東日本大震災支援事業 特定非営利活動法人いわて子育てネット 東日本大震災支援中間報告 平成 23 年 3 月 11 日∼5 月 31 日 2011 年 3 月 11 日の東日本大震災で被災された方にお見舞い申し上げますとともに、 犠牲になられた方に謹んでお悔やみ申し上げます。 国内観測史上最大のマグニチュード 9.0 を記録したこの大地震は、津波や火災で未曾 有の災害を生み、被災地の復旧、復興には多くの年数と多様な支援が必要となることが 予想されます。そこで、特定非営利活動法人いわて子育てネット(以下、子育てネット という)は子育て支援 NPO として初期、中期、長期として次のような支援を行なって いきます。 【初期支援】平成 23 年 3 月 11 日∼5 月 31 日 1. 新生児と褥婦(母親)およびその家族の受け入れ支援 z 内容・・・緊急時の支援として、医療機関、行政、その他多様なネットワーク を活かし、被災し、住居を喪失した新生児と母親を中心とした受け入れ支援の 実施。また、盛岡市内の医療機関で出産し、居住地が被災し帰宅できなくなっ た新生児と褥婦(母親)およびその家族も含む。 z 支援内容・・・産後ケア、メンタルケア、子育て物資、生活物資支援 z 対称・・・盛岡に避難してきた被災家族、沿岸地被災家族 2. 避難所慰問 3. 被災者物資提供 【中期支援】平成 23 年 5 月下旬∼平成 24 年 3 月 1. 乳幼児のメンタルケア 2. 被災地子育て支援センター活動支援 z 事業名称・・・出前子育てサポートセンター(出前ぽこぽこ) z 内容・・・視察・調査 遊びの提供、子育て相談、お母さんのリラックスタイム、絵本の読 み聞かせ、フリートークなど z 3. 4. 20ヵ所 盛岡市に避難して来た乳幼児家庭子育て支援 z 子育てサポーター養成講座(基本、フォローアップ編) z 被災者のための乳幼児無料一時預かり z 被災者のための「ママのリラックスタイム」 z 被災者向け子育て情報提供(リーフレット) ファミリーハウスの設置 z 5. 活動地域・・・被災した沿岸を中心に岩手県内 盛岡市内の大病院小児科に入院が必要になった被災者の家族の宿泊支援 その他必要に応じた支援 -1- 東日本大震災支援事業 【長期支援】平成 24 年 4 月∼ 1. 地元で子育て支援活動している個人、団体のニーズに合わせた支援 -2- 東日本大震災支援事業 新生児と母親および家族の受け入れ支援について 【背景】 z 出産で入院している間に被災し、住まいを無くしたり、ライフラインが遮断さ れ退院しても帰る場所がない患者が居ると医療現場からの声が届く。 z 新生児と褥婦(母親)が被災したことで身体的にも、精神的にも厳しい状況に 置かれ、母乳分泌低下や、それに伴う新生児の栄養低下、情緒不安定など健康 問題が生じる可能性がある。 z 出産のために盛岡の医療機関に入院している患者の中にも被災し帰れない状況 の親子も居る。 z 子育てネットは日ごろから子どもを生み育てやすい環境づくりのために、母親 に子育てが楽しいと感じてもらえるように子育て支援をしている NPO である。 また、理事の構成メンバーに産婦人科医、小児科医、精神科医の医療関係者も 多いことから緊急時の対応として周産期医療の観点から取り組んだ。 【目的】 z 新生児や産褥時の母親の健康を守る z 新生児や産褥時の母親の安心、安全な居住環境づくり z 母親や家族の育児を応援する 【対象】 z 沿岸地で被災し住まいを失った新生児と母親およびその家族 z 盛岡市医療機関で出産し被災地の住まいを失った新生児と母親およびその家族 【活動場所】 盛岡市 【事業内容】 ■新生児と母親およびその家族の受け入れ ■居宅(アパート・電気製品・生活物資を含む)提供 ■支援物資受け入れ、配付、発送 【支援要項】 A 沿岸地で出産し被災した方 沿岸地で被災し住まいを失った新生児と母親およびその家族 新生児と母親は、サンセール盛岡に受け入れ(1 週間)、滞在中に助産師によ る母乳指導、沐浴指導、育児相談、保健師による健康相談、今後の生活相談 等を行う。 また、家族はアパート等に入居し待機する(1 ヶ月間)。新生児と母 親は、サンセールを退所後家族のいるアパート等にもどる。 B 盛岡市医療機関で出産し被災した方 盛岡市医療機関で出産し被災地の住まいを失った新生児と母親およびその家 族を対称に 1 ヶ月間 一時避難所(アパートなど)での生活支援を行う。 -3- 東日本大震災支援事業 【事業成果】 支援総件数:7 件 サンセール盛岡利用件数:5 件(10 人) アパート利用件数:5 件(13 名) その他:■初動から岩手県児童家庭課、盛岡市児童福祉課に情報共有しながら、協 働の形で実施した。 3 月 14 日 22 日、国(厚生労働省)からも、協力依頼の文書が出されたこ ともあり、行政と協働しやすかった。盛岡市に働きかけ乳幼児を持つ家庭 の受け入れ施設(こもれびの宿)が設置された。 花巻の他団体(花巻市民活動ネットワーク)が、本支援事業を参考に妊産 婦受け入れ支援を花巻地区でも行なっている。利用件数 5 件 【事業経緯】 3 月 11 日 東日本大震災当日 3 月 14 日 ①理事長村井軍一先生から支援について事務所に打診 ・宮古病院に帰宅できない患者あり、受け入れ可能か ・理事会決議に先行し、以下の準備始動 ②事業企画案作成 ③受け入れるための施設、アパート手配 ④登録サポーターに連絡、研修のための講師手配 ⑤学生ボランティ手配 ⑥岩手県、盛岡市に相談 3 月 15 日 ①受け入れのためのサポーター(登録)研修会実施 (講師:助産師・保育士・専門相談員、参加者子育てネット登録者 12 人) ・サポーターの役割 ・被災者に接するときの心得、注意点 ・兄弟・姉妹の預かりについてなど、 ②一次預かり施設サンセール盛岡に決定 ③第 1 回会議開催 (参加者:岩手県産婦人科医会会長、日本助産師岩手県支部、岩手県立 大学看護学部、岩手県件幸福支部、盛岡市保健福祉部児童福祉課、 村井軍一子育てネット理事長以下理事、飯塚肇(居宅提供)) 村井先生から起案 (支援内容、支援場所、支援担当の確認 ) ・東日本大震災支援の初期緊急支援として、被災した新生児と褥婦および その家族とする。 ・行政が機能するまでの暫間的な支援とする。 ・支援内容について ・各機関連携して施行する。 3 月 17 日 ①県庁へ事業説明 -4- 東日本大震災支援事業 ②サンセール盛岡受け入れ(サポーター松橋、下川助産師待機) ・KY(岩手県立宮古病院→岩手県立中央病院→サンセール盛岡) 里帰り先の宮古病院で出産。実家が津波で流され盛岡に避難希望 新生児と母親が救急車にて搬送されてくる。 子育てネットサポーターが中央病院からサンセール盛岡まで付き添い、 受け入れ手続きを行なう。 助産師待機(3 月 17 日~3 月 24 日、母乳指導、沐浴指導、育児指導) ・SK(岩手県立宮古病院→サンセール盛岡) 里帰りで宮古病院で出産。実家が津波で流され盛岡に避難希望 直接タクシーで移動 助産師待機(3 月 17 日~3 月 24 日、母乳指導、沐浴指導、育児指導) ③第 2 回会議: 3 月 18 日 産後支援について ①物資の受け入れ始動 ②学生ボランティア始動(登録者数 40 人) ・事業オリエンテーション(事業説明) ・ボランティアマニュアル(電話受付、物資受け取り) ・ボランティア分担(電話受付、物資仕分け、記録、HP 作成、物資運搬、 アパート整備) ③サンセール盛岡サポートマニュアル確認(サポーター登録者 12 人) ④学生昼食賄いボランティア始動(3 月 22 日∼3 月 31 日) ⑤サンセール盛岡に八木淳子精神科医が滞在中の KY ,SK を訪問 3 月 20 日 ①アパートリバーコートⅡに入居 ・MY(盛岡赤十字病院から) 逆子(骨盤位)のため宮古より盛岡赤十字病院入院中に被災したが、 正常位にもどり退院を迫られたが家が津波で流され帰宅できなかった ため、出産までアパートで生活。 ②サンセール盛岡に三浦義孝小児科医が滞在中の KY ,SK を訪問 3 月 22 日 ①サンセール盛岡受け入れ ・IT(医大より連絡) 医大で出産。新生児が新生児特定治療管理 室(NICU)に入院。毎日母乳を与えるため -5- 東日本大震災支援事業 にサンセール盛岡から通いたいという希望 3 月 24 日 KY 東京に帰宅 SK 横浜に帰宅 3 月 28 日 ①新生児用物資搬入(岩手県立中央病院) ・退院して釜石に帰る赤ちゃんへ 3 月 29 日 ①アパート南ハイツ掃除、生活物資搬入 3 月 30 日 ①南ハイツ 201 号入居 ・AT 大槌で被災、日赤にて出産 ②南ハイツ 603 号入居 ・IT(サンセール盛岡より) 3 月 31 日 4月1日 ①助産師(日本助産師会岩手県支部)A 夫婦に沐浴指導 サンセール盛岡受け入れ ・IK(大槌町で被災、釜石病院が地震の影響で 入院制限があり、盛岡市吉田産婦人科に 転医し避難してきた) 4月2日 サンセール盛岡受け入れ ・TM(大槌町で被災、釜石病院が地震の影響 で入院制限があり盛岡市吉田産婦人 科に転医し避難してきた。姑が付き添 い) 4月4日 アパートスリーエイト SY ・TM(サンセール盛岡から移動、アパートか ら通院、姉が付き添い) 4月8日 岩手県立大船渡病院へ紙オムツ、粉ミルク等提供 (岩手県医師会藤村) 4 月 10 日 MY リバーコートⅡ退去 日赤に入院 4 月 11 日 MY 日赤にて男児出産 4 月 13 日 メゾン長月入居 IK( 吉田産婦人科に入院)) 4 月 14 日 南ハイツ 603 号 退去 -6- 東日本大震災支援事業 ・IT(夫、盛岡に就職が決まり、盛岡市内へ) 4 月 15 日 IK 吉田産婦人科にて女児出産 4 月 16 日 TK 吉田産婦人科にて女児出産 4 月 18 日 第 3 回会議 経緯説明・現状報告について 4 月 21 日 TK 吉田産婦人科退院 アパートへ 4 月 26 日 AT 日赤検診 4 月 28 日 AT アパート退去 遠野へ 5 月 22 日 IK アパート退去 釜石へ *サンセール盛岡では助産師が毎日訪問し、母子の体と心のケアを行なった。また、産 婦人科医、小児科医、精神科医も訪問してもらえたことは、母子はもちろん、私たちも大 変心強かった。 各アパートには、看護師、保育士、専門相談員の有資格者の担当サポーターが電話によ る様子伺いを絶やさず、利用者の必要に応じて生活物資の補給等生活支援を行なった。 また、アパート利用者の希望者には日本助産師会岩手県支部から助産師が派遣され沐浴 指導等が受けることができ、一緒に受けた父親も育児にもこれからの生活にも意欲を見せ てくれた。 このたびの支援を実施するに当たり、県内外のご支援をいただき行なうことができた。 心から感謝申し上げる。 各アパート入居準備にも、不動産業有志によりアパート居室の提供、生活電気製品・備 品の設置、搬入、清掃など多くの学生ボランティアが参加してくれた。その真摯な姿に、 日本の明日への希望を感じた。 災害初期の緊急支援として子育てネットの「新生児と母親および家族の受け入れ支援」 は、一応終息を迎えたと捉えるが、盛岡市の乳幼児受け入れ施設設置や花巻市での同様の 支援にと広がりを見せている。 -7- 東日本大震災支援事業 【本部体制】 ◎実行委員長 いわて子育てネット 理事長 村井軍一 ・医療機関との連絡調整に関する事 ◎実行副委員長 いわて子育てネット 事務局長 両川いずみ ・本事業の運営、統括に関する事 ・全体の連絡調整に関する事 ・協力団体との連絡調整 ・報道機関対応 ◎実行委員 いわて子育てネット役員 ◎サンセール盛岡母子担当 助産師 下川玉枝 ・サンセール盛岡に滞在する母子のケア、母乳指導、沐浴指導、育児相談、 ◎アパート手配 飯塚肇 ◎物資運搬 塩谷 ◎サポーターコーディネーター いわて子育てネット 本田美保子 ・サポーターの調整、派遣に関する事 ○いわて子育てネット サポーター ・対象者の搬送付添いに関する事 ・対象者の相談対応及び家事の補助(買い物等)に関する事 ◎ボランティアコーディネート いわて子育てネット 岩手県立大学学生 辻本利枝 伊藤舞 ・受入先(空き家、アパート)への生活物品の搬入に関する事 ・受入先(空き家、アパート)の設営に関する事 ・支援物資仕分け、物品管理に関する事 ◎物資受入担当 いわてNPOフォーラム21 スタッフ ・生活物品の調達に関する事 ・ボランティアのコーディネートに関する事 ・受入先(空き家、アパート)への生活物品の搬入に関する事 ・受入先(空き家、アパート)の設営に関する事 ○岩手県公会堂 ・物品の保管に関する事 【連携機関・団体】 岩手県、盛岡市、岩手県医師会、岩手県産婦人科会、盛岡市産婦人科会、 日本助産師会岩手県支部、岩手県立大学看護学部、サンセール盛岡、 盛岡市不動産業有志、NPO 法人いわて NPO フォーラム 21、 NPO 法人花巻市民支援ネットワーク -8- 東日本大震災支援事業 【支援団体・個人】 ■支援物資 第一商事 /JR 東日本 タリークラブ ター 盛岡 /東京海上日動火災(株)/三井住友 /飯塚商会 田中 /盛岡ロー アベ/NTT 東日本 /岩銀大通支店 /JOIS/(株)ジェクス /青山保育園支援セン 山内 /NHK 小松局長/アイクレオ㈱ /ニトリ /岩手県立大学看護学部 /岩野商会 /NTT タナベ支店長 /村上米穀店/エムテック㈱ 医院/ビーンスターク・スノー㈱ 三浦 /菱和建設㈱ /黒川産婦人科 石田 /日立物流 /杏林製薬㈱/(株)Beah Stalk /東日本 CD / ㈱ワールドサプライ気付/㈱ダッドウェイ・ロジスティックセンター /NPO法人 まさん/㈱あった /日本助産師会岩手県支部 /千里山グレース幼稚園/庄司産婦人科 藤倉 /助産師会 庄司 /イナモリ薬局 杜のく 市原/虎子食堂 /Umi のいえ 稲森/NPO 法人子どもるーぷ 袖々浦 /BESS 岡山/株式会社ダッドウェイロジスティクスセンター/株式会社鍵屋 サラダ 館ホットライン肴町店/(有)ゼネラルサービス盛岡パンパンチュチュ/カナダ・アルバータ州 政府在日事務所/NPO法人子どもるーぷ袖ヶ浦/BESS岡山/イナモリ薬局/カナダ・アル バータ州政府在日事務所/岩手のアオダモを育てる会/かごしまNPO支援センター/浅草着 物工房 /佐藤/吉田/村上/荒津内/若松/渡辺/工藤/伊達/川村/八重樫/細田/川島/中村/尾張/小枝指/兼平 /松浦/藤井/福島/菊池/柏木/小山田/小笠原/原/小山/松岡/堀米/塩屋/上川/菅原/土屋/ツヅキハシ /祝田/水口/大宮/佐々木/岩泉/女鹿/木幡/藤澤/高橋/土橋/森/山田/若林/白井/水本/坂下/村井/阿 部/藤村/眞田/櫻庭/本木/飯塚/ヒョー・エイ・エイ/大舘/村山/鈴木/小川/小河原/本間/小谷/小澤 /野本/藤原/吉田/平金/平野/下川/荒津内/黒川/中島/多田/高橋/田中/柴野/星/木村/伊藤/杉本/大 須賀/塚田/阿部/岡/柳沢/奥平/松浦/福島/館山/大木/曽川/葛西/柄澤/岩永/大野/和田/網崎/浦/ 佐々木/佐々木/佐藤/佐藤/高橋/佐藤/鈴木/鈴木/小笠原/米田/川村/村塚/丹野/布村/戸塚/片桐/森 /鈴木/西岡/高田/杉山/中津留/綱嶋/前野/中澤/大野/岩永/柄澤/葛西/曽川/大木/館山/福島/松浦/ 奥平/柳澤/阿部/葛西/中澤/岡/阿部/塚田/大須賀/杉本/星/柴野/田中/高橋/多田/中島/井野/井館/ 古山/木村/吉田/和久田/今西/大藤/別府 ■支援金 小林産婦人科医院 小林高 /岩手県産婦人科医会/盛岡市医師会産婦人科診療部会(桃花 会)/ヨシキリギンバン (カ/一般社団法人 WIND/NPO 法人子育てひろば全国連絡協議会 /(有)コモエスタ/日本財団 /オオシロ ツチモト ノリコ/タチバナ 尋 /ナガカワ マ タカシ /アナミ トシコ /オノ コウ /シノハラ ケイコ/クマガイ タクオ /岡入 ユキタカ /テンドウ ミキ /キシノ(アメミヤ)ノリコ/カネヒラ メグミ /クマガイ カズエ/フクイ サトコ /フルカワ フミコ /スノハラ 貴子/井上 ムツコ /トドロキ フミエ /浦 朱美 /コハラ ユキ / 直子 /畔柳 千 ユキ/ハタケヤ 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