での LF 例の頻度とその臨床背景を明らかにするために、 後ろ向きに検討を行った。対象は 2009 年 10 月から 2013 年 7 月までに当院で心エコー図検査を施行した AS ( 大動脈弁通過最高流速 : Vp > 2.0 m/sec) 連続 836 例中、左室駆出率 (EF) が 50% 以上に保たれていた例 (766 例:平均年齢 76 歳、女性 58% ) であった。低 流量 (LF 群:一回拍出量係数< 35 ml/mm2) の頻度とその臨床背景や心エコー図所見を流量の保たれた例 (PF 群 ) と比較検討した。 低流量は 51 例 (6.7%) に認められた。LF 群と PF 群の間には、年齢や Vp には差は無かったが、LF 群では女性の比率が少なく、そ の体表面積は大きい傾向にあった。左室拡張末期容積は有意に小さく、左室収縮末期容積は小さい傾向にあり、EF は有意に小であっ た。大動脈弁口面積は有意に小さかった。重度 AS 例 114 例に限った検討でも、LF 群 (22 例、6.9%) で Vp が有意に小さかったこと 以外は、全体での検討と同様の結果であった。【結語】AS 例中における低流量例の頻度は約 7%であった。過去の報告と異なり、女 性の比率は少なく、体格に比して左室内腔が小さい男性がという特徴を有していた。 104 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography S4-5 本邦における奇異性低流量低圧較差大動脈弁狭窄症は欧米同様予後不良か?多施設共同研究による回答 竹内 正明 産業医科大学 第二内科 本邦では老人性大動脈弁狭窄症の頻度が爆発的に増えている。重症大動脈弁狭窄症患者にひとたび労作時の呼吸困難等の自覚症状 が出現した場合、内科的治療のみの予後はきわめて不良であり、外科的あるいは経皮的大動脈弁置換術が唯一の治療法となるが、 併存する全身の合併症、その医療経費等多くの問題を有している。一方左室駆出率が正常かつ大動脈弁口面積からは重症と診断さ れる大動脈弁狭窄症患者の中に平均圧較差が重症基準を満たさないいわゆる奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症 (paradoxical low flow low gradient severe aortic stenosis) の存在が Hachicha らにより提唱され、これら患者の予後は高圧較差重症大動脈弁狭 窄症より悪く、もっと進行した大動脈弁狭窄症と考えられている。我々が日常臨床の中で経験する大動脈弁狭窄症患者にはかなり の割合で奇異性低流量低圧較差大動脈弁狭窄症が存在しているが、はたしてその予後は本当に悪いのであろうか?半年ごとに元気 に外来にやってくる患者さんを診るにつれ、本邦における奇異性低流量低圧較差大動脈弁狭窄症は欧米とは異なり、予後良好では ないかと考えるようになった。その仮説を立証するために後ろ向き、前向きの多施設共同研究を企画した。今回は後ろ向き研究か ら得られた本邦の奇異性低流量低圧較差大動脈弁狭窄症の特徴を明らかにしたい。 特別セッション シンポジウム 5(S5) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 10:40 - 12:10 全身性疾患における心病変のエコー CT, MRI vs 心エコー 座長:岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 循環器内科)・山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科 / 超音波センター) 〈企画趣旨〉 全身性疾患に伴う二次性心筋症は多彩な病態を示す。心エコー図でも、一部の疾患を除いて非特異的な像を呈することが多 く、その診断能力 には限界がある。また、心エコー図は心筋の性状や心臓以外の病変の評価には不向きである。一方、CT、MRI は 心臓の形態のみならず心筋 の性状を診断することが可能であり、二次性心筋症の診断にはきわめて有用である。ただ心エコー図に比べ て、これらの画像診断法は日常臨 床での使用に様々な制約がある。心機能の評価についても心エコー図には及ばない。 心エコー図と CT、MRI などの画像診断法とは相補的な関係にあり、両者を組み合わせることでより正確な病態把握が可能 となる。そのた めに両者の特長をよく認識するとともに、その限界についても熟知する必要がある。本シンポジウムでは各種の全身性 疾患に伴う心筋症を、 multimodality imaging を用いてどのように診断していくかについて討議していくことを目標としている。いずれの演者も経験豊かな先生方で あり、臨床の現場での実践 にすぐに役立つお話をお聞かせいただけるものと期待している。 S5-1 心サルコイドーシスの左室局所心筋におけるガドリニウム遅延造影と収縮期ストレイン 坂東 美佳 1、山田 博胤 1、西尾 進 2、天野 里江 2、平田 有紀奈 2、山尾 雅美 2、鳥居 裕太 2、 西條 良仁 1、林 修司 2、發知 淳子 1、岩瀬 俊 1、高尾 正一郎 3、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター、3 徳島大学病院 放射線科 【背景】心サルコイドーシスの診断に心臓 MRI のガドリニウム遅延造影 (LGE) が有用であるとの報告がある.心サルコイドーシスの左室局所心筋における LGE と収縮期ストレインとの関係について検討した.【方法】臨床診断基準 を満たした心サルコイドーシスのうち,心臓 MRI で LGE がみられた 8 例(平 均 67 歳,男性 2 例 ) を対象とした.経胸壁心エコー検査で 2 次元スペック ルトラッキング法により左室の各分画における longitudinal strain(LS) を算 出した.【結果】全 144 分画のうち,スペックルトラッキング法の解析に適 さない記録不良な分画を除いた 141 分画を解析した.心筋壁菲薄化の評価は, MRI と経胸壁心エコー検査でほぼ一致した.LGE を心筋厚の 1/2 以上に認 めた分画での平均 LS は -10.2 ± 5.3%,1/2 以下に認めた分画の平均 LS-12.9 ± 5.7% は , LGE 集積を認めない分画の平均 LS は -18.5 ± 6.2% であり,それ ぞれの群間に有意差を認めた.【結語】心臓 MRI で LGE を認める心筋では LS が低下することが確認でき,心サルコイドーシスの診断にスペックルト ラッキング法が有用なツールとなる可能性が示唆された 105 第25回日本心エコー図学会学術集会 S5-2 左房機能異常から診る心アミロイドーシス : 心エコー検査と MRI 検査の有用性、限界を含めた検討 井上 勝次、飯尾 千春子、西村 和久、藤本 香織、河野 珠美、藤井 昭、上谷 晃由、永井 啓行、 鈴木 純、大木元 明義、大藏 隆文、檜垣 實男 愛媛大学大学院 循環器呼吸器腎高血圧内科学 特別セッション 心不全症状が出現した心アミロイドーシス例の予後は極めて悪く、無症状時 の早期診断・治療介入が重要である。心アミロイドーシスは左室のみならず 左房へのアミロイド沈着を高率に認め、左房機能低下を惹起する。我々は組 織学的に心アミロイドーシスと確定診断された 15 例と左房容量をマッチさ せた肥大型心筋症 54 例及び正常コントロール群 27 例でスペックルトラッキ ング法を用いた左房機能評価を行った。心アミロイドーシス例は肥大型心筋 症、コントロール群に比し有意に左房リザーバー機能(17 ± 9% 25 ± 7% , 32 ± 7%)およびブースター機能(-8 ± 4% -11 ± 5% , -14 ± 4%)が低く(図 左) 、予後不良であった。心アミロイドーシス7例で MRI 検査を同時に施行 した。7例中 6 例で左室心内膜層全周と左房への遅延造影を認め(図右)、 高い診断能を示したが、6 例ではディバイス植え込み術後や腎アミロイドー シス例で MRI が施行できなかった。心エコーを用いた左房機能評価は心ア ミロイドーシスの診断能向上に寄与出来る可能性が示唆された。 S5-3 Speckle Tracking 法を用いた抗がん剤による心毒性の早期発見 三好 達也、田中 秀和、平田 健一 神戸大学大学院 内科学講座 循環器内科学分野 がんは、日本での死因第 1 位であり、抗がん剤治療を行っている患者数は、がん入院患者の内 18%という推計がある。近年では、 化学療法により長期生存が期待できるようになってきたが、アントラサイクリン系抗がん剤や一部の分子標的薬での心毒性がしば しば患者の予後に影響を及ぼすことがある。アドリアマイシンをはじめとするアントラサイクリン系薬剤では、容量依存性の心毒 性が指摘されており(N Engl J Med 1998;339:900-5)、その心毒性による左室心筋障害の予後は他の心筋症と比べて不良である。現 在においても心毒性の原因は明らかではなく、心毒性早期発見のためのスクリーニングとして、心エコー図検査が推奨されており、 また、バイオマーカーや心臓 MRI でのスクリーニングが有用という報告もなされている。しかしながら、左室駆出率が保持された 段階での左室心筋障害の同定に関してはまだ不十分である。さらに、近年抗がん剤の心毒性に対して、ACE 阻害薬(Circulation 2006;114:2474-2481)やβ遮断薬(J Am Coll Cardiol 2006;48:2258-62)の有用性が報告されており、心毒性早期発見・早期治療介入 の重要性は増している。本セッションでは、自験例を基に、左室駆出率が保持された段階でのアントラサイクリン系薬剤による心 毒性の早期発見に対する speckle tracking 法の有用性について概説する。 S5-4 心エコーにて腫瘤性を認めた悪性リンパ腫6症例の心エコー所見と他のイメージングの比較検討 野間 充 1、折口 秀樹 2、毛利 正博 2、山本 英雄 2、青木 健一 3、小川 亮介 3、堀端 洋子 4 1 九州厚生年金病院 医療情報部、2 九州厚生年金病院 循環器内科、3 九州厚生年金病院 血液腫瘍内科、 国立療養所菊池恵楓園 内科 4 【背景】悪性リンパ腫は、心臓を含めた全身のどこにでも生じる疾患であるが化学療法や放射線療法が奏功する場合が少なくない。 【目 的】心臓に腫瘤性病変を生じた症例で CT や MRI などのイメージングと比較して心エコー検査の役割について検討すること。 【対象】 2005 年以降に PET や CT で心臓病変を認めた9症例の内、心エコーにて腫瘤性病変を確認できた6症例を対象とした。【結果】症 例は、72歳~84歳。男性4例、女性2例。全て B 細胞性リンパ腫であった。PET および CT で右房内腫瘤形成が2例、左房か ら左室に及ぶ腫瘤形成が1例、右房から右室・心房中隔に腫瘤形成例が1例、両房室弁・両心房・両心室・心房中隔から心室中隔 に及び心タンポナーデと三尖弁狭窄を生じた症例が 1 例、左房の背側に腫瘤形成し左房を圧排した症例が1例であった。心エコー 検査は、病変の広がりと血行動態の評価に有用であった。また、悪性リンパ腫の組織診断の為に経食道心エコーで部位を確認した 上で IVUS と透視下で左房後壁から心筋生検を行い確定診断を行い得た症例が 1 例あった。CT 検査で多数の臓器に病変を認めた場 合に心臓内腫瘤を指摘されていない症例が3例あったので注意を要すると思われた。MRI 検査は、2例で施行したが病変の広がり の評価に役立った事以外で CT 以上の所見が得られた症例はなかった。【考察】心エコー検査は、腫瘤性病変や広がり・血行動態へ の影響や治療による効果のみならず合併症の診断や経過観察にも役立つが、右房内腫瘤の描出には工夫が必要である。しかし、心 臓以外の広がりなどにおいては CT 検査が有用であると思われた。今回の検討では、MRI が心エコーや CT 以上に有用であった症 例はなかった。 106 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography S5-5 大動脈炎症候群における心エコー図の役割 大西 俊成 1、竹田 泰治 1、坂田 泰史 1、中谷 敏 2 1 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学、2 大阪大学医学部医学系研究科 保健学専攻機能診断科学 Computed tomography (CT) や magnetic resonance imaging (MRI) 検査を用いて、心臓や大血管を解剖学的に把握し、病態を評 価することができるのに対し、心エコー図検査を用いれば、心臓における形態的な情報に加え、圧較差など機能的な面から病態を 知ることができる。 大動脈炎症候群は、大動脈およびその基幹動脈、冠動脈、肺動脈に炎症が起こる自己免疫疾患で、病理学的 には動脈外膜側より内膜側に進展する血管炎である。大動脈壁の不整や狭窄、閉塞、びまん性の拡張病変を認め、確定診断は digital subtraction angiography (DSA) や CT、magnetic resonance angiography (MRA) の画像診断によって行なわれる。さらに、大動脈 炎症候群の中には約 15%の症例に肺動脈病変の合併を認めるものがある。初発症状における肺症状の訴えは少ないが、本症の診断 が疑われた場合は CT、MRA による肺動脈病変の評価とともに心エコー図による肺高血圧の有無を評価する必要がある。 本セッ ションでは、大動脈炎症候群の診断、治療経過における CT、MRA 検査とともに心エコー図検査の有用性について実際の症例から 考えてみたい。 特別セッション シンポジウム 6(S6) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 13:10 - 14:40 連合弁膜症の治療方針(連合弁膜症、大動脈、先天性心疾患など) 座長:赤石 誠(北里大学北里研究所病院 循環器内科)・大倉 宏之(川崎医科大学 循環器内科) 〈企画趣旨〉 弁膜症の治療方針はガイドラインに詳細に記載されている。このガイドラインは、弁膜症の自然歴、治療の技術革新を勘案したものであり、 多くのエビデンスに裏打ちされている。しかし、単一の弁膜症ではなく、他の弁の異常を伴っている連合弁膜症や、先天性心疾患と弁膜症が 併存する場合に遭遇し、ガイドラインをそのまま適用できないことも稀ではない。このシンポジウムでは、複雑な病態を呈する連合弁膜症等 をとりあげ、心エコー図所見からその生理学を正しく理解し、解剖を解明することの重要性を示し、より適切な治療判断をするために重要なポ イントを議論していただきたい。日常で、ガイドラインの適用に悩んでおられる症例を経験なさっている方々の多くの参加を期待する。 S6-1 大動脈弁狭窄症に合併する僧帽弁逆流の治療方針:同時に手術するべきか 林田 晃寛、鍵山 暢之、玉田 智子、古山 輝將、今井 孝一郎、山田 亮太郎、久米 輝善、根石 陽二、 川元 隆弘、大倉 宏之、吉田 清 川崎医科大学 循環器内科 重症大動脈弁狭窄症で手術適応である時、合併する僧帽弁逆流の治療方針は以下に分類される。・大動脈弁置換術を行い、僧帽弁に 対しては何もしない・大動脈弁置換術と僧帽弁置換術を行う・大動脈弁置換術と僧帽弁形成術を行う大動脈弁狭窄症に対し大動脈 弁置換術を行うと、左室内圧が減少し僧帽弁逆流は軽くなる場合がある一方、僧帽弁逸脱などの器質的な僧帽弁逆流であれば変化 しない。中等度以上の僧帽弁逆流を残さないための戦略を考察する。大動脈と僧帽弁の同時置換手術は体外循環の時間が長くなり、 手術リスク増加と関連する。また、人工弁関連の慢性期合併症も懸念材料である。しかし、中等症以上の僧帽弁逆流が残ると慢性 期の症状、予後に影響を及ぼすと考えられる。僧帽弁置換術ではなく、僧帽弁形成術(僧帽弁輪縫縮術)を行うという選択も考え られるが、どのような僧帽弁の形態であればうまくいくのか見極める必要がある。本発表において具体的な症例を提示しつつ、大 動脈弁狭窄症に合併する僧帽弁逆流の治療方針について考えてみたい。 107 第25回日本心エコー図学会学術集会 S6-2 僧帽弁膜症を合併した大動脈弁狭窄症の治療 ~経カテーテル的大動脈弁置換術の経験から 村田 光繁 1、林田 健太郎 2、鶴田 ひかる 2、福田 恵一 2 1 慶應義塾大学医学部臨床検査医学、2 慶應義塾大学医学部循環器内科 大動脈弁・僧帽弁の連合弁膜症はそれぞれの単弁疾患単独症例に比べてその病態生理は複雑かつ重篤なことが多い。一方、最近の 開心術の成績向上・安定化が進むにつれ大動脈弁・僧帽弁の連合弁膜症の手術適応については従来の臨床症状のみでなく、弁機能 不全の程度、肺高血圧の有無および左室収縮機能なども考慮されるようになり、より早期の外科治療が行われる傾向にある。通常、 連合弁膜症の外科手術では副病変が中等度以上であれば主病変に加えて副病変も手術適応となる (Class IIa)。近年の高齢化により加 齢性の大動脈弁狭窄症 (AS) が増加しているが、中等度以上の僧帽弁逆流 (MR) の合併症例をしばしば経験する。一般に、形態的に 明らかな僧帽弁輪拡大、弁尖逸脱、あるいは弁尖可動性制限などの器質的変化が認められる MR (organic MR) では手術が必要とさ れている。しかし、近年手術成績が向上したとはいえ、両弁置換(AVR+MVR:DVR)の病院死亡率は 8 - 9% と依然リスクは高く、 AVR 後に後負荷低下による MR 軽減を期待して単弁置換とするか、両弁置換にするか迷う症例が存在する。実際、AVR 後に organic MR が軽減する症例があり、術後の MR 変化を予測できれば臨床的に意義が大きいが、現実的には難しいのが実情であろう。 これに対し、昨年本邦で経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が開始され低侵襲的に AVR を行うことが可能となり今後の治療 方針に少なからず影響を及ぼすと思われる。本シンポジウムでは、当院における TAVI の経験をふまえて AS+MR の治療方針につ いて概説したい。 特別セッション S6-3 大動脈基部拡大を伴った大動脈弁閉鎖不全症に対する治療方針-心エコー図で何を見るか?- 田中 秀和、平田 健一 神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野 近年、大動脈基部拡大を伴った大動脈弁閉鎖不全症に対して自己弁温存基部置換術を行うことが可能となり、本術式を選択される 機会も多くなりつつある。これらは現時点では標準術式ではないが、症例数は徐々に増加傾向にあり、従来の弁置換術に劣らない 遠隔成績が示されつつある(Oka T, Okita Y, et al. Ann Thorac Surg. 2011;92:1639-45.)。自己弁温存基部置換術を考慮する患者では、 術前ならびに術後(術中)の経食道心エコー図検査が極めて有用である。特に大動脈弁複合体の評価と、El Khoury らが提唱してい る大動脈弁閉鎖不全症の functional classification が重要である(Boodhwani M, El Khoury G. et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2009;137:286-94)。さらに、近年臨床応用されている 3 次元経食道心エコー図法は、これらの成因診断にさらに有用であり、大動脈 弁や大動脈基部病変の 3 次元情報を視覚的に心臓外科医に提供することが可能であるとともに、3 次元情報を元に作成した複数の 2 次元画像を用いることで、3 尖を各弁尖ごとに評価することが可能である。この手法を用いると、これまでの 2 次元画像では超音波 ビーム方向に重なる 2 つの弁尖同士の開放と閉鎖を確認できるのみであったが、3 次元画像では、任意の弁尖同士もしくは、各弁尖 ごとの開放と閉鎖を確認することが可能である。本セッションでは、大動脈基部拡大を伴った大動脈弁閉鎖不全症における、2 次元 ならびに 3 次元経食道心エコー図法の有用性を、症例を呈示しながら概説する。 S6-4 心房中隔欠損症に合併する僧帽弁閉鎖不全の診断と治療 岩永 史郎 東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 心房中隔欠損症 (ASD) には、僧帽弁の逸脱や閉鎖不全 (MR) を合併することがある。特に、前尖逸脱はよく見られる合併症である。 ASD に伴う右室容量負荷は心室中隔を左室側に変位させて、左室を扁平化させる。前中隔・後壁間距離が短縮するために、僧帽弁 は前後方向に圧排される。このため、左右シャント量が多い ASD では、粘液腫様変性など組織学的変化がない場合でも前尖が逸脱 する。このような症例では、欠損孔の閉鎖によって右室容量負荷が改善すると、左室形態が正常化して、前尖逸脱も消失すること が多い。僧帽弁に器質的変化を持たない症例では、通常、僧帽弁への外科的介入は不必要である。しかし、ASD も僧帽弁逸脱症も 発生頻度が高く、両疾患が合併することも少なくない。僧帽弁に肥厚や変形、腱索断裂などの器質的変化を認める MR では、欠損 孔閉鎖術に加えて僧帽弁形成術を行う必要がある。 もう一つの問題は、一次孔型心房中隔欠損症 ( 房室中隔欠損症 ) に伴う僧帽弁クレフトである。欠損孔閉鎖時に僧帽弁クレフトに 対する弁形成術が行われるが、その長期予後は必ずしも芳しくない。術後の僧帽弁の成長や逆流血流による弁尖障害によって、逆 流が徐々に増加する症例が多い。逆流量が少量であっても、逆流血流速度が 5 ~ 6 m/s( 時速 20 km 前後 ) と速いため、弁尖に肥厚 や硬化をもたらし、逆流を悪化させる (Regurgitation begets regurgitation)。クレフトの形成術後、長期間の後に人工弁置換術が必 要となる症例は少なくない。弁形成時にクレフト部弁尖を如何に治療するかが肝要となる。 108 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography S6-5 連合弁膜症に合併する三尖弁閉鎖不全に対する治療方針とその予後 福田 祥大、竹内 正明、永田 泰史、岩瀧 麻衣、林 篤志、大谷 恭子、芳谷 英俊、尾辻 豊 産業医科大学 第2内科 三尖弁逆流はリウマチ、先天性心疾患、感染性心内膜炎などの器質的変化によって生じる器質的逆流と、心機能の低下や心容量・ 圧負荷によって生じる“2 次性”または“機能性”と呼ばれる逆流に分類される。連合弁膜症ではしばしば機能性三尖弁逆流を併発 する。機能性三尖弁逆流の機序は弁輪拡大であることが十分に認識されている。さらに、右室 remodeling による弁尖 tethering も 機能性三尖弁逆流の発生に深く寄与していることが知られてきた。逆流の重症度はこれら 2 つの弁変形(弁輪拡大と弁尖 tethering) の程度と相関する。僧帽弁疾患または大動脈弁疾患の外科的治療後に機能性三尖弁逆流が自然に改善するか否かを正確に予測する ことは困難である。よって、連合弁膜症に対して開胸術が予定される症例では、同時に機能性三尖弁逆流の修復、つまり弁輪形成 術による弁輪縫縮が広く推奨されている。しかし、その成績は必ずしも満足のいくものとは言えず、20%~ 30%の症例で三尖弁逆 流が残存することが報告されている。特に、弁尖 tethering の強い症例では弁輪縫縮後も tethering が解消せず、逆流が残存する。 術後に三尖弁逆流が残存した例では、左心系の手技の成功にも関わらず、三尖弁逆流による右心不全症状や低心拍出量が生じるた め術後長期の予後が不良であることが知られている。一方、三尖弁位の人工弁置換術は血栓塞栓合併率が高いため現状では積極的 に推奨されない。このような現状を踏まえ、機能性三尖弁逆流の治療方針とその予後、さらに今後の課題を議論したい。 特別セッション シンポジウム 7(S7) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 8:30 - 10:00 術中心エコー(麻酔科、心臓血管外科、循環器内科医の communication) 座長:尾辻 豊(産業医科大学 第二内科)・小出 康弘(葉山ハートセンター 麻酔科) 〈企画趣旨〉 M モード法による僧帽弁狭窄の診断に始まった心エコー図法ですが、現在では診断を超えて治療のガイドや治療効果判定にまで役割を広げて きています。その代表として術中経食道心エコー法があり、循環管理、心臓大血管手術のガイド、手術の成否を判断することによって良好な 手術成績をもたらすことができます。本シンポジウムでは、心臓外科手術に携わる外科医・麻酔科医・内科医全てに参加していただきます。 循環器内科医が最も心エコー図を活用していると思われ、近年普及してきた 3D エコーの術中活用について講演いただきます。外科医や麻酔 科医はそれぞれ異なる視点を持っており、内科医が思いもよらぬ独自の応用法を行っています。外科医には手術のガイドとしての術中心エコー を講演いただき、 麻酔科医には再ポンプの可否について講演いただきます。再度ポンプを回して手術をやり直すことは多くの利点もありますが、 短時間で判断しなければいけないという限界もあります。他科がすることにより厳しい判断を下せるとの意見もあります。このように本シンポ ジウムでは多職種の演者に参加いただけましたので必ずや多彩で斬新な発表を提供できると考えています。このシンポジウムが参加者・聴講 者の臨床に役立つことを切に願っています。 S7-1 閉塞性肥大型心筋症に対するエコー支援下のモロー手術 米田 正始 1、小澤 達也 1、松濱 稔 1、増山 慎二 1、北村 英樹 2、玉田 智子 3、尾長谷 喜久子 3、 鍵山 暢之 3、吉田 清 3 1 高の原中央病院かんさいハートセンター心臓血管外科、2 名古屋ハートセンター心臓血管外科、3 川崎医大病院循環器内科 【目的】閉塞性肥大型心筋症 (HOCM) の治療はまだ改善の余地が残されている。我々は薬物療法やペースメーカー治療、カテーテル 治療が限界と思われるケースにモロー手術を心エコー支援下に行って来た。これを病態別に検討した。 【方法】過去 5 年間に HOCM に対してモロー手術を受けた 33 人の患者を、大動脈弁狭窄症 AS を合併した 16 例 (Group1) と合併しないもの 17 例 (Group2) に分け て検討した。手術では術前経胸壁エコーと術中経食エコーで心筋切除範囲を決め、後者で左室内圧較差や SAM の消失を確認して手 術を終えた。最近の 10 例は小切開低侵襲手術にて施行し、Group2 患者は AVR または大動脈弁形成を合併施行した。 【成績】A.病 態間の比較:Group1 の患者は高齢で (76+/-8 vs. 61+/-19 (p=0.011)、症状は軽く、エコーにて IVSd が低く (13+/-2mm vs. 17.8+/-5.1, p=0.003)、MR も軽く (2.1+/-0.9 degree vs. 3.1+/-1.1)、SAM の頻度も軽く、左室内圧較差も少なく (33+/-24mmHg vs. 102+/-59)、さ らに左室長軸方向の病変部長も短かった (28+/-7% vs. 39+/-19)。B.手術の効果:Group 1 では術後まもなく症状改善し MR も 1.1+/-0.7 度まで軽減し SAM も出現ゼロだった。1 年後、症状はさらに改善し IVSd はほぼ正常化し、LVPWd も 11.1+/-1.5mm まで 改善した。一方、Group 2 では術後症状改善し MR も 1.5+/-1.1 度まで軽減、SAM の頻度も減少し左室内圧較差は 15+/-11 まで減少 した (p=0.002)。1 年後、NYHA、IVSd、LVPWd とも改善した。 【結論】HOCM は付随する AS の有無で異なる病態を示した。しか しモロー手術に対してはいずれも良く反応した。エコー支援下の低侵襲アプローチはモロー手術においても有効で広範囲心筋切除に も対応できた。 109 第25回日本心エコー図学会学術集会 S7-2 三次元心エコー図を術中エコーに活かす 芳谷 英俊 1、竹内 正明 1、永田 泰史 1、林 篤志 1、大谷 恭子 1、福田 祥大 1、江藤 政尚 2、西村 陽介 2、 尾辻 豊 1 1 産業医科大学 第二内科、2 産業医科大学病院 心臓血管外科 心臓血管外科手術において経食道心エコー図検査は重要な役割を担っており、手術手技をする際の大きな手助けを果たしている。 また三次元心エコー図が用いられることにより異常部位を術中に外科医とともに確認することができる。特に僧帽弁や大動脈弁な どの弁膜形態異常や置換術後の治療効果の判定の際には enface view での観察ができるために術者により的確に情報を伝えることが できると思われる。一方で三次元エコー法は複数の心拍同期が必要であることなどの二次元エコー法の方が優れている点もあるた めいずれの方法も併用しながらうまく用いることが重要である。【症例】73 才、女性。重症大動脈弁狭窄症および冠動脈狭窄に対し て大動脈弁置換術および冠動脈バイパスの同時手術を施行。左室はS字中隔と求心性リモデリングを呈しており周術期に左室流出 路狭窄を来す可能性も考えられたため、中隔心筋切除も同時におこなった。二次元エコー図でははっきりしなかったが三次元エコー 図で任意の cut plane を描出できることもあり心筋切除部分を確認することができた。また人工心肺離脱時に SAM にともなう僧帽 弁逆流も観察されたが。これについては二次元、三次元エコー図いずれも観察し得たが、三次元エコーで観察すると後交連側の SAM がやや強く同部から特に僧帽弁逆流が認めることが確認し得た。術中エコー図検査が有用であったいくつかの症例を通して、 二次元、三次元エコー図のそれぞれの特性を活かして検査に用いることの重要性を確認したい。 特別セッション S7-3 ハートチームにおける心臓血管外科術中TEEの役割 渡橋 和政 高知大学医学部外科学(外科二) 最近『ハートチーム』という言葉がさかんに使われるが、その使い方、受け止め方にはかなり温度差があるように感じる。定期 的にカンファを持つ程度で真のハートチームと言えるだろうか。たとえば、内科医は術式をどの程度自分の目で見て理解し、手術 を意識した術前評価を提供しているだろうか。また術後評価において、手術術式に加え体外循環や空気塞栓が心臓に与える影響を どれくらい考慮しているだろうか。TEEを受け持つ麻酔科医は、どの程度外科手技に有益なガイドを行っているだろうか。また、 外科医はどの程度術前後のエコー評価や術中エコーを理解し、術中エコーの情報を活用して手術の質を上げる努力をしているだろ うか。 僧帽弁形成術の普及により、TEEは三者の距離をぐっと縮めた。さらに TAVI の導入、近い将来導入されるだろう Mitraclip により、TEEはさらにハートチームの橋渡しとして大きな役割を担うことになるだろう。すでに確立された治療におい ても、治療成績が向上し比較的安定している現在、さらなる安全性と確実性が期待されており、想定外とされていた合併症につい ても、TEEなどを活用すれば回避し得たのではないかという点が今後問題として取り上げられてくることが予想される。三者が シームレスなつながりを持ったチームでなければ回避できないトラブルも次第に明らかになってくるだろう。そのような事例を提 示しつつ、どのような形で互いの意思疎通をはかり、さらに相乗的な効果を生み出すことができるかという点について発表したい。 S7-4 術中経食道心エコーによる decision making intraoperative TEE : before-after 能見 俊浩 イムス葛飾ハートセンター 心臓血管手術において術中経食道心エコー(TEE)は欠かせないツールとなっている。ご存じの通り心臓という臓器は生体の循環 を成立させるためのポンプの役割を担うパーツであり、体外循環下での修復の前後および周術期の機能評価は欠かせない。術中 TEE は麻酔科医、外科医、内科医、検査技師など各施設で様々な職種の手により行われてきたが、現在では麻酔科医による施行・ 評価が多くなっていると思われる。しかし麻酔科医が TEE に没頭するあまり麻酔管理がおろそかになってしまう危険性が指摘され てもいる。心臓手術は心臓の機能構造を修復するのが目的ではあるが、同時に的確な循環管理が求められている。TEE は循環管理 の面でも有用なツールであることは言うまでもない。麻酔科医は TEE から得た情報を外科医、臨床工学士らと共有しつつ、周術期 管理をより良き方向性を定めていく。主に弁疾患などの開心術では体外循環下の心停止で修復後、心臓を再鼓動し TEE にて評価を 行うが時として思わぬ事象が生じる。本シンポジウムでは主に術前には認められない病変が、体外循環後で新たに認められた症例 等を呈示したい。手術チームの中における麻酔科医としての判断、外科医からの情報を統合し対処を模索した過程などを報告して いく。さらに症例を供覧することにより多くの方々の意見を伺い討議を深めることで、今後の症例への糧とすることができれば幸 いである。 110 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography シンポジウム 8(S8) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 8:30 - 10:00 心エコーを心不全治療に活かす 座長:山本 一博(鳥取大学医学部 病態情報内科)・坂田 泰史(大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学) 〈企画趣旨〉 心エコーは、心不全治療の診断には欠かせないものとなった。心拡大・心肥大など心形態の評価、右室・左室それぞれにおける収縮能・拡張 能の評価、血行動態の推定、弁膜症など基礎疾患の検索、そして機能性僧帽弁逆流、心室非同期など増悪因子の検討など、役割は多岐にわた る。しかし、それぞれの項目について、十分な役割を果たしていると言えるだろうか。心不全治療のトレンドは薬剤、デバイスの進歩によりど んどん変化していくものである。まず心エコーの新技術ありきで、それが何に役立つかという思考回路ではなく、現在心不全治療で問題になっ ているのは何か、そのニーズにどのように答えるかということを第一に考えなくては、真に心不全治療に役立つ心エコーとは言えないのでは ないかと考える。本セッションでは、まず心不全治療を行う上で何が問題になっているかをできるだけ具体的に挙げていただき、そのニーズに 心エコーはどのように答えたのか(または答えようとしているのか)を議論していきたい。 特別セッション S8-1 心不全治療の問題点は何か 坂田 泰史 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 心不全の臨床では、ガイドラインの中に答えがないことが多い。心不全治療をする上において、現在何がわからなくて困っている かについて明らかにし、それを心エコーを用いてどのように解決できるのかを考えるべきである。下記に、そのテーマの一部を列 挙する。1)心臓再同期療法の responder 率をどのように増やすか 心臓再同期療法の有効性を予測する指標は、心電図の QRS 幅 以外に確立されていない。増大する医療費を念頭においた場合、心臓再同期療法の responder 数ではなく率を向上させなければな らない。そのためには、非同期部位の 3 次元的同定と適切な追加ペーシング部位、左室内非同期以外の非同期修正、心筋 viability の正確な評価が必要である。2)機能性僧帽弁閉鎖不全症の手術適応をどのように評価するか 機能性僧帽弁閉鎖不全は心不全治 療過程において変動する。適切な症例に、適切な時期に、適切な方法を用いて修復することが重要である。今後非侵襲的な方法が 出現した場合、手術による修復の適応はより厳密なものとなる。3)HFpEF の簡便なリスク評価はどのようにすればよいか HFpEF の治療はが確立されていない理由の一つはリスクのある HFpEF 症例を簡便に抽出しえないことである。評価すべき項目の 一つである心臓の硬さは心筋線維化が一因と考えられている。しかし、この線維化→スティフネス→ HFpEF という概念に基づき神 経体液性因子に介入する治療はすべて否定的な結果に終わっている。根本的な発想の転換が必要となっているのかもしれない。 S8-2 左室駆出率が保たれた心不全発症リスクと長軸ストレイン 石津 智子 1、瀬尾 由広 2 1 筑波大学 医学医療系 臨床検査医学、2 筑波大学 医学医療系 循環器内科 左室駆出率が保たれた心不全 (HFpEF) はひとたび急性代償不全を来すると内科的治療抵抗性で予後不良である。本疾患の大半は高 血圧性心疾患を有する高齢者である。これらの高血圧症例の中から将来の心不全発症リスクを層別化し、高リスク症例に積極的に 予防的介入をすることが重要である。【目的】HFpEF モデルラットを用いてうっ血性心不全発症に至る直前の左室ストレインの特 徴を明らかにすること【方法および結果】Dahl 食塩感受性ラットに 6 週齢から高食塩含有飼料投与した HT 群(n=41)および低食 塩含有飼料をあたえた対照群(n=31)の 2 週毎に心エコーを行い、左室壁線維化面積および肺重量を測定した。対象群の肺重量の 95 パーセンタイル 1.75 gを超えた場合を肺うっ血と定義すると HT 群のうっ血性心不全発症率は 12 週齢で 0%、14 週齢で 42%、 16 週齢で 83%、18 週齢以降 100%であった。このことから 12 週齢を心不全発症直前期、18 週齢を心不全期と設定した。対照群と 比較すると HT 群では GLS は 12 週齢から有意に低下し、20 週齢まで進行性に増悪した。一方、GRS は 16 週齢、GCS は 18 週齢となっ てから有意に低下した。GLS は 6 から 10 週齢の平均 GLS-25.6 ± 2.9 に対し、12 週齢では 20.2 ± 4.1%となり 5.4 ポイント減 (10 週 齢の平均 GLS の 20%減 )、18 週齢では 11.1 ± 3.5 ポイント減(43%減)であった。病理学的検討では心内膜線維化面積は 10 週齢で 1.1% で 対 照 群 と 有 意 差 な か っ た が、12 週 齢 で 5.0 %、18 週 齢 で 10 % で あ っ た。GLS は 心 内 膜 間 質 線 維 化 と 有 意 な 相 関 を 認 め た (R=0.60,p=0.007)。【まとめ】GLS の 5 ポイント(-20%)の低下は心内膜間質線維化の出現と関連し、心不全発症ハイリスク群であ ることを示唆していると推測された。 111 第25回日本心エコー図学会学術集会 S8-3 Atrioventricular and interventricular delay optimization by echocardiography in cardiac resynchronization therapy 杉本 匡史 1、濱口 真紀 2、石山 将希 1、森脇 啓至 1、堀口 昌秀 1、高村 武志 1、坂部 茂俊 1、 世古 哲哉 1、別當 勝紀 2、笠井 篤信 1 1 伊勢赤十字病院 循環器内科、2 伊勢赤十字病院 臨床検査部 特別セッション Purpose: Although atrioventricular (AV) and interventricular (VV) delay optimization in cardiac resynchronization therapy (CRT) has been recommended, there is no standard method for optimization. Our objective was to identify the better echocardiographic approach for CRT optimization, and to assess the safety and efficacy of this approach.Methods: A group of 26 patients (72 ± 12 years; 65% males; 58% new implants; left ventricular ejection fraction, 38 ± 13% ) with CRT was included. Left ventricular outflow tract velocity time integral (LVOT-VTI) and mitral regurgitant volume (MR-RV) were determined by pulsed wave Doppler echocardiography at different combinations of AV and VV intervals. The study end-points were heart failure hospitalization and all-cause mortality.Results: Compared with fixed combinations of VV 0 ms and senced AV 120 ms (patients treated with atrial pacing: n = 8, paced AV 160 ms), optimized combination significantly increased LVOT-VTI (18.6 ± 4.0cm vs. 18.0 ± 4.0cm, p < 0.001) and reduced MR-RV (11.8 ± 10.5ml vs. 14.3 ± 10.5ml, p < 0.001). During a median follow-up of 10 months, 6 (23%) patients were hospitalized for heart failure but no patients died. Conclusions: Optimization by pulsed wave Doppler echocardiography is found to be a safe and effective method for maintenance therapy in patients with CRT. S8-4 重症心不全症例における右室後負荷指標の可能性 竹田 泰治、大谷 朋仁、大西 俊成、真野 敏昭、坂田 泰史 大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学 左室駆出率の低下した重症心不全症例において、右室機能がその予後に影響を与える重要な因子であることが報告されている。し かしながら、右室の形態的な複雑さから右室機能評価法は限定的である。そこで、我々は、原発性肺高血圧症における予後予測に 有用であると報告されている Pulmonary arterial capacitance(PAC)(一回拍出量 (SV)/ 肺動脈の脈圧)という右室後負荷を反映する と考えられている指標に注目し、非侵襲的に心エコー図で求めた PAC(ドプラ法による求めた SV/(三尖弁逆流圧較差―肺動脈弁 逆流拡張末期圧較差))が重症心不全の予後と関連するか否かについて検討した。2010 年 1 月から 2012 年 12 月までに心不全管理・ 心移植適応評価のために当院に入院した左室駆出率 35% 以下の重症心不全症例 50 例(年齢 20-65 歳)を対象とし、心エコー図で求 めた PAC の 3 分位値(1.90、1.06ml/mmHg)により 3 群(high PAC 群、middle PAC 群、low PAC 群)に分け、1 年間のイベン ト発生率(死亡もしくは左室補助人工心臓装着)を比較した。high PAC 群は他群に比し、左室駆出率に低値を認めず、左室径に高 値を認めなかったにもかかわらず、有意にイベント回避率が高かった(p=0.04)。以上の結果より、心エコー図を用いて求められた PAC は左室駆出率の低下した重症心不全症例の予後予測に有用である可能性が示された。 S8-5 大動脈弁閉鎖不全症にともなう機能性僧帽弁閉鎖不全症に対する外科手術と心エコー 米田 正始 1、小澤 達也 1、松濱 稔 1、増山 慎二 1、北村 英樹 2、玉田 智子 3、尾長谷 喜久子 3、 鍵山 暢之 3、吉田 清 3 1 高の原中央病院かんさいハートセンター心臓血管外科、2 名古屋ハートセンター心臓血管外科、3 川崎医大病院循環器内科 【目的】重症大動脈弁閉鎖不全症 (AR) では左室拡張のために僧帽弁テザリングが発生し機能性僧帽弁閉鎖不全症 (FMR) がときに合 併する。外科手術が必要な場合でもこれまでは FMR を放置するか、僧帽弁輪形成術または僧帽弁置換術を行うか判断に迷うことが あり、現在では M クリップの登場でさらに複雑になっている。我々は心エコーを活用して FMR に対する僧帽弁形成術(乳頭筋最 適化手術、PHO 法)を改良するなかで、こうした AR 由来の FMR に対する治療法を考案したため報告する。【方法】高度 AR に続 発する FMR のため 11 名の患者(男性 9 名、年齢 70 ± 12 歳)に PHO 手術を AVR か同形成または基部再建手術とともに施行した。 手術ではまず大動脈弁ごしに各乳頭筋の前尖ヘッドと後尖ヘッドを結合した PTFE 糸を大動脈弁下カーテンから心臓外に出した。 糸の張力は経食エコーガイド下に体外循環離脱後に調整した。僧帽弁輪が拡張していた 2 例以外では MAP 不要と判断し左房を開け なかった。全例で AVR を施行して手術を終えた。 【成績】病院死はなかった。MR は術前の 3.5 ± 0.4 から術後は 0.9 ± 0.6 へ (p < 0.001)、 LVDd は 63 ± 8mm から 60 ± 6 へ(p=0.038)、LVEF は 25 ± 7% から 29 ± 15 (p=NS) へ推移した。僧帽弁テント化の高さは 10 ± 3mm から 4 ± 1 へ (p < 0.001)、前尖角度は 43 ± 9 から 30 ± 8 へ (p=0.02)、後尖角度は 65 ± 11 から 43 ± 18 へ (p=0.006) へとい ずれも改善した。術後中期遠隔期には Dd 46 ± 10mm、EF 49 ± 18%、MR 1.0 ± 0.9 と左室機能の継続改善が見られた。【結論】 AR に続発する FMR に対する乳頭筋最適化術は比較的短時間で完了し低侵襲であり、しかも有効であった。経食エコーガイド下で 最適張力での吊り上げができることが大きな利点と考えられた。 112 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography パネルディスカッション 1(PD1) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 13:00 - 14:30 組織ドプラ法は生き残れるか? 座長:那須 雅孝(医療法人社団恵仁会三愛病院 循環器科)・田内 潤(大阪労災病院 循環器内科) 〈企画趣旨〉 約 25 年前に登場した組織ドプラ法は心臓超音波診断法のブレークスルーとなり、心機能評価に新たな局面を切り開いてきました。局所の速 度からストレイン・ストレインレートを求めることにより、定量的な局所機能を可能としました。そのほか、左室全体の収縮機能や左室弛緩の 様子も推定できるようになりましたし、左室流入血流波形と僧帽弁輪部の組織ドプラ波形から左室充満圧の推定も広く行われています。また、 左室収縮の非同期性、心筋虚血の診断にも大きな貢献を果たしてきました。一方、断層図上の任意の領域をフレームごとに追従するスペック ルトラッキング法は組織ドプラ法の限界から逃れて局所機能を評価できることから臨床応用が急速に進行しています。スペックルトラッキング 法が組織ドプラ法にとって代わると予想する向きさえあります。しかし、本当にそうでしょうか?左室拡張能の評価などでは組織ドプラ法の意 義は現在も輝き、失われることはないようにも感じます。 本パネルディスカッションでは、組織ドプラ法の有用性やスッペクルトラッキング法との使い分けなどを討議しながら「組織ドプラ法は生き残 れるか」について考えたいと思います。 特別セッション PD1-1 組織ドプラ法によって求めた拡張早期僧帽弁輪速度 e’ による左室弛緩能評価の臨床的意義 大手 信之、若見 和明、菊池 祥平 名古屋市立大学 医学研究科 心臓・腎高血圧内科学 左室駆出率の維持された心不全が代償期にある場合、多くの例で僧帽弁口血流速波形が E/A<1.0 の弛緩障害パタンを示す。また健 常高齢者も同様のパタンを示す。左室拡張障害と心不全の関係を議論するのであれば、このような対象における左室弛緩能が正確 に測定できなければ臨床的な意味はない。陳旧性心筋梗塞を含む冠動脈疾患を対象に、組織ドプラ法によって求めた拡張早期僧帽 弁輪速度 e’ とカテ先マノメータで求めた左室弛緩時定数 ( τ ) との関係を検討した我々の研究では、両者の間に r= - 0.7 程度の逆相 関を認めた。一定の条件下で、e’ が左室弛緩特性を反映することは間違いない。しかし、e’ は左室収縮末期容積係数とも同程度の相 関を示し左室 elastic recoil の影響も強く受けることがわかった。同様の疾患群で僧帽弁口血流速波形が E/A<1.0 の弛緩障害パタン を示す例において、e’ は非定型胸痛群、冠動脈疾患でτ > 48 ms 群、冠動脈疾患でτ <48 ms 群を比較的良好に分離し得た。しかし、 左室駆出率 >50% かつ E/A<1.0 の対象に限れば、e’ はτ <48 ms 群とτ >48 ms 群の間に有意差はあるものの(7.1 ± 1.7 vs 6.4 ± 1.5 の重なりが大きく、e’ を用いて個々の症例がどちらの群に属するかの判定は困難であった。左室収縮機 cm/s, P=0.009)両群間で e’ 能が維持された症例ではτの延長があるにもかかわらず e’ が維持されているように思われた。これらの結果より、左室収縮機能が 維持された対象群では、e’ を左室弛緩障害の指標と用いることには限界があると結論した。また、E/A<1.0 の左室収縮機能維持例に おいて、あるいは左室収縮機能低下例を含んでも E あるいは E/A を用いてτ <48 ms 群とτ >48 ms 群の差を検出できない。 PD1-2 組織ドプラ法による左室充満圧推定の問題点を再考する 山田 聡 北海道大学大学院 医学研究科 循環病態内科学 組織ドプラ法(TDI)による僧帽弁輪運動速度の計測法が紹介されてから 15 年以上が経過する。この間、e’ で左室弛緩能、E/e’ で 左室充満圧を推定する本手法は、左室拡張機能評価のコンセプトとともに全世界に普及した。本法は、きわめて簡便な方法であり、 再現性も高い利点を有しているが、種々の条件・病態で不正確となることが知られるようになった。評価が不正確となる要因として、 1) 僧帽弁輪石灰化、人工弁・弁輪術後、僧帽弁狭窄、2) 中等度以上の僧帽弁逆流、3) 収縮性心膜炎があげられ、ほかにも、弛緩正 常例、肥大型心筋症や収縮障害を呈する重症心不全例での評価にも問題があることが示唆されている。また、E/e’ による左室充満 圧の推定には幅広い「境界域」が存在し、臨床のいざという場面で頼りにならないという実感が強い。 そこで、上記の不正確要因 1) ~ 3) を除いた 74 例を登録した SMAP 研究を行い、全国 5 施設で計測法を基準化し、本法による左室 弛緩能と充満圧推定の精度を再検討した。その結果、e’ はτと有意に相関せず、E/e’ と充満圧との相関はきわめて弱いものであった (r=0.39,p < 0.001)。また、左室心筋重量係数が E/e’ を独立して規定する強い因子であり、左室肥大例で E/e’ と充満圧は有意に相 関しなかった。スペックルトラッキング法によるストレイン(St)、ストレインレート(SR)を応用したところ、拡張早期の長軸方 向 SR を用いた指標や長軸方向の最大 St を用いた指標により、E/e’ より正確に左室充満圧が推定できる可能性が示唆された。 本講演では、TDI による左室充満圧推定の問題点を整理・再考し、心不全診療における心エコー法活用の方向性を展望したい。 113 第25回日本心エコー図学会学術集会 PD1-3 組織ドプラ法による左室収縮機能評価 高野 真澄 福島県立医大附属病院集中治療部 心エコー図法による左室収縮能の指標として、古くから用いられてきた左室駆出率や心拍出量があげられる。これらは左室の global function をみる指標であるが、左室形態や血行動態に大きく影響されることが知られている。その後、組織ドプラ法が登場し、心筋 の局所収縮能が評価可能となり、心筋動態の評価法に関する考え方に大きな変化が生まれた。組織ドプラ法による僧帽弁輪部収縮 期移動速度 (s’ ) や、ストレイン・ストレインレートを用いることで左室駆出率では検出できない小さな収縮能の変化を評価すること が可能となり、左室駆出率が正常範囲内であっても、心筋収縮能が低下している症例が存在していることが明らかとなった。組織 ドプラ法は非常に画期的な方法として脚光を浴びた。しかしながら、組織ドプラ法は角度依存性があるという方法論としての限界 があり、その後開発されたスッペクルトラッキング法によるストレイン・ストレインレートによる心筋動態の評価法が急速に広まっ た。それでは、組織ドプラ法による収縮能評価はもはや不要であろうか。本セッションでは、組織ドプラ法による左室収縮機能評 価について、その使い方や有用性について述べてみたい。 特別セッション PD1-4 組織ドプラ法を用いて虚血性心疾患を診断する 大西 俊成 1、大谷 朋仁 1、竹田 泰治 1、真野 敏昭 1、中谷 敏 2、坂田 泰史 1 1 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科、2 大阪大学医学部医学系研究科 保健学専攻機能診断科学 組織ドプラ法 (tissue Doppler imaging: TDI) は、ドプラ法を用いて心筋組織速度を計測し、局所壁運動速度を定量的に評価できる。 しかしながら、近年、スペックルトラッキング法の登場で TDI は過去の遺産物と考えられがちである。一方、TDI はノイズにも強く、 再現性もよい。Post-systolic shortening(PSS) の検出 : PSS の存在は高度な虚血心筋を示すとされている。我々は、カラー TDI を 用いて PSS の存在を断層心エコー図上に表示する方法 (Detection of diastolic Abnormality by Dyssynchrony Imaging: DADI) を考 案した。DADI: DADI とは、心尖四腔および二腔断面においてカラー TDI を施行し、心筋速度から displacement を求め、ピーク時 相のずれにより正常 ( 緑色 ) から遅延 ( 赤色 ) までを表示させる方法である。冠動脈支配領域に一致して心筋が赤色表示されるもの を DADI 陽性とした。安定狭心症における DADI: 安定狭心症が疑われ、左室壁運動正常の 186 症例を対象としたところ、DADI は 感度 60%、特異度 75% で安定狭心症を予測し得た。陰性予測率 86% であった。急性冠症候群 (ACS) における DADI: ACS が疑われ た 91 症例について、左室壁運動正常であった場合に DADI を追加したところ、従来のルーチン心エコー図検査による壁運動異常の 存在のみでは ACS の診断率が感度 67%、特異度 100% であったのに対し、DADI を併用すると感度 96%、特異度 73% で ACS を診 断することができた。陰性予測値 94% と高値であった。結語 : TDI を応用した DADI を用いて PSS の存在を画像化すること可能で あり、負荷なしに狭心症を診断するための補助ツールとして有用であった。いずれも陰性予測値は高く、胸痛患者のリスク評価に も有用であることが示された。 PD1-5 組織ドプラ法は生き残れるか Dyssynchrony 評価 瀬尾 由広 1、酒巻 文子 2、石津 智子 1、青沼 和隆 1 1 筑波大学 医学医療系 循環器内科、2 筑波大学附属病院 検査科 組織ドプラ法は左室非同期(dyssynchrony)の評価法として隆盛を極めたことがあった。いわゆる Yu index や Bax index が有用 だという論文が数多く報告された。しかし、最も典型的な dyssynchrony を示す左脚ブロック例においてさえ左室弁輪部の組織ドプ ラによる速度曲線は複雑である。どのピークを代表点とすべきか、この複雑な速度曲線から判断することは難しい。Yu index や Bax index では左室駆出期内のピークを代表点とすると定義されている。これは複雑な速度曲線から簡便に代表点を選べるよう意図 されているのではないだろうか? 一方、septal flash に代表される中隔の壁運動は前駆出期に認められることが多い。また、自由 壁の収縮は駆出後まで遅延していることが多い。皮肉にも、dyssynchrony による壁運動は駆出期の外にこそ真実があると言って良 い。組織ドプラ法の方法の善し悪しではなく、有名な指標の定義には大いに問題がある。事実、PROSPECRIVE, J-CRT, START な ど多施設研究では全く CRT レポンダーを予測することは出来なかった。指標の定義の問題を改善すべく、我々は前駆出期の中隔ピー クを用いて非同期評価を行ったところ CRT のレスポンダー予測が格段に向上することを確認した。すなわちレスポンダー予測に関 する area under the curve of receiver-operating characteristics analysis (AUC) が Yu index と Bax index のオリジナル法では 0.65、 0.62 であったのに対して、中隔ピークを用いた修正法では 0.84、0.82 まで改善した。結論:組織ドプラ法を病態生理に忠実に使用す れば、dyssynchrony 評価法として生き残る事ができる。 114 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography パネルディスカッション 2(PD2) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 13:10 - 14:40 負荷心エコーはなぜ臨床で広まらないのか 座長:平野 豊(近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部(循環器内科兼任))・竹内 正明(産業医科大学 第二内科) PD2-1 当院における負荷心エコーの実際 諸岡 花子、平野 豊、植木 博之、小夫家 和宏、山本 裕美、谷口 貢、宮崎 俊一 近畿大学 医学部 循環器内科 1990 年 11 月 17 日に当院で初めて臥位エルゴメーター運動負荷心エコーが実施されてから、ルーチン検査として数多くの負荷心エ コーを実施してきている。検査の目的としては、以前は冠動脈疾患の虚血評価、PCI 前後の冠動脈狭窄の診断がほとんどであったが、 最近は弁膜症の重症度判定、心筋症の診断や病態評価、肺高血圧の早期診断や薬効評価等、数多くの疾患で運動負荷を実施している。 負荷の方法としては運動負荷では臥位エルゴメーター、トレッドミル、ハンドグリップ、薬物負荷ではドブタミン、ジピリダモー ル、ATP、それ以外では過換気 - 寒冷昇圧負荷等の負荷心エコーを施行してきた。数多くの負荷法を実際に実施する事によって、そ れら負荷法の長所や短所、あるいは限界を知る事が出来た。 壁運動の評価は以前から、視覚的に半定量的評価を行い評価してきた。 近年では、壁運動の評価のみならず、大動脈弁の経度の硬化所見があれば、連続波ドプラを併用する、僧帽弁逸脱や tethering 所見 がみられればカラードプラを併用する、さらには左室流入血流速度波形や、三尖弁閉鎖不全流速計測も実施する。可能であれば組 織ドプラやスペックルトラッキングを用いた壁運動の定量的評価(収縮異常や拡張期に残存する異常)、あるいは3次元エコーによ る心臓全体の機能変化も評価している。 最近の負荷心エコーの実例を供覧して、当院での負荷心エコーのリアルワールドから、 負荷心エコーの有用性を述べていきたい。 PD2-2 負荷心エコー図はなぜ臨床で広まらないか;市中診療所での実態 高木 力 高木循環器科診療所 【目的】 市中診療所における負荷心エコー図の実態を報告し、その臨床的問題点を検討すること。【方法】 2012 年 11 月から 2013 年 10 月までの 1 年間に当診療所で負荷心エコー図検査を実施した症例と、同期間に当院から冠血行再建術目的で高次医療機関に紹 介した症例について検討した。【結果】上記期間に 66 例の負荷心エコー図検査を実施した(トレッドミル負荷 62 例、ATP 負荷 4 例)。 7 例(11%)で虚血所見を認めた(トレッドミル 6 例、冠血流速予備能 1 例)。そのうち、高次医療機関に紹介し、血行再建術を実 施した症例は 1 例(2%)のみである。一方、同期間に当院から血行再建術目的で高次医療機関に紹介した症例は 7 例である。その うち、1 例が直前に実施した負荷心エコー図検査で陽性であった(上記と同一症例)。2 例は 1 年から 2 年前に負荷心エコー図検査 を実施しているが、陰性であった。過去の負荷心エコー図が陰性であった 2 例を含め、6 例(86%)が急性冠症候群のために高次医 療機関に紹介した患者である。残りの 1 例は末梢動脈疾患を有する患者であった。【考察】市中診療所においては、大部分の患者に ついては虚血所見が無いことを確認する目的で負荷心エコー図を実施している。また、負荷心エコー図で虚血所見を認めても、そ れが安定した労作性狭心症の場合には血行再建術を実施しない症例も多い。一方、血行再建術を必要とする症例の大部分は急性冠 症候群で発症している。負荷心エコー図でこのような急性冠症候群発症を予測することは困難であると思われる。【結語】市中診療 所においては、負荷心エコー図の結果により血行再建術を実施する患者は多くない。 115 特別セッション 〈企画趣旨〉 負荷心エコーは 2012 年4月に保険適応となり、広く実施されるであろうと期待されている検査法です。しかしながら、実際にはそれほど多く の施設で実施されているとは言いがたいのが実情です。 負荷心エコーを実際にルーチン検査として実施していくには、負荷の適応、検査方法、および合併症についての熟知、検査場所や人員の確保、 心エコー評価の learning curve の存在や半定量的評価の問題点、および客観的な評価法の必要性など、多くのハードルが存在します。実際に 実施するとなると意外に高いハードルなのかもしれません。 今回は5施設から、諸施設での負荷心エコーの最近の動向や問題点について発表をいただきます。以前からルーチン検査として数多く施行 している施設以外に、市中診療所や負荷心エコーを最近実施し始めた施設からも発表をしていただきます。 負荷心エコーに興味がある方々はもちろん、最近始めてみた方、あるいは現在は実施していないが近い将来には実施してみようと思ってい る方、あるいは以前からあまり興味のない方々にも是非この機会にパネルディスカッションに数多く参加していただきたいのです。 それぞれの施設での負荷心エコーの現状と問題点、あるいは将来の展望について、そして負荷心エコーはなぜ臨床で広まらないのか、座長 や演者にとどまらず、会場の数多くの先生とディスカションしたいと考えています。 第25回日本心エコー図学会学術集会 PD2-3 運動負荷心エコー図検査の新規導入施設における learning curve:画像収集における必要経験件数 に関する検討 渡部 朋幸 1、高野 真澄 2、阿部 春奈 3、齋藤 寛美 3、氏家 道夫 3、野崎 陽子 3、野田 繁子 3 1 医療生協わたり病院 循環器内科、2 福島県立医科大学附属病院 集中治療部、3 医療生協わたり病院 臨床検査科 特別セッション 【背景】運動負荷心エコー図 (exercise stress echocardiography: ESE) の診断精度には、負荷直後における画像取得技術と、得られ た画像の読影技術 という 2 つの要因が関連する。一方、これまで新規導入施設における画像取得の learning curve に関する報告が 少ないため、ESE の導入初期に一定レベルの画像収集がなされないまま、ESE の導入を断念する施設も存在するのが現状である。 【目的】ESE 新規導入施設において、一定レベルの画像取得が可能となるための検査経験数を明らかにすること。【対象】2012 年 3 月から当院で ESE を施行した第 1 例目から連続 50 症例。【方法】トレッドミルによる運動負荷を目標心拍数まで行い、安静時およ び負荷終了直後に左側臥位にて画像を収集した。負荷後収集した 1 枚目の画像を評価対象とし、負荷終了から画像取得までに要し た時間 ( Δ T)、負荷終了時最大心拍数 (HRpeak) と画像収集時心拍数 (HRpost) を測定した。全例を検査時期に応じて 10 例毎に I~V 群 に分類し (I 群 : 1-10 例目、II 群 : 11-20 例目、... V 群 : 41-50 例目 )、各群間のΔ T、HRpeak および HRpost を比較検討した。【結果】5 群間で年齢・性別に差を認めなかった。全例におけるΔ T は平均 30 ± 17 秒 (min 11―max 98) で、5 群間に有意差を認めなかった。 HRpeak は 5 群間で有意差を認めなかったが、HRpost は III 群および IV 群において I 群と比し有意に高値で (HRpost: III 群 vs I 群 , 103 ± 18 vs 84 ± 23 秒 , IV 群 vs I 群 , 110 ± 18 vs 84 ± 23 秒 , 各々 P < 0.05)、III ~ V 群間で有意差を認めなかった。【結語】ESE の 新規導入施設において、画像取得の learning curve が存在し、約 30 例の経験により一定レベルの画像収集が可能である。 PD2-4 ベッドサイドでできる簡易負荷心エコーのすすめ~適切な治療方針を立てるために 小板橋 俊美、猪又 孝元、藤田 鉄平、前川 恵美、成毛 崇、阿古 潤哉 北里大学医学部循環器内科学 負荷心エコーは、装置やマンパワー、主観的評価などの問題から気軽にでき ない検査と捉えられ、他の診断ツールを選択することが少なくない。しかし、 負荷心エコーでのみ診断が可能となる症例が存在することも事実である。重 い荷物を持つなどの労作時に一致し急性肺水腫を繰り返した心不全例を図に 示す。ゴムバンドを用いた簡易運動負荷心エコーを行ったところ、著明な tethering の増強と接合不全による僧帽弁逆流(MR)の重症化とともに肺動 脈圧の上昇を認め、負荷中止 15 分後より改善に向かった。心不全増悪入院 直後に観察された MR は重症ではなく診断に難渋していたが、電撃的肺水腫 はごく短時間の MR 増悪の結果と判断した。弁形成術後は負荷後の MR 増 悪は消失し、急性肺水腫イベントを起こしていない。負荷心エコーでは解析 法に重点がおかれるが、同時に負荷法についても見つめ直す時期である。簡 易運動負荷心エコーは、患者や施設を問わず実施可能であり、負荷による病 態観察を通じ、‘あたりをつける’ には十分な診断能を有し、より手軽に多く の症例で実施することが肝要である。 PD2-5 非虚血性心筋症患者に対するドブタミン負荷心エコー図検査の実際~どのように行い、何を評価すべ きか~ 松本 賢亮、田中 秀和、平田 健一 神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野 虚血性心疾患に対する負荷心エコー図検査は、心筋虚血の評価に広く施行されており、本邦においても運動負荷心エコー図検査が 保険収載されている。一方、非虚血性心筋症に対する負荷心エコー図検査の有用性についても以前からよく知られており、ドブタ ミン負荷による左室駆出率(LVEF)や左室壁運動(WMSI)の改善が予後や、治療への反応性と関係することが報告されてきた。 一般に心不全症状は労作時や血行動態的負荷時に出現するため、慢性心不全患者の重症度や予後を評価しようとする場合、安静時 の心エコー評価のみでは不十分であると考えられるが、慢性心不全に対する負荷心エコー図検査が日常臨床に十分に普及している とはいえない。その理由として、非虚血性心筋症患者に対する負荷心エコー図検査は、プロトコールや結果の解釈法が未だ十分定まっ ておらず、手間のかかる検査であるとされ敬遠されているものと思われる。また検査に伴う合併症や危険性、さらには結果の再現 性や客観性への危惧もあるものと思われる。我々は、非虚血性心筋症患者に対する低容量ドブタミン負荷心エコー図検査を従来積 極的に行っており、比較的短時間にかつ安全に検査可能であることを報告してきた。さらには、LVEF や WMSI のような客観性に 乏しく負荷依存的な指標ではなく、スペックルトラッキング法を用いたストレイン解析を応用することにより、より客観的で再現 性の高い左室収縮予備能評価が可能であることも報告してきた。 本セッションでは、我々の経験をもとに、三次元スペックルトラッ キング法への応用や、負荷時の左房機能や右室予備能の評価の必要性、さらには dyssynchrony 評価の有用性について概説したい。 116 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography パネルディスカッション 3(PD3) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 14:40 - 16:10 ポータブルエコーの有用性と限界(GE ポケットの役立て方) 座長:阿部 幸雄(大阪市立総合医療センター 循環器内科)・泉 知里(天理よろづ相談所病院 循環器内科) 〈企画趣旨〉 エコー機の大きな技術的進歩に小型化が挙げられます.最近では,ノートパソコン大のポータブルエコー機,さらには,文字通りポケットに 入るスマートホン大のポケットエコー機が登場しました.GE 社製の Vscan に代表されるポケットエコー機の最大の強みは‘安くて小さい’ ことであり,外来,病棟,集中治療室,検診,往診など,どこにでも簡単に持っていくことができます.ただし多機能ではなく,Vscan に搭 載されているのは B モードとカラードプラのみです.精密ではないものの‘どこでも誰でもすぐに’用いることができるツールであると言う ことができます.したがって,ポケットエコー機はスクリーニングに絶大な威力を発揮するはずです.伝統的には,身体所見の診察 physical examination がその役割を担ってきました.ポケットエコー機は,physical examination と further examination の間に位置するツールとし て既に重宝され始めています.一方で,簡単に使えるからこそ,その具体的な使い方・役立て方について疑問が生じつつあるのもまた自然な ことだと思います.本パネルディスカッションでは,ポケットエコー機の具体的な有用性,および,その限界について,日常診療でポケットエコー 機を駆使されておられる先生方にご発表いただきます. ‘目からうろこ’となるセッションを目指します.ぜひご参集ください. 特別セッション PD3-1 携帯型エコーが診療に与えるインパクト 渡橋 和政 高知大学医学部 外科学(外科二) 携帯型エコーの登場で新たに現れうる変化を概説的にまとめる。 予約を取り患者が移動という従来型検査に、その場で即実施 という形が加わり、エコーは身体所見の一部となりつつある。体内の視診により濁音の原因(無気肺・胸水)、腸蠕動確認、心雑音 の原因など付加情報が得られ、胸部レ線や心電図よりエコーが先という順番の逆転も起こりうる。携帯エコーは全身が対象のスク リーニング、従来エコーは臓器別だが精査という使い分けが生まれる。 在宅医療、交通機関、救急搬送など胸部レ線も使えない 状況で、エコーを用いて血圧低下や症状の原因を示唆する所見(心タンポナーデ、心収縮力低下など)が得られ、搬送先をより適 切に決定するために必要な情報が得られる。画像の伝達ができれば遠隔診断も可能となる。 病棟で乏尿の一因としての尿閉や酸 素化障害の原因となる胸水貯留、無気肺などの情報を看護師が得ることができるようになり、医師はその報告を受け、より早く適 切な判断を下すことができる可能性が出てきた。 一方、若手医師がエコーを使いこなす以上に上級医が精通していないと、若手 の方がより的確な診断を下すという逆転現象が起こりうるとともに、エコーで見ようと思えば見れた所見を見落としたという不作 為の責任が問われかねない状況も起こりうる。このような問題が起きないよう、使用する状況やその手技、画像の判断などをより 啓蒙することが急務である。 PD3-2 在宅診療における携帯型超音波検査の有用性と問題点 次橋 幸男 1、松谷 勇人 2、泉 知里 3、中村 義徳 1 1 公益財団法人 天理よろづ相談所病院 在宅センター、2 公益財団法人 天理よろづ相談所病院 臨床検査部、 公益財団法人 天理よろづ相談所病院 循環器内科 3 【背景】 当センターは、815 床の急性期病院における訪問診療部門として、医師 2 名体制(外科医 1 名、総合内科医 1 名)で 24 時間体制の 訪問診療を提供している。対象疾患は極めて多様であり、自宅という限られた医療資源の中で患者の病態をより正確に把握するた めに、当センターでは 2013 年から携帯型超音波(VSCAN;GE Healthcare)を導入した。 【目的】 在宅医療における携帯型心エコーの有効性と問題点を分析する。 【方法】 当センターにおいて携帯型心エコー検査を施行した症例に関して、その臨床背景と、施行医が感じた有効性と問題点を検討した。 【結果】 2013 年 4 月~ 12 月の間に、計 66 名の患者に対して訪問診療を行った。訪問医による携帯型心エコー検査は日常的に行われ、臨床 検査技師による同行検査は 3 例に行われた。1 例は、呼吸不全の鑑別目的として施行され、心不全の診断に至った。他 2 例は、慢性 心房細動例、2 弁置換術後の重症心不全例であり、心機能フォローを目的として施行された。施行医が感じた携帯型心エコーの有効 性としては、「循環血液量の把握」「胸水・腹水の評価」「患者・家族の安心感」「病態把握を通じた医師の診療能力向上」が挙げら れた。問題点としては「体位保持が困難」 「描出困難時の対応に困る」 「動的評価に対する経験、自信の不足」 「コスト算定の判断」 「記 録方法についての基準がない」ことが指摘された。 【結論】 訪問診療の現場において、携帯型心エコーの多様な有効性が示された。今後、携帯型超音波の問題点を解決する方略としては、1) 施行医師の技術・診断能力の向上、2)専門家による診断サポート、3)コスト算定ルールの確立、4)記録方法の統一などが考えら れる。 117 第25回日本心エコー図学会学術集会 PD3-3 ポケット心エコー機を用いた大動脈弁狭窄症のスクリーニング 古川 敦子 1、阿部 幸雄 1、伊藤 誠 1、田中 千春 1、松下 司 1、吉山 智貴 1、水谷 一輝 1、柚木 佳 1、 占野 賢司 1、中川 英一郎 1、小松 龍士 1、成子 隆彦 1、葭山 稔 2、吉川 純一 3 1 大阪市立総合医療センター 循環器内科、2 大阪市立大学 循環器内科学、3 西宮渡辺心臓血管センター 循環器内科 我々は、ポケット心エコー機を用いた大動脈弁狭窄症(AS)の新たなスクリーニング指標である visual AS score を考案し報告した。 visual AS score は大動脈弁三尖の各々を 0= 開放制限なし、1= 軽度、2= 高度の 3 段階で評価し合計した 0-6 点の 7 段階のスコアで、 4 点以上では感度 85% 特異度 89% で高度 AS を、3 点以上では感度 84% 特異度 90% で中等度以上の AS を診断できた。さらに今回 我々は、同じく AS の視覚的評価法として従来から提唱されている大動脈弁石灰化スコア(1= 石灰化なし、2= 軽度、3= 中等度、 4= 高度の 4 段階)と visual AS score をポケット心エコー機で評価することによって心イベントを予測できるかどうかを検討した。 既知の AS または駆出性収縮期雑音を有する 109 例を対象とし、主要評価項目は心臓死または大動脈弁置換術の施行とした。追跡期 間は 18 ± 9 か月であった。多変量解析では visual AS score と大動脈弁石灰化スコアが心イベントの独立した予測因子であった。 追跡期間中のイベント回避率は visual AS score ≦ 2 かつ大動脈弁石灰化スコア≦ 2 で 98%、visual AS score ≧ 3 または大動脈弁石 灰化スコア≧ 3 で 85%、visual AS score ≧ 3 かつ大動脈弁石灰化スコア≧ 3 で 47% であった。ポケット心エコー機を用いたスクリー ニング検査は駆出性収縮期雑音を聴取する例の予後予測に有用であり、visual AS score と大動脈弁石灰化スコアがともに 2 以下で あれば追加検査は不要である一方、いずれかが 3 以上であればハイエンド心エコー機で AS の精査を行うべきである。 特別セッション PD3-4 ポケット携帯型超音波装置によるコメットサイン観察の有用性と外来での使用 神山 哲男、西岡 利彦 埼玉医科大学総合医療センター 心臓内科 本演題では当院におけるポケット携帯型超音波装置の、外来での使用例と ultrasound lung comet(ULC)と呼ばれる、特徴ある所 見(胸膜面から認める、超音波ビーム方向に平行な hyper echoic な細く長いエコー所見)を用いた肺うっ血の診断を中心に自験例 を踏まえ報告する。 心疾患が疑われ外来を受診した症例 104 人の BNP を測定し、座位で観察した ULC と比較したところ、両者 は有意な正の相関を認めた。 心不全群と非心不全群に分け、BNP と ULC の診断能を比較すると BNP は感度 92.3%、特異度 89.3% で心不全の診断が可能であり、ULC も BNP と同等の診断能を有した。 ポケット携帯型超音波装置により目視で判定した EF と従 来の定量的 EF を比較した。入院 38 例の定量的 EF と目視 EF の相関係数は、r=0.82(P < 0.001)であり、一致限界は -20.7% ~ +17% であった。外来 21 例に同様の検討を座位で行った。定量的 EF と目視 EF の相関係数は r=0.92(P < 0.001)、一致限界は -16.6% ~ +11.3% であった。 ポケット携帯型超音波装置は白衣のポケットにも収納でき、外来で座位の患者の肺うっ血及び左室収 縮障害の評価が可能であり“ultrasound stethoscope”としてさまざまな状況で迅速な評価が可能となるが、その限界も考慮し検査 に臨むことが重要である。 PD3-5 触診とエコーで見つける AAA 木原 一 1、渡辺 弘之 2、福田 祥大 3、岩倉 克臣 4、大門 雅夫 5、伊藤 浩 6、吉川 純一 7 1 木原循環器内科医院、2 東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科、3 大阪掖済会病院 循環器内科、4 桜橋渡辺病院 循環器内科、 東京大学医学部附属病院 検査部・循環器内科、6 岡山大学 循環器内科学、7 西宮渡辺心臓血管センター 5 腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm、以下 AAA)は高齢化及び食生活の欧米化に伴い増加傾向にある。多くの AAA は無症 状で拡大とともに破裂リスクは増大し、破裂後の予後はきわめて悪い。この疾患のリスクを管理するためには破裂前に早期診断し、 外科的介入の時期を見極めることが重要である。身体所見は AAA 発見の機会を増やす可能性があるが、その診断率は明らかではな い。また、エコーを用いたスクリーニング検査は欧米では広く推奨されているが、日本では臨床的に十分な広がりを獲得していない。 近年、ポケットサイズのポータブルエコー装置が登場し、様々な心疾患の診断に有用であることが報告された。そこで我々は、高 齢高血圧症例を対象として AAA の頻度を調査する多施設共同研究(AAA JAPAN 研究)を行った。この研究には 18 共同研究施設 が参加し、高血圧を有する 60 歳以上の症例を約 1,700 例集積し、ポケットエコーを用いて AAA の有無を調査した。また、身体所 見の AAA 発見に対する診断率を併せて評価した。本セッションでは、身体所見とエコーによる AAA の診断率に関するこれまでの 報告を総括し、AAA JAPAN 研究からの知見を報告する。 118 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography パネルディスカッション 4(PD4) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 13:20 - 14:50 CRT 適応決定はエコーではだめなのか ? CRT に対する心エコーの活かし方 座長:瀬尾 由広(筑波大学医学医療系 循環器内科)・神崎 秀明(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門心不全科) 〈企画趣旨〉 最新のガイドラインにおいても、心臓再同期療法(CRT)の適応には心室内伝導障害を反映する QRS 幅は重要とされている。しかしながら、 約 3-4 割にも及ぶ CRT 無効例を減らすために、数多くの方法が提唱されてきた。中でも心エコーは、その適応決定において、中心的な役割 を果たしてきたが、心エコー以外にも、心電図や核医学、MRI などにより CRT の研究が行われている。また、患者選択だけでなくデバイス植 込後のペーシング設定の調整の重要性についても指摘されており、最近ではデバイス自身が至適な AV delay のみならずペーシングモードま で判断をして、日常生活のなかで自動的に設定を最適化するような機種も登場した。 本セッションでは、技術の発達にともなって心エコーとそれ以外の技術を用いて得られた CRT の適応に関する新たな知見のみならず、CRT 用デバイスを植え込んだ症例において、心エコーをどのように活用して管理を行っていくのか、最新の情報をもとに討論を行っていきたい。 特別セッション PD4-1 START study の結果を考える 丸尾 健 1、瀬尾 由広 2、山田 聡 3、有田 武史 4、古堅 あずさ 5、石津 智子 2、土肥 薫 6、戸出 浩之 7、 志賀 剛 5、竹中 克 8、青沼 和隆 2 1 公益財団法人 倉敷中央病院 循環器内科、2 筑波大学 医学医療系 循環器内科、 北海道大学大学院 医学研究科 循環病態内科学、4 財団法人平成紫川会社会保険小倉記念病院 循環器内科、 5 東京女子医科大学 循環器内科、6 三重大学大学院 循環器・腎臓内科学、7 群馬県立心臓血管センター 技術部、 8 日本大学板橋病院循環器内科 3 START study は,2009 年 9 月から 2 年に渡って実施された Speckle tracking 心エコー法(STE)を用いた心臓再同期療法の効 果予測に関する多施設前向き共同研究である.【方法】左室心筋 strain の time-to-peak 解析による dyssynchrony 評価を行い左室局 所間の最大時間差と標準偏差(SD)を用いて dyssynchrony 評価を行った.時相は ejection period に pre-ejection period を含め, first peak と maximum peak の両方を用い,さらに longitudinal,circumferential,radial の 3 方向の strain と複数の評価を行って いる.また,STE データは主幹施設へ集め,5 つの core laboratory へ分け解析を行った.【結果】180 名が最終的な研究対象となり, 109 名が volume responder だった.多変量解析では左脚ブロック,尿素窒素,β遮断薬に加え,circumferential strain の first peak の SD(Tfirst-SD of CS)が最も良好な volume responder の予測因子であり,Tfirst-SD of CS > 116 ms の area under curve(AUC) は 0.76(p < 0.001)だった.Clinical outcome の予測でも Tfirst-SD of CS > 125ms が独立した規定因子だった. Tffirst-SD of CS の施 設間再現性は非常に良好だった(Cohen’ s κ coefficient =0.84) .【考察】本研究は指標の明確な定義,複数の core laboratory 設置に より,良好なデータの再現性と客観性を示した.また,多施設前向き共同研究として,心筋 strain による種々の time-to-peak 解析 を用いた dyssynchrony 評価のうち,どの手法が良いかを初めて示した.今後,様々な time-to-peak 解析以外の手法との比較検討が 必要と考えられる. PD4-2 Narrow QRS に対する CRT は禁忌か? 田中 秀和、平田 健一 神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野 心エコー図法により左室 mechanical dyssynchrony の定量評価が可能になり、特に心臓再同期療法(CRT)の反応性が乏しいと予 測される症例(非左脚ブロック、QRS 幅< 150msec など)に対する、その有用性が報告されている。心エコー図法による左室 mechanical dyssynchrony の 指 標 を ガ イ ド 下 に、narrow QRS 症 例(QRS < 130msec) に 対 す る CRT の 有 用 性 を 検 討 し た EchoCRT(Echocardiography Guided Cardiac Resynchronization Therapy) の 結 果 が 最 近 発 表 さ れ た(N Engl J Med. 2013;369:1395-405.) 。結果は散々たるものであり、心エコー図法で左室 mechanical dyssynchrony を有すると判断されて CRT を施 行された患者群に、有意に心血管イベントが多いという結果であった。PROSPECT trial(Circulation. 2008;117:2608-16.)で露呈し た心エコー図法による左室 mechanical dyssynchrony の指標の計測における“再現性の悪さ”をある程度克服したプロトコールで 行われたにも関わらずこの結果である。さて、我々は EchoCRT の結果をそのまま鵜呑みにしていいだろうか? CRT による良好な response は、electrical dyssynchrony と mechanical dyssynchrony が 同 時 に 認 め ら れ て の み 得 ら れ る は ず で あ り、electromechanical uncoupling の よ う な 状 態 で は CRT の response は 得 ら れ に く い と 考 え ら れ る。 ま た narrow QRS で も、QRS 幅 が 100msec 未満の“very narrow QRS”症例から、120msec 前後の“borderline narrow QRS”症例まで様々であり、これらを一様に “narrow QRS”としてひとまとめにするのは、病態的に無理がある。本セッションでは EchoCRT の問題点、ならびに自験例を含 めて narrow QRS 症例の CRT に対する治療戦略に対して概説したい。 119 第25回日本心エコー図学会学術集会 PD4-3 心臓再同期療法における AV delay 設定の意義 杉本 匡史 伊勢赤十字病院 循環器内科 日本において重症心不全に対する心臓再同期療法の保険適用が認められてから 10 年が経つ。心臓再同期療法患者に対するエコーガ イド AV delay 設定においては、左室流入血流速波形を用いて左室拡張期時間の最大化と拡張期僧帽弁逆流の最小化を目指す方法が 多く用いられている。また、左室流出路の血流速波形を用いて速度・時間積分値の最大化を目指す方法も有用と報告されてきている。 しかし、新規心臓再同期療法患者の AV delay 設定においては、AV delay を 120 msec に固定していれば 6 ヵ月後の治療効果に差 は出ないとの報告もあり、植え込み時の AV delay 設定の意義は不明確なままである。一方で慢性期の心臓再同期療法患者に対する AV delay 設定に関しては十分な研究がなされておらず、明確な指標を持たないまま手探りで設定を行っているのが実情ではないだ ろうか。血行動態の悪化を認める慢性期心臓再同期療法患者に対する非薬物療法の一つとして、血行動態の改善を目指したエコー ガイド AV delay 設定は有効な手段であり、我々は特に収縮期僧帽弁逆流の最小化を目指した設定に注目している。電気的同期障害 および機械的同期障害の最小化を目指すとともに、血行動態の改善を目指すには何を指標としていけばよいのか。当院での取り組 みを紹介するとともに問題を提起をしたい。 特別セッション PD4-4 経胸壁心エコー図左室流出路速度時間積分値 (VTI) を用いた CRT VV delay 設定の有用性と心電図 との関係 田渕 晴名 1、長谷川 薫 1、菊田 寿 1、関口 祐子 1、山家 実 1、宮下 武彦 1、山中 多聞 1、中野 陽夫 1、 片平 美明 1、皆川 忠徳 1、藤原 英記 1、渡辺 卓 1、三浦 誠 1、黒川 貴史 2、中島 博行 2、西條 芳文 3、 山家 智之 4 1 東北薬科大学病院循環器センター、2 東北薬科大学病院中央検査部、3 東北大学大学院医工学研究科、4 東北大学加齢医学研究所 【背景と目的】VTI 値を用い VV delay 最適化可能か否か、また電気的同期不全と機械的同期不全の関連を心電図と VTI 値で比較検 討した【対象および方法】CRT 術後連続 93 例対象に NYHA I 改善かつ LVEDV15% 以上短縮例を responder と定義。術 1 週後連 続 5 拍平均 VTI を VV delay 毎測定し最高値設定を至適 VV delay と定義した。至適 VV delay:VTIopt、初期設定 VV delay: VTIini、CRT off(AAI ま た は RV pace)VTIoff で、responder、non-responder 間 で VTI 上 昇 率、 同 時 記 録 の 心 電 図 QRS 幅 QRSopt、QRSini、QRSoff 比較検討した。VV delay 変更不可 24 例(A 群)、至適 VV delay 設定 69 例(B 群)の responder 率比較、 設定変更の意義検討した。【結果】B 群 69 例中 responder 群(55 例:79.7%)で VTIoff から VTIopt 上昇率 12.9 ± 7.1% に対し、 non-responder 群(14 例:20.3%) の 上 昇 率 3.3 ± 2.2% で 低 値 だ っ た。 初 期 設 定 か ら 至 適 VV delay 変 更 30 例(43.5%) で、 responder(25 例:83.3%)で VTIopt は VTIini より 6.6 ± 3.6% 上昇し VTIoff より 12.1 ± 5.8% 上昇したが、non-responder 群(5 例: 16.7%)で VTIopt は VTIini より 1.3 ± 1.1%、VTIoff より 3.7 ± 2.0% 上昇にとどまった。A 群 responder15 例(62.5%)は VTI 上昇 率高く、non-responder 群は VTI 上昇率低かった。QRSini と QRSopt は responder 群で 139.4ms、136.2ms、non responder 群で 140.6ms、141.0ms で差無く QRS 幅と responder 率の相関無く、設定変更で VTI 値上昇しても QRS 幅は短縮しなかった。【結語】 本法の至適 VV delay 設定は CRT 効果を最大限引き出す可能性が示された。また本法で non-responder の一部 responder にできた。 心電図幅と VTI 値に相関無く QRS 幅による VV delay 設定や dyssynchrony 評価は有用性低いと考えられた PD4-5 核医学による CRT レスポンダー予測 木曽 啓祐、西村 圭弘 国立循環器病研究センター 放射線部 これまで CRT に関わる核医学検査としては「心筋血流 SPECT」による組織障害分布や心機能評価、「I-123 MIBG」による交換神経 機能評価などが挙げられ、主に心不全の病態検索や重症度判定、さらには治療効果判定などを目的に利用されてきた。さらに心電 図同期心筋血流 SPECT においては近年いくつかの解析法が開発され、心機能の一つとして LV dyssynchrony も評価できるように なってきた。中でも 1 心周期あたりの心筋局所のカウント変化をフーリエ近似して収縮時相を同定する「位相解析法」が標準的な 解析法となり、同法による LV dyssynchrony 評価の精度は心臓超音波検査の組織ドップラー法に匹敵し、CRT の治療効果予測にも 有用と報告されている。さらに、心筋血流 SPECT では組織障害分布を同時に評価できることから、LV dyssynchrony 評価に組織 障害分布の評価を加味することで CRT の治療効果予測の精度が一層向上するとの報告もされている。また、本法は心電図同期収集 さえしていれば古いデータでも retrospective に解析が可能であることや、一度 RI を注射すればその後数時間は撮影・データ収集 が可能となるため、CRT の on-off による機能評価や CRT 最適条件の設定など複数回の機能評価を一度の注射で行えるなどの利点も 有する。このように、心臓核医学においても LV dyssynchrony を始め CRT の効果予測が可能になりつつあるが、心臓超音波検査 での PROSPECT study のような大規模研究による検証はされておらず、今後の多施設共同研究などに大きく期待が寄せられる。本 発表では以上で述べたような各種解析の原理や歴史、CRT における有用性などについて心臓超音波検査と対比しながら解説したい。 120 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography PD4-6 心電図における心臓再同期療法後の予後予測についての検討 五十嵐 都 1、夛田 浩 2、瀬尾 由広 1、石津 智子 1、黒木 健志 1、関口 幸夫 1、野口 祐一 3、野上 昭彦 1、 青沼 和隆 1 1 筑波大学 医学医療系 循環器内科、2 福井大学 病態制御医学 循環器内科学、3 筑波メディカルセンター病院 循環器内科 パネルディスカッション 5(PD5) 4 月 19 日(土) 第 3 会場 10:10 - 11:40 ASO の診断治療に血管エコーをどう活かす? Vascular team 活用術 座長:西上 和宏(済生会熊本病院 集中治療室)・吉牟田 剛(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科) 〈企画趣旨〉 近年チーム医療が推進され、心臓病では Heart team がクローズアップされている。同様に、閉塞性動脈硬化症 (Aerteriosclerosis obliterans: ASO) においても、Vascular team の重要性が増し、Vascular lab がその中心的役割を果たしている。中でも、血管エコーは vascular team 活動の多くの場面で登場する。本パネルでは、ASO に対する vascular team が個々の場面でどのように血管エコーを活用しているのか、そ れぞれのエキスパートに具体的な例を提示しながら講演いただき、ASO vascular team における血管エコーの活用術を考えてみたい。 PD5-1 スクリーニングから鑑別診断に活かす ~下肢動脈エコー検査の見方~ 寺上 貴子 1、大場 教子 2 1 金沢大学病院 検査部、2 珠洲市総合病院 検査室 末梢動脈疾患(peripheral arterial disease; PAD) の診断には、CT、MRI、血管造影、下肢動脈エコー検査、ABI/PWV、サーモグ ラフィーなどが主に施行されている。今回はその中でも、下肢動脈エコー検査についてスクリーニングから診断に至るまでの検査 手順と観察ポイントを伝える。検査を行うにあたり、1)血管の解剖を理解する、2)疾患を理解する、3)超音波検査の手法を使い こなす、4)治療を考えた報告書の作成という流れを意識する。1. 検査の前に必要なこと:依頼目的を確認する。他の検査の結果 を確認する。視診、触診(大腿、膝窩、後脛骨、足背動脈)を行う。2. 検査手順【スクリーニングの場合】動脈拍動触知部位を断 層法にて形態観察、カラードプラ法、パルスドプラ法を用いて血流評価を行う。右大腿部→左大腿部→右下腿部→左下腿部の順で 必ず施行する。【治療を含めた精査依頼の場合】スクリーニング同様、大腿動脈から観察・記録し、血流パターン、血流速度、左右 差から病変部を推定する。左右差がある場合や AcT の延長を認めた場合等は、腸骨領域の観察を行う。左右差がない場合は、病変 が推定できる大腿部末梢側へと観察を進める。検査にあたり、TASC 分類を意識しながら最大血流速度の記録、病変部位の位置と 範囲を捉えるように評価する。3. 報告下肢動脈は、観察範囲が広く、超音波検査は検者の技量に大きく影響を受けることから、ガ イドラインでは必須となっていない。しかし、十分な経験を積んだ場合、的確な病変部位の評価を行うことが可能と考える。常に 客観性の高い、説得力のある画像やデータを報告するように努める。4. 症例提示 121 特別セッション 【背景】心臓再同期療法 (CRT) において効果の有無を術前に予測するため多くの研究がなされている。特に心エコーは CRT の適応 決定、予後予測に重要な役割を果たしているものの、心エコーの指標は時に複雑であり、専門医による正確な評価が困難な施設も 多い。そこで心電図の特徴から CRT 後の予後予測が可能か検討した。【方法】対象は CRT が行われた心不全症例 113 例。CRT 前 後の 12 誘導心電図、心エコーを記録した。24 か月の観察期間中に起こった心不全・不整脈による入院、死亡をエンドポイントとし 関連性を調べた。【結果】イベントは 56 例 (50%) に認められた。イベント群では術前の QRS 幅が有意に小さかった(161 ± 34 vs. 176 ± 34 [ms], < 0.05)。心エコーでは LVDd, LVEF に有意差はなかったが、SPWMD はイベント群で有意に小さかった。左脚ブロッ ク、右室ペーシング、心房細動は関連がなかった。多変量解析では QRS 幅、SPWMD ともにイベントと関連が認められず NYHA 分類のみが独立危険因子であった(HR 4.28, 95%CI 1.81-10.12, p < 0.001)。CRT 後の QRS 幅も関連はなかったが、イベント群では QRS 幅が 4 ± 28ms しか短縮しなかったのに対しイベントのない群は 26 ± 32ms 短縮していた (p < 0.001)。15ms(平均値)以下の QRS 幅短縮は多変量解析で独立危険因子であった(HR 2.76, 95%CI 1.04 ± 7.31, p < 0.05)。【結語】CRT 後の予後に最も関連があっ たのは術前の NYHA 分類であった。心エコー上の同期不全、QRS 幅に代表される伝導障害の有無も重要ではあるが単独での予後予 測は困難であった。CRT による QRS 幅短縮が予後に関連しており、それを得るためのリード位置の工夫など個々の症例での検討が 重要かもしれない。 第25回日本心エコー図学会学術集会 PD5-2 マルチモダリティによる Vascular Imaging:血管エコー vs. CTA・MRA 横山 直之、斎藤 智久、紺野 久美子、一色 高明 帝京大学 医学部 内科学講座・循環器内科 閉塞性動脈硬化症(ASO)の画像診断法として、血管エコー、CT 血管造影検査 (CTA)、MRA、侵襲的血管造影検査が行われている。 各モダリティーの特徴を正しく評価し、検査を進めてゆく必要がある。血管エコー法は、簡便で非侵襲的であり、繰り返し施行で きることから ASO の診断に最初に行われる画像診断法である。CTA は、放射線による被ばくおよび造影剤を使用する点で、その 適応に制限がある。しかし、空間分解能が高く、目標とする血管の全長を3D 再構成して評価可能であり、従来の血管造影検査に 匹敵する診断能を持っている。さらに、CT 検査の弱点と考えられている石灰化病変における狭窄や閉塞の描出においても、新技術 (デュアルエナジー法)による石灰化部位のサブトラクションを行うことで可能になりつつある。また、高度石灰化病変の存在は、 治療法の選択および治療手技の計画を建てる上で必要な情報と考えられている。MRA は、血管エコーや CTA の弱点である高度石 灰化病変の存在下でも動脈硬化病変の評価を正確に行うことができる。一方、血管壁の状態は評価できない点は留意すべきである。 他のモダリティーと比較して、血管エコーの利点は、ドプラ法による病変部位の血流動態の評価を行える点である。複数の狭窄病 変を有する例では、どの病変が下肢虚血に最も関与するか判断に苦慮することがある。ドプラ法を用いることで、侵襲的治療のター ゲットを決定することができる。また、ポータビリティに優れていることから血管内治療施行時の直接的ガイドを果たすことがで きる。当院での症例を提示しながら、各種画像診断の中での血管エコーの活用法を考察する。 特別セッション PD5-3 血管エコーを ASO の治療方針に活かす 小谷 敦志 1、藤井 公輔 2、佐賀 俊彦 2 1 近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部、2 近畿大学医学部 心血管機能制御外科学 閉塞性動脈硬化症 (ASO) は慢性動脈閉塞症が主であり,その本態は粥状硬化による動脈閉塞で下肢に多い.血管エコーによる ASO の評価は,動脈拍動の触診部位である腹部大動脈,総大腿動脈,膝窩動脈,後脛骨動脈,足背動脈において,パルスドプラ法 による血流波形から病変部位を推定する.一方,病変部位の重症度診断はドプラ法と断層法の両方でおこなう.血管内腔の狭窄の 評価はドプラ法から最高血流速度を計測する . 最高血流速度が正常の2倍超であれば径狭窄率で 50% 以上の狭窄が,最高血流速度 が4倍超では 75% 以上の狭窄が存在するとされる.断層法では血管径や血管壁の病変とその拡がり,狭窄や拡張の程度,エコー性 状などを評価する.Trans Atlantic Inter-Society Consensus (TASC) ガイドラインでは,左右の下肢動脈の狭窄および閉塞病変の長 軸方向への長さが治療方針の選択に関与する.したがって,血管エコーでは TASC 分類に応じた治療方針の決定が可能となる. TASC ガイドラインによる腹部大動脈・腸骨動脈領域の評価は,腹部大動脈の拡張の程度,腸骨動脈の片側および両側の病変の長 さや分枝血管への波及状態,対側の開存性や病変の有無などが重要である.また,大腿動脈・膝窩脈領域の評価では,腹部大動脈 の拡張の程度,腸骨動脈の片側および両側の病変の長さや分枝血管への波及状態,対側の開存性や病変の有無などを観察する.近年, 下肢動脈に対するステント治療が増加しており,ステント留置が禁忌である部位(non-stenting zone)の評価にも血管エコーは有 用である. PD5-4 カテーテル治療に活かす 下肢血管形成術施行時における超音波検査の役割 田口 英詞 1、西上 和宏 2、富田 文子 3 1 済生会熊本病院心臓血管センター 循環器内科、2 済生会熊本病院心臓血管センター 集中治療室、3 済生会熊本病院 中央検査部 下肢血管形成術を施行する際、特に慢性完全閉塞病変に対する治療手技には 工夫を要する。ワイヤーの選択やワイヤー先端の形状は、case by case であ るが、非常に重要である。また、ワイヤーが血管内のどこを進んでいるかの 情報も重要で、その一助になるのが血管内超音波検査(IVUS)や体表面超 音波検査である。特に閉塞部をワイヤーが通過する際の入り口と、閉塞部を 抜ける出口の情報は成功の鍵を握り、慎重に判断する必要がある。今回、当 院で行った実際の症例を数例提示し、その有用性と限界を論じたい。 122 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography PD5-5 術後評価に活かす血管エコー 山本 哲也 埼玉医科大学国際医療センター中央検査部 【はじめに】 閉塞性動脈硬化症 (ASO) に対する治療法は , カテーテルを用いた血管内治療とバイパスグラフトを用いた外科的治療が 血行再建術として実施されている . これらの治療後の経過観察や合併症評価には , 造影剤を用いることなく実施できる血管エコー検 査の有用性は高く , その役割は大きい .【術式の確認】 血管内治療と外科的治療では , エコー検査の観察ポイントが異なる . またバ イパス術でも人工血管を用いた場合と自家静脈グラフトを用いた場合 , さらに自家静脈グラフトでは reversed vein graft と in situ vein graft で若干異なる . 検査に先立って , どのような術式で行われたのかを把握しておくことは大切である .【術後の観察評価】 ASO 術後のエコー検査では治療部位の再狭窄や閉塞などが見られることがあり , 血管開存性の確認が大切である . 一般に , カラード プラ法で血管の開存性を確認し , パルスドプラ法や連続波ドプラ法で狭窄を判定する . その際 , 適切な装置条件の調整が大切である . 血 流が検出されない場合 , 閉塞を疑い , モザイク血流が検出される場合 , 狭窄を疑う . 遠隔期における閉塞原因は , 末梢吻合部の内膜肥 厚によることが多く , 血管壁性状についても観察する習慣を付けたい .【術後合併症評価】 血管内治療では仮性動脈瘤や動静脈瘻 , 医原性の血管解離などカテーテル穿刺に伴う合併症を念頭に観察する . 一方 , 外科的治療ではバイパスグラフトの吻合部に狭窄や仮 性瘤 , グラフト周囲膿瘍などに留意して観察する . 自家静脈グラフトを用いた場合では , 吻合部病変に加え , 静脈弁部にも狭窄を生じ るため , グラフト内部全体を注意深く観察する . また ,in situ vein graft によるバイパス術では動静脈瘻にも留意して観察したい . 特別セッション 123 第25回日本心エコー図学会学術集会 ワークショップ 1(W1) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 10:20 - 11:20 ASO の診断、治療後の評価 座長:赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科)・松尾 汎(医療法人松尾クリニック) 〈企画趣旨〉 このワークショップ企画の意図は、心エコー図学会に参加頂いた皆様に、 「動脈エコー検査の有用性を識って頂く」ことである。末梢動脈疾患 (PAD)の中で、閉塞性動脈硬化症 (ASO) が、近年急速に増加し関心を集めている。足首/上腕動脈血圧比(ABPI:測定装置=フォルムや バセラで容易に検査可能)で簡便に発見できる ASO は、 「全身の動脈硬化症の一部分症」に過ぎない。間欠性跛行は QOL の低下を、重症虚 血肢は生命予後にも関連することは、よく知られるようになった。診療の内容は TASC Ⅱ(PAD 診療ガイドライン)に詳しいが、その診療に は「画像診断」が必須とされている。その中でも、動脈エコーは唯一、無侵襲で、画像と機能の両面を評価できる検査法として有用であるが、 未だ我が国では充分に活用されているとは言えない。その理由には、その利点や検査のコツなどが、循環器診療の臨床に浸透していないこと が挙げられる。このワークショップでは、 「PAD/ASO 診療にエコーをどう活かすか」について、心エコーのプロでもある先生方が、 「日常で 血管エコーをどう使っているか」を述べて頂く様に企画した。エコーによる動脈病変の評価は勿論、治療中や治療後の経過観察、更には全身 合併症(心臓、腎臓等)の評価などに、エコーはフルに活用できる。参加者の皆様にとって、明日からの循環器診療に役立つことを期待する。 特別セッション W1-1 血管エコー検査と心エコー検査のコラボレーション 山田 博胤 1、西尾 進 2、坂東 美佳 1、發知 淳子 1、西條 良仁 1、山尾 雅美 2、天野 里江 2、鳥居 裕太 2、 平田 有紀奈 2、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 日本を含めた国際大規模観察研究「REACH Registry(Reduction of Atherothrombosis for Continued Health)」では,末梢動脈 疾患群の実に 51.6% に冠動脈疾患を合併しており,冠動脈疾患群の 10.6%に末梢動脈疾患を合併していた.また,両疾患と脳血管疾 患との合併も少なくなかった.したがって,このような動脈硬化を基盤とした病態を全身性疾患としてとらえ,診断や治療を進め ていくという考え方が浸透しつつある.超音波検査分野においても,従来は心エコー検査,血管エコー検査そして頸動脈エコー検 査が別々の検査技師あるいは診療科によって行われることが多かったのではないだろうか.しかし,動脈硬化疾患を包括的にとら えていくには,心エコー検査と血管エコー検査のコラボレーションが望ましいと思われる.そのためには,心エコー検査を施行す る技師や医師は血管エコー検査を,血管エコー検査を施行する技師や医師が心エコー検査を修得する必要がある. 我々は,その ような立場に立って,2010 年より“エコー淡路”という超音波診断セミナーを開催してきた.そこは,心エコー検査に携わるもの と血管エコー検査に携わるものが,いっしょに勉強し,お互いのことを理解し合う場である.レクチャーだけでなく,小グループ 制のハンズオンセミナーも行い,知識と同時に実際的な検査テクニックを習得する機会も提供している. 本セッションでは,心 エコー検査と血管エコー検査,そして検査技師と医師のコラボレーションが末梢動脈疾患の診療に重要であるということを強調し たい. W1-2 末梢動脈疾患診療におけるエコー検査の活かし方 赤坂 和美 1、東 信良 2、長谷部 直幸 3 1 旭川医科大学病院 臨床検査・輸血部、2 旭川医科大学 血管外科、3 旭川医科大学 循環・呼吸・神経病態内科学 高齢化と動脈硬化性疾患の増加により,末梢動脈疾患を診療する機会も増加している.末梢動脈疾患は冠動脈疾患や脳血管疾患に 合併することが多いため,スクリーニング目的の動脈エコー検査を心エコー検査とともに施行して患者の全身状態を把握すること は,動脈硬化性疾患の治療戦略を立てる上で重要である.一方,腎機能低下などにより他の画像診断の施行が困難である場合には, エコー検査が末梢動脈疾患の治療法を決定する検査となりうる.エコー検査で得られる血流情報が,血管診療において重要な情報 となることもある.また,自家静脈グラフトを用いた下肢血行再建例では,グラフトが完全閉塞に至るまで自覚症状が出現しない ことも多い.遠隔期成績の向上のためには,限局性の進行性内膜肥厚によるグラフト狭窄や宿主動脈の病変進行を早期に発見し, グラフト閉塞に陥る前にその修復を図ることが必要であり,エコー検査による graft surveillance が果たす役割は大きい.非侵襲的 検査であるエコー検査は安全で繰り返し検査が可能である反面,検者の技量に左右される検査でもあるため,ガイドラインの作成 などによる標準化が進められている.しかしながら,エコー検査を血管診療に活かすためには,標準化のみならず,検者が解剖・ 疾患・治療について診療医と共通の認識を持ち,診療医の視点で検査を行うことが必要である. 124 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography W1-3 医師の要望にどう応えるか? ~下肢動脈エコー~ 村上 未希子 1、西上 和宏 2 1 済生会熊本病院 中央検査部、2 済生会熊本病院 集中治療室 下肢動脈エコー検査は無侵襲で繰り返し検査を行うことができ,ASO(arteriosclerosis obliterans) 患者における診療において大変重 要な役割を担っている.エコーの依頼目的は,スクリーニング,経過観察,治療法の選択,治療中のガイド,治療後の評価など多 岐にわたる.エコー技師は,医師の要望に即した検査および結果報告が求められる.スクリーニング検査では,鼠径部 ( 大腿動脈 )・ 膝窩部 ( 膝窩動脈 )・足部 ( 後脛骨動脈・足背動脈 ) の血流波形を参考にしながら,簡単に全体観察を行う.病変が疑われる場合には, 詳しく観察しその評価を行う.検査開始前に,ABPI(Ankle-Brachial Pressure Index) などの検査結果,患者の症状や足の状態を確 認することも重要である.精密検査を行う際には,治療法の選択を念頭に置いた詳細な検査を行う必要がある.病変の位置や長さ, 側副血行,石灰化の有無など,病変や治療の際にアプローチ部位となる血管性状の評価などを行う.治療中の評価としては,エコー ガイド下で行う経皮的血管形成術がある.血管造影では欠損像となってしまう閉塞病変への治療も,エコー画像でワイヤーの位置 確認ができ,安全に進めることができる.術後の評価としては,ステント留置後やバイパス術後の評価がある.ステントやグラフ トの開存の評価はもちろんのこと,術後の合併症の評価などにも有用である.医師の要望に即した検査を行うためには,治療方針 の決定で参考にされるガイドラインや治療方法の知識が必要である.また,医師とのコミュニケーションを大切にし,検査結果や 治療に対するフィードバックも重要である.ASO 治療における下肢動脈エコーの役割についてエコー技師の立場から述べる. 特別セッション W1-4 PAD 診療に役立つ血管エコーとは? 竹本 和司 和歌山県立医科大学 循環器内科 近年、生活習慣病の増加や高齢者増加に伴い PAD( 閉塞性動脈硬化症 ) の罹患率が増加している。動脈の狭窄や閉塞による下肢の虚 血で、下肢冷感、間欠性跛行などの症状が出現し、重篤化により足趾潰瘍、壊疽を呈し、重症虚血肢の進展していく場合があり、 早期診断、治療は重要である。PAD の画像診断には CT アンジオ、MRA、超音波検査などがあるが、どの検査が施行されるかは施 設により違いがある。血管超音波検査は、他の画像診断に比べ、検査のコストが低い。比較的簡便に施行することができる。局所 の詳細な観察が可能である。血行動態の観察が可能。造影剤を使用しないことなどが挙げられる。短所として、全体像の描出がで きない。石灰化が強いと描出できない。検査者の技量により、検査時間や検査精度に違いが出ることがあげられる。また CT アンジ オや MRA 像は立体的な描出が多方向から観察可能であることから、血行再建術時に必要な情報が得られやすい。近年カテーテルに よる血行再建術も盛んに行われるようになり、治療効果の判定や、経過観察が必要になってきた。したがって診療には、初期診断 や治療後の経過観察が必要であり、超音波検査の役割を果たす部分は多い。また日常診療における超音波検査で所見のみで下肢虚 血の程度は判定不可能であり、ABI( 足間接上腕血圧比 ) を併記することで、重症度判定や経過観察に役立つようになる。 ワークショップ 2(W2) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 16:10 - 17:10 チーム医療(SHD インターベンション、Heart team アプローチ)における心エコーの役割 座長:岩瀬 正嗣(藤田保健衛生大学医療科学部 医療経営情報学科) ・山野 哲弘(京都府立医科大学 臨床検査部/循環器内科) 〈企画趣旨〉 「ハートチーム」という言葉がさかんに言われるようになりました。特に、最近の SHD インターベンションの広がり、また経カテーテル大動 脈弁治療(TAVI)の登場により「ハートチーム」の重要性はより高まり、もはやその存在なくしてこれらの治療を実施することは不可能です。 しかし、我々を含めて多くの循環器臨床家にとって「ハートチーム」は依然として漠然とした概念ではないでしょうか?本ワークショップでは この「ハートチーム」の実際について、SHD インターベンションの代表的疾患である心房中隔欠損カテーテル閉鎖術および TAVI の実施に関 連してどのように運用されているのか、それぞれ 2 施設から報告頂き、今後新たに「ハートチーム」創設を目指しておられる先生がたに参考 となる企画にしたいと考えています。SHD インターベンションにおける「ハートチーム」の特徴の一つに Imaging specialist、 すなわち心エコー 図を専門とする我々が含まれ含まれるべきことがガイドライン(ESC/EACTS Guidelines on the management of valvular heart disease 2012)や多くの総説に明記されています。このことからも、心エコー図学会でこのテーマについて取り上げることには大きな意味があると思 います。 125 第25回日本心エコー図学会学術集会 W2-1 心房中隔欠損症カテーテル的閉鎖栓治療を開始した当施設での留置困難や治療回避因子の経食道心エ コー図所見からの検討 田代 敦 1、小山 耕太郎 2、森野 禎浩 3、早田 航 2、高橋 信 2、中野 智 2、上田 寛修 3、熊谷 亜希子 1、 中村 元行 1 1 岩手医科大学附属病院心血管腎内分泌内科・循環器医療センター、2 岩手医科大学附属病院小児科・循環器医療センター、 岩手医科大学附属病院循環器内科・循環器医療センター 3 特別セッション 背景:当施設では H25 年春から内科と小児科で心房中隔欠損症 (ASD) へのカテーテル的閉鎖栓 (ASO) 治療が開始された。ASO 治 療の適否は、循環器小児科医・小児心臓血管外科医・循環器内科医のハートチームカンファレンスで決定している。目的:ASO 治 療開始間もない施設における閉鎖栓留置困難ならびに治療回避因子を経食道心エコー図所見などから検討した。対象と方法:当施 設の内科・小児科で、H25 年 3 月から 11 月までに ASO 治療適応を満たし治療を考慮した 22 例を対象とした。結果と考察:22 例中 7 例でカンファレンスにおいて経食道心エコー図所見などから ASO 治療を回避した。この内 5 例は開心術が施行された。治療回避 した因子は、対面する複数 rim 欠損 3 例、rim 欠損の対側が floppy rim 2 例、多孔性欠損かつ floppy rim 2 例であった。ASO 留置 手技は 15 例に施行し、留置困難が 2 例 ( 内科 1 例・小児科 1 例 ) みられた。留置困難 2 例の因子は、複数 rim 欠損+対側 floppy rim が 1 例、floppy rim が 1 例であった。ASO 留置成功の 13 例では、複数 rim 欠損はなく、1 rim 欠損でも対側は floppy rim では なかった。結論:内科側では疾患経験豊富な外科医と小児科医の意見から ASO 治療の適否を決定している。今後も ASO 認定施設 が増加すると思われるが、開始初期に治療のリスクを抑えて成功率を高めるには、適応を満たしていても、rim 欠損の対側 rim や floppy rim などの評価とハートチームカンファレンスでの適否決定が大切と思われる。 W2-2 多発性心房中隔欠損症に対するカテーテル閉鎖術における心エコー図の役割 木島 康文 1、赤木 禎治 2、麻植 浩樹 1,3、中川 晃志 1、高谷 陽一 1、池田 まどか 3、渡辺 修久 3、 佐野 俊二 2、伊藤 浩 1 1 岡山大学病院 循環器内科、2 岡山大学病院 循環器疾患集中治療部、3 岡山大学病院 超音波診断センター 心房中隔欠損症(atrial septal defect; ASD)に対するカテーテル閉鎖術は標準的な治療法となりつつあるが、この治療において心 エコー図による手技のガイドは重要とされている。 当施設では 2008 年 1 月から 2013 年 12 月までに 50 例(平均年齢 45 ± 23 歳)の多発性 ASD に対してカテーテル閉鎖術を施行した。 全例で Amplatzer Septal Occluder もしくは Amplatzer Cribriform (St. Jude Medical)を用いて手技を施行した。デバイスを二つ 以上留置した症例(図 A)は 20 例であり、その他 30 例は一つのデバイスで多発性 ASD を閉鎖した(図 B)。 心エコー図、特に 3 次元心エコー図は治療戦略の決定に大きな役割を果たした。また、手技中においてはどの欠損孔に閉鎖デバイ スが留置しているのかを判断するのに心エコー図ガイドは必須であった。 多発性 ASD などの形態の複雑な ASD に対してカテーテル閉鎖術の施行において心エコー図の重要性はより顕著となるものと考え られる。 W2-3 TAVI における心エコー検査の役割 丸尾 健 1、後藤 剛 1、福 康志 1、江口 春樹 1、遠藤 桂輔 2、横田 佳代子 2、島本 健 3、筑地 日出文 2、 小宮 達彦 3、門田 一繁 1、光藤 和明 1 1 公益財団法人 倉敷中央病院 循環器内科、2 公益財団法人 倉敷中央病院 臨床検査部、 公益財団法人 倉敷中央病院 心臓血管外科 3 重度大動脈弁狭窄(AS)に対する TAVI においては,異なった科,職種で術前,術中,術後に,多くの情報を共有し詳細なコミュ ニケーションをとる必要がある.その中で,心エコー検査が提供する情報は多い.術前重症度評価は心エコー検査によるものが中 心になる.明らかに重症である場合は,あまり問題とならないが,評価が controversial である low-gradient severe AS などは,詳 細な評価を求められ,ドブタミン負荷,さらに他の modality(MSCT)での評価も加味して評価する場面も多い. 弁のサイジング においては,経胸壁心エコーでの評価を手がかりに,一般的には MSCT での 3D による評価を行う施設が多い.当院では 3D 経食 道心エコーの弁輪計測も行い,MSCT との対比で弁のサイジングを行っている. 実際の術手技中には,経食道心エコーによる術中 モニターを行い,特に合併症の検出,術後大動脈弁逆流の評価においては中心的な役割を果たす.術後は,フォローでの心エコー 検査を検査を定期的に行い,術前評価の成否,術中の反省点,次回の実施に向け改善点をカンファレンスで議論している.TAVI に おいては,重症度,弁輪径計測など多くの点で従来よりもクオリティーの高い物が求められる.そのため,既存の心エコー検査の 精度に限界を感じる場面も多い. TAVI では曖昧な情報が治療の成否に結びつくこともあるため,特に心エコー検査の評価が controversial な場合には限界を正確に伝える必要性もあるかもしれない. 126 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography W2-4 大動脈弁狭窄症に対するチーム医療 (Heart team アプローチ ) における心エコーの役割 鶴田 ひかる、村田 光繁、林田 健太郎、八島 史明、猪原 拓、香坂 俊、川上 崇史、前川 裕一郎、 福田 恵一 慶應義塾大学病院 循環器内科 ワークショップ 3(W3) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 16:10 - 17:10 もう一度見直すストレイン計測と 2D-speckle tracking の精度(ストレイン計測の再現性を いかに向上させるか) 座長:石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)・田中 秀和(神戸大学大学院 循環器内科学) 〈企画趣旨〉 Tissue Doppler Imaging に代わる、次世代の壁運動解析技術として 2D-speckle tracking 法が出現して約 9 年が経過した。2D-speckle tracking 法を用いた研究は、瞬く間に世界中に広まり、循環器疾患における新たな定量的指標として期待されている。さらに、2D-speckle tracking 法を用いた心筋虚血の診断や dyssynchrony の定量評価などは、徐々にではあるが、日常臨床に応用されつつある。しかしながら、 心機能評価としての 2D-speckle tracking 法の有用性は多数報告されている一方で、近年新たな問題も出現してきている。一つは再現性の問 題である。例えば関心領域の設定においても、トレースの方法により測定された計測値は異なる。また、2D-speckle tracking 法による測定 値は機種によって異なることも、我が国で行われた多施設共同研究で証明された。これらの問題点が、2D-speckle tracking 法の日常臨床に おける、ルーチンでの使用を躊躇している一因になっていると思われる。本ワークショップでは、2D-speckle tracking 法の精度と再現性に 焦点を当てて討論し、key note lecture として、海外における 2D-speckle tracking 法の現状についても論議する。 W3-1 2D ストレイン心エコー法の現状と問題点 竹内 正明 産業医科大学第二内科 2004 年より臨床応用が始まった2D スペクルトラッキング法によるストレイン計測は左室局所の定量評価、左室駆出率では診断が 困難な潜在的心機能障害を検出し得る方法として多くの臨床研究に使われており、本方法を用いた臨床論文は恐らく現在 1000 を超 えていると思われる。しかしながら本方法を用いたストレインの測定精度には超音波画像の画質以外に、超音波機器メーカー独自 が開発したストレイン解析ソフトの影響を受けるため、同一検者に異なる超音波機器を用いて同一時に画像収集し、それぞれの機 器特有の解析ソフトを用いて得られたストレイン値は、検者間誤差を度外視しても有意に異なることが最近大きな問題となってい る。このことは同一患者に治療前後で心エコー画像を収集する際、たまたま記録に用いた超音波機器が異なると、ストレイン値を 計測した場合、そのストレイン値の違いが治療効果により生じたものか、解析ソフトの違いにより生じたものかの判断が出来ない ことを意味している。最近それぞれのメーカーの超音波機器で得られた raw data を DICOM 画像に変換し、ストレイン解析の出来 るいわゆる vendor independent software が注目を集めている。この解析ソフトを用いれば縦断的に複数回とられた同一患者の心エ コーデータがたとえ異なるメーカーの超音波機器であったとしても解析が可能であり、比較検討ができることを意味している。果 たしてこの方法は現状を打破できる夢の方法であろうか。あるいは超音波機器固有のソフトは今後標準化されていくのであろうか。 本講演ではこの質問に答えるデータを提示し、皆さんと論じたいと思う。 127 特別セッション Structure Heart Disease に対するインターベンションがめざましい進歩を遂げる現在、大動脈弁狭窄症 (AS) の治療方針として、外 科的大動脈弁置換術 (SAVR)、侵襲的治療は行わず経過観察に加えて、カテーテルを用いた大動脈弁留置術 (TAVI)、場合によっては、 姑息的治療法である経皮的大動脈弁バルーン形成術 (BAV) の選択肢があり、個々の症例に応じた多角的な検討が必要となってきた。 これらの判断には、治療に携わる外科医、カテーテルインターベンション医に加え、術中管理を行う心臓麻酔医、心エコー診断医、 MDCT による解剖学的構造を診断する放射線科医の協力体制が必要である。治療を考える大前提として重症 AS の診断があり、さ らに年齢、症状、全身の合併疾患と Fraility などの要因から、SAVR が可能かあるいはハイリスクかの判断を行い、後者について TAVI の適応を検討するのが一般的な流れである。TAVI に関しては、血管合併症と術後弁周囲逆流が予後に関与することが報告さ れ、正確な弁輪径と大動脈に関する詳細評価を可能とする MDCT の価値は非常に高い。心エコーは、AS 重症度の適切な診断 ( 負 荷エコーも含め )、収縮能、拡張能などの心機能診断、合併弁膜症、弁留置に支障を来す可能性のある高度 S 状中隔や左室閉塞機転 合併の判断など、機能的な診断に強みがあり、治療適応判断の上で重要な情報となる。また、術中エコーは合併症のモニタリング や弁周囲逆流評価を迅速に行える利点もある。Heart team アプローチのあり方については、我々も試行錯誤を繰り返しながら前に 進んでいる状況であるが、当院での取り組みについて具体例を提示しながら紹介させていただきたいと思う。 第25回日本心エコー図学会学術集会 W3-2 ストレイン法の精度と再現性 浅沼 俊彦 大阪大学大学院 医学系研究科 先進心血管治療学寄附講座 心筋ストレインは、局所心筋運動の定量評価を目的として考えられた指標で、心筋が、ある方向にどれだけ伸び縮みしたかを表す。 心筋ストレインを解析することで、局所の収縮を定量的に評価できるだけでなく、視覚では観察が難しい微細な運動や、非同期的 な運動も簡単に同定することができる。ストレインエコー法は、最初は組織ドプラ法を用いていたため、超音波照射方向の動きし か評価できないという角度依存性の問題があった。しかし、心筋の動きを追随する技術であるスペックルトラッキング法の開発に より、角度依存性の問題は克服され、現在では左室すべての領域のストレイン波形を解析できるだけでなく、短軸断面における円 周 circumferential 方向と半径 radial 方向、心尖断面における長軸 longitudinal 方向と横断 transverse 方向といった様々な方向の運 動も評価できる。また、近年では、左房・右室への応用や、三次元(3D)画像でのスペックルトラッキング法も可能になった。 一方で、現時点でのスペックルトラッキング法は新しい技術であるがゆえに完全ではなく、さまざまな限界があり、これを知らず に使用することで誤った解釈をしてしまう可能性がある。また、得られる値は装置間で異なることが知られており、これが普及を 妨げる問題となっている。本ワークショップでは、現行装置での解析において、ストレイン計測の精度や再現性で問題となる事項 や注意すべき点について述べる。 特別セッション W3-3 EF より一歩進んだ心機能評価 - Global strain の有用性 兵頭 永一 1、徳田 剛宏 1、前田 美歌 1、岩村 世晴 1、民田 浩一 1、山室 淳 1、石井 克尚 2、吉川 純一 1 1 西宮渡辺心臓血管センター 循環器内科、2 関西電力病院 循環器内科 Ejection fraction(EF) は Systolic volume/LVEDVx100(%) と定義され、収縮 指標でありながら同時に拡張期の指標も含んでいる。この指標は前負荷、後 負荷に大きく影響されしばしばあやまった解釈をするおそれがある。また、 EF の計測には賢者間のばらつきも大きいことが報告されている。このよう に収縮能を EF のみで判断するのは限界がある。近年、スッペクルトラッキ ング法による global strain 評価が新しい心機能評価として注目されている。 global strain を用いて行った過去の文献について紹介したい。また当院にて longitudinal global strain、radial global strain ( 心内膜側、心外膜側、全体 ) の有用性を大動脈弁狭窄症患者において検討したデーターを示す(表)。い かにして再現性をいかに向上させるか筆者なりの考えをまとめていきたい。 W3-4 装置間の差異は克服できるのか 石津 智子 筑波大学 医学医療系 臨床検査医学 本演題では装置間の差異をテーマとしストレイン計測の精度と再現性について、実例の提示を交え過去の研究報告の再考を行い、 この課題をどう克服すべきかを見直したい。はじめてこの問題に正面から立ち向かったのは前向き多施設研究 JUSTICE 研究(Circ J. 2012;76:2623) である。健常成人 817 名を対象とし、GE、Philips、東芝の 3 社の2D ストレインの詳細な比較がなされ、ストレイン 解析可能率、正常値はベンダーごとに異なり、ベンダー間の計測値は一致しないと結論づけ、ベンダー間差異た確かに存在するこ とを明らかにした。最近ではベンダー間では話し合いがもたれ、将来的な統一化の方向性もあると聞く。ユーザーの本音としては、 未だ完璧なベンダーはなく、一長一短である。現時点で特定のベンダーが淘汰されることは必ずしも得策ではない。現時点でユーザー にできる装置間差異を克服する手段は1)研究の際に装置を統一する 2)ベンダーによらない解析ソフトを用いる3)ベンダー 毎の異常閾値を用いて正常、異常(軽度、中等度、高度)の判定を行う、4)ベンダー間の差異の少ない指標である Global longitudinal strain を用いる、ことかもしれない。すなわち、よりグローバルで半定量的な利用法に価値が置かれている。しかし本 当に私たちがストレインに期待していたものは、見た目ではわからない局所心筋変形の定量化であったはずだ。装置間で一致する 安定した計測を求めるあまり、本来の心筋の心臓生理学的挙動の解明にストレインを用いる研究が否定されることのないように、 更なる改良を目指した開発競争を期待したい。 128 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography W3-5 自動化トラッキングによるストレイン計測の再現性向上:ACT による自動計測は熟練者のマニュア ルトレースにどこまで迫れるか 高野 真澄 1、阿部 康彦 2、平山 よしみ 2、武田 守彦 3、柴 信行 3 1 福島県立医科大学 附属病院 集中治療部、2 東芝メディカルシステムズ(株)、3 国際医療福祉大学病院 循環器内科 ワークショップ 4(W4) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 13:10 - 14:10 エコーラボの水準をいかに維持するかさらに伸ばすためには(医師とのコミュニケーションアップ) 座長:森 一博(徳島県立中央病院 小児科)・大場 教子(珠洲市総合病院 検査室) 〈企画趣旨〉 近年の超音波検査の発展はめざましく,循環器領域においても診断に不可欠な検査手段である。臨床各科からは迅速かつ精度の高い結果報告 が求められ,経過観察を含め急性期から慢性期までの依頼検査件数は増加し続けている。 超音波検査は非侵襲かつ短時間で診断できるという利点を有する反面,診断精度は検者の技量に大きく依存する。 エコーラボでは,日々進歩する新しい超音波検査技術の情報や知識を学び,臨床各科からの多種多様な要望に応えていくことが重要な課題 となっている。医師と検査技師のコミュニケーションアップをはかることも必要なことである.画像を管理し、過去のデータと対比し必要に応 じて迅速に呈示できるシステム作りも大切である。そして、エコーラボでの研修を受ける若い医師や技師の教育システムの構築も重要な責務 である。 本ワークショップでは,これらの点に関して,各施設での取り組みや考えについて述べていただく。そして,今後のエコーラボの在り方につい て活発な討議をしたいと考える. W4-1 中規模病院における心血管エコー検査の将来に向けて~ CAS 後数ヶ月で再狭窄を呈した一症例をふ まえて~ 井口 由佳子 1、大場 教子 1、平野 真由美 1、薮 和恵 1、藤本 育子 1、吉田 太治 2、西岡 亮 3、 清水 雄三 4、寺本 了太 2、中西 章 5、浜田 秀剛 6、追分 久憲 2 1 珠洲市総合病院 検査室、2 珠洲市総合病院循環器内科、3 珠洲市総合病院腎臓内科、4 珠洲市総合病院消化器内科、 珠洲市総合病院整形外科、6 珠洲市総合病院脳神経外科 5 当院はへき地の中規模病院 (199 床 ) であり、市内唯一の有床病院である.半島の最先端に位置するという地理的条件に加え交通機 関は脆弱で、高齢化が進んでいるためプライマリーケアの最前線として日々、様々な症例と遭遇する. 当院では以前より医師が心 エコー検査をしていたが、2012 年より臨床からの要望で技師が担当することとなった.心血管エコー検査の経験に乏しかった私た ちは、熟練技師を招いて教わりながらエコー検査を稼働させることとなった.また 2012 年より循環器医が 2 人体制となり、心臓カテー テル検査が導入され冠動脈疾患患者の診断・治療、さらに透析シャントトラブルへのカテーテル治療も行われるようになった.臨 床からの要望はカテーテル検査への技師の参画や、心臓・透析シャント・下肢血管・関節リウマチなどの様々なエコー検査であった. 私たちはその要望を可能な限り受け入れることで臨床との連携を強め、緊急を要する結果は迅速に伝えることを積極的に行い、よ り付加価値の付いた結果を提供するよう努力している.医師も技師に指導の目を向けることができ、循環器医による勉強会が月に 一度開催され、近隣市町の技師も参加している.2013 年度に新規超音波機器が導入され、画像閲覧システムが整備された.院内で の検査も部署を超えて共有し、隔たりのない医療を目指している.このように、強い連携の中でエコー検査の重要性を日々感じな がら臨床に応えるべく業務の質を高めるためにも、学会発表や講習会の積極的な参加、定期的な勉強会の開催を続けていくべきだ と考えている. 今回 CAS 後数ヶ月で再狭窄を呈した一症例をふまえて当院における心血管エコー検査の将来像について考察する. 129 特別セッション 【背景】2D Wall Motion Tracking を用いた strain 計測において、心内膜・外膜面の輪郭設定が検者により異なり、strain 値の再現 性が低いことが問題とされる。近年改良されたロバスト型 Automated Contour Trace 法 (rACT) は、心尖部像の僧帽弁輪部 2 点と 心尖部の計 3 点を指定し、指定位置近傍で弁輪位置を探索して再配置後に初期輪郭を自動設定する。本法により strain 計測の再現 性向上が期待されるが、その有用性は明らかでない。【目的】rACT 法を用いた strain 値の再現性・精度を、エキスパートによる manual trace 法による strain 値と比較検討する。【方法】対象は虚血性心疾患患者 33 例。心尖部 4 腔像 ( 東芝社製 Artida) において、 エキスパートによる manual 法を用いた global longitudinal strain (manual-GLS) 値を算出し、さらに同画像を用いた rACT 法による GLS (rACT-GLS) を算出、比較検討した。また、rACT-GLS の再現性を評価した。【結果】全症例において、manual-GLS (-13.8 ± 4.2%) と rACT-GLS (-14.1 ± 4.2%) に有意差を認めなかった。manual-GLS と rACT-GLS は強い相関を示し (r=0.96, P < 0.001)、BlandAltman 法にて有意な誤差を認めなかった。さらに、rACT-GLS は高い再現性が認められた ( 一致係数 0.98、変動係数 3.3%)。一方、 manual 法および rACT 法のいずれにおいてもトラッキング不良例が存在し、解析画像が through plane 現象を伴っていた。【結語】 ロバスト型 ACT 法による GLS 値は再現性が高く、エキスパートによる manual 法を用いた GLS 値と一致した。ストレイン計測の 再現性・精度向上には、優れたアルゴリズムを有した自動化トラッキングシステムを用いた輪郭設定、および解析に適した画像の 取得が必要と考えられた。 第25回日本心エコー図学会学術集会 W4-2 エコーラボの水準をいかに維持しさらに伸ばすためには ―当院での試み― 山本 克紀 1、今井 孝一郎 2、玉田 智子 2、林田 晃寛 2、泉 礼司 1、高橋 和枝 1、中務 二規子 1、 宮井 智子 1、三宅 知子 1、若狭 ちさと 1、梶谷 敦子 1、宮本 由紀子 1、大倉 宏之 2、吉田 清 2 1 川崎医科大学附属病院 中央検査部、2 川崎医科大学 循環器内科 特別セッション 循環器疾患の診断と治療における心エコー図検査の重要性が増すとともに、検査の効率化や精度のレベルアップが求められてきた。 この一見相反する要求に応えていくためには、心エコー図室の水準を維持するだけではなく、さらに伸ばすことは必須課題である。 現在、当院の検査室では、循環器内科医が1名以上常在しており、我々ソノグラファーは医師の監督下に検査を行っている。通常 はソノグラファーが検査を実施し、報告書作成後、デジタル保存した動画像をもとに医師がチェックし、最終診断を行っている。 心エコー図室に専任医師が常在しているため、ソノグラファーは検査中に生じた疑問についてその場で医師に質問し解決すること ができる。また、緊急を要するエコー所見に遭遇した場合も、即座に医師の判断を仰ぐことができる。検査後も、エコー所見に関 連した病態、臨床所見、治療などを医師とディスカッションすることで単に画像を記録するだけではなく、さらに多くを学ぶこと ができる。 また我々の所見が、主治医によってどのように活用されたか、あるいはなにか問題はなかったか等が、検査室にフィードバックさ れるため検査方法を見直すことが可能となり、我々のレベルアップにつながっている。日々現場で学んだことをスタッフ全員で共 有できるように、エコーカンファレンスを行っている。 エコーラボの水準を維持し、さらなるレベルアップをめざすには、医師と ソノグラファーが情報を共有し、コミュニケーションを密にして日々の検査に臨める体制が望ましいと考える。 W4-3 超音波センターで育成される“General sonographer” 山尾 雅美 1、西尾 進 1、山田 博胤 2、佐田 政隆 2 1 徳島大学病院 超音波センター、2 徳島大学病院 循環器内科 近年、医療業務の細分化,専門化が進んでいる.その一方で,患者の体全体を診る「総合医」の不足が問題視されている.超音波 検査において,医師は専門領域を検査しても,専門外の臓器を観察することは少なく,専門外の疾患や合併症を見過ごすことも稀 でない.このような現状で,あらゆる領域に精通した超音波検査士がいれば,問題解決の一助になる可能性がある.これまでの超 音波検査士は,臓器に特化した specialist が必要とされてきた.しかし,高齢化時代を迎え,合併症をかかえた患者が蔓延し,病変 が複数の臓器にまたがることが多くなっている今,領域を超えた多面的アプローチによる総合的な超音波診断を行える”General sonographer“が求められる.当超音波センターは,ハイエンド超音波診断装置を集約させており,全ての診療科が利用できる.更に, 4人の認定超音波検査士が配属し,各診療科の医師とコラボレートし,多臓器の超音波検査を施行している.また,各診療科のカ ンファレンスに参加することで情報や知識を共有し,超音波診断と検査後の治療等についてフィードバックを行い,レベルアップ を図っている.その結果,総合的な超音波診断を行う知識や技術を習得でき,想定外の疾患や合併症を発見し得た例も多い.例えば, 頸動脈エコー検査時に甲状腺癌を発見したり,心エコー検査時に肝細胞癌を発見した場合にも柔軟かつ適切に対応できた.心エコー 検査で原因不明の左室壁運動低下を認め,筋エコー検査を施行し、筋炎所見が確認できたことで,早期診断に結びついた例もあった. 本発表では,そのような数症例を提示しつつ,“General sonographer”を啓蒙したい. W4-4 新しい成果を発信する心エコーラボであるために 中島 英樹 筑波大学附属病院 検査部 心エコーは常に進歩し、新しい検査法、計測項目が研究され報告されている。当院では既存の確立された検査法や計測法について 再現性や精度を保つため日々努力することにとどまらず、エコーラボの水準を高く伸ばすために、新しい検査法を探求することを 目標とした心エコーデータベースを日々の心エコー検査を通じて構築している。すなわち下記に示すような未だ臨床的な意義が確 立されていないが、将来的に有望な新しい計測値について数多くの検査項目を原則的に全症例を対象に計測している。主な新しい 測定項目としては1)左室および右室、左房の 3D エコー法記録を行い、左室容量、駆出率を算出、左室2D スペックルトラッキン グ法によるグローバル長軸方向ストレイン、グローバル円周方向ストレイン計測、2)推定左室長軸方向壁応力、円周方向壁応力、 体血管抵抗値の推定、3)大動脈弁狭窄症における Energy loss index、Pressure Recovery MG net、valvulo-arterial impedance な どである。計測項目が非常の多いため、できるだけ手間をかけずに報告書が完成するよう計測データの自動転送や自動計算システ ムを採用している。すべての心エコー情報は各超音波装置の外付け解析のワークステーションに接続したハードディスクに送信し、 ベッドサイドでの検査が終了してからワークステーションでさらに解析が容易にできる環境を整えている。3D 再構築像などはワー クステーションで作成後に電子カルテへ報告する。計測項目はデータベースとしてすべて自動保存される。いまだ改良すべき点も 多いが、このデータベースをもとに、10 年先も臨床で必要とされる新しい心エコー計測法が発信できるエコーラボを目指している。 130 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ワークショップ 5(W5) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 12:40 - 13:40 救急現場での心エコー図の活かし方 救急時の心エコー、私ならこうする 座長:岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 循環器内科)・有田 武史(財団法人平成紫川会社会保険小倉記念病院 循環器内科) 〈企画趣旨〉 MRI, SPECT, CT などの画像診断技術は近年著名な発達を遂げ、その診断精度はしばしば心エコーを遥かにしのぐ。しかしこれら最新技術 も「診断の迅速性」と「血行動態の評価」については、心エコーには到底及ばない。特に前者については今後とも心エコーの立場は揺るぐこ とはない。それどころか、携帯型エコーの進歩により心エコーは今まで以上にフットワークの軽いものとなっている。心エコーの神髄は今やそ の迅速性にあると言ってよいであろう。 心エコーの高い機動性が一番発揮されるは、言うまでもなく救急の現場である。病院の救急外来のみならず、大規模災害現場でも心エコー が活躍したことは記憶に新しい。本ワークショップでは心臓救急領域で心エコーがどのように活用できるかを探っていきたい。救急での携帯 型エコーによる迅速診断についての紹介に引き続き、虚血性心疾患、心不全、および救急処置の分野での応用例を紹介する。臨床経験の豊富 な演者陣による本ワークショップが、実際の救急現場で少しでも役に立つことがあれば本望である。 特別セッション W5-1 救急でのポータブルエコー:Quick-look diagnosis を理解する 福田 祥大、竹内 正明、永田 泰史、岩瀧 麻衣、林 篤志、大谷 恭子、芳谷 英俊、尾辻 豊 産業医科大学 第2内科 循環器救急や集中治療室などで心エコー検査をする際、据え置き型の標準的な超音波機器は装置の設置や起動に時間がかかり、十 分にその性能を発揮することが難しい。一方、コンピューターのめざましい技術進歩の結果、小型のエコー装置が登場し、救急現 場で広く活用されるようになった。今では「ポータブルエコー」という言葉も十分に認識されるようになった。救急の現場でポー タブルエコーを行うとき、迅速かつ要点をしぼってエコー検査を行うことが重要である。この考え方が quick-look diagnosis であり、 つまり、短時間で限られたアプローチから迅速に必要な情報を収集し、病態を把握し、治療方針やさらなる検査に直結する判断を する。傍胸骨長軸像、傍胸骨短軸像、心尖部 4 腔像、心尖部 2 腔像、心尖部長軸像など標準的なアプローチから異常所見を視覚的 にすばやく見つけ出し、直感的に診断することが大切である。例えば、局所壁運動の評価においては、局所壁運動異常の部位を大 まかに前壁中隔、下壁、側壁に分類し、16 分画での詳細な局所壁運動異常の部位や壁運動異常の程度の評価を必ずしも必要としない。 この Quick-look diagnosis に基づいた心エコー検査を実践することで、多くの緊急を要する病態を迅速かつ大雑把に把握することが できる。さらに、近年はポケットサイズのポータブルエコー装置が登場し、ポケットエコーという新しい言葉ができた。Quick-look diagnosis の考えを理解すること、ポケットエコーが登場したことにより、今後ますます救急現場におけるポータブルエコーの活用 が期待できる。 W5-2 救急でのエコーガイド下心嚢穿刺の実際 伊達 基郎 桜橋渡辺病院 内科 心嚢液は生理的状態でも 50ml 程度は貯留しているが、心嚢液が多量に貯留した結果、心拍出量の低下、血圧低下を来した状態が 心タンポナーデであり、心嚢穿刺の適応となる。外傷、急性大動脈解離、心筋梗塞、冠動脈インターベンションやカテーテルアブレー ションの合併症として急速に貯留する心嚢液は、少量であっても血行動態の破綻を来しやすく、緊急ドレナージを行う必要がある。 一方、慢性的な心嚢液貯留は血行動態への影響が小さいことも多く、心嚢穿刺の適応は慎重におこなう。心嚢穿刺の合併症として は気胸、肝損傷、消化管損傷、心臓穿刺などがあげられる。穿刺部位は胸骨剣状突起左側の Larrey point や心尖部が一般的であるが、 エコーによって適切な穿刺点と角度を記録し、穿刺点から心嚢腔までの間に他の臓器がないか、穿刺方向に心臓がないか、心嚢腔 までの距離も確認する。盲目的あるいはエコーガイド下に穿刺針を進めるが、針の先端が心嚢腔に達したときに造影剤を注入して レントゲン透視で確認する。透視が使用できない場合には用手攪拌した生理食塩水を注入し心エコーで確認する方法もある。先端 が心嚢内にあることを確認できれば、ピッグテールカテあるいは心嚢穿刺専用のカテを挿入する。心外膜を通過する際は比較的抵 抗が強いため、ダイレーターを使用することが推奨される。救急現場で頚静脈怒張を伴う急速な血圧低下の症例に遭遇した場合、 心タンポナーデを疑い原因検索と同時進行で心嚢穿刺を速やかに行う必要がある。 131 第25回日本心エコー図学会学術集会 W5-3 心筋梗塞の救急心エコー図ステップアップ:冠動脈分枝レベルでの責任血管を考える 木村 俊之 1、渡邉 望 2、西野 峻 1、緒方 健二 1、福島 裕介 1、井上 洋平 1、仲間 達也 1、古堅 真 1、 相良 秀一郎 1、小岩屋 宏 1、足利 敬一 1、栗山 根廣 1、松山 明彦 1、柴田 剛徳 1 1 宮崎市郡医師会病院 心臓病センター 循環器内科、2 県立宮崎病院 循環器内科 特別セッション 宮崎市郡医師会病院は 24 時間体制で循環器救急患者を受け入れ,年間約 450 件の急性冠症候群(ACS)患者のカテーテルインター ベンション治療を行っている.ACS 患者の救急心エコー図検査では,正しい局所壁運動異常の評価と急性期合併症の早期診断が重 要となる.壁運動異常の評価では,心エコー図画像における冠動脈支配領域を分枝レベルで知ることにより,より詳細な責任病変 を推定することができる.そのことによって梗塞の重篤度や起こりやすい合併症を早期に予測し,インターベンション前後におけ る管理に貢献することが救急現場での心エコー検査に期待される重要な役割である. 当院にてカテーテルインターベンションを 行った急性心筋梗塞患者 2437 人の責任病変ごとの急性期合併症の頻度を比較したところ,心室性不整脈は #5 (10.3%),#1 (5.4%), #2 (4.6%),#6 (3.6%) と左前下行枝または右冠動脈の近位部を含む病変で,高度僧帽弁逆流は #5 (11.0%),#11(10.0%),#13 (7.9%) と 左回旋枝近位部を含む病変で多かった.一方,左室自由壁破裂は #8 (6.5%),#14 (4.4%),#15 (3.8%) と左冠動脈の末梢病変に多くみ られ,急性期の心エコー図検査で分枝レベルの責任病変を推定することで,注意すべき合併症の想定が可能となる.また,右冠動 脈では近位部病変になるにつれて右室梗塞,完全房室ブロックの合併率が高くなり,#1 の梗塞では右室梗塞を 25.0%,完全房室ブロッ クを 8.3% に合併した. 救急現場において治療に結びつく一歩進んだ診断が可能となるよう,分枝を含めた冠動脈支配領域を立体 的にイメージし,責任病変を推定するための心エコー図診断のポイントと機械的合併症の心エコー図につき概説したい. W5-4 急性心不全に伴う僧帽弁逆流の心エコー図評価 阿部 幸雄 1、古川 敦子 1、伊東 風童 1、田中 千春 1、松下 司 1、吉山 智貴 1、水谷 一輝 1、柚木 佳 1、 占野 賢司 1、中川 英一郎 1、小松 龍士 1、成子 隆彦 1、葭山 稔 2、吉川 純一 3 1 大阪市立総合医療センター 循環器内科、2 大阪市立大学 循環器内科学、3 西宮渡辺心臓血管センター 循環器内科 不全心に伴う僧帽弁逆流(MR)である機能性 MR とその心エコー図評価,内科的治療について提示する.心不全例に認められる MR が器質性か機能性かで治療方針が大きく異なり,機能性である場合には内科的治療を行うことがまず優先される.機能性 MR の主な機序は,拡張型心筋症例や陳旧性心筋梗塞例において,左室拡大や左室収縮能低下が原因となって生じる僧帽弁の tetheringtenting である.虚血性心疾患に認められる機能性 MR を虚血性 MR として区別して呼ぶ場合もあるが,いずれにおいても主な機序 は同様である.MR が機能性であることが疑われた際には,左室拡大や収縮能低下の有無・程度,tethering-tenting の有無・程度, MR の重症度,これらの評価を行うべきである.機能性 MR の重症度を定量評価するには,PISA 法よりもドプラ法を用いた volumetric 法のほうが適している.MR の量のみならず,不全心の前方障害指標である前向き一回駆出量も同時に評価できること が volumetric 法の大きな長所である.本発表では,機能性 MR の量や前向き一回駆出量が,強心薬や減前負荷といった薬物治療で どう変化するかについて当院で調べた結果を紹介する.1)虚血性 MR はドブタミンやミルリノンといった強心薬の投与で改善する; 2)機能性 MR の量は前負荷の増減に平行して大きく変化し,減前負荷によって前向き一回駆出量がむしろ増加し得る;これらの結 果を紹介し,機能性 MR を伴う急性心不全例では伴わない例に比べて,より強力な内科的治療を行うことが望まれることを示す. 急性心不全で CCU に収容した実症例に対する心エコー図評価および治療の紹介も行う. 132 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 心血管エコーを治療に活かす ( プラクテイカル・ワークショップ)(PW) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 10:20 - 11:50 座長:川合 宏哉(兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科)・山田 聡(北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学) 〈企画趣旨〉 患者さんの治療方針を立てるには、情報が要る。エコー図検査を用いれば、多数の幅広い情報が得られる。時間さえあれば、エコー側から すべての情報を提供することが理想であろうか。いや、そうではない。情報に優先順位をつけ、特定の情報に重要性を持たせることは、エコー 家の醍醐味である。このセッションでは、心血管エコーを使って役に立つ情報を選び、治療に活かしているエキスパートの話を聞こうと企画を 行った。前半では、2 つの病態として『体液量調節』と『急性心不全』をとりあげ、後半では、2 つの疾患として『大動脈弁狭窄』と『僧帽弁 逆流』をとりあげた。 某テレビ番組の「○○深読み」と同じように、 是非ともデータを「深読み」していただきたい。画像を「深読み」するか、 波形やパターンを「深 読み」するか、それとも数値を「深読み」するか。きっと、選りすぐりの演者が、エコー情報を操って、 「深読み」する意味を明らかにしてく れると期待する。 特別セッション PW-1 体液量調整のための心血管エコー 有田 武史 財団法人 平成紫川会 小倉記念病院 循環器内科 心不全の病態が充満圧の上昇と心拍出量の低下という独立した要素が必要条件である以上、体液量が多ければまだ引けばよい。ま た体液量が足りなければ足せばよい。かのように体液量推定は心不全治療の根本を成すが、心エコーを用いて評価するにはどのよ うにすればよいだろうか。日常的に下大静脈(IVC) のサイズと呼吸性変動を用いて右房圧を評価しているが、同時に IVC を観察す ることで体液量が多い少ないを判断している事が多い。ここで右房圧または静脈圧と体液量の関係を再度考えてみると、かならず しも互換性のある概念ではない。また体液量には全体液量と、全循環体液量 (total circulatory volumeTCV) と有効循環体液量 (effective circulatory volume: ECV) がありそれぞれ意味が異なる。人間の身体の 60%は細胞外液であり、その意味でも全体液量を知るもっと も有効な手段は体重である。一方 ECV はいわば動脈系に存在する血液量のことであり、TCV は ECV に静脈系に存在する血液量を 加えたものをいう。心拍出量は少ないのに浮腫が存在する(体液量が多い)心不全の病態はまさに ECV が少ないために腎臓におい てナトリウムと水の再吸収が起こることで維持される病態である。ECV を知るもっとも確実な方法は心拍出量の測定である。すな わち ECV を増加させたいと思えば心拍出量を増加させるような方法をとればよいし、浮腫などが明白であり体液量を減少させたい と思えば利尿剤などで除水してやればよい。静脈圧と前負荷、体液量、ECV これらをどのように組み合わせて心不全の治療方針を 決定するか、conceptual framework を提示する。 PW-2 急性心不全に対する治療法選択のための心エコー 大原 貴裕 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 救急外来で急性心不全患者を診療する際には,治療上の様々な判断が必要となる.心エコーはその局面ごとに有用な手がかりを与 えてくれる.一方,エコーの限界を心得て,侵襲的な検査に進むタイミングを逸しないようにする必要がある. 本当に心不全か?呼吸苦,むくみなどを主訴として来院した患者を診察する際には,まずそれが心不全であるかどうかを判断しな ければならない.収縮能の評価,肺高血圧の有無が第一のポイントとなる.収縮能が保たれている場合,拡張期心不全 ,弁膜症 , 心膜疾患などを念頭に検査する. 血管拡張薬でよいか?利尿剤が必要か? 肺うっ血,体液量の増加に対して,血管拡張薬,利尿剤で治療が開始される.体液量がそ れほど増加していなくても肺うっ血を来す場合があり,このような時に利尿剤を過量に投与すると血圧が下がることがある.また, 左室コンプライアンスの低下した状態では,急速な血管内容量の低下は心拍出量の低下,低血圧を来しうる.体液量,左室コンプ ライアンスを意識して検査を行う必要がある. 強心剤も必要か?心拍出量が低下し,臓器潅流が不十分な場合には,血管拡張薬や利尿剤だけでは不十分なことがある.タイミン グを逃さず強心剤を使用し,さらに機械的補助も念頭におく必要がある.心拍出量,体血管抵抗,右心機能の指標が参考となる. エコーによる評価だけで十分か?上記の心エコー指標は急性心不全患者の治療法選択に重要だが,心エコー指標のみに頼っている と判断を誤る場合がある.どのような時に侵襲的検査法に進むべきかを念頭において診療にあたる必要がある. 以上のような急性心不全の治療の選択のための心エコーを,症例をもとに提示したい. 133 第25回日本心エコー図学会学術集会 PW-3 大動脈弁狭窄に対する治療法選択のための心エコー 鶴田 ひかる、香坂 俊、村田 光繁、林田 健太郎、福田 恵一 慶應義塾大学循環器内科 大動脈弁狭窄症 (AS) は、人口の高齢化に伴い、着実に増加傾向を示す弁膜症である。カテーテル治療による大動脈弁置換術 (TAVR) の革新的な進歩は、合併疾患のために治療を受けられなかったハイリスク患者を、治療の土俵に上げることを可能とした。このよ うな背景で、エコー診断従事者が念頭に置くべきは、治療適応のある重症 AS 例をいかに診断し、治療検討の場に引き出すかである。 重症度評価に関する最大の問題は、圧較差の出ない AS (low PG AS) の診断である。Low PG AS には、(1) 左室低収縮能例に伴う low flow AS と、(2) 心機能正常例で見られる Paradoxical low flow AS (PLFAS) がある。前者には、真性高度 AS および、左室収縮 能低下に伴い大動脈弁開口不良を呈する偽性高度 AS があり、ドブタミン負荷エコー検査は、重症度の鑑別と同時に収縮予備能評価 も可能とし、診断意義の非常に高い検査である。収縮予備能のない AS は、AVR の class2b 適応とされるが、Surgical AVR よりも 低侵襲度の TAVR による長期成績がどうなるか、今後見定める必要があろう。PLFAS は、体格の小さい高齢者、狭小左室、高度 左室肥大を背景として起こる血行動態である。低圧較差のために AS 重症度を過小評価されやすいが、生命予後は不良との報告から、 診断には注意が必要である。正確な頻度と予後について、未だ結論は出ていないが、エコーで算出する心拍出量にはピットフォー ルがあり、侵襲的治療を行う前には他のモダリティも用いた多角的な重症度評価が必要と考える。実際の症例を提示して、AS の治 療選択につながるエコー診断戦略について検討したい。 特別セッション PW-4 僧帽弁閉鎖不全症における治療選択のための心エコー ~経皮的僧帽弁形成術を考慮して~ 出雲 昌樹 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 近年、弁膜症に対する外科的治療法は進歩し成績向上を遂げている。その向上には画像診断の進歩による術前病態評価の向上が一 つの要因であると考えられ、内科による診断精度の向上と外科治療の向上との連携によりもたらされていると考えられる。またカ テーテルインターベンションも日々進歩を遂げ、僧帽弁閉鎖不全症に対してもクリップを用いた治療(MitraClip)が全世界で導入 され、弁膜症も Structural Heart Intervention 時代に突入し、更なる低侵襲治療が実現化している。僧帽弁閉鎖不全症に対する治療 選択には心エコー図が必須であり、治療選択のみならず術中、術後の評価及び経過観察すべてにおいて心エコー図が用いられ、大 変重要な役割を占めている。近年の 3 次元心エコー図は心内の解剖学的位置把握を容易にし、また任意断面の描出を可能にするこ とにより、日常臨床において大変重要な役割を果たし、実際に開胸して確認することができないカテーテル治療の出現により、そ の重要性は更に増している。今回、僧帽弁閉鎖不全症に対する外科及びカテーテル治療の選択において、実臨床で 2 次元及び 3 次 元心エコー図がどのような役割を担っているかについて考えていきたい。 134 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 未来型心血管エコーへの提案(未来) 4 月 17 日(木) 第 3 会場 16:10 - 17:40 座長:山岸 正和(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科)・山崎 延夫(FUJIFILM SonoSite, Inc.) 〈企画趣旨〉 心血管エコー図の発展は、断層図、カラードプラ法、組織ドプラ法など技術的進歩に負うところが大きい。しかし、これらをいかに心血管の病 態評価や治療指針とて応用するかという命題も重要である。本セッションでは、 「未来型心血管エコーの提案」に関して、本検査法をより普遍 的なものとすべく、様々な心血管病態評価における最新の話題、またイメージングそのものへの新たな視点からの挑戦や、遠隔操作によるロボッ ト型エコー装置の開発など、工学的視点からの話題を討議して頂く。 特別セッション 未来 -1 心エコー図法の未来像~病態評価法として広く用いられるためのアプローチ 高野 真澄 福島県立医科大学 附属病院 集中治療部 現在、心エコー図法による一般的な検査法が確立し、心エコー図法は循環器疾患の診断・治療において欠かせないツールである。 近年の超音波診断装置の改良により、エコー画像における時間的・空間的分解能は向上し、また 3D 心エコー図法も特に弁膜疾患の 評価法として必須となっている。一方、心不全や虚血性心疾患などにおける特異な病態解析においては、その理解に専門的な知識 が必要であり、日常診療で広く応用されるに至っていないのが現状である。 近年、虚血性心疾患の診断における他の画像診断法の進歩はめざましいものがある。MDCT による冠動脈病変の評価法は急速に 広まり、さらに心筋シンチグラフィーとの fusion imaging などの開発も、病態の理解に有用となっている。広く用いられている他 の画像診断法の特徴は、その分野の専門家でなくても視覚的に病態を理解するためのツールが用意されているということではない だろうか。冠動脈 CT で得られた画像を冠動脈造影と同様に観察し、心筋シンチグラフィーでは心筋灌流の状態を Bull’ s eye image で risk area の広がりを直感的に理解できる。 心エコー図法を用いた虚血性心疾患の評価では、局所壁動態の解析に 2D および 3D 画像を用いた Strain 法が用いられている。こ の壁動態の分析には、病態と心エコー図法のいずれにも特化した知識が必要で、その解析には多大なる労力を要しているのが現状 である。しかし、日常臨床で広く用いられるためには、解析が半自動化され、再現性がよく、さらには非専門家でも理解するため のツールが準備される必要があると考える。本セッションでは、現在我々が利用可能なツールについて紹介し、今後の発展性につ いて提言したい。 未来 -2 遠隔操作・自動走査が可能なエコー診断支援ロボット 岩田 浩康、石川 牧子 早稲田大学 総合機械工学科 【目的】本研究では,遠隔地からエコープローブの位置と角度を制御するこ とで,胸腹部エコー映像を描出可能な遠隔エコー診断支援ロボットの実現を 目指している.【機能】今回開発したロボットは 4 つのモータを備えており, 頭尾・左右方向に 11cm ずつプローブを移動でき,また± 180 度の回転と± 45 度の扇動操作を行える.ロボット本体部をベッド片側から支える構成と しているため,患者身体にはロボット重量が作用せず,プローブの押付け力 のみがかかる安全な構造である.【診断】事前に用意したプログラムに従い 4 つのモータが動くことで対象臓器を任意の位置と方向から描出できる自動 走査モードに加え,タブレット端末での簡単な指操作でプローブを自由に調 整できる遠隔操作モードが用意されているため,自動走査モードで事前に記 録しておいた映像を確認後,気になる箇所を遠隔操作モードで精査すること も可能である.【評価】腹部ファントムを用いた評価の結果,出血や羊水領 域の描出には十分な映像が得られていることが確認され,今後心エコー検査 への応用が期待される. 135 第25回日本心エコー図学会学術集会 未来 -3 Structural Heart Disease 診療のための心エコー図の未来像 中谷 敏 大阪大学 医学部 保健学科 Structural heart disease は経カテーテル的大動脈弁留置術の普及に伴って急速に広まった概念であり、明確な定義はないが、心構 造に異常があり、かつカテーテルで治療ができるという疾患群を意味していると考えられる。現時点では心房中隔欠損症や僧帽弁 狭窄症、大動脈弁狭窄症がこれにあたるが、近い将来、僧帽弁閉鎖不全症や難治性左心耳内血栓、人工弁周囲逆流などがこの範疇 にはいってくるものと思われる。これらのほとんどでカテーテル治療の際のイメージングツールとして術中経食道心エコー図、と りわけ三次元心エコー図が用いられている。構造を見ながらの治療には透視が不向きだからである。その点、三次元心エコー図は 当該構造とカテーテル先端とを同時にかつリアルタイムに描出することができるため、治療におけるメリットは大きい。さらに手 技に伴う合併症の早期検出にもすぐれている。デメリットは、探触子のサイズが大きく長時間の手技には全身麻酔が必要であること、 画質やフレームレートのさらなる改善が望まれること、当該構造の至適三次元的構築に慣れが必要で、かつ計測等に時間がかかる こと等でありこれらを改善するために、さまざまな工夫や開発が行われているところである。三次元心腔内エコー図や、透視や CT など他のイメージングツールとの融合も研究されている。今後は、心エコー図単独使用にとらわれることなく、他の手法の進歩に も通じて真に役立つイメージングを提供することが望まれる。 特別セッション 未来 -4 不全心の治療方針を決める心エコー図法の未来像 瀬尾 由広 筑波大学 医学医療系 循環器内科 未来、基本的な項目が正確に計測可能になっていることである。慢性心不全症例が増加し、近年では左室駆出率保持型心不全 (HFpEF) の増加も顕著である。また不全心では reverse remodeling を得る事は治療効果や予後を予測する上で重要である。左室駆出率でも stroke volume でも左室最大容量と最小容量を正確に算出することは必須である。しかし、正確な容積計測は CT、MRI に後塵を排し、 心エコー図の限界とされている。近い将来、正確な容量測定における心エコー図法への危機感を抱き、現状が改善されていると考 えられる。一方、心筋性状や心筋機能は治療方針を決める重要な因子であり、MRI の LGE が臨床で広く応用されている。心エコー 図では 3D を含めてスペックルトラッキング法が広く研究され、多くの知見が集積されてきた。近未来、その中からイメージングバ イオマーカーとしてのエビデンスが構築され、ルーチン計測化されていることだろう。また、先進的な試みとしてより詳細な血流 の可視化が行われている。Doppler 法を超えて、血流にみる心機能は新たな心機能や血行動態を指標となる可能性がある。心不全は 原因、進行度、合併症などにより多様な疾患群であり、左室の形態、血行動態の推定、心筋性状、不整脈基質の評価など治療方針 を決めるうえで評価する項目は多岐にわたる。この多様性に応えるべく画像診断は CT, MRI, PET を含めたマルチモダリティーの 時代が到来した。今後この潮流は益々大きくなることは必至である。その中で画像診断における心エコー図の特性を見極めことが、 未来においても心不全評価の中心的な画像法でいられる条件であると思う。 未来 -5 血管エコーの未来像 山崎 延夫 FUJIFILM Sonosite, Inc. 高齢化や生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧症、喫煙、肥満など)と関連し増加傾向にある動脈硬化性疾患を非侵襲的に診 断する手法への関心が高まっている。著者が考える血管エコーの未来像とは、動脈の硬さを測定することと、全身の動脈をくまな く観ることである。東北大学の金井らが開発した位相差トラッキング法による頸動脈血管壁の弾性率推定法は、動脈硬化症の早期 診断につながる新手法として注目されており、その製品化が待ち望まれている。一方、光音響イメージングは生体にレーザーパル ス光を照射し発生した光音響波で画像を構築する新しい技術である。生体内での熱拡散が無視できる程度に短い時間のパルス光を 照射すると、生体組織内の吸収体が光を吸収し効率よく熱に変わって局所的な温度上昇が生じる。この温度上昇に伴う断熱膨張に よって弾性波(光音響波)が発生する。発生した光音響波を超音波探触子で検出する。ヘモグロビンは生体内在色素として高濃度 で存在する光音響信号源であるため、対象の部位はさまざまだが、血管走行、血流、酸素化状態、血糖値など、血管や血流に応用 した研究発表は多く、光音響イメージングの大きな応用対象となっている。超音波画像と光音響画像のフュージョンによって形態 診断と機能診断を融合させた血管エコーの未来像を提案する。 136 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 新技術紹介セッション(新技術) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 14:50 - 16:20 新技術を評価する 座長:西條 芳文(東北大学大学院医工学研究科 医用イメージング研究分野) ・岩永 史郎(東京医科大学八王子医療センター 循環器内科) 〈企画趣旨〉 最近のコンピュータおよび信号処理技術の進歩は、心エコーの世界にも多くの革新を生み出しました。特に、心筋の収縮性解析や血流のドプ ラ計測など、従来は超音波のビーム方向に支配されていた計測の自由度が増したのが大きな特徴です。心筋に関しては、スペックルトラッキン グにより二次元方向の収縮性・ストレインが評価可能になり、最近ではリアルタイム三次元超音波法により三次元方向の収縮評価も可能になっ てきました。血流計測についても流体力学の手法の応用やビームステアリングにより二次元血流ベクトル計測が実現されてきました。さらに、 Shear wave imaging による組織特性評価や、ICT (Information and Communication Technology) を応用した Tele-medicine など、最新 の技術を紹介し、 「未来型心血管エコー」への展開に向けて広くディスカッションしていきます。 特別セッション 新技術 -12方向ビームステアリングによるリアルタイム2次元血流速度ベクトルの算出 西條 芳文 1、増野 元太 1、長岡 亮 1、佐々木 翔也 1、吉澤 晋 2、梅村 晋一郎 1 1 東北大学 医工学研究科、2 東北大学 工学研究科 【目的】ドプラ法では超音波ビーム方向の血流速度成分しか計測することが できない。本研究では、2方向のビームステアリングによりリアルタイムで 2次元血流速度ベクトルを表示する手法を提案する。【方法】128Ch の超音 波送受信システムを用い、中心周波数 7.5MHz のリニアアレイプローブで平 行波を送信した。+ 15°および- 15°のビームステアリング角度でドプラ信 号を取得し、それぞれの角度におけるビーム方向の速度成分から2次元血流 速度ベクトルを算出した。これを± 18°の範囲で 6°ずつステアリング角度を 変えた 7 枚のコンパウンド B モード画像に重畳して表示した。【成績】図左 は頸動脈の2次元ベクトル画像、図右は頸動脈内の速度プロファイル表示で ある。フレームレート 40fps での画像表示が可能であった。 【結論】2方向ビー ムステアリングにより、リアルタイム2次元血流速度ベクトルの算出が可能 であった。頸動脈内の2次元血流ベクトルについては、計測領域、フレーム レートとも実用的な条件で画像を得ることができた。 新技術 -2Vector Flow Mapping - 血流ベクトルから見えてくるもの 上嶋 徳久 心臓血管研究所 循環器内科 Vector Flow Mapping(VFM)により心腔内の血流ベクトルが描かれ、血流の流れの様子がはっきりと分かるようになった。特に、 VFM 画像上で一際目に着くのは渦の形成で、心血管内の流れの動態に興味を持つ研究者は、その成果に熱い視線を送っている。レ オナルド・ダビンチがバルサルバ洞内に形成される渦が弁の閉鎖に関与していると推測してから、様々な渦に関する研究がなされ てきたが、未だに心腔内での渦が果たす役割は分かっていない。VFM のような観測方法が今までなかったことが原因と考えられて いるが、渦そのものの物理的な意味合いが流体力学の分野でも曖昧であり、VFM がある現在においても直ぐに解明されるものでは ないと思われる。流れというものは、容器の形状と動きに非常に敏感に反応する。逆にいえば、左室の形態や機能の不全は流れの 動態を見ることにより検出することが可能である。パルスドプラ法やカラー M モード法の1次元情報から、VFM のように情報が 2次元に拡張されるに従い、局在性を論じることが出来るようになった。本セッションでは、心腔内の流れを観察することにより、 心臓の形態や機能がどの様に悪くなっているのかを実例を通して評価し、VFM を用いた研究の方向性に関して私見を述べたいと思 います。 137 第25回日本心エコー図学会学術集会 新技術 -3スペックルトラッキングにおける新技術:activation imaging 瀬尾 由広 筑波大学 医学医療系 循環器内科 心臓では電気的な興奮に続いて機械的な収縮 (activation) が生じる。心疾患では電気の異常な興奮や伝播の異常によって致死性不整 脈や非同期に代表される機能不全を生じさせる。心エコー図法に電気生理学的なエッセンスを織り交ぜて心臓の挙動を画像化する ことが activation imaging の目指すところである。心エコー図法の進歩によって 3 次元で心臓の収縮を可視化する 3D speckle tracking 法 (3D-STE) が臨床応用できるようになった。Activation imaging は 3D-STE のよって画像化される。従来、最大に収縮し た時相や最大収縮量が解析の対象であったが、Activation imaging は電気興奮直後におきる局所心筋の収縮開始を捉える点が新しい 技術である。このタイミングを 3D-STE によるストレイン値から推定するわけであるが、現在の時間分解能では僅かなストレイン 変化を捉えることでエラーを生じる可能性を孕んでいる。そこで現状では最大ストレイン値の 20-30%のストレイン値を取るポイン トを仮の収縮開始点としている。実は、このような仮の方法ではあるが、これまでの電気生理学検査との検証および臨床例の検討 において、activation imaging が目指すところの知見が集まりつつある。左脚ブロック症例における伝播パターンは、これまで電気 生理検査で描出された画像に近似したパターンを示すこと、WPW 症候群における早期興奮部位を精度よく描出できることなどがそ の例である。更に activation 伝播パターンが不整脈基質となるか、心機能への影響はどうか、組織性状のマーカーとなるか、といっ た新たな病態生理の検討に応用されることを期待したい。今後、仮の姿から真の姿になる日も近いと願う。 特別セッション 新技術 -4Shear wave elastography 斎藤 雅博 シーメンス・ジャパン株式会社 クリニカルプロダクト事業本部 超音波ビジネス本部 elastography は、組織硬度を客観的に評価する手法として注目されている。これには大別して2種類の方法がある。外力による組 織のひずみを測り相対的な組織硬度をマッピングする strain elastography と、何らかの手段で組織内部にせん断弾性波(shear wave)を発生させ、その伝搬速度を測ることにより組織硬度を評価する shear wave elastography である。 shear wave elastography では、組織硬度のマッピングだけでなく絶対的な数値で表示することが可能である。物質の硬さを表すヤ ング率 [E] がシアウェーブ伝搬速度 [Vs] と相関することが知られており、物質の密度が1(g/cm3) で体積圧縮がないと仮定すると E=3Vs2 という簡単な式で表すことができるからである。さらに、シアウェーブを発生させるにあたり、収束超音波パルスによる 音響放射力積(Acoustic Radiation Force Impulse)を利用するため、制御が容易で検者依存性が少ないとの特長を有する。 現在、Shear wave elastography は限局した 1 点で測定する Virtual Touch Quantification (VTQ) が慢性肝炎における肝線維化診断 に普及しつつあり、さらにイメージングと定量測定を組合わせた Virtual Touch IQ が乳腺・甲状腺で実用化されている。これらを 心筋硬度の測定に直ちに用いることは現時点では困難であるが、測定時間を短縮し心時相と同期させるアルゴリズムの開発などに より、将来実現が可能となるかもしれない。 新技術 -5ネットワーク時代の画像情報管理と 1 2 Tele-medicine 1 山田 博胤 、西尾 進 、佐田 政隆 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター ネットワークが高度に進化し,コンピューターだけでなく,私たちの身近にある携帯電話などのモバイルデバイスや自動車,家電 製品までもがインターネットに容易に接続できるようになっている.これにより利便性が向上する一方,個人情報や人に見せたく ないデータがネットワーク経由で流出するリスクが発生し,また,単独で動いていた機器がネットワークに接続されたことで,外 部からの攻撃という新たな脅威に対する備えが必要になっている.医療も同じで,医療連携ネットワークを構築して,病院間で患 者の医療情報を共有して診療に活かそうとする試みが各地で行われているが,個人情報の保護が担保されていなければならない. 患者の医療情報や個人情報が電子化されれば,意図的あるいは過失による漏泄,情報の売買,さらに情報の不正使用の危険性が生 じる.特に情報が本人が特定可能な形で流出してしまうと,雇用の差別や患者本人の精神的苦痛といった大きな不利益を生むこと になりうるので,その機密性には十分配慮しなければならない. デジタル通信機器や通信インフラの進歩により,超音波診断にお ける Tele-medicine が実現可能な時代となっている.超音波専門医や超音波検査技師が不在の僻地医療機関,開業医などにおいて検 査の遠隔診断が行えるメリットは大きいと思われる.しかし,1) 通信コスト,2) 個人情報管理,3) コンサルテイション費用(保険 点数化)4) 施設間の費用負担 ( 装置の購入,維持管理費の負担 ) など,その実現には解決される問題が多く残っている.本セッショ ンでは,我々が行っている心エコー検査の遠隔診断について紹介し,問題点を挙げ,どうすれば遠隔医療が普及するか考えてみたい. 138 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography KSE Case Conference(KCC) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 14:10 - 15:40 座長: Joon-Han Shin(Ajou University School of Medicine) ・伊藤 浩(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学) 〈企画趣旨〉 Echocardiography is a window through which we can see everything of the heart. Echocardiography is used to see the anatomy of cardiovascular system, to observe morphology and function of the heart, to evaluate hemodynamics and to assess regional myocardial function. Echocardiography is used in the first-line to make the diagnosis of cardiovascular disorders. Even though diagnosis of echocardiography is established in wide range of cardiovascular diseases, there remain rare cases who have typical echocardiographic findings. To know the characteristics of their echocardiograms is important to make accurate diagnosis on site and to make decision of the therapeutic strategy. Furthermore, clinical cardiology progresses by sharing case reports with doctors and medical staffs, such as attempted rare cases, and cases that have been tried new medical or interventional treatments. We will continue to progress by sharing knowledge and experience with many audiences. We are looking forward to rare but educational cases. 特別セッション KCC-1 Mitral Stenosis Reversed by Medical Treatment for Heart Failure Shota Fukuda、Masaaki Takeuchi、Yasufumi Nagata、Mai Iwataki、Atsushi Hayashi、Kyoko Otani、 Hidetoshi Yoshitani、Yutaka Otsuji Second Department of Internal Medicine, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health A 52-year-old man had heart failure (HF) with severe mitral regurgitation (MR) due to prolapse of a degenerative mitral valve. He underwent triangular resection, edge-to-edge anastomosis, and ring annuloplasty. Postoperative transthoracic echocardiography (TTE) showed a normal sized left ventricle (LV) with an end-diastolic volume index (EDVI) of 71 mL/m2, normal LV ejection fraction of 70%, and preserved mitral valve opening with a mitral valve area (MVA) of 1.8 cm2, and a mean pressure gradient of 4.4 mmHg. Four years later, he developed HR with severe hypertension of 191/104 mmHg. TTE demonstrated moderately dilated LV with EDVI of 84 mL/m2, reduced LV ejection fraction of 40%, limited mitral valve opening, resulting in a significant mitral stenosis (MS) with an MVA of 1.2 cm2 and a mean pressure gradient of 8.4 mmHg. Aggressive medical treatment for HF and hypertension resulted in decreased blood pressure of 140/80 mmHg. Repeated TTE 4 months later demonstrated a reduction in LV EDVI of 66 mL/m2, and improvement of the mitral valve opening to an MVA of 1.7 cm2, and a mean pressure gradient of 4.6 mmHg. This case report demonstrates that functional MS could develop even in a patient with a history of successful valve plasty for degenerative MR, if the LV is dilated. Functional MS can potentially be reversed by medical treatment. KCC-2 Valve replacement, is it the resolution of the problem? Or is it another new problem? Seung-Pyo Lee Cardiovascular Center & Department of Internal Medicine, Seoul National University Hospital Cardiologists frequently encounter patients who have their native valves replaced with a prosthetic valve. Although implantation of a prosthetic valve may alleviate the hemodynamic burden of a diseased native valve, it leads to a more perplexing situation when there are problems associated with it. Echocardiography is an excellent, noninvasive, initial imaging method for an accurate diagnosis in such situations. An increased transvalvular pressure gradient is an important clue to a situation of a suspected malfunctioning prosthetic valve. However, a closer look into the occluder/ leaflet motion, the shape of the Doppler envelope and also, application and adoption of various advanced imaging technologies, i.e. 3D-echocardiography or cardiac CT, may give an accurate diagnosis. In this session, I will highlight some difficult cases of patients with increased transvalvular pressure gradient across the prosthetic valves. 139 第25回日本心エコー図学会学術集会 KCC-3 Reversible Severe Ischemic Mitral Regurgitation and Acute Decompensated Heart Failure -Usefulness of Ultrasound Lung Comets Sign- Hiroki Oe 1、Yuka Naito 2、Yoko Noda 2、Yuko Ohno 2、Nobuhisa Watanabe 1、Toru Miyoshi 2、 Nobuhiro Nishii 2、Kunihisa Kohno 2、Kazufumi Nakamura 2、Hiroshi Morita 2、Hiroshi Ito 2 1 Center of Ultrasonic Diagnostics, Okayama University Hospital, Okayama、 Department of Cardiovascular Medicine, Okayama University, Graduate School of Medicine 2 特別セッション A 71-year-old man with a history of inferior myocardial infarction was admitted to our hospital complaining chest pain and dyspnea on effort. He underwent percutaneous coronary intervention (PCI) 2 months before, and implantation of coronary stents for the left anterior descending artery and circumflex artery. He was diagnosed as having unstable angina, and initial treatment with heparin and nitroglycerine was initiated and chest pain resolved with the therapy. Around 10 hours after the admission, he suddenly complained of chest discomfort and dyspnea. Progressive respiratory failure developed, O2 saturation decreased to 60%. The 12-lead ECG showed ST elevation in aVL, ST depression in V4-6. Emergent echocardiography revealed severe MR and worsening LV wall motion in the anterolateral region. At this moment, lung echo showed ultrasound comet sign (ULCs), indicating pulmonary congestion. After the rapid diagnosis of heart failure, positive pressure ventilator support was started, followed by an intravenous injection of furosemide. Then, he was moved to the catheter laboratory and a diagnostic coronary angiography showed newly developed flow-limiting stenosis at the origin of the diagonal branch. After the successful PCI, LV wall motion improved, the degree of MR reduced and ULCs were no longer observed. This case had ischemia-induced severe MR that caused acute decompensated heart failure. Echocardiography is excellent method to diagnose the presence and severity of lung congestion from ULCs and etiologies of heart failure. KCC-4 Aortic Pathology: An Often Neglected Cause of Left Ventricular Dysfunction In-Jeong Cho、Jong-Chan Youn、Chi Young Shim、Hyuk-Jae Chang、Geu-Ru Hong、Jong-Won Ha、 Namsik Chung Cardiology Division, Severance Cardiovascular Hospital, Yonsei University College of Medicine Supravalvular aortic stenosis is a rare clinical entity in adult patients. The physiology of supravalvular aortic stenosis is similar to valvar and subvalvar aortic stenosis and significant obstruction is associated with a hyperdynamic, hypertrophied left ventricle. Although supra-aortic stenosis has accounted for 8 to 14 percent of the cases among children with congenital aortic stenosis, it is rarely accounted in adult patients. We report a case of a 29-year-old woman who has diagnosed with supravalvular aortic stenosis associated with aortitis in Takayasu’ s arteritis. 140 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ライブセッション(ビデオライブ) (Live) 4 月 19 日(土) 第 1 会場 10:10 - 11:40 座長:渡辺 弘之(東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター) ・坪川 恒久(金沢大学大学院医学系研究科 麻酔科・蘇生学講座) Live-1 金沢大学附属病院 心臓血管外科 渡邊 剛 Live-2 金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科 森 三佳 Live-3 金沢大学附属病院 麻酔科蘇生科 藤井 怜 コメンテーター 岐阜大学医学部高度先進外科(第一外科) 竹村 博文 コメンテーター 国立循環器病センター病院 麻酔科 大西 佳彦 コメンテーター 国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科心不全科 長谷川拓也 141 特別セッション 〈企画趣旨〉 近年、心臓弁膜症に対する手術的治療として、自己弁を温存する弁形成術が優先されるようになりました。また、弁置換術に代わるものと して、自己心膜を用いて術中に大動脈弁や僧帽弁を作製するという方法も考案されております。更に、小開胸アプローチによる手術や、カテー テルインターベンションによる治療など、手術治療の低侵襲化に向けての手技やデバイスの開発も行われており、今後、更なる治療の向上が 期待されます。 なお、これら新しい治療の導入の背景には、心エコーをはじめとする画像診断の精度向上により詳細な病態評価が可能になったことも寄与 していると考えられます。特に心エコーは、弁膜症の治療前後の評価や治療指針の検討、術中のガイドに至るまで、種々の場面で重要な役割 を果たしております。また、各場面においては、循環器内科、外科、麻酔科が協調して取り組むことが極めて重要となります。 本セッションでは、金沢大学附属病院心臓血管外科における手術症例のビデオライブを企画致しました。症例としては、当院で近年行われ ております、手術支援ロボットダ・ヴィンチ(da Vinci Surgical System)を使用した僧帽弁形成術と、東邦大学医療センター大橋病院の尾 﨑教授が考案されました、自己心膜を使用した大動脈弁形成術をご紹介する予定です。心エコーによる術前評価や術中の様子などを、内科医、 外科医、麻酔科医の立場から解説し、各コメンテーターの先生方を交えて、各手技の特徴や心エコーの役割などについて理解を深められるこ とを期待します。 第25回日本心エコー図学会学術集会 Young Investigator’ s Award 審査会(YIA) 4 月 17 日(木) 第 1 会場 14:30 - 16:00 座長:三神 大世(北海道大学大学院保健科学研究院 病態解析学)・石井 克尚(関西電力病院 循環器内科) YIA-1 組織ドプラ法による左室弛緩能と充満圧の推定に及ぼす左室収縮機能と肥大の影響 中鉢 雅大 1、山田 聡 2、林 大知 2、榊原 守 2、西野 久雄 1、岡田 一範 3、市川 絢子 1、村井 大輔 2、 山田 博胤 4、土肥 薫 5、瀬尾 由広 6、大手 信之 7、西田 睦 1、澁谷 斉 1、清水 力 1、三神 大世 3、 筒井 裕之 2 1 北海道大学病院 検査・輸血部、2 北海道大学大学院 循環病態内科学、3 北海道大学大学院 保健科学研究院、 徳島大学病院 循環器内科、5 三重大学大学院 循環器・腎臓内科学、6 筑波大学 循環器内科、 7 名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科学 4 特別セッション 【背景】拡張早期の僧帽弁輪最大運動速度(e’ )による左室弛緩能の推定および左室流入血流速度(E)と e’ の比(E/e’ )による左室 充満圧の推定は、対象によっては不正確となる。そこで、多施設共同前向き研究で、これらの推定に影響を及ぼす因子について検 討した。【方法】全国 5 施設で、種々の心疾患を有する 74 例を登録した。洞調律以外の調律、中等度以上の弁逆流、僧帽弁または 大動脈弁置換術後、僧帽弁輪形成術後、維持透析症例は除外した。Micromanometer 付きカテーテルを用いて左室圧を記録し、圧 下行脚の時定数(τ)と平均拡張期圧(MDP)を計測した。e’ は中隔側と側壁側で平均した。【結果】e’ はτと相関しなかった(r= - 0.18,p=0.12)。年齢、性別、左室径、心筋重量係数(LVMI)、左房径、左室駆出率(EF)、τの中で、EF(β =0.35、p < 0.01) のみが e’ の独立規定因子であった。症例を EF の中央値(62%)で二分すると、低値群でτと e’ は相関しなかったのに対し、高値群 では両者は有意に相関した(r= - 0.42、p < 0.01)。E/e’ は MDP と弱いが有意に相関した(r=0.39,p < 0.001)。上記指標と MDP の中で、LVMI(β =0.34、p < 0.001)と MDP(β =0.39、p < 0.0001)が E/e’ の独立規定因子であった。症例を LVMI の中央値(114 は相関しなかったのに対し、低値群では両者は良好に相関した(r=0.67、p < 0.0001)。 g/m2)で二分すると、高値群では MDP と E/e’ 【結論】e’ は左室収縮機能の、E/e’ は左室肥大の影響を強く受け、弛緩能や充満圧推定の精度が低下する。収縮障害と肥大の存在下 での評価には注意が必要である。 YIA-2 拡張型心筋症における心臓 MRI 遅延造影と心筋ストレインによるリスク層別化 千村 美里、大西 哲存、月城 泰栄、川合 宏哉 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科 【背景】: 心臓 MRI による遅延造影 (LGE) と心筋ストレイン指標は心疾患の 予後予測因子である。【目的】:拡張型心筋症 (DCM) において LGE と心筋ス トレイン指標を組み合わせた層別化が予後リスク評価に有用であるかを検討 する。【方法】: DCM 190 例 (61 ± 15 歳、男性 126 例、平均左室駆出率 32%) を対象とし、心臓 MRI により LGE を評価し、心エコー図検査により従来指 標と左室ストレイン解析を行った。予後評価ではエンドポイントを心不全死、 心不全再入院と定義し、Cox 比例ハザードモデルにより解析した。【結果】: 平均 3.7 年の観察期間中に 44 例がエンドポイントに至った。単変量解析によ る有意な予後規定因子を用いた多変量解析により、左室長軸ストレイン (GLS)と LGE がともに有意な規定因子であり、GLS の中央値 -8.0%にて 2 群に分けた生存時間解析により LGE の有無にかかわらず 2 群間に有意差を 認めた。【結論】:DCM において LGE と GLS は独立予後規定因子であり、こ れら 2 指標によるリスク層別化は長期予後予測に有用である。 YIA-3 Longitudinal strain による奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症の予後評価 佐藤 希美 1、瀬尾 由広 1、石津 智子 1、竹内 正明 2、出雲 昌樹 3、鈴木 健吾 3、山下 英治 4、大島 茂 4、 明石 義浩 3、尾辻 豊 2、青沼 和隆 1 1 筑波大学 循環器内科、2 産業医科大学 第二内科、3 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、4 群馬県立心臓血管センター 循環器内科 【目的】奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症 (Paradoxical AS) における病態評価・予後評価における、スペックルトラッキン グ法による longitudinal strain(LS) の有用性を検討する。【方法】左室駆出率 (LVEF) > 50%の重症大動脈弁狭窄症 (AVA index < 0.6cm2/m2) のうち、Paradoxical AS の定義 ( 左室一回拍出量係数< 35ml/m2、大動脈弁平均圧較差< 40mmHg) を満たした 116 例を 対象とした。左室の global LS (GLS) を測定し、予後予測に対する有用性を検討した。【結果】経過中 16 例 (14% ) でイベント ( 心臓 死 3 例、大動脈弁置換術 12 例、心血管イベント 4 例 ) 発生を認めた。GLS はイベント発生群で有意に低下し(-15 ± 4 vs. -19 ± 4% ; p < 0.0001)、Cox 回帰では唯一イベント発生に関して有意な指標であった(Hazard ratio, 1.2; 95% CI, 1.05 to 1.36; p=0.007)。イベ ント予測に関する ROC 解析 (AUC=0.75) により GLS > -17%をカットオフ値とすると、GLS 低下群は GLS 高値群と比較して有意に 2 年間の無イベント生存率が低く(53% vs. 94%)、弁口面積が小さく(AVA index 0.37 ± 0.11 vs. 0.42 ± 0.09 cm2/m2; p=0.007)、 左室肥大の進行を認めた(LV mass index 121 ± 31 vs. 103 ± 28 g/m2;p=0.001)。【結論】Longitudinal strain 解析は、Paradoxical AS の病態・予後評価に有用である。 142 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography YIA-4 3D スペックルトラッキング法による心筋虚血評価 -Activation Imaging を用いた検討 - 岡 雅通、浅沼 俊彦、増田 佳純、櫻井 大輔、郡山 晃、中谷 敏 大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座 【背景】Activation Imaging(AI)は、局所の心筋が収縮を開始するタイミングから心臓の興奮伝播を推定し、それをカラーマップ 表示する方法である。虚血心筋では収縮の開始に遅延が生じることが知られており、AI を用いて虚血を検出できる可能性がある。 【目 的】動物実験において 3 段階の心筋虚血を作成し、AI によりこれらの虚血を検出可能か検討すること。【方法】麻酔開胸犬 15 頭を 対象とし、左冠動脈回旋枝血流が 100%(狭窄前)、60-80%(狭窄 -1)、20-40%(狭窄 -2)、0%(閉塞)時の 3D 画像を東芝社製 Artida にて取得し、area change ratio(ACR)を算出した。虚血領域における ACR 波形から、一心周期最大 ACR 値(ε peak)を 測定し、AI の指標として拡張末期からε peak の 30% 値に到達するまでの時間(T-30%)を算出した。また収縮期最大 ACR 値(ε 、拡張末期から early systolic lengthening のピーク値までの時間(T-ESL)、大動脈弁閉鎖から post-systolic shortening のピー sys) ク値までの時間(T-PSS)も算出した。【結果】虚血領域における T-30% は狭窄 -2 時および閉塞時に有意に延長し(狭窄前 vs. 狭窄 、ε sys、T-ESL、T-PSS においても同様 -2 時 : 15.4 ± 2.0% vs. 25.4 ± 8.1%、p = 0.001、vs. 閉塞時 : vs. 38.5 ± 11.2%、p < 0.001) に有意な変化がみられた。一方、両狭窄に対する診断精度を ROC 解析により評価したところ、曲線下面積は T-30%: 0.84、ε sys: 0.68、 T-ESL: 0.70、T-PSS: 0.63 であり、T-30% は他の指標と比べて有意に高値を示した(p < 0.05)。【結語】3D スペックルトラッキング 法においては、T-30% は他の指標よりも優れた虚血検出能を示し、AI により虚血を検出可能であることが示唆された。 特別セッション YIA-5 拍動心脱転時に伴う僧帽弁 tethering 増悪と乳頭筋変位との関係~ブタ OPCAB モデルにおける 3D 心エコー図法による検討~ 五十嵐 崇 1、高野 真澄 2、高瀬 信弥 1、横山 斉 1 1 福島県立医科大学 心臓血管外科学講座、2 福島県立医科大学附属病院 集中治療部 【背景】心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)における術中循環動態の悪化に、僧帽弁逆流の関与が示唆されているが、僧帽弁逆 流の成因および弁装置の形態変化は明らかでない。【目的】拍動心脱転に伴う僧帽弁装置の形態変化を 3D 心エコー図法を用いて評 価する。【対象】拍動心モデル LWD 系ブタ(n=9)。【方法】ブタ拍動心を対照位、前下行枝吻合時(LAD 位)、右冠動脈吻合時(RCA 位)、および左回旋枝吻合時(LCX 位)の脱転位にポジショニングした。各脱転位において、心表面から 3D full volume データを取 得 し た(iE33TM, X7-1TM)。YD 社 製 Real-view お よ び Tomtec 社 製 Cardio-view を 用 い て、 僧 帽 弁 輪 径・ 長、tenting height・ volume および乳頭筋位置を評価し、心脱転による僧帽弁装置の変化について検討した。【結果】大動脈圧は対照位に比べ LCX 位で 有意に低下した(69.8 ± 2.7 vs 48.9 ± 2.5 mmHg, P < 0.001)。僧帽弁輪前後径・横径・周長は各脱転位間で有意差を認めず。 Maximum tenting height ( 対照位 2.9 ± 0.5, LAD 位 2.7 ± 0.3, RCA 位 3.7 ± 0.3, LCX 位 4.1 ± 0.3 mm, P < 0.01)、および tenting volume(対照位 0.7 ± 0.1, LAD 位 0.6 ± 0.1, RCA 位 0.8 ± 0.1, LCX 位 1.0 ± 0.1 cm3, P < 0.05)は LCX 位で有意に高値だった。脱 転により、後乳頭筋-僧帽弁前尖弁輪間の距離は変化しなかったが、後乳頭筋-僧帽弁前尖弁輪と僧帽弁輪のなす角度は減少し、 tenting volume と有意な負の相関を示した(r=-0.643, p < 0.001)。【考察】心脱転に伴い、僧帽弁弁尖に tethering が生じ、後乳頭 筋の変位と関連していた。OPCAB における術中循環動態の悪化に、心脱転に伴う僧帽弁装置の geometry の変化が関与することが 示唆された。 YIA-6 急性左室機能低下例における僧帽弁 adaptation:三次元心エコー図による検討 福田 智子 1、渡邉 望 2、吉村 雄樹 2、増山 浩幸 2、福永 隆司 2、戸井田 玲子 1、田中 美与 4、 末澤 滝子 4、石川 哲憲 1、北村 和雄 1、吉田 清 3 1 宮崎大学医学部附属病院 第一内科、2 県立宮崎病院 循環器内科、3 川崎医科大学 循環器内科、4 県立宮崎病院 臨床検査科 背景 : 近年慢性左室機能不全における器質的弁葉拡大と機能性僧帽弁逆流との関連 が報告され mitral adaptation として注目されている . 一方動物実験では正常僧帽弁 に 15% 程度の可逆的伸展性があることが報告されているが (acute adaptation), 未だ 臨床例での検討はされていない . 本研究では経胸壁 realtime 3D 心エコー図 (RT3DE) を用いて , 急激な左室形態変化に伴う僧帽弁 acute adaptation について検討した . 方法 : 正常心に発生した急激な僧帽弁機構形態変化の臨床モデルとして可逆性左室 機能低下症例 ( 急性心筋梗塞 , たこつぼ心筋症 )12 例を対象とした . 急性期および EF 改善後に RT3DE を施行し三次元的に僧帽弁葉面積を計測し比較した . 結果 : 急性期弁葉面積は正常より拡大していた (5.6 ± 0.9cm2/m2 vs. 4.9 ± 0.7cm2/ m2, P = 0.03). 弁葉面積は EF 改善後に縮小し (5.6 ± 0.9cm2/m2 vs. 5.1 ± 0.9cm2/m2, P < 0.001), 平均伸展率 11% であった . 結語 : 臨床例における僧帽弁 acute adaptation を証明することができた . 僧帽弁は急 性左室機能障害による critical な逆流を防ぐ予備力を備えている可能性が示唆された . 143 第25回日本心エコー図学会学術集会 Echo U 40 Club Meeting(U40) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 16:10 - 17:40 座長:中谷 敏(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座)・竹内 正明(産業医科大学 第二内科) 〈企画趣旨〉 日本心エコー図学会学術プロジェクト委員会では若手の研究を応援する目的で、今年も Echo U40 Club Meeting を行います。40 歳以下の学 会員の研究プロジェクトをシニアメンバー(学術プロジェクト委員会委員および関西労災病院 上松正朗先生、産業医科大学 尾辻 豊先生) が中心になって建設的に批評し、よりよいものにしようとする会です。決してあら探しをしたり、足を引っ張ったりする会ではありません。真 にいい研究にするためにはどうすればよいかをディスカッションする会です。今年は 4 名の若手の先生方に発表いただきます。すべて現在進 行中または計画中の未完成のものですが、今後の方向性についてサジェスチョンできればと思っています。プロジェクトを揉まれているところ を見たい人の参加を待っています。もちろん参加者に年齢制限はありませんし、自由にディスカッションしていただいて結構です。 特別セッション U40-1 ST 上昇型心筋梗塞急性期における 3 次元スペックルトラッキング法による viability 評価と予後に 関する検討 菅野 昭憲 1、瀬尾 由広 2、渡部 浩明 1、掛札 雄基 1、相原 英明 1、仁科 秀崇 1、石津 智子 2、 文藏 優子 1、野口 祐一 1、青沼 和隆 2 1 筑波メディカルセンター病院 循環器内科、2 筑波大学 医学医療系 循環器内科 【背景】慢性期虚血性心疾患において、3D speckle tracking imaging(STI) による心筋ストレインは梗塞深達度を反映することが示さ れているが、心筋梗塞急性期における検討は十分にされていない。【目的】ST 上昇型心筋梗塞 (STEMI) 急性期において、3D-STI に よる心筋ストレインと梗塞の深達度との関連を検討した。【方法と結果】STEMI で primary PCI を施行された患者を対象とした前 向き観察研究である。23 人 360 領域(年齢 64 ± 13 歳)が登録され、急性期に 3D-STI による心内膜ストレインを計測しガドリニ ウム造影 CMR により梗塞深達度を評価した。貫壁性梗塞セグメントにおける全ての心内膜ストレイン値は、非貫壁性梗塞セグメン トに比べ、有意に低下していた。しかし、Longitudinal strain は、非梗塞セグメントでも低下しており、stunning をより反映して いる結果と考えられた。今後は慢性期の局所壁運動の変化および左室リモデリング、心事故を予測し得るかを検討する。 U40-2 運動負荷心エコー図検査における 2D スペックルトラッキング法を用いた Ischemic memory の検討 表 俊也、松田 淳也、徳山 榮夫、中摩 健二、菊池 有史、山本 英世、石川 昌弘、網谷 賢一、 高橋 直人、佐藤 直樹 日本医科大学武蔵小杉病院 内科・循環器科 【背景と目的】2D スペックルトラッキング法 (2D-STI) は心筋虚血から時間が経過しても拡張時相の異常 (Ischemic memory:IM) を検 出可能と言われているが、2D-STI を用いた運動負荷心エコー図検査において IM を証明した報告は少ない。本研究は、2D-STI を用 いて IM の持続時間と心筋虚血重症度との相関関係を検討する。【方法】対象は、運動負荷心エコー図検査と冠動脈造影検査 ( 冠血 流予備量比測定 ) を施行した患者。心エコー図は負荷直前、直後、5 分後、10 分後に記録し解析。【予想される結果】IM 持続時間と 心筋虚血重症度に関連がある。【臨床的意義】負荷心エコー図時の負荷後の記録時間を規定し効率良く検査が施行可能となる。 144 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography U40-3 透析後 72 時間では運動誘発性の afterload mismatch が起こる : a Serial Observation of Ventricular-Arterial Coupling 小保方 優 1、根岸 一明 1、黒沢 幸嗣 1、増田 くに子 1、有馬 ひとみ 2、倉林 正彦 1 1 群馬大学大学院医学系研究科臓器病態内科学、2 前橋赤十字病院 【背景・目的】維持透析患者において心血管死亡や心不全の発症は , 長い (72 時間 ) 透析間隔後に最も多い . 本研究の目的は透析間隔 の違いが心血管機能に与える影響を負荷依存性の指標を使って検討することである .【方法・現在の結果】維持透析患者 80 例に対し て以下のように 3 回心エコー図を施行した ( 透析直後 , 透析後 48 時間 , 72 時間 ). 心エコー法によって収縮末期エラスタンス (Ees), 動脈エラスタンス (Ea) を評価した . 最大握力の 30% ハンドグリップ負荷時も記録した . 透析直後から 72 時間にかけ , End-diastolic volume index の増加と一致して Stroke volume index は有意に増加した . Ees, Ea とも 48 時間 , 72 時間後で変化なく , 拡張能指標も 72 時間後で有意な悪化はなかった . 72 時間後ではハンドグリップ負荷による Ea の増加率が大きく , stroke volume が低下した . 特別セッション U40-4 経カテーテル大動脈弁置換術前後の Valvulo-arterial Impedance に関する検討 柴山 謙太郎 1、三原 裕嗣 2、ベルデホ ハビエル 2、原田 顕治 2、板橋 裕史 2、シーゲル ロベルト 2、 ジライハウィ ハサン 2、マカー ラジ 2、塩田 隆弘 2 1 東京ベイ 浦安市川医療センター ハートセンター、2 Cedars-Sinai Heart Institute 背景 : 経カテーテル大動脈弁置換術 (TAVR) が、大動脈弁狭窄症 (AS) の血行動態や予後の指標とされる valvulo-arterial impedance (Zva) を改善させることが知られている。しかし、Zva が増悪する症例については十分に検討されていない。目的 : 経胸壁心エコー図、 2D・3D 経食道心エコー図 (TEE) で得られた Zva の妥当性を評価し、TAVR 後に Zva が増悪する因子を検討すること。方法・結果 : 対象は TAVR、右心カテーテル、術中 3D TEE を施行した AS 患者 323 人。3D TEE による Zva はその他の方法と比べ観血的デー タに最も良く一致した (r = 0.85, p <0.001; limits of agreement -1.70 to 1.71, fixed bias 0.01)。TAVR 前後で Zva を計測した 276 人の うち、33 人 (12%) で Zva 増悪を認めた。Zva 増悪の因子として patient-prosthesis mismatch と術後大動脈弁逆流、僧帽弁逆流の悪 化が同定された。臨床的意義 :3D TEE は Zva を正確に測定することができ、術後合併症が Zva に影響することが示唆される。 145 第25回日本心エコー図学会学術集会 男女共同参画委員会セッション(男女) 4 月 18 日(金) 第 3 会場 14:40 - 16:10 座長:高野 真澄(福島県立医科大学附属病院 集中治療部)・川合 宏哉(兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科) 〈企画趣旨〉 日本心エコー図学会男女共同参画委員会では、心エコー図学分野における男女共同参画の推進を図り、性差なく高い専門性を維持していく ための教育・研究・就業体制の確立をめざしています。 本セッションでは、昨年報告したアンケート調査結果から得られた問題点について、男女共同参画委員会においてどの様に活動したか、ま た今後の方向性について報告します。また、ライフイベント(出産・育児、介護)を経験しながら教育・研究・勤務を継続している当事者、ま た組織としての取り組みをご発表いただきます。さらに第 2 回(平成 26 年度)男女共同参画奨励賞の受賞報告、 および第 1 回(平成 25 年度) 男女共同参画奨励賞受賞者からこの一年間の活動をご報告いただきます。 本セッションを通じて、学会としてできること、当事者や組織がどう取り組むべきかをみなさんとともに考えたいと思います。 特別セッション 男女 -1 男女共同参画委員会 活動報告と今後の方向性について 高野 真澄 日本心エコー図学会 男女共同参画委員会委員長、福島県立医科大学 附属病院 集中治療部 日本心エコー図学会 男女共同参画委員会が設置され、2 年が経過しました。当委員会では、心エコー図学分野における男女共同 参画の推進を図り、性差なく高い専門性を維持していくための教育・研究・就業体制の確立をめざしています。平成 24 ~ 25 年に かけて学会員の皆様を対象にアンケート調査を実施し、委員会として何をすべきか、今後の方向性を検討いたしました。その結果 については昨年度の学術集会にて報告し、また当学会ホームページにも掲載しております。 本セッションでは、アンケート結果から得られた問題点に関して、昨年度男女共同参画委員会として行った活動内容とともに、 今後の委員会としての方向性についてご報告させていただきます。 男女 -2 梯子ではなくジャングルジム 西上 和宏 済生会熊本病院 集中治療室 【背景】出世はよく梯子に喩えられるが、フェイスブックの CCO シェリル・サンドバーク女史によれば、パティ・セラーズの言葉 として「キャリアは梯子ではなくジャングルジム」が適切と言っている。梯子には広がりがなく、上がるか降りるか、とどまるか 出て行くか、どちらかしかない。ジャングルジムは自由な回り道の余地があり、てっぺんに行く道筋はいくつもある。就職、転職 はもとより、仕事を離れてから復帰するときも、さまざまな道を探す事ができるし、時に下がったり、迂回したりしながら、自分 なりの道を進んでいける。男女共同参画のシステム作りは、まさにその登りやすい、楽しいジャングルジムを作る事ではないかと 思われる。【試みと結果】当院では、2010 年 4 月 1 日より院内保育園はあとランドを開園した。保育士 4 名体制から開始し、現在 11 名で、園児数は 54 名となっている。現在、開演時間は 7:00 で、延長保育は最大 22:30 までとなっている。主な利用者は看護師 28 名、事務員 10 名、医師 6 名となっている。出産や育児を理由の離職の割合は、2007 年 20.8% であったが、2012 年には 9.5% まで減 少した。また、長時間労働を良しとする従来の風習を打開するために、各病棟の看護師において、毎日 17:00 に帰宅できるスタッフ を 1-2 名「かえるちゃん」と任命し、back up nurse も同時に任命して、定時帰宅を厳守している。これは職員全体の長時間労働を 減らす意欲にもつながっている。【考察】仕事と家庭は 2 項対立ではなく、両者が共に高め合う存在になりうるし、そのために果た す男女共同参画の役割は大きいと思われる。 146 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 男女 -3 育児とキャリアの間で。男性医師の立場から。 武井 康悦、田中 信大 東京医科大学 循環器内科 循環器を専門とする大学病院常勤医として、また集中治療室医長として、育児とのバランスをとりながら仕事、キャリアを続けて いくことは大変なエネルギーが必要とされる。バランスといいつつも実際は日常業務と家事、育児が完全にこなせているとはいえ ない。仕事、キャリアを継続する上では先輩、後輩の医師およびコメディカルスタッフの協力が欠かせない。男性スタッフの場合 はこれまでの前例がないこともあり、育休や部分休に対するスタッフの理解が得られにくいという意見もある。また施設や部署に よってはこれらをなかなか言い出せない雰囲気もあることも否めない。施設によっては男性常勤職員に対してもキャリアを損ねる ことなく育休などを容認するところもあり、いまだ日本の医療機関における統一的な規則たるものがないものと考えられる。これ らに対しては診療科長等、責任者の理解が重要であり、必要に応じて病院内の独立した第三者機関である男女参画委員会等が介入 することも重要となる。日常業務関しては、時間を決め、スタッフや同僚の医師とともに仕事内容をある程度固定して、分担作業 を行うようにする。診療や研究におけるデータはコメディカルスタッフ、研究助手の方と協力してデーや解析を行う。空いた時間 を上手に活用し、講演スライドやペーパーワークをこなす。休日の義務仕事以外はできるだけ家事育児に参加する。循環器内科で は急な呼び出しもあるが、育児でも急な発熱により病児保育の手配も必要となる。パートナーとの連絡、仕事同僚への連絡を密に とり、それぞれへの負担をできるだけ少なくできるようにフレキシビリティーを持って対応するよう努力することが大切である。 特別セッション 男女 -4 冠動脈疾患予後予測における頸動脈プラーク輝度の意義:炎症性バイオマーカとの組み合わせによる 検討 石津 智子 筑波大学 医学医療系 臨床検査医学 【男女共同参画に関する所属機関の取り組み】現在、当院検査部では技師の育休取得の奨励、育休後の復帰しやすい環境づくり、育 児中女性技師の管理職採用を積極的に行っている。大学病院の女性医師雇用枠利用を推進している。心エコーリサーチカンファラ ンスは保育園のお迎えに間に合うよう午後 4 時に行っている。男性医師も夜遅くまで拘束されないよう、心エコーカンファランス は早朝行っている。休日や深夜におよぶ実験では、心エコーグループ内でお互いに協力し合っている。特に子供のいるメンバーを 助けることは貴重な経験であるという価値観を共有することを心掛けている。【受賞論文作成時の支援の状況】大学院卒業後、同僚 男性医師が多忙な救急循環器臨床・僻地医療を担う一方で、当直・オンコール・放射線業務のない非常勤医師の立場で研究継続の 機会を与えられた。多くの循環器内科先輩医師に患者登録をしてもらい本研究を遂行し結果をまとめることができた。3 人の育児は 両親・家族・友人・保育園など子供に関係するあらゆる方の善意と協力をいただいた。【論文の概略】現代の最良治療を受けている 慢性冠動脈疾患 154 例において中央値 41 か月の期間中 27 例の心血管系イベントが認められた。イベント予測には高感度 CRP と頸 動脈プラーク輝度および最大 IMT、およびプラーク数が有用であった。主要危険因子を補正すると CRP とプラーク輝度が有意な予 後予測因子となった。特に CRP 高値症例では低輝度プラーク群は予後不良であったが、高輝度プラーク群はイベント発症が有意に 少なかった。冠動脈疾患不安定症例の検出においては頸動脈プラーク量よりも質を反映する輝度情報が有用であることが示唆され た。 男女 -5 超音波検査士として臨床医の傍らにいつづけるために 広江 貴美子 1、和氣 正樹 2、竹田 昌希 2、太田 庸子 2、岡田 清治 2、太田 哲郎 2 1 松江市立病院 中央検査科、2 松江市立病院 循環器内科 私が出産した 1991 年当時、育児休暇制度や病後児保育などの制度はまだ完全ではなかった。1994 年より松江市立病院に勤務し、 循環器内科の医師の指導のもと日常検査をよび研究活動・学会等の発表活動を行って来た。この間、私の子供は、食物・運動起因 性のアナフィラキシーショックがあり救急外来に受診することが度々であったが、小児科の医師に迅速な対応をして頂き業務の継 続が可能であった。また、義母は透析が必要となり、義父は脳梗塞の後遺症のため介護が必要となったが、上司の理解を得て職務 継続と研究活動・学会発表を継続でき、義父母も看取ることができた。育児制度・介護制度の確立されていない時期に循環器内科 をはじめとする職場の臨床医の理解と多大な協力・励ましにより職務を継続することができた。超音波検査士として臨床医に心エ コー図検査が必要され、育児・介護を理解し、多大な支援を頂いた。 現在、松江市立病院では、平成 13 年 5 月より院内に病児・病 後児保育所を開設し、平成 22 年 8 月からは院内保育所を開設した。院内保育所は夜間保育も行われ、職員個々の勤務に応じて利用 可能である。 受賞論文では、視覚的左室駆出率 (Visual EF) の信頼性と有用性の検討を行った。 Visual EF は , 1) 心エコー図検査 に経験を積んだ検者が行えば再現性が良好で Simpson EF と良く一致し , 2) 局所的壁運動異常の有無にかかわらず評価できる方法で あり、3) また , 携帯型装置での検査時においても有用な方法と考えられた。本論文は育児・介護中の 1999 年から同僚ソノグラファー、 循環器医とともに 3 年間継続して行った研究をまとめ、2003 年に掲載された。 147 第25回日本心エコー図学会学術集会 男女 -6 平成 25 年度 第 1 回男女共同参画奨励賞 受賞後一年間の活動報告 町野 智子、瀬尾 由広、石津 智子、青沼 和隆 筑波大学 人間総合科学研究科 循環器内科 受賞後一年の主な活動と致しましては,大学院での臨床・基礎研究を継続して参りました.臨床研究では,心房細動に対するカテー テ ル ア ブ レ ー シ ョ ン に よ る 心 機 能 の 変 化 等 を 心 エ コ ー で 評 価 し た 2 本 の 臨 床 論 文 を publish す る こ と が で き(Significant improvement of left atrial and left atrial appendage function after catheter ablation for persistent atrial fibrillation. Circ J. 2013;77(7):1695-704. 及び Efficacy, safety, and outcomes of catheter ablation of atrial fibrillation in patients with heart failure with preserved ejection fraction. J Am Coll Cardiol. 2013 Nov 12;62(20):1857-65.) ,これらの研究内容を,日本循環器学会,心臓病学会, 不整脈学会のシンポジウムで発表する機会を頂きました.基礎研究では,マウス心筋炎モデルを用いて細胞外マトリクスタンパク であるテネイシンCの免疫制御機能に対する検討を行い,現在論文を投稿中です.また,超音波専門医の資格を取得することもで きました. 貴学会よりこのようなすばらしい賞を頂きましたことは,育児をしながらも研究活動を続ける上で大きな励みとなりま した.心より御礼申し上げます. 特別セッション 男女 -7 第 1 回男女共同参画奨励賞 受賞後一年間の活動報告 福田 優子 1、田中 秀和 1、川合 宏哉 2、平田 健一 1、錦織 千佳子 3 1 神戸大学医学部附属病院 循環器内科、2 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科、3 D&Ns plus ブラッシュアップセンター 私は、第 24 回日本心エコー図学会学術集会において、第 1 回男女共同参画奨励賞を受賞いたしました。平成 21 年 12 月に第 1 子を 出産した際に、所属する神戸大学循環器内科および神戸大学病院内の D&Ns plus ブラッシュアップセンターの支援を受け、同年 11 月から平成 22 年 9 月まで産休・育休を取得し、同年 10 月にセンターの育児短時間勤務制度を利用して復職しました。また平成 24 年 11 月に第 2 子を出産した際にも同様に産休・育休を取得し、平成 25 年 4 月に再び短時間勤務制度を利用して復職いたしました。 この間に作成した学術論文「Utility of Right Ventricular Free Wall Speckle-Tracking Strain for Evaluation of Right Ventricular Performance in Patients with Pulmonary Hypertension. J Am Soc Echocardiogr. 2011;24:1101-8.」により、本賞を受賞いたしました。 平成 25 年 4 月に復職後は心エコー図検査を再開するとともに、心エコー図検査を用いた肺高血圧症患者における研究を継続しまし た。そして研究成果を 2013 年 5 月に開催された第 86 回日本超音波医学会学術集会および 6 月に米国ミネアポリスで開催された American Society of Echocardiography National Meeting 2013 で発表いたしました。また、本年 3 月に開催される日本循環器学会 でも、研究成果を発表予定であります。平成 25 年 10 月から西記念ポートアイランドリハビリテーション病院へ出向し、現在は同 院で内科医として勤務しながら、大学病院で心エコー図検査法を用いた研究を継続しております。 148 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 教育企画 1(EP1) 4 月 19 日(土) 第 4 会場 12:40 - 14:10 どのようなレポートを書きますか? 座長:和田 靖明(国立大学法人山口大学大学院御学系研究科 器官病態内科学 検査部) ・高橋 秀一(社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院 中央検査室) EP1-1 僧帽弁逆流;手術を考慮する中等症、定量化についても 小谷 敦志 1、平野 豊 1、佐賀 俊彦 2 1 近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部、2 近畿大学医学部 心血管機能制御外科学 EP1-2 AR:重症度評価を考慮したレポート 都築 千枝 名古屋循環器科・内科 大動脈閉鎖不全症は、大動脈弁自体もしくは大動脈基部の異常による弁接合不全のために、拡張期に大動脈弁逆流が生じる疾患で、 左室は、容量負荷を受けるために拡張し、前負荷、後負荷の増大に適応して、遠心性肥大も起こる。病態の発生と進行状況によっ て急性と慢性に区別される。感染性心内膜炎や大動脈解離などに起因する急性 AR は、毎回、検査室で遭遇できる症例ではない。 しかし、高齢化社会となる近年、長期の経過で進行する慢性 AR は、加齢による変性を原因とした弁膜症も含め、軽度から重度ま でと、状態は様々であるが、日常茶飯事に検査室で出会える症例である。今回は、この慢性 AR に関して、『重症度評価を考慮した レポート』とはどのようなものか、症例を挙げながら紹介したい。《レポート作成にあたって》主治医が慢性 AR 患者の心エコー検 査で何を知りたいのかと言えば、『経過観察』『入院要加療』『手術』の 3 点に絞られる。一番重要なのは『依頼者の知りたいことが 明確に記載されている』ことなのだが、なかなか難しい。だから、*数値の羅列だけの説明は避ける* AR の原因はなにか*デー タに基づいた事実の説明 ( 矛盾はないか、AR の程度 etc.) *前回所見との比較*検査者として伝えたいことなどを念頭に入れて作成 すると、『知りたいこと』に近づくのではないかと考える。 EP1-3 その壁運動低下,どのように医師に伝えるか 梅田 ひろみ 平成紫川会 小倉記念病院 検査技師部 左室壁運動低下をきたす疾患は、虚血性心疾患と非虚血性心疾患とに分けられる。虚血性心疾患は、冠動脈の閉塞や狭窄などによ り心筋が虚血状態となる疾患である。この虚血性心疾患の壁運動低下について、どのように心エコー図検査を行い、どのように医 師に伝えるかを考えてみる。 壁運動評価は、心内膜面の動き、壁厚の増加にて行うが、心内膜の動きは心臓の動きによって惑わ されることがあるので、壁厚の変化を注意深く観察するように心がける。壁厚増加は、30%以上を正常、10 ~ 30%を hypokinesis、 10%未満を severe hypokinesis とされている。壁運動低下が認められた場合、その範囲が冠動脈の走行と一致していれば虚血性心 疾患が疑われ、レポートには推定される責任病変を記載する。また、壁の菲薄化、壁の性状についても合わせて記載する。左室駆 出率は必ず Modified Simpson 法にて算出した値を用いる。左室壁運動低下が認められる場合、左室拡大をともなっている場合もあ るため、左室径の評価も行う。通常計測する僧帽弁腱索レベルは正常範囲であっても、左室中部が拡大している症例も多いので注 意が必要である。また、高度壁運動低下がみとめられる場合は血栓の有無の評価も重要である。特に心尖部は丁寧な検索が必要で ある。その他、僧帽弁逆流の程度評価および成因、肺高血圧の有無についても評価する必要がある。急性心筋梗塞が疑われる場合 は合併症の有無についての評価も忘れてはならない。 初回検査でない場合は、前回との比較も重要である。 いずれの評価にお いても、評価できる十分な画像描出と適切な計測が重要である。 149 特別セッション Carpentier の機能不全分類と術式を知る 僧帽弁閉鎖不全手術で外科医が最も知りたいのは,僧帽弁逆流(MR)の機序と僧帽弁お よび僧帽弁下組織,乳頭筋を含めた左室を構成する各部位の詳細な形態や機能であり,手術を考慮した心エコーのレポートにはそ れらの評価を詳細に記載することが大切である.MR の機序を記載する 日本循環器学会のガイドラインの僧帽弁逆流(MR)の治 療フローチャートでは,MR の機序が器質性と機能性に区別さている.器質性 MR には,リウマチ性,逸脱(腱索断裂,Barlow 病, 結合組織病を含む),感染性心内膜炎,先天性心疾患,外傷などの弁尖,弁葉に異常があるもので,機能性 MR は,虚血性心筋症, 拡張型心筋症,大動脈弁閉鎖不全などによる左室拡大や弁輪拡大に伴うものや,肥大型心筋症など僧帽弁自体に異常を認めない MR のことである.器質性 MR は高度 MR の場合に手術適応であるが,機能性 MR は中等度以上で手術適応となっている.また,両者 は術式が異なるため,心エコーで両者を鑑別することは手術適応を決める上で非常に重要である.心エコーによる MR の重症度評 価 カラードプラ法で左室側の吸い込み血流が明瞭に認められれば逆流は中等度以上と考えられる.一方,機能性と器質性とでは, 逆流の起こるメカニズムが異なる.機能性 MR は,左室収縮期圧が最大となる収縮中期には MR は減少することが知られている. さらに,逆流弁口は不整形のため,proximal isovelocity surface area(PISA) は正円ではない場合があることが報告されている.こ のように,心エコーで MR の定量評価を行う際には,MR の機序を理解し適切な定量評価を行い報告することが大切である. 第25回日本心エコー図学会学術集会 EP1-4 先天性心疾患:結局のところ,どういう異常なのか? 西尾 進 1、山田 博胤 2、佐田 政隆 2 1 徳島大学病院 超音波センター、2 徳島大学病院 循環器内科 特別セッション 良いレポートとは,どのようなレポートか?一つ挙げるとすれば,臨床医が求める答えが記載されているレポートではないだろ うか?質の高いレポートを作成するためには,質の高い検査が要求され,さらには臨床医からの詳細な依頼情報が必要である.今 回は,成人例の修正大血管転位の症例を呈示したい. まず,先天性心疾患の心エコー診断で避けては通れないのが,区分診断である.下大静脈の位置により心房位を決定し,肉柱形 態や房室弁の付着部位などにより心室位を決定する.最後に大血管の位置関係および構築により,大血管位を決定する.成人例に おいても先天性心疾患症例では,基本的な心構造の評価をレポートの筆頭に書いた方が良い.次に評価するポイントは,左室およ び右室の大きさと機能的左室の壁運動を含む収縮能である.修正大血管転位において,体循環を担う心室は解剖学的右室である. 成人例では,解剖学的右室が長年,高圧系である体循環を担っており,収縮能の低下が懸念される.また,三尖弁が高圧系の房室 弁になるため,房室弁逆流の程度も予後を左右する重要な評価項目である.血行動態の評価も必要不可欠である. 症例は 60 歳代,女性.修正大血管転位と診断され,経過観察されている.中等度に近い大動脈弁逆流を認め,機能的左室は軽度 拡大している.労作時の息切れを主訴に,心エコー検査を施行した.区分診断では[S.L.L.]で,心内シャントは認めず,左室 駆出率は正常下限程度であった.大動脈弁逆流は軽度~中等度で,前回と有意な変化は認めなかった.機能的左室流入血流速波形 は弛緩異常パターンを呈していた. この症例を通して,レポートの書き方を考えてみたい. EP1-5 この狭窄病変、どのように医師に伝えますか? 数野 直美 1、松村 誠 2 1 埼玉医科大学国際医療センター 中央検査部、2 埼玉医科大学 心臓内科 血管エコー検査は CT や MRI とは異なり、観察できる断面は限られている。 また、狭窄の程度やプラークの性状を評価することはできても、病変の解剖 学的部位を同定し、それを客観的に記載、報告することは必ずしも容易では ない。また、観察所見を列記するだけでは検査報告書として不十分である。 場合によってはこのレポートが依頼医の判断を遅らせることもある。血管エ コー検査のレポートにはシェーマが必要であり、検査目的に対してコメント することが大切である。そこで、当院ではあらかじめ作成してある代表的な 症例のシェーマや検査所見を編集することでレポートの客観性を高め、レ ポート作成の時間短縮を行っている。今回、頚動脈エコー検査で椎骨動脈の 血流速度波形パターンから見つかる鎖骨下動脈病変について実際の症例、レ ポートを基により良いレポートの書き方について考えていきたい。 教育企画 2(EP2) 4 月 19 日(土) 第 4 会場 14:20 - 15:50 心エコーの基本を学ぶ 座長:小板橋俊美(北里大学病院 循環器内科)・種村 正(公益財団法人心臓血管研究所附属病院 臨床検査部) 装置提供:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 EP2-1 正しい断層画像の出し方と活かし方 高尾 壽美惠 社会医療法人天神会 新古賀病院 生理機能検査室 1. はじめに手早く正しい断層像を描出する技術は,ストレスレスな見落としの無い検査を実現する.今回はライブ形式で正しい断層 像の出し方と活かし方についてお示しする.2. 苦痛を与えない探触子の持ち方 探触子の持ち方にはいろいろあるが,演者は,影絵 の「きつね」のようにして親指・中指・薬指で探触子を持ち,人差し指は探触子の付け根に添えて,小指は患者様の肌に当てている. 安定感があり患者からの痛み苦情も少ない.3.体位と工夫基本は左側臥位である.心尖部を描出する際は,専用ベッドや,マット レスを使用すると心尖部の描出感度は飛躍的に上昇する.全周期を通してきれいに描出されるところで呼吸を軽く止めて記録する. 4.基本断面の描出見たいものを中心に,内膜はくっきりと,隅から隅まで出す.周波数,ダイナミックレンジ,ゲイン,STCな どを適宜調整する.■傍胸骨長軸像エコーウィンドウを見つける,胸骨左縁第 3 肋間から,探触子を垂直に立てて当て第 4 肋間, 第 5 肋間へとスライドし,内膜がくっきりと隅から隅までみえるウインドウを探す.探触子をしっかり振り,僧帽弁の端から端ま で観察する.■傍胸骨短軸像長軸像から探触子を時計方向に正確に 90°回転させる.大動脈レベルから心尖部が見えなくなるところ までスキャンする.長軸像が斜め切りだと短軸像も斜め切りになり,壁運動評価に適さないので注意する.■心尖部四腔像,二腔像, 三腔像探触子を十分に寝かせて当てる.真の心尖部が描出されているかを確認しながら探触子を回転させてじっくりと観察する. 150 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography EP2-2 カラードプラ法の使い方と活かし方 橋本 修治 国立循環器病研究センター 臨床検査部 心エコー図検査では、まず断層法にて心臓血管の形態や動きについて観察・記録を行い、ドプラ法を用いて血行動態や機能的な評 価を行っている。この断層法に加えてさらに視覚的・客観的に血流情報を観察・記録する手法としてカラードプラ法がある。今日、 カラードプラ法は心エコー図検査で欠かすことのできないツールとなっている。本法は使用時、ゲイン・速度レンジを主体とした 各種調整が必要となる。ゲインや速度レンジはアプリケーションの初期設定(デフォルト)にお任せではなく、断面ごとにその調 整を行い、場合によりパルス繰り返し周波数・MTI(moving target indicator)フィルタ・カラーマップなども調整をするのが望ま しい。弁逆流に際しては逆流部位と範囲が推測可能で、逆流の上流側には吸い込み血流(acceleration flow)が観察できる。これは 真の逆流のみならず、穿孔や短絡血流部位の確定などにも応用されている。また各弁逆流においては、その到達距離や vena contracta width などから重症度評価にも用いられている。さらにカラードプラ法は血流の方向を容易に表示できることから、パル スドプラや連続波ドプラのガイドとして、最高血流速度・速度積分値・弁口面積・弁逆流量・短絡率など各種定量評価に際し重要 な役割を果たしている。主に、大動脈弁狭窄・大動脈弁閉鎖不全・僧帽弁狭窄・僧帽弁閉鎖不全・閉塞性肥大型心筋症・肺静脈血流・ 三尖弁閉鎖不全などの異常血流部位やその程度を反映し、血流方向のガイドとして不可欠である。また、断層法では記録困難なピ ンホール的な短絡やその方向・弁逆流などの評価が可能で、心室中隔穿孔や弁穿孔などの異常血流を検出することも可能である。 特別セッション EP2-3 パルスドプラと連続波ドプラの使い方と活かし方 勝木 桂子 大阪大学 医学部附属病院 超音波センター パルスドプラ、連続波ドプラいずれも対象となる血流に対しまっすぐサンプリングできるような断面設定に留意する。 パルス ドプラは、ある部位の流速や血流パターンを知る上で有用である。血流パターンを見る場合や同一症例の経過を追う場合はサンプ ルの位置による影響を最小限にするため、できるだけ同一条件 ( 同じ位置 ) で計測する。また、加速血流が認められた場合に「どこ から」加速しているのかを判定するのに有用である。局所の流速評価に適しているが計測可能な流速に上限があるので、2m/sec を 超えるようであれば、連続波ドプラを用いる。 連続波ドプラはカーソル上の最大流速の測定に用いる。弁狭窄の重症度評価、心 室中隔欠損や動脈管開存などのシャント血流速評価に有用である。最大血流速から簡易ベルヌーイ式を用いて上流側と下流側の圧 較差を推定する。特に三尖弁逆流からの右室圧推定は日常業務で汎用されている。留意するのは、カーソル上に複数の加速血流が 含まれる場合である。肥大型閉塞性心筋症で左室流出路の血流と僧帽弁逆流との分離に苦心するのはよく経験する事である。その 場合はターゲットとなる血流のみがカーソル上にのる断面を探す、時相やピークの位置など血流パターンを見る、血圧情報などを 活かすなどの工夫が必要である。症例を提示しながら実際の現場でどのように使い分け、どこに留意し活かしているかについて解 説する。 151 第25回日本心エコー図学会学術集会 教育セッション 1(ES1) 4 月 17 日(木) 第 2 会場 8:40 - 10:10 先天性心疾患の心エコー診断 3D エコーで理解する先天性心疾患 座長:富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)・新居 正基(静岡県立こども病院 循環器科) 特別セッション 〈企画趣旨〉 一般臨床現場でのリアルタイム 3 次元エコーが使用可能になってから約 10 年が経過している。房室弁の術前評価など、その有用性が発揮さ れている領域がある一方で、3 次元エコーが日常的に使用され、我々の診断能力が飛躍的に向上しているとは言い切れない。特に、先天性心 疾患のような3次元的に構造が複雑な疾患に対する応用が期待されていただけに、臨床現場での反応は予想に反するものであった。考えられ る原因を装置側と検者側に分類すると以下のような点が挙げられる。①装置側の問題点:得られる画角の制限、また、これによるスティッチ ングノイズの発生、3次元表示にした際の解像度の低下、そして低いボリュームレート。心拍数および呼吸数の早い小児においては上記の点 は大きな問題となる。一方、②検者側の問題点:3次元エコーが2次元エコーよりも有用な点が整理されていない、3次元画像の表示方法に ついて基準化がなされていない等が考えられる。 本教育セッションでは 3 次元エコーを様々な先天性心疾患の病態解明や治療に役立てている先生方にその経験の中から 3 次元エコーを用いる ときのコツや注意点をお話しして頂く。また、良好な心エコー画像を得ることが困難なことが多い成人先天性心疾患については、心臓 MRI を 併用した多角的な画像診断についてお話しして頂く。 われわれも明日からの診療に 3 次元エコーを役立てることができるようになることを期待する。 ES1-1 先天性心疾患における手術治療における 3D エコーの役割 - 視点をかえ、リアルな 3D 表示をもとに 外科医と対話しよう - 瀧聞 浄宏 長野県立こども病院 循環器小児科 我々は ,2D エコーをもとに先天性心疾患の心内構造を頭の中で立体構築して , それを外科医に絵や言葉で伝え , 手術治療のプランニ ングを外科医とともに行ってきた。この立体構築はあくまで想像であり , 複雑な先天性心疾患ではときに困難である。しかし ,3D エ コーはこのプロセスを大きく変えようとしている。3D エコーを用いれば , 外科医の視点から目的とする心内構造を見ることを可能 にし , その画像上で , 病態と手術法について外科医とより詳細な対話して手術のガイドを行うことができるようになった。複雑な形 態の心室中隔欠損閉鎖術 , 両大血管右室起始症における心内ルート作成術 , 流出路狭窄病変対する解除術 , 共通房室弁の形成術など あらゆる手術治療に対して用いることかできる。さらに , 断層心エコー図からも外科医の視点からも得られない角度から心内構造を 俯瞰することができ , より多くの情報を得られる。任意のカットプレーンで見たい断層像を作成するもできる。両大血管起始症で心 内ルートを作成するとき三尖弁や他の構造物が邪魔をしないか , 単心室の共通房室弁で 4 葉弁のどの交連からどのように逆流してい るか , どんな弁複合体構造の変化があるか , など詳細に観察できる。もちろん ,3D 表示はより高画質の volume data を得る必要があり , 最たる方法は , 経食道3D か経心膜 3D 心エコーであろう。先天性心疾患の心内手術は進歩し ,15kg 以下が主流で , 経食道心エコー は使用しにくい。これまでわれわれは 30 例以上の経心膜 3D 心エコーによる手術ガイドを施行しており , 本セッションでは , この経 心膜 3D エコーを中心におき(経胸壁も含め), 実際の症例でどのように活用するかを述べたい。 ES1-2 先天性心疾患における心機能および房室弁機能評価。3D エコーで評価できること 高橋 健 順天堂大学 医学部 小児科学教室 このレクチャーの目的は、先天性心疾患 (CHD) の三次元超音波について、全体像を理解して頂くことです。 心エコー検査の熟 練者は、通常の二次元超音波のスキャンから心病変の立体構造を認識できますが、この様な熟練を得るのは容易ではありません。 CHD においては、構造異常の種類が多く個体差も大きいため、立体構造の認識は困難です。また臨床の場では、検者の頭の中で再 構築された三次元情報を、正確に他者に伝達することが必要になりますが、それは大変困難です。しかし、三次元心エコー法を用 いれば、解剖学的異常を目視に近い形で表示することが可能となり、これこそが三次元心エコーの利点です。また心室や心房の容 積測定においても、断面から計算する 2 次元心エコーより、三次元心エコーの方が理論上は正確となります。研究面においては、3 次元構造の定量評価が可能なため、CHD においても三次元心エコーを活かした研究が行われてきました。 しかしながら、三次元 心エコーは決して万能な道具ではありません。データ収集時、三次元再構築時、データ解釈時に注意すべき点が幾つかあり、それ らを理解した上で用いることが重要となるため、解説します。 このレクチャーを聴きに来ていただいている皆様は、日常臨床の 場で CHD の三次元心エコーのデータを扱う機会は少ないと思います。しかし循環器内科の心エコー検査室においても CHD は年々 増加する一方です。この機会に、CHD における三次元超音波の使い方に触れて頂ければと思います。 レクチャーの内容は CHD における房室弁機能評価、心房心室の容積測定による心機能評価について、臨床及び研究の実際について解説を行う予定です。 152 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ES1-3 成人先天性心疾患における心エコーと CMR の組み合わせによる臨床診断の有用性・心エコー医師の 新たな活躍の場 椎名 由美、白井 丈晶、丹羽 公一郎 聖路加国際病院 循環器内科 マルチモダリティー時代の成人先天性心疾患における心エコーと CMR の組み合わせによる臨床診断は非常に有用であるが、日本国 内での成人先天性心疾患における CMR の普及は今一つである。演者は UK ロイヤルブロンプトン病院における成人先天性心疾患 CMR 臨床フェローの経験があり、成人先天性心疾患における CMR の標準撮影方法を簡単に解説する。欧米においてはエコーのバッ クグラウンドの医師が成人先天性心疾患 CMR においても非常に活躍していることを紹介したいと考える。また、描出が不良になり がちな成人先天性心疾患症例において、どのような疾患にどのように心エコーと CMR を使い分けたらよいか、またどのように組み 合わせたらよいかに関して解説する。CMR は用語が難解であるため近寄りがたいが、成人先天性心疾患における CMR 撮影の重要 な要素の 80%は先天性心疾患の解剖の理解であり、欧米では心エコーのバックグラウンドの医師が最も適任であると考えられてい る。今後日本国内でもこの分野における心エコー医師の果たす役割が重要となってくる分野と言えよう。 特別セッション 教育セッション 2(ES2) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 10:10 - 11:40 右心機能を心エコーで評価する 座長:大門 雅夫(東京大学医学部附属病院検査部/循環器内科)・田中 教雄(国立循環器病研究センター 臨床検査部) 〈企画趣旨〉 これまで、循環機能における右室の役割は、左室に比べて小さなものであると考えられていたために、右室機能に関して日常臨床で注目され ることは少なかった。そのため、心エコー図検査においても右心機能評価を行うことは少なく、肺動脈圧の推定や右室拡大評価のみに終始す ることが多かった。近年、肺高血圧症の重症度だけでなく、右室機能の保持が予後に大きく影響するなど、循環機能における右室の役割が注 目されるようになっている。また、これまで左心不全と思われていた病態にも右室機能が大きく影響していることも知られるようになった。さ らに、肺循環に対する評価についても、肺動脈圧の推定だけでは限界があり、肺血管抵抗などの重要性も認識されるようになった。様々な右 心機能評価法が発表されている一方で、日常の心エコー図検査に右心機能評価をどのように組み込んでいくかについては議論の余地が残って いる。本セッションでは、肺循環の評価法、右心機能についての基本的な考え方、評価法とその問題点、さらに新技術を用いた今後の右心機 能評価の展望まで、議論を通して理解を深めていきたい。 ES2-1 心エコー図による肺動脈圧と肺血管抵抗の推定:その方法と限界 岡庭 裕貴、戸出 浩之 群馬県立心臓血管センター 技術部 心エコー図検査にて肺動脈圧を推定する方法には,三尖弁逆流や心室中隔欠損短絡血流の最大流速による収縮期右室圧(= 収縮期肺 動脈圧)の推定,肺動脈弁逆流の拡張末期流速による拡張末期肺動脈圧の推定,肺動脈弁逆流の拡張早期最大血流による平均肺動 脈圧の推定などがある.これらの方法はいずれもドプラ法を用いた方法であり,そこには,さまざまな技術的な問題や方法論とし ての限界がある.一方,近年,肺動脈性肺高血圧の根本となる肺血管抵抗 (PVR) を,心エコードプラ法にて推定する方法も報告さ れる.ここでは,肺動脈圧推定と肺血管抵抗の推定における問題点とその限界について述べる.【心エコードプラ法における技術的 な問題】ドプラ入射角:計測誤差が可及的に小さくなるよう,ドプラ入射角が 20 度以下となる断面を設定する.ドプラゲイン:ア ンダーゲインでは,逆流のシグナルの頂点が捉えにくくなり,過少評価の原因となる.逆に,オーバーゲインでは,逆流シグナル の先端が不鮮明となり,過大評価の原因となる.【肺動脈圧推定の限界】簡易 Bernoulli 式の限界:三尖弁輪が拡大し,三尖弁が離 開している場合には,簡易 Bernoulli 式が成立しない.また,心室中隔欠損症において狭窄部がベンチュリー状の形態をしている場 合には,圧較差を過大評価しやすい.【肺血管抵抗の限界】心エコードプラ法による PVR の推定にはいくつかの方法が提唱されて いるが,いずれの方法も正確性に劣り確立された方法ではない.【まとめ】肺高血圧症の評価には,肺動脈圧や肺血管抵抗を正しく 推定することが大切であり,そのためには,各種法の限界を把握し心臓の形態などと合わせて総合的に判断することが重要である. 153 第25回日本心エコー図学会学術集会 ES2-2 右心機能の基本:左心機能と同じに考えて良いか 麻植 浩樹 1、武本 梨佳 1、坂本 瞳 1、大野 佑子 2、池田 まどか 1、渡辺 修久 1、更科 俊洋 2、赤木 達 2、 中村 一文 2、森田 宏 2、伊藤 浩 2 1 岡山大学病院 超音波診断センター、2 岡山大学 循環器内科 右心室はかつて単なる導管として捉えられ、左心系に比べるとその機能や病態などについてはあまり問題とされてこなかった。ま たその複雑な三次元的形態から容積や機能の評価が困難であり、信頼できる明確な右心機能の指標が少なかった。しかし近年注目 されつつある循環器疾患、例えば重症心不全、心筋症、肺高血圧症、先天性心疾患など、これら様々な疾患(左室がその主病変と 思われる疾患においても)において、右心機能は予後を予測する重要な因子となることが知られ、右室機能評価の重要性が近年特 に注目されている。右室は左室と同様に血液を駆出する機能を有するポンプであるが、その形態は大きく異なる。右室は三角錐の ような形態をしており、大きく三つの部分(流入部・心尖部・円錐部あるいは漏斗部)に分けられる。ひと目見ただけでも左室と 形態の大きく異なるこの右室であるが、左室と同じだけの血液を受け止め、駆出していることも又事実である。本セッションでは この右室の有する機能について、左心機能との相違点にポイントを置きながら解説させていただきたい。 特別セッション ES2-3 右心機能を見てみよう:なぜ圧だけではいけないのか 川田 貴之 東京大学医学部附属病院 循環器内科 心エコー検査といえば、これまではとにかく左心系の評価が中心であった。実際、右室の形態は複雑で左室と比べて評価しにくい上、 右心系の異常の多くは左心系疾患に続発したものであり、従って左心系の評価と治療が優先されてきたように思う。右心系のコメ ントには「拡大なし」程度しか記載してこなかったのではないだろうか。ルーチンで行ってきた右心系の計測は、下大静脈径と呼 吸性変動からの中心静脈圧の推定、それに加えて三尖弁逆流から求めた推定右室収縮期圧くらいであろう。左心不全はもちろん、 近年治療が様変わりしつつある肺高血圧症であっても、心エコーでの右心系の評価は今まではほとんど圧の推定のみであったとい える。しかし体血圧だけを見ても左室の詳細がわからないのと同様、右室収縮期圧だけでは右室はわからないのかも知れない。肺 高血圧症の右心機能が予後に関係するのみならず、左心不全であっても右心機能が予後に関与していることがわかり、近年右心機 能評価の重要性が高まっている。演者も右心機能評価の素人であるが、このセッションでは圧だけではない右心機能評価の有用性 を探りたいと思う。 ES2-4 日常診療での心エコー図による右心機能評価;様々な指標の解釈と問題点 西尾 進 1、山田 博胤 2、佐田 政隆 2 1 徳島大学病院 超音波センター、2 徳島大学病院 循環器内科 右室はかつて“The forgotten chamber”と呼ばれていたように,臨床上重要視されていなかったが,近年では右心機能が心不全 や先天性心疾患,肺高血圧症例などにおいて予後規定因子となることが報告されており,心エコー図で右心機能を評価することの 重要性が注目されている.しかし,右室は解剖学的にも複雑な構造をしており,右心機能を評価することは容易ではない.ここでは, 現在心エコー図で用いられている様々な右心機能評価指標,特に右室収縮能指標の解釈法と問題点について提示したい. 三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE:Tricuspid annular plane systolic excursion):右室自由壁側三尖弁輪に M モードカーソルを 置いて三尖弁の移動距離を計測する.右室収縮能を評価する最も簡便な指標である.16mm 以下で右室収縮能の低下が示唆される. 三尖弁輪の運動方向とカーソルの角度により過小評価する可能性があるため,注意を要する. ) が 10cm/s 以下で右室収縮能低下を示唆する. 三尖弁輪運動速波形:組織ドプラ法により求める指標である.収縮期運動速波高 (s’ 組織ドプラ法を用いるため,角度依存性に過小評価することがあるので,注意を要する. 右室面積変化率(FAC:Fractional area change):右室の内膜面をトレースして求める指標である.正常値は 45%以上である. 右室は左室のように回転楕円体でないため,駆出率を求めることができず,面積変化率で収縮能を評価する.計測断面による誤差 に注意する. その他,スペックルトラッキング法を用いた右室自由壁平均最大ストレイン,三次元心エコー図による右室容量解析, 右室駆出率についても述べたい. 154 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ES2-5 右心機能評価の新技術-スペックルトラッキング法や 3 次元心エコー図法は右心機能評価に有用か?- 田中 秀和 神戸大学大学院 循環器内科学分野 右室機能は様々な心疾患において予後規定因子であると報告されている。肺高血圧症患者では、右室収縮機能の低下は、独立した 予後規定因子であることが多数の研究結果から証明されている。さらに左心不全患者においても、右室収縮機能不全は心血管イベ ントの発生に強く関与していると報告されている。ゆえに、右心機能を評価することは日常臨床において重要であるが、一筋縄で はいかない。心エコー図法は優れた心機能評価法であるが、右室は左室と異なり形態が複雑であるため、回転楕円体と仮定するこ とはできず、単一断面のトレースから右室容積や右室駆出率を算出することは困難である。この右室の形態の複雑さが、心エコー 図法による右室機能の定量的評価を困難にしている。米国心エコー図学会のガイドラインでは、右室収縮能の指標として、三尖弁 輪部収縮期移動距離、右室面積変化率、右室弁輪部の長軸方向移動速度、右室心筋パフォーマンスインデックスなどを推奨してい るが、いずれの指標も無視できない limitation が存在し、新技術による鋭敏な指標の構築が期待されている。 近年、2 次元スペック ルトラッキング法により算出された右室自由壁の長軸方向のストレインが右室収縮能を鋭敏に表すと報告されている。また、3 次元 心エコー図法による右室容積や駆出率の測定の正確性も報告されている。本セッションでは心エコー図法を用いた新しい右室機能 評価法、特にスペックルトラッキング法ならびに 3 次元心エコー図法を用いた指標の有用性と今後の可能性について概説する。 特別セッション 教育セッション 3(ES3) 4 月 19 日(土) 第 3 会場 8:30 - 10:00 弁逆流の正しい評価法 座長:桶家 一恭(厚生連高岡病院 循環器科)・土肥 薫(三重大学大学院 循環器・腎臓内科学) 〈企画趣旨〉 弁逆流では、原因、重症度、弁逆流に伴う心形態・機能変化といった項目を、漏れなく的確に評価することがとても大事です。そのためには、 正しい計測法を学び、原因疾患別の評価ポイントを押さえ、更に治療方針決定にとって何が重要か十分に理解する必要でしょう。しかし、こ のようなことをしっかりと確認しながら、弁逆流の患者さんに対し技師がきめ細やかに心エコー図検査を実践し、医師がレポート内容を臨床診 療に有効活用しているかについては、施設間で大きな格差があるように思われます。皆さんの所属施設の規模、循環器医の専門領域、外科治 療の有無など多くの要因により、心エコー図検査に求められる内容が異なることも大きな要因となっているでしょう。今回のセッションでは、 すべての技師・医師の皆さんが知っておくべき弁逆流の基本知識をしっかりと習得していただいたうえで、正確なエコー計測のコツを学んで いただき、緊急疾患である感染性心内膜炎における弁逆流の評価法とピットフォール、新しい画像技術の活用法や治療戦略への役立て方、食 道心エコー検査の意義と評価方法、さらに外科医が何を求めているのか、といった事柄を各分野のエキスパートから学び、知識と診療意欲を 高めていただければ幸いです。 ES3-1 弁逆流の正しい評価法「正しい計測・正しいレポート」 杉本 邦彦 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 超音波センター 【はじめに】心エコー図検査は弁逆流の診断と治療方針の決定に不可欠の検査である。また、数値として客観的な評価が可能である。 しかし、計測値そのものに信頼性が無ければ誤った診断、治療が行われてしまう。今回は正確な計測値を報告するための計測ポイ ント、ピットホールを中心に解説する。【計測のポイント】径の計測を行う際は対象物と超音波の入射角が直交する様に行う。また、 ドプラ波形を記録する際には血流方向と入射角を 0°に近づけることがポイントとなる。装置の角度補正機能は用いず、断面を工夫 し入射角度を調節すべきである。何れにしても基本断面に拘らず、計測を行う為の断面を描出する様に心掛ける。【ピットホール】 弁逆流に関して様々な計測項目が存在するが、各々にピットホールも存在している。PISA 法では PISA 自体が半球状にならない場 合や、逆流の吹き口が 2 ヶ所以上存在する場合には適応できない。その点、volumetric 法であれば適応することができるが、弁輪 径の計測や左室流出路径の計測が不正確であると、その誤差は大きなものとなり、信頼性の低いデータとなる。つまりどの計測法 にも長所と短所がある為、一つの方法に固執せずいくつかの方法で評価すべきである。【レポート】ベテランの医師や技師が記録し ても解剖学的な問題や被検者の条件により計測値が不正確になってしまう場合も少なく無い。また、複数の方法での計測値に大き な解離が生じる場合は再計測を行うか、レポートには記載しない勇気も必要である。【まとめ】計測に関するポイントについて述べ たが、実際には弁の形態や逆流の原因、機序及び心負荷の程度などを総合的に判断し、レポートを作成する必要がある。 155 第25回日本心エコー図学会学術集会 ES3-2 感染性心内膜炎時の弁逆流の評価とピットホール 高橋 秀一 社会福祉法人 恩賜財団 済生会中和病院 医療技術部 特別セッション 心エコー検査の普及に伴い,より早期により正確に感染性心内膜炎の診断が行われるようになってきた.感染性心内膜炎を疑えば, Duke の診断基準に示されているとおり血液培養陽性と心エコー所見が大きな 2 つの柱になっている.心エコー所見では,疣腫以外に, 弁穿孔,腱索断裂,弁輪部膿瘍,人工弁の離解などがあげられ,新規の弁閉鎖不全(既存の雑音の悪化または変化のみでは十分で ない)が明記されている. 弁逆流は,逆流ジェットの量や方向,弁輪部膿瘍内への血流の有無を詳細に観察しなければならない.弁の穿孔に伴う逆流や弁輪 部膿瘍からの痩孔形成による弁周囲逆流などでは,通常とは異なる部分からの逆流がみられる.経食道心エコー検査は,経胸壁心 エコー検査に比して高分解能の画像を得ることが可能であり,特に音響陰影で死角となる人工弁例での疣腫や人工弁周囲逆流の検 出,弁輪部膿瘍の検出には不可欠である. 経過観察における検査では,必ず前回検査の所見を動画で確認してから検査を施行し,前回と比較して疣腫の大きさや可動性の変 化や新たな心臓内合併症の出現の有無についてコメントをしなければならない.疣腫の大きさや可動性にとどまらず,弁逆流の程 度まで把握して検査に臨むべきである.ところが,わずかな変化の場合,1 回前の検査のみと比較すると変化を見逃してしまう可能 性がある.「前回と比べて著変なし」とコメントを続けるのではなく,3 回,4 回と経過観察が続く場合には,初回の検査と比較す ることにより変化を見逃さずに評価することができる. 心エコー検査の所見が,治療方針の選択,ひいては患者の予後に大きくか かわっていることを忘れてはならない. ES3-3 弁逆流定量評価の問題点:治療戦略決定の為に何を評価すべきか 岩永 史郎 東京医科大学 八王子医療センター 循環器内科 定量的な逆流量評価は弁閉鎖不全の重症度判定に用いられ、外科的治療の適応決定に不可欠である。しかし、逆流量測定の精度に ついての検討は少ない。心エコー法で逆流量を定量化する場合、パルスドプラを用いた volumetric(PW) 法か、proximal isovelocity surface area(PISA) 法が用いられる。僧帽弁閉鎖不全の PW 法では、逆流量を左室流入血流量と一回拍出量 (SV) の差で求める。SV は左室流出路 (LVOT) の断面積と血流の時間速度積分から求める。これは、LVOT 断面が収縮期中に変化しない正円形という仮定と、 径を二乗するための誤差が結果に大きく影響する。また、LVOT 内の血流速度分布が均一という仮定に基づくが、実際には多くの 症例で心室中隔側より僧帽弁側の速度が遅い。また、S 字状中隔の様に LVOT 内が乱流になると正確な計測はできない。僧帽弁輪 を心尖部四腔・二腔像で計測した長径と短径を持つ楕円形と仮定して求める左室流入血流量は、径変化および血流速度分布の不均 一性から、SV よりも測定精度が低い。 PISA 法は僧帽弁の左室側にできる吸込み血流の大きさで有効逆流口面積を算出する方法である。吸込み血流が半球形であると仮 定し、その表面積を算出するが、カラードプラ法で記録した吸込み血流が半球形ではないことは、長い間忘れ去られていた。 生体内での血流量定量化は誤差混入の要因が多く、必ずしも正確とはいえない。逆流量は血行動態によって変動するものでもあり、 特に外科的治療の適応決定には定量法で得られた結果を盲目的に信用するのではなく、他の臨床所見との整合性を確認するべきで ある。 ES3-4 経食道心エコー図を使いこなす 渡辺 弘之 東京ベイ浦安市川医療センター 弁逆流がカラードプラの到達度やエックス線造影だけで評価できると信じられていたのは過去である。今日の標準的な施設では身 体所見、経胸壁心エコー図と経食道心エコー図を組み合わせて多角的に分析し総合的に診断することが求められている。身体所見 は疾患の発見とおよその重症度評価に役立ち、経胸壁アプローチは定量評価の主役である。そして経食道アプローチの価値は、逆 流メカニズムの解析である。従来より指摘されているように、経食道アプローチの最大の利点は、優れた画質で心臓の構造を詳細 に描出できることである。その反面で、この利点が経食道画像を局所描出に特化させ、それがエコー画像をわかりにくいものに変 質させた。そのような経食道心エコー図の状況を一変させたのは、そこに登場した簡便な三次元画像である。すなわち Surgeon’ s view に代表される全体像は、局所と全体の関係を、極めて説得力のある画像として提示することになった。 経食道心エコー図を 使いこなすためには、心エコー図が弁膜症の管理における共通言語としての価値を持つことを再認識し、エコー室の外側にも説得 力のある画像を提供することであろう。答えは三次元データの多用ではなく、二次元画像との適切な組み合わせの中にある。このセッ ションでは、僧帽弁逆流を例に、実際的活用法を示す。皆様の参考になれば幸いである。 156 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ES3-5 僧帽弁逆流に対して僧帽弁形成術を行う外科医が心エコー検査に求めること 田中 正史 湘南鎌倉病院 心臓血管外科 教育セッション 4(ES4) 4 月 19 日(土) 第 3 会場 14:40 - 16:10 開業医のための心エコー講座 座長:村田 和也(むらた循環器内科)・高木 力(高木循環器科診療所) 〈企画趣旨〉 開業医としてプライマリケアの第一線で診療するようになると、病院勤務の時とは患者層も違えば、診療環境も大きく変化します。高齢の高 血圧患者が多く、心房細動や拡張不全のリスクを持つ患者が増加しています。高齢の大動脈弁狭窄症の患者も増加しています。時には重症の 患者が歩いて受診することもあります。しかし、忙しい開業医の外来診療においては、ゆっくりと時間をかけて心エコー図検査を行うこともな かなかできません。短時間で正確な診断をし、治療開始や高次医療機関への紹介の必要性を判断する必要があります。そのような実地医療の 現場で役立つような教育セッションにしたいと考え、私達自身が開業医として聴きたいと思う 5 人の先生方に講師をお願いしました。内容も、 日常診療に役立つ内容をと考え、地域医療、onelook echo、心電図異常、大動脈弁狭窄症、病診連携などのテーマについて講演を依頼しまし た。できるだけ多くの開業医の先生方、これから開業するかもしれない勤務医の先生、そして開業医から紹介をうける立場の先生方にも参加 して頂きたいと考えています。座長敬白 ES4-1 遠隔診断を病診連携に活かす 山田 博胤 1、西尾 進 2、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 超音波検査は,ほとんどの診療科において日常的に利用されている検査であるが,CTやMRIのような画像検査と異なり,正確 な診断を行うためには,検査者が高度な知識と技術を要していることが必要である.一方,中規模以上の病院において,超音波検 査の主な担い手は医師から技師に移行しており,そのような病院では医師が自らプローブを持つ機会が減っている.そのため,医 師の超音波検査における知識と技術は,必ずしも向上していない現状がある.しかしながら,実地医家にとって超音波検査は,最 も手軽な診療に役立つ画像診断法であることには変わりない.あらゆる臓器の超音波検査に精通した超音波検査士を雇用できれば よいが,そういうわけにもいかず,そもそもそのような超音波検査士自体まだ少数であろう.そのような状況で,一つの解決法と なりうるのが遠隔診断であると考えられる.心エコー検査の遠隔診断では動画像での配信,それもできるのであればリアルタイム の画像配信が望ましいため,放射線画像の遠隔診断と比べて情報量が多く,さらに高速な通信回線を必要とするため,遠隔診断に 必要な装置や回線は非常に高額であった.しかし,デジタル通信機器や通信インフラの進歩によって動画像が手軽に送受信できる 時代となり,比較的安価に動画像を用いた遠隔診断が実現できるようになった.我々は,市販のビデオ会議システムと光ネットワー クを利用して,僻地病院の心エコー検査を大学病院でリアルタイムにモニタリングし,診療支援を行っている.本セッションでは, その経験を紹介し,心エコー検査の遠隔診断について,現状の問題点と将来像について考えてみたい. 157 特別セッション 僧帽弁形成術の適応、術式の決定において、心臓エコー検査は必須である。術前 TTE では逆流ジェットの向きと幅、左室の動きと 形態を評価して逆流の原因が左室の異常に伴う機能性逆流か、弁尖の逸脱や腱索断裂などの形態異常によるものか、弁尖の処置の みで逆流の制御が可能か、弁下組織への処置が必要か、左室心筋への処置が必要かなどの手術方針が立てられる。執刀前に術中 TEE で麻酔医と診断を確認して手術を開始する。心停止下に僧帽弁の形態的な診断をして、術直前に TEE でみた僧帽弁の動的な 形態をイメージしながら弁を修復していく。逆流の確認には左室に生理食塩水を注入する水テストを行っているが心停止下での水 テストでは左室は拡張した状態で僧帽弁の逆流を評価しているため、心拍動下で逆流が制御されるかは心拍動を得てみないとわか らない。稀に水テストで逆流はなかったが心拍再開後の TEE で逆流が見られることがあり、逆流をコントロールするための手術時 間延長に伴う手術リスクの増加と、放置した場合の予後を比較して方針を決定しなければならないため、逆流の定量的評価データ をもとにした麻酔科医との議論が重要になる。術後の TTE では僧帽弁形成術で行われている手技を理解して、行われた手技による 僧帽弁形態の変化を踏まえて評価を行っていただきたい。このように僧帽弁形成術においてあらゆるタイミングで心エコー検査か ら得られる情報が心臓外科医の治療方針決定においてきわめて重要であり、エコーを施行していただく方々には外科医が考えてい ることや行う手技の詳細について深く理解していただき、意見交換をしていくようなチームとしてのアプローチが必須であると考 えられる。 第25回日本心エコー図学会学術集会 ES4-2 左室と左房を診て地域の高齢者医療に役立てる 宮坂 陽子 関西医科大学 第二内科 特別セッション 高齢化社会を迎えた我が国において、心不全、心房細動、脳梗塞、虚血性心疾患などの心血管イベント発症のリスクが加齢ととも に上昇することから、急速な患者数の増加を認め、今や大きな問題となっている。ゆえに今後、地域の高齢者医療における心血管 イベント発症の予測やその予防がより大切となってくる。 心血管イベント発症の独立した危険因子として、糖尿病、高血圧症などいわゆる古典的な臨床的基礎疾患の有無によるリスク評 価はよく知られている。しかし、これら危険因子の有無だけでなく、心エコー図検査から得られる指標を加味することにより、そ の発症リスクや予後予測の精度がより上昇することが報告されている。すなわち、心エコー図検査から得られる指標は、患者の心 血管イベント発症時の病態把握だけではなく、将来における心血管イベント発症を予測するうえで非常に有用なツールと考えられ る。 予後予測に有用な心エコー図検査の指標として、従来からルーチン検査でよく計測されてきた左室駆出率など左室収縮能の指標 だけでなく、臨床現場で広く計測されるようになってきている左房サイズなど左室拡張能障害の存在を示唆する指標の有用性が現 在までに多数報告されている。高齢者の心血管イベント発症のリスクを予測し、ひいてはその発症を予防していくためには、心エコー 図検査において左室と左房を診て、そこから得られる指標を組み合わせて評価することが大切であると考える。 本セッションでは、現在までに報告されている心血管イベント発症のリスク・予後予測に有用な心エコー図の指標について紹介 したい。 ES4-3 開業医のための心エコー講座 林田 晃寛、鍵山 暢之、玉田 智子、古山 輝將、今井 孝一郎、山田 亮太郎、久米 輝善、根石 陽二、 川元 隆弘、大倉 宏之、吉田 清 川崎医科大学 循環器内科 忙しい開業医の日常診療の中で、心エコーを行うのは時間的に制約がある。技師がいる場合は依頼すれば良いが、一人でこなして いる診療所では、心エコーを行うことで時間がかかり、患者の待ち時間が長くなってしまう。しかも、高齢の患者は動きが不自由で、 ベッドの上に寝るだけで時間がかかってしまうため、座位のまま当てなければならないなど、十分に観察ができないことが多く、 開業医の現場では専門家でない限り心エコーは避けられているのが現状ではないだろうか?ここで発表を行う小生も、忙しいとき には心エコーをできれば自分でしたくない。そこで、今回は「ぱっと見」で分かる心疾患について症例を紹介する。心エコーを当 てたくなる状況としては、症状、身体所見、心電図、胸部レントゲン写真、採血が正常でなさそうな場合であり、それらに沿って 症例を紹介し、少しでも心エコーを当てようという気になっていただければ本発表は成功であると考える。 ES4-4 心電図異常と見逃してはいけない心エコー所見 石津 智子 1,2 1 筑波大学 医学医療系 臨床検査医学、2 筑波大学 医学医療系 循環器内科 心電図異常と心エコー所見の組み合わせで、よく遭遇する病的意義の少ない病態から早期に診断すべき重要な疾患まで包括的に列 挙し、そのポイントを整理したい。1)ST 上昇:急性心筋虚血による ST 上昇であれば必ず壁運動低下を伴う。白血球数や心筋逸 脱酵素の上昇がなくとも心筋梗塞として迅速な対応をし、心室中隔穿孔や右室梗塞などの合併症を確認する。たこつぼ型心筋症で は心尖部壁運動異常と心基部の過収縮が特徴的で左室流出路狭窄を伴うこともある。壁運動異常は認めない ST 上昇には早期脱分極 症候群がある。aVR を除く全誘導に ST 上昇を認める場合は急性心膜炎を疑って心嚢液の貯留を見逃さないようにする。2)ST 低下: 心内膜虚血を疑う際は冠動脈支配領域による壁運動異常のパターンを念頭に観察するが、壁運動異常は診断が難しいため、所見を 過信して冠動脈疾患を否定することは避ける。巨大陰性 T 波を呈する心尖部肥大型心筋症では心尖部像で収縮期に特徴的な心外膜 側の膨隆所見を認める。3) 異常 Q 波:陳旧性心筋梗塞に伴う異常 Q 波は部位特異的な壁運動消失を伴う。低収縮では虚血性の異 常 Q 波を説明できない。異常 Q 波は肥大型心筋症でも認められる。4)心室期外収縮:器質的心疾患をスクリーニングする。若年 者の運動中突然死の主要な原因である不整脈原性右室心筋症は、心電図ε波の検出とともに心エコー右室計測を行い診断基準に照 らして判定することが突然死予防に役立つ。5)右室負荷所見:三尖弁逆流ドプラ、肺動脈血流ドプラ、心室中隔変位、右室拡大 と肥大から急性あるいは慢性右心負荷の有無、肺高血圧症の鑑別診断を行う。 158 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ES4-5 高齢者大動脈弁狭窄症の心エコー図診断について 村田 光繁 慶應義塾大学医学部臨床検査医学 大動脈弁狭窄症(AS)は弁膜症の中で最も多く全弁膜症の約 40% を占める。AS の成因としてはリウマチ熱、先天性弁異常および 加齢変性が知られているが、中でも加齢変性による AS が最も多く、欧米の統計では約 80% を占めると報告されている。本邦にお いても高齢化に伴い加齢変性による AS が爆発的に増加しており高齢者診療において念頭に置くべき疾患である。また AS は進行性 疾患であるが長期間無症状で経過するため、心臓以外の術前精査で偶然発見されることも多い。最近まで AS の治療は、外科手術以 外に有効な治療法はなく、合併症が多い高齢者ではしばしば手術不能とみなされていた。しかし、最近本邦において経カテーテル 的大動脈弁留置術が導入されたことを受け、従来手術が困難であった高齢者を治療可能となった。これを受け、AS の診断・重症度 を正確に評価する必要性が高まっている。現在、AS の診断・重症度評価は、心エコー図検査で行われている。項目として大動脈弁 の形態、弁間圧較差、弁口面積などを評価するが、特に高齢者では、弁の高度石灰化、左室機能低下や狭小左室(low flow low gradient AS)による低心拍出および大動脈基部狭小化などによる測定上のピットフォールが存在することが多く、計測項目の解釈 に注意を要する。本セッションでは、心エコー図による高齢者 AS の診断・評価について注意すべき点を概説する。 特別セッション Visual echo album(V) 4 月 18 日(金) 第 2 会場 16:10 - 17:20 心エコー美術館 座長:和田 靖明(山口大学医学部附属病院 検査部) 〈企画趣旨〉 「Echocardiography は art である!」 誰でも一度は聞いたことや感じたことがあると思います。画像診断であるからなのか?しかし、CT や MRI などが art と呼ばれることはない。 では、なぜ Echocardiography は art なのか? 「心エコー図は検者の技量や知識、経験に依存する。 」 古今東西必ず指摘される心エコー図の欠点にこそ答えがあると思います。この言葉の裏には「心エコー図には検者の想像力や表現力を込める ことが可能である。 」という魅力が秘められています。だから、Echocardiography は art なのです。 古の時代から手段や媒体は異なれど、人間は他人に伝えたい自分の思いや印象深い出来事をアルバムに綴ってきました。自分のアルバムを振 り返ることにより自身の歩んできた道程や目指すべき行先について思案することができ、他人のアルバムを鑑賞することで自身では未体験の知 識や経験を共有できるのです。 本セッションでは、臨床現場の最前線で御活躍されている 4 名の Echo artist を当美術館にお招きし、各々の Echo Album を展覧していた だきます。会場の皆様には、私と一緒に彼らにより描かれた心エコー図を鑑賞することで、彼らの豊富な知識と貴重な経験を共有し、彼らの Heart の中にある art に触れていただきたいと考えています。そして、明日からの皆様の心エコー図が今まで以上に光り輝く art となる一助に なればと願っています。 最新トピックスを含む興味深い企画や活気に満ち溢れる討論が毎回繰り広げられる…そんな日本心エコー図学会学術集会の中日の黄昏時に疲 れた心と体を心エコー美術館で癒してみませんか? 159 第25回日本心エコー図学会学術集会 JB-POT 講習会(JB) 4 月 19 日(土) 第 2 会場 13:40 - 16:10 経食道エコーをマスターする 座長:西野 雅巳(大阪労災病院 循環器科)・岡本 浩嗣(北里大学病院 麻酔科) ※聴講には参加費が必要です。講習点数が必要な場合は事前にお申し込みください。 〈企画趣旨〉 Japanese Borad of Perioperative Transesopahgeal Echocardiogaraphy (JB-BOT) の講習会です。経食道心エコー法 (TEE) の理解に必 須の解剖と計測の講演を北里大学の岡本浩嗣先生にしていただき、僧房弁および大動脈弁のお話を各々、杏林大学の山田達也先生と京都府立 医科大学の山野哲弘先生にしていただきます。僧房弁、大動脈弁の術前、術中、術後評価は TEE にて弁膜症を評価する麻酔科医、循環器内科 医には必須の習得すべき項目です。また今後増加するであろういわゆる Structural Heart Diseasee への TEE の応用として TAVI と TEE の 講演を葉山ハートセンターの小出康弘先生に、また Amplatzer と TEE の講演を慶応大学循環器内科の村田光繁先生にしていただく予定です。 TEE の術前から術後の評価まで系統的に勉強できるよい機会ですのでぜひ多くの皆様のご参加をお待ちしております。 特別セッション JB-1 Amplatzer と TEE 村田 光繁(慶應義塾大学循環器内科) JB-2 基本的な解剖と計測 岡本 浩嗣(北里大学麻酔科) JB-3 大動脈弁形成術を意識した AR の評価 山野 哲弘(京都府立医科大学) JB-4 僧帽弁形成術と術中 TEE 山田 達也(杏林大学麻酔科) JB-5 TAVI の麻酔と TEE 小出 康弘(葉山ハートセンター麻酔科) 参加費※ 1 ・講習点数(3 点)を必要とする場合 :3,000 円(会員・非会員を問わず)※ 2 ・講習点数(3 点)を必要としない場合 :1,000 円(会員・非会員を問わず)※ 3 ※1:参加費は当日会場前でお支払ください。 「JB-POT 講習会」のみに参加することは出来ません。別途、第 25 回学術集会の参加費が必要です。 ※2:講習点数(3 点)を必要とする場合は事前に登録する必要があります。お申し込み後、上記すべての講義に 参加された場合、講義終了後日本心臓血管麻酔学会にて、JB-POT 認定委員会認定の出席証明書を用意し、 当日お渡しします。 (ただし、途中入室、途中退室の場合はお渡しできません。) ※3:講習点数(3 点)を必要としない場合は、事前受付は行いません。当日会場前での受付となります。 事前申込締切 2014 年 3 月 31 日(月) 申込方法 学術集会ホームページより申込フォームをダウンロードいただき、必要事項をご記入のうえ、下記運営事務局まで FAX または E-mail にてお送りください。 E-mail の場合は、件名に【JB-POT 講習会参加申込】と明記のうえ < [email protected] > へお送りください。 受講決定通知 申込締切後に E-mail にて受講者番号をご案内いたします。 定員 500 名 ※参加人数に限りがございますので、予めご了承ください。 160 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ウェットラボ(WET) 4 月 19 日(土) ポスター会場 12:40 - 14:40 座長:渡辺 弘之(東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター) 〈企画趣旨〉 イメージングは肉眼では見ることのできない世界を私たちの目の前に再現してくれます。しかし、イメージングには常にフレームがあり、その 裏側や、その外側にも世界は広がっています。 例えば心臓でも、僧帽弁の隣には三尖弁があり、大動脈弁があります。私たちはそれぞれの構造と機能を心エコー図の画角の中で解釈しますが、 局所の構造と全体的な構造のつながりを想像することは時に困難です。 初心者からベテランになるためには、頭と体を使いながら、局所から全体を推定しうる能力を養う必要があります。ウェットラボはそのような 体験の機会を提供します。パターン認識に陥りがちな二次元断層図から離れ、立体的な構造として心臓をとらえ直すとき、真に迫る心エコー 図に必要な何かに気付くことができます。是非この機会を活かして自分のエコーを再構築してみませんか? 座 長:山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科/超音波センター) 小板橋俊美(北里大学医学部循環器内科学) 〈企画趣旨〉 学術集会が仲良し倶楽部になってはいけませんが,リラックスした雰囲気で心エコー図の知識を身につけたり,若い人たちに心エコー図の魅 力を感じてもらう楽しい企画があってもいいと思います.それがこのクイズコンテスト企画です.本学会でも 3 回目の開催となります. 昨年の形式を引き継ぎ,今年もチーム戦と個人戦で上位を表彰いたします.医師免許取得後 5 年以内の医師,あるいは心エコー図検査経験 5 年以内の技師の 3 人で1つのチームを作って参加してください.チームメンバーの医師,技師の組み合わせは自由ですし,同一施設に属して いる必要もありません.個人戦はどなたでも参加できますが,日本心エコー図学会の評議員または日本心エコー図学会認定専門技師など指導 的立場の方は,コメンテーターとして参加してください. チーム戦では経歴によるハンディキャップを加算して,チームの合計点により優勝,準優勝を表彰します.個人戦では,正解の多い順に 1 位 から上位 10 位を表彰いたします.また,会長特別賞として【子育て・介護支援 特別賞】を設け,子育てや介護をしながらお仕事をしている 方の中の高得点の方を表彰いたします. 学会ホームページで参加の事前申し込みを受け付けていますので,若い技師,研修医の先生を誘ってどしどし応募してください.石川県立音 楽堂コンサートホール,1階席だけで700席の大会場です!たくさんの方のご参加,ご来場をお待ちしています. 161 特別セッション 心エコーウルトラクイズ(Quiz) 4 月 18 日(金) 第 1 会場 18:30 - 19:50 第25回日本心エコー図学会学術集会 O1-1 高度大動脈弁狭窄症における左室ストレイン指標と症状との関連 鶴田 ひかる 1、香坂 俊 1、村田 光繁 2、団 真紀子 2、阿部 久美子 2、羽鳥 泰子 2、岡本 明美 2、 近藤 麻紀子 2、篠原 純子 2、服部 さくら 2、岩尾 舞 2、岡芹 朋子 2、安田 理紗子 1、徳田 華子 1、 林田 健太郎 1、福田 恵一 1 1 慶應義塾大学病院 循環器内科、2 慶應義塾大学病院 中央臨床検査室 【背景】大動脈弁狭窄症 (AS) の手術適応判断に際し、症状の有無は重要な要因であるが、症状に関与する心機能指標については明ら かではない。【目的】AS 例における症状発現と2D スペックルトラッキング法 (2DS) による左室機能指標との関連について明らか にすること。【方法】対象は当院で経胸壁心臓超音波検査を施行した、左室収縮能の保たれた高度 AS 症例 ( 左室駆出率≧ 50%、 indexed AVA ≦ 0.6cm2) 連続 90 例。中等度以上弁膜症合併例、心房細動例、心室ペーシング例、開心術既往例を除外した。GE 社 製心エコー装置 Vivid 7/E9 機を用い、一般的な心エコー図評価および AS 重症度評価に加え、2DS による左室長軸ストレイン (GLS)、 長軸ストレインレート ( 左室収縮期 : LVSRs, 拡張早期 : LVSRe, 心房収縮期 : LVSRa) について解析を行い、症状との関連性につい て検討した。【結果】有症状群 (63 例 ) と無症状群の 2 群において、AS 重症度指標に有意差を認めなかったが、stroke volume GLS、LVSRe は、有症状群で有意に低値であった。(46.4 ± 8.1ml/m2 vs 50.6 ± 9.1ml/m2, p < 0.05; -13.1 ± 2.7% vs -15.4 ± 2.8%, index、 p=0.001; 0.64 ± 0.21 vs -0.87 ± 0.30, p=0.001) 症状別では、失神例で GLS、LVSRs が有意に低値であったが、息切れ、心不全既往例 では GLS、LVSRe が有意に低値であった。多変量解析では、GLS (OR 1.34, p=0.004)、SV index (OR 0.93, p < 0.05)、LVSRe (OR -1.53, p=0.004) が AS の症状の独立規定因子であった。【結論】左室駆出率の保たれた高度 AS 例の 2DS 解析において、潜在性の収 縮能低下と左室拡張障害が症状に関連することが示された。 O1-2 大動脈弁置換術後の遠隔期再狭窄は予測できるか? 時政 聡、関根 泰、藤巻 晴香、葛 備、濱 義之、田中 秀造、外池 範正、芳生 旭志、松戸 裕治、 山本 雅史、氷見 寿治 君津中央病院 循環器科 一般口演 背景:大動脈弁疾患に対する機械弁による大動脈弁置換術は現代おいても標準的な治療である。術後の弁機能異常は臨床的にも大 きな問題となるが、遠隔期の弁機能と術直後の弁機能を比較した検討は少ない。方法:2001 年から 2012 年までに機械弁 (SJM 弁 ) による大動脈弁置換術を受けた 47 症例に ( 平均年齢 58 歳、男性 30 例 ) ついて、術直後と遠隔期 (1 年以上:平均追跡間 45 ヶ月 ) の 経胸壁心エコー図所見を比較検討した。結果:成書の正常値を基に、ドプラ心エコー図法での大動脈弁口通過速度が 3m/s 以上呈す る症例を弁機能異常群と定義したところ、8 例 (17%) が弁機能異常群に該当した。8 例の機械弁サイズは SJM19mm, 21mm, 23mm, 25mm が各 2 例であった。左室機能は弁機能異常群(術直後 : 57 ± 10% ; 遠隔期 : 64 ± 5%, p<0.05 )、正常群(術直後 : 49 ± 10% ; 遠隔期 : 58 ± 10%, p<0.05 ) で両群で上昇したが、弁口通過速度の変化には以下の差がでた。弁機能異常群は遠隔期に弁口通過速度 が上昇する傾向を認め、( 術直後 : 3.2 ± 0.5m/s ; 遠隔期 : 3.6 ± 0.4m/s, p=0.14)、正常群では弁口通過速度は減少した ( 術直後 : 2.5 ± 0.5m/s ; 遠隔期 : 2.3 ± 0.4m/s, p<0.05)。弁機能異常群と正常群の抗凝固療法のコントロール (PT-INR 値 ) の差はなかった。( 正常群 2.2 ± 0.2 ; 弁機能異常群 2.3 ± 0.2, p=n.s) 結論:SJM 弁による大動脈弁置換術後の患者では、術直後から弁口通過速度が高めの症例が 存在し、遠隔期にも同様に高めの傾向を示した。この傾向は良好な抗凝固療法下で認められた。 O1-3 低圧較差重症大動脈弁狭窄症 (low gradient aortic stenosis:LGAS) の大動脈弁置換術の予後に ついての検証 福本 梨沙 1、馬原 啓太郎 1、太田 光彦 1、吉敷 香菜子 2、斎藤 清美 3、福井 寿啓 4、高梨 秀一郎 4、 住吉 徹哉 1、友池 仁暢 1 1 榊原記念病院 循環器内科、2 榊原記念病院 小児循環器科、3 榊原記念病院 検査科、4 榊原記念病院 心臓血管外科 【背景】低圧較差重症大動脈弁狭窄症 (low gradient aortic stenosis:LGAS) の 大動脈弁置換術 (Aortic valve replacement:AVR) の予後について検討を行っ た.【方法】心臓超音波検査にて大動脈弁口面積 (Aortic valve area)AVA ≦ 1.0cm2 であった 1405 例について検討を行った。AVR を施行した 368 例を high gradient(HG),low gradient with normal EF(LGNEF), low gradient with reduced EF(LGREF) の 3 群に分け総死亡・心不全再入院・NYHA の改 善につき検証した.【結果】AVR 施行頻度は HG で 62%、LGNEF で 31%, LGREF で 33% であった.LGREF で総死亡率は高かったが,心不全再入院 に関して有意差はなかった.3 群ともに AVR 施行することで NYHA は改善 するが,LGREF において NYHA の改善度は小さく、特に虚血性心筋症を合 併している群において顕著であった.【結語】LGNEF の予後は良好であっ た .LGREF でも虚血を合併していなければ予後は悪くない可能性が示唆された. 162 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O1-4 大動脈弁狭窄症における大動脈弁通過血流の flow rate に対する影響因子 中島 朋宏 1、藤田 善恵 1、越智 香代子 1、小川 優司 1、山口 翔子 1、網谷 亜樹 1、矢戸 里美 1、 石川 嗣峰 1、工藤 朋子 1、大村 祐司 1、男澤 千啓 1、村上 弘則 2、佐々木 俊輔 2 1 手稲渓仁会病院 臨床検査部、2 手稲渓仁会病院 心臓血管センター 循環器内科 【背景】大動脈弁狭窄症(AS)では、弁を通過する血流の flow rate(Qmean)が低値の場合、大動脈弁口面積(AVA)を過小評価 する可能性がある。【目的】左室駆出率(EF)が正常の重症 AS 患者において、Qmean に対する影響因子を検討した。【方法】2011 年 12 月から 2013 年 6 月までに当院にて経胸壁心エコーを施行し、重症 AS(AVA 1.0cm2 未満)と診断された EF55%以上、かつ、 一 回 拍 出 係 数(SVI) が 35ml/m2 以 上 の 患 者 68 例( 平 均 年 齢 81 ± 8 歳、 平 均 AVA 0.74 ± 0.15cm2) を 対 象 と し た。Qmean 250ml/s 未満を low flow rate 群(L 群)、250ml/s 以上を normal flow rate 群(N 群)とし、Qmean に対する影響因子(AVA、大 動脈弁抵抗(RES)、体血管抵抗(SVR)、valvulo-arterial impedance(Zva))を検討した。【結果】L 群は 68 例中 48 例(75%)であっ た。L 群は N 群に比し、AVA が小さく、一回拍出量(SV)および SVI が低値であり、SVR、Zva がいずれも高値であった。 Qmean と各指標との比較では、RES と有意な相関は認めず、AVA とは弱い相関を認めた。 Zva(r =- 0.54、p < 0.0001)と SVR (r =- 0.55、p < 0.0001)では有意な負の相関を示した。【結論】low flow rate は 70%以上の症例で認められ、これらの症例の中に は、AVA を過小評価している症例が含まれる可能性が示唆された。Zva は SVR と RES の総和なので、Qmean の低下には SVR の 増加が影響していた。 O1-5 大動脈弁一尖弁による大動脈弁狭窄症の 1 例 榊原 智晶、大谷 速人、生駒 剛典、高木 友誠、谷 信彦、黒田 健輔、山田 文乃、若林 康 聖隷三方原病院 循環器科 O1-6 大動脈弁狭窄症患者の左室肥大における 3 次元経胸壁心エコー図法と心電図の比較検討 永田 泰史、竹内 正明、岩瀧 麻衣、林 篤志、大谷 恭子、福田 祥大、芳谷 英俊、尾辻 豊 産業医科大学 循環器内科・腎臓内科 【背景】実地臨床における大動脈弁狭窄症 (AS) のスクリーニングは聴診と心電図 (ECG) である。左室肥大 (LVH) を合併した AS は 予後不良であることが知られている。3 次元経胸壁心エコー図法 (3DTTE) は LVH の診断に優れた検査法である。【目的】3DTTE による LVH の診断を reference standard として、ECG による LVH 診断の正確性を評価すること。【対象と方法】対象は 3 ヶ月以 内に 3DTTE と ECG を施行しえた左室駆出率 50% 以上の重症 AS 75 例 ( 大動脈弁口面積 < 0.6cm2/m2 )。心外膜と心内膜を 3 次元 的にトレースし心筋重量係数 (LVMI) を計測。男性 108 g/m2 以上、女性 96 g/m2 以上を LVH ありと定義した。ECG では左室高電 【結果】3DTTE では、75 例中 33 例 (44%) 位 ( HV; SV1+RV5(6) > 3.5mV) の有無、ストレイン型 ST-T 変化 (SP) の有無を評価した。 に LVH を認めた。ECG では 42 例 (56%) に HV、19 例 (25%) に SP を認め、両者合併例は 14 例 (19%) であった。HV の存在は感度 85%、特異度 67%、陽性的中度 67%、陰性的中度 85% で 3DTTE による LVH の存在を診断し得た。一方 HV+SP の存在は、陽性 的中度 86% で LVH を診断し得た。【結語】聴診上 AS が疑われ、ECG で HV+SP を呈している場合は積極的に心エコー図検査が可 能な施設に紹介すべきであると考えられた 。 163 一般口演 症例は 58 歳男性、基礎疾患に糖尿病、高血圧、高脂血症を有する。数ヶ月間前からの労作時胸部圧迫感を主訴に近医から紹介となっ た。経胸壁心臓超音波にて左室壁肥厚と重症大動脈弁狭窄症の所見 (V max 4.1m/s、meanPG 33.2mmHg、AVA 0.95cm2) を認めた。 大動脈弁レベル短軸像では大動脈弁は RCC と LCC が癒合した二尖弁様に観察され、大動脈弁二尖弁による重症大動脈弁狭窄症と 考えられた。経食道心臓超音波でも同様に RCC と LCC は高度に癒合しており二尖弁として矛盾しない所見であった。断層レベル によっては LCC と NCC も一部癒合しているように見え一尖弁の可能性も疑われたが、この時点では診断には至らなかった。冠動 脈造影検査では左冠動脈前下行枝中間部、回旋枝中間部に高度狭窄を認めた。当院心臓血管外科にて大動脈弁置換術 (Mecahanical valve 20mm ATS AP360) 及び冠動脈バイパス術 (LITA-LAD、Ao-RA-PL) を施行された。術中所見では大動脈弁は著明な石灰化と 共に RCC-NCC 間のみ正常な交連形成であり、RCC-LCC 間は高度に癒合、LCC-NCC 間も交連部の形成不全と一部癒合を認めたこ とから、大動脈弁一尖弁と診断した。術後経過は良好で術後第 14 病日に独歩退院となった。 大動脈弁一尖弁は稀な先天性弁奇形であり、二尖弁と同様に血行力学的負荷の不均衡や弾性線維の不完全のため弁膜症を引き起こ し臨床的に問題となることが多い。今回我々は貴重な症例を経験し得たため、若干の文献的考察を加えて報告する。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O2-1 経カテーテル大動脈弁留置直後において大動脈弁周囲逆流を TEE 短軸像で重症度評価をするのは妥 当か 村上 結香 1、小出 康弘 2、小塚 靖子 1、田中 穣 3、齋藤 滋 3 1 湘南鎌倉総合病院 検査科、2 葉山ハートセンター 麻酔科、3 湘南鎌倉総合病院 循環器科 【背景】経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後の弁周囲逆流(PVR)は予後規定因子とされている。大動脈弁短軸像による逆流ジェッ ト%周囲径が汎用されているが、その重症度評価が TAVI の弁留置後の評価に適しているかを他の大動脈弁逆流評価法と比較して 検討した。【方法】当院における SAPIEN-XT 植込みを行った 11 例において、PVR 重症度を留置直後に経食道心エコー(TEE)を 用いて評価した。評価項目は、PVR%周囲径、下行大動脈の血流波形、肺動脈カテーテルと左室流出路のドプラ法から算出される 逆流量と逆流率を用いた。PVR%周囲径の重症度は、0= なし、1= 軽度、2= 中等度、3= 高度と定義し、Spearman の順位相関係数 を用いた。【結果】短軸像にて2ヶ所の PVR が3例、1 ヶ所が5例、0 ヶ所が3例で、2ヶ所あるものは加算した値を用いた。この PVR% 周囲径は、中央値 13.8%、範囲は 0-19.2%であった。これによる重症度評価は AR なしが3例、軽度1例、中等度7例、下行 大動脈血流波形の重症度評価は AR なしが4例、軽度3例、中等度4例であった。逆流量の範囲は -21 から 17 ml であり、逆流率の 範囲は -51 から 28 % であった。留置直後の PVR% 周囲径による重症度は平均で 1.33 であり、下行大動脈血流波形 0.78、逆流量や逆 流率 1.00 より大きかった。また、これらの評価法間には有意な相関は得られなかった (p=0.72, 逆流量 p=0.42 逆流率 p=0.40)。【考察】 術直後の PVR% 周囲径の評価は他の評価法より重症度が高い傾向にあった。TAVI 後の PVR% 周囲径は、弁輪と人工弁との間隔が 小さい可能性や二ヶ所の合算が適当であるかの問題があり、過大評価につながる可能性があることが示唆された。 O2-2 大動脈弁口面積の流量依存性が重症度評価に与える影響 渡邊 伸吾 1、上嶋 徳久 2、種村 正 1、佐々木 伸子 1、由井 恵美 1、片岡 容子 1、堤 由美子 1 1 公益財団法人 心臓血管研究所付属病院 臨床検査室、2 公益財団法人 心臓血管研究所付属病院 循環器内科 一般口演 目的:大動脈弁狭窄症(AS)の重症度評価の際、弁口面積(AVA)は流量 に依存するにも関わらず、単一閾値を用いている。low flow (LF) AS 例にお いて弁抵抗値 (RES) が重症度評価に有用であることが報告された。RES との 関係を調べ、AVA による重症度評価が流量にどれ位影響されるかを検討し た。方法:AS 連続 1386 例を対象とした ( 男性 692 例、年齢 75 ± 10 歳 )。 LF(SV/BSA < 35ml/m2,322 例 )、normal flow(NF,SV/BSA ≧ 35ml/m2,1064 例 ) 別 に AVA/BSA と RES の 関 係 を 求 め た。AVA/BSA で は < 0.6cm2/ m2、RES で は ≧ 150dyn*s*cm-5 を 重 度 AS と し た。 成 績:AVA/BSA と RES は反比例の関係にあった。LF 例は NF 例より下方に分布しており、 RES=150dyn*s*cm-5 に 対 応 す る AVA/BSA は、 回 帰 分 析 か ら LF 例 で 0.56cm2/m2、NF 例で 0.63cm2/m2 であった(図)。AVA/BSA から重度と 判定された患者 347 例の中で 44 例 (13%) が RES では重症でなかった。NF 例では RES で重症でなかったのは 254 例中 23 例 (9%) にとどまったが、LF 例ではその頻度が増加した (93 例中 21 例 (23%))。結論:現状の AVA/BSA の閾値では、LF 例の場合、重症度が過大評価されやすい。 O2-3 無症候の大動脈弁逆流とメタボリックシンドロームー経胸壁心エコー図法による大動脈根径計測値の 検討ー 山浦 泰子 1、島屋 真希 1、尾長谷 喜久子 2、林田 晃寛 2、大倉 宏之 2、吉田 清 2 1 兵庫県予防医学協会、2 川崎医科大学 循環器内科 【背景】前回の本学会にて、無症候の一般勤労者の大動脈弁逆流(AR)と metabolic syndrome(MetS)との関連につき報告した。【目的】無症候の一 般勤労者の AR と大動脈根径を評価し、MetS との関連を検討する。【方法】 MetS の評価をした無症候の一般勤労者で、カラードプラ法で AR を認めた 47 例(AR 群)と、AR 群と年齢・性を適合した AR のない群(非 AR 群) 116 例につき、上行大動脈(Ao)、sinotubular junction(STJ)、バルサルバ 洞(VS)、大動脈弁輪(An)径を計測した。【結果】AR 群では、非 AR 群 に比し STJ と VS が有意に大であった。AR 群 47 例中 43 例は MetS 診断基 準に適合し、残り4例は危険因子を2つ以上有していた。 非 AR 群では、 MetS 群は非 MetS 群に比し、STJ と VS が有意に大であった。STJ と VS は、 AR 群>非 AR で MetS 群>非 AR 非 MetS 群の順に大であった(Figure)。 【結 語】無症候の一般勤労者の AR 群では、STJ と VS の拡大が認められた。 MetS 群では、非 MetS 群に比し STJ と VS の拡大が見られた。無症候の一 般勤労者の AR の成因について、MetS における STJ、VS 拡大の関連が示 唆された。 164 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O2-4 治療に難渋した僧帽弁形成術後 SAM(systolic anterior motion of the mitral valve) の一例 伊波 秀 1、金田 宇行 1、荻野 幸伴 1、大谷 直由 1、西 悠 1、天野 裕久 1、有川 拓男 1、豊田 茂 1、 井上 晃男 1、川又 美咲 2、高瀬 直敏 2、今野 佐智代 2、高田 悦雄 2、魚住 翠子 3 1 獨協医科大学 心臓・血管内科、2 獨協医科大学病院 超音波センター、3 獨協医科大学病院 救命救急センター 症例は 63 歳男性。20xx 年 7 月僧帽弁逆流によるうっ血性心不全のため他院に入院。重症僧帽弁逆流に対する手術目的に当院心臓・ 血管外科に紹介となった。経食道心エコー図で僧帽弁後尖 (P3) の腱索断裂による重症僧帽弁逆流と診断した。9 月 26 日僧帽弁形成 術 ( 四角切除 ), 僧帽弁輪形成術 (Physio ring 30mm), 三尖弁輪形成術 (MC3 28mm), 左心耳閉鎖を行った。人工心肺離脱時 SAM を認 めたが僧帽弁逆流は軽度であり、補液、カテコラミン減量、薬物加療を行う方針とし閉胸した。10 月 9 日経胸壁心エコー図再検し たところ中等度僧帽弁逆流を認め、左室流出路最大圧較差は 68mmHg であった。その時点でビソプロロール 0.625mg を服用してい たため 5mg まで漸増し再検査した。しかし左室流出路最大圧較差は 50mmHg であったため 10 月 31 日再手術を行った。前回四角 切除した部位をさらに大きく四角切除し、28mm の Physio ring で弁輪形成を行うも、人工心肺離脱時に SAM を認めたため CG Future 32mm で再度弁輪形成を行った。依然として SAM を認めたが前回手術時より僧帽弁逆流は軽減していると判断し手術終了 した。11 月 21 日ビソプロロール 5mg 服用した状態で経胸壁心エコー図行ったところ、僧帽弁逆流は軽度、左室流出路最大圧較差 は 31mmHg に改善していたため退院となった。僧帽弁形成術後 SAM は Varghese らの報告によれば 4 ~ 10% 認められるとされて いるが再手術となった症例はまれと考えられたため文献的考察を加え症例報告する。 O2-5 僧帽弁逆流に対し外科的治療を行わなかった患者における術前経胸壁エコーの僧帽弁形態と術後経過 に対する検討 市川 良子 1、加藤 倫子 2、圓山 雅己 1、宮崎 彩記子 1、大門 雅夫 1、大村 寛敏 1、天野 篤 2、代田 浩之 1 1 順天堂大学 循環器内科、2 順天堂大学 心臓血管外科 O2-6 動脈硬化性僧帽弁狭窄症における心エコー図による重症度指標の妥当性に関する検討 遠藤 桂輔 1、丸尾 健 2、江口 幸佳 1、小室 拓也 1、横田 佳代子 1、栗原 明子 1、中村 貴美子 1、 江口 春樹 2、福 康志 2、筑地 日出文 1、門田 一繁 2、光藤 和明 2 1 倉敷中央病院 臨床検査科、2 同循環器内科 【背景】近年,高齢化に伴い動脈硬化性の僧帽弁狭窄症(MS)が増加傾向にある.心エコー図を用いた MS の重症度評価には幾つ かの指標があるが,いずれもリウマチ性 MS において検討したものであり動脈硬化性 MS における妥当性を検討した報告は少ない. そこで,何れの心エコー図指標が,リウマチ性および動脈硬化性 MS の重症度評価判定を行う際に妥当かを比較検討することとした. 【方法】Mild 以上のリウマチ性 MS 患者 19 例,動脈硬化性 MS 患者 19 例を対象とし,重症度の基準は心エコー・ドプラ法による連 続の式から求めた僧帽弁口面積 (MVAequ) を用いた.その他の重症度指標として MVA を planimetry 法(MVApla),PHT 法 (MVAPHT) で算出し,僧帽弁流入波形から左室 - 左房間平均圧較差(TMFmean PG)を計測し妥当性を検討した.【結果】リウマチ性 MS 群におい て,MVAequ と MVApla(R=0.93,p < 0.01),MVAPHT(R=0.90,p < 0.01) は良好な正相関を示し,TMF mean PG(R=0.72,p < 0.01) とは 中 等 度 の 負 相 関 を 示 し た. 一 方, 動 脈 硬 化 性 MS 群 で は MVAequ と MVApla(R=0.91,p < 0.01) は 良 好 な 正 相 関 を 示 し た が, MVAPHT(R=0.23,p=NS),TMFmean PG(R=0.45,p=NS) とは有意な相関を示さなかった.【結語】リウマチ性 MS と比較し,動脈硬化 性 MS においては,MVAPHT および TMFmean PG は MS の重症度を反映しなかった.動脈硬化性 MS において,両手法による重症度 評価は妥当性に乏しいと考えられた. 165 一般口演 【背景】開心術の際、中等度以上の僧帽弁逆流症 (MR) を認めるが手術により左室拡大の改善や乳頭筋への血流改善が見込まれるこ ともあり、僧帽弁への外科的介入に関する明確な指標は少ない。当院では冠動脈バイパス術や大動脈弁置換術に加え術前及び術中 エコーを指標に僧帽弁形成術・置換術を施行しているが、手術後の MR 改善を期待しハイリスク症例には僧帽弁への手技を行わな い場合もある。術前心エコーでの僧帽弁の解剖学的な所見が、術後 MR へどのように影響するかを検討した。【方法】当院における 1857 例の開胸心臓手術 (2009 年 1 月~ 2013 年 10 月 ) のうち、中等度以上の MR を認めた症例は 352 例、その内 335 例では僧帽弁に 対する外科治療を施行し 17 例は施行しなかった。この 17 例を対象に弁輪径を MA とし、tenting height を Da、大動脈弁接合部か ら Da までの距離を Dp とした。また乳頭筋レベル短軸像で得られる前後乳頭筋間の距離を PM とし計測し、心エコー図指標を比較 検討した。【結果】解析が可能であった 12 例中、術後に MR が減少した症例は 8 例であった。改善群と非改善群での術前エコー所 見では左室拡張末期径は 54 ± 8 vs 61 ± 4 mm(p=0.086), MA size 38.2 ± 3.0 vs 40.9 ± 3.0 mm, PM distance 33.8 ± 5.0 vs 45.3 ± 5.4 mm(p=0.013), Da 15.2 ± 3.3 vs 14.3 ± 2.2 mm, Dp 20.3 ± 5.0 vs 22.6 ± 1.6 mm(p=0.09) で、左房容量は 71 ± 34 vs 81 ± 10 ml であっ た。 【結語】術後 MR 残存に関して心尖部方向の tethering が関与していると報告があるが、今回は Da に関して両群での差は認め なかった。症例数も少ないが、大動脈弁狭窄症による大動脈弁置換術後では 3 症例とも MR の著明な減少を認めており疾患に応じ たさらなる検討が必要である。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O3-1 維持血液透析患者における心弁膜病変:多施設共同前向き観察研究 土肥 薫 1、松尾 浩司 1、村田 智博 1、石川 英二 1、岡本 隆二 1、町田 博文 2、千賀 通晴 3、 田之上 明子 4、大杉 和生 5、角田 健太郎 6、谷川 高士 1、小藪 助成 5、市川 毅彦 3、青木 俊和 7、 武内 秀之 2、水谷 安秀 6、竹内 敏明 7、井阪 直樹 4、中村 真潮 1、伊藤 正明 1 1 三重大学 大学院 循環器・腎臓内科学、2 武内病院、3 桑名東医療センター、4 村瀬病院、5 尾鷲総合病院、6 四日市社会保険病院、 遠山病院 7 【目的】三重県下 6 施設で、維持血液透析患者における心弁膜病変、特に大動脈弁狭窄症の頻度や重症度を、心臓超音波検査を用い てで評価する。【対象】20 歳以上の維持血液透析患者 161 例。ただし透析歴 1 年未満、同意が得られない症例、心疾患以外の疾病に より余命が1年以内と考えられる症例、その他担当医が医学的に不適当と判断した症例を除外した。【方法】全例で心臓超音波検査 を透析終了直後に施行した。大動脈弁石灰化、連続の式による大動脈弁口面積、左室心筋重量、modified Simpson 法による左室駆 出率を測定した。大動脈弁狭窄症は、2.0-1.5cm2 を軽度、1.5-1.0cm2 を中等度、1.0cm2 未満を重度に分類した。【結果】男性 54%、年 齢 67 ± 12 歳で、腎不全の原因疾患は、糖尿病性腎症 43%、慢性糸球体腎炎 31%、腎硬化症 11%、その他 15%であった。平均透 析期間は 8 年で、全患者が週 3 回の透析を受けていた。平均脈拍数は 75 ± 13bpm、左室心筋重量係数は平均 93 ± 33g/m2、左室駆 出率は平均 62 ± 12%、1 回拍出量は平均 55 ± 18ml であった。大動脈弁石灰化は 86% の患者に認められた。大動脈弁口面積の全患 者での平均は 2.0 ± 0.8 cm2 で、大動脈弁狭窄症を有する患者は 50%であり、内訳は軽度 22%、中等度 16%、重度 9%であった。重 度大動脈弁狭窄症の平均左室 ‐ 大動脈圧較差は 11.3mmHg と非常に低く、低流量 - 低圧較差大動脈弁狭窄症を呈する患者が多くを 占めた。【結論】維持透析患者では、高頻度に大動脈弁石灰化が認められ、約半数に大動脈弁狭窄症が認められたが、低流量 - 低圧 較差大動脈弁狭窄症を呈する患者が多くを占めた。 O3-2 VSD1 型の術後における自然歴並びに大動脈弁逆流症の進行に関する予測因子 天野 雅史 1、泉 知里 1、三宅 誠 1、松谷 勇人 2、橋和田 須美代 2、高橋 佑典 1、中川 義久 1 1 天理よろづ相談所病院 循環器内科、2 天理よろづ相談所病院 臨床病理部 一般口演 【背景】VSD1 型は、大動脈弁逸脱による大動脈弁逆流症 (AR) を伴うことが多く、自然閉鎖が少ないため早期に手術を施行すること が推奨されている。しかし、術後に AR が進行し大動脈弁形成術 (AVP) または大動脈弁置換術 (AVR) を施行する症例も認められ、 AR 進行の予測因子に関する報告はほとんどない。【対象】1972 年以降、当院で VSD1 型に対して閉鎖術を施行し、その後経胸壁心 エコー図検査でフォローアップ可能であった 122 例を抽出し、術後 3 年以上フォローアップが可能であった 99 例を対象とし後方視 的に調査した。AVP・AVR の有無、AR の重症度変化に関して調べた。【結果】VSD 閉鎖術後の平均フォローアップ期間は 13.3 ± 6.6 年で、閉鎖術と同時に AVP または AVR を施行した症例は 9 例 (group A) で、閉鎖術のみ施行した症例が 90 例 (group B) であった。 術後のフォローアップ期間内に、中等度以上の AR が出現した症例は、Group A で 6 例 (66.7%)、Group B で 7 例 (7.8%) であった。 Group B を AR 進行群 7 例 (group P) と非進行群 83 例 (group N) に分けて比較すると、group P では術後 7 例中 3 例 (42.9%) で VSD leak を認めており、group N では 83 例中 2 例 (2.4%) に認めるのみであった (p < 0.05)。また、Group P で見られる AR の特徴として、 全例で右冠尖の弁尖または弁輪部の輝度上昇・短縮・変形のいずれかを認め、1 例を除いて僧帽弁前尖に向かう偏在性の逆流ジェッ トを認めた。【結語】VSD1 型患者において、閉鎖術と同時に AVP または AVR を施行した症例の AR の悪化割合は高い。一方で、 閉鎖術のみを施行した症例では、術後に AR が進行する可能性は低いが、術後 VSD リークが続いている症例では AR が悪化する可 能性があり、注意深い経過観察が必要である。 O3-3 Complete ring を使用した僧帽弁形成術後の機能的狭窄に関する運動負荷心エコー図を用いた検討 大塚 明子 1、山野 哲弘 1、岡部 裕美 1、木越 紗和子 1、加藤 ゆず子 1、坂井 貴光 1、中西 直彦 2、 山野 倫代 2、中村 猛 2、白石 裕一 2、土井 潔 3、松室 明義 2、白山 武司 2、夜久 均 3 1 京都府立医科大学附属病院 臨床検査部、2 京都府立医科大学附属病院 循環器内科、3 京都府立医科大学附属病院 心臓血管外科 【背景】変性性僧帽弁逆流(MR)に対する弁形成術(MVP)の有用性は確立し,近年ではガイドラインにおける Class 1 の適応を 有しない例に対して早期の MVP,Early surgery が推奨される.しかし,しばしば認める機能的狭窄についての検討は少ない. 【目的】 MVP 例の運動時僧帽弁圧較差を検討すること.【方法】対象は 2012 年 9 月~ 2013 年 12 月に実施した 23 例の MVP 後初回運動負荷 エ コ ー で,Flexible band を 使 用 し た 2 例, 十 分 な 負 荷 不 能 だ っ た 1 例 を 除 く 20 例(49 ± 12 歳, 全 例 Physioring も し く は Physioring 2 使用).運動負荷エコーは仰臥位エルゴメータ(Lode)を用いて実施し,僧帽弁平均圧較差(MG)は連続波ドプラに て計測した.コントロールとして健常ボランティア 8 例(24-28 歳)から得られたデータを使用した.【結果】全例で安静時 MR は mild 以下で,運動時にも明らかな増悪は認めなかった.安静時に中央値 3.8 (IQR: 3.1-5.9 )mmHg だった MG は最大負荷時(心拍数 127 ± 14/ 分)には 13.4 (8.7-17.7) mmHg まで上昇し,これはコントロール(7.4 (5.3-8.5) mmHg)よりも有意に高値(p < 0.005)で, MG > 15 mmHg を呈する例も 7 例(35%)あった.20 例の中で 4 例は Early surgery(術前に心不全症状なく,左室収縮末期径< 40 mm かつ駆出率> 60%)が実施された症例だった.これらの症例の 3 例までは最大負荷時 MG > 10 mmHg とコントロールより も明らかに高値と考えられた.【結論】標準的な Complete ring を使用した MVP では運動時の僧帽弁圧較差は高値となり,術後に 残存もしくは新たに出現する兆候と関連する可能性がある.特に術前に心不全症状を有しない Early surgery の適応を検討する場合 には考慮すべき問題であると考えられる. 166 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O3-4 慢性心房細動を伴った心不全患者において二次性僧帽弁逆流は独立した予後規定因子である 伊東 風童 1、阿部 幸雄 2、田中 千春 2、古川 敦子 2、矢野 健太郎 1、外村 大輔 1、竹原 康介 1、 喜納 直人 1、古林 圭一 1、嶋田 芳久 1、黒飛 俊哉 1、土田 隆雄 1、福本 仁志 1、葭山 稔 3、吉川 純一 4、 成子 隆彦 2、柴田 利彦 5 1 春秋会 城山病院 心臓血管センター、2 大阪市立総合医療センター 循環器内科、3 大阪市立大学 循環器病態内科学、 西宮渡辺循環器センター 循環器内科、5 大阪市立総合医療センター 心臓血管外科 4 【目的】二次性僧帽弁逆流(MR)を合併した慢性心房細動(AF)の心不全 入院患者の予後規定因子を調べること. 【方法】当院に入院した慢性 AF の 心不全患者連続 118 名のうち,虚血性心疾患・器質性弁膜症がなく,入院時 に中等度以上の MR を合併していた 41 名について患者背景や心エコー図検 査指標とその予後を追跡した.一次評価項目は,退院後の死亡または心不全 による再入院とした.【結果】41 名中 14 名にイベントが生じていた.単変 量解析では,入院時の NYHA 機能分類 (p=0.04),退院時の E 波 (p=0.002), 退院時の MR の重症度 (p=0.01) がイベントと関係した.多変量解析を行うと 退 院 時 に お け る MR の 重 症 度 の み が 独 立 し た 予 後 規 定 因 子 で あ っ た (p=0.0006).【結論】MR を合併した慢性 AF の心不全入院患者において退院 時にも中等度以上の MR が残存する患者は予後が悪い.これらの患者には, より積極的に介入治療を検討する必要性が示唆された. O3-5 運動誘発性肺高血圧は無症候性僧帽弁逆流患者の症状出現予測因子である:運動負荷心エコーの有用性 上嶋 亮、鈴木 健吾、出雲 昌樹、水越 慶、高井 学、黄 世捷、林 明生、原田 智雄、大滝 英二、 明石 嘉浩 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 O3-6 一般口演 【背景】無症候性高度僧帽弁逆流(MR)患者における手術適応に関しては一 定の見解が定まっていない。我々は無症候性高度 MR 患者の症状出現予測因 子を検討することを目的とした。【方法】NYHA class1 と診断し、運動負荷 心エコー図を施行した無症候性高度 MR 患者連続 49 例を対象とした。全例 に安静時心エコー図及び運動負荷心エコー図を施行した。【結果】対象は 81.6% が男性、年齢は 58.9 ± 13.1 歳であった。MR の成因は僧帽弁逸脱が 95.9%、硬化性変化が 4.1%であった。追跡期間中 ( 平均 24.3 ± 7.2 ヶ月 )10 例に症状が発現した。有症候化群と無症候群間に安静時ならびに運動時左室 径、EF、MR 重症度に有意差は認めなかった。一方で三尖弁逆流圧較差 (TRPG) は安静時に有意差はなかったが、運動時は有症候化群で有意に高かった。 ROC 解析の結果、運動時 TRPG:43.8mmHg で有症候化群を予測でき ( 感度 75%、特異度 73%、AUC:0.77)、各種パラメーターの中で運動時 TRPG の みが無症候性 MR の有症候化予測に有用であった。【結論】運動負荷心エコー 図は無症候性高度 MR 患者の症状発現予測に有用であることが示唆された。 ペースメーカー植込み後三尖弁逆流症の頻度と発生時期についての検討 加藤 大志 1、習田 龍 1、主代 悠 1、増山 潔 1、依藤 弘紀 1、井手本 明子 1、石山 絢野 1、大西 裕之 1、 坂谷 彰哉 1、田中 彰博 1、森 直己 1、吉村 貴裕 1、中村 大輔 1、谷池 正行 1、牧野 信彦 1、江神 康之 1、 西野 雅已 1、田内 潤 1、森田 久樹 2、正木 友二 3 1 大阪労災病院 循環器内科、2 大阪労災病院 救急部、3 大阪労災病院 超音波検査室 【背景】植込み型ペースメーカーの普及とともに三尖弁閉鎖不全症 (TR) の発生、進行とその予後不良が指摘され始めたが、TR がど のような転機をたどるのか、その発症時期についての報告は少なく、まだ明らかになっていない。【目的】PM 植え込み後の TR 発 症時期について心エコーを用いて検討すること。【方法】当院でペースメーカー外来通院中の 554 人を対象とした。その中でも手術 適応の可能性のある中等度~高度の TR を有する症例について、植え込みからどの程度経過してから発生したのかを retrospective に検討した。TR 症例につき他の心疾患による TR を除外するため、経過中に中等度~高度の大動脈弁 / 僧帽弁の弁膜症を有する患者、 高度に左室駆出率 (LVEF) が低下 (LVEF < 35%) している患者を除外した。また、三尖弁形成術 / 置換術を受けている患者も除外対 象とした。【結果】554 人中 49 人 (8.8%) が中等度~高度 TR を有しており、除外対象に該当しない患者は 8 人 (1.5%) であった。1 人 は植え込み後 1 年以内の発症、2 人は 3 年以内の発症、残りの 5 人は 8 年以上経過した後に発症していた。最長で植込み後 18 年の 後に中等度以上の TR を認めた。【結語】ペースメーカー植込み後の TR 増悪は多様な経時的変化を示した。10 年以上経過していて も TR は増悪する可能性があり、PM 植え込み後は無症状であっても定期的な心エコー検査をする必要性が示唆された。 167 第25回日本心エコー図学会学術集会 O4-1 僧帽弁輪・左房壁に限局した感染性心内膜炎の一例 吉村 雄樹 1、渡邉 望 1、田中 美与 1、増山 浩幸 1、戸井田 玲子 3、福田 智子 3、金城 玉洋 2、福永 隆司 1 1 県立宮崎病院 循環器内科、2 県立宮崎病院 心臓血管外科、3 宮崎大学 第一内科 症例は 26 歳男性。以前に僧帽弁逸脱の診断を受けていたが、その後定期受診していなかった。2013 年に不明熱のため前医に入院精 査中、血液培養で Staphylococcus aureus 検出、経食道心エコー図で左房内に疣腫を認め感染性心内膜炎と診断された。抗菌薬点滴 開始され、外科治療を含めた治療のため当院に転院となった。経胸壁心エコー図にて僧帽弁前尖 A3 逸脱とそれに伴う中等度逆流を 認めた。逸脱弁尖には明らかな疣腫を確認できなかったが、偏位した逆流ジェットが吹き付ける弁輪寄りの左房壁に付着する 1.6 × 1.4cm 大の mobile な疣腫を認めた。経食道心エコー図では、僧帽弁 A3 を中心に前尖全体が逸脱しており、postero-medial 側の左房 壁に添う形で幅 2.5cm の広基性疣腫が付着しており、左房内に 1.3cm の大きさで突出していた。断層エコー、3D エコーで詳細に観 察したが、逸脱している僧帽弁の弁葉には疣腫の所見認めず、弁葉には感染が及ばずジェットの当たる左房壁に限局した感染であ ると診断した。疣腫は可動性であり、塞栓のリスクがあると判断し心臓血管外科で緊急手術施行した。術中所見では僧帽弁 A3 を中 心に前尖が逸脱しており後交連側弁輪部から左房にかけて疣腫を認めた。弁輪部膿瘍は認めなかった。術前診断のとおり僧帽弁葉 自体に疣腫は確認されなかった。疣腫摘除術と同時に僧帽弁形成術を施行され、術後経過は良好である。僧帽弁逸脱に伴う感染性 心内膜炎であったが、感染巣がジェット方向の左房壁に限局し弁葉は感染から免れていた稀な症例であると考え報告する。 O4-2 メシチリン感受性ブドウ球菌(MSSA)による感染性心内膜炎のため僧帽弁置換術施行後に巨大弁 輪周囲膿瘍を形成した一例 橋本 賢一 1、笠巻 祐二 1、矢内 充 1、相澤 芳裕 1、太田 昌克 2、高山 忠輝 2、廣 高史 2、渡辺 一郎 2、 平山 篤志 2、飯田 充 3、畑 博明 3、塩野 元美 3、相馬 正義 1 1 日本大学医学部内科学系 総合内科学分野、2 日本大学医学部内科学系 循環器内科学分野、 日本大学医学部外科学系 心臓血管・呼吸器・総合外科学分野 3 一般口演 症例は 26 才女性。英国在住中に気力低下と倦怠感のため平成 25 年 3 月 25 日に某病院受診。受診時、発熱、頚部硬直、意識障害を認め髄膜炎が疑われ たため入院。UCG にて僧帽弁後尖の疣贅を認め、血液培養で MSSA を認めた。 頭部 MRI にて多発脳梗塞所見を認め、敗血症性梗塞を伴う感染性心内膜炎 (IE) と診断し第7病日に生体弁による僧帽弁置換術 (MVR) を施行。術後化 学療法を 6 週間施行し血液培養は陰性化。帰国後当院を紹介受診し経過良好 であったが、6 月 25 日より微熱と胸背部痛を自覚し来院。UCG で左房後壁側、 房室間溝付近に 41 × 52mm の一部高輝度塊状エコーを伴う内部不均一な嚢 胞腔を認めた。その後嚢胞腔の増大傾向を認め IE の感染源の再燃および、 前回の手術時に左室破裂を来たし修復した組織の菲薄化による切迫破裂を疑 い、6 月 30 日緊急で MVR(ATS 弁 ) +左室修復術を施行。手術所見では嚢 胞内はクリーム状液体と、感染を示唆する黄色の壊死組織であった。UCG にて膿瘍増大を確認し、緊急外科手術にて救命し得た一例を経験したため報 告する。 O4-3 左室心内膜に多発性の可動性構造物を認めた感染性心内膜炎の一症例 東田 智江、平田 久美子、塩野 泰紹、嶋村 邦宏、猪野 靖、折居 誠、谷本 貴志、山野 貴司、 山口 智由、久保 隆史、今西 敏雄、赤阪 隆史 和歌山県立医科大学 循環器内科 66 歳女性。庭仕事で顔面を受傷した後、38 度の発熱が 5 日間持続し、意識障害が出現したため救急外来を受診し、頭部 MRI で多 発性の脳塞栓が認められたため、心原生塞栓の検索目的に循環器内科を紹介受診となった。意識は傾眠傾向で、血圧 98/53mmHg、 脈拍 86 回 / 分、体温 38.5 度と発熱が認められた。眼瞼結膜点状出血と、心音で汎収縮期雑音を認めた。また、Janeway 結節が認め られた。血液検査では、炎症反応は高値を呈し、経胸壁心エコーで、僧帽弁後尖の逸脱に伴う中等度の僧帽弁逆流と左室内膜面に 多発するポリープ状の可動性構造物を認めた。引き続いて行われた経食道心エコーでは、僧帽弁光線の逸脱と同部位に付着する 15mm のひも状の構造物を認めた。血液培養から MSSA が検出され、感染性心内膜炎の診断で抗菌薬を開始したところ、炎症所見 の改善に伴い、左室内膜面の多発するポリープ状構造物は消退したが、僧帽弁の疣腫の大きさは変わらなかった。脳塞栓発症 4 週 間後、疣腫切除と僧帽弁形成術を行った。手術所見では、ピンク色であるはずの左室内膜面は灰白色で高度の浮腫状であり、僧帽 弁後尖の逸脱と逸脱した弁尖に疣腫の付着を認めた。病理所見では、僧帽弁には疣腫の所見を認めたが、左室内膜面には炎症細胞 の浸潤を認めるものの明らかな疣腫の所見は認めなかった。抗菌薬投与により、炎症性 cytokine が減少した結果、炎症細胞の心内 膜炎への侵潤が抑制され、浮腫様変化が改善したのではないかと推察された。僧帽弁の心内膜炎において、左室内膜面に多発性の ポリープ状構造物を形成した症例を経験した。 168 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O4-4 弁周囲膿瘍を合併した、大動脈二尖弁の感染性心内膜炎の1例 柳川 輝子 1、加藤 隆一 2、伊藤 順子 2、伊藤 幸子 1、品田 祐希 1、橘 まりか 1、中尾 知江美 1、 後藤 信之 1、渡司 博幸 2、増村 麻由美 2、野里 寿史 2、佐藤 康弘 2 1 独立行政法人国立病院機構 災害医療センター 臨床検査科、2 独立行政法人国立病院機構 災害医療センター 循環器科 症例は25歳男性。主訴は発熱。幼少時より心室中隔欠損症(VSD)を指摘され、近医にてフォローされていたが、20歳以降 受診をしていなかった。2013年8月中旬から 38 度台の発熱を繰り返し、近医受診したが、原因は同定できず経口抗生剤は無効 であった。このため膠原病内科紹介となったが、異常を認めず、当科紹介受診となった。発症より約1.5ヶ月で初めて経胸壁心臓 超音波検査を施行した。元々指摘されていると考えられたVSDを認めた。また、大動脈弁閉鎖不全症を伴う大動脈二尖弁の所見 を認め、弁腹の疣贅及び VSD による欠損孔の対側に弁周囲膿瘍の合併を認めた。経食道超音波検査でも同様の所見を認め、発症後 約2ヶ月で外科的治療を施行した。二尖弁に伴う、感染性心内膜炎では弁周囲膿瘍を合併する頻度も高く、これを合併すると初発 の感染性心内膜炎でも外科的治療を必要とすることが多い。このため二尖弁の早期発見が重要となる。本症例ではVSDのため定 期フォローされていたが、二尖弁を確認していなかったことから、感染性心内膜炎が重篤化した可能性が高いと考えられた。教訓 的な症例と考えられ、文献的考察を加えて報告する。 O4-5 血液培養陰性であった人工弁感染性心内膜炎の 1 例 須磨谷 いづみ 1、鍵山 暢之 2、齋藤 千恵 1、御子神 優子 1、蒔苗 雅紀 1、金綱 英夫 1、添田 雅生 3、 橋本 裕二 3 1 亀田総合病院 臨床検査部、2 川崎医科大学 循環器内科、3 亀田総合病院 循環器内科 O5-1 多発性肺膿瘍を合併したペースメーカー感染の1症例 小野 和重 1、関根 泰 2、井上 陽子 1、村田 尚行 1、國金 正宏 1、時政 聡 2、藤巻 晴香 2、葛 備 2、 濱 義之 2、田中 秀造 2、外池 範正 2、芳生 旭志 2、松戸 裕治 2、山本 雅史 2、氷見 寿治 2 1 君津中央病院 生理検査部、2 君津中央病院 循環器科 症例は64歳男性。拡張型心筋症(LVEF 45%、重度の MR)で循環器科 に通院。完全房室ブロックのため CRT―D 植込み術を施行。植え込み8ヶ 月後、食欲不振、全身倦怠感のため救急外来を受診し、肺炎の診断で入院。 痰と血液培養から MRSA が検出され、CT 検査にて肺多発結節影(肺膿瘍) を認めた。翌日行った経胸壁心エコー図検査では CRT - D 右室内ショック リード、三尖弁中隔尖に疣贅を認めた。ショックリードにはオーロラ状にた なびく巨大な帯状の疣贅が付着していた。入院時から Tethering による重度 の MR を認めていたが、僧帽弁に感染の兆候はなく、バイタルが安定してい たため、抗生剤療法を継続、診断から43日後に外科的にペースメーカーリー ド抜去、心筋電極植込み、僧帽弁置換術を施行した。術中所見では心室リー ドに多量の疣贅を認め、CS リード、三尖弁中隔尖と乳頭筋にも疣贅を認めた。 僧帽弁には疣贅を認めなかった。術後25日で独歩退院した。重篤なペース メーカーリード感染を合併したが救命し得た貴重な症例と考えられ、症例を 報告する。 169 一般口演 症例は 61 歳男性。31 歳時に大動脈弁閉鎖不全症 (AR) に対して大動脈弁置換術 (AVR) を施行されており、生活歴として猫、犬を飼っ ていた。1 ヶ月間繰り返す発熱、浮腫、呼吸困難を主訴に当院へ入院し、入院時に行われた検査では血液培養は陰性であり、心エコー 図では明らかな疣贅や人工弁不全を認めなかった。しかし、入院後も繰り返し心エコー検査を行ったところ、入院 30 日目の心エコー 図にてそれまで軽症であった AR が重症となり、入院 38 日目の心エコー図では人工弁に疣贅を認めた。その間も血液培養は合計 7 回 14 セットの採取にもかかわらず陰性であったが、Bartonella henselae( バルトネラ ) に対する IgG 抗体、IgM 抗体が陽性となり、 同菌による感染性心内膜炎を強く疑った。抗生剤を用いて治療したが、治療抵抗性であったため入院 55 日目に AVR を行った。術 中所見では人工弁に付着した疣贅と弁輪周囲への感染の波及を認めた。同部の組織から PCR 法にてバルトネラ DNA が陽性となり、 同菌による感染性心内膜炎と確定診断した。Duke 診断基準において、本症例は初診時に大基準のいずれも満たさなかったが、繰り 返し行った心エコー検査にて弁の変化および疣贅をとらえ、診断に結びつけることができた。今回起因菌となったバルトネラは血 液培養で検出することが困難である。他にもブルセラ感染症など血液培養陰性となる原因微生物が知られている。不明熱の原因検 索として、感染性心内膜炎の疑いが完全に否定できないときはこれらの微生物の存在も念頭におき、問診、血液検査を行うことと、 繰り返し心エコー検査を行うことが重要である。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O5-2 肥大型心筋症に感染性心内膜炎を合併した一例 高橋 のり、田中 信大、武井 康悦、黒羽根 彩子、今井 靖子、山科 章 東京医科大学 循環器内科 【症例】73 歳男性【現病歴】肥大型心筋症(心室中部閉塞性)の経過中、2006 年失神認め、ICD植え込み術施行となった。2012 年心房粗動出現しアブレーション治療施行。経過順調であったが、2013 年 12 月食欲不振、熱発、全身倦怠感認めたため受診。血液 検査上著明な炎症反応上昇(WBC 18500/ul 、CRP16.6mg/dl)認め加療目的にて入院となった。【経過】入院時胸部レントゲンにて 肺炎像認めたため、肺炎として治療開始。徐々に自覚症状、採血 data も改善傾向にあったが、後日血液培養より GNR(HACEK) が 検出された。感染性心内膜炎の関与も考慮し、心エコー図検査を再施行したところ、心室中部乳頭筋に付着した可動性のある 17mm 大の疣腫を認めた。この疣腫は入院時の心エコー図検査でも記録されていた。大きな疣腫のため塞栓症のリスクを考慮し翌日緊急 手術となった。【考察】再度以前(2013 年 1 月)のエコー図所見を確認したところ、同部にヒモ状エコーの所見を認めており、感染 の素地となった可能性が考えられた。稀な場所に認めた疣腫であったが、心エコー図検査において検査目的箇所以外にも広く目を 向けなくてはいけないといった教訓となった症例であった。 O5-3 右心系感染性心内膜炎疑い例に対する心腔内エコーを施行した2症例 伊藤 敦彦 1、原田 修 2、田部井 史子 1、澤田 直子 1、杉下 靖之 1、吉玉 隆 1、野崎 彰 1、杉本 恒明 1、 羽田 勝征 3 1 関東中央病院 循環器内科、2 関東中央病院 検査科、3 榊原記念クリニック 一般口演 不明熱にて入院し、右心系感染性心内膜炎が疑われ、心腔内エコー(ICE):ACUNAVTM が診断に有用であった 2 症例を経験した ので報告する.症例1:83 歳女性.僧房弁閉鎖形成術、三尖弁輪縫縮術後.歯肉炎治療後、38℃の発熱、食欲不振、全身倦怠感出 現し、消炎鎮痛剤、抗生剤内服にても解熱せず、症状増悪のため、救急外来受診し、入院となった.経胸壁心エコーでは、各弁の 逆流は Mild であったが、三尖弁に疣贅らしい所見を認めた.心腔内エコーでは疣贅所見はなく正常であった.本例は感染巣不明の まま抗生剤にて改善した.心尖部からの経胸壁心エコーにおいて三尖弁の疣贅が疑われたが、心腔内エコーでは、アーチファクト と考えられた。症例2:83 歳男性.発熱、下痢にて入院.感染巣は不明であったが、血液培養では MSSA を認めた.経胸壁心エコー では、疣贅所見ははっきりしなかった。経食道心エコーでリードに付着する疣贅と思われる所見を認めたが、心腔内エコーではさ らにはっきりとした疣贅塊像を認めた.心腔内エコー観察のもとリード抜去した.しかし、抜去したリードには疣贅はなく、三尖 弁に巨大な疣贅が明らかになった.疣贅にリードの抜け後と考えられる欠損像も確認された.また、心房リード先端にも疣贅を認 めた.リード抜去後の心膜液増加がないことも確認できた。結語:目的部位描出操作に難渋することもあるが、右心系感染性心内 膜炎観察において、心腔内エコーは有意義な検査手段の一つと思われる。 O5-4 Bentall 手術術後に診断が困難であった弁輪部膿瘍の一例 多羅尾 健太郎 千葉県循環器病センター 循環器科 心内膜炎の診断においては、改訂 Duke 診断基準が参考にされることが多く、実際の臨床上非常に有用な診断基準である。しかしな がら、それらの臨床所見が揃わない場合が pit fall となる場合もある。我々は Bentall 手術術後 3 年目に上記のような明らかな心内 膜炎の症状なく発症した弁輪部膿瘍を経験したので報告する。本症例は 34 歳の男性、意識消失発作にて入院した。当初は徐脈を伴 わない房室解離などの心電図所見と頻度は少ないもの 2 分ほどの意識消失を伴わない心室頻拍があった。Bentall 術後であり、経胸 壁心エコーでの診断が困難であったが、振り返ると過去の心電図に比べ房室ブロックが進行した所見もあり、より速やかな診断が 可能であったはずと考えられる。経過に従い、心室頻拍の頻度が増し、徐々に心室頻拍が薬剤無効性となった。EPS を行うための、 術前の経食道心エコー図検査を行ったところ、上行大動脈グラフトおよび弁輪周囲の膿瘍が診断され緊急手術となった。手術の結果、 比較的大きな範囲での上行大動脈グラフトおよび大動脈弁輪部の膿瘍であり、心室中隔付近にまで膿瘍を認め、炎症が及んでいた。 起炎菌は薬剤耐性表皮ブドウ球菌であり、術後抗生剤投与を行い、また、術後に徐脈に対するペースメーカー植え込み術を行うこ ととなったが、退院し独歩通院に至った。血液学的炎症所見や発熱所見、また各種心内膜炎に付随すると思われる症状がなかった こと、経胸壁心エコーが描出困難であったことが診断を遅らせる一因となったと思われるが、偶然に行った経食道心エコーにて救 命への糸口を見つけることができた。 170 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O5-5 二尖大動脈弁の経過観察中に左室―右房瘻と両弁穿孔を合併した感染性心内膜炎の 1 例 上田 寛修 1、田代 敦 2、熊谷 亜希子 2、三船 俊英 1、小室 堅太郎 1、房崎 哲也 1、伊藤 智範 1、 森野 禎浩 1、中村 元行 2、岡林 均 3 1 岩手医科大学附属病院循環器センター 循環器内科、2 岩手医科大学附属病院 心血管・腎・内分泌内科、 岩手医科大学附属病院 心臓血管外科 3 症例は、64 歳男性。H10 年より二尖大動脈弁、大動脈弁閉鎖不全症を指摘 され、当院で心エコーでの経過観察をしていた。IE の誘因となる処置や治 療の既往はなかった。H25 年 10 月下旬より発熱あり、前医を受診した。胸 部 Xp でうっ血、心エコーで僧帽弁前尖に疣贅を伴う高度僧帽弁閉鎖不全症 を認め入院した。抗生剤や利尿剤で加療したが感染と心不全のコントロール が困難であり、第 7 病日に当院に転院した。搬入時、心原性ショック、多臓 器不全の状態であった。心エコーでは大動脈弁・僧帽弁・三尖弁の高度逆流、 大動脈弁に疣贅と穿孔、僧帽弁に疣贅と弁瘤部穿孔、左室―右房瘻を認め、 同日緊急手術を施行した。術中所見は、両弁に疣贅と穿孔、左室―右房瘻を 認め、心エコーと同様の所見であった。大動脈弁置換術・僧帽弁形成術・三尖弁形成術・左室―右房シャント閉鎖術を施行した。 術後、合併症なく、第 40 病日に前医にリハビリ目的で転院した。今回、二尖大動脈弁の経過観察中に明らかな誘因なく感染性心内 膜炎を発症し、左室―右房瘻と両弁穿孔を合併した稀な症例を経験したので報告する。 O6-1 僧帽弁置換術 10 年後に突然の呼吸困難を呈し、三次元経食道心エコーにて人工弁機能不全を詳細に 観察しえた一症例 神嶋 敏子 1、宮本 敬史 2、柳 弘子 1、大塚 伸子 1、大久保 輝男 1、豊岡 郁子 1、上田 育美 2、堤 穣志 2、 村上 彰通 2、武藤 誠 2 1 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 検査技術部、2 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科 O6-2 一般口演 [ 症例]60 歳代男性 [ 既往歴]2003 年に狭心症と僧帽弁逆流症に対して CABG+ 僧帽弁置換術 (SJM 29mm) 施行。[ 現病歴]2013 年××月××日の 深夜臥床時に突然起座呼吸となり当院救急搬送。胸部レントゲン上、著明な 肺うっ血を認めるものの、経胸壁心エコーでは左室は小さく EF も良好であっ た。また僧帽弁位人工弁の弁葉の動きが一葉悪く、カラードップラーも高速 乱流を呈していた。僧帽弁流入波形では E 波 2.9m/sec、PHT 289msec と人 工弁狭窄を示唆する所見であった。INR1.28 と低下していたため、へパリン 持続点滴開始し、利尿薬投与にて症状は改善。経食道心エコー行い、人工弁 の一葉が明らかに可動しておらず、三次元エコーにて血栓らしい mass が弁 の片側に付着して弁の可動性を妨げていた。血行動態落ち着いていたため ワーファリン増量にて経過観察した所、僧帽弁流入波形上 E 波改善し、経食 道心エコーでも弁の開放改善を確認することができた。[ 結語]人工弁機能 不全を 3D エコーにて経時的に観察しえたので考察を加え報告する。 拡張相への形態的・血行動態的な移行が追えた肥大型心筋症の 1 例 佐藤 如雄 1、高井 学 1、南 圭祐 1、林 明生 1、高橋 英二 1、山内 正博 1、大宮 一人 1、明石 嘉浩 2 1 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 循環器内科、2 聖マリアンナ医科大学 【症例】51 歳、男性【現病歴】20 代で心雑音を指摘されたが特に精査は行わなかった。平成 5 年 2 月に心雑音の精査目的で当院紹介。 経胸壁心エコー図で非対称性中隔肥厚、僧房弁前尖の収縮期前方運動(SAM:systolic anterior motion of mitral valve)、左室流出 路狭窄を認め、閉塞性肥大型心筋症が疑われ、心筋生検を施行。閉塞性肥大型心筋症と診断された。以降は、近医で内服治療が行 われ、当科では心エコー図の定期観察が行われた。平成 14 年頃より徐々に瀰漫性の収縮能低下が出現、その後も徐々に収縮障害の 進行、左室内腔の拡大を認め、拡張相への移行が疑われた。平成 25 年 11 月、突然の夜間呼吸困難感が出現。肺うっ血所見、BNP 値の上昇を認め、うっ血性心不全の診断で入院となった。更なる収縮障害、左室内腔の拡大が確認され、特に心尖部は無収縮の状 態であった。左室内腔の拡大、壁の菲薄化の進行、SAM の消失により左室流出路狭窄は軽減。SAM の軽減は tethering による影響 が考えられた。Carperitide 持続静注で速やかに心不全兆候は改善。心臓カテーテル検査を施行し、冠動脈に有意狭窄は認めず、左 室造影では特に心尖部で奇異性収縮を認めた。以上より拡張相肥大型心筋症と診断とした。リハビリ中に非持続性心室頻拍7連を 認め病棟モニター上も 4 連程度を頻発していたために、1次予防目的にに ICD 植込みの適応と判断。収縮障害、QRS 幅の拡大をと もなっていることから両室ペーシング機能付き植込み型除細動器 (CRT-D) 植込みを施行した。【結論】約 20 年の経過で肥大型心筋 症の拡張相への移行を観察し得た 1 例を経験した。心エコー図にて形態的・血行動態的変化を追えたので報告する。 171 第25回日本心エコー図学会学術集会 O6-3 特発性心室細動をきたした左室緻密化障害の 1 例~各種心エコー法による潜在性心筋傷害の検出~ 一宮 千代 1、森 一博 2、平野 志乃 1、田中 佑樹 1、立岩 真紀 1、井上 美紀 2、奥村 宇信 3、寺田 菜穂 3、 原田 顕治 3、藤永 裕之 3 1 徳島県立中央病院 検査技術科、2 徳島県立中央病院 小児科、3 徳島県立中央病院 循環器内科 心室細動合併の左室緻密化障害 (LVNC) の 1 例に,speckle tracking 法を中心とした各種心エコー法を用いて潜在的心筋傷害を明ら かにした.【症例】15 歳男児.学校心電図検診で胸部誘導 ST 低下を指摘されたが,2 次精査は未受診であった.運動後に失神し, AED 施行後救急搬送された.アミオダロン投与し,低体温療法を施行され,ICD 植え込みにて退院となった.冠動脈造影は異常なし. MRI 遅延造影は陰性であったが,心尖部の荒い肉柱が目立った.【心エコー】心尖部に限局した荒い左室肉柱を認めたが,左室駆出 率(EF)は 62%と保たれていた.僧帽弁輪移動距離(MAPSE)= 7.3mm,拡張早期運動速度 e´ = 10.4cm/ 秒と共に低値で,長 軸機能の低下が示唆された.Speckle tracking 法では,[1] 左室 torsion:心基部と心尖部は同方向に回転し(rigid body rotation) , torsion=1.8°と極度に低値であった.[2] 左室 strain:円周方向 strain は保持されていたが,長軸方向 strain は荒い肉柱を有する部位 ( 心 尖 寄 り 側 壁 部 ) で 他 の 部 位 に 比 し て 低 値 で あ っ た( - 12% vs. - 19%).[3] 面 積 重 心 へ の 心 筋 移 動 距 離: 短 軸 radial displacement,長軸 transverse displacement 共に,中隔に比し自由壁側で移動低下を認めた.【考察】正常人でも左室心尖部に荒い 肉柱を認める場合があり,EF が正常の場合,潜在性心筋傷害の有無が LVNC との鑑別上重要である.“rigid body rotation”は LVNC の 50%に認められ,本例でも特徴的であった.また,緻密化障害の部位優位に左室重心および長軸方向への動きが障害され ており,将来の心機能障害の進行が懸念された.【結語】Speckle tracking 法は,LVNC の潜在性心筋傷害の検出に有用であった. O6-4 経胸壁心エコーにて心筋梗塞後の左室内血栓に冠動脈 - 左室瘻を認めた一例 長畑 公宣 1、永井 知雄 2、勝然 秀一 2、濱部 晃 2、吉田 尊 2、荒川 純子 2、田中 良昭 3、大海 延也 1、 加賀谷 健一 1、竹村 明子 1、小口 徳之 1 1 自衛隊中央病院 診療技術部 臨床検査課 生理班、2 循環器内科、3 心臓血管外科 一般口演 【症例】47 歳男性【既往歴】2008 年に左冠動脈前下行枝領域の心筋梗塞を発 症。左前下行枝に冠動脈バルーン形成術を行い、左回旋枝にステントを留置 した。左室造影では #2-3 は hypokinesis であった。その後、自己判断で通院 を中断していた。通院再開後の 2013 年 5 月 13 日の経胸壁心エコーにて、菲 薄瘤状を呈した心尖部に大きさ 31mm 大と 24mm 大の壁在血栓を認めた。 同部位にカラー及びパルスドップラーで、以前認めなかった心腔内に流入す る血流シグナルが検出された。左室内血栓摘出術術前の冠動脈造影で左冠動 脈分枝から左室腔を交通する冠動脈 - 左室瘻が確認された。心筋梗塞発症時 の冠動脈造影では冠動脈 - 左室瘻は認められなかった。比較的珍しい後天性冠動脈 - 左室瘻の診断に、経胸壁心エコーが有用であっ たので報告する。 O6-5 陳旧性心筋梗塞による低心機能例に生じた運動誘発性肺高血圧の病態解析,治療方針決定に運動負荷 心エコーが有用であった一例 森川 渚 1、大原 貴裕 1、荒川 鉄雄 1、城 好人 2、水田 理香 2、田中 教雄 2、神崎 秀明 1、安斉 俊久 1 1 国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 心不全科、2 国立循環器病研究センター 臨床検査部 【症例】65 歳男性.20 年前に前壁心筋梗塞を発症し CABG を受けた.1 年前より腹部膨満感,労作時の息切れが生じ,増悪したた め入院.入院時 NYHA3 度.心エコーにて LVDd/Ds 68/64mm, EF 23%.TRPG 69mmHg と肺高血圧を認めた.また 3 度の機能性 僧帽弁逆流(FMR)を認めた.状態改善した時点の右心カテーテル検査では,肺動脈圧 48/12 (24)mmHg と改善を認めたものの, ハンドグリップを行うと 88/28 (48) mmHg へと容易に上昇した.さらに加療後,臥位エルゴメーターを用いた運動負荷心エコーを 実施したところ,10W の低負荷で TRPG は 28 から 87mmHg と上昇した.僧帽弁逆流量は 23ml から 30ml と増悪を認めなかった一 方,僧帽弁通過血流波形は弛緩障害型から拘束型に変化した.本症例の運動誘発性肺高血圧は FMR ではなく,拡張障害によるもの と判断され,内服薬強化で経過観察の方針となった.【総括】低心機能例に合併した運動負荷誘発性肺高血圧の病態解析,治療方針 決定に運動負荷心エコーが有用であった. 172 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O6-6 Amplatzer Septal Occluder で治療しえた Platypnea Orthodeoxia の 1 例 大原 貴裕 1、長谷川 拓也 1、福井 重文 1、相川 幸生 1、北野 正尚 2、矢崎 諭 2、神崎 歩 3、森田 佳明 3、 東 将浩 3、関原 孝之 4、木村 昌弘 4、大郷 剛 1、神崎 秀明 1、中西 宣文 1、安斉 俊久 1 1 国立循環器病研究センター 心臓血管内科、2 国立循環器病研究センター 小児循環器科、3 国立循環器病研究センター 放射線部、 北野病院 4 【症例】79 歳女性.主訴:座位時の呼吸困難,酸素化の低下(Platypnea-orthodeoxia).既往歴:脳梗塞.現病歴:座位時の呼吸困難, 酸素化の低下を指摘され,精査のために入院.現症:SpO2 は仰臥位 95% であったが座位/右側臥位 80% と低下した.心音 2 音固 定性分裂.ばち状指あり.検査所見:心電図では洞調律,左軸偏位,不完全右脚ブロック.胸部レントゲンでは大動脈の延長を認 めた.心エコーでは心房間短絡を認め,仰臥位ではわずかな右左シャントを認めるのみであったが,右側臥位/臥位にすると右左シャ ントの増加が認められた.また,延長した大動脈による右心房の圧排が観察された.心房間短絡に対して,経食道心エコーガイド で 15mm の Amplatzer septal occluder デバイスを留置した.治療後,右側臥位/座位になっても酸素化の低下は認められなくなっ た.【総括】Platypnea-orthodeoxia を示す心房中隔欠損を Amplatzer septal occlude を用いて治療した.複数の画像診断の結果から, Platypnea-orthodeoxia の機序についての考察が得られたので報告する. O7-1 ミトコンドリア病 MELAS と診断された4成人症例の心エコー図の特徴 椎名 亮揮 1、石津 智子 2、中島 英樹 1、飯田 典子 1、酒巻 文子 1、清水 彩音 1、瀬尾 由広 2 1 筑波大学附属病院 検査部、2 筑波大学 医学医療系 循環器内科 O7-2 一般口演 【はじめに】ミトコンドリア病は重症度や表現型が多様であり、特に軽症例 では診断が困難である。わが国では難病として医療費を公費負担し患者を支 援する制度があり、新しい治療法の研究が進められている。従って本症を念 頭に正しく診断することが重要であるが、ミトコンドリア病の主な表現型で ある心筋症の心エコー所見はいまだ十分検討されていない。【症例】4 症例 はいずれも MELAS と診断され、臨床所見および心エコー所見を表に示す。 神経症状、糖尿病、難聴などの臨床所見は症例ごとに多様であった。全例で 左室駆出率は保たれており、3 例で左室肥大を、うち 2 例で長軸ストレイン 値の低下(-17% 未満)を認めた。肥大心筋は細かな高輝度エコー像を呈し、 糖原病やアミロイドーシスなど蓄積性心筋症類似のエコー像を呈した。【ま とめ】細かな高輝度エコーからなる求心性心筋肥大に神経筋症状、糖尿病、 難聴、低身長などが認められる場合、心エコー検査を行う際に積極的にミト コンドリア病を念頭に置き、ミトコンドリア DNA の遺伝子変異を含めた特 異性の高い検査を行うことが重要と考えられた。 Duchenne 型筋ジストロフィー患者の潜在性左室心筋障害の検出における下肢挙上負荷心エコー図 検査の有用性 山本 哲志 1、田中 秀和 2、竹島 泰弘 3、土岐 啓巳 2、下浦 広之 2、大岡 順一 2、佐野 浩之 2、 佐和 琢磨 2、山鳥 嘉樹 2、元地 由樹 2、三好 達也 2、今西 純一 2、望月 泰秀 2、福田 優子 2、 辰巳 和宏 2、今西 孝光 1、松本 賢亮 2、林 伸英 1、平田 健一 2、河野 誠司 1 1 神戸大学 医学部附属病院 検査部、2 神戸大学 大学院医学研究科 循環器内科学分野、3 神戸大学 大学院医学研究科 小児科学分野 【目的】我々は以前に左室壁運動異常を認めない Duchenne 型筋ジストロフィー (DMD) 患者の潜在性左室心筋障害の検出に、 Transmural Myocardial Strain Profile(TMSP)による Notch の存在が有用であることを報告した。今回は下肢挙上負荷を追加す ることにより、心筋障害の検出率が上昇するかどうかを検討した。【対象・方法】当院で遺伝子検査にて DMD と確定診断し、かつ 左室壁運動異常を認めない 95 例(11.3 ± 3.0 歳)を対象とした。東芝社製 Aplio XG を用いて、全例に安静時および下肢挙上負荷経 胸壁心エコー図検査を施行した。TMSP は左室中部レベル短軸像の後壁で記録し、Notch の有無と最大ストレイン値を計測した。 【結 果】安静時に Notch を有する群 (60 例 ) と、Notch を認めない群 (35 例 ) では最大ストレイン値のみ有意差を認めた(137 ± 64% vs 217 ± 97%、p < 0.001)。安静時の Notch を認めた群の 29 例(48%)のみに 1 年後の左室壁運動低下がみられた。安静時に Notch を認めた群の中で、下肢拳上負荷時にも Notch を認めた群は Notch を認めなかった群と比較して、有意に 1 年後の左室壁運動低下 の出現頻度が高かった(59% vs. 0%、p < 0.001)。【結論】正常心機能を有する DMD 患者では、TMSP による Notch の同定に加えて、 下肢拳上という簡便な負荷試験を追加することにより、左室壁運動異常の検出率が高まり、臨床応用が期待できる。 173 第25回日本心エコー図学会学術集会 O7-3 ファブリー病における 2 次元スペックルトラッキング解析の有用性について 町田 規子 1、川井 真 2、野尻 明由美 2、中根 登喜子 2、鈴木 水緒 1、榎本 由美 1、鈴木 恒夫 1、 池田 勇一 1、海渡 健 1、吉村 道博 2 1 慈恵医大病院 中央検査部、2 東京慈恵会医科大学 循環器内科 【目的】心臓のみが障害される心ファブリー病は、心臓肥大患者の中に比較的高い頻度(心臓肥大の男性患者の 3%)で存在すると 報告されている。【方法】本研究では、各種中等度以上の弁膜症と心筋梗塞、心臓手術後症例を除いた連続 87 例(男性 56 名、女性 31 名、年齢 66 ± 13 歳)の左室肥厚患者に関して、ファブリー病(6 例)、閉塞性肥大型心筋症(10 例)、非閉塞性肥大型心筋症(36 例) 、高血圧性心疾患(35 例)の四疾患に群別して、心エコー図検査による評価と血漿 BNP 濃度測定をもちいた心機能に関する比 較検討を分散分析にて行った。【結果】各疾患群(ファブリー病・閉塞性肥大型心筋症・非閉塞性肥大型心筋症・高血圧性心疾患) における各種データは、LVDd(47.4 ± 6.3・43.9 ± 3.3・45.9 ± 5.6・49.3 ± 5.7mm)、LVDs(28.9 ± 3.9・26.6 ± 2.4§・28.4 ± 4.4・ 31.3 ± 4.7|mm)、IVS(12.7 ± 3.4・14.5 ± 4.4・14.0 ± 3.5・12.4 ± 1.6mm)、PW(12.2 ± 2.9¶・10.1 ± 1.6・10.2 ± 1.8*§・11.5 ± 1.0 ¶mm)、EF(70 ± 3・70 ± 4・68 ± 5・66 ± 5 %)、E/A(1.1 ± 0.4・0.8 ± 0.2・1.0 ± 0.6・0.9 ± 0.4)、DT(254 ± 75・281 ± 76・233 ± 73・230 ± 45msec)、E/e’ (11.0 ± 3.4・10.1 ± 3.2・9.6 ± 4.5・8.3 ± 3.1)、global longitudinal strain(GLS) (7.3 ± 2.7|・ 16.5 ± 6.0*¶§・10.8 ± 3.4|・11.2 ± 3.5|%)、血漿 BNP 濃度(222 ± 380・280 ± 379・196 ± 173・85 ± 98pg/mL)(p < 0.05、*: vs ファブリー病、|:vs 閉塞性肥大型心筋症、¶:vs 非閉塞性肥大型心筋症、§:vs 高血圧性心疾患)であり、ファブリー病では GLS の低下を認めた。【結論】左室肥大を呈する疾患において、ファブリー病の鑑別に 2 次元スペックルトラッキング解析が有用で あることが示唆された。 O7-4 大動脈弁置換術後に心室中隔菲薄化が出現した心サルコイドーシスの一例 藤吉 和博、小板橋 俊美、甲斐田 豊二、佐藤 孝典、前川 恵美、猪又 孝元、阿古 潤哉 北里大学 循環器内科 一般口演 症例は 77 歳女性。有症状の重症大動脈弁狭窄症に対し大動脈弁置換術(AVR) の適応となった。術前の胸部 CT で縦隔リンパ節の腫脹を認め精査をしたが、 原因不明であった。心エコー図検査で心室中隔の菲薄化や収縮障害はみられ ず、心臓にGaの異常集積も認めなかった。しかし、術中の縦隔リンパ節お よび心筋生検の結果、両者から非乾酪性肉芽腫が検出され、心サルコイドー シス(心サ症)と診断された。周術期には高度房室ブロックが出現し、ステ ロイド治療により改善した。AVR 直後の心エコー図検査では、術前にはな かった心室中隔の菲薄化を認め、手術をはさんだわずか 1 ヶ月半の経過で明 らかな形態変化を呈し、心サ症の急性増悪と考えられた。 サ症の増悪原因 の一つとして、ストレスの関与が報告されている。心サ症では時に外科的介 入を要し、ステロイド治療に先行させるか否かを迷うことがある。手術は精 神的身体的ストレスを与える侵襲的治療であり、急性増悪を来す可能性があ るかもしれない。心臓手術前後での急激な形態的変化を検出しえた貴重な症 例として報告する。 O7-5 心エコーで左室壁の肥厚を早期発見しえたことで良好な経過をたどった AA アミロイドーシスの一例 今村 華奈子 1、安田 久代 1、堀端 洋子 2、小島 淳 3、穴井 聡子 1、池田 勝義 1、小川 久雄 3、 大林 光念 1、安東 由喜雄 1 1 熊本大学医学部附属病院 中央検査部、2 国立療養所菊池恵楓園 内科、3 熊本大学医学部附属病院 循環器内科 【はじめに】Castleman 病はリンパ濾胞の過形成を特徴とする原因不明のリンパ増殖性疾患の一つで、二次性 (AA) アミロイドーシ スの基礎疾患の一つとしても知られている。今回我々は、長期にわたり心エコーでその経過を観察しえた、Castleman 病に伴う AA アミロイドーシスの一例を経験したので報告する。【症例】患者は 53 歳 の男性。X 年 1 月に意識消失発作を認め、洞不全症候群と 診断された。その際、心エコーで左室壁が 17mm と肥厚しており、血清アミロイド A 蛋白質 (SAA) が 429 μ g/mL と高値を示し ていることも確認されている。さらに、後腹膜に腫瘤を認め、十二指腸に AA アミロイドの沈着も認められた。手術により後腹膜 の腫瘤を切除し、病理診断した結果、本患者にみられる AA アミロイドーシスの基礎疾患は Castleman 病であることが判明した。 後腹膜腫瘤の切除後、SAA 値は著明に低下し、心エコー上も左室壁の肥厚が経時的に改善している。直近のデータでは、左室壁の 肥厚は 12mm にまで改善、左室駆出率も 67% と正常範囲である。【結語】1. 長期にわたり心エコーでその改善を観察しえた、 Castleman 病に伴う AA アミロイドーシスの一例を経験した。2. Castleman 病に伴う AA アミロイドーシスは、腫大したリンパ腫 から大量に産生される IL-6 が肝臓からの SAA 産生を促進し、生じる。したがって、心エコーでいかに迅速に左室壁の肥厚をみつけ、 Castleman 病との診断に至り、腫大したリンパ節を除去するかが、患者の予後を大きく左右するといえる。 174 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O7-6 左室緻密化障害患者の左室リバースリモデリングは予後予測因子である 南澤 匡俊、小山 潤、小塚 綾子、元木 博彦、柴 祐司、伊澤 淳、富田 威、宮下 裕介、池田 宇一 信州大学 医学部 循環器内科 背 景: 左 室 収 縮 不 全 患 者 の 中 に、 左 室 緻 密 化 障 害 (left ventricular noncompaction cardiomyopathy: LVNC) の基準を満たす患者が存在するこ とが報告されているが、本症の左室リバースリモデリング (left ventricular reverse remodeling: LVRR) の有無と長期予後との関係について検討した研 究はない。方法:LVNC の連続 23 症例を検討した。標準的エコー指標とと もに、2D- スペックルトラッキング法で global longitudinal strain(GLS)を 計測した。全患者は、β遮断薬や CRT-D などの標準的心不全加療開始 6 ヶ 月後に、左室駆出率(LV ejection fraction:LVEF)が 10%以上改善した ものを LVRR と定義した。結果:平均観察期間 24.7 ヶ月(3-76 ヶ月)で、 治 療 6 ヶ 月 後 に 9 人 (39.1%) に LVRR を 認 め た。Kaplan-Meier 法 に て、 LVRR 群は心臓死 0 人、非 LVRR 群は心臓死 7 人 (50%) であった ( 図:Logrank P = 0.005)。結論:LVNC の LVRR は予後予測因子であった。非 LVRR 群の予後は不良であり、きめ細かい経過観察と早期治療介入が必要である。 O8-1 肥大型心筋症における左室長軸方向ストレインレートの時相・波形異常の特徴 岡田 一範 1、三神 大世 2、加賀 早苗 2、阿部 歩 2、中鉢 雅大 3、西野 久雄 3、横山 しのぶ 3、西田 睦 3、 林 大知 4、村井 大輔 4、山田 聡 4、筒井 裕之 4 1 4 北海道大学大学院 保健科学院、2 北海道大学大学院 保健科学研究院、3 北海道大学病院 検査・輸血部、 北海道大学大学院 循環病態内科学 O8-2 通常とは異なる壁運動異常を呈したたこつぼ心筋症の 2 例 堀川 史織、坂本 一郎、西坂 麻里、伊藤 浩司、多田 千恵、松浦 陽子、河原 吾郎、平川 登紀子、 佐藤 翼、砂川 賢二 九州大学病院 ハートセンター 症例 1 は 30 代女性。美容形成外科にて大腿部と殿部の脂肪吸引術を施行され、帰宅途中に気分不良・呼吸困難感認め、近医に救 急搬送された。受診時ショック状態であり、心エコーでは左室中部から基部が全周性に無収縮で心尖部のみ収縮が保たれており、 LVEF は 20% と低下を認めた。冠動脈造影所見は正常であり、精査加療目的で同日当院へ転院となった。転院時、肺うっ血は認め たが循環動態は安定しており、左室壁運動異常は急速に改善し、第 6 病日の心エコーでは壁運動は正常に回復した。 症例 2 は 40 代女性。当院で、右側頭部の術後潰瘍に対し全身麻酔下に分層植皮術を施行された。術中局所麻酔使用時に一過性の高血圧・頻脈 を生じ、その後低血圧となった。心エコーでは左室中部が全周性に無収縮で心基部と心尖部の狭い範囲のみ収縮が保たれており、 LVEF は 39% と低下していた。術後 ICU 管理となり、その後左室壁運動異常は急速に改善し、第 12 病日退院となった。外来で施 行した冠動脈 MRA 検査では正常であった。 2 例とも冠動脈支配では説明できない領域に左室壁運動異常が手術後に生じ、それが 急速に改善したことより、たこつぼ型心筋症と診断した。たこつぼ心筋症では典型的には心尖部の動きが低下するが、今回の 2 例 のように通常とは異なる壁運動異常を呈した貴重な症例を経験したため報告する。 175 一般口演 【背景】肥大型心筋症(HCM)では左室の長軸方向のストレイン(LS)や収縮期ストレインレート(LSRs)が低下することが知ら れているが、それらの時相や波形の変化についてはよくわかっていない。 【方法】対象は、非対称性中隔肥厚を有する HCM 32 例、高血圧性左室肥大(HT)30 例および健常(N)28 例である。心尖部四腔 像でスペックルトラッキング法を行い、ピークグローバル(P-)LS、P-LSRs、および僧帽弁閉鎖からピークまでの時間(各々 T-LS、T-LSRs)を計測した。また、LSRs 波形を、収縮中期になだらかな 1 峰性を呈する U 型、2 峰性のピークを形成する W 型、 収縮早期に鋭い 1 峰性のピークを形成した後、P-LSRs の半分以上のピークを持たない√型に分類した。 【結果】P-LS と P-LSRs はいずれも、HCM 群で他の 2 群より有意に小、HHD 群で N 群より有意に小であった。T-LS は、HCM 群 で他群より有意に大であり(ともに p < 0.001)、HT 群と N 群間には差を認めなかった。T-LSRs は、HCM 群と HHD 群で N 群よ り有意に小であり(順に p=0.002、p < 0.001)、HCM 群と HHD 群間に差は認めなかった。LSRs 波形の√型は、N 群にはみられず、 HT 群の 2 例(7%)および HCM 群の 24 例(75%)にみられ、HCM 群で他群より有意に高頻度であった。W 型は、N 群の 8 例(29%)、 HT 群の 18 例(60%)および HCM 群の 2 例(6%)にみられ、HT 群で他群より有意に高頻度であった。 【結論】HCM では、収縮は遷延するのに、収縮速度のピークはむしろ早期化した。HT の収縮速度ピークもやや早期化したが、HT の収縮速度波形は W 型が多いのに対し、HCM では√型が大部分を占めた。左室長軸方向ストレインレートの時相・波形分析は、 HCM の診断に有用であると考えられた。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O8-3 拡張型心筋症における反応性後毛細血管性肺高血圧症の心エコー図的特徴 月城 泰栄 1、大西 哲存 1、千村 美里 1、山田 慎一郎 1、谷口 泰代 1、矢坂 義則 1、川合 宏哉 1、 武田 祥子 2、藤本 恵子 2、都留 正人 2 1 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科、2 兵庫県立姫路循環器病センター 検査・放射線部 【背景】左心性疾患に伴う肺高血圧のうち反応性後毛細血管性肺高血圧症(reactive PH)は予後不良とされている。【目的】心エコー 図指標を用いて拡張型心筋症(DCM)患者における reactive PH の特徴を明らかにすること。【方法】心不全入院した DCM 患者うち、 初期治療後に心臓カテーテル検査および心エコー図検査を施行しえた 59 例(平均年齢 59 歳、女性 19 人)を対象とした。平均肺動 脈圧 (mPAP)25mmHg 未満の NPH 群、mPAP25mmH 以上の PH 群の 2 群に分け、さらに PH 群を TPG(mPAP– 平均肺動脈楔入圧) ≤12mmHg の passive PH(P)群と TPG > 12mmHg の reactive PH(R)群の2群に分類し、心エコー図で測定した拡張末期・収 縮末期左室径(LVEDD・LVESD)、左室駆出率(LVEF)、左室流入血流速波形での拡張早期波 / 心房収縮波(E/A)、左室・右室 の長軸ストレイン(LVGLS,RVGLS)を 2 群間比較した。【結果】NPH 群(n=42)は PH 群(n=17)に比し、LEDD・LVESD・E/A・ LVGLS・RVGLS は有意に小で、EF は有意に大であった。さらに PH 群のうち、P 群(n=10)は R 群 (n=7) に比し、RVGLS のみ が有意に小であった(P=0.02)。【結語】本研究より、DCM 患者における reactive PH の特徴の一つは RVGLS で表される右室機能 低下であることが示された。 O8-4 拡張型心筋症における右心機能不全:ASE ガイドラインに基づいた心エコー図による評価 川田 貴之 1、大門 雅夫 2、木村 公一 3、中尾 倫子 2、宇野 漢成 4、竹中 克 5、渡辺 昌文 1、矢冨 裕 2、 小室 一成 1 1 東京大学医学部附属病院 循環器内科、2 東京大学医学部附属病院 検査部、3 東京大学医学部付属病院 薬剤疫学講座、 東京大学医学部付属病院 コンピュータ画像診断学 / 予防医学講座、5 日本大学板橋病院 循環器内科 4 一般口演 【背景】拡張型心筋症(DCM)は左室拡大と左室収縮能障害を特徴とするが、侵襲的検査や MRI による評価では右心機能低下の合 併も多いとされている。一方、右心機能に対する心エコー図指標の検討は不十分である。【目的】DCM において ASE ガイドライン に基づき右心機能指標を評価し、正常例と比較する。また、右心機能低下に関係する因子を検討する。【方法】2012 年 12 月から 2013 年 12 月までに心エコー検査を施行した左室駆出率(LVEF)< 40% の DCM53 例を対象とした。右心機能指標は、右室面積変 化率(FAC)、三尖弁輪部収縮期移動距離(TAPSE)、三尖弁輪部収縮期移動速度(RV-S’ )及び右室 TEI-index(RIMP)を測定した。 28 例の正常例と比較した。【結果】DCM 群では、左心機能指標のみならず全ての右心機能指標も正常群に比較して有意に低下して ;8.4 ± 3.0 vs 12.7 ± 2.0cm/s、RIMP;0.61 ± 0.25 vs 0.39 いた(FAC;30 ± 13 vs 46 ± 5%、TAPSE;13.7 ± 3.9 vs 23.0 ± 4.1mm、RV-S’ ± 0.07、全て p < 0.01)。FAC < 35%、TAPSE < 16mm、RV-S’ < 10cm/s、RIMP > 0.55 を右心機能低下とすると、DCM 群では それぞれの指標で 67.9%、74.4%、76.5%、55.8% と、高率に右心機能低下を認めた。全ての右心機能指標は LVEF と有意な相関関係 を示し、特に FAC の相関係数が最も高かった(r=0.58、p < 0.01)。FAC < 35% に関係する因子を解析すると、単変量では LVEF、 拡張能指標 E/e’ 及び左室流入血流減速時間が、多変量では LVEF のみが選択された。三尖弁逆流の圧較差との関係は認められなかっ た。 【結論】DCM では、ASE ガイドラインに基づく右心機能指標は高率に障害されている。また、右心機能低下は左心機能、特に LVEF 低下と関係している可能性がある。 O8-5 タクロリムス (FK506) 投与により心尖部に限局した可逆性左室壁肥厚を認めた症例 武内 哲史郎 1、土肥 薫 1、杉浦 早希 2、増田 千秋 2、福田 はるみ 2、櫻井 裕子 2、藤本 直紀 1、 山田 典一 1、中村 真潮 1、登 勉 3、伊藤 正明 1 1 三重大学大学院 循環器・腎臓内科、2 三重大学医学部附属病院 中央検査部、3 三重大学大学院 検査医学 患者は 29 歳男性。2012 年 6 月下旬に高熱、圧痛を伴う頸部リンパ節腫脹を 自覚し、近医で急性骨髄性白血病 (FAB 分類;AML M4, WHO 分類;AML not ohterwisw spwcified) と診断された。2012 年 7 月より 2 度の化学療法 (IDA+AraC 療法、HAM 療法 ) が施行されたが、完全寛解に至らなかったた め、当院に転院した。TBI12Gy+CA(G-CSF combined)+CY の前処置後、11 月に非血縁者間同種造血幹細胞移植術を受けた。幹細胞移植直前の心電図、 心臓超音波検査では異常は見られなかった。幹細胞移植直後よりタクロリム スの血中濃度モニタリング下での投与を受けていたが、2013 年 4 月に体重 増加、BNP の上昇、および心電図検査での胸部誘導における巨大陰性 T 波 が認められ、心臓超音波検査で左室心尖部に限局した壁肥厚が認められた。 利尿剤投与で体重増加は軽快し、2013 年 7 月のタクロリムス投与終了後に心電図での陰性 T 波、心臓超音波検査での心尖部壁肥厚 の改善が認められた。過去にタクロリムスによる心肥大の症例報告はいくつか存在するが、肥大部位についての詳細な記載はない ため、考察を加え報告する。 176 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O8-6 肥大型心筋症における運動誘発性肺高血圧と主要心血管イベントについての検討 水越 慶、出雲 昌樹、鈴木 健吾、上嶋 亮、黄 世捷、高井 学、林 明生、原田 智雄、明石 嘉浩 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 【背景】肥大型心筋症(HCM)患者における運動負荷心エコー図の有用性に関してはこれまでにも報告されている。しかしながら HCM 患者における運動誘発性肺高血圧(Ex-PHT)と主要心血管イベント(MACEs)発生率の関連に関しての報告はない。今回我々 は HCM 患者における運動誘発性肺高血圧と MACEs の関連について検討した。【方法】HCM の確定診断がされた 40 名の患者 ( 年 齢 59.8 ± 14.9 歳 ) を対象に、症候限界性に半坐位エルゴメーターによる運動負荷心エコー図を実施した。安静時と運動負荷時に通 常の心エコー図指標とともに三尖弁逆流血流速度から推定した右室右房圧較差に右房圧を加えた推定右室収縮期圧(RVSP)を計測 し、MACEs 発生率を観察した。【結果】全患者のうち、Ex-PHT 群(運動負荷時 RVSP ≧ 60mmHg)は 9 例(22.5%)であった。 二群間にて左室容積や左室心筋重量係数に有意差は認めなかった。Ex-PHT 群では左房容積係数 (55 ± 20 vs. 39 ± 10ml/m2, p < 0.05)、 血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド値 (331 ± 214 vs. 165 ± 122pg/ml, p < 0.05) が有意に上昇していた。平均 17.5 ヶ月の経過観察中、 11 例(27.5%)で MACEs が発生した。Ex-PHT 群において MACEs 発生率が有意に高値であり (63% vs. 20%, p < 0.01)、Ex-PHT が MACEs の独立した予測因子であった ( ハザード比 ,1.5; p < 0.01)。 【結論】HCM 患者における Ex-PHT は MACEs と関連しており、 HCM 患者における運動負荷心エコー図は改めて有用であると考えられた。 O9-1 感冒症状を契機に発見された心臓脂肪肉腫の一症例 近江 晃樹 1、菅原 重生 1、伊藤 啓明 2、斉藤 恵美 2、庄司 律 2、佐藤 直美 2、遠田 有希 2 1 山形県酒田市病院機構 日本海総合病院 循環器内科、2 日本海総合病院 臨床検査部 O9-2 一般口演 症例は 20 歳台前半の男性。長引く感冒症状及び呼吸苦を主訴として 2013 年 6 月下旬に救命センターを受診した。胸部レントゲンで心拡大を認め CT を 施行したところ心嚢内に巨大な腫瘤が認められ当科紹介となる。心エコーで は右室前面から心尖部を取り囲むように内部がモザイク状の巨大な腫瘤性病 変を認めた。右室の拡張及び収縮障害が認められ左室も軽度圧排され心タン ポナーデ所見も認められた。左室収縮能は保持され明らかな弁膜症は認めな かった。開胸生検で脂肪肉腫の病理診断が得られた。転院のうえ 7 月下旬に 腫瘍切除術を施行したが腫瘍は右室全面の心膜に強固に癒着しており、更に 心嚢内のあらゆる部位に腫瘍が播種していた。右心室にも浸潤を認め止血も 難渋し完全に切除することは困難であった。化学療法目的に 8 月下旬に転院 となったが心エコーでは残存腫瘍が増大し右室腔内への腫瘍浸潤が確認され た。更に肺動脈腫瘍塞栓も認められ緩和治療の方針となる。心臓脂肪肉腫の 報告は非常にまれであり、広範囲の進展と肺塞栓を併発した希少な症例と考 え心臓腫瘍の文献的考察を含め報告する。 急速に進行し高度肺動脈狭窄をきたした転移性右室腫瘍の一例 小熊 秀隆 1、相澤 芳裕 1、加藤 真帆人 1、向後 隆章 1、嶋田 貴之 1、小島 敏雄 2、太田 昌克 1、 廣 高史 1、平山 篤志 1 1 日本大学 医学部 循環器内科、2 日本大学 医学部 整形外科 【症例】67 歳男性平成 22 年春頃から右膝痛を認めていた。23 年 10 月、同部位に腫脹も認め当院整形外科外来初診となったがその 後外来を自己中断していた。25 年 7 月、転倒して右膝を強打し出血性ショックとなり救急搬送された。右膝軟部組織腫瘍からの動 脈性出血であったため 8 月 7 日、腫瘍切除術・全層植皮術施行した。病理組織診断の結果、腫瘍は悪性線維性組織球腫と考えられた。 9 月 3 日独歩で退院したが 9 月末頃から右側背部の腫脹・疼痛・出血を認め、同部位の組織生検の結果、右膝腫瘍の転移と考えられ た。10 月下旬頃より労作時の呼吸苦が出現し胸部 CT 上少量の心嚢液認めたため 11 月 1 日循環器内科コンサルトされ、心エコー施 行した。心エコー上 LVDd 42mm, LVDs 28mm, EF 61% LAD 32mm、右室内に mass を認めた。Mass は右室の約 2/3 を埋め尽く し右室心尖部から RVOT にかけて広がり心室中隔を圧排していた。肺動脈内にも入り込んでおり、RVOT 狭窄をきたしていた。心 膜に浸潤する所見はないが、全周性に少量の心嚢液貯留を認めた。右房や下大静脈内に mass は認めなかった。肺動脈狭窄による呼 吸苦と考えられたため同日緊急入院、安静・酸素投与による加療を開始した。外科的治療による腫瘍切除や補助循環の導入、化学 療法が検討されたが胸部 CT 上転移を疑わせる結節影を多数認め、いずれも困難で 11 月 12 日永眠された。病理解剖の結果、右室内 腫瘍は右膝に発生した悪性線維性組織球種と酷似していた。【結語】右膝軟部組織腫瘍を原発とした転移性右室腫瘍の一例を経験し た。悪性線維性組織球腫自体が稀な疾患であり、心臓への遠隔転移をきたした稀な症例と考えられたため報告する。 177 第25回日本心エコー図学会学術集会 O9-3 他疾患精査中に偶然発見された心臓原発良性腫瘍の 2 例 田中 美与 1、渡邉 望 2、末澤 滝子 1、吉村 雄樹 2、増山 浩幸 2、福永 隆司 2 1 県立宮崎病院 臨床検査科、2 県立宮崎病院 循環器内科 症例1は 57 歳女性。左下腹部の違和感あり近医を受診 , 念のために施行した 造影 CT にて冠動脈瘤を疑われ紹介受診となった。来院時心エコー図検査で 右室基部自由壁から右室流出路に沿うように伸びる 6 × 3cm の腫瘍を認め た。心外膜側は平滑で , 浸潤を示唆する所見はなく , 形態的には心原性良性 腫瘍を疑った。CT, 冠動脈造影等施行されたが冠動脈瘤の所見は認めなかっ た。その後腫瘍摘出術が施行され , 最終病理診断は血管腫であった。症例2 は 47 歳女性。右腋窩のしこりと痛みがあり近医で乳癌と診断され当院紹介 された。術前 CT にて左房内に腫瘍性病変を指摘され , 経胸壁心エコー図検 査を施行したところ , 心房中隔壁に付着した左房内可動性腫瘤を認め , 形態 的に粘液腫と考えられた。その後心臓腫瘍摘出術と両側乳房切除術の同時手 術が施行され , 心臓腫瘍の最終病理診断は粘液腫であった。 【考察】他疾患精査中に偶然発見された心臓原発良性腫瘍を同時期に 2 例経験した。心エコー図検査により腫瘍の形態・性状を詳細 に観察し、他疾患を含めた治療方針に貢献することができた。 O9-4 下大静脈を介し右房に進展を認めた二次性心臓腫瘍の 4 症例 渡邊 伸英 1、吉冨 裕之 2、松田 紘治 1、伊藤 新平 1、岡田 大司 1、中村 琢 1、安達 知子 1、中島 龍馬 1、 菅森 峰 1、遠藤 昭博 1、高橋 伸幸 1、田邊 一明 1 1 島根大学医学部附属病院 循環器内科、2 島根大学医学部附属病院 臨床検査部 一般口演 原発性心臓腫瘍は全剖検例の 0.1%以下と非常に稀だが、二次性心臓腫瘍はその 20 倍と頻度が高く、血行性転移、縦隔からの直接浸 潤、下大静脈 (IVC) から右房 (RA) に進展するものなどがある。腎細胞癌 (RCC)、肝細胞癌 (HCC) は解剖学的理由から IVC を介し RA へ直接浸潤する可能性がある。今回経胸壁心エコー図検査 (TTE) で観察し得た、IVC 及び RA に進展した二次性心臓原発腫瘍 の 4 症例を報告する。症例 1 は 64 歳男性。左 RCC。TTE では IVC から RA に突出する腫瘍を認め、腫瘍は可動性があり三尖弁に は接触せず。外科的腫瘍切除を行い IVC はグラフト置換、RA は一部切除再建を要した。症例 2 は 59 歳男性。HCC。TTE では IVC から RA に連続する腫瘍を認め、冠静脈洞開口部付近まで進展。腫瘍は可動性があり三尖弁には接触せず。外科的腫瘍切除を 行い IVC は一部再建を要した。症例 3 は 64 歳男性。HCC。TTE では IVC 近位部から RA を占拠する腫瘍を認め、心房中隔は左房 側へ圧排。IVC から RA への血流は確認できず、腫瘍は拡張期に三尖弁に接触。外科的治療は希望されず肝動脈化学塞栓療法を施 行した。症例 4 は 79 歳男性。血管平滑筋肉腫。TTE では IVC 背側から連続して IVC 内に進展する腫瘍を認めた。RA には IVC か ら連続する腫瘍の他、連続性のない腫瘍を複数個認めた。外科的に IVC、RA の腫瘍を切除。IVC に残存腫瘍を認めたため腫瘍の進 展抑制を期待し IVC ステントを留置した。こういった症例において、TTE による腫瘍の広がりや血行動態への影響の評価が方針決 定に有用であると考えられた。 O9-5 6 年の経過で著明に増大し脳梗塞を発症した左房内粘液腫の一例 中島 正博 1、黒沢 幸嗣 2、平井 英子 3、大林 民幸 3、山下 英治 4、倉林 正彦 2 1 伊勢崎市民病院 循環器内科、2 群馬大学医学部附属病院 循環器内科、3 伊勢崎市民病院 心臓血管外科、 群馬県立心臓血管センター 循環器内科 4 症例は 61 歳男性。心電図異常のスクリーニングのため 2007 年 5 月近医で経胸壁心エコー図検査 (TTE) を施行している。このとき 左房内に約 20x17mm の円形の腫瘤を認め、左房内粘液腫疑いで精査加療を勧められたが多忙を理由に精査せず、経過観察目的に開 業医へ紹介された。しかしその後高血圧などの内服加療のみ継続され TTE は未施行であった。2013 年 10 月に多発性脳梗塞を発症 し近医に入院した。心精査目的の TTE で長径約 60mm の巨大な左房内腫瘤を認め、粘液腫疑いで精査加療目的に転院した。再検し た TTE では心房中隔に付着する 76x21mm の多房性腫瘤を認め、心周期にあわせて左室・左房を行き来していた。経食道心エコー 図検査では腫瘍 (67x29mm) の茎が心房中隔の卵円窩から僧帽弁近傍に付着しているのが観察できた。左房内粘液腫の疑いで腫瘍摘 出術を施行。腫瘍の茎は卵円窩から僧帽弁輪よりに付着しており、茎部全周を中隔壁ごと切離。摘出した腫瘍は約 70x30mm で、表 面平滑かつ弾性軟のゼリー状であった。病理組織診断では粘液腫の組織像であった。術後の経過は良好で、TTE でも切除した心房 中隔断端は平滑で粘液腫の再発は認めなかった。左房内粘液腫は脳梗塞などの塞栓症発症のリスクが高いため、通常早期に摘出術 施行されることが多く、長期経過をみる例は非常にまれである。本症例では 6 年の経過で、当初 20mm 程度の単円形であった腫瘤 が長径 70mm と巨大かつ多房性の腫瘤に成長していた。過去の症例報告は非常に少ないながらも 17 ~ 21 ヵ月の経過の中で腫瘍の 成長速度は不変~ 0.375cm/ 月との報告がある。本症例では 77 ヵ月の経過で 0.07cm/ 月の成長が観察された。自然経過を追えた左 房内粘液腫を経験したので報告する。 178 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O9-6 粘液腫が疑われた右室流出路の乳頭状線維弾性腫の一例 伊藤 順子 1、加藤 隆一 1、野里 寿史 1、佐藤 康弘 1、宇野澤 聡 2、新野 哲也 2、山田 和昭 3 1 独立行政法人国立病院機構 災害医療センター 循環器科、2 独立行政法人国立病院機構 災害医療センター 心臓血管外科、 独立行政法人国立病院機構 災害医療センター 臨床検査科病理 3 症例は 52 歳女性。健康診断で心雑音を指摘され、近医を受診。心臓超音波検査で右室内に腫瘍性病変が認められたため、当院心臓 外科に紹介受診された。胸部レントゲンは軽度の心拡大、心電図は洞性頻脈を認め、血液検査では BNP 上昇、甲状腺機能亢進症を 認めた。経胸壁心臓超音波検査では右室流出路に内部エコーの不均一な 13 × 19mm の可動性を有する腫瘤性病変を認めた。経食道 心臓超音波検査では肺動脈弁直下の右室流出路に同様の腫瘤を認め、流出路自由壁に付着する茎が確認され当初粘液腫を疑った。 自覚症状は乏しいものの可動性を有する腫瘍であり塞栓症の危険性が危惧されたため、甲状腺機能が安定したのち、外科的摘出術 を施行した。摘出された腫瘍は非常に柔らかい半透明のゼラチン様組織であり、肉眼的にも粘液腫を考えたが、病理診断は乳頭状 線維弾性腫であった。乳頭状線維弾性腫は粘液腫に次いで多くみられる良性心臓原発性腫瘍であり、多くは左心系の弁由来である。 肉眼的には多数の黄白色の乳頭状の突起を有しイソギンチャク様の形態で存在するのが特徴である。本症例は、超音波検査所見と 肉眼的所見から粘液腫が疑われたが、病理学的に乳頭状線維弾性腫と診断された。右室流出路より発生した稀な乳頭状線維弾性腫 の一例を経験したため報告する。 O10-1 右房内で振り子様運動を呈する巨大精巣腫瘍の一例 岡田 顕也 1、黒沢 幸嗣 2、高田 智子 1、丹羽 加奈子 1、町田 哲男 1、倉林 正彦 2、村上 正己 3 1 群馬大学医学部附属病院 検査部、2 群馬大学医学部附属病院 循環器内科、3 群馬大学大学院医学系研究科 臨床検査医学 O10-2 経胸壁心臓超音波検査にて検出された左室内血栓 25 例の検討 宮城 芽以子 1、岩瀬 正嗣 1、椎野 憲二 1、高田 佳代子 1、高桑 蓉子 1、高橋 礼子 2、中村 和広 2、 尾崎 行男 1 1 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科、2 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 目的:左室内血栓は塞栓症の原因となる重要な病態であるが、不明な点も多い。今回、当院で経験した左室内血栓症例の心エコー 所見と抗凝固療法の有効性、症候性の塞栓症の関係について検討したので報告する。 方法:対象は 2008 年 1 月から 2013 年 12 月までに経胸壁心臓超音波検査にて左室内血栓を検出した 25 例、年齢 29-88 歳、男性 19 例、 女性 6 例である。 結果:基礎心疾患は虚血性心疾患 21 例、拡張型心筋症 2 例、アドリアマイシン心筋症 1 例、不明 1 例であった。血栓検出時点は入 院 22 例、外来 3 例であり、NYHA2 度 2 例、3 度 4 例、4 度 19 例であった。左室拡張末期内径は平均 50.9mm、左室駆出率は平均 30.2%であった。症候性の塞栓症例は 3 例にみられた。非症候例では必ずしも脳 CT、MRI は施行しておらず、無症候性塞栓症の有 無は確認されていなかった。手術による除去は施行されず、88 歳の 1 例を除く 24 例で抗凝固療法が施行され、抗凝固療法施行例で は全例で心エコーによる消失が確認された。心エコー所見における、血栓サイズ、可動性、輝度、突出の有無で症候性の塞栓症の 有無を検討したところ、症候性の塞栓症の有無と関係する心エコー所見は大きさが 20mm 以上で、高輝度のものであり、それ以外 には有意差を認めなかった。 考案:左室内血栓は心筋梗塞や心筋症で左心機能低下が高度で心不全状態が強い場合にみられる頻度の高い合併症である。抗凝固 療法により症候性の塞栓症はかなり回避することが可能であったが、一部には症候性の塞栓症を生じており、報告されている様に 外科的な治療介入を考慮することも必要と考えられた。 179 一般口演 【症例】42 歳、男性【主訴】下肢浮腫・左精巣腫大【既往歴】特記事項なし【現病歴】両下肢浮腫と精巣腫大を主訴に近医を受診し、 入院した。精巣腫瘍と診断され、精査加療目的に転院した。転院時の経胸壁心エコー図検査 (TTE) 施行時は洞調律で、右房内に 55x26mm の巨大な高輝度腫瘤を認めた。下大静脈 (IVC) 方向を軸とした可動性があり、腫瘤は三尖弁を僅かに越え右室に嵌頓寸前 であった。IVC から連続性を認め表面平滑、内部やや不均一で僅かに血流を認めた為、血栓ではなく腫瘍を疑った。心房中隔や冠 静脈洞に付着は認めなかった。三尖弁通過血流速は 1.4m/sec と加速し、平均圧較差は 2mmHg と三尖弁狭窄を認めた。三尖弁逆流 (TR)は trivial、TRPG:15mmHg と右室圧上昇は認めなかった。造影 CT 検査では左精巣腫瘍、腹腔内多発リンパ節転移、多発肺 転移、IVC ~右房内腫瘍栓を認めた。診断目的及び治療方針決定の為の摘出術で、左精巣癌 (pT2 NX M1 S2)、成熟奇形腫 (Stage3b) の病理診断が得られた。化学療法を開始したが、1ヶ月後の TTE では右房の腫瘤は 74x29mm と増大傾向で、三尖弁平均圧較差は 4mmHg と増悪していた。治療に反応せず、転院から約3ヶ月半後に永眠された。【考察】本症例では精巣癌(奇形腫)のリンパ節 転移腫瘍が IVC 内に浸潤し、右房を占拠していた。IVC 内を進展し心臓に転移する腫瘍としては腎癌が代表的であり、精巣腫瘍の 頻度は高くない。また精巣腫瘍の 9 割以上が胚細胞腫瘍であり、非胚細胞腫瘍である精巣奇形種は数%しか見られない。今回我々は、 精巣腫瘍の中でも頻度の少ない奇形腫のリンパ節転移が、IVC 浸潤から右房に到達した稀な症例を経験したので報告する。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O10-3 心臓原発悪性リンパ腫に対して R-CHOP 療法を行い、経過を心エコーで観察しえた 1 例 油尾 亨 1、松原 隆夫 1、安田 敏彦 1、三輪 健二 1、井上 勝 1、役田 洋平 1、松井 崇生 1、青木 剛 2、 金谷 法忍 1 1 石川県立中央病院 循環器内科、2 石川県立中央病院 血液内科 症例は 78 歳男性。高血圧、脂質異常症、糖尿病で近医通院中であった。2011 年に労作時息切れを主訴に前医を受診。心嚢液貯留を 認め、心嚢穿刺にて血性心嚢液を吸引されたが、確定診断には至らず、PET - CT でも異常は指摘されなかった。その後心エコーフォ ローされていたが心嚢水の貯留は認めていなかった。2013 年に呼吸困難を自覚し、前医を受診。心エコーにて右室壁に腫瘤影 21mm × 22mm と心嚢液の再貯留を認めた。PET-CT で右室側壁側に FDG 集積を認め、心嚢水の細胞診で異型リンパ球を多数認め たため、心臓原発悪性リンパ腫疑いで当院に紹介となった。当院の FDG - PET では胃にも FDG 集積を認め、生検で Diffuse lerge B-cell Lymphoma の確定診断に至った。経胸壁心エコー、経食道心エコーで腫瘍を観察した。右室側壁から三尖弁輪をこえて右房 壁に腫瘍は 39mm × 31mm の腫瘍を認め、腫瘍による三尖弁の血流障害は認めなかった。2013 年 11 月 R-THP-COP を開始。定期 的に心エコーのフォローアップを行い、腫瘍の縮小傾向を確認できた。心臓原発悪性リンパ腫は非常に稀有な疾患であり、予後不 良な疾患である。本症例では心嚢液貯留、腫瘍の確認まで心エコーを定期的にフォローされており、治療により腫瘍が縮小してい く経過を心エコーでフォローアップすることができた。稀有な症例であると考えられたため報告する。 O10-4 3D 経胸壁心エコーが経過観察に有用であった右室血管腫の一例 川又 美咲 1、伊波 秀 2、高瀬 直敏 1、今野 佐智代 1、豊田 茂 2、井上 晃男 2、高田 悦雄 1 1 獨協医科大学病院 超音波センター、2 獨協医科大学 心臓・血管内科 一般口演 症例は 69 歳男性。20XX 年心電図異常を指摘され心エコーを行ったところ、右室内に腫瘤を認めたため当院に紹介となった。諸検 査の結果、心臓肉腫が疑われたため心臓・血管外科で腫瘍摘出術を行った。右室流出路より切開し、右室内を観察したところ右室 下壁に 2 × 2cm、右室心尖部に 2 × 3cm の腫瘍を認めた。右室下壁の腫瘍は完全に切除できたが、右室心尖部の腫瘍は一部切除で きなかった。病理診断の結果、血管腫と診断した。術後当科外来を定期通院、術後 6 か月後、18 か月後、30 か月後に心エコーを行っ た。3D 経胸壁心エコーは 18 か月後より使用した。術後 18 か月、30 か月の残存腫瘍の大きさを 3D 経胸壁心エコーで比較した。心 尖部 5 腔断面とそれに直交する断面、心尖部短軸断面で腫瘍の径を比較すると 15 × 15mm から 19 × 19mm、18 × 20mm から 20 × 22mm、17 × 22mm から 22 × 25mm に拡大していた。血管腫は原発性良性心臓腫瘍の 5% 程度であり、比較的まれである。切 除可能な血管腫の予後は一般的に良好とされているが、切除不能な症例では心室頻拍、突然死、局所的進行による心不全悪化など 予後不良となる可能性があるため、心エコーによる経過観察が必要とされている。3D 経胸壁心エコーは任意断面での描出が可能で あることから検者の違いなどによる計測誤差が少なく、より正確に腫瘍の形態を把握できるため、心臓腫瘍の経過観察に有用であ ると考えられた。心臓血管腫を 3D 経胸壁心エコーで経過観察した貴重な症例であるため症例報告する。 O10-5 診断に苦慮した右房内 high echoic mass の一例 津守 容子 1、渡邉 望 4、黒木 恵美 2、清 真由美 2、福田 智子 3、山田 和弘 1、渡邊 玲子 1、平山 直輝 1、 松尾 剛志 1 1 社会保険 宮崎江南病院 内科、2 社会保険 宮崎江南病院 検査部、3 宮崎大学医学部付属病院 第一内科、 県立宮崎病院 循環器内科 4 【症例】89 歳女性。膜性腎症によるネフローゼ症候群のため加療中であったが、 今回透析導入目的で当科に入院となった。内シャント術前の心機能評価のた め心エコー図検査を施行したところ、右房内上大静脈 (SVC) 開口部に約 12 x25mm の high echoic mass を認めた。SVC 開口部の正常構造物とも思われ たが、心エコー図検査時は透析のためのダブルルーメンカテーテルが右内頚 静脈に挿入されていたため、SVC 内血栓も疑いカテーテル抜去後、胸部造 影 CT を施行した。右内頚静脈、SVC 内に断続的に血栓と思われる filling defect を認めた。右房内の mass も血栓を疑われたため抗凝固療法が開始さ れたが、mass に変化を認めなかった。経食道心エコー図を施行したところ、SVC 内血栓はなく、mass 様エコーは SVC 開口部 ridge であると診断した。 【考察】心臓内の腫瘤状エコーを認めた場合、それが正常構造物なのか、腫瘍・血栓なのか診断に難渋することが少なくない。今回 右房内に high echoic mass を認め、その診断に苦慮した症例を経験した。本症例では経食道心エコー図が有用であった。 180 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O10-6 多発性脳梗塞を発症し腫瘍との鑑別を要した非細菌性血栓性心内膜炎の一例 桜山 千恵子 1、田中 旬 2、森本 悟 3、前田 哲平 1、堀越 真由美 1、坂野 康人 4、西村 隆 3、原田 和昌 3、 許 俊鋭 2 1 東京都健康長寿医療センター 臨床検査科、2 東京都健康長寿医療センター 循環器内科、3 東京都健康長寿医療センター 神経内科、 東京都健康長寿医療センター 心臓外科 4 【症例】78 歳、女性。【主訴】右手しびれ、呂律不良【既往歴】77 歳胃がん にて胃全摘、化学療法施行中、高血圧、TIA【現病歴】平成 25 年 7 月、手 のしびれ、歩行困難が出現、頭部 MRI にて多発性脳梗塞と診断され緊急入 院となった。経胸壁心エコー検査にて左室収縮能は良好、僧帽弁の弁尖肥厚 と軽度逆流以外に異常所見を認めなかった。入院経過で脳梗塞を再発し塞栓 源精査目的に経食道心エコー検査を施行、明らかな血栓像はなかったが僧帽 弁前尖、後尖ともに可動性を有する複数の腫瘤性病変 (3 ~ 5mm) を認めた (図)。僧帽弁に破壊像はなく、臨床上感染性心内膜炎を疑う所見に乏しいこ とから、腫瘍または非細菌性血栓性心内膜炎が疑われた。多発性脳梗塞の原 因と考えられたことから再発予防目的に僧帽弁置換術を施行し、病理学的に 非細菌性血栓性心内膜炎と診断された。心エコー検査による非細菌性血栓性 心内膜炎の診断は困難なことがあるが、本症例において経食道心エコー検査 により得られた画像的特徴をについて検討し考察を加えて報告する。 O11-1 左室全体の長軸方向ストレインによる無症候性心筋虚血検出の検討 宮本 亜矢子 1、湯田 聡 2、内藤 和幸 3、藤井 徳幸 3、中野 淳 3、中原 学史 3、中垣 里美 1、矢野 睦美 1、 高木 覚 3 1 札幌社会保険総合病院 検査部、2 札幌医科大学医学部 臨床検査医学、3 札幌社会保険総合病院 循環器内科 O11-2 左前下行枝領域における post-systolic shortening(PSS) と冠動脈血流についての検討 高野 智晴 1、青戸 正樹 1、森奥 雪世 1、土江 弘美 1、佐伯 菜穂子 1、杤木 達也 1、北尾 政光 1、 福田 勇司 2、野津 泰一 3、石井 裕繁 4、城田 欣也 4 1 松江赤十字病院 検査部、2 臨床工学課、3 放射線科、4 循環器内科 【はじめに】Post-systolic shortening( 以下 PSS) は早期の心筋虚血の状態を表す指標として注目されている。しかしながら虚血を認 めない症例にも認められることから判断に苦慮する場合がある。今回我々は冠動脈造影検査及び CT 検査にて冠動脈の正常例と左前 下行枝の高度狭窄症例において longitudial での ストレイン解析にて post systolic index map( 以下 PSI MAP) を作成し、冠動脈血 流を観察することでの病変部位の検出状況を報告する。【対象】2013 年 1 月から 2013 年 12 月の期間に狭心症の精査目的に安静時心 エコー検査を行った 68 例。冠動脈造影 CT にて有意狭窄を認めなかった正常例 39 例と冠動脈造影検査にて左前下降枝に 90% 以上 の有意狭窄を認めた 29 例を対象とした。解析は GE 社製 EchoPAC を使用し、心尖部長軸像、二腔像、四腔像を記録し、speckle tracking 法により 17 領域の収縮末期の strain 値(SES),post systolic strain 値(SPS)を求め、post systolic index(PSI)=( SPS― SES)/SPS × 100 を算出し PSI MAP を作成した。PSI は 15 以上の領域を PSS 陽性とした。また冠動脈血流は 40cm/sec 以上の血流 速度を認めたものを加速血流陽性とした。【結果】PSS は左前下行枝に有意狭窄を認めた 29 例中 26 例に認め、診断精度は感度 90%, 特異度 77% でその内冠動脈血流を 26 例描出でき、加速血流陽性を 15 例で認めた。また冠動脈正常例 39 例中 PSS を 10 例に認め、 その内冠動脈血流を 8 例描出でき加速血流陽性例は認めなかった。【結語】PSI MAP と冠動脈血流を評価することで左前下行枝の 狭窄の診断精度が上がることが期待される。 181 一般口演 【背景】安静時壁運動が正常な狭心症例の左室全体の長軸方向ストレイン(GLS)は、低値を示すと報告されているが、無症候性心 筋虚血(SMI)例での検討は十分ではない。【目的】Cohn I 型の SMI 例の GLS が低下しているか否かを検討した。【対象】2011 年 11 月から 2013 年 8 月までに冠動脈造影検査(CAG)を施行した無症候患者連続 153 例中、心エコー検査を CAG 前 1 ヵ月以内に施 行した連続 84 例(年齢 72 ± 9 歳、男性 53 例)を対象とした。なお、画像不良例、壁運動異常例、弁膜症例、心房細動例は検討か ら除外した。【方法】超音波装置は Vivid E9、解析装置は EchoPAC PC を使用し、automated functional imaging 法により GLS を 算出した。CAG 上 75%以上狭窄例を SMI(n=53)、狭窄 75%未満の例を非 SMI(n=31) と定義した。【結果】高血圧症、糖尿病、高脂 血症の罹患率、左室駆出率、左室容積、中隔 e’ は両群間に差を認めなかった。SMI 群は、非 SMI 群に比べ、男性が多く(74% vs. 45%、p = 0.02)、中隔および後壁壁厚、心筋重量係数が高値(83 ± 18 vs. 71 ± 17 g/m2、p = 0.003)であり、GLS も両群間で有意 な差を認めた(-18.4 ± 2.2% vs. -19.7 ± 1.8%、p=0.006)。多変量解析では、SMI 例を検出する独立規定因子として GLS(p=0.02) と心筋重量係数 (p=0.01) が選択された。ROC 曲線から求めた GLS > -19% を SMI 例と診断する閾値とした場合、感度 64%、特異度 74% で SMI 例を診断可能であった。 【結論】SMI 例の GLS は低下していた。心筋重量係数に加え GLS は、SMI 例の診断に有用であっ た。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O11-3 左室拡張障害の原因となった巨大仮性心室瘤 平山 香莉 1、和田 靖明 1、有吉 亨 1、奥田 真一 2、内田 耕資 2、村上 和華子 2、西川 寛子 1、 藤井 彩乃 1、田中 信明 3、矢野 雅文 2 1 山口大学医学部附属病院 超音波センター、2 山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学、 山口大学大学院医学系研究科 病態検査学 3 半年前に後壁の心筋梗塞を発症するも、再開通が得られず保存的加療となっ ていた 61 歳男性が、一ヶ月前より出現し徐々に増悪する労作時呼吸困難を 主訴に近医を受診した。経胸壁心エコー図検査にて陳旧性心筋梗塞後の心破 裂疑いと診断され、当院へ救急搬送となった。来院時経胸壁心エコー検査で は、 左 室 後 壁 か ら 後 側 壁 の 菲 薄 化 ( 壁 厚 は 6mm) と、 そ の 後 方 に 73 × 110mm の巨大な仮性心室瘤を認め ( 下図左 )、後側壁中間部に 26mm 大の裂 孔を通じて左室内腔との間に to and fro な血流を認めた ( 下図右 )。左室流入 血流速波形は E 波優位で、E 波減速時間は短縮していた。また、E 波は吸気時に減高しており、巨大仮性心室瘤の圧排による左室 拡張障害が示唆された。仮性心室瘤の増大により左室拡張障害を発症した、比較的稀な症例を経験したので文献的考察を加えて報 告する。 O11-4 頸動脈プラークの組織性状評価による冠動脈ステントの再狭窄の予測:iPlaque® を用いた検討 坂東 美佳 1、山田 博胤 1、西尾 進 2、天野 里江 2、平田 有紀奈 2、山尾 雅美 2、鳥居 裕太 2、林 修司 2、 發知 淳子 1、西條 良仁 1、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 一般口演 【背景】頸動脈プラークの組織性状は,冠動脈プラークの組織性状と関連するとの報告がある.我々は,頸動脈プラークの組織分画 を定量化するために超音波後方散乱信号に基づくカラーマッピングシステム (iPlaque®) を開発した.本法を用いて,冠動脈ステン ト留置後の再狭窄が予測できないか検討した.【方法】冠動脈ステント植え込み術を施行し,頸動脈に有意なプラークを認めた狭心 症例で,経過観察時にステント内再狭窄を認めた 24 例(再狭窄群:68 ± 8 歳,男性 18 例)と,再狭窄を認めなかった 24 例(非再 狭窄群:67 ± 8 歳,男性 23 例)を対象とした.頸動脈エコー検査で最も大きなプラークの縦断像を記録し,観察対象プラークの組 成を IB 値に基づいて脂質成分,線維化成分,重厚な線維成分,石灰化成分の 4 分画に分類して表示させ,プラーク全体の面積に対 する脂質分画 (%Lipid) を算出した.約 8 ヶ月後の確認造影時に再度標的プラークの評価を行った.【結果】観察開始時と経過観察時 において両群の頸動脈プラーク面積には有意な変化を認めなかったが,%Lipid は再狭窄群では増加する傾向(22 ± 15% → 26 ± 17%),非再狭窄群では減少する傾向であった(31 ± 16% → 26 ± 20%).ROC 解析により,%Lipid の変化> -1.5% をカットオフ値 とすると,感度 96%,特異度 79% で冠動脈ステントの再狭窄を診断できた.【結語】頸動脈プラークの組織性状変化を観察するこ とで,冠動脈ステントの再狭窄を予測できる可能性がある.頸動脈プラークの組織性状の定量的評価に iPlaque® が有用であった. O11-5 仮性心室瘤破裂を合併した急性心筋梗塞の一症例 井上 陽子 1、関根 泰 2、小野 和重 1、村田 尚行 1、國金 正宏 1、時政 聡 2、藤巻 晴香 2、葛 備 2、 濱 義之 2、田中 秀造 2、外池 範正 2、芳 旭志 2、松戸 裕治 2、山本 雅史 2、氷見 寿治 2 1 君津中央病院 生理検査部、2 君津中央病院 循環器科 症例は58歳男性。糖尿病、高血圧、高脂血症で近医通院中であった。5~ 6年前から労作時に下顎の違和感を自覚するも放置していた。2013 年 7 月、 前胸部痛が出現し治まらないため近医受診、急性冠症候群の診断で当院に搬 送された。心電図では II・III・aVf で異常 Q 波、経胸壁心エコー図では下壁 の輝度上昇、菲薄化、後壁の壁運動低下を認めた。症状が持続していたため 急性心筋梗塞の診断で緊急カテーテル検査を施行、右冠動脈 #2: 慢性完全閉 塞、左前下行枝 #7:75%、左回旋枝 #13:99% 狭窄を認め、責任病変と考えら れた #13 に対しステント留置術を施行した。入院翌日の胸部 X 線で心拡大 を確認、経胸壁心エコー図で新たに心嚢液貯留、下壁基部仮性瘤を確認した。 仮性瘤への flow をカラーで確認、仮性瘤破裂による心嚢液貯留と診断した。 血行動態が安定していたため、修復する壊死心筋部の安定化を考え、第 23 病日に仮性瘤閉鎖+冠動脈バイパス術を施行した。患者は第 43 病日に独歩 退院した。仮性心室瘤破裂は急性心筋梗塞の合併症としては稀であり、症例 を報告する。 182 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O12-1 冠動脈バイパス術後8年を経て発生した chronic expanding hematoma の一例 海老原 卓 1、新井 光太郎 1、植松 庄子 1、福島 敬子 1、星 敬美 1、芦原 京美 1、高木 厚 1、萩原 誠久 1、 齋藤 聡 2、山崎 健二 2 1 東京女子医大病院 循環器内科、2 東京女子医大病院 心臓血管外科 症例は 73 歳、男性。2004 年に冠動脈バイパス術を施行した。2010 年頃より 下腿浮腫が出現し、経胸壁心エコー図で 2008 年に認めた左室後壁の心嚢液 が 15mm から 22mm へと増大していた。2012 年 10 月には下腿浮腫がさら に増悪し、心不全症状を生じた。心嚢液は 37 × 86mm の多房性腫瘤状となっ ていた。胸部 CT では、心底部から背側及び右房外側にかけて腫瘤が両心室 を圧排し、下大静脈の拡張と胸腹水貯留を認めた。胸部 MRI では腫瘤は、 T1 および T2 強調画像で特徴的な mosaic pattern を呈した。心カテーテル 検査では、右室圧波形が dip & plateau を示し収縮性心膜炎様の血行動態で あった。Reid らが 1980 年に提唱した chronic expanding hematoma と診断し、 開胸による血腫除去及び心膜切除術を行った。術後の心カテーテル検査では dip & plateau は消失し、肺動脈楔入圧低下と心係数上昇を認めた。今回、 冠動脈バイパス術後8年を経て発生した chronic expanding hematoma を経 胸壁心エコー図で継時的に観察し、血腫除去術により心不全が改善した一例 を経験したので報告する。 O12-2 腎機能低下を合併した駆出率の保たれた心不全症例における腎血行動態と動脈硬化に関する検討 相澤 芳裕、廣 高史、太田 昌克、山本 顕介、池谷 之利、遠山 一人、嶋田 貴之、平山 篤志 日本大学 医学部 循環器内科 O12-3 重症心不全患者における心エコー図より求めた Pulmonary arterial capacitance の予後予測性に 関する検討 齋藤 佑記 1、大谷 朋仁 1、竹田 泰治 1、大西 俊成 1、山口 修 1、真野 敏明 1、平山 篤志 2、中谷 敏 1、 坂田 泰史 1 1 大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学、2 日本大学医学部附属板橋病院 循環器内科学 【背景】Pulmonary arterial capacitance(PAC) は一回拍出量 (SV)/ 肺動脈の 脈圧(PP)で表され、右室後負荷を反映すると考えられており、原発性肺 高血圧症における予後予測性が報告されている。一方、PAC の重症心不全 における有用性は明らかでない。【目的】心エコー図法により求めた PAC と 重症心不全の予後との関連を検討すること。【方法】2010 年 1 月から 2012 年 12 月までに心不全管理・心移植適応評価のために当院に入院した EF ≦ 35% の重症心不全患者 50 例(年齢 20-65 歳)を対象とした。心エコー図法 で 求 め た PAC( ド プ ラ 法 SV/TRPG-PRPG) の 3 分 位 値(1.90、1.06ml/ mmHg)により 3 群(high PAC 群、middle PAC 群、low PAC 群)に分け、 1 年間のイベント発生率(死亡もしくは左室補助人工心臓装着)を比較した。 【結果】high PAC 群は他群に比し有意にイベント回避率が高かった(図、 p=0.04)。ROC 分析での PAC の AUC は 0.66 で、TRPG、推定右室収縮期圧 の AUC より高値であった。【結論】心エコー図法で求める PAC は重症心不 全の予後予測に有用である可能性が考えられた。 183 一般口演 【背景】駆出率の保たれた心不全症例(HFpEF)において腎機能障害の存在は心血管イベントの存在と密接に関連している。我々は HFpEF 症例において、非心不全症例と比べて腎内血管抵抗 (IRR) が高値であることを報告しているがその機序については明らかで はない。また慢性腎臓病では IRR は、上腕 ‐ 足首間脈波伝播速度 (baPWV) によって評価される動脈硬化とが関連していることが 知られているが HFpEF 症例においてはその関連性は明らかではない。そのため本研究では、HFpEF 症例における IRR と baPWV によって評価される動脈硬化との関係を検討した。【方法】中等度腎機能低下患者(30 <推定糸球体濾過量 (eGFR) < 59ml/ min/1.73m2)101 例に採血・心エコー、腎血管エコー、baPWV の測定を行った。そのうち 54 例は HFpEF を合併しており(HFpEF(+) 群)47 例は心不全の合併を認めなかった (HFpEF(-) 群 )。IRR は腎血管エコーにから算出したされる抵抗係数(RI)によって求めた。 【結果】両群間で年齢・性別・eGFR・血圧などの背景因子に有意差は見られなかった。心エコー指標では、駆出率に有意差は認め なかったが、左房径・左室心筋重量係数・相対的壁厚は HFpEF(+) 群で有意に高値であった。RI と baPWV は HFpEF(+) 群では HFpEF(-) 群に比べて有意に高値であった(0.75 ± 0.07 vs 0.69 ± 0.07、1757 ± 446 vs 1757 ± 289、P < 0.01)。また HFpEF(+) 群に おいて RI は baPWV と有意に正相関を示した(R=0.383、P < 0.05)。【結論】中等度腎機能低下を合併した駆出率の保たれた心不全 症例においては、eGFR が同等の非心不全症例と比べて baPWV によって評価される動脈硬化の進行が認められ、そのことが腎内血 管抵抗の上昇と関連していると考えられた。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O12-4 下半身陽圧器 (LBPP) を用いた高齢高血圧患者における左室拡張予備能障害の評価 良永 真隆、向出 大介、石黒 智也、山田 亮、鎌田 智仁、杉下 義倫、藤原 稚也、横井 博厚、 林 陸晴、井澤 英夫 藤田保健衛生大学 坂文種報徳会病院 循環器内科 背景:左室駆出率 (EF) の保たれている心不全は高齢者高血圧患者に多くみられ、拡張機能障害が主要な病態と考えられているが未 だ詳細は不明である。目的:今回我々は高齢者高血圧患者の左室拡張予備能を下半身陽圧器 (LBPP) を用いて評価した。対象と方法: 17 名の高血圧患者を 65 歳以上の高齢者群 (n=11) と 65 歳未満の対照群 (n=6) に分類した。全ての患者に LBPP による 90mmHg の 前負荷をかけ、負荷前と LBPP による前負荷増大時の左室拡張機能を心臓超音波法により評価し、比較検討した。結果: LBPP に より前負荷が増大した結果、E/e’ 、E/A は、LBPP 負荷前と比較して高齢者群では有意な増加を認めたが(E/e’ : 7.95 ± 2.26 から 9.51 ± 1.92、E/A: 0.69 ± 0.23 から 0.90 ± 0.26、p < 0.05)、対照群ではこれらの指標に有意差は認めなかった。結論:今回の検討から、 高齢者高血圧患者では LBPP による前負荷増大に対する左室拡張予備能の障害が明らかとなった。高齢者高血圧患者における EF の 保たれている心不全の発症に左室拡張予備能の障害が関与していることが示唆された。 O12-5 2 型糖尿病患者における左室拡張能と内皮機能および運動耐容能との関連 石山 将希 1、杉本 匡史 1、大辻 幹 2、神山 崇 1、森 一樹 1、森脇 啓至 1、堀口 昌秀 1、高村 武志 1、 坂部 茂俊 1、世古 哲哉 1、別當 勝紀 2、笠井 篤信 1 1 伊勢赤十字病院 循環器内科、2 伊勢赤十字病院 臨床検査部 一般口演 【目的】糖尿病において心血管合併症の多くが内皮機能の障害に起因する.内皮機能障害に伴い左室拡張能は障害され運動耐容能低 下の一因になると予想されているが,明確な関連を示した研究は少ない.そこで糖尿病患者の左室拡張能と内皮機能および運動耐 容能との関連を検討した.【方法】当院で糖尿病教育入院を受けた 2 型糖尿病患者の中から,左室駆出率が保たれ,運動負荷試験が 陰性であった 231 例を対象とした.すべての患者に対して塩分制限を行ったうえで,上腕動脈の血流依存性血管拡張反応(FMD) 検査,経胸壁心臓超音波検査および Bruce 法による亜最大トレッドミル運動負荷試験を施行した.【結果】FMD の障害 (% FMD < 6% ) は 193 例(84%),左室拡張能の障害(E/E’ > 8)および左室拡張能の機能不全(E/E’ > 15)は 174 例(75%)および 11 例(5%) (9.9 ± 2.8) は% FMD および運動持続時間と有意な逆相関を認めた (% FMD 2.9 ± 4.3%,r = -0.19,p = 0.003,運動 に認め,E/E’ 持続時間 460 ± 150 秒,r = -0.30,p< 0.001).交絡因子として年齢(56 ± 12 歳),性別(男性 63%) ,喫煙(30%),body mass index(24 ± 5 kg/m ⊃ 2;),降圧薬の内服(42%),5 年以上の糖尿病罹患歴(57%),HbA1c(10.3 ± 1.8%)および収縮期血圧値(127 ± 21 mmHg)を補正した後も FMD の低下および運動持続時間の短縮は左室拡張能の低下と有意な関連を示した (% FMD β = 【結論】2 型糖尿病患者において内皮機能低下に伴う左室拡張能低下は運動 -0.17,p = 0.006,運動持続時間 β = -0.18,p = 0.014). 耐用能の低下に寄与している可能性が示唆された . O13-1 心エコーを用いた慢性血栓塞栓性肺高血圧症における経皮的肺動脈拡張術治療後の再灌流性肺障害出 現の予測 上杉 陽一郎、坂田 好美、南島 俊徳、井坂 葵、石黒 みどり、松下 健一、佐藤 徹、吉野 秀朗 杏林大学 医学部 第二内科 【目的】慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (CTEPH) は重症肺高血圧の原因疾患の一つである。末梢型 CTEPH に対する経皮的肺動脈拡張 術 (PTA) は肺高血圧を著明に改善するカテーテル治療であるが、治療後の再灌流性肺障害(肺水腫)の合併が問題となる。今回、 治療前の心エコー所見より PTA 後の再灌流性肺障害出現が予測できるか検討した。【方法】当院に入院し PTA を施行した CTEPH 56 例 ( 平均年齢 59 ± 13 歳、男性 13 例 ) において、PTA 施行前に経胸壁心エコーより、右室拡張末期面積 (RVEDA)、右室面積変 化率 (%FAC)、三尖弁逆流よりの推定肺動脈収縮期圧 (sPAP)、ドプラ法による三尖弁拡張早期血流速度/三尖弁輪運動速度 (TE/e’ ) を測定した。また、PTA 後の再灌流性肺障害の合併に有無につき検討した。【成績】PTA 施行後に再灌流性肺障害を合併したのは 14 例 (Group PE: 25%) である。再灌流性肺障害を合併しない Group N と Group PE では、年齢には有意差はなかった (58 ± 14 vs. 64 ± 9 歳;p < 0.01)。Group PE では Group N と比較し、RVEDA(30 ± 30 vs. 24 ± 12cm2;p < 0.01)、sPAP (88 ± 6 vs. 73 ± 4mmHg;p < 0.01)、TE/e’ (8.4 ± 1.1 vs. 5.6 ± 0.6;p < 0.01) は有意に高く、%FAC(30 ± 5 vs. 38 ± 8%;p < 0.01) は有意に低値であっ た。【結論】PTA 後の再灌流性肺障害が出現する症例では、より肺高血圧による右心機能障害が重症であり、心エコーによる右心機 能評価は PTA 後の再灌流性肺障害発生の予測に有用である。 184 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O13-2 RV remodeling impairs LV free wall contraction in the subclinical patients with repaired tetralogy of Fallot 中村 昭宏 1、瀬尾 由広 2、石津 智子 2、堀米 仁志 1、青沼 和隆 2 1 筑波大学付属病院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 小児科、2 筑波大学付属病院 循環器内科 背景;ファロー四徴症根治術後 (r-TOF) で肺動脈弁逆流によって右室リモデリングが引き起こされるが、左室長軸方向ストレイン (LV-LS) に与える影響を経胸壁心エコー図法のみを用いて検討した報告は少ない。目的;右室容積が LV-LS に与える影響を検討す ること。対象;r-TOF 40 症例 (17 ± 6.8 歳 ) とコントロール 30 症例(18 ± 5.6 歳)。方法;外来受診時に 2D,3D エコー法を施行し右 室容積、左室容積、LV-LS, E/A, E/e’ , LA area を計測した。右室容積の解析には Tomtec: 4D RV analysis を用いた。コントロール 群は外来受診時に心エコー図法、血液検査を施行した結果、心内病変および臓器障害が同定されなかった症例を対象とした。結果; 右室拡張末期容積は r-TOF 群が有意に大きいが(83 ± 20 vs. 60 ± 14 ml/m2, p < 0.001)両心室の駆出率 (EF) は 2 群間に有意差は 無かった。しかし、LV-LS は r-TOF 群で有意に高く (-17 ± 3.0 vs -23 ± 3.2, p < (0.001) 中隔側だけでなく、自由壁側も高値を示し ていた。特にコントロールと異なり、LV-LS は心尖部においてより高値を示した(心尖部中隔側:-16 ± 4.4 vs -26 ± 5.0, p < 0.001. 心尖部自由壁側:-18 ± 4.0 vs -22 ± 6.5、p < 0.004)。LV-LS は中隔側、自由壁側、心尖部中隔側、心尖部自由壁側いずれも右室拡 張末期容積と正の相関関係を認めた (r=0.43, p < 0.001. r=0.39. p=0.006. r=0.38, p < 0.001. r=0.30, p=0.02)。左室拡張機能を示す指 標 :E/A, E/e’ , LA area とは関連がなかった。結論; r-TOF 群における両心室の駆出率低下は認めなかったが LV-LS は上昇しており、 左室自由壁側を含め高値を示した。右室拡大が LV-LS を上昇させる一因である事が示唆された。 O13-3 右室長軸収縮機能は慢性心不全症例の運動耐容能を規定する 川松 直人 1、石津 智子 1、渥美 安紀子 1、中村 昭宏 2、佐藤 希美 1、菅野 昭憲 1、山本 昌良 1、 針村 佳江 1、町野 智子 1、川村 龍 1、瀬尾 由広 1、青沼 和隆 1 1 筑波大学付属病院 循環器内科、2 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 小児内科 O13-4 ルーチン検査における各種右室収縮期指標と三次元心エコー法により求めた右室駆出率との相関 秋山 晋一郎 1、山田 博胤 2、發知 淳子 2、林 修司 2、坂東 美佳 2、西條 良仁 2、西尾 進 3、 平田 有紀奈 3、山尾 雅美 3、佐田 政隆 2 1 徳島大学 医学部 医学科、2 徳島大学病院 循環器内科、3 徳島大学病院 超音波センター 【背景】三次元心エコー法を用いて得られる右室駆出率 (RVEF) は,右室収 縮機能の評価に有用であるが,現状では高価な装置や解析ソフトウェアを必 要とするため一般的に使用されていない.我々は,ルーチン検査で計測する 右室収縮期指標と,RVEF の相関について検討した.【方法】心エコー検査 が依頼された膠原病患者連続 176 例(平均年齢 58 ± 13 歳,女性 160 例)を 対象とした.GE 社製超音波診断装置 E9 を用いて右室の 3 次元データを収 集し TomTec 社製 4D Cardio-View で RVEF を計測した.また,右室自由 壁側の三尖弁輪においてパルス組織ドプラ法により収縮期三尖弁輪運動速度 (s’ ) と,M モード法により収縮期三尖弁輪移動距離 (TAPSE) を計測した.また,右室面積変化率 (FAC) を計測した.【結果】RVEF と各指標の相関を図に示す.TAPSE による RVEF < 44% の診断における ROC 解析では AUC=0.615 であった.【結語】s’ ,TAPSE, FAC は RVEF と疎な相関があった.TAPSE を RVEF の代替指標として用いるには限界がある. 185 一般口演 【目的】慢性心不全症例における運動耐容能と右室機能指標との関連につい て検討すること. 【方法】左室駆出率 55%未満の慢性心不全患者 28 例 ( 男性 13 例 , 58 ± 15 歳 ) および健常対照群 28 例 ( 男性 11 例 , 58 ± 12 歳 ) において心肺運動負荷試験 (CPX) を施行した.運動耐容能は CPX で得られた Peak VO2 を指標とした. 右 室 機 能 は Speckle Tracking 法 を 用 い て 心 尖 部 4 腔 像 よ り 求 め た 右 室 global longitudinal strain (RVLS),三尖弁輪収縮期移動距離 (TAPSE),組織 ドプラ法による収縮期最大三尖弁輪速度 (S’ ),右室面積変化率 (RVFAC),組 織ドプラ法による Tei index により評価した. 【結果】Peak VO2 および右室機能指標はいずれも心不全群において健常群 より有意に低下していた.健常群では心機能指標は Peak VO2 を規定しな かった.一方,表に示すように心不全群において E/e’ と右室長軸方向機能の指標である TAPSE,S’ ,RVLS が Peak VO2 の有意な 規定因子であった. 【結論】右室長軸収縮能は左室充満圧とともに慢性心不全患者における運動耐容能を規定する因子であることが示唆された. 第25回日本心エコー図学会学術集会 O13-5 膠原病例における 6 分間歩行後右房 - 右室圧較差の経年的変化 發知 淳子 1、山田 博胤 1、西條 良仁 1、坂東 美佳 1、林 修司 2、木村 恵理子 1、平田 有紀奈 2、 天野 里江 2、鳥居 裕太 2、山尾 雅美 2、西尾 進 2、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 【背景】膠原病では様々な病因で肺高血圧が生じ,肺高血圧をきたした例の予後は不良である.近年,肺高血圧を早期に診断するた め運動負荷心エコー検査が用いられるようになり,我々は,その目的のために 6 分間歩行前後の心エコー検査を行っている.今回, 経年的な観察が行えた症例について検討を行った. 【方法】安静時の右房 - 右室圧較差 (TRPG) < 40 mmHg である膠原病患者 36 例(平 均年齢 58 ± 11 歳,男性 5 例,女性 31 例)に対して,6 分間歩行負荷前後の TRPG を計測し,その経年変化を観察した.【結果】 約 1 年間の経過観察が行えた 24 例において,観察開始時の安静時 TRPG(RestPG)=20.9 ± 4.1mmHg,運動負荷後 TRPG(ExPG)=27.4 ± 7.1mmHg,運動負荷による TRPG の変化 ( Δ PG)=6.5 ± 5.0mmHg であった.1 年後に RestPG=31.7 ± 9.5mmHg と有意な変化を 認めなかったものの,ExPG=31.7 ± 9.5mmHg,Δ PG=10.4 ± 6.4mmHg とそれぞれ有意に増加した ( 各 p < 0.05, p < 0.05). ExPG > 40mmHg となった症例は,観察開始時 3 例,1 年後 7 例と増加した.2 年間以上の観察が行えた 16 例において,観察開始 時の RestPG=20.3 ± 3.1mmHg,ExPG=29.6 ± 6.3mmHg,Δ PG=9.3 ± 5.2mmHg であった.経過観察時の RestPG=27.7 ± 5.7mmHg と有意な変化を認めなかったものの,ExPG=34.2 ± 5.4mmHg,Δ PG=12.4 ± 5.5mmHg とそれぞれ有意に増加した ( 各 p < 0.005, p < 0.005).ExPG > 40mmHg となった症例は,2 例から 7 例に増加した.【結語】安静時に肺高血圧を認めない膠原病患者にお いて,RestPG は変化しないものの ExPG は進行性に増加する可能性が示唆された.したがってこのような患者においては,年次的 に経過を観察する必要があると思われた. O14-1 中心循環系血管内超音波カテーテルを用いた経食道心エコー検査についての有用性の検討 新居 正基 1、芳本 潤 1、大崎 雅樹 2、佐藤 慶介 1、金 成海 1、満下 紀恵 1、小野 安生 1 1 静岡県立こども病院 循環器科、2 静岡県立こども病院 心臓集中治療科 一般口演 【背景】周術期における経食道心エコー検査 (TEE) は小児科領域においてもいまや必須の検査である。しかし、小児用 TEE プロー ブは先端幅が 10mm であり、体重 5kg 以下の乳児においてはプローブの挿入困難、もしくは検査中の換気困難 / 血行動態の悪化を きたす頻度が増加することが報告されている。中心循環系血管内超音波カテーテル (ICE) はカテーテル先端の 64 直列クリスタルに より phased-array での二次元画像を可能とする。ICE の径は約 3mm であることから、これによる TEE が可能であれば従来のプロー ブでは困難であった症例にも検査が可能となる可能性がある。【目的】新生児・乳児における ICE による TEE の有用性および安全 性評価【方法】対象:新生児・乳児において通常の心エコー検査が困難な先天性心疾患症例。使用プローブ:AcuNav:8Fr/10Fr, 心 エコー機器:Vivid-I。ICE には温度計が備わっていないことから 1 回の検査時間上限を 15 分とした。評価項目:1) 挿入難度 , 2) 目 的検査成功率 , 3) 画質評価 , 4) プローブ温度 5) 合併症。 【結果】検査施行症例 11 名:年齢 ( 月 ) ( 中央値 ( 範囲 )): 7.2 (0.3-48.5); 体 重 (kg): 4.5 (2.5-11.6); 心疾患:無脾症候群 5 名、左心低形成 3 名、単心室 2 名、完全房室中隔欠損 1 名。3 名が補助循環下。1) 挿入 経路:経鼻3,経口 8 挿入成功率 100%;2) 検査成功率 100%; 3) 画質:良 75% 可 25% 不良 0%; 4) プローブ温度 (℃ ):28 (25.0-32.5) 4) 鼻出血 1 名【考察】単一断面だけでの評価になることから診断精度の限界はあるが、検査目的を絞れば補助循環下においても安 全に使用可能であると考えられる。 O14-2 心臓再同期療法の効果を Activation Imaging で観察できた重症心不全の一例 Maidar Tumenbayar 1、山口 一人 2、渡邊 伸英 1、菅森 峰 1、安達 和子 1、高橋 伸幸 1、遠藤 昭博 1、 吉冨 裕之 2、田邊 一明 1 1 島根大学 医学部 循環器内科、2 島根大学 医学部附属病院 検査部 症例は 64 歳、男性。50 歳時から拡張型心筋症で加療されていた。胸痛を主 訴に他院を受診し、右冠動脈完全閉塞病変に対してステント留置術が施行さ れた。心房細動発症とともに心不全が悪化し、心室頻拍を繰り返すため当院 に搬送となった。転院時心電図は心房細動、完全左脚ブロックを認め、左室 拡張末期径 86mm、収縮末期径 80mm、左室駆出率 11% であった。3 次元ス ペックル・トラッキング・ストレイン法による機械的な心室興奮伝播を表示 できる activation imaging(AI、東芝 Artida)を行い、左室 16 セグメント で平均興奮伝搬時間は 207 ± 92msec、基部の前壁中隔、前壁、側壁、中部 の下壁中隔、心尖部中隔の興奮伝播の遅れが観察できた(図)。心不全の治 療に加えてアミオダロン投与、房室結節アブレーションおよび心臓再同期療 法(CRT-D)後は AI による平均興奮伝搬時間は 177 ± 88msec、CRT 前に 認められた局所的な興奮伝播の遅れの改善が観察できた。左室拡張末期径 86mm、収縮末期径 78mm、左室駆出率 13% となり、独歩退院となった。AI は CRT の効果を 3 次元的に可視化できる方法として期待できる。 186 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O14-3 虚血性心疾患患者における局所収縮遅延の同定:ATP 負荷 3D 心エコー図法による Activation Imaging を用いた検討 高野 真澄 1、武田 守彦 2、柴 信行 2 1 福島県立医科大学 附属病院 集中治療部、2 国際医療福祉大学病院 循環器内科 【背景】虚血性心疾患患者において、リスクエリアにおける左室壁の収縮遅延像が認められるが、その臨床的背景および客観的評価 が可能か否かについては明らかでない。 【目的】ATP 負荷 3D 心エコー図法による Activation Imaging を用い、虚血性心疾患患者 における局所収縮遅延の同定が可能か否か検討し、またその臨床的背景について明らかにすること。【方法】対象は虚血性心疾患を 疑い初回冠動脈造影を施行した 21 例。安静時および ATP 負荷時に Full Volume 画像収集を行い、さらに LAD における coronary flow velocity ratio: CFVR を測定した(東芝社製 ArtidaTM)。ATP 負荷時の画像から、3D wall motion tracking 法により Area tracking ratio の解析を行い、さらに Area tracking ratio の Activating Imaging(閾値 0.20)により局所収縮遅延の出現の有無につ 【結果】冠動脈造影にて、LAD に有意狭窄を認めない 8 名には局所収縮遅延像は認めなかった。13 名に有意狭窄(≥75%) いて観察した。 を認め、このうち 3 名は 高度狭窄病変 (coronary flow velocity ratio 1.2-14) を有し、Activating Imaging によりリスクエリアにおけ る心筋収縮遅延像が認められた。 一方、残りの 10 名においては、心筋収縮遅延像を認めなかったが、ストレインプロファイルにお いては拡張遅延像が観察された。 【結語】ATP 負荷 3D 心エコー図法による Activation Imaging による局所収縮遅延像が観察により、 虚血性心疾患患者における高度狭窄病変の診断およびリスクエリアの客観的評価が可能であることが示唆された。 O14-4 Vector Flow Mapping を用いた左室内血流のエネルギー損失の計測:小児の基準値と年齢・心拍数・ 前負荷の影響 林 泰佑 1、板谷 慶一 2、犬塚 亮 1、進藤 考洋 1、平田 陽一郎 1、清水 信隆 1、宮地 鑑 2 1 東京大学医学部附属病院 小児科、2 北里大学 血流解析学講座 O14-5 左室 2 次元 Global Strain マルチレイヤー解析による壁内 Strain 勾配より考察される左室駆出率保 持型肥大型心筋症における代償機序 小澤 公哉、船橋 伸禎、高岡 浩之、小林 欣夫 千葉大学大学院 医学研究院 循環器内科学 目的:左室駆出率保持型肥大型心筋症(HCM)の代償機序を考察するため、TTE 左室 2 次元(2D)global longitudinal (GLS) と circumferential strain(GCS)マルチレイヤー解析より壁内 Strain 勾配を正常例と比較する。方法: TTE(Vivid E9) を施行した左室 駆出率 50% 以上の HCM18 例(男性 13 名、62 ± 16 歳)と正常 8 例(男性 4 名、58 ± 21 歳)に Echo PAC を用いて GLS は心尖部 4、2、3 腔像、GCS は傍胸骨短軸像の僧房弁、乳頭筋、心尖部レベルの全層、さらにマルチレイヤー解析により心内膜側と心外膜側 の計測を行い、GLS と GCS の心内膜側/心外膜側比を壁内 Strain 勾配と定義した。結果:HCM 群で、GLS の絶対値は心尖部 4、2、 3 腔像の全層、心内膜側、心外膜側すべてで、正常群と比較して有意に低かった(全 P < 0.001)。一方 GCS の絶対値は乳頭筋、心 尖部レベルで、全層と心外膜側のみで、正常群と比較して有意に低かった(全 P < 0.05)が、心内膜側は僧房弁、乳頭筋、心尖部 レベルで両群に有意差はみられなかった。HCM 症群で、心内膜側/心外膜側 GLS 比は心尖部 4、2、3 腔像の全てで、正常群と比 較して有意差を認めなかった。心内膜側/心外膜側 GCS 比は僧房弁、心尖部レベルで、正常群と比較して有意に大きく(両 P < 0.01)、 乳頭筋レベルでも有意ではないが正常群と比較し大きい傾向にあった(P = 0.067)。結語:左室駆出率保持型 HCM 群では、正常群 と比較し、心内膜側/心外膜側 GLS 比は有意差を認めないが、心内膜側/心外膜側 GCS 比は大きい傾向にあった。左室既出率保持 型 HCM 群では正常例と比較し、心内膜側 GLS の低下の代償として心内膜側 GCS が維持され、心内膜側/心外膜側 GCS 比が有意 に上昇した可能性が示唆された。 187 一般口演 【緒言】心室内血流パターンは、心収縮能および拡張能の影響を受けて変化する。Vector Flow Mapping (VFM) は、カラー B モー ド画像から心内血流の速度ベクトルを可視化する技術である。速度ベクトル分布から算出した、血流の粘性摩擦によるエネルギー 損失 (EL) は、左室内血流の分布を数値化した指標であり、心機能を反映すると考えられる。 【目的】小児において、左室内に生じる EL の基準値を明らかにする。 【対象と方法】正常小児 48 名 ( 男児 29 名 ) を対象に、心尖部五腔像のエコー動画を VFM で解析し、収縮期と拡張期に左室内に生じ る単位時間あたりの EL を算出した。計測は 3 心拍で行い平均し、体表面積 (BSA) で補正した。 【結果】解析対象の年齢は 7.1 ± 4.1 (1.1-15.9) 歳、心拍数は 92 ± 17 bpm であった。収縮期 EL は 3.30 ± 1.62 mW/m/m2BSA、拡張 期 EL は 13.65 ± 7.96 mW/m/m2BSA であった。収縮期 EL は年齢と負の相関 (r=-0.69, p < 0.001)、心拍数と正の相関 (r=0.85, p < 0.001) を有し、拡張期 EL は年齢と負の相関 (r=-0.81, p < 0.001)、心拍数と正の相関 (r=0.66, p < 0.001)、E 波高と正の相関 (r=0.32, p < 0.05) を認めた。重回帰分析により以下の予測式を得た。 log10 ( 収縮期 EL) =- 0.277 - 0.00142 ×年齢 ( 月 ) + 0.00927 ×心拍数 (bpm) (R2 0.781, p < 0.001) log10 ( 拡張期 EL) = 0.317 - 0.00299 ×年齢 ( 月 ) + 0.00603 ×心拍数 (bpm) + 0.00427 × E 波高 (cm/s) (R2 0.793, p < 0.001) 【考察】年齢と心拍数を独立した説明変数として収縮期 EL が予測でき、年齢、心拍数と E 波高を独立した説明変数として拡張期 EL が予測できる。今後は、様々な心疾患の症例で左室内 EL を計測して予測値と比較し、EL の臨床的有用性が解明されていくこと が期待される。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O15-1 右室自由壁の circumferential strain は、longitudinal strain よりも右室機能解析に有用である 早渕 康信、阪田 美穂、香美 祥二 徳島大学大学院 小児医学分野 【背景】先天性心疾患において右室機能評価は重要であるが、簡便で合理的な方法は確立されていない。右室機能は Longitudinal strain(LS) などの長軸方向の解析が汎用され、円周方向の収縮能である Circumferential strain(CS) を検討した報告はない。これは傍 胸骨からの右室描出が CS 測定に不適であることに起因する。我々は剣状突起下心窩部アプローチで左室短軸像を描出し、同断面に おける右室自由壁の CS 測定を試みた。【目的】右室自由壁の CS を解析し、有用性を検討する。【対象】0.5 ~ 3 歳の正常小児群 27 例及び右室圧負荷群(肺動脈狭窄、心室中隔欠損)21 例である。【方法】心窩部から短軸像を描出し、右室自由壁の global-CS を計 測した。さらに右室自由壁の CS を左側 (Lt-CS)、中央 (Mid-CS)、右側 (Rt-CS) に分割して検討した。LS は心尖部四腔断面の右室自 由壁から計測した。【結果】正常群では global-CS は、-23.6 ± 5.5% であった。QRS 波から Peak strain までの時間は Lt-CS で他区域 よりも有意に早かったが、Peak strain は有意に低値であった (Lt:-18.9 ± 7.7%, Mid:-25.8 ± 5.7%, Rt:-26.1 ± 6.5%; p < 0.05)。右室圧 負荷群では、global-CS は -17.3 ± 7.1% であり、Rt-CS が他区域よりも有意に高値であった (Lt:-12.9 ± 8.7%, Mid:-14.8 ± 9.1%, Rt:-24.1 ± 7.5%; p < 0.05)。global-LS、global-CS ともに右室収縮期圧と負の相関を認めた (r=-0.51, -0.54; p < 0.01)。RVEF, RVFAC との相 関は、global-CS が、global-LS よりも優れていた (r=0.79 vs 0.51, r=0.80 vs 0.62)。 【結論】右室負荷症例における右室自由壁の CS 解 析は、LS 解析よりも有用である。 O15-2 乳児期早期の心室中隔欠損症における組織ドプラ法による心筋壁運動の検討 橋田 祐一郎、坂田 晋史、倉信 裕樹、美野 陽一、船田 裕昭、神埼 晋 鳥取大学 医学部 周産期小児医学分野 一般口演 【緒言】組織ドプラ法 (TDI) は、心室壁運動の定量的な評価法として用いられているが小児の心室中隔欠損症 (VSD) における検討は 少ない。【目的】TDI を用いて乳児期早期の VSD における心筋壁運動について検討する。【対象・方法】対象は、生後 3 ヶ月未満の VSD(V 群 ):62 例と器質的心疾患のない対照 (N 群 ):30 例。V 群は、左室拡張末期径 (LVIDd) により容量負荷あり (A 群 ,LVIDd ≧ 115%normal):34 例となし (B 群 ,LVIDd < 115%normal):28 例に分類。さらに A 群は、手術を要した群 (C 群 ):21 例と要さなかった群 (D 群 ):13 例に分類した。エコー機器は東芝製 Aplio 或いは GE 社製 S6 で、TDI は心尖部四腔断面像より心室中隔 (sep)、左室自由壁 (LV. lat)、右室自由壁 (RV.lat) の弁輪部における拡張早期速度 (e’ )、心房収縮期速度 (a)、収縮期速度 (s) を測定し、e’ 、a、s、E/e’ (E: 心室 流入波形 E 波。sep と LV.lat では左室流入波形 E 波、RV.lat では右室流入波形 E 波を使用 ) について比較検討した。また、A 群の 中で BNP の測定が可能であった 17 例において、E/e’ と BNP との相関関係について検討した。【結果】B 群と N 群では有意差はなかっ たが、A 群は B 群と比較して e’ は有意に低値 (sep & RV.lat:p < 0.01,LV.lat:p < 0.001)、E/e’ は有意に高値 ( すべての部位で p < 0.001) であった。C 群は全例が肺高血圧を合併し、D 群と比較して RV.lat の e’ と s が有意に低値であった (p < 0.05)。sep の E/e’ と BNP の間に有意な正の相関関係を認めたが (p < 0.05,r=0.55)、LV.lat と RV.lat の E/e’ には認めなかった。【結語】VSD は、容量負荷に伴 い心室の拡張障害を来たし、手術を要する症例では PH の合併に伴いさらなる右室の壁運動障害 ( 拡張障害及び収縮障害 ) を来たし ていることが示唆された。 O15-3 右室圧負荷を有する先天性心疾患症例では心室中隔の心筋進展性が低下する―DWS を用いた心室中 隔のスティフネス測定― 阪田 美穂 1、早渕 康信 1、森 一博 2、香美 祥二 1 1 徳島大学病院 小児科、2 徳島県立中央病院 【背景】左室スティフネスを定量的に評価する指標として diastolic wall strain (DWS) が提唱されている。左室 M-mode の記録から 左室後壁厚の変化を用いて計測される指標であり、スティフネスと負の相関関係にある。一方、右室圧負荷を有する先天性心疾患 では心室中隔の肥大が進行し、左室拡張能および進展性に影響を与える可能性があるが、心室中隔のスティフネスを検討した報告 はない。我々は、同病態において心室中隔と左室後壁のスティフネスは異なる変化を呈するのではないかと仮説を立てた。【目的】 DWS を用いて右室圧負荷を呈する症例における心室中隔および左室後壁スティフネスを検討する。【方法】対象は 0 ~ 1 歳の正常 小児 13 例 (A 群 )、右室圧負荷症例 ( ファロー四徴症、肺動脈弁狭窄、肺動脈絞扼術後症例 )8 例 (B 群 ) である。左室 M-mode を用い て左室収縮末期後壁厚 (LVPWs)、左室拡張末期後壁厚 (LVPWd)、心室中隔収縮末期壁厚 (IVSs)、心室中隔拡張末期壁厚 (IVSd) を計 測し、DWS( 後壁 )=(LVPWs-LVPWd)/LVPWs、DWS( 中隔 )=(IVSs-IVSd)/IVSs として算出した。【結果】DWS( 中隔 ) は A 群に比 し B 群で有意な低値を示した (0.34 ± 0.22 vs 0.22 ± 0.09、p=0.008)。DWS( 後壁 ) は A 群と B 群で有意差を認めなかった (0.44 ± 0.09 vs 0.38 ± 0.09)。【考察】右室圧負荷により心室中隔のスティフネスは亢進するが、左室後壁のスティフネスは影響を受けなかった。 スティフネスは左室壁において一様ではないことが示唆された。 188 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O15-4 正常小児における三次元心エコー法を用いた左室容積評価 藤岡 泰生 1、新居 正基 1、石垣 瑞彦 1、松尾 久実代 1、濱本 奈央 1、佐藤 慶介 1、芳本 潤 1、金 成海 1、 満下 紀恵 1、小野 安生 1、瀧聞 浄宏 2、高橋 健 3、田中 昇 3、豊野 学朋 4、岩島 覚 5、井上 奈緒 6 1 5 静岡県立こども病院 循環器科、2 長野こども病院 循環器小児科、3 順天堂大学附属病院 小児科、4 秋田大学附属病院 小児科、 浜松医科大学附属病院 小児科、6 聖隷浜松病院 小児循環器科 【はじめに】心室容積は治療方針決定の際の重要なパラメーターの一つである。三次元心エコー法 (3DE) による心室容積計測の精度 の高い評価が可能だが、心臓 MRI と比較し、3DE での計測値が有意に小さくなることが知られている。Modality 間での計測誤差を 克服できない現状下では 3DE による左室容積の正常値を確立することが急務と考えられた。 【目的】3DE による左室容積の小児正常値の確立。 【対象と方法】対象:正常小児 170 例 (4-18 歳 )。方法:IE-33(PHILIPS) を用いて心尖部からの 3DE データ (4 心拍 ) を可能な限り呼 気位にて記録。解析には QLAB9.0(PHILIPS) を使用し、左室拡張末期容積 (LVEDV) および収縮末期容積を計測。1 セグメント以上 の記録不良例 , stitching noise の強い症例は解析から除外。心室容積の正規化には先行研究にて使用されている体表面積の 1.38 乗 (BSA^1.38)を使用。 【結果】142 例 (84%) で解析可能であった :A 群(8 歳未満): 52 例 ( 男 / 女 =30/22、年齢 (mean ± SD )6.7 ± 0.7 歳 ); B 群 (8 歳以上 11 歳未満 ): 57 例 ( 男 / 女 =23/34, 9.6 ± 0.8 歳 ); C 群 (11 歳以上 ): 33 例 ( 男 / 女 =19/14、12.9 ± 2.0 歳 )。 LVEDV(ml): A 群:52.5 ± 8.4;B 群:65.3 ± 10.5;C 群:86.5 ± 22.3 で全ての群間で有意差を認めた。A 群、C 群では男女間に有意差を認めなかったが、B 群では男の方が有意に大きかった。 LVEDVI(ml/m^1.38):A 群:64.5 ± 9.1;B 群:60.7 ± 9.6;C 群:57.1 ± 7.0 で A と C 群の間 に有意差を認めたが、各群における男女の LVEDVI に有意差は認めなかった。 【まとめ】84% の児童において 3DE による左室容積計測が可能であった。正規化を行っても群間での有意差を認め、年齢毎の正常 値設定が必要であることが示唆された。 O15-5 正常小児における僧房弁輪面積の心周期変化についての検討 石垣 瑞彦 1、新居 正基 1、松尾 久実代 1、藤岡 泰生 1、佐藤 慶介 1、芳本 潤 1、金 成海 1、満下 紀恵 1、 瀧聞 浄宏 2、高橋 健 3、田中 昇 3、豊野 学朋 4、岩島 覚 5、小野 安生 1 1 5 静岡県立こども病院 循環器科、2 長野こども病院 循環器小児科、3 順天堂大学附属病院 小児科、4 秋田大学附属病院 小児科、 浜松医科大学附属病院 小児科 O16-1 急性心筋梗塞 (AMI) 患者における、心肺運動負荷試験 (CPX) のパラメータと、心エコー検査 (UCG) の測定値との関係 鹿田 智揮、西 淳一郎、田代 英樹 雪の聖母会 聖マリア病院 循環器内科 【背景・目的】UCG の測定値と実際の運動耐容能との関係はあまり知られていない。AMI の患者に CPX を行うことは、心臓リハビ リテーション時の負荷量決定や、患者予後の推定にも非常に有用である。UCG における様々な指標のうちどれが実際の運動耐容能 を反映するかを検討するため、当院において CPX を受ける AMI 患者に対して UCG を行い、CPX でのパラメータと UCG での測定 値の相関を検討した。【方法】当院に AMI で入院した患者 18 例 (62 ± 11 歳、女性 8 例 ) を対象に、退院前 ( 発症後平均 13.8 日後 ) に UCG および CPX を同日に行った。UCG で Biplane LVEF、E 波、A 波、E/A、e’ 、E/e’ 、ICT、IRT を測定した。CPX では嫌気 性代謝閾値 (AT)、最高酸素摂取量 (peak VO2)、CO2 換気当量 (VE/VCO2 slope)、Δ VO2/ Δ WR を測定した。各々に対して相関の 有無を解析した。【結果】AT と有意に相関したのは A 波 (p < 0.01、r2 = 0.410) であった。peak VO2 と有意に相関したのは A 波 (p (p < 0.01、r2 = 0.507)、E/e’ (p < 0.01、r2 = 0.458) で あ っ た。VE/VCO2 slope と 有 意 に 相 関 し た の は < 0.01、r2 = 0.552)、e’ 2 2 (p < 0.05、r = 0.387) であった。Δ VO2/ Δ WR と有意に相関したのは A 波 (p < 0.05、r2 = 0.318)、 LVEF(p < 0.05、r = 0.341)、E/e’ 2 、E/e’ といった左室拡張能に関する指標と相関する傾向にあっ E/e’ (p < 0.05、r = 0.276) であった。【結論】CPX のパラメータは A、e’ た。AMI 患者の運動耐容能は、左室拡張能と密接に関連する可能性が示唆された。 189 一般口演 【背景】僧帽弁輪運動は弁機能の維持に重要な役割を果たしていることが知られている。しかし、弁輪面積の心周期変化については 未だ統一された見解がない。成人領域での報告では弁輪面積が心室収縮期に縮小し拡張期に増大することが報告されている.一方, 小児においては収縮末期に最大になるとの報告がある。 【目的】正常小児における僧房弁輪面積の心周期変化を明らかにする。 【対象・ 方法】対象は、過去 3 年間に当院で行った学童心臓超音波検診に参加した 4 歳から 18 歳の健常小児 179 名。このなかから心尖部 biplane エコーにて弁輪中央と弁輪両端が全心周期に渡って記録されており、かつ弁輪の tracking 解析が可能であった 30 名(男 19 名、 女 11 名、年齢:中央値 8.6 歳(4~18 歳) )を抽出した。tracking 解析が可能かどうかの判断は検者が視覚的に判断した。【結果】僧 房弁輪面積が最大となる時相について 2 群に分類された:収縮末期群 23 名、拡張期群 7 名。2 群間について以下の指標について比 較を行った:年齢、性別、肥満度、体血圧、左室流入血流速度、肺静脈血流速度、組織ドプラ(中隔および左室自由壁)、左房容積。 いずれの指標についても有意差を認めなかった。心周期における僧房弁輪面積の変化は、拡張期群では左室容積の変化に類似する 一方で、収縮末期群では、左房容積の変化に類似していた。【考察・結語】正常小児における僧房弁輪面積変化には大きく2つのパター ンがあることが示された。これらに影響を与える因子については不明であるが、弁輪のコンプライアンスの高い小児においてはそ の面積変化が左房容積の影響を受けやすいことが示唆された。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O16-2 小児から成人の拡張早期の左室内圧較差の発生機序―流体力学を用いた新たな左室拡張能の解析方法 による検討― 高橋 健 1、松井 こと子 1、田中 登 1、新居 正基 2、瀧聞 浄宏 3、豊野 学朋 4、岩島 覚 5、稀代 雅彦 1、 板谷 慶一 6、宮地 鑑 6、清水 俊明 1 1 順天堂大学 医学部 小児科学教室、2 静岡県立こども病院 循環器科、3 長野県立こども病院 循環器科、 秋田大学大学院医学研究科 医学専攻 機能展開医学系小児科学講座、5 浜松医科大学 小児科学講座、6 北里大学 血流解析学講座 4 【背景】拡張早期の左室内圧較差 (IVPG) による左室への血液の急速流入は、左室拡張能の重要な要素であるが、その発生機序は明 らかではなく、小児のデータも存在しない。【目的】小児から若年成人の IVPG の評価と、IVPG 形成に関与する要素を明らかにす ること。【方法】対象は 4 歳から 47 歳の健常児及び健常成人 43 例。心尖部四腔断面像のカラー M モード画像より、全左室、心基部、 乳頭筋部及び心尖部 IVPG をオイラーの方程式を用いて測定した。またスペックルトラッキング法により、乳頭筋部の左室短軸像の 円周方向ストレイン及び四腔断面像の縦方向ストレイン (CS 及び LS) と拡張期ストレインレート (CSR 及び LSR) を測定した。また 左室捻じれ角度と拡張期の捻じれ戻り角速度、ま拡張早期のストレイン及び捻じれ角度の戻り量を計測した。【結果】IVPG は、大 動脈弁閉鎖から 83.5 + 25.1 msec でピークに到達した。全左室、心基部、乳頭筋部及び心尖部の IVPG はそれぞれ 3.0 + 0.5、2.0 + 0.4、 0.8 + 02 及び 0.2 + 0.2mmHg であった。全左室 IVPG は年齢、CS, 及び CS の戻り量と負の相関を示し、CSR と正の相関を示した ( 全 て p < 0.01)。しかし左室捻じれ角度や戻り角速度、LS、LSR とは相関を示さなかった。各部位の IVPG については、拡張早期の CS の戻り量のみが、心基部及び乳頭筋部の IVPG と負の相関を示した。【結論】IVPG は加齢にともなって低下する傾向にあり、円 周方向のストレイン、ストレインレート及びストレインの戻り量が、安静時の IVPG 発生に関与する。これは左室拡張能の新たな知 見である。 O16-3 肥満が日本人健常高齢女性の心機能に与える影響 中尾 倫子 1、大門 雅夫 1、川田 貴之 2、木村 公一 2、宇野 漢成 3、山崎 力 4、竹中 克 5、矢冨 裕 1、 小室 一成 2 1 東京大学 医学部附属病院 検査部、2 東京大学 医学部附属病院 循環器内科、 東京大学 医学部附属病院 コンピュータ画像診断学 予防医学講座、4 東京大学 医学部附属病院 検診部、 5 日本大学 板橋病院 循環器内科 3 一般口演 【目的】左室拡張能低下は加齢とともに進行する。女性は男性と比較して、50 代以降に顕著な左室拡張能の低下を認め、高齢者拡張 心不全との関連が示唆されている。一方、肥満は健常人の左室拡張能の低下や左室心筋重量の増加を引き起こすことが知られている。 本研究では、日本人健常高齢女性の心機能に対する肥満の影響を検討した。【方法】2008 年 1 月から 2012 年 7 月まで当院検診部女 性受診者のうち、年齢が 50 歳以上であり、糖尿病、高血圧、心疾患または癌の既往のない受診者 122 名 (64 ± 7 歳 ) を対象とした。 経胸壁心エコーで、パルスドプラ法により左室早期 (E) および後期 (A) 流入血流速度を測定し、組織ドプラ法により中隔側僧帽弁輪 部収縮期 (s,) 拡張早期 (e,) および後期 (a,) 移動速度を測定した。E と (e,) の比である E/(e,) を左室拡張充満圧上昇の指標として用いた。 肥満指数(Body mass index: BMI)22 以下の理想体重群 (73 名 )、BMI23 ~ 24 の正常群 (30 名 )、BMI25 以上の肥満群 (19 名 ) の 3 群に分け、各群間で左室拡張能指標および左室心筋重量指標を比較した。【成績】E/(e,) は肥満群 (11.1 ± 3.5) と比較し、理想体重群 (9.3 ± 2.2) で有意に低値であった (p < 0.05)。左房容積指数は、正常群 (30.8 ± 12.8ml/m2) と比較し、理想体重群 (24.3 ± 11.7ml/m2) で有 意に低下していた (p < 0.05)。また左室心筋重量係数は、理想体重群 (68.1 ± 14.5g/m2) において、肥満群 (77.2 ± 12.4g/m2) と比較し 有意に低値であった。左室収縮能の指標である左室駆出率や (s,) は 3 群間で有意差は認めなかった。【結論】日本人健常高齢女性に おいて、理想体重を維持することで左室拡張能の低下や心肥大を軽減できる可能性が示唆された。 O16-4 運動負荷心エコーによる拡張早期の左室内圧較差の発生機序の解析―流体力学を用いた新たな左室拡 張能の解析方法による検討― 松井 こと子 1、高橋 健 1、田中 登 1、小林 真紀 1、秋元 かつみ 1、稀代 雅彦 1、板谷 慶一 2、宮地 鑑 2、 清水 俊明 1 1 順天堂大学 小児科、2 北里大学 血流解析学講座 【背景】拡張早期の左室内圧較差 (IVPG) による左室への血液の急速流入は、左室拡張能の重要な要素であるが、その発生機序は明 らかではない。【目的】運動負荷心エコーを用いて IVPG の発生機序を解明する。【方法】対象は 22 歳から 32 歳の健常者 18 例で、 臥位エルゴメーターを用い運動負荷中の超音波を施行した。心尖部四腔断面像のカラー M モード画像からオイラーの方程式を用い IVPG を測定した。スペックルトラッキング法及び組織ドプラ法により、左室捻じれ角度及び捻じれ戻り角速度、乳頭筋部左室短軸 像の円周方向ストレイン (CS) 及び拡張期ストレインレート (CSR)、左室長軸長変化率 (LS) 及びその変化速度 (LSR) を測定した。更 に拡張早期におけるピーク値からの捻じれ戻り角度、CS 及び LS の戻り量 (%) も計測した。【結果】IVPG は安静時、50W 負荷時、 100W 負荷時にそれぞれ 2.8 ± 0.6、4.8 ± 1.2、5.4 ± 1.1 mmHg であった。各負荷条件においては、CS 戻り量のみが全運動負荷ステー ジで IVPG と相関し、CS、CSR 及び LSR が 100W 負荷時に IVPG と相関を示した。全運動負荷ステージを通しての統計解析では、 IVPG は左室捻じれ角度及び CSR と正の相関を、捻じれ戻り角速度 , CS, LSR、CS 戻り量とは負の相関を示した。多変量解析では、 捻じれ戻り角速度、CS 戻り量、LSR が独立した IVPG の規定因子であった。【結論】安静時は CS 戻り量のみが IVPG と相関するが、 運動時には左室の捻じれ戻り速度、長軸方向の左室長伸展速度も関与しつつ IVPG が増加した。これらは左室拡張能の新たな知見で ある。 190 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O16-5 高血圧における長軸方向心筋短縮能は遠心性肥大より求心性肥大でより高度に低下する 岡田 一範 1、山田 聡 2、西野 久雄 3、村井 大輔 2、林 大知 2、中鉢 雅大 3、横山 しのぶ 3、加賀 早苗 4、 三神 大世 4、筒井 裕之 2 1 北海道大学大学院 保健科学院、2 北海道大学大学院 循環病態内科学、3 北海道大学大学院 検査・輸血部、 北海道大学大学院 保健科学研究院 4 【背景】高血圧性心疾患(HHD)では、左室駆出率(LVEF)が保たれていても左室心筋の長軸方向短縮は低下することが知られて いるが、左室形態による差異は明らかでない。そこで、求心性肥大(CH)と遠心性肥大(EH)で心筋短縮能を比較した。 【方法】対象は、LVEF が 50% 以上に保たれた HHD 連続 46 例と年齢を合わせた健常対照(N)29 例。HHD は、CH(32 例)と EH(14 例)に分類した。心尖部四腔像で 2 次元スペックルトラッキング法を行い、左室長軸方向グローバルストレイン(GLS)を 計測した。また、収縮末期の子午線方向壁応力(MWS)を算出し、応力で補正した心筋短縮能の指標として応力・ストレイン積(SSP) を MWS × (-GLS) の式により算出した。 【結果】CH では EH に比し、左室拡張末期径が有意に小(46.9 ± 3.3 vs 50.4 ± 4.0 mm, p < 0.01)、平均壁厚が有意に大(12.2 ± 1.4 vs 10.6 ± 0.8 mm, p < 0.01)であったが、収縮期血圧(147 ± 19 vs 147 ± 23 mmHg)と左室心筋重量係数(129 ± 21 vs 121 ± 18 g/m2)には差を認めなかった。MWS は、CH で EH より有意に小(490 ± 137 vs 589 ± 130 dynes/mm2, p < 0.05)であった。 GLS は、CH(-12.9 ± 3.2%, p < 0.001)と EH(-14.7 ± 2.8%, p < 0.05)でともに N(-16.9 ± 3.0%)より有意に低下していたが、 CH と EH の間には差を認めなかった(p=0.07)。一方、SSP は、CH(63 ± 23 dynes/mm2, p < 0.001)と EH(87 ± 29 dynes/ mm2, p < 0.05)でともに N(108 ± 36 dynes/mm2)より有意に低下しており、EH に比し CH で有意に低下していた(p < 0.05)。 【結論】高血圧性心疾患において、左室心筋固有の長軸方向短縮能は遠心性肥大よりも求心性肥大の症例でより高度に障害されてい ることが示唆された。 O17-1 大動脈縮窄症術後患者における LV stiffness ~ Diastolic wall strain を用いた検討~ 林原 亜樹 1、石川 友一 2、佐川 浩一 3、中村 真 3、牛ノ濱 大也 3、石川 司朗 3、總崎 直樹 4 1 福岡市立こども病院・感染症センター 検査部、2 榊原記念病院 循環器小児科、3 福岡市立こども病院・感染症センター 循環器科、 福岡市立こども病院・感染症センター 新生児循環器科 4 O17-2 スペックルトラッキング法を用いた長軸方向心筋仕事量算出の試み:高血圧性心疾患と肥大型心筋症 への応用 西野 久雄 1、山田 聡 2、岡田 一範 3、村井 大輔 2、林 大知 2、市川 絢子 1、中鉢 雅大 1、横山 しのぶ 1、 加賀 早苗 3、西田 睦 1、清水 力 1、三神 大世 3、筒井 裕之 2 1 北海道大学病院 検査輸血部、2 北海道大学 大学院 循環病態内科学、3 北海道大学 大学院 保健科学研究院 【背景】高血圧性心疾患(HHD)と肥大型心筋症(HCM)では長軸方向心筋ストレイン(LS)が低下するが、血圧や壁厚が異なる 症例間で心筋短縮能を比較するには、壁応力を考慮し仕事量を算出する必要がある。スペックルトラッキング法を用いて長軸方向 心筋仕事量の算出を試み、両疾患に適用した。【方法】左室肥大を呈し、左室駆出率(EF)が保たれた HHD 38 例、HCM 40 例と、 健常対照(N)30 例で、収縮期血圧と収縮末期の左室径、平均壁厚から子午線方向壁応力(MWS)を算出した。心尖部四腔像のグロー バル LS を計測し、その絶対値を MWS に乗じ、局所の長軸方向仕事量を表す応力・ストレイン積(SSP)を求めた。MWS は単位 断面積当たりの張力なので、心室中部短軸像で心筋断面積を計測し、SSP に乗じることで、左室全体の長軸方向仕事量を算出した。 【結 果】収縮期血圧は N と HCM より HHD で高かった。心筋重量係数は HHD より HCM で大きかった。LS は、N(-15.7 ± -3.0%)に 比し HHD(-13.6 ± -3.2%, p < 0.01)と HCM(-10.9 ± -3.3%, p < 0.001)で低下しており、HHD より HCM で小さかった(p < 0.001)。 SSP は N(99 ± 34 × 102·dyn·cm-2)に比し HHD(72 ± 29 × 102·dyn·cm-2, p < 0.001)と HCM(35 ± 18 × 102·dyn·cm-2, p < 0.001) で低下しており、HHD より HCM で低かった(p < 0.001)。左室全体仕事量は、N(1437 ± 517 × 102·dyn)に比し HHD では差は 、HCM で低下しており(920 ± 412 × 102·dyn, p < 0.001)、HHD より HCM で低かった(p なく(1537 ± 624 × 102·dyn, p=0.49) < 0.001)。【結論】HHD と HCM では、LS のみならず単位断面積の長軸方向心筋仕事量が、HCM ではさらに左室全体の長軸方向仕 事量が低下している可能性が示された。 191 一般口演 【背景】非侵襲的 LV stiffness 評価法として、近年心エコー M-mode 法から算出される Diastolic Wall Strain(DWS) が考案され、拡 張障害型心不全 (HFpEF) の予後予測に有用とされる。一方、先天性心疾患である大動脈縮窄 (CoA) では、手術にて圧較差なく修復 された後も高血圧や心肥大が進行することが知られており、若年時より左室拡張障害を有する可能性が指摘されている。【目的】 CoA 術後患者の LV stiffness を DWS から評価する。【対象】当院にてフォロー中の CoA および大動脈離断症 (IAA) 術後患者 156 例 (CoA 群:年齢 9.6 ± 6.8 歳、男性 87 例 )。心雑音や胸痛で当院受診し異常を指摘されなかった症例および川崎病後の 24 例(Control 群:年齢 7.4 ± 5.0 歳、男性 16 例)を正常対象とした。【方法】GE 社製 VividE9 および Vivid7 を用いて左室乳頭筋レベル短軸像 M-mode 法による記録から DWS を算出し、年齢や各種血行動態指標との相関について検討し、群間比較を行った。【結果】DWS は 両 群 と も 年 齢 と の 有 意 な 相 関 は な く 一 定 で あ り、 群 間 比 較 で は 有 意 に CoA 群 で 低 値 で あ っ た(0.38 ± 0.11 vs 0.47 ± 0.07、 p=0.0001)。CoA 群で AS(Vmax > 2.0m/s), reCoA(Vmax > 2.5m/s) を除いた 110 例においても DWS は 0.38 ± 0.11 と低値であった (p=0.0002)。また、BNP、EF、LVPWTd との有意な相関は認められなかった。DWS と AS の流速および CoA の流速とは有意な相 関を認めず、また CoA 群内で AS・reCoA を除いた群と AS 群および reCoA 群の DWS には有意差は認められなかった (p=0.974、 p=0.754)。カテーテル検査を行っている 25 例においても LVp や EDP との有意な相関は得られなかった。【結論】CoA/IAA 術後患 者では reCoA/AS の有無にかかわらず DWS が低値である。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O17-3 高齢者において、diastolic wall strain 低値の患者は運動負荷後に E/E’ 高値となりやすい 高木 力 1、川上 祥一 1、高木 厚 2 1 高木循環器科診療所、2 東京女子医科大学循環器内科 【目的】左室の硬さの指標である diastolic wall strain (DWS) と安静時の左室 流入血速波形 E 波と僧帽弁移動速度波形 E’ の比、E/E’ との関係についての 報告はあるが、運動負荷後 E/E’ との関係についての報告はない。本研究の 目的は DWS と運動負荷後 E/E’ の関係を検討することである。【方法】トレッ ドミル負荷心エコー図検査を実施した高齢者のうち、負荷後に左室壁運動異 常の出現を認めなかった 58 例(年齢 74 ± 6 歳)について、DWS と負荷後 E/E’ を測定した。DWS ≦ 0.33 を DWS 低値群とした。【結果】18 例が DWS 低値群であった。DWS 低値群は高値群と比較してより高齢であり(77 ± 6 歳 vs 73 ± 5 歳、p = 0.0182) 、負荷後 E/E’ が高値であった(17.9 ± 3.2 vs との間には r2 = 0.534、p < 0.0001 12.8 ± 3.3、p < 0.0001)。DWS と負荷後 E/E’ の負の相関を認めた(図)。DWS ≦ 0.33 を基準値とすると、負荷後 E/E’ ≧ 15 を陽性的中率 = 94%、陰性的中率 = 85% で診断できた。【結語】DWS は 負荷後 E/E’ との間に負の相関を認める。DWS ≦ 0.33 は高い精度で負荷後 E/E’ ≧ 15 を診断できる。 O17-4 睡眠時無呼吸症候群患者における両心機能の検討 -2D speckle tracking image を用いて - 松井 泰樹、茅野 博行、福岡 裕人、土至田 勉、安達 太郎、木庭 新治、小林 洋一 昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門 一般口演 目的:睡眠時無呼吸症候群(SAS)は心機能の低下と関連があるとされており、特に左室機能を低下させるという報告がある。今 回我々は心機能の保たれた症例において閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の重症度と左室並びに右室機能の相関について検討した。方法: アプノモニターにて SAS が疑われ睡眠時ポリソムノグラフィ (PSG) を施行した患者のうち、OSA の症例 79 人を apnea hypopnea index(AHI) を用いて正常例 (AHI <5、6 人 ) と軽症群 ( 5 ≦ AHI < 30、27 人 ) と重症群 (30 ≦ AHI、46 人 ) に分類した。2D speckle tracking image を用いて左室の longitudinal、radial、circumferential のそれぞれで global systolic strain(S)、systolic strain rate(SRs)、diastolic strain rate(SRr) を計測した。また、右室自由壁においても S、SRs、SRr を計測した。加えて、平均肺動脈圧、 肺血管抵抗を算出し OSA の重症度との相関について検討した。結果: 中隔と後壁の壁厚は重症 OSA 群で有意に高値であった。平 均肺動脈圧、肺血管抵抗は重症 OSA 群で有意に高値であったが、右室収縮末期圧に有意差は認めなかった。左室における longitudinal の SRs、SRr はいずれも重症 OSA 群で有意に低下していた。また、左室の longitudinal の S,SRs SRr は AHI と良好な 負の相関を示した (S:R=-0.52, p < 0.01 SRs:R=-0.4 p < 0.01 SRr:R=-0.43 p < 0.01)。右室自由壁における longitudinal の SRs、SRr value は重症 OSA 群において有意に低下していた。また、右室自由壁の longitudinal S,SRr は AHI と良好な負の相関を示した (S:R=-0.25, p < 0.05 SRr: R=-0.32 p < 0.01)。結論 : 重症 OSA の患者では左室収縮能、拡張能に加え、右室機能も低下している事が 推測される。 O17-5 左室 2 次元 Global Strain のマルチレイヤー解析による心内膜側依存率を用いた左室駆出率保持型 肥大型心筋症における心筋特性評価 小澤 公哉 1、船橋 伸禎 1、高岡 浩之 1、鎌田 知子 2、齋藤 真理子 2、金枝 章予 2、小林 欣夫 1 1 千葉大学大学院 医学研究院 循環器内科学、2 千葉大学医学部付属病院 検査部 目的:左室駆出率保持型肥大型心筋症 (HCM) の経胸壁心エコー左室 2D global longitudinal (GLS) と circumferential strain(GCS) のマルチレイヤー解析を行い、左室心内膜側依存率を計測、意義を評価する。方法: 経胸壁心エコー (Vivid E9) を施行し左室躯出 率 50% 以上の HCM18 例(男性 13 名、62 ± 16 歳)と正常例 8 例(男性 4 名、年齢 58 ± 21 歳)に Echo PAC を用いて GLS は心 尖部 4、2、3 腔像、GCS は傍胸骨短軸像の僧房弁、乳頭筋、心尖部レベルの全層、さらにマルチレイヤー解析により心内膜側と心 外膜側の計測を行い、心内膜側 - 心外膜側 / 心外膜側× 100(%) を心内膜側依存率とした。結果:HCM で、GLS は心尖部 4、2、3 腔 像の全層、心内膜側、心外膜側すべてで、正常群と比較して有意に低かった(全 P < 0.001)。GCS は乳頭筋、心尖部レベルで、全 層と心外膜側で、正常群と比較して有意に低かった(全 P < 0.05)が、心内膜側は全レベルで両群に有意差はみられなかった。僧 房弁、乳頭筋レベルの GCS の心内膜側依存率は左室拡張末期径、収縮末期径と中等度の負の相関(-0.73、-0.69(僧房弁レベル)、 -0.65、-0.74(乳頭筋レベル)を示した。心尖部 2 腔像での心内膜側依存率は、僧房弁 E/E’ と中等度の正の相関(0.57)を示した。 結語:左室駆出保持型 HCM では GLS 全体が低下し、心内膜側の GCS で維持する傾向にあるが、心内膜側依存率は左室サイズと負 の相関を呈し、左室拡大とともに減弱すると考えられた。 192 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O18-1 前壁中隔の壁運動低下を伴った感染性心内膜炎の一例 藤巻 晴香、関根 泰、時政 聡、葛 備、濱 義之、田中 秀造、外池 範正、芳生 旭志、松戸 裕治、 山本 雅史、氷見 寿治 君津中央病院 循環器科 症例は 77 歳女性。糖尿病で他院通院中であったが、1 週間続く腰痛、両膝 痛を主訴に他院に入院、炎症反応が高値で抗生剤が投与開始された。3 日後、 意識混濁、ショックバイタルとなり当院に転搬送された。化膿性脊椎炎、膝 関節炎による敗血症性ショックの診断で集中治療室に入室した。当直医の経 胸壁心エコー図では前壁中隔の高度壁運動低下、軽度大動脈弁閉鎖不全を指 摘、血液培養、膝関節液培養からブドウ球菌が検出されたため経食道心エコー 図検査を行った。大動脈弁、弁輪の破壊所見はないが、無冠尖に付着するひ も状、3cm 大の疣贅を認め、疣贅は左冠動脈入口部に嵌入していた。感染性 心内膜炎、疣贅による左冠動脈主幹部の虚血の診断で同日に緊急で大動脈弁 置換術を施行した。術中所見では大動脈弁無冠尖弁腹に長さ 5cm の扁平な ひも状疣贅が付着しており、先端は左冠動脈主幹部内に陥入していた。術後 19 日目の経胸壁心エコー図検査では前壁中隔の壁運動は改善していた。疣 贅による高度の虚血を呈した稀有な症例であり、症例を報告する。 O18-2 経胸壁心エコー図検査にて治療効果を経過観察しえたレフレル心内膜炎の一例 内藤 博之 1、高田 裕之 1、小池 未奈 1、根本 綾 1、菅原 梢 1、近藤 洋子 1、北條 義明 2、新木 義弘 2、 笠間 周 2、金井 宏義 2、岩崎 俊弥 2、熊倉 久夫 2、高山 嘉朗 2、南 和友 3、市川 秀一 2 1 北関東循環器病院 検査部、2 北関東循環器病院 循環器内科、3 北関東循環器病院 心臓血管外科 O18-3 感染性仮性動脈瘤が心筋解離をきたした大動脈弁置換術後の一例 堀越 裕子 1、小林 淳 2、元木 ゆみ 1、遠藤 由美子 1、山本 詩子 1、佐藤 ゆかり 1、堀越 由紀子 1、 羽田 良子 1、目黒 サキ子 1、及川 雅啓 2、中里 和彦 2、大花 昇 1、竹石 恭知 2、志村 浩己 1 1 福島県立医科大学附属病院 検査部、2 福島県立医科大学附属病院 循環器内科・血液内科 【症例】39 歳男性【現病歴】37 歳時に大動脈弁閉鎖不全症に対し大動脈弁置 換術を施行。その際強い心膜癒着が認められた。1 年後に完全房室ブロック にてペースメーカ植え込み術を施行。植え込み半年後に微熱と心窩部の痛み が出現し近医を受診。炎症反応と BNP の上昇を認め当院紹介となった。【経 過】心エコー検査では、下壁・中隔の壁運動低下を伴う心筋解離所見および 置換大動脈弁の動揺を認め、明らかな疣贅は認めなかった。心臓CTでは、 上行大動脈から開口する大動脈仮性瘤が心筋内に進展しており、心筋解離の 原因となっていると考えられた。準緊急的に Bentall 手術、動脈瘤内膿瘍デ ブリードメント、心筋形成術を施行したが、術後の回復が得られず永眠され た。 【考察】大動脈弁置換術後 1 年 6 ヶ月後に発症した感染を伴う仮性動脈 瘤が心筋内に進展した稀な一例を経験した。大動脈弁置換術後の弁輪部膿瘍 は仮性動脈瘤を形成する可能性があるが、本症例のように左室心筋内に解離が及ぶこともあり、上行大動脈だけでなく、大動脈近 位の心筋にも十分留意して検査することが重要である。 193 一般口演 症例は 55 歳女性.16 年前より気管支喘息にて他院通院中であった.朝起きて左胸全体から背部まで広がる重くて押されるような鈍 痛が出現.症状は 5 分ほどで消失したが,他院にて記録した心電図にて右脚ブロック,ST 変化を認めたため,精査目的にて当院紹 介受診となった.経胸壁心エコー図検査にて,収縮性は良好であったが,左室心尖部にはほぼ全周性に数 mm 幅で,中位部には主 に中隔~前壁中隔側に 9 ~ 14mm 幅で,壁エコー性状とは明らかに異なる均一微細な層帯を認めた.また,右室心尖部全体および 自由壁にも同様の所見を認めた.TMF および E’ からは明らかな拡張能低下を確認できなかったが,心尖部四腔像にて解析した longitudinal strain rate では,側壁に比較し中隔から心尖部での拡張早期ピークが低値を示していた.気管支喘息の持病があること, 白血球分画で好酸球が 33.2%と増多があることなどを踏まえ,レフレル心内膜炎による血栓層形成を疑い入院加療となった.ステロ イド投与を行い,好酸球の減少とともにエコー像でも血栓層の減少を確認することが可能であった.また,中隔から心尖部で低値 を示していた longitudinal strain rate の拡張早期ピークも側壁と同程度と改善が認められた.今回,胸痛,心電図異常にて来院し, 経胸壁心エコー図検査にて治療効果を経過観察しえたレフレル心内膜炎の一例を経験した.レフレル心内膜炎自体では,拡張障害 による心不全を来たして発見されることが多いが,本例では心内膜障害による血栓形成期の早期に発見され心筋線維期のような高 度の拡張障害は認めなかった.今後の心内血栓および拡張機能を含めた心機能の follow にも心エコー図検査は有用である. 第25回日本心エコー図学会学術集会 O18-4 経胸壁心エコーで緊急手術の適応を判断した左室内の有茎性可動性球状血栓の一例 琴岡 憲彦 1、坂本 佳子 2、佐久間 理吏 2、浅香 真知子 2、小松 愛子 2、秋吉 妙美 3、秋吉 重康 2、 梅木 俊晴 4、諸隈 裕之 5、蒲原 啓司 5、森田 茂樹 5、野出 孝一 2 1 佐賀大学医学部先端心臓病学、2 佐賀大学医学部循環器内科、3 佐賀大学医学部ハートセンター、4 佐賀大学医学部付属病院検査部、 佐賀大学医学部心臓血管外科 5 症例は、7 年前に乳癌術後、術前化学療法の既往がある 60 歳台女性。1 か月 前より歩行時呼吸困難が出現し、近医を受診した。心不全の診断で内服加療 され、原因精査のために当院を紹介された。当院初診時の経胸壁心エコーで、 左室心尖部に可動性がある 22 × 11mm の有茎性球状充実エコー像を認めた。 左室駆出率 31%で、特に下壁基部から心尖部にかけて高度壁運動低下を認 めた。上述の所見より球状構造物は血栓と考えられ、塞栓症のリスクが高く、 緊急手術の適応と判断した。術前心臓カテーテル検査では左冠動脈前下行枝 近位部に 75% 狭窄を認めたが、その他には有意狭窄病変はなかった。同日 緊急手術を行い、左室内血栓摘出と左室形成術、冠動脈バイパス術1枝、僧 帽弁輪形成術を施行した。術後経過は良好で第 21 病日に退院した。本症例は、 血栓の有茎部分が腱索と同程度の細さであり、また心尖部の肉柱間に数本の 偽腱索があることより、偽腱索断裂後の腱索断端に血栓が形成された可能性 が考えられた。また化学療法の既往があり、遅発性の薬剤性心筋障害による 左室収縮能低下が疑われた。 O18-5 Calcified amorphous tumor の 1 例 木下 将城、岡山 英樹、高橋 龍徳、原 佳世、泉 直樹、河合 勇介、川田 好高、日浅 豪、 山田 忠克、風谷 幸男 愛媛県立中央病院 循環器病センター 循環器内科 一般口演 症例は 76 歳女性で 23 年前に維持透析を導入した。2 年前に完全房室ブロックに対して恒久的ペースメーカー (VVI) 植込み術を施行 した。1 か月前より労作時呼吸困難労を自覚していた。近医の経胸壁心エコー図検査(TTE)で疣贅を認め、感染性心内膜炎(IE) 疑いで当院へ紹介受診した。胸部レントゲンで心拡大と肺うっ血を認め、血液検査では炎症所見の高値と BNP 上昇を認めた。TTE では、EF 60% と壁運動は保持されていたが、僧帽弁流入波形は偽正常化、右心負荷所見を認め、僧帽弁輪部の石灰化、僧帽弁前尖 に付着する可動性のある高輝度構造物、三尖弁輪部付近に付着する可動性のある巨大な高輝度構造物、重度の僧帽弁閉鎖不全症を 認めた。心不全を合併した IE と考え、外科的治療を前提とした入院加療を行う方針とした。経食道心エコー図検査では、僧帽弁 A1 に付着する可動性のある高輝度構造物、三尖弁中隔尖弁輪部に付着して収縮末期に対側にある右室リードに接触する可動性のあ る巨大な高輝度構造物を認めた。血液培養検査を 6 回施行したがすべて陰性であった。入院後、抗生剤治療を継続し、第 14 病日に 疣贅除去術、僧帽弁置換術、三尖弁輪形成術、ペースメーカーシステム抜去術が施行された。僧帽弁はエコー所見どおり A1 に付着 していたが、三尖弁輪部の疣贅は 2 又に分かれており、一部は冠静脈洞入口へ突っ込んでいた。病理では、石灰沈着を伴うフィブ リン様沈着とリンパ球主体の慢性炎症細胞浸潤を認めるが、細菌や好中球浸潤は認めず、Calcified amorphous tumor(CAT)に矛 盾しない所見であった。CAT は稀な疾患であるが、IE との鑑別が難しく、また透析患者に特徴的な疾患であり、文献的考察を含め て報告する。 O18-6 難治性心室細動に対して経皮的人工心肺補助管理翌日に左室内巨大血栓が形成された 1 例 岡村 昌宏 1、松原 剛一 1、富田 紀子 1、宮木 真里 2、加藤 雅彦 1、山本 一博 1 1 鳥取大学医学部附属病院 循環器内科、2 鳥取大学医学部附属病院 臨床検査部 症例は 40 歳、男性。主訴は心肺停止。2013 年 7 月 25 日運転中信号待ちで 一時停止している際に心肺停止となった。救急隊接触時の初期波形は心室細 動(Vf)であった。電気的除細動を施行するも Vf は持続し、当院へ救急搬 送となった。当院受診時も Vf は継続しており、難治性 Vf に対して経皮的心 肺補助装置(PCPS)を導入し、その後洞調律に復した。冠動脈造影では冠 動脈有意狭窄病変はなく、心室細動の背景精査・管理目的に入院となった。 入院後は PCPS/IABP 循環サポート下で低体温療法を開始した。洞調律復帰 後の経胸壁心臓超音波検査(TTE)では、全周性に severe hypokinesis で 左室駆出率は 20%程度で、左室内にあきらかな血栓は認めなかった。入院 翌日の TTE では、左室内を占拠する巨大血栓を認めた。全身管理を継続し たが、左室内血栓が原因と思われる大動脈 3 分枝塞栓症を発症し、8 月 4 日 永眠となった。病理解剖では左室は劇症型心筋炎に矛盾しない所見であった。 今回我々は、劇症型心筋炎を契機とした難治性 Vf に対して PCPS 管理翌日 に左室内巨大血栓が形成された稀な 1 例を経験したため、報告する。 194 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O19-1 心サルコイドーシスにおける、副腎皮質ステロイドの治療効果予測 -2D スペックルトラッキングと FDG PET を組み合わせて - 折居 誠、平田 久美子、寺口 郁子、西口 毅、嶋村 邦宏、塩野 泰紹、山野 貴司、谷本 貴志、 猪野 靖、山口 智由、久保 隆史、田中 篤、今西 敏雄、赤阪 隆史 和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科 背景:心サルコイドーシス治療の第一選択は副腎皮質ステロイド (PSL) であるが、その治療効果を予測する方法は確立していない。 そこで我々は、活動性炎症を同定可能な 18F-fluoro-2-deoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET) と壁運動を鋭敏に評 価できる 2D スペックルトラッキング法 (2DSTE) を組み合わせ、壁運動改善を予測し得るかについて検討した。方法:未治療の心 サ ル コ イ ド ー シ ス 14 例 に FDG-PET と 2DSTE を 施 行 し、 左 室 16 分 画 の radial(RS)、circumferential(CS)、 お よ び longitudinal strain(LS) 解析を行った。PSL 投与後 wall motion score 1 以上の改善を壁運動改善と定義した。結果:全 224 分画中 93 分画 (42% ) で壁運動低下を認め、29 分画 (31%) で壁運動改善を認めた。壁運動改善群では非改善群に比して有意に FDG 集積が亢進し、(27 分 画 (93% ) vs. 40 分画 (63% ),p=0.002)、PSL 投与前のストレイン値も高値であった(RS: 24 ± 12 vs. 16 ± 11%, p=0.004, CS: -18 ± 5 vs. -10 ± 6%, p<0.001, LS: -15 ± 5 vs. -12 ± 5%, p=0.017)。壁運動改善の診断精度は、CS が最も高値であった (cut-off 値 :-14.7%, AUC:0.8)。FDG 陽性かつ CS<-14.7% の壁運動改善予測に対する陽性、陰性的中率は 82%、90%であった。結論:FDG-PET と 2DSTE の組み合わせは、心サルコイドーシス治療の効果予測に有用と考えられた。 O19-2 Two-dimensional Speckle Tracking 法による E/e´sr の有用性に関する検討 辻本 悟史、宮坂 陽子、諏訪 惠信、前羽 宏史、塩島 一朗 関西医科大学 第二内科 O19-3 肺高血圧症患者の TAPSE 評価における longitudinal apical rotation の影響 元地 由樹、田中 秀和、福田 優子、佐野 浩之、下浦 広之、土岐 啓己、大岡 順一、佐和 琢磨、 山鳥 嘉樹、今西 純一、三好 達也、望月 泰秀、辰巳 和宏、松本 賢亮、江本 憲昭、平田 健一 神戸大学附属病院循環器内科 【背景】肺高血圧症(PH)では右室収縮能の評価は重要であり、米国心エコー図学会、欧州心臓病学会は TAPSE の測定を推奨して いる。しかし、拡張型心筋症などの左室不全心では心尖部 rotation (apical-LR) が認められ、弁輪部移動速度の計測などは不正確に なると報告されている。 【目的】PH 患者における apical-LR を評価し、TAPSE への影響を検討すること。 【方法】対象は PH 患者 105 例。TAPSE は anatomical M-mode にて測定角度による影響を排除した。2 次元スペックルトラッキン グを用い、右室自由壁 3 領域の peak longitudinal strain 平均値を算出し(RV-free)、心尖部四腔像にて両心室を含む心尖部の rotation 値を apical-LR とした。左室圧排の指標である eccentricity index (EI) も測定した。年齢、性別、左室駆出率をマッチさせた 健常 20 例と比較した。 【結果】apical-LR は PH 群で強い時計回転を示した (-3.4 ± 2.7°vs -1.3 ± 1.9°, p=0.001)。PH 群で TAPSE は apical-LR と負の相関 を示したが (r=-0.41, p < 0.001)、RV-free は示さなかった (r=-0.05, p=0.60)。多変量解析では apical-LR と関連ある因子は、拡張期 EI と収縮期 EI の比であった (p < 0.0001)。 【結論】PH 患者においては、TAPSE は RV-free と異なり、収縮期に心尖部が時計回転する患者で過大評価されることが示唆され注 意が必要である。 195 一般口演 【背景】拡張早期左室流入速波形と 2D スペックルトラッキング法を用いた 左室長軸方向の global early diastolic strain rate の比 (E/e´sr) が左室充満 圧と相関する事が報告されている。しかし、慢性的な左室充満圧を反映する 左房容積との関連について報告はない。【方法】2013 年 5 月から 11 月まで の間に、経胸壁心エコーを施行した洞調律患者で、左室駆出率 ≧ 50% の症 例のうち中等度以上の弁膜症、先天性心疾患、心筋症、心膜疾患のない患者 【結果】対象 を対象とした。左房容積は biplane area length 法で計測した。 患者 48 例 ( 平均年齢 63 ± 16 歳、男性 50%、高血圧 54%、糖尿病 15% ) で、 平均 E/e´sr は 0.57 ± 0.16、平均 E/E´ は 8.67 ± 2.60 であった。 E/e´sr、E/E´ ともに左房容積係数と有意な正相関を認めたが、 E/E´ (r = 0.46、P < 0.01) に比して E/e´sr (r = 0.62、P < 0.001) はより強い相関を認めた ( 図 )。【結語】E/e´sr は左室充満圧 の surrogate marker として、E/E´ より有効な指標となりうる可能性が示唆された。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O19-4 Impact of left atrial peak systolic strain on prognosis in patients with acute ischemic stroke 佐々木 真太郎 1、渡邉 哲 1、山浦 玄斎 1、和根崎 真大 1、田村 晴俊 2、西山 悟史 1、久保田 功 1 1 山形大学 医学部 第一内科、2 榊原記念病院 循環器内科 Recently, it was reported that left atrial (LA) strain assessed by 2D speckle tracking echocardiography is useful to evaluate LA function. We reported that decreased LA peak systolic strain (LA-s) predicts LA appendage dysfunction. However, it is unclear whether decreased LA-s predicts poor prognosis in patients with ischemic stroke. We measured LA-s in 70 consecutive patients hospitalized for acute ischemic stroke. There were 14 cerebrovascular events during a median follow-up of 613 days. LA-s was markedly lower in patients with cerebrovascular events than in those without. The multivariate Cox proportional hazard analysis revealed that decreased LA-s was significantly associated with cerebrovascular events. Kaplan-Meier analysis showed that low LA-s group had higher events than high LA-s group. In conclusion, LA strain is a feasible parameter for poor prognosis in patients with stroke. O19-5 経胸壁心エコー 2 次元左室 Global Strain を用いた主要心有害事象の予測 肥大型心筋症の冠動脈 非狭窄例における検討 小澤 公哉、船橋 伸禎、高岡 浩之、小林 欣夫 千葉大学大学院 医学研究院 循環器内科学 一般口演 目 的: 肥 大 型 心 筋 症 (HCM) の 冠 動 脈 非 狭 窄 例 に お け る 主 要 心 有 害 事 象 (MACE) 予 測 の た め に 経 胸 壁 心 エ コ ー 2 次 元(2D) 左 室 global longitudinal (GLS)、circumferential strain (GCS) の有用性を検討する。方法: 心臓 CT を 13 か月以内に施行、冠動脈狭窄を認めなかった HCM 連続 41 例(男 性 27 例、60 ± 13 歳)に経胸壁心エコー(iE-33)を行い、Q-LAB にて 2D 左室 GLS、GCS の測定を行った。その後中央値 30 か月の観察期間で MACE 発生を評価した。結果:7 例で MACE が発生した。左室 GLS、GCS を用い た MACE 発症に対する ROC curves で Best cut off 値が各々 -9.65%(GLS)、 -29.35% (GCS) で Area Under the Curve、 感 度、 特 異 度 が 0.807、100%、 61.8%(GLS)、0.660、100%、47.1% (GCS) であった。同 Best cut off 値を用 いた Kaplan-Meier 解析と log-rank test で GLS が -9.65% 以上の群は -9.65% 未満の群より (P=0.004)、また GCS が -29.35% 以上の群は -29.35% 未満の群 より、MACE 発症に対して有意に予後不良であった (P=0.017)。結語 : HCM 冠動脈非狭窄例において左室 GLS と GCS(GLS > GCS)は予後予測に有用 な可能性が示唆された。 O20-1 腎動脈狭窄症診断での acceleration time の臨床的意義 小室 薫 1、北 宏之 2、横山 典子 3、渋谷 美咲 3、早乙女 和之 3、石川 雄大 4、室田 篤男 4、西尾 直美 5、 佐々木 景子 5、広瀬 尚徳 1、安在 貞祐 1、米澤 一也 6、伊藤 一輔 1 1 国立病院機構函館病院 循環器科、2 函館五稜郭病院 循環器科、3 国立病院機構函館病院 臨床検査科、 国立病院機構函館病院 臨床工学、5 函館五稜郭病院 生理検査室、6 国立病院機構函館病院 臨床研究部 4 【背景】従来から腎動脈狭窄症(RAS)の診断には,腎ドプラエコー法による腎動脈起始部での収縮期最大血流速度(PSV)加え, 腎内動脈での acceleration time(AT)などが用いられる.しかし AT による RAS の診断精度は PSV に比べて劣るとされている. 一方,狭窄直下の形態により,狭窄による圧較差が回復する圧回復現象が報告されている.【目的】RAS 症例で,腎動脈の血管内エ コー(IVUS)所見と経腹壁腎ドプラエコー法の所見を対比し,AT の臨床的意義を再検討すること.【方法】対象は腎ドプラエコー 法で RAS と診断し(PSV > 180mmHg,かつ RAR > 3.5),経皮的腎動脈形成術目的で血管造影および IVUS を施行した 13 症例での, 再狭窄を含む 21 動脈枝.対象を AT で 2 群に分け,血管像影および IVUS 所見を比較した.【結果】血管造影法による狭窄率は全 枝で 60%以上であった.IVUS での狭窄率は,AT ≧ 70ms 群(13 枝)が AT < 70ms 群(8 枝)に比し有意に高値であったが(88 ± 6% vs 73 ± 11%,p=0.001),後者ではばらつきが多かった(79~99% vs 57~90%).後者には血管造影所見上,狭窄部末梢側が圧 回復現象をきたしやすいベンチュリー管様形態を示す枝が 4 本含まれた.【考察】AT 延長を認める動脈枝では IVUS での狭窄率が 高度であった.AT 延長は,より高度の腎動脈狭窄を反映し,危機的腎虚血を示唆する所見と考えられる.しかし,AT が延長しな い原因の一つとして圧回復現象は無視できないものと考えられた.【結論】腎ドプラエコーを用いた腎内動脈の血流評価は RAS の 診断においてより詳細な情報を提供しうる. 196 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O20-2 高血圧患者の左室肥大様式における血管機能と形態 田端 強志 1、佐々木 健 1、金 徳男 1、中神 隆洋 2、高橋 真生 2、野池 博文 2、白井 厚治 3、東丸 貴信 2 1 東邦大学医療センター佐倉病院 生理機能検査部、2 東邦大学医療センター佐倉病院 循環器センター、 東邦大学医療センター佐倉病院 血管機能学 3 【目的】高血圧患者の左室肥大様式における Cardio-Ankle Vascular Index (CAVI)を用いた血管機能と頸動脈エコーを用いた血管形態との関連性につ いて検討した。 【対象】対象は CAVI、心エコー、頸動脈エコーを施行した高血圧患者連続 290 例。 【方法】CAVI はフクダ電子社製 VaSeraVS-1500 を使用した。頸動脈エコー は mean IMT とプラークスコア (PS)、プラークナンバー (PN) を算出した。 左室肥大様式は左室心筋重量係数と相対的左室壁厚から正常 (NG)、中心性リ モデリング (CR), 中心性肥大 (CH), 遠心性肥大 (EH) の4群に分け、4群間で の比較・検討を行なった。 【結果】4 群間において CAVI は NG 群と比較し、CR 群や CH 群で有意に高 値を示した。また頸動脈エコーで求めた mean IMT, PS,PN はいずれも NG 群と比較し、CH 群で有意に高値を示した。 【結語】高血圧患者において、左室肥大様式によって動脈スティフネスや血 管リモデリングは異なることが示され、特に CH 群はその両方がより強く障害されている可能性が示唆された。 O20-3 糖尿病と虚血性心疾患における眼動脈エコーの有用性 宮花 礼子 1、川崎 俊博 1、前田 久美子 1、豊島 範子 2、河野 靖 2、久保 知一郎 2、田口 晴之 2、 島田 健永 3、葭山 稔 3、吉川 純一 4 1 大阪掖済会病院 臨床検査科、2 大阪掖済会病院 心臓血管内科、3 大阪市立大学大学院 循環器内科学、4 西宮渡辺心臓・血管センター O20-4 大動脈プラークからの血栓塞栓性足趾虚血と考えられた一例 勝田 省嗣、一瀬 太郎、烏川 信雄、藤田 主税、賀来 文治、田口 富雄、新田 裕 富山赤十字病院 循環器内科 【症例】76 才、男性【主訴】食欲不振【嗜好歴】喫煙 40 本 / 日× 30 年【現 病歴】慢性腎臓病、高血圧、糖尿病にて近医通院中。腎機能障害の進行(3 ヶ 月間で Cr 2.3mg/dl → 4.5mg/dl)、食欲不振のため当院紹介入院。【身体所見】 BMI 19.8kg/m2、血圧 165/86mmHg、臍周囲に血管雑音あり。【検査所見】 BUN 51mg/dl、Cr 4.3mg/dl、LDL-C 143mg/dl、HbA1c 5.5%。【経過】第 4 病日、左 4 趾にチアノーゼが出現。第 10 病日、心不全を発症。虚血趾の皮 膚生検(第 15 病日)でコレステロール塞栓を認めず。CHDF、プロスタグ ランジン点滴などにより心不全、虚血趾は改善。経食道エコー(第 22 病日) で胸部下行大動脈に潰瘍を伴う不整形プラークの著明堆積、プラークに付着 する短い可動性血栓(複数)を認めた。腎機能の回復は得られず維持透析導 入となった。第 90 病日の経食道エコーで前回はなかった長い血栓を認めた (図)。【考察】足趾虚血の原因としてコレステロール塞栓症候群との鑑別が 問題となるが、2 ヶ月以内の経過で血栓が明らかに伸長する変化が観察され たことから血栓塞栓症の可能性が高いと考えられた。 197 一般口演 【背景】虚血性心疾患には糖尿病、高血圧などの危険因子があり、それらに関連して合併症も多くみられる。一方、糖尿病の三大合 併症の一つとして糖尿病性網膜症があり、我が国では成人の失明原因の第一位となっている。また、高血圧においても高血圧性網 膜症がよく知られており、ほとんど自覚症状がなく進行し、両者は共に早期発見、早期治療が重要であると考えられる。【目的】糖 尿病と虚血性心疾患における眼動脈血流との関連を検討した。【方法】動脈硬化のスクリーニングにて頸動脈エコーを施行した 42 名を対象とした。虚血性心疾患患者 12 名 ( 男性 9 名、年齢 60 ± 10) を IHD 群、糖尿病患者 11 名 ( 男性 7 名、年齢 54 ± 13) を DM 群、 両方を有する患者 7 名 ( 男性 7 名、年齢 71 ± 13) を Both 群、健常者 12 名 ( 男性 8 名、年齢 58 ± 10) を健常者群とし眼動脈血流に 有意差があるかを検討した。眼動脈血流波形より収縮期平均血流速度と拡張期平均血流速度の比 (Sm/Dm) を求め、4 群間で比較した。 眼動脈エコーは安全性を考慮し、超音波装置の出力を下げ極力短時間 ( 最大 3 分 ) で施行した。【結果】眼動脈血流の検出率は 98% であった。眼動脈 Sm/Dm の値は健常者群、IHD 群、DM 群、Both 群の順に高値となり、各群それぞれに有意差を認めた。【結語】 糖尿病患者、特に複数の危険因子を有する糖尿病患者において眼動脈 Sm/Dm は高値であった。超音波検査による眼動脈血流評価は、 網膜症の早期発見に有用である可能性が示唆された。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O20-5 下肢深部静脈のモヤモヤエコーから DVT 発症を予測できるか 増田 喜一 1、仲宗根 出 2、伊藤 朋行 3、谷 典夫 3、宮武 邦夫 1 1 吉田小野原東診療所、2 国立循環器病研究センター、3 吉田病院 【目的】通常、深部静脈拡張例では血管内の血流うっ滞によるモヤモヤエコー 像(SCE)が多く認められるが血栓形成との関連は不明である。今回、DVT 発症前・後においてヒラメ筋静脈(SV)血栓の消長が記録できた例で、血 栓形成前の SCE から DVT 発症の予測が可能かについて検討した。【方法・ 結果】血管内に認められた SCE の粒状性、密集度、輝度などを目視的にそ れぞれ 1+ ~ 3+ に分類し加点した。他方では血管内 SCE に直径 40pixel の円形 ROI を設定して同部位の輝度ヒストグラムを解析し た。その結果(表)、2)R-SV で最大および平均輝度値共に最高値を示した。次いで、1)R-SV、3)L-SV、2)L-SV、4)L-SV、4)R-SV、1) L-SV、3)R-SV の順であり SCE の目視的分類とも概ね一致し、目視法も輝度の判別がポイントであると考えられた。なお輝度ヒスト グラム解析では検査時におけるエコー記録条件の影響を避けるため、SV に近接して描出されるひらめ筋の最大輝度値で画像を基準 化して解析を行った。【結論】SCE の輝度ヒストグラム解析により血栓形成を予測できる可能性が認められた。 O21-1 3D スペックルトラッキング法で求めた左房壁ストレインの左房機能評価における有用性 若見 和明、蜂矢 健太、村井 俊介、菊池 祥平、藤田 浩志、後藤 利彦、杉浦 知範、福田 英克、 谷 智満、大手 信之 名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学 一般口演 【背景】左室流入血流速 E 波と僧帽弁輪(中隔側および側壁側の平均)拡張早期速度の比(E/Ea)は 8 以下あるいは 13 以上の値を 示す症例において左室充満圧を良好に推定しうるが、8 < E/Ea < 13 の範囲では推定できない。【目的】3D スペックルトラッキン グ法(3D-STE)により求めた左房内膜面積変化率(ACR)の左房充満圧推定における有用性について検討した。【方法】3D 心エコー 図検査および心臓カテーテル検査を同日施行しえた洞調律患者 69 症例(平均年齢 68 歳、男性 67%、陳旧性心筋梗塞 22 例、狭心症 47 例)を対象として、東芝社製 ArtidaTM を用いて左房 3D 画像を記録、offline 解析により ACR 値の左室収縮末期(-es)および左 房収縮直前(-preA)のピーク値をそれぞれ計測した。カテ先マノメータを用いて平均左室拡張期圧(mLVDP)を計測し、ACR-es 値および ACR-preA 値との間の関係について検討した。【結果】ACR-es および ACR-preA と mLVDP との間に有意な負の相関関係 を認めた(各々 r=-0.72、p < 0.0001;r=-0.69、p < 0.0001)。8 < E/Ea < 13 の症例群(n=33)において多変量解析(ステップワイ ズ法)を行うと、ACR-preA が選択され mLVDP との間に有意な負の相関関係(r=-0.75、p < 0.0001)を認めた。更に左室駆出率 ≧ 50% の症例群(n=31)においても r=-0.79(p < 0.0001)と強い負の相関関係を認めた。【考察】ACR-es 値は左房リザーバー機能 を、ACR-preA 値は左房ブースターポンプ機能を反映するとされる。左室拡張能が中等度に障害された例では左房ブースターポン プ機能を障害する。 O21-2 心源性脳梗塞の要因として考えられた二重心房中隔の一例-リアルタイム 3D 経食道エコーの有用性- 大沼 秀知 1、藤原 淳子 1、遠藤 洋一 1、建部 俊介 2、西條 芳文 3 1 東北大学病院 生理検査センター、2 東北大学病院 循環器内科、3 東北大学 大学院医工学研究科 【症例】43 歳女性。【現病歴】2013 年 6 月、夕食後、突然のめまいと視野右半分の欠落を自覚し救急搬送。頭部 MRI 上、症状に一 致する左後頭葉(左 PCA 領域)の脳梗塞を認め、MRA 上明らかな動脈硬化は認められなかったことから、心源性による塞栓性脳 梗塞との診断で抗凝固療法を開始。【患者背景】既往歴:高血圧症・片頭痛。危険因子:喫煙。入院時心電図及び後日施行されたホ ルター心電図では、洞調律で不整脈は認められなかった。【心エコー検査】TTE:僅かに LA の拡大を認めたが、観察可能領域にお いて心腔内に明らかな血栓は認められなかった。四腔断層像において心房中隔が肥厚して描出され、一部が二重に描出された。 2DTEE:心房中隔の一部が二重に描出され、左房側の一部がスリット状に開放しており左房と中隔間に血流が認められた。またカラー ドプラ・コントラストエコーを施行したが明らかな shunt 血流は観察されなかった。3DTEE:心房中隔左房側に、卵円孔部分を覆 い隠すような膜様構造物が認められた。片端は心房中隔と連続性がなく、2DTEE で観察されたスリット状の開口部と思われた。【経 過】抗凝固療法開始後、症状はほぼ改善し脳梗塞巣の拡大・増大所見は認められなかった。治療経過中にも不整脈および血栓は認 められなかったが、患者からの強い要望で今後手術を検討していくこととなった。【考察】臨床経過より、心エコー検査で確認され た二重心房中隔が血栓形成の要因となった可能性が考えられた。【まとめ】二重心房中隔が脳梗塞塞栓源形成の要因として考えられ た一例を経験した。心エコー検査、特に 3DTEE 検査で特徴的形態を描出できたことが本症例において診断の契機となった。 198 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O21-3 大動脈弁輪形態に影響する因子の性差:3 次元経胸壁心エコー図検査を用いた検討 有吉 亨 1、和田 靖明 1、奥田 真一 2、内田 耕資 2、村上 和華子 2、原田 典子 2、平山 香莉 1、 藤井 綾乃 1、田中 伸明 3、矢野 雅文 2 1 山口大学医学部附属病院 超音波センター、2 山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学、 山口大学大学院医学系研究科 病態検査学 3 背景:我々は大動脈弁輪形態に加齢や心室中隔と上行大動脈がなす角度 (IVS-Ao angle) が影響していることを三次元経胸壁心エコー法 (3DTTE) を 用いて報告したが、大動脈弁輪形態に影響する因子の性差は明らかではない。 方法:器質的心血管疾患のない 60 歳以上の患者 59 例 ( 年齢 68 ± 6 歳、男 性 35 例 ) を対象に経胸壁心エコー図検査を施行した。3DTTE により大動脈 弁輪 (AA) の短径と長径、Valsalva 洞径、心室中隔と上行大動脈がなす角度 (IVS-Ao angle) を計測し、楕円形大動脈弁輪の指標として Ellipsoid index (EI=1-AA 短径 /AA 長径 ) を算出した。年齢、肥満度指数 (BMI)、心血管形 態の EI に対する関連度を性別に検討した。結果 :EI と有意な相関関係を認 めた項目 ( 下表 ) を用いて重回帰分析を行ったところ、男女ともに EI に影響する因子として IVS-Ao angle のみが選択された ( 男性 b= -0.37; p < 0.01, 女性 b= -0.53; p < 0.01)。結論 : 男女ともに大動脈弁輪形態に IVS-Ao angle が影響しているが、その関係の背後 に加齢が関与している女性に対して男性では加齢以外の要因が関与していることが示唆された。 O21-4 Sorin Memo-3D 弁輪形成 Ring の心周期における長軸方向の柔軟性と短軸方向の安定性 恒任 章 1、江石 清行 2、橋詰 浩二 2、三浦 崇 2、谷川 和好 2、江口 智早 1、内田 祐里 1、南 貴子 1、 小出 優史 1、池田 聡司 1、河野 浩章 1、白石 亜季 3、川浪 のぞみ 3、浅田 綾子 4、坂口 能理子 3、 古島 早苗 3、山近 史郎 5、前村 浩二 1 1 長崎大学病院 循環器内科、2 長崎大学病院 心臓血管外科、3 長崎大学病院 検査部、4 長崎大学病院 超音波センター、 春回会井上病院 循環器科 5 O21-5 楕円形大動脈弁輪を呈する患者における臨床背景と心血管形態の特徴:3 次元経胸壁心エコー図検査 を用いた検討 原田 典子 1、和田 靖明 2、奥田 真一 1、内田 耕資 1、村上 和華子 1、有吉 亨 2、田中 伸明 3、矢野 雅文 1 1 山口大学 大学院医学系研究科 器官病態内科学、2 山口大学医学部附属病院 超音波センター、 山口大学 大学院医学系研究科 病態検査学 3 背景:我々は大動脈弁輪形態に加齢や心室中隔と上行大動脈がなす角度 (IVS-Ao angle) が影響していることを三次元経胸壁心エコー法 (3DTTE) を 用いて報告したが、動脈硬化性大動脈弁狭窄症 (AS) 患者における楕円形大 動脈弁輪 (ESAA) の特徴に関する報告はない。方法:AS 患者 15 例と年齢を マッチングした心血管疾患のない患者 (C) 30 例を対象に 3DTTE を施行した。 大動脈弁輪 (AA) の短径と長径、Valsalva 洞径、心室中隔と上行大動脈がな す角度 (IVS-Ao angle) を計測し、楕円形 AA の指標として Ellipsoid index (EI=1-AA 短径 /AA 長径 ) を算出した。結果:EI > 0.1 の患者を ESAA と して定義すると、ESAA が約半数でみられた C 群に対して、AS 群では 14 例 (93%) にみられた。IVS-Ao angle は両群間で有意差はみられなかったが、 AS 群の EI は C 群と比較して有意に大であった (AS 群 0.18 ± 0.06, C 群 0.11 ± 0.05)。また、両群ともに EI と IVS-Ao angle との間に有意な相関がみら れた ( 下図 )。結論:AS の多くは ESAA を呈し、心血管疾患のない患者よ り IVS-Ao angle の鋭角化に対する大動脈弁輪の楕円形化が強い可能性が示 唆された。 199 一般口演 【背景と目的】僧帽弁輪の saddle-shape は心周期内で変化する。僧帽弁形成術で用いる人工弁輪は各種存在するが、縫着された人工 弁輪が心周期内でどのように形状変化しているか検討された報告は少ない。【対象と方法】対象は、僧帽弁形成術で Sorin Memo-3D ring (Memo3D) を使用された 18 例と、Carpentier-Edwards Physio-II ring (PhysioII) を使用された 7 例。術後に三次元 (3D) 経食道 心エコー検査を行い、弁輪形状を解析ソフト YD 社製 REAL VIEW にて評価し心周期内の経時的変化を検討した。弁輪 3D 形状の 左室長軸方向の弁輪高を、1 心周期を 8 時相に分けてそれぞれ計測、その最大値と最小値の差「弁輪高変化量」を算出し、また弁輪 の楕円形の長径と短径を計測し楕円率を求め、同様の最大値と最小値の差「楕円率変化量」を算出して、Memo3D と PhysioII を比 較検討した。 【結果】Memo3D は PhysioII よりも、弁輪高が変化していた。弁輪高変化量は、Memo3D が PhysioII より大きかった (1.6 ± 0.7mm and 0.9 ± 0.4, p=0.032)。楕円形の変化は、Memo3D と PhysioII で同程度であった。楕円率変化量は、Memo3D と PhysioII に差を認めなかった (6.1 ± 1.9% and 4.9 ± 1.9%, p=0.16)。使用された弁輪径および弁輪面積は、Memo3D と Physio-II で差はなかっ た ( 弁 輪 径 28.8 ± 1.7mm and 27.1 ± 1.6mm, p=0.06)( 弁 輪 面 積 4.9 ± 1.0cm2 and 4.9 ± 0.6cm2, p=0.95)。【 結 語 】Memo3D は PhysioII よりも、心周期内に弁輪高が変化していたが、楕円率の変化は同程度であった。Memo3D は、左室短軸方向の楕円形状は 良好に保ちつつ、長軸方向の柔軟性に優れ、僧帽弁輪の心周期内形状変化により適合しやすい可能性が考えられる。 第25回日本心エコー図学会学術集会 O22-1 心房細動に対するカテーテルアブレーション前の経食道心エコーによる肺静脈の形態評価の有用性: マルチスライス CT との比較 中川 雅美 1、岡田 昌子 2、田端 智香 1、乾 洋勉 1、佐伯 一 1、三好 美和 1、長谷川 新治 1、福嶋 友孝 2、 森 智美 2、小川 恭子 2、内藤 雅文 2 1 大阪厚生年金病院 循環器科、2 大阪厚生年金病院 生理検査部門 背景;肺静脈の分岐異常の有無は心房細動に対するアブレーション手技の戦略を立てる上でしばしば問題となり、治療の結果に影 響する。カテーテルアブレーション前に肺静脈の形態を評価するためにマルチスライス CT(MSCT)は必須の診断法となっている。 しかし腎機能障害を有する症例では造影剤の使用が制限される。経食道心エコー図法(TEE)は左房内血栓の検出に有用とされて いるが、さらに肺静脈の形態的もしくは機能的な評価も可能である。しかしその有用性は確立されていない。方法・結果;当施設 で 2012 年 4 月から 2013 年 6 月まで連続する 70 名(男性 51 名、年齢 66 ± 11 歳)の心房細動患者に対し TEE と MSCT が施行さ れた。計 294 本の肺静脈を MSCT で評価し、分岐異常の有無で分類した(正常分岐 95%、余剰分岐 4.8%、共通管 0.7%、異所性開 口 0.3%、欠損 0.3%)。それに対して TEE で正しく評価し得たのは 285 本(正常 97.2%、異常 2.8%)であった。TEE の分岐異常検 出に対する感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率はそれぞれ 50%、100%、89%、97% であった。結語;我々の研究では、カテー テルアブレーション前の肺静脈形態の把握の際、TEE では肺静脈の形態的かつ機能的な評価が可能であり、腎機能障害等の理由で MSCT の施行が困難な症例での有用性が示唆された。しかし、分岐異常を正確に診断できない症例もあり、感度はやや低いことが 示された。 O22-2 Insufficient LA Reverse Remodeling After Successful AF Ablation Associates with Existence of Spontaneous Echo Contrast 町野 智子、瀬尾 由広、石津 智子、川松 直人、佐藤 希美、菅野 昭憲、渥美 安紀子、山本 昌良、 針村 佳江、青沼 和隆 筑波大学 循環器内科 一般口演 Background Maintenance of sinus rhythm (SR) after catheter ablation (CA) for AF reduces thromboembolic events. However, we reported that some of AF patients have spontaneous echo contrast (SEC) in left atrium (LA) even after successful CA (Circ J, 2013). Therefore, we investigated the clinical characteristics associated echocardiographic thromboembolic milieu lasting after elimination of AF.Methods and Results In 100 patients with persistent AF who maintained SR after CA, thromboembolic milieu (SEC, sludge, or thrombus in LA) were assessed by TEE at 12-months postablation. Eighty-five (85%) patients did not have any thromboembolic milieu, whereas 15 (15%) patients had SEC in LA. Any patients did not have sludge or thrombus. The percentage of LA volume reduction (from baseline to after CA) was lower and CHA2DS2-VASc score was higher in SEC ( + ) group than SEC ( - ) group (2 ± 25 % vs. 23 ± 18 %, P<0.001; 2.2 ± 1.1 vs. 1.3 ± 1.2, P=0.005, respectively). A cut-off point analysis showed LA volume reduction of ≦ 16% and CHA2DS2-VASc score ≧ 3 were the optimal points for discriminating patients with SEC from those without (sensitivity 87%, specificity 75%, AUC 0.80; sensitivity 47%, specificity 86%, AUC 0.72, respectively).Conclusions Even after successful CA, insufficient LA reverse remodeling and higher CHA2DS2-VASc score were associated with SEC in patients with persistent AF. O22-3 老人性全身性アミロイドーシスと家族性ポリニューロパチー患者の左房機能の比較検討 南澤 匡俊、小山 潤、小塚 綾子、元木 博彦、柴 祐司、伊澤 淳、富田 威、宮下 裕介、池田 宇一 信州大学 医学部 循環器内科 背景:トランスサイレチン関連全身性アミロイドーシスである老人性全身性 アミロイドーシス (senile systemic amyloidosis: SSA) と、家族性ポリニュー ロパチー (familial amyloid polyneuropathy: FAP) の左房機能の相違につい て比較検討した報告はない。方法:生検にて SSA と診断された 13 例と、 年齢、左室壁厚をマッチさせた FAP13 例を比較検討した。通常の心エコー 指標に加えて、スペックルトラッキング法を用いて心筋を評価した。スペッ クルトラッキング法にて、左室短軸像と心尖部 3 断面を用いて、左室ストレ イン (longitudinal strain) と左房ストレイン (longitudinal strain) を計測し、 心筋機能を評価した。結果:SSA は FAP に比して左房径が大きく、左房容 積変化率は低下していた。血流ドプラ指標と左室 global longitudinal strain には有意差を認めなかった。左房ストレインは SSA が低値であった(表)。 結論: SSA は FAP と比較して、左房径が大きく、左房容積変化率、左房ストレインにて低値を示した。これらの指標は両者の鑑 別に有用と考えられた。 200 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O22-4 Reliability of Left Atrial Volumes and Functional Indices Measured by Three Dimensional Speckle Tracking Analysis 江波戸 美緒 1、前澤 秀行 1、野木 彩夏 1、池田 尚子 1、水上 拓也 1、北井 ひとみ 2、石田 美樹 2、 鈴木 洋 2 1 昭和大学藤が丘病院循環器内科、2 昭和大学 Aim: Reliability of left atrial (LA) volumes and functional indices calculated by three dimensional speckle tracking analysis (3DSTA) was assessed precisely. Methods: A total of 120 patients (76 males, age 62 ± 16 years) presenting for routine echocardiographic examination underwent 3DSTA. Intra and interobserver reliability of LA volumes, emptying fraction(EmpF), active ejection fraction(EjF), peak area change(ACmax) and area change before atrial kick(ACpreA) were determined, whereas test-retest reliability was assessed in a subgroup of 60 patients with images recorded by three sonographers. Results: Measurements of LA volumes and functional indices demonstrated good intra, interobserver reliability. [intraclass correlation coefficient (ICC): 0.97~0.98;bias;-0.3~1.4ml and-1.5~2.2% , limits of agreement (LOA); 4.5~9.7ml and 3.8~8.2%] Test-retest reliability was also good between experienced sonographers [ICC; 0.96~0.98; bias; 0.1~1.6ml and 0.4~2.8%, LOA; 6.3~9.8ml and 3.8~8.2%]. Poor images by inexperienced sonographer produced additive errors and larger LOA [ICC; 0.92~0.97, bisas;2.4~3.4ml and 3.4~5.8 %, LOA; 15.1~16.2ml and 8~13%]. Conclusions: LA volumes and functional indices measured by 3DSTA showed acceptable intra, interobserver, and test-retest reliability for clinical use. O22-5 Combination of left atrial volume index and thrombogenesis markers strongly predicts left atrial appendage thrombi 和根崎 真大 1、渡邉 哲 1、山浦 玄斎 1、佐々木 真太郎 1、田村 晴俊 2、西山 悟史 1、久保田 功 1 1 山形大学 医学部 第一内科、2 榊原記念病院 循環器内科 O23-1 心エコーを契機に発見された心臓エキノコックス症の一例 松谷 卓周 1、元木 雅浩 1、西森 誠 2、開發 謙次 2、狛 泰子 3、安藤 貴彦 1、田井 香織 1、河北 由理 1、 小山 忠明 4、岩橋 正典 2 1 神鋼病院 診療技術部 生理検査室、2 神鋼会神鋼病院 循環器内科、3 神鋼会神鋼病院 呼吸器内科、 神戸市立医療センター中央市民病院 心臓血管外科 4 【症例】42歳ネパール人男性(14年前より日本に居住)3日前より湿性咳嗽、労作時呼吸困難を認め来院。X 線上心拡大と胸水 を認めたため、心不全精査目的にて心エコー検査が施行された。心エコー検査では、全周性の軽度左室壁運動低下と多量の心嚢液 の貯留を認め、fibrin 様の網目状構造を認めた。右室自由壁側に6cm大の充実成分と液性成分を伴う腫瘤を認め、右室は圧排され ていたが肺野には明らかな腫瘤性病変は認めなかった。CT では右室に接して壁内に低濃度域を認め、内部にリング状の高濃度域を 認めた。また、肝 S8 表面に石灰化病変を認めた。心不全、タンポナーデ様症状もあることから手術目的にて神戸市立医療センター 中央市民病院に紹介転院となった。転院後に施行された CT では、右室の腫瘤は最外層にやや厚めの隔壁を有する嚢胞性腫瘤で、内 部に高濃度の層状構造を認め、心臓エキノコックスを疑う所見であった。 【手術所見】心膜は心臓と全周性に癒着しており、炎症があっ たことが示唆された。内部から内容物が摘出され、腫瘤壁を剥離・洗浄し、残存した腫瘤壁をアルゴンビームで焼灼し手術終了なっ た。腫瘤壁を観察すると右室壁には浸潤しておらず、腫瘤は心外膜から発生したと考えられた。【病理所見】好酸性の包虫由来の嚢 胞壁と好酸性類縁構造物を認めた。 【まとめ】今回、心エコー検査を契機に発見された心臓エキノコックス症を経験したので報告する。 201 一般口演 Left atrial appendage (LAA) is a major thromboembolic source in cardioembolic stroke. As shown in the Virchow’ s triad, circulatory stasis, hypercoagulability, and endothelial dysfunction, are important factors for thrombus formation. The aim of this s triad is associated with LAA study was to investigate whether the clustering multiple noninvasive markers based on Virchow’ thrombus formation. We measured plasma soluble fibrin monomer complex (SFMC) as a marker of hypercoagulability and plasma von Willebrand factor (vWF) as a marker of endothelial dysfunction in 298 consecutive acute ischemic stroke patients and 166 proximal atrial fibrillation patients who underwent transthoracic and transesophageal echocardiography. We measured left atrial volume index (LAVI) which reflects LAA dysfunction as a marker of circulatory stasis. LAA thrombus was detected in 61 patients. Multivariate regression analysis revealed that high LAVI, vWF and SFMC are independent risk factors after adjusting confounding factors. LAVI was a much greater risk factor than vWF and SFMC. Further, the patients with increased LAVI combined with high vWF and/or high SFMC had a greater risk for LAA thrombogenesis compared to those solely with increased LAVI. In conclusion, combined assessment of LAA dysfunction with hypercoagulability and endothelial dysfunction may be a reliable evaluation for LAA thrombogenesis. 第25回日本心エコー図学会学術集会 O23-2 3D 心エコーが有用であった心室中部型たこつぼ心筋症の一例:Tl-BMIPP dual scan 心筋シンチ との比較 斎藤 菜々子 1、沼倉 陽子 1、畑岡 麻子 1、安田 真由美 1、島田 教子 1、細谷 侑未 1、小西 崇夫 2、 東谷 卓美 2、久留 秀樹 2、田畑 博嗣 2、石上 徳郎 3、中屋 和宏 3、吉田 尊 3、濱部 晃 3、永井 知雄 3、 勝然 秀一 3 1 国家公務員共済組合連合会 三宿病院 臨床検査科、2 国家公務員共済組合連合会 三宿病院 循環器内科、 自衛隊中央病院 循環器内科 3 【症例】74 歳女性。既往歴、認知症。2013 年 10 月下旬、前胸痛を訴え救急搬送。膵酵素の上昇あり急性膵炎を疑い入院となった。 心電図上 ST 変化はなかったが Troponin I は上昇していた。第 2 病日に 12 誘導心電図で胸部誘導に広範な陰性 T 波を認め、経胸 壁心エコーにて前壁を中心に広範な壁運動低下を認めたため、冠動脈・左室造影を施行した。冠動脈に有意狭窄なく、左室造影に て心基部および心尖部の過収縮、左室中部の低収縮を認めた。第 3 病日の経胸壁心エコーでは、左室中部の前壁、側壁、下壁に低 収縮を認めたが、心基部および心尖部の壁運動は保たれていた。EF 40%(modified Simpson 法)2D スペックルトラッキング法で 長軸方向ストレインは左室中部の前壁、中隔、下壁、側壁で低下、基部と心尖部のストレインは保たれていた。3D 心エコーでは polar map 上に壁運動異常領域がリング状に検出された。心筋シンチグラフィにおいて 201Tl は異常を認めず、123I-BMIPP 初期像、 後期像ともに心室中部にリング状に脂肪酸代謝の低下を認め、血流と代謝の乖離を示した。1カ月後の経胸壁心エコーでは壁運動 は改善していた。【結語】心室中部型たこつぼ心筋症において、壁運動異常の領域と脂肪酸代謝異常の領域が一致して観察された。 O23-3 低容量ドブタミン負荷心エコー図法で再現されたたこつぼ型心筋症の一例 丹波 寛子 1、岡田 恵利 1、高橋 久美子 1、武石 茂美 1、坂井 勇仁 2、相澤 健太郎 2、深堀 耕平 2、 武田 智 2、堀口 聡 2、伏見 悦子 2 1 JA 秋田厚生連 平鹿総合病院 臨床検査科 心エコー検査室、2 JA 秋田厚生連 平鹿総合病院 循環器内科 一般口演 70 代女性。半年前、閉塞性動脈硬化症疑いで循環器内科に紹介された。下肢病変に対し血管内治療が施行されシロスタゾールが処 方された。心エコー図では左室の狭小化があり左室駆出率 86%と過収縮だった。今回、入院中の姉の見舞い中に突然の胸背部痛が 出現し循環器内科に搬送された。血圧 62/43mmHg、HR90/ 分、収縮期雑音が聴取された。血液検査データは異常なかった。胸部 XP では軽度の心拡大はあるが肺うっ血はなかった。心電図は洞調律で HR66/ 分、I,aVL に深い陰性 T 波、V4 ~ 6 に軽度の ST 低 下を認めた。心エコー図では左室は狭小化し左室基部は過収縮だったが、心尖部は無収縮で瘤状を呈した。左室流出路の 6.3m/s の 狭窄血流、高度な SAM と MR3 度を認めた。補液と安静で状態は安定した。のちの冠動脈造影で有意狭窄を認めなかった。 以上よ り左室流出路に狭窄血流を伴うたこつぼ型心筋症が疑われた。その後の心エコー図では、局所壁運動異常は消失、左室流出路の狭 窄血流および SAM も消失、MR は少量に減少した。精査目的で低容量ドブタミン負荷心エコー図法を施行した。7.5 μ g/kg/min で胸痛が出現し、心尖部側の無収縮、左室流出路の狭窄血流、高度な SAM と MR、と発症時の状態が再現された。これより stress induced cardiomyopathy と診断し、β遮断薬の投与と PGEIII 阻害作用のあるシロスタゾールの服用を中止した。一過性の閉塞性 肥大型心筋症様の血行動態の機序として、服用中のシロスタゾールの心筋収縮増強作用や左室収縮期径と僧帽弁前尖長比、S 字状中 隔、脱水などの関与が考えられた。多様な要因で一過性の閉塞性肥大型心筋症様の血行動態を呈しショック状態に陥ったたこつぼ 型心筋症を経験したので報告する。 O23-4 心外膜格子状切開(Waffle procedure)が奏功した滲出性収縮性心膜炎の一症例 近江 哲生 1、後藤 健太郎 1、榊原 温志 1、増村 麻由美 1、三輪 尚之 1、林 達哉 1、伊藤 順子 1、 加藤 隆一 1、大野 正和 1、高橋 良英 1、野里 寿史 1、佐藤 康弘 1、石井 雄介 2、宇野澤 聡 2、 新野 哲也 2、磯部 光章 3 1 独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター 循環器内科、2 独立行政法人 災害医療センター 心臓血管外科、 東京医科歯科大学医学部附属病院 循環器内科 3 【症例】71 歳男性【主訴】労作時息切れ、下腿浮腫【現病歴】糖尿病、高血圧あり定期通院していた。入院 2 週間前から亜急性に軽 労作での労作時息切れ、全身の浮腫が出現し当院を受診。右心不全徴候が顕著で、CT で心膜肥厚を認めた。心エコー図では septal bounce、心嚢水少量、心膜肥厚を認めた。三尖弁および僧帽弁 E 波の呼吸性変動率はそれぞれ 46%、80%であった。収縮性心膜炎 を強く疑い入院となった。入院後に両心カテーテル検査を行ったところ、冠動脈は左右ともに器質的な有意狭窄なく、右心カテー テル検査で両心室拡張末期圧上昇、LV/RV 同時圧での discordant pattern を認め、以上から収縮性心膜炎と診断した。精査をした が明らかな原因は不明であり、利尿剤を強化し NYHA2 度まで改善したため第 17 病日に退院。しかし退院後に起立性低血圧が顕在 化し再度入院となった。胸水は増加し右心不全は再増悪していた。心エコー図では全周性の心嚢水が増加し septal bounce も顕著で あった。診断および拡張障害改善のため心嚢穿刺を行った。滲出性血性心嚢水を 100ml 吸引したが穿刺後にも流入障害は残存し運 動耐容能は低下していた。内科的治療が困難な状態であり、入院後 25 病日目に心外膜格子状切開(Waffle procedure)を施行した。 術後経過は良好であり、術後 20 日目に独歩退院となった。外来通院中に過労に伴う心不全増悪がみられ短期入院したものの、以後 6 ヶ 月は NYHA2 度を維持しつつ外来通院を継続している。【結語】収縮性心膜炎において臓側心膜まで癒着が及ぶ場合には剥離が困難 であり、この場合に心外膜格子状切開が有効である。術中所見で拡張障害が劇的に改善していく動画を交えて提示する。 202 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography O23-5 収縮性心膜炎で発症した悪性末梢神経鞘腫の一例 広江 貴美子 1、和氣 正樹 2、竹田 昌希 2、太田 庸子 2、岡田 清治 2、清水 弘治 3、織田 禎二 3、 丸山 理留敬 4、吉田 学 5、太田 哲郎 2 1 松江市立病院 中央検査科、2 松江市立病院 循環器内科、3 島根大学医学部 心臓血管外科、4 島根大学医学部 器官病理学、 松江市立病院 臨床検査科 5 症例は 84 歳女性。食欲の低下があり近医を受診し、腹部エコー検査で下大 静脈の拡張を認め、心不全が疑われ当院循環器内科に紹介された。心エコー 図検査では心嚢液の貯留と心外膜の癒着サインが認められ、また、左室およ び右室流入速度波形から収縮性心膜炎が疑われた。CT では心膜の肥厚と心 嚢液が認められ、FDG-PET/CT で心膜に全周性の集積が認められた。心不 全症状が進行するため収縮性心膜炎に対する手術的治療の適応と考えられ、 心膜剥離術目的で転院となった。手術時の肉眼所見では心嚢の著明な肥厚が 認められ、組織所見では肉芽腫などの炎症所見はなく心膜への腫瘍細胞の浸 潤が認められ、悪性末梢神経鞘腫と診断された。 O23-6 Stanford A 型急性大動脈解離による心嚢内出血の原因検索に経食道心エコーが有用であった 1 症例 松原 沙織 1、青木 朋 1、高野 奈緒美 1、鈴木 正人 2、野村 文一 2、大川 洋平 2、大野 猛三 2 1 心臓血管センター北海道大野病院 検査部、2 心臓血管センター北海道大野病院 心臓血管外科 203 一般口演 症例は61歳女性。2013 年 4 月、昼食後より背部痛が出現し他院を受診。上肢血圧の左右差と胸部レントゲン写真にて心陰影なら びに上縦隔の拡大を認めた為、胸部 CT を施行。上行大動脈から下行大動脈までの解離を認め、手術目的で当院へ緊急搬送された。 入院時心電図は V 2-6で ST の低下を認めた。搬入時、経皮的酸素飽和度は3L 酸素投与下で 100%、両足背動脈は触知可能、血 圧は右上肢 111/53、左上肢 128/54 と左右差を認めた。経胸壁心エコーでは左室の狭小化、心嚢液の貯留と右室の collapse を認め心 タンポナーデ ( + ) の所見であった。心嚢内には淡い点状エコーを一部に認め血性を疑った。バルサルバ洞の右冠尖と無冠尖に flap を認め、拡張期には大動脈弁への嵌頓を認めた。また胸部 CT にて出血が原因と思われる肺動脈の圧排像を認めたが CT では出血点 を明らかに出来なかった。緊急オペのため経食道エコーで出血点の検索を試みた。経食道心エコーでは全てのバルサルバ洞に解離 が及び、左冠動脈主幹部まで flap を認めた。左冠動脈分岐部外側に付着する可動性を持つ血腫と、その周囲に心嚢液の貯留が見ら れた。分岐部を注意深く観察すると、B モードで偽腔側血管壁の欠損とカラードプラにて欠損孔から心嚢への血流を認めた。よって 左冠動脈分岐部が出血点と判断した。右冠動脈は真腔分岐で冠動脈内に flap は認めなかった。術中所見でも心嚢内に大量の血液を 認め、対角枝の根本と左主幹部に一致する上行大動脈背面から出血していた。手術は弓部大動脈全置換術ならびに大動脈基部置換 術を施行した。術後経過は良好で術後 27 日独歩退院した。緊急手術における経食道エコーで出血源を明らかにすることができた一 例であった。 第25回日本心エコー図学会学術集会 P1-1 たこつぼ型心筋症の回復過程に一過性の心尖部肥大型心筋症様の形態を呈した 4 例 橋本 剛、鈴木 真事、吉川 尚男、大塚 健紀、楠瀬 友季子、粟屋 徹、中村 正人、杉 薫 東邦大学 医療センター 大橋病院 循環器内科 背景:たこつぼ型心筋症は一過性の左室の収縮機能障害を示す疾患として知 られている。左室心筋の収縮障害の回復過程において、心尖部肥大型心筋症 (left ventricular apical hypertrophy : APH)様の変化を示す例がごく少数 報告されている。たこつぼ型心筋症患者において一過性に APH 様の変化を 示した 4 症例について報告する。たこつぼ型心筋症と APH 様形態の診断は 左室造影と経胸壁心エコー図検査により行った。全例女性で、平均年齢は 70.8 歳、発症から壁運動の改善までの平均日数は 14 日、APH 様の変化から 正常の形態に戻るまでの平均日数は 70.8 日、心電図が正常化するまでの平均 日数は 118 日であった。結語:経時的に心エコー図検査を行うことにより、 一過性の左室形態変化を確認できたたこつぼ型心筋症の 4 例を報告する。 P1-2 経胸壁心エコー図検査にて経過を観察しえた逆たこつぼ型心筋症の一症例 北條 義明 1、黒沢 幸嗣 2、増田 くに子 2、反町 秀美 2、小保方 優 2、中島 正博 2、舘野 利絵子 2、 根岸 一明 2、倉林 正彦 2 1 北関東循環器病院 循環器内科、2 群馬大学医学部附属病院 循環器内科 【症例】67 歳、男性【主訴】動悸【既往歴】高血圧【現病歴】高血圧で内服加療中だった。朝トイレに行った後に動悸が出現し、約 10 分持続した。近医受診し、トロポニン T 陽性、CK 軽度上昇を認めたため搬送された。心電図では洞調律、V4-6:ST 軽度低下、 血液検査では WBC 6800/ μ l, AST 34/l, ALT 15IU/l, LDH 187IU/l, CK 343IU/l, CK-MB 17.0IU/l, CRP 7.21mg/dl, BNP 71.5pg/ml, アドレナリン 85( < 100)pg/ml, ノルアドレナリン 1003(140-450)pg/ml, ドーパミン 36( < 20)pg/ml であった。経胸壁心エコー図検査 (TTE) では心基部において全周性に壁運動低下、心尖部では収縮良好であった。逆たこつぼ型心筋症を疑い入院した。CT では脳血 管障害や褐色細胞腫を疑う所見を認めなかった。第 4 病日の TTE では壁運動低下はほぼ消失していた。第 6 病日の心臓カテーテル 検査では冠動脈に有意狭窄は認めず、壁運動はほぼ正常であった。心筋シンチグラフィではタリウムの軽度集積低下と MIBG が高 度に低下しているため亜急性期の逆たこつぼ型心筋症に合致する所見であった。さらに後日行った TTE では壁運動は正常であった。 以上の経過から逆たこつぼ型心筋症と診断した。【考察】たこつぼ型心筋症は中年の女性に多く、精神的、肉体的な強いストレスが 原因とされ、一過性の左室心尖部を中心とした壁運動低下をきたす疾患である。しかし約 20% は心基部のみの壁運動低下を示すこ とがあり逆たこつぼ型心筋症と呼ばれ、たこつぼ型心筋症に比べて若年の女性に多いとされる。いずれも壁運動は 3 週間から 1 か 月のうちに正常に戻ることが多く、予後は良好といわれる。今回 TTE にて経過を観察しえた逆たこつぼ型心筋症を経験したので報 告する。 一般ポスター P1-3 僧帽弁逆流を合併したたこつぼ型心筋症の長期予後 鍵山 暢之、大倉 宏之、玉田 智子、今井 孝一郎、山田 亮太郎、久米 輝善、林田 晃寛、根石 陽二、 川元 隆弘、吉田 清 川崎医科大学 循環器内科 【背景】たこつぼ型心筋症は,冠動脈疾患を伴わず一過性の局所壁運動異常 を呈する疾患である.僧帽弁のテザリングや収縮期前方運動 (SAM) に伴う 僧帽弁逆流 (MR) を生じる場合があり,MR を有する例では急性期の合併症 が多いことが報告されているが,その長期予後は明らかではない.【目的】 MR を有するたこつぼ型心筋症の特徴とその長期予後を明らかとすること. 【方法】当院に入院したたこつぼ型心筋症 113 例のうち,中等度以上の MR を有する 17 例 (MR 群 ) と有さない 96 例 ( 非 MR 群 ) の間で心エコー図所見, 急性期合併症,長期予後 (MACE= 心臓死 + 心不全入院 ) に関して比較検討 した.【結果】MR 群では非 MR 群に比して SAM(23.5% vs. 7.3%, p=0.037) を 有する例が多く,心不全 (76.5% vs. 33.7%, p=0.016) 合併率が多かった.また, MACE 回避生存率は有意に低かった (Log-rank, p=0.021). 【結論】MR を合 併したたこつぼ型心筋症の長期予後は不良である. 204 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P1-4 タコツボ型心筋障害に左室心尖部血栓を生じ、回復期に脳梗塞を発症した一例 田中 美与 1、渡邉 望 2、末澤 滝子 1、吉村 雄樹 2、増山 浩幸 2、福永 隆司 2 1 県立宮崎病院 臨床検査科、2 県立宮崎病院 循環器内科 症例は 72 歳女性。自宅トイレで倒れている所を発見され当院に救急搬送さ れた。心電図は V3-6 の ST 上昇を認めた。経胸壁心エコー図では心尖部を 中心とした広い範囲が無収縮 , 心基部は過収縮であった。冠動脈造影で冠動 脈に有意狭窄は認めず , 左室造影は経胸壁心エコー図と同様の所見であり , たこつぼ型心筋障害と診断された。第 7 病日の心エコー図検査で心尖部の壁 運動異常に改善なく , 左室心尖部に付着する可動性血栓を認めたため , ヘパ リンによる抗凝固療法を開始した。第 15 病日に左手足に麻痺が出現 , 緊急 MRI にて右中大脳動脈の広範な脳梗塞と診断された。その後の心エコー図 検査では全体的な収縮能は改善傾向にあり , 前回まで認めていた心尖部の可 動性血栓は消失していた。【考察】タコツボ型心筋障害の血栓予防に関する 明確なエビデンスは確率されておらず , 各々の判断に委ねられている状態で ある。予後良好といわれている本症ではあるが , 急性期から急激に所見が変 化するため心エコー図検査でのこまめな経過観察が必要であることを再認識 した。 P1-5 急性脊髄炎に非典型的たこつぼ型心筋症を併発した一例 吉村 雄樹 1、渡邉 望 1、田中 美与 1、増山 浩幸 1、戸井田 玲子 2、福田 智子 2、湊 誠一郎 3、福永 隆司 1 1 県立宮崎病院 循環器内科、2 宮崎大学 第一内科、3 県立宮崎病院 神経内科 症例は、27 歳女性。胸痛・下肢のしびれを主訴に当院神経内科に入院。身体所見で右優位下肢近位筋力低下と第 4 胸椎レベルの両 側性の疼痛及びそれ以下の感覚異常と感覚低下を認めた。頸胸椎 MRI で C2/3 ~ Th6 レベルの脊髄腫大と T2 強調像での高信号が あり脊髄炎と診断、ステロイドパルス療法を開始された。頭部 MRI 上、辺縁系脳炎も合併していた。入院時心電図で胸部誘導にて 陰性 T 波を認め胸痛・不整脈もあり循環器内科に紹介された。経胸壁心エコー図検査で左室壁運動は心基部から心室中部にかけて 高度低下していたが心尖部領域の壁運動は正常であった。壁運動異常が冠動脈支配領域に一致しない事、若年女性であることから 冠動脈疾患の可能性は低いと判断し経過観察とした。ステロイドパルス療法により脊髄炎の症状は著明に改善した。第 7 病日の経 胸壁心エコー図にて左室壁運動異常は改善傾向を示し第 14 病日には正常壁運動となり心電図も正常化した。近年、心室中部に壁運 動異常を呈する非典型的たこつぼ型心筋症が報告され midventricular type として注目されている。本症例は心エコー図所見及び臨 床経過から急性脊髄炎に併発した非典型的たこつぼ型心筋症と考えられた。 一般ポスター P1-6 心エコーで高度の壁運動異常あり冠動脈肺動脈瘻を認め関連を疑われたが、精査にて心サルコイドー シスと診断された一症例 吉田 啓子 1、太田 剛弘 1、山口 良子 2、八木 秀也 1、則岡 直樹 1、蒔田 直記 1、石井 英 1、紙森 公雄 1、 柳 志郎 1、葭山 稔 3 1 生長会 府中病院 循環器科、2 生長会 府中病院 生理検査室、3 大阪市立大学付属病院循環病態内科学 【症例】76 歳男性【主訴】呼吸困難【経過】最近階段上る時など呼吸苦を自覚し心不全精査で入院。心エコーにて前壁中隔と下壁の 壁運動異常と肺動脈の拡大を認めた。心臓カテーテル検査にて有意狭窄はなく、左冠動脈主幹部からの肺動脈瘻を認め短絡率 1.4 と 測定され、coronary steal による壁運動異常と考え心不全の再発予防のため外科的治療を考慮した。【既往歴】2013 年 1 月脳出血【検 査所見】理学所見特記なし。生化学所見では BNP761pg/ml と高値だったが他は特記所見なし。胸部 X 線で心拡大なく、肺野血管 陰影増強。心電図は2、3、aVf で down slope ST 低下。心エコーで壁運動異常あるが壁厚保たれ、LVEF48%、心拍出量 3.8L/ min。【臨床経過】壁運動異常が冠動脈支配に一致しない部位もあり短絡量も再検では多くなく、心筋症など鑑別のため画像診断を 施行した。造影 MRI で左室前壁から前壁中隔に無収縮で遅延造影を認め、心室中隔基部に菲薄化があり心サルコイドーシスなど心 筋障害が疑われた。心筋生検では特異的な所見は得られなかったが、Ga 心筋シンチでは左室前壁から中隔基部に明瞭な集積亢進が あり、FDG-PET で心筋に不均一な FDG 集積亢進 ( 最大 SUVmax6.4) を認め、活動性心サルコイドーシスに矛盾しない結果だった。 経過中に 6-8 秒の洞停止を伴う SSS を認めペースメーカ植え込み施行した。現在、ステロイド治療を行い心エコーにて心機能の改 善を示している。【まとめ】心不全で入院し壁運動異常のある冠動脈肺動脈瘻の手術検討中に心サルコイドーシス疑われ内科的治療 となった症例を経験した。 205 第25回日本心エコー図学会学術集会 P1-7 心エコー図所見のみ治療戦略に有用であった心サルコイドーシスの一例 甲斐田 豊二 1、小板橋 俊美 2、藤石 珠美 1、前川 恵美 2、猪又 孝元 2、阿古 潤哉 2 1 沼津市立病院 循環器内科学、2 北里大学病院 循環器内科 症例は 58 歳女性。2006 年に両側鼡径部リンパ節および頚部リンパ節の腫脹を認め、眼病変およびリンパ節生検の結果により、サル コイドーシスの確定診断に至った。2008 年の心エコー図所見では、心室中隔の菲薄化を認めたが、左室収縮能の低下はなかった。 しかし、2012 年に明らかな左室収縮能の低下を認めた。サルコイドーシスの活動性指標となる Ga シンチグラフィーや心臓 MRI、 血清 ACE 活性やリゾチーム値には異常所見を認めなかった。冠動脈造影では冠動脈に有意狭窄はなく、心内膜心筋生検でも明らか な所見を認めなかったが、心病変の主徴候 2 項目を満たす心エコー図所見により、心サルコイドーシス(心サ症)と診断し、ステ ロイド治療を開始した。その結果、β遮断薬の併用なしに、左室駆出率(LVEF)は 44% から 56% に改善し、ステロイド治療の 効果と考えられた。なお、EF改善後も心室中隔基部の菲薄化は残存した。心電図所見は初診時からステロイド治療開始後まで明 らかな変化はなかった。 サルコイドーシスの治療戦略では、ステロイド治療の適応とステロイドの適量を見極めることが重要である。つまり、心サ症の診 断と炎症活動性の評価である。他臓器のサルコイドーシス経過観察中に心電図変化で心病変の合併を疑うことがあるが、本症例で は経過中通して心電図変化はなく、心エコー図による形態機能変化が診断の決め手となった。一方、サルコイドーシスの活動性指 標がなく、ステロイド治療の効果判定に難渋したが、EFの改善を検出したことにより、その有効性をとらえることができた。一方、 器質的病変に変化はなく、機能的変化を指標とすることが望ましいと考えられた。 P1-8 乳癌化学療法におけるタモキシフェンの心筋障害抑制の可能性についての検討 井手本 明子 1、西野 雅巳 1、主代 悠 1、増山 潔 1、依藤 弘紀 1、加藤 大志 1、石山 絢野 1、大西 裕之 1、 坂谷 彰哉 1、田中 彰博 1、森 直己 1、吉村 貴裕 1、中村 大輔 1、谷池 正行 1、牧野 信彦 1、江神 康之 1、 習田 龍 1、森田 久樹 2、田内 潤 1 1 大阪労災病院 循環器内科、2 大阪労災病院 救急部 【背景】近年、化学療法による薬剤性心筋障害は臨床上問題となっておりそ の予防法が模索されている。我々は当院で乳癌化学療法施行例でホルモン療 法の有無と心機能障害の関連を検討した。【方法】対象は HER2 陽性乳癌に 対し化学療法(FEC 療法)フルオロウラシル 500 mg/m2 + エピルビシン 100 mg/m2 + シクロホスファミド 500 mg/m2 を 4-6 クールとパクリタキセ ル 80 mg/m2 毎週 + トラスツズマブ 2 mg/kg 3 週毎を 3-4 クール施行され、 その後トラスツズマブ 2 mg/kg 単剤の 3 週毎の投与が行われた連続 22 例。 化学療法前とトラスツズマブ 2 mg/kg 単剤の 3 週毎の投与後 6 か月で左室 駆出率(EF)、左室拡張期径(LVDd)、収縮期径(LVDs)、E/A の差と比 (ratio) を計算し、ホルモン療法(タモキシフェン)の有 無で各心エコー指標を比較検討した。【結果】タモキシフェン投与の有無での心エコー指標は表のごとくであった。【結論】ホルモ ン療法であるタモキシフェン投与は乳癌患者の化学療法に伴う心機能障害を抑制する可能性が示唆された。 一般ポスター P2-1 高血圧治療患者における心血管イベント予測に関する検討 煙草 敏 1、原田 昌彦 1、宮坂 匠 1、吉川 浩一 1、寳田 雄一 1、桝谷 直司 1、林 京子 1、藤井 悠一郎 2、 原 文彦 2、池田 隆徳 2 1 東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、2 東邦大学医療センター大森病院 循環器内科 【目的】高血圧症における左房拡大や左室肥大が心血管疾患の予測因子であ ることが知られている。心エコー図指標から高血圧患者の心血管イベント発 症の層別化が可能であるか否かを検討した。【方法】対象は薬物治療を受け ている高血圧患者 180 例(平均年齢;61 ± 17 歳、男 / 女;114/66 例)。心 房細動例、虚血性心疾患例、中等度以上の僧帽弁逆流症例は除外した。【結果】 心エコー図検査施行後の経過観察期間中(平均 629 ± 265 日)に 12 例(心 不全 8 例,脳卒中 4 例)が心血管イベントを発症した。全症例をイベントの 有無で 2 群に分類し、多重ロジスティック回帰分析を用いた結果、左房容積 係数(LAVI)および Global Radial Strain(GRS)は心血管イベントの予測 因子であった(LAVI:p = 0.031、GRS:p = 0.035)。また ROC 曲線より両 指標の cutoff 値を算出した。Kaplan-Meier 法による生存分析では LAVI > 【結語】 40ml/m2・GRS < 48% 群でイベント回避率は有意に低値であった。 高血圧治療患者において LAVI と GRS を組合わせた指標は心血管イベント 発症の予測に有用である可能性が示唆された。 206 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P2-2 正常患者における年齢・性別ごとの左室拡張機能の指標とその相関関係に関する検討 水野 智文、福田 祥子、中野 雄介、向井 健太郎、若林 宏和、天野 哲也 愛知医科大学 循環器内科 【背景】左室拡張機能は年齢を経るごとに低下するといわれている。しかし ながら心エコーで測定する各種左室拡張機能の指標の年齢・性別ごとの正常 値および相関関係に関しては報告が少ない。【方法】当院の心エコーデータ ベースから器質的な心疾患および高血圧の合併のない患者 283 例を抽出し各 種拡張機能の指標を年齢・性別ごとに検討した。一般的な指標に加え、左室 stiffening の指標として diastolic wall strain (DWS) を検討した。【結果】テー ブルに正常患者における各年齢・性別ごとの平均値を示した。すべての指標 (r=0.220) および E/e’ (r=0.143) と有 は年齢と有意な相関を示した。DWS は e’ 意な相関を示したが、a’ (r=0.003) とは相関を認めなかった。【結論】DWS も 他 の 指 標 と 同 様 に 年 齢 と と も に 悪 化 し て い る。 左 室 stiffening は 左 室 の relaxation と左室の充満圧に影響している。 P2-3 糖尿病における左室グローバルストレイン低下は左房リザーバー機能低下と関連する 鹿野 由香理 1、井上 勝次 2、河野 珠美 2、西村 和久 2、永井 啓行 2、鈴木 純 2、大木元 明義 2、 大蔵 隆文 2、檜垣 實男 2、高田 康徳 3、伊藤 由美 1、作岡 南美子 1、宮崎 真紀 1、高須賀 康宣 1、 西宮 達也 1 1 3 愛媛大学 医学部附属病院 検査部、2 愛媛大学大学院 循環器呼吸器腎高血圧内科学、 愛媛大学大学院 分子・機能領域糖尿病内科学 【背景】左室駆出分画が保たれている糖尿病において収縮期左室グローバルストレイン(GLS)が低下している事が報告されており、 GLS 低下は左房リザーバー機能低下と関連している可能性がある。【対象】当院に糖尿病治療目的で入院し、心エコー検査を施行し た連続 48 症例(D 群 : 平均年齢 59 歳、女性 33%、高血圧合併 40%)。年齢、性をマッチさせた健常者 15 例をコントロール群(C 群) とした。除外項目は冠動脈疾患の既往、左室駆出分画 55% 未満、有意な弁膜症、心房細動例とした。【方法】超音波装置は GE 社製 Vivid E9 を用いた。心エコーは、安静時に標準心エコー指標を取得後、2D ストレイン解析のため高フレームレート(70fps 以上) の左室・左房グレイスケールイメージを動画記録し、検査後に EchoPac ソフトフェアを用いて左室 GLS、左房リザーバー機能を解 析した。【結果】D 群は C 群に比し、左房容量係数が有意に大(45 ± 13ml vs 32 ± 7ml, P < 0.01)で、左室 GLS は有意に低値(-16 ± 3% vs -19 ± 2%, P=0.04)であった。D 群において、左房リザーバー機能は GLS と有意な相関関係を認めた(R2=0.34, P < 0.01)。 多変量解析では、独立変数を年齢、高血圧合併、左房容量係数、GLS とすると、年齢と GLS が左房リザーバー機能を規定する独立 した因子であった(年齢 : β =-0.30, P=0.02, GLS: β =-0.48, P < 0.001)。【結論】左室駆出分画が保たれた糖尿病例において、長軸 方向の左室収縮能低下は左房リザーバー機能低下と密接に関連していた。糖尿病における潜在的左室収縮能低下は左房予備能を低 下させる可能性が示唆された。 一般ポスター P2-4 左室充満圧の推定における E/e´ の限界と長軸および円周方向グローバルストレインレートを用いた 新たな指標の検討 林 大知 1、山田 聡 1、中鉢 雅大 2、榊原 守 1、西野 久雄 2、岡田 一範 3、市川 絢子 2、村井 大輔 1、 山田 博胤 4、土肥 薫 5、瀬尾 由広 6、大手 信之 7、三神 大世 3、筒井 裕之 1 1 北海道大学大学院 循環病態内科学、2 北海道大学病院 検査・輸血部、3 北海道大学大学院 保健科学研究院、 徳島大学病院 循環器内科、5 三重大学大学院 循環器・腎臓内科学、6 筑波大学 循環器内科、 7 名古屋市立大学大学院 心臓・高血圧内科学 4 【背景】拡張早期の左室流入血流速度(E)に対する僧帽弁輪運動速度(e´)の比(E/e´)による左室充満圧の推定は、対象によっ ては不正確となることが知られている。そこで、長軸および円周方向のストレインレート(各々 LSR、CSR)を用いた新しい指標 による左室充満圧の推定を試みた。【方法】全国 5 施設で、種々の心疾患を有する 74 例を登録した。洞調律以外、中等度以上の弁 逆流、僧帽弁または大動脈弁術後、維持透析例は除外した。Micromanometer 付きカテーテルを用いて左室平均拡張期圧(MDP) を計測した。2 次元スペックルトラッキング法で、心尖部 3 断面のグローバル LSR と短軸 3 断面のグローバル CSR から拡張早期最 大値(各々 LSRE、CSRE)を算出し、E との比(E/LSRE、E/CSRE)および差(E - k × LSRE、E - k × CSRE)を計算した。本 検討とは異なる 30 例の予備検討で、E と、CSRE または LSRE を独立変数、MDP を従属変数とする重回帰分析を行い、定数 k を求 めた。【結果】予備検討により、LSRE の定数は 25、CSRE の定数は 20 と算出された。本検討では、MDP と E/e´ の相関は弱く (r = 0.39, p < 0.01)、E/CSRE の相関は同程度であったが(r = 0.41, p < 0.01)、E/LSRE は E/e´ より良好に MDP と相関した(r = 0.50, p < 0.01)。E - 25LSRE はさらに良好に MDP と相関したが(r = 0.54, p < 0.001)、E - 20CSRE の相関係数は r = 0.45(p < 0.001) にとどまった。【結論】種々の器質的心疾患における左室充満圧の推定に、E/e´ では限界があり、長軸方向ストレインレートを用 いた指標、特に E - 25LSRE がより有用である可能性が示唆された。 207 第25回日本心エコー図学会学術集会 P2-5 慢性心不全患者に対する陽圧呼吸療法は左室拡大を介して左室ポンプ機能を改善する 篠崎 毅 1、三上 秀光 2、石塚 豪 1、尾上 紀子 1、山口 展寛 1、藤田 央 1、佐藤 大樹 1、伊藤 真理子 2、 鈴木 博義 2 1 国立病院機構仙台医療センター 循環器内科、2 国立病院機構仙台医療センター 臨床検査科 背景 ) 慢性心不全患者の肺動脈楔入圧が高い時に限って、持続陽圧呼吸療法 は心拍出量を増大させる。しかし、その機序は不明である。本研究の目的は Frank-Starling の機序がこの現象に関与している可能性を検討することであ る。方法 ) 心臓超音波検査で restrictive pattern を示す安定した慢性心不全 患者 5 名を対象とした。adaptive-servo ventilation(ASV) 施行前と施行 30 秒 後の左室拡張末期径 (LVDd) と左室流出路 velocity-time integral(VTI) を計 測した。洞調律の時は連続 5 心拍平均値を、心房細動の時は連続 10 心拍平 均値を用いた。結果 ) 患者は年齢 68 ± 16 才、左室駆出率 37 ± 19%、NTBNP 3814 ± 2957pg/ml であった。ASV の呼気終末圧は 5 ± 1mmHg であっ た。LVDd は ASV 前 後 で 58.3 ± 8.5mm か ら 60.9 ± 9.9mm(p < 0.05) へ、 VTI は 17.8 ± 2.7cm から 20.2 ± 3.2cm(p < 0.01) へ有意に増大した。心拍数 は ASV 前後で変化しなかった。各症例の LVDd の変化率に対する VTI の 変化率は r2=0.63 の正相関 を示した ( 図 )。結論 )ASV の心拍出量増大効果は 左室拡大に依存する。Frank-Starling の機序はこの現象を説明できる。 P2-6 Parkinson 病患者における心機能評価:Parkinson 病患者では若年層で拡張能が低下する 藤原 理佐子 1、高野 真澄 2、大手 信之 3 1 地方独立行政法人 秋田県立病院機構 秋田県立脳血管研究センター 循環器内科、2 福島県立医科大学附属病院 集中治療部、 名古屋市立大学大学院心臓・腎高血圧内科 3 【背景】Parkinson 病では、123I-MIBG 心筋シンチグラフィーによる集積が低 下しており、交感神経の障害が認められるが、明らかな心機能低下は来さな い。一方、Parkinson 病の予後に心不全の関与が報告されているが、これま で Parkinson 病における心機能に関して詳細に検討した報告はない。【目的】 Parkinson 病患者において心機能低下が認められるか否か、検討すること。 【方 法】対象は 2001 年 2 月から 2012 年 7 月までに経胸壁心エコー図検査を施行 した Parkinson 病患者 280 例(男性 119 例、女性 161 例、72 ± 6 歳)。心疾 患の既往、左室収縮障害(EF < 50%) 、慢性・発作性心房細動、及び中等 度以上の僧帽弁逆流例は除外した。各年代における E 波、A 波、E/A を、 JAMP study( 日 本 人 健 常 者 ) に お け る 各 値 と 比 較 検 討 し た。【 結 果 】 Parkinson 病において JAMP study に比べ、60 代男性、50 ~ 60 代女性にお いて E 波が有意に小さく、E/A は有意に小さかった(表)。また、70 代にお いては両群に差を認めなかった。【結論】Parkinson 病では健常者に比し、若 年層における拡張能低下が認められ、心筋障害の存在が示唆された。 一般ポスター P2-7 心房中隔欠損症が側壁側と中隔側の僧帽弁輪移動速度へ及ぼす影響 橋本 剛 1、鈴木 真事 1、原田 昌彦 2、原 英彦 1、吉川 尚男 1、大塚 健紀 1、楠瀬 友季子 1、中村 正人 1、 杉 薫 1 1 東邦大学 医療センター 大橋病院 循環器内科、2 東邦大学 医療センター 大森病院 循環器内科 背景:我々は開胸心臓手術後に見られる Paradoxical septal motion(PSM)が側壁側と中隔側の僧帽弁輪移動速度へ及ぼす影響が 異なることを報告してきた。今回 ASD 患者の僧帽弁輪運動速度について健常人と対比検討した。方法:対象は ASD 群 24 人、健常 群 70 人である。通常の左室流入血流速波形のほか、組織ドプラ法により僧帽弁輪移動速度の拡張早期最大速度(e’ )と収縮期最大速 度(s’ )を側壁側と中隔側において検討した。さらに、e’ 、s’ の側壁側と中隔側の差をそれぞれ Velocity difference e’ (VD e’ )、Velocity difference s’ (VD s’ ) として定義した。結果:ASD 群と対照群における平均年齢に有意差はなかった(ASD 群 vs 健常群 : 57.5 歳 vs 54.7 歳、p = NS )。e’ late は 2 群間に有意な差はなかった。e’ sep は ASD 群が有意に小さかった(ASD 群 vs 健常群 = 7.516 vs 8.621、 late は ASD 群が有意に大きかった(ASD 群 vs 健常群 = 12.376 vs 9.981 、p = 0.0003 )。s’ p = 0.011 )。s’ sep は2群間に有意な差は なかった。VD e’ は ASD 群が有意に大きかった(ASD 群 vs 健常群 = 3.518 vs 2.670 , P = 0.0371)。VD s’ は ASD 群が有意に大きかっ た(ASD 群 vs 健常群 = 3.495 vs 1.690 , P = 0.0003) 。結論:ASD 患者における僧帽弁輪運動速度は健常人と同様ではないので、そ の評価には注意が必要である。 208 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P3-1 カラー組織ドプラ法による右室機能評価の有用性 古川 哲生 1、安部 晴彦 2、井上 裕之 1、西田 博毅 1、安村 かおり 1、坂口 大起 1、篠内 和也 1、 三浦 弘之 1、宮崎 宏一 1、濱野 剛 1、小出 雅雄 1、安村 良男 1、是恒 之宏 2、楠岡 英雄 1 1 国立病院機構 大阪医療センター 循環器内科、2 大阪医療センター 臨床研究センター 【背景】M モード法による右室機能評価法として三尖弁輪収縮期移動距離 (TAPSE) は簡便で広く用いられている。一方、カラー組 織ドプラ法による組織トラッキング法によって、組織速度から TAPSE を算出することも可能である。本研究では、カラー組織ド プラ法による TAPSE 算出の有用性を明らかにすることを目的とした。 【方法】当院で GE 社製 Vivid7 を用いて経胸壁心エコーを施行し、M モード法およびカラー組織ドプラ法による TAPSE 計測を行っ た 43 例について検討を行った。 【結果】平均年齢 66 ± 14 歳、性別は男性 25 人、女性 18 人であった。左室短縮率は 31.9 ± 9.2% で、M モード法およびカラー組織 ドプラ法による TAPSE はそれぞれ M-TAPSE 19.3 ± 5.2mm、TT-TAPSE 18.8 ± 5.2mm であった。M-TAPSE と TT-TAPSE は r=0.79、P < 0.0001 と有意な相関を示した。 【結論】カラー組織ドプラ法による TAPSE 計測は M モード法と同様の結果を得ることが可能であり、M モード法による描出困難 な症例においても有用である可能性が示唆された。 P3-2 ファロー四徴症術後患者と肺高血圧症患者における右室機能評価指標の比較 藤原 淳子 1、大沼 秀知 1、遠藤 洋一 1、船水 康陽 1、三木 俊 1、建部 俊介 2、安達 理 3、西條 芳文 1 1 東北大学病院 診療技術部 生理検査センター、2 東北大学病院 循環器内科、3 東北大学病院 心臓血管外科 目的)心エコー法よる右室機能評価方法として、三尖弁輪部移動距離 (TAPSE)、三尖弁輪収縮期最大速度 (S’ )、右室内腔面積変化率 (RVFAC) が使用されている。本研究の目的は、この 3 指標について、正常例 (NOR)、ファロー四徴症術後症例 (TOF)、肺高血圧症 例 (PH) の 3 群で比較検討し、それぞれの指標と病態の関係を明らかにすることである。対象)NOR 61 例 ( 男 : 女= 32:29、平均 54.1 ± 16.6 才 )、TOF 38 例 ( 男 : 女 = 19:19、 平 均 35.7 ± 8.5 才 )、PH 52 例 ( 男 : 女 = 12:40、 平 均 49.1 ± 19.9 才 )。 方 法 ) RVFAC(%)、TAPSE(mm)、S’ (cm/s) に つ い て 各 群 の 平 均 お よ び 各 指 標 間 の 相 関 を 求 め た。 結 果 )NOR:RVFAC 44.2 ± 5.2、 12.4 ± 1.8、TOF:RVFAC 37.9 ± 11.3、TAPSE 15.7 ± 3.2、S’ 9.4 ± 2.1、PH:RVFAC 34.3 ± 12.1、TAPSE TAPSE 20.9 ± 2.9、S’ 18.4 ± 4.9、S’ 11.8 ± 2.8 で、RVFAC では NOR > TOF、PH、TAPSE では NOR > PH > TOF、S’ では NOR、PH > TOF であった。 TOF 群の 10 例では RVFAC 正常で TAPSE、S’ が低値、PH 群の 20 例では RVFAC 低値で TAPSE、S’ が正常であった。考察 ) TAPSE、S’ が PH に比べ TOF で低値を示したのは、右室修復術による長軸方向の収縮低下、RVFAC が TOF に比べ PH で低値を 示したのは、右室への圧負荷による短軸方向の収縮低下によるものと考えられ、病態により右室機能評価指標に乖離があることが 示された。 一般ポスター P3-3 高血圧患者における右室拡張能と肥満との関連 石川 譲治 1、山中 祐子 1、小形 幸代 1、西村 芳興 1、市田 勝 1、苅尾 七臣 1、吉野 雄大 2、渡辺 慎太郎 2 1 自治医科大学 循環器内科、2 佐野厚生総合病院 循環器内科 背景:高血圧患者における右室拡張能低下と関連するリスクに関しては不明な点が多い。方法:本態性高血圧のスクリーニング目 的で心エコー図検査を施行した外来患者(連続 95 名)において、組織ドップラー波を用いて、三尖弁の弁輪部の E’ 、A‘波および S’ 波を測定した。結果:三尖弁輪の E’ 波の速度は、body mass index(BMI)と、相関係数 =-0.17, P=0.089 の関連を認めており、年齢、 性別、飲酒、喫煙、収縮期血圧、降圧薬の内服の有無、糖尿病、脂質異常症といった交絡因子で補正したところ、有意な負の関連 が認められた(beta=-0.27, P=0.015)。この三尖弁輪 E’ 波速度と BMI の関連は、左室の重量係数や相対的壁肥厚度といった因子で補 正した後も有意であった。さらに三尖弁輪部の E’ 波速度が最低三分位(< 8.0cm/sec)であった患者は、その他の患者(> =8.0cm/ 、ロジスティック回帰分析でも BMI sec)であった患者に比べて、BMI が有意に大きく(25.0 ± 3.9 対 23.4 ± 3.6 kg/m2、P=0.046) 高値 (1kg/m2 上昇するごとのオッズ比 1.22、P=0.016) と脂質異常症の存在(オッズ比 3.96 倍、P=0.012)が三尖弁輪部 E’ 波速度が 低値(< 8.0cm/sec)であることの有意なリスクになっていた。また、三尖弁輪部 E’ 波速度は下大静脈径(呼気時)と有意な負の関 連を示していた(相関係数 =-0.23, P=0.30)。結論:高血圧患者において、肥満や脂質異常症の存在が右室拡張能の低下(三尖弁輪部 の E’ 波速度の低下)のリスクとなり、下大静脈径の拡大、すなわち体液量の増大や静脈環流の低下を生じている可能性が示唆された。 209 第25回日本心エコー図学会学術集会 P3-4 TMAD(tissue motion annular displacement)法を用いた右室機能評価の検討 山中 祐子 1、外海 洋平 1、岩倉 克臣 1、小山 靖史 1、井上 耕一 1、岡村 篤徳 1、藤井 謙司 1、 上田 政一 2、橋口 遼 2、関家 季実子 2 1 桜橋渡辺病院 心臓血管センター 内科、2 桜橋渡辺病院 心臓血管センター 検査科 【背景】右心機能は右室の形態上、その正確な評価は難しい。最近右室全体 の長軸方向ストレイン (global longitudinal strain, RV-GLS) が右室収縮能の 指標として有用とされるが、その測定は煩雑性などの問題がある。TMAD 法は 2D スペックルトラッキング法を用いて長軸方向への弁輪移動距離を客 観的かつ容易に計測できる方法であり、僧帽弁輪移動距離による左室収縮能 の評価などに用いられる。TMAD による三尖弁弁輪移動距離と RV-GLS の 関係性を検討する。 【方法】iE33 (Philips Medical Systems) を用いて心エコー 図検査を実施した連続 31 症例(平均年齢:63 ± 13 歳、男性 25 症例)を対 象とし、QLAB software を用いて三尖弁輪の TMAD と RV-GLS を計測し、 両者を比較した。【結果】TMAD 法は全ての対象で 30 秒以内に測定が可能 であった。RV-GLS と TMAD には有意な相関関係が認められた(R=0.44, p =0.01)。【結論】TMAD 法は簡便に計測可能であり、2D スペックルトラッ キング法を用いて測定された長軸方向への右室の動きと良好な相関関係を認 め、右心機能の簡便な評価法として有用と考えられる。 P3-5 どのくらい高度の三尖弁逆流まで連続波ドプラ法による右室 - 右房圧較差の評価は可能か? 加賀 早苗 1、三神 大世 1、樋岡 拓馬 2、中野 彩 2、岡田 一範 2、阿部 歩 1、中鉢 雅大 3、西野 久雄 3、 横山 しのぶ 3、西田 睦 3、林 大知 4、村井 大輔 4、岩野 弘幸 4、山田 聡 4、筒井 裕之 4 1 北海道大学大学院 保健科学研究院、2 北海道大学大学院 保健科学院、3 北海道大学病院 検査・輸血部、 北海道大学大学院 循環病態内科学 4 【目的】肺動脈収縮期圧の非侵襲的評価には、連続波ドプラ法による三尖弁逆流(TR)の収縮期ピーク流速から、簡易ベルヌーイ式 を用いて算出した収縮期ピーク右室 - 右房圧較差(PSPG)が広く用いられている。高度の TR 例では PSPG が不正確になるといわ れるが、その実態はよくわかっていない。そこで、TR の程度と PSPG の精度との関係を、肺動脈弁逆流(PR)から求めた急速充 満期肺動脈 - 右室圧較差(RFPG)との比較に基づき検討した。【方法】対象は、カラードプラ法による TR の縮流部幅(VCW)が 3mm 以上であった各種心疾患 106 例である。VCW ≧ 10mm を最高度 TR、≧ 7mm を高度 TR、≧ 3mm を中等度 TR と定義した。 連続波ドプラ法による TR 流速波形から PSPG を、PR 流速波形から RFPG を計測した。心尖部四腔像から三尖弁輪収縮期移動距離 (TAPSE)を計測した。【結果】全 106 例中、最高度 TR が 16 例、高度 TR が 7 例、中等度 TR が 83 例であった。PSPG と RFPG との相関は、中等度 TR と高度 TR では良好であり(順に、r = 0.91、p < 0.001、r = 0.85、p = 0.016)、かつその回帰直線は互い にほぼ重なり、ともに原点付近を通過した。一方、最高度 TR では両指標間に有意の相関を認めなかった。最高度 TR の 16 例中、 中等度と高度の TR を合わせた 90 例の回帰直線(PSPG = 1.8RFPG + 4.6)より上方に 10 例が、下方に 6 例が位置し、後者では前 者より TAPSE が有意に低かった(p = 0.042)。【結論】VCW が 10mm 未満の TR 例では、TR 流速計測に基づく肺動脈収縮期圧の 評価が可能であると考えられた。一方、より高度の TR 例では、層流化した TR 血流の圧回復現象による PSPG の過大評価に高度の 右室収縮障害による複雑な血行動態変化が加わり、その評価が難しくなると考えられた。 一般ポスター P3-6 急性肺血栓塞栓症における McConnell 徴候判定に影響する因子の検討 波元 智香 1、穂積 健之 2、谷 久弥子 1、馴松 佑紀 1、有馬 隆幸 1、丸山 将広 3、加藤 義紘 3、 谷口 寛昌 3、山地 雄平 3、榎本 志保 3、葭山 稔 2 1 大阪府済生会野江病院 臨床検査科、2 大阪市立大学医学部附属病院 循環器内科、3 大阪府済生会野江病院 循環器内科 【はじめに】急性肺血栓塞栓症(APE)の診断において、心尖部を除く右室機能障害所見(McConnell 徴候)は特異度が高いと報告 されている。しかし、その感度は必ずしも高くないとする報告もある。さらに、血栓溶解療法後に右室機能障害の改善を認めると いう報告もあり、右室機能障害の程度が McConnell 徴候の判定に影響する可能性がある。今回我々は、APE 症例にて、右室機能障 害の程度および各種因子が McConnell 徴候の判定に影響するか検討を行った。【方法】APE と診断された連続 26 例(男性 10 例、 女性 16 例、平均 61 ± 14 歳)を対象とした。心エコー図にて McConnell 徴候を認める群(A 群:18 例)と McConnell 徴候を認め ない群(B 群:8 例)に分類した。両群間で、心エコー図にて右心負荷の程度、CT での肺動脈主幹部血栓(mPAT)の頻度、深部 静脈血栓(DVT)の頻度、D-dimer、発症から初回心エコー図施行までの日数について、比較検討を行った。【結果】両群間で、推 定右室圧(RVP)、右室中部径(RVD)、右室自由壁4分画(基部、基部 - 中部、中部 - 心尖部、心尖部)の壁運動スコアの平均値(WMSI) については、A 群で有意に高値であった(RVP: 54 ± 8 vs 42 ± 13mmHg; p < 0.05, RVD: 38 ± 7 vs 32 ± 2mm; p < 0.05, WMSI: 2.3 ± 0.2 vs 1.5 ± 0.3; p < 0.01)。右室面積変化率(% FAC)については、A 群で有意に低値であった(24 ± 12 vs 40 ± 11% ; p < 0.01)。 A 群では、発症から心エコー図施行までの日数が有意に短かった(0.9 ± 1.2 vs 5.3 ± 4.9 日 ; p < 0.01)。【結語】APE 症例において、 右室圧負荷および右室機能障害の程度は、McConnell 徴候の判定に影響すると考えられる。 210 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P3-7 慢性肺血栓塞栓性肺高血圧で肺動脈血栓内膜摘除術後の心エコー図を用いた急性効果判定 今井 靖子 1、田中 信大 1、武井 康悦 1、黒羽根 彩子 1、高橋 のり 1、山科 章 1、小泉 信達 2、 松山 克彦 2、西部 俊哉 2、杭ノ瀬 昌彦 2、荻野 均 2 1 東京医科大学病院 循環器内科、2 東京医科大学病院 心臓血管外科 背景:慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対して、肺動脈内器質化血栓を摘除する肺動脈血栓内膜摘除術(PEA)は有効な 治療法である。しかし、術後急性期の血行動態の改善は、侵襲的に Swan Gantz カテーテルにて評価されることが多い。今回 PEA 後の血行動態改善の判定において、Swan Gantz データおよび心エコー図指標を比較検討した。方法:当院にて CTEPH で PEA を 施行した 15 例(60 ± 13 歳、女性 9 名)を対象とした。PEA 前および後 1 ヶ月以内に Swan Gantz カテーテル、経胸壁心エコー検 査にて血行動態を評価し、関連する因子の分析を行った。結果:術後、心拍出量、心係数(2.1 ± 0.5 to 2.9 ± 0.8 L/min/m 2, p < 0.0001) は有意に改善し、平均肺動脈圧(67 ± 12 to 37 ± 16 mmHg, p < 0.0001)、全肺血管抵抗(1066 ± 486 to 448 ± 277 dyne・sec・ cm -5, p < 0.0001)は有意に低下した。左室駆出率に有意な改善は認めなかったが、右室面積収縮率(%FAC)は改善した。左室拡 張機能では E/A や E/e’ は有意な改善は認めず、延長していた E 波減速時間(DCT)(219 ± 55 to 171 ± 26 ms, p=0.0001)は有意 に短縮した。術前後における心係数の改善率は、全肺血管抵抗変化率、DCT 変化率と負の相関を認めた。さらに重回帰分析では DCT 変化率は心係数の上昇を規定する独立した因子であった(β =-0.67, p=0.005)。結論:CTEPH 症例の PEA 術後早期に、右室 収縮機能の改善、左室弛緩の改善が、心拍出量改善を予測する因子であった。 P4-1 運動負荷心エコーによる肺高血圧の診断 植木 博之 1、平野 豊 2、谷口 貢 1、諸岡 花子 1、宮崎 俊一 1 1 近畿大学医学部循環器内科、2 近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部 【背景】肺高血圧症例において、肺血管病変の程度が予後に関連すると言われている。肺高血圧診断における運動負荷心エコーの有 用性はエビデンスが少なくガイドラインでも有用性は明らかでない。【目的】肺高血圧診断における運動負荷心エコーの有用性を明 らかにする。【方法】2008 年3月から当院に通院中で肺高血圧が疑われ、運動負荷心エコーを施行した連続 103 例。全例臥位エルゴ メーター運動負荷心エコーを実施した。運動負荷は 25W から開始し、50W、75W まで施行した。下肢疲労および呼吸困難出現時は 途中中止とした。心エコーは負荷前および負荷中の三尖弁逆流血流から右室 - 右房間圧較差(TRPG)を計測した。29 例については 右心カテーテル検査が施行され、安静時の右心カテーテル検査データと運動負荷心エコーのデータを比較した。【結果】1.103 例中 運動負荷時の TRPG が安静時と比べて 20mmHg 以上上昇したのは 32 例であった。2. 全例で運動中の TRPG を記録可能であった。3. 安静時の右心カテーテル検査データとの比較では、安静時の TRPG より、25w 時の時点での TRPG が最も良く相関した。r = 0.77 (p0.001)。【結語】安静時の TRPG から求めた肺動脈圧推定は、ばらつきが大きく、過小評価が多かった。軽労作時の運動負荷心エコー から求めた肺動脈圧の推定値が右心カテーテル検査値と最も良く一致した。 運動誘発性肺高血圧と身体活動能力の関係 寺本 佳楠子、上嶋 亮、水越 慶、高井 学、黄 世捷、出雲 昌樹、林 明生、鈴木 健吾、原田 智雄、 明石 嘉浩 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 【背景・目的】基本的な日常活動と酸素摂取量を対応させた身体活動能力質問表(specific activity scale:SAS)は、肺高血圧患者 の運動耐容能評価に有用とされている。今回我々は SAS に影響を与える心エコー指標を検討した。 【方法】対象は肺高血圧のスクリー ニングのため運動負荷心エコーの依頼があった 699 名(男性 76 名、女性 623 名、平均年齢 54.2 ± 16.2 歳)である。安静時より明ら かな肺高血圧を呈する患者 ( 収縮期肺動脈圧 :SPAP > 50mmHg) や呼吸器疾患患者 (%VC < 80%) は除外した (n=76)。安静時心エコー を実施後、マスターダブル階段昇降運動負荷を行い負荷終了直後に心エコー検査を再度実施した。運動負荷後の息切れ指標として Borg scale を聴取した。【結果】運動負荷後に SPAP が 50mmHg 以上へ上昇した運動誘発性肺高血圧 (Exercise induced pulmonary hypertension: EPH) は 623 名中 176 名 (28%) であった。EPH 群と Non-EPH 群を比較すると年齢 (61.1 vs 51.1)、Borg scale (2.6 vs 1.9)、 SAS (14.5 vs 16.0) において有意差を認め、EPH 群で息切れが強く、身体活動能力が低下している傾向を認めた。SAS の予測に年齢、 性別、運動後収縮期体血圧、E/E’ 、EPH の有無を独立因子として重回帰分析を行った結果、年齢、E/E’ 、EPH が独立した予測因子で あった (R=0.37、p < 0.0001)。【結論】肺高血圧患者の身体活動能力指標である SAS は年齢、左室拡張機能に加え、運動誘発性肺高 血圧が影響すると考えられた。 211 一般ポスター P4-2 第25回日本心エコー図学会学術集会 P4-3 運動負荷エコーによる心房中隔欠損症の肺高血圧予備能評価 伊藤 さつき 1、岩瀬 正嗣 2、杉本 邦彦 1、犬塚 斉 1、加藤 美穂 1、椎野 憲二 3、高田 佳代子 3、 高桑 蓉子 3、石井 潤一 1、尾崎 行男 3 1 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部、2 藤田保健衛生大学 医療科学部、3 藤田保健衛生大学 循環器内科 【背景】心房中隔欠損症 (ASD) では長期間肺循環に過剰な負荷がかかり、肺高血圧症 (PH) を合併する可能性があるが、運動負荷に よる肺血管反応に関する報告は限られている。【目的】ASD 患者に運動負荷を行い、PH に対する予備能について、正常コントロー ル (Nl) と比較検討した。閉鎖術症例については手術前後でも比較した。【方法】対象は ASD20 例 ( 閉鎖術前 17 例、閉鎖術後 3 例 )、 平均年齢 58 歳と Nl25 例、平均年齢 53 歳。臥位エルゴメーターないしはトレッドミルにて症状限界まで運動負荷を行い、三尖弁逆 流の圧較差 (TR:PG) を負荷前後で測定し、閉鎖術前後での変化も検討した。【結果】負荷時間は Nl 群 13.3 ± 5.6 分、ASD 群 8.7 ± 5.0 分で、負荷に伴う合併症は認めなかった。安静時から最大運動時に HR は Nl 群 68 ± 4bpm から 127 ± 8bpm、ASD 群 78 ± 5bpm から 134 ± 10bpm まで増大し、TR:PG は Nl 群 16 ± 2mmHg から 36 ± 3mmHg、ASD 群 28 ±4mmHg から 59 ± 7mmHg まで夫々 有意に増大し ( 夫々 p < 0.001)、両群間には安静時、最大運動時とも有意差が認められた ( 夫々 p < 0.001)。閉鎖術施行 3 例での負 荷量は手術前 10.0 ± 3.4 分から術後 10.0 ± 3.4 分で同等であり、安静時から最大運動時の TR:PG は手術前 38 ± 18mmHg から 75 ± 23mmHg まで増大したのに対し、術後は 18 ± 7mmHg から 40 ± 23mmHg までの増大に軽減し、Nl 群との差は認められなくなった。 【考案・結語】運動負荷による ASD 患者の PH 予備能は安全に評価可能であり、高齢で閉鎖術を行っても、肺血管障害への回復力 は保たれていることが示唆された。 P4-4 安静時心エコーで運動負荷心エコーによる肺動脈圧上昇の有無を推測できるか 犬塚 斉 1、杉本 邦彦 1、伊藤 さつき 1、加藤 美穂 1、椎野 憲二 3、高田 佳代子 3、高桑 蓉子 3、 石井 潤一 1、岩瀬 正嗣 2、尾崎 行男 3 1 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部、2 藤田保健衛生大学 医療科学部、3 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科 【はじめに】膠原病性肺高血圧症(PH)の予後は悪く、早期診断が重要である。 【目的】今回、運動負荷心エコー(ESE)による肺動脈圧上昇の有無が、安 静時心エコー(TTE)で推測できるか検討した。【対象】PH と診断されて いない膠原病患者 30 例(平均年齢 51 歳)とした。【方法】エルゴメーター にて ESE を行った。安静時および最大負荷時における三尖弁逆流の最大圧 較差(TR:PG)を測定し、その差(Δ PG)を算出した。安静時 TTE の右 心 機 能 評 価 項 目 を 計 測 し、 比 較 検 討 し た。 当 施 設 の 報 告 に て、 Δ PG: 26mmHg 以上を肺動脈圧上昇群とした。【結果】非上昇群は 12 例、上昇群 は 18 例であった。年齢は 47 ± 4.6 vs 54 ± 5.4 歳と上昇群が有意に高かった (p = 0.02)。安静時 TTE の右心機能評価項目は、有意差を認めなかった。 【考 察】今回、安静時 TTE では ESE による肺動脈圧上昇の有無は推測できなかっ た。しかし、上昇群の年齢が高いことから膠原病患者は年齢が進むに連れ、 ESE により肺動脈圧の上昇がみられることから病態の進行が示唆され、ESE による早期診断が重要であることが再認識された。 一般ポスター P4-5 肺高血圧症における心エコー図上の右心系パラメーターについての検討 天野 裕久、荻野 幸伴、伊波 秀、有川 拓男、豊田 茂、井上 晃男 獨協医科大学 心臓 ・ 血管内科 肺高血圧症において右心カテーテル法による循環動態の評価は必須であるが、高い侵襲度や外来では施行困難なことなどの問題が ある。本研究ではより低侵襲で、外来でも施行可能な心エコー図による右心系の評価指標と右心カテーテル法における各指標との 関係を検討した。当科通院中の肺高血圧症例 22 例 ( 肺動脈性肺高血圧症 9 例、肺線維症による肺高血圧症 1 例、慢性血栓塞栓性肺 高血圧症 12 例 ) において 42 回の右心カテーテル法と数日以内に心エコー図を行った。右心カテーテル法では右房圧 (RAP)、 mPAP、心拍出量 (CO)、一回心拍出量 (SV)、肺血管抵抗 (PVR) を、心エコー図では右室 Tei index、右室内腔面積変化率(FAC)、 収縮期三尖弁輪移動距離(TAPSE)、組織ドプラ法を用いた右室自由壁側三尖弁輪での S’ 、E’ 、A’ 、および E/E’ を測定し、その関係 を検討した。また 19 例においては薬剤投与前後で各指標の変化率の関係について検討した。42 回の評価、治療前後の各指標の変化 率の評価ともに相関がみられた組み合わせは RAP と A’ (r=-0.666 P < 0.001, r=-0.526 P=0.021)、mPAP と TAPSE(r=-0.642 P < 0.001, r=-0.459 P=0.048)、PVR と TAPSE(r=-0.649 P < 0.001, r=-0.475 P=0.040) であった。また、これらの組み合わせで ROC 解析を行い、 RAP > 10mmHg を 予 測 す る A’ の Cut off 値 は 11.3cm/s(AUC=0.808, 感 度 0.857, 特 異 度 0.743)、mPAP > 25mmHg を 予 測 す る TAPSE の Cut off 値は 21.3mm(AUC=0.829, 感度 0.765, 特異度 0.750)、PVR > 300dynes・sec・cm-5 を予測する TAPSE の Cut off 、 値は 20.3mm(AUC=0.872, 感度 0.826, 特異度 0.895) の結果を得た。肺高血圧症の重症度、治療効果を評価する際、心エコー図による A’ TAPSE は有用と考えられた。 212 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P4-6 経胸壁心エコー図検査による多断面視覚的評価および定量評価の右室サイズ、右室駆出率推定におけ る有用性の検討 武本 梨佳 1、麻植 浩樹 1、大野 佑子 2、坂本 瞳 1、池田 まどか 1、渡辺 修久 1、田辺 康治 1、 野田 陽子 2、木村 朋生 2、更科 俊洋 2、杉山 弘恭 2、赤木 達 2、伊藤 浩 2 1 岡山大学病院 超音波診断センター、2 岡山大学 循環器内科 背景:右室サイズ・右心機能を正確に評価することは臨床上重要である。ア メリカ心エコー図学会のガイドラインでは右室評価において多断面からの観 察及び定量評価を用いることが推奨されている。目的:右室サイズ・右室駆 出率の多断面からの視覚的及び定量的評価を行い、その有用性を検討するこ と。方法:対象は当院で心臓 MRI と経胸壁心エコー図検査にて右心機能評 価を行った連続 30 名。12 名の検者により保存画像を用いた右室サイズ・機 能の評価をそれぞれ1週おきに 3 度 (A.3 断面のみ、B. 多断面、C. 多断面+ 右室定量評価 )、3 段階 (EF:≧ 45%, 44% ~ 20%, 20% > , EDV:< 120ml, 121 ~ 140ml, 141ml < ) に分けて評価を行い、MRI による定量的評価と比較 検討した。結果:右室駆出率評価では計測値の追加にて正常例における MRI の判定との一致率が有意に改善した。右室拡大例では多断面評価、計測値の 追加により通常断面のみの評価に比べ有意に一致率の上昇を認めた ( 図 )。 考察:多断面からの視覚的及び定量的評価は右室サイズ・右室駆出率の推定 において有用な可能性があると考えられた。 P4-7 肺動脈性肺高血圧症例における 3D Speckle Tracking Strain を用いた右室機能の評価 坂田 好美、上杉 陽一郎、井坂 葵、石黒 みどり、木村 郷、南島 俊徳、古谷 充史、松下 健一、 佐藤 徹、吉野 秀朗 杏林大学 医学部 第二内科 【目的】肺動脈性肺高血圧 (PAH) 症例においては、肺動脈圧上昇により、右室圧が上昇し右心負荷が増大し、右心不全が生じる。し かし、右室の特異的形態により 2D 心エコーでは右室機能を定量的に評価するには限界がある。3D 心エコーは右室全体を評価する のに有用であり、また、speckle tracking imaging (STI) 法は、定量的心機能評価に有用である。今回、3D 心エコーによる 3D speckle tracking imaging (3D-STI) を用いて PAH の右室機能評価が可能かを検討した。【方法】PAH 36 例 ( 平均年齢 41 ± 15 歳 ) である。3D 心エコーを施行し、3D- 右室拡張末期容量 (3D-RVEDV)、3D- 右室収縮末期容量 (3D-RVESV) 、3D- 右室駆出率 (3D-RVEF) を求め、3D-STI により右室の Global Area Tracking Strain(3D-RVGATS) を求めた。また、同日に施行した右心カテーテルより平 均 肺 動 脈 圧 (mPAP)、 肺 血 管 抵 抗 (PVR)、 心 係 数 (CI) を 計 測 し、BNP を 計 測 し た。【 成 績 】3D-STI に よ る 3D-RVGATS は、 3D-RVEF (r=0.74, p < 0.001)、cardiac index (r=0.60, p=0.006)、mean pulmonary atrial pressure (r=0.75, p < 0.001)、pulmonary vascular resistance (PVR) (r=0.67, p < 0.001)、BNP (r=0.68, p < 0.001) 、3D-RVEDV (r=0.62, p < 0.001) と有意な相関を認めた。【結 論】3D-STI は、PAH 症例の右室機能を非侵襲的に定量的に評価するのに有用である。 一般ポスター P4-8 右室 Post Systolic Shortening は肺動脈圧を予測し、右室自由壁 dyssynchrony と相関する 古島 早苗 1、恒任 章 2、池田 聡 2、南 貴子 2、内田 祐里 2、江口 智早 2、白石 亜季 1、川浪 のぞみ 1、 坂口 能理子 1、森内 拓治 1、浅田 綾子 3、吉住 敏夫 3、山近 史郎 4、前村 浩二 2、桝原 克紀 1 1 長崎大学病院 検査部、2 長崎大学病院 循環器内科、3 長崎大学病院 超音波センター、4 春回会井上病院 循環器科 【背景】肺高血圧においては右室内の収縮時相にずれがあると報告されている。 【目的】肺高血圧の予測に、右室収縮時相のずれ を評価する事が有用かを検討する。【方法】対象は、肺高血圧の疑いで右心カテーテル検査を施行した 33 例。 カテーテルで測定 した平均肺動脈圧 (mPA) と、心エコー図で計測した下記の項目を比較検討した。 QRS 開始から右室駆出開始までの Pre-Ejection 右室 PEP と左室 PEP の差、 2D speckle tracking(2D-ST) 法で心尖部四腔像の右室 6 分画を解析した time to peak Period(PEP)、 strain(TS) の標準偏差 (TSSD) と右室自由壁 3 分画の TS 標準偏差 (TSSD-free)、 右室自由壁の 2D-ST 解析による post systolic shortening (PSS)と post systolic shortening index (PSI)。【結果】mPA は、TSSD-free (r=0.50, p=0.003)、PSS (r=0.58, p < 0.001)、 PSI (r=0.50, p=0.003) と、それぞれ有意な相関を認めた。 TSSD-free と、PSS (r=0.71, p < 0.001)、PSI (r=0.58, p < 0.001) も、有意 に相関していた。 多変量解析では、PSI (odds rasio(OR), 2.962; 95% confidence interval(CI) 1.26-14.75; p=0.003) のみが肺高血圧の 独立した予測因子であった。 ROC 解析では、肺高血圧(mPA ≧ 25mmHg)を予測する PSI の Cut-off 値は 1% ( 感度 83%、特異 度 90%) であった。【結語】右室 PSI は、肺高血圧の予測因子であった。 また右室 PSI は、TSSD-free と有意に相関しており、右 室 dyssynchrony を反映している可能性が考えられる。 213 第25回日本心エコー図学会学術集会 P5-1 上行大動脈置換術 2 年後に仮性動脈瘤-肺動脈瘻を生じた1例 田中 美与 1、渡邉 望 2、末澤 滝子 1、吉村 雄樹 2、増山 浩幸 2、福永 隆司 2 1 県立宮崎病院 臨床検査科、2 県立宮崎病院 循環器内科 症例は 82 歳女性。2 年前に大動脈解離に対し上行大動脈置換術を施行された。 経過良好であったが、2013 年突然の呼吸苦を主訴に救急搬送された。心エコー 図検査で主肺動脈に流入する異常血流を認め、右鎖骨上部からの観察で上行 大動脈弓部近傍から仮性動脈瘤と思われる無エコー領域に流入するシャント 血流を認めた。推定肺動脈圧は 64mmHg であった。CT で上行大動脈周囲 に仮性瘤と思われる不正な造影域が確認され、人工血管縫合部から瘤内への 交通を認めた。また、瘤と肺動脈本幹との交通も確認された。緊急上行大動 脈再置換術が施行され、手術所見は心エコー図、CT と同じであった。 【考察】上行大動脈置換術後2年で仮性動脈瘤-肺動脈瘻を生じた1例を経 験した。日常の心エコー図検査では遭遇しない所見であり、緊急時の検査で 病態を把握するのに様々なアプローチを要した。他の画像診断とのコンビ ネーションにより術前に正確な病態を診断することができた。 P5-2 東日本大地震 ( 南相馬市 ) ボランティア活動における深部静脈血栓症 (DVT) 検診状況について 大場 教子 1、寺上 貴子 2、大江 宏康 2、山岸 正和 3、植田 信策 4、柴田 宗一 5、遠藤 薫 6、齋藤 佐 7、 山村 修 8 1 珠洲市綜合病院 検査室、2 金沢大学附属病院 検査部、3 金沢大学 循環器内科、4 石巻赤十字病院 呼吸器外科、 宮城県立循環器呼吸器病センター 循環器科、6 仙台市立病院 神経内科、7 国立病院機構宮城病院 リハビリテーション科、 8 福井大学医学部 地域医療推進講座 5 【はじめに】東日本大地震発生後、医療ボランティアチームが構成され、DVT 検診を目的とした医療活動が、各被災地にて継続的 に行われている。今回、福島県南相馬市でのボランティア活動の DVT 発生状況について報告する。【対象】期間は 2013 年 11 月 2 ~ 3 日、対象は、南相馬市 5 ヵ所の仮設住宅での避難所生活者のうち、検診を希望した 210 例とした。【方法】検診チームは、医師、 看護師、臨床検査技師その他の職種による総勢 53 名で構成された。希望した被災者 210 例 ( 男性 49 例、女性 161 例 ) に医師が問診 および検査の説明を行い、書面による承諾が得られた対象者に、下肢静脈エコー ( 携帯型超音波診断装置を使用、下腿深部 ) および 血中 D ダイマー測定等を実施した。【結果】各々の仮設住宅において DVT 陽性率 (%) は、1)2.3、2)9.3、3)7.5、4)1.9、5)0.0 で、総計 は 4.8 であった。また血中 D ダイマー値 ( 高値 / 総数例 ) は、1)3/32、2)1/15、3)1/38、4)0/5、5)1/4 で、総計は 6/94 であった。【考察】 DVT 陽性率は、総計では 4.8%と他の被災地における過去の結果とほぼ同程度であったが、9.3%や 7.5%と高率である避難所が存在 する。地域性による差がみられ、仮設住宅の環境や被災者の背景等の検討を要する。また、血栓は発生部位、性状および D ダイマー 値より、急性期のものとは考えにくく、過去の血栓が退縮した可能性が推察された。【結語】今回の活動は、震災後 2 年 7 ヶ月が経 過しているが、DVT 陽性者が高率であった地域が認められた。検診を受ける環境が整っていない被災地において、チーム医療を通じ、 検診活動による支援継続の必要性かつ重要性が考えられた。 一般ポスター P5-3 活動期から寛解期まで観察し得た血管型ベーチェット病の一症例 井形 幸代 1、田原 敦子 1、本多 亮博 1、新田 良和 1、草場 健 2、新山 寛 1、吉山 秀樹 3、田原 宣広 1、 福本 義弘 1 1 久留米大学 医学部 内科学講座 心臓・血管内科部門、2 公立八女総合病院、3 吉山クリニック 【症例】24 歳、女性。眼球結膜充血、毛嚢炎、口腔粘膜アフタ、外陰部潰瘍の増悪と寛解を繰り返し、右頸部の腫脹・疼痛・雑音を 自覚され、外来を受診された。受診時の頸動脈エコーでは、右総頸動脈にび漫性の内膜 · 中膜複合体厚 (IMT) の肥厚、分岐部には IMT 肥厚により 76%(面積 %)の狭窄を認め、同部位の最高血流速度は 2.2m/s であった。血液 · 生化学検査を行ったところ、CRP 0.05mg/dL、赤血球沈降速度 16mm/ 時間程度と強い炎症反応は認めなかった。そこで我々は、炎症病変を高感度に描出することが 可能な (18) F-fluorodeoxyglucose (FDG)-positron emission tomography (PET) を用いて頸動脈病変の炎症活動性を評価した。FDGPET では、IMT 肥厚部位に一致して FDG 集積を認め、炎症活動性が確認された。ステロイドミニパルス療法を 2 コース施行し、 その後からコルヒチン 0.5mg/ 日の内服を開始した。薬物治療により症状の改善が認められ、無投薬で経過観察となった。右頸部に 認めたび漫性の IMT 肥厚は、徐々に退縮、6年後にはほぼ正常化し、狭窄も改善した。その間、皮膚症状及び血管病変の再発は認 めなかった。ベーチェット病は、口腔内粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、ぶどう膜炎、外陰部潰瘍を主症状とし、急性炎症性発作 を繰り返すことを特徴とする疾患である。ベーチェット病の 25 -40% に血管病変を合併することが報告されており、静脈性病変、主 に静脈血栓が多く、動脈性病変はまれである。今回、FDG-PET を用いて血管型ベーチェット病の炎症活動性を評価し、活動期から 寛解期まで観察し得た例を経験したので文献的考察を加えて報告する。 214 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P5-4 上腕動脈の仮性動脈瘤に対して、穿刺部中枢側高圧圧迫法による効果を血管エコーにて観察した症例 上田 智広 1、河村 道徳 2、寺川 宏樹 1、藤井 雄一 1、野村 秀一 3 1 JR 広島鉄道病院 循環器内科、2 JR 広島鉄道病院 臨床検査室、3 JR 広島鉄道病院 総合内科 【症例】57 歳男性。【既往歴】高血圧・慢性心房細動等あり、抗凝固療法中。【経過】200X 年 11 月に、安静時胸痛の精査目的に入院。 右上腕動脈より、4Fr シースを用いて冠動脈造影検査を行った。圧迫止血には、とめた君を使用した。翌日には穿刺部内側に腫脹と 圧痛を認めたが、血管エコーでは血管外に血流シグナルを認めなかった。しかし以後も穿刺部の圧痛は持続し、徐々に穿刺部内側 の腫脹が増大してきた。翌年 1 月に血管エコーにて一部血栓化を伴った 40mm 大の仮性動脈瘤を認め、まず穿刺部中枢側高圧圧迫 法による治療を行う事とした。穿刺部中枢側の上腕にマンシェットを用いて、収縮期血圧より 50mmHg 高い圧で 10 分程度の圧迫 を繰り返した。その際に血管エコーで仮性動脈瘤内の血流シグナルが消失した事を確認し、効果を観察した。仮性動脈瘤の内部は 血流遮断によって、もやもやエコーの出現から高エコー像を呈した。その後は徐々にエコー輝度が低下した。仮性動脈瘤内の血流 シグナルは高エコー像の頃より減少し始め、等エコーの状態になってから認められなくなった。翌日の血管エコーでは仮性動脈瘤 内部に血栓化を認め、退院となった。【結語】穿刺部中枢側高圧圧迫法とは、穿刺部の中枢側をマンシェットやとめた君で 15-20 分 高圧で圧迫する事により仮性動脈瘤への血流が遮断され、その間に血栓化が生じる事で仮性動脈瘤を治療するというものである。 血管エコー検査は通常仮性動脈瘤の血流シグナルの有無を確認する事のみに使用するが、仮性動脈瘤内部エコーの経時的変化も観 察する事により手技を終了するタイミングにも有用であった。 P5-5 冠動脈疾患患者における下肢動脈エコーの有用性 前田 久美子 1、川崎 俊博 1、宮花 礼子 1、豊島 範子 2、河野 靖 2、久保 知一郎 2、田口 晴之 2、 島田 健永 3、葭山 稔 3、吉川 純一 4 1 大阪掖済会病院 臨床検査科、2 大阪掖済会病院 心臓血管内科、3 大阪市立大学大学院 循環器内科学、4 西宮渡辺心臓・血管センター 【背景】近年、頸動脈エコーが動脈硬化の指標として有用であると多数報告されている。また、冠動脈疾患 (CAD) の末梢動脈疾患 (PAD) 合併率は高く、下肢動脈エコーを施行する事も多く超音波検査の有用性は広く認識されている。しかし下肢動脈エコーは頸動脈 IMT のように動脈硬化の評価として用いられておらず、その関連性についても報告されていない。【目的】下肢動脈 IMT が CAD と関連があるかを検討する事。 【方法】対象は冠動脈疾患 (CAD) 疑いで冠動脈造影 (CAG) を施行した 98 名。CAG 術前に頸動脈エコー および下肢動脈エコーを施行し、それぞれの計測項目が冠動脈病変の重症度と関連があるかを検討した。計測項目は以下の通りで ある。1. 頸動脈エコー計測項目・総頸動脈での平均内膜中膜複合体厚 (CCA mean IMT)・最大内膜中膜複合体厚 (CCA max IMT)・ 頸動脈球部および内頸動脈での最大内膜中膜複合体厚 (ICA max IMT)2. 下肢動脈エコー計測項目・総大腿動脈での平均内膜中膜複 合体厚 (CFA mean IMT)・最大内膜中膜複合体厚 (CFA max IMT)・大腿動脈分岐部付近の最大内膜中膜複合体厚 (SFA max IMT)【結 果】冠動脈病変の重症度と頸動脈エコーの計測項目には有意差は認められなかったが、下肢動脈エコーでは有意差があり、冠動脈 病変の重症度と関連を認めた。【考察】下肢動脈 IMT は冠動脈疾患のサロゲートマーカーになりうる可能性が示唆された。 一般ポスター P5-6 コレステロール塞栓症治療中に、大動脈プラークの形態変化をリアルタイム 3D 経食道心エコーで経 時的に観察しえた一例 宮本 敬史 1、白崎 圭輔 1、堤 穣志 1、村上 彰通 1、神嶋 敏子 2、柳 弘子 2、大塚 伸子 2、大久保 輝男 2、 豊岡 郁子 2、石川 哲也 1、武藤 誠 1 1 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科、2 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 検査技術部 57 才男性。20 ××年秋より胸痛認め当院受診。心臓カテーテル検査にて #1 CTO #11 75% 狭窄を認め、#11 に対して PCI 施行し薬剤溶出性 STENT を 1 本留置。腎機能障害認め生理的食塩水負荷後に右冠動脈 CTO に対して PCI 施行。薬剤溶出性 STENT を 3 本留置した。PCI 2 週間後に両下肢に激 痛出現。好酸球とクレアチニンの上昇を認め、造影 CT では無く経食道心エ コー施行した所、大動脈弓部から胸部下行大動脈にかけて Mobile Plaque と 潰瘍病変を多数認め、リアルタイム 3D で詳細に観察できた。コレステロー ル塞栓症と診断し LDL アフェレーシスとステロイドを開始した所、下肢疼 痛の改善と腎機能悪化改善を認めた。フォローアップで再度リアルタイム 3D 経食道心エコー施行した所、Mobile Plaque と潰瘍病変は退縮しており、 プラーク形態の経時的な変化からも治療の効果が確認できた。コレステロー ル塞栓症の診断に経食道心エコーは有用であり、3D エコーによる視覚的評 価の有用性を実感できる症例を経験したので考察を加えて報告する。 215 第25回日本心エコー図学会学術集会 P5-7 頸動脈プラークスコアおよび心外膜脂肪厚により冠動脈狭窄が予測できるか? 平田 有紀奈 1、山田 博胤 2、西尾 進 1、山尾 雅美 1、鳥居 裕太 1、坂東 美佳 2、林 修司 2、發知 淳子 2、 西條 良仁 2、添木 武 2、若槻 哲三 2、佐田 政隆 2 1 徳島大学病院 超音波センター、2 徳島大学病院 循環器内科 【背景】頸動脈エコー検査で計測できる頸動脈プラークスコア (PS) および経胸壁心エコー検査で計測できる心外膜脂肪厚 (SEF) は, いずれも冠動脈病変と関連することが報告されている.我々は,初回冠動脈造影施行例において,両指標のうちいずれの指標が冠 動脈狭窄病変の有無をよりよく予測できるかを検討した.【方法】冠動脈疾患 (CAD) が疑われ,心臓カテーテル検査による冠動脈造 影が施行された連続 281 例中,術前に頸動脈エコー検査および心エコー検査を施行した 145 例(平均年齢 67 ± 12 歳,男性 110 例) を対象とした.頸動脈エコー検査では,両側総~内頸動脈で観察された全プラークサイズの総和を PS として求めた.心エコー検査 では高周波リニアプローブを用いて前室間溝における収縮期 SEF を計測した.いずれかの冠動脈に 75% 以上の器質的狭窄を認めた 例を CAD 群,それ以外を非 CAD 群とした.【結果】CAD 群の SEF および PS は,非 CAD 群と比べて有意に大であった(SEF:8.4 ± 3.3 mm vs. 4.7 ± 2.7 mm, p < 0.0001, PS:11.2 ± 7.6 vs. 7.0 ± 6.4, p=0.002).ROC 解析を用いて CAD の診断精度を評価したと ころ,SEF > 6.4mm をカットオフ値として感度 72%,特異度 70%,PS > 5 をカットオフ値として感度 79%,特異度 52%で CAD が診断できた.SEF の AUC は PS より大であった(0.751 vs. 0.676).【結語】CAD が疑われた例において,PS よりも SEF のほう が冠動脈狭窄の診断に有用であると考えられた. P6-1 Mechanism of Transvalvular and Paravalvular Aortic Regurgitation after Transcatheter Aortic Valve Replacement 柴山 謙太郎 1、三原 裕嗣 2、ジライハウィ ハサン 2、ベルデホ ハビエル 2、原田 顕治 2、 シーゲル ロベルト 2、マカー ラジ 2、塩田 隆弘 2 1 東京ベイ 浦安市川医療センター ハートセンター、2 Cedars-Sinai Heart Institute Background: This three-dimensional transesophageal echocardiography (3DTEE) study aimed; to identify the causes of transvalvular aortic regurgitation (AR) after transcatheter aortic valve replacement (TAVR); and to clarify the impact of the difference between native aortic annulus area and prosthetic frame area at annulus level ( Δ Aarea) on the degree of paravalvular AR.Methods: All patients who underwent TAVR with Edwards SAPIEN had 3DTEE of pre-procedural native aortic annulus and post-procedural prosthetic valve. Results: For the 201 patients studied, total AR was mild in 67 patients (33%), moderate in 21 patients (10%). Of 88 patients with ≥ mild total AR, there were 20 patients with transvalvular AR and 82 patients with paravalvular AR. Mild noncircular prosthetic shape at the prosthetic commissure level (p <0.0001) and the anti-anatomical position (p <0.001), was defined as malposition of prosthetic commissures in relation to the native commissures, were identified as the causes of transvalvular AR. Paravalvular AR was associated with Δ Aarea by 3DTEE (p <0.001) and the degree of that had correlation with Δ Aarea by 3DTEE (r = 0.569, p <0.001).Conclusions: Mild and moderate transvalvular AR was found in 10% of TAVR patients and may be caused by valve distortion. Δ Aarea correlates with the degree of paravalvular AR. 一般ポスター P6-2 Impact of Transcatheter Aortic Valve Replacement on the Mitral Valve Apparatus and Mitral Regurgitation 柴山 謙太郎 1、原田 顕治 2、ベルデホ ハビエル 2、三原 裕嗣 2、田中 旬 2、シーゲル ロベルト 2、 ジライハウィ ハサン 2、マカー ラジ 2、塩田 隆弘 2 1 東京ベイ 浦安市川医療センター ハートセンター、2 Cedars-Sinai Heart Institute Background: The present three-dimensional transesophageal echocardiography (3DTEE) study aimed to further elucidate early changes in the structure and function of the mitral valve apparatus after transcatheter aortic valve replacement (TAVR).Methods and Results: We analyzed 90 patients (Non-Tenting group: 56 patients and Tenting group: 34 patients) who underwent TAVR using the Edwards SAPIEN and had intra-procedural 3DTEE evaluation of the mitral valve. Of all patients, mitral regurgitation (MR) improved in 54%, remained the same in 38% and worsened in 8% one day after TAVR. There were no differences in mitral annular three-dimensional parameters before and after TAVR in both groups. In the Tenting group, tenting area (p <0.01) and tenting height (p <0.01) were decreased and coaptation length was increased (p <0.05) after TAVR. In a multivariable analysis, the predictors of improved MR were the decrease of tenting area (Odds ratio: 8.15; 95% CI: 1.31-50.7; p <0.05) and the decrease of valvulo-arterial impedance (Zva) (Odds ratio: 7.57; 95% CI: 1.15-49.9; p <0.05) in the Tenting group, and the decrease of Zva (Odds ratio: 6.96; 95% CI: 1.24-39.2; p <0.05) in the Non-Tenting group.Conclusions: Acute improvement in MR after TAVR is predominantly related to global left ventricular hemodynamics and mitral leaflet tethering change. 216 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P6-3 経皮的大動脈弁バルーン形成術直前に血圧低下し、術中経食道エコー検査にて経皮的補助人工心肺装 置挿入を決断した症例 宮崎 晋一郎 1、川端 豊 1、小島 義裕 1、仁木 敏之 1、岡村 暢大 1、竹谷 善雄 1、福田 信夫 1、 尾原 義和 2、細川 忍 3 1 四国こどもとおとなの医療センター 循環器内科、2 高知医療センター 循環器内科、3 徳島赤十字病院 循環器内科 症例は 56 歳、女性。慢性腎不全にて 19 年前より腹膜透析、11 年前より血液透析が導入されていた。その経過中に被嚢性腹膜硬化 症を発症しステロイドや免疫抑制剤を内服していた。重症の大動脈弁狭窄症を指摘されて手術を検討されていたが、その間に感冒 様症状から呼吸困難が出現し増悪するため当院入院となった。胸部レントゲン写真では著明な肺うっ血と肺炎像を認めた。肺炎を 契機に急性左心不全を発症したと診断し、人工呼吸管理を要した。広域抗生剤投与、持続性血液濾過透析などにて治療するものの 改善せず、順行性の経皮的大動脈弁バルーン形成術 (PTAV) を施行することとなった。鎮静化に右心カテーテル検査及び冠動脈造 影検査を施行直後、PTAV 直前に血圧低下より心原性ショックとなった。経食道エコー検査では術前 EF30%から 10%台へと極端 に低下し、心腔内の血流うっ滞像を認めた (Suicide ventricle)。経皮的補助人工心肺装置 (PCPS) を挿入し血行動態を改善させた後、 逆行性 PTAV へ切り替えた。25mm バルーンで拡張し左室―大動脈間の圧較差 (peak to peak) が 77mmHg から 25mmHg に改善し、 PCPS は ICU 帰室前に抜去した。本症例では経時的に施行していた経食道エコー検査が早急に PCPS を挿入する決断の一助になった。 血圧低下を来たした他の PTAV 症例の心エコー像との比較も含めて報告する。 P6-4 当院で施行した TAVI 初症例での術中経食道心エコー図の経験 熊谷 亜希子 1、中島 祥文 2、阪本 亮平 2、房崎 哲也 2、森野 禎浩 2、中村 元行 1、鎌田 武 3、岡林 均 3 1 岩手医科大学 内科学講座 心血管・腎・内分泌分野、2 岩手医科大学 内科学講座 循環器内科分野、 岩手医科大学 心臓血管外科 3 症例は 75 歳男性。陳旧性心筋梗塞、心房細動で当科定期通院していた。平成 24 年に高度大動脈弁狭窄症が確認されたが、無症候性、 肝細胞癌・肝硬変の合併、陳旧性肺結核による呼吸機能障害を理由に経過観察となっていた。平成 25 年 4 月から心不全、失神によ る入院を繰り返したため再度治療方針を検討した。心エコーでは EF 47%、AVA 0.89cm2、Peak velocity 3.7m/sec、Mean PG 35mmHg の Low gradient AS であったが、低用量 (10 γ ) ドブタミン負荷で Peak velocity 4.4m/sec、Mean PG 50mmHg の High gradient AS へ変化した。外科的弁置換術ハイリスク症例と考えられ、経カテーテル的大動脈弁留置術 (TAVI) を選択した。平成 24 年 12 月、経大腿動脈アプローチにて施行。麻酔直後の経食道心エコー図 (TEE) 指標は EF 53%、大動脈弁輪径 22mm、vena contracta 3mm の Mild AR、Mild MR であった。23mm バルーンで拡張直後にショック状態となり、すぐに TEE で観察した所、 左室壁運動低下がみられたが、冠動脈起始部や大動脈基部に異常なく、心のう液貯留はみられなかった。血行動態維持困難となっ たため人工心肺回路を装着した。循環動態回復後に高度 AR が確認され、すみやかに TAVI ( サピエン XT 26mm 弁 ) を施行した。 AoG で中等度の AR、TEE で弁周囲逆流を認めたため、後拡張を行い逆流の減少を確認して終了した。術後は貧血や血小板減少、 呼吸器感染症を併発したがいずれも改善傾向である。当施設は平成 25 年 12 月に TAVI の施設認定を受け、同月に初症例を施行した。 術中経食道心エコー図の経験を踏まえ報告する。 一般ポスター P6-5 Amplatzer Septal Occluder を用いた経皮的心房中隔欠損閉鎖術の成績と術前後のエコー所見の 変化:外科手術症例との比較検討 山田 雅大 1、樋熊 拓未 2、阿部 直樹 1、横山 公章 1、藤井 裕子 1、奥村 謙 1 1 弘前大学大学院医学研究科 循環器内科、2 弘前大学大学院医学研究科 心臓血管病先端治療講座 【背景】心房中隔欠損症(ASD)に対する Amplatzer Septal Occluder(ASO)を用いたカテーテル的閉鎖術は、国内でも現在まで に約 3,000 例に留置され、外科手術と同等の良好な治療成績が報告されている。【目的】当科にて施行した ASO 留置術 4 症例(ASO 群)と 2008 年からのその他の器質的心疾患を有さない成人 ASD の外科手術症例 9 例(OPE 群)の患者背景、術後経過を比較検討 した。【結果】ASO 群は OPE 群と比較し高齢で(平均 68.3 歳 vs 48.6 歳 , P < 0.05)、より軽症(平均 Qp/Qs:2.11 vs 3.04;肺高血 圧合併:25% vs 33%)であった。手術時間(平均 1 時間 25 分 vs 4 時間 8 分)及び在院日数(平均 8.7 日 vs 20.3 日)は有意に短く、 脱落や erosion など大きな合併症はなく良好に経過した。エコー所見では、ASO 群では留置直後より拡大した右室及び下大静脈の 縮小と左室の拡大、LVEF の改善を認め、推定 Qp/Qs も 1 に近似した。この変化は OPE 群でも同様に認めたが ASO 群より程度は 小さく、これらの血行動態の改善度は術前の重症度(Qp/Qs)とは相関しなかった。また、術前にすべての症例で認めていた心室 中隔の奇異性運動は ASO 群で 3/4 例 75% が消失したのに対し OPE 群では 1/9 例 11% に留まった(P < 0.05)。【結語】少数例では あるが、ASO は有効かつ安全な治療手技である。外科手術より低侵襲であり、術後早期の血行動態の改善が期待できることが示唆 された。 217 第25回日本心エコー図学会学術集会 P6-6 心腔内エコー(ICE)が経皮経静脈的僧帽弁交連切開術(PTMC)に有用であった一例 山田 雅大 1、樋熊 拓未 2、阿部 直樹 1、木村 正臣 1、藤井 裕子 1、横山 公章 1、奥村 謙 1 1 弘前大学大学院医学研究科 循環内科、2 弘前大学大学院医学研究科 心臓血管病先進治療学講座 【背景】心腔内エコー(ICE)は心房細動アブレーションや Structural heart disease インターベンションに使用され、その有用性が 報告されている。当科では心房中隔穿刺を必要とする PTMC 施行の際も ICE を使用するようにしている。【症例】65 歳女性。44 歳 時に大動脈弁置換術と直視下僧帽弁交連切開術、58 歳時にペースメーカー移植術の既往あり。NYHA II の僧帽弁狭窄症(MS)症 例として紹介された。経胸壁心エコーではリウマチ性 MS で弁口面積 1.0cm2、Wilkins score 6 点、経食道心エコーにて心内血栓な く PTMC の方針となった。ICE ガイド下に手技を進めたところ右房内に浮遊する細長い血栓を認めた。静脈またはシース由来のも のと思われたが、心房中隔穿刺の際に左房内に移動し、塞栓子となる危険性があったため、ICE ガイド下にガイディングカテーテ ルで吸引を試み、吸引除去に成功した。次に心房中隔穿刺を高周波エネルギー経中隔穿刺針で試みたが、ICE で観察した心房中隔 は高輝度で厚く、強固であり、高周波では穿刺困難と判断した。通常の Brockenbrough 針に切り替え、比較的に強い穿刺操作で穿 刺できた。その後も ICE で合併症の有無などを評価しながら手技を終了した。【考察】PTMC は X 線透視のみで施行可能な確立し た治療法ではあるが、ICE 併用することで今症例のような複雑な症例においても安全、確実に手技を進めることが可能となると思 われる。 P6-7 心房中隔二次孔欠損症(ASD)に対する Amplatzer septal occuluder 治療 (ASO) 後の右心房機 能~ 3D Area Strain 法による評価 齊川 祐子 1、安河内 聰 2、瀧聞 浄宏 2、田澤 星一 2、蝦名 冴 1、柴田 綾 3、日高 恵以子 3 1 長野県立こども病院 エコーセンター、2 長野県立こども病院 循環器小児科、3 長野県立こども病院 臨床検査科 【目的】3D Area Strain(AS) により ASO 後の右心房機能の評価をする。 【対象と方法】ASO 後3D心エコー検査による AS 解析が可能であった 5 ~ 23 歳(中央値 11 歳)18 例(A 群)および正常心構造 / 心機能の 5 ~ 13 歳(中央値 9 歳)10 例(N 群)。ARTIDA(東芝メディカル社)4V プローブを用いて、心尖部四腔断面で 3D full volume データを記録後、off line 解析ソフト ULTRA EXTEND を用い、右房最大容量 (maxRAV ml/m2) および最小容量 (minRAV ml/m2)、右房進展性(distensibility:Dist)、右房 Global strain(GS% )、および右房各 segment の Peak Area Strain(P-AS%)を求 め、A、N 両群で比較した。 【結果】maxRAV は AN 両群で差はなく(22ml/m2)、,minRAV は A 群が高値であった。(13ml/m2 vs 8.5ml/m2) また、A 群では Dist および GS が N 群より低値であった。(0.78 vs 1.7, 54% vs 108%) 右房壁 segment 解析では、心房中隔側の P-AS が N 群 118%に対して ASO device が留置された A 群で 34%と低下していたが、一方三尖弁輪前壁側では A 群では低下がみられず , 右房の 3D 構造に歪みを生じていた。(値は平均値) 【考察と結語】ASO では device が留置された心房中隔側のみならず右房全体の GS が低下していた。これは ASD 閉鎖に伴う右房の 前負荷の減少に加え、device による右房の3D構造の歪みによる可能性がある。この GS 低下の ASO 後遠隔期の右房、右室機能に 与える影響について検討が必要である。 一般ポスター P7-1 AMI 後の心筋 Viability の評価における automated global longitudinal strain 計測の有用性- MRI による LGE 及び MVO との比較検討 辻川 恵美 1、兵頭 永一 2、松岡 京子 1、八木 登志員 1、山室 淳 2、吉川 純一 2 1 西宮渡辺心臓・血管センター 検査科、2 西宮渡辺心臓・血管センター 循環器内科 【目的】Low-dose ドブタミン負荷(low DSE)による心筋 viability の有用性は確立されているが、主観的であり制限がある。近年、 GE 社製 VividE9 搭載の global longitudinal strain(GLPS)解析に基づく automated function imaging(AFI)は心筋 viability 評価 に有用であると報告されている。今回の研究の目的は、急性心筋梗塞患者(AMI)における心筋 viability 評価に AFI を用いた low DSE 下における GLPS 解析が有用か MRI の delayed enhancement(LGE)および microvascular obstruction(MVO)と比較検討 することである。【方法】対象は AMI 発症7日後に Low dose DSE 及び MRI を施行した連続 20 人。安静時および low DSE 下にお いて AFI システムを用いた GLPS を解析した。また MRI による LGE 及び MVO の範囲を手動トレースし、総心筋に対する割合(% LGE と% MVO)を計算した。AMI 発症 6 か月後の心エコーによる wall motion index を用いてエコーおよび MRI のパラメータと 比較検討した。【成績】Low DSE にて GLPS は増加した(- 13.8 ± 3.8% to - 16.7 ± 4.3%)。MVO がある患者では、MVO がない 患者に比べて low DSE 下の GLPS は低値であり %MVO と相関したが %LGE とは相関がなかった。また low DSE 下の GLPS は 6 か月後の wall motion score index と良好な相関を示した(r = 0.63, P < 0.05)。【結論】Low DSE 下における AFI 解析による GLPS は AMI 後の心筋 Viability の評価に有効な指標である可能性が示唆された。 218 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P7-2 左室心基部-心尖部の伸展運動の検討 健常者と高血圧性肥大心の比較 田中 健雄、河崎 悟、川森 裕之、石井 俊光、秋田 穂束 兵庫県立柏原病院 内科 電気的機械的な興奮の伝搬順序に基づき左心室の拡張早期伸展時相に心尖部-心基部間で差が存在し、左室の収縮および拡張能に 重要な役割を果たしていることが知られているが、左室肥大を伴う高血圧患者において、左室の収縮不均一性と心尖部-心基部間 の伸展時相の差違の関係については明らかにされていない。【方法】左室駆出分画が保たれた本態性高血圧 (HHD)25 例 ( 平均年齢 68 歳 )、健常者 (N)25 例 ( 平均年齢 52 歳 ) を対象とし、心基部と心尖部の左室短軸断層像を一心周期記録した。2D スペックルトラッキ ング法を用いて心内膜面の自動追尾を行い、心基部と心尖部における時間-内腔面積変化率曲線、心基部と心尖部の 6 領域の時間 -円周方向ストレイン (CS) 曲線を描いた。大動脈弁閉鎖から最小内腔面積に対し 40%伸展するまでの時間 (T40) を測定し、心基部 と心尖部での T40 とその差を算出した。前述の 6 領域の CS 曲線において心電図 R 波の頂点からピークストレインに達するまでの 時間 (TPS)を計測した。左室心基部および心尖部の収縮非同期性を評価するため、6 領域における TPS の標準偏差 (TPS-SD) を算 出した。【結果】N 群では心基部と心尖部で T40 に差がないのに対し、HHD 群では心尖部の T40 が長く (p < 0.001)、心尖部の拡張 早期時相に遅延がみられた。心基部と心尖部間での T40 の差と、等容性弛緩時間が相関した (r=0.70, p < 0.0001)。HHD 群の心尖部 における TPS-SD は N 群に比し大きく (p < 0.001) 、心基部の TPS-SD には差がなかった。【結語】高血圧心では心尖部における伸 展開始時相にばらつきが大きく、拡張早期の伸展運動が遅延しており、心尖部の左室伸展動態が左室弛緩能を規定していると考え られた。 P7-3 Comparison of cardiac rotation measured by Doppler speckle tracking with an optical twist device in a pig model 稲毛 章郎、Jeffrey Smallhorn Department of Pediatrics, Stollery Children’ s Hospital, Edmonton, Alberta, Canada Background: Left ventricular (LV) rotation is an important component of cardiac function. There is little data on the comparison of Doppler speckle tracking with other invasive techniques for measuring LV rotation in the beating heart. We hypothesized that Doppler speckle tracking would compare favorably with data from an optical device that has previously been shown to measure LV rotation in the beating heart. Methods: Eight pigs with an open chest had LV rotation measured by Doppler speckle tracking and an optical device which was attached to the apex of the LV. Simultaneous hemodynamic data was obtained via Millar catheters, under a variety of loading conditions (inferior vena cava (IVC) occlusion, dobutamine, and dobutamine + IVC occlusion). Results: Throughout the various hemodynamic changes, peak, late-systolic, early-diastolic and minimal rotation times correlated strongly between the two techniques (r = 0.93). Peak rotation occurred well after late-systole, with minimal rotation occurring uniformly during isovolumic contraction. Doppler speckle tracking rotation patterns corresponded closely with those obtained by the optical device. Conclusion: Doppler speckle tracking imaging appears to mirror findings obtained from an optical rotation device in a beating heart open-chested animal model throughout a variety of hemodynamic changes. 一般ポスター P7-4 3次元スペックルトラッキング心エコーによる strain rate を用いた高血圧患者の左室収縮能の評価 佐伯 茉紀 1、宮崎 真実 1、青木 美由紀 1、大西 紀之 1、長屋 麻紀 1、佐藤 則昭 1、天野 和雄 1、 吉眞 孝 2、小野 浩司 2、田中 隆平 2、野田 俊之 2、渡辺 佐知郎 2、湊口 信吾 3、川崎 雅規 3、 湊口 信也 3、Houle Helene 4 1 岐阜県総合医療センター 臨床検査科、2 岐阜県総合医療センター 循環器内科、3 岐阜大学医学部 第二内科、 Siemens Medical Solution USA 4 【背景】高血圧は圧負荷により左室肥大(LVH)を引き起こし、左室拡張不全のみならず左室駆出率の低下を伴う心不全を生じうる。 そこで我々は、Novel one-beat real-time 3D-speckle tracking echo(3D-STE)による global myocardial strain rate (SR) を用い高血 圧患者の左室収縮能を検討した。【方法】健常者 60 例と高血圧 85 例を対象とし高血圧例は左室 geometry により、A 群 : normal geometry(21 例)、B 群 : concentric remodeling(20 例)、C 群 : concentric LVH(24 例)および D 群 : eccentric LVH(20 例)の 4群に分類した。3D-STE(volume rate 65 ± 5) を用い、左室 strain および収縮期の SR を 1 心拍で測定した。【結果】左室駆出率は、 健常者を含めた5群間で有意差を認めなかった。左室重量は、高血圧の C 群と D 群で、他の 3 群と比べ上昇していた ( 健常者:88 ± 14、A 群 : 92 ± 13、B 群 : 97 ± 12、C 群 : 133 ± 26*、D 群 : 131 ± 15*g/m2、*p < 0.05 vs. 健常者 )。左室 radial strain は、LVH 群で有意に低下し(健常者:37 ± 11、A 群:35 ± 9、B 群:32 ± 8、C 群:29 ± 9*、D 群:27 ± 8*、*p < 0.05 vs. 健常者)、収縮 期 の radial SR も LVH 群 で 低 下 し て い た( 健 常 者:2.6 ± 0.6、A 群:2.4 ± 0.5、B 群 2.1 ± 0.6*、C 群:2.0 ± 0.4*、D 群:1.7 ± 0.4*S-1、* p< 0.05 vs. 健常者 )。【結語】左室 SR を測定することにより、収縮能の低下を早期に判定することが可能であり、左室 駆出率の低下を伴う心不全の早期診断に有用であると考えられた。 219 第25回日本心エコー図学会学術集会 P7-5 肺高血圧モデルラットにおける右室ストレインイメージングの有用性 岡野 智子 1、木村 公一 2、大門 雅夫 1、中尾 倫子 1、川田 貴之 2、宇野 漢成 2、竹中 克 3、森田 啓行 4、 小室 一成 2、矢冨 裕 1 1 東京大学 医学部附属病院 検査部、2 東京大学 医学部附属病院 循環器内科、3 日本大学 循環器内科、 東京大学 医学系研究科 健康医科学創造講座 4 【背景】 近年、左室機能のみならず、右室機能や左房機能の定量評価においても心筋ストレインイメージングの有用性が報告されている。 肺高血圧症の治療薬開発に動物モデルが欠かせないが、高心拍数のラットにおいては画質やフレームレートの問題でその有用性が 不明である。我々は肺高血圧ラットモデルにおける心筋ストレインイメージングの有用性を検討した。 【方法】 15 週齢の肺高血圧モデルラット 12 匹、同週齢のコントロールラット 12 匹を対象とし、高フレームレートで心エコー図を記録した。 左室短軸断面と心尖部四腔断面における左室 6 分画および右室自由壁を対象としてスペックルトラッキング法によりストレイン解 析を行い、各ストレイン指標の肺高血圧ラット識別能 (AUC) を比較した。 【結果】 左室における各 strain の AUC は、transverse strain 0.52 (p=NS), longitudinal strain 0.54 (p=NS), circumferential strain 0.47 (p=NS), radial strain 0.35 (p=NS) であり、右室自由壁における各 global strain の AUC は、transverse strain 0.59 (p=NS), longitudinal strain 0.60 (p=NS), circumferential strain 0.76 (p < 0.05), radial strain 0.58 (p=NS) で あ っ た。AUC が 有 意 で あ っ た 右 室 自 由 壁 circumferential strain の cut-off 値 -5.6% を採用すると、肺高血圧ラットに対する識別能は感度 67%、特異度 92% であった。 【結語】 肺高血圧ラットモデルにおけるストレインイメージングは、右室 circumferential strain が比較的有用であることが明らかとなった。 一方でその識別能は十分に高いとは言えず、右室径や TAPSE 等の他指標を含めた総合的な評価が必要と考えられた。 P7-6 新規 DPP-4 阻害薬リナグリプチン投与例における心機能変化に関する検討 寺本 了太 1、清水 雄三 1、吉田 太治 1、西岡 亮 1、波佐谷 兼綱 1、追分 久憲 1、山岸 正和 2 1 珠洲市総合病院 内科、2 金沢大学臓器機能制御学 【背景 / 目的】インクレチン関連薬である DPP-4 阻害薬は確実な血糖降下作用に加え、低血糖や消化器症状などの副作用の少なさか ら 2 型糖尿病治療に広く用いられている。従来より早期の血糖コントロールと血圧、脂質などの他の動脈硬化促進因子を同時に改 善させることによって 2 型糖尿病患者において長期予後が改善されることが明らかとされてきたが、新規 DPP-4 阻害薬であるリナ グリプチンの投与により従来薬と比較して心血管イベントが有意に減少し予後が改善することが複数の RCT により報告された。そ の機序は明らかにされておらず、これまで DPP-4 阻害薬の投与による心機能の経時的変化の報告は少なく、自験例で検討を試みた。 【方法】未治療の 2 型糖尿病患者にリナグリプチン 5mg/ 日を投与し、耐糖能改善効果及び治療前、投与後平均 6 か月の心エコー検 査による心機能変化の検討を前向きに行った。【結果】2 型糖尿病患者 10 名(平均年齢 67 歳、男性 6 名)において、3 か月後の HbA1c(NGSP)の改善を認めた(8.05 ± 1.77% vs. 6.55 ± 0.87% , p = 0.01)。投与前、平均 6 か月後の心エコー検査において、EF (65.6 ± 7.4% vs. 62.8 ± 11.5% , p = 0.26)、E/A(0.72 ± 0.24 vs. 0.83 ± 0.25, p = 0.06)、E/e’ (10.1 ± 2.9 vs. 11.2 ± 3.1, p = 0.3)に 変化を認めなかったが、strain 解析において、longitudinal global strain 値の改善傾向を認め(-22.7 ± 6.3% vs. -26.6 ± 4.9% , p = 0.07)、 transverse displacement の有意な改善を認めた(6.66 ± 1.34mm vs. 7.46 ± 1.24mm, p = 0.03)。【結論】2 型糖尿病患者におけるリ ナグリプチン投与により心筋壁運動改善効果が示唆された。 一般ポスター P7-7 コントラストエコー法による鬱血性心不全症例での腎循環評価の試み 小室 薫 1、早乙女 和之 2、横山 典子 2、渋谷 美咲 2、小室 一輝 3、広瀬 尚徳 1、安在 貞祐 1、 米澤 一也 4、伊藤 一輔 1 1 国立病院機構函館病院 循環器科、2 国立病院機構函館病院 臨床検査科、3 国立病院機構函館病院 外科、 国立病院機構函館病院 臨床研究部 4 【背景】腎機能障害は心不全患者の予後増悪因子であり,心不全治療の立場からの腎循環評価が望まれる.超音波造影剤を用いた腎 コントラストエコー法は従来から腎腫瘍や移植腎の評価目的で臨床応用されてきた.一方過去に,心筋コントラストエコーを用い, 心筋の染影輝度を左室内腔の輝度で補正することで染影強度の個体差や音場の不均一を克服し,単位体積当たりの心筋血液量を推 定する方法の報告がある.【目的】腎コントラストエコー法を用いて,健常例および鬱血性心不全症例での腎実質の血液量評価を試 みる.【方法】対象は,健常腎 7 例(乳がん術後 4 例+健常ボランティア 3 例,55 ± 17 歳)と,明らかな心不全徴候を呈する鬱血 性心不全 3 例(75 ± 13 歳).東芝社製 Aplio MX を用い,ソナゾイドをボーラス静脈投与し,MI 0.20 の低音圧連続送信による染影 を行った.腎皮質,髄質およびその近傍の区域動脈での染影輝度を dB で計測し,時間-輝度曲線のピーク時での,腎皮質および髄 質の輝度から区域動脈の輝度を差し引いた相対輝度(Relative Contrast Intensity:RCI)を求めた.【結果】健常 7 例では,皮質輝 度 -29 ± 7.4dB に対し,RCI は -9.0 ± 1.7dB と個体間のばらつきが軽減された.髄質の RCI は -14.9 ± 3.6dB であった.心不全症例 での皮質 RCI は -12.4 ± 2.3dB と健常例に比してやや低値を,髄質の RCI は -29.7 ± 3.2dB と明らかな低値を示した.【結論】腎実質 の輝度を区域動脈の輝度で補正する相対輝度は,染影強度の個体差を克服し,腎実質の単位体積当たりの血液量を反映する指標と して腎コントラストエコー法に応用可能である. 220 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P7-8 健常人における Post-Systolic Shortening ~ JUSTICE study からの検討~ 大西 俊成 1、浅沼 俊彦 2、竹内 正明 3、坂田 泰史 1、中谷 敏 2 1 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学、2 大阪大学医学部医学系研究科 保健学専攻機能診断科学、3 産業医科大学 第 2 内科 【背景・目的】Post-systolic shortening (PSS) は、重度の虚血心筋の存在を示唆する鋭敏な指標ではあるものの、健常人にも約 3 割 に認めることが、組織ドプラ・ストレイン法を用いた解析で示されている。本研究では、2 次元スペックルトラッキング法を用いて、 健常人の PSS の特徴を検討した。【方法】対象は JUSTICE 試験に登録された症例からランダムに抽出された健常人 51 症例。東芝 社製 ARTIDA を用いて心尖部アプローチ標準 3 断面を撮像し、それぞれ 6 領域、計 18 領域について segmental longitudinal strain および global longitudinal strain を算出した。post-systolic strain index (PSI, [ 収縮後収縮ストレイン値 ] - [ 拡張末期ストレイン値 ]) / [ 収縮後収縮ストレイン値 ]) および大動脈閉鎖から PSS のピークまでの時間 (time-to-peak PSS) を算出し、PSI > 0 となった時に PSS 陽性と定義した。【結果】918 領域中、908 領域 (99%) で計測可能であった。Segmental PSS は、全体の 23% で、心尖部領域の 28%、中間部領域の 10%、心基部領域の 32% で観察された。Segmental PSI と time-to-peak segmental PSS の平均値はそれぞれ 1.2 ± 5.8%、12 ± 33ms であった。また、1 つ以上の segmental PSS が観察された 112 断面のうち 16 断面 (14% ) のみで global PSS が 認められた。【結論】2 次元スペックルトラッキング法を用いて、健常人の約 1/4 に segmental PSS を認めたものの、健常人で観察 された segmental PSS は大きさも小さく、持続時間も短い特徴があり、心尖部前壁中隔領域と心基部自由壁領域に多く認められた。 Segmental PSS が認められた症例であっても、global PSS はあまり認められなかった。 P8-1 右房内に多発性石灰化腫瘤を認めた一例 柳谷 貴子 1、赤坂 和美 1、樋口 貴哉 1、中森 理江 1、吉田 千佳子 2、梶濱 あや 3、中右 弘一 3、 杉本 昌也 3、金田 眞 3、光部 啓次郎 4、角浜 孝行 4、赤坂 伸之 4、三代川 斎之 5 1 旭川医科大学病院 臨床検査・輸血部、2 旭川医科大学病院 リハビリテーション科、3 旭川医科大学 小児科、 旭川医科大学 心臓外科、5 旭川医科大学病院 病理部 4 症例は 10 歳代、男性。2012 年 10 月に急性リンパ性白血病を発症し、化学療法を施行中であった。基礎心疾患を認めず、経過中に 感染性心内膜炎を疑わせる症状も認めなかった。2013 年 2 月の CT 検査にて指摘された右房内石灰化が増大したため、臍帯血移植 前に精査を施行した。同年 8 月の経胸壁心エコー図検査では、右房内に 5 ~ 13mm の高輝度の塊状エコーを複数個認めた。腫瘤は 三尖弁輪近傍の後側壁側に数珠状に連なり、一部で可動性を有していた。経食道心エコー図検査でも同様に、右房内に音響陰影を 伴う腫瘤を複数個認めた。側壁よりに存在する腫瘤が 7 × 13mm と最大で、可動性を伴っており、下大静脈流入部にも腫瘤を認めた。 塞栓症のリスクがあり、悪性腫瘍の可能性も否定できないことから、腫瘍摘除術が施行された。術中所見では、白色、表面滑で非 常に硬い多発性腫瘤であり、有茎性あるいは広基性に心房内膜に付着していた。迅速病理にて悪性所見なく、腫瘤を全て切除した。 病理組織診断では、石灰化と出血変性を認めた。器質化血栓や心内膜炎後、あるいは粘液腫の一部において、石灰化を認めること が知られている。本症例における石灰化腫瘤形成の機序は明らかではないものの、興味深い症例と考え報告する。 一般ポスター P8-2 心エコー図にて両心室内に異常構造物を認めたうっ血性心不全の一例 須永 晃弘、渡部 徹也、藤田 雅史、粟田 政樹、飯田 修、岡本 慎、石原 隆行、水上 雪香、 南都 清範、飯田 卓馬、神田 貴史、白記 達也、奥野 圭佑、辻村 卓也、上松 正朗 関西労災病院 循環器内科 症例は 30 代男性。2013 年 7 月上旬より下腿浮腫を自覚し、同月下旬には労作時息切れも出現したため、近医を受診し当院紹介となっ た。来院時検査により高血圧症、脂質異常症、糖尿病と診断したが、これまで未加療であった。胸部 X 線写真では心胸郭比 75% と 著明な拡大を認めた。心エコー図にて左室駆出率 22%、全周性壁運動低下、心嚢液貯留を認め、左室内に 34mm × 24mm 大でモザ イク状のエコー輝度を有した異常構造物を、右心室内に 13mm × 13mm 大でエコー輝度のやや高い異常構造物を認めた。うっ血性 心不全および両心室内血栓もしくは心臓腫瘍疑いと診断し、精査加療目的に入院した。同日より心不全管理とヘパリンおよびワル ファリンによる抗凝固療法を開始した。第 12 病日に右室内異常構造物は消失し、左室内異常構造物は 27mm × 14mm 大に縮小した。 第 18 病日には左室内異常構造物も消失した。冠動脈造影にて三枝病変を認め、心不全の原因は虚血性心筋症によるものと考えられた。 また、各種腫瘍マーカーや CT などの検査で悪性腫瘍認めなかったこと、抗凝固療法への反応性から、心腔内異常構造物は低左心機 能に伴う心腔内血栓と考えられた。左回旋枝に対して冠動脈カテーテルインターベンション術を施行し、第 28 病日に退院した。両 心室内に血栓を認めた一例を経験したので若干の文献的考察を踏まえ報告する。以上、両心室腔内に異常構造物を認めたが、抗凝 固療法が奏功したうっ血性心不全の一例を経験した。 221 第25回日本心エコー図学会学術集会 P8-3 心房内腫瘍との鑑別が必要であった右房内血栓症の一例 福井 大介 1、植田 晋一郎 1、堀 賢介 1、佐々木 基起 1、林 真貴子 1、佐藤 晃 1、飛永 覚 2、田中 啓之 2、 福本 義弘 1 1 久留米大学 心臓・血管内科、2 久留米大学 心臓血管外科 【症例】39 歳、男性【現病歴】左下肢の運動障害、感覚障害が出現し、腰椎椎間板ヘルニアの診断で他院整形外科にて腰椎椎間板摘 出術および腰椎椎弓切除術を行った。術後 3 日にトイレで腰掛けた際に突然に意識消失し、収縮期血圧 90mmHg へ低下、SpO 2 88% ( 室内気 ) と呼吸不全を呈したため当院搬入となる。【経過】搬入時には酸素 3L の投与で低酸素血症は改善し、循環動態も維持 されていた。搬入後に行った造影 CT 検査にて両側肺動脈内と下大静脈、膝窩静脈に血栓像を認め、急性肺動脈血栓塞栓症及び深部 静脈血栓症と診断した。左心系への塞栓所見は見られなかった。経胸壁心臓超音波検査にては右室の拡大がみられたが、右房内心 房中隔側に付着する長径 60mm の数珠状構造物を認め、可動性が強く、拡張期には右室内に陥入していた。病歴及び経過から深部 静脈血栓が心房内に流入してきた可能性も考えられたが、心房中隔に付着する有茎性組織であり、既存の右房腫瘍に血栓が付着し ている可能性も考えられた。腫瘍もしくは血栓と判断し、右房内腫瘍摘出術及び両側肺動脈血栓摘出術を行った。術中に行った経 食道心臓超音波検査では卵円孔に同組織先端が陥入している像を認め、手術により右房内から摘出した組織は血栓であった。その 機序としては下肢の深部静脈血栓が排便時の腹圧もしくは肺塞栓発症時の右房圧上昇により卵円孔が開放された際に陥入したもの と考えられ、肺動脈血栓塞栓症の予後を左右するとの報告もある。我々は塞栓子が右房側の卵円孔に陥入した肺動脈血栓塞栓症の 一例を経験したので報告する。 P8-4 心臓原発滑膜肉腫と思われた右房内腫瘍の一例 堀添 善尚 1、高崎 州亜 1、毛利 翔悟 1、徳重 明央 1、植屋 奈美 1、茶圓 秀人 1、水上 尚子 2、 湯浅 敏典 1、宮田 昌明 1、木佐貫 彰 3、大石 充 1 1 鹿児島大学病院 心臓血管・高血圧内科、2 鹿児島大学病院 臨床検査部、3 鹿児島大学 保健学科 【症例】49 歳、男性。【現病歴】2013 年 5 月の職場検診で、高血圧、高尿酸 血症を指摘され近医で加療開始した。2013 年 9 月、近医の人間ドックの際に、 胸部 Xp で両側全肺野にわたり類円系の結節影、胸部 CT でも同様の所見と 少量の両側胸水貯留を認めた。心エコーにて、右房内に 53 × 43mm 大の腫 瘍性病変を指摘され、精査・加療目的で、同年同月当科入院となった。腫瘍 による右室流入路の狭窄を認めたが、腫瘍の陥頓はなく、全身浮腫など右心 不全症状も認めなかった。良性・悪性の鑑別に PET-CT 施行したところ、 右心房内・両肺野・左上腕骨・腰椎・リンパ節と全身性に高度集積病変を認 め、悪性腫瘍が疑われた。肺病変の CT ガイド下針生検で紡錘形細胞成分を 認め、t(X;18) のキメラ遺伝子を有していたことから、滑膜肉腫の確定診断に 至った。【考察】心臓原発の滑膜肉腫はきわめて稀であり、原発性心臓腫瘍 の約 0.1%、心臓肉腫中の 5% を占めると報告されている。男女比 6:2 と男性 が多く、発生は右心系に多いとされ (8 例中 7 例 )、本症例もこれらの報告に 合致する。 一般ポスター P8-5 右心室に達する血管内平滑筋腫の一例 當間 裕一郎 1、山里 将一朗 1、相澤 直輝 1、池宮城 秀一 1、新里 朋子 1、大城 克彦 1、岩淵 成志 1、 稲福 斉 2、東上里 康司 3、盛島 裕次 4、新垣 勝也 4、國吉 幸男 2、大屋 祐輔 1 1 琉球大学大学院 医学研究科 循環器・腎臓・神経内科学講座、2 琉球大学大学院 医学研究科 胸部心臓血管外科学講座、 琉球大学医学部附属病院 検査部、4 浦添総合病院 心臓血管外科 3 【症例】40 歳女性,【主訴】労作時息切れ 【経過】慢性関節リウマチのため近医通院中であったが,労作時息切れを自覚し,近医に て肝疾患の関与が疑われ腹部エコーを施行したところ下大静脈に血栓を疑わせるような塊状病変を認め,近医総合病院に紹介され た.そこで,抗凝固療法などを行ったが,改善せず,胸腹部 CT や心エコーで右室内を含めた広範囲に病変が広がっていることから, さらなる精査・加療目的に当院に転院となった.当院にて経胸壁心エコーを施行したところ,やや輝度の高い右室内に達する可動 性の腫瘤性病変を認めた.右室から下大静脈まで一塊となっており,下肢の深部静脈血栓なども認めなかったことから腫瘍性病変 を疑った。胸腹部造影 CT,MRI などを施行したところ,病変は子宮から内腸骨静脈,下大静脈とつながっており,腫瘍性の可能性 が高いと考え,心臓外科と婦人科による一期的腫瘍切除術が施行された.病理学的に血管内平滑筋腫の診断であり、子宮が原発と 考えられた.【結論】本症例のように静脈系から右室に一塊となっている腫瘤性病変の鑑別としては血栓や腎細胞癌の浸潤の頻度が 多いと考えられる.しかし,本症も鑑別する必要がある。特に心室内進展している場合は、肺塞栓や心停止などのリスクとなるため, 全身の検索を速やかに行うことが重要である. 222 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P8-6 ネフローゼ症候群に合併した右室内血栓の一例 寺田 舞、渡邊 博之、新保 麻衣、鬼平 聡、伊藤 宏 秋田大学医学部大学院 循環器内科学 症例は 32 歳 男性。右側胸部痛を主訴に受診。造影 CT にて右室内腫瘤、右 肺動脈内塞栓、肺炎、胸膜膜炎が観察された。経胸壁心エコーでは、肺高血 圧所見と右室内に 27 × 29mm 大の可動性腫瘤を認めた。経食道心エコー上 右室内可動性腫瘤は右室壁には付着部位を認めず、腫瘤は棒状の構造物が二 つに折れて、右室内腱索数本により捕捉されているように観察された。鑑別 として右室内腫瘍と血栓があげられたが、ネフローゼ症候群と D - dimer の上昇を認めたことより血栓と診断した。血栓溶解目的にヘパリン持続投与 施行するも著明な改善を認めず、ウロキナーゼの投与にて第 23 病日に右室 内腫瘤の消失を認めた。その後の腎生検にて微小変化群を原因としたネフ ローゼと診断された。ネフローゼ症候群における血栓塞栓症の発症リスクは約 2%との報告があるが稀である。本症例では血栓形態 より、下肢に形成された血栓が、右室内腱索に捕捉され、右室内腫瘤として発見されたと考えられた。右室内腱索に捕捉された右 室内血栓という点においても非常に稀な症例であり、文献的考察を加えて報告する。 P8-7 巨大な血管腫と冠動脈瘤における心エコー図所見の対比的検討 武田 祥子 1、都留 正人 1、藤本 惠子 1、芳井 孝輔 1、米川 幸子 1、諸根 隆行 1、世良 博史 1、 中山 亮一 1、正井 秀幸 1、古本 勝 1、月城 泰栄 2、千村 美里 2、大西 哲存 2、谷口 泰代 2、川合 宏哉 2 1 兵庫県立姫路循環器病センター 検査・放射線部、2 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科 【症例 1】40 歳代女性 . 胸部 X 線で縦隔に腫瘤陰影 , 造影 CT で心臓腫瘍と診断され , 当院紹介となった . 心エコー図検査で壁運動は 正常 , 心嚢液は認めず , 左室と左房の心外膜側で左冠動脈前下行枝(LAD)に接する 60 × 79mm の腫瘍エコーを認めた . カラード プラ法で腫瘍内部に血流シグナルは描出されなかった . 左冠動脈主幹部(LMT)4mm, 右冠動脈(RCA)3mm であった . MRI は T1 強調画像で高信号 ,T2 強調画像でさらに高信号を呈し , 造影 CT と心カテは腫瘍の綿花状濃染を認めた . 病理は海綿状血管腫であっ た .【症例 2】50 歳代男性 . 既往は脳出血 , 高血圧 ,2 型糖尿病 . 前医 CT にて心臓腫瘍が疑われ , 当院紹介となった . 生化学は BNP 188.5pg/ml, CRP 0.38mg/ml であった . 心エコー図検査は下壁の運動低下 , 心嚢液は中等量貯留を認めた . 右房側で RCA に接する 41 × 57mm, 左室前面で LAD に接する 22 × 25mm の腫瘤エコーを認めた . LMT9mm,RCA11mm と拡張していた . 造影 CT と心カテ は RCA 完全閉塞と LAD 軽度狭窄を認めた . 冠動脈三枝のびまん性拡張と巨大瘤を認め , 冠動脈瘤と診断された .【考察】血管腫と 冠動脈瘤の心エコー図所見を対比すると , 症例 1 は冠動脈に接していたが冠動脈との連続性はなく , 腫瘍内部の血流を認めなかっ た . また , 心嚢液の貯留もないことから良性腫瘍と考えられた . 一方 , 症例 2 は腫瘤が多発し , 心嚢液が貯留していたために悪性腫瘍 が否定できず , 右房側の巨大瘤は内部に血流が描出されなかったので良性腫瘍にも思われた . 右房側の瘤は RCA の走行に一致し , 左 室前面の腫瘤は LAD との連続性を認め , 冠動脈病変も考慮された . 今回の症例は (1) 冠動脈の走行と腫瘤との位置関係 ,(2) 冠動脈と 腫瘤との連続性 ,(3) 冠動脈の拡張の有無が診断に有用と考えられた . 一般ポスター P9-1 右室心尖部ペーシングによる dyssynchrony、左室収縮障害が両心室ペーシングへのアップグレー ドで改善した一例 高井 学 1、佐藤 如雄 1、南 圭祐 1、林 明生 1、高橋 英二 1、山内 正博 1、大宮 一人 1、明石 嘉浩 2 1 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 循環器内科、2 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 【症例】66 歳、女性【経過】平成 13 年に労作時呼吸困難を主訴に受診、高 度房室ブロックと診断。各種検査にて虚血性心疾患や心筋症等の有意所見な く、心不全兆候を認めており、ペースメーカー適応と判断。同年 12 月にペー スメーカー植込み術を施行。その際、心房リード留置が困難なため、心室リー ドのみが挿入された。植込み半年後より徐々に呼吸困難が再燃、1 年半後に 施行された心エコー図では左室駆出率 30%と著明な収縮障害を認めた。心 不全兆候も認め、薬物加療を開始。心不全は代償化されたが、左室駆出率は 改善せず、NYHA 3度で経過した。平成 24 年、電池消耗によるジェネレーター 交換が検討され、経過より心臓再同期療法の適応と判断。心房リードおよび 左室リードを追加し、両心室ペーシングを行った。約 1 年の経過で左室駆出 率 57%にまで改善し、症状の改善も得られた。【結語】心尖部ペーシングに よる心機能低下に対し、両心室ペーシングが有効であった症例を経験した。 223 第25回日本心エコー図学会学術集会 P9-2 左室局所壁運動指標と局所ストレイン値の関連性について:心臓 MRI における feature tracking analysis を用いた検討 芳谷 英俊 1、竹内 正明 1、加地 修一郎 2、永田 泰史 1、林 篤志 1、大谷 恭子 1、福田 祥大 1、古川 裕 2、 尾辻 豊 1 1 産業医科大学 第二内科、2 神戸市医療センター中央市民病院 【背景および目的】心臓 MRI による Tagging を用いた左室ストレイン解析の有用性は知られているが、その解析はやや煩雑であり 日常臨床で広く用いられているとは言い難い。一方、心エコー図でのストレイン解析では speckle tracking 法による解析が広く用い られており、心臓 MRI においても speckle tracking 法に類似した比較的簡便な方法である feature tracking 法(FT 法)によるスト レイン解析が開発されその有用性を示した報告も散見されている。本研究の目的は心臓 MRI のシネ画像を用いて FT 法によるスト レイン値と局所壁運動との関連性を調べることとした。【方法】心臓 MRI を施行した心筋梗塞症例 37 例を対象とした。心尖部 3 断 面と短軸 3 断面(基部、中部、心尖部)の Cine MRI 画像を用いて、FT 法による 3 方向の心内膜側、心外膜側ストレイン値(LS; longitudinal strain, CS; circumferential strain and RS; radial strain)と別の検者がおこなった目視による半定量評価である壁運動指 標(正常 =1, 低収縮 =2, 無収縮 =3, 奇異性運動 =4)を左室 16 領域モデルを用いて比較検討をした。【結果】全 592 領域中、半定量 による局所壁運動評価では 398 領域が正常、152 領域が低収縮、33 領域が無収縮、9 領域が奇異性運動であった。FT 法による 3 方 向のストレイン値と局所壁運動に有意な相関を認めたものの、特に RS と心内膜側 CS が壁運動異常とより強い相関を示す傾向であっ た(RS: F=40.0, 心内膜側 CS: F=46.1, 心外膜側 CS: 22.4, 心内膜側 LS: F=8.4, 心外膜側 LS: F=12.6)。【結語】目視による左室壁運動 異常の評価は短軸方向と円周方向の壁運動異常に影響を受けやすい可能性が考えられた。 P9-3 リアルタイム 3D 経胸壁心エコーにより、急性心筋梗塞後心室中隔穿孔の形態をより詳細に評価しえ た一例 伯野 大彦 1、磯部 更紗 1、川井 実 1、杉澤 潤 1、堀越 英之 2、眞崎 暢之 1、足立 健 1 1 防衛医科大学校 循環器内科、2 防衛医科大学校 膠原病内科 症例は 64 歳女性。慢性関節リウマチに対してメソトレキセートおよびアダ リムマブを投与中にループス様症候群、血小板減少症を発症したため、同薬 中止されステロイド 10mg/ 日を投与されていた。2012 年 12 月に右冠動脈 #3 の急性心筋梗塞、右室梗塞を発症し他院で緊急経皮的冠動脈形成術を施 行されたが、血小板減少症が持続するため 3 日後に当院転院となった。転院 後輸液、ノルアドレナリン持続点滴で加療し、血小板減少症に対して各種治 療を行ったが血小板数 7,000/ μ l 前後が遷延した。発症 10 日後、突然のショッ クと心雑音が出現、2D 経胸壁心エコー上心室中隔穿孔によるシャントを認 めたため大動脈内バルーンパンピング挿入となった。リアルタイムおよびカ ラー 3D 経胸壁心エコーを施行したところ、心室中隔心尖部から右室下壁に かけての壁内解離、右室内穿孔(図矢印)によるシャント血流 ( 図矢頭)が 判明した。 急性心筋梗塞後心室中隔穿孔の形態的評価やシャント部位の同定にリアルタイム 3D 経胸壁心エコーが有用であった一例を経験した ので報告する。 一般ポスター P9-4 心外膜下脂肪は左室拡張障害や潜在的な収縮不全と関連する 坂本 瞳 1、杜 徳尚 2、麻植 浩樹 1、大澤 和宏 2、三好 亨 2、木島 康文 2、高谷 陽一 2、渡辺 修久 1、 武本 梨佳 1、池田 まどか 1、大野 佑子 2、伊藤 浩 2 1 岡山大学病院 超音波診断センター、2 岡山大学 循環器内科 【背景】心外膜下脂肪は心臓周囲に付着した脂肪組織で心血管事故との関連性が指摘されている。最近の基礎実験では心外膜下脂肪 からの分泌物質が心筋細胞の機能低下を惹起することも報告されているが、生体での心外膜下脂肪と心機能の関連については明ら かでない。【方法】左室駆出率が 50% 以上で心疾患の合併のない 173 例を対象とした。全例で血液検査と心エコー図検査、心臓 CT を行った。心エコー図での 2D スペックルトラッキング法を用いて peak systolic global longitudinal strain(GLS) を計測した。心外 膜下脂肪容積 (EFV) は心臓 CT 画像から専用ソフトを用いて計測した。全例を EFV データに基づく分位法で 3 群に分けた (T1、 T2、T3)。【結果】HOMA-IR、中性脂肪、LDL コレステロール、HDL コレステロールはいずれも 3 群間で有意差を認めた。左房容 8.3 ± 3.3 vs 積係数、E/e’ 、e’ は 3 群間で有意差を認めた ( 左房容積係数 T1 32 ± 7 vs T2 34 ± 7 vs T3 37 ± 6 ml/m2, p < 0.05; E/e’ 10.0 ± 4.2 vs 11.0 ± 3.1, p < 0.05; e’ 9.0 ± 3.3 vs 6.9 ± 2.2 vs 6.1 ± 1.4 cm/s,p < 0.05)。左室駆出率や s’ は 3 群間で有意差を認めなかっ たが、GLS は 3 群間で有意差を認めた (-20.1 ± 2.6 vs -18.6 ± 3.9 vs -16.7 ± 2.4 %, p < 0.01)。【結語】心外膜下脂肪の増加は左室拡 張障害だけでなく潜在的な収縮不全とも関連しており、生体でも心外膜下脂肪は心機能に影響を与えると考えられた。 224 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P9-5 心臓再同期療法術後早期に I 音の改善を認めた慢性心不全例 河野 珠美、西村 和久、井上 勝次、藤本 香織、藤井 昭、上谷 晃由、永井 啓行、鈴木 純、 大木元 明義、大藏 隆文、檜垣 實男 愛媛大学大学院 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座 【症例 1】80 歳台女性.2013 年 8 月より労作時呼吸苦が出現するようになり, 完全左脚ブロック合併拡張型心筋症と診断された.心臓再同期療法 (CRT) の 適応と判断し,同手術を施行した.術前と比較して CRT 後早期に I 音の増 大を認め,左室駆出率 (EF) は 31% から 38% に改善し,中隔の early systolic motion( 矢印 ) が消失した.(Fig. a)【症例 2】60 歳台女性.2008 年に完全房 室ブロックに対して恒久的ペースメーカ植込みを施行された.2013 年 10 月 より労作時呼吸苦が出現し,心エコー上,心室中隔の菲薄化があり,心サル コイドーシスが疑われ,心筋生検より心サルコイドーシスと確定診断した. CRT への upgrade の適応と判断し,同手術を施行した.術前と比較して CRT 後早期に I 音の増大を認め,EF は変化なかったが,中隔の early systolic motion( 矢印 ) は消失した.(Fig. b)【考察】CRT に よる房室伝導時間の至適化や dyssynchrony の改善によって,I 音が改善したと考えられた. P9-6 両室ペーシング導入後に僧帽弁腱索断裂による急性心不全を発症し弁置換術を要した虚血性心筋症の 一例 津田 豊暢 1、森 三佳 1、田中 仁啓 1、吉牟田 剛 1、林 研至 1、川尻 剛照 1、山口 聖次郎 2、富田 重之 2、 渡邊 剛 2、山岸 正和 1 1 金沢大学 医学部 循環器内科、2 金沢大学 医学部 心肺総合外科 症例は 56 歳男性。他院にて虚血性心筋症と診断されていたが致死性不整脈を発症しショックデバイス植え込み検討目的に当院紹介 となった。左室は著明な拡大および収縮障害を伴っており、弁輪拡大による接合不全から中等度僧帽弁逆流も認めていた。心電図 では心室内伝導障害を疑わせる所見を認めていたため両室ペーシング機能付植え込み型除細動器(CRT-D)の適応と判断し移植術 を行った。術後状態は良好であり退院したが、退院翌日に急性心不全を発症し当院に搬送された。心エコーにて僧帽弁腱索断裂に よる前尖逸脱、それによる僧帽弁逆流の増悪を認めており僧帽弁置換術が行われた。 僧帽弁腱索断裂に至った要因としては、虚 血性心筋症による左室拡大による腱索への持続性ストレスや両室ペーシング導入による壁運動の変化による影響などが推察される。 本症例を各種検査結果および若干の文献的考察を含めて報告する。 一般ポスター P9-7 心エコー図を用いた強皮症患者の無症候性左室機能障害評価 波多野 由佳 1、新井 光太郎 2、高野 一成 1、寺山 敏子 1、志和 清隆 1、小島 幸子 1、橋本 優里 1、 黒川 文夫 1、三浦 ひとみ 1、植松 庄子 2、福島 敬子 2、芦原 京美 2、高木 厚 2、萩原 誠久 2 1 東京女子医科大学 中央検査部、2 東京女子医科大学 循環器内科 【目的】強皮症は皮膚や肺・消化管・心筋のびまん性血管病変と線維化病変を特徴とする全身性慢性炎症性疾患である。心筋障害は 強皮症の予後不良因子であるが早期の心筋障害を評価する方法は確立されていない。本研究の目的は心エコー図を用いて強皮症患 者における無症候性の左室機能障害の評価をすることである。【対象と方法】左室収縮能が保持された強皮症患者 52 例 (60 ± 14 歳 ) と , 年齢を一致させた健常者 30 例 (60 ± 12 歳 ) を対象とした。経胸壁心エコー図を行い , 左室拡張末期径 , 左室収縮末期径 , 左室壁厚 , 左室重量係数を計測した。modified Simpson 法で左室拡張末期容積 , 左室収縮末期容積 , 左室駆出率 , 左房容積 , 左房容積係数を算 出し , 左室流入血流速波形より E, A, 組織ドプラ法により e’ , a’ を計測し , E/A, E/e’ を算出した。上記項目について両群の比較検討 を行った。【結果】強皮症患者では健常者と比べて左房容積(48.9 ± 13.6 vs 43.4 ± 9.4 ml, P < 0.05), 左房容積係数(32.9 ± 8.3 vs は両群間で有意差は認めなかったが強皮症患者で小さい傾向にあった。 27.7 ± 5.5 ml/m2, P < 0.01)がそれぞれ有意に大きかった。e’ 収縮期肺動脈圧は強皮症患者で有意に高い傾向にあった(28.8 ± 5.9 vs 33.8 ± 8.2 mmHg, P < 0.01)。左室容積や駆出率は両群間に 有意差は認めなかった。【結語】強皮症患者では左室駆出率が保持されているにも関わらず左房拡大を来していた。心エコー図は強 皮症における無症候性の心機能低下を評価する有用な方法であることが示唆された。 225 第25回日本心エコー図学会学術集会 P10-1 35 年間に渡り持続している原因不明の心膜液貯留の一例 福田 智子 1、渡邉 望 2、吉村 雄樹 2、増山 浩幸 2、福永 隆司 2、戸井田 玲子 1、田中 美与 3、 末澤 滝子 3、石川 哲憲 1、北村 和雄 1 1 宮崎大学医学部附属病院 第一内科、2 県立宮崎病院 循環器内科、3 県立宮崎病院 臨床検査科 【症例】症例は 53 歳女性 . 【経過】17 歳頃より胸痛が出現し , 翌年心拡大と心電図異常を指摘され×× 病院に入院した . 心膜液貯留を認め , 心膜穿刺術にて淡黄色の滲出性心膜液 を認め herpes simplex が分離されたため , 当初はウイルス性心外膜炎と診断 された . しかし , その後も心嚢液は減少せず数回の心嚢穿刺を施行されたが 特異的な所見はなく原因不明のまま経過した . 20 ××年より当院を受診し , 胸部レントゲン写真にて心拡大をフォローされていた . 2012 年 , 心エコー図 検査で右房壁から右室中部の瘤状突出を認めたため心膜欠損も念頭に MRI 検査を施行した . 壁側心膜は保たれ多量の心嚢液を認めるもののエコーと同 様の形態と突出部位の臓側心膜菲薄化を認めた . なお , 本患者は大動脈二尖 弁であった . 【考察】心膜欠損は稀な疾患であるが , 近年の画像診断の進歩により偶発的 に診断される機会が増した . 本症例は 35 年間に渡り原因不明の心膜液貯留 が持続しており , 心エコー図検査により大動脈二尖弁に合併した右側心膜部分欠損も疑われたが確定診断には至らなかった . 文献的 考察を加えて報告する . P10-2 心房中隔欠損症と発作性心房細動を合併した閉塞性肥大型心筋症の一例 中村 琢 1、吉冨 裕之 2、安達 和子 1、大嶋 丈史 1、山口 一人 2、新田 江里 2、松田 紘治 1、岡田 大司 1、 伊藤 新平 1、渡邊 伸英 1、中島 龍馬 1、菅森 峰 1、遠藤 昭博 1、高橋 伸幸 1、田邊 一明 1 1 島根大学 医学部 内科学第四、2 島根大学医学部附属病院 検査部 【症例】72 歳女性。胸部苦悶感のため近医を受診し、硝酸薬・ジギタリス内服により経過観察されたが、その後も症状が繰り返し、うっ 血性心不全を呈し、当院入院となった。心電図で頻脈性の Af を認め、心エコー図検査では閉塞性肥大型心筋症(HOCM)、心房中 隔欠損症(ASD)を認めた。HOCM、ASD を基礎心疾患とし、Af の合併により、うっ血性心不全の急性増悪をきたした状態と考 えられた。本症例では、Qp/Qs 1.6 と ASD 閉鎖術の適応基準を満たしていたが、HOCM と Af により左房圧が著明に上昇した状態 においては、ASD の欠損孔は左房圧の“vent”の役割を果たしており、欠損孔を閉鎖することにより左房圧をさらに上昇させる可 能性が考えられた。そこで、本症例では、心房細動に対するカテーテルアブレーションによるリズムコントロールと、左室内圧較 差軽減目的のβブロッカー、Ia 抗不整脈薬投与を優先した。これにより、af 発作、左室内圧較差、心不全症状は改善した。今後、 左室流出路狭窄が増強することがあれば、内服の増量とペースメーカー植え込み術を含めた HOCM に対する治療の強化を行い、そ れでも心不全コントロール不十分な場合には、心臓カテーテル検査による血行動態の再評価のもと ASD の閉鎖術を行うべきかどう か再検討する方針として、現在外来フォロー中である。 【考察】ASD 閉鎖術の適応には、肺体血流比(Qp/Qs)や肺血管抵抗値が基準として用いられることが多い。しかし、成人の ASD では、弁膜症、冠動脈疾患、心筋症、高血圧心や、心房細動(Af)などの不整脈の合併により、ASD の病態に修飾が加わる。個々 の ASD 患者における治療方針の決定においては、病態を修飾している合併疾患も考慮すべきである。 一般ポスター P10-3 心エコー図検査が有用であった閉塞性肥大型心筋症様の病態を併発したたこつぼ心筋症の一例 立花 恵子、大西 隆行、大西 祐子、笠野 健介、蜂谷 祥子、村本 容崇、樋口 晃司、鈴木 篤、 小林 一士、梅澤 滋男、丹羽 明博 平塚共済病院 循環器科 高血圧で降圧剤内服中の 70 歳女性。化膿性脊椎炎や胆石症にて当院入院中、大腸癌も指摘され過度の精神的ストレスを感じていた。 入浴後に胸痛が出現し、12 誘導心電図で 1、aVL、V4-6 の ST 上昇、心エコー図検査で前側壁中間部から心尖部にかけて壁運動低 下を認めた。急性心筋梗塞症の疑いで緊急心臓カテーテル検査を施行したが冠動脈に有意狭窄は無く、左室造影で心尖部無収縮と 心基部の過収縮を認め、たこつぼ心筋症と診断した。胸痛発症時から胸骨左縁第3肋間を最強点とする収縮期雑音を聴取、心エコー 図検査ではたこつぼ様壁運動の他に、僧帽弁前尖収縮期前方運動(SAM)と左室流出路圧較差(70 mm Hg)、2 度の僧帽弁逆流を 認めた。発症後から通常 140 / 70 台の血圧が 90 / 50 前後に低下し、乏尿、腎機能障害が進行した。たこつぼ心筋症に肥大型心筋 症(HOCM)様の病態を併発し血行動態が増悪したものと考えられた。左室流出路圧較差の軽減目的に、第 2 病日から少量βブロッ カー(カルベジロール 1.25 mg/日)を開始した。第 5 病日には血圧や腎機能の改善、心雑音の軽減を認めた。第 9 病日には心雑 音は消失し、心エコー図検査でも SAM と左室流出路圧較差の消失を認めた。HOCM 様の病態を併発し血行動態の増悪をきたした たこつぼ心筋症の診断、病態把握、治療方針決定、その後の経過観察に心エコー図検査が非常に有用であった 1 例を経験したので 報告する。 226 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P10-4 右冠動脈入口部が剥がれた重症の若年大動脈解離に対し Yacoub 手術に成功し救命しえた一例 有馬 ひとみ 1、黒沢 幸嗣 2、久保田 淳子 1、松尾 美智子 1、石倉 順子 1、広清 久美 1、細見 陽子 1、 林 弘樹 3、石川 和徳 3、下川 智樹 4、森 秀暁 3 1 前橋赤十字病院 臨床検査科部、2 群馬大学医学部附属病院 循環器内科、3 前橋赤十字病院 心臓血管外科、 帝京大学医学部附属病院 心臓血管外科 4 症例は 34 歳男性。既往歴として喘息あり。数日前からの呼吸困難が増悪したため搬送された。重症気管支喘息の診断で初期治療開 始直後に心肺停止となり心肺蘇生を開始した。自己心拍は比較的速やかに再開した。直後の経胸壁心エコー図検査 (TTE) では上行 大動脈は 55mm と拡大し、Valsalva 洞の直上で flap を認めた。大動脈弁逆流 (AR) は軽度であった。造影 CT で上行大動脈の拡大と 起始部から総腸骨動脈までの広範囲な解離を認めた。以上より急性大動脈解離(Stanford A)と診断したが、肺炎・急性呼吸促迫 症候群が強く疑われ、緊急手術は危険性が高いと判断し体外式膜型人工肺を導入し、保存的加療を優先する方針とした。全身状態 改善後の TTE では左室拡張末期径は 64mm と拡大していた。左室駆出率は 67% と保たれていたが、下壁領域に軽度の局所壁運動 異常を認めた。AR は高度であった。経食道心エコー図検査では大動脈弁は三尖で弁尖自体の変性は軽度であった。大動脈解離の中 枢端は、右冠尖側の解離では入口部に及び、入口部内膜は剥がれていた。解離した内膜の欠損孔には血流が通過し、右冠動脈入口 部方向へ血流は向いていた。一方、左冠尖側では左冠動脈起始部付近に達していたが、入口部分で止まり血流は保たれている状態 であった。AR の成因としては大動脈基部拡大と解離による弁形態の変化が疑われた。以上の所見より Yacoub 手術と上行置換術に 加え、右冠動脈バイパス術が施行され、手術に成功した。右冠動脈入口部が剥がれた重症の若年大動脈解離に対し Yacoub 手術に成 功し救命しえた一例を経験したので報告する。 P10-5 心外膜下心室瘤を伴った心サルコイドーシスの一例 今井 裕、築地 美和子、林 佳奈子、廣本 真季、貢藤 悦子、本田 容子、鈴木 秀規、屋形 智之、 伊藤 博之、廣瀬 瑞紀 明理会中央総合病院 臨床検査部 【症例】80 歳女性。【経胸壁心臓超音波検査】傍胸骨左室長軸断面において、 心室中隔基部の菲薄化を認め、心尖部四腔断面では、中間部の下壁中隔に 13.5 × 2.0mm の限局的陥凹性病変が認められた。病変部は収縮期に右室側 へわずかに突出する動きが見られた。左室心機能は拡張期径 52mm、収縮期 径 41mm、EF45%、FS22%、左室肥大(-)、左房軽度拡大、弁膜症(-)、 左室壁運動は、びまん性に軽度低下を認めた。【考察】心サルコイドーシスは、 心外膜、心筋、心内膜が非乾酪性上皮細胞肉芽腫及び瘢痕組織に置き換えら れ、その部位により病態が異なる。心室中隔上部における瘢痕化は心室瘤形 成に関与するとされ、比較的まれと言われている。本症例は心サルコイドー シス診断基準の主徴候 2 項目、副徴候 2 項目に合致し、心外膜下心室瘤を伴 う心サルコイドーシスと考えられたので報告する。【結語】今回我々は、心 サルコイドーシスに起因すると考えられる心外膜下心室瘤を経験した。本疾 患は、血栓症、破裂などを合併することがあり、今後も心エコー図検査での充分な経過観察が必要と思われる。 一般ポスター P10-6 心膜切除により左室拡張障害の著明な改善を心エコーで観察し得た収縮性心膜炎の一例 懸高 友美 1、林 美紀子 1、木場 久美子 1、肥佐多 伸子 1、浅野 貴子 1、大森 恵 1、安田 敏彦 2、 松原 隆夫 2、金谷 法忍 2、岡田 俊英 3 1 石川県立中央病院 医療技術部 検査室、2 同 循環器内科、3 同 医療技術部 【はじめに】収縮性心膜炎は心膜の線維性肥厚、石灰化、心膜と左室壁の癒着により心臓の拡張障害を呈する疾患である。今回、当 院で収縮性心膜炎と診断され手術を施行し経過を追えた収縮性心膜炎の一例を経験したので報告する。【症例】71 歳、男性 【主訴】 軽労作での息切れ【既往歴】62 歳時に大動脈弁閉鎖不全症で大動脈弁置換術、心房細動【現病歴】当院通院中であり心不全憎悪に よる入院歴もなく経過良好であったが、風邪様症状と軽労作での息切れ、下腿浮腫が出現し心不全増悪のため入院となった。【入院 時心エコー所見】左室壁運動は側壁から後壁にかけて明らかな拡張障害を認めた(EF46%)。また右房の拡大、左室後壁側心膜 4.2mm と肥厚を認めた。IVC は拡大し呼吸性変動低下、重度の TR、TRmaxPG:35mmHg を呈し右心負荷所見を認めた。心房細動のため 左室流入血流速波形の呼吸性変動は評価困難であった。【経過】利尿剤投与によっても心不全の改善は乏しく難治性であった。心臓 カテーテル検査で冠動脈には有意狭窄は認めず、右室圧波形は dip and plateau を示し、CT 上も肥厚した心膜を認めた。心エコー 所見と合わせて収縮性心膜炎と診断され、心膜切除術 + 三尖弁輪形成術を施行した。術後の心エコーでは左室拡張障害は著明に改 善し壁運動も良好(EF64%)で、TRmaxPG:21 mm Hg と改善した。【考察】心膜切除により、左室拡張障害の著明な改善を心エコー で観察し得た収縮性心膜炎の一例を経験した。原因は大動脈弁置換術での開心術後による心膜癒着と考えられた。 227 第25回日本心エコー図学会学術集会 P10-7 肥大型心筋症を伴わない収縮期僧帽弁前方運動を有する患者の臨床像 植松 庄子 1、新井 光太郎 1、今村 泰崇 2、福島 敬子 1、星 敬美 1、芦原 京美 1、高木 厚 1、萩原 誠久 1 1 東京女子医大病院 循環器内科、2 済生会熊本病院 心臓血管センター 循環器内科 【背景】 収縮期僧帽弁前方運動(SAM)は肥大型心筋症(HCM)を伴う患者のみならず HCM を伴わない患者においても左室流出 路(LVOT)閉塞の原因となることが知られている。しかし HCM を伴わない患者における SAM の臨床像は明らかではない。【目的】 HCM を伴わない患者における SAM の臨床像を明らかにすること。【方法と結果】当院で心エコー検査を施行された連続 9180 例に ついて後ろ向きに検討を行った。88 例(1.0%)に SAM が認められ , HCM を伴う患者が 60 例(0.7%), HCM を伴わない患者が 28 例(0.3%)であった。HCM を伴わない患者は平均年齢が高く(65.7 ± 15.0 vs. 56.9 ± 16.8 y.o, p=0.02), LVOT 圧較差は小さかっ た(25.5 ± 30.1 vs. 43.2 ± 41.1 mmHg, p=0.02)。HCM を伴わない患者の 29%に症状を認めた。次に HCM を伴わない患者の中で初 めて SAM を指摘された 20 例を SAM の部位により 12 例の valvular SAM と 8 例の chordal SAM に分けて検討した。valvular SAM で LVOT 圧較差が大きく(30 ± 23 vs. 5 ± 2 mmHg, p=0.0002), 僧帽弁逆流(MR)が重症で(P=0.03), 僧帽弁前尖が長かっ た(2.7 ± 0.3 vs. 2.4 ± 0.2 cm, p=0.007)。LVOT 面積には有意差を認めなかった(2.79 ± 0.37 vs. 2.94 ± 0.26 cm2, p=0.30)。【結論】 HCM を伴わない SAM の頻度は 0.3%だった。valvular SAM は chordal SAM と比較し LVOT 圧較差が大きく , MR が重症で僧帽 弁前尖がより長かった。 P11-1 重度の僧帽弁閉鎖不全に合併した不整脈源性右室心筋症の 1 例 時政 聡、関根 泰、藤巻 晴香、葛 備、濱 義之、田中 秀造、外池 範正、芳生 旭志、松戸 裕治、 山本 雅史、氷見 寿治 君津中央病院 循環器科 症例は 55 歳の女性。2005 年に意識消失発作で当院受診。心拍数 200 回 / 分 の Wide QRS tachycardia を確認、直流通電で洞調律復帰。電気生理検査に て心室頻拍は誘発されず、変行伝導を伴う非通常型心房粗動の診断でアブ レーション治療を受け、イベントなく経過していた。2013 年、引っ越し作 業中に倒れ、心肺停止で AED による計 4 回の直流通電を施行、病着時は PEA、X 線写真では重度の肺水腫であった。PCPS 挿入し冠動脈造影を行う も狭窄なし。集学的治療を行い、PCPS を離脱した。自己心拍再開後の心エコー 図で重症僧帽弁閉鎖不全症、左室拡大、右室拡大はないが心尖の壁菲薄化を 認めた。心肺停止後であり、僧帽弁置換術 (SJM31 mm ) を行った。両心室 の心筋生検を行い、右室壁菲薄化部位から脂肪変性所見を認め、不整脈源性 右室心筋症の診断となり ICD 植え込み術を追加した。退院前の心エコーでは、 左室径が正常範囲内となり、右室の拡大が認められた。僧帽弁閉鎖不全症の 合併により形態的に診断に苦慮した不整脈源性右室心筋症の症例を報告す る。 一般ポスター P11-2 外傷性三尖弁閉鎖不全症の原因検索に 3 次元経胸壁心エコー法が有用であった一例 藤井 彩乃 1、和田 靖明 1、有吉 享 1、奥田 真一 2、内田 耕資 2、村上 和華子 2、西川 寛子 1、 平山 香莉 1、田中 伸明 3、矢野 雅文 2 1 山口大学医学部附属病院 超音波センター、2 山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学、 山口大学大学院医学系研究科 病態検査学 3 2 年前に C 型肝炎、肝硬変 (Child B : 9 点 ) と診断された 62 歳男性が、建築 作業中に 4m の高さから転落し近医総合病院へ救急搬送された。経胸壁心エ コー検査にて重度三尖弁閉鎖不全を認め、精査加療目的のため当院へ救急搬 送となった。当院来院時の 2 次元経胸壁心エコー (2DTTE) 所見では、三尖 弁前尖弁腹に大きな acceleration flow を伴う三尖弁逆流がみられ、右室拡大 ( 右室拡張末期径 36mm) に伴う三尖弁 tethering の増強による三尖弁逆流も 三尖弁口中央部からみられた。また、下大静脈の呼吸性変動は減弱し、肝静 脈血流速波形では収縮期逆転波がみられた。食道静脈瘤の合併により経食道 心エコー図検査は施行困難であったため、3 次元経胸壁心エコー法 (3DTTE) を用いて三尖弁の精査を引き続き行った。三尖弁前尖の弁腹穿孔に関する詳 細な検討が 2DTTE では困難であったが、3DTTE により鮮明に描出できた ( 下図 )。外傷性三尖弁閉鎖不全症は稀であり、その原因精査に 3DTTE が有 用であった症例を経験したので報告する。 228 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P11-3 AS の重症度診断に苦慮した low flow low gradient severe AS with preserved ejection fraction の一例 石丸 剛 1、谷中 妙子 1、藤波 竜也 1、伊藤 祐輔 1、岡田 寛之 1、稲垣 裕 1、土信田 信夫 1、中原 秀樹 2、 田村 清 2、高元 俊彦 1 1 草加市立病院 循環器内科、2 草加市立病院 心臓血管外科 70 歳台男性。高血圧、慢性心房細動、大動脈弁狭窄症(中等症)、大動脈弁閉鎖不全(軽症)を外来フォロー中であった。うっ血 性心不全を生じたため入院加療を行ったが、軽度の肺うっ血が残った。改善後の心エコーでは、左室拡張末期径 43mm とやや小さ い左室で、EF63% と左室収縮能は保たれるものの、大動脈弁狭窄症(LV-Ao 平均圧較差 21mmHg、連続の式での AVA0.65cm2)、 大動脈弁閉鎖不全中等症、肺高血圧を認めた。また ZVa 5.42mmHg/ml/mm2 と高値であった。心臓カテーテル検査では、平均 LV-Ao 圧較差 18mmHg、AVA 0.59cm2 であった。SI 19.6ml/m2 と低流量であった。なお肺動脈楔入圧は高い状態で、肺高血圧を認 めた。心エコー・心臓カテーテル検査の結果からは、low flow low gradient severe AS with preserved ejection fraction として妥当 であった。しかし大動脈弁閉鎖不全(中等症)のため、大動脈弁での通過血流が増し、大動脈弁狭窄症の程度がより重く評価され ている可能性が憂慮された。機材がなかったため、大動脈弁の Agatston score は計測できなかった。planimetry 法でも弁口面積は 小さく、左心不全が残存する大動脈弁狭窄主体の大動脈弁狭窄・閉鎖不全症のため、大動脈弁置換術・肺動脈弁形成術を行った。 手術では大動脈弁の硬化が強く、重症の大動脈弁狭窄症として矛盾しないものであった。本症例のように大動脈弁閉鎖不全が存在 する場合、大動脈弁狭窄症の重症度診断は困難になると思われた。結局、弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012 年改 訂版)に従い心不全を呈した大動脈弁狭窄症は手術を積極的に考慮するべきと考えた。 P11-4 特異な形態を示した僧帽弁副組織の 1 例 森 三佳 1、野村 章洋 1、藤井 怜 3、藤井 優佳 3、吉牟田 剛 1、川尻 剛照 1、坪川 恒久 3、渡邊 剛 2、 山本 健 3、山岸 正和 1 1 金沢大学 循環器内科、2 金沢大学 心臓血管外科、3 金沢大学附属病院 麻酔科 【症例】43 歳、男性。胸痛や息切れなどの自覚症状はなく、心雑音を契機に経胸壁心エコーで左室内異常構造物を指摘され、手術加 療目的に当院紹介となった。【術前検査所見】2D 経胸壁心エコーおよび 2D 経食道心エコーにて、僧帽弁前尖直下の左室内に球状の 膜様構造物が 2 つ (lateral 側および medial 側 ) 認められた。同膜様構造物はそれぞれ前乳頭筋および後乳頭筋に近接する偽腱索に連 続しており、3D 経胸壁心エコーでは、異常構造物および僧帽弁複合体の全体が可視化されたた。また、特に lateral 側は嚢胞様で、 medial 側は膜様構造物と僧帽弁前尖との境界を特定することが困難であった。更に、異常構造物は嚢胞様で収縮期に左室流出路へ 移動し、流出路狭窄が疑われたため、心臓血管外科にて異常構造物の切除および僧帽弁形成術を施行された。【結語】3D 心エコー による観察が僧帽弁複合体および異常構造物の形態観察、立体構造の把握に有用であった。手術所見および病理所見、文献的考察 を含め報告する。 一般ポスター P11-5 3D スペックルトラッキング法を用いた大動脈弁狭窄症患者における Post-Systolic Shortening の検討 山口 一人 1、吉冨 裕之 1、安達 和子 2、新田 江里 1、三島 清司 1、渡邊 伸英 2、伊藤 新平 2、 岡田 大司 2、中村 琢 2、菅森 峰 2、高橋 伸幸 2、遠藤 昭博 2、田邊 一明 2 1 島根大学医学部附属病院 検査部、2 島根大学医学部 循環器内科 【背景】Post-systolic shortening(PSS)は大動脈弁閉鎖後にみられる収縮と定義され、虚血心筋に認められる。大動脈弁狭窄症(AS) においてスペックルトラッキング(ST) 法による global longitudinal strain(GLS)等を評価しその有用性が示されているが、PSS についての検討は行われていない。今回、3D-ST 法を用いて AS 患者の PSS を検討した。【方法】有意な冠動脈病変を認めない重症 AS 患者 13 例(年齢 79 ± 6 歳、大動脈弁弁口面積(AVA)0.60 ± 0.15 cm2、左室駆出率(LVEF)66 ± 9%)を対象とし、自覚症 状により NYHA Ⅰ~Ⅱ(A 群)と NYHA Ⅲ~Ⅳ(B 群)の 2 群に分けた。エコー装置は東芝社製 Artida を使用した。3D-ST 法に より GLS と左室 16 分画の各分画において longitudinal strain(LG) から最大 strain 値、大動脈弁閉鎖時の strain 値を計測した。PSS の指標として post-systolic index(PSI)を解析した。心エコー図指標及び PSI を 2 群間で比較検討した。【結果】A 群は 5 例、B 群 は 8 例 で あ っ た。2 群 間 の AVA(0.55 ± 0.15 vs 0.67 ± 0.15 cm2; p=0.14) 、 平 均 圧 較 差(63 ± 20 vs 61 ± 19mmHg; p=0.83) 、 、GLS(-9.4 ± 1.2 vs -10.1 ± 1.6%; p=0.46)に有意差は認めなかった。全 208 分画中 LG の計 LVEF(65 ± 11 vs 68 ± 5%; p=0.68) 測が可能であった分画は 174 分画(84%)であった。PSS を認めた分画数は、A 群は 19/65 分画(29%)、B 群では 40/109 分画(37%) であり、有意差は認めなかった。B 群において PSI は、A 群よりも有意に高値を示した(0.14 ± 0.16 vs 0.07 ± 0.06, p=0.039)。【結語】 LVEF の保たれた重症 AS において心不全症状の重症な群で PSI 値はより高値を示し、局所の収縮に不均等が認められた。 229 第25回日本心エコー図学会学術集会 P11-6 大動脈弁狭窄に肺動脈性肺高血圧症を併発し、失神を繰り返した透析患者の一例 高井 学 1、佐藤 如雄 1、南 圭祐 1、林 明生 1、高橋 英二 1、山内 正博 1、大宮 一人 1、明石 嘉浩 2 1 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 循環器内科、2 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 【症例】71 歳、男性【経過】平成 24 年 10 月、腎硬化症による末期腎不全で 透析導入。平成 25 年 6 月より透析時を中心に血圧低下、失神発作を繰り返し、 精査加療目的で当院紹介。心エコー所見では弁口面積 1.4cm2、平均圧較差 11mmHg の中等度大動脈弁狭窄および肺動脈収縮期圧 56mmHg と肺高血圧 所見を認めた。また、左心系は内腔がやや狭小化傾向にあった。補液、ドブ タミンの持続投与にて血行動態の安定が得られた。右心カテーテル検査では 平均肺動脈圧 38mmHg、肺動脈楔入圧 11 mmHg、心係数 1.87 L/min/ m2 と Forrester 3群であった。各種精査にて肺動脈性肺高血圧症と診断、ボセ ンタンを開始したところ、速やかにドブタミンからの離脱が可能となった。 ボセンタン開始後、右心カテーテル検査では平均肺動脈圧 26mmHg、心係 数 2.9L/min/ m2 と改善し、大動脈弁狭窄症は弁口面積 1.4cm2、平均圧較差 27mmHg と圧較差のみ増大した。【結語】大動脈弁狭窄症に肺動脈性肺高血 圧症を合併し診断に苦慮した一例を経験した。 P11-7 東日本大地震における継続的な深部静脈血栓症(DVT)検診活動状況について 大場 教子 1、追分 久憲 2、植田 信索 3、柴田 宗一 4、遠藤 薫 5、齋藤 佐 6、山村 修 7 1 珠洲市総合病院 検査室、2 珠洲市総合病院 内科、3 石巻赤十字病院 呼吸器外科、4 宮城県立循環器呼吸器病センター 循環器科、 仙台市立病院 神経内科、6 国立病院機構宮城病院 リハビリテーション科、7 福井大学医学部 地域医療推進講座 5 【はじめに】我々は 2011 年の東日本大地震発生後、下肢静脈エコーによる深部静脈血栓症 ( 以下 DVT) 検診を中心とした医療ボラン ティア活動を行い、現在まで継続している。医療活動は、2012 年 9 月に宮城県、2013 年 4 月に岩手県、9 月に宮城県、11 月に福島 県などの地域にて実施しており、今回、その活動状況と、宮城県亘理郡における検診結果について報告する。【対象】亘理郡の山元 町 3 ヶ所および亘理郡 5 ヶ所の仮設住宅で検診を希望した被災者で、2012 年 9 月 15 ~ 16 日 ( 期間 A) に 356 例、2013 年 9 月 14 ~ 15 日 ( 期間 B) に 230 例を対象とした。【方法】1) 検診チーム:活動毎に多施設より医師、看護師、臨床検査技師、その他の職種に よる。2) 問診および検査:問診を行い、血圧、SPO2 測定、下肢のほかに心臓や腹部エコー(携帯型超音波診断装置使用)および血 液検査 (D ダイマー、proBNP) を実施した。【結果】1)DVT 陽性率:期間 A で 4.2%( 最も高率な地域 11.8%)、期間 B で 5.7%( 最も高 率な地域 15.2%)。2)心エコー所見陽性率:期間 A で 32.9%、期間 B で 62.5%( 各々弁膜症 25.4%、43.2%)。3) 腹部エコー所見陽性率: 期間 A で 65.9%、期間 B で 74.2%( 各々脂肪肝 27.0%、26.5%。腫瘍 4.1%、6.6%)。4)D ダイマー値 ( 高値 / 総数例 ):期間 A で 14/93、 期間 B で 3/57。5)proBNP( 高値 / 総数例 ):期間 A で 26/59、期間 B で 18/37。【考察・結語】DVT 陽性率は 0.0% ~ 15.2% と地域 によって差が認められる。避難所環境や個人の DVT 予防における意識の違いなど改善が求められる。また弁膜症、脂肪肝、腹部腫 瘍が検出され、心臓および腹部エコー検診の有用性が示され有意義な活動であった。今後も検診活動による支援の継続を願いたい と考える。 一般ポスター P11-8 胸部外傷後の左室心筋解離が疑われた一例 平川 大悟 1、高橋 重信 2、藤田 逸美 1、吉川 智絵 1、安岡 由夏 1、和田 美智子 1、土居 忠文 1、 小倉 克巳 1、馬場 裕一 2、永井 英里 2、久保 亨 2、山崎 直仁 2、松村 敬久 2、北岡 裕章 2、杉浦 哲朗 1 1 高知大学医学部附属病院 検査部、2 高知大学医学部附属病院 老年病科・循環器内科 症例は 22 歳男性、主訴は労作時息切れ。生育歴に特記事項なし。17 歳時にバイク運転中に車と正面衝突し、胸腹部の鈍的外傷にて 救急搬送となり、両側肺挫傷、左気胸、消化管穿孔、肝損傷、汎発性腹膜炎で緊急開腹手術を施行された。術後約 1 ヶ月で退院し、 以後は術前とほぼ同様の生活ができていた。20 歳時の検診にて心雑音を指摘され、階段昇降などで息切れを自覚するようになった。 22 歳時に近医受診し、経胸壁心エコー図にて高度僧帽弁逆流を認め、当院紹介となった。経胸壁心エコー図では LVDd/Ds 63/37mm、Ao/LA 24/52mm、LVEF 68%、左室・左房の拡大を認めた。前乳頭筋は輝度が高く萎縮しており、前乳頭筋側の左室 心筋が解離したように観察された。明らかな腱索断裂はなく、前乳頭筋に繋がる弁下組織は保持されており、心筋が解離したため に腱索が余剰となり僧帽弁閉鎖時の位置が左房側に寄り、両尖ともに弁腹からの逸脱を認め、高度の僧帽弁逆流を生じたものと思 われた。明らかな先天性心疾患はなく、事故後も 20 歳時の検診までに心不全症状もなかったことから、おそらく事故の際に僅かに 心筋が解離し、経年的に解離の部位が拡がったと考えられた。胸部外傷に伴う左室解離は非常に稀であり症例報告も少ない。今回、 我々は胸部外傷に伴う左室解離を経験したので、心エコー図所見と若干の文献的考察を加え報告する。 230 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P12-1 心房細動例の塞栓症低-中等度血栓塞栓症リスク例における経食道心エコー図所見の経時的変化につ いて 稲尾 杏子 1、平井 忠和 1、中川 圭子 1、沼 哲之 1、大原 一将 2、福田 信之 2、能澤 孝 1、井上 博 1 1 富山大学附属病院 第二内科、2 済生会富山病院 目的:非弁膜症性心房細動(NVAF)例において、臨床背景因子から低―中等度の血栓塞栓症リスクに分類された例の塞栓症リス クの経時的変化については不明な点が多い。経食道心エコー図(TEE)所見による左房内血流うっ滞は、塞栓症発症のリスク評価 に有用であり、今回低―中等度リスクの NVAF 例における経食道心エコー図所見の経時的変化を検討した。対象と方法:臨床背景 因子によるリスク評価スコアである CHADS2 スコア(心不全1点、高血圧1点、75 歳以上1点、糖尿病 1 点、脳卒中または TIA の既往2点)で塞栓症の低リスク~中等度リスクに分類される 0 または 1 点の症例 35 例(平均年齢 61 歳)を対象に、TEE を 2 回 施行し左房内血流うっ滞(左心耳血流速度 20cm/sec 以下または高度もやもやエコー)の有無を検討した。結果:初回 TEE 施行時 の平均 CHADS2 スコアは 0.6 ± 0.1 であったが、平均観察期間 2.0 ± 0.5 年間で、35 例中 8 例(23%)にあらたに左房内血流うっ滞 所見を認めた。左房内血流うっ滞所見を認めた群と認めなかった群で、初回の TEE 所見には差を認めなかった(左心耳血流速度: 45 ± 6 cm/sec vs. 38 ± 7 cm/sec, 左房内もやもやエコー:1.6 ± 0.3 grade vs. 1.2 ± 0.3 grade) 。慢性心房細動では左房内血流うっ 滞を認める頻度が多かった (p < 0.05)。結論:NVAF 症例の臨床背景因子による塞栓症リスク層別化で、低-中等度リスクと評価さ れた症例の中に、塞栓症リスクが高くなる症例が存在するため、適切な抗血栓療法の選択には経時的な塞栓症リスク評価が重要と 思われた。 P12-2 Af に起因する左房拡大による僧帽弁閉鎖不全症例の特徴と弁輪縫縮術の短期成績 高橋 洋介 1、柴田 利彦 1、加藤 泰之 1、元木 学 1、森崎 晃正 1、西村 慎亮 1、伊東 風童 2、成子 隆彦 2、 阿部 幸雄 2 1 大阪市立総合医療センター 心臓血管外科、2 大阪市立総合医療センター 循環器内科 【背景】Af において , 僧帽弁閉鎖不全症 (MR) の発生機序として左房拡大による左房 remodeling であることが報告されている .【対 象と方法】2008 年 10 月~ 2013 年 8 月に僧帽弁形成術を施行した 280 例のうち , Af に伴う左房拡大を機序とする MR 症例 24 例を 対象とした . 平均年齢 72 歳 (60-79 歳 ). 術前の左房 remodeling の指標として , LA volume index (LAVI), 前尖 , 後尖の coaptaion angle 及び tethtering angle を測定した . 全 24 例に弁輪縫縮術 (MAP) を施行 . 長期 Af のため , Maze 手術は施行しなかった . MR moderate が 10 名 , severe が 14 名 . 全例に心不全歴が存在した .【結果】術前の TEE にて , 前尖 , 後尖の coaptation angle はそれぞ れ平均 9°, 23° であった。前尖 , 後尖の tethering angle はそれぞれ平均 21°, 49°であり後尖の tethering を認めた。後尖長 (P2) は平 均 8.9 mm と小さかった . LA volume index は 術前平均 115 ml/m2 と比べ , 術直後 (88ml/m2), 術後短期 (78ml/m2) に有意に縮小した . Dd は術前平均 54mm と比べ , 術直後 (50mm), 術後短期 (51mm) と変化を認めなかった . 術直後 , 術後短期の僧帽弁平均圧較差は , 4.0mmHg 前後で functional MS は認めなかった . 術後短期において , 全例 mild MR 以下で経過している . 使用した人工弁輪径は平均 28mm であった .【考察】手術が必要であった Af, 左房拡大症例の特徴として , 小さな後尖 , 後尖の tethering を認めた . また , このよ うな症例に対する MAP の成績は良好であった . 一般ポスター P12-3 心房細動に対する肺静脈隔離術後の左房リバースリモデリング評価:3D 心エコーを用いた検討 藤本 香織 1、井上 勝次 1、藤井 昭 1、永井 啓行 1、西村 和久 1、河野 珠美 1、飯尾 千春子 1、鈴木 純 1、 大木元 明義 1、西山 光 2、城戸 輝仁 3、望月 輝一 3、大藏 隆文 1、檜垣 實男 1 1 愛媛大学大学院 循環器呼吸器腎高血圧内科学、2 愛媛大学医学部附属病院 放射線部、3 愛媛大学大学院 放射線医学 【目的】左室駆出分画が 50% 以上の薬剤抵抗性 AF 症例において、(1) PVI 施 行時に 2D・3D エコー、造影 CT から算出した左房容量係数(LAVI)を比 較検討した(連続 36 症例 : 平均年齢 63 歳)。(2) PVI から 24 時間以内と 6 ヶ 月後における左房リバースリモデリングを評価した(連続 42 症例 : 平均年 齢 62 歳)。【方法】エコーによる LAVI 測定は area-length 法で行った(図左)。 造 影 CT 検 査 は area-length 法(LAVIAL) と voxel data を 用 い た 正 確 な LAVIvox を算出した。左房機能は 2D ストレイン法による左房リザーバー機 能を評価した。 【成績】(1) エコーは CT に比し LAVI 値を過小評価した(図右)。 3D エコーは 2D エコーに比し CT による LAVIvox とより良く相関した(r=0.82, P < 0.01 vs. r=0.77, P < 0.01)。(2) PVI か ら 6 ヶ 月 後 に 3D エ コ ー に よ る LAVI は縮小(45ml/m2 vs. 33ml/m2, P < 0.01)し、左房リザーバー機能(23% vs. 34%, P < 0.01)は改善し、さらに両者の変化率は相関した(r=0.52, P < 0.01)。【結論】3D 心エコーは PVI 治療における左房リバースリモデリング 評価に有用と考えられた。 231 第25回日本心エコー図学会学術集会 P12-4 発作性心房細動の有病を心エコー図法で指摘できるか ―心機能良好で E/A 高値の高齢者は高率に 発作性心房細動を認める― 秋山 真樹 1、鼠尾 晋太郎 1、井口 朋和 1、西村 哲 2、堀尾 武史 1 1 川崎医科大学 総合内科学 3、2 大阪市立大学大学院医学研究科 循環器内科学 【背景】心エコー図法で、発作性心房細動を指摘できれば、臨床的意義は大きい。ルーチン検査として広く施行される E/A(左室流 入血流拡張早期波と心房収縮波の速度比)は、心房細動の発作停止後に一過性に高値になることが知られている。高齢者の年齢不 相応な E/A 高値は発作性心房細動の有病を示唆する可能性がある。 【目的】心エコー図法で、心機能が良好にもかかわらず E/A 高値を示す高齢者の発作性心房細動有病率を検討する。 【方法】当院で 2011 年 1 月から 2012 年 12 月までの 2 年間に心エコー図法を施行した連続 1934 例のうち、60 歳以上で E/A1.2 以上 の患者を対象とした。EF50%未満、TRPG35mmHg 以上、期間中 2 回以上心エコー図を施行した例の 2 回目以降は除外した。これ までに心房細動が確認されているものを心房細動ありとした。心房細動の既往がない例については、E/A 高値となりうる病態(関 胸術の既往、重症僧房弁逆流等)の有無を検索した。いずれも認めない場合には、可能な限りイベントレコーダー(14 日間)を施 行し、心房細動を検索した。 【結果】60 歳以上で E/A1.2 以上の例は 129 例で、除外例を除く 69 例を検討した。うち 21 例(30.4%)に発作性心房細動を認めた(心 房細動の既往 19 例、イベントレコーダーで診断 2 例)。その他の E/A 高値となりうる病態は、開胸術の既往 13 例、腎機能障害 6 例、 高度僧房弁閉鎖不全症 3 例、検査時心房粗動 2 例、房室解離、極度の洞徐脈、洞停止、収縮性心膜炎、甲状腺中毒症、貧血をそれ ぞれ 1 例認めた(重複あり)。 【結語】心機能良好で E/A 高値の高齢者で高率に発作性心房細動を認めた。高齢者で説明のつかない E/A 高値を認めた場合、発作 性心房細動の有病を念頭に置くべきである。 P12-5 経胸壁心エコーと造影 CT における左房容積計測の比較検討 松谷 勇人 1、橋和田 須美代 1、桑野 和代 1、日裏 淑恵 1、阿部 梨栄 1、泉 千里 2、三宅 誠 2、 天野 雅史 2、高橋 佑典 2 1 天理よろづ相談所病院 臨床検査部、2 天理よろづ相談所病院 循環器内科 【目的】左房は経胸壁心エコー検査(以下 UCG)ではプローブから最も遠くに位置し,左室と比較して複雑な形態を呈するため,正 確な容量計測が難しいとされている.今回,UCG で計測している左房容積の精度を確認し,計測における問題点を検索すべく,造 影 CT 検査(以下 CT)との比較検討を行った. 【方法】対象は 2011 年 4 月から 2013 年 3 月までに AF および PAF のアブレーション目的で UCG と CT が 1 ヶ月以内に依頼され, 左房容積計測が可能であった 52 例(男性 42 名,女性 10 名,平均年齢 62.0 歳).計測断面の設定は,UCG は 4 腔像,2 腔像ともに 左房が最も大きくなる時相を記録し,CT は R-R 間隔の 60% のタイミングで記録された 3D ボリュームデータから 4 腔像,2 腔像を 切り出した.計測方法はどちらも Area Length 法を用いた. 【結果】UCG vs. CT(77.80 ± 22.35ml vs. 99.14 ± 26.47ml,r = 0.66,P < 0.05)と UCG が有意に低値であった.また,UCG の実 測値と UCG / CT 比をプロットすると UCG で計測した左房容積が小さいほど CT と乖離する傾向を認めた.次に,52 例のエコー 画像を確認し,描出レベルを 3 段階(good:fair:poor = 17:21:14)に分類し UCG / CT 比を比較すると,good 群と fair 群に は有意差は無く(P = 0.37),good 群と poor 群,fair 群と poor 群にはそれぞれ有意差と認め,poor 群がより低値となった(P < 0.05). 【結語】UCG で計測した左房容積は CT と比較し過小評価しており,特に拡大していない正常な大きさの左房や,描出不良の症例が より低値を示す傾向を認めた. 一般ポスター P12-6 発作性心房細動症例における洞調律時の左房ストレインと心原性脳塞栓の関係 山浦 玄斎 1、西山 悟史 1、渡邉 哲 1、佐々木 真太郎 1、和根崎 真大 1、田村 晴俊 2、久保田 功 1 1 山形大学 医学部附属病院 循環器内科、2 榊原記念病院 循環器内科 【背景】心原性脳塞栓は重篤化し易く、心房細動患者における易血栓症の評価は重要である。経食道心エコーは左心耳機能低下や左 心耳内血栓の評価に有用だが、侵襲的である。以前に我々は、経胸壁心エコーの二次元スペックルトラッキング法を用いて左房ス トレインが、左心耳機能評価に有用なことを報告した。今回我々は、発作性心房細動症例において、洞調律時の左房ストレインと 心原性脳塞栓及び左心耳内血栓の関係を検討した。【方法】対象は経胸壁及び経食道心エコーを実施した発作性心房細動症例の内、 検査時に洞調律を維持していた 61 症例である。心原性脳塞栓既往または左心耳内血栓を有する症例は 12 例で、thrombus 群とした。 左 房 ス ト レ イ ン の 評 価 に、 左 房 壁 中 隔 の 長 軸 方 向 の 左 房 収 縮 期 最 大 ス ト レ イ ン (LA-s) を 用 い た。【 結 果 】thrombus 群 は nonthrombus 群に比し、高齢で高血圧の割合が高く、推算糸球体濾過量が高値であった。thrombus 群は nonthrombus 群に比し、 左房径・左房容積係数・左房拡張末期容積が大きく、E/e’ が高値で、左心耳血流速度が遅く、LA-s が有意に低値であった (37.5 ± 14.4 vs. 20.8 ± 11.4%, P < 0.01)。ロジスティック回帰分析では、LA-s は独立した脳梗塞もしくは左心耳内血栓の予測因子であった。 【結論】左房収縮期最大ストレインは、発作性心房細動症例の洞調律時にも、脳梗塞及び左心耳内血栓と関係しており、心原性脳塞 栓発症の診断及び予測に有用な可能性が示唆された。 232 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P12-7 頻拍性心不全患者に対する肺静脈隔離術により心機能が改善した一例 桑木 恒、氏野 経士、竹田 光男、尾崎 健、尾田 知之 富永病院 循環器内科 症例は 48 歳男性。数年前から検診で心房細動を指摘されていたが放置していた。労作時呼吸困難を主訴に 2013 年 9 月に当院へ救 急搬送され頻拍性心房細動に伴う心不全の診断にて入院となる。慢性腎臓病もあり腎動脈エコーにて両側腎動脈狭窄が疑われたた め腎動脈造影検査を施行したところ両側腎動脈狭窄を認めた。冠動脈に有意狭窄はなく、心不全が落ち着いた後、経皮的両側腎動 脈形成術を施行したところ腎機能の改善を認めた。次に慢性心房細動に対して肺静脈隔離術を施行したところ洞調律に復帰し、左 室収縮能は著明に改善した。治療に伴い心機能が改善していく様子を経時的に心エコー図検査にて評価しえたため報告する。 P13-1 収縮中期に逆流波を認めた左室中部閉塞性肥大型心筋症の一例 三角 郁夫 1、六反田 拓 1、伊藤 美和 1、楠原 健一 1、赤星 隆一郎 1、坂井 綾子 2、三城 真由美 2、 高倉 彩 2 1 熊本再春荘病院 循環器科、2 熊本再春荘病院 生理検査室 【はじめに】左室中部閉塞性肥大型心筋症においては、心尖部から心基部に向かう収縮期血流と拡張早期の奇異性血流を認めること がある。更に、今回収縮中期に心基部から心尖部方向への血流を認めた症例を経験した。【症例】80 才男性、動悸を主訴に来院。12 誘導心電図は心房細動リズムで完全右脚ブロック、右軸偏位、陰性 T 波を認めた。胸部×線写真では CTR 58% であった。経胸壁 心エコーでは左室肥大を認め ( 心室中隔厚 14 mm、左室後壁厚 9 mm)、左室中部閉塞と心尖部心室瘤を認めた。左室閉塞部でのパ ルスドプラエコーでは、収縮中期の閉塞と、奇異性血流を認めた。更にこれら2つの血流の間に心基部から心尖部への血流を間欠 的に認めた。後日、心機能と虚血性心疾患の評価目的に心臓カテーテル検査を行った。圧記録では、パルスドプラエコー同様に収 縮中期に心基部の圧が心尖部を上回った。冠動脈に器質的狭窄はなかった。本症例は内服薬治療後退院となった。【考察】本症例で は収縮期の心尖部から心基部にむかう血流と奇異性血流の間に心基部から心尖部に向かう逆行性の血流を認めた。その機序は不明 であるが、心房細動、右脚ブロックなどが影響している可能性が考えられる。また、この圧格差や血流により心尖部心室瘤が更に 拡大し破裂の危険が出てくる可能性も考えられる。【結語】今回我々は心基部から心尖部にむかう収縮期血流を認めた左室中部閉塞 性肥大型心筋症を認め、心臓カテーテル検査で心基部の圧が心尖部を上回っているのを確認した。その臨床的意義は今後の検討が 必要と考えられる。 一般ポスター P13-2 経胸壁心エコー左室 2 次元 Global Strain を用いた心筋線維化群の検出、320 列 CT にて冠動脈狭 窄を持たない肥大型心筋症における検討 小澤 公哉、船橋 伸禎、高岡 浩之、小林 欣夫 千葉大学大学院 医学研究院 循環器内科学 目的:経胸壁心エコー(TTE)2 次元(2D)左室 global longitudinal (GLS)、 circumferential strain(GCS)を用いて、320 列 CT にて冠動脈狭窄を持た ない肥大型心筋症(HCM)における心筋線維化病変をもつ群を鑑別する。 方法:320 列 CT と TTE(iE-33) を 13 か月以内に施行、CT にて冠動脈狭窄 を認めなかった HCM 41 症例(男性 27 名,60 ± 13 歳)の左室心筋線維化(CT) を検出、2D 左室 GLS、GCS(TTE)を計測し、観察期間 30 か月(中央値) で主要心有害事象(MACE)を観察した。結果:心筋線維化は 21 例 (51%)、 MACE は 7 例(17%)で観察された。Kaplan Meier 解析では心筋線維化群 は非線維化群より有意に予後不良であった(P=0.007)。ROC 曲線で、GLS、 GCS を用いた心筋線維化をもつ症例の鑑別は Best Cut Off 値が -9.65% (GLS) , -36.65% (GCS) で感度、特異度、Area Under the Curve は 76.2%、85%、0.860 (GLS)、95.2%、35%、0.551 (GCS) であった。結語:CT で冠動脈狭窄を持た ない HCM 群で、心筋線維化をもつ症例は予後不良であり、TTE2D 左室 GLS、GCS で(GLS > GCS)心筋線維化をもつ症例を高精度に鑑別できた。 233 第25回日本心エコー図学会学術集会 P13-3 7 年の経過で顕性化した心尖部肥大型心筋症の 1 例 黒木 恵美 1、津守 容子 2、渡邉 望 4、清 真由美 1、福田 智子 3、渡邊 玲子 2、平山 直輝 2、松尾 剛志 2 1 宮崎江南病院 検査部、2 宮崎江南病院 内科、3 宮崎大学医学部附属病院 第一内科、4 県立宮崎病院 循環器内科 【症例】63 歳、女性。2006 年健診で心電図 V3-6 の平坦 T 波を指摘され当院内科を受診、心エコー図検査を施行された。特異的な所 見は認めず経過観察となり、その後受診が途絶えていた。2010 年動悸と冷汗を主訴に再び当院受診、発作性上室性頻拍(HR:145/ min)と診断されワソランが投与された。洞調律(HR70/min)に復帰した後心エコー図が施行したところ、心尖部を中心とした左 室肥大を認めた。2013 年再び動悸と冷汗が出現したため受診。来院時には症状は消失し洞調律であったが、心電図にて V3-6 で陰性 T 波、I,II,III,aVF,V3-6 で ST-T の低下を認め、以前の心電図と比較して胸部誘導の変化が明らかに強くなっていた。心エコー図検 査では心尖部に強い左室肥大が 3 年前よりも顕著になっており、左室内腔は心尖部肥大型心筋症に特徴的なスペード型を呈していた。 【考察】心尖部肥大型心筋症は、無症状か僅かな症状を示すだけのことが多く、心雑音や心電図異常をきっかけに診断される事が多 いとされる。今回、7 年前の健診で心電図異常を指摘され、経過中に心電図変化に伴い心尖部肥大型心筋症が顕性化した症例を経験 したので報告する。 P13-4 重症の僧帽弁逆流が生じていたが、左室流出路の圧較差軽減に伴い逆流の改善が得られた閉塞性肥大 型心筋症の一例 八木 麻里子、桶家 一恭、木山 優、太田 宗徳 厚生連高岡病院 循環器科 症例は、74 歳男性。1995 年の健診で高血圧、心電図上左室肥大所見が確認され、降圧薬内服加療が開始されていた。2002 年労作時 の胸痛があり、負荷心電図検査陽性であったため、当院にて心臓カテーテル検査を施行。冠動脈に異常はなく、高血圧性心疾患と してβ遮断薬を導入した。その後自覚症状は消失し近医に通院していたが、β遮断薬は中断されていた。2012 年末より労作時の息 切れが出現し、近利尿剤が追加されるようになった。しかし自覚症状の改善は得られず、2013 年 5 月に当院紹介受診。心エコー図 検査にて僧帽弁の SAM と後尖の逸脱を伴う僧帽弁逆流 (MR)3 度、左室流出路の圧較差 (LVOT-PG)119mmHg を確認した。そこで 心臓カテーテル検査を行い、LVOT-PG105mmHg を確認、β遮断薬再導入とシベンゾリンの内服を開始した。結果、LVOT-PG は 10mmHg と著明に改善し、SAM も消失。僧帽弁後尖の逸脱は残存したが MR は 2 度まで改善し自覚症状もほぼ消失した。閉塞性 肥大型心筋症 (HOCM) に MR が合併することはしばしば認められるが、今回の症例では、LVOT-PG 軽減に伴い SAM の消失、MR の改善が得られた。背景として僧帽弁後尖の逸脱を持つ患者で、HOCM の進行により左室内圧の上昇と、いわゆる Benturi 効果か らの SAM を生じることによる僧帽弁接合不良合併が、MR の増悪を来していたと考えられた。また、SAM を改善することにより MR が改善される可能性もあり、これらの評価に心エコー図検査による詳細な観察は有効と考えられた。 一般ポスター P13-5 S 字状中隔による左室流出路狭窄がアテノロールとコハク酸シベンゾリン内服で著明に改善した 1 例 反町 秀美 1、黒沢 幸嗣 2、佐々木 孝志 1、飯塚 貴士 1、今井 美智子 1、小暮 真也 1、庭前 野菊 1、 丹下 正一 1、倉林 正彦 2 1 前橋赤十字病院 心臓血管内科、2 群馬大学医学部附属病院 循環器内科 症例は 67 歳女性、3 年前の胸腺腫切除術後にたこつぼ型心筋症を発症し、このとき経胸壁心エコー図検査 (TTE) で S 字状中隔を 指摘された。左室流出路血流速度は 2.6m/sec と軽度上昇していたが自覚症状はなく経過観察としていた。今回労作時の呼吸困難が 出現し精査目的に受診した。血圧 197/98mmHg、胸骨左縁第 4 肋間を最強点とする Levine3 度の収縮期駆出性雑音を聴取した。 TTE では前回同様 S 字状中隔を認めたが、これによる左室流出路血流速度は 5.7 m/sec と著明に上昇し、強い僧帽弁収縮期前方運 動 (SAM) を認めた。非対称性中隔肥厚 (ASH) は認めなかった。心臓カテーテル検査にて左室 - 大動脈の同時圧測定を施行したところ、 安静時には左室 - 大動脈圧較差は認めなかったが、イソプロテレノール負荷、心室性期外収縮 (PVC) 刺激、バルサルバ負荷で有意な 圧較差を生じ、PVC300msec では最大の 157mmHg の圧較差を認め、胸部不快感が出現した。心筋生検では肥大型心筋症の所見は 認めなかった。アテノロール 50mg/ 日とコハク酸シベンゾリン 200mg/ 日の内服を開始した。その後徐々に労作時呼吸困難は改善、 消失した。治療開始後 17 日目には収縮期駆出性雑音はほぼ聴取されず、TTE で左室流出路のモザイク血流は認めるものの、SAM は消失しており流出路血流速度は 1.8m/sec へ低下していた。BNP は 198 → 98pg/ml へ低下した。本症例では S 字状中隔による左 室流出路狭窄が TTE で確認され、心臓カテーテル検査で流出路の圧較差が再現可能であり、胸部症状との関連が証明された。閉塞 性肥大型心筋症と同様の病態を呈した S 字状中隔に対し、アテノロールとシベンゾリン内服が効果的であった 1 例を TTE で経過を 追えたので報告する。 234 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P13-6 左室補助人工心臓手術後の合併症や患者の病態把握に心エコーが有用であった症例 加藤 倫子 1、橋本 修治 2、世良 英子 3、圓山 雅己 1、市川 良子 1、天野 篤 1、大門 雅夫 1、北風 政史 2 1 順天堂大学医学部付属病院 ハートセンター、2 国立循環器病研究センター 検査部・循環器内科、3 コロンビア大学 循環器内科 重症心不全患者の血行動態の安定化や心臓移植までのブリッジ治療として左室補助人工心臓 (LVAD) のはたす役割は近年ますます 増加している。心エコーにより LVAD 術後合併症の診断や病態の把握が可能となった症例の心エコー所見を提示し検討を行いたい。 【症例 1】30 代男性、LVAD 術後慢性期に十分な LVAD によるサポートが得られなくなり、経胸壁心エコーにて心尖部脱血管内に 異常構造物を認めた。外科的に異常構造物を除去したところ、断裂した腱索および血栓が脱血管に引き込まれフローが得られなく なっていたことが確認された。【症例 2】50 代男性、LVAD 術後慢性期に十分な LVAD によるサポートが得られなくなり、経胸壁 心エコーにて左室径 100mm と巨大化した左室と胸壁に挟まれた送血管のキンキングを認めた。【症例 3】定常流型 LVAD 術直後の 経過は良好で退院前の RAMP study では流量の増加に伴い左室径の著明な縮小が認められた。しかし退院後に BNP と LDH 上昇を 認め、再度施行した RAMP study にて流量増加に対する左室径の縮小が消失し、血栓を疑い抗凝固療法を行ったところ、3 回目の RAMP study では左室径の縮小がやや認められた。その後ポンプ交換を行ったところポンプ内部に付着する血栓が認められた。【ま とめ】それぞれの症例の経胸壁心エコー図を提示し、LVAD 術後管理における心エコーの有用性について検討を行いたい。 P13-7 VSD と鑑別が困難であったバルサルバ洞動脈瘤破裂の一例 中野 雄介、水野 智文、福田 祥子、向井 健太郎、若林 宏和、早稲田 勝久、高島 浩明、天野 哲也 愛知医科大学 循環器内科 症例:32 歳女性。主訴:労作時息切れ。既往歴:26 歳で卵巣腫瘍手術。現病歴・経過:半年ほど前から肝機能障害を指摘されるも 原因不明であった。次第に右季肋部痛、下腿浮腫に続いて労作時息切れを認めるようになり利尿剤などで経過をみられていたが、 心雑音に気付き当科へ依頼となった。精査目的で心エコーを施行。VSD、大動脈弁閉鎖不全、大動脈四尖弁のほかに三尖弁周囲に 浮遊する軟部組織を指摘され、感染性心内膜炎に伴う vegetation 合併の鑑別も挙がったが詳細不明のままであった。精査目的で両 心カテーテル検査を施行したところ、大動脈造影でバルサルバ洞から右心系への直接的な造影所見が得られ、バルサルバ洞動脈瘤 破裂の診断に至った。待機的に大動脈弁置換術、三尖弁形成術、バルサルバ洞修復術を施行し、術中にはバルサルバ洞の脆弱性と 大動脈弁尖の不完全性、大動脈から直接三尖弁周囲に破裂した所見が確認され、三尖弁周囲に浮遊する軟部組織は破裂腔周囲の断 短組織であった。本例は、VSD と鑑別が困難であったバルサルバ洞動脈瘤破裂に、エコーでは鑑別困難な浮遊する軟部組織影を合 併して認めた稀な症例である。術中所見と文献的考察をふまえて報告する。 一般ポスター P13-8 他院で動脈管開存症の診断で手術した後、連続性雑音を聴取した一症例 魚住 翠子 1、豊田 茂 2、伊波 秀 2、西 悠 2、天野 裕久 2、有川 拓男 2、川又 美咲 3、高瀬 直敏 3、 今野 佐智代 3、高田 悦雄 3、井上 晃男 2 1 獨協医科大学病院 救命救急センター、2 獨協医科大学 心臓・血管内科、3 獨協医科大学 超音波センター 症例は56歳男性。35歳時に心雑音指摘、精査にて動脈管開存症と診断さ れ他院で手術施行。その後閉院したため、手術記録は確認できなかった。今 回健診にて心雑音指摘され紹介。連続性雑音聴取され動脈管開存症残存の疑 いにて入院精査加療となった。心臓超音波検査にて肺動脈内に収縮期から拡 張期にかけて流入する血流を認めた。心臓カテーテル検査施行したところ、 大動脈造影にて動脈管開存認めず、冠動脈造影にて左前下行枝より肺動脈に 流入するシャント血流を認めた。サンプリングにて Qp/Qs 1.24, シャント率 2.4%、右室から肺動脈本幹で 5.1% の O2 step up を認めた。精査の結果より 冠動脈肺動脈瘻と診断した。冠動脈肺動脈瘻は 1000 例中 0.08 例に認めると の報告があり、心臓超音波検査や冠動脈造影等にて偶然発見され診断に至る ことが多い。しかしながら本症例のように連続性雑音を聴取することもあり、 動脈管開存症と鑑別が必要で教訓的症例と思われ若干の文献的考察を含めて 報告する。 235 第25回日本心エコー図学会学術集会 P14-1 超高齢化社会における 80 歳以上の大動脈弁狭窄の予後 Shuai Liang 1、山口 一人 2、吉冨 裕之 2、田邊 一明 1 1 島根大学 医学部 循環器内科、2 島根大学 医学部附属病院 検査部 【目的】大動脈弁狭窄症(AS)の成因で最も多いのは加齢変性である。超高 齢化が進むわが国では、加齢変性の AS が増えてくるものと思われる。本研 究の目的は 80 歳以上の AS 患者の予後を検討することである。【方法】80 歳 以上で中等度以上の AS(弁口面積< 1.5cm2)88 例(平均年齢 84.4 ± 4.1 歳、 女性 54 例)の予後を観察した。イベントとして死亡、心不全による入院、 大動脈弁置換術をエンドポイントとして評価した。平均観察期間は 43.6 ± 3.8 月である。【結果】対象患者のイベント・フリー生存率は 49.9%であった。 胸痛、失神、心不全の症状を有する患者と無症状患者の弁口面積はそれぞれ 0.85 ± 0.28cm2、0.93 ± 0.35cm2 と有意差はなく(p=0.24)、症状の有無によ る予後の差も認めなかった(46.8% vs. 58.2% , p=0.18)。女性と男性の予後 の差も認められず(55.5% vs. 40.1%, p=0.24) 、弁口面積 1.0 ~ 1.5cm2 に対し 2 て 弁 口 面 積 < 1.0cm に お い て 有 意 な 差 が 認 め ら れ た(69.4% vs. 37.5%, p=0.012)。【結語】80 歳以上の高齢者 AS において、症状の有無よりも AS の重症度が予後に関係する。 P14-2 重症大動脈弁狭窄症の心不全予測因子に関する検討 諏訪 惠信、宮坂 陽子、辻本 悟史、前羽 宏史、塩島 一朗 関西医科大学 第 2 内科 【背景】重症大動脈弁狭窄症患者の心不全発症後の予後は非常に悪く、大動脈弁狭窄症患者の手術時期の判断は重要である。【方法】 2007 年 7 月~ 2012 年 6 月に、ACC/AHA ガイドラインで重症大動脈弁狭窄症と診断した患者のうち、左室駆出率≧ 50%で心不全 症状を認めない連続症例を対象とした。心不全の診断は Framingham 基準を用い、慢性腎臓病は推定糸球体濾過量 60 ml/ 分 /1.73 m2 未満と定義した。多変量 Cox ハザード解析により心不全発症の独立した予測因子を検討した。【結果】対象基準を満たす重症大 動脈弁狭窄症患者 168 例 ( 平均年齢 74 ± 10 歳、男性 43%、平均大動脈弁口面積 0.8 ± 0.2 cm2、平均大動脈最大血流速度 4.1 ± 1.0 m/sec、平均左室心筋重量指数 116 ± 35 g/m2、糖尿病 25%、慢性腎臓病 47% ) のうち、58 例 (35% ) が大動脈弁置換術を行った。 平均観察期間 25 ± 21 か月に 20 例 (12% ) が心不全を発症した。多変量 Cox 比例ハザード解析で、年齢、性別、基礎疾患を補正す ると、大動脈最大血流速度の上昇 ( ハザード比 =1.9、95%信頼区間 =1.2-3.1、P < 0.01) と慢性腎臓病 ( ハザード比 =2.6、95%信頼区 間 =1.0-6.6、P < 0.05) が心不全発症の独立した予測因子であった。また、大動脈弁置換術は、独立して心不全発症のリスクを低下 させた ( ハザード比 =0.2、95%信頼区間 =0.1-0.8、P = 0.02)。【結語】重症大動脈弁狭窄症患者において、大動脈最大血流速度の上昇 と慢性腎臓病患者は心不全発症リスクが高く、より慎重な経過観察と比較的早期の外科治療が望ましいと考えられる。 一般ポスター P14-3 高度大動脈弁狭窄における生体弁置換術前後の左室心筋重量 ―大動脈弁逆流の有無による比較― 下町 幸子 1、田代 敦 2、小山 耕太郎 3、高橋 敬太 1、平賀 悠里江 1、武田 美香 1、武田 智弓 1、 三上 有里子 1、嘉村 幸恵 1、高橋 康子 1、横澤 里美 1、佐々木 幸子 1、伊藤 記彦 1、熊谷 亜希子 2、 森野 禎浩 4、中村 元行 2、岡林 均 5、諏訪部 章 6 1 岩手医科大学附属病院 循環動態検査室、2 岩手医科大学 心血管・腎・内分泌内科、3 岩手医科大学 循環器小児科、 岩手医科大学 循環器内科、5 岩手医科大学 心臓血管外科、6 岩手医科大学 臨床検査医学 4 【目的】大動脈弁置換術(AVR)後の大動脈弁狭窄(AS)患者では左室心筋重量係数(LVMI)の減少が認められるという報告があ る。しかし、大動脈弁逆流(AR)合併の有無による LVMI 減少の違いは明らかではない。今回高度 AS での AVR 施行例を対象に、 AR 合併の有無による AVR 前後の LVMI と左室駆出率(EF)の変化を比較検討した。 【 対 象 と 方 法 】2008 年 12 月 ~ 2013 年 5 月 に 高 度 AS で 生 体 弁 で の AVR 単 独 手 術 を 行 っ た 83 例 を 対 象 と し た。AR の vena contracta の 4mm を基準とし、4mm 以上の AR(+)群(39 例)と、4mm 未満の AR(-)群(44 例)とに分類した。両群の術 前と術後 6 ヶ月後の心エコー図を比較した。 【結果】LVMI は、術前では AR(+)群 199.9 ± 50.6g/m2、AR(-)群 161.2 ± 40.4g/m2 と、AR(+)群で有意に高く(p < 0.001)、 術後では AR(+)群 140.8 ± 33.2g/m2、AR(-)群 134.9 ± 42.9g/m2 と有意差を認めなかった。術前後の LVMI の差(Δ LVMI) は、AR(+)群- 59.1 ± 47.8g/m2、AR(-)群- 26.3 ± 36.7g/m2 と、AR(+)群で有意に減少していた(p < 0.001)。EF は、 術前では AR(+)群 62.8 ± 11.0%、AR(-)群 68.0 ± 9.1%と、AR(+)群で有意に低く(p < 0.05)、術後では AR(+)群 68.6 ± 6.5%、AR(-)群 70.1 ± 7.0%と有意差は認めなかった。術前後の EF の差(Δ EF)は、AR(+)群 5.7 ± 9.7%、AR(-) 群 2.1 ± 8.6%と、AR(+)群で増加傾向がみられた(p = 0.07)。 【結語】高度 AS における AVR 術後の LVMI 減少は、高度ではなくても有意な AR 合併例では非合併例に比し、大きくなることが 示唆された。 236 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P14-4 本邦における大動脈弁狭窄症の症状別予後調査:多施設共同研究 出雲 昌樹 1、竹内 正明 2、瀬尾 由広 3、山下 英治 4、鈴木 健吾 1、石津 智子 3、佐藤 希美 3、明石 嘉浩 1 1 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、2 産業医科大学第2内科、3 筑波大学 循環器内科、4 群馬県立心臓血管センター 循環器内科 【背景】大動脈弁狭窄症(AS)の近年における症状別予後報告は少ない。【目的】今回我々は AS 症状別の予後調査及び心エコー図 症状予測因子について検討することを目的とした。【方法】LVEF の保たれた高度大動脈弁狭窄症患者(弁口面積< 1cm2)586 名を 対象とし、平均 36 か月間追跡した。症状別に無症候、狭心痛、心不全、失神の 4 群に分けた。【結果】270 名(46.1%)が有症状と 診断された。追跡中 182 名(32.2%)が大動脈弁置換術(AVR)施行され、39 名(6.7%)の心臓死を認めた。心不全及び失神群で は AVR が非 AVR に比べ心臓死を有意に低下させたのに対し、無症候及び狭心痛群では有意差を認めなかった。弁口面積(< 0.67cm2)、最高血流速度(> 3.7m/s)、平均圧較差(> 32.9mmHg)により感度 70%、68%、71%、特異度 63%、64%、64% で症状 を予測しえた(P < 0.001)。【結語】AS 症状別予後を多施設で確認した。症状に悩む AS では心エコー図 AS 重症度評価項目は有用 である。 P14-5 透析患者における大動脈弁狭窄症進行度の規定因子について 和田 浩 1、伊部 達郎 1、坂倉 建一 1、由利 康一 2、山田 容子 1、石田 弘毅 1、中村 智弘 1、 池田 奈保子 1、片山 卓士 1、梅本 富士 1、菅原 養厚 1、山口 敦司 2、三橋 武司 1、阿古 潤哉 3、 百村 伸一 1 1 自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器科、2 自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科、 北里大学医学部附属病院 循環器内科 3 【目的】高齢化社会を迎え動脈硬化性の大動脈弁狭窄症の患者数は弁膜症のなかでも増加の一途をたどっている。大動脈弁狭窄症は 短期に失神、胸痛、心不全などにより死亡あるいは大動脈弁置換術に至る重篤な疾患であり、特に透析患者においてはその頻度は 高い。透析患者の死亡原因について心血管事故の占める割合は最大であり、このうち冠動脈疾患とならんで大動脈狭窄症の合併に よる症例は増加傾向である。透析患者においては大動脈弁狭窄症の頻度が多いのみならず、進行度も急速で、また早期に死亡ない し大動脈弁置換術を要する症例が多い。さらに透析患者の大動脈弁置換術は非透析患者に比べ周術期死亡率が高く、進行を遅らせ 手術を回避できるような内科的対策を講じることは重要と考えられる。【方法】当院にて大動脈弁狭窄症を有する透析患者のうち心 エコーを2回以上施行された患者を対象とし経時的な変化と進行に寄与すると考えられる因子について比較検討を行った。心エコー の結果より大動脈左室圧較差の年間平均進行度から、急速進行群、緩徐進行群の2群に分類し、進行度の規定因子について検討し、 またエンドポイントを死亡あるいは大動脈弁置換術として予後に関して調査を行った。【結果】透析患者の大動脈弁狭窄症の平均進 行度は年間 4mmHg であった。高血圧、血清カルシウム濃度、カルシウムリン積は急速進行群 ( 進行速度年間 4mmHg 以上 ) で有意 に高値であった。【結論】高血圧、血清カルシウム濃度、カルシウムリン積は透析患者の大動脈弁狭窄症の進行度の規定因子である と考えられる。 一般ポスター P14-6 大動脈一尖弁の一手術例 土居 知子 1、森本 菜津美 1、橋本 恵美 1、藤原 暢子 1、小松 万姫 1、西山 ひとみ 1、藤中 早代 1、 森本 喜久 2、杉本 貴樹 2、宝田 明 3 1 兵庫県立淡路医療センター 検査・放射線部、2 兵庫県立淡路医療センター 心蔵血管外科、3 兵庫県立淡路医療センター 内科 症例は 50 代女性。自覚症状なし。心雑音精査のため近医で施行した心エコー検査にて大動脈弁狭窄症及び大動脈弁閉鎖不全症を疑 われ当院を受診。経胸壁心エコー検査では大動脈弁の著明な石灰化を認め、二尖弁様を示した。大動脈弁口面積は planimetry 法で 1.64cm2、連続の式で 0.43cm2。左室拡張末期径 38 mm、収縮末期径 26 mmと拡大なく、左室駆出率 61%で収縮能は良好。経食道 心エコー検査で大動脈弁の石灰化、二尖弁様所見を認めたが、大動脈弁口面積は planimetry 法で 1.60cm2 と計測された。患者は大 動脈二尖弁に伴う大動脈弁狭窄症と診断された。また CT 検査で最大短経 41 mmの上行大動脈瘤も認めたため、大動脈弁置換術 (21 mm機械弁 ) 及び上行大動脈置換術(Gelweave26 mm)が施行された。手術時所見では左冠尖・無冠尖の交連のみを持つスリット 型の大動脈一尖弁であった。この交連のほぼ 180 度対側に raphe が存在した。狭窄、硬化は高度であった。大動脈弁は末梢側に漏 斗状に大きく突き出しており、弁輪レベルでの弁口面積は大きく、planimetry 法で求めた計測値の過大評価につながったと考えら れた。成人の大動脈一尖弁は非常に稀であり、1985 年の Peterson らの報告では大動脈弁狭窄のため弁置換術を施行した 109 例のう ち 0.9%が一尖弁であったとしている。大動脈弁狭窄症の合併症として大動脈瘤や大動脈解離などが挙げられる。今回の症例より大 動脈弁口面積の値が planimetry 法と連続の式で大幅に異なる場合は大動脈一尖弁の可能性も考慮して検査を進める必要があると思 われた。 237 第25回日本心エコー図学会学術集会 P14-7 4 年間で進行した大動脈弁位生体弁機能不全の一若年女性例 豊島 拓、高橋 徹也、沓澤 大輔、桐林 伸幸、近江 晃樹、菅原 重生 日本海総合病院 循環器内科 【症例】 20 歳台前半 女性【既往歴および家族歴】 特記すべきことなし【現 病歴】 4 年前に二尖弁による大動脈弁閉鎖不全症に対して生体弁による大 動脈弁置換術(21 mm CEP MAGNA)および上行大動脈置換術(24 mm J-Graft)を施行された。術後は近医に通院していたが、最近労作時の息切れ を自覚するようになり心エコー検査にて生体弁の硬化性変化および左室大動 脈平均圧較差の増大傾向を認め、再手術の検討目的に当院心臓血管外科に紹 介となった。【経過】 心エコー検査では生体弁は三尖ともに硬化性変化が強 く著しい可動性の低下を認めた。平均圧較差は 74 mmHg、弁口面積は 0.55 cm2 と重症の大動脈弁狭窄症の状態であった。進行性の心不全症状も自覚し ており再手術の方針となった。【まとめと考察】 本症例において生体弁機能 不全の評価に心エコー検査は極めて有用であった。生体弁は機械弁に比較し て一般に耐久性に劣るが、本症例のように短期間に弁尖全体に硬化性変化が進むことはまれであり、文献的考察も含めて報告する。 P14-8 大動脈弁狭窄症患者における diastolic wall strain(DWS) の意義 椎野 憲二 1、宮城 芽以子 1、曽根 希信 1、高桑 蓉子 1、高田 佳代子 1、杉本 邦彦 3、犬塚 斉 3、 伊藤 さつき 3、岩瀬 正嗣 2、尾崎 行男 1 1 藤田保健衛生大学 循環器内科、2 藤田保健衛生大学 医療科学部 医療情報学科、3 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 【目的】大動脈弁狭窄症 (AS) はその経過から左心室に負荷をかけ、左室肥大を来たし、その結果として拡張障害をきたすことが考え られる。また症例の中には重症と判断されても左室駆出率 (LVEF) が保たれ、また自覚症状の出現も遅れることがあるため指摘な外 科的介入のタイミングに難渋することがある。最近の報告で、LVEF が保持された心不全 (HFpHF) 患者における新しい拡張障害の 指標 (diastolic wall strain:DWS) が用いられ心不全発症の予測因子として、有用性が報告された (J Card Fail.2009:15(1)68-77)。弁膜症 における DWS の報告はまだあまり散見されない。AS 患者における DWS の意義を検討する。【方法】2010 年~ 2011 年の重症度が 中等度以上の AS 症例のうち LVEF が 50%以上で明らかな左室壁運動低下を認めない 73 症例 ( 年齢 76.3 ± 8.7 歳 , 男性 38.8% ) に ついて検討した。【結果】平均大動脈弁最高血流速度 (AoMaxV) は 423.8 ± 91.5cm/s、平均 LVEF は 61.3 ± 4.8%であった。平均 DWS は 0.23 ± 0.08 であった ( 上記の HFpHF 症例での報告におけるイベント予測の cut-off 値は 0.33)。DWS は AoMaxV と有意な 負の相関 (p < 0.05) を認めた。また DWS は E/E’ とも有意な負の相関を認めた (p < 0.05)。しかし心イベント ( 弁置換術、心不全増悪、 心不全死 ) の予測因子にはならなかった (p = 0.783)。【結論】DWS は大動脈弁狭窄症患者において心負荷を反映した拡張障害の指標 となりうる。しかし心イベントの予測因子とはならなかった。 一般ポスター P15-1 僧帽弁形成術後に溶血尿をきたした 1 例 谷内 亮水 1、清遠 由美 1、青地 千亜紀 1、宮元 祥平 1、伊藤 礼子 1、土井 由賀利 1、西本 美香 2、 尾原 義和 2、福岡 陽子 2、山本 克人 2 1 高知医療センター 医療技術局 画像検査科、2 高知医療センター 医療局 循環器科 【はじめに】僧帽弁形成術後の重篤な合併症の一つとして溶血があげられる。今回、我々は僧帽弁形成術後早期に僧帽弁収縮期前方 運動(SAM)と僧帽弁逆流(MR)が出現し溶血尿をきたした症例を経験したので報告する。【症例】83 歳、女性。13 年前に MR に対して僧帽弁形成術が施行された。2012 年 11 月頃より呼吸困難が出現、僧帽弁後尖の逸脱とそれに伴う高度の MR が出現したた め 2013 年 2 月に再僧帽弁形成術が施行された。僧帽弁後尖は大きく膨隆したような形で逸脱、P2 の腱索断裂を認めた。人工腱索に て断裂した腱索を再建し、新たな人工弁輪を装着し、水試験でリークがないことが確認した。第 2 病日より溶血尿が出現、血清 LDH は術直後には 448IU/L であったが、第 2 病日は 894IU/L、第 3 病日は 1295IU/L と上昇した。第 3 病日の心エコー図では、左 室は過収縮を呈し、SAM と高度の MR を認めた。左室流出路の最大血流速度は 4.6m/sec と増加していた。過収縮による左室流出 路狭窄により MR が出現、人工弁輪に MR が衝突し溶血を生じたと判断し、βブロッカーが投与された。投与後に MR は減少し、 溶血尿も改善された。【結語】僧帽弁形成術後に左室流出路狭窄に起因する溶血尿の症例を経験した。経胸壁心エコー検査が病態の 把握に有用であった。 238 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P15-2 脳梗塞を契機に診断された僧帽弁機械弁血栓症の一例 福田 延昭、岩瀬 晴香、小林 紘生、小林 洋明、静 毅人、柳澤 三朗、齋藤 章宏、廣井 知歳、 佐々木 豊志、金澤 紀雄 国立病院機構 高崎総合医療センター 循環器科 症例は 69 歳の女性。59 歳時に僧帽弁逸脱による重度の閉鎖不全症にて僧帽弁置換術 ( 機械弁 ) を行い、ワーファリンを内服していた。 構語障害を発症し近医にて左前頭葉の脳梗塞の診断を受けたが入院を拒否し帰宅した。その 6 日後に左半身麻痺が出現し当院へ救 急搬送され、頭部 MRI にて右前頭葉に新規の脳梗塞を認め当院神経内科に入院となった。入院時の PT INR は 1.37 と低値であった。 入院後保存的治療・リハビリを行った。心機能・塞栓源評価目的に体表心エコーにて左室収縮能は良好であったが、僧帽弁人工弁 の流入血流速 (2.9m/s)・平均圧較差の上昇 (19mmHg)、PHT の延長 (225ms) を認め狭窄弁が疑われた。経食道エコーを行ったところ 機械弁左房側に 16x17mm の巨大血栓の付着を認め、二葉弁の一方のディスクは固定され弁狭窄を呈していた。全身状態的に再弁置 換術、t-PA の投与はハイリスクと判断し、ヘパリンとワーファリンによる保存的治療を行った。経時的に体表エコー、経食道エコー を行ったところ、血栓サイズ、圧較差、肺動脈圧はいずれも徐々に低下傾向を認めた。診断後 40 日目の経食道エコーでは血栓は消 失し、機械弁の可動性は良好に回復していた。機械弁置換術後の血栓弁の血栓および血行動態の経時的変化をエコーにて捉えるこ とができた症例を経験したので報告する。 P15-3 3D Sphericity Index は僧帽弁逆流の手術至適時期を評価する指標になるか 蒔苗 永 1、荒木 善盛 1、竹下 享典 2、碓氷 章彦 1 1 名古屋大学 心臓外科、2 名古屋大学 循環器内科 【目的】一般に心臓手術においては、術前の左室収縮能が良好であるほど術後の回復が良好な傾向があるが、僧帽弁逆流では評価が 難しい場合がある。Vivid E9 を用いて、左室の形態変化や壁運動を定量的に計測し、それらを手術前後で比較した。【方法】2013 年 3 月から 2014 年 2 月の間に僧帽弁逆流に対して手術を行った症例のうち、4D およびストレインの解析が可能な画像を撮像できた症 例を対象とした。先天性心疾患、冠動脈病変、有意な大動脈弁疾患を有する症例は除外した。本抄録提出時点で対象は 10 例で、年 齢 63.3 ± 9.7。【結果】術前の LVEF(2D) 31.6 ± 11.8、心尖部 4 腔像の Sphericity Index (SI-2D) 0.64 ± 0.05、右室面積変化率 (RV-FAC) 30.0 ± 12.3%、 左 房 容 積 / 体 表 面 積 (LAvol/BSA) 61.3 ± 34.4、4D で 計 測 し た LVEF-4D 44.2 ± 10.4%、SI-4D 0.47 ± 0.11、 AFI(Automated Functional Imaging) を用いた global longitudinal peak strain の 3 断面平均 (GLPSavg) -14.8 ± 3.5%、心尖部 4 腔像 GLPS-4ch -9.5 ± 11.4% であった。現時点で術後 3 ヶ月以内の計測がある 5 例では、LVEF の改善はみられず、SI-2D、RV-FAC、 LAvol/BSA、SI-4D、GLPS-4ch は改善傾向にあったが、これらの指標に手術前後の有意差はみられていない。【まとめ】僧帽弁手術 症例においては、リモデリングの程度やストレインが心機能をより反映する可能性が考えられる。 一般ポスター P15-4 大動脈弁狭窄の診療における弁 - 動脈インピーダンスの意義:左室肥大との関連について 市川 絢子 1、山田 聡 2、阿部 歩 3、辻 香菜子 3、岡田 一範 3、横山 しのぶ 1、西野 久雄 1、中鉢 雅大 1、 加賀 早苗 3、西田 睦 1、澁谷 斉 1、清水 力 1、林 大知 2、村井 大輔 2、三神 大世 2、筒井 裕之 2 1 北海道大学病院 検査・輸血部、2 北海道大学大学院 循環病態内科学、3 北海道大学大学院 保健科学研究院 【背景】我が国の大動脈弁狭窄(AS)診療における弁 - 動脈インピーダンス(Zva)の意義は不明である。Zva と左室肥大(LVH) との関連を他の指標と比較して検討した。【方法】連続の式による弁口面積(AVA)が 2 cm2 未満の洞調律の AS 患者連続 323 例を 後方視的に検討した。左室拡大をきたす心筋症、左室容量負荷の原因となる弁膜症・先天性疾患、後負荷増大以外の原因で LVH を きたす心筋疾患を除外した 188 例(女性 104 例)を対象とした。AS 重症度は AVA 係数(AVAI)で分類した。平均経弁圧較差(mPG) と収縮期血圧(SBP)、1 回拍出量係数(SVI)から、Zva = (mPG + SBP)/SVI を求め、左室心筋重量係数(LVMI)との関連を検 討した。【結果】軽度、中等度、高度 AS の割合は、各々 51%、26%、23% であった。110 例(58%)に高血圧を合併し、128 例(68%) に LVH を 認 め た。SBP は 128.9 ± 20.8 mmHg、 左 室 径 は 45.7 ± 5.1 mm、LVMI は 119.3 ± 33.4 g/m2、 左 室 駆 出 率 は 67.3 ± 10.1%、SVI は 53.6 ± 11.6 ml/m2、AVA は 1.27 ± 0.43 cm2、mPG は 26.5 ± 20.5 mmHg、Zva は 3.01 ± 0.76 mmHg/ml/m2 であった。 AVAI、mPG、Zva はいずれも有意に(p < 0.0001)LVMI と相関したが、相関係数は各々- 0.36、0.49、0.29 であり、Zva の相関 は弱かった。SBP から 100 を減じて式に代入する修正 Zva はやや良好に LVMI と相関したが(r=0.41, p < 0.0001)、mPG には優ら なかった。中等度 AS で LVH のある患者とない患者の間で mPG には有意差を認めたが(29.4 ± 14.7 vs 19.4 ± 6.2 mmHg, p < 0.005)、 SBP、Zva、修正 Zva には差はなかった。【結論】我が国の軽度以上の AS 患者における LVH との関連性の観点で、Zva は AS 重症 度に関する従来の心エコー指標に優るものではない。 239 第25回日本心エコー図学会学術集会 P15-5 大動脈弁狭窄症における僧房弁逆流と肺高血圧との関係 林 英宰 1、高橋 和也 2、河村 晃弘 1、竹内 元康 1、和田 健作 1、川野 成夫 1 1 河内総合病院 心臓血管センター、2 河内総合病院 臨床検査部 【目的】大動脈弁狭窄症 (AS) に肺高血圧 (PH) を伴う場合は予後が悪いとされているが、PH 発症と心機能との関係は必ずしも明らか ではない。AS における僧房弁逆流 (MR) と心機能指標との関係、また MR と PH との関係を検討した。【方法】対象は心エコー検査 で大動脈弁に開放制限を認めた 233 例、平均年齢 81 歳(心房細動例、僧帽弁狭窄症合併例、弁口面積計測困難例は除外)。連続の 式により大動脈弁口面積 (AVA) を計算し、以下の 3 群に分類した:軽度狭窄群 (1.3cm2 以上 )、中等度狭窄群 (0.8cm2-1.3cm2)、高度 狭窄群 (0.8cm2 以下 )。3 群において、3 尖弁逆流血流ドプラーから右房・右室間圧格差 (TRPG) を算出し、収縮期肺動脈圧の程度を 推定した。さらに MR grade(0-4: 5段階評価)と心機能指標および PH との関係を評価した。【成績】1. 軽度狭窄群は 56 例(24%)、 中等度狭窄群は 84 例(36%)、高度狭窄群は 93 例(40%)であった。2. 高度狭窄群で他の 2 群に比し、MR grade は有意に高値であっ た(mean ± SD: 1.32 ± 0.77(軽度狭窄群), 1.14 ± 0.78(中等度狭窄群), 1.88 ± 0.83(高度狭窄群), p < 0.0001)。3. 高度 MR は E/A(p < 0.0018)、E/e’ (p < 0.0001) と関係したが、EF(p = 0.08) とは関係しなかった。4.MR が高度なほど、TRPG は有意に高値であっ た(p < 0.0001)。【結論】AS において MR は AVA と関係し、かつ収縮能よりも拡張能と関連した。また MR の存在が PH をより 悪化させるのではないかと示唆された。 P15-6 心エコー図による大動脈弁狭窄症の重症度と血清コレステロール値との関連性 藤井 裕子、山田 雅大、横山 公章、富田 泰史、阿部 直樹、樋熊 拓未、長内 智宏、奥村 謙 弘前大学大学院医学研究科循環呼吸腎臓内科学講座 背景:大動脈弁の硬化性変化は大動脈弁狭窄の病因に関わらず、大動脈弁の開放制限に関与する。我々は『大動脈弁狭窄症患者の 血清コレステロール値は、大動脈弁狭窄症の重症度に影響を及ぼす。』と仮説を立てた。方法:2012 年 6 月から 2013 年 9 月に当科 に入院した中等度から重症の AS の 39 例(男性 15 例; 女性 24 例)を対象とした。心エコー図検査で、大動脈弁 (AV) での最大血 流速波形、左室流出路 (LVOT) での血流速波形、および、LVOT 径を計測し、大動脈弁口面積 (AVA) を連続式より求め、血清コレ ステロール値を含む生化学的データと比較検討した。結果:AVA 値から、AVA < 1.0cm 2 および AVA ≧ 1.0cm 2 の 2 群に分けた 場合、血漿 B-type natriuretic peptide (BNP) 値は、AVA < 1.0cm2 群で AVA ≧ 1.0cm2 群に比し、有意に高値を示した (p=0.022)。 血清総コレステロール値と血清 LDL- コレステロール値は、いずれも、AVA < 1.0cm2 群で AVA ≧ 1.0cm2 群に比し、有意に高値 を示した (p=0.008; p=0.034)。さらに、血清総コレステロール値と血清 LDL- コレステロール値は、AVA 値との間に負の相関を示し た (r2=0.28, p=0.001; r2=0.15, p=0.023)。結論:大動脈弁狭窄症例において、血清コレステロール値が高値になれば、その病因に関わ らず、大動脈弁の開放制限が増悪され得る。LDL- コレステロール値を低下させるという治療戦略は、大動脈弁狭窄症の進行を防ぐ ためにも考慮されるべきである。 一般ポスター P15-7 閉塞性肥大型心筋症に合併した僧房弁弁瘤を伴う僧房弁閉鎖不全症の一例 西嶋 方展、小野 敬道、宇宿 弘輝、森久 健二、釘宮 史仁、野田 勝生、大嶋 秀一 熊本中央病院 循環器科 症例 55 歳 女性 高血圧のため近医で内服加療中であり、2012 年 3 月に心雑音の精査で紹介された。心エコーでは左室流出路 (LVOT) の最大圧較差 117 mm Hg の閉塞性肥大型心筋症 (HOCM) および中等度の僧房弁閉鎖不全 (MR) を認め、メインテートを追 加し経過観察となった。 定期的なフォローアップでは MR の増悪は認められず、LVOT の圧較差は 64mmHg まで減少していた。 しかし 2013 年 11 月の心エコーでは、MR は高度まで増悪しており僧帽弁の弁瘤が認められ精査のため、入院となった。 経食道心 エコーでは A2 の弁腹に二個の弁瘤を認め片方の弁瘤は穿孔していた。左室流出路で加速した血流が弁の穿孔部に吹き付けており弁 瘤の原因と考えられた。採血などでは感染を示唆する所見は認められず、歯科治療などのエピソードもなく感染機転の有無は不明 であった。メインテートの増量、リスモダン R の投与により LVOT の圧較差は改善し、Ope 予定となった。HOCM に合併した弁 瘤を伴う MR の増悪症例は比較的稀と考えられ、本症例の経過、エコー診断について考察する。 240 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P15-8 心房細動に伴う僧帽弁逆流症における僧帽弁の形態評価:3 次元経食道心エコー図検査を用いた検討 伊東 風童 1、阿部 幸雄 2、田中 千春 2、古川 敦子 2、矢野 健太郎 1、外村 大輔 1、竹原 康介 1、 喜納 直人 1、古林 圭一 1、嶋田 芳久 1、黒飛 俊哉 1、土田 隆雄 1、福本 仁志 1、葭山 稔 3、吉川 純一 4、 成子 隆彦 2、柴田 利彦 5 1 春秋会 城山病院 心臓血管センター、2 大阪市立総合医療センター 循環器内科、3 大阪市立大学 循環器病態内科学、 西宮渡辺循環器センター 循環器内科、5 大阪市立総合医療センター 心臓血管外科 4 【背景】心房細動(AF)例に生じる僧帽弁逆流症(MR)の主成因は左房拡大に伴う弁輪拡大だと言われているが,よくわかってい ない点も多い.【目的】3 次元経食道心エコー図検査(3DTEE)を用いて,AF に伴う MR における僧帽弁の形態を調べること.【方 法】洞調律(SR)群 8 例,MR が軽度以下の AF 群 10 例,AF およびそれに伴う中等度以上の MR 群 10 例に 3DTEE(IE 33, MVQ,Philips)を行い,僧帽弁の形態を評価した.器質的弁膜症・虚血性心疾患・心筋症例は除外した.【結果】経胸壁心エコー 図検査における左房容量係数は,SR,AF,MR 群の順に大きくなっていた(28 ± 12ml/m2 vs. 34 ± 13m l/m2 vs. 67 ± 24m l/m2 , p < 0.001).3DTEE における 3D 弁輪周囲長は SR 群,AF 群,MR 群の順で有意に大きくなっていた(93 ± 11mm vs. 101 ± 13mm vs. 117 ± 16mm,p < 0.01).同様に 3D 総弁葉面積が有意に大きくなっていた(980 ± 221mm2 vs. 1183 ± 330mm2 vs. 1429 ± 413mm2,p < 0.05).しかし,前尖と後尖の接合面積は 3 群間で有意差はなかった(256 ± 74mm2 vs. 280 ± 67mm2 vs. 257 ± 82mm2).また,3D 総弁葉面積に対する 2 次元総弁葉面積(弁葉を平面に投影した影の面積)の割合は SR 群,AF 群,MR 群の順 に大きく,すなわち,弁はこの順に平たくなっていた(97 ± 1.2% vs. 98 ± 1.0% vs. 99 ± 0.8%,p < 0.05).【結語】AF に伴って 僧帽弁輪が拡大しても,僧帽弁尖がリモデリングして大きくなり,接合面積は変わらない.それにもかかわらず MR が生じ得るのは, 収縮期の僧帽弁尖が平たくなることに関係しているのかもしれない. P16-1 ハートチームにおける弁膜症術前経食道心エコー図検査の意義 椎野 憲二 1、宮城 芽以子 1、曽根 希信 1、高桑 蓉子 1、高田 佳代子 1、杉本 邦彦 3、犬塚 斉 3、 伊藤 さつき 3、加藤 美穂 3、高橋 礼子 4、岩瀬 正嗣 2、尾崎 行男 1 1 藤田保健衛生大学 循環器内科、2 藤田保健衛生大学 医療科学部 医療情報学科、3 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部、 藤田保健衛生大学病院 救命検査部 4 【目的】近年、循環器領域では弁膜症や虚血性心疾患の患者の治療方針を決定するのにハートチームを形成し内科医・外科医の観点 からよりよい治療を行う方向性が強調されている。本研究の目的は術前に内科外科で術前経食道心エコー図検査を検討することに より術中の治療計画をより綿密に行えるようにすることである。 【方法】2013 年 1 月~ 11 月までに僧帽弁閉鎖不全症 ( 僧帽弁逸脱症、 虚血性僧帽弁閉鎖不全症 ) にて入院、手術適応となった 11 症例についてハートチームカンファ前後での病変数 ( 逸脱部位と腱索断 裂部位と副病変部位の数をスコアリング ) の一致率を検討した。【結果】術前所見が未検討の症例は 7 例、術前所見が検討された症 例は 4 例であった。エコー図検査所見と術中所見との一致率は未検討症例で 50.6%、検討症例で 81.3%と検討症例で有意に高かった。 【結論】僧帽弁閉鎖不全症の外科的治療において外科医が必要とする情報を内科医が経食道心エコー図検査で描出することが、術中 の治療計画を立てる上で非常に重要と考えられ、チーム内での検討が有用であった。 一般ポスター P16-2 高血圧症における弁狭窄、弁逆流の重症度評価の検討 岩田 光司 和歌山県医師会 岩田医院 【目的】高血圧症に合併する弁狭窄、弁逆流の重症度評価を検討する。【方法】 高血圧患者 183 人 ( 男 79/ 女 104; 年齢 74.8 ± 10.7 才 ) に対して経胸壁心エコー 図検査 (2D 断層法、ドプラ心エコー図法 ) を施行した。重症度評価はガイド ラインに沿って 1 項目以上に該当するものを選び中等度以上の弁狭窄、弁逆 流を対象とした。【結果】高血圧患者 183 人のうち延人数 40 人 (21.8%;年齢 64 ~ 95 才、平均 78.5 ± 8 才;血圧 155.7 ± 23.3/88.3 ± 10.7mmHg) が中等 度以上の弁狭窄、弁逆流として検出された。その内訳は図 1 の通りである。 このうち多弁逆流は 10 人 (5.5%)、弁狭窄、弁逆流の合併は 7 人 (3.8%) であっ た。表 1 は弁狭窄、弁逆流の年齢別検出率を示す。【結論】(1) 高血圧患者に おける中等度以上の弁狭窄、弁逆流の出現は 60 才代より始まり、加齢に伴っ て検出率が高くなる。多弁逆流、弁狭窄・弁逆流の合併も加齢に伴って増加 する。(2) 大動脈弁逆流の検出率が高く、次いで大動脈弁狭窄であった。(3) 重症度評価では全般に高度が約 6%、中等度が 16% の検出率であった。 241 第25回日本心エコー図学会学術集会 P16-3 心室中隔ペーシングにより流出路狭窄と僧帽弁逆流が劇的に改善した完全房室ブロックの一例 西野 峻 1、渡邉 望 2、緒方 健二 1、木村 俊之 1、福島 裕介 1、井上 洋平 1、仲間 達也 1、古堅 真 1、 相良 秀一郎 1、小岩屋 宏 1、足利 敬一 1、栗山 根廣 1、松山 明彦 1、柴田 剛徳 1 1 宮崎市郡医師会病院 心臓病センター 循環器内科、2 県立宮崎病院 循環器内科 症例は 81 歳女性.一過性完全房室ブロックの精査目的に当科入院となった.入院時心エコー図にて左室は過収縮であり,びまん性 左室肥大と S 状中隔に伴う収縮期僧帽弁前方運動 (SAM)・僧帽弁逆流 (MR) を認めた.また,完全房室ブロック時に限り,高度の 拡張期 MR も認めた.経胸壁および経食道心エコー図にて,一過性完全房室ブロック時には左室流出路最大圧較差 143 mmHg,平 均圧較差 59 mmHg,severe MR を認めるのに対し,洞調律回復時には最大圧較差 20mmHg,平均圧較差 9.6 mmHg,mild MR と 劇的に改善することが確認された.流出路圧較差および MR の軽減の効果も期待し,第 17 病日,永久的ペースメーカー (DDD) を留 置した.一般には,中隔の奇異性運動などによる圧較差減少を期待した心尖部ペーシングが推奨されている.しかし,本患者の主 病態は完全房室ブロックであり,洞調律時の圧較差減少および SAM の改善,拡張期 MR の軽減が確認されていたため,より生理 的な中隔ペーシングを選択した.ペーシングにより血行動態が悪化しないことを確認するため,術中に経胸壁エコー図によるモニ タリングを行い,中隔ペーシングによる上記改善が再確認されたため,中隔スクリューの後,手術終了とした.術後経過は良好で あり,第 25 病日に退院となった.本症例では,心エコー図検査により高度房室ブロックに伴うダイナミックな血行動態の変化が観 察され,治療方針決定に貢献することができた。 P16-4 リアルタイム三次元経胸壁心エコー図で観察しえた感染性僧帽弁瘤穿孔の一例 江沼 小百合 1、馬原 啓太郎 2、太田 光彦 2、齊藤 清美 1、中山 幸恵 1、規矩智 千絵 1、玉城 貴啓 2、 吉敷 香菜子 3、高梨 秀一郎 4、住吉 徹哉 2 1 榊原記念病院 臨床検査科、2 榊原記念病院 循環器内科、3 榊原記念病院 小児循環器科、4 榊原記念病院 心臓血管外科 症例は 60 歳代男性。2008 年から僧帽弁後尖逸脱による軽度僧帽弁逆流症にて当院へ通院していた。2013 年 8 月、発熱を主訴に他 院を受診したが、解熱鎮痛剤で経過観察されていた。2013 年 11 月、微熱が持続するため、他院を受診したところ血液培養陽性(α -hemolytic streptococci)であり菌血症と診断され入院加療された。経胸壁心エコー図にて重度僧房弁逆流を認めたため当院へ転院 した。入院時の経胸壁心エコー図で、僧帽弁内側に疣贅と思われる可動性のある高輝度エコーを認め、感染性心内膜炎と診断した。 また、僧帽弁前尖弁腹に瘤状構造物と同部位にエコー欠損を認め、重度僧房弁逆流を生じていた。エコー欠損は前尖の穿孔もしく はクレフトが疑われた。引き続き、Philips 社製 EPIQ x5-1 プローブを使用し、リアルタイム三次元経胸壁心エコー検査を施行した ところ、はっきりと穿孔を観察できた。経食道心エコー図でも同様の結果だった。以前より認めていた僧帽弁後尖の逸脱による逆 流が前尖に当たり、感染性心内膜炎によって同部位が破壊され、弁瘤となり、穿孔したと考えられる。今回、2D エコー検査でははっ きり描出しえなかった僧帽弁瘤穿孔を、リアルタイム三次元経胸壁心エコー検査を用いることで形状や場所を含め、正確に把握す ることができた。リアルタイム三次元経胸壁心エコー検査が臨床的に有用であった貴重な一例として本症例をここに報告する。また、 2014 年 1 月に手術が予定されており、手術所見、術後エコーは追加報告とする。 一般ポスター P16-5 3 次元経食道心エコー図 (3DTEE) が術式およびパッチサイズ決定に有用であった僧帽弁形成術後重 症三尖弁閉鎖不全症の一例 田中屋 真智子 1、上 真弓 2、内田 享 2、山田 桂嗣 1、藤原 敬士 1、山本 和彦 1、川本 健治 1、 片山 祐介 1、櫻木 悟 1、山本 剛 3、大谷 悟 3 1 国立病院機構岩国医療センター 循環器内科、2 国立病院機構岩国医療センター 検査科、 国立病院機構岩国医療センター 心臓血管外科 3 【症例】53 歳男性。2002 年 4 月、重症僧帽弁閉鎖不全症 (MR) と三尖弁閉鎖不全症 (TR) に対し僧帽弁形成術(Physio26mm)および 三尖弁輪形成術(DeVega29m)を施行されていた。2013 年 1 月より全身倦怠感増強、軽労作も困難となり当院受診、経胸壁心エコー 図で三尖弁弁尖離開(9mm)を伴う重症 TR、僧帽弁狭窄 (MS) と左室 D-shape を伴う肺高血圧所見を認めた。TR 再燃の原因とし て術後相対的 MS の関与も考え運動負荷心エコー図検査施行、負荷後に MV 平均圧較差 4.5mmHg → 10.2mmHg と増悪、僧帽弁に 対する治療介入も必要と判断した。三尖弁は弁輪径 44mm と拡大あり、運動負荷にて弁尖離開がさらに増悪し、弁輪形成術のみで は TR 制御困難と考えパッチを用いた前尖拡大三尖弁形成術を施行することとなった。3DTEE 施行し三尖弁の面を描出、前尖、中 隔尖、後尖を計測し、使用するリングサイズ (MC3 28mm) も考慮したパッチサイズを術前に算出した。2013 年 9 月、僧帽弁置換術、 三尖弁形成術施行。術中の三尖弁所見は 3DTEE での所見とほぼ一致していた。術後自覚症状は NYHAII 度へ改善、心エコー図検 査では三尖弁は十分な接合を保ち三尖弁逆流はほぼ消失、肺高血圧所見も改善していた。 【考察】弁輪径 40mm 以上の重症 TR では三尖弁形成術を推奨する報告があるも、そのパッチサイズを術前に推測するという試みは なされていない。今回 3DTEE によって三尖弁を面でとらえることにより術前に至適パッチサイズ算出が可能であった。3DTEE の 新たな有用性を示唆する症例であると思われ報告する。 242 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P16-6 高度弁膜症における BNP 値の多様性の検討 中務 智文 1、山本 昌良 1、川松 直人 1、佐藤 希美 1、菅野 昭憲 1、渥美 安紀子 1、針村 佳江 1、 町野 智子 1、飯田 典子 2、石津 智子 1、瀬尾 由広 1、青沼 和隆 1 1 筑波大学附属病院 循環器内科、2 筑波大学附属病院 検査部 背景:BNP は弁膜症の診療において、弁膜症の重症度判定および治療方針の決定に用いられている。しかし、弁膜症はそれぞれ病 態生理が異なり、BNP の各弁膜症における意義が異なる可能性がある。方法 / 結果:対象は心エコー図指標により高度の弁膜症と 判断され、左室駆出率 (LVEF) の保たれている 94 症例;大動脈弁狭窄症 26 例 (AS: 72 ± 9 歳、LVEF 68 ± 10%)、大動脈弁閉鎖不 全症 36 例(AR: 47 ± 21 歳、LVEF 64 ± 6%)、僧帽弁閉鎖不全症 32 例 (MR: 56 ± 6 歳、LVEF 67 ± 6%)。Log10 BNP 値は AR 群 において AS 群と MR 群より有意に低値を示した (AR: 1.5 ± 0.5、AS: 2.5 ± 0.4、MR: 1.9 ± 0.5pg/ml, p < 0.01)。年齢、性別、血清 クレアチニン値、LVEF、E/E’ 、左房容積、左室重量、左室収縮期壁応力、心房細動、左室 global longitudinal strain を含めたステッ プワイズ重回帰分析において、AS 群では LVEF、左房容積、左室収縮末期壁応力が (R2=0.59)、MR 群では左房容積と心房細動が (R2=0.49)、AR 群では年齢のみが (R2=0.69) Log10 BNP 値と有意に関連する因子として選択された。結論:高度弁膜症において BNP 値、および BNP 値の決定因子は各弁膜症により異なる傾向を示した。特に AR において BNP 値はその病態生理や重症度との 関連性が低い可能性が示唆された。 P16-7 心不全発症を契機に診断された混合性結合組織病に弁の変性による連合弁膜症を合併した一例 杉浦 淳史、小澤 公哉、馬詰 智子、堀江 佐和子、門平 忠之、小林 欣夫 千葉大学医学部附属病院 循環器内科 全身性エリテマトーデス (Systemic Lupus Erythematosus:SLE) を代表とする膠原病には弁膜症が合併しやすいことが知られてい る。一方で混合性結合組織病 (Mixed Connective Tissue Disease:MCTD) では弁膜症の合併は少ないとされる。 症例は 40 歳女性 であり、当院には労作時息切れと全身性浮腫を主訴に受診され、経胸壁心エコー検査で中等量の心嚢液貯留と中等度の僧帽弁閉鎖 不全症と大動脈弁閉鎖不全症を認めており、連合弁膜症による心不全と診断された。その後経食道心エコー検査で、弁尖および弁 下組織の肥厚・短縮が明らかとなった。 入院時には心不全兆候に加え、脱毛、手指関節腫脹、関節痛、レイノーなどの膠原病を 思わせる症状も認めていた。抗核抗体が強陽性であり、特異的自己抗体の検査結果から MCTD の診断となった。さらに肺高血圧症 も合併しており、急性期に心不全加療をした後に、経口ステロイド治療とシルデナフィルが導入されたうえで退院となった。現在 外来通院中だが、ステロイドを減量した後に弁膜症に対する手術を予定している。 MCTD は抗 U1-RNP 抗体陽性で、臨床的に SLE、強皮症、多発性筋炎の症状や所見が混在している overlap syndrome である。弁膜症を合併しやすい SLE では、弁尖への抗体・ 補体複合体の沈着や、組織のフィブリノイド変性・ヒアリン化・炎症細胞浸潤・新生血管増生が病理学的に指摘されており、本症 例では臨床的・病理的に SLE と overlap する点が多く、弁の変性が起こった可能性が考えられた。 一般ポスター P16-8 術前に 3D 経食道心エコー図を用いて右冠尖の ruptured fenestration と診断し大動脈弁形成術を 施行した高度大動脈弁逆流症の一例 太田 光彦 1、馬原 啓太郎 1、吉敷 香菜子 3、橋本 誠 2、梅村 純 1、高梨 秀一郎 2、住吉 徹哉 1 1 榊原記念病院 循環器内科、2 榊原記念病院 心臓血管外科、3 榊原記念病院 小児循環器科 【症例】50 歳代男性【現病歴と臨床経過】1 ヶ月前に突然夜間の呼吸困難を 自覚し改善しないため近医を受診した。心不全の診断で内服加療を開始する も治療に難渋し他院へ入院し加療を行った。心エコー図検査にて高度大動脈 弁逆流 (AR) を認め、手術加療目的に当院へ紹介となった。経胸壁心エコー 図にて左室は軽度拡大し、収縮能は保たれていた。大動脈弁は三尖弁で、大 動脈基部の拡大は認めなかった。右冠尖が逸脱し、僧帽弁前尖の方向に偏位 して吹きつける高度の逆流を生じていた。3D 経食道心エコー図 (3DTEE) を 用いて大動脈基部構造を詳細に評価したところ、右冠尖の左冠尖寄りの弁尖 縁にひらひら可動する紐状構造物を認め、ruptured fenestration によって右 冠尖の frail をきたした AR と診断した。術中所見は心エコー図評価と一致し、 右冠尖に ruptured fenestration を認め、心膜パッチを用いた大動脈弁形成 術が施行された。【結語】3DTEE を用いて術前に ruptured fenestration を 診断できた AR の一例を経験したので報告する。 243 第25回日本心エコー図学会学術集会 P17-1 保存的加療を行った感染性心内膜炎の治療過程を経胸壁心エコーにて詳細に観察し得た 1 症例 薮 和恵 1、大場 教子 1、井口 由佳子 1、平野 真由美 1、藤本 育子 1、南 啓介 2、吉田 太治 2、 寺本 了太 2、追分 久憲 2 1 珠洲市総合病院 検査室、2 珠洲市総合病院 内科 【症例】80 代男性【既往歴】COPD,S 状結腸癌術後【主訴・現病歴】前日からの発熱,食欲低下と全身倦怠感を主訴に受診した.膿 尿を認め,尿路感染症を疑い入院となった.【検査】WBC 7600/ μ l,Hb 13.2g/dl,PLT 13.4 × 104/ μ l,CRP 9.37mg/dl,心拍数 102/ 分,洞性頻脈,完全右脚ブロック,収縮期雑音(Levine II/VI) 【経過】尿路感染症に対して TAZ/PIPC4.5g × 3/day で加療開始となったが,翌日に血液培養でグラム陽性球菌を認めた.心エコー では僧帽弁前尖に 20 × 13mm 大の可動性を有する疣贅を認め,後尖にも疣贅を認めた.前尖の疣贅は拡張期に左室内へ長く伸展し, 収縮期には左房内で楕円形状を呈し,僧帽弁逆流は I/IV であった.疣贅が大きく可動性もあり,無症候性脳塞栓を多発しており手 術適応と考えられたが,手術を希望されず抗菌薬での加療方針となった.第 3 病日より ABPC4g × 3/day + GM40mg × 2/day に 変更したが,第 11 病日の心エコーでは疣贅は 23mm と増大傾向であった.その後第 23 病日に血液培養から検出した腸球菌が GM 高度耐性菌と判明し,文献的考察から ABPC4g × 3/day+CTRX2g × 2/day に変更した.第 32 病日に僧帽弁前尖の疣贅が 13mm と縮小を確認でき,第 53 病日には 10mm まで縮小した.抗菌薬を第 57 病日まで継続し,翌日 LVFX500mg 内服へ切り換え退院となっ た.1 年後の心エコーでは疣贅は 6.7mm となり器質化し,現在は内服も中止となり経過観察中である. 【考察】経胸壁心エコーで疣贅の確認やその大きさの変化,可動性の状態等の経時的変化を詳細に観察し得た事が,病態の把握や治 療方針決定に有用であった症例を経験したので報告する. P17-2 血液培養陰性であった大動脈二尖弁、狭窄症に合併した感染性心内膜炎の一例 黒羽根 彩子 1、田中 信大 1、今井 靖子 1、高橋 のり 1、武井 康悦 1、岩永 史郎 1、松山 克彦 2、 杭ノ瀬 昌彦 2、荻野 均 2 1 東京医科大学病院 循環器内科、2 東京医科大学病院 心臓血管外科 【症例】44 歳男性【現病歴】2013 年 9 月より夕方に 37.5℃の熱発を繰り返していたため、会社の医務室を受診。その際心雑音を指摘、 近医施行の心エコー図検査にて大動脈二尖弁・大動脈弁狭窄症と診断。当院へ紹介受診となった。 【経過】大動脈弁通過血流速は 4.2m/ sec と狭窄は中等度と考えられた。血液検査では CRP2 ~ 4mg/dl、培養陰性であった。しばらく経過みるも微熱は続くため精査目 的にて入院となる。入院後にも血液培養繰り返し施行するも全て陰性、炎症反応の悪化もなく、夕方の 37℃前半の熱発程度であった。 経食道心エコー図検査にて大動脈弁右冠尖に一塊となった石灰化の所見を認め、疣腫の関与を疑ったが活動性に関して画像上での 評価は困難であった。Duke 診断基準も満たさず、他不明熱の精査を進めていくも特異的所見は得られなかった。繰り返しエコー図 検査施行の過程中徐々に右冠尖側弁輪部肥厚、同内部低エコー所見が目立ち始め弁輪部膿瘍を疑った。同時期施行の Ga シンチにて 大動脈弁に一致し明瞭な集積を認めた事より弁輪部膿瘍を伴った感染性心内膜炎と診断。CTRX 2g / 日、GM180mg/ 日投与開始、 一週間後に手術となった。結果石灰化の著しい弁に血栓性疣腫の付着を認めた。しかし同検体より菌体は確認されなかった。術後 は経過良好、炎症反応も陰性となった。 【考察】大動脈弁二尖弁・大動脈弁狭窄症に合併した菌体不明、感染経路不明の感染性心内 膜炎を経験した。当初より感染性心内膜炎を疑っていたが、確定診断には至らず手術のタイミングを決意するうえで難渋したが、 弁周囲の変化の察知には繰り返しエコー検査を施行することが極めて有用であった。 一般ポスター P17-3 感染性心内膜炎を契機に右左シャントを介し、難治性低酸素血症を来した心室中隔欠損症の一例 前羽 宏史、宮坂 陽子、諏訪 恵信、辻本 悟史、塩島 一朗 関西医科大学 第二内科 症例は 78 歳、男性。50 歳代に他院で心室中隔欠損症と診断されるも詳細不明。2013 年 6 月、右膝関節炎により整形外科に入院。 抗生剤治療開始されるも反応不良で敗血症・DIC を来し、それに伴い重度の低酸素血症が出現したため当科に紹介となった。経胸 壁心臓超音波検査、胸部 CT で右室流出路狭窄、心室中隔欠損孔を介した右左シャント、肺血流シンチで広範囲楔状血流欠損を認め た。また経食道心臓超音波検査で三尖弁中隔尖に付着する径 1cm 大の可動性構造物を認め、感染性心内膜炎が疑われた。以上から 肺動脈塞栓による右室後負荷上昇に伴い、右左シャントを来したと判断したが、全身状態悪くその後死亡退院となった。剖検のマ クロ像では肺動脈主幹部に明らかな血栓・塞栓像は認めなかったが、三尖弁に疣贅が確認され、ミクロ像では肺動脈に微小疣贅塞 栓を認めた。今回我々は、感染性心内膜炎を契機に右左シャントを介し、難治性低酸素血症を来した心室中隔欠損症の一例を経験 したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 244 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P17-4 感染性心内膜炎における疣腫の特徴- Duke 診断基準陰性群との比較 金森 隆樹 1、上野 剛志 1、吉水 はるな 1、桶家 一恭 2 1 厚生連高岡病院 臨床検査部、2 厚生連高岡病院 循環器科 【背景】感染性心内膜炎の診断には Duke 診断基準が用いられ、Duke 診断基準の大基準2項目の内の1つは心エコー図検査で心内 膜が侵されている所見(疣腫,膿瘍等)を証明することとされている。中でも疣腫は腫瘍・石灰化・弁の変性や断裂した腱索など 他の心臓内構造物との鑑別に苦慮することが多い。【目的】感染性心内膜炎の疣腫を鑑別するにあたって、手掛かりとなるような心 エコー図検査での特徴的所見がないかを検討した。【方法】2011 年 12 月より 2013 年 11 月の 2 年間で心エコー図検査にて疣腫を疑 わせる所見を認めた患者 15 例を対象に Duke 診断基準で陽性群 5 例と陰性群 10 例に分け、疣腫の可動性・大きさ・形状・輝度等に ついて比較検討した。心エコー図検査が依頼された時点で既に抗菌剤が投与されていた症例は除外した。【結果】構造物の可動性は 陽性群では良好が 5 例 (100%)、陰性群では良好が 7 例 (70%)。大きさは陽性群で 5.1 ~ 14.6mm、陰性群で 4.2 ~ 16.4mm。形状は陽 性群で棒状が 3 例 (60%)・楕円球状が 1 例 (20%)・不正形が 1 例 (20% )、陰性群で棒状が 5 例 (50%)・楕円球状が 5 例 (50%)。輝度は 陽性群で弁と同等が 3 例 (60%)・弁より高度が 2 例 (40%)、陰性群で弁と同等が 3 例 (30%)・弁より高度が 6 例 (60%)・音響陰影を伴 うものが 1 例 (10%) であり、両群でこれらの特徴には明らかな差異は認められなかった。【結語】今回の検討では症例数も少なく、 疣腫を鑑別する際の特徴的所見を見出すことはできず、心エコー図検査のみで疣腫を確定することは困難であった。現時点では感 染性心内膜炎の診断には他の臨床情報が必要不可欠と考えられた。 P17-5 経食道心エコー図にてファロー四徴症心内修復術後遠隔期の肺動脈弁置換術後感染性心内膜炎による 疣贅を描出しえた 2 症例 吉敷 香菜子 1、馬原 啓太郎 2、太田 光彦 2、小林 匠 1、小林 智恵 1、稲毛 章郎 1、上田 知実 1、 安藤 誠 3、高橋 幸宏 3、朴 仁三 1 1 榊原記念病院 小児循環器科、2 榊原記念病院 循環器内科、3 榊原記念病院 心臓血管外科 【背景】ファロー四徴症心内修復後遠隔期に肺動脈狭窄や逆流が原因で右室流出路再建術を必要とすることがある。再建術後の右室 流出路は心エコー図では描出が困難なことが多く、感染性心内膜炎を疑いながらも、診断されないまま内科的治療を継続せざるを 得ない症例も少なくない。経胸壁心エコー図では確認できず、経食道心エコー図で疣贅を描出し、感染性心内膜炎と診断しえた症 例を報告する。【症例 1】20 歳代男性。ファロー四徴症、肺動脈閉鎖、主要体肺動脈側副血行路。1997 年に主要体肺動脈側副血行路 の統合手術、1999 年に右室流出路形成術、2007 年に逆流が原因で右室流出路再建術を施行。再び肺動脈逆流が高度となり、2013 年 6 月に肺動脈弁置換術を Magna EASE 25mm を使用し施行。2013 年 9 月下旬より発熱し、2013 年 11 月に入院、経食道心エコー図で、 肺動脈弁前尖に 3.5mm 大の可動性のある疣贅を認めた。肺動脈弁逆流や狭窄はなく、弁周囲の組織は肥厚し、弁周囲膿瘍も否定で きない状態であった。術中所見も同様であり、24mm の 3 弁付き導管で右室流出路再建術を行った。病理所見ではグラム陽性球菌 が集塊をなしていた。【症例 2】30 歳代男性。ファロー四徴症、左上大静脈遺残。1983 年に弁輪温存心内修復術を施行。肺動脈逆流 が高度となり、2013 年 年 11 月 に肺動脈弁置換術を CEP 25mm を使用し施行した。2013 年 12 月上旬に発熱、12 月下旬に入院。 経食道心エコー図で肺動脈弁尖に付着する 15mm の可動性のある疣贅を認め、周囲の肥厚から、弁周囲膿瘍を疑った。軽度の肺動 脈弁逆流と狭窄を認めた。術中所見も同様であり 26mm の 3 弁付き導管で右室流出路再建術を行った。 一般ポスター P17-6 Abiotrophia defectiva を原因菌とする感染性心内膜炎の一例 平林 美智子 1、渡邊 美香 1、米澤 広美 1、轡田 早紀子 1、半澤 秋帆 1、柴田 尚美 1、岩橋 徳明 2、 住田 晋一 1、宮島 栄治 1 1 横浜市立大学附属市民総合医療センター 臨床検査部、2 横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センター 症例は 19 歳女性。2013 年、7 月中旬より微熱出現。近医を受診し非ステロイド性抗炎症薬と抗菌薬を処方された。その後、右手第 1 指、第 4 指、右足の第 4 指の爪の横に発赤・腫脹が認められたが自然に軽快した。しかし 8 月 19 日に 39℃の高熱と頭痛が出現し たため再び近医を受診。心エコー図検査で僧帽弁逸脱と高度の僧帽弁逆流を認めたため、精査目的で当院外来受診となった。当院 心エコー図検査では、僧帽弁逸脱部位に不整形で軟性の塊状エコーが認められ、vegetation が考えられた。血液培養からは Abiotrophia defectiva が同定され、僧帽弁切除術および人工弁置換術の方針となった。Abiotrophia は口腔内常在菌のひとつであり、 本菌による感染性心内膜炎は欧米では viridans streptococci として報告された IE のうちの 5 ~ 6%ともいわれるが、本邦における 報告は少ない。我々は Abiotrophia defectiva による IE と診断された症例を経験したので報告する。 245 第25回日本心エコー図学会学術集会 P17-7 僧帽弁前尖の収縮期前方運動が原因と考えられた感染性心内膜炎を合併した閉塞性肥大型心筋症の 1 例 小林 さゆき 1、酒井 良彦 1、林 亜紀子 1、江口 美知子 1、薬袋 路子 1、虎渓 瑞穂 1、小沼 善明 2、 佐々木 伸二 2、風間 香里 2、澤 朋良 2、高柳 寛 1 1 獨協医科大学越谷病院 循環器内科、2 獨協医科大学越谷病院 臨床検査部 症例は 66 歳、男性。既往歴に抜歯及び外科的治療なし。X 年、仕事中数十秒間の意識消失が出現し、当科受診。聴診上胸骨左縁第 3肋間に LevineIV 度の駆出性収縮期雑音、心尖部に LevineIII 度の汎収縮期雑音を聴取。心エコー図検査にて非対称性肥大 ( 心室 中隔基部壁厚 21mm、左室後壁厚 11mm )、僧帽弁前尖が収縮期全般にわたり心室中隔に接する SAM を認め、閉塞性肥大型心筋症( 左室流出路圧較差 100mmHg )及び高度僧帽弁逆流と診断。数日後呂律緩慢にて当科再診。頭部 CT にて多発性微小梗塞を認め入院。 再度心エコー図検査にて僧帽弁にひも状エコーを認め、感染性心内膜炎と診断。抗生剤開始後、ビソプロロール、シベノールを投 与した。約1週間後の心エコー図検査にて僧帽弁前尖は収縮期に心室中隔に接しない軽度の SAM となり、僧帽弁逆流は著明に改善 し、左室流出路圧較差も 15mmHg に低下した。本例に於ける感染性心内膜炎の原因として SAM による左室流出路の高速血流が疑 われた。また左室流出路圧較差改善後、弁逆流が改善したことから僧帽弁逆流の原因は感染のみならず、SAM が大きく関与してい たと考えられ報告した。 P18-1 持続性心房細動に対するアブレーション治療後の早期左心房リバースリモデリングと心房細動再発と の関係 南波 雄太 1、滝川 正晃 2、池添 友紀 1、工藤 ゆかり 1、伊藤 浩子 1、星野 晃子 1、難波 真砂美 1、 都丸 秀美 1、後藤 登 1、阿部 励一 1、藍田 仁史 1、野口 純男 1、渡 雄至 2、大久保 健史 2、木村 茂樹 2、 高木 克昌 2、桑原 大志 2、疋田 浩之 2、高橋 淳 2 1 国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 中央検査科、2 国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 循環器センター 一般ポスター 【背景 / 目的】近年、心房細動(Af)のアブレーション治療後の再発を予測する種々の因子が報告されているが、持続性 Af に対す るアブレーション治療後の左心房リバースリモデリング(LARR)と Af の再発との関係は未だ明らかではない。今回、術後 3 ヶ月 の早期 LARR と Af 再発との関係を検討した。 【方法】当院で持続性 Af に対し初回アブレーション治療を行った 331 例(60.2 ± 9.2 歳:男性 282 例 , 女性 49 例)を対象とした。経 胸壁心臓超音波検査は術前と術後 3 か月に施行した。術後 3 か月の左心房容量が術前より 15%以上減少する事を、早期 LARR 陽性 と定義した。 【結果】331 例のうち早期 LARR が得られた患者は 201 名(61.7%)で、これらの患者で術前の左心房容量は有意に大きかった(36.5 ± 10.91 ml/mm2 vs. 33.0 ± 11.1 ml/mm2,p = 0.008)。平均観察期間 33 ± 27 か月において、早期 LARR 陽性群 93/201 例 (46.3% )、 早期 LARR 陰性群 77/133 例 (59.2%) に Af の再発を認めた ( = p0.02)。単変量解析では罹患期間(p = 0.002)と左心房容量係数(p < 0.0001)、早期 LARR(p = 0.003) が Af 再発と有意に関連した。多変量解析では罹患期間(p = 0.003 リスク比:1.04 95% 信頼区間: 1.01-1.06)と早期 LARR 陰性 (p < 0.0001 リスク比:2.19 95% 信頼区間 :1.58-3.03)、左心房容量係数 (p < 0.0001 リスク比:1.05 95% 信頼区間:1.03-1.06)が Af 再発と有意に関連した。 【結語】持続性 Af に対するカテーテルアブレーション治療後、約6割の患者において早期 LARR を認め、術後 3 か月に LARR がな い事は Af 再発を示唆する強力な予測因子であった。持続性 Af に対するカテーテルアブレーション術前後の心臓超音波検査の有用 性が示唆された。 P18-2 経食道心エコー検査のカテーテルアブレーションの治療戦略に及ぼす影響 森 智美 1、岡田 昌子 2、北田 弘美 1、小川 恭子 1、寺本 美穂 1、中川 雅美 3、佐伯 一 3、三好 美和 3、 長谷川 新治 3、内藤 雅文 2 1 大阪厚生年金病院 中央検査室、2 大阪厚生年金病院 臨床検査科、3 大阪厚生年金病院 循環器内科 <背景>心房細動のカテーテルアブレーション (PVI) の術前には左心耳・左房内血栓の有無、左房機能および卵円孔開存の有無の確 認を目的として経食道心エコー (TEE) が推奨されている。しかし、TEE の所見が実際の治療戦略にどのような影響を与えているの か、定かではない。<目的>われわれは実際にどのような症例で TEE の結果によって治療方針が変更されているか検討すること。 <方法> 2010 年から 2013 年 11 月末までに PVI 前に TEE を施行した連続 152 例において実際の治療方針に影響を与えた所見につ いて検討した。<結果> TEE を受けた症例の平均年齢は 67 ± 10 歳、男女比は 114 対 38。全体のうち 4 例で、医学的な理由により PVI が一旦延期あるいは中止された。1人は左房内血栓が原因であり、1人は unroofed coronary sinus が新たに診断されたため 、 1人は大動脈閉鎖不全が増悪し、1人は僧帽弁輪石灰化が著明で肺静脈入口部に突出しており治療の際に障害になる可能性があっ たためであった。もやもやエコーは全体のうち 33 例 (22%) に認めたが、実際に PVI が延期や中止されることはなかった。<考察> 禁忌とされている左房内血栓によって治療が延期される症例は 1 例と比較的少なく、合併する疾患のために根治術が必要となるか あるいは、解剖学的異常 ( 突出する僧帽弁輪石灰化 ) などが当院での治療方針変更の主因となった。<結語> PVI 前の TEE におい ては一般的な左房内と卵円孔の観察は必須であるが、経胸壁心エコーで診断できない合併疾患や解剖学的異常が予期せず診断され た場合に治療に影響を与える可能性があり、検査の際に十分に留意する必要がある。 246 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P18-3 持続性心房細動アブレーション治療後の心房細動再発と右心房径との関係 池添 友紀 1、滝川 正晃 2、南波 雄太 1、工藤 ゆかり 1、伊藤 浩子 1、星野 晃子 1、難波 真砂美 1、 都丸 秀美 1、後藤 登 1、阿部 励一 1、藍田 仁史 1、野口 純男 1、渡 雄至 2、大久保 健史 2、木村 茂樹 2、 高木 克昌 2、桑原 大志 2、疋田 浩之 2、高橋 淳 2 1 国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 中央検査科、2 国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 循環器センター 【背景 / 目的】近年心房細動のアブレーション治療後の再発を予測する種々の因子が報告されている。今回、持続性心房細動に対す るアブレーション治療前の右心房径と心房細動再発との関係を統計解析行ったので報告する。 【方法】当院で 2007 年 6 月~ 2009 年 6 月に持続性心房細動に対し初回アブレーション治療を行った 481 例 (59.9 ± 9.6 歳 男性 407 例 女性 74 例 ) を対象とした。 【結果】対象 481 例の平均持続性心房細動持続期間は 3.7 ± 5.4 年で、左心房容積係数は 34.7 ± 12.0ml/mm2、右心房縦径は 56.1 ± 7.2 mm、右心房横径は 37.4 ± 5.8 mmであった。平均観察期間 35 ± 27 ヶ月の観察期間中 233 例(48.4%)に再発を認めた。単変量解 析では持続性心房細動罹患期間 (p < 0.0001)、左心房容積係数 (p < 0.0001)、右心房縦径 (p < 0.0001 リスク比:1.07 95%信頼区間: 1.05-1.09)、右心房横径 (p < 0.0001 リスク比:1.07 95%信頼区間:1.04-1.09) が心房細動再発と有意に関連した。多変量解析では 持続性心房細動罹患期間 (p < 0.0001 リスク比:1.04 95%信頼区間:1.03-1.06) と左心房容積係数 (p < 0.0001 リスク比:1.04 95%信 頼区間 :1.03-1.54) と右心房縦径 (p:0.03 リスク比:1.02 95%信頼区間:1.00-1.05) が心房細動再発と有意に関連した。 【結語】持続性心房細動において、アブレーション治療前の右心房縦径は心房細動再発を予測する因子となりうると考えられ、アブ レーション治療前の経胸壁心臓超音波検査による右心房径の評価の必要性が示唆された。 P18-4 左房側壁 strain は心房細動に対する肺静脈隔離術後の再発予測に有用である:heterogeneous population における検討 安田 理紗子 1、村田 光繁 2、ロバーツ レイチェル 3、徳田 華子 1、鈴木 惠子 1、鶴田 ひかる 1、 木村 雄弘 1、相澤 義泰 1、高月 誠司 1、阿部 貴行 3、福田 恵一 1 1 慶應義塾大学 医学部 循環器内科、2 慶應義塾大学 医学部 臨床検査医学、 慶應義塾大学 医学部 クリニカルリサーチセンター 3 P18-5 慢性心房細動に対する MAZE 手術後の洞調律維持と術前左心耳流速度の検討 小林 淳 1、及川 雅啓 1、黒澤 博之 2、中里 和彦 1、鈴木 均 1、高瀬 信弥 2、斎藤 修一 1、竹石 恭知 1、 横山 斉 2 1 福島県立医科大学 循環器・血液内科学講座、2 福島県立医科大学 心臓血管外科学講座 【背景】心房細動に対する外科的治療として開発された MAZE 手術は、外科用アブレーションデバイスの改良などにより、現在弁 膜症の手術などに合わせて施行されることが多い。MAZE 手術は、心房細動罹患歴が長期間であったり、左房拡大を認める症例で は洞調律へ復することは困難とされているが、明確な適応の基準は示されていない。【目的】今回我々は、MAZE 手術後の洞調律維 持と術前左心耳流速の関連性について検討した。【方法】対象は 2011 年 1 月から 2012 年 12 月まで当院で心臓手術を施行した際に MAZE 手術を同時に施行した慢性心房細動患者 15 名(男 10 名、女 5 名)。術後に洞調律が維持できた群を S 群(n=8)、術後に洞 調律が維持できなかった群を AF 群 (n=9) とした。術前に体表面心エコー図を施行しにて左房径と左房容積 (modified simpson 法 ) を算出、経食道心エコー図を施行し左心耳流速度をパルスドプラ法で測定した。S 群と AF 群での左房径、左房容積指数、平均左心 耳流速について比較した。【結果】対象者の MAZE 手術と同時に施行した手術は僧帽弁形成術 7 例、大動脈弁置換術 3 例、僧帽弁 形成術+大動脈弁置換術 3 例、僧帽弁置換術+大動脈弁置換術 1 例、心房中隔閉鎖術 1 例であった。S 群と AF 群での比較において、 左房径は有意差を認めず、左房容積指数でも有意差を認めなかったが、平均左心耳流速では S 群が AF 群と比較して有意に高値 (30.0 ± 3.3 vs. 20.4 ± 2.3 cm/s, P < 0.05) であった。【結語】左心耳血流は、慢性心房細動に対する MAZE 手術後の洞調律維持を予見す る指標となりうることが示唆された。 247 一般ポスター 【目的】最近、心房細動(AF)に対する肺静脈隔離術(PVI)後の再発予測に左房機能評価が有用であることが報告された。しかし それらは解析のために除細動などの処置を要した症例が多く含まれている。そこで我々は検査時の調律に関わらず左房機能を解析 し PVI 後の再発予測に有用な心エコー指標を同定することを目的とした。 【方法】対象は 2010 年から 2012 年に当院で心房細動に対し PVI を施行し、術前に心エコーをしえた 100 例 ( 発作性心房細動 68 例 と持続性心房細動 32 例 ) で、基本計測値に加えて 2D speckle tracking 法による左房 (LA) strain、LA strain rate を計測し、再発例 と非再発例で比較した。さらにサブ解析として心エコー時に AF であった 50 例 (group AF) と洞調律であった 50 例 (group NSR) に 分けて比較検討した。 【結果】PVI 後 12 か月間の間に 100 例中 26 例 (group AF 15 例、group NSR 11 例 ) が AF を再発した。再発例では LA global strain (LA-GS) と lateral strain (LA-LS) が有意に低く、左房拡張末期容積 (LAEDV) が有意に大きかった。多変量解析では LA-LS と LAEDV のみが独立した再発の予測因子であった。さらに、ROC 解析では LA-LS が最も有効な再発予測因子であるという結果であっ た (AUC:LA-LS 0.84)。また、group AF と group NSR に分けて比較検討した結果、group AF では LA-GS と LA-LS が再発例で有 意に低く、LAEDV が有意に大きいという結果であった。 一方、group NSR では LA-GS と LA-LS は再発例で有意に低かったが、 LAEDV では有意差は認めなかった。 【結論】肺静脈隔離術後の再発予測に LA-LS が有用であり、検査時の調律にかかわらず簡便に解析できることから実臨床における再 発指標としての応用が期待される。 第25回日本心エコー図学会学術集会 P18-6 持続性心房細動から洞調律へ復帰したことによる左房機能の改善を左房ストレイン・ストレインレー トで評価し得た 1 例 田中 伸享、水谷 昌代、高橋 佑弥、石原 弘貴、川上 徹、大野 泰良 一宮西病院 循環器内科 症例は 65 歳男性。検診にて心房細動を指摘され来院し、カテーテルアブレー ションにより洞調律に復帰した。洞調律復帰前、洞調律復帰後早期 (3 日後 )、 遠隔期 (6 か月後 ) の BNP、心エコー所見、心肺運動負荷試験(CPX)デー タの変化について調べた。結果、急性期には BNP が減少、EF、Peak O2 Pluse が増加した。慢性期には、EF は維持され、BNP はさらに低下、Peak O2 Pluse はさらに増加した。加えて左房径・容積が減少し、左房ストレイン・ ストレインレートの改善を認め、AT(VO2) 、Peak VO2 などの運動耐容能 の指標が改善した。このことから心房細動から洞調律に復帰することによっ て、急性期は適切な心拍応答による効果が得られ、慢性期にはさらに左房機能が改善することによる効果が付加されると推察された。 持続性心房細動に対しカテーテルアブレーションで洞調律に復帰することにより、適切な心拍応答による急性期・慢性期効果、左 房機能を改善する慢性期効果が得られ、運動耐用能が改善した症例を経験したので報告する。 P18-7 心房細動アブレーション後の再発予測における左房機能評価の有用性: 3 次元スペックルトラッキン グ法による検討 望月 敦史 1、湯田 聡 2、藤戸 健史 1、川向 美奈 1、村中 敦子 1、下重 晋也 1、橋本 暁佳 1、土橋 和文 1、 三浦 哲嗣 1 1 札幌医科大学 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座、2 札幌医科大学 臨床検査医学講座 【背景】心房細動(AF)に対してカテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術(PVI)が施行されているが、再発例をしばしば認 める。再発予測因子として、年齢、左房径、AF 罹患期間などが報告され、2 次元スペックルトラッキング法(2DS)で計測した左 房機能低下も再発予測に有用とされている。最近、3 次元スペックルトラッキング法(3DS)により左房機能の評価が可能となったが、 PVI 後の再発予測におけるその有用性は不明である。【目的】3DS で評価した左房機能指標によって PVI 後の AF 再発を予測可能か 検討すること。【対象・方法】PVI を施行した 29 例(発作性 AF 20 例、年齢 59 ± 9 歳、男性 23 例、初回セッション 20 例)に対して、 PVI 前に通常の心エコー検査 (Artida)、3DS、および経食道心エコー法を施行し、各パラメータと再発との関連を検討した。なお、 PVI 後 3 ヶ月間の blanking period 後に AF を認めたものを再発と定義した。【結果】観察期間 361 ± 209 日で 5 例(17%)に再発 を認めた。再発群は非再発群に比して、高齢(p < 0.01)、AF 罹患期間が長く(p < 0.01)、血清 BNP(p < 0.01)と左房容積(44 ± 14 vs. 32 ± 8 ml/m2、p < 0.01)は高値、左心耳血流速度は低値(0.29 ± 0.16 vs. 0.49 ± 0.16 m/sec、p < 0.05)、3DS で評価し た左房長軸方向ストレインは低値(7 ± 8 vs. 14 ± 8%、p < 0.05)であり、左房 dyssynchrony 指標は有意に高値(26 ± 8 vs. 18 ± 8%、p < 0.05)を示した。一方、器質的心疾患や高血圧症の有無、2DS による左房長軸方向ストレインは 2 群間で有意差を認めなかっ た。【結論】従来報告されている指標に加え、3DS で評価した左房機能指標は AF に対する PVI 後の再発予測に有用である可能性が 示唆された。 一般ポスター P19-1 肺高血圧を伴った成人心房中隔欠損症例におけるカテーテル治療前後の右心機能評価 渡辺 修久 1、麻植 浩樹 1、木島 康文 2、池田 まどか 1、武本 梨佳 1、坂本 瞳 1、大野 佑子 2、岡田 健 3、 伊藤 浩 2 1 岡山大学病院 超音波診断センター、2 岡山大学 循環器内科、3 岡山大学病院 医療技術部 【背景】心房中隔欠損(ASD)患者における肺高血圧(PAH)の多くは可逆 性で、閉鎖後に収縮期肺動脈圧(sPAP)の有意な低下を認めるとされてい るが、閉鎖前後における右心機能の経時的変化に関する報告はない。【目的】 PAH の有無により、両群間で治療前後における右室径および右心機能の経 時的変化の差異について検討する。【方法】当院にてカテーテル治療を行い、 経胸壁心エコー図にて1ヵ月後の経過観察が可能であった連続 72 症例(nonPAH 群:35 例、ASD-PAH 群:37 例)について、ASE ガイドラインに基づ いた右室径および右心機能評価を行った。【結果】治療にて、両群ともに sPAP は経時的に減少(non-PAH 群:28.7 ± 2.8mmHg → 26.3 ± 6.1mmHg、 ASD-PAH 群:44.6 ± 9.3mmHg → 36.2 ± 9.3mmHg)。右心機能評価は図参照。 【考察】ASD-PAH 群は、non-PAH 群に比較して右室拡大を認めるが、カテー テル治療により、右心機能の低下もなく、non-PAH 群と同様の治療効果が 期待できる。 248 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P19-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術後の左室、右室のリモデリング過程:経胸壁三次元心エコー図をもちいた 検討 木越 紗和子 1、山野 倫代 2、山野 哲弘 2、中村 猛 2、岡部 裕美 1、大塚 明子 1、加藤 ゆず子 1、 坂井 貴光 1、中西 直彦 2、白石 裕一 2、松室 明義 2、白山 武司 2 1 京都府立医科大学付属病院 臨床検査部、2 京都府立医科大学付属病院 循環器内科 【背景】経皮的心房中隔欠損 (ASD) 閉鎖術後の左室、右室リモデリング過程 に関する報告は多くはない。【目的】経皮的 ASD 閉鎖術後の左室、右室リモ デリング過程を経胸壁三次元心エコー図により算出された両室容積から、評 価すること。【方法】2011 年 9 月から 13 年 12 月に経皮的 ASD 閉鎖術を施 行した連続 61 例 ( 女性 48 名 ; 平均 58 ± 19 歳 ) に対し、経時的に三次元心 エコー図を用いて左室、右室容積を評価した。容積算出は EchoPAC ソフト ウェア ( 左室 )、4D RV-Function(TomTec) ( 右室 ) を用いて行った。【結果】 全症例の平均シャント率 (Qp/Qs) は 2.5 ± 0.9、留置デバイスサイズは 21 ± 6mm だった。ASD 閉鎖直後から、左室容積は増加、右 室容積は減少し、その変化は閉鎖 6 か月後も続いていた (Table)。ただその変化は、閉鎖後初期は大きく、閉鎖後 1 か月から 6 か月 では小さくなっていた。【結論】経皮的 ASD 閉鎖術後の左室、右室のリモデリングは、直後から始まり、少なくとも閉鎖 6 か月後 も持続する。 P19-3 成人期に達した修正大血管転移症 6 症例 市田 勝 1、西村 芳興 1、石川 譲治 1、小形 幸代 1、上野 修市 1、河田 政明 2、苅尾 七臣 1 1 自治医科大学循環器内科、2 自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児心臓血管外科 修正大血管転移症は先天性心疾患において1%以下の頻度である。修正大血管転移のみや合併奇形があったとしても機能的に血行 動態のバランスが保たれている症例は,無症状で経過し成人に達すると言われている.今回,我々は成人期に診断された 2 症例と, 小児期に治療を受け通院中止後,異常を指摘され受診となった 1 症例,小児期から定期的に経過を見た 3 症例を経験したので報告 する.区分診断で 5 例が SLL,1 例が IDD であった.受診当初,全症例が無症状であった. ECG 検査では、III と aVF 誘導の QS, V1 と V2 誘導の QS、V5 と V6 誘導の low R 波を示す患者が多かった. 1 例目は 35 歳男性で,三尖弁閉鎖不全症 (TR) に対し弁置 換術が施行された.2 例目は,49 歳女性で,心電図異常で受診し診断されたが,症状なく肺動脈狭窄 (PS) を認めるのみであった.3 例目は,56 歳男性で,小児時期に心臓手術(VSD 閉鎖術と思われる)が行われているが,患者本人は記憶がなく詳細は不明であった. PS と上室性頻拍症の合併を認めた.4 例目は,31 歳女性で,TR と PS があり,心不全を伴った上室性頻拍に対し ablation を行った. 5 例目は,34 歳男性で,房室ブロックと TR に対し,永久ペースメーカー植込み術と弁置換術が行われた.6 例目は,44 歳女性で軽 度 TR を認めた.6 症例の診断、経過観察は心エコー検査で行ったが,一部の症例で形態学的評価に3D-CT 検査は有用であった. 合併症には TR や房室ブロックと上室性頻拍症の不整脈を認めた.弁置換術例以外で PS を伴う例が多く、心不全の予防に効いてい ると推測された.成人期の本症は今後も合併症の出現に注意しながら経過観察していく必要があると考えられた. 一般ポスター P19-4 Double inlet left ventricule を指摘された 40 歳代男性の一例 高桑 蓉子 1、岩瀬 正嗣 2、曽根 希信 1、奥山 龍之介 1、宮城 芽衣子 1、椎野 憲二 1、高田 佳代子 1、 杉本 邦彦 3、加藤 靖周 1、尾崎 行男 1 1 藤田保健衛生大学 循環器内科、2 藤田保健衛生大学 医療科学部 医療情報学科、3 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 症例は 40 代男性、幼少期に心室中隔欠損 (VSD) を指摘され近医にて定期的に診察を受けていたが、特に自覚症状なく経過していた。 18 歳より通院を自己中断、平成 25 年他院を受診した際に心エコー図検査で、単心室を指摘され、精査目的で紹介となった。来院時、 身長 165cm、体重 55kg、頚静脈怒張なし、胸部聴診上胸骨左縁で Levine3 度の全収縮期駆出性雑音を聴取、2p 音亢進なし、肝脾腫 触知せず、下腿浮腫なし、チアノーゼなし、バチ状指なし。心電図は洞調律、右軸偏位と不完全右脚ブロックを認め、胸部レント ゲン写真にて心胸郭比 52%、左第 2 弓の拡張なし、胸水なく、肺うっ血も認めなかった。経胸壁心エコー図検査で左室は正常サイ ズで、動きも良好で大動脈につながり、右室は低形成で肺動脈につながり、大動脈弁、肺動脈弁とも正常で、小さな VSD には軽度 の左右シャントを認め、三尖弁は両心室へ開口、僧帽弁は左室へ開口し、両大血管が正常な位置関係である double inlet left ventricle(DILV)、いわゆる Holme’ s heart と診断し、解剖学的な位置関係は MRI でも確認された。コントラストエコー上、右房か ら右室と左室への流入血流はほぼ同等であった。DILV は両心房が左室へと開口する稀な先天性心疾患であり、チアノーゼを呈し、 外科的修復術を行わずに成人迄達するには適度な肺動脈弁狭窄を合併することが必要である。本症例は、三尖弁が両心室へほぼ同 等に開口していたため、適度な肺血流が保たれて、外科的処置を受けることなく、40 代までほぼ無症状で経過したと考えられ、貴 重な症例と考えて報告する。 249 第25回日本心エコー図学会学術集会 P19-5 健診にて心拡大を指摘され、経胸壁心エコー図検査を契機に左側相同、多脾症候群の診断に至った一 例 今井 道生、山本 博之、木田 公裕、平井 康富、橋村 一彦 阪和記念病院 心臓血管センター 症例は 36 歳女性 2 児の母。163cm、62kg。これまで無症状で経過。健診時の胸部レントゲンで右第 2 弓の拡大を認め、当院紹介。 心電図は心房調律で徐脈は認めず。経胸壁心エコー図検査を施行し、CS 拡大、IVC 欠損、肝静脈の RA への開口、SVC 退縮を認め た。CS 拡大を認めた為、生食バブルコントラスト心エコー図検査を施行し、PLSVC を確認。軽度右心系は大きめであったが、 TR1/4、TR-PG は 30mmHg 程度で、軽度肺高血圧を合併している可能性も考えらえたが、明らかな心内奇形は認めなかった。胸部 レントゲン上胃泡は左側に認めた。後日造影 CT 検査を施行。奇静脈は拡大、多脾症を合併、右肺が二葉化し、両側の主気管支の長 さが同程度であった。PV は 4 本 LA への流入を認めたが、unroofed coronary sinus に関してははっきりしなかった。後日経食道心 エコー図検査を施行。心耳や肺静脈には明らかな異常は認めず、unroofed coronary sinus を含めた心内シャントも認めなかった。 最終カテーテル検査の為に入院となり、冠動脈には異常を認めず、IVC 欠損、半奇静脈拡大を認めた。右心カテーテルも施行し、 PA36/19/27mmHg、mRA15mmHg と CVP が軽度高値で、軽度肺高血圧を認めた。O2 step up は認めず、シャント疾患を示唆す るような Qp/Qs の異常も認めなかった。以上より左側相同、多脾症候群、軽度肺高血圧の診断で小児科へ紹介となった。心内奇形 を伴わない左側相同、多脾症候群の一例を経験したので報告する。 P19-6 健診を契機に診断、高齢発症した大動脈弁下膜性狭窄の一例 武田 恵美子 1、戸井田 玲子 2、田中 浩喜 2、増元 大祐 2、福田 智子 2、黒木 建吾 2、小山 彰平 2、 井手口 武史 2、鬼塚 久充 2、鶴田 敏博 2、石川 哲憲 2、岡山 昭彦 3、北村 和雄 2 1 宮崎大学 医学部 検査部、2 宮崎大学医学部 第一内科、3 宮崎大学医学部 膠原病感染症内科 【症例】82 代女性【現病歴】生来健康であった。2008 年 (77 歳 ) に健診で心電図異常 (V4-6 陰性 T 波 ) を指摘、軽度の労作時呼吸苦 も自覚していたことから近医を受診、その際に左室肥大、左室流出路狭窄 ( 最大圧較差 35mmHg) を指摘され、βブロッカーを内服 開始した。以後は症状なく経過していたが、2013 年 2 月頃より炊事等の軽労作で息切れを自覚するようになり、下腿浮腫も認めた ために精査加療目的で当科に紹介入院となった。経胸壁、経食道心エコー図検査では左室肥大、軽度の大動脈弁逆流、僧帽弁逆流、 軽度の肺高血圧の他に、左室流出路に線維性隆起構造物による狭窄 ( 最大圧較差 94mmHg) が確認でき、大動脈弁下膜性狭窄 (discrete subaortic membrane) と診断した。また、その他の先天性奇形は確認できなかった。βブロッカーの増量後も、心臓カテーテル検査 では、左室流出路圧較差は 40mmHg、バルサルバ負荷にて 50mmHg と高値であり、その後も改善が得られなかったために、膜様構 造物切除術を考慮する必要性が考えられたが、本人の同意が得られずに内科的治療にて経過観察を行う方針となり、退院となった。 【考案】老年期に呼吸苦で発症し、初めて診断された大動脈弁下膜性狭窄の一例を経験した。大動脈弁下膜性狭窄は先天性心疾患の 一つであり、その圧格差は成人期以降に増悪する例も報告されている。本症例は他の合併心疾患がなく無症状であったことから老 年期に至るまで診断されていなかったと考えられた。 一般ポスター P19-8 僧帽弁上狭窄輪切除後約 30 年後にパラシュート僧帽弁合併が判明し、リアルタイム 3D 経食道心エ コーが診断に有用であった一例 宮本 敬史 1、白崎 圭輔 1、堤 穣志 1、村上 彰通 1、神嶋 敏子 2、柳 弘子 2、大塚 伸子 2、大久保 輝男 2、 豊岡 郁子 2、石川 哲也 1、武藤 誠 1 1 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科、2 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 検査技術部 [はじめに]パラシュート僧帽弁は極めて稀な先天性弁膜症であり、単一の乳頭筋に腱索が集約されている様から名付けられた疾患 である。今回僧帽弁上狭窄輪切除後約 30 年後に僧帽弁狭窄症 (MS) による息切れで発見されたパラシュート僧帽弁の症例を経験し たので報告する。[症例]32 才女性。3 歳時に僧帽弁上狭窄輪切除と心室中隔欠損閉鎖術を受けている。息切れは以前からあり、僧 帽弁狭窄症の診断で過去に他院で僧帽弁交連部切開術 (PTMC) を受けているがあまり効果は認められなかった。今回息切れがひど く当院受診。経胸壁心エコー上、EF は 60%以上で Pressure half time 法で MVA 1.0cm ⊃ 2; と重度の MS を認めた。また、三尖弁 逆流から求める推定右室圧は 68mmHg で、残存 VSD や他のシャント疾患もバブルテストで否定的であり、MS による肺高血圧と考 えられた。後乳頭筋は小さく、前乳頭筋に腱索が集約されていたためパラシュート僧帽弁が疑われ、経食道心エコーを施行。リア ルタイム 3D エコーにより腱索が前乳頭筋に集約され、視覚的にもパラシュート状に弁が開放している様を観察することができた。 また、3D から切り出した弁口面積では MVA 0.8cm ⊃ 2; であり、やはり重度の MS であった。パラシュート僧帽弁に合併しやすい 僧帽弁上狭窄輪があったことから、Shone Complex であったと推察された。その後他院に転院となり僧帽弁置換術(機械弁)を施 行されている。[まとめ]先天性心疾患術後の多くは経過観察の必要の無い根治手術とは限らず、しばしば合併症や残遺症を伴うこ とは良く知られている。今回、先天性心疾患フォローにあたり教訓的な症例を経験したので考察を加えて報告する。 250 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P20-1 ファロー四徴症の長期予後および心エコー図所見 高橋 佑典 1、三宅 誠 1、泉 知里 1、松谷 勇人 2、桑野 和代 2、橋和田 須美代 2、芳川 裕亮 1、 天野 雅史 1、羽山 友規子 1、大西 尚昭 1、田巻 庸道 1、榎本 操一郎 1、近藤 博和 1、田村 俊寛 1、 貝谷 和昭 1、中川 義久 1 1 天理よろづ相談所病院 循環器内科、2 天理よろづ相談所病院 臨床検査部 【序文】ファロー四徴症根治術後患者の術後長期遠隔成績について、心エコー図検査を中心に検討した。【方法 / 結果】1985 年 4 月 から 1994 年 3 月までの 10 年間に当施設で 20 歳未満に根治術を行ったファロー四徴症患者のうち、フォローアップ可能であった 81 例を対象とした。追跡期間の平均値は 22 年であった。実測生存率は 93.7%、累積非手術率は 87.3%、Event free rate は 77.2%であっ た。遠隔期に心エコー図検査を施行された 44 名の心エコー図を検討した。追跡期間中に大動脈基部拡大を伴う中等度以上の大動脈 弁閉鎖不全症を 2 例で認めたため、いずれも Bentall 手術が施行されていた。また中等度以上の肺動脈弁閉鎖不全症を 3 例で認めた ため、いずれも肺動脈弁置換術が施行されており、5 例が中等度以上の肺動脈弁狭窄症を認めたため、経皮的肺動脈形成術を施行さ れていた。それ以外に 22 例が中等度以上の肺動脈弁閉鎖不全症を認め、8 例が中等度以上の肺動脈弁狭窄症を認めており、経過観 察されている。【結論】ファロー四徴症の根治術後の遠隔期の死亡例は極めて少ないが、無症状でも中等度肺動脈弁狭窄症や中等度 肺動脈弁閉鎖不全症を多数の症例で認めるため、肺動脈弁置換術を含めた再手術のリスクは残存している。 P20-2 心室中隔欠損症と肺動脈弁狭窄を合併した修正大血管転位症の肺動脈弁狭窄進行に対しバルーン弁形 成術を行った 1 剖検例 平山 園子 1、粟野 孝次郎 1、大橋 佳隆 1、江尻 純哉 1、加藤 裕生 1、山脇 康平 1、平石 真奈 1、 柏木 大嗣 1、兵庫 聖大 1、上原 慶一郎 2 1 北播磨総合医療センター 循環器科、2 神戸大学医学部付属病院 病理部 症例:78 歳男性。主訴:労作時呼吸困難と末梢チアノーゼ。病歴:1980 年、他院で心室中隔欠損症 (VSD) と肺動脈弁狭窄症 (PS) を 合併した修正大血管転位症 (cTGA) と診断。保存的治療の方針にて近医で HOT 導入され経過観察中であった。2006 年 2 月、心原性 ショック状態で当院救急外来へ搬送。その後も心不全のため入退院を繰り返した。2010 年 4 月の経胸壁心エコー図検査では解剖学 的右室 (aRV) の EF61%、両方向性の VSD シャントを認め、三尖弁閉鎖不全 2 度、ドプラ心エコー図検査で右房 - 解剖学的左室 (aLV) の圧較差 53.9mmHg、aLV -肺動脈 (PA) 圧較差 67mmHg の所見。2010 年 10 月、心不全増悪時の心エコー図所見で肺動脈弁の輝度 増強と aLV-PA 圧較差 117mmHg と肺動脈弁狭窄の進行が指摘。肺動脈弁狭窄の進行が繰り返す心不全の原因と考え、肺動脈弁狭 窄症に対しバルーン弁拡大術を施行。術後の心エコー図検査所見では、三尖弁閉鎖不全 2 度、aLV-PA 圧較差 78mmHg と軽減を認 めたが、RA-aLV 圧較差が 88.8mmHg と上昇。CPX 所見で、peakVO2 の著明な低下、運動開始時に PETCO2 の低下がみられシャン トの増悪が示唆された。その後次第に体動時の低酸素状態やチアノーゼは増悪し、心エコー図検査で aLV-PA 圧較差の拡大、CPX 検査で peakVO2 及び運動開始時の PETCO2 の低下を認めた。2012 年 10 月、心不全増悪のため入院。薬物治療で心不全は軽快認めた が、脳血栓塞栓症発症、尿路感染症による敗血症、DIC のため第 87 病日に死亡の転帰となった。病理解剖では 3 尖が融合した肺動 脈弁を認め、弁としての機能不全が疑われた。保存的に経過観察された VSD と PS を合併した修正大血管転位症の症例を経験した ので報告する。 一般ポスター P20-3 7回目の脳梗塞で入院した、心房中隔瘤の1例 小野 和重 1、関根 泰 2、井上 陽子 1、村田 尚行 1、國金 正宏 1、時政 聡 2、藤巻 晴香 2、葛 備 2、 濱 義之 2、田中 秀造 2、外池 範正 2、芳生 旭志 2、松戸 裕治 2、山本 雅史 2、氷見 寿治 2 1 君津中央病院 生理検査部、2 君津中央病院 循環器科 症例は74歳女性。12年前に初回の脳梗塞を発症し、以後、症状の乏しい 小さな脳梗塞の再発が確認されていたが、今回7度目の脳梗塞で入院となっ た。入院時は洞調律で、心房細動の既往はなかった。塞栓源精査のため経胸 壁心エコー図検査(TTE)及び、経食道心エコー図検査(TEE)を施行した。 TTE で左心機能は正常、有意な弁膜症はなく、心内に血栓、塞栓を疑う所 見はなかったが、心房中隔瘤を認めた。TEE でバブルテストを施行したと ころ、数心拍遅れて左房内にバブルが確認された。右左短絡による奇異性塞 栓症精査のため造影 CT 検査が施行され、肺動静脈瘻が確認された。再発性 脳梗塞の原因と考えられ肺動静脈瘻を外科的切除した。切除後、術中 TEE で心房中隔瘤は消失、バブルテストでも短絡は認められなかった。心房中隔 瘤は独立した脳梗塞のハイリスクとして知られている。肺動静脈瘻切除術後 に心房中隔瘤の消失を確認できた、稀な症例と考えられ、報告する。 251 第25回日本心エコー図学会学術集会 P20-4 アドリアマイシン心筋障害による心不全改善に伴い肺体血流比が変化した心房中隔欠損症の一例 滝口 舞、及川 雅啓、清水 竹史、鈴木 聡、小林 淳、八巻 尚洋、國井 浩行、斎藤 修一、 竹石 恭知 福島県立医科大学 医学部 循環器・血液内科学講座 症例は 60 歳台の男性。胆嚢線維肉腫に対して 2011 年 11 月よりアドリアマイシン、イホマイドによる化学療法が開始された。2012 年 9 月の心臓超音波検査では、左室収縮能は保たれていたが、2013 年 4 月までにアドリアマイシンが計 778 mg/m2 投与された。同 時期より労作時息切れの増悪、BNP 値の上昇を認めたため同年 6 月当科紹介となった。胸部 X 線にて心拡大と軽度肺うっ血を認め、 心臓超音波検査では右心系拡大を伴う両心室の収縮不全、心室中隔奇異性運動、肺体血流比 1.76 を示す二次孔欠損による心房中隔 欠損症を認めた。心不全加療のため入院となりドブタミン持続点滴と ACE 阻害薬、β遮断薬の投与による加療を行い、BNP 値は 低下し、心不全症状は改善した。それに伴い、心臓超音波検査では心室中隔奇異性運動の改善と拘束障害型から偽正常型への左室 流入血流波形の変化を認め、肺体血流比も 1.3 へと改善を示した。心不全急性期においては、アドリアマイシン心筋障害により上昇 した左房圧が、左→右シャントを増加、肺体血流比の上昇をもたらしたが、心不全の改善に伴い左房圧が低下し、肺体血流比の改善、 右室容量負荷が減少したと考えられた。左心系障害が心房中隔欠損症の血行動態に与える影響を考える上で興味深い一例と考え報 告する。 P20-5 卵円孔開存の診断における 3D 経食道心臓超音波検査の有用性について 臺 和興、河越 卓司、森田 裕一、島本 恵子、須澤 仁、松井 翔吾、橋本 東樹、播磨 綾子、 大井 邦臣、岡 俊治、中間 泰晴、西岡 健司、三浦 史晴、嶋谷 祐二、井上 一郎 広島市立広島市民病院 循環器内科 近年脳梗塞の原因として奇異性脳塞栓症が注目されており、卵円孔開存 (PFO) の評価が重要である。心臓超音波検査にて Valsalva 手技を行いながら コントラストエコーを施行し、Valsalva 手技解除後数心拍以内に左房内への バブルの流入が観察できた場合に PFO 陽性と診断するのが一般的であるが、 PFO と肺内シャントを厳密に鑑別することは困難である。経胸壁心臓超音 波検査と異なり 2D 経食道心臓超音波検査(TEE)では心腔内のより詳細な 観察が可能であり、左房内に流入するバブルが心房中隔を経由しているかど うかを確認することでその鑑別が可能である。しかし 2DTEE では一つ或は 二つの断面スライスでの観察となるため、バブルがその平面を通過しなかっ た場合にはその鑑別が困難となることがある。最近登場した 3DTEE では奥 行きをもった心腔内の一定の空間を描出することができるため、バブルの左 房内への流入部位を 3 次元画像上で同定することが可能であり、PFO と肺 内シャントの鑑別において非常に有用である。3DTEE が PFO の診断におい て非常に有用であった症例を呈示しその有用性について検討する。 一般ポスター P20-6 心房中隔瘤に心房中隔欠損を認めた二症例 浅川 雅子 1、大竹 睦美 2、小野寺 一義 2、若井 布由子 1、青柳 貴 1、森崎 倫彦 1、碓井 伸一 1、 杉下 和郎 1、安喰 恒輔 1、高橋 利之 1、大塚 憲 3、村田 将光 3、鎌田 聡 3 1 JR 東京総合病院 循環器内科、2 JR 東京総合病院 臨床検査科、3 JR 東京総合病院 心臓血管外科 症例1 50 歳代女性 検診の胸部レントゲンで肺動脈拡張を指摘、サルコイドーシス疑いで呼吸器内科受診。経胸壁心エコー(TTE) では、Dd/Ds 41/26mm、EF 66%、右心系は目立つ印象だったが推定右室圧の上昇はなし、右房に突出する心房中隔瘤(ASA) と心房中隔(IAS)に複数のシャントシグナルを認め、Qp/Qs 1.1 だった。経食道心エコー(TEE)は、ASA 部に 5 つの心房中隔 欠損 (ASD) の孔を認めた。心カテでは上・下大静脈から右房で O2 step up あり、Qp/Qs1.54、手術となった。手術当日開胸直前に 3D エコーを施行、欠損口は 6 つと診断した。手術では、ASA 部にはそれぞれがしっかりした縁をもつ孔が確認され、パッチ閉鎖 術を施行した。症例2 40 歳代女性 偏頭痛で専門医通院中。人間ドックで ASD 疑いの精査指示あり当科受診。心音異常なし、 CTR40%、肺動脈拡張なし、心電図は洞調律、心拍数 57/ 分、TTE は、Dd/Ds 42/28mm、EF62%、ASA を認めたが、シャントシ グナルは認めず。TEE では ASD シグナルが確認でき、Qp/Qs1.1 だった。現在偏頭痛の専門治療を受けており、経過によっては ASD 閉鎖術にむけて精査を進める予定である。 考察:当院では 2013 年 1 年間に経胸壁心エコーを 2516 件施行、13 例に ASA を 認め、そのうち 2 例は TTE、1 例は TEE で合計 3 例の ASD を認めた。ASA は大きく 2 型に分かれ、多くは卵円窩レベルの IAS が局所的に嚢状変形し、左房、右房または両房に突出する状態である。TTE の約 0.2-2% に認め、卵円孔開存や ASD の合併が多く、 それに伴う奇異性塞栓や偏頭痛、血栓形成などとの関連が注目される病態である。当院で経験した二症例を中心に、文献的考察を 加え報告する。 252 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P21-1 糖尿病母体児の心機能の検討 丸山 麻美、佐藤 有子、市橋 光 自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科 【目的】糖尿病母体児(IDM)では約 5-30% に非対称性心筋肥厚を認め、正常新生児に比較し心拡張能の低下が認められたという報 告もあるが、その結果は一定していない。今回、組織ドプラ法や Diastolic wall strain (DWS) などの新たな指標も考慮して、糖尿病 母体児の心機能を検討した。【対象と方法】当センター NICU に入院した IDM 群 31 例(1 型糖尿病 4 例、2 型糖尿病 5 例、妊娠糖 尿病 22 例)と、在胎週数、出生体重を一致させた control 群 39 例の 2 群を対象とし、出生当日に行った心エコー検査結果を後方視 的に検討した。【結果】IDM 群で拡張期心室中隔壁厚(IVSd)が 6mm を超える心筋肥厚は 5 例(16.1%)だった。IDM 群と control 群の比較では、IVSd は IDM 群で有意に肥厚していた (4.8 ± 1.5mm vs 4.0 ± 1.0mm, p < 0.05)。拡張期左室後壁厚は、両群間で差 はなかった。収縮機能の指標である収縮率や Tissue mitral annular displacement (TMAD)、僧帽弁輪部の組織ドプラ波形の S 波は、 両群間で差はなかった。拡張機能の指標である E/e’ は、IDM 群で有意に高かった(14.0 ± 3.5 vs 12.1 ± 2.9, p < 0.05)。心筋 stiffness の指標である DWS には両群間に有意差はなかった。また、IVSd と DWS の間にも、相関はなかった。【結論】IDM では心 室中隔の壁肥厚を認め拡張機能障害が示唆されるが、心筋の硬さには異常がみられない。 P21-2 胎児心エコーが有用であった先天性右室憩室の一例 面家 健太郎 1、寺澤 厚志 1、平田 和裕 1、桑原 秀次 1、所 訓子 1、後藤 浩子 1、桑原 直樹 1、 岩垣 重紀 2、桑原 尚志 1 1 岐阜県総合医療センター 小児医療センター 小児循環器内科、2 長良医療センター 産科 【はじめに】先天性心室憩室は非常に稀な疾患であり、また多くが左室に存 在し、右室憩室の報告は少ない。今回、先天性右室憩室と考えられる症例を 経験したので報告する。【症例】在胎 32 週 5 日。在胎 24 週時、近医産科に て胎児心臓異常を疑われ、近医産科病院を紹介受診。同院にて右心室瘤が疑 われ、精査目的で当院紹介。初診時:CTAR 35%, TCD 36mm. 右室腔内に 右室腔とほぼ同サイズの瘤状構造を認めた。同部は右室他領域と同時相での 収縮拡張を認めるため、壁心筋構造が維持されていると判断し、右室憩室と 診断した。右室流入流出の障害は認めず、右心不全症状も認めないため、予 定帝王切開などは不要と判断した。在胎 37 週 6 日 , 自然分娩にて出生。 2615g, Apgar score 8/1 分 , 9/5 分。出生時経胸壁心エコーでも胎児心エコー と同様の所見であり、憩室部の収縮を認めた。生後、心由来症状を認めず、 外来フォロー中である。【考察・結論】出生後の経胸壁心エコーでは右室自 由壁側はエコー画像が取得しにくい部分であり、胎児期の所見は出生後の継 続観察に有用であった。 一般ポスター P21-3 Tracking of mitral annular displacement を用いた先天性心疾患における左室収縮能の評価 木村 純人、安藤 寿、北川 篤史、本田 崇、高梨 学、峰尾 恵梨、石井 正浩 北里大学 医学部 小児科 【背景】Tracking of mitral annular displacement(TMAD) は speckle tracking 法を応用し、僧帽弁輪 - 心尖間における輝点の移動距 離を計測、左室長軸方向の収縮能を評価することができる。その原理上角度依存性がなく、輝点の設定が簡便なことから再現性が 高い検査として考えられている。今回 TMAD を用いて小児先天性心疾患患者の左室長軸方向の収縮能を測定し、心臓カテーテル検 査にて得られた左室収縮能と比較検討を行った。【方法】症例は複雑型心奇形を含む先天性心疾患患者 8 名。予定心臓カテーテル検 査当日に画像を収集した。超音波診断機材は Philips 社製 IE 33、プローベは S5 または S8 プローベを使用した。解析には同社製 Qlab 9.1 software を使用した。仰臥位にて2D エコーを施行。心尖四腔像を描出し、僧帽弁輪中隔側、側壁側及び左室心尖部の 3 点に輝点を設定し TMAD を解析。TMAD で得られた midpoint displacement と心臓カテーテルによって得られた LVEF を比較した。 【結果】TMAD midpoint displacement 平均値 21.2% (SD ± 7.93) であり、心臓カテーテルにより得られた LVEF( 平均 67.2%、SD ± 7.83) と有意な相関を得た (R=0.73、P < 0.01)。術後症例や複雑型心奇形による画像精度の低下が散見されたが、全例で TMAD 解 析が可能であった。【結語】TMAD より算出した左室長軸方向収縮能は心臓カテーテル法にて得られた LVEF と有意な相関が得ら れた。検査手技が簡便で角度依存性を持たない本法は、形態的に複雑な先天性心疾患における左室収縮能の測定に有用である。 253 第25回日本心エコー図学会学術集会 P21-4 当院における胎児心臓超音波検査の正診率の検討 小田中 豊、瀧聞 浄宏、安河内 聰、田澤 星一、斎川 裕子、蛯名 冴 長野県立こども病院 循環器小児科 【はじめに】先天性心疾患における出生前診断は、重症先天性心疾患の救命率や手術成績の向上につながることが報告されており非 常に重要であるが正診率については報告がない。 【目的】当院における胎児心臓超音波検査における診断の正診率を検討すること。 【対 象と方法】対象は当院で 2006 年から 2012 年までの間における胎児心臓超音波検査(697 例)を施行し、子宮内死亡や調査不明であっ たものを除外した 632 例。カルテを後方視的に検討し、胎児での診断と出生後における診断を比較検討し、Major な診断の間違い ( 手 術や緊急入院にかかわるような場合を含め治療方針決定にかかわるような因子 ) と Minor な診断の違い ( 治療方針に関与しない ) に 分類した。【結果】Major な診断の間違いは 10 例で Minor な診断の違いは 36 例。Major な診断の違いをのぞくと正診率は 98% で、 診断と全く一致していたのは 586 例で正診率は 93%。Major なもののうちわけは大動脈肺動脈窓、総肺静脈還流異常症、ファロー 四徴症、大動脈離断症 + 大動脈閉鎖症、心室中隔の大欠損症、左心系単心室症が各1例、大動脈離断症、肥大型心筋症が各2例、 Minor なものは筋性部の心室中隔欠損症、大動脈縮窄症の有無、軽度の肺動脈狭窄や大動脈狭窄などの弁狭窄などであった。【考案】 当院における胎児心臓超音波検査の正診率は 98% と非常に高く、出生後の治療方針を決定する上で非常に有効であると考えられた。 しかし、大動脈肺動脈窓や心筋症、大動脈縮窄症など胎児診断が難しい症例もあり出生後に complete study にしなければならない と考えられた。【結語】当院における胎児心臓超音波検査の診断率は非常に高く出生後の治療方針決定に有効であると考えられた。 P21-5 先天性心疾患に対する心エコーによる左房評価 岩島 覚、石川 貴充 浜松医科大学 小児科 【目的】先天性心疾患乳児において心エコーを用い、左房機能を評価し各種パラメーターとの相関を検討する。【対象】当院小児科 に入院した男児 6 例、女児 5 例。平均年齢 4 カ月 (3 か月 ,2 か月~ 9 か月 )、体重 5.52kg(5.20kg 3.84kg ~ 8.kg), 体表面積 0.29m2 (0.29m2 0.22 ~ 0.39m2)。VSD10 例 , PDA1 例の左右短絡を認める先天性心疾患症例計 11 例。【方法】左房評価の指標は Philips 社 QLAB ソ フトを用い 3D エコーによる LA volume と 2D speckle tracking を用い LA global strain (LAS, %) を計測した。LA volume は LA max(ml/ m2), LA min(ml/m2), LAVtotal (LAmax―LA min, ml/m2) を 用 い、LAS は 心 尖 部 よ り 四 腔、 三 腔、 二 腔 断 面 よ り longitudinal strain を求め三断面の平均を LAS (%) とした。これらの指標と心エコー、心カテで得られる各種指標との相関について 検討した。 結果は平均 ( 中央値 , 最少~最大)範囲で示し p 値 0.05 未満を有意差ありとした。【結果】LAmax は 19.6 (19.3, 8.31 ~ 36.3), LA min は 9.6 (9.6 , 2.9 ~ 21.2), LAtotal は 9.9(9.1, 3.3 ~ 21.2), LAS 39.6(38.0, 25.6 ~ 54.3) であった。LAmax, LAmin,LAVtotal とも Qp/Qs(r=0.900, r=0.791, r=0.782, p < 0.01), 左右短絡率 (r=0.736, r=0.655, r=0.618, p < 0.01) と有意な正相関を認めた。LAmax と LAVtotal は PV flow S/D ratio (r=0.717, r=0.767, p < 0.05) と有意な正の相関関係を認めた。拡張能の指標とは相関を認めなかっ た。LAS は LV global strain (%)(r=0.900,p=0.001) と正相関を認めた。【結論】左右短絡を有する先天性心疾患において左房のリザー バー機能は比較的保たれていると思われた。3D エコーによる LA volume の評価は Qp/Qs, 左右短絡率等を反映する有用な指標であ る。 一般ポスター P21-6 福山型筋ジストロフィー患者の心機能評価 ―β遮断薬の効果について― 森 浩輝、富松 宏文、清水 美妃子、篠原 徳子、石井 徹子、杉山 央、稲井 慶、中西 敏雄 東京女子医科大学病院 循環器小児科 【背景】筋ジストロフィー患者において心不全は死因の主要な要因の一つである。β遮断薬は Duchenne 型・Becker 型筋ジストロ フィー患者における心収縮性低下を改善することが知られている。福山型筋ジストロフィーに合併する心筋障害に対する有効性に ついての報告は少ない。【対象】2001 年 1 月から 2013 年 12 月までに当院で心エコーを施行した福山型筋ジストロフィー患者【方法】 心エコー所見の経年変化を後方視的に検討した。検討 1:β遮断薬非内服群で各パラメーターの自然歴を検討。検討 2:β遮断薬内 服群で内服前後での各パラメーター経時変化を検討。検討項目は左室拡張末期容積 (LVIDd)、左室後壁厚 (LVPWd)、左室収縮率 (LVSF)、心係数 (Teichholz 法から推定 )、E/e’ とした。【結果】β遮断薬非内服 13 人 (9 ± 6 歳、男 5 人、女 8 人 )、β遮断薬内服 16 人 (13 ± 5 歳、男 8 人、女 8 人、観察期間は 3.5 ± 2.0 年 )。検討 1:LVIDd は年齢と相関を示さなかった (35 ± 4mm)、LVPWd、E/ e’ も年齢と相関を示さなかった。LVSF は年齢と負の相関を示し (R=-0.7、p < 0.05)、安静時心拍数も年齢と負の相関を示した (R=-0.8、 p < 0.01)。心係数は経年的に低下していた (R=-0.9、p < 0.001)。検討 2:β遮断薬導入前後で LVIDd、LVPWd、LVSF、E/e’ 、心拍 出量には有意な変化を認めなかった。【結論】福山型筋ジストロフィーにおいても他の筋ジストロフィー同様に進行性の左室収縮障 害がみられた。β遮断薬内服によりその進行を抑制する可能性がある。 254 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P21-7 胎児重症大動脈弁狭窄症の左心室機能評価について 石井 徹子、富松 宏文、中西 敏雄 東京女子医大病院 循環器小児科 背景 重症大動脈弁狭窄症(sAS)の治療方針は、左心室(LV)の大きさと機能により、LV を用いた 2 心室修復と、LV を用いな い単心室修復に分かれ周産期管理も異なる。このため、胎児期から正確な LV の評価が重要である。とくに重症僧帽弁逆流を合併す る場合には、LV の機能の評価は困難になる。目的出生後異なる経過を示した sAS について、その胎児期の経過から治療方針決定 に有用な情報となる指標を考案することを目的とした。対象・方法対象は胎児心エコーで経過を追うことのできた sAS で、症例 1.2 心室修復例、症例 2. 当初 2 心室修復を目指し、経過中に単心室修復へ方針転換を余儀なくされた例、症例 3. 当初から単心室修復を 目指した例、の 3 例である。方法は四腔断面における LV 面積、左心房(LA)面積、LA 面積 /LV 面積比、LV 長径の標準偏差(SD) の時間経過を検討した。結果症例 1 では LV、LA 面積は経過とともに増加し、LV 長径は 1.0SD で経過した。これに対し症例 3 は LV、LA 面積とも変化なく、LV 長径の SD は経過とともに低下した。症例 2 は LV 長径は経過とともに徐々に増大したものの、そ の SD は正常下限 -1.0SD で推移した。さらに、LA 面積はわずかに増加したのに対し、LV 面積はほぼ増大はなく経過し、経過中を 通して LA 面積 /LV 面積比は1を超えていた。 P22-1 僧帽弁狭窄兼逆流症を生じた左房内悪性腫瘍の一例 神田 貴史 1、渡部 徹也 1、藤田 雅史 1、粟田 政樹 1、飯田 修 1、岡本 慎 1、石原 隆行 1、南都 清範 1、 水上 雪香 1、横田 武典 2、戸田 道仁 2、岩田 隆 2、三浦 拓也 2、上松 正朗 1 1 関西労災病院 循環器内科、2 関西労災病院 心臓血管外科・呼吸器外科 【症例】40 歳代女性 .【既往歴】10 歳代時に虫垂炎【現病歴】平成 25 年 9 月 頃より咳嗽 , 労作時息切れが出現した . 近医受診し , 経胸壁心エコー図を施 行され , 左房粘液種の疑いと診断された . 心不全症状を呈しており , 手術適 応評価目的に当院紹介となった .【経過】来院後経胸壁心エコー図施行した ところ , 僧帽弁後尖弁輪付近に 33 × 22mm 大の可動性のある異常エコー像 を認めた . 高度の僧帽弁狭窄兼逆流症を伴い , 推定肺動脈圧 46mmHg と肺高 血圧症も呈していた . 心不全増悪のリスク , 塞栓症のリスクを考慮し , 同日 当院心臓血管外科へ入院し , 翌日に腫瘤摘出手術を行う方針となった . 術中 所見では , 僧帽弁後尖に付着する約 3cm 大の表面平滑 , 淡黄色 , 弾性の腫瘤 を認めた . 僧帽弁輪外側に付着部位を認め , 左房内膜および腫瘤を切除し術 を終了した . 病理所見の結果 , 心臓悪性腫瘍(未分化多形性肉腫)と診断した . 術後僧帽弁逆流症は改善し , 心不全症状は消失した . 術後経過良好にて第 18 病日退院となった .【まとめ】僧帽弁狭窄兼逆流症を生 じた左房内悪性腫瘍の一例を経験した . 一般ポスター P22-2 僧帽弁輪から連続する高度な石灰化を伴う腫瘤性病変の一例 圓山 雅己 1、大門 雅夫 1、加藤 倫子 2、塩澤 知之 1、市川 良子 1、大村 寛敏 1、天野 篤 2、代田 裕之 1 1 順天堂大学医学部付属順天堂医院 循環器内科、2 順天堂大学医学部付属順天堂医院 心臓血管外科 症例は 76 歳女性。たこつぼ心筋症で入院され保存的治療を行っていた。経 過中に行った経胸壁および経食道心エコーで、僧帽弁輪部石灰化部分から僧 帽弁後尖にかけて付着する 15mm 大の可動性を有する腫瘤性病変を認めた。 疣贅を疑ったが血液培養陰性であり、臨床経過からも否定的と考えた。鑑別 診断として、Calcified amorphorous tumor(CAT) や乳頭状線維弾性腫などを 考え、塞栓症の危険が高いと判断し外科的摘出術を施行した。術中所見は、 僧帽弁後尖の MAC から弁尖に渡り連続する石灰化に富む腫瘤性病変であり 肉眼的には腫瘍性病変の形態は呈していなかった。腫瘤性病変を摘出後、後 尖をウシ心膜で延長し、後交連を縫縮した。組織学的には石灰化を伴う粥状 硬 化 物 で あ り、 乳 頭 状 の 構 造 や 炎 症 細 胞 浸 潤 は 認 め ず、CAT や fibroelastoma を示唆する所見も認めなかった。しかし今後も慎重なフォロー アップが必要な症例と考えた。腫瘍性組織は認めなかったが、僧帽弁輪部石 灰化に連続する高度な石灰化を伴う可動性腫瘤性病変の報告は少なく非常に 稀な形態を呈していたため、文献的考察を加え報告する。 255 第25回日本心エコー図学会学術集会 P22-3 診断に迷った左心耳内腫瘤の1例 上野 剛志 1、金森 隆樹 1、吉水 はるな 1、桶家 一恭 2 1 厚生連高岡病院 臨床検査部、2 厚生連高岡病院 循環器科 症例は82歳の女性。既往歴として洞不全症候群があり78歳時にペースメーカー(DDI)が埋め込まれ、その他に発作性心房細動、 発作性上室性頻拍、2型糖尿病、陳旧性脳梗塞があり近医に通院中。大腸カメラの結果、大腸癌と診断され手術目的で当院外科へ 紹介となり、術前 CT にて左房内血栓と思われる低吸収域が認められたため循環器科へ紹介となった。経胸壁心エコー図検査からは 左室壁運動は正常で弁膜症は見られず、軽度左房拡大はあるが、CT 上で指摘された左心耳内血栓は見られなかった。経食道心エコー 図検査では、左心耳内に12×15mm の茎を有する球状の可動性の高い腫瘤性病変の付着を認めた。これに対し外科的切除(血 栓摘除、左心耳切除、肺静脈隔離)を施行。手術所見は経食道心エコーで観察された通り、左心耳内に腫瘤の付着を認めた。病理 所見からは左心耳内に血栓が指摘され、器質化の進んだ壁在血栓であると診断された。術後経過は良好であり安定経過している。 今回、腫瘤が茎を有する可動性構造物の特徴を示しており、血栓と腫瘍(粘液腫)との鑑別が画像診断上困難であった症例を経験 したので報告する。 P22-4 左房内浸潤を呈した縦隔原発悪性線維性組織球腫の一例 渡邊 美香 1、平林 美智子 1、米澤 広美 1、半澤 秋帆 1、轡田 早紀子 1、柴田 尚美 1、岩橋 徳明 2、 住田 晋一 1、宮島 栄治 1 1 横浜市立大学附属市民総合医療センター 臨床検査部、2 横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センター 症例は 53 歳男性。2011 年 8 月より背部痛あり,12 月近医にて肺炎像と胸部異常陰影を認めたため,2012 年 1 月当院心臓血管センター 紹介受診。胸部造影 CT 上,後縦隔腫瘍・縦隔リンパ節腫大・左気管支狭窄・食道浸潤・胸部下行大動脈狭窄および左房浸潤影を認 め,緊急入院となった。心エコーでは左肺静脈から左房内に進展する不整形で軟性の可動性に富む高エコー腫瘤を認めた。大きさ は約 83 × 45 × 30 mm,先進部は極めて可動性に富み,拡張期に左室乳頭筋レベル付近まで達していたが僧帽弁狭窄や有意な僧帽 弁逆流は認めなかった。また腫瘍の左房壁との癒着は認めなかった。病理の結果,悪性線維性組織球腫疑いにて当呼吸器病センター に転科となり化学療法を開始,CT 上腫瘍縮小が認められた。左房内腫瘍についても心エコーで経過観察し,腫瘍は縮小傾向にあっ た。7 月化学療法目的に再入院したが,頸椎の腫瘍増大により呼吸苦悪化,意識レベル低下となり 8 月 10 日永眠された。悪性線維 性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma:MFH) は、中胚葉起源の間葉系細胞から発生した腫瘍で,骨・軟骨・筋・血管・神経・ 脂肪等の分化を示さない間葉系腫瘍を総称して MFH と名付ける。成人悪性軟部腫瘍中,最も頻度の高い悪性腫瘍で,四肢軟部組織 や後腹膜に好発する。50 ~ 70 歳の中高年者に多く,男女差はあまりない。小児や若年者にもみられるが,頻度は少ない。今回,縦 隔原発 MFH の左房内浸潤の 1 例を経験したので報告する。 一般ポスター P22-5 発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション焼灼部位の腫瘍により左房内腫瘍摘出術左房メイ ズ手術に治療法変更された一症例 日高 忠良 1、渡邉 望 2、足利 敬一 3、柴田 剛徳 3 1 宮崎市郡医師会病院 検査室、2 県立宮崎病院循環器内科、3 宮崎市郡医師会病院循環器内科 73 歳男性 . 2009 年に恒久的ペースメーカー移植術を施行。その後発作性心 房細動を頻回に繰り返し , 動悸 , ふらつきなどの症状を伴っていたため 2013 年カテーテルアブレーション予定となった . しかし術前経食道心エコー図に て左心耳基部 ( 左肺静脈との ridge) に可動性の腫瘤 ( 径 5mm 大 ) を認め治療 延期となった . 血栓の可能性も考えワーファリン内服開始したが腫瘤に変化 認めず , 形態的にも粘液腫や乳頭状線維弾性腫などの腫瘍の可能性が高いと 判断した . 可動性腫瘍であり塞栓のリスクがあること , 付着部位がアブレー ション焼灼部位に一致していたことから外科的腫瘍切除・Maze 手術を施行 した . 手術所見では左心耳背側辺縁に 5-8mm, 茎が非常に細い乳頭腫様の腫 瘍を認めた . 左房壁心内膜を腫瘍付着部を含めた約 5mm 幅で切除後 , 両側 肺静脈を焼灼隔離した . 病理組織所見では粘液組織 , 線維芽細胞 , 慢性炎症 性細胞を認めた . 発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション焼灼部 位の腫瘍により、腫瘍摘出術 + Maze 手術に治療法が変更された症例を経験 した。 256 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P22-6 左房粘液腫症例にみる心エコー図所見の特徴:病理所見との比較 古堅 あずさ 1、田口 里奈 2、坂倉 奈穂 2、木村 悟 2、石見 慎 2、新木 貴 2、山下 雅敏 2、清川 恵子 3、 角野 聡 3、光島 隆二 3、道井 洋吏 3、藤田 勉 1 1 札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック 循環器内科、2 同 生理検査部、3 同 心臓血管外科 粘液腫は比較的まれな疾患であるが、心臓原発腫瘍では最も高頻度に認められる。その発見において心エコー検査は有用であるが、 病理所見をふまえた形態的比較検討は少ない。 【目的】2013 年 5 月~ 12 月に当院で外科的切除術を施行した 4 症例における臨床像、心エコー所見、術中所見、病理所見について 比較検討すること。 【症例】年齢 62-78 歳、男女とも各 2 名。1 例は軽労作での息切れ、1 例は TIA 様症状を有し、2 症例は無症候性であった。 全症例とも経胸壁心エコー検査では、内部は比較的均一な腫瘤として左房内に観察された。しかし、経食道心エコー所見で 1 例は 内部に低エコー輝度が混在した索状隔壁を有する不均一な性状を示す多房性腫瘤として観察された。他の 3 例は経食道心エコー所 見においても内部に低エコー領域は認めず、一部高輝度エコーを有するものの比較的均一であった。TIA 症状を有していた 1 例は、 リアルタイ3次元経食道心エコー(RT3D-TEE)にて辺縁粗造な形態を良好に観察可能であった。なお 4 例とも RT3D-TEE を併用 し腫瘤付着部位、可動性についてより詳細な観察が可能であった。 全症例、病理所見は粘液腫と矛盾しない所見を得た。低エコー輝度を有する多房性腫瘤として観察された症例では、肉眼所見は淡 黄色のゼラチン様腫瘤として観察され、病理所見は粘液性基質と紡錘型細胞が散在して増生しており、内部に索状構造部を認め第 VIII 因子陽性が確認された。他の 3 例は暗赤色を呈した肉眼所見であり、病理所見でも内部に出血と一部石灰化を伴っていた。こ れら病理学的所見の違いが心エコー所見特徴となって観察される可能性が示唆された。 P22-7 左室内に発生した脂肪腫の一例 前川 直人、吉牟田 剛、森 三佳、山岸 正和 金沢大学臓器機能制御学 症例は 77 歳女性。1年間で8kg の体重減少があり、悪性腫瘍検索の目的で施行した造影 CT にて左室内に腫瘤を指摘されて当院に 精査・手術目的で紹介となった。家族歴・既往歴に特記事項なし。採血では貧血なく、血清蛋白も陰性で、腫瘍マーカーも陰性で、 諸検査データは正常であった。MRI にて T1/T2 共に均一な高信号を呈し、前壁に付着する腫瘤病変を認め、脂肪抑制にて低信号で あったことから術前診断は Lipoma であった。脂肪腫は一般には被膜を有するものと有さないものがあり、一般に被膜を有さないも のは心房に発生し、頻度も脂肪腫の中では多い。入院2日後には緊急手術を行った。病理診断の結果、被膜は確認されなかった。 本例のように心房内ではなく、心室内に発生する被膜を有さない腫瘍は稀であると考えれた。 一般ポスター P22-8 心不全に徐脈頻脈症候群を合併し経食道心エコーで心房筋肥大を認めた一例 吉永 綾 1、谷田 篤志 1、合田 浩紀 1、古瀬 領人 1、小野寺 健太 1、吉川 雅智 1、横島 友子 1、 塚田 弥生 1、松崎 つや子 3、本間 博 1、新田 隆 2、清水 渉 1 1 日本医科大学付属病院 循環器内科、2 日本医科大学付属病院 心臓血管外科、3 日本医科大学付属病院 生理機能センター 67 歳、女性。3 ヵ月前から動悸、呼吸困難が出現し症状が徐々に悪化したた め当科受診。心不全の精査と加療のため入院。入院時胸部レントゲンで肺うっ 血、心電図胸部誘導で T 波陰転化あり、経胸壁心エコー (TTE) では中等度 の僧帽弁逆流と三尖弁逆流、左右心房の拡大、右心系の圧負荷の所見があり、 左房内壁在血栓が疑われた。 心臓カテーテル検査では有意な冠動脈狭窄な く、僧帽弁逆流は Sellers II 度と評価された。入院中の心電図モニターでは 発作性心房細動と約 7 秒間の洞停止が記録され徐脈頻脈症候群の診断がなさ れた。治療方針として僧帽弁と三尖弁の形成術に Maze 手術も加えることと なった。術前施行した経食道心エコーでは左心耳内に可動性のある血栓、左 心房から左心耳にいたるまで内側を左心室筋と同等の輝度を持つ 3 ~ 4mm 厚の層が覆っているのが判明した。術中の所見では左房壁の肥厚、切除した 左心耳からは血栓と壁肥厚が確認された。左心房から左心耳にまでおよぶ壁 肥厚と本症例の病態との関連につき考察し報告する。 257 第25回日本心エコー図学会学術集会 P23-1 肥大型心筋症では経胸壁心エコー 2、3 次元 Global Longitudinal Strain が両心室で低下する 鎌田 知子 1、小澤 公哉 2、船橋 伸禎 2、齋藤 真理子 1、金枝 章予 1、高岡 浩之 2、小林 欣夫 2 1 千葉大学医学部付属病院 検査部、2 千葉大学大学院 医学研究院 循環器内科学 目的:経胸壁心エコー(TTE)で 2 次元(2D),3 次元(3D)両室 global longitudinal strain(GLS) の計測値も用いて、肥大型心筋症(HCM)と正常 例の鑑別を行う。対象と方法:HCM 49 例(男性 36 例、62 ± 15 歳)と正常 例 10 例( 男 性 5 例、57 ± 23 歳 ) に TTE(Vivid E9) を 行 い、EchoPAC を用いて 2D、3D 両室の GLS を測定した。結果:従来の右心系のパラメー タは両群間に右室壁厚を除き有意差はなかった。2D、3D 両室の GLS(絶対値) は HCM 群が正常群と比較し有意に低かった((15.4 ± 4.9 % vs 24.0 ± 3.2%、 P < 0.001 ( 右室全体の 2D GLS)、19.7 ± 7.9% vs 28.8 ± 3.1%、P < 0.001 ( 右 室 自 由 壁 の 2D GLS)、10.7 ± 2.9% vs 18.6 ± 2.8%、P < 0.001 ( 左 室 の 2D GLS)、12.5 ± 4.7% vs 19.3 ± 6.2%、P=0.001 ( 右室全体の 3D GLS)、12.1 ± 6.1% vs 19.8 ± 8.1%、P=0.004 ( 右室自由壁の 3D GLS)、8.6 ± 3.4% vs 14.8 ± 3.1%、 P < 0.001 ( 左室の 3D GLS))。3D の左室と右室の拡張末期、収縮末期容積、 駆出率は両群間に有意差は認めなかった。結語:HCM 群では正常群と比べ、 TTE2D、3D GLS が両心室で低下をきたしている可能性が示唆された。 P23-2 3次元心エコー図法が診断に有用であった僧帽弁逸脱症を伴う僧帽弁副組織の1例 大海 延也 1、永井 知雄 2、勝然 秀一 2、濱部 晃 2、吉田 尊 2、荒川 純子 2、田中 良昭 3、加賀谷 健一 1、 長畑 公宣 1、竹村 明子 1、小口 徳之 1 1 自衛隊中央病院 診療技術部 臨床検査課 生理班、2 循環器内科、3 心臓血管外科 症例は73歳男性、他院にて僧帽弁逸脱による僧帽弁閉鎖不全症と診断され、 手術目的にて当院入院となる。2次元心エコー検査では下壁の瘤化を伴った 無収縮を認め下壁心筋梗塞と思われた。僧帽弁A3中心の逸脱と僧帽弁逆流 を認めた。膜様部心室中隔瘤を認めたが心室中隔欠損は認めなかった。左室 流出路には僧帽弁前尖から心室中隔に連続する索状構造を認めた。連続波ド プラ上左室流出路狭窄は認めなかった。3次元心エコー図法では、下壁の瘤 部及び僧帽弁逸脱・膜様部心室中隔瘤・左室流出路の索状構造が立体的に観 察が可能であり、左室流出路の索状構造は僧帽弁副組織と思われた。冠動脈 造影では LAD#3 99%、LAD#6 90%、#7 90%,、#12 90% 狭窄を認めた。僧 帽弁閉鎖不全症、狭心症3枝病変と診断され MVR、CABG が施行された。 病理学的診断では左室流出路の柵状構造は僧帽弁副組織として矛盾しなかっ た。3次元心エコー図法が診断に有用であった僧帽弁逸脱症を伴う僧帽弁副 組織の1例を経験したので報告する。 一般ポスター P23-3 僧帽弁逸脱おける僧帽弁輪拡大の原因に関する検討 横田 佳代子 1、丸尾 健 2、中村 貴美子 1、遠藤 桂輔 1、江口 幸佳 1、栗原 明子 1、小室 拓也 1、 筑地 日出文 1、江口 春樹 2、福 康志 2、小宮 達彦 3、門田 一繁 2、光藤 和明 2 1 公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 臨床検査科、2 公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病 院 循環器内科、3 公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 心臓血管外科 【背景】僧帽弁逸脱による高度僧帽弁逆流(MR)では,弁輪拡大が僧帽弁逆流増悪の一因となることが示されている.しかし,左 心腔拡大が弁輪にどの様な影響を与えるかは明かではない.そこで,僧帽弁逸脱において弁輪の大きさを 3D 経食道心エコー (3D-TEE)を用いて計測し,左心腔との関係を検討した。【方法】2012 年 1 月~ 2013 年 10 月の間に僧帽弁逸脱を認め MR のため 手術適応となった 60 例を対象とした。術前に 3D-TEE を施行し 3 次元的に僧帽弁輪の再構築を行い、僧帽弁輪面積(MAA)を計 測した。また,経胸壁心エコーから左室拡張末期容積(EDV)、収縮末期容積(ESV)、拡張末期径(Dd)、収縮末期径(Ds),駆出 率(LVEF),左房容積(LA volume) 、左房径(LAD)を計測した.【結果】MAA と EDV(r=0.55, p < 0.001)、ESV(r=0.60, p < 0.001),Dd(r=0.62, p < 0.001),Ds(r=0.57, p < 0.001)には有意な正の相関を認め,LVEF(r=-0.44, p < 0.001)とは有意な負 の相関を認めた.一方,MAA と LA volume(r=0.18, N.S.) 、LAD(r=0.12, N.S.)には有意な相関は認められなかった.多変量解析 において MAA の規定因子は,LVDd と LVEF だった.【結論】僧帽弁逸脱による MR に伴う弁輪拡大は,主に左室拡大,左室収縮 低下に影響され,左房拡大の影響は少ないと考えられた。従来,心房細動よる MR おいては心房拡大が弁輪拡大と関係すると報告 されており,MR の原因によって弁輪拡大の機序が異なる可能性が示唆された. 258 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P23-4 心不全患者におけるリアルタイム3次元心エコー図法を用いた心機能評価の有用性 心筋シンチグラ ムとの比較による検討 島田 恵 1、馬場 彰泰 1、小杉 理恵 1、高橋 路子 1、小平 まさみ 2、山田 洋子 2、木村 さゆり 1、 林 規隆 2、赤石 誠 1 1 北里大学北里研究所病院循環器内科、2 北里大学北里研究所病院診療技術部検査科 リアルタイム3次元心エコー図(RT3DE)による心機能の自 動解析は左室全体の full volume 像を記録しておく事で極めて 簡単に計測できる。本研究では RT3DE の日常臨床での有用性 を明らかにすることを目的とした。対象は当院で同時期に経胸 壁心エコー図検査及び心筋シンチグラムを施行した拡張型心筋 症症例 8 例 ( 男性 7 例、女性 1 例、平均年齢 55.1 ± 7.4 歳 ) で ある。Philips 社製 iE33 を使用し、記録された RT3DE の full volume 像を解析し、左室拡張末期容量 (EDV)、左室駆出率 (EF)、 及 び 左 室 局 所 16segments の ば ら つ き に よ る 同 期 不 全 指 標 (systolic dyssynchrony index (SDI)) を自動解析で求めた。心筋シンチグラムは心電図同期 99mTc- 心筋血流 SPECT 像を撮像し、 EDV、EF、及び1心周期における左室の収縮開始位相解析による Phase histogram Bandwidth(95% の収縮開始位相が含まれる範囲) を自動解析で求め、同期不全指標とした。併せて BNP 検査も施行した。EF30% 以下の 6 例と 40% 以上の2例で比較検討した結果 は表の通りであり、RT3DE による解析は簡便に心機能を評価できるツールとして有用であると結論した。 P23-5 右室容量計測におけるシングルビートおよびマルチビート構築 full volume 3D エコーの有用性の検 討 ‐ MRI との比較 松岡 京子 1、兵頭 永一 2、八木 登志員 1、山室 淳 2、辻川 恵美 1、祖父江 瑞樹 1、吉川 純一 2 1 社会医療法人渡邉高記念会 西宮渡辺心臓・血管センター 検査科、2 社会医療法人渡邉高記念会 西宮渡辺心臓・血管センター 循環器内科 【背景】右室容積およびその機能は、心疾患患者の予後に関連があることが知られている。それゆえに、正確な右室容積評価が重要 であるが、正確な右室容積の測定は容易でない。今回の目的は、3D エコーを用いたシングルビート (SB) およびマルチビート (MB) 構築画像による右室容積解析の精度を心臓 MRI によるものと比較検討することである。【方法】連続 25 名の心筋梗塞患者 25 名に、 GE 社製 VividE9 を用いて、3D 画像を SB および MB にて記録し、トムテック社製ソフトウエアにてそれぞれの右室容積を計測した。 さらに、MRI にてマニュアルトラッキングをして得られた右室容量の計測値と比較した。【結果】25 名のうち 23 名 ( 男性 19 名女性 4 名、平均年齢 62 歳± 15) が 3D にて右室の構築が可能だった。また SB と MB の右室容量に有意な差はみられなかった。SB、MB と MRI にて構築したそれぞれの平均右室拡張末期容量と収縮末期容量および駆出率の相関係数は、以下の通りであった。(r = 0.75 vs. 0.78、r = 0.75 vs. 0.78、r = 077 vs. 0.78)【結論】心筋梗塞患者において、大部分で 3D エコーによる右室容量計測が可能であった。 また、マルチビート構築による 3D 画像だけでなく、シングルビート構築による 3D 画像でも、正確な右室容量計測が可能であった。 一般ポスター P24-1 対角枝を責任病変とした限局性の急性心筋梗塞により、前乳頭筋断裂および重症僧帽弁逆流を来たし た一例 金澤 晃子 1、高野 真澄 2、渡邊 俊介 1、野寺 穣 1、石田 悟朗 1、遠藤 教子 1、新妻 健夫 1、小松 宣夫 1、 武田 寛人 1、石田 圭一 3、高橋 皇基 3、丹治 雅博 3 1 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 循環器科、2 福島県立医科大学 集中治療部、3 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 心臓血管外科 今回我々は、対角枝領域に限局した急性心筋梗塞により乳頭筋断裂を来し、緊急僧帽弁置換術を施行した一例を経験したので報告 する。【症例】58 歳男性。【現病歴】2013 年 11 月中旬、胸痛が 1 時間持続した。数日後より呼吸困難感が出現し、胸痛発作から 1 週間後近医受診した。心電図にて I・aVL 誘導で ST 上昇、血液検査にて心筋逸脱酵素の軽度上昇(CK/CK-MB 606/29 U/L)を認め、 亜急性心筋梗塞が疑われた。胸部レントゲン写真にて肺うっ血、心エコー図検査 (UCG) にて重症僧帽弁逆流(MR)を認め、外科的 治療が必要と判断され、当院へ搬送された。当院到着後、心原性ショックおよび肺水腫増悪を来たし、気管内挿管・IABP を留置し た。UCG にて断裂した前乳頭筋と大きく翻転する僧帽弁前尖、重症 MR を認めたが、壁運動低下部位は明らかでなかった。冠動脈 造影では対角枝(#9)に 90% 狭窄を認めたが、その他有意狭窄を認めず。急性重症 MR に対して緊急僧帽弁置換術を施行し、術中 所見にて弁尖の変化は認めなかったが、前乳頭筋断裂による A1 ~ C1 ~ P1 領域に及ぶ広範囲の僧帽弁逸脱が生じていた。術後心 臓造影 MRI を施行し、遅延像にて側壁に限局した心筋梗塞像を認め、対角枝を責任病変とする限局した心筋梗塞により、前乳頭筋 断裂・急性重症 MR を来たしたと考えられた。術後経過良好で第 25 病日に独歩退院した。【考案】急性心筋梗塞の合併症である乳 頭筋断裂は致死率が高い。また右冠動脈の一枝支配である後乳頭筋に対し、二枝支配である前乳頭筋断裂の報告は少ない。対角枝 を責任病変とした限局性急性心筋梗塞により、前乳頭筋断裂・重症 MR を来たし、緊急僧帽弁置換術により救命できた稀な一例を 経験したので報告する。 259 第25回日本心エコー図学会学術集会 P24-2 急性冠症候群 (ACS) 検出における組織ドプラ心エコー法およびスペックルトラッキング心エコー法 との有効性比較検討 渡部 徹也、水上 雪香、藤田 雅史、粟田 政樹、飯田 修、岡本 慎、石原 隆行、南都 清範、 上松 正朗 関西労災病院 循環器内科 【背景】救急受診した胸痛を有する患者の 60% 以上は ACS ではなく、誤診も 2-8% に存在するとされている。救急室 (ED) において 非侵襲的に胸痛を有する患者のリスク分類を行う事は、非常に重要であるが、従来の心電図や生化学的マーカーのみでは不十分で あり、さらなる検出法が必要と考えられる。近年組織ドプラ心エコー法やスペックルトラッキング心エコー法を用いることにより 心筋虚血の進行が観察可能となってきている。【目的】組織ドプラ心エコー法およびスペックルトラッキング心エコー法を用い、心 電図や生化学的マーカーのみでは確定診断困難な ACS を鑑別可能であるか比較検討した。【方法】胸痛を有する患者が受診後、心 電図、胸部 X 線写真、心原性酵素採血、心エコー図を施行した。心電図および採血上 ACS を示唆する所見がなく、心エコー図上、 左室壁運動異常のない 13 例(男性 6 例 38-76 歳)に対し、組織ドプラ心エコー法およびスペックルトラッキング心エコー法を行っ た。ACS の診断は心原性バイオマーカー採血と冠動脈造影もしくは冠動脈CTにて行った。【結果】13 例中 ACS は 3 人(23%)に 認められた。血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙に関して ACS 群と非 ACS 群で有意差は認めなかった。組織ドプラ法による ACS 診 断の感度 100%, 特異度 80%, 陰性的中率は 100% でスペックルトラッキング法では感度 100%, 特異度 60%, 陰性的中率は 100% であっ た。【結語】救急外来における、胸痛を有する患者に対する ACS の診断において組織ドプラ法およびスペックルトラッキング法は 共に感度、陰性的中率は高いとかんがえられ、多数例での検討が待たれる。 P24-3 心筋梗塞の治療中に胸壁エコーにて診断した左冠動脈回旋枝-左室瘻の一例 松田 紘治 1、吉冨 裕之 2、山口 一人 2、安達 和子 1、渡辺 信秀 1、伊藤 新平 1、岡田 大司 1、中村 琢 1、 遠藤 昭博 1、田邊 一明 1 1 島根大学 医学部 循環器内科、2 島根大学医学部附属病院 検査部 症例:65 歳男性。胸痛。10 日前に突然前胸部痛が出現。当院外来受診時に心電図にて ST 上昇認め緊急入院となる。心電図では胸 部誘導と第 2、第 3 誘導、aVF で Q 波あり、胸部レントゲンで肺血管陰影の増強認めた。また血液検査では CK の上昇は認めないが、 AST、LDH の軽度上昇と、TNI の上昇認め、発症から数日以上経過した心筋梗塞と診断した。入院後胸壁エコーにて心室中部より 遠位側に左室壁運動異常を認め、特に心尖部はやや aneurysmal になっていた。また心尖部をさらに確認していくと、左室下壁から 左室内へ直接流入する血流認めた。ドプラー法で記録すると、拡張期優位、血流速度は最大腔 1.6m/s であり、冠動脈由来と考えた。 後方の左房室間溝に拡大した血流を認め、その走行から左冠動脈回旋枝(LCX)と考えた。大動脈短軸像にて LCX の拡大を認め、 以上の心エコー図検査より LCX-LV の冠動脈瘻を疑った。CAG にて LCX の拡張および LCX から左室へ流入するシャントあり、 LCX-LV の冠動脈瘻と診断した。冠動脈―左室間に communication を有する疾患として冠動脈瘻の他に、Thebesian vein や apical HCM でみられる Multiple coronary artery - LV microfistula 等が挙げられる。今回我々は、心筋梗塞発症を契機に、偶発的に心エコー で発見された左冠動脈回旋枝-左室瘻の一例を経験したので報告する。 一般ポスター P24-4 左室自由壁破裂術後慢性期に巨大左室仮性瘤を認めた 1 例 高橋 龍徳 1、岡山 英樹 1、重松 達哉 1、木下 将城 1、原 佳世 1、泉 直樹 1、河合 勇介 1、川田 好高 1、 日浅 豪 1、山田 忠克 1、風谷 幸男 1、佐々木 英樹 2 1 愛媛県立中央病院 循環器病センター 循環器内科、2 媛県立中央病院 循環器病センター 心臓血管外科 症例は 50 歳台男性。2012 年 11 月末、胸痛を主訴に前医を受診し硝酸薬を処方され帰宅した。同年 12 月初旬に胸痛が出現したため 前医を再受診し、急性冠症候群疑いで当院三次救急に搬送された。緊急 CAG を施行したところ、左回旋枝(LCX)11 番に 90%狭窄、 13 番に完全閉塞を認めたため、責任病変は LCX と判断し、11 番から 13 番にかけて薬物溶出性ステントを 2 個留置した。術後、心 筋逸脱酵素の上昇は認めず、経過から亜急性心筋梗塞と診断した。入院時より少量の心嚢液を認めていたため心エコー検査で慎重 にフォローしつつ、スローペースで安静度を上げていたが、第 17 病日に突然病室で倒れ、意識レベルが低下した。ポータブル心エコー 上、大量の心嚢液貯留、心タンポナーデを認めたため左室自由壁破裂と診断し、病室で心嚢穿刺を行い緊急で経皮的心肺補助装置 を挿入、心嚢ドレナージを行い、緊急パッチ修復術を施行した。術後の経過は良好であり、第 54 病日に退院した。以後、近医で外 来フォローされ、2013 年 10 月に当院心臓血管外科外来を定期受診した。施行した心エコー検査では、左室後壁の菲薄化、輝度上昇 に加え、後壁に接して巨大なエコーフリースペースを認めた。経食道エコーでは後側壁に to-and-fro の血流ジットを複数箇所認めた。 左室仮性瘤を疑い施行した造影 CT で、左室より大きな仮性瘤が確認された。左開胸アプローチで手術を行ったところ、パッチ縫合 部から計 6 カ所の漏出を認めたため、同部位を縫合閉鎖し、術後 23 日目に退院した。開心術術後稀な合併症である巨大左室仮性瘤 を経胸壁心エコーで診断し得た症例を経験したため報告する。 260 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P24-5 冠動脈慢性完全閉塞病変に対する経皮的冠動脈形成術による左室機能改善のメカニズム: 関家 季実子 1、外海 洋平 2、橋口 遼 1、吉岡 和哉 1、上田 政一 1、山中 祐子 2、岡村 篤徳 2、 岩倉 克臣 2、藤井 謙司 2 1 桜橋渡辺病院 検査科、2 桜橋渡辺病院 内科 【背景】慢性完全閉塞 (chronic total occlusion: CTO) 病変への経皮的冠動脈形成術 (PCI) により左室機能が改善されるが、これは CTO 領域の viable な心筋の壁運動が改善することによると報告されている。しかし、その他の領域については詳細に検討されてい ない。本研究では、CTO 病変に対する PCI 前後での左室壁運動を 2D スペックルトラッキング法により評価した。【方法】CTO 病 変に対し待機的 PCI を行った連続 42 症例 ( 年齢 65 ± 10 歳、男性 34 人 ) を対象に PCI 前と PCI 後1日目に心エコー図検査を行っ た (Vivid S6, GE)。2D スペックルトラッキング法は、Automated Function Imaging 法を用い、Global longitudinal strain (GLS) と Regional longitudinal strain (RLS) を評価した。【結果】CTO 病変に対する PCI は 6 症例で不成功、また PCI 前後の心エコー図の画 像不良症例を除いた 23 症例を解析した。左室駆出率(LVEF)は PCI 前後で改善を認めなかった(59 ± 15% vs. 60 ± 14%, P= 0.369)。 CTO 領域の RLS ( -12.6 ± 4.4% vs. -14.1 ± 5.3%, P=0.0315) と GLS (-12.7 ± 3.6% vs. -14.2 ± 3.9% , P=0.027) は有意な改善を認めた。 また、側副血行の供給血管領域の RLS (-13.7 ± 3.9% -15.1 ± 4.2% , P=0.018) でも改善が認められた。【結語】CTO 病変に対する PCI により、病変領域だけでなく側副血行の供給血管領域の RLS も改善を認めた。 P24-6 検診で偶然発見された冠静脈 - 肺動脈瘻の一例 岩瀬 晴香、小林 紘生、小林 洋明、柳澤 三朗、静 毅人、齋藤 章宏、福田 延昭、広井 知歳 高崎総合医療センター 循環器科 症例は 15 歳男性。学校検診で心電図異常を指摘され当科外来受診した。経 胸壁心臓超音波検査で肺動脈弁直上に拡張期に流入する血流を認めた。流入 血流を同定するために心臓 MRI を試行したところ冠静脈 - 肺動脈瘻が疑わ れたため、より詳細な評価のために心臓 CT を試行した。冠静脈は肺動脈前 面を分岐しながら走行し、再び合流して左心耳と肺動脈に近接する主肺動脈 に流入していた。最大血管径は 3.1mm で瘤形成を認めなかった。無症候性で、 冠静脈瘤や心不全等の合併もないため経過観察の方針となった。心臓超音波 検査を契機として、CT/MRI といった各種画像診断を併用する事で冠静脈 肺動脈瘻の診断に至った症例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。 一般ポスター P24-7 三心房心と診断されていた 2 型部分肺静脈還流異常症 (PAPVR) に伴う冠静脈洞瘤の 1 症例 野村 陽平 1、由利 康一 1、玉井 宏一 1、武部 学 1、木村 直行 1、伊藤 智 1、安達 晃一 1、松本 春信 1、 山口 敦司 1、安達 秀雄 1、河田 政明 2、和田 浩 3、百村 伸一 3 1 自治医科大学 附属さいたま医療センター 心臓血管外科、2 自治医科大学 とちぎ子供医療センター 先天・成人心臓血管外科、 自治医科大学 附属さいたま医療センター 循環器内科 3 症例は 55 歳男性。17 歳時に他院で ASD に対してパッチを用いた ASD 閉鎖術を施行された。術後、症状なく経過していたが、45 歳時に易疲労感を主訴に当院循環器内科を受診した。心エコー検査で左房後方に 60 × 70 mm大の副室を認め、同腔から右房へ shunt flow を認めており、ASD の残存と三心房心と診断された。肺動脈造影検査では左肺静脈は副室に還流後、残存する ASD を 介して右房へ還流している所見で、Qp/Qs は 1.38 であるため内科的加療の方針で以降同診断で外来加療となっていた。55 歳時に心 不全症状が再度増悪し、外来を受診した。心エコー検査で Qp/Qs は 1.86 まで増悪し、心拡大も進行しており、残存 ASD 閉鎖と三 尖弁輪形成術の手術目的で当科に紹介となった。ASD を伴う三心房心の診断で再度術前検討し直したところ、左肺静脈が冠静脈洞 に還流する PAPVR で、副室と思われた心腔は拡大した冠静脈洞と結論された。また副室から右房への shunt flow は拡大した冠動 脈洞から右房への開口部と判断した。手術は胸骨正中切開で施行した。人工心肺を確立し右房を切開すると、術前診断通り冠静脈 洞が開口しその奥に拡大した冠静脈洞の大きな空間を認めた。経中隔アプローチで左房を開放し、cut back 法により左房後壁を 7 × 7cm 大に切除し、左房と冠静脈洞を開窓させた。心房中隔切開を修復後、8cm に拡大した三尖弁輪は人工弁輪 (MC334mm) で弁 輪縫縮した。術後の心エコー検査で TRPG は 41 → 22mmHg に改善し、心臓 CT 検査で左房と冠静脈洞は十分に開窓されていた。 術後経過良好で POD17 に自宅退院となった。心エコー検査で三心房心と診断されていた 2 型 PAPVR・冠静脈洞開口部の狭窄に伴 う冠静脈洞瘤の手術症例を経験したので報告する。 261 第25回日本心エコー図学会学術集会 P24-8 TRPG/TVIratio で追った特発性肺動脈性肺高血圧症の一例 北村 愛 1、桑木 恒 2、友草 由宇 1、竹村 夏子 1、菅谷 敢 1、竹田 光男 2、尾崎 健 2、尾田 知之 2、 氏野 経士 2 1 富永病院 臨床検査科、2 富永病院 循環器内科 症例は特に既往のない 46 歳男性。来院 2 ~ 3 年前より時折心窩部痛および、階段昇降で息切れを自覚していた。2013 年 7 月、心窩 部痛により他院を受診したところ心電図変化あり循環器内科受診を勧められ当院紹介受診となる。来院時の経胸壁心エコー図検査 にて高度の右室拡大、右室壁肥厚を認め、左室は右室に圧排され D-shape を呈していた。また、高度の三尖弁逆流を認め、 TRPG=60mmHG と増大し、下大静脈は拡大し呼吸性変動は消失しており両心不全の症状を呈しており精査加療目的で入院となる。 胸痛の病歴より血栓性肺塞栓症を疑い、造影 CT・肺動脈造影検査を施行するも肺動脈に明らかな血栓は認めず肺血流シンチにて血 流欠損像も認めなかった。膠原病や先天性心疾患は否定的であり、特発性肺動脈性肺高血圧症と診断し、酸素療法・抗凝固療法・ 利尿薬投与を行うとともに、肺血管拡張薬を開始した。治療開始後、約 2 週間にわたり経過を経胸壁心エコー図検査で追ったが、 服薬アドヒアランスが悪く TRPG は大きな変化を認めなかったものの、肺血管抵抗の指標である TRPG/TVI ratio は治療による改 善を示した。肺高血圧症の治療において、TRPG/TVI ratio は治療効果判定に有用である事が示されたので若干の文献的考察を加え て報告する。 P25-1 先天性心疾患術後症例における Epicardial movement index 値(LV stiffness 指標) 石川 友一 1、林原 亜樹 2、石川 司朗 1、佐川 浩一 1、牛ノ濱 大也 1、中村 真 1、小谷 匡史 1 1 福岡市立こども病院 循環器科、2 福岡市立こども病院 生理検査部 【背景】Epicardial movement index(EMI) は Diastolic wall strain(DWS) とならぶ非侵襲的な LV stiffness の指標である。我々は Fallot 四徴症 (TOF) など右室流出路再建を要した患者では EMI が LVEDP と相関し , 正常群との比較では低値を示すことを報告し た .【目的】先天性心疾患術後の EMI を測定し正常群と比較する【対象】正常群では EMI は年齢とともに低下し 3 歳以降で一定と なるため 3 歳以上を対象とした . 当院通院中の術後患者(TOF58 例 ; 検査時年齢 8.9[3.1-28] 歳 ),ASD16 例(10.1[3.9-22.5] 歳),VSD19 例(9.2[3.2-16] 歳), 大動脈縮窄複合 (CoA)28 例 (8.7[3.1-19.8] 歳 ) および心雑音・胸痛などの精査で来院したが器質的心疾患を認めなかっ た正常心 (Control)45 例(9.6 [3.1-29] 歳 ).【結果】EMI は TOF 群 0.0357 [0.0148-0.130], ASD 群 0.0736 [0.0460-0.0942], VSD 群 0.0641 [0.0466-0.137], COA 群 0.0590 [0.0326-0.110], Control 群 0.0859 [0.0408-0.143] であり Kruskal Wallis 検定にて有意な群間差を認めた . 群 間比較では Control 群に比べ TOF 群 ,VSD 群 ,CoA 群で有意差を認めた (p < 0.01)。また TOF 群は他の 4 群と比較べ有意に低値であっ た .VSD 群と CoA 群に有意差を認めなかった .【考察】ASD 術後 EMI は Control 群と有意差なく、EMI 値は開心術や術後癒着によ り影響を受けないと考えられる . 一方 ,TOF,VSD,CoA 術後は EMI は低く ,LV stiffness 増大が示唆される . これらの症例に対し薬物 療法を考慮してもよいのかもしれない . しかし同一疾患群内でも EMI 値が正常な例と低値の例があり , これらが異なる要因を探る必 要がある。【結論】TOF, VSD, CoA 術後症例は LV stiffness が増大し心筋 remodeling 進行が示唆される . 一般ポスター P25-2 拘束性血行動態を呈する二腔心修復術先天性心疾患の心エコードプラ所見 幸山 佳津美 1、大内 秀雄 2、橋本 修治 1、田中 教雄 1、佐野 道孝 1、山田 修 2 1 国立循環器病研究センター 臨床検査部、2 国立循環器病研究センター 小児循環器診療部 【目的】心カテーテル検査(心カテ)で心室圧が dip&plateau(d&p) を呈した先天性心疾患 (CHD) 術後患者を心エコードプラ法から 予測可能か否かを検討する。【方法】対象は心カテが施行された二腔心 CHD 術後患者 56 例 ( 内訳:ファロー四徴、両大血管右室起始、 房室錯位、完全大血管転位など、年齢 26 ± 7 歳、男= 24)。心カテで心室内圧波形が d&p を呈し、CVP、体心室(SV)拡張末期圧 が 10mmHg 以上群 ( 高 DP 群 )、未満群 ( 低 DP 群 ) と呈さない群 (nonDP 群 ) の 3 群に分け、心エコー・ドプラ法にて DP の特色を 検 索 し た。【 結 果 】 肺 心 室 (PV) で は、 高 DP 群 は 11 例、 低 DP 群 は 14 例、nonDP 群 は 31 例 で あ っ た。 両 DP 群 の IVC(% of normal) は拡大し (117.0、93.0 vs. 89.1%、p < 0.01)、その呼吸変動は nonDP 群に比し高 DP 群で極端に低下し (9.3 vs. 29.6%、p < 0.01)、 右房面積は拡大していた (15.3 vs. 11.0cm2/m2、p < 0.05)。PV 流入血流波形 (TTF) の E/A(3.08、1.90 vs. 1.76)、組織ドプラ法での (2.80、1.79 vs. 1.47) は両 DP 群で高く (p < 0.01)、中隔 (s)E’ PV 側 E’ /A’ /A’ は nonDP 群に比し高 DP 群で高かった(2.19 vs. 1.49、p < 0.01)。TTF の DcT、E 波呼吸変動率では差がなかった。SV では、高 DP 群は 14 例、低 DP 群は 6 例、nonDP 群は 36 例であった。 SV 側 (l) の A’ は nonDP 群に比し高 DP 群で低く (4.94 vs. 6.73、p < 0.01)、SV 流入血流波形 (TMF) の E/A(2.83 vs. 2.08)、E’ /A’ (s: 2.19 vs. 1.54、l:3.14 vs. 2.34) は高値であった (p < 0.05)。TMF の DcT、E 波呼吸変動率にも差はなかった。【結論】二腔心 CHD 術 後患者での E/A、E’ /A’ の上昇は強く高 DP を示唆する。これらの患者群では従来の DcT の短縮や E 波呼吸変動の増大では両心室 内圧の DP の予測は困難である。 262 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P25-3 動脈管開存症に対するカテーテル治療後の大動脈弁閉鎖不全について 高野 一成 1、富松 宏文 2、神田 かおり 1、島田 礼香 1、鶴田 義典 1、後藤 育子 1、黒川 文夫 1、 三浦 ひとみ 1、新井 光太郎 3、芦原 京美 3、石井 徹子 2、中西 敏雄 2 1 東京女子医科大学 中央検査部、2 東京女子医科大学 循環器小児科、3 東京女子医科大学 循環器内科 【背景】動脈管開存症 (PDA) 術後に大動脈弁逆流 (Ar) の出現はしばしば経験されるが、その要因や経過は明らかではない。【目的】 PDA に対するカテーテル治療後の Ar の出現頻度、要因及びその経過を明らかにすること。【対象】2005 年 10 月以降にコイル塞栓 術又は Amplatzer 閉塞栓により PDA のカテーテル治療を行い、術前に Ar を認めなかった 40 人 ( 男 9、女 31 人、治療時年齢 11 ± 19 歳 )。尚 PDA 以外に器質的心疾患を有する者は除外した。【方法】後方視的に診療録から Ar 出現群(Ar 群)と非出現群(非 Ar 群)に分け、(1)Ar の出現頻度、(2)Ar 出現後の経過、(3) 閉鎖前の肺体血流量比 (Qp/Qs)、大動脈圧及び肺動脈圧 (mmHg)、PDA サ イズ (mm) を、さらに閉鎖時の年齢、性差について両群間で比較した。尚 Ar の程度は trivial と mild を軽度、それ以上を高度とした。 観察期間平均 15 か月 (1 ~ 36 か月 )。【結果】(1)17 人 (43% ) に Ar が出現し全例軽度であった。(2) 閉鎖後 12 か月までで Ar が増悪 する例は無く、3 人(18%)で 6 か月時に Ar が消失した。(3)Ar 群 vs 非 Ar 群の比較では、Qp/Qs:1.5 ± 0.4vs1.6 ± 0.5(NS)、大動 脈収縮期圧 :90 ± 11vs104 ± 32(NS) 、大動脈拡張期圧 :52 ± 12vs55 ± 14(NS)、肺動脈収縮期圧 :28 ± 13vs34 ± 17(NS)、肺動脈拡張 期圧 :13 ± 8vs18 ± 12(NS) 、サイズ :6.4 ± 5.8vs8.8 ± 3.0 (NS)、年齢 :9 ± 18vs13 ± 21 才 (NS)、性差 (NS) であった。【考察・結語】 PDA の治療後 43%に Ar の出現を認めたが増悪した例はなく、消失した例もあった。本研究では閉鎖前に Ar が出現するか否かの 推測は困難であった。また、観察期間が平均 15 か月であり、Ar 出現例においてはさらに長期的に観察する必要がある。 P25-4 パラシュート僧帽弁に類似した非対称性弁口で、複数の乳頭筋を持つ先天性僧帽弁異常の一例 岡田 真弓 1、岩永 史郎 3、渡辺 奈緒 1、渡邊 麗佳 1、栗田 絵梨奈 1、河上 雅子 1、佐藤 全史 1、 鈴木 勇 1、脇田 由香 1、小山 正晴 2、高沢 謙二 3 1 東京医科大学八王子医療センター 中央検査部 生理検査室、2 東京医科大学八王子医療センター 中央検査部、 東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 3 症例は 10 歳男児。川崎病に 8 歳で罹患して、γ -globulin 治療を受けた。急性期の心エコー図検査で冠動脈の拡大や瘤形成は認めな かったが、以後、心エコー図検査で定期的に経過観察されていた。10 歳時の心エコー図検査で僧帽弁口が非対称的であることから、 先天性僧帽弁異常が疑われた。弁口の形態からパラシュート僧帽弁が疑われたが、パラシュート僧帽弁に特徴的な単一乳頭筋では なかった。複数の乳頭筋を確認でき、後内側乳頭筋は左室中部よりも心基部側へ付着し、後交連側の僧帽弁輪に連続していた。前 外側乳頭筋は複数あり、前交連側に片寄った弁口に腱索を介して接続していた。僧帽弁逆流は軽度で、僧帽弁狭窄は認めなかった。 左房拡大もなかった。房室中隔欠損や大動脈縮窄など他の先天性心疾患の合併は認めなかった。小児のため、経食道心エコー図検 査は施行していない。 弁口はひとつしか存在しないが、乳頭筋の形態は重複僧帽弁口 (double orifice mitral valve: DOMV) に類似していた。DOMV には、 副弁口が小さな hole 状となる hole type が報告されているが、本症例は副弁口が開口しなかった hole type の DOMV と思われる形 態である。しかし、僧帽弁口が単一であることから DOMV とは診断できない。腱索がパラシュート様に一カ所に集中している訳で もない。Oosthoek PW らは 1997 年に、パラシュート僧帽弁に類似した非対称性弁口とふたつの乳頭筋を持つ 28 例を報告した。本 症例は、彼らの名付けた parachute-like asymmetric mitral valve と考えた。 一般ポスター P25-5 心臓再同期療法の前後の評価に心エコーが有用であった非左脚ブロックの小児の 1 例 内山 賢子 1、仲岡 英幸 2、伊吹 圭二郎 2、廣野 恵一 2、小澤 綾佳 2、市田 蕗子 2、北島 勲 3 1 富山大学附属病院 検査部 生理検査室、2 富山大学 医学部 小児科、3 富山大学附属病院 検査部 【はじめに】心臓再同期療法は、成人における末期心不全に対する有効な治療法として確立され、最近では非左脚ブロック症例にま で推奨レベルが引き下げられている。一方、先天性疾患に対する有効性の報告も散見される。今回我々は、右脚ブロックの両心室 同期不全症例に再同期療法を施行するにあたり、シミュレーションを行い心エコーにて至適 delay を確認し、また、植え込み後の心 機能の改善をスッペクルトラッキングにて確認できた症例を経験したので報告する。【症例】2 歳 1 ヶ月の女児。生後、大動脈縮窄、 大動脈弁下狭窄、心臓中隔欠損と診断、日齢 11 に両側肺動脈絞扼術、3 ヶ月時に Norwood 手術を施行した。術後より右脚ブロック と左室収縮力の低下を認めた。11 ヶ月時に両方向性 Glenn 手術、1 歳 3 ヶ月時に大動脈再建と僧帽弁形成術を施行した。術後、高 度心不全の状態が持続し、左右心室の同期不全と心室中隔欠損を介した to and fro 血流による容量負荷が、心不全の一因であると考 えられた。このために心臓カテーテル検査を施行し、心臓再同期療法の適応評価をおこなった。biventricular pacing で心拍出量の 増加を認め、心エコー上、左右心室間の to and fro 血流が最も減少し、tissue velocity imaging 法における左右心室側壁の同期性 が改善することを確認した。1 歳 11 ヶ月時、心臓再同期療法を施行。施行後の心エコーでは、シミュレーション同様左右心室側壁 の同期性の改善を認め、また、スペックルトラッキング法において左室の収縮力の改善と同期性の改善を確認できた。【まとめ】心 臓再同期療法の適応決定においても、また、施行後の心機能の改善の評価にも心エコーは有用であると思われる。 263 第25回日本心エコー図学会学術集会 P25-6 小児期の右房・右室径の正常値の検討とその有用性 神田 かおり 1、石井 徹子 2、富松 宏文 2、黒川 文夫 1、鶴田 義典 1、高野 一成 1、後藤 育子 1、 島田 礼香 1、三浦 ひとみ 1、新井 光太郎 3、芦原 京美 3、中西 敏雄 2 1 東京女子医科大学病院 中央検査部、2 東京女子医科大学 循環器小児科、3 東京女子医科大学 循環器内科 【背景・目的】小児の右房 (RA)・右室 (RV) 径の正常値に関する報告は少な く右心系拡大の評価に難渋することがある。今回我々は健常小児の RA・RV 径を測定しその有用性を検討した。【対象】2011 ~ 2013 年に検査を行った 健常小児 (0 ~ 15 歳 ) 全 100 人 ( 男性 37 人・女性 63 人 ) 及び、2010 ~ 2012 年に Amplatzer septal occluder 適応となった心房中隔欠損症 (ASD) 患者 (6 ~ 15 歳 )35 人 ( 男性 13 人・女性 22 人 )。【方法】(1)B モード心尖四腔断面で 両群の RV 横径・RA( 縦・横 ) 径の計測を行い、健常群の体表面積 (BSA) との相関を検討した。(2) 両群の計測値の比較検討をした。 【結 果】(1) 健常群の RV・RA( 縦・横 ) 径は BSA と対数関数的に相関した。 (2)ASD 群で正常範囲に入った割合は、RV 径は 5/35(14%)、 RA 縦径では 15/35(43%)、RA 横径は 6/35(17%) であった。【結語】小児において、RV 径・RA 横径は右心系拡大の有用な指標にな りうると考えられた。 P25-7 先天性胆道閉鎖症術後の門脈肺高血圧症の二例 高田 佳代子 1、岩瀬 正嗣 2、宮城 芽以子 1、高桑 蓉子 1、椎野 憲二 1、杉本 邦彦 3、尾崎 行男 1 1 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科学、2 藤田保健衛生大学 医療科学部、3 藤田保健衛生大学病院 検査部 近年、胆道閉鎖症術後成人期を迎える症例が急速に増加し,新たな問題点も浮かびあがってきている。我々は胆道閉鎖症術後成人 になった症例が門脈圧亢進に伴う肺高血圧症を発症した二症例を経験した。その経過中に運動負荷エコーでの評価を行ったので、 報告する。症例1は 20 歳女性、生後 2 か月で葛西手術を施行。その後定期的に受診をしていた。17 歳時に心エコー上右心負荷所見 を認めたため、beraprost を開始したが、その後のエコー上 PH を認めないため中止となった。19 歳時に呼吸苦を認め、精査したと ころ心エコーでは TRPG61mmHg と肺高血圧を認めたため、再度内服加療を強化した。20 歳時にエルゴメーター運動負荷心エコー を施行したところ、安静時は TR;PG :39mmHg であったが、25W で 64mmHg、50W で 120mmHg と急激に上昇した。この段階で、 肺血管の予備力がかなり低下している事が推察された。もう 1 症例も同様に先天性胆道閉鎖症に対して生後まもなく手術を施行され、 以降外来にて経過観察をされていた。13 歳時胸部不快感を自覚し受診するも、心エコー上右心負荷所見を認めなかった。17 歳時に 酸素飽和度の低下を認め、精査したところ、右心負荷所見を認めたため、Tadarafil 内服を開始。その後に行った運動負荷心エコー では、安静時の TRPG は 51mmHg であったが、75W の負荷時に 104mmHg まで上昇した。 一般ポスター P26-1 感染性心内膜炎との鑑別が困難であった高度弁尖肥厚を伴う僧帽弁逸脱症の一例 大江 康太郎 1、荒木 勉 1、西村 修 2、永吉 靖弘 2、上山 克史 2 1 石川県済生会金沢病院 循環器内科、2 心臓血管センター 金沢循環器病院 心臓血管外科 症例は 72 歳、男性。19 年前に頻脈発作にて他院を受診、弁膜症を指摘された。1 ヶ月前に糖尿病、立ちくらみの精査目的で入院。 経胸壁心エコ―にて僧帽弁前尖の逸脱を指摘された。2 日前からの発熱 (38.8℃ )、悪寒にて来院。WBC 12090, CRP 10.8, PCT 2.0 ~ 9.9。 胸部 X 線、腹部骨盤 CT では明らかな感染源なし。経胸壁心エコ―では僧帽弁前尖は塊状エコーを呈しており、僧帽弁逸脱症に併 発した感染性心内膜炎 (IE) と診断した。セフトリアキソン 2g +ゲンタマイシン 120mg/day にて加療したところ、第 3 病日に解熱 した。経食道心エコ―では僧帽弁前尖の心房側に可動性に乏しい塊状エコーを認め、左房後壁に向かう僧帽弁逆流(3/4 度)を認め た。3 回施行した血液培養は何れも陰性であり、頭部 MRI では脳塞栓、感染性動脈瘤の所見は認めなかった。第 34 病日に僧帽弁置 換術(Epic 生体弁 27M)を施行した。術中所見では僧帽弁前尖 A2-3 の高度の肥厚、延長を認めたが、vegetation は認なかった。 病理所見では、切除した僧帽弁前尖に高度の粘液変性を認め、変性部の elastic fiber, collagenous fiber に狭小化、断裂、配列の乱れ を認めた。血栓、炎症細胞浸潤は認めなかった。以上より Barlow 症候群の不全型(Forme fruste)が疑われた。本症例は、心エコ ―上、高度の粘液変性を伴う僧帽弁逸脱症と IE との鑑別が困難であり、示唆に富む症例と考え報告する。 264 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P26-2 経胸壁心エコーで疣贅を検出できた非細菌性血栓性心内膜炎の 1 例 柴田 真紀子 1、見田 真紀 1、諸戸 昭代 1、前田 清 1、古市 千奈里 1、平野 法子 1、樋口 昌哉 1、 北村 倫子 1、渡邊 直樹 2、酒井 慎一 2 1 JA 愛知厚生連 海南病院 臨床検査技術科、2 JA 愛知厚生連 海南病院 循環器内科 【症例】62 歳女性で 2011 年 6 月上旬より右上肢脱力感が出現し,同時期より全身倦怠感・両下肢紫斑・咳も出現.6 月 19 日夜間に 腹痛で当院救急外来を受診.血圧に左右差を認めた為血栓塞栓病変の疑いがあり , 翌日当院循環器内科に紹介となる.【身体所見】 血圧 : 右橈骨動脈触知不可 , 左上肢 147/83mmHg, HR :87/min 整 ,SpO2:99%(R.A.) , 体温:36.5℃ , 右上肢冷感 (+), 右下肢腫脹 (+),両 下肢末梢側に多発する紫斑を認めた.【血液検査】6 月 20 日 WBC 12200/ μ l, Plt 5.4 万 / μ l, PT-INR 1.49, FDP 344.3 μ g/ml, D-dimer 133.4 μ g/ml, 抗リン脂質抗体 (-), プロテイン C 活性 26%, プロテイン S 活性 69%【心電図】右心負荷を疑う波形【胸部 X 線】 やや右肺紋理が増強.以上より肺塞栓を疑い血管・心エコーを施行.【血管エコー】両側ヒラメ筋静脈内にのみエコーレベルの低い 血栓が充満していた.【経胸壁心エコー】僧房弁後尖に 10mm 前後の可動性を有する疣贅を認めた.【経過】入院時に明らかな感染 徴候は認めなかったが , 感染性心内膜炎も考慮した検査・治療を施行.翌日に経胸壁心エコーで経過観察したところ拡大傾向を認め た為 , 度重なる検討の上更なる塞栓症のリスクを考慮して外科的切除術を施行.【術中迅速病理診断】僧房弁の疣贅にはフィブリン の析出が見られるものの , 感染を疑うような炎症細胞の浸潤は認められなかった.入院後の追加検査にて肺癌が疑われ , 悪性腫瘍に よる凝固異常から全身性に血栓を生じていると判断された。結果として弁に付着した疣贅は非細菌性の心内膜炎によるものと診断 した.【考察】全身性の塞栓症を疑う際にはやはり心原性塞栓源の可能性を考慮した心エコー図検査が必要であると考えられた. P26-3 肺炎球菌性髄膜炎及び関節炎に対する抗生剤加療中に、感染性心内膜炎による大動脈弁穿孔を起こし た1例 岡田 大司 1、伊藤 新平 1、中村 琢 1、渡邊 伸英 1、安達 和子 1、中島 龍馬 1、菅森 峰 1、遠藤 昭博 1、 高橋 伸幸 1、吉冨 裕之 2、田邊 一明 1 1 島根大学 医学部 内科学第四、2 島根大学 医学部 生理検査部 症例は 60 歳代女性。入院 4 日前より右膝関節痛があり当院の整形外科を受診し、待合室にて意思疎通困難となった。髄液・関節液 所見より右膝化膿性関節炎及び細菌性髄膜炎の診断で入院となった。入院時の関節液、髄液、血液培養から肺炎球菌が検出されたが、 入院翌日の経胸壁心エコー図は異常所見を認めなかった。その後、感受性のある抗生剤を使用するも発熱、炎症反応持続高値を認め、 第 59 病日に心雑音が判明した。経胸壁心エコー図で大動脈弁無冠尖の穿孔による重症大動脈弁逆流症を認め循環器内科に転科となっ た。経過から治癒期の感染性心内膜炎と考えられたが、抗生剤を広域スペクトラムに変更し、第 74 病日に大動脈弁置換術及び僧帽 弁輪縫縮術を行なった。術中所見は心エコー図所見と同様に無冠尖の右冠尖側に穿孔を認め、病理所見で無冠尖に炎症細胞浸潤を 認めたが菌体は検出されなかった。術後経過は良好であり術後 30 日に退院となった。細菌性髄膜炎において感染性心内膜炎の合併 は約 2%と多くはないが、心不全・脳卒中を合併し予後不良であると報告されている。肺炎球菌性髄膜炎は細菌性髄膜炎の典型的な 臨床経過、脳脊髄液所見を示すため、感染性心内膜炎は心雑音の出現、持続・再発する発熱、合併症の進行で発見されることが多い。 感染性心内膜炎の素因のない肺炎球菌性髄膜炎患者において、抗生剤加療開始後も炎症反応の持続高値を認める場合、感染性心内 膜炎を疑うことの重要性を再確認させられた症例であり報告する。 一般ポスター P26-4 感染性心内膜炎による急性大動脈弁逆流をきたし、拡張期僧帽弁逆流を認めた若年男性の一例 野澤 有紀、谷本 貴志、猪野 靖、松尾 好記、山口 智由、平田 久美子、久保 隆史、田中 篤、 今西 敏雄、赤阪 隆史 和歌山県立医科大学 循環器内科 症例は 26 歳男性。特記すべき既往歴・家族歴なし。20XX 年 5 月某日より上気道炎症状で、近医を受診した。胸部 X 線にて異常所 見を認めず、経過観察となった。その後も症状が持続し、38.7℃の発熱があり、近医にて LVFX の内服を処方された。同日夜間に 起坐呼吸が出現し、翌日、SpO2 89%と低下し、胸部 X 線で両側肺野に広範な肺水腫を認めたため、当院へ救急搬送となった。救急 部にて、急性好酸球性肺炎を疑われ、LVFX の点滴投与とステロイドパルスを 3 日間施行された。施行後、胸部 X 線で肺水腫増悪 と拡張期血圧の低下も認め、第 4 病日に当科に紹介となった。経胸壁心エコー図にて重症大動脈弁逆流(AR)を認め、僧帽弁の拡 張早期閉鎖とそれに続く拡張期での僧帽弁逆流を認めた。経食道心エコー図にて無冠尖の弁破壊と、大動脈と左心室の間で可動性 のある構造物を認めた。感染性心内膜炎による急性 AR と診断し、抗菌薬は CTRX と GM に変更し、緊急大動脈弁置換術の方針となっ た。本症例では急性重症 AR により左室内圧が急激に上昇し、僧帽弁の拡張早期閉鎖と拡張期僧帽弁逆流をきたした結果、肺水腫 の増悪を来したものと考え、緊急大動脈弁置換術の適応と判断した。 265 第25回日本心エコー図学会学術集会 P26-5 感染性心内膜炎を合併した心房中隔欠損症の一例 新保 麻衣 1、渡邊 博之 1、寺田 舞 1、鬼平 聡 2、山本 文雄 3、伊藤 宏 1 1 秋田大学 大学院 医学系研究科 循環器内科学、2 きびら内科クリニック、3 秋田大学病院 心臓血管外科 【症例】50 代女性【既往歴】特記すべきことなし【現病歴】平成 25 年夏、持続する 38 度台の発熱を主訴に前医受診。UCG にて心 房中隔欠損 (ASD) と三尖弁に付着する疣贅を認め、感染性心内膜炎 (IE) の診断で入院となった。血液培養は 1 セットのみグラム陰 性桿菌が検出され、CEZ、GEM で抗生剤治療を行うも解熱せず、炎症反応が高値で持続するため、当院へ転院となった。【経過】 転院時、SpO2 90 %と低酸素血症を呈していた。UCG では、左室収縮能は保たれるも、約 20 mm の 2 次孔型 ASD に加え、右心系 拡大と重症三尖弁逆流と肺高血圧を認めた。経食道心エコーでは、三尖弁前尖に約 10 mm の疣贅が付着していた。弁周囲膿瘍は認 めなかった。その後、疣贅は経時的に増大、縮小を繰り返していた。胸部 CT 検査では、両下肺野に散在する浸潤影を認め、疣贅に よる肺塞栓が示唆された。頭部 MRI では、動脈瘤や脳梗塞を認めなかったが、感染のコントロールが不良であること、多発する肺 塞栓症に加え、ASD を介した奇異性塞栓のリスクも考慮し、三尖弁置換術+ ASD パッチ閉鎖術を施行した。術中所見では、三尖 弁前尖に 10 mm の疣贅の付着を確認。病理検査で好中球浸潤、細菌塊が確認され、IE と診断された。【考察】ASD は高速短絡血流 を有さず、IE のリスクは低いとされる。しかし、本症例では、ASD による右心負荷から三尖弁逆流が増大し IE 発症のリスクとなっ たものと考えられた。ASD に合併した IE は奇異性塞栓の可能性があるため、短絡血流を有さない右心系 IE に比べ早期の手術療法 検討が必要である。 P26-6 肺動脈本幹の巨大血栓による血栓塞栓性肺高血圧症の1例 水野 麗子 1、吉田 秀子 1、米田 さおり 1、武田 侑子 1、吉村 佳子 1、山崎 正晴 1、藤本 眞一 2 1 奈良県立医科大学 中央臨床検査部、2 奈良県立医科大学 教育開発センター 症例:52歳、女性。現病歴:約2週間、飛行機で海外を周遊し、その間長時間の飛行を繰り返していた。帰国1週間後に数時間 の胸痛を自覚したが自然消失した。その後は特に症状がなかったため放置していたが、1ヵ月後の早朝に突然、強い胸痛が出現し、 ショック状態になったため当院に救急搬送された。来院時の胸部造影 CT で肺動脈本幹に巨大血栓が認められ、それにより肺動脈本 幹は閉塞し、肺動脈血流は途絶していた。経胸壁心エコー図でも同様に肺動脈本幹に巨大血栓が検出され、肺動脈血流を障害して いた。三尖弁逆流血流速波形より収縮期肺動脈圧は 73 mmHg と推定された。直ちに人工呼吸器および経皮的心肺補助装置が装着さ れ、t-PA が投与されたが、血栓の縮小は認められず、肺動脈血流障害の改善も認められなかった。外科的血栓摘出術が検討されたが、 t-PA が投与されたため出血性合併症が懸念され、施行されなかった。経カテーテル的血栓破砕術が施行され、血栓はやや縮小し、 肺動脈血流の再開通が認められた。摘出標本の病理所見から血栓性塞栓と確認された。その後、肺動脈本幹の再閉塞を繰り返した ため、経カテーテル的血栓破砕術に加え、ウロキナーゼの肺動脈本幹への局所投与が施行された。ヘパリンとワルファリンの併用 投与も行われた。徐々に血行動態は改善し、呼吸状態も安定したため、人工呼吸器および経皮的心肺補助装置から離脱した。離脱 後の経胸壁心エコー図では、肺動脈本幹の血栓は残存し、肺高血圧も認められた。近日中に外科的血栓摘出術を予定している。結語: 肺動脈本幹閉塞を来す巨大血栓は比較的稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。 一般ポスター P26-7 脳梗塞と多発性脳動脈瘤を契機に発見された左房粘液腫の 1 例 今井 孝一郎、大倉 宏之、久米 輝善、林田 晃寛、根石 陽二、川元 隆弘、吉田 清 川崎医科大学 循環器内科 【症例】60 歳代男性。【主訴】右上下肢麻痺、構音障害【現病歴】2013 年某日、仕事で荷物を運んでいた時に突然、右上下肢の動き が悪くなり、呂律も回らなくなったために当院へ救急受診した。来院時、意識清明で右上下肢麻痺、構音障害を認めていた。心電 図は洞調律で、血液検査では CRP は 0.6 mg/dl と軽度上昇していた。MRI にて脳梗塞と診断したが、陳旧性出血性病巣が多数認め られたため、脳血管造影を施行した。脳血管造影の結果、多発性脳動脈瘤を認めた。心エコー図では、左房内に可動性に富んだゼリー 様の腫瘤を認めた。左房粘液腫と診断し、外科的摘出術を行った。肉眼所見並びに病理組織的所見より粘液腫と確定した。 【考察】我々 の調べた限りでは心臓粘液腫に合併する多発性脳動脈瘤はこれまで 32 例の報告のみで粘液腫術後の遠隔期に脳動脈瘤を合併するこ とが多く、そのほとんどが術後の残存粘液腫の脳血管転移による血管内圧上昇と報告されている。本例の脳動脈瘤は術前に発見さ れており粘液腫がゼリー様、かつ可動に富んでいたことが易脳血管転移状態であったと思われた。 266 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography P26-8 繰り返す脳虚血発作にて診断された左房内腫瘍の一例 森 雅之 1、津田 豊暢 1、森 三佳 1、吉牟田 剛 1、今野 哲雄 1、川尻 剛照 1、富田 重之 2、渡邊 剛 2、 山岸 正和 1 1 金沢大学 医学部 循環器内科、2 金沢大学 医学部 心肺総合外科 症例は 65 歳女性。気管支喘息にて近医通院中であった。体動時に上下肢のしびれおよび脱力感を認めていた。症状を繰り返すため に前医受診し、脳梗塞の診断にて入院となった。原因検索目的に行った心エコーにて左房内の腫瘤を認めたために当院紹介となった。 当院にて施行した経食道心エコーでは腫瘤は可動性に富み一部僧帽弁より左室内に陥入する状態であった。腫瘤辺縁がいびつであ り被膜が破裂しており脳塞栓再発のリスクが非常に高い状態と考えられた。心臓血管外科紹介とし緊急手術をおこなったが腫瘤は 右上肺静脈起始部および左房天井に幅広く付着している形態であり非常に脆弱な状態であった。腫瘍を左房および肺静脈組織と一 塊として切除し再建を行い終了となった。脳梗塞患者において左房粘液種による塞栓症が要因となっている例があり、本例は塞栓 症再発および重症化のリスクが極めて高く迅速な治療方針決定にて退院可能であった症例であった。若干の文献的考察も含めて本 症例を報告する。 一般ポスター 267 第25回日本心エコー図学会学術集会 LS2 心不全におけるβ遮断薬治療 基本と応用 坂田 泰史 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 2010年に発表された日本循環器学会慢性心不全治療ガイドラインにおける慢性心不全の重症度別治療概要によると、心肥大等 の器質的心疾患を持つが、無症状であるStageB群より重症の心不全には等しくβ遮断薬治療は適応となっている。現在、日 本で心不全に対し使用することが可能となっているβ遮断薬は、カルベジロール、ビソプロロールの2種である。カルベジロール はαβ遮断薬、ビソプロロールはβ1選択性の高い薬剤である。保険収載の文書からは、心不全に使っていい、ということしかわ からない。それでは、どのような症例にβ遮断薬の効果は発揮されるのか。このセミナーでは、過去の大規模臨床試験を元に薬理 学的に推測される「効く」薬剤の特徴、ランドマークとなる大規模臨床試験から学ぶべき治療対象を整理し、さらに、β遮断薬に まつわる問題点を考えていきたい。 LS3 心不全マネージメントにおける利尿薬の現在地:トルバプタンの活用法を考える 土肥 薫 三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学 心不全では、特に急性期において、血管内ボリュームの過剰、血管内血液分布や臓器灌流の不均衡、血管内外における水分分布の 不均衡が認められる。これらは心臓のポンプ機能低下のみならず、神経体液性因子の過剰な活性化、血管透過性の亢進、低浸透圧 血症、貧血など様々な要因の相互作用によりもたらされる。この中で、血管内ボリュームを速やかに減少させることが可能なルー プ利尿薬は、心不全における急性期治療の第一選択薬として長年汎用されてきた。一方で、その強力なナトリウム利尿作用ゆえに、 神経体液因子の活性化や低浸透圧血症の増悪が懸念され、血管内血液分布や臓器灌流の不均衡、血管内外における水分分布の不均 衡に対する是正効果は弱いと考えられる。本邦ではバソプレシン V2 受容体拮抗作用により腎集合管での自由水の再吸収を抑制する トルバプタンの臨床使用が可能となり、3 年余りが経過した。トルバプタンは、水利尿薬であるため利尿効果が強力である割には、 血圧低下作用や神経体液性因子の活性化作用が少なく、低浸透圧血症も助長しない。当初は、重症利尿薬抵抗性心不全に対する「最 後の砦」としての使用に限定され、個々の患者に対する用量設定や治療効果判定の判断材料も不足していたが、近年では対象患者、 使用時期、用量設定において選択の幅が広がり、特に心不全の急性期治療において比較的早期に使用されるケースが増加してきた ようである。本邦発の臨床研究成果が続々と論文発表され、エビデンスも蓄積されつつある。本セッションでは、急性期のマネー ジメントから慢性期の体液管理まで、ループ利尿薬の功罪やトルバプタンの活用法に触れながら概説する。 LS4 ここまで進化した“オートマ”計測と 3D 石津 智子 1、中島 英樹 2 1 筑波大学 臨床検査医学、2 筑波大学附属病院 検査部 共催セミナー 筆者が自動車運転免許を取ったとき、マニュアル車以外の選択肢はなかった。いまや“オートマ”でない方が少数派となった。 心エコーにおける“オートマ”計測の開発をまじめに取り組んだのが、シーメンスの心エコー装置である。 コンピュータにとって自動計測は案外難しい。顔写真をみて個人を見分けるのは人には容易だがコンピュータには難しいのと同 じらしい。進化したオートマ計測はほとんどのルーチン項目に対応し、修正の必要がないほど賢い。ドプラや M モードでは複数心 拍計測を瞬時に行う。心エコーは画像検査の中で他に類を見ないほど計測項目が多い。オートマ計測は、ルーチン計測に費やす検 査時間を大幅に短縮してくれる。また、再現性の点からも、オートマ計測は検査者間の違いをゼロにできるという強みがある。進 化したオートマ計測は、オートマ自動車の普及と同様、次世代心エコーの標準装備となることはおそらく間違いない。 さらに、再現性を規定する最も大きな要因である描出2D 断面の違いは3D 画像取得によって克服できる。細部を観察し診断を 進めるには職人芸による美しい2D 画像が必須だが、治療効果判定など経時的変化の観察には3D で全体像を記録しておくことが 非常に有用である。もはや3D は研究だけのものではない。3D が 1 心拍でしか取れない設計には、あらゆる症例において3D を 基本にしていこうという将来展望を感じる。 オートマ計測の次世代の開発ターゲットは3D である。ワンクリックでの経食道エコー大動脈弁、僧帽弁の3D 形態解析は一見 に値する。当日は、ライブデモンストレーションもご覧いただき、新しい超音波装置の一つの到達点を実感していただきたい。 268 LS5 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography Structure Heart Disease インターベンション時代の心エコー図の役割 大西 俊成 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 Structural Heart Disease (SHD) とは大動脈弁狭窄症、僧帽弁狭窄症、心房中隔欠損症などを示す。これらの疾患は、従来、開心 手術が標準治療であったが、治療器具の開発により現在は、カテーテルを用いて治療することができるようになった。SHD のカテー テル治療は低侵襲という特性から従来の外科的処置が困難な患者に対しても実施が可能で、革新的治療となり得る。 SHD のカテーテル治療の中でも最も先行している治療のひとつが、経カテーテル的大動脈弁置換術 (Transcatheter Aortic Valve Implantation: TAVI) である。術前の TAVI 適応評価、人工弁サイズの決定、術中の合併症評価、術後の人工弁および左室機能評価 など、心エコー図検査はこれまで以上に大きな役割を果たす。 本ランチョンセミナーでは、TAVI を中心とした SHD のカテーテル治療における心エコー図の役割を、最新の知見を含めて考え ることとする。 LS6 Selection of Patients for Transcatheter Aortic Valve Implantation: Utility of Echocardiography Hahn Rebecca Invasive and Valvular Echocardiography, Columbia University Medical Center / New York-Presbyterian Hospital, New York, USA 269 共催セミナー Background: Untreated severe, symptomatic aortic stenoses is associated with high mortality yet studies suggest that up to 38% of these patients are untreated. Transcatheter aortic valve implantation (TAVI) has rapidly emerged as a reasonable alternative to surgical aortic valve replacement in high risk and inoperable patients. Objective: The appropriate use of echocardiography for the selection of appropriate TAVI patients will be reviewed. Lecture Summary: Randomized trials for both the balloon-expandable and self-expanding valves have shown significant reduction in mortality with TAVI compared to medical therapy, and non-inferiority to surgical aortic valve replacement. The inclusion criteria for these trials and numerous other registries are based on echocardiographic criteria for aortic stenoses severity. Echocardiography is recognized as the standard test for assessment of aortic stenoses severity; according to American College of Cardiology Guidelines cardiac catheterization should only be used to assess aortic stenoses severity in the setting of inadequate echocardiographic assessment, or discrepant clinical/echo data. The echocardiographic parameters used to assess the severity of aortic stenosis can be divided into two general categories: flow-dependent measurements and flow-independent measurements. Flow-dependent measurements are obtained from continuous-wave Doppler across the stenotic aortic valve and include jet velocity, peak and mean gradients. Velocity and gradients however are dependent on volume flow rates as well as valve area. Thus high gradients may occur when valve areas are not severely reduced if flow rate across the valve is increased (ie: significant aortic regurgitation or hyperdynamic LV function). Conversely, low gradients may occur when valve areas are severely reduced if flow rate across the valve is reduced (ie: significant mitral regurgitation or reduced LV function). Flowindependent measurements of aortic valve area include the aortic valve area calculated from the continuity equation and the Doppler index. Other measures of severity of stenosis may have significant prognostic information in certain subgroups of patients with severe aortic stenosis by valve area calculation. Low-flow, low gradient aortic stenosis is a subgroup of patients with which may be difficult to diagnosis and risk assess. In the setting of normal EF, this phenomenon is considered“paradoxical”and a number of clinical scenarios may explain this patient subgroup. In the group with reduced ejection fraction, the use of dobutamine stress echocardiography has become standard procedure for determining true-severe AS from pseudo-severe AS. Newer parameters such as calcium score and projected valve area can also be used in this patient population to assess risk. Patient selection may become more refined as we learn about the echocardiographic characteristics that may predict successful valve implantations. In high risk surgical patients, aortic regurgitation was an important predictor of mortality, with even mild aortic regurgitation was associated with increased late mortality in some studies. The determinants of aortic regurgitation may help refine patient selection and include: valve position, calcium burden and annular sizing. Three-dimensional echocardiography has become a key imaging modality used to characterize the transcatheter valve landing zone. New methods of measuring the aortic annulus have been shown to be as accurate as computed tomography. In addition, this modality has been integral in assessing the location and severity of calcium allowing a prediction of complications such as annular rupture and coronary occlusion. Conclusion: From the pre-procedural assessment of stenosis severity, to intra-procedural assessment of annular sizing and characterization of the“landing zone”for the transcatheter aortic valve, echocardiography has become an indispensable noninvasive imaging tool for patient selection for TAVI. 第25回日本心エコー図学会学術集会 LS7 メガトライアルを降圧薬の選択に活かす 伊藤 浩 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学 臨床試験を科学にしたのが、多施設ランダム化臨床試験 ( メガトライアル ) である。多施設とランダム化により臨床データのバイア スが可及的に除かれ、科学的根拠のある治療方針を決定することができるようになってきた。ただし、メガトライアルの限界も知っ ておく必要がある。決められた試験期間で結果を出すという宿命があるために、それに適したエンドポイントと対象が選定される ことになる。従って、最近のメガトライアルでは、対象とエンドポイントの設定が現実の臨床に即していないことも決して珍しく ない。我々はメガトライアルの本来の意味するところを理解し、実地臨床に活かしていく必要がある。本講演では、降圧薬の第一 選択におけるカルシウム拮抗薬と ARB の選択とその根拠を今までのメガトライアルの結果から読んでいきたい。さらに、ARB の 中でも PPAR γ活性化作用のあるテルミサルタンの心血管事故予防における役割を論じる予定である。 LS8 インクレチン関連薬の抗動脈硬化作用 平野 勉 昭和大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科学部門 glucagon-like peptide-1(GLP-1)は食後高血糖、食後高脂血症を改善したり血圧を低下させる間接的な作用のみならず、動脈硬化 形成のプロセスに直接的に関与して動脈硬化の発症、進展に抗する。我々は GLP-1 の持続皮下投与が ApoE 欠損マウスの動脈硬化 を抑制することを観察した。その機序として酸化 LDL によるマクロファージの泡沫化を抑制し、血管平滑筋増殖及び遊走を抑制す ることを見出した。GLP-1 と同様に Glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)にも抗動脈硬化作用を認めた。Dipeptidyl peptidase (DPP)-4 阻害薬は活性型 GLP-1 と GIP を共に上昇させる。DPP-4 阻害薬は ApoE 欠損マウスの動脈硬化を強力に抑制した。 最近 DPP-4 阻害薬には GLP-1 を介さない抗動脈硬化作用があることが報告されている。DPP-4 阻害薬の抗動脈硬化作用がインクレ チンを介するものか否かを知る目的で ApoE 欠損マウスに DPP-4 阻害薬を投与し、同時にインクレチン受容体拮抗薬 exendin-9、(pro3) GIP を個別または同時に皮下投与した。DPP-4 阻害薬の抗動脈硬化作用は exendin-9、(pro3)GIP を同時投与することで完全に消失 した。ApoE 欠損マウスにストレプトゾトシンを投与して糖尿病にして、同様の実験を行った。DPP-4 阻害薬は糖尿病 ApoE 欠損マ ウスにおいても強い抗動脈硬化作用を発揮した。この作用は exendin-9、(pro3)GIP を同時投与することで減弱したが、完全な消失 には至らなかった。この結果から糖尿病 ApoE 欠損マウスにおいては DPP-4 阻害薬の抗動脈硬化作用にインクレチン以外の作用が 関与した可能性が示唆された。DPP-4 阻害薬は酸化 LDL による培養マクロファージの泡沫化は抑制しなかったが、LPS 刺激で炎症 を惹起させた U-937 ヒト単球における炎症性サイトカインの産生を強く抑制した。以上の結果から DPP-4 阻害薬は抗動脈硬化作用 を有し、この作用は主にインクレチンを介するが、血管炎症が増強している糖尿病では DPP-4 阻害薬の直接的な抗動脈硬化作用が 発揮された可能性がある。 LS9 日本製 3D TEE と VFM 許 俊鋭 1、瀬尾 由広 2、上嶋 徳久 3 1 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センタ-副院長 心臓外科、2筑波大学 医学医療系 循環器内科、 3 心臓血管研究所付属病院 循環器内科 共催セミナー 3D TEE は、SHD 診療をはじめとして、その重要性が多方面で認識されつつあります。海外メーカーから 10 年の遅れをとり、よ うやく国産初の 3D TEE が完成しました。この案内を執筆している時点(2 月)では、その画像は未知でありますが、みなさんと 本セッションにおいて 3D TEE の画質と機能を評価してみたいと思います。 Vector Flow Mapping(VFM)は、validation も複数件進んでおり、臨床応用するにあたって、まずは健常例における基準値(所 見)を検討する段階に入りました。ヨーロッパとの多施設共同研究になりますが、この結果および臨床現場での有用性についての 講演を予定しております。 乞う御期待! 270 LS10 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 心房細動合併 PCI 患者への抗血栓療法の最適化を考える ~どうする?抗凝固と DAPT ~ 静田 聡 京都大学医学部附属病院循環器内科 PCI を受ける冠動脈疾患患者の約 5 ~ 10% に心房細動を合併すると報告されている。冠動脈ステント植え込み後は、ステント血 栓症の予防を目的として、クロピドグレルとアスピリンの 2 剤による抗血小板療法(DAPT)が重要となる。一方で、心房細動に 起因する脳卒中や全身性塞栓症を予防するには、ワーファリンなどによる経口抗凝固療法(OAC)が必要である。しかし、OAC と DAPT の併用は大出血を生じる危険性が非常に高いことが報告されている。 こうしたなか、最近報告された WOEST 試験では、OAC が必要な PCI 患者を対象として、ワーファリン+ DAPT の 3 剤併用療 法とワーファリン+クロピドグレルの 2 剤併用療法を比較し、ワーファリン+クロピドグレルの 2 剤併用療法のほうで出血が少なく、 冠動脈イベントでも差が見られないことが示された。 一方、2010 年のヨーロッパ心臓病学会のガイドラインでは、冠動脈ステント植え込み後 12 ヶ月以降はワーファリン単独治療を選 択することが推奨されたている。しかしながら、この推奨を支持する無作為化試験はこれまでに報告されておらず、観察研究の報 告も乏しいのが現状である。 高齢化社会を迎えた我が国では、冠動脈疾患と心房細動の患者数が爆発的に増加しており、両者を合併する患者数も増加の一途 を辿っているものと考えられる。冠動脈ステントが留置された心房細動患者に対する抗血栓療法は、エビデンスを構築すべき喫緊 の課題である。 本講演では、心房細動を合併する PCI 患者に対する最適な抗凝固療法について、日本人の最新データを交えながら論じたい。 LS11 実践運動負荷心エコー ~運動負荷心エコーのやり方、考え方~ 鈴木 健吾 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 安静時にはない労作時の症状を安静時心エコーのみで診断するには限界がある。労作時の心エコーを加えることで潜在する所見 が顕在化し、労作時息切れの原因が明らかになることがある。負荷を加えて心臓を診ることは大変重要であり、負荷心エコーは本 邦でも 2012 年より保険償還され、診断、病態把握、手術適応、予後予測に活かされ、今後多くの患者に役立つと考えられる。 運動負荷心エコーの安全性は確立されており、重症不整脈や心筋梗塞等の重篤合併症の発症率は負荷中 0.04%、負荷後 0.01%、一 連の負荷を通しての合併症発生率は 0.2% 以下と報告されている。しかしながら運動負荷が不適切な症例や、負荷量の設定に誤りが ある場合、重篤合併症発生の可能性があるため検査に際しては十分な準備をする必要がある。緊急薬剤や気道確保器具を常備した 救急カート、血圧計、12 誘導心電図モニター、除細動器、酸素を準備し、十分なスペースを確保して施行することが望ましい。運 動負荷装置は半座位エルゴメータを用いて、2 分間ごとに 25W 増加する Bruce 法を用いるのが通常であるが、半座位エルゴメータ のない施設ではハンドグリップやマスター 2 階段による運動負荷も有用である。運動負荷心エコーはこれまで虚血の診断を目的す ることが多かったが、最近では心筋症(DCM、HCM)、弁膜症における運動負荷心エコーの有用性が報告されている。例えば運動 誘発性肺高血圧(運動時肺動脈収縮期圧 ≥60mmHg)の所見は、無症候 MS、MR、AS 患者の症状出現、予後を予測できる指標と して有用であり、また肺動脈性肺高血圧症の早期指標としても注目されている。本日のランチョンセミナーでは運動負荷心エコー の実際と有用性を述べる予定である。 LS12 非侵襲的3次元時相マッピングの幕開け 石津 智子 筑波大学 臨床検査医学 271 共催セミナー 心臓は電気的興奮とそれに引き続く心筋変形によって、圧力を生み出し血液を駆出する。電気信号が機械的収縮へと変換される過 程は興奮収縮連関(Excitation-Contraction Coupling, ECC)と称される。ECC には細胞内のカルシウムハンドリングなど微視的観 点と、臓器としての心臓機能からみた巨視的観点がある。近年の心臓再同期療法や高周波アブレーション治療の進歩によって、巨 視的な観点から電気的興奮伝播の異常を是正し心機能を改善させる治療法が誕生した。これを受けて近年、ECC の巨視的診断が注 目されている。Activation Imaging はこのような時代の要請をうけ登場した全く新しい無侵襲的収縮伝播 3 次元マッピング法である。 従来の 3 次元スペックルトラッキング心エコーでは局所心筋の収縮分布を表示する一方 Activation Imaging は収縮率の大きさでは なく、その時相をカラー表示するマッピング法である。表示する時相は最大収縮率を基準として任意の収縮率に至った時間を設定 できる。単離心筋細胞では細胞膜の興奮の時相に心筋収縮の時相は対応している。従って、理論的には収縮開始時相から興奮開始 時相を検出できる。しかし、収縮時間曲線は膜電位時間曲線とは異なり立ち上がりが緩やかである。これは細胞内カルシウム濃度 の上昇が臨界点に達しないと収縮が開始されないことによる。このため収縮の開始点からさらに収縮を進んだ時相を開始時相の代 わりにも用いる必要がある。さらに、器官としての左室では収縮に影響を及ぼす力学的要素が複雑に関与し得ることなど、今後明 らかにすべき課題もある。本法は心臓の電気的異常の治療に貢献するにとどまらず、これまで実験的にとらえられていた ECC 異常 の臨床例における意義を明らかにする新手法として活用されることが期待される。 第25回日本心エコー図学会学術集会 EvS1 心房細動の抗血栓凝固療法におけるパラダイムシフト 池田 隆徳 東邦大学医学部 内科学講座循環器内科学分野 経口抗凝固薬であるワルファリンが心房内の血栓形成の予防において有効であることが、多くの臨床試験で示されている。アス ピリンなど抗血小板薬ではその効果は期待できない。したがって、心房細動による心原性脳塞栓症を予防するには、抗凝固薬を処 方するしかない。しかし、ワルファリンは使用するうえで多くの制限をかかえている。そのため、脳塞栓症の予防においてワルファ リンと同等もしくは優れた効果を発揮し、かつ頭蓋内出血などの重篤な副作用の合併が同等もしくは少ない新規経口抗凝固薬 (NOAC)が開発された。直接トロンビン阻害薬としてダビガトラン、第Ⅹ a 因子阻害薬としてリバーロキサバンとアピキサバンが 本邦で使用可能となっており、既に多くの非弁膜症性心房細動患者において使用されている。近い将来、第Ⅹ a 因子阻害薬のエド キサバンも市場に参入する予定である。最近になって、これらの NOAC を適正に使用することの重要性が論じられていると同時に、 使い分けが話題の中心となってきている。安全性(大出血などの合併症の回避)を重視するなら、アピキサバンが選択される。 NOAC は、薬理学的には血栓溶解作用がない薬物であるが、心房内血栓を有する症例を心エコーでフォローしたところ、投与によ り心房内血栓が消失したとの報告が散見されるようになった。このように NOAC は血栓溶解薬としての注目も集めてきている。 本セミナーでは、「心房細動の抗血栓凝固療法におけるパラダイムシフト」と題して、NOAC の使い方ならびに使い分けのポイン トを簡単に概説した後、NOAC で心房内血栓が溶解した症例を提示し、最後にアピキサバン発売後の市販後調査の結果について紹 介する予定である。 EvS2 冠動脈疾患予防のための脂質管理 川尻 剛照 金沢大学医薬保健研究域医学系臓器機能制御学 金沢大学附属病院循環器内科 粥状動脈硬化症は冠危険因子の集積により進展するが、中でもコレステロールは動脈硬化進展のすべての局面でその発症・進展 と密接に関連し、少なくとも疫学的には LDL-C は低いほど、HDL-C は高いほど望ましい。 昨年の米国心臓協会(AHA)年次集会で、心血管疾患・脳卒中の予防に関連した米国心臓病学会(ACC)との合同ガイドライン が発表された。この中で、動脈硬化性心血管疾患リスク減少効果が有害事象発症リスクを明らかに上回る 4 つのカテゴリーが明記 され、投与されるスタチンの種類および用量別に治療強度が設定されたが、具体的な目標 LDL-C 値やスタチン以外の薬剤に関する 記述は行われなかった。ハイリスクな一次予防患者を対象とした大規模臨床試験の結果、スタチン以外に十分なエビデンスを有す る薬剤がいまだ存在しないためである。本ガイドラインに対しさまざまな評価が行われているが、動脈硬化性心血管疾患予防の基 本薬がスタチンであることを明確とした意義は大きい。 COSMOS は日本人安定狭心症(126 例)を対象に LDL-C 80mg/dL 未満を目標に rosuvastatin を漸増し、最終平均 16.9mg/ 日の 投与により平均 LDL-C 値 82.9 ± 18.7mg/dL を達成し、冠動脈プラーク体積を -5.1 ± 14.1% 退縮せしめた。同時に HDL-C 値を 19.8 ± 22.9% 上昇させ、HDL-C 値と LDL-C/HDL-C 比の変化率は冠動脈プラーク体積の変化率と相関し、スタチン投与下の HDL の意 義が示された。 現在、わが国でも抗 PCSK9 抗体製剤、CETP 阻害剤など新しい作用を有する脂質低下剤が治験段階にある。心血管イベント予防 効果が示されれば、スタチンとの併用療法により更なるリスク低下に貢献するであろう。 EvS3 虚血性心疾患の画像診断における Fractional flow reserve の役割 寺井 英伸 心臓血管センター 金沢循環器病院 循環器内科 共催セミナー 虚血性心疾患に対する画像診断には心エコーや核医学的検査が、冠動脈狭窄に対しては MDCT や冠動脈造影、IVUS、OCT などが 知られているが、近年それらに加えて冠血流予備量比(FFR) が新しいモダリティーとして注目されている。FFR が他の評価と大き く異なるのは形態学的狭窄ではなく機能的狭窄度を評価できることにあり、それに基づく治療にて大きな予後改善が期待されてい る。Defer, FAME, FAME2 などにより FFR による機能的評価を加えた PCI の有用性が証明され、欧米(ESC、AHA/ACC)のガ イドラインでも広く取り入れられている。 今までは、これら FFR を用いた機能的評価による PCI 前治療適応の判断が良好な予後を導くことが出来ることが解明されてきたが、 一方 PCI 治療後の FFR での機能的評価がその予後改善につながるかは不明であった。治療後の FFR に関し幾つか報告があるが、 現在の 2 世代薬剤溶出性ステント(DES)に関し未だ明らかとは言えない。そこで今回当院で 2 世代 DES を留置後の FFR が慢性 期再狭窄の指標となりうるかを検討したので報告する。更には FFR の視点から生命予後を改善するための至適薬物治療(OMT) に関しても症例を提示しながら紹介する。 272 EvS4 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 慢性心不全におけるループ利尿薬の使い方 中谷 敏 大阪大学大学院保健学専攻機能診断科学 心不全は多くの心疾患の最終病態であり我が国でも数百万人の患者がいるとされているきわめてポピュラーな病態である。しかし その中身は急性心不全、慢性心不全、右心不全、左心不全、両心不全、収縮障害、拡張障害と多岐にわたる。また心不全に対して は医学の進歩とともに薬物治療だけではなく、CRT(心室再同期療法)、機能性僧帽弁逆流に対する手術、左室補助心臓、心移植な ど次々と新しい治療法が開発されている。 今回は、CRT における心エコーの役割やコツを中心に、薬物治療の中でも長年使い続けられているループ利尿薬について新たな知 見も踏まえて再考する。ループ利尿薬は慢性心不全患者のうっ血症状の改善に欠かす事が出来ない薬剤として数多く使用されなが ら、今まで長時間作用型のループ利尿薬で予後を検討した大規模臨床試験は存在しなかった。今回ご紹介する J-MELODIC 試験は、 長時間作用型ループ利尿薬と短時間作用型ループ利尿薬が慢性心不全の予後に及ぼす影響を、世界で初めて直接比較した無作為前 向きオープン試験となっている。RA 系阻害薬やβ遮断薬といった慢性心不全の基本薬と併用することで、病態をより安定させるた めに選択すべき利尿薬とは?という観点から述べる。心不全患者の QOL や長期予後を良好にするための一助となれば幸いである。 EvS5 超音波診断法による透析患者の血管系合併症の評価 那須 雅孝 三愛病院 循環器内科 わが国の透析患者の粗死亡率は約 10%であり、終末期腎不全へのわが国の透析治療成績は欧米に比して良好であるとされている。 しかし、糖尿病患者の割合の増加と透析患者の高齢化により、ここ数年、死亡率が上昇していることが日本透析医学会から報告さ れている。透析患者の死因の約半数は心血管合併症である。これらの心血管疾患は多くは、古典的心血管疾患リスク以外に骨ミネ ラル代謝異常・二次性副甲状腺機能亢進症(CKD-MBD)、貧血・鉄代謝異常(Cardio-renal anemia 症候群)、低栄養・炎症・動脈 硬化(MIA)症候群などが関与して急速に進行する。透析が導入されるときにすでに半数以上の患者では冠動脈に有意狭窄を有し、 大動脈弁の石灰化は非透析患者の 2 - 3 倍以上の速度で進行する。また、末梢動脈疾患(PAD)に冠動脈疾患や脳血管疾患を合併 すると死亡率は著しく上昇する。冠動脈バイパス術や冠動脈形成術は透析患者の予後を改善したとされるが、非透析患者の冠動脈 疾患例の予後には及ばない。 急速に進行する高度の動脈硬化・多重の心血管疾患を有する透析患者の超音波診断は容易と考えられやすい。しかし、透析患者 の冠動脈疾患や弁膜疾患では、治療後も進行する動脈硬化性変化や、多臓器病変の存在、シャントなどの特徴的な負荷が継続する ことなど、非透析患者と同じ診断基準で診断することが出来ないことも少なくなく、透析患者の特異性を考慮することが必要である。 本セミナーでは日本透析医学会の「血液透析患者における心血管系合併症の評価と治療に関するガイドライン」を参考にしなが ら自験例を中心に超音波診断法を利用した心血管疾患の評価について述べたい。 共催セミナー 273 索 引 座長索引 演者索引 セッション 記号一覧 記号 セッション名 記号 セッション名 EP 教育企画 PW 心エコーを治療に活かす ES 教育セッション Quiz 心エコーウルトラクイズ EvS イブニングセミナー S シンポジウム IA International Award Session U40 Echo U 40 Club Meeting IL Invited Lecture V Visual Echo Album JB JB-POT 講習会 W ワークショップ KCC KSE Case Conference WET ウエットラボ Live ライブセッション YIA Young Investigator's Award LS ランチョンセミナー 新技術 新技術紹介セッション O 一般口演 男女 男女共同参画委員会セッション P 一般ポスター 未来 未来型心血管エコーへの提案 PD パネルディスカッション The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography ▪▪ ■ 座 長 索 引 ■ ▪▪ 【A-Z】 Shin, Joon-Han KCC 【あ行】 川端 正明 P13 神吉 秀明 P1 【な行】 山浦 泰子 O20 山岸 正和 IL4, 未来 神崎 秀明 PD4 中尾 伸二 O5 山崎 延夫 未来 木原 康樹 O17 仲宗根 出 O10 中谷 敏 S1, U40 山田 聡 PW 桑原 栄嗣 O9 山田 博胤 Quiz, S5 赤石 誠 会長講演, EvS1, S6 小板橋俊美 EP2, Quiz 那須 雅孝 PD1 山近 史郎 O18 小出 康弘 S7 新居 正基 ES1 山野 哲弘 W2 赤坂 和美 P16 小林さゆき O1 西上 和宏 PD5 山本 一博 EvS5, S8 赤阪 隆史 EvS2, W1 浅沼 俊彦 P20 【さ行】 西野 雅巳 JB 【は行】 湯浅 敏典 O19 湯田 聡 O17 吉田 清 IA, LS10, S4 芦原 京美 O12 西條 芳文 新技術 安部 晴彦 P8 坂田 好美 O23 長谷川拓也 P14 阿部 幸雄 PD3 坂田 泰史 LS12, S8 林 研至 O8 荒木 勉 LS8 庄野 弘幸 P5 原田 昌彦 O7 有田 武史 W5 菅原 重生 O9 平田久美子 海外留学助成 石井 克尚 W3, YIA 鈴木 健吾 O10 石井 正浩 O15 鈴木 真事 IL3 平野 豊 PD2 泉 知里 PD3 瀬尾 由広 PD4 福田 信夫 O15 市田 蕗子 S2 千田 彰一 O14 伏見 悦子 O4 若見 和明 P7 藤本 眞一 O6 脇 英彦 O20 穂積 健之 IL2 和田 靖明 EP1, V 本間 博 O8 渡邉 望 O3 渡辺 弘之 Live, WET 伊藤 隆英 O12 伊藤 浩 KCC 【た行】 帰国報告会 井野 秀一 S3 大門 雅夫 ES2 岩倉 克臣 S5, W5 高木 厚 O13 岩瀬 正嗣 W2 高木 力 ES4 岩永 史郎 新技術 高野 真澄 LS11, 男女 正木 充 O22 上松 正朗 S4 高橋 秀一 EP1 舛形 尚 O21 宇都宮俊徳 P11 宝田 明 O23 増田 喜一 O5 宇野 漢成 O16 瀧聞 浄宏 P25 増山 理 LS3 麻植 浩樹 S3 竹内 正明 PD2, U40 松尾 汎 W1 大倉 宏之 S6 松村 誠 P18 太田 剛弘 P17 竹中 克 仁村レクチャー, LS9 大手 信之 LS4, S1 田中 伸明 O16 丸尾 健 P23 大場 教子 W4 田中 信大 O2 三神 大世 EvS3, YIA 大原 貴裕 P2 田中 教雄 ES2 水上 尚子 O4 岡本 浩嗣 JB 田中 秀和 W3 水重 克文 O2 岡山 英樹 O11 田邊 一明 EvS4, IL1 皆川 太郎 P22 奥田 真一 P24 谷 知子 P3 皆越 眞一 LS2, O22 桶家 一恭 ES3 谷本 貴志 O13 宮坂 陽子 P12 尾辻 豊 LS6, S7 種村 正 EP2 村田 和也 ES4 小山耕太郎 P21 田内 潤 LS1, PD1 室生 卓 P6 【か行】 【ま行】 吉牟田 剛 PD5 【ら行】 李 鍾大 O3 林 英宰 O21 【わ行】 松村 敬久 P4 恒任 章 P15 森 一博 LS5, W4 坪川 恒久 Live 森 三佳 O7 加賀 早苗 P26 戸出 浩之 LS12, O1 笠巻 祐二 O11 遠田 栄一 O18 加藤 雅彦 O19 土肥 薫 ES3 川井 順一 P19 富松 宏文 ES1 安河内 聰 O14, S2 川合 宏哉 LS7, PW, 男女 豊田 茂 O6 安田 久代 P9 【や行】 安 隆則 P10 277 第25回日本心エコー図学会学術集会 ▪▪ ■ 演 者 索 引 ■ ▪▪ 秋田 穂束 P7-2 Tumenbayar, Maidar O14-2 大木元明義 S5-2 Bhatia, R. Sacha IA 秋元かつみ O16-4 W5-4 Byrd III, Benjamin F. IL2 Voilliot, Damien IA 秋山晋一郎 O13-4 阿部 梨栄 P12-5 Chang, Hyuk-Jae KCC-4 Watanabe, Nobuhisa KCC-3 秋山 真樹 P12-4 阿部 励一 P18-1, P18-3 天野 篤 O2-5, P13-6, 秋吉 妙美 O18-4 Chung, Namsik KCC-4 Yoshitani, Hidetoshi KCC-1 DeMaria, Anthony IL4 Youn, Jong-Chan KCC-4 Cho, Hyun-Jae IA Cho, In-Jeong KCC-4 Dulgheru, Raluca IA Fukuda, Shota KCC-1 【あ】 秋吉 重康 O18-4 阿古 潤哉 O7-4, P1-7, P14-5, PD2-4 浅香真知子 O18-4 朝貝 省史 S2-1 P22-2 天野 和雄 P7-4 天野 哲也 P2-2, P13-7 天野 裕久 O2-4, P4-5, P13-8 天野 雅史 O3-2, P12-5, P20-1 Ha, Jong-Won KCC-4 相川 幸生 O6-6 浅川 雅子 P20-6 Hayashi, Atsushi KCC-1 相澤健太郎 O23-3 Henri, Christine IA 相澤 直輝 P8-5 浅田 綾子 O21-4, P4-8 浅沼 俊彦 P7-8, W3-2, Hong, Geu-Ru KCC-4 Hwang, In-Chang IA 相澤 芳裕 O4-2, O9-2, O12-2 浅野 貴子 P10-6 網谷 亜樹 O1-4 Ito, Hiroshi KCC-3 相澤 義泰 P18-4 藍田 仁史 P18-1, P18-3 足利 敬一 P16-3, P22-5, W5-3 網谷 賢一 U40-2 Iwataki, Mai KCC-1 Kim, Hyung-Kwan IA 相原 英明 U40-1 安喰 恒輔 P20-6 Kim, Kyung-Hee IA Kim, Yong-Jin IA, IL3 青木 健一 S5-4 芦原 京美 O12-1, P9-7, P10-7, P25-3, Kohno, Kunihisa KCC-3 青木 俊和 O3-1 Kou, Seisyou IA 青木 朋 O23-6 東 信良 W1-2 荒川 鉄雄 O6-5 青木 剛 O10-3 YIA-4 P25-6 天野 里江 O11-4, O13-5, S5-1, W1-1 新井光太郎 O12-1, P9-7, P10-7, P25-3, P25-6 新垣 勝也 P8-5 荒川 純子 O6-4, P23-2 Laaraibi, Saloua IA 青木美由紀 P7-4 安達 理 P3-2 新木 貴 P22-6 Lancellotti, Patrizio IA, IL1 青地千亜紀 P15-1 安達 晃一 P24-7 荒木 勉 P26-1 青戸 正樹 O11-2 足立 健 P9-3 新木 義弘 O18-2 Lee, Hae-Young IA 青沼 和隆 O13-2, O13-3, O22-2, P16-6, 安達 太郎 O17-4 荒木 善盛 P15-3 安達 知子 O9-4 有川 拓男 O2-4, P4-5, P13-8 Lee, Seung-Pyo IA, KCC-2 安達 和子 O14-2, P10-2, P11-5, P24-3, Liang, Shuai P14-1 PD1-5, PD4-1, Magne, Julien IA PD4-6, S2-3, Miyoshi, Toru KCC-3 S3-3, S3-4, Morita, Hiroshi KCC-3 S4-3, U40-1, 安達 秀雄 P24-7 Nagata, Yasufumi KCC-1 YIA-3, 男女-6 渥美安紀子 O13-3, O22-2, P16-6 P26-3 Naito, Yuka KCC-3 青柳 貴 P20-6 Nakamura, Kazufumi KCC-3 赤石 誠 P23-4 穴井 聡子 O7-5 赤木 達 ES2-2, P4-6 赤木 禎治 S3-2, W2-2 油尾 亨 O10-3 阿部 歩 O8-1, P3-5, Nishii, Nobuhiro KCC-3 Noda, Yoko KCC-3 Oe, Hiroki KCC-3 Ohno, Yuko KCC-3 赤坂 和美 P8-1, W1-2 赤阪 隆史 O4-3, O19-1, P26-4 Otani, Kyoko KCC-1 赤坂 伸之 P8-1 Otsuji, Yutaka KCC-1 明石 嘉浩 O3-5, O6-2, O8-6, P4-2, P15-4 阿部久美子 O1-1 阿部 貴行 P18-4 有田 武史 PD4-1, PW-1 有馬 隆幸 P3-6 有馬ひとみ P10-4, U40-3 有吉 亨 O11-3, O21-3, O21-5, P11-2 粟田 政樹 P8-2, P22-1, P24-2 粟野孝次郎 P20-2 粟屋 徹 P1-1 安在 貞祐 O20-1, P7-7 安斉 俊久 O6-5, O6-6 阿部 直樹 P6-5, P6-6, P15-6 安藤 貴彦 O23-1 安藤 寿 P21-3 阿部 春奈 PD2-3 安藤 誠 P17-5 Rebecca, Hahn LS6 P9-1, P11-6, 安部 晴彦 P3-1 安東由喜雄 O7-5 Shim, Chi Young KCC-4 P14-4 阿部 康彦 W3-5 Pierard, Luc IA 278 阿部 幸雄 O3-4, P12-2, P15-8, PD3-3, Takeuchi, Masaaki KCC-1 【A-Z】 Smallhorn, Jeffrey P7-3 明石 義浩 S4-3, YIA-3 Sohn, Dae-Won IA 赤星隆一郎 P13-1 【い】 飯尾千春子 P12-3, S5-2 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 飯田 修 P8-2, P22-1, P24-2 飯田 卓馬 P8-2 石川 嗣峰 O1-4 市川 毅彦 O3-1 石川 哲憲 P10-1, P19-6, YIA-6 市川 良子 O2-5, P13-6, P22-2 乾 洋勉 O22-1 犬塚 斉 P4-3, P4-4, P14-8, P16-1 飯田 典子 O7-1, P16-6 石川 哲也 P5-6, P19-8 一瀬 太郎 O20-4 犬塚 亮 O14-4 飯田 充 O4-2 石川 昌弘 U40-2 市田 蕗子 P25-5 飯塚 貴士 P13-5 石川 友一 O17-1, P25-1 市田 勝 P3-3, P19-3 猪野 靖 O4-3, O19-1, P26-4 家村 素史 S2-4 石倉 順子 P10-4 市橋 光 P21-1 井上 一郎 P20-5 井形 幸代 P5-3 石黒 智也 O12-4 一宮 千代 O6-3 五十嵐 崇 YIA-5 石黒みどり O13-1, P4-7 一色 高明 PD5-2 井上 勝次 P2-3, P9-5, P12-3, S5-2 五十嵐 都 PD4-6, S3-3, S3-4 石塚 豪 P2-5 井手口武史 P19-6 石田 圭一 P24-1 井口 朋和 P12-4 石田 弘毅 P14-5 井手本明子 O3-6, P1-8 伊東 風童 O3-4, P12-2, 井口由佳子 P17-1, W4-1 石田 悟朗 P24-1 P15-8, W5-4 池上 新一 S2-4 石田 美樹 O22-4 伊藤 一輔 O20-1, P7-7 井上 直人 S1-2 高野 真澄 男女-1 伊藤 浩司 O8-2 井上 博 P12-1 石津 智子 ES4-4, LS4, LS12, O7-1, 伊藤 幸子 O4-4 井上 裕之 P3-1 伊藤さつき P4-3, P4-4, P14-8, P16-1 井上 勝 O10-3 井上 陽子 O5-1, O11-5, P20-3 池添 友紀 P18-1, P18-3 池田 宇一 O7-6, O22-3 池田 勝義 O7-5 池田 聡 P4-8 O13-2, O13-3, 池田 聡司 O21-4 O22-2, P14-4, 伊藤 智 P24-7 池田 隆徳 EvS1, P2-1 P16-6, PD1-5, 伊藤 順子 O4-4, O9-6, O23-4 池田 尚子 O22-4 PD4-1, PD4-6, 池田奈保子 P14-5 S2-3, S3-3, 池田まどか ES2-2, P4-6, P9-4, P19-1, S3-4, S4-3, S8-2, U40-1, 伊藤 新平 O9-4, P10-2, P11-5, P24-3, P26-3 井上 耕一 P3-4, S3-5 井上 晃男 O2-4, O10-4, P4-5, P13-8 井上 奈緒 O15-4 井上 美紀 O6-3 井上 洋平 P16-3, W5-3 猪原 拓 W2-4 猪又 孝元 O7-4, P1-7, PD2-4 V-1, W3-4, 伊藤 智範 O5-5 伊吹圭二郎 P25-5 池田 勇一 O7-3 YIA-3, 男女-4, 伊藤 朋行 O20-5 伊部 達郎 P14-5 池宮城秀一 P8-5 男女-6 伊藤 敦彦 O5-3 今井孝一郎 ES4-3, P1-3, P26-7, S1-5, S3-2, W2-2 池谷 之利 O12-2 生駒 剛典 O1-5 石原 隆行 P8-2, P22-1, P24-2 井坂 葵 O13-1, P4-7 石原 弘貴 P18-6 井阪 直樹 O3-1 石丸 剛 P11-3 伊澤 淳 O7-6, O22-3 石見 慎 P22-6 井澤 英夫 O12-4 石山 絢野 O3-6, P1-8 石山 将希 O12-5, S8-3 伊藤 記彦 P14-3 伊藤 浩子 P18-1, P18-3 伊藤 宏 P8-6, P26-5 伊藤 浩 ES2-2, LS7, P4-6, P9-4, P19-1, PD3-5, S6-1, W4-2 今井 道生 P19-5 今井美智子 P13-5 今井 靖子 O5-2, P3-7, P17-2 泉 千里 P12-5 伊藤 博之 P10-5 今井 裕 P10-5 今西 純一 O7-2, O19-3 伊藤 誠 PD3-3 今西 孝光 O7-2 P25-3, P25-6, 泉 知里 O3-2, P20-1, PD3-2 伊藤 正明 O3-1, O8-5 S2-1 泉 直樹 O18-5, P24-4 伊藤真理子 P2-5 今西 敏雄 O4-3, O19-1, P26-4 伊藤 啓明 O9-1 今村華奈子 O7-5 伊藤 美和 P13-1 今村 泰崇 P10-7 石井 裕繁 O11-2 泉 礼司 W4-2 出雲 昌樹 O3-5, O8-6, P4-2, P14-4, 伊藤 祐子 S1-2 岩尾 舞 O1-1 石井 正浩 P21-3 PW-4, S1-6, 伊藤 祐輔 P11-3 岩垣 重紀 P21-2 S4-3, YIA-3 伊藤 由美 P2-3 岩倉 克臣 P3-4, P24-5, PD3-5, S3-5 石井 克尚 W3-3 石井 潤一 P4-3, P4-4 石井 徹子 P21-6, P21-7, 石井 俊光 P7-2 石井 英 P1-6 石井 雄介 O23-4 S3-2, W2-2 石垣 瑞彦 O15-4, O15-5 磯部 更紗 P9-3 石上 徳郎 O23-2 磯部 光章 O23-4 稲井 慶 P21-6, S2-1 石川 英二 O3-1 板谷 慶一 O14-4, O16-2, O16-4 稲尾 杏子 P12-1 板橋 裕史 U40-4 稲毛 章郎 P7-3, P17-5 稲福 斉 P8-5 石川 司朗 O17-1, P25-1 市川 絢子 O17-2, P2-4, P15-4, YIA-1 石川 貴充 P21-5 市川 秀一 O18-2 石川 和徳 P10-4 石川 雄大 O20-1 石川 譲治 P3-3, P19-3 伊藤 礼子 P15-1 稲垣 裕 P11-3 岩崎 俊弥 O18-2 岩島 覚 O15-4, O15-5, O16-2, P21-5 岩瀬 俊 S5-1 岩瀬 晴香 P15-2, P24-6 伊波 秀 O2-4, O10-4, P4-5, P13-8 279 第25回日本心エコー図学会学術集会 岩瀬 正嗣 O10-2, P4-3, P4-4, P14-8, 内田 祐里 O21-4, P4-8 麻植 浩樹 ES2-2, P4-6, P9-4, P19-1, 大塚 健紀 P1-1, P2-7 大塚 伸子 O6-1, P5-6, P16-1, P19-4, 内山 賢子 P25-5 P25-7 宇野 漢成 O8-4, O16-3, P7-5 大井 邦臣 P20-5 大辻 幹 O12-5 大石 充 P8-4 岩田 隆 P22-1 宇野澤 聡 O9-6, O23-4 大内 秀雄 P25-2 大手 信之 O21-1, P2-4, P2-6, PD1-1, 岩田 浩康 未来-2 岩瀧 麻衣 O1-6, S6-5, 馬詰 智子 P16-7 大江康太郎 P26-1 梅木 俊晴 O18-4 大江 宏康 P5-2 大友 達志 S1-2 梅澤 滋男 P10-3 大岡 順一 O7-2, O19-3 大西 隆行 P10-3 岩田 光司 P16-2 W5-1 S3-2, W2-2 P19-8 YIA-1 岩永 史郎 ES3-3, P17-2, P25-4, S6-4 梅田ひろみ EP1-3 大川 洋平 O23-6 梅村 純 P16-8 大木 崇 S4-1 大西 哲存 O8-3, P8-7, YIA-2, 海外留 岩野 弘幸 P3-5 梅村晋一郎 新技術-1 大木元明義 P9-5 学助成帰国報 梅本 富士 P14-5 大久保健史 P18-1, P18-3 大久保輝男 O6-1, P5-6, 告会-2 岩橋 徳明 P17-6, P22-4 岩橋 正典 O23-1 岩淵 成志 P8-5 岩村 世晴 W3-3 【う】 植木 博之 P4-1, PD2-1 上嶋 徳久 LS9, O2-2, 新技術-2 【え】 P19-8 江石 清行 O21-4 大蔵 隆文 P2-3 江神 康之 O3-6, P1-8 江口 幸佳 O2-6, P23-3 江口 智早 O21-4, P4-8 大藏 隆文 P9-5, P12-3, S5-2 江口 春樹 O2-6, P23-3, W2-3 大倉 宏之 ES4-3, O2-3, P1-3, P26-7, 大西 俊成 LS5, O12-3, P7-8, PD1-4, S1-4, S5-5, S8-4 大西 尚昭 P20-1 大西 紀之 P7-4 大西 裕之 O3-6, P1-8 S1-5, S4-4, 大西 祐子 P10-3 S6-1, W4-2 大西 佳彦 Liveコメンテーター 大沼 秀知 O21-2, P3-2 上杉陽一郎 O13-1, P4-7 江口美知子 P17-7 上田 育美 O6-1 江尻 純哉 P20-2 大郷 剛 O6-6 植田晋一郎 P8-3 江藤 政尚 S7-2 大崎 雅樹 O14-1 大野 猛三 O23-6 植田 信策 P5-2 江沼小百合 P16-4 大澤 和宏 P9-4 大野 泰良 P18-6 植田 信索 P11-7 榎本 志保 P3-6 大島 茂 S4-3, YIA-3 大野 正和 O23-4 上田 智広 P5-4 榎本操一郎 P20-1 大嶋 秀一 P15-7 上田 知実 P17-5 榎本 由美 O7-3 大嶋 丈史 P10-2 大野 佑子 ES2-2, P4-6, P9-4, P19-1 上田 寛修 O5-5, W2-1 上田 政一 P3-4, P24-5 江波戸美緒 O22-4 大城 克彦 P8-5 蝦名 冴 P6-7 大杉 和生 O3-1 上谷 晃由 P9-5, S5-2 蛯名 冴 P21-4 太田 剛弘 P1-6 上野 修市 P19-3 海老原 卓 O12-1 太田 哲郎 O23-5, 男女-5 大橋 佳隆 P20-2 上野 剛志 P17-4, P22-3 江本 憲昭 O19-3 大花 昇 O18-3 上原慶一郎 P20-2 遠田 有希 O9-1 太田 昌克 O4-2, O9-2, O12-2 植松 庄子 O12-1, P9-7, P10-7 遠藤 昭博 O9-4, O14-2, P10-2, P11-5, 太田 光彦 O1-3, P16-4, P16-8, P17-5 大林 民幸 O9-5 太田 宗徳 P13-4 大原 貴裕 O6-5, O6-6, PW-2 上松 正朗 P8-2, P22-1, P24-2, U40コメン テーター 植屋 奈美 P8-4 P24-3, P26-3 遠藤 薫 P5-2, P11-7 遠藤 桂輔 O2-6, P23-3, W2-3 上山 克史 P26-1 遠藤 教子 P24-1 魚住 翠子 O2-4, P13-8 遠藤由美子 O18-3 烏川 信雄 O20-4 遠藤 洋一 O21-2, P3-2 氏家 道夫 PD2-3 氏野 経士 P12-7, P24-8 牛ノ濱大也 O17-1, P25-1 碓氷 章彦 P15-3 碓井 伸一 P20-6 宇宿 弘輝 P15-7 内田 耕資 O11-3, O21-3, O21-5, P11-2 280 内田 享 P16-5 【お】 及川 雅啓 O18-3, P18-5, P20-4 追分 久憲 P7-6, P11-7, P17-1, W4-1 近江 哲生 O23-4 太田 庸子 O23-5, 男女-5 大場 教子 P5-2, P11-7, P17-1, PD5-1, W4-1 大林 光念 O7-5 大原 一将 P12-1 大竹 睦美 P20-6 近江 晃樹 O9-1, P14-7 大宮 一人 O6-2, P9-1, 大谷 恭子 O1-6, P9-2, S6-5, S7-2, 大村 寛敏 O2-5, P22-2 大滝 英二 O3-5 W5-1 P11-6 大村 祐司 O1-4 大谷 悟 P16-5 大森 恵 P10-6 大谷 朋仁 O12-3, PD1-4, S8-4 大屋 祐輔 P8-5 大谷 直由 O2-4 岡 俊治 P20-5 岡 崇史 S3-5 大谷 速人 O1-5 岡 雅通 YIA-4 大塚 明子 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 岡芹 朋子 O1-1 大塚 憲 P20-6 岡田 恵利 O23-3 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 岡田 一範 O8-1, O16-5, O17-2, P2-4, P3-5, P15-4, 尾崎 行男 O10-2, P4-3, P4-4, P14-8, P16-1, P19-4, YIA-1 P25-7 岡田 健 P19-1 長内 智宏 P15-6 緒方 健二 P16-3, W5-3 小澤 公哉 O14-5, O17-5, O19-5, P13-2, 岡田 顕也 O10-1 岡田 清治 O23-5, 男女-5 岡田 大司 O9-4, P10-2, P11-5, P24-3, P26-3 岡田 俊英 P10-6 香美 祥二 O15-1, O15-3, S2-2 金井 宏義 O18-2 加賀谷健一 O6-4, P23-2 鍵山 暢之 ES4-3, O4-5, 金澤 晃子 P24-1 P1-3, S6-1, S7-1, S8-5 金枝 章予 O17-5, P23-1 金森 隆樹 P17-4, P22-3 金谷 法忍 O10-3, P10-6 金澤 紀雄 P15-2 賀来 文治 O20-4 金田 宇行 O2-4 角田健太郎 O3-1 金田 眞 P8-1 小澤 綾佳 P25-5 小澤 達也 S7-1, S8-5 懸高 友美 P10-6 金綱 英夫 O4-5 掛札 雄基 U40-1 鎌田 聡 P20-6 織田 禎二 O23-5 笠井 篤信 O12-5, S8-3 風谷 幸男 O18-5, P24-4 鎌田 武 P6-4 P16-7, P23-1 尾田 知之 P12-7, P24-8 鎌田 知子 O17-5, P23-1 岡田 寛之 P11-3 小田中 豊 P21-4 笠野 健介 P10-3 鎌田 智仁 O12-4 岡田 昌子 O22-1, P18-2 越智香代子 O1-4 風間 香里 P17-7 上 真弓 P16-5 岡田 真弓 P25-4 小形 幸代 P3-3, P19-3 尾辻 豊 O1-6, P9-2, S4-3, S6-5, 笠間 周 O18-2 神嶋 敏子 O6-1, P5-6, P19-8 笠巻 祐二 O4-2 岡庭 裕貴 ES2-1 S7-2, U40コメン 加地修一郎 P9-2 岡野 智子 P7-5 テーター, W5-1, 梶谷 敦子 W4-2 上嶋 亮 O3-5, O8-6, P4-2 YIA-3 梶濱 あや P8-1 紙森 公雄 P1-6 男澤 千啓 O1-4 柏木 大嗣 P20-2 神山 崇 O12-5 鬼塚 久充 P19-6 数野 直美 EP1-5 神山 哲男 PD3-4 片岡 容子 O2-2 嘉村 幸恵 P14-3 岡村 昌宏 O18-6 岡村 篤徳 P3-4, P24-5 小野 和重 O5-1, O11-5, P20-3 片平 美明 PD4-4 蒲原 啓司 O18-4 小野 浩司 P7-4 片山 卓士 P14-5 岡村 暢大 P6-3 小野 敬道 P15-7 片山 祐介 P16-5 茅野 博行 O17-4 苅尾 七臣 P3-3, P19-3 岡本 明美 O1-1 小野 安生 O14-1, O15-4, O15-5 葛 備 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, 川合 宏哉 O8-3, P8-7, YIA-2, 男女-7 岡林 均 O5-5, P6-4, P14-3 岡部 裕美 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 岡本 慎 P8-2, P22-1, P24-2 尾上 紀子 P2-5 岡本 浩嗣 JB-2 小野寺一義 P20-6 勝木 桂子 EP2-3 川井 実 P9-3 岡本 隆二 O3-1 小野寺健太 P22-8 尾長谷喜久子 O2-3, S7-1, S8-5 勝然 秀一 O6-4, O23-2, P23-2 河合 勇介 O18-5, P24-4 岡山 昭彦 P19-6 勝田 省嗣 O20-4 川上 崇史 W2-4 加藤 大志 O3-6, P1-8 加藤 倫子 O2-5, P13-6, 川上 徹 P18-6 岡山 英樹 O18-5, P24-4 小川 恭子 O22-1, P18-2 小川 久雄 O7-5 尾原 義和 P6-3, P15-1 小保方 優 P1-2, U40-3 小川 優司 O1-4 小室 拓也 O2-6, P23-3 小川 亮介 S5-4 荻野 均 P3-7, P17-2 荻野 幸伴 O2-4, P4-5 大木元明義 P2-3, P12-3 奥田 真一 O11-3, O21-3, O21-5, P11-2 奥野 圭佑 P8-2 小熊 秀隆 O9-2 P11-1, P20-3 川井 真 O7-3 川上 祥一 O17-3 河上 雅子 P25-4 P22-2 河北 由理 O23-1 表 俊也 U40-2 加藤 裕生 P20-2 河越 卓司 P20-5 面家健太郎 P21-2 加藤 雅彦 O18-6 河崎 悟 P7-2 小山耕太郎 P14-3, W2-1 折居 誠 O4-3, O19-1 加藤真帆人 O9-2 川崎 俊博 O20-3, P5-5 折口 秀樹 S5-4 加藤 美穂 P4-3, P4-4, P16-1 渡橋 和政 PD3-1, S7-3 加藤 靖周 P19-4 織原 良行 S3-5 加藤 泰之 P12-2 【か】 加藤ゆず子 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 川崎 雅規 P7-4 川尻 剛照 EvS2, P9-6, P11-4, P26-8 川田 貴之 ES2-3, O8-4, O16-3, P7-5 奥村 謙 P6-5, P6-6, P15-6 甲斐田豊二 O7-4, P1-7 加藤 義紘 P3-6 奥村 宇信 O6-3 貝谷 和昭 P20-1 川浪のぞみ O21-4, P4-8 奥山龍之介 P19-4 海渡 健 O7-3 加藤 隆一 O4-4, O9-6, O23-4 小倉 克巳 P11-8 開發 謙次 O23-1 河野 誠司 O7-2 桶家 一恭 P13-4, P17-4, P22-3 加賀 早苗 O8-1, O16-5, O17-2, P3-5, 門田 一繁 O2-6, P23-3, W2-3 角浜 孝行 P8-1 川端 豊 P6-3 門平 忠之 P16-7 河原 吾郎 O8-2 尾崎 健 P12-7, P24-8 P15-4 河田 政明 P19-3, P24-7 川田 好高 O18-5, P24-4 川野 成夫 P15-5 河野 浩章 O21-4 281 第25回日本心エコー図学会学術集会 川又 美咲 O2-4, O10-4, P13-8 川松 直人 O13-3, O22-2, P16-6, S2-3 熊倉 久夫 O18-2 木原 一 PD3-5 鬼平 聡 P8-6, P26-5 久米 輝善 ES4-3, P1-3, P26-7, S1-5, 河野 珠美 P2-3, P9-5, P12-3, S5-2 高野 智晴 O11-2 金 成海 O14-1, O15-4, O15-5 倉谷 徹 S1-4 幸山佳津美 P25-2 河村 晃弘 P15-5 木村恵理子 O13-5 倉信 裕樹 O15-2 郡山 晃 YIA-4 河村 道徳 P5-4 木村 郷 P4-7 小口 徳之 O6-4, P23-2 川村 龍 O13-3 川本 健治 P16-5 木村 公一 O8-4, O16-3, P7-5 倉林 正彦 O9-5, O10-1, P1-2, P13-5, 川元 隆弘 ES4-3, P1-3, P26-7, S1-5, 木村 悟 P22-6 栗田絵梨奈 P25-4 古島 早苗 O21-4, P4-8 木村さゆり P23-4 栗原 明子 O2-6, P23-3 栗山 根廣 P16-3, W5-3 小島 淳 O7-5 黒川 貴史 PD4-4 黒川 文夫 P9-7, P25-3, 小島 義裕 P6-3 川向 美奈 P18-7 S6-1 木村 茂樹 P18-1, P18-3 S6-1 U40-3 河野 靖 O20-3, P5-5 小暮 真也 P13-5 小島 幸子 P9-7 小島 敏雄 O9-2 川森 裕之 P7-2 木村 純人 P21-3 神崎 歩 O6-6 木村 雄弘 P18-4 神埼 晋 O15-2 木村 俊之 P16-3, W5-3 神崎 秀明 O6-5, O6-6 神田かおり P25-3, P25-6 木村 朋生 P4-6 黒木 恵美 O10-5, P13-3 小平まさみ P23-4 木村 直行 P24-7 神田 貴史 P8-2, P22-1 木村 正臣 P6-6 小谷 敦志 EP1-1, PD5-3, V-2 木村 昌弘 O6-6 黒木 建吾 P19-6 黒木 健志 PD4-6, S3-3, S3-4 菊田 寿 PD4-4 木山 優 P13-4 許 俊鋭 LS9, O10-6 黒沢 幸嗣 O9-5, O10-1, P1-2, P10-4, 菊池 有史 U40-2 清川 恵子 P22-6 菊池 祥平 O21-1, PD1-1 清遠 由美 P15-1 黒澤 博之 P18-5 後藤健太郎 O23-4 規矩智千絵 P16-4 木越紗和子 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 桐林 伸幸 P14-7 黒田 健輔 O1-5 後藤 剛 W2-3 金城 玉洋 O4-1 黒飛 俊哉 O3-4, P15-8 黒羽根彩子 O5-2, P3-7, 後藤 利彦 O21-1 【き】 木佐貫 彰 P8-4 【く】 P25-6 P13-5, U40-3 P17-2 小塚 綾子 O7-6, O22-3 小杉 理恵 P23-4 小谷 匡史 P25-1 小塚 靖子 O2-1 籠手田雄介 S2-4 後藤 育子 P25-3, P25-6 後藤 信之 O4-4 後藤 登 P18-1, P18-3 後藤 浩子 P21-2 釘宮 史仁 P15-7 桑木 恒 P12-7, P24-8 桑野 和代 P12-5, P20-1 草場 健 P5-3 桑原 秀次 P21-2 小西 崇夫 O23-2 楠岡 英雄 P3-1 桑原 大志 P18-1, P18-3 小沼 善明 P17-7 稀代 雅彦 O16-2, O16-4 楠瀬友季子 P1-1, P2-7 桑原 尚志 P21-2 木庭 新治 O17-4 木曽 啓祐 PD4-5 楠原 健一 P13-1 桑原 直樹 P21-2 木田 公裕 P19-5 沓澤 大輔 P14-7 小林 淳 O18-3, P18-5, P20-4 北 宏之 O20-1 轡田早紀子 P17-6, P22-4 北井ひとみ O22-4 貢藤 悦子 P10-5 小池 未奈 O18-2 小林さゆき P17-7 北尾 政光 O11-2 工藤 朋子 O1-4 小泉 信達 P3-7 小林 匠 P17-5 北岡 裕章 P11-8 工藤ゆかり P18-1, P18-3 小板橋俊美 O7-4, P1-7, PD2-4 小林 智恵 P17-5 吉敷香菜子 O1-3, P16-4, P16-8, P17-5 木島 康文 P9-4, P19-1, S3-2, W2-2 杭ノ瀬昌彦 P3-7, P17-2 【こ】 琴岡 憲彦 O18-4 小林 一士 P10-3 北風 政史 P13-6 國井 浩行 P20-4 北川 篤史 P21-3 小出 雅雄 P3-1 小林 洋明 P15-2, P24-6 小林 紘生 P15-2, P24-6 北島 勲 P25-5 國金 正宏 O5-1, O11-5, P20-3 小出 康弘 JB-5, O2-1 小林 真紀 O16-4 北田 弘美 P18-2 國吉 幸男 P8-5 小出 優史 O21-4 小林 洋一 O17-4 北野 正尚 O6-6 久保 隆史 O4-3, O19-1, P26-4 小岩屋 宏 P16-3, W5-3 黄 世捷 O3-5, O8-6, P4-2 小林 欣夫 O14-5, O17-5, O19-5, P13-2, 向後 隆章 O9-2 小夫家和宏 PD2-1 香坂 俊 O1-1, PW-3, W2-4 狛 泰子 O23-1 北村 愛 P24-8 北村 和雄 P10-1, P19-6, YIA-6 北村 英樹 S7-1, S8-5 282 木場久美子 P10-6 久保 亨 P11-8 久保知一郎 O20-3, P5-5 久保田 功 O19-4, O22-5, P16-7, P23-1 小松 愛子 O18-4 北村 倫子 P26-2 P12-6 城戸 輝仁 P12-3 久保田淳子 P10-4 光島 隆二 P22-6 小松 宣夫 P24-1 喜納 直人 O3-4, P15-8 木下 将城 O18-5, P24-4 熊谷亜希子 O5-5, P6-4, P14-3, W2-1 合田 浩紀 P22-8 小松 万姫 P14-6 小松 龍士 PD3-3, W5-4 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 佐伯 茉紀 P7-4 佐々木伸子 O2-2 佐賀 俊彦 EP1-1, PD5-3 佐々木英樹 P24-4 坂井 綾子 P13-1 佐々木基起 P8-3 小室 薫 O20-1, P7-7 酒井 慎一 P26-2 小室 一輝 P7-7 佐田 政隆 EP1-4, ES2-4, ES4-1, O11-4, 小室堅太郎 O5-5 坂井 貴光 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 米田さおり P26-6 坂井 勇仁 O23-3 小宮 達彦 P23-3, W2-3 小室 一成 O8-4, O16-3, P7-5 塩島 一朗 O19-2, P14-2, P17-3, S4-2 塩田 隆弘 P6-1, P6-2, S4-1, U40-4 塩野 元美 O4-2 O13-4, O13-5, 塩野 泰紹 O4-3, O19-1 P5-7, S5-1, 志賀 剛 PD4-1 米田 正始 S7-1, S8-5 酒井 良彦 P17-7 W1-1, W4-3, 鹿田 智揮 O16-1 小藪 助成 O3-1 榊原 温志 O23-4 新技術-5 鹿野由香理 P2-3 小山 潤 O7-6, O22-3 榊原 智晶 O1-5 佐藤 晃 P8-3 重松 達哉 P24-4 小山 彰平 P19-6 榊原 守 P2-4, YIA-1 静 毅人 P15-2, P24-6 小山 忠明 O23-1 坂口 大起 P3-1 佐藤 希美 O13-3, O22-2, P14-4, P16-6, 古山 輝將 ES4-3, S6-1 坂口能理子 O21-4, P4-8 小山 正晴 P25-4 坂倉 建一 P14-5 小山 靖史 P3-4 是恒 之宏 P3-1 金 徳男 O20-2 近藤 博和 P20-1 近藤麻紀子 O1-1 近藤 洋子 O18-2 紺野久美子 PD5-2 今野佐智代 O2-4, O10-4, P13-8 今野 哲雄 P26-8 【さ】 S4-3, YIA-3 静田 聡 LS10 品田 祐希 O4-4 篠内 和也 P3-1 坂倉 奈穂 P22-6 佐藤 慶介 O14-1, O15-4, O15-5 坂田 好美 O13-1, P4-7 佐藤 大樹 P2-5 篠原 純子 O1-1 坂田 晋史 O15-2 阪田 美穂 O15-1, O15-3, S2-2 佐藤 孝典 O7-4 篠原 徳子 P21-6 佐藤 翼 O8-2 佐藤 徹 O13-1, P4-7 柴 信行 O14-3, W3-5 柴 祐司 O7-6, O22-3 坂田 泰史 LS2, O12-3, P7-8, PD1-4, 佐藤 直樹 U40-2 柴田 綾 P6-7 篠崎 毅 P2-5 佐藤 直美 O9-1 柴田 宗一 P5-2, P11-7 S1-4, S5-5, 佐藤 則昭 P7-4 S8-1, S8-4 佐藤 全史 P25-4 柴田 利彦 LS1, O3-4, P12-2, P15-8 坂谷 彰哉 O3-6, P1-8 坂野 康人 O10-6 佐藤 康弘 O4-4, O9-6, O23-4 柴田 尚美 P17-6, P22-4 柴田真紀子 P26-2 坂部 茂俊 O12-5, S8-3 酒巻 文子 O7-1, PD1-5 佐藤 有子 P21-1 佐藤ゆかり O18-3 柴田 剛徳 P16-3, P22-5, W5-3 齊川 祐子 P6-7 坂本 一郎 O8-2 西條 良仁 O11-4, O13-4, O13-5, P5-7, 坂本 瞳 ES2-2, P4-6, P9-4, P19-1 佐藤 如雄 O6-2, P9-1, P11-6 柴山謙太郎 P6-1, P6-2, U40-4 坂本 佳子 O18-4 佐野 俊二 S3-2, W2-2 佐野 浩之 O7-2, O19-3 阪本 亮平 P6-4 佐野 道孝 P25-2 澁谷 斉 P15-4, YIA-1 渋谷 美咲 O20-1, P7-7 島田 礼香 P25-3, P25-6 相良秀一郎 P16-3, W5-3 佐川 浩一 O17-1, P25-1 更科 俊洋 ES2-2, P4-6 佐和 琢磨 O7-2, O19-3 島田 健永 O20-3, P5-5 嶋田 貴之 O9-2, O12-2 齋藤 章宏 P15-2, P24-6 作岡南美子 P2-3 澤 朋良 P17-7 島田 教子 O23-2 斉藤 恵美 O9-1 佐久間理吏 O18-4 澤 芳樹 S1-4 島田 恵 P23-4 斎藤 清美 O1-3 櫻井 大輔 YIA-4 澤田 直子 O5-3 嶋田 芳久 O3-4, P15-8 齊藤 清美 P16-4 桜井 美恵 S1-2 三城真由美 P13-1 嶋谷 祐二 P20-5 齋藤 聡 O12-1 櫻井 裕子 O8-5 齋藤 滋 O2-1 櫻木 悟 P16-5 【し】 島本 恵子 P20-5 斎藤 修一 P18-5, P20-4 齋藤 佐 P5-2, P11-7 桜山千恵子 O10-6 シーゲル,ロベルト P6-1, P6-2, U40-4 島本 健 W2-3 佐々木景子 O20-1 齋藤 千恵 O4-5 佐々木幸子 P14-3 椎名 由美 ES1-3, S2-5, 海 清水 彩音 O7-1 斎藤 智久 PD5-2 佐々木俊輔 O1-4 斎川 裕子 P21-4 S5-1, W1-1 西條 芳文 O21-2, P3-2, PD4-4, 新技術-1 嶋村 邦宏 O4-3, O19-1 島屋 真希 O2-3 外留学助成帰 清水 弘治 O23-5 国報告会-3 清水 竹史 P20-4 斎藤菜々子 O23-2 佐々木翔也 新技術-1 齋藤 寛美 PD2-3 佐々木伸二 P17-7 椎名 亮揮 O7-1 斎藤 雅博 新技術-4 齋藤真理子 O17-5, P23-1 佐々木真太郎 O19-4, O22-5, P12-6 椎野 憲二 O10-2, P4-3, P4-4, P14-8, 齋藤 佑記 O12-3 佐々木孝志 P13-5 佐伯菜穂子 O11-2 佐伯 一 O22-1, P18-2 清水 力 O17-2, P15-4, YIA-1 清水 俊明 O16-2, O16-4 P16-1, P19-4, 清水 信隆 O14-4 佐々木 健 O20-2 P25-7 清水美妃子 P21-6 佐々木豊志 P15-2 塩澤 知之 P22-2 清水 雄三 P7-6, W4-1 283 第25回日本心エコー図学会学術集会 清水 渉 P22-8 志村 浩己 O18-3 占野 賢司 PD3-3, W5-4 下浦 広之 O7-2, O19-3 瀬尾 由広 LS9, O7-1, O13-2, O13-3, 高井 学 O3-5, O6-2, O8-6, P4-2, P16-1, P19-4, O22-2, P2-4, P25-7 P14-4, P16-6, 高尾壽美惠 EP2-1, V-3 P9-1, P11-6 下川 智樹 P10-4 杉本 貴樹 P14-6 PD1-5, 高尾正一郎 S5-1 下重 晋也 P18-7 杉本 匡史 O12-5, PD4-3, S8-3 PD4-1, PD4-6, 高岡 浩之 O14-5, O17-5, O19-5, P13-2, 下町 幸子 P14-3 S2-3, S3-3, 習田 龍 O3-6, P1-8 杉本 恒明 O5-3 S3-4, S4-3, 城 好人 O6-5 杉本 昌也 P8-1 S8-2, U40-1, 庄司 律 O9-1 杉山 央 P21-6, S2-1 YIA-1, YIA-3, 高木 厚 O12-1, O17-3, P9-7, P10-7 白井 厚治 O20-2 杉山 弘恭 P4-6 新技術-3, 高木 克昌 P18-1, P18-3 白井 丈晶 ES1-3, S2-5 白石 亜季 O21-4, P4-8 須澤 仁 P20-5 男女-6, 未来-4 高木 覚 O11-1 鈴木 篤 P10-3 関口 祐子 PD4-4 高木 力 O17-3, PD2-2 白石 裕一 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 鈴木 勇 P25-4 高木 友誠 O1-5 鈴木 惠子 P18-4 関口 幸夫 PD4-6, S3-3, S3-4 ジライハウィ,ハサン P6-1, P6-2, 鈴木 健吾 LS11, O3-5, O8-6, P4-2, 関根 泰 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, 高桑 蓉子 O10-2, P4-3, P4-4, P14-8, U40-4 白記 達也 P8-2 白崎 圭輔 P5-6, P19-8 白山 武司 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 P14-4, S4-3, YIA-3 鈴木 聡 P20-4 鈴木 純 P2-3, P9-5, P12-3, S5-2 P11-1, P20-3 P23-1 高倉 彩 P13-1 P16-1, P19-4, 関原 孝之 O6-6 関家季実子 P3-4, P24-5 世古 哲哉 O12-5, S8-3 高崎 州亜 P8-4 世良 博史 P8-7 高島 浩明 P13-7 P25-7 高沢 謙二 P25-4 城田 欣也 O11-2 鈴木 恒夫 O7-3 世良 英子 P13-6 高須賀康宣 P2-3 志和 清隆 P9-7 鈴木 秀規 P10-5 千賀 通晴 O3-1 新里 朋子 P8-5 鈴木 均 P18-5 高瀬 信弥 P18-5, YIA-5 高瀬 直敏 O2-4, O10-4, 進藤 考洋 O14-4 新保 麻衣 P8-6, P26-5 鈴木 洋 O22-4 【す】 末澤 滝子 O9-3, P1-4, P5-1, P10-1, 【そ】 鈴木 博義 P2-5 早田 航 W2-1 鈴木 真事 P1-1, P2-7 早乙女和之 O20-1, P7-7 鈴木 正人 O23-6 相馬 正義 O4-2 鈴木 水緒 O7-3 添木 武 P5-7 須田 憲治 S2-4 添田 雅生 O4-5 P13-8 高田 悦雄 O2-4, O10-4, P13-8 高田佳代子 O10-2, P4-3, P4-4, P14-8, P16-1, P19-4, YIA-6 須永 晃弘 P8-2 菅谷 敢 P24-8 砂川 賢二 O8-2 外海 洋平 P3-4, P24-5, S3-5 菅野 昭憲 O13-3, O22-2, P16-6, S2-3, 須磨谷いづみ O4-5 住田 晋一 P17-6, P22-4 曽根 希信 P14-8, P16-1, P19-4 高田 裕之 O18-2 角野 聡 P22-6 祖父江瑞樹 P23-5 高月 誠司 P18-4 住吉 徹哉 O1-3, P16-4, P16-8 反町 秀美 P1-2, P13-5 高梨秀一郎 O1-3, P16-4, P16-8 U40-1 菅森 峰 O9-4, O14-2, P10-2, P11-5, 【た】 P25-7 高田 智子 O10-1 高田 康徳 P2-3 菅原 梢 O18-2 諏訪 惠信 O19-2, P14-2, P17-3, S4-2 田井 香織 O23-1 菅原 重生 O9-1, P14-7 諏訪部 章 P14-3 臺 和興 P20-5 高野 一成 P9-7, P25-3, P25-6 大海 延也 O6-4, P23-2 高野奈緒美 O23-6 代田 浩之 O2-5 高野 真澄 O14-3, P2-6, P24-1, PD1-3, P26-3 菅原 養厚 P14-5 杉 薫 P1-1, P2-7 杉浦 淳史 P16-7 杉浦 早希 O8-5 杉浦 哲朗 P11-8 【せ】 清 真由美 O10-5, P13-3 代田 裕之 P22-2 大門 雅夫 O2-5, O8-4, O16-3, P7-5, 杉浦 知範 O21-1 P13-6, P22-2, 杉澤 潤 P9-3 PD3-5 杉下 和郎 P20-6 284 杉本 邦彦 ES3-1, P4-3, P4-4, P14-8, 高橋 健 O16-2 高梨 学 P21-3 PD2-3, W3-5, YIA-5, 未来-1 高橋 淳 P18-1, P18-3 高橋 礼子 O10-2, P16-1 杉下 靖之 O5-3 高橋 英二 O6-2, P9-1, P11-6 杉下 義倫 O12-4 高橋 和枝 W4-2 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 田中 篤 O19-1, P26-4 谷口 泰代 O8-3, P8-7 高橋 和也 P15-5 武内哲史郎 O8-5 高橋久美子 O23-3 竹内 敏明 O3-1 田中 耕史 S3-5 谷田 篤志 P22-8 高橋 敬太 P14-3 武内 秀之 O3-1 高橋 健 ES1-2, O15-4, O15-5, O16-4 竹内 正明 O1-6, P7-8, P9-2, P14-4, 田中 秀造 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, 谷本 貴志 O4-3, O19-1, P26-4 P11-1, P20-3 種村 正 O2-2 高橋 皇基 P24-1 S4-3, S4-5, 田中 旬 O10-6, P6-2 田之上明子 O3-1 高橋 重信 P11-8 S6-5, S7-2, 田中 健雄 P7-2 田内 潤 O3-6, P1-8 高橋 秀一 ES3-2 W3-1, W5-1, 高橋 信 W2-1 YIA-3 田中 千春 O3-4, P15-8, PD3-3, W5-4 田端 強志 O20-2 煙草 敏 P2-1 高橋 龍徳 O18-5, P24-4 竹内 元康 P15-5 竹下 享典 P15-3 田中 伸明 O21-3, O21-5, P11-2 田端 智香 O22-1 高橋 徹也 P14-7 高橋 利之 P20-6 竹島 泰弘 O7-2 田中 信明 O11-3 田原 敦子 P5-3 高橋 直人 U40-2 武田恵美子 P19-6 田中 宣暁 S3-5 田原 宣広 P5-3 高橋 伸幸 O9-4, O14-2, P10-2, P11-5, 武田 智 O23-3 田中 伸享 P18-6 田渕 晴名 PD4-4 武田 祥子 O8-3, P8-7 田中 信大 O5-2, P3-7, P17-2, 男女-3 田部井史子 O5-3 田中 昇 O15-4, O15-5 田中 登 O16-2, O16-4 玉城 貴啓 P16-4 玉田 智子 ES4-3, P1-3, S1-5, S6-1, P26-3 武田 智弓 P14-3 高橋 のり O5-2, P3-7, P17-2 武田 寛人 P24-1 高橋 真生 O20-2 武田 美香 P14-3 田中 教雄 O6-5, P25-2 高橋 路子 P23-4 高橋 康子 P14-3 竹田 光男 P12-7, P24-8 武田 守彦 O14-3, W3-5 田中 秀和 ES2-5, O7-2, O19-3, PD2-5, 高橋 佑典 O3-2, P12-5, P20-1 竹田 泰治 O12-3, PD1-4, S1-4, S5-5, 竹田 昌希 O23-5, 男女-5 PD4-2, S5-3, S6-3, 男女-7 田畑 博嗣 O23-2 玉井 宏一 P24-7 田巻 庸道 P20-1 S7-1, S8-5, W4-2 民田 浩一 W3-3 田中 浩喜 P19-6 田村 清 P11-3 高橋 幸宏 P17-5 武田 侑子 P26-6 田中 啓之 P8-3 田村 俊寛 P20-1 高橋 洋介 P12-2 竹谷 善雄 P6-3 田中 正史 ES3-5 高橋 良英 O23-4 高村 武志 O12-5, S8-3 竹中 克 O8-4, O16-3, P7-5, PD4-1 田中 美与 O4-1, O9-3, P1-4, P1-5, 田村 晴俊 O19-4, O22-5, P12-6 高元 俊彦 P11-3 竹原 康介 O3-4, P15-8 高谷 陽一 P9-4, S3-2, W2-2 武部 学 P24-7 竹村 明子 O6-4, P23-2 高柳 寛 P17-7 竹村 夏子 P24-8 田中 穣 O2-1 丹波 寛子 O23-3 高山 忠輝 O4-2 竹村 博文 Liveコメンテーター 田中 良昭 O6-4, P23-2 高山 嘉朗 O18-2 竹本 和司 W1-4 田中 仁啓 P9-6 宝田 明 P14-6 田中 隆平 P7-4 寳田 雄一 P2-1 武本 梨佳 ES2-2, P4-6, P9-4, P19-1 滝川 正晃 P18-1, P18-3 瀧聞 浄宏 ES1-1, O15-4, 田澤 星一 P6-7, P21-4 田代 敦 O5-5, P14-3, 田邊 一明 O9-4, O14-2, 高橋 佑弥 P18-6 O15-5, O16-2, P6-7, P21-4 S8-4 W2-1 田代 英樹 O16-1, S2-4 多羅尾健太郎 O5-4 P5-1, P10-1, 団 真紀子 O1-1 YIA-6 丹下 正一 P13-5 田中 佑樹 O6-3 丹治 雅博 P24-1 田中屋真智子 P16-5 【ち】 筑地日出文 O2-6, P23-3, W2-3 P10-2, P11-5, 千村 美里 O8-3, P8-7, YIA-2 P14-1, P24-3, 茶圓 秀人 P8-4 P26-3 【つ】 滝口 舞 P20-4 多田 千恵 O8-2 田辺 康治 P4-6 滝澤 要 S1-2 多田 憲生 S1-2 谷 久弥子 P3-6 塚田 弥生 P22-8 田口 英詞 PD5-4 夛田 浩 PD4-6 谷 智満 O21-1 築地美和子 P10-5 田口 富雄 O20-4 立花 恵子 P10-3 谷 信彦 O1-5 田口 晴之 O20-3, P5-5 橘 まりか O4-4 谷 典夫 O20-5 月城 泰栄 O8-3, P8-7, YIA-2 田口 里奈 P22-6 辰巳 和宏 O7-2, O19-3 谷池 正行 O3-6, P1-8 次橋 幸男 PD3-2 武井 康悦 O5-2, P3-7, P17-2, 男女-3 伊達 基郎 W5-2 谷内 亮水 P15-1 辻 香菜子 P15-4 立岩 真紀 O6-3 谷川 和好 O21-4 辻川 恵美 P7-1, P23-5 武石 茂美 O23-3 舘野利絵子 P1-2 谷川 高士 O3-1 辻村 卓也 P8-2 竹石 恭知 O18-3, P18-5, P20-4 建部 俊介 O21-2, P3-2 田中 彰博 O3-6, P1-8 谷口 寛昌 P3-6 辻本 悟史 O19-2, P14-2, P17-3, S4-2 谷口 貢 P4-1, PD2-1 285 第25回日本心エコー図学会学術集会 津田 豊暢 P9-6, P26-8 土江 弘美 O11-2 土田 隆雄 O3-4, P15-8 土橋 和文 P18-7 筒井 裕之 O8-1, O16-5, O17-2, P2-4, P3-5, P15-4, O11-5, O18-1, 永井 英里 P11-8 永井 啓行 P2-3, P9-5, P12-3, S5-2 中鉢 雅大 O8-1, O16-5, O17-2, P2-4, P3-5, P15-4, 徳重 明央 P8-4 永井 知雄 O6-4, O23-2, P23-2 中原 学史 O11-1 徳田 剛宏 W3-3 中右 弘一 P8-1 中原 秀樹 P11-3 徳田 華子 O1-1, P18-4 中尾知江美 O4-4 中摩 健二 U40-2 P11-1, P20-3 YIA-1 YIA-1 徳山 榮夫 U40-2 所 訓子 P21-2 中尾 倫子 O8-4, O16-3, P7-5 仲間 達也 P16-3, W5-3 都築 千枝 EP1-2 堤 穣志 O6-1, P5-6, P19-8 土至田 勉 O17-4 仲岡 英幸 P25-5 土信田信夫 P11-3 長岡 亮 新技術-1 中村 昭宏 O13-2, O13-3, S2-3 堤 由美子 O2-2 豊島 拓 P14-7 中垣 里美 O11-1 中村 和広 O10-2 恒任 章 O21-4, P4-8 戸田 道仁 P22-1 中神 隆洋 O20-2 中村 一文 ES2-2 坪川 恒久 P11-4 杤木 達也 O11-2 中川英一郎 PD3-3, W5-4 津守 容子 O10-5, P13-3 都留 正人 O8-3, P8-7 外池 範正 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, 中川 圭子 P12-1 中川 晃志 S3-2, W2-2 中村貴美子 O2-6, P23-3 中村 大輔 O3-6, P1-8 鶴田 敏博 P19-6 鶴田ひかる O1-1, P18-4, PW-3, S1-3, S6-2, W2-4 鶴田 義典 P25-3, P25-6 【て】 P11-1, P20-3 外村 大輔 O3-4, P15-8 土肥 薫 LS3, O3-1, O8-5, P2-4, PD4-1, YIA-1 飛永 覚 P8-3 中川 雅美 O22-1, P18-2 中川 義久 O3-2, P20-1 中里 和彦 O18-3, P18-5 中島 朋宏 O1-4 中島 英樹 LS4, LS4, O7-1, W4-4 東丸 貴信 O20-2 中島 博行 PD4-4 寺井 英伸 EvS3 都丸 秀美 P18-1, P18-3 中島 正博 O9-5, P1-2 寺上 貴子 P5-2, PD5-1 中島 祥文 P6-4 寺川 宏樹 P5-4 富田 文子 PD5-4 富田 重之 P9-6, P26-8 寺口 郁子 O19-1 中間 泰晴 P20-5 中村 琢 O9-4, P10-2, P11-5, P24-3, P26-3 中村 猛 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 中村 智弘 P14-5 中村 真 O17-1, P25-1 中村 正人 P1-1, P2-7 中村 真潮 O3-1, O8-5 中村 元行 O5-5, P6-4, 富田 威 O7-6, O22-3 中島 龍馬 O9-4, P10-2, P26-3 中村 義徳 PD3-2 寺澤 厚志 P21-2 富田 紀子 O18-6 仲宗根 出 O20-5 中森 理江 P8-1 寺田 菜穂 O6-3 富田 泰史 P15-6 中屋 和宏 O23-2 寺田 舞 P8-6, P26-5 富松 宏文 P21-6, P21-7, P25-3, P25-6, 永田 泰史 O1-6, P9-2, S6-5, S7-2, 寺本佳楠子 P4-2 寺本 美穂 P18-2 寺本 了太 P7-6, P17-1, W4-1 S2-1 友池 仁暢 O1-3 W5-1 中谷 敏 EvS4, O12-3, P7-8, PD1-4, P14-3, W2-1 長屋 麻紀 P7-4 中山 幸恵 P16-4 中山 亮一 P8-7 永吉 靖弘 P26-1 友草 由宇 P24-8 S1-4, S5-5, 那須 雅孝 EvS5 豊岡 郁子 O6-1, P5-6, P19-8 YIA-4, 未来-3 波元 智香 P3-6 中務二規子 W4-2 成毛 崇 PD2-4 豊島 範子 O20-3, P5-5 中務 智文 P16-6 土井 潔 O3-3 豊島 優子 S3-5 中西 章 W4-1 成子 隆彦 O3-4, P12-2, P15-8, PD3-3, 土居 忠文 P11-8 豊田 茂 O2-4, O10-4, P4-5, P13-8 中西 敏雄 P21-6, P21-7, P25-3, P25-6, 馴松 佑紀 P3-6 寺山 敏子 P9-7 【と】 土居 知子 P14-6 道井 洋吏 P22-6 土井由賀利 P15-1 戸井田玲子 O4-1, P1-5, P10-1, P19-6, YIA-6 戸出 浩之 ES2-1, PD4-1 杜 徳尚 P9-4 東田 智江 O4-3 286 土岐 啓己 O7-2, O19-3 時政 聡 O1-2, O5-1, 豊野 学朋 O15-4, O15-5, O16-2 虎渓 瑞穂 P17-7 鳥居 裕太 O11-4, O13-5, P5-7, S5-1, W1-1 【な】 S2-1 中西 直彦 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 中西 宣文 O6-6 中根登喜子 O7-3 中野 淳 O11-1 中野 彩 P3-5 中野 智 W2-1 當間裕一郎 P8-5 内藤 和幸 O11-1 東谷 卓美 O23-2 内藤 博之 O18-2 中野 陽夫 PD4-4 中野 雄介 P2-2, P13-7 遠山 一人 O12-2 内藤 雅文 O22-1, P18-2 長畑 公宣 O6-4, P23-2 W5-4 南都 清範 P8-2, P22-1, P24-2 南都 伸介 S1-4 難波真砂美 P18-1, P18-3 南波 雄太 P18-1, P18-3 【に】 新居 正基 O14-1, O15-4, O15-5, O16-2 新妻 健夫 P24-1 新野 哲也 O9-6, O23-4 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 新山 寛 P5-3 新田 裕 O20-4 仁木 敏之 P6-3 新田 良和 P5-3 西 淳一郎 O16-1 丹羽 明博 P10-3 西 悠 O2-4, P13-8 西尾 進 EP1-4, ES2-4, ES4-1, O11-4, O13-4, O13-5, P5-7, S5-1, W1-1, W4-3, 新技術-5 西尾 直美 O20-1 西岡 健司 P20-5 西岡 利彦 PD3-4 西岡 亮 P7-6, W4-1 西上 和宏 PD5-4, W1-3, 男女-2 【は】 林 篤志 O1-6, P9-2, S6-5, S7-2, 丹羽加奈子 O10-1 萩原 誠久 O12-1, P9-7, P10-7 林 佳奈子 P10-5 丹羽公一郎 ES1-3, S2-5 伯野 大彦 P9-3 林 京子 P2-1 庭前 野菊 P13-5 波佐谷兼綱 P7-6 林 研至 P9-6 橋口 遼 P3-4, P24-5 林 修司 O11-4, O13-4, O13-5, P5-7, S5-1 【ぬ】 橋田祐一郎 O15-2 主代 悠 O3-6, P1-8 橋詰 浩二 O21-4 沼 哲之 P12-1 橋村 一彦 P19-5 沼倉 陽子 O23-2 橋本 暁佳 P18-7 【ね】 根石 陽二 ES4-3, P1-3, P26-7, S1-5, S6-1 W5-1 林 大知 O8-1, O16-5, O17-2, P2-4, 橋本 賢一 O4-2 P3-5, P15-4, 橋本 剛 P1-1, P2-7 橋本 修治 EP2-2, P13-6, YIA-1 P25-2 林 泰佑 O14-4 林 達哉 O23-4 橋本 東樹 P20-5 林 伸英 O7-2 西川 寛子 O11-3, P11-2 根岸 一明 P1-2, U40-3 橋本 誠 P16-8 林 規隆 P23-4 西口 毅 O19-1 鼠尾晋太郎 P12-4 橋本 恵美 P14-6 林 弘樹 P10-4 錦織千佳子 男女-7 根本 綾 O18-2 橋本 裕二 O4-5 林 真貴子 P8-3 橋本 優里 P9-7 林 美紀子 P10-6 林 陸晴 O12-4 西坂 麻里 O8-2 【の】 西田 博毅 P3-1 野池 博文 O20-2 橋和田須美代 O3-2, P12-5, P20-1 西田 睦 O8-1, O17-2, P3-5, P15-4, 能見 俊浩 S7-4 長谷川 薫 PD4-4 野上 昭彦 PD4-6, S3-3, S3-4 長谷川新治 O22-1, P18-2 S1-5, S6-1, 長谷川拓也 Liveコメンテーター, W4-2 西嶋 方展 P15-7 YIA-1 林田 晃寛 ES4-3, O2-3, P1-3, P26-7, 野木 彩夏 O22-4 野口 純男 P18-1, P18-3 野口 祐一 PD4-6, U40-1 長谷部直幸 W1-2 O17-2, P2-4, 野崎 彰 O5-3 羽田 勝征 O5-3 P3-5, P15-4, 野崎 陽子 PD2-3 羽田 良子 O18-3 YIA-1 畑岡 麻子 O23-2 西野 雅巳 O3-6, P1-8 野里 寿史 O4-4, O9-6, O23-4 波多野由佳 P9-7 羽山友規子 P20-1 西部 俊哉 P3-7 能澤 孝 P12-1 蜂矢 健太 O21-1 原 佳世 O18-5, P24-4 西宮 達也 P2-3 野澤 有紀 P26-4 蜂谷 祥子 P10-3 原 英彦 P2-7 西村 修 P26-1 野尻明由美 O7-3 服部さくら O1-1 原 文彦 P2-1 西村 和久 P2-3, P9-5, P12-3, S5-2 野田 勝生 P15-7 羽鳥 泰子 O1-1 原田 修 O5-3 野田 繁子 PD2-3 馬場 彰泰 P23-4 原田 和昌 O10-6 西村 哲 P12-4 野田 俊之 P7-4 馬場 裕一 P11-8 原田 元 S2-1 西村 慎亮 P12-2 野田 陽子 P4-6 西村 隆 O10-6 野津 泰一 O11-2 濱 義之 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, 原田 顕治 O6-3, P6-1, P6-2, S4-1, 西村 陽介 S7-2 野出 孝一 O18-4 西村 芳興 P3-3, P19-3 野寺 穣 P24-1 濱口 真紀 S8-3 西村 圭弘 PD4-5 登 勉 O8-5 浜田 秀剛 W4-1 西本 美香 P15-1 野間 充 S5-4 濱野 剛 P3-1 西森 誠 O23-1 野村 章洋 P11-4 西山 悟史 O19-4, O22-5, P12-6 野村 秀一 P5-4 濱部 晃 O6-4, O23-2, P23-2 野村 文一 O23-6 濱本 奈央 O15-4 西山 光 P12-3 野村 陽平 P24-7 西山ひとみ P14-6 則岡 直樹 P1-6 林 明生 O3-5, O6-2, O8-6, P4-2, 仁科 秀崇 U40-1 西野 峻 P16-3, W5-3 西野 久雄 O8-1, O16-5, 新田 江里 P10-2, P11-5 新田 隆 P22-8 O6-6 畑 博明 O4-2 P11-1, P20-3 林田健太郎 O1-1, PW-3, S1-3, S6-2, W2-4 林原 亜樹 O17-1, P25-1 早渕 康信 O15-1, O15-3, S2-2 U40-4 原田 智雄 O3-5, O8-6, P4-2 原田 典子 O21-3, O21-5 原田 昌彦 P2-1, P2-7 播磨 綾子 P20-5 針村 佳江 O13-3, O22-2, P16-6 半澤 秋帆 P17-6, P22-4 P9-1, P11-6 林 亜紀子 P17-7 287 第25回日本心エコー図学会学術集会 坂東 美佳 O11-4, O13-4, O13-5, P5-7, S5-1, W1-1 【ひ】 日浅 豪 O18-5, P24-4 日裏 淑恵 P12-5 樋岡 拓馬 P3-5 檜垣 實男 P2-3, P9-5, P12-3, S5-2 東 将浩 O6-6 東上里康司 P8-5 福田 優子 O7-2, O19-3, 平林美智子 P17-6, P22-4 平山 篤志 O4-2, O9-2, 福田 勇司 O11-2 藤原 敬士 P16-5 福永 隆司 O4-1, O9-3, P1-4, P1-5, 藤原 淳子 O21-2, P3-2 O12-2, O12-3 平山 香莉 O11-3, O21-3, P11-2 男女-7 藤本 直紀 O8-5 藤吉 和博 O7-4 藤原 暢子 P14-6 P5-1, P10-1, 藤原 英記 PD4-4 YIA-6 藤原理佐子 P2-6 平山 園子 P20-2 平山 直輝 O10-5, P13-3 福本 仁志 O3-4, P15-8 福本 義弘 P5-3, P8-3 藤原 稚也 O12-4 平山よしみ W3-5 福本 梨沙 O1-3 廣 高史 O4-2, O9-2, O12-2 房崎 哲也 O5-5, P6-4 船橋 伸禎 O14-5, O17-5, O19-5, P13-2, 疋田 浩之 P18-1, P18-3 広井 知歳 P24-6 樋口 晃司 P10-3 廣井 知歳 P15-2 總崎 直樹 O17-1 藤井 昭 P9-5, P12-3, S5-2 船田 裕昭 O15-2 P23-1 船水 康陽 P3-2 文藏 優子 U40-1 樋口 貴哉 P8-1 広江貴美子 O23-5, 男女-5 藤井 綾乃 O21-3 古市千奈里 P26-2 樋口 昌哉 P26-2 広清 久美 P10-4 樋熊 拓未 P6-5, P6-6, P15-6 広瀬 尚徳 O20-1, P7-7 藤井 彩乃 O11-3, P11-2 藤井 謙司 P3-4, P24-5, 古川 敦子 O3-4, P15-8, PD3-3, W5-4 肥佐多伸子 P10-6 廣野 恵一 P25-5 藤井 公輔 PD5-3 古川 裕 P9-2 久留 秀樹 O23-2 廣本 真季 P10-5 藤井 怜 Live-3, P11-4 古堅あずさ P22-6, PD4-1 古堅 真 P16-3, W5-3 日高恵以子 P6-7 日高 忠良 P22-5 氷見 寿治 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, P11-1, P20-3 廣瀬 瑞紀 P10-5 【ふ】 深堀 耕平 O23-3 S3-5 藤井 徳幸 O11-1 藤井 裕子 P6-5, P6-6, P15-6 古川 哲生 P3-1 古瀬 領人 P22-8 古林 圭一 O3-4, P15-8 福 康志 O2-6, P23-3, W2-3 藤井 雄一 P5-4 古本 勝 P8-7 藤井悠一郎 P2-1 古谷 充史 P4-7 兵庫 聖大 P20-2 福井 重文 O6-6 藤井 優佳 P11-4 兵頭 永一 P7-1, P23-5, W3-3 福井 大介 P8-3 藤石 珠美 P1-7 福井 寿啓 O1-3, WET 藤岡 泰生 O15-4, O15-5 別當 勝紀 O12-5, S8-3 平井 英子 O9-5 福岡 裕人 O17-4 藤田 逸美 P11-8 別府慎太郎 仁村レクチャー 平井 忠和 P12-1 福岡 陽子 P15-1 藤田 主税 O20-4 平井 康富 P19-5 藤田 勉 P22-6 ベルデホ,ハビエル P6-1, P6-2, U40-4 平石 真奈 P20-2 福島 敬子 O12-1, P9-7, P10-7 藤田 鉄平 PD2-4 Helene, Houle P7-4 平賀悠里江 P14-3 福嶋 友孝 O22-1 藤田 央 P2-5 平川 大悟 P11-8 福島 裕介 P16-3, W5-3 福田 恵一 O1-1, P18-4, 藤田 浩志 O21-1 藤田 雅史 P8-2, P22-1, 平川登紀子 O8-2 平田 和裕 P21-2 PW-3, S1-3, 平田久美子 O4-3, O19-1, P26-4 S6-2, W2-4 平田 健一 O7-2, O19-3, PD2-5, PD4-2, S5-3, S6-3, 男女-7 平田有紀奈 O11-4, O13-4, O13-5, P5-7, S5-1, W1-1 288 平野 豊 EP1-1, P4-1, PD2-1 福田 祥子 P2-2, P13-7 福田 祥大 O1-6, P9-2, P24-2 藤田 善恵 O1-4 藤戸 健史 P18-7 【へ】 【ほ】 芳 旭志 O11-5 芳生 旭志 O1-2, O5-1, O18-1, P11-1, P20-3 藤中 早代 P14-6 北條 義明 O18-2, P1-2 PD3-5, S6-5, 藤永 裕之 O6-3 朴 仁三 P17-5 S7-2, W5-1 藤波 竜也 P11-3 星 敬美 O12-1, P10-7 星野 晃子 P18-1, P18-3 福田 智子 O4-1, O10-5, P1-5, P10-1, P13-3, P19-6, YIA-6 藤巻 晴香 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, P11-1, P20-3 細川 忍 P6-3 細谷 侑未 O23-2 伏見 悦子 O23-3 細見 陽子 P10-4 藤本 育子 P17-1, W4-1 藤本 香織 P9-5, P12-3, 發知 淳子 O11-4, O13-4, O13-5, P5-7, 平田陽一郎 O14-4 福田 延昭 P15-2, P24-6 平野 志乃 O6-3 福田 信夫 P6-3 平野 勉 LS8 福田 信之 P12-1 平野 法子 P26-2 福田はるみ O8-5 藤本 恵子 O8-3 穂積 健之 P3-6 平野真由美 P17-1, W4-1 福田 英克 O21-1 藤本 惠子 P8-7 堀 賢介 P8-3 藤本 眞一 P26-6 堀江佐和子 P16-7 S5-2 S5-1, W1-1 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 堀尾 武史 P12-4 堀川 史織 O8-2 堀口 聡 O23-3 堀口 昌秀 O12-5, S8-3 丸尾 健 O2-6, P23-3, PD4-1, W2-3 湊口 信也 P7-4 P5-1, P10-1, 丸山 麻美 P21-1 南 和友 O18-2 YIA-6 圓山 雅己 O2-5, P13-6, P22-2 南 啓介 P17-1 増山 浩幸 O4-1, O9-3, P1-4, P1-5, 堀越 英之 P9-3 町田 哲男 O10-1 堀越真由美 O10-6 町田 規子 O7-3 丸山 将広 P3-6 堀越 裕子 O18-3 町田 博文 O3-1 丸山理留敬 O23-5 堀越由紀子 O18-3 町野 毅 S3-3, S3-4 町野 智子 O13-3, O22-2, 堀米 仁志 O13-2 【み】 湊口 信吾 P7-4 南 圭祐 O6-2, P9-1, P11-6 南 貴子 O21-4, P4-8 南澤 匡俊 O7-6, O22-3 南島 俊徳 O13-1, P4-7 P16-6, 男女-6 三浦 崇 O21-4 峰尾 恵梨 P21-3 堀端 洋子 O7-5, S5-4 松井こと子 O16-2, O16-4 三浦 拓也 P22-1 本多 亮博 P5-3 松井 翔吾 P20-5 三浦 哲嗣 P18-7 美野 陽一 O15-2 三原 裕嗣 P6-1, P6-2, 本田 啓 S2-1 松井 泰樹 O17-4 本田 崇 P21-3 松井 崇生 O10-3 三浦ひとみ P9-7, P25-3, P25-6 三船 俊英 O5-5 本田 容子 P10-5 松浦 陽子 O8-2 三浦 弘之 P3-1 宮井 智子 W4-2 本間 博 P22-8 松尾久実代 O15-4, O15-5 三浦 史晴 P20-5 宮木 真里 O18-6 松尾 浩司 O3-1 松尾 剛志 O10-5, P13-3 三浦 誠 PD4-4 宮城芽以子 O10-2, P14-8, P16-1, P19-4, 堀添 善尚 P8-4 【ま】 前川 恵美 O7-4, P1-7, PD2-4 松尾美智子 P10-4 松尾 好記 P26-4 三神 大世 O8-1, O16-5, O17-2, P2-4, U40-4 P25-7 P3-5, P15-4, 三宅 知子 W4-2 YIA-1 前川 直人 P22-7 松岡 京子 P7-1, P23-5 前川裕一郎 W2-4 松崎つや子 P22-8 三上 秀光 P2-5 三宅 誠 O3-2, P12-5, P20-1 前澤 秀行 O22-4 松下 健一 O13-1, P4-7 松下 司 PD3-3, W5-4 三上有里子 P14-3 宮坂 匠 P2-1 三木 俊 P3-2 御子神優子 O4-5 前田 哲平 O10-6 松田 紘治 O9-4, P10-2, P24-3 宮坂 陽子 ES4-2, O19-2, P14-2, P17-3, 三島 清司 P11-5 S4-2 前田 美歌 W3-3 松田 淳也 U40-2 水上 拓也 O22-4 宮崎 宏一 P3-1 前羽 宏史 O19-2, P14-2, P17-3, S4-2 松谷 卓周 O23-1 松谷 勇人 O3-2, P12-5, 水上 尚子 P8-4 宮崎彩記子 O2-5 水上 雪香 P8-2, P22-1, P24-2 宮崎 俊一 P4-1, PD2-1 前田 清 P26-2 前田久美子 O20-3, P5-5 前村 浩二 O21-4, P4-8 マカー,ラジ P6-1, P6-2, U40-4 蒔苗 雅紀 O4-5 P20-1, PD3-2 松戸 裕治 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, P11-1, P20-3 宮崎晋一郎 P6-3 水越 慶 O3-5, O8-6, P4-2 宮崎 真紀 P2-3 水田 理香 O6-5 宮地 鑑 O14-4, O16-4 宮下 武彦 PD4-4 宮下 裕介 O7-6, O22-3 宮島 栄治 P17-6, P22-4 宮崎 真実 P7-4 蒔田 直記 P1-6 松濱 稔 S7-1, S8-5 水谷 一輝 PD3-3, W5-4 蒔苗 永 P15-3 松原 剛一 O18-6 水谷 昌代 P18-6 牧野 信彦 O3-6, P1-8 松原 沙織 O23-6 水谷 安秀 O3-1 正井 秀幸 P8-7 松原 隆夫 O10-3, P10-6 水谷有克子 S1-2 宮田 昌明 P8-4 眞崎 暢之 P9-3 松村 誠 EP1-5 水野 智文 P2-2, P13-7 宮武 邦夫 O20-5 正木 友二 O3-6 松村 敬久 P11-8 水野 麗子 P26-6 宮地 鑑 O16-2 増田 佳純 YIA-4 松室 明義 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 三角 郁夫 P13-1 宮花 礼子 O20-3, P5-5 溝手 勇 S1-4 宮本亜矢子 O11-1 見田 真紀 P26-2 宮元 祥平 P15-1 増田 喜一 O20-5 松本 賢亮 O7-2, O19-3, PD2-5 増野 元太 新技術-1 松本 春信 P24-7 満下 紀恵 O14-1, O15-4, O15-5 宮本 敬史 O6-1, P5-6, P19-8 増村麻由美 O4-4, O23-4 松山 明彦 P16-3, W5-3 松山 克彦 P3-7, P17-2 真野 敏昭 PD1-4, S8-4 光藤 和明 O2-6, P23-3, W2-3 三代川斎之 P8-1 真野 敏明 O12-3 光部啓次郎 P8-1 三好 達也 O7-2, O19-3, S5-3 馬原啓太郎 O1-3, P16-4, P16-8, P17-5 薬袋 路子 P17-7 三好 亨 P9-4 皆川 忠徳 PD4-4 三好 美和 O22-1, P18-2 湊 誠一郎 P1-5 三輪 健二 O10-3 増田くに子 P1-2, U40-3 増田 千秋 O8-5 増元 大祐 P19-6 桝谷 直司 P2-1 増山 潔 O3-6, P1-8 増山 慎二 S7-1, S8-5 三橋 武司 P14-5 宮本由紀子 W4-2 289 第25回日本心エコー図学会学術集会 山科 章 O5-2, P3-7 森 秀暁 P10-4 矢冨 裕 O8-4, O16-3, P7-5 森 浩輝 P21-6 矢内 充 O4-2 山田 修 P25-2 向井健太郎 P2-2, P13-7 森 雅之 P26-8 谷中 妙子 P11-3 山田 和昭 O9-6 向出 大介 O12-4 森 三佳 Live-2, P9-6, P11-4, P22-7, 柳川 輝子 O4-4 山田 和弘 O10-5 柳 志郎 P1-6 山田 桂嗣 P16-5 山田 聡 O8-1, O16-5, O17-2, P2-4, 三輪 尚之 O23-4 【む】 武藤 誠 O6-1, P5-6, P19-8 山田 文乃 O1-5 村井 俊介 O21-1 森内 拓治 P4-8 柳 弘子 O6-1, P5-6, P19-8 村井 大輔 O8-1, O16-5, O17-2, P2-4, 森奥 雪世 O11-2 柳澤 三朗 P15-2, P24-6 P3-5, P15-4, P26-8 森川 渚 O6-5 桝原 克紀 P4-8 PD1-2, PD4-1, P3-5, P15-4, 森崎 晃正 P12-2 柳谷 貴子 P8-1 YIA-1 YIA-1 森崎 倫彦 P20-6 矢野健太郎 O3-4, P15-8 矢野 雅文 O11-3, O21-3, O21-5, P11-2 村上 彰通 O6-1, P5-6, P19-8 盛島 裕次 P8-5 村上 弘則 O1-4 森田 久樹 O3-6, P1-8 矢野 睦美 O11-1 村上 正己 O10-1 森田 宏 ES2-2 村上未希子 W1-3 森田 啓行 P7-5 薮 和恵 P17-1, W4-1 山内 正博 O6-2, P9-1, 村上 結香 O2-1 森田 裕一 P20-5 村上和華子 O11-3, O21-3, O21-5, P11-2 森田 佳明 O6-6 村田 智博 O3-1 森田 茂樹 O18-4 森野 禎浩 O5-5, P6-4, P14-3, W2-1 森久 健二 P15-7 村田 尚行 O5-1, O11-5, P20-3 森本 悟 O10-6 村田 将光 P20-6 森本菜津美 P14-6 村田 光繁 ES4-5, JB-1, O1-1, P18-4, 森本 喜久 P14-6 PW-3, S1-3, 森脇 啓至 O12-5, S8-3 諸岡 花子 P4-1, PD2-1 S6-2, W2-4 P11-6 山田慎一郎 O8-3 山田 忠克 O18-5, P24-4 山田 達也 JB-4, JBコメンテー ター 山田 典一 O8-5 山田 博胤 EP1-4, ES2-4, ES4-1, O11-4, 山浦 玄斎 O19-4, O22-5, P12-6 O13-4, 山浦 泰子 O2-3 P5-7, S5-1, 山尾 雅美 O11-4, O13-4, O13-5, P5-7, V-4, W1-1, S5-1, W1-1, O13-5, P2-4, W4-3, YIA-1, 新技術-5 八巻 尚洋 P20-4 山田 雅大 P6-5, P6-6, P15-6 山岸 正和 会長講演, P5-2, 山田 容子 P14-5 W4-3 諸隈 裕之 O18-4 P7-6, P9-6, 山田 洋子 P23-4 村中 敦子 P18-7 諸戸 昭代 P26-2 P11-4, P22-7, 山田 亮 O12-4 村本 容崇 P10-3 諸根 隆行 P8-7 P26-8 山田亮太郎 ES4-3, P1-3, S1-5, S6-1, 海 室田 篤男 O20-1 【め】 【や】 屋形 智之 P10-5 目黒サキ子 O18-3 八木登志員 P7-1, P23-5 目黒泰一郎 S1-2 八木 秀也 P1-6 【も】 山口 敦司 P14-5, P24-7 山口 修 O12-3 外留学助成帰 山口 一人 O14-2, P10-2, P11-5, P14-1, 国報告会-1 P24-3 八木麻里子 P13-4 山口 翔子 O1-4 山近 史郎 O21-4, P4-8 山鳥 嘉樹 O7-2, O19-3 山中 多聞 PD4-4 山中 祐子 P3-3, P3-4, 夜久 均 O3-3 山口聖次郎 P9-6 毛利 翔悟 P8-4 役田 洋平 O10-3 毛利 正博 S5-4 矢坂 義則 O8-3 山口 智由 O4-3, O19-1, P26-4 望月 敦史 P18-7 矢崎 諭 O6-6 山口 展寛 P2-5 望月 輝一 P12-3 八島 史明 W2-4 山口 良子 P1-6 望月 泰秀 O7-2, O19-3 元木 博彦 O7-6, O22-3 安岡 由夏 P11-8 山崎 健二 O12-1 安河内 聰 P6-7, P21-4 安田 敏彦 O10-3, P10-6 山崎 力 O16-3 元木 学 P12-2 安田 久代 O7-5 山崎 延夫 未来-5 元木 ゆみ O18-3 安田真由美 O23-2 山崎 正晴 P26-6 元地 由樹 O7-2, O19-3 百村 伸一 P14-5, P24-7 安田理紗子 O1-1, P18-4 山里将一朗 P8-5 安村かおり P3-1 山地 雄平 P3-6 山本 詩子 O18-3 森 一樹 O12-5 安村 良男 P3-1 山本 英世 U40-2 森 一博 O6-3, O15-3 森 智美 O22-1, P18-2 矢戸 里美 O1-4 山下 英治 O9-5, P14-4, S4-3, YIA-3 山下 雅敏 P22-6 山本 一博 O18-6 元木 雅浩 O23-1 290 森 直己 O3-6, P1-8 山崎 直仁 P11-8 P24-5 山野 貴司 O4-3, O19-1 山野 哲弘 JB-3, O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 山野 倫代 O3-3, P19-2, S1-1, S3-1 山村 修 P5-2, P11-7 山室 淳 P7-1, P23-5, W3-3 山本 和彦 P16-5 The 25th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Echocardiography 山本 克紀 W4-2 吉川 尚男 P1-1, P2-7 山本 克人 P15-1 吉川 雅智 P22-8 山本 健 P11-4 芳川 裕亮 P20-1 山本 顕介 O12-2 吉眞 孝 P7-4 山本 剛 P16-5 吉澤 晋 新技術-1 山本 哲志 O7-2 吉住 敏夫 P4-8 山本 哲也 PD5-5 吉田 清 ES4-3, O2-3, P1-3, P26-7, 山本 英雄 S5-4 山本 裕美 PD2-1 S1-5, S6-1, 山本 博之 P19-5 S7-1, S8-5, 山本 文雄 P26-5 W4-2, YIA-6 山本 雅史 O1-2, O5-1, O11-5, O18-1, P11-1, P20-3 吉田 啓子 P1-6 米澤 広美 P17-6, P22-4 依藤 弘紀 O3-6, P1-8 【り】 林 英宰 P15-5 【ろ】 渡邊 美香 P17-6, P22-4 【わ】 若井布由子 P20-6 吉田 太治 P7-6, P17-1, W4-1 若狭ちさと W4-2 若槻 哲三 P5-7 若林 宏和 P2-2, P13-7 山脇 康平 P20-2 吉田 秀子 P26-6 若林 康 O1-5 山家 智之 PD4-4 吉田 学 O23-5 若見 和明 O21-1, PD1-1 山家 実 PD4-4 吉田 尊 O23-2 脇田 由香 P25-4 芳谷 英俊 O1-6, P9-2, S6-5, S7-2, 和氣 正樹 O23-5, 男女-5 W5-1 由井 恵美 O2-2 吉玉 隆 O5-3 和田 浩 P14-5, P24-7 湯田 聡 O11-1, P18-7 柚木 佳 PD3-3, W5-4 吉冨 裕之 O9-4, O14-2, P10-2, P11-5, 由利 康一 P14-5, P24-7 P14-1, P24-3, 和田美智子 P11-8 和田 靖明 O11-3, O21-3, O21-5, P11-2 P26-3 渡司 博幸 O4-4 吉永 綾 P22-8 渡辺 一郎 O4-2 良永 真隆 O12-4 横澤 里美 P14-3 吉野 秀朗 O13-1, P4-7 渡邊 剛 Live-1, P9-6, P11-4, P26-8 横島 友子 P22-8 吉野 雄大 P3-3 渡辺佐知郎 P7-4 P15-4 横山 直之 PD5-2 吉水はるな P17-4, P22-3 渡邊 俊介 P24-1 吉牟田 剛 P9-6, P11-4, P22-7, P26-8 渡邊 伸吾 O2-2 吉村 貴裕 O3-6, P1-8 渡辺 卓 PD4-4 吉村 道博 O7-3 渡邉 哲 O19-4, O22-5, P12-6 吉村 雄樹 O4-1, O9-3, P1-4, P1-5, P5-1, P10-1, YIA-6 渡部 朋幸 PD2-3 吉村 佳子 P26-6 渡辺 奈緒 P25-4 渡邊 直樹 P26-2 芳井 孝輔 P8-7 芳本 潤 O14-1, O15-4, O15-5 吉岡 和哉 P24-5 吉山 智貴 PD3-3, W5-4 吉川 浩一 P2-1 吉山 秀樹 P5-3 P1-5, P5-1, 吉川 純一 O3-4, O20-3, P5-5, P7-1, 葭山 稔 O3-4, O20-3, P1-6, P3-6, P10-1, P13-3, 横山 公章 P6-5, P6-6, P15-6 P16-3, P22-5, P5-5, P15-8, W5-3, YIA-6 PD3-3, PD3-5, PD3-3, W5-4 渡辺 修久 ES2-2, P4-6, P9-4, P19-1, W3-3, W5-4 米川 幸子 P8-7 米澤 一也 O20-1, P7-7 P12-6 渡邉 望 O4-1, O9-3, O10-5, P1-4, P15-8, P23-5, 吉川 智絵 P11-8 渡 雄至 P18-1, P18-3 和根崎真大 O19-4, O22-5, 渡辺慎太郎 P3-3 渡部 徹也 P8-2, P22-1, P24-2 横山 典子 O20-1, P7-7 横山 斉 P18-5, YIA-5 渡部 浩明 U40-1 和田 健作 P15-5 横井 博厚 O12-4 横山しのぶ O8-1, O16-5, O17-2, P3-5, 渡邊 麗佳 P25-4 渡邊 玲子 O10-5, P13-3 早稲田勝久 P13-7 湯浅 敏典 P8-4 横田 武典 P22-1 渡邊 博之 P8-6, P26-5 渡辺 昌文 O8-4 吉田 尊 O6-4, P23-2 横田佳代子 O2-6, P23-3, W2-3 P26-3 渡辺 弘之 ES3-4, LS1, PD3-5 ロバーツ,レイチェル P18-4 吉田千佳子 P8-1 【よ】 渡邊 伸英 O9-4, O14-2, P10-2, P11-5, 六反田 拓 P13-1 山本 昌良 O13-3, O22-2, P16-6 【ゆ】 渡辺 信秀 P24-3 S3-2, W2-2 291 Memo
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