文系研究者のための LATEX 環境の構築 文系論文用スタイル・ファイル EasyLayout のマニュアル 山尾 忠嗣 目 次 1 EasyLayout のマニュアル 1 はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 1 2 自動的に置き換わるコマンド、パラメーターの調整 1 3 EasyLayout で追加されたコマンド・環境 1 1 左右マージン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 2 上下マージン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 3 文字数指定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 4 行数指定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 5 サブタイトル . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 6 タイトル . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 7 ページレイアウト . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 8 トンボ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 9 タイトルページ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 10 目次 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 11 ページ番号 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 12 インデント . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 13 突き出しインデント . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 14 箇条書きの記号 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 15 略号表 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 16 文献表 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 17 後注・脚注 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 18 雑多なマクロ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 4 使用例 6 1 プリアンブル . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 2 インデント・突き出しインデント . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7 3 箇条書き . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8 4 略号表・文献表 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9 5 後注・脚注 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10 6 雑多なマクロ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 文系研究者のための LATEX 環境の構築 1 EasyLayout のマニュアル (1) はじめに 今回制作した LATEX のスタイル・ファイル「EasyLayout」は、仏教学をはじめとした 文系研究者が論文を書くために適したものを目標にしたものである。したがって、これま で使っていた LATEX のパッケージとは違うものとなっているのでコマンドなどにも変更 した箇所がある。なので、これから EasyLayout についてわかりやすく説明していく。 なお、EasyLayout は、大谷大学の福田洋一氏の「大谷大学 文学部 人文情報学科 福 田ゼミ」(http://tibet.que.ne.jp/otani/wiki/index.php?EasyLayout) から入手可能であ る。ダウンロードをクリックして、保存できた EasyLayout の.zip フォルダを解凍し、中 にある EasyLayout.sty を.tex のあるフォルダに入れれば使用できるようになる。 2 自動的に置き換わるコマンド、パラメーターの調整 このスタイル・ファイルは、奥村晴彦氏作成の新ドキュメントクラスの使用を前提とし ているので、クラスファイルは、jsarticle を指定する必要がある。そのうち、EasyLayout では以下の諸項目の定義や値を変更している。実際には自動的に置き換わるので、特に意 識する必要はない。 ・ タイトル、著者名、日付を表示する\maketitle は、jsarticle よりも上側の余白を少 なくするように設定してある。また、date{}を省いた場合に、余計な空白ができな いようにした。 ・ \section、\subsection、\subsubsection のフォント文字サイズ、表示位置を調 整した。 ・ \itemize の最初の項目記号を中黒にした。ニ階層の項目記号も「※」にした。 ・ ページスタイルの plain と headings を若干変更した。前者はフッターにハイフンを 挟んでページ番号を打ち出す。後者はヘッダーにセクション見出しとページ番号を下 線を引いて打ち出す。デフォルトは plain である。 ・ 注番号の書式を (1) などに変更した。 ・ 段落の頭の自動的な字下げはしないように、\parindent は 0 に設定した。字下げを する場合には、自分で段落の頭に全角スペースを挿入する必要がある。 3 EasyLayout で追加されたコマンド・環境 (1) 左右マージン コマンドは、\左右マージン{左マージンの長さ}{右マージンの長さ}。この左右マージ ンは、ページの左右の余白の長さを指定できる。綴じ込みをする場合など、左右の余白が -1- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 均等ではバランスが悪く、見栄えが悪くなるので左右別々で指定できるようになってい る。デフォルトの値は左右ともに 2.3cm となっている。 例えば、\左右マージン{4cm}{2cm} とすれば用紙の左側の余白が 4cm 空き、右側の 余白が 2cm 空くことになる。 (2) 上下マージン コマンドは、\上下マージン{上マージンの長さ}{下マージンの長さ}。この上下マージ ンは、ページのテキスト領域と用紙幅との距離を指定できる。ヘッダーやフッターに関し ては考慮されていないので、もしヘッダー、フッターを指定するのであれば、その分テ キスト領域に対する余白を多めにとる必要がある。デフォルトの値は上は 2.6cm、下は 2.3cm となっている。 例えば、\上下マージン{4cm}{2cm} と入力すれば用紙の上から本文までがヘッダー のあるなしに関わらず 4cm 空く。同じように下の余白もフッターのあるなしに関わらず 2cm 空くことになる。 (3) 文字数指定 コマンドは、\文字数指定 [左マージンの長さ]{一行の文字数}。この文字数指定は、原 稿用紙に近い設定ができる。書式設定で一行の文字数が指定されているときなどに有効で ある。文字数指定を入力する場合、左右マージンの設定はしなくてもよい。それは、オプ ションで左マージンの長さを設定できるからである。右マージンは自動的に設定される。 あとは引数で一行の文字数を設定すればよい。 例えば\文字数指定 [3cm]{32} と入力すれば、左マージンの余白が 3cm 空き、一行 の長さは 32 文字分に設定される。 (4) 行数指定 コマンドは、\行数指定{一ページの行数}。この行数指定は、文字数指定と同じように 原稿用紙に近い設定ができる。書式設定で一ページの行数が指定されているときなどに有 効である。 \行数指定{25} と入力すれば、一ページの行数が 25 行になる。 (5) サブタイトル コマンドは、\subtitle{サブタイトルの名称}。本タイトルよりも小さな文字のサイ ズでサブタイトルを打ち出すことができる。 \subtitle{EasyLayout のマニュアル}と入力すれば EasyLayout のマニュアル -2- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 という風にタイトルの下に、サブタイトルとしてタイトルより文字サイズがやや小さく出 力される。 また、サブタイトルを指定すると、自動的にサブタイトルを囲むようにダーシが挿入さ れるが、ダーシが不必要なユーザーもいるだろう。そういった場合に、\subtitle*{サブ タイトルの名称}とすることで、サブタイトルを囲むダーシが挿入されなくなるようにし てある。 (6) タイトル コマンドは、\title[改行なしのタイトル]{改行付のタイトル}。 これは、タイトルが長文になり、改行したいときに使うコマンド。\title コマンドで、 タイトルが長いときに\\で改行を入れると、タイトル付ヘッダで改行が空白になってしま うので、ヘッダに改行付のタイトルを使うときにはオプション引数として改行なしのタイ トルを指定できるようにした。また、ページの最初に見出しがくるとき、上に空行が挿入 されないようにしてある。 (7) ページレイアウト (i) タイトル付ヘッダ コマンドは、\pagestyle{タイトル付ヘッダ}。このコマンドをプリアンブルに指定す る。ヘッダーに著者名とタイトルとページ番号を表示して、下線を引く。 (ii) ヘッダフッタ コマンドは、\pagestyle{ヘッダフッタ}。ヘッダーに論文タイトル、フッターには ページ番号が出力される。 (8) トンボ コマンドは\トンボ。\トンボは、B5 のページを A4 の紙に打ち出すときにトンボを出 力するものである。プリンタによっては出力した際に文章に歪みが生じたりする場合があ るが、トンボを命令しておけば裁断の時に便利である。普通の TEX では documentclass のオプションで tombow と papersize を指定する必要があったのだが、\トンボの場合は プリアンブル部分に指定しておけばよい。ただし、b5paper はオプションで指定する必要 がある。 (9) タイトルページ コマンドは\タイトルページ。\begin{document}の後に指定すると、題名、副題、著 者名を独立のページに表示できるようにした。文字サイズも大きくしている。 -3- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 (10) 目次 コマンドは\目次。目次を出力することができる。\maketitle の後、もしくは\タイト ルページの後に、このコマンドを入力すると、その箇所に目次が出力されるが、正しい目 次を出力するためには、二度コンパイルしないといけない。その後で改ページをするに は、その後で\newpage コマンドを書くとよい。 (i) 目次のレイアウト 目次のレイアウトは、段落間隔固定コマンドに対応していて、章番号や節番号と見出し の間の間隔をつめた。 (ii) 目次の見出し 目と次の間を全角 2 文字分空けた。 (11) ページ番号 コマンドは\ページ番号{数字}。ページ番号を設定することができる。設定をローマ数 字で打ち出したい場合は\ローマ数字ページ番号{数字}と入力すると、ローマ数字小文字 で出力される。算用数字を出力したい場合は\算用数字ページ番号{数字}を入力すればよ い。前書きや目次をローマ数字ページ番号で打ち出しているときは、本文ではこの算用数 字ページ番号で、ページ番号を算用数字に設定し直す必要がある。 (12) インデント コマンドは、\begin{インデント}{下げる文字数 (全角)}。引数で全角文字で何文字分 下げるかを指定する。インデントを指定した文章を書き終えたら、\end{インデント}を 入力する。 例えば、\begin{インデント}{3} と入力すれば、全角 3 文字分下がった設定になる。 (13) 突き出しインデント コマンドは、\begin{突き出しインデント}{二行目の下げる文字数 (全角)}。引数で二 行目の文字を全角何文字下げるかを指定する。一行目については指定することはできない が、もし下げたい場合は一行目の最初に全角でスペースを入れることで下げることができ る。下げたい文字数分スペースを入れればよい。突き出しインデントを指定した文章を書 き終えたら、\end{突き出しインデント}を入力する。 例えば、\begin{突き出しインデント}{3} と入力すると、二行目が全角 3 文字分下 がった設定になる。 -4- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 (14) 箇条書きの記号 第二階層の記号を「※」にした。普通の TEX の第二階層の記号では「−」になる。 (15) 略号表 コマンドは、\begin{略号表}[略号のうちの一番長いもの]。オプション引数に、略号 のうちの一番長いものをサンプルとして指定する。何も指定しないデフォルトの場合は、 全角 3 文字分をとってある。そして次に\item[略号] と入力し、正式名称を書いていく。 略号をいくつか使ったのならば、また\item[略号] と続けて入力していく。最後は\end{ 略号表}と入力する。 (16) 文献表 コマンドは、\begin{文献表}。次に\item 著者名を書く。ここで気をつけなければい けないことは、必ず\item と著者名の間に半角のスペースを入れること。その後、各文献 については\Year{年号}{その他の書誌情報}というマクロで記述する。各項目は空行を 挿入することで区切る。最後は\end{文献表}と入力する。 (17) 後注・脚注 コマンドは\footnote{注内容}。このコマンドを入力した箇所は、右斜め上に小さく 注番号が出力される。番号はコマンドを入力した順に出力されていく。引数に注内容を書 き込み、後注を出力したい箇所に (原稿の末尾) において、\後注と命令を書くことで、そ の箇所に注番号と注本文が出力される。もし、脚注を挿入したい場合は、プリアンブルに \脚注と書いておけばいい。 後注に関してはもうひとつ表示の仕方がある。まず、注を付けたい本文の (例えば人 名) の後に\注{注番号}と書く。この場合、注番号の重複には気をつける必要がある。そ して、大体その本文の段落が終わったところで\注本文{注番号}{注内容}を書いて、先ほ どの\footnote の場合と同じく後注を出力したい箇所に、\後注と命令を書くことで出力 される。気をつける点としては、この二通りのやりかたを混同しないこと。どちらか片方 に統一する。 (18) 雑多なマクロ その他の機能として、\tume を入力すると半角分ツメ、\ake は半角分アケ (\ake の後 ろは半角スペースを入れる)、\−は倍角ダーシ (全角 2 文字分の横棒が入る)、\一行空け で空行を一行挿入できるようになる。 あともう一つ\∼がある。これは、特殊文字の一つである半角のハイフンを二つ並べて -5- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 出力する記号に手を加えたものである。半角のハイフン二つ続けて入力し、出力してみる と分かるのだが、若干だが文字の中心より少し低い位置に記号が表示される。それを目分 量だが文字の真ん中に表示されるようにしたものが\∼。例えば (半角ハイフンの場合は– \∼の場合は–) というふうになる。多少の変化なので分かりづらいが、デザイン的に位 置が気になるという方は試していただきたい。 4 使用例 (1) プリアンブル 論文の書き方については人それぞれである。しかし、プリアンブル部分に関しては若干 人によって不必要な機能もあるかもしれないが大体同じである。プリアンブル部分に何を 入力すればいいのか、そしてどのように出力されるのかということを説明していく。以下 に記すのは、2004 年度の大谷大学の卒業論文の書式に沿って設定したものである。 \documentclass[b5paper,12pt]{jsarticle} \usepackage{EasyLayout} \上下マージン{4cm}{2.5cm} \文字数指定 [3cm]{32} \行数指定{25} \段落間隔固定 %\トンボ \pagestyle{ヘッダフッタ} \title{文系研究者のための LATEX 環境の構築} \author{山尾 忠嗣} \begin{document} \タイトルページ \thispagestyle{empty} \目次 \thispagestyle{empty} \newpage \ページ番号{1} \section{序論} \subsection{\TeX 、\LaTeX とは} -6- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 ここに文章を書いていく。 \end{document} こ の 中 で 、も し 用 紙 の サ イ ズ 、文 字 の サ イ ズ を 指 定 し て お き た い と い う と き は 、 \documentclass と{jsarticle}の間に [b5paper,12pt] というようにオプション引 数として入力すればよい。そして、\段落間隔固定命令を使うと、全体にわたって文字サ イズが一定となり、タイトルや著者名など、セクションの見出しなど、引用や箇条書き環 境の前後などに挿入される縦方向の空きがなくなる。 書式設定で、\文字数指定 [左マージンの長さ]{一行の文字数}を指定する場合、上にあ るプリアンブルの使用例を見てもらっても分かるとおり、左右マージンの設定はしなくて もよい。それは、\文字数指定のオプションで左マージンの長さを設定できるからである。 右マージンは自動的に設定される。\行数指定{一ページの行数}は、上下マージンと一緒 に指定する。引数で一ページの行数を設定すればよい。 この作成したマニュアルに関しては、\タイトルページを使って、文書名・著者名・ 日付を独立のページで表示させているが、独立ではなく続きに論文を書かれる場合は、 \begin{document}の後に\maketitle を書いておくとよい。あと、脚注について。後注 ではなく脚注で出力したい場合は、\脚注コマンドを\begin{document} の前で書いてお くとよい。 (2) インデント・突き出しインデント 実際にコマンドを入力して、出力してみるので二つのインデントの違いを見比べてもら いたい。 (i) インデント インデントを使いたい箇所に\begin{インデント}{3}コマンドを入力する。そうす ると、 LATEX は、DEC(現 HP) 社のコンピューター科学者 Leslie Lamport(レスリー・ラ ンポート) によって機能強化された TEX である。LATEX の大きな特徴は文書の論 理的な構造と視角的なレイアウトとを分けて考えることができることである。章・ 節・図・表・数式などの番号を自動的に付けてくれ、参照箇所には番号やページを 自動挿入できる。また、柱 (各ページの上か下に出力する章や節の名前などのこと) も自動的に作ってくれるという非常に便利な機能が LATEX には備わっている。 のように全角 3 文字分下がった状態で出力される。もちろんインデントを終了するときに は\end{インデント}を入力すること。 -7- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 (ii) 突き出しインデント 突き出しインデントを使いたい箇所に\begin{突き出しインデント}{3}コマンドを入 力する。そうすると、 LATEX は、DEC(現 HP) 社のコンピューター科学者 Leslie Lamport(レスリー・ランポー ト) によって機能強化された TEX である。LATEX の大きな特徴は文書の論理的な 構造と視角的なレイアウトとを分けて考えることができることである。章・節・ 図・表・数式などの番号を自動的に付けてくれ、参照箇所には番号やページを自動 挿入できる。また、柱 (各ページの上か下に出力する章や節の名前などのこと) も 自動的に作ってくれるという非常に便利な機能が LATEX には備わっている。 のようにニ行目から全角 3 文字分下がった状態で出力される。一行目を下げたい時は、一 行目の文章の前に下げたい分だけ全角スペースを入れるとよい。もちろん突き出しインデ ントを終了するときには、インデントの時と同じように\end{突き出しインデント}を入 力すること。 (3) 箇条書き 実際に箇条書きのコマンドを入力して、出力してみる。 LATEX には ・ 記号付き箇条書き ※ 番号付き箇条書き の機能がある。 このように出力するためのコマンドは以下の通り。 \LaTeX には \begin{itemize} \item 記号付き箇条書き \begin{itemize} \item 番号付き箇条書き \end{itemize} \end{itemize} の機能がある。 コマンドを入力する際に、第二階層の部分を半角 2 文字分下げているが、別に下げても -8- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 下げなくても出力されれば同じである。ただ、下げることで自分自身にも見た目にも第二 階層であることがわかりやすいので下げている。 (4) 略号表・文献表 略号表、そして文献表の書式は、日本西蔵学会の学会報のスタイルを参考にした。しか しこの書式は一般的にも広く使える記述方法である。どのような文系の論文を書く上で も、この書式を利用すれば問題ないといえる。それでは実際にコマンドを入力して、出力 してみる。 (i) 略号表 略号表 Cf. confer …を参照 rev. revised 改訂 e.g. exempli gratia たとえば このように出力するためのコマンドは以下の通り。 \begin{略号表}[LNMB] \item[Cf.]confer …を参照 \item[rev.]revised 改訂 \item[e.g.]exempli gratia たとえば \end{略号表} (ii) 文献表 文献表 奥村晴彦 2004 『LATEX 2ε 美文書作成入門』技術評論者 澤田昭雄 1977 『論文の書き方』講談社学術文庫 藤田眞作 1998 『続 LATEX 2ε 階梯・縦組編』アジソン・ウェスレイ・パブリッシャーズ・ジャパン -9- 文系研究者のための LATEX 環境の構築 このように出力するためのコマンドは以下の通り。 \begin{文献表} \item 奥村晴彦 \Year{2004}{\tume『\LaTeXe 美文書作成入門』技術評論者} \item 澤田昭雄 \Year{1977}{\tume『論文の書き方』講談社学術文庫} \item 藤田眞作 \Year{1998}{\tume『続\LaTeXe 階梯・縦組編』アジソン・ウェスレイ・パブ リッシャーズ・ジャパン } \end{文献表} コマンドを書いていく時に注意をしなければいけない点は、略号表では全体的にスペー スを入れてあるのが目立つが、それは全て半角で入れる。文献表の\item と著者名の間に は半角スペースを入れること。そして\item の間と\Year の間には必ず一行空けて区切 ること。あとは、かぎ括弧「」の前には\tume を使用すると、出力して表示されたときに 文章が見やすくなるので試していただきたい。 (5) 後注・脚注 文章中に注を挿入したい箇所があれば、その箇所のすぐ後で\footnote{注内容}、もし くは\注{注番号}コマンドを書く。\注{注番号}を書いた場合は、その箇所の文章の段落 が終わったあたりに\注本文{注番号}{注内容}を書く。あとはその注をどこに出力したい かで後注か脚注を使い分ける。後注の場合は、後注したい箇所で\後注と書き、脚注の場 合はプリアンブルで\脚注と書けば出力される。 それでは実際にコマンドを入力して、出力してみる。 - 10 - 文系研究者のための LATEX 環境の構築 では、TEX に関する著書において日本を代表するものである、奥村晴彦氏の『LATEX 2ε 美文書作成入門』の第一章を参考にさせてもらい簡単に説明していく。なお、奥村氏は (1) 「TEXWiki」 というサイトも立ち上げられており、TEX の情報を随時更新されている。 注 (1) http://oku.edu.mie-u.ac.jp/˜okumura/texwiki/ 「TEXWiki」奥村 晴彦 このように出力するためのコマンドは以下の通り。 では、TEX に関する著書において日本を代表するものである、奥村晴彦氏の『LATEX 2ε 美文書作成入門』の第一章を参考にさせてもらい簡単に説明していく。なお、奥村氏は 「TEXWiki」\注{1} というサイトも立ち上げられており、TEX の情報を随時更新されて いる。 \注本文{1}{http://oku.edu.mie-u.ac.jp/˜okumura/texwiki/ 「\TeX Wiki」奥村 晴彦} \後注 (6) 雑多なマクロ 雑多なマクロに関しては文章で書くよりも実際に出力したものを見てもらえれば、どう いった箇所で使用するのかがみえてくる。 まず、質問 1 EasyLayout を使ってみての率直な感想 に対して、 ・ 多彩な機能をよく実装してあり感動した。 ・ とても使いやすいと思う。自分の思った通りに書けると思う。TEX でいろいろなレ ポート、文章を書こうという気になった。 という回答を得ることができた。 この回答によって、EasyLayout を率直に使いやすいと感じてもらえたことが大きな収 穫であった。特に 「自分の思った通りに書ける」という回答から、EasyLayout のレイアウ トの設定、新たなコマンドなどを便利だと感じてもらえたのではないか。 次に、質問 2 EasyLayout を使ってみて、便利だなと感じた点 このように出力するためのコマンドは以下の通り。 - 11 - に対しては、 文系研究者のための LATEX 環境の構築 まず、質問 1\− EasyLayout を使ってみての率直な感想\−に対して、 \begin{itemize} \item 多彩な機能をよく実装してあり感動した。 \item とても使いやすいと思う。自分の思った通りに書けると思う。\TeX でいろいろ なレポート、文章を書こうという気になった。 \end{itemize} という回答を得ることができた。 この回答によって、EasyLayout を率直に使いやすいと感じてもらえたことが大きな収 穫であった。特に\tume「自分の思った通りに書ける」という回答から、EasyLayout の レイアウトの設定、新たなコマンドなどを便利だと感じてもらえたのではないか。 \一行空け 次に、質問 2\− EasyLayout を使ってみて、便利だなと感じた点\−に対しては、 この他には半角空けたい時に使う\ake がある。\ake を使用する場合は後ろに半角ス ペースを入れること。\∼に関しては、2 節の (10) 雑多なマクロで説明した通り、半角の マイナス記号を使用する際に一度試していただきたい。 - 12 -
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