通巻555号特別企画! 回路も調整も簡単なベスト・セラー IC に再注目! タイマ IC555の動作と設計思想 三宅 和司 Kazushi Miyake や LED ドライバが不要です.特に,ボリュームによ 本稿では,巻頭のインタビュー記事で紹介した る時間設定はインターフェースとして優れていて,電 源が入っていなくとも設定でき,当然ながら不揮発で 定番のタイマ IC 555 の動作と使い方を研究しま す.1971 年に生まれたとても古い IC ですが,今 す. 同じことを CPU で行うには A − D コンバータ内蔵 も使われているのには何か理由がありそうです. 〈編集部〉 や不揮発メモリ搭載が前提になります. 図 1 の回路は待機時電流がやや多いので,実際に筆 者が使った回路は CMOS タイプの 555 に MOSFET を 初めての NE555 ● マイコンだとたいへんだけど 555 なら簡単 組み合わせ,電池にはニッケル水素蓄電池を 4 本使い ました. ものぐさな筆者は就寝時,枕元に細々したものを置 いているので,スイッチを押すと数秒間だけ点灯する タイマ IC 555 の動作には,トリガ信号が入ると一 定時間幅のパルスを出力する 「ワンショット・モード」 LED ランプを使っています.同じライトはキャンプ と,発振器として動作する「アステーブル・モード」 に行ったとき,家族を踏まずにトイレへ行くのにも役 立ちます. があります. それでは単 3 形電池 4 本を電源として,ボタンを押 すと白色 LED が一定時間だけ点灯する回路を考えて ● トリガ信号が入ると一定時間幅のパルスを出力す るワンショット・モード みて下さい.点灯時間は状況に合わせ 1 〜 10 秒くら s出力する時間幅は電源電圧に依存しない いの可変とします. もしかしてそれは CPU や FPGA を使った回路では 図 1 は NE555 をワンショット・モードで使った例 でした.スイッチ SW1 を押して IC1 の 2 番ピン ありませんか?もちろんそれが悪いわけでありません し,もっと多彩な機能の実現も可能ですが,電源の安 (Trigger)を一瞬でも電源電圧の 1/3 以下にすると IC1 は動作し始め,3 番ピンの出力は H になり LED は 定化や LED のドライバが必要ではありませんか?ま 点灯します.LED は一定時間経過後に消灯しますが, た時間のセットはどうされていますか? 図 1 に示すのは NE555 を使った回路です. その時間 t は VR1 + R4 の抵抗値と C4 の静電容量だけ で決まります. t ≒(VR1 + R4)C4 × 1.1 NE555 が優れているのは,この式に電源電圧 V CC NE555 は 4.5 V 〜 16 V で動作し,出力ドライブ能力 が最大 300 mA と大きいので,電源用のレギュレータ +6V C 3 0.1μ R1 R2 R3 4.7k 10k 10k C1 0.01μ SW1 1 2 R5 3 180Ω LED 4 C2 0.1μ NSPW500CS (日亜化学) GND VCC TRG D IS OUT TH RES CV NE555N VR 1 8 7 6 1M 2番ピン (Trigger) R4 6番ピン (Threshold) 10k 5 C5 0.1μ C4 10μ 25V 図 1 ワンショット・モードでの動作を応用したナイト・ランプ v タイマ出力終了の瞬間にトリガ入力 が L だと H を出力し続ける A B C D E t C のトリガが入ってもパルス幅 は単パルス・トリガ A 時と同じ t 3番ピン (Out) t 図 2 ワンショット・モードのタイムチャート ワンショット・モードでは狙ったタイミングでパルスを一つだけ出す 170 2010 年 12 月号
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