名匠カリニャーニ あの感動をふたたび

特集❸
特集❷ クラシック
紀尾井シンフォニエッタ東京
第90回定期演奏会
名匠カリニャーニ
あの感動をふたたび
知性と情熱のヴァイオリニスト
ヴィヴィアン・ハーグナー
ヴァイオリン・リサイタル
紀尾井シンフォニエッタ東京の2012-2013シーズン定期演奏会を
締めくくるのは、2005年の当団定期演奏会で初来日した
パオロ・カリニャーニ。
フランクフルト歌劇場音楽監督として、
また、
ウィーン、バイエルン、
コヴェントガーデンといった
名門オペラハウスの常連として、名声をほしいままにしている
名匠が8年ぶりに帰ってきます。
音楽へのひたむきな情熱、豊かな表現を支える
確かなテクニック。
ヴィヴィアン・ハーグナーは
多くの音楽家たちからの信頼を集める
ヴァイオリニストです。
リサイタルに向けて、
その聴きどころについての
メッセージをいただきました。
プログラムについて
今回のプログラムは、私にとってとても思い
の深いものであり、日本の皆さまとこのプログ
ラムでご一緒できるのをとても幸せに思ってお
ります。
リサイタルはシューベルトのロンドで始まり
ます。冒頭からフランスを思わせるような、リ
リックな情景というよりも前に、これから始ま
る長いストーリーの序章のように感じられる、
これぞシューベルトという香りを放っています。
シューベルトがパガニーニに抱いていた尊敬の
念が、ロンドのヴィルトゥオーゾ的な要素によく
表れています。
リストの2曲では、彼の初期の作品と、晩年
の作品との作風の違いを楽しんでいただける
と思います。リスト唯一のヴァイオリンとピアノ
のためのオリジナル曲である「協奏的大二重奏
曲」は初期の作品で、彼の技巧的な要素を強く
反映し、とても軽快な作品です。一方「悲しみ
のゴンドラ」は、まったく正反対な、とても陰鬱
とした後期のあまり知られていない作品です。
後半は、すべて、ブラームスに捧げました。と
てもリリカルで、終盤に向けてとても抽象化さ
れた作品であるソナタと、民謡的でテンポの速
いハンガリー舞曲を通して、ブラームスの作品
の持つ2つの側面を感じていただきたいと思っ
ております。 ぜひ、皆さまの耳で、シューベルトとブラー
ムスのソナタが包んでいるリリックが共鳴して
いること、また同時にハンガリー舞曲やハンガ
リー人であるリストの作品の共通項を見出して
いただきたいと思っております。
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ラウラ・ジョルダーノ
ヴィヴィアン・ハーグナー©Timm Kölln
て、今まで紀尾井ホールの歴史を飾ってきた
数々の芸術家たちとともにその一人となれるこ
とにとても誇りを感じております。そして、いろ
いろなアーティストから類まれな音響だと聞い
ている紀尾井ホールで演奏をできる喜びを存
分に味わいたいと思っております。
紀尾井ホールで演奏をするのは初めてです
が、今からワクワク、ドキドキしています。そし
詳細▶8P
ジョヴァンニ・フルラネット
膨大なスコアを読み解き、演奏上の
バト・マーテル」。イエスの磔刑を嘆く
慣習に熟知し、声楽、オーケストラで音
聖母マリアを思い、その悲しみをともに
楽を組み立てていくばかりでなく、舞台
したいとこいねがう、ラテン語の詩に作
演出など全体にわたる解釈など、多彩な
曲したものです。すでに有名であったペ
才能や手腕が問われるオペラ指揮者。
ルゴレージの名作に接して、青年時代に
こうしたオペラ指揮者の中でも、近年と
一度はこの詩に作曲をしないという決
りわけ頭角を現しているのがパオロ・カ
心をしたロッシーニが、その決意を翻し
リニャーニです。カリニャーニは初来日
て作曲し、初演は大好評を博したとい
となる前回の当団客演時にペルゴレー
う逸話もあります。声楽のソリスト陣に
ジの「スターバト・マーテル」を指揮し、
は、いずれも欧米の歌劇場で活躍する
深い感動へと導いてくれたのは記憶に
「ロッシーニ歌い」の面々を迎え、合唱
新しいところです。以後、読売日本交響
には高いクオリティで定評のある新国
楽団の定期公演や、二期会、新国立劇
立劇場合唱団が出演します。
場などのオペラ公演で、日本でもよく知
ドラマティックな表現とイタリアの歌
られるようになってきました。
心が魅力のカリニャーニが、オペラ指揮
今回、8年ぶりにカリニャーニと演奏
者として培った手腕を遺憾なく発揮する
する作品は、イタリアを代表する二人の
プログラムにご期待ください。
するケルビーニの交響曲ニ長調は、ベー
知性と情熱のヴァイオリニスト
紀尾井ホールについて
フィリッポ・アダミ
オペラ作曲家のものです。前半に演奏
セディナ・スペシャル
ヴィヴィアン・ハーグナー
ヴァイオリン・リサイタル
エレーナ・ベルフィオーレ
トーヴェンと同時期に活躍したケルビー
ニが残した唯一の交響曲です。オペラ
6.18火 19:00
の場面展開を思わせるように劇的で、美
高橋礼恵
しい旋律に溢れた作品です。
そして、後半はロッシーニの「スター
第90回定期演奏会
名匠 カリニャーニ
あの感動をふたたび
7.26金 19:00│7.27土 14:00
パオロ・カリニャーニ
名匠 カリニャーニからの
メッセージ
日本へ、そして格調高い紀尾井
ホールにふたたびお伺いできる
ことを大変うれしく思っておりま
す。そして、
また素晴らしい紀尾井
シンフォニエッタ東京の舞台で指
揮できることを光栄に思っていま
す。今回、ケルビーニの交響曲と、
ロッシーニの冗談めいたところの
ない真剣な側面がみられる非常
に興味深い作品の一つ、スター
バト・マーテルを演奏できるのを
心待ちにしています。さらに、ロッ
シーニのスペシャリストたる歌手
陣とともに音楽づくりができると
いう名誉にも恵まれています。ま
た、この場を借りて、いつも真剣
にそして曲目について下準備を
心掛けてくださる日本のお客さま、
皆さまに感謝を申し上げたいと
思います。
パオロ・カリニャーニ
詳細▶9P
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