Success story for your business Red Hat K.K. EDITORIAL 2015 OPEN EYE オープンソースの 新 時 代 を 築く、サクセスストーリー 21 vol. 2015 October INDEX ユーザー事例 Success Story RED HAT FORUM 2015 TOKYO メディカル・データ・ビジョン株式会社 患者のメリットを最大化する医療ソリューション、 診療情報保管用ストレージにレッドハット製品を採用 [ レッドハット・フォーラム 2015 ] 基調講演/ブレイクアウトセッション プレビュー ユーザー事例 Success Story OpenStack Summit Tokyo 開催 OpenStack Summit が クオリカ株式会社 クラウド型生産管理システムの基盤にOpenShiftを 採用。顧客にいち早く“アドバンテージ”を提供 東京にやってくる! RED HAT FORUM 2015 TOKYO ENERGIZE YOUR ENTERPRISE " " (水)開催! 2015 . 1 1 . 4 ウェスティンホテル東京[事前登録制 ] 無料 新たな可能性と時代を創る 力 が、 ここに。 お申込みはこちら red.ht/tokyo-forum 招待コード:902 ※お申込みの際に左記の招待コードをご入力ください オープンソースの可能性が今、時代を大きく動かす力に 今日、急速に変化する市場環境において、俊敏性や柔軟性、変革をもたらすITが企業の成功を決定付 ける鍵となっています。業界を席捲する企業は、いち早く最新のオープンソーステクノロジーやソリュー ションを適用し、ビジネスに競争力をもたらすITを実装しています。 レッドハットは2015年11月4日、国内最大級のOSSイベント 「レッドハット・フォーラム 2015」 を開催いた します。本年のテーマは「Energize your enterprise‐新たな可能性と時代を創る 力 が、 ここに」 。 先進的な顧客事例やパートナーソリューション、 レッドハットのエキスパートによる最新テクノロジー の紹介など、オープンソースソフトウェアがもたらす価値をぜひ会場でご体感ください。 ゼネラルセッション THE FUTURE IS OPEN レッドハットは常にユニークであること に取り組んできました。それは、顧客が 満足し続けることができる最高のソフト ウェアを作るためです。 「オープンソース の黄金時代」 と呼ばれるデジタル時代を 迎え、企業は自社のCIOが業務の変革を 主導していくことを期待しています。本講 演では、エンタープライズ企業が必要と するオープンソース革新を提供する上 で、 レッドハットがいかにユニークな立 場であるかについてご説明します。 ITが変わる、 ITで変える ― 最新の欧州IT事情 ― お客さま発 イノベーションの 連鎖で拡げる事業 拡げるDelight! ― ITサービス企業の挑戦 ― ITでは今、高性能サーバーや高密度スト レージなど、処理能力が飛躍的に向上し ています。 またこれらを最大限に活かす センサー技術(IoT) も向上し、 「もののふ るまい」のデジタル化が可能となり、情報 処理のイノベーションの原動力となって います。IoTをいち早く取り入れている欧 州の現状を、製造業、農業、街づくり (ス マートシティー)にターゲットを当てて、 ご紹介します。 お客さまの真のビジネスパートナーとし て、IT"サービス"を提供する企業であり たい。その思いを胸に、満足を超えた感 動、"Delight"をめざして、ひとつひとつ の取り組みを積み重ねると、 それはいつ しか「クラウド」 であり 「IoT」 と呼ばれるよ うになっていました。単なるITシステムの 提供に留まらず、 「お役立ち」 をお届けす るための一歩一歩がイノベーションの 大輪を花開かせた実例をご紹介します。 Open Source is Programming the Digital Future 世界は急速にデジタル化しており、 この 変化に適応できない企業は脱落してい きます。成功するためには、モバイル、 IoT、 クラウドの3つの主な領域で、新し いデジタルの価値を創造し提供すること が必要になります。 しかも、それを非常 に迅速に、オープンソースの革新を使っ て行う必要があります。 米国レッドハット 社長/CEO 株式会社 大和総研 株式会社 大和総研ビジネス・イノベーション 代表取締役副社長 パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 代表取締役社長 米国レッドハット 副社長 兼 ゼネラルマネージャー OpenShift & Atomic Enterprise 製品部門 ジム・ホワイトハースト 鈴木 孝一 氏 前川 一博氏 アシェシ・バダニ Success story for your business RED HAT FORUM 2015 TOKYO 最新テクノロジーをリードするオープンソースソフトウェア。クラウド、IoT/ビッグデータ、DevOps、 そしてモバイルまで 今、 レッドハットが提供するソリューションの全貌がここに。 レッドハットのオープンソースソリューションは、ビジネス拡大に貢献すべく、大きな変革を求められている企業のITインフラ 戦略を支援します。 レッドハット・フォーラム 2015の午後のブレイクアウトセッションでは、 これらのソリューションについて、 以下の5つのカテゴリーごとに導入事例やデモを交えながらわかりやすくご紹介します。 1 クラウドソリューション category ション、Docker のコンテナ技術を活用 して 効 率 的 なアプリケ ーション の 開 発・実行環境を実現する OpenShift、 そしてソフトウェアストレ ージ 製 品で ある Red Hat Storage を組み合わせ た活用法などをご紹介します。 いま、クラウドを支える技術に大き レッドハットはこれまで、オープン お客様事例では、レッドハットのお客 な変革が訪れようとしています。顧客 ソースの仮 想 化ハイパーバイザーな 様がどのような目的でクラウド技術の にサービスを提 供するユ ーザー企 業 ど 、クラウドの 基 礎 技 術 にお いてコ 採用に取り組んでいるのか、またこれま 自身が「自分たちにとって本当に必要 ミュニティの主要メンバーとして開発 でどのようなビジネス課題を解決して 情報もご提供します。 な技術」のビジョンを描き、開かれた をリードするとともに、エンタープライ きたのかをお伝えします。さらに、オー ビジネス部門、技術部門、それぞれ コミュニティの中でクラウドの技術革 ズ 企 業に求められる高 品 質なサポー プンソースのクラウド技術に興味のあ の立場から、クラウドの導入/活用に 新を成し遂 げたのです。I a a S 基 盤を トの提供を実現してきました。そして るエンジニアの方には、OpenStackと 向けた第一歩を踏み出すヒントが実感 実現するOpenStack、アプリケーショ いま、クラウドを活用してお客様のビ Docker を組み合わせた活用法のガイ できるセッションに出 会えることをお ンの可 搬 性で D e v O p s の実 現を支え ジネスに貢献するソリューションの提 ドなど、 ここでしか聞けない貴重な技術 約束します。 るDocker ―これらの開発をリードす 供へと、そのビジネス領域を拡大して るエンジ ニアが 描くビジョン を 理 解 います。 し、その真の価値をエンタープライズ クラウド関連セッションでは、パート 企 業にお 届 けすること、これ が 、クラ ナー 企 業 のストレ ージ 製 品 / ネット ウドにお けるレッドハットのミッショ ワーク製 品を組 み 合 わ せたエンター ンです。 プライズ 向 けの O p e n S t a c k ソリュー 2 IoT/ビッグデータ category バッチ分析からリアルタイムな予測 特 定 の 状 態 を 発 見 する 高 速 な 複 合 分析、そして行動へ。ビジネスの活動 イ ベ ント 処 理( C o m p l e x E v e n t に大きな 影 響を及 ぼ すビッグデ ータ P r o c e s s i n g )を 組 み 合 わ せ た 事 例 の世界は、 今 を捉え、 予測 から 行 など、レッドハットのソリューションは 動 に移すことが求められています。 多 岐 にわたります。そ の 応 用 につ い このようなリアルタイムビッグデー ては 、I o T を実 現 するプラットフォー タのニーズに対応するためには、従来 ム として 、O P E N E Y E O N L I N E のように H a d o o p など単 独 のソフト (jp-redhat.com/openeye_online)内 ウェア技術だけを追いかけていても問 の特設サイト 「IoT 研究所」でも詳しく 題の解決にはなりません。 ご紹介していますので、ぜひご覧くだ レッドハットでは 近 年 、リアルタイ さい。 ムビッグデータ統合解析ソリューショ またここ数年、大きな注目を集めて ンを展開しており、すでに数多くの実 いる機械学習の分野にも注目。機械学 績 が 生まれています。そ の 中 から見 習は、本格的に学ぼうとするとかなり 出した、リアルタイムビッグデータを 難解な分野ですが、今回のレッドハッ 処理するためのリファレンスアーキテ ト・フォーラムでは、少し噛み砕いたア クチャ。Red Hat JBoss Enterprise プローチで分 析データから予 測 的な おすすめセッション▶▶▶ [BS-07]レッドハット株式会社 経営の期待に応えるOpenStackの導入検討、次の一歩 [BS-31]レッドハット株式会社 Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform環境でのDocker活用テクニック ビッグデータに対する新しいアプロー チもご提案します。 ビ ジ ネ ス に 役 立 つ 本 来 の ビッグ データの活用方法について、ぜひ数多 くのヒントを得てください。 ▼ loT/リアルタイムビッグデータのためのリファレンスアーキテクチャ デバイス ブローカー 製品S/W Message Broker L/B ●WAF ●セキュリティ ●プロトコル変換 ●メッセージ変換 ●etc ● 製品H/W 従来の機械部品 組み込みセンサー、 プロセッサー ●接続用ポート ●アンテナ ●etc ● ● サーバー リアルタイム 処理 分析(逐次) 処理 製品の アプリケーション 業務 システム ルール/ 解析エンジン アプリケーション 実行基盤 製品データ・ 分散実行基盤 外部 サービス データセンター/IaaS Ap p l i c a t i o n P l a t f o r m だ けでなく、 アクションを自動的に導くための実現 Red Hat JBoss Data Grid や Red 可能なソリューションをご紹介します。 H a t J B o s s A - M Q を活 用して I o T の さらに、ビッグデータ分析で導き出さ デ ータをインメモリで 処 理 するため れた深い洞察による分析モデルから、 のアーキテクチャ、また大量のインメ ビジネスに貢献できるシステム的なア モリからパターンマッチングによって クションにつなげるための手法など、 2 OPEN EYE おすすめセッション▶▶▶ [BS-09]レッドハット株式会社 IoT研究所∼JBossとDockerを使ったIoTのベストプラクティス [BS-32]レッドハット株式会社 レッドハットによる予測分析とJBossによる分析データ連携ソリューションのご紹介 Red Hat K.K. EDITORIAL 2015 3 DevOps category なフレームワークとして誕生しました。 レッドハットが提供する3世代目のPaaS ▼ Dockerアプリケーションのライフサイクルを 支えるOpenShift Enterprise 3 製品 OpenShift Enterprise 3 は、この DockerとKubernetes の最新の技術を 開発 採用し、企業システムの開発から運用ま でを自律的に運用できるシステム基盤 今さら聞けない DevOps。DevOps を システム 環 境を 持ち込 むという発 想 として生まれ変わりました。 どのように実現するか というキーワー や、システム環境を階層的に管理して 新しい世代のDevOps。 それは、Docker ドで追いかけるのは、そろそろ終わりに 全体統治を自動化するといった、システ やKubernetes が導く自律的な運用管 しましょう。 ム環境の新しい世界観です。さらに、こ 理 を 実 現 するシステム 基 盤 、そして 近年、最も注目すべき技術は、コンテ の Dockerというテクノロジーの誕生に OpenShift Enterprise 3を知ることだと ナとコンテナのオーケストレーションで よって、アプリケーション環境の自律的 言えるでしょう。 す。そして、これらの新しい技術を活用 な運用をも可能にする技術が注目され することで、いかにシステムの 自律的な 始めています。その注目度 No.1 の技術 運用を実現するか という点が注目され が、Googleが培ってきたコンテナ管理 始めています。 技術 Kubernetesです。Kubernetes は、 コンテナ技術として注目を浴びてい Dockerコンテナのオーケストレーショ るDocker は、完全に動作が保証された ンや自律的な運用管理をするオープン 4 モバイル category 本番 Docker 更新 運用 OpenShift Enterprise 3 おすすめセッション▶▶▶ [BS-29]クオリカ株式会社 〈お客様事例〉自社サービスに新しい価値を!Dockerで実現するDevOps [BS-06]レッドハット株式会社/グーグル株式会社/PaaS勉強会 〈パネルディスカッション〉Dockerをエンタープライズで賢く活用するために ンドシステムへの抱負なコネクタ、APIマ ネジメント機能を提供します。さらにRed Hat Mobile Application Platform は、 レッドハットによるManagedサービスだ けでなく、MBaaS環境の構築を検討して いる企業のデータセンターにも設置が モバイルアプリケーションは、B2Cか Services) は、エンタープライズモバイル 可能です。 らB2B2Cへ。 アプリケーションを素早く構築するため 日本初公開となる Red Hat Mobile 迅速な構築が最大のミッションであ に必然的に誕生したソリューションプ Application Platformに、ぜひご期待く るモバイルアプリケーションは、更新の ラットフォームです。Red Hat Mobile ださい。 頻度も高くなります。アプリケーション Application Platformは、レッドハットが の開発だけでなく継続的な配布やモバ M a n a g e d サ ービスとして 提 供 する イルデバイスの特性に合わせた振る舞 MBaaSソリューションを提供するプラッ い制御、プッシュ配信、企業システムと トフォームで、iOS や Android に対応し の連携のために個別のシステム環境を たアプリケーションプラットフォームだ 構築するのは、 もはや過去の話です。 けでなく、Salesforce や SAP、各種デー M B a a S( M o b i l e B a c k e n d a s a タベースシステムなど企業のバックエ 5 モダナイゼーション category おすすめセッション▶▶▶ [BS-33]レッドハット株式会社 企業向けモバイル環境を加速するRed Hat Mobile Application Platform [BS-34]米国レッドハット レッドハットのモバイルアプリケーションプラットフォーム ‒ アジャイルへの転換のために のソリューションは、ディシジョンサービ スから最適解を発見するプランニング サービス、そして人工知能へと広がりを 見せています。さらに、古いアーキテク チャのアプリケーションは、インメモリ技 術を利用して高速なアプリケーションに 昨今、 OpenStackとは何か ではな 今回のレッドハット・フォーラムでは、 モダナイズする。多岐にわたるレッドハッ く、 OpenStack をどのように活用する OpenStackからDockerを活用する意義 トのモダナイゼーションソリューション か の議論が本格化し始めています。 や価値、コンテナアプリケーションから を、 ぜひその目でお確かめください。 データセンターのモダナイゼーション みたストレージのあり方など、興味深い は、OpenStackの技術を活用してどのよ セッションを多数ご用意しています。 うに運用の自動化を実現するかです。 またアプリケーションのモダナイゼー OpenStackを技術面だけで捉えるので ションでは、Red Hat JBoss BRMS(ビジ はなく、アプリケーションから見た活用 ネスルールマネジメントシステム)にご が今、注目され始めています。 注目ください。活用事例が豊富なBRMS 開催概要 参加費無料(事前登録制) 日時:2015 年 11月4日(水) ●主催:レッドハット株式会社 ● ● 会場:ウェスティンホテル東京 〒153-8580 東京都目黒区三田1-4-1 おすすめセッション▶▶▶ [BS-21]レッドハット株式会社 人工知能 [BS-30]松井証券株式会社 〈お客様事例〉次世代トレーディング環境をRed Hat JBoss Data Gridで実現! お申込みはこちら red.ht/tokyo-forum 招待コード:902 ※お申込みの際に上記の 招待コードをご入力ください OPEN EYE 3 Success story for your business ユーザー事例 Success Story メディカル・データ・ビジョン Software Defined Storageの導入 患者のメリットを最大化する医療ソリューション、 診療情報保管用ストレージに レッドハット製品を採用 医療情報統合システムの開発・販売から、各種医療データの分析や調査等を展開するメディカル・データ・ビ ジョン。同社では2015年6月、患者が自分自身の診療情報の一部を保管・閲覧できる病院向けのデジタル健康ソ リューション「エースビジョン」の提供を開始した。エースビジョンのデータ保管用のストレージとして採用された のが、 レッドハットのソフトウェア・デファインド・ストレージ(SDS)製品「Red Hat Gluster Storage」だ。 メディカ ル・データ・ビジョン株式会社 システム開発部門長 シニアマネージャの小野誠志氏に、成果を聞いた。 背景 治療を受けている患者には当然、自分自身の病気 設立時からの思いは 患者のメリット の追求 それを具現化したのが「エースビジョン」 や症状について詳しく知りたいという思いがある。ま 操作で簡単に行うことが可能となる。 た、転居などの理由でかかり付けの病院が変わって 「ハードウェア選択の自由度も大きく高まり、保守 しまった場合、それまでの診療情報が転居先の病院 期限などベンダー側のルールに縛られることもありま (SDS)なら、ストレージの構成変更もソフトウェア側の 今回メディカル・データ・ビジョンが提供を開始し に連携されることは基本的にない。患者の診療情報 せん。SDS は我々に大きなメリットをもたらしてくれる たサービス「エースビジョン」は、病院が利用する診 は新たな病院で一から蓄積されていくことになるが、 ソリューションだと確信していました」。 療記録モジュールをはじめ、診療情報の一部を患者 医療の専門知識が乏しい患者が、新しい医師に対し が閲覧・保管できる Web ベースのサービス「カルテ て過去の経緯を正しく説明するのは容易ではない。 コ」、そして複数病院にまたがる患者の医療情報を一 「その際に過去の診療情報がネット上で閲覧でき 元的に統合するための IDカード 「CADA」 で構成され る仕組みがあれば、新しい医師と患者の双方に大き る。メディカル・データ・ビジョン株式会社 システム開 なメリットとなります。医師が過去の診療情報を正確 システム要件 SDSであることに加え、複数プロトコルへの対応、 病院ごとに独立した環境を提供できることが必須 発部門長 シニアマネージャの小野誠志氏は、エース に把握し、患者は必要な処置を継続できるという、当 加えて小野氏は、将来的なクラウド環境への移行 ビジョンの提供に至るまでの同社の取り組みについ たり前のことがこれまでできていなかった。設立から も見据えていたという。 て、次のように説明する。 10 年以上を経て、ようやくここまでこぎつけることが 「サービスの開始時点では、我々が保有する物理 「我々は 2003 年の会社設立時から一貫して 患者 できました」。 サーバーにSDS 環境を構築することにしましたが、将 様のメリット を追求してきました。近年、日本でも浸 透し始めた インフォームド・コンセント* という考え 方では、患者が納得して医療を選択できるようになる 来的にはその環境ごとクラウド上に移行できれば、IT * 医師は患者に対して治療法や薬の内容について十分な説明を行い、 患者は十分理解し納得した上でお互いに診療内容について合意する という考え方 コストの大幅低減にも繋がります。本音を言えば、実 は始めからクラウド上でSDS環境を構築したかったの ために、自身の診療情報を正確に把握することが重 課題 ですが、病院関係者や患者の方々にヒアリングしたと 要です。医療とは本来、患者が自分自身で判断し、選 商用ハードウェアストレージでは 保守期限によるリプレイスが発生 ころ、やはり自分の診療情報がクラウド上に置かれる 択すべきものなのです。 しかしそれを実現するためには、まず病院との信 ことに抵抗を感じる方がいらっしゃることがわかりま した。そこでまずはオンプレミスで SDS を構築するこ 頼関係の構築が必要でした。そこで最初に我々が提 同社は、以前から提供している病院経営支援シス とにしたのです」。 供を開始したのが、病院の課題を解決し、経営を改 テムでは商用のハードウェアストレージ製品を利用 また現在、各病院が利用しているファイルシステム 善するための経営支援分析システムでした。次に、病 していた。今回、診療情報を保管するための容れ物と 用のプロトコルは、CIFS や NFS などさまざまだ。今後 院内で使われている薬の使用状況のデータを製薬 して使い慣れた商用製品を採用するという選択肢も エースビジョンの利用病院数を増やしていくことを考 会社に提供し、マーケティングや薬剤の安全性の研 あったが、小野氏は「当初からそれは念頭に無かっ えると、こうした複数のプロトコルへの対応も必須だ。 究などに生かすデータ分析サービスも開始しました。 た」 と言い切る。 さらに、診療情報を保管する区域には病院ごとに独 そして今回、満を持して提供を開始したのがエー 「エースビジョンでは、診療情報という非常にデリ 立した環境を提供できなければならない。こうしたさ スビジョンです。このソリューションを通じて病院は、 ケートなデータを扱うことになります。そこではやはり まざまな要件を満たしたのが、レッドハットの SDS 製 電子カルテやオーダリング、医事会計、看護支援など 安心かつ安全なデータの管理が必要不可欠です。し 品「Red Hat Gluster Storage」 だった。 の診療情報を一元的に管理できるようになり、一方 かしハードウェア製品の場合はベンダーの保守期限 の患者も自分の診療情報をインターネット上で簡単 があり、いずれリプレイスが発生することになる。その に確認することができます。エースビジョンを利用し 度に我々は、診療情報の安全性の担保に細心の注意 ていただく病院の数が増えていけば、患者は IDカー を払わねばなりません。そのため、最初からハードウェ ド「CADA」によって複数の診療情報を一元的に管 アストレージは選択肢にはありませんでした」 。 理、閲覧できるようになるのです」。 これ がソフトウェア・デファインド・ストレ ージ RHSを選んだ決め手 既存のLinux運用者がストレージ運用までフォロー 複数プロトコルへの対応や個別のディレクトリツリー作成も可能 同社がレッドハットのストレージ(RHS)製品を選択 ソフトウェア・デファインド・ストレージ導入の流れ 01 背景 02 課題 03 システム要件 設立時からの思いは 患者のメ リット の追求、それを具現化し た「エースビジョン」の提供開始 商用ハードウェアストレージ では保守期限によるリプレイス が発生 SDSであることに加え、複数プロト コルへの対応、病院ごとに独立し た環境を提供できることが必須 ・まずは病院向け、製薬会社向けの サービスの提供から ・患者メリットを重視したサービス 「エースビジョン」 の開始 ・保守期限のあるハードウェア製品 は当初から対象外 ・SDSの採用で構成変更もソフトウェ ア側の操作で可能に ・CIFSやNFSなどのプロトコルへの対 応が必須 ・診療情報を保管する病院ごとのス トレージ区域も必要 4 OPEN EYE 04 RHSを選んだ決め手 既存の Linux 運用者がスト レージ運用までフォロー、複数 プロトコルへの対応や個別の ディレクトリツリー作成も可能 ・RHSはRHELの知識を活用できる ・レッドハットが導入をサポート Red Hat K.K. EDITORIAL 2015 した第一の理由は、何と言ってもSDSのストレージ環境 作成し、フォルダにアクセスするユーザーのアクセス を構築できることだ。しかし、SDSとしては他の商用製 権を設定するぐらいです。まさに5 分、10 分の世界で 品も提供されている。そこで敢えてRHSを採用した理 すね」。 由は何だったのか。 さらにRHSでは高い冗長性も確保でき、現在同社 「私たちはサーバーOSとして既にRed Hat Enterprise では、まず RAID 1+0 によりディスクレイヤーで二 Linux(RHEL) を利用していたので、RHSであればエ 重化を図り、次に GlusterFS の replica 2 機能でさら ンジニアたちが容易に扱えるという大きなメリットが に二 重化を図り、将来的にはやはりGlusterFS の ありました。またレッドハットには有償トレーニング Geo-Replication 機能を使って遠隔地へのレプリ コースがあり、導入時にはコンサルティングサービス、 ケーションを行うことを考えている。 導入後にはサポートサービスがあります。ソフトウェア 「合計で五重の冗長化を実現することで、より高い の保守も永続的にフォローしてもらえるので、実に心 対障害性を確保する予定です」。 強い。これが全く馴染みのない商用製品だったら、い きなり触って新しいストレージ環境をスムーズに構築 していくことは難しかったでしょう」。 またRHSでは、CIFSやNFSといった複数のプロトコル もサポートしており、さらには病院ごとに独立したディ レクトリツリーの作成も可能だ。各病院の診療情報を メディカル・データ・ビジョン株式会社 システム開発部門長 シニアマネージャ RHSを導入したメリット2 トレーニングコースの受講によって エンジニアのモチベーションが大きく向上 小野 誠志 今回RHSを導入するにあたり、 同社ではストレージ構 氏 RHSを導入したメリット3 保管する区域のセキュリティを担保する点でも、全く問 築の担当者としてインフラエンジニアではなく、Webア 題はなかった。 プリケーションエンジニアをアサインしたという。 「雑誌の記事などで見て、OSSの分散ファイルシステ 「今後、お客様に直接サービスを提供するアプリ ムであるGlusterFSには以前から興味があったのです ケーションの重要性はますます高まってきます。そこ さらに同社では今回、導入時にレッドハットのコン が、OSSをユーザー企業だけで採用するのは難しいと ではWebアプリケーションエンジニアのさらなるスキ サルティングサービスを、導入後にはサポートサービ 感じていました。そこで我々をサポートしてくれるベン ルアップが必要です。彼らが自分の対応領域を拡大 スを採用した。 ダーを探していて、最終的に辿り着いたのがレッドハッ し、幅広い知見を吸収することで、我々がより優れた 「導入時にはレッドハットのコンサルタントに常駐 トだったのです」 。 アプリケーションを開発できる可能性も高まると考え してもらい、あらゆる場面で構築を手伝ってもらいま たのです」。 した。エンジニアは、トレーニングコースで学んでは そしてWebアプリケーションエンジニアにレッドハッ いるものの実際の構築経験はありません。わからな RHSを導入したメリット1 導入時にはコンサルティングサービスも依頼、 障害発生時の復旧手順などをドキュメント化 トのトレーニングコースを受講してもらうことにした。 いことがあった時に、すぐに質問できる人が隣にい 「今まで経験のない領域なので最初は不安だった る安心感はきわめて大きい。インストールの手順や ようですが、気負わずに参加してもらったところ、意外 障害発生時の復旧手順も整理してもらい、何が起き メディカル・データ・ビジョンではSDSのRHSを採用 にわ かるという反 応 が 返ってきました。以 前 から てもまず安心 というドキュメントを作成してもらいま したことで、新たなストレージ環境を構築する際の作 RHEL は使っていたので下地があったこともあり、受 した」。 業の手間を劇的に短縮できるようになったという。 講後に自宅の環境でストレージを構築して できそう 実際の導入プロジェクトは 2015 年 1 月にスタート 「今後、エースビジョンに参画していただく病院が だ と。Webアプリケーションエンジニアが一歩踏み して6 月に完了、エースビジョンの提供がいよいよ開 増えていくなかで、ストレージ側の設定作業はほぼ 出してくれたことは、会社にとっては大きなメリット 始された。 新しい病院のストレージ環境構築に必要な 作業時間が、わずか5∼10分へと大幅短縮 不要というレベルになりました。行う作業といえば、 で、トレーニングコースではその部分をフォローして 管理画面上から新しい病院のトップディレクトリを もらえたと考えています」。 今後の展望/レッドハットへの期待 ストレージ環境のクラウドへの移行を想定、 レッドハットには今後もトータルな支援を期待 ▼「エースビジョン」概要図 先にも触れた通り、同社では将来的に現在のスト レージ環境をクラウドに移行したいと考えている。 「そのためにはまず、患者様のクラウドサービスに対 CADA 診療 データ する不安感が払拭されることが先決ですが、とはいえ 診療 データ 機が熟してから行動を起こしていたのではIT投資も後 メディカル・データ・ ビジョン 病院 手に回ってしまいます。来たるべき将来を見据えて準 備を進めるという観点からも、RHSの採用はその第一 歩になるものだと考えています」。 個人 また小野氏は今回の RHS 導入で得られたノウハウ エースビジョン Red Hat Gluster Storage を、まだまだ高価なハードウェアストレージを利用して カルテコ いる医療業界全体に提供していきたいと強調する。 「そうした場面も含め、今後もレッドハットには、製 品導入の前段から実際のプロジェクト、運用開始後の サポートまで、幅広くバックアップしていただきたいと 思います」。 05 RHSを導入したメリット1 06 RHSを導入したメリット2 07 RHSを導入したメリット3 新しい病院のストレージ環境 構築に必要な作業時間がわ ずか5∼10分へと大幅短縮 トレーニングコースの受講に よってエンジニアのモチベー ションが大きく向上 導 入 時にはコンサルティング サービスも依頼、障害発生時の 復旧手順などをドキュメント化 ・SDS 導入によりストレージ側の設定 作業はほぼ不要に ・GlusterFSによって五重の冗長化も 視野に ・Webアプリケーションエンジニアを ストレージ構築担当に ・エンジニアのモチベーション向上は 会社にも大きなメリット ・常駐のコンサルタントに様々な場面 で支援を仰ぐ ・実際の構築経験がない中で大きな 安心感に繋がる 08 今後の展望/ レッドハットへの期待 ストレージ環境のクラウドへの 移行を想定、 レッドハットには 今後もトータルな支援を期待 ・患者の不安解消を待ってストレージ 環境をクラウドへ ・SDS 導入のノウハウを医療業界全 体にも提供していきたい OPEN EYE 5 Success story for your business クラウド型生産管理システムの基盤に ユーザー事例 Success Story OpenShiftを採用。顧客にいち早く “アドバンテージ”を提供 クオリカ 次世代システム開発/ 運用基盤の導入 業務システムの開発から運用管理サービスまで幅広いSI事業を展開するクオリカは、2012年より中堅/ 中小規模の加工組立型製造業を対象とした完全Web対応の生産管理システム 「AToMsQube(Advavnced Total Manufacturing system:以下アトムズキューブ)」の提供をクラウド型、 オンプレミス型で開始。現在は、 既存顧客の9割以上がクラウド型を利用している。 同社では今後、 クラウド型の利用企業がさらに増加することを見据え、新たなシステム開発/運用基盤への リプレイスを検討。2015年に、 レッドハットが提供する次世代PaaS「OpenShift Enterprise 3」 を採用した。 ら、OSにRed Hat Enterprise Linux(以下RHEL)、ミ 背景 まずは求める要件を明確に定義しました」 (坪口氏) 。 生産管理システム 「アトムズキューブ」 を 完全クラウド型で提供 ドルウェアにRed Hat JBoss Enterprise Application クラウドサービスでは、複数企業での完全なマルチ Platform を採用したソリューションを提供しており、 テナントを実現する必要がある。また、新機能の提供 アトムズキューブはこのプラットフォーム上に生産管 やパッチ適用などユーザー環境ごとに個別のメンテ クオリカは、その生い立ちから長きに渡り建設およ 理のソリューションとして搭載されたものだ。2012年 ナンスが求められ、それらをいかに効率よく処理でき び鉱山機械などを製造するコマツの業務アプリケー 当時の状況について、クオリカ株式会社 IT サービス るかも重要だ。顧客企業からは、24 時間 365日稼動 ションの開発、保守を行っているSI事業者で、その背 事業本部 開発技術センター長の坪口智泰氏は、次 という厳しい条件も求められる。 景から製造業における豊富なノウハウを保有してい のように振り返る。 同社では、こうした数々の要件を明確にした上で複 る。アトムズキューブもその強みを活かして開発され 「アトムズキューブは、国内外の中小規模の製造業 数候補製品をピックアップし、 選定フェーズに入った。 ており、クオリカ株式会社 常務執行役員 IT サービス 約 200 社にサービスが可能なシステム基盤を想定し 事業本部長の馬場浩之氏は、アトムズキューブの成 て、サービスの提供を開始しました」。 り立ちについて次のように説明する。 坪口氏によれば、当時は顧客企業がクラウドサー 「我々には、グローバルレベルでコマツの業務シス ビスを採用する場合でも、オンプレミスで導入する場 テムをトータルにサポートしてきた経験があるととも 合と同様の期間にリリースできれば問題はなかった に、関連取引先へもシステム提供を行ってきました。 という。 しかしその後、国内には次々にクラウドサービ OpenShiftを選んだ決め手 コンテナ技術の活用が大前提、 ハイブリッドクラウドの実現も必須 クオリカが次世代のシステム開発/運用基盤を構 アトムズキューブは、国内外の中小規模の製造業を ス事業者が登場し、顧客企業の認識も大きく変わっ 築するための製品として比較検討したのが、レッド ターゲットとした生産管理システムで、比較的ライト ていった。 ハットの提供するOpenShiftと、同様にオープンソース で、かつグローバル展開にも対応できることを前提に 「今ではお客様は、契約した翌日からでも使えるの のPaaSである他社競合製品だ。そして2014年10月、 開発したものです」。 がクラウドサービスだという認識を持たれています。 最終的にOpenShift Enterprise 2.2 の採用を決定し このアトムズキューブの大きな特徴が、クラウド型 そこで我々は、2012年のアトムズキューブのリリース た。しかし、その時坪口氏は既にOpenShift Enterprise とオンプレミス型という2形態で提供されていることだ。 から1 年後に、ユーザー数の増加や様々な環境変化 3の導入までを視野に入れていたと話す。 「2012 年当時、完全クラウド型で提供されている にも柔軟に対応できる次世代プラットフォームへの 「レッドハットのロードマップでは、バージョン3でOS 生産管理パッケージはほとんどありませんでした。ア 転換を検討し始めたのです」 (坪口氏)。 レベルの仮想化を実現するコンテナが利用できること トムズキューブはまさにその領域を狙った製品です。 が謳われていました。Dockerは今まさに話題となって 中堅/中小規模の加工組立型製造業者は、顧客企 システム要件 いますが、それを意識したというよりは、コンテナ技術 業が海外に工場を設立する際に一緒に現地に進出 高いメンテナンス性やマルチテナントを 実現できるプラットフォーム そのものが我々にとって有用であるという判断です。今 するケースがあります。その際に、単に現地で業務を 処理するだけでなくグローバルでの統制を利かせる 後アプリケーションの重要性がさらに増すなか、アプリ ケーションレイヤーをイメージ化することでより迅速な 必要がある。 クオリカでは常に、自社が導入するITソリューショ 実装やバージョンアップを可能にしてくれるDocker そこでクラウド型は有効です。現在ではお客様の ンについて 要件ありき で製品の選定を行っている。 は、アプリケーション開発時のデファクトスタンダード 95%がアトムズキューブをSaaSで利用されています」 。 「我々は SIerとして、まず要件そのものを明確にし になると確信していました。OpenShift Enterprise 2.2 て、それに適した製品を探していくという文化です。始 の採用は、OpenShift Enterprise 3のフル活用に向け めに要件定義を行い、次にグランドデザインを描き、 た第一歩だったと言えます」 (坪口氏) 。 課題 顧客のニーズの変化に柔軟に対応できる システム基盤が必要 さらにアーキテクチャデザインを描いていく。そこに製 さらに、OpenShift には機能レベルの優位性も 品をマルチベンダーで当て込んでいき、オリジナルの あった。 製品を完成させるという流れです。アトムズキューブ 「まず第一に、我々はパブリック/プライベートを併 クオリカではアトムズキューブのリリース以前か の新たなシステム開発/運用基盤についても同様で、 用するハイブリッドクラウド環境を実現したかったの 次世代システム開発/運用基盤の導入の流れ 01 背景 02 課題 03 システム要件 04 OpenShiftを選んだ 決め手 生産管理システム「アトムズ キューブ」 を完全クラウド型で 提供開始 顧客のニーズの変化に柔軟 に対 応できるシステム基 盤 が必要 高いメンテナンス性やマルチ テナントを実現できるプラッ トフォーム コンテナ技術の活用が大前提、 ハイブリッドクラウドの実現 も必須 ・製造業でのノウハウを元に生産管 理システムを提供 ・現在は 95%の顧客企業がクラウド 型でサービスを利用 ・クラウドに対するユーザー企業の認 識が大きく変化 ・環 境 変 化に柔 軟に対 応できる開 発/運用基盤が必須 ・個別環境ごとの効率的なメンテナ ンスが求められた ・完全なマルチテナントを実現する 必要があった ・ロードマップ上にLinuxコンテナへ の対応があった ・バージョン3の導入を見越してバー ジョン2.2を採用 6 OPEN EYE Red Hat K.K. EDITORIAL 2015 ですが、比較対象となった競合製品はプライベートク 「コンテナ技術を利用することで、1つのコンテナを ラウドでしか利用できないという制限がありました。 1 つの会社もしくはグループの環境として構築でき、 そうなるとグローバル規模でサービスを提供するた さらにその各々を他社の環境を停止させることなくリ めには、大きな追加投資が必要となります。 またアトム リースできるようになります」 (坪口氏)。 ズキューブは RHEL 上で動いており、当然 OpenShift さらにOpenShift Enterprise 3はRHELをベースと との相性もいい。対する競合製品はベースとなるOS しており、SELinux などのセキュリティ機能を活用で が異なるため、その上で Linux ベースのソリューショ きるため、より安全に完全マルチテナント環境を実現 ンを適切に動かせるのかという課題もありました」 することも可能だ。 (坪口氏)。 また坪口氏は、OpenShift Enterprise 3のオートス ケール機能も、顧客に大きなメリットを提供するもの クオリカ株式会社 常務執行役員 ITサービス事業本部長 として高く評価している。 OpenShiftを導入したメリット1 デリバリー用プラットフォームとして、 迅速な機能実装やパッチ適用を実現 なご依頼にもすぐに対応できるだけの柔軟な拡張性 クオリカでは、クラウド型アトムズキューブの新た コンピューティング環境のリソースを増減してくれる なシステム開発/運用基盤として、2015 年 2 月にま オートスケール機能は、我々にとっては無くてはなら ず OpenShift Enterprise 2.2 を導入し、アプリケー ないものです。余分なリソースを抱えて無駄なコスト ション開発基盤としての利用を開始した。 を発生させる必要もない。この点もOpenShiftの優位 「我々が本当に実現したいのは、コンテナ技術を 点でした」 (同氏)。 馬場 浩之 「クラウド型で提供するサービスには、お客様の急 氏 が必要不可欠です。その際に人手を介さず、自動的に 使うことで DevOps の環境を構築することです。これ によってアトムズキューブの新たな機能を提供する OpenShiftを導入したメリット3 際やパッチ適用などの対応時も迅速に、効率よく作 OSSのコミュニティの世界が 大きな信頼感に繋がる 業できるようになります。ただバージョン 2.2 はまだ Dockerコンテナではなかったため、 まずは開発環境 として使いながら、バージョン 3で利用可能となるコ 坪口氏は、OSSのコミュニティの存在が大きな安心 ンテナやその 周 辺 のサイジングを済ませておき、 感に繋がると強調する。 オーケストレーションツールであるKubernetesも取 「商用製品の場合、ユーザー企業はベンダーに何 クオリカ株式会社 ITサービス事業本部 開発技術センター長 坪口 智泰 氏 り込み我々のデリバリー用のプラットフォームとして 年もロックインされ、自分たちが望まないバージョン 「OpenShift が画期的なのは、開発や運用の習熟 の要件を満たしたバージョン3がリリースされたタイ アップもあり、その都度コストが発生する。一方でベ 度を上 げて効 率 化を図るというレ ベルではなく、 ミングで一気に移植することを考えました。クラウド ンダーは製品が売れなくなってくると、平気でサポー Dockerという全く新しいテクノロジーを取り込むこと 型アトムズキューブの本番環境としては、2015 年 トを打ち切ったりもします。しかしOSSの世界は、売れ で、従来の手法とは全く異なる開発や運用手法を実 10 月からOpenShift Enterprise 3 が稼動開始して る、売れないという思想で成り立っていません。製品 現したことです。数字的な効果も、間違いなく明らか います」。 そのものをより良くしていくことが目的です。企業や になってくると思います」 (坪口氏)。 個人は、自らコミュニティに参加して製品をブラッ OpenShiftを導入したメリット2 シュアップしていくための知恵を出し合っている。商 マルチテナント環境もセキュアに構築可能、 オートスケール機能で環境変化に対応 スモデルが決定的に違うのは、OSS のコミュニティが 今後の展望/レッドハットへの期待 用ベンダーのビジネスモデルとレッドハットのビジネ Dockerの 伝道師 としての役割に期待、 ビジネスルールエンジン活用も視野に ベースにあるということです」。 クラウド型アトムズキューブでは、完全なマルチテ 稼 動を 開 始してからまだ 間もな い O p e n S h i f t 坪口氏は、 クオリカのSIerとしての価値は、いち早く ナント環境でありながら、顧客企業ごとにセキュアな Enterprise 3だが、同氏は現時点でも確実に導入効 有用な最新テクノロジーに対応し、その最新テクノロ 利用環境を提供することが必須だ。 果を期待できると断言する。 ジーのアドバンテージを顧客に提供していくことだと 断言する。 「今ならそれが OpenShift Enterprise 3です。その ▼ OpenShiftでクラウド展開を加速するアトムズキューブ メリットをユーザー企業が理解すれば、活用もさらに 個別環境構築の問題 OSインストール PKGアプリ管理の問題 PKGバージョン 対応MWバージョン バグ対応、 パッチ適用 MWインストール、設定 開発、 テスト、 本番 カスタマイズ カスタマイズ アトムズキューブ アトムズキューブ MWv1 MWv2 OS OS+patch A B カスタマイズ B Docker ビジネスもより展開しやすくなります。レッドハットに Docker アトムズキューブ アトムズキューブ MWイメージ MWイメージ OS Libイメージ OS Libイメージ OpenShift Enterprise 3 Docker 自動化 クラウドDC 進み、OpenShift Enterprise 3をベースとした我々の カスタマイズ A は、かつて Linux 自体の普及活動を促進していた時 のように、Dockerの 伝道師 として活躍していただき たいと思います」 (坪口氏)。 今後同社では、今回採用したOpenShift Enterprise クラウドDC 3 を 同 社 の 外 食 産 業 向 け 営 業 支 援 システム Docker Hub アトムズキューブ MWイメージ 自動化 「TastyQube」の基盤にも適用することを見据えてい OS Libイメージ 個別にセットアップ る。その際にはサービスのアジリティをさらに高めるた めに、レッドハットのビジネスルールエンジン「Red Hat JBoss BRMS」 を併せて活用したい考えだ。 05 OpenShiftを導入した メリット1 06 OpenShiftを導入した メリット2 07 OpenShiftを導入した メリット3 デリバリー用プラットフォー ムとして、迅速な機能実装や パッチ適用を実現 マルチテナント環境もセキュ アに構築可能、オートスケー ル機能で環境変化に対応 OSSのコミュニティの世界が 大きな信頼感に繋がる ・まずは開発基盤としてOpenShiftを 利用 ・新機能の提供やパッチ適用にも迅 速に対応 ・SELinuxでセキュアなマルチテナン ト化が可能に ・オートスケール機能が無駄なコスト 低減にも繋がる ・OSSの世界は 売れる、売れない で はなく品質重視 ・OSSコミュニティの存在が商用製品 との決定的な違い 08 今後の展望/ レッドハットへの期待 Docker の 伝道師 としての 役割に期待、ビジネスルール エンジン活用も視野に ・外食産業向けサービスにもOpenShiftを適用する予定 ・アジリティを高めるために JBoss BRMSの活用も視野に OPEN EYE 7 Success story for your business Red Hat K.K. EDITORIAL 2015 OpenStack Summit Tokyo 開催[ 2015.10.27∼10.30 ] OpenStack Summit が東京にやってくる! OpenStack Foundation 主催によるグローバルイベント 「OpenStack Summit」。 OpenStackの開発者や利用者はもちろん、OpenStackに関わるすべての関係者が一堂に 集まる国際的なイベントだ。年に2回、ヨーロッパや米国など各国都市を巡って開催されて いるが、12回目を迎える今回はいよいよ初の東京開催となる。期間中は各国から6,000人を 超える参加者が見込まれ、 最新技術情報や新規プロジェクト動向などが共有される予定だ。 レッドハットは今回の OpenStack Summit Tokyoにプレミアスポンサーとして参加し、 19 のセッションを実施、展示会場へも出展する予定だ。以下に、イベントの概要とレッド ハットの出展内容を簡単にご紹介しよう。 1 基調講演[Keynote] 10月27、28日の2日間にわたる基調講演では、OpenStack Foundationから今 後の開発の方向性に関するメッセージや次期リリースの注目の新機能、大規模ユー 2 ● 開催日:2015年10月27日 (火) ∼30日 (金) ● 会場:グランドプリンスホテル高輪 (東京都港区) ● 主催:OpenStack Foundation ● 公式サイト:https://www.openstack.org/summit/tokyo-2015/ 27(火) 28(水) 29(木) 1 . 基調講演[Keynote] 2 . 展示[Marketplace Expo Hall] 3 . ビジネスセッション/ワークショップ 4 . ディベロッパー & オペレーター ワーキングセッション 30(金) 展示[Marketplace Expo Hall] 10月27∼29日に催される展示では、スポンサー各社が自社ソリューションを 紹介。ビジネスで協業するパートナーを発掘するタッチングポイントともなるだろう。 ザーの導入事例などが紹介される予定だ。導入事例 レッドハットのブースでは、OpenStack はもちろん Red Hat Cloud Infrastructure、 では、OpenStack がどのように活用されているのか、 ストレージ、PaaS 基盤など、ハイブリッドクラウドソリューションのデモを実施する 規模感や導入後のメリットなどの詳細情報も提供さ 予定だ。またレッドハットのエキスパートが、ユーザーやパートナーの OpenStack れる。技術者にとどまらず、ビジネスユーザーにとって に関する課題や質問に直接回答する場も設けられる。 (レッドハットブース:Expo も今後のIT基盤戦略のヒントが満載だ。 Hall内) 3 ビジネスセッション/ワークショップ OpenStack Summit 期間中は、300 を超えるビジネスセッションやハンズオン セッションが実施される。ビジネスセッションは世界中から公募され、厳選な投票と 4 ディベロッパー & オペレーター ワーキングセッション ビジネスセッションと平行して、期間中、連日開催されているのが「Design Summit」 での「ディベロッパー & オペレーター ワーキングセッション」だ。ここでは コ OpenStack Foundation の決議により選出された人気タイトルが実施される仕組み ントリビューター 向けのセッションが多数行われてお だ。レッドハットからは 19 のセッションが予定されており、以下に注目セッションをご り、OpenStack の各コンポーネントの設計についての 紹介する。 深いディスカッションや、オペレーター がユーザーの ● 10月27日 (火)11:15am ‒ 11:55am レッドハットスポンサーセッション -Darrell Jordan Smith, VP of Worldwide Telecom Service Provider Sales チャイナ・モバイルへの導入事例を中心に、特にテレコム企業におけるサービス展開の迅 速化、設備や運用コストの削減に効果を発揮するNFVソリューションをご紹介する。 ● 10月28日 (水)4:40pm ‒ 5:20pm The State of Ceph, Manila and Containers in OpenStack -Sage Weil, Ceph Principal Architect レッドハットが買収した Inktank 社の創業者であるSage Weil は Ceph の開発者で、現在も コードの大半を書いている。本セッションでは、Manila の CephFS のサポートの現状をカ バーするとともに、CephFSの最新ロードマップ情報、およびそれらがOpenStackにおける コンテナ実装シナリオにどのような影響を与えるかについて解説する。 ● 10月29日 (木)9:00am ‒ 9:40am Ambassador Community Report -Erwan Gallen, OpenStack Technical Architect, Red Hat 他 OpenStack コミュニティメンバーとの共同セッション。コミュニティの活動レポート、グ ローバルのトレンドなどを紹介。世界および日本におけるOpenStackのユーザーコミュニ ティの盛り上がりを実感できるセッションだ。 ● 10月29日 (木)1:50pm ‒ 2:30pm The Life and Times of an OpenStack Virtual Machine Instance -Mark McLoughlin, OpenStack Technical Director 講師のMarkはOpenStack Foundationの技術リーダーを務めており、開発コミュニティで も信望の厚い人物だ。本セッションでは、OpenStackの「起動インスタンス」の技術的な詳 細を解説。セッションが終わる頃には、高度な知識を持つ技術者も驚くような新しい事実 を得ることができるだろう。 ニーズを聞くミーティングが開催されている。OpenStack のコアなディベロッパーに会えるチャンスだ。 展示会場にご来場いただいた方に「Red 〈プレゼント〉 Hat Enterprise Linux OpenStack Platform パートナー ソリューションガイド」 を差し上げます。 併設イベント OpenStack Summit Tokyo前夜祭 「NFV Mini Summit」開催 レッドハットでは10月26日 (月)、OpenStack Summit Tokyo 前夜祭として 「NFV Mini Summit」 を開催する。 NEC、アルカテル・ルーセント、ブロケード、ヌアージュ、ビッグスイッチ、プラムグ リッド、シスコといったNFV分野のリーダーカンパニーから、各社の製品最新情報や 導入事例などについてご紹介するとともに、セミナーに続くソーシャルイベントで は、各社のCTOクラスのパネリストによるパネルディスカッションを実施。飲み物を 片手に、 日頃抱えている課題や質問をパネリストにぶつけてみよう。 開催日:2015年10月26日 (月) 主催:レッドハット株式会社 会場:TKPガーデンシティ品川(東京都港区) 詳細はこちら▶▶▶http://red.ht/1VrH1s9 ※写真は2015年5月開催OpenStack Summit Vancouverの会場風景 ◎ レッドハットの製品、 サービスに関するお問い合わせはこちらまで >>> セールス オペレーションセンター ☎ 0120-266-086 (携帯電話からは ☎ 03-5798-8510) 〔受付時間/平日9:30∼18:00〕e-mail: [email protected] ◎ OPEN EYEの配送先変更、配送停止はこちらから >>> http://jp-redhat.com/rd/oe1/ ◎ その他お問い合わせ >>> レッドハット マーケティング本部 e-mail: [email protected] レッドハットニュースレターにぜひご登録ください! 最新ニュース、 キャンペーンやイベント・セミナー情報など、 旬のトピックをお届けします (月1回配信) Copyright 2015 Red Hat Inc. All Rights Reserved. "Red Hat"、"Red Hat Enterprise Linux"、"JBoss"、"OpenShift"および"Shadow Man"ロゴは、米国およびその他の国における Red Hat, Inc. の登録商標です。 Linuxは、Linus Torvalds氏の登録商標です。OpenStackR Word MarkとOpenStackのロゴは、米国とその他の国における OpenStack Foundation の登録商標/サービスマークまたは商標/サービスマークのいずれ かであり、OpenStack Foundation の許諾の下に使用されています。Red Hat は、OpenStack FoundationやOpenStack コミュニティの系列企業ではなくまた、支持や出資を受けていません。その他全ての登録商標 及び商標の所有権は、該当する所有者が保有します。本誌に掲載された内容の無断複製・転載を禁じます。 OPEN EYE Vol.21 2015年10月 発行 発行:レッドハット株式会社 東京都渋谷区恵比寿 4-1-18 tel:03(5798)8500
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