1 LEDイルミネーション+サイコロの製作 1 今回は,この入出力インターフェースの中で LEDイルミネーション+ サイコロの製作 RB0 端子を押しボタンの入力用として使い,残り 制御の家電製品が働いています.このような電気 3.各回路の働きを知ろう 使うことにします. 清田 公保 2.シャッフル点灯について LED イルミネーションと電子サイコロの動作を 理解したところで,付録の基板を用いて製作に移 街でチカチカするイルミネーションは見ている だけでも楽しいものです.そこで,ワンチップ・ マイコンPIC16F84Aを用いて,LEDイルミ ネーションと,サイコロが合体した電子サイコ ロを製作します.PICのマイコン制御により, シンプルな回路でもスイッチ一つでLEDのイ ルミネーション点灯と,電子サイコロになる電 子工作です.製作を通して組み込みマイコンの PICにチャレンジしてみてください. みなさんの身近なところでも,多くのマイコン を繰り返します. のRB1 ∼RB7 を電子サイコロの目の出力用として PICが理解できる! LED点灯と電子サイコロを作ろう 1.PIC マイコン イルミネーションのモードに移行して上記の動作 電源スイッチを入れると,あらかじめサイコロ の目の位置に配置されたLED 表示部が,図1-2 の パターンでイルミネーション点灯を開始します. りましょう.製作する回路のブロック図を図1-4 に,実際の回路を図1-5 に示します. イルミネーション点灯のパターンや,押しボタ この点灯パターンを10 回繰り返す間,押しボタン ンのON/OFF 判定などをすべてPICマイコンのプ が何も押されなければ,LEDの全点灯と全消去を ログラムで行っているため,製作する回路は非常 2 回繰り返した後,自動的に SLEEP モード(ク にシンプルです. ロックを停止し,省電力状態となる)に入り,ス ● 電源部 イッチを消し忘れても乾電池の消耗を防ぎます. 電源部は9V の006P 乾電池を使って,安定した イルミネーション点灯中,あるいはSLEEP モー 5V の電圧を供給するため,3 端子レギュレータ ロック用に安定した発振信号を加えるだけで,基 ドに入りLEDが全消灯している状態で押しボタン (78L05)を用いています.このレギュレータは,7 本的なコンピュータの機能を備えた入出力イン のスイッチを押すと,サイコロはシャッフル点灯 ∼20V 入力電圧から安定した5V(Max100mA)を ターフェースを用いたマイクロ・コントローラを 状態(高速に1 ∼6 の目のどれかを表示)になりま 出力するので,入力部を乾電池ではなく12V 程度 構成することができます. す.シャッフル中に押しボタン・スイッチを押す のAC アダプタで代用することも可能です.また と,サイコロの目が確定し,1 ∼ 6 のうちの一つ 図1-5 には,使用した78L05 のピン配置も示して の目(図1-3)がゆっくり3 回点滅します.その後, いますが,容量が1A 程度のレギュレータのなか 端 子 機 能 製品には,ワンチップ・マイコンという素子が用 OSC1 発振クリスタル入力 いられています.その中でも,PIC マイコンは, OSC2 発振クリスタル出力 には,入力と出力の配置が逆になっているものも MCLR “L”レベルで マスタ・リセット入力 リセット状態 あるので,パーツ購入の際は確認が必要です. 用いられています. PICは1 個のパッケージに,CPU,プログラム・ メモリ,入出インターフェース,タイマ(クロッ ● 発振部 RA0 ∼RA4 入出力ポート RB0/INT 入出力ポート RB1 ∼RB7 入出力ポート ク)など,マイコン制御を行うために必要な機能 GND 接地 をすべて内蔵しています. VDD 電源入力 す.セラロックは内部にコンデンサを内蔵してお +2.0V∼+5.5V 1 RA2 プルで,プログラム開発環境のソフトウェアも開 RA1 18 2 RA3 RA0 17 3 RA4 OSC1 16 microchip.co.jp)から無料で配布されているなど, 4 MCLR OSC2 15 手頃に組み込みマイコンの開発が可能です. 5 GND VDD 14 6 RB0/INT RB7 13 7 RB1 RB6 12 発元のMicrochip Technology Inc.(http://www. 図1-1に,PIC16F84A の各ピン端子の機能を示 します.内部にはいろいろな制御命令を記したプ 意されています.外部より電源(+5V)と基本ク 70 れるセラミック振動子(10MHz)を使用していま :LED消灯 :LED点灯 (上側より) PICは消費電力が少なく,命令数も35個とシン ログラムを記憶しておくフラッシュ・メモリが用 基本クロックの発振部には,セラロックと呼ば 兼 外部割り込み 信号入力ポート 図1-1 PIC16F84Aのピン端子 8 RB2 RB5 11 9 RB3 RB4 10 PIC16F84A り,2 番ピンを GND に,両端を PIC の OSC 1 と フラッシュ・メモリ内蔵 プログラム・データ保持 図1-2 LEDによるイルミネーション点灯 3端子 レギュレータ ① ② ③ 006P 乾電池 セラロック (10MHz) ④ ⑤ ⑥ 図1-3 LEDによるサイコロの目の点灯 2008 February 電源部 9V→5V 消費電力: 0.1W VDD GND OSC1 発振部 動作クロック: Max 20MHz OSC2 PIC16F84A 炊飯器やパソコンのマウスなどの機器にも幅広く 備 考 RB1∼ RB7 RB0 LED点灯 出力部 押しボタン 入力部 図1-4 PICによるLEDイルミネーション・サイコロの電子回路 のブロック図 71
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