JGB News Daily - NIKKO Research Direct

金融経済調査部
平成 25 年 6 月 19 日(水)
JGB News Daily
(NSJND889)
金融経済調査部 チーフ債券ストラテジスト 末澤 豪謙
債券ストラテジスト 岩下 真理
竹山 聡一
前営業日の相場動向
引値
前日比
先物中心限月
142 円 95 銭
+24 銭
新発 5 年国債
0.315%
▲0.010%
新発 10 年国債
0.820%
▲0.015%
新発 20 年国債
1.675%
―
142 円 82 銭
▲13 銭
2.188%
+0.001%
Liffe 日本国債先物
米 10 年国債
(注 1)国債引値は 15 時時点の BB 引値
債券先物中心限月は反発した。17 日の米国市場では、市場予想を上回る
経済指標と QE 早期縮小懸念から米長期金利が上昇。この流れを引き継
ぎ、本邦債券先物は続落して寄り付いたが、直後につけた 142 円 62 銭を安
値に買い戻され、プラス圏を回復した。その後も堅調に推移し、20 年国債入
札の結果を受けて上げ幅を拡大。警戒されていた入札の結果は、テールが
10 銭、応札倍率が 4.23 倍と堅調だった。買い一巡後は売りに押される場面
もあったが、再度上値を試す展開となり 143 円 08 銭の高値をつけた。チー
ペストゾーンを除く現物債は先物対比で出遅れ、上値の重さも目立った。イ
ールドカーブは 7 年ゾーンまでブルフラットニングし、以降ブルスティープニ
ングした。(竹山)
(注 2)Liffe 前日比は前営業日の東証大引け比
本日の相場見通し
【国内外の経済指標、イベント等(< >内は弊社予想)】
8:50
8:50
本日の想定レンジ
5 月貿易収支
先物中心限月:142 円 65 銭∼143 円 15 銭
<▲1 兆 3,154 億円>前年同月:▲9,079 億円
新発 10 年国債:0.800%∼0.850%
1-3 月期資金循環統計(速報)

17:30
英金融政策委員会議事録(6/5・6 開催分)
27:30
バーナンキ FRB 議長が会見

ECB 理事会(総裁会見なし、20 日まで)



本日の債券相場は、日本時間 20 日朝に予定されている米 FOMC の
結果発表を控え、様子見気分の強い展開か。
18 日の米国市場では、米量的緩和の早期縮小観測がやや和らぎ、
株価は続伸。米長期金利は前日比横ばい。為替相場では円が売ら
れた。
18 日に実施された 20 年国債の入札結果は応札倍率が前回の 2.54
倍から 4.23 倍に上昇。一方、テールは前回の 21 銭から 10 銭に縮小、
最低落札価格も市場予想通りと堅調な結果となった。保険会社など
本邦機関投資家の押し目買い需要に支えられたものと想定される。
対外証券投資においても、本邦投資家は、5 月 12 日∼18 日の週以
降、4 週連続で外債(中長期債)を売り越している。最近の円安一服に
加え、超長期国債利回りの上昇が、生命保険会社等の日本国債投
資を継続させ、国際分散投資が進まない要因となっているとも考えら
れる。
長期金利は 5 月 23 日に一時 1.000%をつけた後は、0.8%台を主体と
したレンジ相場に変化している。債券相場の上値は重いものの、下値
も固くなっており、ちょうど「ラウンディングボトム」を形成しつつあるよ
うにも見える。今後 9 月頃までは、我が国では参院選、ドイツ総選挙、
米財政問題(2014 会計年度予算及び債務上限問題)、米 FRB 議長人
事等、政治イベントが続く。海外投資家が日本株投資を再開するには
もう暫く時間を要する一方、本邦機関投資家においては、消去法的な
国債投資が継続されやすい時間帯となりそうだ。(末澤)
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その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また本レポートに記載された意見や予測等は、レポート作成時の当社の判断であり、今後
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事項は末尾をご覧ください。
2013 年 6 月 19 日(水)
JGB News Daily (NSJND889)
マクドナルドが物語る、日本
アベノミクスによる景気回復期待を背景に消費マインドは改善し、高額消費にとどまらず
経済に明るい変化
消費の強さに広がりが見られている。足元では、品質にこだわった高価格帯の食品が販
売好調となり、その流れがついに外食業界にも波及した。日本マクドナルドは 17 日、単品
で 500 円超という、これまでで最も価格設定が高いハンバーガーを 24 日に発売すると発
表した。夏場の期間限定販売ではあるが、日本経済を長年分析してきた筆者にとっては
衝撃的なニュースである。というのも、同社の戦略は、常に時代の最先鋒にある印象を与
え、日本経済の先行指標的な存在であるからだ。
日本経済史に残る同社の重要イベントを振り返ると、2000 年 2 月に打ち出した「平日ハン
バーガー半額」戦略である。これは、日本経済が 1998 年の金融システム不安から立ち直
り、IT バブル崩壊を確認する前、2000 年 8 月のゼロ金利解除前のタイミングに実施してい
た。当時は「収益拡大を狙った新たな低価格戦略」「大きな勝負に出た」とも言われたが、
結果的に売上高を伸ばした。その後、日本のデフレ経済を語る時、衣料品のユニクロとと
もに、デフレの象徴的な存在となったのである。当時、エコノミストの中には、「まずはマク
ドナルドが値上げしなければ、デフレは脱却できない」との意見が出ていたほどだ。
当時、2000 年基準の CPI 統計を使い、ハンバーガーや牛丼の値下げの影響を筆者も試
算していたことが懐かしい。▲0.1%程度に収まるマイナス寄与にもかかわらず、人々に
「物価は下がり続けるもので上がらない」という意識を定着させた影響力は大きかった。ち
なみに、ハンバーガーの構成比は全国ベースで 2000 年基準 0.26%、2005 年基準 0.13%、
2010 年基準 0.22%(東京都区部では同 0.37%、0.15%、0.28%)と推移し、2000 年代初
頭よりも、値上げの影響度合いが統計上では小さくなっている。それでもなお、外食業界
での価格影響力が大きいマクドナルドの動きが他に広がっていくかに注目したい。
5 月分東京都区部のコア CPI は前年比+0.1%と 4 年 2 ヵ月ぶりのプラスでサプライズだっ
た。押し上げの主因は、電気料金や都市ガス代の値上げとテレビ価格の持ち直しだが、
寄与度上位品目では、円安による輸入物価上昇に伴うものが多い(図表 1)。ハンバーガ
ーの 4 位は、日本マクドナルドが 5 月 7 日から一部商品の価格を改定した影響。他方、
CPI 統計の採用品目のうち、前年比上昇の品目比率が今年 3 月をボトムに上昇、5 月分
は 29.9%と前向きな動きも出始めた(図表 2)。夏場の電気料金の値上げ主体で前年比
+0.5%まで到達できるかどうか、その先は前向きな動きの広がりでプラス幅の持続性があ
るかどうか、当面は期待への働きかけの効果を見極める時間帯となりそうだ。(岩下)
図表 1
5 月の東京都区部 CPI・寄与度の上下位 10 品目
図表 2
(数値の単位は%pt)
順位 寄与度上位品目
1
電気代
数値
寄与度下位品目
+0.398 持家の帰属家賃
+0.075 ゴルフプレー料金
▲0.040
ハンドバッグ(輸入品)
+0.046 宿泊料
▲0.039
4
ハンバーガー
+0.043 トマト
▲0.033
5
自動車保険料(任意)
+0.042 すし(弁当)
▲0.030
6
国産米B
+0.019 携帯電話機
▲0.029
7
自動車保険料(自賠責)
+0.018 まぐろ
▲0.028
8
牛肉A
+0.013 りんごB
▲0.028
豚肉B
+0.012 放送受信料(NHK)
▲0.025
+0.009 キャベツ
▲0.024
10 ビデオソフトレンタル料
上昇比率−下落比率(右目盛)
▲0.077
都市ガス代
9
(%pt)
40
(%)
70
数値
3
2
東京都区部 CPI の上昇・下落品目比率
上昇比率
下落比率
60
20
50
0
40
-20
30
20
00
出所:総務省より、SMBC 日興証券作成
01
02
03
04
05
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10
11
-40
12 13
(年、月次)
出所:総務省より、SMBC 日興証券作成
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情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また本レポートに記載された意見や予測等は、レポート作成時の当社の判断であり、今後予告な
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