21 世紀にもやり続けるであろう原始時代のお仕事(2)

保険代理店専門 有料電子メールマガジン inswatch ( http://www.inswatch.co.jp/ ) Vol.137 2003.03.17
∼Vol.165 2003.09.29 に連載されましたものを執筆者であります城東支部長小原太史氏および
inswatch 関係者のご好意により特別に全文掲載いたしました。
21 世紀にもやり続けるであろう原始時代のお仕事(2)
小原 太史
前回ご紹介した私が現在取り組み中の自動車事故における保険代理店の「裏の仕事」の具体的方法を
述べさせていただく前に、まずは私が「裏の仕事」をやる際において、依頼してきた相談者(大概は顧
客自身)に次の点を前もって承知しておいてもらっていることを説明しておきたい。
1.私の方針に従うこと。
2.私以外の人間の労力を当てにしないこと。
以上の2点である。
この2つには「基本的に」という条件がつくが、非常にシンプルに思えるだろう。しかし、たったこの
2つのことを「裏の仕事」をやってあげる相談者に納得してもらわなければ、そもそも「裏の仕事」な
ど引き受けない方がよいということになる。また、自動車事故に限らず他の保険事故においても、かつ、
こちらが被害者側である場合もそうではない場合も含めて、すべての「裏の仕事」を引き受ける際の代
理店側の条件だと思う。本来は1だけでもよいのだが、便宜上2つにした。少し解説させていただく。
1は読んで字の如しなのだが、実はこれを相談者に納得してもらうのは大変な作業である。相談者が顧
客自身の場合は、元々の保険契約(種目は問わず)を縁として相談してくるため、こちらが「ただ働き」
することを「当たり前」という態度の者もいるし、案件進行中も含め、さまざまな注文をしてくる者も
いる。また、相談相手にとって不本意な結果となった場合は逆恨みをする者までいる。こちらも引き受
ける以上、中途半端にはやらないことを前提に「ただ働き」をするのだから、もちろんそれだけ引き受
けたことの責任はより大きくはなるが、1を相談者に納得させておかないと、相談者の言動に翻弄され
る上、少しも感謝されないことにもなりかねない。相談者には「ただ働きをお願いして申し訳ない」と
思わせなければ意味はないのだ。それともうひとつ、相談者が私以外の人間に余計なことを「吹き込ま
れ」ても、動じないようにする為の布石でもある。
2については、逆説的だがこれにより1が成立する。どういうことかというと、我々代理店が「裏の仕
事」をやる案件は、相談者が自動車事故の、どちらかといえば被害者であり、かつ、事故相手側(事故
相手本人、事故相手加入の保険会社の担当者等)が事故の解決のため動いていないというケースが多い。
具体的に言えば、例えば事故日から何日も経つが事故相手からも相手側の保険会社(他に自動車保険を
販売している金融機関も含む)からも何の連絡もないというケースや、こちらから連絡をしなければ相
手側と話ができないため、事態がなかなか進展しないケース、相手側が約束を守らない(再度の連絡を
してこない、郵便・FAX等をすると言って、それをしてこない等)ケースなどである。つまり、もし
交通事故の被害者である相談者自身が怪我をして病院に入通院し、仕事を休業し、車がどんなに破損し
た場合であろうとも、その経済的損失を加害者側に補填してもらえない(加害者意識がなく補填する気
がない?加害者が任意保険未加入の場合はより顕著となる)わけだから、問題解決の為「別」の労力が
必要となり、これらの過程を経てからでは相談者が私に「裏の仕事」を依頼した後は、私以外の人間の
労力を当てにしない方が精神衛生上、よくなってしまうということである。
前回私が紹介した現在取り組み中の自動車事故の相手加害者は、自賠責・任意保険未加入の酒酔い運転
者だったわけだが、具体的取り組み方法を述べるのは、前置きが長くなった為、次回になってしまい恐
縮である。
よろしければ次回は、なぜ「裏の仕事」をする際、こちら側の保険を使用しないのかも含め、述べさせ
ていただきたいと思う。
出展:inswatch Vol.142 2003.04.21
【11】代理店ダイアリー
小原
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太史