北海道版(470KB

の物
改理
善性
緑肥作物の効果と選定
最近、園芸作物や小麦等の畑作物を中心に、有機物不足や連作による土壌病害の多発、低収が問題化しています。これらの問
題を解決するために、手軽で安価な緑肥作物の栽培が普及してきました。緑肥の施用効果と最適品種は以下のようになります。
物 理 性の改 善と団 粒 構 造の形 成
緑肥の粗大な有機物は土壌中の気相・液相を増大し、孔隙率を増加させ、団粒構造形成に役立ちます。ここに有用微生物群が繁殖するので
す。全ての緑肥に共通の効果ですが、特にイネ科作物に期待されます。
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緑肥作物の導入方法
1月
2月
■秋播き小麦への後作緑肥
秋播き小麦
3月
4月
豊富な根系のイネ科や深根性のマメ科作物は土壌を耕します。
トウモロコシ、つちたろう(ソルゴー)、ねまへらそう(スーダングラス)、ヘイオーツ(エンバク野生種)、R−007(ライムギ)、
はるかぜ(アカクローバ)
クリーニングクロップ
施設ハウス内での過剰塩基を緑肥に吸収させ、搬出することにより、土壌の塩基バランスを保ちます。
つちたろう(ソルゴー)、ねまへらそう(スーダングラス)
8月
9月
10月
11月
12月
ヘイオーツ、
辛神、
キカラシ、
まめ助、
まめゆたか、
R−007
(9月播種)
◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = × × × ×
注:8月下旬播種はキカラシが多収。
■ダイコンのキタネグサレセンチュウ対策
春ダイコン
◎∼∼∼∼◎
ヘイオーツ
◎∼∼∼∼◎ = = = = = = = × × × ×
■ニンジン・ゴボウ・ナガイモの線虫対策
ヘイオーツ
◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = × × ×
夏ダイコン
◎∼∼∼◎
春播きニンジン
◎∼∼∼∼◎
マメ科作物による空中チッソの固定
ゴボウ(前年秋にヘイオーツ)
◎∼∼∼∼◎
ナガイモ(前年秋にヘイオーツ)
◎∼∼∼∼◎
マメ科作物の根には根粒菌が着生、空中チッソを固定し、土壌中のチッソを肥沃化させます。
まめ助(ベッチ類)、はるかぜ(アカクローバ)
小麦の後作でイネ科の連作を防ぎ、輪作体系を確立させます。
まめ助(ベッチ類)、まめゆたか
■トマトやキュウリのサツマイモネコブセンチュウ対策とハウスの土づくり
トマト・キュウリ(ハウス)
▽∼∼∼▽
ヘイオーツ
◎∼∼∼◎ = = = = = = = = × × × ×
つちたろう、ソイルクリーン
◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = = = = × × × ×
定植
有用土壌微生物相の形成
環
境
保
全
7月
播種期
栽培期間
鋤き込み
収穫、麦稈処理
土壌に鋤き込まれた緑肥作物は微生物に分解され、腐植を増大させます。この腐植はマイナスに帯電しており、肥料成分のうち、大切な肥
料成分のプラスイオン(アンモニア、カリ、カルシウム、マグネシウム等)を吸着し、土壌の保肥力を増大させます。
トウモロコシ、つちたろう(ソルゴー)、ねまへらそう(スーダングラス)、ヘイオーツ(エンバク野生種)
輪作体系の改善
生
物
性
の
改
善
6月
土 壌の耕 運
保肥力の増大
化
学
性
の
改
善
5月
◎∼∼∼◎
====
××××
全ての緑肥作物は根系よりムシゲル(糖類の一種)を放出します。その結果、豊富な微生物群がムシゲルをエサとして増殖します。
土壌病害の軽減
前作と異なった種類の緑肥の導入は、連作を輪作体系化し、主作物の土壌病害を軽減します。
ヘイオーツ(アズキ落葉病、ジャガイモそうか病、アブラナ科野菜類根こぶ病)、トウモロコシ(メロンえそ斑点病)
辛神(テンサイ根腐病、ホウレンソウ萎凋病)
有害線虫の低減
キタネグサレセンチュウを撃退(ダイコン・ニンジン・ゴボウ、ナガイモ等で問題化)
ヘイオーツ(露地)
キタネコブセンチュウを減少(ニンジン・ゴボウ等)
全てのイネ科作物に効果があります。
サツマイモネコブセンチュウを撃退(トマト・セロリ・キュウリ等で問題化)
つちたろう(ソルゴー)
■小麦間作緑肥(ダイズシストセンチュウを抑制)
秋播き小麦
収穫、麦稈処理
はるかぜを畝間に中播き
◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = × × × ×
■秋播き小麦への後作緑肥でダイズシストセンチュウ対策を
秋播き小麦
収穫、麦稈処理
くれない
◎∼∼∼◎ =========××××
■ハクサイ・キャベツの根こぶ病対策と土づくり
前年夏にヘイオーツ
◎∼∼∼◎ = = = = = = = = = =× × × ×
翌年にハクサイ
◎∼∼∼◎
土壌保全
貴重な表土を風害より保全します。美しい花は環境美化にもつながります。
アンジェリア:ハゼリソウ(紫)、キカラシ:シロガラシ(黄)、くれない:クリムソンクローバ(深紅色)、デルソーレ:ヒマワリ(黄)
翌年にキャベツ
▽∼∼∼▽
定植
防風作物・隔離作物
園芸作物の防風やタネバレイショの隔離作物として最適です。
とちゆたか(エンバク)、R−007(ライムギ)
緑肥の作付体系
■野菜の土づくり
■タマネギ畑の土づくり
緑肥作物導入の方法を紹介します。輪作体系を確立させる緑肥だけでなく、さまざまな作型や条件に応じた品種群が用意さ
れています。
現在北海道で最も多いタイプは小麦収穫後の後作緑肥です。これは小麦を8月上旬までに収穫、麦稈を処理し、8月中旬には辛神・キカラシ・
まめ助・まめゆたか(8月下旬まで)
・ヘイオーツ・デルソーレ(できるだけ早く:7月下∼8月頭)を播種するタイプで、生育日数は降霜まで
の約2ケ月、生収量で2∼4トン/10アールを確保できます。
主として生産物が過剰な場合や新墾地、また病害や有害線虫が多発した場合に緑肥を導入する方法で、1年間主作物を休んではるかぜ(ア
カクローバ)、トウモロコシ、つちたろう(ソルゴー)、ねまへらそう(スーダングラス)を栽培します。この休閑緑肥は粗大有機物の確保が
可能で、ソルゴーやトウモロコシでは約6トン/10アール以上の有機物(生草収量)を確保できます。
R−007
◎∼∼∼◎ = = = = = × × × ×
播種量を20㎏と多めに、簡易耕起を検討する。
ヘイオーツ
◎∼∼∼∼◎ = = = = = = = × × × ×
ヘイオーツ
◎∼∼∼◎ = = = = = = × × × ×
つちたろう・トウモロコシ・ねまへらそう・デルソーレ
◎∼∼∼∼◎ = = = = = = = = = =× × × ×
小麦
◎∼∼∼◎
ねまへらそうはキタネグサレセンチュウを抑制
■バレイショの隔離と防風作物
休 閑 緑 肥( 短 期 )
春播きの休閑緑肥は栽培期間が50∼60日前後で、主作物を栽培する前の有害線虫防除(ヘイオーツ)や、短期で有機物を鋤き込んだり、景
観美化(アンジェリア・キカラシ・くれない・デルソーレ)を目的に用います。
タマネギ
▽∼∼∼▽
つちたろう・ねまへらそう・トウモロコシ・はるかぜ
◎∼∼∼∼◎ =======================××××
■小麦の休閑緑肥
休 閑 緑 肥( 長 期 )
ヘイオーツ
◎∼∼∼∼◎ = = = = = = × × × ×
秋野菜
◎∼∼∼∼◎
定植
■遊休地の土づくり
後作緑肥
春野菜
◎∼∼∼◎
ヘイオーツ
◎∼∼∼◎ = = = = = = = = × × × ×
種子バレイショ
▽∼▽
とちゆたか
◎∼◎ = = = = = = = = = = = = = = = ▲ ▲
隔離作物
■キャベツへのドリフトガードクロップ
間作緑肥
刈倒す
キャベツ
▽∼∼∼▽
定植
とちゆたか
◎∼◎ = = = = = = = = = = = = = = ▲ ▲
間作緑肥とは主作物の畦間に緑肥を中播きし、主作物の収穫により、地上部が明るくなってから緑肥が生育するタイプで、小麦に対する
はるかぜ(アカクローバ)の間作がポピュラーです。
ドリフトガード効果 刈倒す
つちたろう、ねまへらそう
◎∼∼◎ = = = = = = = = = = = = = = = = = = ▲ ▲
ハウスへの緑肥
ドリフトガード効果
ハウスでは線虫対策や過剰塩類の除去を目的として、主作物を休閑してつちたろう、ねまへらそうを2ケ月程度導入します。
■ホウレンソウの萎凋病対策に
越冬緑肥
夏作物収穫後にライムギのR−007を播種、越冬させ、翌春の土壌侵食の防止や有機物確保を目的とします。
4
辛神
◎∼∼∼∼◎ = = = = × × × ×
灌水、ビニール被覆
5
ホウレンソウ
◎∼∼∼◎
刈倒す