笠間市観光振興基本計画 笠 間 市 目次 CONTENTS 笠間の見どころ ………………………………………………… 1 ごあいさつ 笠間市長 山口 伸樹 …………………………… 3 序 章 計画策定の趣旨 1 計画策定の目的 …………………………………………… 6 2 計画策定の基本的方向 …………………………………… 6 第1章 笠間市における観光振興の現状と課題の整理 1 現状整理 …………………………………………………… 8 2 課題整理 ………………………………………………… 14 第2章 観光振興の基本方針 1 基本理念 ………………………………………………… 16 2 基本目標 ………………………………………………… 17 第3章 基本的施策 1 多様な観光魅力の創出 ………………………………… 22 2 情報発信の強化 ………………………………………… 26 3 観光振興と交流の担い手づくり 4 おもてなしの心の醸成と充実 ……………………… 28 ………………………… 29 第4章 計画の推進に向けて 1 推進体制の整備 ………………………………………… 32 2 各主体が果たすべき役割 ……………………………… 33 参考資料 参考1 笠間市内の主な観光資源 ………………………… 36 参考2 笠間市観光振興基本計画策定経過 ……………… 42 参考3 笠間市観光振興基本計画策定委員会設置要綱 … 43 参考4 笠間市観光振興基本計画策定委員会委員名簿 … 44 笠間 の見どころ 笠間つつじ公園 北山公園 笠間稲荷神社 茨城県陶芸美術館 笠間日動美術館 合気神社 笠間工芸の丘 1 笠間 の見どころ あたご山桜まつり 北山公園桜まつり 笠間の菊まつり 岩間夏まつり 2 流鏑馬 笠間の陶炎祭 悪態まつり ごあいさつ 笠間市長 山 口 伸 樹 近年、余暇時間の増大や急速に展開する情報社会を背景として、観光に対するニーズは多様化し、 また、交通体系整備の進展により観光客の行動範囲も一層広域化するなど、観光を取り巻く環境は 著しく変化しています。 このような中、笠間市は、笠間稲荷神社をはじめ、笠間日動美術館や茨城県陶芸美術館、笠間焼、 稲田みかげ石などの歴史的資源・芸術・伝統文化のほか、愛宕山や北山公園などといった魅力ある 観光資源を豊富に備えています。 さらに、茨城空港の開港や北関東自動車道の整備の進展など交通環境も大きく変化し始めており、 本市の観光振興を図るうえで、またとない好機を迎えています。 この計画は、笠間市が有する自然、歴史、芸術、文化などの地域資源を活用して観光の振興を図 り、「笠間市総合計画」の観光部門の基本計画として、観光振興の基本的方向や振興方策を明らか にするために策定したものであります。 今後は、この計画に沿って、本市の個性と魅力ある観光振興施策を推進してまいりたいと考えて おりますので、市民の皆様をはじめ、観光関連団体、事業者の皆様には、この計画にご理解いただ き、積極的な連携とご協力をお願い申し上げます。 最後に、この計画の策定にあたり熱心にご審議いただきました笠間市観光振興基本計画策定委員 会の皆様をはじめ、ご協力をいただきました関係者の皆様に心からお礼申し上げます。 3 序 章 計画策定の趣旨 1 計画策定の目的 2 計画策定の基本的方向 序章 計画策定の趣旨 1 計画策定の目的 笠間市は、歴史的資源・芸術・伝統文化をはじめ、自然環境を背景とした多くの観光資源に恵まれ、 茨城県の観光拠点としての重要な役割を担っています。 本市の観光は、日帰りで訪れる観光客の割合が高く、季節的にも春・秋のイベントや正月に集中 する傾向にあり、通年型観光地への発展が遂げられない状況にあります。 一方、余暇時間の増大や急速に展開する情報社会を背景として、 観光に対するニーズは多様化し、 また、交通体系の整備の進展等により観光客の行動範囲も一層広域化し、観光を取り巻く環境は著 しく変化しています。したがって、これからの笠間市はこれらの変化に対応した観光魅力、観光需 要の創出が必要となっています。 このため、合併を契機に、新たな枠組みとしての笠間市の観光資源の魅力向上策を検討し、通年 滞在型の観光振興を図るため、その指針となる「笠間市観光振興基本計画」を策定するものです。 2 計画策定の基本的方向 この観光振興基本計画は、笠間市総合計画の実現に向けた観光分野の個別計画として位置づけら れるものです。策定にあたっては、我が国の観光立国に向けた取り組みや茨城県の「茨城県観光振 興基本計画∼観光客5000万人の実現∼」など、今後の観光振興を図る上で必要とされる新たな視点 に留意するほか、笠間市における諸計画との整合を図りながら策定します。 本計画の期間は、平成20年度(2008年) ∼平成29年度(2017年)までの10ヵ年とし、 計画策定後は、 計画推進の進捗状況の把握に努め、観光を取り巻く環境の変化にも的確に対応しながら、必要に応 じて見直しを行います。 ●計画の位置づけ 住みよいまち 訪れてよいまち 笠間 ∼みんなで創る 文化交流都市∼ 笠間市総合計画(平成19年4月) 茨城県観光振興基本計画 ∼観光客5000万人の実現∼ (平成18年4月) 笠間市観光振興 基本計画 観光立国推進基本法施行 (平成19年1月) 都市計画マスタープラン 環境基本計画 各種観光関連事業・施策の実施 6 農林業振興基本計画 第1章 笠間市における観光振興の 現状と課題の整理 1 現状整理 2 課題整理 第1章 笠間市における観光振興の現状と課題の整理 1 現状整理 ⑴笠間市を取り巻く環境の変化 ①市町村合併による観光資源の充実 平成18年3月、笠間市、友部町、岩間町の1市2町が合併し、新たな笠間市が生まれました。 それにより、笠間稲荷神社をはじめ、笠間日動美術館や茨城県陶芸美術館、笠間焼、稲田みかげ 石などの歴史的資源・芸術・伝統文化に加え、愛宕山や北山公園など多くの資源が加わり、観光 資源の多様性が広がりました。 ②高速道路や航空路など高速交通網の充実 平成22年には茨城空港が開港、平成23年には北関東自動車道が全線開通する予定です。このよ うな交通利便性の向上により、笠間市と他地域との観光における競合激化が見込まれる一方、新 たな観光ルート開拓の可能性が広がります。 8 第1章 笠間市における観光振興の現状と課題の整理 ⑵笠間市観光の現状 ①県内からの日帰り客中心、自家用車中心の入り込み 笠間市の宿泊客数は、平成元年には約59万人いましたが、年々減少傾向にあり、平成18年は約 3分の1の21万人となっています。一方、日帰り客数は、増加傾向にあり、県内からの自家用車 を利用した日帰り観光が主体となっています。 笠間市の年間観光客動態 日帰り客 宿泊客 400万人 300万人 59 37 34 35 21 267 273 273 277 282 H元 H10 H16 H17 H18 200万人 100万人 0万人 資料:観光客動態調査 観光入込客数(※1) (単位:人) 日帰り宿泊の別 入込観光客 合計 3,035,100 日帰り客 (%) 宿泊客 (%) 2,822,600 (93) 212,500 (7) 居住地別 県外客 (%) 県内客 (%) 1,031,900 2,003,200 (34) (66) 利用交通機関 鉄道 ・ 定期バス (%) 貸切バス (%) 自家用車 ・ その他(%) 151,800 (5) 273,200 (9) 2,610,100 (86) 資料:観光客動態調査(平成18年) ※1:観光入込客数とは、茨城県が、県内の観光地を訪れる観光客数を把握するために、毎年定められた観光地点、観光施 設及び観光行事に入り込んだ観光客の数を集計したもの。 9 第1章 笠間市における観光振興の現状と課題の整理 ②季節的・イベント中心の観光 笠間市の観光客の入り込み状況は、平成18年度で約303万人ですが、 つつじまつり(4∼5月) 、 陶炎祭(5月)、菊まつり(10∼11月)、匠のまつり(11月)等、春・秋のイベント及び初詣(1 月)の観光客が全体の77%を占めています。その反面、夏季(7∼9月)が8%、冬季(2∼3 月)が6%と極端に少なくなっており、依然として通年型観光地への発展が遂げられていない状 況となっています。 観光客動態調査の動向 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 1,000,000人 桜まつり・つつじまつり 陶炎祭 初詣 菊まつり 笠間のまつり 匠のまつり 900,000人 H16年度 3,064,200人 800,000人 H17年度 3,116,200人 H18年度 3,035,100人 700,000人 600,000人 500,000人 400,000人 300,000人 200,000人 100,000人 0人 資料:観光客動態調査 10 第1章 笠間市における観光振興の現状と課題の整理 ③多彩で豊富な観光資源 本市には、自然資源、歴史資源、芸術資源、文化資源、環境資源、産業資源、哲学資源、生活 資源、人物資源など、多彩で豊富な観光資源が存在します。 笠間の主な観光資源 自 然 資 源 笠間つつじ公園、佐白山麓公園、北山公園、あたご天狗の森、野口池湿原、桜(佐 白山麓公園、 北山公園、愛宕山)、シダレザクラ(大田町地内)、シャクナゲ(鳳台院)、 八重の藤・大藤(笠間稲荷神社)、かたくり群生地(福原地内)、すずらん群生地(上 郷地内)、ヒメハルゼミ(片庭地内) 歴 史 資 源 笠間稲荷神社、西念寺、笠間城跡、佐白山観世音寺、大石邸跡、楞厳寺、出雲大社 常陸分社、愛宕神社、合気神社、羽梨山神社、北山不動尊、滝入不動尊 芸 術 資 源 笠間焼、笠間芸術の森公園、笠間工芸の丘、茨城県陶芸美術館、匠工房 ・ 笠間(県 窯業指導所) 、笠間日動美術館、春風萬里荘、笠間稲荷美術館、田中嘉三記念館、 白凛居 文 化 資 源 塙家住宅、宍戸藩陣屋表門、歴史民俗資料館、愛宕山の天狗伝説、合気道発祥の地、 音楽によるまちづくり(クールシュヴェール国際音楽アカデミー等) 環 境 資 源 涸沼川、ホタル鑑賞(駒場地区、南指原地区、北山公園)、ビオトープ天神の里 産 業 資 源 稲田みかげ石(石切り山脈)、石の百年館、東大牧場(東京大学農学部付属農場)、 笠間の芸者衆、クラインガルテン 哲 学 資 源 親鸞と西念寺( 「教行信証」)、藩校時習館(笠間)、藩校脩徳館(宍戸) 人 物 資 源 親鸞(救いを説いた浄土真宗の開祖)、笠間時朝(佐白山に笠間城を築城)、加藤桜 老(長州藩、明治維新のブレーン)、小野友五郎(日本海軍の創設者と咸臨丸) 、田 中友三郎(笠間焼の販路拡大に尽力) 、山下りん(日本最初の女流イコン画(聖画) 家)、鍋島彦七郎(稲田みかげ石の販路拡大に尽力)、木村武山(仏画の第一人者)、 植芝盛平(合気道の創始者)、高野公男(昭和歌謡界のヒットメーカー) 、 坂本九( 「九 ちゃん」の愛称で親しまれた昭和の人気歌手)、松井康成(笠間焼の人間国宝) 伝 統 芸 能 笠間稲荷ばやし、岩間ばやし、大杉ばやし、小原ひょっとこ 特 栗、菊、梅、地酒、栗焼酎、いなり寿司、常陸秋そば、う米、自然薯 産 品 催事 ・ イベント (P12参照) 11 第1章 笠間市における観光振興の現状と課題の整理 ●催事・イベント一覧表(平成20年3月現在) 月 1 2 3 4 5 6 7 8 10 11 12 12 まつり・イベント名 会 場 初詣 笠間稲荷神社、出雲大社ほか 彩初窯市 笠間工芸の丘 桃宴 陶の小径、 ギャラリーロードほか 節分祭 笠間稲荷神社ほか 岩間烏よばり 岩間泉地区 初午祭 笠間稲荷神社、門前通り クールシュヴェール国際音楽アカデミーinかさま 県教育研修センターほか あたご山桜まつり 愛宕山 北山公園桜まつり 北山公園 笠間つつじまつり 笠間つつじ公園 笠間の陶炎祭(ひまつり) 笠間芸術の森公園 合気神社例大祭 合気神社 笠間骨董我楽多市 笹目酒造駐車場 笠間稲荷の八重の藤・大藤 笠間稲荷神社 鳳台院の石楠花 鳳台院 笠間ハンドメイドフェア道の市 弁天町 茅の輪くぐり 笠間稲荷神社 グリーンフェスタかさま 宍戸ヒルズCC 祇園祭 八坂神社 献灯祭 笠間稲荷神社、門前通り 十六夜まつり 陶の小径 笠間のまつり 笠間稲荷神社付近 岩間夏まつり 岩間駅前通り 笠間焼フェア 笠間工芸の丘 いなだストーンエキシビジョン 中野組石材工業特設会場 笠間deお洒落 笠間稲荷神社 笠間の菊まつり 笠間稲荷神社ほか ふるさと友部まつり 友部公民館 全国高等学校アームレスリング選手権大会 笠間市民体育館 匠のまつり 笠間芸術の森公園 流鏑馬 笠間小学校前 笠間骨董我楽多市 笹目酒造駐車場 笠間お稲荷さんコンテスト 笠間稲荷神社 いわま商工まつり 岩間駅南広場 六所神社大祭 岩間駅前通り 登り窯まつり やきもの通り 悪態まつり 愛宕山飯綱神社 陶のオルゴール展 陶の小径 かさま陶芸の里マラソン大会 笠間芸術の森公園 かさま除夜の鐘 佐白山麓公園 第1章 笠間市における観光振興の現状と課題の整理 ④市民の期待が高い本市の観光地づくり 市民が、笠間市全体のすばらしいと思うこと、誇りに思うことでは、「陶芸(焼きもの)やお 祭りなどの伝統文化」が32.3%と最も高く、次いで「田園や平地林の緑、河川などの自然環境」 が18.6%、「寺社・史跡などの歴史的資源」が10.8%と観光に関する項目が、その他の項目に比べ て高くなっています。 また、市民が期待する本市の将来像については、 「子どもから高齢者まで、だれもが安心して 暮らせる福祉のまち」が16.1%と最も高いが、次いで「豊かな自然と共生するまち」14.6%、「歴 史や伝統文化を大切にするまち」13.4%、 「地域資源を活かした観光レクリエーションのまち」6.7% と、観光に関連するまちづくりへの期待が高くなっています。 笠間市の誇り 陶芸(焼きもの)やお祭りなどの伝統文化 32.3% 田園や平地林の縁、河川などの自然環境 18.6% 寺社・史跡などの歴史的資源 10.8% 農産物の豊かさ 8.0% 公共施設の充実(運動施設・医療福祉施設・美術館等) 4.7% 交通の利便性 4.4% 歴史的まちなみなどの景観 4.0% 買い物などの利便性 3.3% 医療・福祉などの公共サービス 1.8% 1.2% 様々なイベントの開催や市民サークルなどによる活発な交流活動 その他 10.9% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0% 資料:笠間市総合計画市民アンケート調査(平成19年) 笠間市の将来像 子どもから高齢者までだれもが安心して暮らせる福祉のまち 16.1% 豊かな自然と共生するまち 14.6% 歴史や伝統文化を大切にするまち 13.4% 農業と商工業の連携など地域に根ざした産業・ビジネスを創造するまち 10.9% 保健・医療が充実したまち 8.9% 地域資源を活かした観光・レクリエーションのまち 6.7% 安全に暮らせるまち(防犯や防災など) 5.4% 都市的な魅力があるまち 4.9% 緑豊かでゆとりある快適環境の住宅地 4.0% 企業などが集積する産業のまち 3.6% 11.5% その他 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 資料:笠間市総合計画市民アンケート調査(平成19年) 13 第1章 笠間市における観光振興の現状と課題の整理 2 課題整理 ⑴地域魅力の向上 本市は、観光資源が豊富に存在しているにもかかわらず、それをつなぐ仕組みが不足しているた め、テーマがしぼりきれず、来訪者にとって笠間の印象度は弱いといえます。来訪者は日帰りが圧 倒的多数ですが、来訪者の楽しめる演出とおもてなしの向上において、何度でも訪れたくなる、少 しでも長く滞在したくなる観光魅力づくりが必要となっています。 ⑵宿・食の充実 観光の経済的な効果を考えると、市内での滞在日数や滞在時間を増やすことが必要であります。 笠間市に訪れた人が気軽に泊まり、地域の特色のある食や器を楽しめるような宿泊施設や飲食施設 の充実が必要となっています。 ⑶魅力情報の発信力の強化 本市では、様々な媒体を通じて、市内外への情報発信を進めていますが、笠間の魅力を十分に PRし、集客につなげているとはいえません。本市の魅力を市内外に効果的にPR・情報発信するこ とで、本市の観光交流活動が喚起されます。 ⑷アクセス・案内等の充実 本市では、笠間駅前の観光案内所をはじめ、サイン計画に基づく案内機能の充実を進めています が、目的地への誘導や資源を巡る散策の案内機能、イベント時の交通の円滑化など、アクセスの利 便性をさらに向上させる必要があります。 そのため、パンフレット等の情報媒体の活用や市民による親切な道案内、目的地にスムーズに到 達できるサイン等の案内機能の充実が課題となっています。さらに、道路整備や駐車場の整備、混 雑等の緩和、安全な歩道や自転車道の整備なども必要となっています。 ⑸推進体制の充実・強化 観光振興を進めるためには、策定した計画を迅速かつ継続的に実施する必要があります。そのた めには、市民・団体・関係企業等の連携・協力による観光推進組織や体制づくりが必要となってい ます。 ⑹広域観光の推進 茨城空港の開港や高速道路網の整備などによっ て、笠間市周辺の観光地との時間距離は短縮してお り、観光客の広域移動はますます増加することが予 想されます。このため、情報発信や観光ルートづく りなどにおいて、県内市町村をはじめ隣接する栃木 県の茂木町や益子町などを視野に入れた広域的な取 り組みを進めていくことが必要となっています。 ⑺国際観光の推進 友部JCT付近 政府は「観光立国」を掲げ、2010年には訪日外国人旅行者を1,000万人にする目標を立てビジッ ト・ジャパン・キャンペーンに取り組んでいる中、本市においても、外国人観光客を増やすことは地 域経済の活性化、国際交流の推進、市民の国際性の向上の面で課題となっています。 14 第2章 観光振興の基本方針 1 基本理念 2 基本目標 第2章 観光振興の基本方針 1 基本理念 文化体感都市・笠間 ∼文化と感動に出会えるまち∼ 笠間市は、自然、歴史、芸術、産業、文化等の地域資源に恵まれた都市です。また、広域交通の 要衝であり、今後、茨城空港の開港や高速道路網の整備などによって、観光客の広域移動はますま す増加することが予想されます。 先人が培ってきた、本市の豊富な観光資源、すなわち、天の恵み(自然資源をはじめ歴史的資源・ 芸術・伝統文化など)、地の利(交通の要衝) 、人の智と和(人材資源と広範な人々との交流)を活 かした観光を振興することは、近年の国民の志向性や観光を取り巻く社会経済環境の変化に十分応 ええるものであり、地域経済の発展を促すだけでなく、市民が、来訪者との交流を通して、本市の 素晴らしさや誇りを再認識し、郷土愛を育むことにも大きく寄与するものです。 笠間市総合計画においては、「笠間を体感できる観光・産業の振興」が掲げられていることから、 本計画の基本理念を「文化体感都市・笠間」と定め、本市の豊富な地域資源を観光資産として総合 的に活用することで、笠間しかできない「出会い」と「感動」 、そして世界に一つしかない「学び」 と「体験」を提供することを目指します。 コラム「観光」の語源 観光は、現在では、物見遊山の旅行を意味し、「遊び」の範ちゅうでと らえられていますが、そもそも、この語源は中国の古典「易経」の「国の 光を観る」にあります。「光」とはその地域の素晴らしさであり人々の活 力であります。また、 「易経」は、為政者はくまなく領地を旅して民の暮 らしを観るべしと説き、善政のもとでは民は活き活きと暮らし、その威光 を他国に示すことができます。つまり「国の光を観る」という行為は「国 の光を示す」という行為に結びついています。 「観光」は単にその地域の名所や風景を見ることだけではなく、その地 域に住む人々が、活き活きと暮らしその地域に誇りを持ち、地域が「光を 示す」ことであります。 16 第2章 観光振興の基本方針 2 基本目標 基本理念「文化体感都市・笠間」を具現化するために、次の基本目標を定めます。 目 標 1 笠間らしさにこだわる観光の実現 観光客だけでなく市民も一緒に「笠間らしさ」を理解できるように、笠間の歴史や伝統、生活様 式などを体感できる魅力ある観光メニューを整備し、提供します。 本市の観光が、通年滞在型観光地へ発展するためには、年齢、男女、個人、団体を問わず日帰り で訪れる観光客が、イベントや季節を問わず楽しめ、おもてなしの心を感じることができる満足度 の高い日帰り観光地への変革が求められ、その延長として宿泊客の拡大は繋がっていくものです。 笠間に訪れた人たちが、笠間らしさを体験したり、地元の人たちと交流できる観光メニューを整 備し、提供します。 目 標 2 わかりやすく、使いやすい、魅力ある情報発信のまち 子どもからお年寄り、本市に訪れたことのない人からある人、市内外はもちろんのこと、幅広く 海外にも視野を広げ、誰にとっても、わかりやすく、使いやすい、魅力ある観光情報を発信するま ちづくりを目指します。 目 標 3 地域が一体となった観光振興の推進と観光交流の展開 地域全体で観光振興を推進するために、観光振興に積極的に取り組む観光事業者や観光関係団体 及び生産者や商業、まちづくり関係者などとのネットワークを拡げ、互いの役割を認識しながら連 携を一層強化します。 笠間の伝統や文化を観光客にも理解してもらうために、まず市民も笠間で住むことに誇りを持っ て生活し、笠間に対する愛着、誇りをさらに深めながら、次世代への継承を図ってまいります。 また、笠間を訪れる来訪者に魅力的な地域資源と交流の機会を永続的に提供し、市民の健康と暮 らしを支える貴重な資源を守っていくこととします。 17 第3章 基本的施策 1 多様な観光魅力の創出 2 情報発信の強化 3 観光振興と交流の担い手づくり 4 おもてなしの心の醸成と充実 第3章 基本的施策 基本理念「文化体感都市・笠間」をもとに、目標実現に向けて、基本的施策を策定します。 ●基本的施策の全体像 【施策の柱】 【施策展開の方向性】 【主な事業】 ●ガイド同行の史跡巡り、工房巡り、美術館巡り等の開催 多様な観光魅力 1 の創出 ●文化に親しむ工芸体験の充実 豊富な歴史・文化 ⑴ 体験観光の推進 ●ミュージアム・カルチャーの推進 ●地域に残る習俗の復活・再現 ●街並みの統一感の創出に地場産品(笠間焼、稲田みかげ 石等)を活用 ●歴史的建造物の保存・活用 自然資源を活用した ⑵ 体験型観光の推進 ●ホタル鑑賞や昆虫採取など自然とのふれあいを大切にす るプログラムの充実 ●自然学習体験や里山生活体験行事等の開催 ●林間学校や農作業の体験企画など都市圏の子どもとの交 流推進 ふれあい交流型観光 ⑶ の推進 ●笠間ファン倶楽部の充実と継続的な交流推進 ●環境保全活動など市民と来訪者がともに参加し推進する 活動やイベントの充実 ●自治体間交流の促進(姉妹都市や友好都市、周辺市町村 等) ●農業体験プログラムの整備 ●農家レストラン・地産地消レストランの推進 グリーンツーリズム ⑷ の推進 ●週末農園(ウィークエンド・ファーマー)の実施 ●笠間クラインガルテンの活用 ●指導者、インストラクターの育成 ●農業特産品の振興と活用 ●地場産品を使った料理や器の開発及び提供 ●食イベントの開催 食をテーマとする ⑸ 観光の推進 ●観光果樹園等の充実・活用 ●グルメマップの充実 ●物産振興団体(笠間稲荷寿司推進会議、あたご特産品直 売推進協議会、庭先販売いわま推進協議会等)への支援 健康づくりをテーマ ⑹ とする観光の推進 ●ハイキングコース・ウォーキングコース及び周辺環境の 整備 ●自然の景観、里山・農村の景観などを巡るウォーキング コースの設定 ●地場農産物による健康食の推進 ●目的別・テーマ別観光コースの設定 観光資源の連携と ⑺ 都市観光の充実 ●市街地の通りや空き店舗有効利用による観光ルート化 ●市内観光施設の周遊策の実施 ●観光周遊バスやレンタサイクルの充実 ●観光資源の質的向上と付加価値化 日帰り観光地として ⑻ の魅力づくり ●JR利用客に対する魅力づくり ●高速道路関連会社との連携 ●日帰りバスツアーの滞在時間延長 20 第3章 基本的施策 ●広域高速網の向上に併せた広域連携 ⑼ 広域観光の推進 ●広域観光ルートの開発 ●観光資源の広域的連携 ●国際観光ガイドの育成 ⑽ 国際観光の推進 ●外国人対応講習の開催 ●ホームステイや留学生等による観光交流の活発化 ●各種イベント等を通じた情報発信 2 情報発信の強化 ●キャッチフレーズやロゴタイプなど、表現の統一化 ●「笠間焼」や「稲田みかげ石」のブランド・イメージの 活用 様々な手段を用いた ⑴ 情報発信 ●雑誌やTVなどでの特集記事・番組展開の促進 ●市や市観光協会のホームページ充実 ●ポスターやパンフレット等の宣伝資材の充実 ●笠間ファン倶楽部やクラインガルテン入居者を活用した PR活動 ●「(仮)笠間ふるさと大使」によるPR活動 ●フィルム・コミッション活動の充実 観光インフォメー ⑵ ションの充実 観光振興と交流 3 の担い手づくり ●インフォメーションセンター機能の整備 ●観光誘導案内板の整備 ●外国人向け観光パンフレット等の充実 笠間ファン倶楽部の ⑶ 推進 ●首都圏居住者を中心とした体験行事等の開催 観光振興の担い手 ⑴ づくり ●講演会、研修会の開催 ●「笠間ファン倶楽部通信」を活用した情報提供 ●先進事例視察 ●観光インストラクターの育成 交流観光の担い手 ⑵ づくり ●観光ガイド、観光ボランティアの育成 ●観光関連事業者のレベルアップ ●観光関連従事者のおもてなし意識の啓発 ●観光関連従事者の技能やマナーの向上 おもてなしの心 4 の醸成と充実 ⑴ おもてなしの向上 ●観光ボランティアの充実 ●観光地美化運動の推進 ●市民向け観光講座の開催 ⑵ 郷土意識の醸成 ●市民向け観光情報の発信 ●小中学生に対する郷土教育の充実 ●歩道の整備 人と環境にやさしい ⑶ 観光基盤整備 ●公衆トイレや休憩施設、観光施設案内板の充実 ●ポケットパークや駐車場の整備 ●商店街や笠間稲荷神社周辺の街並み整備 ●ユニーバーサルデザインの推進 21 第3章 基本的施策 1 多様な観光魅力の創出 現在の観光目的には、⑴国や地域を代表する観光資源を“みて感動する”⑵普段は味わえないも のを現地に出向いて“食べる”⑶日常から離れて“体と心を癒す”⑷訪れた地域の風土や温かい人々 と直接ふれあい、地域固有の文化、環境と“交流、体験する”⑸自然を楽しみながら、自然や文化、 環境などに対する“理解を深める”の5大要素があります。 本市は、豊かな自然環境とこれらの中で育まれてきた深みのある歴史・文化を有しています。し かしながら、現状では先ほど挙げた観光の5大要素を十分生かしきれていない状況にあります。 このため、国内外の来訪者からの視点も取り入れ、市内の観光資源を新たな視点から見直し、市 民自身が笠間の魅力に気付くことが大切です。こうして、自分たちの地域やまちをどのようにすれ ば快適になるかを考え、磨くことで、住む人々がいきいきと輝ける地域やまちを創り出していくこ ととします。そして、これによって生み出された環境を、来訪者とともに楽しみ、味わい、守り育 てていきます。 ⑴豊富な歴史・文化体験観光の推進 本市を舞台に繰り広げられてきた豊かな歴史とその遺産や、先人によって培われてきた文化を生 かし、多くの人々とのふれあいを通じて、歴史・文化・芸術などを楽しむことができる機会を充実 していきます。 また、観光・文化施設の魅力向上を図るため、各施設と連携を図りながら、ガイド同行の史跡巡 りや工房巡り、ミュージアム・カルチャー(※1)等を推進します。 【主な事業】 ●ガイド同行の史跡巡り、工房巡り、美術館巡り等の開催 ●文化に親しむ工芸体験の充実 ●ミュージアム・カルチャーの推進 ●地域に残る習俗の復活・再現 ●街並みの統一感の創出に地場産品(笠間焼、稲田みかげ石等)を活用 ●歴史的建造物の保存・活用 ロクロ体験 ※1 ミュージアム・カルチャー:美術館等で開催される専門家による講座など。 ⑵自然資源を活用した体験型観光の推進 本市の緑豊かな山々や田園など豊富な自然環 境との共生を図りながら、自然体験型観光の推 進を行います。 【主な事業】 ●ホタル鑑賞や昆虫採取など自然とのふれ あいを大切にするプログラムの充実 ●自然学習体験や里山生活体験行事等の開 催 22 農業体験 第3章 基本的施策 ⑶ふれあい交流型観光の推進 近年の観光スタイルが、従来の「物見遊山」的なものから、現地での体験や交流を重視するもの に変化しているように、地域住民との交流が大きな観光魅力となっています。こうした、笠間なら ではのふれあい交流型の観光を推進します。 【主な事業】 ●林間学校や農作業の体験企画など都市圏 の子どもとの交流推進 ●笠間ファン倶楽部の充実と継続的な交流 推進 ●環境保全活動など市民と来訪者が共に参 加し推進する活動やイベントの充実 ●自治体間交流の促進(姉妹都市や友好都 市、周辺市町村等) 森林体験学習 ⑷グリーンツーリズムの推進 笠間の自然体験や農業体験を主眼とした観光を振興するため、農林業振興基本計画等と連携した 田植えや稲刈り、農作物の植付け、収穫体験、いちご・なし・栗・ぶどう等の果実狩り、果実のオー ナー制の導入、そば打ち・ジャム作り体験等の農業体験ができる、農村型観光を振興します。さら に、農業特産品を中心とした農業と観光の有機的な連携を図ります。 【主な事業】 ●農業体験プログラムの整備 ●農家レストラン・地産地消レストランの推進 ●週末農園(ウィークエンド・ファーマー)の実施 ●笠間クラインガルテンの活用 ●指導者、インストラクターの育成 ●農業特産品の振興と活用 栗拾い体験 笠間クラインガルテン 23 第3章 基本的施策 ⑸食をテーマとする観光の推進 来訪者が本市の「食」を楽しむことができるよう、各種団体等と連携を図りながら、食をテーマ とする観光を推進します。 【主な事業】 ●地場産品(菊、栗、梅等)を使った料理 や器の開発及び提供 ●食イベントの開催 ●観光果樹園等の充実・活用 ●グルメマップの充実 ●物産振興団体(笠間稲荷寿司推進会議、 あたご特産品直売推進協議会、庭先販売 いわま推進協議会 等)への支援 初午いなり寿司まつり ⑹健康づくりをテーマとする観光の推進 本市の優れた自然環境を満喫できる二つの県立自然公園(吾国愛宕県立自然公園、笠間県立自然 公園)等のハイキングコースや北山公園等のウォーキングコースの整備とともに、トイレや休憩施 設、駐車場等の周辺環境を整備します。 また、地場農産物による健康食の推進を図ります。 【主な事業】 ●ハイキングコース・ウォーキングコース 及び周辺環境の整備 ●自然の景観、里山・農村の景観などを巡 るウォーキングコースの設定 ●地場農産物による健康食の推進 愛宕山ハイキング ⑺観光資源の連携と都市観光の充実 市内各所の史跡や文化施設を巡る「学び」や地場の特産品を食べ歩く「食」の観光コース、春を 告げる桜の見所を巡る「花」の観光コース等、各地域の特色を活かした観光コースを設定します。 また、中心市街地の通りや空き店舗を利用して、本市ゆかりの偉人や著名人の功績を広くPRす るための通りやミニ記念館等を整備して、観光ルート化を図り、観光客が市街地や観光施設を回遊 する方策の検討を進めます。 【主な事業】 ●目的別・テーマ別観光コースの設定 ●市街地の通りや空き店舗有効利用による 観光ルート化 ●市内観光施設の周遊策の実施 ●観光周遊バスやレンタサイクルの充実 かさま観光周遊バス 24 第3章 基本的施策 ⑻日帰り観光地としての魅力づくり 首都圏からの日帰り観光地としてとらえたとき、本市の観光資源は他観光地と比べ勝るとも劣る ことはありません。迎え入れる態勢の質的向上(顧客満足度) 、観光資源の付加価値を高めること で来訪者のリピート率を高めるとともに、滞在時間の延長を図り地域経済の活性化に繋げていきま す。 【主な事業】 ●観光資源の質的向上と付加価値化 ●JR利用客に対する魅力づくり ●高速道路関連会社との連携 ●日帰りバスツアーの滞在時間延長 ⑼広域観光の推進 水戸市、大洗町、つくば市、茂木町・益子町(栃木県)等の周辺市町村及び、首都圏及び栃木・ 群馬方面との連携を強化した観光振興について検討します。 また、平成22年(2010年)の茨城空港の開港に伴い、小美玉市及び周辺市町村との連携強化にも 取り組みます。 【主な事業】 ●広域高速網の向上に併せた広域連携 ●広域観光ルートの開発 ●観光資源の広域的連携 ⑽国際観光の推進 外国人観光客への対応の充実に取り組むため、 関係団体等と連携して、 国際観光ガイドの育成や、 そのガイドによるサービスの充実を図ります。 また、観光施設や旅館等での外国人観光客に対応するための講習会を実施します。 さらに、多様な国際観光に対応するため、研修(陶芸や合気道等)やホームステイなどで訪れる 外国人に対して、笠間固有の生活・文化の体験や市民との交流の活発化を図ります。 【主な事業】 ●国際観光ガイドの育成 ●外国人対応講習の開催 ●研修やホームステイ等による観光交流の活発化 合気道の技と精神を学ぶ外国人 25 第3章 基本的施策 2 情報発信の強化 本市の魅力を多くの人々に知っていただき、訪問していただくために、様々な手段を組み合わせ て、観光情報を発信するなど、市観光協会等と連携を図りながら、幅広く観光PR活動を展開しま す。また、笠間焼や稲田みかげ石などの地域ブランドを様々な機会を通して活用し、 「文化体感都市・ 笠間」のPRに努めるとともに、観光客にわかりやすい観光情報の発信を進めます。 ⑴様々な手段を用いた情報発信 県や市観光協会、市内の商業施設及び各種団体等と連携を図りながら、 イベント、 チラシ、 テレビ、 ラジオ、新聞、ホームページ、携帯電話等の様々な手段を活用した効果的な宣伝活動を行います。 また、笠間ファン倶楽部の活用を図るとともに、本市ゆかりの著名人、文化人、経済人等に「 (仮) 笠間ふるさと大使」になっていただき、本市のPRに結びつける取り組みを進めてまいります。 【主な事業】 ●各種イベント等を通じた情報発信 ●キャッチフレーズやロゴタイプ(※1)など、表現の統一化 ●「笠間焼」や「稲田みかげ石」のブランド・イメージの活用 ●雑誌やTVなどでの特集記事・番組展開の促進 ●市や市観光協会のホームページ充実 ●ポスターやパンフレット等の宣伝資材の充実 ●笠間ファン倶楽部やクラインガルテン入居者を活用したPR活動 ●「(仮)笠間ふるさと大使」によるPR活動 ●フィルム・コミッション活動(※2)の充実 ※1 ロゴタイプ:図案化・装飾化された文字・文字列。団体名、商号、商品名、雑誌名、書名などを印刷・表示するのに使われる。 ※2 フィルム・コミッション活動:映画、テレビドラマ、CMなどのあらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、実 際のロケをスムーズに進めるために、さまざまなサービスを提供する活動。 26 第3章 基本的施策 ⑵観光インフォメーションの充実 観光客が最もアクセスしやすい場所にインフォメーションセンター機能を整備するほか、市内の 主要な観光拠点における案内機能の強化を図ります。 また、外国人観光客への充実に取り組むため、関連団体等と連携しながら、駅や観光施設等にお ける案内板表示及び道路案内標識、観光パンフレット等(英語、中国語、ハングル等)の充実を図 ります。 【主な事業】 ●インフォメーションセンター機能の整備 ●観光誘導案内板の整備 ●外国人向け観光パンフレット等の充実 車両系サイン 歩行系サイン ⑶笠間ファン倶楽部の推進 笠間ファン倶楽部は、交流人(外の目)が、多くの笠間人(内の目)とふれあえる場をつくる仕 組みです。今後も、互いに心の豊かさを感じられるような場にするため、市観光協会や関連団体と の連携を図り、笠間を体感できる事業等を開催していきます。 【主な事業】 ●首都圏居住者を中心とした体験行事等の 開催 ●「笠間ファン倶楽部通信」を活用した情 報提供 笠間ファン倶楽部会員によるそば打ち体験 27 第3章 基本的施策 3 観光振興と交流の担い手づくり 観光振興のリーダーを育成するとともに、観光客との交流の主体となる担い手を育成します。 ⑴観光振興の担い手づくり 観光振興と地域振興に取り組むリーダーや組織を育成するため、地域住民組織や市民団体、観光 関連団体、行政等が連携を図り、合同の講演会や研修会の開催、先進事例視察等を行います。 【主な事業】 ●講演会、研修会の開催 ●先進事例視察 ⑵交流観光の担い手づくり 交流観光の担い手として、陶芸や農業体験、そば打ち、ものづくり等の体験型観光のインストラ クターや、地域の自然、歴史、文化等を案内する、里山歩き、まち歩き、文化財や工房巡り等の観 光ガイドを育成します。 また、笠間ファン倶楽部や県人会、女性会、学生等を中心に「 (仮称)グルメ探検隊」を組織し、 飲食業や旅館等を対象に評価や提言等を行い、レベルアップを図ります。 さらに、来訪者と接する機会の多い、タクシー、ホテル・旅館、観光施設、芸妓組合等の観光関 連従事者のおもてなし意識の啓発に努めるとともに、技能やマナーの向上を図ります。 【主な事業】 ●観光インストラクターの育成 ●観光ガイド、観光ボランティアの育成 ●観光関連事業者のレベルアップ ●観光関連従事者のおもてなし意識の啓発 ●観光関連従事者の技能やマナーの向上 観光ボランティアによる案内 28 第3章 基本的施策 4 おもてなしの心の醸成と充実 おもてなしの心を持って観光客を迎え入れることができるよう、市民や観光関連事業者等の意識 啓発や人材育成を図ります。また、誰が訪れても安心して快適に過ごせるよう、観光地や各施設の 環境整備を進めます。 ⑴おもてなしの向上 観光は人的サービスが集大成した産業であり、観光地には訪れる人の立場に立った心配りをする 「おもてなしの心」が必要不可欠な要素であります。 また、この「おもてなしの心」は、訪れる人のためだけでなく、地域と一体となった取組みによ り、観光を通じた市民の心の豊かさの醸成にも寄与すると考えます。 観光地の魅力を高める方法のひとつとして、ボランティア活動への参加により、市民のまちづく りへの参加意識も高まり、活力ある観光の振興が期待できることから、観光ボランティアの充実に 取り組みます。 さらに、市民参加による美しい観光地づくりを進めるため、市民や地域、関係団体と連携して、 地域ぐるみの美化運動を推進します。 【主な事業】 ●観光ボランティアの充実 ●観光地美化運動の推進 (菊花壇コンクールの開催等) 友部駅への菊装飾 ⑵郷土意識の醸成 観光資源の魅力を来訪者に紹介するためには、まず市民自らが郷土の自然や歴史・文化などにつ いて理解を深め、その素晴らしさを知る必要があることから、地元の観光資源について学べるよう な機会を提供するとともに、市民への積極的な情報発信を行っていきます。 また、郷土の偉人などについて、子どもにもわかりやすく解説した絵本や児童書の作成等、小中 学生に対する郷土教育等を市教育委員会と連携しながら進めます。 【主な事業】 ●市民向け観光講座の開催 ●市民向け観光情報の発信 ●小中学生に対する郷土教育の充実 29 第3章 基本的施策 ⑶人と環境にやさしい観光基盤整備 来訪者が快適に楽しむことができるよう、歩道の整備に合わせ、観光施設等における「公衆トイ レ」や「案内板」、「ポケットパーク(※1) 」 「ストリート・ファニチャー(※2) 」 「オブジェの設 置」等の環境整備、商店街や笠間稲荷神社周辺の街並み整備を進めます。 また、自家用車や観光バスの利用に配慮し、駐車場を整備確保するとともに、公共交通の円滑な 乗り継ぎの確保等、公共交通の利便性の向上を促進します。 さらに、観光客が安心・安全に楽しめるよう、観光地の街路灯の設置や危険場所の標識設置等に よる安全確保に努めるとともに、誰にでもやさしいユニバーサル・デザイン(※3)を推進します。 【主な事業】 ●歩道の整備 ●公衆トイレや休憩施設、観光施設案内板の充実 ●ポケットパークや駐車場の整備 ●商店街や笠間稲荷神社周辺の街並み整備 ●ユニバーサルデザインの推進 ※1 ポケットパーク:道路わきや街区内の空き地などわずかの土地を利用した小さな公園又は休憩所。 ※2 ストリート・ファニチャー:景観と調和するよう美しくデザインされた彫刻、電話ボックス、案内板、標識、ベンチなど、 道路や広場で都市空間を演出する様々な設備。 ※3 ユニバーサル・デザイン:ユニバーサル=普遍的な、全体の、という言葉が示しているように、「すべての人のための デザイン」を意味し、年齢や障害の有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデ ザインすること。 門前通り商店街 30 第4章 計画の推進に向けて 1 推進体制の整備 2 各主体が果たすべき役割 第4章 計画の推進に向けて 1 推進体制の整備 本計画の基本理念である「文化体感都市」の実現に向けては、行政と市民、事業者、各種団体、 さらには、周辺地域や関連都市等との連携、協力体制を強化しながら取り組むことが必要です。 そのため、各種施策の推進に当たっては、市観光協会をはじめ、観光関連団体、観光関連事業者 とのより一層の連携の強化を図るとともに、市民、 行政、 各種団体等で組織する 「 (仮称) 笠間観光ネッ トワーク会議」を設置し、総合的な調整や連携を図りながら、効果的な事業の展開に努めます。 さらに、観光産業の経済効果を追求する組織(NPO、ボランティア団体等)についても、新た な推進役として観光関連団体と検討します。 ●推進体制図 観光関連事業者 市民・市民団体 協力・連携 飲食、物販、旅行、宿泊、 輸送、文化・芸術、美術館 など観光に関連するすべて の事業者 協力・連携 協力・連携 観光関連団体 ㈳笠間観光協会、商工会、 笠間旅館組合、笠間料亭組合、 笠間市飲食店組合、笠間芸妓 組合、笠間焼協同組合、 稲田石材商工業協同組合、 茨城中央農業協同組合、 商店街組合など 生産者等 観光振興 農業従事者、物産等の生産 者や販売者など 協力・連携 協力・連携 行政 寺社 市内の寺院、神社などとそ れらの関係団体など 32 協力・連携 国、県、市 第4章 計画の推進に向けて 2 各主体が果たすべき役割 本市の観光を振興していくため、市民、観光関連事業者、観光関連団体、行政がその役割に応じ 自主的・創造的に取り組むとともに、これらの主体が協働で観光振興施策を展開していきます。 ⑴市民・市民団体の役割 市民は、地域の自然、歴史文化、伝統行事の保全継承に努めるとともに、観光関連事業者、観光 関連団体、行政と協力・連携を図りながら、愛着と誇りを持って主体的に地域づくりに参加するこ とが期待されます。 また、日ごろより、おもてなしの心を持ち、来訪者との積極的な観光交流に努めることが期待さ れます。 ⑵観光関連事業者の役割 観光関連事業者は、来訪者のニーズに対応した質の高いサービスを提供するとともに、おもてな しの心を持って接客できる人材の育成に努めます。 また、観光関連事業者間の連携のみならず、市民、観光関連団体、行政との連携を図りながら、 多角的に観光情報を発信します。 さらに、観光地や施設事業者が一体となったサービスの提供に努めるとともに、観光施設等の営 業形態・営業時間、サービス内容等の研究を行い、より一層の誘客を図るための改善・向上に努め ます。 ⑶観光関連団体の役割 観光関連団体は、団体間の連携強化を図り、効果的な情報発信やPRに努めるとともに、事業の 合理化、運営体制の強化に努めます。 また、市民、観光関連事業者、行政と連携・調整を図りながら、自主的で特色ある事業の推進に 努めます。 ⑷寺社の役割 寺社は、笠間の歴史が蓄積された重要な資源であることから、今後も信仰の場の保全を図り、次 代にも伝統と文化を継承していきます。 ⑸生産者等の役割 生産者等は、飲食店や宿泊施設と連携して、地元の豊富な食材を使った料理の開発などを進める ため、新鮮で安全・安心な食材の提供などを行います。 33 第4章 計画の推進に向けて ⑹行政の役割 行政は、市民、観光関連事業者、観光関連団体との協働のもと、行政各部局の連携を十分に図り ながら、観光振興施策を展開するとともに、市民、観光関連事業者、観光関連団体等の独自の取り 組みを支援します。 本市の豊かな観光資源のイメージを一層定着させるため、関係市町村や関係団体と連携し、広範 なPRを展開するとともに、観光情報の収集と蓄積に努め、様々な手段を用いて広く提供します。 また、県をはじめ、重要な観光資源を有する近隣市町村等との連携を図り、水戸・笠間・大洗観 光協議会など、関係団体も含めた広域観光を振興するとともに、観光振興のための調査研究を行い ます。 さらに、社会経済環境の変化に適切に対応するため、必要に応じて施策を見直します。 34 参考資料 参考1 笠間市内の主な観光資源 参考2 笠間市観光振興基本計画策定経過 参考3 笠間市観光振興基本計画策定委員会設置要綱 参考4 笠間市観光振興基本計画策定委員会委員名簿 参考資料 参考1 自然資源 36 エリア 笠間市内の主な観光資源 名 称 概 要 笠間 笠間つつじ公園 佐白山の近くにある公園で、市民の一株運動に端を発した公園で す。山頂からの眺望が美しく、季節には約7haの敷地に25種類 8,500株のつつじが咲き誇ります。 笠間 佐白山麓公園 佐白山の西麓、笠間藩の下屋敷跡に造られた公園。春には桜、夏 には緑に包まれ一年中自然が満喫できます。 友部 北山公園 山間の池に映り出される四季折々の自然が美しい公園です。池に 沿って遊歩道が整備されているほか、展望塔やローラー滑り台な どの遊具があり、ご家族連れに好評です。 岩間 あたご天狗の森 桜の名所として名高い愛宕山にあり、公園内には、天狗伝説を再 現したオブジェや天狗のキャラクター像が点在します。その他、 ログハウスの宿泊施設「スカイロッジ」や展望デッキ、ローラー 滑り台等が整備されています。 岩間 野口池湿原 自然環境保全地域でミヅオトギリ、クサレダマ等が群落をなす低 層湿原でハッチョウトンボ、オゼイトトンボ等が生息しています。 笠間 桜(佐白山麓公園) 佐白山西麓の笠間藩下屋敷跡の公園で、笠間随一の桜の名所です。 友部 桜(北山公園) 公園内には、 ソメイヨシノ、サトザクラ(八重)、シダレザクラ等、 約1,300本があり、開花時には多くの花見客でにぎわいます。 岩間 桜(愛宕山) 中腹から山頂(306m)にかけて17種類約2,000本の桜があり、 標高差に応じて順次開花するため、花見の期間が長いのが特徴で す。また、関東平野を一望できる桜の名所としても知られている。 友部 シダレザクラ (大田町地内) 隣接する三つのお寺(完全寺、光明寺、唯信寺)にシダレザクラ の大木があり、開花時には多くの花見客が訪れます。 笠間 シャクナゲ (鳳台院) 境内には、約17,000本のシャクナゲがあり、最盛期には色と りどりの花が咲き誇ります。 笠間 八重の藤・大藤 (笠間稲荷神社) 境内にある二株の藤は樹齢400年以上で、県の天然記念物に指 定されています。うち一本の八重の藤は、花がぶどうのように咲 く、実をつけない珍しい種類です。 笠間 カタクリ群生地 (福原地内) 筑波山、加波山に連なる吾国山の中腹に位置し、春先に咲き誇る カタクリの花の美しさは、吾国山を訪れる人に心安らぐ時間を与 えます。 岩間 すずらん群生地 (上郷地内) すずらん群生地は、笠間市上郷の長沢地区から登りはじめて約 15分で着きます。一見するとただの草むらですが、葉の下には 小さな花を咲かせており、ゴールデンウィークの頃には、この一 帯をすずらんが埋めつくし、さわやかな香りを放ちます。 笠間 ヒメハルゼミ (片庭地内) 笠間氏歴代の菩提寺とされている楞厳寺の裏山一帯は、国の天然 記念物に指定されているヒメハルゼミ(姫春蝉)の発生地になっ ています。 参考資料 歴史資源 エリア 名 称 概 要 笠間 笠間稲荷神社 1350有余年の歴史があり、胡桃下稲荷・紋三郎稲荷とも呼ばれ る笠間稲荷神社は、日本三大稲荷神社の一つで、広く全国より信 仰を集め、年間350万人以上の参拝客が訪れます。 笠間 西念寺 山号を稲田山と称する西念寺は、親鸞聖人が開いた浄土真宗ゆか りの地です。聖人は、40歳から60歳まで、恵信尼と6人の子ど もたちと共に家庭生活の本拠をこの稲田の地に構え、本典 「教行 信証」 を書き上げました。 笠間 笠間城跡 笠間城は、天守曲輪を持ち、石垣が構築された城郭として注目さ れている山城です。自然の地形を利用した曲輪、空堀と櫓、門、 橋、塀などによって「守るに易く、攻めるに難い」山城でした。 笠間 佐白山観世音寺 佐白山麓にある普門宗の寺。「佐白山縁起」によれば、開創は白 雉2年(651年)とされています。本尊は、 十一面千手観音菩薩で、 坂東33観音札所の第23番札所になっている古寺です。 笠間 大石邸跡 笠間 楞厳寺 臨済宗妙心寺派の寺で、号は仏頂山。笠間氏の菩提寺で山門は室 町時代中期の建築。また、木造十一面千手観音像は共に国指定の 重要文化財です。 笠間 出雲大社常陸分社 島根県出雲大社より分霊を拝戴し、平成4年に竣功した新しい神 社です。大社造りと呼ばれるご本殿や重さ6tの注連縄のかかる 拝殿は圧巻です。 岩間 愛宕神社 愛宕山の山頂にある愛宕神社は、日本三大火防神社の一つといわ れており、創建が大同元年(806年)と伝えられている歴史あ る神社です。 岩間 合気神社 合気道の開祖・植芝盛平翁が昭和10年代に厳しい修行を重ね、 合気道を完成させた地として創建したとされています。神社の向 かいには、合気道場があり、世界各地から修行に訪れます。 岩間 羽梨山神社 延喜式内社常陸28社の一つで、平定盛ゆかりの社として知られ ています。 友部 北山不動尊 宝亀8年(777年)に徳一大師が、養福寺を開基した際、大師 についてきた行者が北山にこもり、終身不動尊を念じながら災害 除去を祈願した所といわれています。 岩間 滝入不動尊 通称「滝前のお不動様」と呼ばれ、裏から流れ込む沢水を滝のよ うに流しており、昔はこの滝に打たれると頭の病気が治るといわ れ、遠方からも信者が訪れたそうです。現在は、合気道の修行で 外国人もこの滝に打たれている光景が見られます。 「忠臣蔵」で知られる大石内蔵助の祖父で、笠間藩家老・大石良 欽の邸宅です。 37 参考資料 芸術資源 38 エリア 名 称 概 要 笠間 笠間焼 江戸安永年間(1772∼1781年)より育まれてきた伝統美に 現代の鋭い感覚を加えた笠間焼は、伝統工芸品から現代的クラフ トまで、暮らしに根を下ろした生活用品を幅広く生み出していま す。また笠間は、手作り本位な姿勢をとり続ける産地として脚光 を浴びています。 笠間 笠間芸術の森公園 自然と芸術が融合したテーマパーク。園内には、陶炎祭などが開 催される「イベント広場」や、コンサート会場となる「野外コン サート広場」、陶造形物を屋外展示した「陶の杜」、子どもたちに 人気の「あそびの杜」があります。 笠間 笠間工芸の丘 ロクロや手ひねりで作品を作る体験工房や、 笠間焼作家の展示室、 人間国宝「松井康成」の常設展示室、笠間焼を中心としたお土産 コーナー、カフェラウンジなどの施設があります。 笠間 茨城県陶芸美術館 東日本初の陶芸専門の県立美術館。国内外の優れた作品を鑑賞で きる「企画展」、人間国宝などの名品による「コレクション展」、 県内で活躍中の作家を紹介する「現代茨城の陶芸展」が楽しめま す。 笠間 匠工房・笠間 (県窯業指導所) 歴史と伝統を誇る「笠間焼」の振興、技術者の育成を図るととも に、 誰でも気軽に訪れ、陶磁器の魅力を肌で感じ取れるような「開 かれた試験研究施設」です。 笠間 笠間日動美術館 昭和47年に日動画廊創業者のゆかりの地・笠間に創設。年数回 の企画展のほか、常設展では所蔵の国内外の名品、作家のパレッ トなどが展示されています。 笠間 春風萬里荘 陶芸、料理、絵画など多方面に才能を発揮し、「万能の異才」 と して知られる北大路魯山人がかつて住んでいた民家を、昭和40 年に北鎌倉から移築。館内には、魯山人遺作の名品が展示されて います。 笠間 笠間稲荷美術館 笠間稲荷神社の裏手にあり、奈良の正倉院を模した高床式平屋建 ての建物で、昭和56年に開館。館内には、笠間焼の古陶が常設 展示されているほか、信楽をはじめ中世六古窯の古陶器などが展 示されています。 笠間 田中嘉三記念館 日本画家・田中嘉三の作品を展示するため、遺族が芸術の村に建 てた私設記念館。 笠間 白凛居 我が国初めてのイコン画家・山下りんの資料収蔵館です。 参考資料 文化資源 エリア 名 称 概 要 環境資源 岩間 塙家住宅 18世紀頃に建てられたと推定され、外観は曲家に似ていますが、 よく見ると独立した2棟が棟を接して建っている「分棟型」民家 という珍しい形式のものです。国指定の重要文化財です。 岩間 宍戸藩陣屋表門 宍戸藩陣屋にあったものを、明治になって土師の塩畑家に移築。 正面の大扉の上の冠木には、「葵の紋」 が飾られています。 友部 歴史民俗資料館 旧宍戸町役場の庁舎を利用したもので、歴史を感じさせる建物の 内部には、旧友部町の古墳や宍戸城などのコーナーがあります。 国指定の登録有形文化財です。 岩間 愛宕山の天狗伝説 愛宕山が岩間山といわれていた頃、筑波山、加波山と並んで、こ こは天狗の修験道場の一つでした。「十三天狗」と呼ばれる天狗 たちは、羽団扇を持って雲に乗り、大空を矢よりも早く飛び、妖 魔を打ち払い、厳しい修行で身につけた術によって、重い病人を 救ったり、天候を予知して作物の豊凶を占ったりして人々を幸せ にしていたといわれています。 岩間 合気道発祥の地 吉岡地区には、日本で唯一の合気道の神社(合気神社)があり、 合気道の祖・植芝盛平翁がこの地で修行し、生み出したというこ ともあって、合気道が盛んです。合気道は、古流柔術の大東流合 気道柔術から発展したものといわれ、世界中から人が集まり、こ こで修行をしています。 友部 音楽によるまちづ くり(クールシュ ヴェール国際音楽 アカデミー) フランスの高級リゾート地・クールシュヴェールで、毎夏、世界 トップクラスの音楽家たちによって開催される世界有数の音楽講 習会のレッスンカリキュラムを踏襲し、 「クールシュヴェール国 際音楽アカデミーinかさま」として、県教育研修センターで毎年 行われております。 全域 涸沼川 笠間市北端の国見山に源を発し、旧七会村から笠間市域を蛇行し て流れ、涸沼に入り、さらに大洗で那珂川と合流します。 岩間 ホタル鑑賞 (駒場地区) 笠間市上郷を流れる随行寺川の源流周辺の駒場地区では、 「駒場 ホタルの会」を設立して、ホタルの保護・育成活動を行っています。 笠間 ホタル鑑賞 (南指原地区) 南指原地区の休耕田を活用して、ホタルの保護育成活動を展開し ています。 友部 ホタル鑑賞 (北山公園) 北山公園に生息するゲンジボタルを保護しようと、地元住民を中 心としたボランティア会員により、ビオトープの整備を通した保 護活動を行っています。 友部 ビオトープ天神の里 南友部地区の田那場池周辺を地元ボランティアにより、自然あふ れる「ビオトープ天神の里」として整備されています。 39 参考資料 産業資源 哲学資源 人物資源 40 エリア 笠間 名 称 稲田みかげ石 (石切り山脈) 概 要 ビルなどの建材用の石材から墓石まで幅広く利用されている稲田 みかげ石。頑丈な上に白色で美しい光沢が人々を魅了し、その品 質の良さは全国的に有名です。また、笠間市稲田を中心に、東西 8㎞、南北6㎞にもわたる採掘現場は、通称「石切り山脈」と呼 ばれ、その白く美しい採掘現場の景観は、まるで壮大な石の屏風 のようです。 笠間 石の百年館 日本最大のみかげ石の産地である笠間市稲田に、採石の歴史を残 す貴重な資料館です。 岩間 東大牧場(東京大 学農学部付属牧場) 36.5haにおよぶ広大な敷地の中に、サラブレッドをはじめ、数 多くの動物が飼育されております。 笠間 笠間の芸者衆 宴は美人のお相手で、笠間女はやさしさいっぱい。心意気・芸が 違います。粋で陽気な芸者衆でお楽しみください。 笠間 親鸞と西念寺 (教行信証) 親鸞聖人が本拠を構えたことから、今の笠間市稲田は、浄土真宗 発祥の地とされ、別格本山・西念寺があります。90年余りの生 涯を布教活動に費やしてきた親鸞は、現実の苦しみから救いを求 める民衆に「何よりも阿弥陀仏の救いを信じて、ただ一心に念仏 することで救われる」と説いて教えました。「教行信証」は、稲 田の草庵で書きました。 笠間 藩校時習館 笠間藩主・牧野貞喜は幕府の役職を辞退し、藩内の財政再建・産業 の興隆に専念し、人材の育成を目指し1750年に藩校(時習館) を創設しました。 友部 藩校脩徳館 宍戸藩で藩士に為政者の一員として自覚を促すため、天保末年 (1843年)頃、学問所(脩徳館)と講武所(武場)が開設された。 笠間 親鸞 (1173∼1262) 救いを説いた浄土真宗の開祖。聖人は、40歳から60歳まで、恵 信尼と6人の子どもたちとともに家庭生活の本拠を笠間市稲田に 構え、本典 「教行信証」 を書き上げました。 笠間 笠間 時朝 (1204∼1265) 笠間氏の祖。1219年ごろに佐白山に笠間城を築城。1235年 に鎌倉幕府の御家人となり、1241年には検非違使となって、新 治東部を領していました。また、時朝は領主として領土平安祈願 を願って笠間の寺へ造仏したり、鹿島神宮に唐本一切経(県指定 文化財)を奉納した信仰心厚い人でした。 笠間 加藤 桜老 (1811∼1884) 常陸笠間藩の儒学者。水戸藩の会沢正志斉の門下となり、長州藩 の高杉晋作の推挙で長州藩に出仕しました。そこで、人材育成や 著述に専念しました。 笠間 小野 友五郎 (1817∼1898) 笠間藩士の五男として誕生。幕府では、暦作りのための測量に力 を発揮し、1860年には、 勝海舟とともに「咸臨丸」に乗り込み、 アメリカへの渡航を果たします。帰国後も数々の業績を残し、勘 定奉行並にまで出世しました。 参考資料 人物資源 エリア 名 称 概 要 笠間 田中 友三郎 (1829∼1913) 明治のはじめ、美濃で焼きものの行商人をしていた友三郎が笠間 に在住し、当時「箱田焼」 「宍戸焼」と呼ばれていたものを「笠間焼」 という名称で売り始めました。生産の拡大と販路の拡張に努力し、 やがて笠間焼のすりばちは国内の市場を独占するようになりまし た。明治の中ごろから大正時代にかけて、友三郎らが中心になっ て、陶器製造組合や陶器伝習所が作られ、後継者の育成に取り組 みました。 笠間 山下 りん (1857∼1939) 日本で最初の女流イコン画(聖画)家。工部美術学校時代にロシ ア正教宣教師ニコライの洗礼を受け入信し、ロシアのペテルブル グの修道院でイコン画(聖画)の修行を開始。帰国後、イコン画 家として明治から大正にかけて建てられた聖堂のために、多くの イコン画を描きました。大正7年、笠間に帰郷後は、一切絵筆を とることはありませんでした。イコン画に生涯を捧げたりんは、 晩年には悠々自適な生活を過ごしたといわれます。 笠間 鍋島 彦七郎 (1863∼1928) 東京で石材問屋を営んでいた彦七郎は、明治30年に稲田みかげ 石の採掘権を譲り受け「鍋島商店特有花崗石」として売り出しま した。このとき、東京に向けて石材を輸送するために造られた稲 田駅の誕生にも、私財を投じるなど尽力しました。その後、非常 に安価で品質のよい稲田みかげ石が、関東硬石界の王座を占める ようになり、全国にその名を知られるようになりました。これは、 彦七郎による関東石材界の画期的な大変革でありました。稲田み かげ石を使った著名な建物を挙げると、最高裁判所、国立博物館、 東京駅、靖国神社などがあります。 笠間 木村 武山 (1876∼1942) 狩野派の奥義を学んだ武山は、明治39年に岡倉天心、横山大観 らとともに茨城県北端の五浦海岸に移り、創作活動に励みます。 第1回文部省美術展覧会に出品した「阿房劫火」が入賞。日本画 家第一人者の地位を築きます。武山は「仏画の武山」と称される ほど仏画に優れていました。高野山金堂壁画をはじめ、晩年には 笠間にある大日堂の壁画に情熱を捧げました。 岩間 植芝 盛平 (1883∼1969) 合気道の開祖・植芝盛平翁は、和歌山県田辺市に生まれ、剣術や 柔術等いろいろな武術を修業され、昭和初期に近代武道として合 気道を創始されました。昭和19年から20年にかけて笠間市(旧 岩間町)吉岡に合気神社と茨城支部道場を創建し、合気道を完成 させました。現在、合気道の聖地といわれています。 笠間 高野 公男 (1930∼1956) 数々の名曲を作ってきた昭和の歌謡詩人。作詞・高野公男、作曲・ 船村徹のコンビで作られた作品のうち、大ヒットとなったのが、 名曲『別れの一本杉』(昭和30年)です。現在、笠間工芸の丘に その歌碑があります。 笠間 坂本 九 (1941∼1985) 「九ちゃん」 の愛称で親しまれた昭和の人気歌手、坂本九(本名: 大島久)。日米でミリオンセラーとなった『上を向いて歩こう』 は世界中の人々に愛された名曲です。戦時中、笠間の親戚宅へ疎 開し、多感な少年時代を笠間の自然とともに育んできました。結 婚式を笠間稲荷神社で挙げ、その後市内をパレードしました。ま た、市立笠間幼稚園には、九ちゃんが寄付したピアノが今でも現 役で使われています。 41 参考資料 人物資源 エリア 笠間 名 称 松井 康成 (1927∼2003) 長野県に生まれた松井康成は、10歳代後半より笠間に住み、30 歳の頃には同市内の月崇寺の住職となりました。3年後には境内 に窯を築いて中国や日本の古陶磁器研究を本格的に始め、やがて 練上の技法に研究の的をしぼって、日本伝統工芸展や個展を中心 に作品を発表しました。そして、1993年にはこの「練上手」の 技術保持者として重要無形文化財(人間国宝)の認定を受けるに 至っています。 伝統芸能 笠間 笠間稲荷ばやし 「笠間稲荷ばやし」 は、お稲荷さんのおつかいである三匹の白い きつねがたたく太鼓です。悪霊を払い、やがて来る秋には豊かな 実りと人々の幸せを願う祈りが主題です。 岩間 岩間ばやし 勇壮な獅子舞と太鼓の響き、そして底抜けに明るいひょっとこの リズムは、多くの見物客を魅了します。 友部 大杉ばやし 笠間市住吉に伝わる、ひょっとこやおかめが囃子に合わせ、山車 の上で踊るもの。かつて住吉の八雲神社の祭礼で披露されていま したが、現在は、保存会の指導により地元・北川根小学校のクラ ブ活動で受け継がれています。 友部 小原ひょっとこ 笠間市小原に伝わる、華やかな山車の上で、「ひょっとこ」 「おか め」 「きつね」 がそれぞれ太鼓や横笛、カネの囃子に合わせて繰 り広げるユーモラスな 「ひょっとこ踊り」 です。 参考2 42 概 要 笠間市観光振興基本計画策定経過 会議名 年月日 内 容 第1回策定委員会 平成20年3月7日 ・計画策定の趣旨について ・笠間市における観光振興の現状と課題について ・観光振興の基本方針について ・基本的施策について 第2回策定委員会 平成20年3月26日 ・計画策定の趣旨について ・笠間市における観光振興の現状と課題について ・観光振興の基本方針について ・基本的施策について ・計画の推進方策について 第3回策定委員会 平成20年4月24日 ・基本的施策について ・計画の推進方策について 事項名 年月日 パブリック・コメン トを実施(笠間市観 光振興基本計画) 平成20年6月12日 ∼7月1日 内 容 提出された意見・要望等(2件) 参考資料 参考3 笠間市観光振興基本計画策定委員会設置要綱 (設置) 第1条 本市の観光振興基本計画を策定するため、笠間市観光振興基本計画策定委員会(以下「委 員会」という。)を設置する。 (所掌事務) 第2条 委員会の所掌事務は、次のとおりとする。 ⑴ 観光振興基本計画の策定に関すること。 ⑵ その他観光振興基本計画策定に必要な事項に関すること。 (組織) 第3条 委員会は、委員20人以内で組織する。 2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。 ⑴ 識見を有する者 ⑵ その他市長が適当と認める者 3 委員会は、所掌事務が終了したときをもって解散する。 (委員長及び副委員長) 第4条 委員会に委員長及び副委員長各1名を置き、委員の互選により定める。 2 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。 3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故あるときは、その職務を代理する。 (会議) 第5条 委員会は、委員長が招集し、委員長が議長となる。 2 委員会は、必要があると認めるときは、委員以外の者に会議への出席を求め、その意見又 は説明を聞くことができる。 (庶務) 第6条 委員会の庶務は、産業経済部商工観光課において処理する。 (その他) 第7条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が別に定める。 附 則 この要綱は、平成20年3月7日から施行する。 43 参考資料 参考4 笠間市観光振興基本計画策定委員会委員名簿 氏 名 役 職 名 ◎伊藤 建介 湘南短期大学 非常勤講師 ○増渕 浩二 ㈳笠間観光協会 会長 太田 寿男 笠間稲荷神社 権宮司 山野辺健二 笠間市商工会 事務局長 石塚 正美 笠間市友部商工会 事務局長 中村 健二 笠間市岩間商工会 事務局長 深町 明 笠間焼協同組合 事務局長 加茂 克美 稲田石材商工業協同組合 事務局長 白田 周作 茨城中央農業協同組合 営農経済部長 友部 正孝 笠間工芸の丘㈱ 代表取締役 猪瀬 幸己 茨城県陶芸美術館 副館長 石上 清 ㈳笠間観光協会 企画総務委員長 川嶋 宏明 笠間ふるさと案内人の会 会長 沼田淳二郎 笠間市飲食店組合 組合長 新名喜久夫 笠間旅館組合・笠間料亭組合 組合長 山口 滋雄 あたご観光農業振興協議会 会長 桑野 正巳 まちづくり宍戸塾 会長 青木 繁 笠間市産業経済部長 山口 忠栄 笠間市農政課長 仲田 幹雄 笠間市都市計画課長 事務局 岡井 俊博 笠間市商工観光課長 畑岡 洋 ㈳笠間観光協会 専務理事 ◎は委員長、○は副委員長 44 備 考 笠 間 市 笠間市観光振興基本計画 発 行 笠間市産業経済部商工観光課 〒309-1792 茨城県笠間市中央三丁目2番1号 TEL.0296-77-1101 URL http://www.city.kasama.lg.jp
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