アメリカの冷凍食品事情

ニューヨーク発
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●話題の食品、注目の新製品、
食をめぐる最新トレンド etc.
アメリカの冷凍食品事情
ネスレUSA 社 が 今 年 2 月末 から3
今年後半に開始することを発表した。
またコナグラ・フーズ社は昨年、同社
月初 旬にかけて、18 歳 以 上 の 男 女 、
冷凍食品関連の企業で組織されて
の4種類の冷凍食品と、同じ種類の手
1,062人を対象に行ったオンライン調査
いる団体、
「アメリカン・フローズン・フー
作り料 理の栄 養 価を比較する実験調
では、以下のように、冷凍食品に対して
ド・インスティテュート」の後援を得て実
査を行ったが、タンパク質と食物繊維の
ポジティブな回答が得られた。
施するこのキャンペーンは、以下のよう
量はどちらもほぼ同じであったが、飽和
●手 作りだと言って食卓に並べる料理
な冷凍食品についての利点や知られざ
脂肪酸と塩分は、冷凍食品の方が少な
に、実は冷凍食品を利用しているとい
る事実を消費者に伝達し、冷凍食品へ
かったという結果を得ている。
う人は全体の25%。若い世代ほどそ
の理解を深めてもらうことを目的にして
この実験の詳細と結果は、昨年、ペ
の傾向が強く、18〜24歳では69%、
いる。
ンシルバニア州フィラデルフィアで開催
25〜34歳では38%がそう答えた。
●青 果として販売されている野菜や果
された、食品および栄養関連の会合&
物は完熟するかなり前に収穫される
展示会「フード&ニュートリション・コンフ
冷凍食品だけを使った食事を摂るこ
ものが多いが、冷凍食品に使われる
ァレンス&エキスポ」で発表された。
とが頻繁にある。
それらは、食べごろになってから収穫
なお最近、付け合せなどに最適な冷
●対 象者の64%が、
(生鮮食品なしに)
●2 7%が、ほとんどの食事に、生鮮食材
したものを迅速に加工するため、消
凍野菜や冷凍ミールなどは、袋や上に
と合わせて冷凍食品を使っている。
費者が考えているより、はるかに栄養
かぶせた透明フィルムに穴を開ける必
しかし、
『ヘルシー・チョイス』、
『マリ
価が高い(コナグラ・フーズ社は、前
要がなく、そのまま電子レンジで加熱でき
ー・カレンダーズ』など人気ブランドの
述の『ヘルシー・チョイス』、
『マリー・
るスティーム・タイプの製品が数多く出回
冷 凍 食 品を製 造している大 手 食 品メ
カレンダーズ』について、
「ほとんどの
るようになったが、手間が省けるだけで
ーカー、コナグラ・フーズ社が、3月初旬
商品に使ってある野菜・果物は、そ
なく、蒸気がパッケージに満遍なく充満
に1,013人を対象に実施した消費者調
の色や歯触り、新鮮さを最大限に生
し、フレーバーを逃がすことなく、よりスピ
査では、対象者の約8割が冷凍食品に
かすため、生産業者から出荷されて
ーディに調理できると人気を得ている。
ついて、
「より加工された食品である」、
から24時間以内に加工している」と
「生鮮食材より栄養的に劣る」など、否
定的な見解を持っているということがわ
かった。
公言している)。
●他の加工食品に比べて、保存料など
が少なく、よりナチュラル。
実際のところ、冷凍食品は調理の時
●食 材を無駄にすることが防げる(特
間や手 間を短 縮するために利 用する
に1人前の主菜と副菜がセットになっ
が、味の面や栄養的には芳しくないと思
た冷凍ミール製品は)。
っている消費者が多いと言える。
●アメリカでは最近、肥満防止のため
こうした状況を改善すべく、コナグラ・
にポーション・コントロール(食べる量
フーズ社、ネスレUSA社、ゼネラルミル
を抑えること)の重要性が叫ばれてい
ズ社、ハインツ社、ケロッグ社など冷凍
るが、冷凍ミールは食べ過ぎを防ぐこ
食品を製造販売している大手メーカー
とができる。
が協力し、消費者間に冷凍食品への
理解を広める大掛かりなキャンペーンを
コナグラ・フーズ社の冷凍食品ブランド
『ヘルシー・
チョイス』の人気製品ライン。電子レンジで調理して
もオーブンで焼いたように仕上がる“ベイクド”
( 左)
と容器内に蒸気が充満して蒸すように調理できる
“スティーム”。
NY在住 フードビジネス・コンサルタント
野辺久美子
●1 食分で多くの種類の食材を摂ること
ができる。
新製品紹介 古代穀物が簡単に食べられる冷凍製品
『エンジン・2・プラント・ストロング』オーガニック・エンシャント・ブレンズ
アメリカではこの1〜2年、スペルト、カ
たなかで、調理済みの古代穀物を冷
ムート、アマランサス、キヌア、ミレットと
凍したこの新製品は、電子レンジで数
いった古代穀物(エンシャント・グレイン)
分加熱するだけで食べられると人気を
が静かなブームになっており、それらを
得ている。使用素材は、キヌア、ファロ、
使ったパンなども人気を得ている。米の
玄米、黒大麦、赤レンズ豆。以上は全
ように、古代穀物の袋入り製品も市販
てオーガニック栽培のもので、添加物は
されるようになってきたが、なじみのな
もちろん、塩や調味料なども一切使っ
(お問い合わせは[email protected])
きる。キヌア(100g中、約14gのタンパ
ク質を含有)、赤レンズ豆などタンパク
質が豊富な素材を使ってあるのもセー
ルスポイントにしている。
い穀物であるため、調理の仕方がよく
ていないため、主菜の付け合せ、ピラ
発売元:エンジン・2・フォー・ライフ社
わからないという人も少なくない。そうし
フ、リゾットなど、フレキシブルに利用で
@368g、$3.99
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食品と開発 VOL. 48 NO. 8