NEWSLETTER January 2007

NEWSLETTER
January 2007
CRESTEC EUROPE
ニュースレター
2007 年 1 月(7th)
お正月としては、少々遅くなりましたが 新年明けましておめでとうございます。2007 年も
皆様の繁栄と更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。本年もクレステック一同、御社のド
キュメント作成のお力になれるように頑張って参りますので、ご指導・ご鞭撻の程、宜しくお
願い申し上げます。
さて、2007 年最初のニュースレターでは、CRESTEC EUROPE の組織変更(人事異動)と欧米
のフランス語の相違、それからEUの拡大についてご報告させていただきます。今回最も大き
な変革としては、トップが替わることです。いつもの人物紹介と合わせて新人事についてもご
案内させていただきます。
【CRESTEC EUROPE 組織変更】
1997 年 12 月から 2007 年 1 月までの 9 年間、トップとしてマネージメントしてきました社長
の高林彰(Akira Takabayashi)が異動することになりました。後任としては、現在日本の
CRESTEC 松本事業所の所長であります栗沢威臣(Takeomi Kurisawa)が 2 月より副社長として
赴任いたします。
今回の人事異動では、高林は香港の CRESTEC ASIA LTD.に社長として異動となりますが、統
括者(President)として CRESTEC EUROPE に引き続き籍を置くことになります。ただ、現実的
には全てのオペレーションは、副社長であります栗沢に委ねられます。今回の異動によりトッ
プも若返りとなり、その力強いエネルギーで更なる飛躍を目指して参ります。
今回この人事異動の機会を借りまして、両者の人物紹介をさせていただきます。
■ 高林 彰(Akira Takabayashi)
現在 CRESTEC Inc.の役員でもあります高林は、1958 年
にクレステックの本社があります静岡県浜松市で生まれ、
高校卒業まで浜松で過ごしました。その後は、グラフィ
ックデザイナーをめざし東京へ上京し、専門学校にてデ
ザインを学び、新人デザイナーとして小さな制作会社に
就職しました。
クレステックへの入社は、それから 10 年後の 30 歳の時
であります。その 10 年間では、デザイナーとして生計を
立てながら、文化交流を目的としたボランティア活動から日本人形の制作等、多岐にわたって
活動しておりました。特に、人形制作においては日本の伝統文化紹介のための"Japan in
Rotterdam ’84”という“日本・オランダ通商 375 周年記念総合日本展”にロッテルダム市より
招聘されました。多くの日本伝統工芸者に混じり、皇室の愛玩用として可愛がられてきました
市松人形を、3 ヶ月間に渡りオランダを初め Europe 各国の方たちへ製作工程の実演を交えて紹
介しました。その後も人形を通してドイツ・ハワイでも公演を実施。活動の場を世界に広げて
行きました。
前述のように 30 歳にしてクレステックへ入社することとなりますが、それまで未経験の営業
職に就き、9 年間日本にて担当顧客を持ち活動してきました。
元々海外志向が強く海外勤務を希望していたこともあり、9 年後の 97 年末、偶然にもかつて人
形作家時代に渡航したオランダに転勤命令が出ました。高林にとっては、オランダが第 2 の故
郷ということもあり、これ以上のチョイスはありませんでした。
その後は、CRESTEC AMSTERDAM(現 CRESTEC EUROPE)の代表として、社内構造の改善
から顧客拡大を進め現在に至っております。この 9 年間で、EUの拡大とともに CRESTEC
EUROPE も大きな成長を遂げることができました。
“最後に本人よりひと言”
元々創作することが好きで、デザイナーから人形作家等、幅広く勉強してきました。現在の業
務は、見た目はまったく違う世界のように映りますが、私からしますと現在のクレステックの
業務は、人と人、人と物を結ぶコミュニケーションツールを創作・提供しています。その意味
では、我々の業務もビジュアルにてアピールすること、創作物でコミュニケーションをとるこ
とと同じと思っております。そして、相手と心が通い合い、意図を理解してもらえることで大
きな喜びを同じように感じます。テクニカルドキュメントの世界ではありますが、これからも
心のこもったコミュニケーションツールを創造していきたいと思います。今後は、香港に居を
構え、中国地域での製造に関わっていきますが、また新たなチャレンジとして頑張ってまいり
ますので、引き続きご指導の程、宜しくお願い致します。
■ 栗沢 威臣(Takeomi Kurisawa)
CRESTEC EUROPE に副社長として新たに就任します栗沢(36 歳)は、高林と同じく静岡県浜
松市で生まれ育ち、その後米国サンノゼ市でビジネスマネージメントを学びました。米国での
学業修了後、現地の日系射出成型機メーカーの QA セクションで働き、その後日本へ帰国し
CRESTEC Inc.に入社しました。入社後は本社の営業部員として配属され、情報機器メーカーの
マニュアル営業を担当しました。
その後、2000 年に CRESTEC USA Inc.へ赴任となり、インターナショナルビジネス部に配属、
フルフィルメント業務、翻訳部の立ち上げの初動を担い、新しいビジネススタイルの確立を行
いました。3 年間のアメリカ暮らしの後、本社からの帰任命令により現在の CRESTEC 松本事
業所の所長となっております。
“クレステック入社の動機は何でしょうか”
アメリカ滞在中は、言葉や文化が異なる中でコミュニケーシ
ョンを正確に行い、文章を正しく理解するということは、言
語を勉強している環境であってもとても困難ということを経
験しました。しかもそれは生活に関わる死活問題でした。理
解したと錯覚していることもありますし、本質的に間違えて
理解していても気付かないこともあります。そのような経験
を生かし、言語や文化を超える橋渡し役になりたいと考えて
いました。CRESTEC は、異なる国、商品とユーザー、会社と会社を正確に橋渡しする業務を
専門とするプロ集団と映り、そして実際その通りでありました。ドキュメントやオンラインコ
ンテンツ制作、翻訳、ローカライゼーションといった業務は、商品とユーザーをコミュニケー
トさせる、重要な橋渡し役であると確信しています。
【欧州フランス語とカナダフランス語の相違】
欧州言語への翻訳において、「フランス語に翻訳する」といえば普通は欧州のフランス語を指
します。一方、北米向けの製品にはカナダのフランス語に翻訳することもあります。今回はこ
の2つのフランス語の経緯と違いについてレポートさせていただきます。
現在のフランス共和国の言葉であるフランス語は、ローマ人の侵略によって持ち込まれた近代
ラテン語に代わって、16 世紀に当時のフランス王国の公式言語となりました。現在では世界
29 カ国の公用語となっています。このようにフランス語が世界的に使われるようになったの
は、16 世紀から 20 世紀にかけてフランスが植民地を拡大していった結果といえるでしょう。
カナダのフランス語も同様にフランスの植民地化のひとつとして広まりました。カナダは
1534 年にフランス人の海洋探検家ジャック・カルティエ(Jacques Cartier)により発見されまし
た。彼はカナダ本土に上陸し、後のフランスによるカナダ領有の基礎を築きました。このフラ
ンス領は「ヌーベルフランス(Nouvelle-France: ニューフランス)」と呼ばれ、瞬く間に現在の
カナダよりも広い範囲に及び、北米全域を含むまでに広がりました。
17 世紀から 18 世紀にかけて、ヌーベルフランスは、現在のアメリカ東海岸地域に広がってい
た強敵のイギリス軍との間で戦いを繰り返しました。そして 18 世紀半ばには、この地におい
て 200 万人を擁するイギリス軍が、わずか 7 万人のフランス軍を圧倒しました。1760 年、数と
技術で上回るイギリス軍はついにモンレアル(Montréal: モントリオール)を手中に収め、北
米における 200 年のフランス統治に終止符を打ちました。
しかし、イギリス人はフランス人入植者を完全に同化させることは出来ませんでした。当時の
フランス人入植者は、独自の言語や文化的な違いを現在まで保ち続けています。ヌーベルフラ
ンスがヨーロッパの母国から切り離され 250 年経った現在、カナダにおけるフランス語人口は、
カナダ総人口 3200 万人のうち 800 万人と推定されています。このうちのほとんど(600 万人)
はケベック州(Québec)に住んでいます。北米大陸の大きさからすると、フランス語人口の割
合は、隣接するアメリカの強力なカルチャーパワーに押されて減少するばかりで、フランス系
カナダ人は文化遺産を保とうと悪戦苦闘しています。これに比べ、欧州のフランス語人口(お
よそ 7000 万人で、主にフランス、ベルギー、スイスに存在)は、英語人口(英国とアイルラ
ンド)とほぼ同じです。このため、欧州フランス語は一般的に英語に対してとても寛容ですが、
カナダでは英語を使うことは文化的な脅威と受け取ります。
欧州フランス語とカナダフランス語の違いは、話し言葉で特に目立ちます。たとえば、発音の
違いはそれほどでもありませんが、アクセントの違いは大きく、ある特定の表現や言葉遣いな
どにも違いが見られます。実際、話し言葉としてのカナダフランス語は、18 世紀のフランス
人入植者が使っていた様々な地方の方言の混じりあったものが独自に変化し、その結果、欧州
フランス語使用者の耳にはとてもおかしく聞こえるような発音の言語となっていったのです。
この違いにもかかわらず、書き言葉は欧州フランス語と全く同じ文法や綴り方です(カナダフ
ランス語はフランス語に関する学術的国家機関であるアカデミーフランセーズ(Académie
française)の決めた規則に従っています)。しかし、絶えず英語の流入に抵抗する必要があっ
たため、結局英語を一切拒否し、新しい表現は逐一フランス語に翻訳されるようになりました。
一方の欧州フランス語では、英語を語彙に取り入れていきました。これは特に現代の科学技術
関連、例えばコンピューターやインターネットの分野でよく見られ、英語に由来する様々な新
しい用語が生み出されました。
カナダとフランスで異なる用語の例
英語
e-mail (電子メール)
Firewall (ファイアウォール)
parking lot (駐車場)
car (自動車)
tap (水道などの蛇口)
mosquito (蚊)
chat (on the internet)
(インターネットでのチャット)
shopping (買い物)
カナダフランス語
Courriel
coupe-feu
Stationnement
Char
Champlure
Maringouin
Clavardage
欧州フランス語
e-mail
Pare-feu
Parking
Voiture
Robinet
Moustique
Chat
Magasinage
shopping / lèche-vitrines
このほか、両フランス語には規則上の違いも存在します。例えば、欧州フランス語では大文字
にアクセント記号をつけるのは強制されませんが、カナダフランス語では大文字で書かれた
CONNECTÉ の代わりに CONNECTE のようにアクセント記号を省略すると誤りとみなされま
す。また、カナダフランス語ではフランス語の引用符( « » the chevrons シェブロン)を使用
することが求められますが、フランスでは英語式の引用符 (“ ” guillemets anglais ギュメ・ア
ングレーズ)を使っても問題にはなりません。
いくつかの規則や言葉遣いの違いのほかは、テクニカルドキュメントにおいては欧州フランス
語とカナダフランス語はほぼ同じです。ただ、同じ翻訳をそのまま両者に兼用する事は、用語
とアクセントの違いがあるので、無理が生じます。文化や社会生活、芸術などの分野では欧州
フランス語とカナダフランス語は表面的には異なった点がありますが、もともとひとつの言葉
だったのですから、コミュニケーションは常に可能です。
テクニカルドキュメントにおける両フランス語の対応方法について、質問がございましたらお
問い合わせください。
【EU 新加盟国と言語拡大】
2004 年 5 月に 25 カ国に拡大した EU に、2007 年 1 月から新加盟国 2 カ国が加わり 27 カ国とな
りました。Europe の東端で黒海に面したルーマニアとブルガリアがその新加盟国です。
EU が 27 カ国体制になることで、人口が 3000 万人(ルーマニア:約 2,200 万人、ブルガリア:
約 780 万人)増え、合計約 4.9 億人となり、域内総生産(GDP)においてもアメリカをしのぐ 11
兆 4000 億 Euro となります。
このように巨大な市場として
拡大しておりますが、ドキュ
メントの世界では言語別の市
場規模がそれほど大きくなく、
製造会社にとってはまたロー
カリゼーションは頭の痛い問
題です。
言語としては、当然ルーマニ
ア語とブルガリア語が公用語
となり、EU の中でも公式文
書として扱われます。製品に
付随するマニュアルにおいて
も今後これらの言語に対応し
ていかなくてはなりません。
近年マニュアルの言語数は拡
大を続けておりますが、各社
はこれらの言語ではまだ限ら
れた製品のみにしか対応して
いないのが実情です。
次に、既存加盟国のアイルランドですが、2007 年 1 月に EU の公用語としてアイルランド語が
追加されました。アイルランド語に関しては他の公用語と異なり、全てのドキュメントを翻訳
する必要がない適用除外規定が存在します。このため、アイルランド語に翻訳しなければなら
ないドキュメントは、主要なものに限定されます。アイルランドでは、通訳や翻訳者の数が少
なく、アイルランド語を母語としている人も少ないということで、このような特例処置が設け
られております。これは、マルタ語においても同じです。マニュアルにおいては、アイルラン
ド語もマルタ語もすぐに全ドキュメントを翻訳対象とする必要はないでしょうが、一部の警告
文を含むラベル等では対応が必要になるかもしれません。
加盟国拡大、言語の増加にともない、現在 EU は 27 カ国 23 公用語になります。
これからの言語対応及び、言語に絡む EU 規定の詳細につきまして質問がございましたら、弊
社までお問い合わせください。
CRESTEC EUROPE B.V.
Teleportboulevard 110, 1043 EJ Amsterdam, The Netherlands
Tel: 00 31 (0) 20 585 4640
Fax: 00 31 (0) 20 585 4646
Note:
弊社 Europe オフィスの情報につきましては、英語版 web site (www.ceu.crestec.com) を、そして
株式会社クレステック(日本)につきましては、日本語版 web site (www.crestec.co.jp) を参照ください。
さらに、弊社 Europe オフィスについてご意見・ご希望のある方は、弊社担当者もしくは、
[email protected] へご連絡ください。
なお、今回のニュースレターは弊社メーリングリストより配信しております。配信中止をご希望の方は、
[email protected] まで連絡頂きますようお願い致します。