埼玉工業大学 テーマ P01: 機械工学学習支援セミナー(小西克享) 反転増幅と非反転増幅-1/2 反転増幅と非反転増幅 世の中には、弱い信号を強い信号に変換して用いることが良くあります.たとえば,テ レビを観る場合,アンテナで放送電波を受信してテレビに映像信号を供給しますが,この 映像信号はごく弱いものです.そのままでは映像に変換することができないため,テレビ の内部で弱い信号を強い信号に変換しています.このように,弱い電気信号を強い電気信 号に変換することを増幅と言います.この目的に用いられる電子回路を『増幅回路』と言 います.一般に増幅されるのは,電圧か電流のどちらかのため,前者の場合は『電圧増幅 回路』,後者は『電流増幅回路』と言います. 古くは『真空管』と呼ばれる電子部品を用いて増幅回路が作られましたが,その後, 『ト ランジスタ』の発明により,電子回路の小型化や低消費電力化が可能となりました.トラ ンジスタには NPN 型と PNP 型の 2 種類があり,図に回路記号を示す NPN 型で電圧増幅を 行う場合, 『エミッタ(略号 E)』を接地して, 『ベース(略号 B)』に信号を入力し, 『コレ クタ(略号 C)』から出力信号を取り出すようになっています.ベースに印加される電圧が 上昇すると(ベースからエミッタに流れる電流が増加すると),トランジスタの性質からコ レクタからエミッタにより多くの電流が流れます.その結果,コレクタに接続された負荷 抵抗の電圧降下が増大します.このため,コレクタ端子の電圧が低下するという結果にな ります.このように入力信号の電圧が上昇すると,出力信号の電圧は逆に低下するという 反転が起こります.トランジスタを 1 つ用いて増幅する(1 段増幅)することにより,入 力信号の波形と出力信号の波形は山と谷が逆転する(入力信号が山の時,出力信号は谷) ため,このような増幅を『反転増幅』と言います. 負荷抵抗 コレクタ:C B-E 間のわずかな電流変化が,C-E 間に 大きな電流の変化となって現れる(電流 が増幅される). ベース:B エミッタ:E 下図は,トランジスタを用いた 1 段増幅回路の実例ですが,この回路では,微弱な信号 を IN と GND 端子間に印加すると,OUT と GND 端子間に電圧が増幅された信号が出力さ れます. 波形の山と谷が逆転した波形は,元の波形に対して『逆位相』であると言います.これ に対して,山と山,谷と谷が一致した波形は,『同位相』であると言います. 埼玉工業大学 機械工学学習支援セミナー(小西克享) 反転増幅と非反転増幅-2/2 電源 12V RB1= 130k 入力波形 Vi RC=3.3k OUT CIN=1 IN 信号源 出力波形 Vo RR=1k RB2= 5k RE= 2k CE=10 Vi と逆位相 GND 一方,同位相の増幅の仕方は, 『非反転増幅』と言います.上の図の反転増幅回路の出力 を別の反転増幅回路に入力して 2 段増幅を行うと,最初の信号が反転され,さらにもう一 度反転されるため,結果として同位相の信号が出力されることになり,組み合わせた回路 は『非反転増幅回路』となります. http://www.sit.ac.jp/user/konishi/JPN/L_Support/SupportPDF/InvNonInvAmp.pdf Copyright ⓒ 2011, 2013 小西克享, All Rights Reserved. 個人的な学習の目的以外での使用,転載,配布等はできません. お願い: 本資料は,埼玉工業大学在学生の学習を支援することを目的として公開しています.本資料 の内容に関する本学在学生以外からのご質問・ご要望にはお応えできません.
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