よく見える目を持ち 自由な視点を貫く

ち
群馬県高崎市栄町21-1
TEL 027-323-9524
FAX 027-322-3139
http://www.maruhashi.com/
E-mail:[email protected]
の
発行所
ません。
そこから真実を見通す目も、
丸橋 賢
責任を問うた上で自由を全面的に与
え、国民一人一人の質の向上を目指
すことがイギリスの文化が内に秘め
る強い要請なのです。
日本のように、低きにも弱きにも
文化を低下させて寄り添うという方
向で本当に良いのでしょうか。それ
・
・
・
・
・
・
が本当の優しさだとは到底思えませ
ん。優しさごっこはもう止めるべき
ば、人間社会はもたないと考えてき
ップを重んじた文化を形成しなけれ
た個人を大切にし、そのリーダーシ
持つ、それが個人です。私は確立し
周囲によって曇ることのない目を
いのです。固有の判断力や責任力の
のが特徴です。大衆を信用していな
の操縦を託するべきだと考えている
頭脳も考え方も立派なエリートに国
も た ら す 失 敗 を 少 な く す る た め に、
思想は、大衆も含め、人間に不幸を
想を象徴していると思えます。保守
生きてきました。日本の文化の基軸
とが最も大切だという信念で、私は
念に囚われない自由な視点を貫くこ
世塵に曇らない目を保ち、既成概
な失敗が待っているでしょう。
政治家に導かれて行く先には、大き
ものです。大衆に迎合し、質の低い
日本の政治家の質の低下はひどい
だと思うのです。
ました。
歴史は大きな誤りを多くし、
弱い大衆に歴史を任せる危険を知っ
イートン校は、イギリスの保守思
究極的には人間の存在を危うくしか
ているからです。しかし誤解しては
とするヨーロッパの考え方、文化の
いものでもなく、イギリスをはじめ
この考え方は特異なものでも新し
想 は 大 衆 を 大 切 に し て い る の で す。
いけないのです。イギリスの保守思
えてきました。
日本の低俗化は進むばかりだとも考
に、そのような思想を育てなければ
丸橋歯科が辿ってきた治療の質の
大多数の大衆に、人間の過ちからく
向上も、
全人歯科医学の構築も全て、
る不幸をもたらさないために、エリ
への信頼は失われ、患者さんも歯科
医も苦しむ結果になるばかりなので
す。なぜこんな簡単な問題が改善さ
れないのでしょうか。やはりイギリ
スの保守思想が教える如く、無条件
に人間を許し、信じるのは間違いな
のだとしか考えられません。
せめて客観的な広い情報から
世界を歩いてみると、島国の
日本人が得る情報はかなり狭い
ものだと感じます。中東で、十
字 軍 以 来 続 い て き た 宗 教 対 立、
文明の衝突は今も続いています
が、日本人はその現実も本質も
知り得ません。日本に入って来
る情報は、ユダヤ系大資本のマ
スコミ配信のものが多く、曲げ
られたものになっています。せ
めて世界に支局をもつ全国紙や
放送局の情報を利用する必要が
あることを痛感します。地方紙
に頼れば、それだけ世界が狭く
なります。日本の民放の低劣さ
も世界に例を見ず、やはり世界
を歩いて見ることは大切です。
今年は良い歯の会の三十五周
年。記念事業を盛大に成功させ、
現状を切り開く力にしてゆきた
いと思います。歯科医療と健康
教室の明日のために是非お力を
お貸し下さい。
大塚
ート教育に力を入れ、安定した国を
科医学の構築も、ただの常識にしか
略歴
るほどだと聞きました。騒ぐ生徒が
と私語も消え、時計の音さえ聞こえ
イギリスの教室では、先生が来る
どひどい状況です。その結果、歯科
治療など、人間に絶望したくなるほ
ある咬み合わせや、それに絡む矯正
然です。まして非常に難しい治療で
なくムシバが再発してしまうのは当
平成
平成
著書
年
真田町教育長
信州大学教育学部卒業
長野県生まれ
教育委員長退任
上田市教育委員長
年
年
年
文部科学大臣表彰
教育・食育アドバイザー
年 「瑞宝双光章」受賞
現、
年
貢氏
周年特別招待演者紹介
過ぎないのです。私の実感ではそう
昭和
貫き通した私の目と視点の結果だと
なのです。日本の歯科医療で常識の
平成
昭和
思っています。私の視点から見れば、
ように行われている粗末な治療こそ、
維持しようとしているのです。大衆
ューイの影響下にあります。子供が
私には非常識、非人間的としか受け
現在の私たちの治療の質も、全人歯
太陽のように中心に在るべきで、大
の弱点をよく知り、その欠陥を防ぐ
をすることを求めている、それがイ
人や社会は子供を衛星のように取り
止められないのです。
知恵を大切にしているのが、保守思
ギリスの文化の骨格になっていると
囲み、子供の自由を奔放に生かすべ
の中で、根管治療がきちんとしてあ
イートンカレッジはイギリスの超
感じられます。
きだとするのが、デューイの思想で
エリート大学です。東大などより狭
教室、食堂、図書館など、全ての
す。その結果、アメリカの教室では
る症例は一例も無いといってよい現
リカの一流大学の様子は全く違いま
い れ ば、 家 庭 教 育 の 責 任 を 問 わ れ、
アメリカの教育観は、教育学者デ
部屋は中世を思わせる作りで、机も
状です。インレーやクラウンも歯と
想の真髄でしょう。
昔から伝わっている木製です。それ
授業中にスマホやゲームに熱中する
の適合が粗悪で、隙間が認められる
が政治をはじめ、各界で指導的働き
がきれいに磨かれ、校内にはゴミ一
学 生 も 多 く、 銃 撃 も 時 々 起 り ま す。
す。ラフな服装で、
お行儀悪く座り、
親に引き取らせるのです。
要するに、
ようなものばかりで、これでは間も
歩きながらファーストフードを食べ
平成
つ見られません。礼拝堂には壮大な
日本の教育もアメリカの影響下にあ
ています。
シャツにネクタイです。対してアメ
初診の患者さんを百人診れば、そ
伝 統 に 輝 く パ イ プ オ ル ガ ン が あ り、
ります。
き門で、このような大学を出た人材
イートン校のエリート教
育とイギリスの保守思想
基本なのです。
自由な視点に導かれて行く
ねないと危惧しています。
新しい世界観も生れることは決して
「良い歯の会」主宰
よく見える目を持ち
自由な視点を貫く
大方の人びとは、時流に左右され
て物を考えます。その目に映る光景
は、
時流によって作られたものです。
自己の外なるものに依って見たり考
えたりし、目先の猥雑な利害や人間
す。そこには固有のその人は見られ
関係によって、生きる人間、それを
巌に降り立つ ガイア
小さな 営みが 生む
偉大なる 母
(仁志)
私は大衆、又は通俗と定義していま
無機から 有機へ
繰り返す 光年の 輪廻
自然治癒の システム
ないのです。
医・農・智
い
発行
丸橋歯科「良い歯の会」
広がる 小宇宙
こころの奥に 聞こえる
自然治癒の システム
母なる力 いのちの力
写真:イートン校の中庭を燕尾服を
着て歩く学生
学生たちは燕尾服様の制服に真白な
35
1918 9 3511
21
第35号
「良い歯の会」機関紙
35周年記念号
い の ち
平成27年7月1日
⑴
年代から昭和
年代くらい
安保徹
一方、今の日本社会では、子供も
新潟大学名誉教授
これからの医療と御祝
昭和
ん で 原 因 判 明。 同 い 年 の 医 師 か ら
か ら 治 そ う と し て 苦 し ん で い ま す。
のではなく、鈴木さんみたいにまだ
定年後にじっくり歯を治そうとする
再 発 し ま す よ 」 と 警 告 さ れ ま し た。
「 大 変 で し た ね。 こ の ま ま だ と ま た
祝!
周年「良い歯の会」
歳)
ジした自分の歯が虫歯になってしま
株式会社アイホー炊飯総合研究所
取締役研究所長
平田孝一(
った時から、もうインプラントしか
バリバリの現役にうちにしっかり治
周年おめでとうございます。
ないと考えていました。ちょうどそ
実はその医師も同じ状況で、「我々の
今、還暦を過ぎて、多くの友人が
「良い歯の会」にはじめて参加させ
の時、丸橋先生の本に巡りあい、丸
しておくことです」と。
死んじゃいますよね。何かを変えな
歯槽膿漏等で歯を失い元気を無くし
て い た だ き、 私 も イ ン プ ラ ン ト 治 療
よ う に 仕 事 に 追 わ れ 続 け て い る と、
いと」と言われ、帰り際にスポーツ
ています。それに比べ何ら変わりな
のサイクルや生活習慣は簡単には変え
謝 申 し 上 げ ま す。「 良 い 歯 の 会 」 の
歯科のスタッフ皆さんのおかげと感
は丸橋先生をはじめとする丸橋全人
歯科の領域でも、このような全身
ます。何よりも歯の痛みに悩まされ
れるようになっていたからだと思い
歯が自分の超健康歯に感じるまでに
ン プ ラ ン ト を 入 れ て か ら 数 年、 人 工
く、人間として生きてゆく限り歯を
西洋医学的な局所だけの治療ではな
つの漢字に象徴される、人体と食
“ 医・ 農・ 智 ” の
大 事 に す る た め、
朝晩は少なくとも歯磨きしてきた
く噛んで食べられることがなんて幸
体が健康であってこそ人様の役に立
想に感銘を受けました。また、歯と
と知識の調和が大切であるという思
れ、食べるために歯が必要であるの
体作りのための栄養を口から取り入
は総入れ歯になると思うと、人間の
と入れ歯の繰り返しでした。最後に
のだよと教えてくれる人間道場であ
し、正常な精神を養うことにもなる
食べ物を選ぶことは体全体を健康に
ま ず 栄 養 を 取 る こ と だ よ、 そ し て、
康 に、 人 生 が 終 わ る ま で 保 つ に は、
健康には歯が大事だよ、その歯を健
体 験 者 と し て、「 良 い 歯 の 会 」 は、
つことが出来ると実感しました。
に、しっかり噛めないのではと思う
本と抜かれて、差し歯
と、滅入っていました。虫歯を治療
ると感じています。
歳)
してブリッジにし、さらに、ブリッ
き、1本、
のに、虫歯と歯槽膿漏で歯医者に行
せなことかと体感で思ったからです。
う の も、 何 を 食 べ て も バ リ バ リ と 良
数 か 月 も か か り ま せ ん で し た。 と 言
橋 全 人 歯 科 の 患 者 に 対 す る 対 応 と、
教室に即入会しました。 入会しても
ら れ ま せ ん。 当 初 の 歩 み は 遅 々 と し て
をたばねるシステムの理解は大切で
本のイ
を丸橋全人歯科様に安心しておまか
がちです。副交感神経が過剰に優位
い ま し た が、 続 け る に し た が い 泳 力 や
ずい分日本人を元気にしてくれまし
ることはありませんでしたから。
せ し よ う と 決 心 し ま し た。
く働き、またスポーツを楽しめるの
な生き方です。筋肉や骨の丈夫さが
たが、最近では頭打ちや停滞の分野
しょう。無理が続くと、顆粒球増多
歳になったばかりのころに、良い歯
代
になり、結局インプラントにしまし
チーム医療に恵まれて
根岸節子(群馬県
を院長先生と技工士の方と綿密に検
主婦
討しながら咬合調整をして治してい
歳)
親も子も予防医学の知識などなく
山道を歩いてバスに乗って、治療
ただいたこと。造骨手術をして何本
か近くでは手に入らなかった無農薬
人の妹の母親代わりの私には、通院
はちょこっとでまた次回に
は 六 時 間 位 ) 治 療 を し て い た だ き、
歯が痛くても“置き薬”を飲んで、
有機野菜を始めとする食材も、今で
とてもありがたかったです。治療前
食べることが精一杯の子ども時代。
時代の流れと共に変化する現代社
は、価値観の多様化の影響もあるか
就職してからは、早めの受診を心
は人と会って話すことは避けたかっ
てからその後、家族や義母、母がお
会の影響でさまざまな症状に悩む患
もしれませんが、“こだわりのある商
掛けましたが、詰め物はすぐとれて
たのに、今は相談の仕事にも関わら
世話になっております。皆歯のこと
者さんの方々の手記を読んでいる
品”としてスーパー等でも手に入り
また詰めてのくり返しで、抜髄、抜
せてもらっています。
「 良 い 歯 の 会 」 三 十 五 周 年、 お め
と、「良い歯の会」で問われてきたよ
やすくなってきたような気がします。
歯。ブリッジは我慢できず、帰りの
でとうございます。毎年発行される
うに、謙虚に真実を見つめていこう
主婦としては必要な時にすぐ手に入
車に乗ると外さずにいられませんで
ものインプラントをしていただいた
という認識をもてるかどうかが大事
るお店が近くに沢山あるかどうかは
のに、処方された痛み止めを使わず
なことなのかなと思います。少しで
大切なことですし、また、一つの選
我慢できないほどになってから受診
も認識に変化があって実際に生活に
した。顎関節は音がして開口困難に
するのは珍しくありませんでした。
変化があると、お口の中はもちろん
択としていつも身近にあることはこ
なり、総入れ歯は時間の問題と覚悟
で特に悩んだ事はなく、毎日元気に
身体の方にも良い方向への変化がお
のような食材を必要とする方々の輪
していました。
暮らしております。十年前はなかな
き、沢山の患者さんの方々がその経
を少しずつでも広げていくのに大事
まいます。病気の成り立ちが見えて
くるでしょう。
年の重み
農文協プロダクション 代表取締役
企画プロデューサー
鈴木敏夫
長年の在宅介護の親を看取り、定
る純真な心や強さも育んでいただき
いただいただけでなく、物を見つめ
される方々が心も身体も食を通して
院内に飾られた野の花にも、病ん
ました。
認識の変化とともに、少しずつでも
でいる多くの人が癒やされているこ
てもらって、全人歯科の受診実現
年退職を機会に、主人に背中を押し
タッフの方々に、歯や体を蘇らせて
して治療に臨んでくださっているス
様々な困難の中、患者の利益に徹
私に時間があれば長時間(長い時
き、喜び、感動の連続でした。
総合的で心の通った診療体制に驚
に済んだこと等々。
過に驚き、そしてまた毎日の生活が
な事だと思います。
。三
——
楽しいと手記で報告していらっしゃ
的ミトコンドリア系が抑制されてし
言われる業界で、徹夜での原稿書き
い ま し た。
「良い歯の会」で学んだ
はとても困難でした。
人生振り返って、ありがたいなと
代か
や編集作業は当たり前、いつも〆切
歳前に十二指
根だけになった酷い歯を申し訳な
ら胃炎に悩まされ、
元気になられますこと、お祈り申し
続出来ていること。さらに遡って
実際の生活に変化を起こしていくこ
とでしょう。私のように。
腸潰瘍を発症。この時は、繰り返さ
いほど丁寧な根管治療をしていただ
年前に丸橋先生に出会い、歯の治療
いたこと。開口が儘ならない顎関節
私を十年前に初診で診てくださっ
あげます。また、先生方々の御活躍
とは大切なことなのですね。
もあわせてお祈り申し上げます。
れるお腹の鈍痛に耐え抜き、仕事が
40
これからも「良い歯の会」に参加
りに追われていました。当然
は 必 ず 手 に 取 り 拝 読 し て い ま し た。
主婦
9
年後、仕事
医療の恩恵を皆んなが受けることも
発達しなかったり、維持できなくな
すばらしさは、年を積み重ねてよう
定期的に通い始めたのは
ままならぬ時代でした。
それゆえに、
走 力 も つ き、 痩 せ た 体 も 恥 ず か し く な
やくわかるものなのですね。
大人も老人も、不活発で飽食になり
工夫すれば明るい未来があると思い
って、日常生活がストレスになりま
い程度まで筋肉がつきました。
前 ま で の 日 本 は ま だ ま だ 貧 し く て、
がんばって進む時代でもありまし
す。これもつらい生きざまで、病気
た。
も多くなりました。特に、医療の分
により、
歯周病やがんを誘発します。
の会に参加して食生活を学び、
その前提として、しっかり食べら
野では専門化が進み、からだ全体の
不活発や飽食は、歯や顎が丈夫にな
半ばに治療が不完全で悩まされてい
につながります。
仕組みや患者の不安を適確に判断で
りません。食事の乱れも大いに問題
た奥歯の根管治療をしていただきま
そ の 後 の 色 々 な 分 野 で の 発 展 は、
きる力はむしろ低下しているように
です。
東北大学同窓の丸橋賢先生は、上
た。
年後にその歯が割れてダメ
私 は、 か ら だ の 仕 組 み や 病 気 の 成
記した私の考え方と多くの共通点を
も思われます。
35
「 い の ち 」 が 楽 し み で、 健 診 の 際 に
高草木文乃(群馬県
「良い歯の会」 周年おめでとうございます。
からは「多くの人が、体力が落ちて
代半ばのその時に、丸橋先生
持ち活動してきました。丸橋先生の
を持つというのは驚きです。これか
年の歴史
らの御発展も期待しています。いつ
「良い歯の会」の活動が
そ の キ ー ワ ー ド を 挙 げ る と「 自 律 神
35
年前か
までもお元気で。
経」
「体温」
「白血球」
「エネルギー生成」
です。
私達人間は、長い人生の間に、忙
しさや悩みを抱え込むことがありま
す。まじめで責任感の強い人、ある
いは感受性の高い人は、このような
時、必要以上にストレスを受けるこ
'11年全人歯科で良い歯の会について話をされ
る鈴木さん
ら水泳とランニングに取り組み、継
とになります。
交感神経が緊張して、
42
る、 と 思 い 研 究 を 続 け て き ま し た。
り 立 ち の 理 解 は、 全 身 を た ば ね る シ
した。
30
30
ステムを知ることによって可能にな
20
50
落ち着いた四ヶ月後に胃カメラを呑
20
「編集者は胃を壊して一人前」と
33
22
とケアを怠らなかったことです。
!!
低体温になり、顆粒球がふえ、好気
74
68
40
思うことが二つあります。
'04年9月 高崎講演「全人医学と免疫
力」会場控室にて談笑される安保先生
3
2
35
35
2
20
35
⑵
第35号
い の ち
活動に寄せて
絶望から希望へ
育てていくことなのだということで
とを祈りたいと思います。
い歯の会の成長を見守ってくれるこ
ら始まります。海水浴中に息子の頭
でした。私の歯の苦労は
医にかかった事は一度もありません
く食べていました。
歳過ぎか
歳までは歯科
疎開先ではとても硬い炒り豆をよ
私はとても歯の丈夫な子供でした。
ま で、 た く さ ん の こ と を 会 で 学 び、
大切さ、心の持ち方と免疫力アップ
子や砂糖の怖さ、質の良い食生活の
行しようと努めました。スナック菓
識し、歯に良いことをできる限り実
い歯になったのか、原因と結果を認
の言葉に感銘を受けました。なぜ悪
程度にしか変わらない」という先生
良い歯の会にも出席し、「人は認識の
後にはうそのように消えていました。
られないと答えた時から、四面楚歌
狭い地域の中で、「よし」と受け入れ
ロ だ っ た。 生 き 方 の 不 器 用 な 私 は、
当時、心身ともに疲れ果て、ボロボ
丸橋全人歯科にたどり着いた。その
け ら れ、 新 聞 広 告 に あ っ た 本 か ら、
い。どうにもならない現実を突き付
てきた。あの恐怖は今も忘れられな
る。
り合う日々、第二の人生を歩んでい
今、私は口を大きく空け、笑い語
ことから、自分のこれまでの生活を
活習慣病である』等、受診時に学ぶ
し、『 歯 垢 だ け が 原 因 で は な い 』
『生
すということはされなかった。しか
決して私自身の生活を聞き出し、諭
動に移せるようになった。先生方は
完璧ではないが大切と知った事を行
の 時 間 を 持 つ、 小 松 菜 を 食 べ る 等、
自分を大切にする様になった。自分
た。また、「良い歯の会」のおかげで、
そして、今は仲間・友人も増えてき
気を頂き、乗り越えることができた。
後ろから見守って下さる視線に、勇
良い歯の会の活動を通して沢山の
ました。渡辺さんを偲びながら、良
忍者で、イランの方々に大いに受け
てもらいました。二人ともまるで女
れ、黒い兵児帯を半分に分けて作っ
ジャブというかぶり物が必要と言わ
年のイランへの最後の旅行の時、ヘ
飲み仲間でもありました。2007
きましたし、ワインを愛する楽しい
顔の彼女の可愛い面も知ることがで
第二の人生を歩む
渡辺さんとは海外への調査の時は
す。
にぶつかり、前歯が1本折れてしま
日々の生活で実行しています。丸橋
年余りの時間、『がん』の発病も加
の状況に陥った。考えてみるとこの
素晴らしい方々と触れ合うことがで
力された滝田吉一先生と山歩きをし
同室のパートナーのことが多く、素
いました。自覚はありませんでした
全人歯科という名前には、歯科治療
これから、頂いた健康を守りなが
きました。自然保護活動であれ、有
た時の写真です。自然や動物、そし
歳)
が、歯や歯茎の劣化が進行していた
だけでは限界がある、心と身体双方
ら、大層な事柄でなく、自分を活か
機農業や本物食品の普及活動であれ、
て我々にもとても優しい眼差しで見
女性(
的な歯の苦しみが始まりました。
生き方を支えて頂いた事だったと思
せるような高齢者になりたいと考え
自分が経験した素晴らしいことを周
つめられていた姿がとても印象的な
匿名
代からは歯を失うことに対する恐怖
の健康を追求してこそ良い歯が維持
う。まさしく全人的に大切にして下
ている。これまでの活動経験が役に
りの人々にも伝えたい、そのような
先生でした。先生の解説を聞きなが
歳)
と不安、近い将来、総入れ歯になる
2年後にはグラグラする歯はなく
できるのだという思想を感じます。
さる思想の基に、辻本先生方の徹底
立つのなら、若い人に伝えることに
純粋な気持ちを持った方々ですから、
須山賢三(神奈川県
のではという心配と絶望の気持ちで
年経っ
なりました。技術を要するインプラ
した、確かな治療への姿勢、最新技
も努力したい。また最近、以前から
人間味に溢れ、心根の優しい方々が
男性
いっぱいでした。友人と食事をして
ント治療も受けましたが、
術を導入される日々の研鑽、2~3
興味のあった歴史等、旅行にも出か
代になり、歯槽膿漏による本格
陥っていきました。
歯科治療を通し、最も大きな事は、
え、様々なことがあった。
年前のある朝、上の歯が落ち
も憂鬱で楽しくなどありません。歯
た今でも、先生の治療のおかげで歯
時間治療にかかっても、「電車に間に
け始めた。感謝の毎日である。
のだと思います。
に対して次第にあきらめの気持ちに
は安定し、とても調子が良く、自分
合いますか」と気遣ってくださる優
考える機会となった。
渡辺浅乃さんを偲び 周年に祈る
丸橋ファミリー歯科院長
青木博之
んが一つになって畑を支えている姿
多かったように思います。お話を伺
自然に感謝する気持ちが湧き上がり、
さ、偉大さを本当に堪能できるので、
ら山歩きをすると、自然の素晴らし
写真2は環境保全や緑化保全に尽
がとても印象的でした。
うことも楽しく、お知り合いになれ
です。私が勤めて2年目のことです。
橋歯科の研修旅行で訪れた時のもの
法を実践する須賀一男さんの畑を丸
たちより少し前の世代の知恵や経験
自然と深く関わって生きて来た、私
そのような経験が何度もありました。
身がとても幸せな存在に思えてくる、
不思議と自然に囲まれている自分自
たことをとても感謝しています。
年前に埼玉県で自然農
されました。それは自分自身にもい
写真1は
周年を迎える良い歯の会を、か
須賀さんは若い頃に病気がちだった
丸橋全人歯科理事 丸橋裕子
たくさんの素晴らしい方々と
の出会い
そんな時に丸橋先生の著書に出会
の歯で食べる幸せを実感しています。
しさ、
1本1本失っていくショック、
振り返り、生活の在り方をとことん
い、藁にも縋る思いで、高崎の丸橋
丸橋先生やスタッフの皆様のおかげ
夢が叶った幸せ
交互に一週間位痛みました。もうど
歳)
ニコッと笑った時に見えるきれい
うにもならなくなっていた頃、職場
保育園園長
に並んだ白い歯と、一週間にも渡る
の同僚が丸橋先生の本を貸してくれ、
つも向けられ、そのために苦しむ姿
生であればこの体を治して下さるか
12
しみと感慨をお話しました。それは
号の巻頭言は全人歯科玄関の
15
が今も忘れられない思い出です。
を揚げてご馳走していただいたこと
とりながら、目の前で野草の天ぷら
たものです。山歩きの途中で休憩を
を楽しく教えてくれる先生のお話は
つて良い歯の会の要となって支え生
も知れないと、すぐに予約をとりま
左 に あ る 記 念 碑 に 刻 ま れ て い ま す。
絶品この上なく、皆が先生の話がよ
私は、小学四年生の時に八重歯に
した。予約の日がとても待ち遠しく
渡辺さんとはたくさんの活動を共に
ということで、それが自然農法へと
もありました。
なるからと必要な歯を抜き、その後
思った事を今でも覚えています。当
良い歯の会に参加し、深くかかわっ
しましたが、いつも睡眠時間を削る
く聞こえるように競って近くを歩い
前 歯 の 中 心 が ず れ、 す き 間 も で き、
日丸橋先生は私の話と状態を見、「こ
て下さった方々にも共有の想いでし
程の全力投球でした。しかし、数々
導 か れ た 切 っ 掛 け だ っ た そ う で す。
歯をみせるのがはずかしく、思いき
れは噛み合わせを治せば治ります
た。彼女は大岡昇平や武田泰淳とい
の活動が無事成功裡に終わった時の
河原の土手で実際に堆肥作りをして
り 笑 う 事 が で き ま せ ん で し た。 又、
よ。
」と奥歯を削り咬み合わせを調
った戦後思想の読書会や、1976
充実感は苦労を乗り越えた者にのみ
ち
年齢と共に奥歯と前歯がムシ歯とな
整して下さいました。この時私の首
年も続けられた院内研
の
り、治療に行くのですが、良い歯科
は、自覚症状がないまま小刻みに震
年から毎年
与えられる喜びでした。これからの
写真1:須賀さんと
い
医に出会えず、奥歯に脱脂綿を詰め
えるといった事も起きておりました
修会での文学や哲学にも深く踏み込
良い歯の会を支え、さらに発展させ
いるところや、美味しい野菜の取れ
いのちの新聞2号から始まり、8
て被せ、年数が経つとその脱脂綿が
が、何とすぐに首の震えは治まりま
んだレポートなどから、人はどう生
ていく若い人たちに是非伝えたいこ
る畑などを見学させていただき、最
号 か ら は 毎 回 巻 頭 言「 医・ 農・ 智 」
腐り膿となり、ズンズン痛みがくる
した。この事を家族に話しても最初
きるべきなのかを学び、常に自分の
とは、良い歯の会の活動とは「かた
後にご自宅でみずみずしく甘い採れ
日の故人を偲ぶ会での挨拶
というものでした。今思うと本当に
は信じませんでした。丸橋全人歯科
生き方を持って人々に示していきま
ち」を受け継いでいくことではなく、
たて野菜を頂きました。ご家族皆さ
いてくれるだろうか。私は2008
恐ろしくなります。何軒か歯医者を
であれば私の体は治ると確信し、そ
した。その生き様は真実を求め、嘘
その活動への自分の願いを持ち、仲
年3月
変えたりしたのですが、仕事と義父
の 後、 悪 い 歯 は イ ン プ ラ ン ト に し、
を激しく嫌う、一本に貫かれた真実
間と共に力を合わせて「こころ」を
を執筆し、そのあふれる思いに心を
の介護や義母の看病があり、かなり
今はきれいに並んだ白い歯と何でも
への道のようでした。裏表のある態
で、渡辺さんの死によって良い歯の
無 理 を し て き た 為 全 身 に 痛 み が 出、
食べられる丈夫な歯。丸橋全人歯科
度や好い加減なやり方は厳しく拒否
打たれた方も多かったと思います。
夜はその痛みで眠れず、体はコチコ
のおかげで夢が叶いました。本当に
会の一つの時代が終わったという悲
チに固まった様な状態となってしま
ありがとうございました。
19
第
い ま し た。 こ の 時 も 歯 の 痛 み が 出、
夢中で読みました。そして、この先
10
き抜いた渡辺浅乃さんはどこで見て
26
50
左 右 の 奥 歯 と 前 歯 が 一 ヶ 月 に 一 度、
は、若い頃からの夢でした。
35
10
35
30
20
ズンズンとした歯の痛みからの解放
清水啓子(茨城県
と深く感謝しています。
ハーフェズの霊廟にて
歯科クリニックを受診、あれほどズ
60
キズキと痛かった歯の痛みが、治療
72
20
68
40
イラン
写真2:滝田先生と
い の ち
平成27年7月1日
⑶
「良い歯の会」35年の
広い視野で
探求し続ける 健 康
自 然・ 環 境 保 護 に
対する活動
える運動体としての良い歯の会の第
一歩が記されています。宮脇昭先生
を 招 い て 特 別 講 演 会「 生 存 の 条 件 」
が多くの参加者を得て、群馬音楽セ
ンターで開催されたのです。宮脇先
研究・実績を上げ
てきた食事指導
名、そして瞬く間に連雀
第一回が開催されました。その時の
求の方向性、その力の総和が社会全
かかわらず、個人個人の考え方や欲
ら影響を受けます。本質的な善悪に
ている限り、必然的に周囲の環境か
あるべき植物が消えることは、人間
れ、生産者であり生物社会の主役で
よって植物の生態系があっけなく崩
究しました。そして、開発や公害に
くの国々を歩き、植物の生態系を研
とだけに集中し、治療する傾向があ
では未だに物体としての歯を治すこ
れ、生命活動を営んでいます。歯科
我々の体は日々食べるもので作ら
名
体の流れとなり、結果として自然環
の存在を脅かすものであることを警
年間かけて日本や北半球の多
町診療所の研修室が満員となる
境を破壊し、そこで生活を営む我々
告しています。多くの研究調査から、
生は
を超える出席者を数えるようになり
の健康を害することは残念ながら多
自然が豊かであった古代メソポタミ
我々は、社会の一員として生存し
年7月
くみられます。
良い歯の会発足当時、
ア文明やエジプト文明が、緑の盛衰
年7月に
ました。そして今年、平成
虫歯や歯周病をどんなに的確に治療
と一致して滅んでいったとする考え
「良い歯の会」は昭和
には、毎月一回の定例の「良い歯の
しても再発を繰り返し、快方に向か
は、自然と人間との共存の大切さを
でも参加者の心を捉え、深い気付き
年間一度も途絶えることなく、今
0 人 を 超 え る ほ ど に な っ て い ま す。
出席者は
会」が409回目を迎え、外部の講
わない難病ともいえる多くの例を診
参加者の心に刻み付けました。
を与え続ける「良い歯の会」は、歯
年の歴史を振り
科では全く類を見ない健康教室とな
っています。
「良い歯の会」
返る時、忘れてはならないのが今は
亡 き 渡 辺 浅 乃 さ ん の 存 在 で す。
「良
い歯の会」創設から、毎回の講演・
試食の準備、
対外講演や啓蒙活動等、
丸橋先生とともに「良い歯の会」を
築き上げてきました。その渡辺さん
が「いのち」の第一号で次のように
記 載 し て い ま す。
「 私 達 は 毎 日、 歯
槽膿漏やムシ歯に対して、治療やブ
ラッシング指導など一生懸命行って
きました。しかし、徹底的に治療を
してもこれ以上回復しないという歯
槽膿漏や、ムシ歯のように治療―再
発―治療というくり返しの状態を見
ていると、口の中の治療だけでは本
当の健康は得られないと思うように
な り ま し た。
」病気の原因を口の中
だけに求める医療の限界を強く感
じ、「良い歯の会」が最初の小さな一
歩を踏み出したことがうかがえます。
熱意をもって着実に活動を続けた結
果、2006年には文部科学省や厚
生労働省が後援する「地域に根ざし
た食育コンクール」において特別賞
ことが、その後の丸橋歯科の治療や
蒙活動です。この時自然から学んだ
が、自然保護・環境改善に対する啓
良い歯の会が初期の頃取り組んだの
始 め ま す。 こ う い っ た 考 え の も と、
乗り越えるべく、良い歯の会は歩み
変えてゆく、この絶望的に高い壁を
疑いもなく横たわる世の中の本流を
しの思想」となってゆきます。何の
す。この考えが丸橋先生の著書、「癒
ければならないという結論に至りま
社会や自然をそっくり癒してゆかな
病を真に治すためには、
我々を含め、
我 々 自 身 が 作 り 出 し た も の で あ り、
す。そうであるならば、難病は実は
した荒廃である」と記載されていま
たことの影響が人間の心身にもたら
の結果として食品や食生活が混乱し
漏は「社会が病み、自然が病み、そ
の2号に、異様に多い虫歯や歯槽膿
う強い疑問を抱きました。
「いのち」
根本的に治らないのではないかとい
既存の社会や文化という巨大な壁を
た め、 多 く の 人 た ち の 力 を 結 集 し、
い“いのち”の健康を実現してゆく
のような状況の中で、かけがえのな
「 自 然 と 命 を 守 る 県 民 会 議 」 は、 こ
ます。良い歯の会が事務局を務めた
水や空気や土を瀕死の状態にしてい
本 か ら 病 ん で お り、 自 然 を 破 壊 し、
ち人間が作ってきた社会や文化は根
化学物質であると訴えました。私た
環境を汚染し、人間の健康を脅かす
散布は無効であり、さらに殺虫剤は
く、環境悪化が松を枯らすため空中
は、松くい虫が松を枯らすのではな
た。当時全国的に認められた松枯れ
市民生協」他
の会」
、「高崎自然に親しむ会」、「高崎
を契機に、これに反対する「良い歯
殺虫剤の空中散布計画を発表したの
音山への松くい虫防除のため、市が
県民会議」の結成です。高崎市の観
点で意義深いのが、「自然と命を守る
自然環境を守る活動の輪を広げた
( 写 真 2) は、 化 学 肥 料 で 痩 せ た 土
っても、堆肥で肥えた土に育つニラ
が掲載されています。同じ環境であ
患者さんによくお伝えするニラの話
のち
必然の流れであったと言えます。い
着 し て、 枯 れ て し ま っ た( 写 真 3)
ラムシが真っ黒になるほど多量に付
のに対し、後者で育ったニラはアブ
アブラムシもほとんど寄り付かない
に育つニラより立派で色合いがよく、
号に丸橋先生が良い歯の会で
良い歯の会に大きな影響を与えてい
壊し、変えてゆこうとするものでし
肥えていれば、環境条件の良い痩せ
た土地の京菜より大きく育ち、枯れ
も生じないということから、環境よ
りも、栄養(土の肥沃さ)が重要な
条件であることを見いだしていま
さて、歯周病治療は、書物による
す。
研究と何千人という膨大な数の患者
さんへの食事問診の結果、歯周病の
方とそうでない方の食事には特徴が
あ る こ と が 分 か り ま し た。 そ し て、
歯周病は歯周病でない方の食事パタ
ーンにしてやると治癒に向かうこと
を発見しました。つまり、歯周病に
な る 方 は、 カ ロ リ ー、 タ ン パ ク 質、
脂 肪( 特 に 動 物 性 タ ン パ ク、 脂 肪 )
が突出し、生命活動に大切なビタミ
ン、ミネラル類、食物繊維が極端に
不足しているのに対し、歯周病でな
い 方 は 逆 に、 ビ タ ミ ン、 ミ ネ ラ ル、
食物繊維の摂取が突出して多く(写
真 4)、 こ の パ タ ー ン に な る よ う 食
事の指導を行ったのです。その結果、
多 く の 方 が 歯 周 病 を 克 服 し ま し た。
歯周病にならない食の要点は未精白
穀物、大豆・大豆製品、小魚、ごま、
緑黄色野菜、海草を毎日食べるとい
うもので、良い歯の会での指導の基
本となっています。
栄養のバランスだけでなく、化学
物質が健康に及ぼす影響も配慮する
ことが大切です。松枯れ問題での殺
虫剤散布への反対運動の他、ハマチ
の養殖場への調査や近代養鶏場や養
豚場の記事掲載など我々の食卓がい
かに危険な食材で成り立っているの
か気付きを与えました。運動不足で、
大量に飼育・養殖するために多量の
抗生物質やビタミン剤等で薬漬けに
された鶏やハマチ、豚が我々の口に
日野厚先生(医学博士)他多数の講
会への提言をテーマに宮脇昭先生や
通しが悪いという悪条件でも、土が
京菜を育てる過程で、日照時間や風
菌を連想させる出来事です。さらに、
というものです。歯周病での歯と細
始めたという結果は衝撃的でした
食べさせると、マウスの骨も曲がり
曲りハマチをミンチにしてマウスに
を鳴らしています。背の曲がった背
入る事、経済至上主義社会への警鐘
師 を 招 き、 何 度 も 講 演 会 を 主 催 し、
会議」は自然保護、既存の文化、社
た。その後も「自然と命を守る県民
先生が待ち望んでいた会の発足でし
集まれば変えてゆける。当時の丸橋
るという共通の理想を持った人々が
でも、健全な“いのち”の明日を創
た。一人の力では到底できないこと
の団体が結集しまし
ます。
(写真1)
と い う 丸 橋 先 生 の 考 え か ら す る と、
の秩序は、当然人間にも当てはまる
き生きとした草花が育つという自然
法を編み出しました。良い土には生
る治癒する力を高め、治療を行う方
善することで、人間が本来持ってい
い歯周病に対し、体の栄養状態を改
では歯科の技術を駆使しても治らな
ん。良い歯の会発足当時、丸橋歯科
が単独で存在するわけではありませ
りますが、歯や歯を支える骨、歯茎
演も含めると、出席者は6万500
るうちに、口の中だけ治療をしても
32
積極的な活動を行いました。
(写真5)。
着しています。
良い歯の会の試食の定番となり、定
る 栄 養 バ ラ ン ス 満 点 の 食 べ 物 で す。
使い、大豆タンパクの味噌で仕上げ
げずに食べ、季節の野菜をたくさん
をダシとして用い、そのまま引き揚
(写真6)。煮干し、昆布、干し椎茸
に「具だくさん味噌汁」があります
が薦める理想の献立の代表的なもの
食の研究を重ねてきた良い歯の会
への指導へと活かされました。
ることを実感し、その後の患者さん
て支えられた精神の安定が必要であ
適度に汗を流して働き、信仰によっ
全 な 空 気 や 水 そ し て 理 想 の 食 生 活、
いました。健康であるためには、安
なく、健康そのものの肌の艶をして
す。どちらで暮らす方にも歯周病は
に」という考えで食生活をしていま
食品を一切取らず「できるだけ自然
同じです。赤城山学園では、動物性
多く当院で推奨する食事内容とほぼ
等を毎日食べ、海草、小魚の料理も
タンパクの煮豆、豆腐、納豆油揚げ
農場の有精卵を週2回程度、植物性
は肉が少量、魚が週2~3回、卵が
が中心で毎食必ず食べ、動物性食品
主食が五分つき米、副食は野菜料理
農場で作られた安全なものを中心に
仁自然農場で暮らす方の食事は自然
城山学園で調査を行っています。大
るため、MOAの大仁自然農場と赤
をしているのかを知り、理解を深め
健康な人々はどのような食と生活
経済至上主義が生んだ背曲りハマチ。
食の安全について深く考えさせられた。
当院で推奨するバランス食
「具だくさん味噌汁」
堆肥で肥えた土に育つニラ。
痩せた土に化学肥料で育つニラ。
歯周病にならない方の食事パターン。
11
写真5
写真6
を受賞しました。その時の渡辺さん
年の活動
の嬉しそうな笑顔が今も思い出され
ます。
今回は、「良い歯の会」
境保護」
「食」
「 子 育 て・ 生 き 方 」
「退
化病の提唱」
「海外調査」
「世の中へ
「 い の ち 」 第 一 号 に、 世 の 中 を 変
写真2
写真3
18
40
の提言活動」の6つの項目に分けて
故滝田吉一先生に学ぶスタッフ。先
生には自然やいのちの営みについて
目を見開かされた。
35
を、健康の探求をテーマに、「自然環
35
写真4
56
27
19
ご紹介したいと思います。
写真1
35
⑷
第35号
い の ち
「良い歯の会」35年の活動
の歴史をふり返る
育にも当てはまることが明らかとな
りました。また、学校給食には自校
退化病の提唱
せいぜい数百年間の変化で、今まで
の生物の歴史にはなかった速さです。
牛の血液、肉等、何十万年もの間に
体に適合した食べ物で、日本人とは
食事内容が異なりますが、歯磨きを
十分しないのに歯周病の人がほとん
育の機会を窺っています。マサイ族
丸橋先生は、あらゆるところで教
「こういう所に来たら食べてみて。
」
で、健康状態もよく、姿勢の乱れも
間も過ごせば倒れそうな過酷な環境
出し、直立しています。我々が一時
んでいるようで臼歯の歯冠は十分萌
U字型です。また、硬い物をよく噛
るだけ多くの方に知っていただくた
会では、今までの活動、理念をでき
を行ってきました。さらに良い歯の
と丸橋先生は常々考え、本の出版等
真実を提言し続ける運動体である」
を し て 健 康 に 暮 ら し て ゆ く た め に、
「良い歯の会は人々が正しい選択
広く世の中への
提言活動
の調査からの帰路、立ち寄ったオラ
ありませんでした。日本人と同じモ
め、講師の先生をお招きして講演会
海外調査から
日本人を考える
をすることです。体外消化が著しい
ンダの街角での出来事が今も思い出
ンゴロイドであるモンゴル人の調査
を開催してきました。免疫学の世界
あまりに急激な変化で、身体がつい
現代の、流し込むようにして食べる
されます。日本のファーストフード
も行いました。調査の目的は、文明
的な権威である安保徹先生には二度
てゆけず、病的な変化となっている
診をすると歯並びの良い子供たちが
食事が、顎をいっそう退化させる方
店のような店でサンドイッチを購入
が入り、加工された食品を食べる都
の講演を頂きました。ストレスや過
方式と給食センター方式があります
ほ と ん ど 見 ら れ な く な っ た の で す。
向に進めています。茂原先生の研究
して食べてみたのです。それは、未
市部のウランバートルの人と、昔な
労が続くと交感神経が緊張し、免疫
が、後者は味や加工食品の多用、衛
保育園の園児はカレーやコロッケ
に基づく考えは、「退化病」について
精白の硬いパンに、シンプルな味付
がらの自給自足生活を送る遊牧民に
子 育 て ・ 生 き 方、
精神と健康
患者さんが食生活を見直せば、治
などの柔らかい食事を好み、焼き魚
けの野菜やハム。パン生地に日本の
どのような違いがあるかを比較する
どなく、歯並びは、アーチが大きく
癒 力 が 向 上 し、 治 療 効 果 が 上 が り、
やとんかつなどは「かたい」と訴え
さ ら な る 確 信 を 与 え ま し た。( 写 真
ような砂糖の甘みは感じられません。
のです。顎の病的な退化を防ぐため
を理解する若者が増えてゆくことは、
そ の 後 の 健 康 も 大 き く 左 右 し ま す。
て 食 が 進 ま な い。 さ ら に そ の 親 も
9)
食べると素直に体に一体化してゆき、
生面等で問題があり、学校給食とい
社会を変えてゆく上でも大切なこと
しかしながら、他人の食生活や考え
「子供の好きなものだけを食べさせ
と闘う」と題して、丸橋先生自身の
力が低下すると同時に、血流が悪く
ることに問題提起しています。
ます。お金を渡せば十分と考える親
最近ではお弁当を作る親が減ってい
す れ ば 栄 養 バ ラ ン ス も 良 好 で す が、
等の有害な化学物質を減らし、配慮
また、手作りのお弁当は、添加物
「夜と霧」を引用しながらいのち
ことをV・Eフランクル博士の著書
神の持ち方が人間の健康を左右する
習慣を変えていきました。また、精
が自ら生き方を変え、食を含む生活
し、そこに発見があって、多くの方
研究所所長の茂原信生先生の言葉を
退化について、元京都大学霊長類
常 に 良 い 歯 列 を し て い た こ と か ら、
等の調査で、そこに暮らす人々が非
自然農場や赤城山学園の食や歯並び
考えました。さらに、前述した大仁
こに示されています。いのち
号で
る・咬み合わせの改善の重要性がこ
改 善・ 適 度 の 運 動・ 前 向 き に 生 き
療の柱の原型となる栄養バランスの
退化病に打ち勝つために、全人医
うと、
精神的にも支障をきたします。
った歯列のように、咬み合わせが狂
崩壊しつつあることを繰り返し警告
とともに日本人の体や精神が急速に
然・文化・食が急速に変化し、それ
ち」では日本の近年、特に戦後の自
端 を 見 た よ う な 気 が し ま す。「 い の
わることなく定着している、その一
義があり、自然・文化・食などが変
は伝統を大切にする安定した保守主
は意義深く、食や環境について本質
が増えているのです。良い歯の会で
号や良い歯の会の中で講演してきま
要約してみます。生物にはある方向
は、最近の日本の若者に、身心の退
してきましたが、海外での文化や食
号では「心と体の退化病
は、 食 は 親 の 愛 情 そ の も の で あ り、
した。丸橋先生の医学観に多大な影
化が顕著に増加していることについ
とそこに住む人々を日本と見比べる
いのち
には適当に硬いものや繊維の多いも
です。良い歯の会は、子供の食、子
方を変えることは簡単ではありませ
て」と訴えるそうです。硬い食物を
体験を語っています。病弱だった体
なり低体温、低酸素状態に陥ります。
退化病の発想は多くの子供を観察
育てをテーマに活動の輪を広げまし
ん。
「生き方の発見に支えられない
食べていた縄文・古墳時代の歯並び
ことでした。遊牧民の歯並びや歯の
無酸素で働く解糖系が優位になる事、
することを契機に始まりました。検
た。添加物や農薬等の化学物質が原
食生活の改善は不可能である。食は
は過半数が正常であるという調査結
美味しい。特別な店を探すことなく、
放出状態はマサイ族と同様アーチが
これがガンの原因で、有酸素で働く
う巨大市場で、利権が優先され、本
因で、子供たちが安心して食べられ
号に
栄養学でも料理でもない。食は生き
どこでもこの味が手に入る。これが
大きくU字型で、臼歯の歯冠も十分
ミトコンドリア優位な状況を作り出
来あるべき給食を変えてしまってい
る本物の食材の入手が困難な現状
ざ ま な の で あ る。
」といのち
が食生活を一変することで疲れ知ら
オランダのスタンダードなんだと衝
萌出し、直立しており、咬合力も非
子供たちの歯や顎骨の良好な成長
を、「いのち」に掲載された多くの記
果から、良い歯の会では、咬まなく
ずの体になり、咬み合わせの調整や
号に
子供の健全な心身の発育に非常に大
響を与えた方で、先生にとって博士
に形の変化を始めるとその方向にど
て警告し、その原因について言及し
と、それは確信に変わります。そし
や問題点についても「いのち」で言
どれだけ強いか「夜と霧」は教えて
が弱気で不安状態にある人に比べて
人間がどれほど強いか、その免疫力
しかし、その過程にみられる病的な
に見て避けようのない現象です。
言われます。人の顎の退化は進化的
化の急速な浸透により身体がついて
年、特に最近の
退化が進行したことが分っていま
)日本人の食文化や体
の形態が急速に崩壊したのは戦後
す。
(写真
年で、アメリカ文
めるよう食事を工夫する等の生活が
健康に大切であることを示されまし
て、 ヨ ー ロ ッ パ で の 取 材 を 通 じ て、
が 乱 れ、 臼 歯 の 歯 冠 が 内 側 に 倒 れ、
方は日本の生活様式に近く、歯並び
安部司先生には「食の本当の豊かさ
た。(写真
良い歯の会では海外での大規模調
とが理解できました。ブータンでも
習慣が変わると人は簡単に変わるこ
を同時期に比較検討でき、運動や食
のような添加物がどれだけ使われて
やってつくられ、その「裏側」でど
た。毎日我々が口にする食品がどう
とは」と題して講演をいただきまし
)
「食品の裏側」の著者、
自然・文化・食が変わることなく守
萌出も不十分で、虫歯が見られまし
査も行ってきました。アフリカ、マ
いるのか。もはや食べ物とは言えな
聞く人に食について考える機会を与
調査を行っています。農村部のブム
えました。「奇跡のリンゴ」の著者、
サイ族の調査では、彼らの視力や運
ものの、顎の発達は良く、咬む力も
木村秋則氏の講演では、生命を謙虚
いような食品が氾濫している社会で、
強かったのですが、
都市部の若者は、
に観察することの大切さを学びまし
タンでの調査では、日本に比べ、歯
肉体労働の敬遠とタイやインドから
科医が極端に少ないため虫歯は多い
流入する食の変化により顎の形態や
て研究した結果を「究極の健康長寿食」
た。 家 森 幸 男 先 生 に は、 世 界 を 歩 い
) 食 事 内 容 は ミ ル ク、
咬む力において日本の若者と同じ傾
し、その内容は今も良い歯に参加す
活動を行ってゆくつもりです。
健康、食等広い視点で観察し、提言
今後も、良い歯の会は自然、環境
と題して講演頂きました。
る方々にお伝えしています。
基本を保守することの大切さを実感
運動や食等、昔ながらの生活習慣の
向を認めました。海外調査において、
動能力が驚異的であるのに驚きまし
た。( 写 真
で繰り返し伝えてきました。
られる中で、変わることのない命が
17
た。日本の戦前、戦後の経時的変化
16
守られることを実感し、良い歯の会
、
切 で あ る と 考 え、 こ れ を テ ー マ に、
んどん変化が進み、元に戻ることが
ています。徳川将軍の頭骨を比較す
及しています。当時、大分大学が登
くれます。そして、人生の意味を知
退化は避けることができるものです。
2009年東京講演での安保先生。
のため、食について理解を促すこと
事が読者に気づきを与え、現状に流
記されていますが、良い歯の会での
てすむ柔らかい食品の氾濫が顎の発
運動により、不快症状も完全に消え
撃を受けました。いのち
す生活、つまり体を温める、深呼吸
四周年記念講演会「食・親と子」
を、
との出会いは大きな喜びでした(写
できないという法則があります。退
ると、江戸時代初期の将軍は歯列も
校拒否や家庭内暴力などの子供に清
り、 自 分 の 内 発 的 目 的( 真 の 目 的 )
13
のを食べ、よく噛むという顎の運動
されることに警鐘を鳴らしています。
講演を聞き、考え、感じ取り、感銘
育を悪くし、歯列不正を増やしたと
たと記載されています。退化して狂
常 に 強 い と い う 結 果 で し た。( 写 真
多摩川動物公園園長であった中川志
真 8)
。 健 康 で あ る た め に は、 生 物
化しつつある我々の顎も元に戻るこ
涼飲料水などの砂糖を断ち、未精白
をもって生きることの大切さを良い
ゆけず、
退化病が生じているのです。
や有酸素運動をする、腸内免疫を高
掲載されていますが、ヨーロッパに
郎氏を招き開催しました。その反響
学的な存在である人間が食を変える
とはできないのかもしれません。
米、野菜を主体とした“健脳食”を
咬まないで食べられるアリを食べる
日本人がかつて有した文化の形や
モンゴル遊牧民
の歯列、顔貌。
)これに対し、ウランバートルの
は大変なもので、定員800名の会
ことはもちろん必要ですが、人間固
ヒトの顎の退化は、道具を使い、火
を使うという人類の特徴である「文
化」を持ったその時から始まったと
与えたところ、千五百例のうち約八
歯の会、
丸橋先生は説いてきました。
ア リ ク イ の 顎 の 退 化 は、 数 十 万 年、
歯も非常に良かったのですが、軟食
割が1~2か月で改善したという研
良い歯の会は参加する方が健全な
化とともに、代が進むごとに頭骨の
究を発表、これを知り、給食を変え
60
写真13
その考えが確信に変わります。
場が1000人の参加者であふれま
し た( 写 真 7)
。学校給食のあり方
有の精神活動が大きく影響する。つ
24
6代家宣に比べ14代家茂では、
下顎が細くなり、歯列不正がみ
られる。
質を取り戻すことも退化病に打ち勝
10
12
14
つために必要と言えます。
まり、前向きに生きる意志を持った
写真10
数百万年という時間をかけて生じた
茂原先生と丸橋先生、研究室にて。
12
来日したフランクル博士と丸橋先生。
のに対し、
我々の顎の退化は数十年、
写真9
写真12
10
いのちを手に入れるため、多大な貢
11
写真8
献をしてきたと言えます。
マサイ族の調査風景。
「食・親と子」の講演会。高崎市文化会
館大ホールが定員オーバーとなった。
た学校を取材した結果、当院の食事
写真11
写真7
指導とほぼ同じで、子供の健全な発
30
い の ち
平成27年7月1日
⑸
青木博之
抜かない治療をこころがけています
丸橋ファミリー歯科
院長
辻本仁志
可能性を秘めた全人歯科医療
丸橋全人歯科口腔外科部長
患者さんからの声
る力を引き出す工夫がなされていま
患者さんの心を和ませ、免疫力や治
来 ず に 過 ご し て き た 結 果、 五 十 代 半
歯痛や抜歯に閉口しながらも改善出
小学生の頃から歯科通院を繰返し、
心よりの感謝と、今後一層の御活躍
橋医院の先生方、スタッフの方々に
いた日々から救い出して下さった丸
自身の怠惰を責め、痛みに苦しんで
「爽やかな老後」
歳)
最近、新薬の治験の不正問題や過
す。世界の統合医療の第一人者、ア
ば の 頃 の 私 の 歯 は 殆 ど 無 く な っ て、
匿名(千葉県
剰な投薬、手術が問題となっている
ンドリューワイル博士が来日し、講
をお祈り申し上げます。
主婦
事例をよく見かけます。歯科でも不
演を行いましたが、食事や絵画、花
部分入歯とブリッジで支えられてい
療 室 に は 絵 画 や 野 の 草 花 が 飾 ら れ、
適切な治療が原因で短期間に再治療
ま し た。 右 顎 が 下 が り 人 相 も 悪 化、
高まりつつある統合医療への期待
を繰り返す例が多く見られ、健康保
を使って心のバランスを整えるとい
肩の歪みは肩こりも起こしていまし
うに回復します。写真②は治療後7
性ですが、不良な根管治療が原因で
険行政を圧迫する一因となっていま
う総合的な治療は統合医療でも行わ
た。 何 と か 改 善 し た い と 願 い、 図 書
「 根 管 治 療 」 は、 歯 科 治 療 の 中 で
非常に悲惨な状況になっていました。
す。もちろんこのようなことは患者
れている手法で、ワイル博士は日本
館 へ 行 く 息 子 に「 入 れ 歯 」 の 本 を 借
年が経過したものです。炎症の再発
くいといった特徴があります。これ
治療前写真(写真③)の中央に写る
さんの健康にとってもマイナスです。
丸 橋 歯 科 の 治 療 は、 歯 科 で の 統 合 医
食 を 好 み、 健 康 を 維 持 し て い ま す。
も基本中の基本と言えますが、完璧
は、たとえ根管治療に問題があった
歯根は、根の先端よりはるか深くま
一方で、日本の借金は年々増加して
は全くありません。
としても自覚症状が乏しいため患者
で歯槽骨が吸収し、完全に歯槽骨か
います。その増加の一つの大きな理
な治療を行うことが非常に難しい反
さん本人も治療の良し悪しが判断で
ら分離した状態でした。この歯根を
代の女
きないことが原因しています。経済
見ると、白く写る根管充填材が途中
【症例2】 患者さんはまだ
的な評価も十分とは言えず、単純な
面、良い治療を行っても評価されに
比較ではありますが学会の会員数な
り て 来 る 様 頼 み ま し た。 と こ ろ が 手
までしか入っておらず、先端部分の
せ っ か く な の で 拝 読 し ま し た 所、 多
に し た の が 辻 本 先 生 の「 イ ン プ ラ ン
くの症例の中にはまるで私の事では
療 の さ き が け と 言 え、 今 で も 体 系 的
当院で推奨する食事内容が健康に
無 い か と 思 え る 箇 所 も あ り、 焦 り ま
ト の 実 際 」 で し た。 こ の 治 療 が 良 い
とって欠かせないものであり、歯科
し た。 丁 寧 な 説 明 と 先 生 の 歯 科 医 療
に治療を行う唯一の医院であると言
が治ったと言えるでしょうか?歯周
での治療結果、長期の予後を安定的
の使命感や誠実さがヒシヒシと伝わ
す。超高齢社会となった日本は、医
病も根本的な原因に手を打たなけれ
に維持する鍵であることは、多くの
り「 先 生 に 助 け て 頂 く 他 は 無 い 」 と
ものだという事は聞いていましたが
ば、完治することはありません。統
治療例や文献、実例等からもはや疑
決 心 致 し ま し た。 あ の 日 自 分 で「 入
え ま す。 そ の 全 人 的 治 療 成 果 が 今 ま
合医療とは、人間の持つ自然治癒力
いの余地はありません。このような
れ歯」の本を借りていたらと思うと
療や介護に要する公費負担が年々増
どを見ると、インプラントなどと比
べて熱心な先生がかなり少ないこと
が分かります。
を最大限に生かしつつ、西洋医学の
食事を味わい、摂取するためには健
高 額 な の で 諦 め て お り ま し た。 で も
みに頼らず、東洋医学や整体、カイ
康な歯は欠かせません。また、歯は
偶然の不思議さに心打たれます。
で支持を受けてきた最大の理由です。
ロプラクティクなど、治療に効くと
体 の バ ラ ン ス を 整 え て お り、 咬 み 合
歯は健康の鍵
されるすべての分野を統合して医療
わせの不具合が多くの身体症状や自
加しているのです。高血圧や糖尿病
を行うものです。さらに、セルフコ
律 神 経 の 不 調 を 引 き 起 こ し、 心 の バ
などの慢性病を薬で制御して、病気
ントロールを重視し、食を中心とす
14,000人、日本歯内療法学会(根
《日本口腔インプラント学会会員数約
根管が真っ黒で、治療されずに放置
る生活習慣の改善により、病気を治
管治療学会)会員数約2,100人》
されているのが分かります。この部
が歯槽骨の中まで進行し、写真①の
きてしまったわけです。隣の歯も根
っていたため非常に大きな病巣がで
利益団体から強い圧力を受けますが、
このような取り組みは、当然既存の
気 の 真 の 原 因 に 対 処 す る も の で す。
すのみでなく、病を未然に防ぎ、病
の大きな鍵となっていると言えます。
れ て い ま す。 歯 は 健 康 に と っ て 一 つ
当院での治療でも多くの例で確認さ
究 結 果 か ら 明 ら か に な り つ つ あ り、
ランスまで狂わせることは多くの研
せられながら全てを信頼し、お任せ
神業とも思える高度の技術に圧倒さ
間が要ったのでしょう。辻本先生の
トの数も多かったのでこれだけの時
増骨手術が必要な事や、インプラン
約 四 年 間 通 い ま し た。 骨 が 吸 収 し、
歯科の理念を全うすべく同じように
険治療にて行っておりますが、丸橋
ァミリー歯科では根管治療は全て保
ってきました。私の勤務する丸橋フ
分な研修を受け、全力にて治療を行
し、丸橋歯科ではドクター全員が十
しかし、このような根管治療に対
全力にて取り組んでいます。
分の歯髄が腐敗し、細菌の温床とな
ように隣の歯根近くまで真っ黒な病
尖近くまで骨吸収が起きているため、
日本だけでなく、アメリカやイギリ
治 療 に は 一 ヶ 月 に 一 度 の 通 院 で、
を放置したために、最終的には炎症
【症例1】 歯髄が腐敗するまで虫歯
巣 が で き て い ま し た。 歯 茎 は 腫 れ、
2本の歯共に動揺が強く、抜歯直前
治 療 法 も 考 え ら れ る 状 態 で し た が、
抜歯をしてインプラント、という
ロジェクトチームを作り、真剣に検
止められず、日本政府も統合医療プ
患者さん本位の治療の流れはもはや
ス も 医 療 費 が 財 政 を 圧 迫 し て お り、
奇形や外傷の他、歯の治療にも非常
の 病 気 や 生 死 に か か わ る 緊 急 処 置、
働きません。西洋医学的手法は急性
歯を失えば、そこに自然治癒力は
歯を失った人の健康を取り戻す
年度の保険証使用は一回のみでした。
みが改善し、噛める食事のせいか昨
心身共、頗る快適です。顎や肩の歪
ちましたがインプラントのおかげで
出来たのは幸いでした。術後五年経
の状態でした。
治 療 を 施 せ ば 問 題 解 決 は 簡 単 で す。
代という年齢を考えるとあまりに
討を始めています。
症状は重篤でもきちんとした根管
膿が溢れ出ている状態でした。
歯根の先端までピッチリ充填材を封
も痛ましく、できるだけ歯を残すと
入することで歯周組織は見違えるよ
いうことで治療を行いました。
に有効で、つまりは、最先端の技術
良い歯の会は自然環境や食、子育
ったものは補うしかなく、歯を補い、
を極めることが不可欠です。無くな
私 は 五 十 歳 の 時、 右 奥 歯 が 痛 み、
ら、
私の苦悩の日々が始まりました。
麻酔は怖いからねと説明を受けてか
幸せな第二の人生
支持されてきた全人的歯科医療
が著しい歯根は取り除きました。残
てや生き方等健康の本質にかかわる
咬合を回復することで健康を取り戻
近所の歯科医院を受診しました。炎
す。
驚くような回復力を示しました。
必要と提唱し、実際の治療や指導に
養・精神のバランスを整えることが
してゆくためには、食事・咬合・休
短期での治療の予後と長期の治療の
の治癒力、細菌に打ち勝つ免疫力が
みが欠かせません。骨の再生力や傷
の予後については全人医学的取り組
搬送され、入院しました。先生から
れ、頻拍性不整脈になり、救急車で
るのに検査もなく、即麻酔を注射さ
症があっても良くなると、抜歯をす
用車で送って下さった大恩人は、近
長野県境の町から高崎まで私を自家
り、 丸 橋 歯 科 を 紹 介 し て く だ さ り、
私が、歯で長く苦しんでいたのを知
歳)
った歯根と隣の歯の弯曲した歯根を
テーマについて、多くの方々の力を
すためにインプラント治療がありま
歯根の1本は失ったものの、歯槽骨
取り入れ、実績を上げています。診
主婦
丁寧に根管治療し、連結してブリッ
す。一方で、造骨手術や治療の長期
が回復し、歯の動揺はなくなり、健
か月後の状態で
全な状態を取り戻しました。
写真④は治療後
借 り な が ら 研 究 を 重 ね て き ま し た。
治療後の口腔内。何でも噛め
る食事が可能になった。
その中で、患者さんを全人的に治療
金子とし(埼玉県
由が社会保障給付費の増加にありま
66
ジにて補綴処置を行いました。
歯を半分に分割し、歯槽骨の吸収
20
治療後。五年経過。姿勢や顔貌は 治療前。奥歯がなく、顔貌のゆが
改善したまま安定し、体調もよい。 みも認めた。肩こりや腰痛に悩ま
されていた。
86
20
写真③
20代女性。不充分
な治療で骨が大きく
溶けている ( 矢印 )
写真④
当院での治療後、
骨が大きく回復し
た。
11
写真①
歯髄が腐敗し、黒
い病巣が認められ
る。
写真②
当院での完全な根管
治療後。黒い病巣が
消えた。
⑹
第35号
い の ち
−35年の医療力−
全人的医療思想と
高度な技術が患者さんを救う
い の ち
平成27年7月1日
⑺
することによる患者さんの心の回復
安定を実現するからです。歯を回復
がっています。
科医療の可能性はまだまだ大きく広
も健康に大きく関わります。全人歯
我々を強固につなぐもの
し た。
「 一 度、 面 白 い か ら 丸 橋 の と
の伊藤秀美准教授(院長と同期)で
は、今は退官された東北大学歯学部
る中、親身に相談に乗ってくれたの
私が、大学卒業後の進路を模索す
技術と正しい健康観というビジョン
も意味がありません。
戦術と戦略です。
も 同 じ こ と で す。 理 想 ば か り 高 く て
実 現 す る か が も っ と も 大 切 で、 治 療
道 具 を 用 い て、 ど の よ う な ゴ ー ル を
研 鑽 し な け れ ば な り ま せ ん。 し か し
ます。無論医療技術は重要で、日々
亀井琢正
こ ろ へ 行 っ て み ろ。
」この言葉は今
が あ っ て は じ め て、 素 晴 ら し 成 果 が
指導医
でも忘れません。このアドバイスが
その根底にあ
なければ丸橋歯科の一員としてここ
健康観から生命観
得ることができると考えています。
術の押し付けとなり、思うような結
て行きます。この視点がないと、技
をイメージし、治療計画を考え進め
その人の適応力に応じた最終ゴール
歯周病や咬み合わせ治療においても、
は大変強力だと思います。たとえば
ありませんし、これを共有する集団
なら、治療した歯は中から腐敗して
でも妥協的な仕事が行われようもの
ている。このような状況の中、少し
うという非常に過酷な環境に置かれ
も上る咬合力で何百何千回と咬み合
リアに晒され、さらには体重ほどに
ルカリに曝露され、口腔内のバクテ
歯は、毎日、食事の度に温熱や酸ア
ただきました。治療を受ける前、懸
で受けて、二年で完璧な歯にしてい
た。治療も順調に進み、食事指導ま
てくださり、心身とも楽になりまし
すから体の力を抜いて」と声をかけ
院長先生が、「責任をもって治療しま
てくださりました。診療室に入ると、
も同じ苦しみを味わったからと慰め
くに住む美容院の黒岩さんです。私
ています。
重も体脂肪も平均的で元気に過ごし
食べても美味しく、便秘もなく、体
な歯に仕上げていただき、今は何を
的にも補完しあえる体制を整えてい
このような健康観を共有し、技術
患者さんに色々な意味で、より負担
ら も 新 し い 技 術 と 材 料 を 融 合 さ せ、
要とされる時代になります。これか
の健康観とそれに基づいた治療が必
り的なコンビニ医療ではなく、本物
健康長寿を実現するためには場当た
試みようとも、病因にメスを入れず
肉や骨を手術によって回復しようと
クに進行させてしまう。いくら、歯
態を悪くし、歯周病をドラマティッ
を低下させ、歯肉や歯槽骨の栄養状
煙などの習慣は、末梢の血流や免疫
低血圧など、全身的な病的素因や喫
ま た、 糖 尿 病 や 動 脈 硬 化、 貧 血、
の 空 気 は 暖 か く、 ほ っ と し ま し た。
な花瓶に野の花が生けてあり、室内
くぐった時は夢のようでした。大き
借り、妹と二人で丸橋歯科の玄関を
歯の治療を決心、黒岩さんの助けを
落ち着いてから、長年気にしていた
帰らぬ人となりました。主人の件が
命の看病も空しく、主人が脳梗塞で
本質を見たよう思います。
果が得られません。
ダメになる。
るのが丸橋歯科の歯科医療の強みだ
の少ない治療を提供し、本物の健康
今後の日本は世界が経験したこと
と思います。それは、ただ単に技術
二階の診療室であらゆる検査をして、
のない更なる高齢社会を経験します。
の足し算による結果とは全く異なっ
説明を受け、インプラント治療を受
けましたが何の痛みもありませんで
に歯肉にメスを入れても結果は自明
した。医学の進歩に感動し、先生方
観を提案していくことが我々の義務
歯 周 病 も 虫 歯 も、 文 明 病 で あ り、
の 真 剣 な 治 療 に 心 を 打 た れ ま し た。
た物が実現できるのです。この健康
生活習慣病である。ヒトは、遺伝子
主治医の海老沢先生を信頼しており
の理である。
的には昔も今もさほど変わっていな
ましたので、安心して通院し、完璧
と考えています。
いであろう。しかし、生活様式が大
観は一朝一夕に獲得できるものでは
歯科医療のあるべき姿
きく変わったのである。生物は種の
あ る が、 ヒ ト は そ こ に 文 化 を 築 き、
驚くほど楽になりました。薬を飲ま
海老澤博
嗜好が生まれ、種の存続以外にも生
なくても自分の力で治るのです。痺
丸橋全人歯科総合診療部長
も時間と手数がかかるが、医科に比
きる意味を見出そうとしてきた。生
私は四年前から丸橋全人歯科で咬
れ、肩こりもだんだん軽くなってい
生き続けるために
べて保険点数の評価は著しく低いの
合治療を受けています。治療前の状
存続が生命の唯一の大きなテーマで
歯科の治療は、実はやり直し治療
である。したがって、短時間でより
き方の多様化が、自然の摂理に背き、
態は、様々な身体症状の悪化、三十
歳)
の連続であることを多くのヒトは知
生物学的本質から大きく足を踏み外
匿名(長野県
らないだろう。ほんのわずかな歯の
多くの患者さんを診なければ、保険
したとき、環境は破壊されて荒廃し、
主婦
着色を、削っては詰め、そして外れ
診療主体の歯科医院運営は立ち行か
私も小さい頃は、虫やカエルやト
ないのである。このような正直者が
カゲなどを捕まえ、
タケノコを掘り、
ては詰めを繰り返し、さらに歯の崩
他県からの患者さんが押し寄せ、午
壊は続いていく。
後の「良い歯の会」ではまさに歯に
きました。
開していきたいと思う。
方にとって意義のある医療活動を展
全人的医療観である。今後も多くの
力を支えてきたものは、揺るぎない
他の歯科と一線を画す我々の医療
不可欠である。
なく、家族の深い理解と協力が必要
に着けるには、患者さん本人だけで
か成し得ない。正しい生活習慣を身
活習慣を正すのは患者さん本人にし
歯科医にしかできないが、一方で生
めに極めて重要である。歯の治療は
や質は、健全な肉体と精神を育むた
特に食事や運動、睡眠のバランス
ものが繋がった瞬間でした。頭痛も
るく広がっています。自分と周囲の
の左上の暗がりが消えて、視野が明
が違うことに気が付きました。視界
左目がすっきりして、目に映る景色
吸がピタリと止まりました。次の日、
まず、夕方になるとやってきた過呼
三回目の調整の後だったと思います。
した。症状が一気に改善されたのは
進みます。金縛りから解けたようで
身体が軽くなり、足がすいすい前に
その途端、歩くのが楽になりました。
り、下顎にスプリントを付けました。
した。2011年3月、治療が始ま
それが体調悪化の原因だと分かりま
よろしくお願いいたします。
ます。そして、これからも、どうぞ
フの皆様、いつもありがとうござい
けられて幸せです。先生方、スタッ
今ある医療の中で、最善の治療が受
しています。ゴールまであと少し。
綴に向けて仮歯で咬み合わせを調整
うになりました。現在は、奥歯の補
で、前歯全体がしっかり咬み合うよ
妙なずれまで調整していただけたの
前に進めました。ミリ単位以下の微
咬 合 が 一 緒 の 治 療 方 法 だ か ら こ そ、
ーム医療の素晴らしさです。矯正と
中で思ったのは、丸橋全人歯科のチ
ため、矯正治療を受けました。その
治療の過程で、担当医の亀井先生
代で発症した過呼吸の再発、頭が痺
日常の臨床では、治療した歯から
れ、脳が働かず、買い物では小銭の
ダメになっていくのをいつも目の当
ヒトは心身ともに病むのではなかろ
木に登って栗を落とし、川では釣り
うか?生活習慣病と対峙するために
に明け暮れていました。しかしその
正当に評価されない制度は、とても
衣着せぬ、本質をズバズバと貫く内
健全とは言い難い。
容。他との違いを強烈に植えつけら
からの的確なアドバイスは大きな励
歯の治療は一般の方々が考えてい
みになりました。また、良い歯の会
たりにする。それもそのはずで、虫
識別ができず、紙幣を出す有様でし
中 で、 い つ の 間 に か、 そ れ ぞ れ の 生
る よ り も は る か に 難 し い の で あ る。
は、自らの生活環境を整え、免疫力
れました。当時、腕のあるとされる
歯治療では詰め物や被せ物の中に虫
は、被保険者なら誰もが低負担で医
で学ぶことは多く、会の三十五年間
歯を残し、歯と詰め物の境目は不適
療サービスを受けられる、とてもあ
た。意識が遠のくと頭の上から自分
物の持つ生命力の違いを感じていま
合で段差があり、根管治療では申し
今まで、治療に携わりながら、海
りがたい医療制度である。しかしな
を見下ろしている感覚に襲われまし
した。成長速度の速いもの遅いもの
訳程度に根管内にガッタパーチャ
外への調査を含め数多くの経験を積
がら、この保険制度の大きな問題点
を高める必要があるのは明白であろ
件以上見ていました。し
と、それぞれの生物のもつ構造と質
ま せ て 頂 き ま し た。 本 質 的 な 健 康 観 を
は、治療の質が全く問われないとこ
う。 患 者 参 加 型 の 医 療 で な け れ ば、
かし当時の自分には歯科の技術は素
臨床家を
感の違いや環境適応能力など。また
治療をするにあたって、この明確
養 う 上 で、 貴 重 な 体 験 は 何 事 に も 代 え
ろにある。一本の歯をきちんと丁寧
その後、上下の前歯の隙間を治す
晴らしいと思うがそれ以上の“何か”
(根管充填材)を詰める治療が日常
な健康観があることほど強いものは
ら れ ま せ ん。 な か で も 印 象 に 残 る 調 査
に 根 管 治 療 し よ う が し な か ろ う が、
の実績と歴史の重さを感じました。
を感じることができず、漠然とした
それらの要素が生命力に大きく関与
的に行われているのが現実である。
ありません。この健康観とはもちろ
の 一 つ が、 モ ン ゴ ル の 遊 牧 民 の 方 々 を
与えられる保険点数、すなわち経済
た。ある日、「良い歯の会」機関紙い
不安を抱えていたのを覚えています。
しているということ。これは今でも
なぜ、我が国の歯科治療はこのよ
ん自然界を含めた全人的な健康観で
対 象 に し た も の で し た。 生 活 環 境 は 厳
的評価は全く同じなのである。しか
のちで、顎が左側にずれていること、
しかし、
見つけられなかった“何か”
治療に際し、根底にある重要な感覚
うな惨状となっているのか?
す。本質的な健康観は治療哲学のよ
し く、 食 生 活 も 豊 か と は 言 え な い 遊 牧
も、歯科における治療は、どうして
生活習慣病の根本的治癒は極めて難
を丸橋歯科で見つけた、とこの時感
として役に立っていると思っていま
うなもので、治療法や、治療方針を
民 の 方 々 の 素 朴 な 笑 顔 と 歯、 そ し て 皮
世界に誇る我が国の健康保険制度
決定する意味で強力な屋台骨となり
膚や体格などの質感に人間の生命力の
しいのである。
じました。明確な健康観をもった歯
す。
るもの
遊牧民の少女。日本人の同年代に比
べ歯列と骨格が整い、頬や舌の張り
が素晴しい。
科医療がそこにあったのです。
午前中の治療の見学には、所狭しと
は、「良い歯の会」
のある第2土曜日。
にいないと思います。見学に来たの
日本全身咬合学会
治療後:ストレスの少ないイン
プラント治療(フラップレス手
術)で歯を手に入れ、気持ちも
前向きになった。
ます。分かりやすく言えば、医療に
治療に欠かせない健康観
治療前。左上奥歯(矢印)は割れ、
前歯でやっと食事ができる状態で
あった。
治療後。完全な治療によって、何
でも食べられるようになり、健康
になった。
50
治療前:持病があり、入れ歯
での生活への不安から、心身
ともに不調を極めていた。
おける治療技術は言わば道具と言え
根管治療後。根の先の病巣が縮小し、 治療前。根管治療の薬がほとんど
骨が再生しているのがわかる(矢印)。 詰まっていないため、根の先が化
膿して骨が溶けている(矢印)
。
10
智行
オールセラミック治療で広がる可能性
丸橋全人歯科咬合治療担当医
堀口
く来院されています。その技術的支
行い、問題なく経過している方が多
集中管理のもと、プラントにて補綴
ア 社 の 幕 張 プ ラ ン ト に 送 信 し ま す。
し、そのデータをノーベルバイオケ
ソフトを用いて、補綴物をデザイン
ャンし、その後右側のPC内の3D
えの上に、確実で新しい治療にも取
物が作製され、製品が送られて来る
年以上前に治療を
り組み、患者さんの希望にもお答え
流れとなります。このように、
近年、
当医院には、
し て い ま す。 今 回 は、 審 美 や 強 度、
オールセラミックを使用して、個々
ドの審美歯科治療が、可能になりま
アレルギーに対するメタルフリー治
した。歯科治療の新しいスタンダー
の歯の形状にあわせたオーダーメイ
写真1、2は、前歯をオールセラ
療にも対応できるオールセラミック
ミックにて修復した治療例です。写
ドとして欧米やアジアの先進国でも
クラウンをご紹介します。
真1は、初診時の状態で、この患者
美性が求められる時代、丸橋全人歯
広まっています。歯科治療に高い審
年 前 に 被 せ た 前 歯 の 形 態、
様 は、
科では、審美領域の補綴物としてオ
ールセラミッククラウンにも対応で
色合いだけでなく、使われている金
ていて、被せものの状態を診てもら
きる体制を整えています。
属による歯茎の黒ずみも気になさっ
いたいとのことでした。前歯の修復
は、高い審美性を求められます。何
度 も 仮 歯 に て 形 態 修 正 を 繰 り 返 し、
患者様の希望も取り入れながら、補
綴治療に移ります。補綴物は、金属
使用のないオールセラミックを提案
させて頂きました。写真2は、口腔
内にセットされたオールセラミック
です。今まで、主に審美補綴の選択
肢だったメタルボンドと比較すると、
金属の裏打ちがない分、天然歯特有
の透明感があり、隣在歯と調和もと
れています。歯茎の経年的な黒ずみ
も起こりません。ここで、オールセ
ラミックの特徴をまとめますと、①
光の透過性が高いので、天然歯と同
様 な 透 明 感、 自 然 感 が 得 ら れ ま す。
②曲げ強さ、弾性係数などの機械的
強度が非常に高く、症例により、現
在では、前歯だけでなく、臼歯にも
使用できます。③結晶構造が密であ
り、耐久性、耐腐食性に優れていま
す。④優れた生体親和性があり、金
属が溶けだして、歯茎が黒く変色し
たり、金属の溶出による金属アレル
ギーを引き起こすことなく、補綴物
周 囲 の 歯 肉 を 健 康 に 維 持 で き ま す。
写真3は、丸橋全人歯科に導入され
たCAD/CAMシステムです。左
側の機材で、最初に光学スキャニン
グ技術により、模型を高精度にスキ
■日 時 毎月第2土曜日 午後1時30分〜5時
■場 所 丸橋全人歯科3階研修室
■内 容 4回連続参加で1シリーズ
①
環境と人間の生き方を考える
1月
5月
9月
②
ムシバ予防を中心に家族を考える
2月
6月
10月
③
歯周病と生活習慣病を克服しよう
3月
7月
11月
④
退化病と闘う
員 60人(入場無料)お電話でご予約ください。☎027-323-9524
4月
8月
12月
家族、お友達などお誘い合わせのうえ、ご参加ください。ど
ご
なたでも参加できます。
試 食会も行っています(本物食品と市販食品の食べ比べやおす
すめメニュー紹介など)
。
「良い歯の会」HP http://yoihanokai.jp/
毎 年 開 催 し て い る「 良 い 歯 の 会 」
の東京特別講演と歯科治療相談の会
ですが、二〇一四年は元京都大学霊
長類研究所所長で京都大学名誉教授
の茂原信生先生を講師としてお呼び
しました。茂原先生は丸橋院長と大
学 時 代 か ら お 付 き 合 い が あ る 方 で、
「いのち」
にご執筆いただいたり「良
い歯の会」定例会でもご講義をお願
いしたこともある当院とはご縁が深
い方です。大学の研究者であった先
生のご講演なので私達には少々難し
い内容になるのではとも思いました
が、「人類学から見た現代人の顔と歯」
というタイトルでのご講演で、スラ
イドを使いながら、幾つもの写真や
イラストを交えてとてもわかりやす
く話して下さいました。
縄文人・弥生人を経て現代人に至
る日本人の顔形の変化や未来の日本
人の想像図など、咀嚼が顎の発達に
周年記念号編集にあ
編 集 後 記
良い歯の会
たり、活動の歴史をまとめてみまし
た。改めて「いのち」を読み返して
いう歯科とは違ったアプローチから
てきたことでもあります。人類学と
り、「良い歯の会」の定例会で講演し
「退化する若者たち」の中で触れた
らの事は、丸橋院長も自身の執筆書
ることがよく理解できました。これ
の大切さを歴史が証明してくれてい
者さんの心に響いて広がっていった
い思いが、共感する仲間を呼び、患
変えてゆかなければという純粋で強
かがえます。病を癒すには世の中を
なり急速に広がっていった様子がう
に派生した疑問や問題が大きな渦と
き方など、研究し、突き詰めるうち
かけとなり、環境や食、子育てや生
みると、治療での小さな疑問がきっ
のお話を参加者の皆さんもとても興
(辻本仁志)
時代が来ている気がします。
的な医療への取り組みが求められる
さんの利益になる本来の医療、全人
歯の会が求め続けてきた、真に患者
います。無駄な医療をなくし、よい
なくされる時期がすぐそこまで来て
りにされてきた医療が見直しを余儀
今まで既得権益を守るため、なおざ
日本の財政事情は逼迫しています。
実したものであったと感じます。
ーは大変なものであったと同時に充
をはじめ、草創期の労力とエネルギ
と感じました。丸橋先生や渡辺さん
うでした。
味深く熱心に聴いていらっしゃるよ
東京特別講演と歯科治療相談の会
茂原信生 先生をお招きして
良い歯の会にご参加ください
大きな影響を及ぼし、よく咬むこと
2006年
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2001年
2004年
2004年
2006年
30
月
催
開
容
内
当日販売もしています。
「良い歯の会」では、丸橋院長の
同窓生でもある有機栽培農家・大塚
秋則さんの野菜を当日の朝、採れた
てで参加者の皆さんに試食していた
だいております。
有機無農薬栽培なので、化学肥料
による苦味もなく、野菜本来の甘さ
なども十分に楽しめます。参加者の
方からも「市販の野菜とこんなにち
がうの?」という声も多数いただき、
とても好評です。
ぜひ参加してご試食いただき、そ
の美味しさを実感してください。
35
有機野菜を食べましょう!
試食会食べ比べも好評です。
東京御茶ノ水ソラシティーで開催された
特別講演の様子
写真1初診時の補綴物。
(矢印)
写真2セットされたオールセラミ
ッククラウン。
写真3当院に導入されたCAD/
CAMシステム。
■定
10
(8)
平成27年7月1日
い の ち
第35号
ー 丸橋歯科「良い歯の会」
35年間の出版書籍 ー
歯科治療や予防はもちろん、食生活や健康的な生き方や思想、歯科業界への問題提起など内容は多岐にわたります。
丸橋賢院長だけではなく、各専門分野のドクター達が執筆した本も発刊しました。