〈怒りのコントロールとオンデマンド婚?〉 今から 20 年ほど前、断酒して 5~6 年、上の娘二人は、小学校低学年。下の二人の息子 たちは、保育所だった。 私自身は、まだまだ、気持ちが安定せず、ガマン我慢の断酒だった。疲れて帰宅すると 子どもたちの黄色い声に、イライラ…。 『煩い!!』 『黙れ!!』の罵声を浴びせる日々を送っていた。 同じく帰宅した家内から『あんた、何言うてんの』『気ぃよう、遊んでるだけやないの』 『一番煩いのは、あんたや~』 『ガマンでけへんねん、やったら出て行って、離婚しまし ょ』…と 散々だった。 これは、どないか せなあかん ……と考えついたのが、『スキすきチュー作戦』だっ た。 直ぐに、カーッと怒るのではなく、 『そんな悪いことする子は、お尻ペンペンか、スキ好き チューか?どっちがえぇ~?』…と、 問い掛けることにした。 こどもたちは、決まって『スキ好きチュー!!』を選ぶ。ぎゅ~っと抱きしめて、頬っぺに『チ ュー』。 子どもたちは、嬉しそうに笑い声を立てるし、何よりも、私自身が落ち着く。こ れをするようになって、大声で叱り付けるのが、随分と減った。 実は、もう一つ衝撃的な出来事があった。子どもらと街のお風呂屋さんへ行った折り、 入浴の手順を子らに事細かく指導していた。その後、入浴中のおっさんが、何やら、我が 子らに話し掛けていた。 『あのオッチヤン、何言うてたん!?』…と尋ねると、 『お前とこの、おとん、いちいち煩 い奴やなぁ~」っていうてたよ!と、あっけらかんと返事が返って来た。 それはズキッとする程の衝撃だった。 過干渉の母親に振り回されて、「良い子」を演じて 来た自分自身の嫌だった過去に思いに馳せ、 『アカン!アカン!』…これやったら、母親と 同じや!!と猛反省。 子どもとの距離を取る事が、次の課題となった。その頃、保育所主催の子育て講演会で、 講師が子育てで、躾を始め、色んなことをしてやろう…って思っては、いけません。 「安定・ 安心の衣食住」を与える事だけで…充分なんです。…と言うのを聴き、確信となりました。 〈オンデマンド婚〉 さて、怒りのコントロールで最大の難関は、連れ合いとの関係です。長年の飲酒生活の 中で、皮肉を云われては、反発するという、夫婦ゲンカの道筋が出来上がっていて、ちょ つとした事で、ドツボに嵌まる事が続きました。 また、家内が職場での出来事を話し始めると、露骨に嫌な顔をし、 「こうしたら」 「ああ したら」…と解決法をアドバイスをする始末。ただ、ただ、 「聞いて欲しいだけ…」という 事が長い間、分かりませんでした。 ところで 、皆さんは、 「住いは人権」という言葉を聞いた事が無いでしょうか? 我が家もご多分に漏れず、ごくごく小さな二階家に子どもが 4 人。幼い時はまだしも、成 人の子が四人。私たち夫婦で合計 6 名が暮らすという極めて狭隘な住環境でした。 長男は、大学生になると勉強する場所が無い…と、とうとう一年程、友人宅へ家出して しまいました。 また、2 年前、二女が事情があってシングルで出産する事となりました。 肝心の自宅は築 40 年を超えて床が、波打つなどボロボロの状態。これでは、孫育てが 出来ない…と退職金で 近くに、これもまた小さな中古の三階建を購入。それまでの古家は、 リフォームする事になりました。 この間、私の母親が突然死するなど、書き尽くせない程の困難が次々と起こりましたが、 「家 族力」で、どうにか乗り越えて来ました。 ここで、私が学んだ事は、自分さえ良かったらよい…から、運命共同体である家族全体 のいく末を考えて最善の道を選択して行くしかない事。いつまでも、 「アル中はジコ中」の 甘えでは済まされない…事。時には「家族会議」をも、しながら、特に家内とは、こちら から良く話し合いをする努力をして来ました。 今は少し落ち着き、実は、三階建ての家には、私と息子の 3 人が暮らし。自転車で、1 分間、直線上の、リフォームの済んだ二階家には、家内と娘二人と孫、4 人が住み分ける… 事になった。 つまり夫婦間で云えば、期せずして「オンデマンド婚」を実行中です。今のところ、息 子たちとも、じっくり語れるし、また、孫育てにも、距離をおいて係われる。家内との関 係も新鮮ですね。 てんとう蟲おじさん
© Copyright 2024 Paperzz