第6学年前期 教科名:法医学演習[専門歯科学] 学修目標 歯科法医学の対象は,死体だけでなく,生体,さらには医療文書にも及ぶことを知り, 社会生活において歯科法医学が役立つ場面のあることを知る。歯からの性別判定,年齢推 定および身元確認に関する演習を行い,導き出された結果が犯罪捜査や裁判等において証 拠価値としてきわめて重要な位置を占めることを理解する。 ■教 科 書:1専門歯科学 -法医学演習・2016-(法医学講座編) 2臨床のための法医学 第6版(朝倉書店) 3プリント配布 ■参 考 書:1歯科法医学 第1版(わかば出版) ■授業時間:木曜日 9:00~11:50,16:00~16:50 4月 14 日は第5実習室,4月 28 日は第2,3実習室,5月 12,19 および 26 日は第4実習室で実習を行う。4月 14 および 28 日は実習説明のため講堂 集合。グループ分けは,事前に講堂前に掲示する。 ■オフィスアワー:網干 博文 月曜日 12:00~13:00 堤 博文 月曜日 12:00~13:00 伊澤 光 月曜日 12:00~13:00 丸山 澄 月曜日 12:00~13:00 ■成績評価:全時間の出席を前提とする。定期試験(100%),受講態度不良は減点の対 象とする。 ■注意事項:学生番号順に数班に分け,班担当のインストラクターの指導を受ける。 (各課題のページは実習講義の際提示する) ■準備学習:指定された教科書を事前に熟読し,配布プリントを用いて復習するこ とで十分な学修効果が得られる。 授業日・担当者 第1回4月7日 9:00~9:50 堤 博文 演 習 項 目 1.法医学総論 1)法秩序維持と医学の 係わり (教 2)pp.1-24 (教 3)プリント 2)自然死と異状死 (教 2)pp.7-14 (教 3)プリント 学 修 到 達 目 標 ・一般社会生活において,様々な問題が発生 する。社会の法秩序維持のために数多い解 決手段のなかで医学,歯学的な検証が功を 奏する場合は少なくないことを理解する。 ・医学や歯学が司法,立法および行政にどの ように係わっているか,その意義について 考える。人の死とは何か,我が国の異状死 の取扱い方を知る。 異状死のうち,身元不明死体はどの程度あ るか,身元確認の解決策はあるか,日本国 における取り組みの現状を知る。 授業日・担当者 10:00~10:50 丸山 澄 演 習 項 目 2.歯科法医学総論 1)歯科法医学の歴史 2)歯科法医学の対象 3)歯科所見による身 元確認の有効性 4)歯痕 5)歯から判ること (教 2)pp.164-173 (教 3)プリント 学 修 到 達 目 標 ・歯科法医学と社会との関わりについて,そ の歴史的変遷を学ぶ。 ・歯科法医学の対象について学ぶ。 ・歯科所見が身元確認になぜ有効かを知る。 ・歯痕の種類およびその検査から同定に至 るまでの過程について理解する。 11:00~11:50 網干 博文 3.死体のみかた 1)早期死体現象 (教 2)pp.25-29 (教 3)プリント ・ヒトが死亡して死体となった時から,その 死体に現れてくる様々な変化や現象につ いて総合的に理解する。 ・死体現象のうち,比較的早く出現する早期 死体現象の発生機序とその社会における意 義について理解する。 16:00~16:50 伊澤 光 3.死体のみかた 2)晩期死体現象 (教 2)pp.29-34 (教 3)プリント ・ヒトが死亡して死体となった時から,その 死体に現れてくる様々な変化や現象につ いて総合的に理解する。 ・死体現象のうち,比較的遅く出現する晩期 死体現象の発生機序とその社会における 意義について理解する。 第2回4月 14 日 9:00~11:50 網干 博文 堤 博文 伊澤 光 丸山 澄 4.歯科資料の整備 1)歯科資料の意義 2)歯列模型の作製 ・ 犯罪捜査,裁判等において証拠となる歯 科資料の価値およびその意義について学 ぶ。 ・ 個人識別において歯科資料の一つである 上下顎歯列模型の作製法ならびにその留 意点について学ぶ。 ・ 個人識別において歯科診療録,エックス 線写真,作業用模型,歯科技工指示書, その他の医療文書の重要性を知る。 ・ 性別判定および年齢推定実習に用いるた めの各自の上下顎歯列模型を作製する。 ・ 法医鑑識の実務における遺体の上下顎歯 列の印象採得法について理解する。 授業日・担当者 16:00~16:50 伊澤 光 第3回4月 21 日 9:00~9:50 伊澤 光 演 習 項 目 3.死体のみかた 3)特殊死体現象 4)死体の物理的損壊 5)死後経過時間の推定 (教 2)pp.32-34 (教 3)プリント 学 修 到 達 目 標 ・ヒトが死亡して死体となった時から,その 死体に現れてくる様々な変化や現象につ いて総合的に理解する。 5.血液型 1)血液型システム (教 1)pp.1-17 (教 2)pp.141-145 (教 3)プリント ・ ABO式血液型に始まる血液型発見の歴 史的変遷について学ぶ。 ・ 血液型が個人識別にどのように応用され ているか理解する。 ・ 血液型の研究が臨床医学に果たす役割に ついて知る。 ・ABO式,Rh式,MN式システムの抗原 構造(抗原決定基)および抗体について学 ぶ。 ・白血球型,血清型および酵素型の多型につ いて学ぶ。 ・輸血,臓器移植などにおける血液型の応用 について学ぶ。 10:00~10:50 伊澤 光 ・血液型判定における抗原および抗体の構 5.血液型 造について学ぶ。 2)血液型・血痕検査法 ・吸収試験による唾液からの血液型判定に (教 1)pp.1-18 ついて理解する。 (教 2)pp.141-145 ・血痕検査の方法について理解する。 pp.162-163 (教 3)プリント 11:00~11:50 伊澤 光 6.薬物による犯罪と 責任能力 1)中毒,毒物の定義 2)薬毒物の分類 3)有毒性ガス 4)歯科で扱う薬物 (教 2)pp.115-140 (教 3)プリント ・ 各種の法律で定義づけられている薬 毒物の定義および分類について学ぶ。 ・ 薬毒物の分析化学的分類,薬理学的分 類について学修する。 ・ 主要毒物(一酸化炭素,硫化水素,青 酸,有機リンなど)について性質,中 毒作用機序,解毒,死体所見などにつ いて理解する。 ・ 歯科で扱う薬物(砒素,フッ素など) について性質,中毒作用機序,解毒な どを理解する。 授業日・担当者 16:00~16:50 丸山 澄 演 習 項 目 7.傷のみかた 1)定義と用語 2)顎顔面外傷をみたと きの法医学的問題点 3)分類 4)損傷による死因 5)生活反応 (教 2)pp.50-63 (教 3)プリント 学 修 到 達 目 標 ・ 力学的な外力が人体に加えられて生じた 組織の異常状態を観察し,創傷検査の法 医学的意義について理解する。 ・ 創傷の数,部位,性状および程度などか ら,自為,他為,あるいは災害によるも のかの識別ができることを知る。 ・ 創傷を成傷器によって分類し,それぞれ の特徴的性状について理解する。 ・ 損傷による死因を決定するにあたり,留 意すべき事項について検討し理解する。 ・ 個体が外から刺激を受けたとき,生体で なければ生じない所見(生活反応または 生体反応)の種類と意義について理解し, 死後損傷との識別ができる。 第4回4月 28 日 9:00~11:50 網干 博文 他 8.血液型検査,血痕 検査 1)唾液からの血液型検 査 2)血痕検査 (1)血痕予備試験 (2)人血試験 (3)血液型検査 (教 1)pp.1-18 (教 2)pp.141-145 pp.162-163 (教 3)プリント ・唾液を採取し,吸収試験による分泌型・非 分泌型およびABO式血液型判定を行い, その手順を理解する。 ・血痕予備試験としてロイコマラカイトグ リーン検査を行い,その手順を理解する。 ・人血試験としてOCヘモキャッチ法を行 い,その手順を理解する。 ・解離試験によりABO式血液型検査を行 い,その手順と原理に基づいた判定法を理 解する。 9.虐待 1)定義と用語 2)分類 3)被虐待児症候群 (教 2)pp.113-114 (教 3)プリント ・乳幼児や小児が親や保護者から繰り返し 虐待を受け,それによって生じた外傷の特 徴的性状を学ぶ。 16:00~16:50 丸山 澄 授業日・担当者 第5回5月 12 日 9:00~9:50 網干 博文 演 習 項 目 10.性別の判定 1)性別判定の対象 2)歯からの性別判定 (教 2)pp.156-160 pp.169-171 (教 3)プリント 学 修 到 達 目 標 ・性別判定の対象となる事項について,その 関連法規も含めて理解する。 ・骨硬組織などによる性別判定の方法につ いて理解する。 ・歯の形態(大きさ,形)からの性別判法を 理解する。 10:00~11:50 網干 博文 他 11.歯の大きさからの 性別判定 (教 1)pp.19-25 p.169 ・上下顎歯列模型上の歯の大きさを計測し, 歯の計測学的な手法による性別判定法,お よび判別分析を用いた性別判定法を習得 する。 16:00~16:50 丸山 澄 12.窒息 (教 2)pp.98-105 (教 3)プリント ・窒息の種々のタイプ(鼻口閉鎖・気道閉鎖 による窒息死,喉頭浮腫による窒息死,縊 死,絞死,扼死,溺死および圧死など)と, そのメカニズムを知る。 第6回5月 19 日 9:00~9:50 丸山 澄 10:00~11:50 網干 博文 他 13.年齢の推定 ・骨硬組織による一般的な年齢推定法につ 1)骨硬組織による年齢 いて学ぶ。 推定 ・メトリックあるいはノンメトリックな年 2)歯による年齢推定 齢推定法について,その推定法が開発され (教 1)pp.26-34 た形態学的加齢変化を含む背景を学ぶ。 (教 2)pp.159-160 ・年齢推定のための数学モデルについて理 p.171 解を深め,実際どのように使用されるか理 (教 3)プリント 解する。 14.歯からの年齢推定 1)齲蝕および処置状態 からの年齢推定 2)咬耗からの年齢推定 (教 1)pp.26-34 (教 2)p.171 (教 3)プリント ・加齢につれて齲歯の保有率と処置率が高 まり,健全歯と残存歯数は減少する。この 現象を総合的に捉え,数量化1類を応用し た齲蝕罹患値による年齢推定法を習得す る。 ・歯に現れる加齢に伴う生理的変化の一つ である咬耗の進行と年齢との関係を総合 的に捉えて,咬耗状態による年齢推定法を 習得する。 授業日・担当者 16:00~16:50 丸山 澄 演 習 項 目 15.DNA型 1)DNA型検査 2)DNA型鑑定 (教 2)pp.146-150 p.160,169 (教 3)プリント 学 修 到 達 目 標 ・現在,法医学分野に応用されているDNA型 検査法について学ぶ。 ・Minisatellite, Microsatellite および mitochondria DNAの多型による個人識別 を理解する。 第7回5月 26 日 9:00~11:50 網干 博文 他 16.歯科所見による身 元確認作業の実際 1)口腔内所見の検査 2)歯科記録用紙への記 入 (1)死後記録の作成 (2)生前記録の作成 3)死後記録と生前記録 の照合 (教 1)pp.35-48 (教 2)pp.164-173 ・死後記録の作成法を習得するとともに,検 査における留意事項について理解する。 ・生前記録の作成法を習得するとともに,歯 科診療録の記載内容の理解の仕方および X線写真撮影の重要性などについても理 解する。 ・死後記録と複数の生前記録による照合作 業を体験し,その結果の判断の仕方および 照合用紙への記載法を習得する。 16:00~16:50 堤 博文 17.事例供覧 (教 2)pp.164-173 ・ 過去のDNA鑑定事例をとおして,鑑定作業 の実際および有用性を知る。 ・ 親子鑑定が必要になる民事および刑事事 件にはどのようなものがあるかについて 学ぶ。 ・ 親子鑑定の方法について理解する。 ・ 親子鑑定の一番の決め手は血液型(DNA 型を含む)検査であることを理解する。 ・ 大規模災害時の身元確認作業の実際につ いて理解する。 ・ 閉じられた災害事例の身元確認作業につ いて理解する。 ・ 歯科所見や歯痕の同定が個人識別に有効 であった事例をとおして,その作業の実 際および有用性を知る。 ・ 身元確認における口腔内所見の検査法を 理解する。
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