未熟児カリキュラム 6か月未満児 1 発達の主な特徴 子供は、この時期

未熟児カリキュラム
6か月未満児
1 発達の主な特徴
子供は、この時期、母体内から下界への環境の激変に適応し、その後は著しい発育・発達がみられる。
月齢が低いほど体重や身長の増加が大きく、次第に皮下脂肪も増大し、体つきは丸を帯びてくる。
また、この時期の視角や聴覚などの感覚の発達はめざましく、これにより、自分を取り巻く世界を認
知し始める。感覚器官を含め、すべての身体発育や行動の発達は子どもが生来持っている機能の発達に
よることが大きいが、こうした生得的、生理的な諸能力の発達も、その子どもが生活している環境、特
に周りの大人との温かく豊かな相互応答的な関係の中で順調に促進される。
身体発育や行動の発達は、まさしく子どもの身近な環境との相互作用の結果であり、この時期はその
出発点である。
この時期の子どもは発達の可能性に満ちているが、大人の援助なしでは欲求を満たすことはできない。
しかし、子どもは、笑う、泣くという表情の変化や体の動きどで自分の欲求を表現する力を待つ。
このような表現により子どもが示す様々な欲求に応え、身近にいる特定の保育士が適切かつ積極的に働
きかけることにより、子どもと保育士との間に情緒的な絆が形成される。これは対人関係の第一歩であ
り、自分を受け入れ、人を愛し、信頼する力へと発展して行く。
生後3か月頃には、機嫌のよいときには、じっと見つめたり、周りを見まわしている。周りで物音が
したり、大人が話していると声のする方をみる。足を盛んに蹴るようにはる。寝ていて自由に首の向き
を変えることができ、腹ばいで頭を持ち上げるようになり、動くものを目で追えるようになる。小型の
ガラガラ等を手にあてると少しの間握ったり、振ったりする。微笑みも生理的なものから、あやすと笑
うなど社会的な興味を持ちはじめる。子どもの要求の受け止め方や大人の働きかけに対して快と不快の
感情が文化してくる。
「ア・エ・ウ」等の音を出したり、「ブーブー」とか「クク」という声をだす。授乳中に哺乳瓶に触
れていたり、いじったりする。満腹になり乳首をくわえたまま気持ちよさそうに眠ることもある。
保育士はこのような子どもの行動に気づき、感受性豊かに受け止め、優しく体と言葉で応答すること
により、子どもは自分がしたい行動の意味を理解するようになり、特定の保育士との間で情緒的な絆が
形成される。
生後4か月までに、首がすわり、5か月ぐらいからは目の前の物をつかもうとしたり、手を口に持っ
ていったりするなど手足の動きが活発になる。
また、生理的な快、不快の表出は、感情を訴えるような泣き方をしたり、大人の顔を見つめ、笑いか
け、
「アー」
「ウー」などの声を出すなど次第に社会的、心理的な表出へと変化する。さらに、身近な人
の声を覚えたり、また、音のする方向に首を向けたり、近づいてくるものを見たり、ゆっくり動くもの
を目で追うようになる。生後4か月を過ぎると、腕、手首、足は自分の意思で動かせるようになり、さ
らに、寝返り、腹ばいにより全身の動きを楽しむようになる。
また、眠っている時と、目覚めている時とがはっきり分かれ、目覚めているときには、音のする方向
に向く、見つめる、追視する、喃語を発するなどの行動が活発になる。
2保育士の姿勢と関わりの視点
子どもの心身の機能の未熟性を理解し、家族との連携を密にしながら、保健・安全に十分配慮し、個
人差に応じて欲求を満たし、次第に睡眠と覚醒のリズムを整え、健康な生活リズムを作っていく。また、
特定の保育士の愛情深い関わりが、基本的な信頼関係の形成に重要であることを認識して、担当制を取
り入れるなど職員の協力体制を工夫して保育する。
6か月から1歳3か月未満児
1 発達の主な特徴
子どもは、この時期、前期に引き続き急速な発育、発達が見られる。6か月を過ぎると、身近な人の
顔が分かり、あやしてもらうと非常に喜ぶようになる。視野の中にある新しい刺激、変化に富む刺激、
より複雑な刺激を次第に求める積極性や選択性は、初期から認められる。
しかし、6か月頃より、母体から得た免疫は次第に弱まり、感染症にかかりやすくなる。この時期の
座る、はう、立つといった運動や姿勢の発達は、子どもの遊びや生活を変化させ、生活空間を大きく変
え、直立歩行へと発展し、さらに、手の運動なども発達して、次第に手を用いるようになる。さらに、
言葉が分かるようになり、離乳食から幼児食へと変化することによって、乳児期から幼児期への移行を
迎える。
本来、子どもは生理的に未熟であり、対外の豊かで変化に富んだ応答的環境の中で生活することによ
って、人間として生まれながらに持っている能力を社会的な環境に適応させながらうまく発現していく
必要があることから、この時期は、極めて大切である。
7か月頃から一人で座れるようにない、座った姿勢でも両手が自由に使えるようになる。
また、この時期には人見知りが激しくなるが、一方では、見慣れた人にはその身振りをまねて「ニギ
ニギ」をしたり「ハイハイ」などをして積極的に関わりを持とうとする。この気持ちを大切に受け入れ
応答することが情緒の安定にとって重要である。こうした大人との関係の中で喃語は変化に富み、ます
ます盛んになる。
9か月頃までには、はうことや両手にものを持って打ちつけたり、たたき合わせたりすることができ
るようになる。身近な大人との強い信頼関係に基づく情緒の安定を基盤にして、探索活動が活発になっ
てくる。また、情緒の表現、特に表所もはっきりしてきて、身近な人や欲しいものにも興味を示し、自
分から近づいていこうとするようになる。
さらに、簡単な言葉が理解できるようになり、自分の意思や欲求を身振りなどで伝えようとするよう
になる。
一歳前後には、つかまり立ち、伝い歩きもできるようになり、外への関心も高まり、手押し車を押し
たりすることを好むようになる。また、喃語も会話らしい抑揚がつくようになり、次第にいくつかの身
近な単語を話すようになる。
2 保育士の姿勢と関わりの視点
身近な人を区別し、安定して関われる大人を求めるなど、特定の保育士との関わりを基盤に、歩行や
言葉の獲得に向けて著しく発達するので、一人一人の欲求に応え、愛情こめて、応答的に関わるように
する。家庭との連携を密にし、一日24時間を視野に入れた保育を心がけ、生活が安定するようになる。
<大人の役割・仕事分担表>(0歳児)
全般
子どもの姿と発達への配慮
・ 授乳は初乳からしっかり与えるようにする。特に初乳の免疫効果を考え、根気よく吸わせることに
努める
・ ミルクの場合は、ある程度時間をおいて与え、母乳は子どもの要求に応じて与えてよい
・ 授乳の際はしっかり抱いて、子どもと目を合わせ、目と言葉で語りかけながら与える
・ 静かに眠る時間が多いので、大人の都合で乱さないように注意する
・ 泣き声を判別して、身体的に苦痛がある場合は直ちに取り除いてあげる
・ 記憶力が芽生え、苦痛の経験を忘れない反面、見覚えのある人に微笑みかけるようになるので、子
どもが満足するまで受け答えをして、情緒の安定をはかる。
・ 一定時間、胸にぴったりと抱いて欲求を満たしてあげる。しかし、大人の興味で抱きぐせにならな
いように注意する
・ 笑ったり泣いたりする子どもの状態にやさしく応え、発音に応答しながら喃語を育む
・ 安定できる人的、物的環境のもとで、運動的な活動を促し、また、聞く、見る、触れるなどの感覚
の働きが豊かになるようにする。
・ 生活の流れを整えながら、基本的な生活習慣が自然にできていくように配慮する
・ 保育者と 1 対1のふれあいを大切にし、常に安心感を持たせる
・ 保育者との結びつきによって安心感をもたせながら、友達と快くふれ合うことができるようにする
・ 育児行為は言葉を添えて丁寧に行う
・ 歩行、手指の発達や認識などの基礎的な力を養っていく
・ 自分でしようとする気持ちを大切にし、補助をしてやりながら基本的生活習慣が身につくように促
す
・ 保育者とのふれあいの中で、語りかけを多くし、発語を促す
・ 正しい発音、歯切れのよい言葉で話しかけるようにする
・ 子どもどうしのふをれあいの場を作り、互いに親しみっを持つようにする
・ わらべうたや、心地よい楽しい曲に親しみをもたせる
・ 活動的な遊びを行い、運動機能の発達を促す
・ 基本的生活習慣が、少しずつ身についていくように解除しながら伝えていく
・ 危険な場所や行為が分かるように、場面、場面で繰り返し伝えていく
・ 発音を大切にし、保育者が丁寧に、正しい言葉で受け答えして意欲を促す
・ 玩具や生活用品の名称を言葉で繰り返すことにより、徐々に遊び方や使い方を伝えていく
・ 活動的な遊び、静かな遊びを子どもの要求に合わせて経験し、楽しく意欲的に生活できるように配
慮する
・ 個々の生活のリズムを重視して、意欲、睡眠、排泄などの生理的欲求を満たし、生命の保持と生活
の安定を図る
・ 衛生的で安全な環境を作り、常に体の状態を細かく観察し、疾病や異常は早く発見し、快適に生活
できるようにする
・
季節による保育のねらい
4 ・ 保育者と園生活に慣れる
月 ・ 家庭と連携して子ども一人ひとりをありのままの姿で受け入れ、くつろいだ雰囲気の中で、安
~
心してすごせるようにする
6 ・ 目覚めている間はあやしたり、声をかけたりしながら情緒の発達を促す
月 ・ 環境を整え、子どもが安心して生活をおくれるように配慮する
・ 梅雨期に入り湿度が高くなり肌が汗ばむので毎日沐浴をさせる(食前後 30 分は避ける)
・
7
月
~
9
月
10
月
~
12
月
1
月
~
3
月
・
・
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・
・
・
・
・
・
・
・
・
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・
気温に十分注意しながら、健康で過ごせるように配慮する
身体を清潔にする
水分を十分に与える
玩具や日常生活用品を清潔にし、病気を防ぐ
夏の疲れや生活の乱れを整える
清潔な玩具屋、生活用具に自由に触れさせ、見る、聞く、いじる、しゃぶるなどの感覚的な刺
激を十分に経験できるようにする
十分に体を動かして遊べるように環境を整える
戸外活動をできるだけ多く行い、自然に親しませる(気温もよく戸外活動に最適)
園庭やホールで大きい子どもとの交流を行う
寒い日は、陽だまりで短時間外に出て、外気に慣れる
体温調整が充分にできないため、帽子、ベスト、コートなどを着用させる
子どもの成長に合わせて部屋の空間、日課の時間帯、遊び道具を変えていく
友達と一緒にいることをよろこび、名前を覚えて呼び合ったり、ごっこ遊びのまねを楽しんだ
りできるようにする
保育室にコーナーをもうけ、気に入った遊びが落ち着いて楽しめるようにする
1 歳児クラスとの交流や、他のクラスを訪問するなどして、徐々に環境の変化の受け入れがで
きるようにする
・ 発達に合わせた玩具を幾通りか準備し、必要な数(量)だけ出して与える
・
健康・清潔・保険・安全
年間課題
未 ・ 良い環境、個々の子どもの発達にあった
満
日課の中で安定した生活をする
児 ・ ベットは明るすぎない静かな場所に置く
の
生
活
・ 必要な予防接種などを受ける
(ツ反応・BCG 接種・ポリオの生ワクチン)
保育上の留意点
・ 家庭と連絡し合って、就寝、起床、食事時間を
一定にし、自然に好ましい生活リズムができる
ようにする
・ 朝の観察をしっかり行い、心身の健康状態を把
握する
・
・ 予防接種は家庭の責任で行う
・ 気温や成長に適した衣服で快適に過す
・ 外気浴は3~5分から始め、30分を限度とす
る。夏は直射日光を避ける
・ 外気浴を無理なく行う
・ 外気浴は風の強い日は避け、短時間から徐々に
延ばしていく
・ 細菌や、蟯虫の感染をできるだけ防ぐた
め、生活環境を衛生的に保つ
・ 玩具を清潔にする
・ 保育用の器具や敷物の日光消毒、室内の清掃を
こまめに行う
・
「キレイ、キレイ」など言葉がけをしながら、嫌
・ 食事前及び、汚れが感じられる場合には、 ・
がらずに拭かせるようにする
手をきれいに拭く、洗う
・ 検温を行い、健康状態を把握する
(登園前、午睡後、必要な子どもは随時)
・ 検温は、一定時間きちんと行い、健康状態を把
握しておく
・ 室温は 18~20 度℃を保つ
・身体各部を清潔に保つ
・ 春、秋、冬の衣類は、室内では上着と下着各1
枚とし、外出時には気温に応じて調節する
・ 夏の衣類は汗を吸う袖のあるものを着る
・ 定期検診を受ける
・ 測定機の消毒を行う
・ 身体測定を行う
・ 歯科検診を受ける
・ 食後歯をきれいに拭いてあげる
・ 安全管理の充分に行き届いた環境の中で
生活する
・ 鋭角のある遊具や口野中に入ってしまう小さ
い物は側に置かない
・ 事故を防ぐ
・ 沐浴は室温及び温度に注意する
(湯の温度38℃)
・沐浴後は水分を十分に与える
・ 室内・・毎朝始業前に水拭きをする →床及び子どもの手が触れる部分
・ 玩具・・毎朝消毒液に浸し、絞った布で拭く→布製の物はこまめに洗う
・ 寝具・・週1回 シーツ交換
・ 薄着の習慣をつける
・ 寝具・・週1回 布団干し(日光による)→汗をかくので、晴れている日はなるべく干すよう
にする
月1回 布団乾燥(業者による)
・おむつ交換は必ず手指消毒をする
月例による課題と配慮
・ 外気浴を始める
・ 体の一部から少しずつ体表面を広げて、3~5分位外気
浴をし、徐々に延ばしていく(10分を限度)
家庭保育
・ 月齢、発達状態に合わせて、保
育園と連係をたもちながら働
きかけをしてください
・ 外気浴は風のない場所を選んで、始は短時間から徐々に
延ばしていく
・ 大切な親と子の接触時間や方
法を工夫しましょう
・ 発達に遅れのある場合は、保護者戸ともに医療機関との
連係を計り、早期に適切な発達援助を行う
・ 母体免疫の消失により、伝染性疾患に感染しやすくなる
ため、注意が必要となる
・ 好ましい視聴感覚の発達を促
すために、テレビの見方に注意
しましょう。できれば乳幼児と
別室が良いと思います
・ 夏季の外気浴は直射を避け、必ず帽子をかぶらせる
(6月~9月)
・ 自然の涼風の中で過ごさせるようにする
(6月~9月)
・ 「きれいにしましょうね」など
の言葉がけをして、気持ちよさ
と言葉を結びつけるようにし
ます
・
・