記事を読む - オイスカ

え る と、政 府 は 全 て の 学 校 の 児 童・
本 の 植 樹 を 求 め て い ま す。前 文
きました
N G Oは協約を結ばないと活
専 門 家 に聞
︱
動できないのですか
ン マ ー な ど、 国 に よ っ て は そ の 必
そ ん な こ と は あ り ま せ ん。ミ ャ
要 が あ る ケ ー ス も あ り ま す が、 N
GOは 相 手 国 政 府 と 協 約 を 取 り 交
わさずに自分たちが良いと思った
場 所 と 気 に 入 っ た 相 手︵特 定 地 域
の 住 民 な ど︶を 対 象 に 支 援 活 動 な
どを行うのが普通ではないでしょ
協約を結ぶことのメリットは
うか。
︱
プ ロ ジ ェ ク ト を 行 う 場 合、限 ら
れた資金などを有効に使うため、
最 も 必 要 性 が 高 く、効 果 的 な 取 り
組みができる場所を選別しなけれ
ば な り ま せ ん。そ れ に は 国 全 体 を
見渡して比較検討する必要があり
ま す が、相 手 国 政 府 の 協 力 な し に
は困 難 で す 。
ま た、プ ロ ジ ェ ク ト に は い ろ い
ろ な 側 面 が あ る の で、さ ま ざ ま な
関係者との折衝や協力が不可欠で
す。 例えばフィリピンでのCFP
な ら 政 府 省 庁 だ け で も 農 業 省、教
育 省、環 境 天 然 資 源 省、ボ ラ ン テ
ィア調整局などと関わりがあるわ
け で す が、協 約 で お 互 い の 役 割 を
明確化して協力内容を決めている
た め、合 理 的、能 率 的 で す し、明
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OISCA
TOPIC | June 2012
TOPIC
林 久美子
︵月刊﹁OISCA﹂編集部︶
フィリピンではこれまでに34の州で累計1,090校が「子供の森」計画に参加。子どもたちの手により989ha に222万1777本が植えられた
協約に見るオイスカ活動
フィリピン
﹁子供の森﹂計画の事例から
月 刊﹁ O I S C A ﹂5 月 号の海 外ニュースでフィリピン 子
「 供の森 計
」 画 実 施に関 する基 本 協 約の更 新 を 取り上げました。同じページ
には東ティモールの研 修センターが協 約 終 了に伴い、施 設 を 明け渡したことも 報 告されています 。オイスカのニュースでよく 目にする
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生 徒 お よ び 政 府 職 員 に 対 し、年 間 最
低
︵構成・文
﹁ 協約 ﹂とはどんなものなのでしょうか。国際協力NGOとして海外で活動するオイスカの目指す形が﹁ 協約 ﹂から見えてきます。
協約更新の背景
ま ず は、本 年 3 月 に 更 新 さ れ た 協
約 の 前 文︵抜 粋 編 集・原 文 英 語︶を
ご紹介します。
ha
本協定は、以下の当事者の間で締結される。
農 業 省、教 育 省、環 境 天 然 資 源 省、国 家 ボ
ランティア調整局、およびオイスカ帰国研
修生会ならびにオイスカ・フィリピン。
2011年2月 日付の行政令第 号に
従 い、フ ィ リ ピ ン 政 府 は 貧 困 削 減、食 料 安
全 保 障、環 境 保 護、生 物 多 様 性 の 保 全 お よ
び気候変動の緩和を達成するために201
1 年 か ら 2 016年の間に約150万 に
約 億 本 の 植 林 を 行 う﹁全 国 緑 化 計 画﹂を
優先事項として実施することを宣言した。
こ れ を 踏 ま え、農 業 省、教 育 省、な ら び
に 環 境 天 然 資 源 省 は、環 境 の 保 護、特 に
﹁全 国 緑 化 計 画﹂の 実 施 に 当 た り﹁子 供 の
森﹂計 画 が 果 た す 潜 在 的 な 役 割 を 認 識 し、
その継続的な活動と拡大を支援する必要性
を認めている。
当 事 者 は、誓 約 事 項 を 通 じ﹁子 供 の 森﹂
計画を支援することを相互に合意する。
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﹁全国緑化計画﹂について説明を加
15
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か ら は そ の 有 効 な 手 立 て と し て、
﹁子
力体制が整ったことになります。
全てにおいてCFP推進に関する協
属 す る も の で は な く、学 校 ま た は 地
たCFPで育てた森がオイスカに帰
な協力連携を図ることも可能にな
確な相互関係を土台として有機的
それぞれの役割
供 の 森﹂計 画︵以 下、C F P︶に 期
待 が 寄 せ ら れ て お り、今 回 の 協 約 更
新につながったことが分かります。
域社会へ引き渡されるべきものであ
ります。
N G O の 資 金、人 材 に は 限 り が
年
校がその第一
ま し た。ミ ン ダ ナ オ 島・デ ィ ポ ロ グ
世界のどの国よりも早くスタートし
フィリピンのCFPは1991年、
外国の政府やNGOがフィリ
がボランティア調整局です。同局は、
省 と 異 な り、間 接 的 な 役 割 を 担 う の
か つ 直 接 的 な 支 援 を 表 明。こ れ ら 3
行 う 正 規 職 員 を 任 命 し て の、全 面 的
資 源 省 は、当 事 者 間 の 連 絡・調 整 を
︵図 1︶。農 業 省、教 育 省、 環 境 天 然
Pに対する支援内容を定めています
動を進めていきます。
する立場で長期的な視野に立った活
え る 役 割 を 担 い な が ら、政 府 を 補 完
も地域住民が抱える課題を政府に伝
結 ん で 活 動 を 展 開 し て い ま す。今 後
が、オ イ ス カ は 各 国 の 政 府 と 協 約 を
フィリピンの事例を紹介しました
られます。
れる点も大きなメリットだと考え
に活動の持続性や発展性が確保さ
た す と 約 束 し て い ま す。こ の よ う
フィリピン政府が一定の役割を果
は 困 難 で す が、今 回 の 協 約 で は、
ることも明記されています。
代 に 植 林 事 業 を 開 始 し ま し た が、地
ピン国内で行う各種活動のた
あるので規模の拡大や永続的支援
域住民にとっては植林よりも農作物
めに派遣するボランティアに
各省庁は、それぞれの立場でCF
の 作 付 け が 優 先 で あ り、各 地 で 無 計
関する調整を行う機関であり、
容が明記されています。
苗床の設置・種子生産・植林
および森林保全の技術指導
環境天然
資源省
号 と な り ま し た。オ イ ス カ は、
さを理解することは将来につながり、
・ボ ラ ン テ ィ ア︵C F P 実 施
「子供の森」計画
C F P の実 施 に 当 た り 正 規 の職 員 を 任 命 す る
資金・機材などの提供
市などで植林をした
画 な 焼 畑 農 業 が 横 行。植 林 に 対 す る
また大人も子どもが植えた木は大切
の た め に 来 比 す る ス タ ッ フ︶
成果報告を関係
各機関に提出
CFPに関わるボランティアの
フィリピン滞在に関する便宜供与
オイスカ
ボランティア調整局
︵こうの・よしひこ︶
公益財団法人オイスカ シニアアドバイザー
OECDや政府援助機関などで長く国際協
力に従事
河野善彦
ではないかと思います。
うことが重要な前提条件となるの
政府から信頼を勝ち得ているとい
を通じて相手国の地域社会や中央
や は り 協 約 締 結 に は、長 年 の 活 動
と 認 め る わ け で は な い で し ょ う。
多 く のN G O の 全 て を パ ー ト ナ ー
せ ん。ま た、相 手 国 政 府 と し て も
GOが そ れ を 選 択 す る と は 限 り ま
労 力 を 必 要 と し ま す か ら 全 て のN
約を結ぶこと自体に相当の準備や
メ リ ッ ト を 強 調 し ま し た が、協
長期的な教育の必要性を感じていた
本協約では次のような支援内
CFP誕生の地・フィリピン
CFP第 一 号のパマンサラン小 学 校 現 場 担 当 者 ら が﹁子 ど も が 森 の 大 切
に 管 理 す る だ ろ う﹂と 考 え、学 校 単
の専門技術と現場のニーズが
情 報 を 提 供。ま た 安 全 性 を 確
合 致 す る よ う、任 地 に 関 す る
位での子どもたちの手による森づく
りが始まりました。
協約締結を振り返る
保できるよう支援する
Pの関連業務のために来比す
・ボランティアと家族、CF
境 天 然 資 源 省、教 育 文 化・ス ポ ー ツ
るオイスカ職員へのビザ発給
年 に は、環
省︵現・教 育 省︶と オ イ ス カ と の 間
とその延長について関係機関
CFPスタートの翌
にCFP推進のための初の協約書が
このような全面的な支援を
に働きかける
済 開 発 庁・フ ィ リ ピ ン 国 家 ボ ラ ン テ
受 け る 一 方、当 然 の こ と な が
年 の 更 新 で は、国 家 経
ィ ア 調 整 局︵以 下、ボ ラ ン テ ィ ア 調
らオイスカは各省庁への成果
締 結 さ れ、
整 局︶が 加 わ り ま し た。今 回 新 た に
■ 図1「子供の森」計画の実施に関する基本協約締結者の主な役割
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報 告 が 求 め ら れ て い ま す。ま
植林地の確保など全面的に支援
教育省
有機農法や園芸の技術指導
農業省
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農業省が加わり同国政府の 関 係 省 庁
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