日仏交流 150 周年記念イベント OSAKA 光のルネサンス 2008 連携イベント 大阪・光のまちづくりシンポジウム ~フランスの光に学ぶ~ 開催日:2008 年 12 月 20 日 場所:堂島リバーフォーラム report.indd 1 09.3.23 3:46:39 PM THE BEGINNING はじめに 光のまちづくり企画推進委員会 委員長 室井明 本シンポジウムは、2008 年に日本とフランスが交流を 開始して 150 周年にあたることをふまえ、光の先進国フラ ンスの光のまちづくりを学び、 「光」がまちづくりに果た す役割と可能性を考えようと、大阪で光のまちづくりの計 画を推進している「光のまちづくり企画推進委員会」と、 中之島を愛する有志で構成している「中之島まちの魅力向 上実行委員会」の共催で開催したものです。 フランスは、パリやシャルトル、リヨンなど、光を都市 計画に取り入れて素晴らしい街をつくっている国であり、 今回フランスの事例を勉強することができて、私たちのま ちづくりにとって大いに役に立ったと思っております。 大阪では 2002 年から行政、経済界、地域の皆様と連携 して「光のまちづくり」活動を進めており、お陰様で堂島 川、土佐堀川の護岸や橋、周辺建物でのライトアップがか なり進み、大阪の魅力はいちだんと向上してきたと思いま す。また 2008 年 12 月 1 日から 25 日まで開催した 「OSAKA 光のルネサンス 2008」では約 138 万人という多くの方々 に来場していただき、光のルネサンスは冬の風物詩として 定着してきたと思います。 シンポジウムでは 4 人の方々に出演していただき、基 調講演および講演と、パネルディスカッションを行い、約 200 名の参加者にも加わっていただき「大阪の光」と「フ ランスの光」について議論していただきました。これを機 会に私たちは、大阪をよりよい街にしていきたいと思って おります。 中之島界隈では 2008 年、錦橋、淀屋橋、大江橋、阪神 高速道路、日銀前、南天満公園、御堂筋などで新たにライ トアップが始まりました。12 月 13 日に行われた「水の回 廊ライトアップ点灯式」では、知事と市長が「光」につい て仲良く取り組もうと力強い握手を交わされました。経済 界としても一緒になって進めたいと思っておりますので、 今後ともご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。 report.indd 2 09.3.23 3:46:51 PM INDEX & INTRO OSAKA 光のルネサンス 2008 連携イベント 大阪・光のまちづくりシンポジウム ~フランスの光に学ぶ~ ■ 日時:2008 年 12 月 20 日(土)14:00 ~ 17:00 ■ 場所:堂島リバーフォーラム(大阪市福島区福島1-1- 17 ほたるまち内) ■ 主催:光のまちづくり企画推進委員会、中之島まちの魅力向上実行委員会 ■ 協力:OSAKA 光のルネサンス実行委員会、中之島まちみらい協議会 ■ 後援:大阪市、関西経済連合会、水都大阪 2009 実行委員会、フランス大使館、フランス政府観光局 シャルトル市、日仏メディア交流協会、日仏経済交流会 INDEX 基調講演 「フランスの街づくりと光」 磯村尚徳 氏 2 講演 「フランスの光の紹介 Chartres en lumières の例」 マニグリエ真矢 氏 4 パネルディスカッション 「都市活性化に果たす “ 光 ” の役割と可能性」 コーディネーター:磯村尚徳 氏 パネリスト :岡 智恵子 氏、マニグリエ真矢 氏、森 秀人 氏 6 アンケート集計結果 12 参考資料 14 CASTING PROFILE 基調講演者・コーディネーター 講演者・パネリスト 磯村尚徳 マニグリエ真矢 元 NHK キャスター・報道局長 日仏メディア交流協会会長 フランス政府対外貿易顧問委員会委員 有限会社エクスプリム代表取締役 東京生まれ。学習院大学を卒業。1953 年 NHK 入局。世界各国での特派員や欧州総局 長、報道局長、専務理事待遇特別主幹等を 務めた後、1991 年退社。退社後、1995 年、 パリ日本文化会館初代館長に就任(~ 2005 年)。またパリクラブ名誉会長など多くの要 職を務め、1999 年、シラク大統領よりフラ ンス語最高審議委員を拝命される。日本記者クラブ賞や、“ レジオン・ ドヌール勲章オフィシエ ”、フランス政府 “ 芸術文芸勲章コマンドゥー ル賞 ” など、 日仏両国での受賞多数。著書に『ちょっとキザですが』シリー ズ(講談社) 、 『あの時世界は』(日本放送協会)、 『しなやかなフランス人』 (毎日新聞社)、『日本人はなぜ世界が読めないのか』(朝日出版社)他。 パネリスト フランス、パリ出身。パリ大学で日本語・ 日本文化、言語処理や国際関係を専攻。セ ゾ ン グ ル ー プ へ の 就 職 を 機 に 来 日。 伊 藤 喜三郎建築研究所等を経て、1997 年グラ フィックデザインスタジオの有限会社エク スプリムを設立。デザイン会社のクリエー ティブ・ディレクターの範疇にとどまらず、 日・仏アーティストの架橋として、1999 年より NPO ゛aiD'en ゛を設立・ 主宰。着物等「和」の文化の世界にも活動の場を広げている。著書に『パ リジェンヌの着物はじめ』(ダイヤモンド社)。海外で活躍するフランス 人女性として「フランス国元老院・院長賞」等を受賞。 パネリスト 岡 智恵子 森 秀人 水都大阪 2009 実行委員会マネージャー 光のまちづくり企画推進委員会委員 株式会社カクタス代表取締役 照明デザイナー 株式会社ライティング M 代表 景観照明により大阪の活性化に取り組んで いる。「OSAKA 光のルネサンス」ではウォー ルタペストリーや中之島イルミネーション ストリートを総合演出。 香川県生まれ。株式会社 LD ヤマギワ研究所、 株式会社ライティング・プランナーズ・ア ソシエーツ ( 代表取締役:面出薫 ) を経て、 2006 年株式会社ライティング M を設立。現 在、「感じる」光を創造するために、都市や 建築などの照明コンサルティング業務に従 事。 1 report.indd 3 09.3.23 3:47:04 PM BASIC LECTURE 基調講演 「フランスの街づくりと光」 元NHKキャスター・報道局長 日仏メディア交流協会会長 磯村尚徳 氏 ■ パリは世界のお手本の街 2 つ目は実行するためのマスタープラン ■ 歴史軸という考え方 私は 2005 年までの 11 年間、パリの があること。そして 3 つ目は、為政者 お手本といわれる 2 つ目は、グラン 日本文化会館初代館長をしておりまし も市民も自分たちの街を世界一の街に ドデザインを実行するマスタープラン た。日本の文化をフランスに紹介する しようという強い意欲があることです。 があることです。ナポレオン 3 世の時 館で、エッフェル塔直下から 450 mの 日本とフランスの交流が始まった今 代にセーヌ県の知事、オスマン男爵が大 セーヌ川左岸にあります。私は光や街 から 150 年前、既にパリでは街の骨格 がかりなパリの街づくりを始めました。 づくりの専門家ではありませんが、そ ができていました。当時、パリの街づ その特色の 1 つが歴史軸という考え方 の会館で都市問題をテーマに3回程度 くりとして掲げたのが「世界一のコス です。ルーブル宮殿は、現在では美術 セミナーを開催したことがあり、また、 モポリス(首都)にする」という意思 館になっています。すぐ横にカルーセ 多くの専門家からの聞きかじりの知識 表示でした。世界の首都たるグランド ルの小さな凱旋門、しばらく行くとチュ もあります。今回はそうした受け売り デザインとは、文明の光、文化の力を ルリー公園、そして和合を意味するコ を含めて申し上げるということをご理 発揮するということなのです。 ンコルド広場。その真ん中にオベリス 解いただきたいと思います。 例えば、東京タワーとエッフェル塔を クが建ち、シャンゼリゼ大通りが続き、 10 年ほど前に当時のパリ市長ジャッ 比較してみましょう。エッフェル塔は、 坂を上りきった所にナポレオンの凱旋 ク・シラクさんから、パリで行われるシ 造る時点から塔の下一帯を緑の広場に 門がある。さらに4km 先のデファンス ンポジウムで東京の街づくりについて しています。1998 年ワールドカップ・ 広場にアルシュという新凱旋門があり 話してほしいという要請がありました。 サッカーのときに、今は亡きパヴァロッ ます。未来は過去の延長線上にあると シンポジウムで私が最初に語ったのは ティら世界三大テナーが堂々たる音楽 いうことを、街づくりで示しているわ 次のようなことです。もしもある日、東 会を開いたように、非常に見晴らしの利 けです。クリスマスを前にしたシャン 京の街が水没してしまったら世界で誰 く場所にあります。つまりエッフェル塔 ゼリゼでは遠近法による素晴らしい光 も嘆き悲しむ人はいないだろう。しかし は 7,500 トンの鉄、250 万本の鋲を打っ の波が見られます。歴史軸の中でも直 ある日、この美しいパリの街が突如消え た単なる機械装置ではなく、フランス文 線や正面性、シンメトリー(左右対称) てなくなってしまったら世界中の人が 化を世界に示す1つの証であることが を大切にします。また、広場を街の中 喪に服するだろう。当時の日本は経済 読み取れるわけです。フランス人にとっ 心に据えているのが特徴的です。 が順調で、欧米から学ぶものなしといっ ての街づくりとは、1つの絵を描くキャ 1980 年代から 90 年代にかけて、ミッ た傲慢な風潮が支配的でした。しかし、 ンバス。だからこそパリの街(旧市街) テラン大統領はパリ大改造計画に取り 日本が胸を張れない部分、それが街づ は、ユネスコの世界文化遺産に指定さ 組みました。光・照明のことで申し上 くりや都市景観であり、パリは一目も れているわけです。遺産であって遺跡 げるなら、89 年のフランス革命 200 年 二目も置かないといけない存在でした。 ではないというのがフランス人の考え 祭を機に有名なモニュメントは 1 年を 方であり、古いものを守るだけでなく、 通じてライトアップすることが実現し、 ■ 首都たるグランドデザイン 新しく創造していくという思いが含ま ノートルダム大聖堂の照明が近代的な なぜパリが世界中の人から街づくり れています。 照明に改められることになりました。大 のお手本のように思われるのか。それに 改造計画には、遺跡ではなくて遺産だ は3つの理由があります。1つはパリ という考え方がよく現れていて、例え の街にはグランドデザインがあること。 ばルーブル美術館の前庭にはガラスの 2 report.indd 4 09.3.23 3:47:07 PM ピラミッドがつくられ、年間 500 万人 その模様はNHKハイビジョンで放映 ランス人の演出による縄文展で見違え という観光客を軽くさばけるようにな され、多くの人々に感動を与えました。 るような存在に変わったのです。私が りました。 フランスは光についても先進的であ 感心したのは、作品を目線より少し下 ります。私が両親に連れられてパリの街 げて置いたことと、もう1つが光のあ ■ 為政者、市民の思いの結晶 を最初に見たのは7歳のとき、昭和 11 て具合でした。 3つ目のお手本は、こうしたマスター 年(1936 年)でした。その頃すでにエッ 次に感心したのは平家物語をテーマ プランを為政者、政治家が推進したこ フェル塔には明かりが灯り、子供心にも にした展覧会のときです。和紙の塑像 と。歴代の政治家たちは自分たちの考 素晴らしいと思ったものです。NHK 家・内海清美(きよはる)さんの作品、 え方を後世に伝えるモニュメントをつ の若い特派員としてパリの街に入った 和紙の人形は表情を含め素晴らしいも くっています。ポンピドゥー大統領は近 のは秋も深まった日でした。飛行場か のです。平家物語を表現した 130 点の 代美術が好きで、ポンピドゥーセンター ら街に入っていくと、いぶし銀のよう 人形を置くだけの展示ですが、私たち をつくり、従来の常識を覆すデザイン な街並みに黄昏が迫り、徐々に暗くな は了解を得て平家琵琶の音と光で勝負 を実現しました。ジスカールデスタン大 るにつれて街灯の明かりが増していく。 することにしました。平家物語には無 統領は印象派の絵画が好きで、鉄道駅舎 その移り変わりを素晴らしいなと思っ 常観という日本人の琴線に触れる雰囲 を改造してオルセー美術館をつくりま たものです。クリスマスシーズンのシャ 気が漂っています。フランス人の照明 した。シラク大統領は日本が大好きで、 ンゼリゼの輝きは素晴らしく、イルミ の人に、日本人とは太陽よりも月の光、 縄文式土器を含む古代のものを集めた ネーションには柔らかい色調が施され 満月よりも雲がかかった月を尊重する ケ・ブランリー美術館をつくりました。 ていました。シャトー(城)や教会など と説明したところ、じつに素晴らしい光 そして、市民の姿勢です。自分たちの のモニュメントでは、ソン・エ・ルミエー の演出をしていただけました。この展 街を後世に伝える街づくりのためには、 ル(光と音の饗宴)という催しが行われ 覧会は非常に好評で、開館以来3番目 私権や個人のエゴを抑えて推進しよう ていました。私は昨日、大阪市役所近 という多くの入場者数を記録しました。 としており、その意味では公権力が信 くの中之島イルミネーション・ストリー このとき私は、異文化であっても伝え 頼されているとも言えます。為政者や トに行きましたが、音と光が和合した ることは難しくないと実感したのであ 市民による、後世に文化の香りをとど 催しの元祖はフランスにあるわけです。 ります。 であるわけです。 ■ミクロコスモスの美的センス ■ 光にメッセージを託する 日本人の美意識はミクロコスモス(小 日本人はミクロコスモス、つまり細か 私は今回この大阪に来てみて、その さな宇宙)というか、例えば着物なら紋 い所の美的センスに優れていると申し サイズがパリの街のそれと同じようだ 様の細かい繊細な美意識を大切にしま ましたが、フランス人の細かい所への と感じました。関西は日本の文化のふ す。あるいはマクロコスモスといって、 美意識はどうなのでしょうか。私には、 るさとであり、光にメッセージを託す 日本人の自然観や宇宙観は神道などの 光や照明では天与のDNAが優れてい ることで大阪が光を使った日本型コス 裏打ちもあって世界に通用するものだ るように思えます。それを感じたのは モポリスになり得る可能性を秘めてい と思われます。逆に日本人に最も欠けて 日本文化会館で縄文展を開催したとき る。特に光のまちづくり企画推進委員 いる美意識とはその中間、メッゾコス でした。日本から国宝の縄文式土器を 会の関係者の熱意から、心強いメッセー モスといって、遠近法やパノラマ的な 運んで展示したのですが、東京美術館 ジのようなものを受け取ることができ 見方による街全体の統一の美意識です。 に展示されていたそれは埃をかぶって ました。 日本の都市を上から見下ろすと、街が いて、私には素晴らしさを感じられな ご清聴をいただき、ありがとうござ 歯並びの悪い老人の顔になってしまう。 いような存在でした。その縄文が、フ いました。 めたいという思いの結晶が、パリの街 このあたりが日本の街づくりの大きな 課題であろうかと私は思います。 ■ フランスは光の先進国 人々の心に残る街―パリ。この街に一 石を投じる試みが 2008 年 9 月、照明 デザイナーの石井幹子さんとリーサ明 理さん親子の手によって行われました。 セーヌ川に架かる 25 の橋に、移動する 船から日本の四季をイメージした色彩 の光を次々にあてていくという挑戦で、 シャンゼリゼ大通りの光の波 Photo:(C)Mairie de Chartres , Xavier DE RICHEMONT , F . DELAUNEY 3 report.indd 5 09.3.23 3:47:17 PM LECTURE 講演 「フランスの光の紹介」 Chartres en lumières の例 フランス政府対外貿易顧問委員会委員 有限会社エクスプリム代表取締役 マニグリエ真矢 氏 ■ フランスの光の街づくり ル「音と光の饗宴」はフランスが発 ■ 夏のイルミネーションイベント 街と光の関係を考えてみると、夜 祥の地で、1950 年代にシャンボー シャルトルで行われているのが光 歩くために必要な街灯などの光、建 ル城でキュレーターをしていた人が のイルミネーション・イベントです。 物を飾るライトアップの光、そして 始めた「歌と光のショー」が最初で なぜ夜のイベントを開催することに 今回のようにイベントとして楽しむ した。今では大規模な光と音のエン なったのでしょうか。シャルトルは イルミネーションの光というように ターテイメントが、フランス国内で パリから 1 時間でアクセスできるた 3種類程度に分けられると思いま 年間 50 回以上行われています。歴 め、滞在期間が短く、日帰りの観光 す。そもそも光が街にやってきたの 史的な建物に光をあて、ナレーショ 客が多かったのです。そこで市長と は今から 200 年ほど前のことで、当 ンを流すものが最もポピュラーで、 政府観光局が考え出したのが、街の 時は電気でなくガスによる光でし 最近では演劇的な演出も行われてい 文化遺産を活用して過去と現在・未 た。産業革命や都市の拡大に伴って ます。また、水をスクリーンとした 来をつなぐイルミネーション・イベ 新しいニーズが生まれ、街を美しく 演出や、光を使ったアトラクション ントで、2003 年から始まりました。 する手段として光が使われるように イベントも展開されています。 イベントの特徴の1つは期間が長い ことで、4 月から 9 月の 160 日間の なり、1つのステータスとなりまし た。夜の街が明るくなると、ナイト ■ シャルトルは光と香水の街 毎日、イルミネーション・イベント ライフが広がっていきました。街の パリから南西約 90km に位置する、 が行われます。広い街でないため歩 顔が変わり、再び新たな治安面と文 光と香水の街と言われるシャルトル いて街を見てもらう。夏の昼間は長 化面に利用される光が必要となりま のことを、クローズアップして紹介 いため、ゆっくりくつろいでもらい、 した。 したいと思います。中世から変わら 夜になってから光の芸術を楽しんで 電気の出現を契機に光の使い方が ないシャルトルの街並みは非常に魅 もらおうという発想です。 加速し、大きな建物の大々的なライ 力的です。中心部にあるノートルダ ステンドグラスは教会の中から見 トアップが可能となりました。消費 ム大聖堂(シャルトル大聖堂)はフ るものですが、外から見える方法と の時代には、ショーウインドーや広 ランスのゴジック建築の傑作と言わ して建物の外側にステンドグラスの 告塔など告知のために光が使われる れ、1979 年にユネスコの世界文化 模様を映し出します。劇場の場合な ようになりました。1980 年代には、 遺産に指定されています。側廊のス ら、舞台を外に映し出すというもの 自動車中心だった街が人間中心の街 テンドグラスは「シャルトルの青」 です。 へと変わり、文化やエンターテイメ と言われるくらい鮮やかな色合い 半年間のイベントの最後の 2 日間 ントを楽しく演出する光の使い方が で、ステンドグラスを補修するため にクロージングイベント「光の祭典」 出てきました。最近では LED など新 シャルトルにはアトリエが多く、1 が行われます。街中は車両が通行で しい技術革新により、街の光は鮮や つの産業になっています。もう 1 つ きず、歩行者のみとなります。ライ かに変わりだしました。 は香水を製造するコスメティック産 テ ィ ン グ を 通 じ た ス ト リ ー ト・ パ 業が有名で、コスメティック・ヴァ フォーマンスがあちこちで行われ、 ■ ソン・エ・ルミエール レーにはエルメスや資生堂など多く 光の祭典はクライマックスを迎えま フランスの光をもう少しクローズ の企業が進出しています。 す。10 カ所くらいで照明を使った アップしますと、ソン・エ・ルミエー 演劇やコンサートも行われます。建 4 report.indd 6 09.3.23 3:47:32 PM 物が鮮やかな色合いの光で着色され ることによって、表情を変えます。 国際的ネットワーク機関の(※)LUCI が、シャルトルの街の存在を世界に 発信しています。 ■ 街へのプライドを取り戻す 私は 2008 年9月にシャルトルの 市庁舎を訪れ、いろんな話を聞いて みました。光によるイベントを始め てみて最もよかったのは、市民が自 分の街のプライドを取り戻せたこと だそうです。市長が実行委員会をつ くり、通常は 5 人が実務・運営に従 事し、機器などの設置段階では 20 人、最後のクロージングイベントで は 120 人 が 関 わ り ま す。 セ キ ュ リ ティは市警察と県警察が入念に打ち 合わせを行っていて、これまでに 1 件の事故・事件も発生していないそ うです。私が関係者に会って印象的 だったのは、街全体が一体となって イベントを成功させようという熱意 が伝わってきたことです。 2008 年の投資額は 9,000 万円で、 そのうち最後の 2 日間が 3,800 万円。 市の負担が 90%で、残る 10%はス ポンサー企業やサービスの提供によ るものです。スポンサー企業には空 間を提供して、そこではセミナーや パーティーが行われます。世界文化 遺産に傷はつけられないため、投影 のための機器は例えば向かい側のア パルトマンや学校を有料で借りて、 屋内に隠せるようにしています。 ■ 今では 25 カ所以上に広がる もう1つの特徴的なことが、同じ 所で同じ内容のものを展示するので はなく、毎年ライティングする所を 計画的に3カ所ずつ増やしているこ とです。初年度7カ所だったものが ネサンスでは、シャルトルの副市長 今 で は 25 カ 所 以 上 に な り ま し た。 が点灯式に出席しました。OSAKA 光 2008 年のシャルトル・ライトアッ のルネサンスも 2003 年から始まっ プには 80 万人以上の観光客が訪れ、 たイベントですが、日仏交流 150 周 そのうちクロージングイベントには 年ということから今回は「マルシェ・ 30 万人が集まりました。このイベ ド・ルミエール」いう催しが開かれ、 ントが開催される前と比べて、年間 フランスに関連するものやシャルト の観光客は 70%増加したそうです。 ルのことが紹介されています。シャ ホテルの年間稼働率は 80%に伸び、 ルトルが光によって街が大きく変 市民による民宿も増えています。ま わってきたように、大阪も光を楽し た、3つのホテルが現在建設中だと むことによって街が変わっていくだ いうことです。 ろうと私は思います。ソン・エ・ル ミエールという取り組みが、世界に ■ 光を楽しむことで街は変わる 広がっていくことを楽しみにしてい フランスでは、多くの街で光のイ ます。 ルミネーション・イベントが開催さ ご清聴をいただき、ありがとうご れていますが、今回の大阪・光のル ざいました。 ※ LUCI(Lighting Urban Community International)光景観創造国際ネットワーク。フランスのリヨン市に事務局があり、世界 54 都市が加盟(2008 年 7 月末現在)。 本ページ掲載写真全て (C)Mairie de Chartres , Xavier DE RICHEMONT , F . DELAUNEY 5 report.indd 7 09.3.23 3:48:00 PM パネルディスカッション 都市活性化に果たす “ 光 ” の役割と可能性 基調講演および講演を受けて行われたパネルディスカッションでは、光のまちづくりのあり方、表現手法、今後の可 能性などについて様々な意見交換が展開されました。 ■コーディネーター 磯村尚徳 氏(元 NHK キャスター・報道局長、日仏メディア交流協会会長) ■パネリスト 岡 智恵子 氏 ( 水都大阪 2009 実行委員会マネージャー、光のまちづくり企画推進委員会委員、株式会社カクタス代表取締役 ) マニグリエ真矢 氏(フランス政府対外貿易顧問委員会委員、有限会社エクスプリム代表取締役) 森 秀人 氏(照明デザイナー、株式会社ライティング M 代表) ■ 光のまちづくりのあり方 磯村 これから「都市活性化に果た ています。 いただきました。 す光の役割と可能性」をテーマにパ 森 私は照明デザイナー、照明コン 磯村 フランスは官の強い国です。 ネルディスカッションを始めます。 サルタントとして、建築、インテリ 人民の代表を政府として選ぶ共和制 3 人のパネリストの方々に自己紹介 アデザイン、都市計画などの関係者 で、行政や官僚機構が強力であるた をお願いします。 と連携し、照明空間を創り上げるこ め、まちづくりなどは比較的うまく 岡 私は OSAKA 光のルネサンスで、 とに携わっています。 磯村 先ほどの私と真矢さんの講演 立ち上げ当時からメイン会場の中之 いきます。大阪は国内でも私(民) が強い地域だと思いますが、私企業 島イルミネーションストリートと を聞かれての感想はいかがですか。 と官とがどのように協働していった ウォールタペストリーの演出に携っ 岡 パリにはグランドデザインがあ らよいのか。真矢さんはフランスの ています。また、2009 年の最大イ り、マスタープランがきっちり実行 視点からどのように思われますか。 ベント「水都大阪 2009」でもライ されているということですが、私が トアップを担当しています。 担っていることは、大阪市民が世界 ■ビジョンさえ伝われば市・警察・ 真矢 私はコンセプトデザインや 一を目指すためのコンテンツの部分 企業が一体的に動く グラフィックデザインに関わってい だと感じます。大阪でもパリのよう 真矢 私はパリの出身で、フランス て、イベントなどを含む幅広い分野 に一体的なまちづくりが進むように まちづくりのハード面は官が強いと から日本とフランスの橋渡しに携っ したいと思いながら、話を聞かせて 感じます。まちづくりのビジョンさ 6 report.indd 8 09.3.23 3:48:07 PM PANEL DISCUSSION え伝わっていれば、イベント開催な どソフト面で企業と官が一体となっ ■ 光の表現手法 ライトアップ・リニューアルに、石井 リーサ明理さんがチーフデザイナーと た企画が膨らみ、それが街全体の活 して参加し、きめの細かい配慮をして 性化につながります。講演で紹介し 光をあてました。講演で私が言ったミ たシャルトルのまちづくりのよう クロコスモスの感性が日本人にはある に、市、県、警察、企業などが一体 のだと思いますが、照明の世界で日本 的に動くことができると思います。 人が活躍する余地は十分あるのではな 森 私は官民一体のプロジェクトに いでしょうか。 関わることが多いのですが、中身は 岡 私の場合は音と光、そしてさらに 違う要素を加えたような取り組みをし 名前や見出しが並ぶだけで、光のま マニグリエ真矢 氏 ちづくりが実際にうまく運ぶのか疑 ているのですが、フランスの地で実際 問を感じることもあります。しかし、 磯 村 先 ほ ど の 真 矢 さ ん の 講 演 で、 にやってみたいし、逆に大阪の街自体 大阪の場合は官も民も一緒になって シャルトルのライトアップでは非常に がそうなりたいとも思っています。憧 取り組んでいるから、毎年着実な成 細かい所まで光があてられていること れの地のフランスに、私たちの才能と 果が出ていると感じます。官と民の が分かりました。あのような光による して何を持ち込めるかを探っていきた 協働によって、結果を残していくこ 素晴らしい色は技術的にどのようにし いと思います。 とが大切なことだと思います。 ているのでしょうか。 真矢 2008 年の OSAKA 光のルネサ 磯村 関西は東京に対する地盤沈下 ンスでシャルトルのイルミネーション の危機意識のようなものがあって、 ■ウォールタペストリーは が紹介されたように、じつは 2009 年 私企業であってもまちづくりに積極 かなりアナログ的な手法 のシャルトル・イルミネーションイベ 的に関わっていくような公的意識が 岡 シャルトルで使用しているもの ントの中で大阪・光のルネサンスの作 強いのでしょうか。 は、中之島のウォールタペストリーと 品が紹介されることになりました。先 同じピジーという機械装置です。投射 日、シャルトルの副市長と政府観光局 ■民間は行政に頼りがち 体位置から写真を撮り、そこからの距 の局長が大阪に来られて岡さんの作品 岡 確かに関西には危機意識がある 離を計算した上で写真を全て描き起こ をご覧になり、たいへん感動するとと とは思いますが、現実面で民間はや す。かたどった後に色を塗ります。今 もに、それがシャルトルの街で見られ はり行政に頼りがちで、行政がやっ はコンピューターで彩色して、それを ることに興奮されていました。 てくれるだろうという期待感がある 投射するという方法です。かなりアナ 磯村 先ほどの森さんの発言では、陰 ようです。民間が行政に提案するア ログ的な機械で、照度で言えば 4 万 影論に触れられました。日本人とフラ クションは、むしろ東京の方が目立 ANSI 程度のものを使っています。 ンス人の光に対する感じ方の違いはあ つように私は感じています。 森 私自身は、先ほどの講演で磯村さ るのでしょうか。NHK ハイビジョン んが指摘された日本人の美意識、例え 特集「日本の光がセーヌを染める~石 ば陰影などを意識した光空間のデザイ 井幹子とリーサ明理の挑戦~」の番組 ンをすることが多く、シャルトルのラ で石井幹子さんは、日本人の感覚の中 イトアップやウォールタペストリーの にある影の部分の美しさを強調されて 手法は私にとって新鮮で、これも素晴 いました。 らしいと感じました。 磯 村 真 矢 さ ん に お 聞 き し ま す が、 ■日本人には暗い部分の Photo:(C)Mairie de Chartres , Xavier DE RICHEMONT , F . DELAUNEY シャルトル大聖堂のライトアップで デザイン感覚がある は、夜には見られないステンドグラス 森 日本人の場合、本来は DNA に木 の中身を投射しているのですか。 の生活文化が流れていて、火の暖かさ 真矢 教会の場合なら、その教会を に触れるのが上手な民族だと思いま 象徴するものを外側に映し出そうとい す。和風では障子で光を拡散するよう うものです。 なことを表現でき、その中で暮らして 磯村 パリのノートルダム大聖堂の きたという DNA があるのではないか 7 report.indd 9 09.3.23 3:48:10 PM 岡智恵子 氏 と思います。明るい所というより暗い 映し出す絵ではなく、内容にどんな色 題が多いと感じています。今後は「水 部分のデザイン感覚があって、そうし を使うかの方が重要だと感じます。光 の回廊」をテーマに取り組んでいきた たものを世の中に問いかけていくこと はもともと線の細さや色の強さがメイ いと考えています。八百八橋といわれ が合っているのではないでしょうか。 ンであって、模様の場合はぼけてしま る大阪の橋をもっと魅力的に見せたい 岡 癒される光や心をうつ光という います。間接照明やライトアップの仕 し、皆さんに船に乗っていただき、水 のは、いわゆる非日常空間にあるもの 方によって、微妙な感じは伝えられる 辺側にビルの正面が向くきっかけにな です。例えば私たちが光を使ったプラ のではないでしょうか。 ればと思っています。 ンを展開するときには安全のことが強 磯村 シャルトルの大聖堂の場合は 磯村 海面に浮き出た岩に光をあて 調されがちで、何ルクスという単位が それ自体が世界文化遺産ですが、岡さ た「光の枯山水」。森さんの試みは、 求められてしまうという現実もありま んはウォールタペストリーを表現する 昼間は何気ない風景であっても、夜に す。 ために大阪府立図書館を取り上げまし 幽玄な形が現れる。その手法を活用す 磯村 石井さん親子は日本的な色であ た。別の場所でもやってみたいという れば、いろんな挑戦や実験ができるの る紫や萌黄色をセーヌ河畔で投射する 構想をお持ちでしょうか。 ではないでしょうか。 森 確かに昼と夜とでは見え方が大き ことで、日本人としてのメッセージを 伝えたかったそうです。紫や萌黄色、 ■「水の回廊」で大阪の橋を く違ってきます。例えば大阪でしたら、 あるいはものの哀れやうつろい、無常 魅力的に見せたい 川面に映る景色は素晴らしいものとな 観というものを光で物語ったことは、 岡 シャルトルの大聖堂は、その前 ります。建物だけのライトアップにと フランス人の心に浸透していくと思わ に広場があって距離がとれる。隣の家 どまらず、水を活かせば景色が広がっ れますか。 を借りることができて、自動的にプロ てきます。 真矢 紫はフランスの宗教関係でも使 ジェクターが出てきて、照明が終わる われています。しかし、光を通しても と元へ戻るというシステムができてい のの哀れなど、色ではない微妙なニュ ます。OSAKA 光のルネサンスは中之 アンスを伝えるのは難しいことです。 島という狭い中でやっているため、課 岡智恵子氏による事例紹介 OSAKA 光のルネサンスでこれ までに実施した事例や、他のプ ロジェクトにおける光の使い方 などが紹介された。 京阪中之島駅イルミネーションコンコース 中之島イルミネーションストリート ウォールタペストリー(大阪府立図書館) 昼の大阪府立図書館 水の回廊ライトアップ 街河灯(堂島川) 比叡山延暦寺根本中堂 8 report.indd 10 09.3.23 3:48:22 PM PANEL DISCUSSION ■ 街の個性を光で活かす 磯村 森さんが光の街として紹介さ れた都市、プラハ、リヨン、メルボ ルンはライトアップによって街の個 性が出ているように感じます。私は プラハに何度も行ったことがありま すが、ライトアップされていること は知りませんでした。カール 3 世橋 のライトアップは、チェコの人たち がプラハの街の象徴として売り込も うとしているわけですね。 じます。毎年 12 月初旬の 4 日間、 「光 あのライティングを見るために大勢 の祭典」が行われます。元はキリス 観光客がやって来る。グローバル化 ト教の式典のようなものでしたが、 の中では、そんなまちづくりが求め 宗教を超えた習慣として窓にローソ られるのではないでしょうか。 クの明かりを灯すという祭りが定着 森 光 が 媒 体 と な っ て、 街 の 個 性 し、 そ れ が 現 在 の 光 の 祭 典 へ と 変 をより良いイメージでプレゼンテー わってきました。世界的なアーティ ションしていくことは1つの方向性 ストに依頼して建物や橋などを対象 であり、そのために市民も賛同して にイルミネーション作品を創っても 行動し、一歩一歩階段をのぼってい らいますが、分かりやすいものから くことが大切だと思います。 複雑なものまで多様なインスタレー ションが行われ、観客も多く、評判 ■プラハでは幻想的な景色づくり 森 以前はライトアップでなく、安 心・安全の観点からのポールしかあ りませんでした。昼間より幻想的な 夜の景色をつくっていこうという取 り組みから生まれたものです。 の高い祭りになっています。 もともと保守的な街ですから市民 の反応がどうなのか、その点が気に なります。街に海外から多くの人た ちに来てもらうより、リヨンに住む 人たちの発想を新しく変えられるか どうか、そのことを考えるべきだと 森秀人 氏 磯村 永井荷風がリヨン滞在当時か いう声も多いようです。 ら 100 年が経過したことを記念し、 磯村 私がフランスに住んだ 1980 ■会話が生まれチャンスが広がる 年 代 後 半 に は、 リ ヨ ン 市 長 が ラ イ 岡 私はアーティストでなく、「光 ティングのマスタープランを持って と水と音の演出」という伝える仕事 い ま し た が、 汚 職 問 題 で 市 長 は 失 に関わっていますから、私のような 脚してしまった。マスタープランは コンテンツをつくる人間と市民とが あったものの、市民が保守的なため 話し合える場があって、そこで語り に盛り上がりに欠けたように思えま 合うことで形が生まれていくように す。リヨンを訪れてみて、市民はラ なればいいなと思っています。本来 イティングにあまり熱心ではないよ の光のまちづくりとは、会話が生ま うに感じました。グローバル化が進 れ、同じ夢を抱くもの同士が語り合 む中で、都市が自らの個性をはっき える。そこに参加して表現するチャ り出していくことが大切だと思いま ンスが広がる。私はそのためのグラ す。シャルトルの個性表現のように、 ンドデザインにトライをしていき 日仏セミナーが 2007 年に開かれ、 私もリヨンに行きました。リヨンは 伝統を重んじる保守的な街という面 もありますが、街中を流れるローヌ 川が中心的存在で、川の周辺をライ トアップすることで街を際立たせよ うという試みなのでしょう。真矢さ んはそのことについて、どんな感想 をお持ちですか。 ■明かりを灯す習慣が光の祭典へ 真矢 リヨンは確かにライトアップ に力を入れている魅力的な街だと感 森秀人氏による事例紹介 プロジェクト事例や主要都 市における光のまちづくり の様子が紹介された。 静岡・紅葉山庭園幽玄ライトアップ 素材の見せ方の事例 光の枯山水(岩礁で枯山水を表現) 光の枯山水(日没前の岩礁) プラハ(光で安心・安全を創る) リヨン(光で景色を創る) メルボルン(光で都市インフラを創る) 9 report.indd 11 09.3.23 3:48:38 PM たいと考えています。シャルトルに 行って感動したことは、創っている 人のプライドの高さでした。ともか ■ 光のまちづくりへの 期待と可能性 りましたが、それらについて真矢さ んはどのように感じられましたか。 くレベルを上げる努力を続けること 磯村 環境問題からエネルギーを使 ■使う時期を考慮し、夏には外で が、私の使命だと感じました。 うライティングには、さまざまな意 夕涼みを楽しむ 見もあると思われますが、環境にや 真矢 光の表現方法がそれぞれに異 さしいライティングとはどんなもの なり、作品を拝見して面白いと思い なのでしょうか。 ました。特に光を編集できるという 力強さを感じました。会場から大阪 コーディネーター 磯村尚徳 氏 Photo:(C)Mairie de Chartres , Xavier DE RICHEMONT , F . DELAUNEY ■インフラを整えれば、恒久的で の色へのご意見もありましたが、シ ハイパワー・省エネの効果 ンプルに分かりやすく伝えることが 森 光源(ランプ)は日進月歩の勢 大事なことだと思います。私もグラ いで発達しています。少ない電気容 フィックデザインの中で、何がフラ 量で高出力のものが製品化されてい ンスの色で何が日本の色なのかを常 ますし、日没から就寝するまでを快 に意識して考えています。日本の色 適に過ごす観点からは、まずはイン を表現するとすれば、関西の色使い、 フラを整えた方がより良いものを恒 色合いに近いのではないかと思って 久的に使えるようになります。イン います。アドバイスするとするなら、 フラが整備されたシドニーのオペラ 1 つの色に限定しない、大阪の色合 ハウス・ライトアップでは、より良 いを広げていってほしいと思いま いランプが開発されることで手法は す。省エネ、省電力に関しては、使 同じでもハイパワー、省エネにつな う電気のことだけでなく使う時期を がり、見せ方も広がっています。大 考慮することだと思います。昔の日 阪で光のまちづくりを未来につなげ 本では、夏には外で夕涼みを楽しん ていくために大切なことは、エネル でいました。部屋の中にいると電気 ギー問題も考慮して街の光をどうし もエアコンも使い過ぎるため、外で たいかを議論し、メリハリのある計 いかに涼しく過ごせるか、涼しく照 画をつくっていくことだと思いま らせるかをまちづくりとして探って す。LED の出現によって、とくにイ みてもよいのではないでしょうか。 ルミネーションは急激に変わってき 磯 村 私 は こ こ に 来 て み て、 大 阪 ました。従来からの白熱電球は数年 の中之島には東京にもパリにもない 後には贅沢品になると思います。 何かの可能性があるように感じまし 磯村 さきほど、岡さんや森さんが た。職場と遊び空間が近い職遊近接 取り組んでいる光や照明の紹介があ の要素があるように思えますが、ま 会場からの質問・意見 ● OSAKA 光のルネサンスでは最寄り駅から会場までのアプローチで、例えば神戸のルミナリエ会場に向かうような、わくわく感が 出る工夫が必要ではないのか。 → 交通量の多い御堂筋に面しているため、安全面に配慮せざるを得なくなる。シャルトルの事例のように、府や警察とも連携した 体制づくりに期待したい。(返答:岡) ●フランスの光のまちづくりで、市民の参加の仕方はどうなのか。 → フランスの市民は気づいた段階で積極的に発言する。まちづくりとしての解決策を見出すことが重要で、市民との協働が成功の 原動力になる。(返答:真矢) ●大阪の光を発信していく上で、大阪型の光の色を求めるビジョンが必要ではないのか。 → 何らかのコンセプトで大阪の色を創り出せれば、推進力が増すと思う。(返答:森) ●音と光の組み合わせで、さらに盛り上がるのではないのか。 → 音というより、音楽を活かそうとしている。光と風景が遊離しないように、思い出に残るような分かりやすい音楽による創り方に 心がけている。今後は生演奏と光による演出をやってみたいと思う。(返答:岡) 10 report.indd 12 09.3.23 3:48:53 PM PANEL DISCUSSION ちづくりの中でそれを活かせないも ション・イベントを契機に、安心安 ■まちづくりにおける行政の役割と のでしょうか。 全のための公共施設のライティング 市民が関心を持つことの大切さ 岡 中之島は職場でしかなく、公園 を 思 い 切 っ て 変 更 し、 紫 の イ ル ミ 磯村 最後に 1 つだけ私の経験を があっても遊ぶという認識がなかっ ネーションにしました。市民の理解 申し上げたいと思います。私はパリ たと思います。光のルネサンスを続 が得られたからこそ可能になったわ の日本文化会館が建つ前から赴任し けていることで、憩える場所という けで、そこにも光のまちづくりのヒ て、パリの行政当局と話を進めてい 空間が生まれつつあると感じます。 ントがあるのではないでしょうか。 ました。その際に市当局とフランス 森 職場帰りに夕涼みができるよう 大阪に関しては、大阪の中で何を行 文化省から文化会館の窓ガラスを透 なら素晴らしいことです。中之島は うかのコミュニケーションと、国内 明でなく、絹をはめ込んだようなヒ その環境が備わっていますから、歩 的にも PR していくことが重要だと スイ色のガラスに変えてほしいと強 きたくなる街に変わっていくことを 思います。また、先ほど講演で申し 力に要請されました。なぜかと言え 期待したいと思います。 上げた LUCI に日本の都市はまだ加 ば文化会館はセーヌ河畔に建ってい 磯村 3人のパネリストの方々に、 入していないし、日本から初の都市 て、バトームーシュという周覧船が 最後に一言ずつ強調したいことを話 として参加することで国際的な広が 岸辺を照らしながら進みます。ヒス していただきます。 りも期待できると思います。 イ色の窓ガラスにすることによっ て、光があたると文化会館が雪洞(ぼ ■夜の景色をつくるため、 ■世界の水都へ 光による話題や んぼり)のようなヒスイ色に浮かび 昼間の景色を考える 個性を発信したい 上がるわけです。行政当局が建物 1 森 個性のある夜景観をつくってい 岡 光でどこまで挑戦できるのかは つの見え方の細部まで神経を使い、 くべきだと思います。また、大阪ら 分 か り ま せ ん が、 来 年(2009 年 ) 強権を発動したという印象が私には しさとは何かをもう少し議論し、例 に開催される「水都大阪 2009」を 強く残っています。 えば水の豊かさを見せていくこと。 担う立場からは、世界の水都に何ら 日本では何でも民間にやらせよう それに照明の効果をいかに組み合わ かのかたちで大阪が仲間入りできる と行政がしりごみをしているように せるかだと思います。そのためには ようにしたいと思っています。その 感じます。大阪が世界に誇れる街に ランドスケープをつくることです。 切り口として光の景観が整備される なるには大阪府や大阪市などの行政 夜の景色をつくるために、昼間の景 ような計画に期待するとともに、私 が、パリ市や文化省のようにまちづ 色を考えることも大事です。また、 自身としては光によって話題や個性 くりの細かい所まで神経を尖らせる 照明はもっと奥深いということを十 が情報発信できる仕組みづくりに関 ようになっていただきたい。 分理解した上で、間違った使い方を わっていき、次の世代に引き継いで 今回のシンポジウムでは、光をは しないように1つずつ丁寧につくっ いきたいと考えています。いつかは じめとしたまちづくりにおける行政 ていくことだと思います。 フランスと肩を並べられ、堂々と交 の役割と市民がそれに関心を持つこ 流ができるステータスのある大阪の との大切さを結論とさせていただき 光を見たいと思います。 ます。ありがとうございました。 ■国内的なPRも重要 真矢 シャルトルではイルミネー Photo:(C)Mairie de Chartres , Xavier DE RICHEMONT , F . DELAUNEY 11 report.indd 13 09.3.23 3:48:57 PM QUESTIONNAIRE 参加者・アンケート集計結果 「大阪・光のまちづくりシンポジウム ~フランスの光に学ぶ~」 にご参加いただいた皆様から、感想や意見などを お寄せいただき、主なものを以下の通りまとめました。今後の活動の参考とさせていただきます。 3% 2% 0% ■性別 23% ■年齢層 ■男性 93 名 ■女性 29 名 □無回答 8% ■ 20 歳未満 21% 15% 4名 74% 27% 27% 0名 ■ 20 代 10 名 ■ 30 代 19 名 ■ 40 代 34 名 ■ 50 代 35 名 ■ 60 代以上 26 名 □無回答 7% 13% 3% 14% 6% 2% 7% 55% 1% 0% ■職業 2名 ■満足度 3% 8% ■公務員 16 名 ■会社員 66 名 ■満足 73 名 ■自営業 8名 ■ふつう 10 名 ■NPO 2名 ■あまり満足できなかった 0 名 ■専業主婦 7名 ■学生 3名 ■その他 15 名 □無回答 9名 ■とても満足 38 名 30% 58% ■不満足 1名 □無回答 4名 ●参加者 200 名のうちアンケート回答者 126 名 ●回収率 63% ■ シンポジウムの感想 講演者の熱い思いがよく伝わってきました。光のイベントは人々に感動を与え得るものということもよく伝わりました。休日ではなく平 日に開催すればもっと多くの人が参加出来、もっと盛り上がってよかったと思います。パネルディスカッションの進行がすばらしく、適 度な緊張感と展開が面白かった。 光のいろいろな使い方や場所の話を聞けて、いろいろな立場の人の意見も聞けたことが良かった。大阪のイルミネーション(光のルネサ ンス)のレベルの高さを知っておどろきと同時に誇りに思った。 光により、大阪の府民、市民が誇りに思える個性的な街づくりができるような気がする。これからの活動に期待している。 歴史的建築物を活用したライトアップもいいが都市を形成するビル群の壁面をもっとライトアップ、スクリーンとして表現スペースに活 用できるのではないかと思います。 街のグランドデザインの大切さ、リーダーや市民意識の大切さを学んだ。またシャルトル市の具体的なマーケティング戦略を理解できた。 いずれも大阪に不足しているものであると思う。 ■ 大阪の光のまちづくりへの意見・感想 大阪の住民一人一人が光に関心を持ち、各企業が地域の光の演出も心掛ければ、大阪の街全体が光にみちた美しい街に変わるのではと思 います。 真に大阪全体がひとつになり、府・市・企業・住民が協働して、光のまちづくりが始まってきたような・・・。まだまだ課題はありますが、 今ならできそうな気がしました。「大阪と言えば○○」というようなシンボル的なイメージができればどうかと思いました。 パネルディスカッションの中で話をされていた、明るさを作るのではなく雰囲気を作るという考え方に共感します。光のルネサンスがイ ベントではなく日常になればよいと思いました。 中之島から梅田やなんばへ光のまちづくりが広がることを期待。 来年(クリスマス)に限らず、他の時期(日本の行事に併せた実施、桜の花見、秋の紅葉など)にライトアップすればよいと思います。 世界に大阪の光のまちづくりを発信しようと思ったら洋風のしつらえだけでは物足りない。周りが洋風近代ビルだからイルミネーション に和風調があってもよいと思う。その和風調が何であるかを追及し、是非光で表現してもらいたい。 現状の大阪のまちづくりのテーマとして「水」と「光」がありますが、この両方をよりコラボレートさせて合体させたものをより前面に 出せばよりスケールアップするのではないでしょうか?(例)「大阪・水と光のまちづくり」 LED、太陽光、グリーン電力など環境負荷を減らして取り組むことを PR できればと思います。 12 report.indd 14 09.3.23 3:49:00 PM シンポジウム会場スナップ OSAKA 光のルネサンス 2008 連携イベント マルシェ・ド・ルミエール ~日仏饗宴・光のマルシェ~ 期間:2008 年 12 月 13 日(土)~ 25 日(木) 17: 00 ~ 22:00 場所:大阪市立科学館北側公共広場 20 フィートコンテナ 8 台を使用し、フランス・ シャルトルの光の祭典の紹介を中心に、光の インスタレーション、光のデザイナーによるデ ザイン照明器具の展示、フランスのワイン、限 定スイーツ、パリで流行の雑貨などの販売を 実施し、期間中は 14 万人が来場。 13 report.indd 15 09.3.23 3:49:29 PM 参考資料 ① 14 report.indd 16 09.3.23 3:49:38 PM 参考資料 ② 15 report.indd 17 09.3.23 3:49:44 PM 参考資料 ③ 写真はいずれも2008年 あるいは過去実施時の様子。 16 report.indd 18 09.3.23 3:49:59 PM 参考資料 ④ 17 report.indd 19 09.3.23 3:50:07 PM OSAKA光のルネサンス 2008 連携イベント 大阪・光のまちづくりシンポジウム ~フランスの光に学ぶ~ 2009 年 3 月 発行 発行 光のまちづくり企画推進委員会 中之島まちの魅力向上実行委員会 編集協力 NPO 法人エコデザインネットワーク 大阪市住之江区南港北 2 - 1 - 10 ATC/ITM 棟 11 階 電話 06-6615-5272 FAX06-6613-7890 表紙左側 4 点 Photo:(C)Mairie de Chartres , Xavier DE RICHEMONT , F . DELAUNEY report.indd 20 09.3.23 3:50:07 PM
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