このプレスリリースはギブン・イメージング社 2010 年 10 月 25 日の発表を翻訳したものです。 Press Release 【最新情報】 ® PillCam SB はクローン病、消化管機能障害、原因不明の消化管出血(OGIB)患者を 正確に評価するツールであることを示す新しいデータが UEGW で発表される PillCam® SB はクローン病患者における粘膜治癒のモニタリングに有望 ― 2010 年 10 月 25 日、スペイン・バルセロナ発 ― ギブン・イメージング社(NASDAQ: GIVN、イスラエル・ヨクネアム)は、クローン病の診断とモニタリングおよび原因 不明の消化管出血(OGIB)患者の管理上の有用性において、PillCam® SB には臨床的価値があることを示すいく つかの新しい研究結果を発表しました。これらの研究結果は、2010 年 10 月 23 日~27 日にスペイン・バルセロナ で開催された 2010 年欧州消化器病週間で発表されましたものです。ギブン・イメージング社はこの学会でブース 番号 36 に出展しました。この学会では、併せて PillCam® ESO および PillCam® COLON カプセル内視鏡の価値を 実証する研究も発表されました。 デンマーク・バイレのリルベルト病院付属バイレ病院の Michael Dam Jensen, MD らが行ったプロスペクティブな盲 検試験(OP119)では、クローン病が疑われる患者または新規に診断された患者 93 例を対象に、カプセル内視鏡、 MRI、および CT-enterography のそれぞれの診断感度と特異度を比較しました。この研究の発表らは、カプセル内 視鏡の感度と特異度がそれぞれ 100%と 91%であったのに対し、MRI と CT の感度と特異度はそれぞれ 81%と 86%、 76%と 85%であったと報告し、カプセル内視鏡は小腸クローン病評価の新しいゴールドスタンダードになり得ると結 論しています。 別の研究(P0921)では、クローン病患者にインフリキシマブ(IFX)またはアダリムマブ(ADA)を投与する前とそれぞ れの維持療法後の粘膜病変を、カプセル内視鏡を用いて評価しました。この研究では、参加したクローン病患者 42 例に対し IFX または ADA を投与する前にカプセル内視鏡検査を実施し、その 1 年間後の粘膜病変に対する各 薬剤の維持療法の効果を評価しました。IFX 投与群(n=19)では、2 例が改善し、残りの全例は変化なしで、カプセ ル内視鏡検査の結果と一致しました。また、ADA 投与群(n=23)も、2 例が改善し、残りの全例は有意な変化がみ られませんでした。発表者らは、粘膜病変のモニタリングにカプセル内視鏡は有望であることが示されたと結論して います。この研究は、スロバキア・ブラチスラヴァにあるルジノフ病院健康センターの Ladislav Kuzela, MD らによっ て行われました。 さらに、イタリア・ローマにあるカトリック大学 A. ジェメリ大学病院の Maria Elena Riccioni, MD らは、650 例の OGIB 患者のカルテを 6 年分レビューしたところ、カプセル内視鏡検査で陰性所見であった OGIB 患者では、再出血率が 非常に低いと結論しています。OGIB 患者 650 例中 161 例がカプセル内視鏡検査で陰性でした。これらの患者を 中央値 19 ヵ月の間隔で経過観察したところ、再出血を来たした患者はたったの 19.8%(161 例中 32 例)であったと 報告しています。感度と特異度はそれぞれ 93.8%と 100%でした。発表者らは、カプセル内視鏡検査で陰性であった 症例では、追加的な侵襲的検査の実施を延期できると結論しています。 その他に、この学会で報告された内容のハイライトを紹介します。 ドイツ・ヴィースバーデンにある HSK ヴィースバーデン(マインツ大学の教育病院)の Insa Aschmoneit, MD らは、 「小腸出血が疑われる患者における FICE 強調カプセル内視鏡検査:無作為化プロスペクティブパイロット試験」と 題するポスター発表(P0830)を行いました。発表者らは、FICE 強調カプセル内視鏡検査を、小腸出血が疑われる 患者の小腸出血源を検出する「レッドフラグ」として組み入れることが望ましいと結論しています。中等度の消化管 出血が疑われるためにカプセル内視鏡検査を実施した患者 20 例の結果を、盲検化した 2 人の読影者に無作為に 1 読影させて、標準的に処理した画像と FICE モードで処理した画像の読影を評価し、FICE が出血の検出と分類を 改善させるかどうかを検討しました。小腸病変を検出する FICE モードの感度は標準的な画像処理よりも有意に高 かった(95% vs 66%)と報告しています。 スペイン・バルセロナにあるヴァル・デ・ヘブロン大学病院の Carolina Malagelada, MD らが行った口頭発表(#84)で は、カプセル内視鏡画像をコンピュータビジョン解析で評価すると、消化管機能障害患者の異常な腸運動を高頻度 で検出することができると結論しています。発表者らが採用した小腸運動の非侵襲的評価法では、コンピュータビ ジョン解析法と機械学習法を用いて、重度の運動障害が疑われる患者のカプセル内視鏡検査の結果を評価しまし た。まず健常者 50 例のカプセル内視鏡画像を使って正常範囲を確定し、それをコンピュータに教え込み、その後、 健常者 20 例と消化管機能障害患者 80 例それぞれの画像の所見を検討しました。 イスラエル・ハイファにあるラムバム・ヘルスケア・キャンパスの Ian Gralnek, MD らのポスター発表(P0832)では、 食道カプセル内視鏡は、経鼻胃管吸引に比べて上部消化管出血をより正確に特定できるため、早期の内視鏡的 治療の施行を促進できると結論しています。食道・胃・十二指腸内視鏡検査(EGD)に比べて、食道カプセル内視鏡 検査は、静脈瘤出血とそうでない出血とを識別し、消化性疾患を特定できると報告しています。この多施設プロス ペクティブパイロット実証試験では、特異型の上部消化管出血で紹介された患者 33 例を検討しました。カプセル内 視鏡は経鼻胃管吸引に比べて上部消化管出血を有意な頻度で検出し(42% vs 18%)、静脈瘤出血とそうでない出 血の識別においては、EGD と 100%同じ結果を示しました。 ギリシャ・アテネにあるエヴァンゲリスモス総合病院の Nikos Viazis, MD らのポスター発表(#1354)では、結腸直腸 癌のスクリーニング検査を受けた患者は、検査中の不快感がない、腹痛を伴わない、尊厳が喪失されないという点 において、大腸内視鏡検査よりも大腸カプセル内視鏡検査を好むと報告しています。この研究では、平均的リスク を有する無症状の患者 85 例に、標準的な腸管処置を施した後に大腸カプセル内視鏡検査と大腸内視鏡検査の 両方を実施しました。検査終了後、患者に、検査前処置の不快感、検査中の不快感、検査に伴う腹痛、尊厳の喪 失、検査の好みを評価する質問票の記入を依頼しました。その結果、大腸内視鏡検査よりもカプセル内視鏡検査 を好む割合が有意に高かったと結論しています。 ------------------------------------------------------------------------------------■クローン病とは クローン病とは、小腸の内側の粘膜が炎症を引き起こし、消化管のあらゆる部分に影響を及ぼしうる慢性疾患です。 症状には、下痢、腹痛、体重減少、直腸出血などが挙げられます。クローン病患者の約 50%は、小腸の終末部(回 腸末端)と盲腸で診断されています。この部位は、回盲部としても知られています。クローン病のその他の症例は、 大腸のみ、小腸のみ(十二指腸、空腸、回腸のいずれか一つまたは複数)、胃または食道のうち、一つ以上に影響 を及ぼす可能性があります。(1) 米国人の約 500,000 人がクローン病に罹患しており、約 20%は何らかの炎症性腸 疾患(IBD)と直接的な関連があります。(2) 男性、女性の性差はなく発症します。原因は不明ですが、最も支持され ている学説は、炎症の原因となるウイルスまたは細菌に免疫系が反応しているという説です。(3) 治療選択肢は、 重症度に応じて、栄養補助剤、薬物の投与、手術などがあります。現在のところ、この疾患の根治法はありません。 ■原因不明の消化管出血(OGIB)とは 原因不明の潜在性消化管出血とは、目に見える明らかな出血の徴候がないにもかかわらず、消化管からの出血 が認められる臨床症状を言います。この症状は通常、便潜血で陽性または鉄欠乏性貧血の発見によって発覚し、 その原因はさまざまに考えられています。(4) Occult OGIB 患者の約半数が出血源を特定できません。(5) ■上部消化管出血とは 上部消化管出血は、消化性潰瘍、出血性胃炎、胃食道静脈瘤、マロリーワイス症候群など、 さまざまな原因で生じる、十二指腸と空腸の間のトライツ靱帯より上部の出血と定義されています。 出血の発生原因を問わず、迅速な臨床評価が欠かせません。急性の上部消化管出血は救急救命を必要とする最 も一般的な疾患のひとつであり、これを原因とする救急入院患者は毎年約 30 万人にのぼり、死亡率は 10%近くに 上ります。(6) 2 ■PillCam® SB について PillCam® SB カプセル内視鏡のサイズは 11mm x 26mm で、重量は 4 グラム未満です。現在の第二世代の PillCam® SB 2 は撮像カメラと光源を内蔵し、毎秒 2 枚の速度で画像を転送し、1 回の検査で 50,000 枚以上の画 像を撮影します。PillCam® SB カプセル内視鏡は、2001 年に米国食品医薬品局(FDA)より認可を得て、その臨床 適応は、1,200 件以上の権威ある医学専門誌での論文によって臨床的に実証されています。小腸を非常に正確に 可視化する患者にやさしいツールであり、医師によるさまざまな小腸疾患の評価に使用されています。 ■PillCam® ESO について 成人患者を対象に患者様にやさしい食道診断ツールとして、2004 年に米食品医薬品局(FDA)から承認を得た PillCam® ESO は、食道のさまざまな病変の検出に使用することができます。第 2 世代の PillCam® ESO 2 は、カプ セルの両側に撮影装置と光源を搭載し、30 分で食道を通過しながら最高毎秒 18 枚の画像を撮影して検査を行い ます。 ■PillCam® COLON について PillCam® COLON 2 は、2 台の小型カラービデオカメラ(両側に 1 台ずつ)、バッテリー、LED 光源を備えています。 サイズは 11 mm×31 mm。PillCam COLON 2 はインテリジェント機能を搭載し、最高毎秒 35 フレームの画像を約 10 時間の間、患者に装着したレコーダーに転送します。レコーダーに記録されたデータは、RAPID®ソフトウェアを 使ってコンピュータに転送され、ビデオ画像として編集された後、読影・報告に利用されます。PillCam® COLON 2 は、2009 年に CE マークを取得しています。 <脚注> (1) qurlyjoe.bu.edu/cduchome.html Inflammatory Bowel Disease Frequently Asked Questions. (2) Crohn's and Colitis Foundation of America (ccfa.org) (3) National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (niddk.nih.gov) (4) http://www3.utsouthwestern.edu/endocrine/Rockey.htm (5) http://www.aafp.org/afp/20040215/875.html (6) Krumberger, Joanne M. RN, MSN, FAAN. How to manage an acute upper GI bleed. RN/Thomson AHC Home Study Program CE CENTER. March 1, 2005. http://rn.modernmedicine.com/rnweb/article/articleDetail.jsp?id=150046 3 ギブン・イメージング社について ギブン・イメージング社は、2001 年以来、PillCam® プラットフォームを基盤とした革新的で患者様に優しい先進的な 消化管診断ツールを提供しています。最先端のワイヤレス通信技術と高度なソフトウェアを使用して、PillCam® SB は小腸、PillCam® ESO は食道、PillCam® COLON(アメリカでは未認可)は大腸のそれぞれ自然のままの消化管画 像を提供します。PillCam カプセル内視鏡は、患者様が嚥下するカプセル型の小型ビデオカメラです。ギブン・イ メージング社では、他にもカプセル型製品を販売しております。PillCam カプセル内視鏡が消化管を通過できるかど うか、開通性をみるための AGILE、胃食道逆流症(GERD)の pH 検査に使用する医療機器としては、カテーテルを 使用しない唯一のワイヤレス 48 時間 pH 検査システムの Bravo®があります。ギブン・イメージング社は、2010 年 4 月に、消化管の運動機能を評価する高解像度マノメトリのパイオニアであり、消化管診断ソリューションの大手プロ バイダーである Sierra Scientific Instruments 社を取得しました。これで、Sierra Scientific 社は、ギブン・イメージン グ社の完全子会社となりました。ギブン・イメージング社の本社、工場、研究開発施設は、イスラエルのヨクネアム にあり、アメリカ、ドイツ、フランス、日本、オーストラリア、香港に子会社があります。さらに詳しい情報が知りたい方 はこちらをご覧ください。http://www.givenimaging.com. 日本法人 ギブン・イメージング株式会社について ギブン・イメージング株式会社(東京都千代田区、社長:河上正三)は、世界で初めてカプセル内視鏡を開発し、 現在世界のカプセル内視鏡市場において豊富な経験を持つギブン・イメージング社(Given Imaging Ltd. 2001 年 NASDAQ 上場)の日本法人であり、日本におけるカプセル内視鏡の製造販売会社です。 <ホームページ> http://www.givenimaging.co.jp 注)日本では、PillCam® SB および PillCam® SB 2 カプセル内視鏡(小腸用)が承認されています。大腸用の PillCam® COLON、および PillCam® COLON 2、食道用の PillCam® ESO 2 はまだ承認されておりません。 4
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