第11号 - 集団的自衛権問題研究会

集団的自衛権問題研究会 News & Reviews vol.11
2016/02/25 第11号
News
&
Review
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第11号の内容
PKO参加5原則は満たされているのか
安保法制の国会審議のなかで、南スーダンへの自衛
●アフリカ中央部における紛争と国連PKO(米川正子)
隊派遣が日本のPKO参加5原則を満たしているのか
○コラム:南スーダンに「国家に準ずる組織」は存在しない?
についての議論があった。井上哲士参議院議員(共産)
は「停戦合意の成立を含む参加5原則はどのように満
紛争下の南スーダン
たされているのか」「事実上、内戦状態ともいってい
――駆け付け警護の前に考えるべきこと
い状況ではないか」と追及したが、中谷元・防衛大臣
川崎 哲(研究会代表)
は「南スーダンの国連PKO活動地域では武力紛争が
発生したとは考えていない」とくり返し答弁している
世界でもっとも脆弱な国
(2015年9月9日、参議院安保法制特別委員会)。
自衛隊がPKO活動で新たに駆け付け警護や治安業
そもそも南スーダンへの自衛隊派遣が決定されたの
務を担い、それらの任務遂行のために武器使用できる
は民主党政権下であった。当時野党だった公明党の山
ようにすることは、安保法制の目玉の一つである。現
本香苗参議院議員が国会で「停戦合意はあるのか」と
在自衛隊が派遣されているPKOは南スーダンのみだ。 質問すると、藤村修官房長官は南スーダンでは武力紛
自衛隊は同国で2011年から主に道路整備を担って
争は発生していないので停戦合意は必要とされない、
おり、部隊は半年ごとに交代している。政府は当初、
つまりこれは「紛争解決型ではなく国づくりに参加す
今年5月に派遣される部隊から駆け付け警護を任務に
るというPKOだ」と説明していた(2011年12
含めることをめざしていたが、その後、7月の参議院
月6日、参議院外交防衛委員会)。この論理を政府は
選挙後に先送りした。政府・与党が選挙前に機微な論
今でも維持しているのである。
争を避けようとしていることは明らかだ。防衛省内で
だが停戦合意がたびたび破られ、同国が深刻な紛争
は今、武器使用基準や部隊行動基準の策定が進んでい
状態にあることはさまざまな国際的報告から明らかで
るとみられる。しかし、南スーダンの現実を踏まえた
ある。たとえば2015年12月2日の国連ニュース
議論を国会で、国民に開かれた形で展開すべきである。 は、ラドスース国連PKO局長の「双方がくり返し停
南スーダンは、世界の「脆弱国家ランキング」で2
戦合意に違反(violating the ceasefire)し、政治
014年、2015年と続けて首位に位置づけられて
的転換に向けたこれまでの前進が危険にさらされてい
いる(国際NGO「平和基金(FFP)」による)。
る」「南スーダンの和平プロセスは危機的な転換点に
背景を振り返ると、1980年代からスーダン政府と
ある」との警告を紹介している(UN News “South Sudan
人民解放運動の間で約200万人が犠牲になる紛争が
at critical juncture, UN peacekeeping chief warns; calls for
続いたが、2005年に南北和平合意が成立した。2
more ‘blue helmets’,” December 2, 2015.)。
●紛争下の南スーダン
(川崎 哲)
011年に南部スーダンの住民投票を経て、南スーダ
ンが独立した。そして平和の定着と国づくり支援のた
めに国連南スーダンミッション(UNMISS)が設
立され、同年11月から自衛隊のUNMISSへの要
員派遣が開始された。
しかし2013年12月、南スーダン政府と反政府
勢力の間で武力衝突が発生すると、多数の死傷者や難
民が発生する危機的事態へと発展した。こうしたなか
2015年11月23日付の国連事務総長報告(S/
2015/899)は、現地「紛争分析」の調査結果として「停
戦の違反(breaches of the ceasefire)、また当事者らが
和平合意履行の準備段階に定められた初期期限を守っ
ていない」こと、「当事者間の直接的対決(direct confrontation)の継続や治安上の事件(security incidents)
の増大」が予想されること、これに対して南スーダン
政府が対処能力を欠いていることを指摘している。
国連安保理は2014年5月に決議2155を採択し、
この報告を受けて国連安保理は12月15日、UN
UNMISSの任務を文民保護に力点を置くものに改
MISSの任務を2016年7月31日まで更新する
めざるをえなかった。その後、2015年8月に大統
決議2252を採択した。決議の前文は、戦闘(fighting)
領と反対勢力の間で和平合意が結ばれた。これによっ
が継続しているとの報告への深い憂慮を示し、関係当
て内戦の終結と統一政府樹立の期待ももたれたが、実
事者に即時にかつ恒久的に停戦を守るよう呼びかけて
際には合意に違反する戦闘が続発している。
いる。この決議により、UNMISSの軍事要員は1
1
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万2500人から1万3000人に、警察要員は13
アフリカ中央部における紛争と国連PKO
23人から2001人に拡大された。
南スーダンでは今166万人が国内避難民となって
米川正子(立教大学教員)
おり、国連PKOにより保護が提供されているのはう
ち18万人程度である。2013年12月以来、64
集団的自衛権問題研究会は2015年12月8日、明
万5千人以上が周辺国に逃れ、同国人口の約3分の1
治大学和泉キャンパスで2回目の公開研究会を開催しま
にあたる390万人が深刻な食糧不足に直面している
した。安保法制が施行された際に最初に影響を受けるの
(Security Council Report Monthly Forecast, January 2016) 。 が南スーダンPKOと見られるため、アフリカ中央部の
情勢に詳しい米川正子さんを迎えて講演をしていただき
ました。その概要を報告します。
自衛隊派遣を国会で問え
安保法制によりPKO法は改定され、国連PKOは
次の3種類に整理された。すなわち(イ)武力紛争が
停止している状態、(ロ)武力紛争が終了した状態、
(ハ)武力紛争がいまだ発生していない段階である
(改定国連PKO協力法 第3条1項)。南スーダン
は、このうちのどれに該当するのか。
2011年に派遣決定をした時点で「国づくり型」
だったとしても、2013年12月の危機発生で、状
態は根本的に変化したとみるべきである。国連安保理
によるPKOの任務が大きく転換するなか、日本のみ
が「武力紛争は発生していない。国づくり支援が続い
ている」と強弁しつづけるのは現実を無視している。
今日の南スーダンで武力紛争が「いまだ発生してい
ない」とか「終了した」というのは現実離れしている。
そうである以上「武力紛争の停止及びこれを維持する
との紛争当事者間の合意があり、かつ、当該活動が行
われる地域の属する国及び紛争当事者の当該活動が行
われることについての同意がある」(改定国連PKO
法第3条1項イ) といえるかどうかが鍵となる。P
■南スーダンで自衛隊は何をしているのか
南スーダンのPKOを考える時に、深刻で重要な現
状がメディアでまったく話されていません。マクロな
視点で全体の文脈を知る必要があります。南スーダン
の自衛隊は何をしているのか、そもそも役に立ってい
るのか、という点から話していきます。
アフリカ中央部では何が起こっているのでしょうか。
1994年のルワンダのジェノサイド、96-7年の
コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の「ジェノサイド」
を米国が仕掛けていたことは知られていません。しか
し、それが実態であり、今回の安保法制で日米協力を
深めると、日本も将来ジェノサイドに荷担するかもし
れないのです。
アフリカには主に3種類の武力紛争があります。
1つは欧米諸国対テロリスト。アルシャバブ、ボコ
ハラム、イスラム過激派などと欧米の闘いですね。2
つめは欧米諸国対中国。3つめは米英対フランスです。
森川純氏の Japan and Africa: Big Businessand
KO参加5原則は、停戦合意、受け入れ同意、中立性
のいずれかが満たされない状態になった場合には撤収
するということだったはずだ。ゴラン高原PKOの場
合、1996年から長期にわたり自衛隊が派遣されて
いたが、内戦の激化を受けて2012年に撤収が決定
されている。国会では、現実を踏まえた日本としての
基本方針を議論すべきである。
むろん、人道上の危機に対して日本は撤収ではなく
積極的な貢献を拡大すべきだとの主張もあろう。実際、
上でみた国連の諸報告は、危機ゆえに要員を増派すべ
しという内容だ。しかし冷静に考える必要がある。こ
Diplomacy(Africa World Pr,1997)によると、日本のア
フリカ外交は米国と西ヨーロッパに追随しています。
米国はブッシュJr.時代の2008年にAFRI
COM(米国アフリカ軍)を設立し、アフリカでの対
テロ戦争の軍隊訓練を行なっています。ただし裏では、
アフリカの資源の確保、中国のアフリカ進出の牽制な
どの狙いがあると見られています。ジブチに米軍基地
がありますが、それ以外の場所にも無人機ドローンの
基地をつくっています。日本の自衛隊もジブチに活動
拠点を構えていますが、米軍に要求されてつくったも
れまで現地で道路整備を担ってきた自衛隊が、これか
のではないかと『赤旗』は書いています。
らは他国要員やNGOのため武器を使って警護を始め
ウガンダの首都カンパラの郊外にあるエンテべ(ヴ
るというが、それは本当に求められていることなのか。 ィクトリア湖沿いに位置し、国際空港がある)にAF
また、現実的に安全に遂行可能なのか。難民支援や食
RICOMの基地があると言われ、そこに兵站を置い
糧支援、財政支援など、必要とされていることは幅広
ているようです。米軍は、ウガンダ反政府勢力LRA
い。支援の主体は自衛隊だけでなく国際人道機関やN
(神の抵抗軍)を掃討するために、2011年にすで
GOもある。安易な武器使用拡大に走る前に、改めて
にカンパラに入っているのですが、本当の狙いは石油
国会でしっかりと議論すべきである。
にあるようです。カンパラには自衛隊のロジスティク
(かわさき・あきら)
スの事務所もあり、日本の食料はそこから南スーダン
に輸送されています。南スーダンの自衛隊が休日を過
2
集団的自衛権問題研究会 News & Reviews vol.11
ごすためにカンパラに来ているため、アフリコムとも
チが政権を奪取したのですが、政権奪取のために、米
連絡を取り合っていることでしょう。近年、石油開発
国の協力の上でジェノサイドが起きたのではないかと
が進むウガンダでさまざまな国が関与し、レアメタル、 も疑われています。現地の人の中にも、実際に起きた
錫などの天然資源が豊富なコンゴでも同様なことが以
のはジェノサイドではなく、内戦だと言う人もいます。
前から続いています。
ジェノサイドの指導者たちがコンゴ東部の難民キャ
ンプに逃げ込みました。彼らの存在を攻撃するために、
■戦争経済
ルワンダ軍が1996年にコンゴ東部に侵攻したので
PKOの紛争地への介入の目的の一つに、戦争経済
すが、そのルワンダ軍の中にアフリカ系の米軍の軍人
が挙げられます。資源や戦争による利害関係のための
も混ざっていました。
紛争、つまり「戦争経済」がアフリカ中央部でよく起
PKOへの派遣隊員数は、多い順にバングラデシュ、
こっています。特に重要なのがレアメタルなどの戦略
インド、パキスタン、ルワンダです。しかし、人口比
的資源を確保することです。資源の集中地域には、現
にするとルワンダは1位です。現在、ルワンダに世界
地の国軍、(国内・外国の)反政府勢力、そしてPK
初のドローン専用空港を建設中です。ルワンダは山あ
O軍が派遣されていることが多いのです。それらの軍
り谷ありの地形で、医療サービスや物資を届けるのが
隊が資源を狙って介入するために、意図的に紛争状態
難しい、だからドローンが必要と正当化していますが、
をつくらなければなりません。敵同士と思われている
目的は定かではありません。同盟国のアフリコムと共
グループが実際は共同で天然資源を搾取し「協力」し
同で武装ドローンを使用する可能性もあります。
あっていることも、国連専門家グループが報告してい
■スーダンと南スーダン
ます。シエラレオネやコンゴなどがその例です。一般
的に私たちが考える、敵同士が戦う紛争のイメージで
1989年以降、スーダンはイスラミスト(イスラ
はなく、紛争の長期化が目的となっています。20年
ム原理主義者)の影響力が高まり、イランやハマスと
間紛争が続くコンゴでは、世界最大級のPKOが介入
も関係を深めました。イスラエルから見るとスーダン
しているのにもかかわらずなかなか紛争が解決しない
は大変な脅威な国で、イスラエルはとにかくスーダン
のは、まさに戦争経済が主な原因だと思われます。
がパレスチナと結んでイスラエルを打倒することを警
戒し、いろんな形でスーダン国内の紛争が長引くよう
コンゴのPKOの中に、攻撃的な戦闘部隊も加わっ
ています。ドローンも国連で初めて使用されています。 にしかけてきました。だからこそ、南スーダンといい、
ダルフールの紛争といい、長期化しているのです。
ドローンの目的は、コンゴ東部に約50あると言われ
る反政府勢力や民兵組織の動きを偵察するためと言わ
南スーダンにおけるPKOの役割は、「イスラム過
れていますが、本当は天然資源を偵察しているのでは
激派」の影響力への歯止めになっており、だからこそ
ないかとも囁かれています。
米国の同盟国である日本やルワンダがPKOとして関
与しているのではないかと思います。
■ルワンダについて
ルワンダのジェノサイドの背景には、米国の支援が
以上の話をまとめると、PKOの役割は政治的経済
的なものになっています。日本平和学会「安保法制1
あったことを知っておきましょう。
ジェノサイドがあった1994年まで、多数派フツ
00の論点」で「国連PKOは平和の創出に役立って
主導の政権がつづき、それまでの30年間、少数派ツ
いるのでしょうか」について簡潔に書きましたが、本
チが近隣国で難民化していました。カガメ現大統領も
当にPKOは平和を維持しているのでしょうか? 受
難民でした。1980年代に、米国難民委員会がルワ
入国サイドの住民の中には、「平和維持」ではなく実
ンダ難民と連絡をとるようになったのですが、少数派
質的な「戦争維持」と受け止めている人々もいます。
のツチがルワンダの政権を奪取するために人口の割合
2015年3月にコンゴ東部のPKO取材をした某テ
からいって選挙では必ず敗北することがわかっていた
レビ局が、地元の人たちに「PKOはいらない」「役
ために、武力をもって帰還する手段をとることにしま
に立たない」とさんざん言われたと聞いています。し
した。それに米国が協力したと言われています。
かし、そのようなコメントはすべてカットされたため
1994年4月、当時のハビャリマナ大統領の専用
に、視聴者は現地住民の声を聞くことができませんで
機が撃墜され、その翌日から100日間ジェノサイド
した。もっと聴くべきで、協力の質を問うべきです。
コンゴ軍は大変に評判が悪く、プロではない、規律
が続きました。飛行機の撃墜は大変難しいことであり、
米国といった大国の協力がなければできないと考えら
がないと一般に知られていますが、そのコンゴ軍が2
れています。それからジェノサイドが3ヶ月続き、ツ
014年から隣国の中央アフリカ共和国にPKO軍と
3
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して関与しています。そのような悪評のコンゴ軍に平
南スーダンに「国家に準ずる組織」は存在しない?
和維持ができるのか疑問です。
このようなことから、自衛隊の海外派遣とか、かけ
政府は南スーダンのPKO活動地域では「武力
紛争は発生していない」という答弁を押し通して
いる。武力紛争はいまだ発生していないので、停
戦合意や受け入れ同意といったPKO参加5原則
はそもそも必要でないという理屈だ。
だがこれはかなりの無理筋であり、安保法制そ
のものとの整合性すら怪しい。駆け付け警護や治
安確保業務のために武器使用を可能とするという
安保法制の前提は、2014年7月1日の閣議決
定にある。その閣議決定において、武器使用拡大
の正当性は次のように説明されていた。
まず、自衛隊が国家または「国家に準ずる組織」
に対して任務遂行のための武器使用をすることは
憲法 9 条に 抵 触す るお そ れが あ る( 閣議 決 定2
(2)ア)。しかし、自衛隊のPKO活動は参加
5原則によって、「当該活動が行われる地域の属
する国の同意」および「紛争当事者の当該活動が
行われることについての同意」があることが前提
とされる。そのような条件が満たされている以上、
受け入れ同意をしている紛争当事者以外の「国家
に準ずる組織」が敵対するものとして登場するこ
とは「基本的にないと考えられる」。そして任務
遂行のための武器使用が見込まれる場合には「紛
争当事者の受入れ同意が安定的に維持されている
ことが必要」である(2(2)ウ(ア))。
現在の南スーダンは、そのような状況にあると
いえるのか。南スーダンでは、キール大統領派と
マシャール前副大統領派が対立し合う紛争状態が
続いてきた。和平合意は十分に遵守されておらず、
マシャール前副大統領派の武装勢力が「国家に準
ずる組織」として敵対的に登場する可能性はある
と考えるのが妥当であろう。また「紛争当事者の
受入れ同意が安定的に維持されている」かどうか
については、そもそも「紛争当事者」にキール大
統領率いる南スーダン政府だけでなくマシャール
前副大統領派も含むのかについて、日本政府は明
確な解釈を示していない。
つまり「武力紛争はいまだ発生していない」と
いうことにしてしまえば、「国家に準ずる組織」
が存在するか否か、紛争当事者とは誰か、受け入
れ同意は安定的に維持されているのかといった議
論に入らなくてよいことになってしまう。閣議決
定の規定さえもバイパスするこのようなずさんな
議論で、紛争地の自衛隊員に危険な警護業務を担
わせることが許されるのか。(川崎 哲)
つけ駆け付け警護の是非などを議論するだけではなく、
PKOのそもそも論をもっと追及しなければならない
と考えています。
■討論・質疑
川崎哲:戦争経済であるがゆえ、紛争が長引いたほうがい
いわけですよね。とは言っても、長引けば国民がいなくな
り生産力が落ちるわけで、それを続けているのが理解でき
ないのですが。そのメカニズムを教えていただけますか。
米川:紛争の長期化について、現地の政府も反政府側だけ
でなく、PKOも間接的に関与しているといえます。国民
の多くが犠牲になっても、それは国家の関心事ではありま
せん。国家にとっては戦争経済が大事であり、資源が集中
している地域に住民がいるのは邪魔なので、強制移動させ
ているのです。対テロ戦争もあえて起こすことで、あえて
恐怖をあおることで得をする人たちが多くいますね。
天然資源へのアクセス権の奪い合いは、植民地時代から
起きています。ただ、現在と違うのは、当時、その資源で
どの製品が製造できるのかについて知られていませんでし
た。技術が発達した現在、どのレアメタルが何に使えるの
か、レアメタルがどれほどの価値を持っているのかがわか
ってきました。民主主義がない混乱・紛争状態がある状況
で、資源の搾取や密輸ができた方が得なので、戦争経済が
強化されるのではないかと考えています。「国家の責任」
以前に、国家が無い、機能していないが当たり前の状態が
あり、わたしたちの常識・フレームワークで考えてはいけ
ません。常識は時おり通用しません。
会場質問:他の国連機関は、こういう戦争長期化の構造に
どう関与し、どう見ているのでしょうか?
米川:現地にいる国連職員はその構造に気が付いていない
か、あるいは一部の人は知っていて黙認しているのかもし
れません。特に人道支援者は、紛争の勃発後、難民が発生
し、難民キャンプをつくることで頭がいっぱいです。「な
ぜ紛争は長期化するのか」といった問いに関心がなく、も
くもくと仕事し、あまり深く考えていませんし、考える余
集団的自衛権問題研究会 News & Review vol.11
裕がないのかもしれません。
2016年2月25日発行/編集発行責任者・川崎哲
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【関連情報】
昨年6月に立教大学で開催された「なぜアフリカの紛争が
長期化するのか?――大国の観点から考える」のシンポジ
ウムの報告書が日・英で完成しました。
https://ghrd.rikkyo.ac.jp/event_doc/FINALアフリカ紛争報告書.pdf
フランスから招へいしたピエール・ペアン氏の講演内容
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口座名義 集団的自衛権問題研究会
は、イスラエルに焦点を当て、アフリカ大湖地域と中東
(スーダン、南スーダンを含む)における米国の政策が直
接結び付けられことなど興味深いものです。(米川正子)
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