可視偏光サーベイ計画 --- 川端 弘治 (広島大)

(広島大の)可視偏光サーベイ計画
広島大学 宇宙科学センター
川端 弘治
MAGNUM望遠鏡(東京大)
星間偏光 ~ 天の川銀河の磁場
Heiles (2000); Whittet (2003)
全天の星の偏光観測 → 遠くの星の偏光は「星間偏光」
星間偏光の向きは、銀河磁場の向きを表す
銀河磁場は一様成分とランダム成分の合成(Heiles 1987, 1996)
ランダム成分のスケール長 ~100pc (diffuse) or 数百pc (all)
2
(Jones et al. 1992)
これまでの偏光測定カタログ
• 単バンド
– Heiles (2000) 9286星 (E(B-V), 距離含む)
過去の様々な偏光カタログのコンパイル 一様性に難
– Hirata et al. (20XX) ~104星?
固有偏光を有する可能性があるものは省く
•
多バンド
– Serkowski+ (1975) UBVR 180星(主に南天)
– Whittet+ (1992) UBVRI-JHK 105星
単バンドでもせいぜい~104個
Cf. 全天の恒星数 5600個(V<6.5)、1.6×105個(V<7.5)
3
個数では7等星まで!
広島大・全天(北天)偏光サーベイ計画(まだ案)
口径~2m望遠鏡を(半)専有 (~MAGNUM望遠鏡の再利用)
15等より明るい恒星の可視~3or4バンド偏光サーベイ
GAIA/JASMINEの距離測定、SDSSのスペクトル型
人類の歴史遺産(レガシー)としよう
• 天の川銀河の詳細な三次元磁場構造
– GAIA, JASMINE衛星による恒星の高精度距離計測との融合
– ALMAの超精細偏光マッピングとも相補的
•
•
•
•
新種の固有偏光天体の発見
星間ダストの統計的性質
前景 星間偏光の高精度見積もり(CMB、遠方銀河・超新星ほか)
前景 星間吸収の高精度見積もり(Rvの位置依存性、dustmap超え)
4
:
偏光サーベイのインパクトの例
Aumont (2007); Guillet+(2011)
100pc
>>1000pc
©JASMINE検討室@NAOJ
GAIA, JASMINEにより恒星の距離が
決まれば、広島偏光サーベイと付き
合わせて天の川銀河全体の磁場構
造も精密に判る、、かも
• 銀河の進化の謎の解明へ
• 数キロpc以上は可視では厳しい
CMB(宇宙マイクロ波背景放射)の偏
光の精密測定(Planck衛星など)によ
るBモード偏光の検出(原始重力波
~インフレーションの証拠)には、前
景の星間偏光(ダスト+シンクロトロ
ン)の精度良い見積もりが必須。
5
広島大偏光サーベイ計画の概要1
• マグナム望遠鏡 主鏡D=2.02m リッチークレチエン光学系
オリジナルはベントカセグレン F/9 視野33.3分角φ (改造要)
• 観測装置 – まだ構想段階
–
–
–
–
(一案)
視野23.5分角×23.5分角(33.3分角φ の内接正方形)
2k2k CCD上に結像 1.3秒角/pixel
ダイクロイックミラー×3 →可視4バンド(B, V, Rc, Ic)
偏光モジュール:半波長板+ウォラストンプリズム?
• どこに置く?
– かなた望遠鏡の隣 (早、安)
– TAO(チリ)の隣(魅力的だが、時間とお金etcが..)
6
(たぶん唯一の)進行中の偏光サーベイプロジェクト
• SOUTH POL(ブラジルのグループ PI: A. M. Magalhaes)
広視野0.84mロボット望遠鏡(CTIO)+ EEV 9k9kCCD
視野 2.0deg2を一度にカバー(但し、単バンド)
2013年に望遠鏡設置予定
偏光ユニット: 半波長板+方解石プリズム
南天δ <-15°を⊿p~0.1%でサーベイ
= 0.83arcsec/15μm
Magalhaes (2012) ESO Surveys
7
広島大偏光サーベイ計画の概要2
•
R=15.0等を15分間(200秒×4露出+オーバーヘッド)で⊿p=0.1%を達成
シーイング1.8秒角、スカイ18.5等/平方秒角、総合効率33%という余裕をみた見積もり
半天球のV=15等より明るい星は1500万個
•
R=13.2等を1分間(10秒×4露出+オーバーヘッド)で⊿p=0.1%を達成
• 北半球全天サーベイ
– 北半球(2π str ~2万平方度)15等までを4バンド⊿p<0.2%でカバー
– 20000平方度/0.153平方度=13万ショット、1晩=8時間=15分×32ショット、13万
/32=4000晩必要、3日に1日の晴天率を仮定 → 約30年間掛かる
(13.2等までなら掛かる時間は15分の1 → 約2年間)
• 銀河面+α (反復、SDSS領域etc)サーベイ
– |b|<10°, l=0-220°(2200平方度)に1000平方度相当を足す
– → 約4.8年掛かる
• 北天+α (銀河面~銀極の一部)サーベイ
– |δ |>20°とか
深さか精度を落とせば、必要期間はいっきに減る…
8
広島大サーベイとSOUTH POLとの比較
サーベイ能力
• 広島大:
2m鏡×4バンド 0.15deg2 晴天率0.3
• SOUTH POL: 0.8m鏡×1バンド 2-3deg2 晴天率0.6?
15等星に対し⊿p=0.1%精度
広島大は800秒で達成
SOUTH POLは2400秒で達成
2mと0.8mで4倍しか違わない??
前ページと同じ計算でいくと、2πstrカ
バーするのに掛かる総日数は、広島大
~4000晩に対し、SOUTH POL~6000晩。
晴天率を考えると逆転されてしまう…
見積りは本当に正しいか?
9
Magalhaes+ (2011)
世界の将来の偏光サーベイ計画
本当に実現すれば
北天と南天で相補的
ESO/Paranal
Magalhaes (2012) ESO Surveys
10
広島大偏光サーベイ計画に興味ある方
ご支援のほど宜しくお願いします
(サイエンス、他なんでも)
11