事業計画書 - 岐阜県農畜産公社

平成28年度一般社団法人岐阜県農畜産公社事業計画
【1】基本方針
近年の日本農業を取り巻く環境は、昨年10月にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が大
筋合意され、後継者難や耕作放棄地の増加及び環境問題等、ますます厳しい状況となっている。世
界的な食料危機がいずれ訪れると言われている一方、日本は、食料の6割を外国に依存しており、
食料の安全・安心や安定供給が強く求められている。
国においては、今後農林水産業を成長産業に位置づけ、昨年3月に「食料・農業・農村基本計画」
を策定し、攻めの農林水産業を目指す施策が進められている。また、本県においても本年3月に「農
業・農村基本計画」を策定し、多様な担い手育成等を重点課題として取り組むことにしている。
そうした中で、当公社は、県民の安定した食料確保を目指して、新規就農者の確保及び担い手農
家への農地集積・集約並びに優良乳用初妊牛や肉用牛の供給等を通して、岐阜県農業の生産基盤の
充実と元気な農業の構築を目的に、県及び関係機関と連携して積極的に事業を推進する。
【2】事業計画内容
〈 畜産部門 〉
1
優良な乳用牛及び肉用牛の育成事業及び肉用資源の供給拡大事業
最近の畜産を取り巻く情勢は、「口蹄疫」や「鳥インフルエンザ」の発生に見られる防疫問題や
食品の横流しに見られる食に対する安心・安全問題、更には、最近の為替相場の変動等による購
入飼料の高騰から経営収支が悪化する等大変厳しいものとなっている。こうした中、県内農家の
ニーズに合った優良な後継牛を育成し、安定的に供給することが公社の重要な使命と認識してい
る。
以上のことを踏まえ、公社は、東濃、飛騨牧場の指定管理者としての責務を果たしながら、本
県酪農と肉用牛振興の推進に努めると共に、農家に信頼される自立した牧場運営を目指して本年
度は以下の事業を実施する。
(1)家畜育成事業
ア
東濃牧場
①
乳用雌牛の育成事業
・ 県内酪農家から優良な乳用雌子牛を買取り、哺育・育成後、初妊牛として県内酪農家
に譲渡する。
②
肉用子牛の育成事業
牧場で生産した和牛子牛を哺育・育成し、家畜市場を通じ肉用牛農家に譲渡する。
③
牛の受託育成放牧事業
夏期に県内の肉用牛農家から和牛繁殖雌牛等を受託し、放牧育成を行う。
イ
飛騨牧場
①
肉用牛の繁殖育成事業
和牛繁殖雌牛を夏山冬里方式で飼育し、子牛生産を行う。
- 1 -
②
肉用子牛の育成事業
牧場で生産した和牛子牛を哺育・育成し、家畜市場を通じ肉用牛農家に譲渡する。
③
牛の受託育成放牧事業
夏期に県内の肉用牛農家から和牛繁殖雌牛を受託し、放牧育成を行う。
④
育成牛の能力調査事業
遺伝的能力のはっきりしていない初産牛子牛について、保留・肥育を行い、肉質等を
調査する。
⑤
和牛初妊牛譲渡事業
肉用繁殖経営の規模拡大・新規参入を推進するため、牧場で生産された雌子牛を育成
し、初妊牛として県内繁殖農家に譲渡する。
⑥
受精卵供給事業
和牛繁殖雌牛の改良及び和牛の増頭に寄与するために、優良受精卵を採取し、県内農
家への販売と東濃牧場の育成牛に供給する。
(2)畜産振興事業
優良な繁殖雌牛群整備のため、(一社)岐阜県畜産協会から助成を受けて、次の事業を実施
する。
事
業
名
優良繁殖雌牛保留支援事業
2
実施牧場
事業内容
備
飛騨牧場
・保留10頭分
考
畜産公共施設の維持管理業務受託事業
(1)県営牧場維持管理業務受託事業
県から東濃牧場及び飛騨牧場の土地、建物及び施設等の維持管理業務を受託し、管理運営
を行う。
(参考:各牧場の面積)
区
面
積
分
東
濃
牧
場
飛
騨
牧
場
計
採草地
53 ha
44 ha
97 ha
放牧地
122 ha
237 ha
359 ha
その他
67 ha
127 ha
194 ha
計
242 ha
408 ha
650 ha
- 2 -
3
畜産生産基盤整備事業
既存の畜産地帯の再整備を推進し、今後とも畜産主産地として安定的な発展が見込まれる地域
において、飼料基盤の拡充、畜舎や家畜排せつ物処理施設等の整備を行い、生産及び流通単位と
しての生産団地を建設整備する。
本年度は、継続地区として飛騨北都第二地区で畜産担い手育成総合整備事業及び飛騨牧場整備
事業を実施する。
〈 農地部門 〉
4
農地中間管理事業
担い手への農地集積・集約化を促進するための「農地中間管理事業を推進に関する法律」が制
定され、公社が、同法に基づく農地中間管理機構として平成26年3月に県より指定を受けた。
本県における担い手への農地集積割合が約3割(全国平均5割)にとどまる中で、担い手を中
心とした農業構造の転換は急務の課題であり、岐阜県が定めた「岐阜県農地中間管理事業の推進
に関する基本方針(以下「県基本方針」という。)に基づき、農地の借受け・貸付けを実施し、
担い手への農地集積・集約化を加速させる。
(参考)
県目標:担い手が利用する農地の面積及び集積率
H25:17,727ha、30.9%
5
→
H35:43,212ha、78%
農地売買等事業
本事業は、「農業経営基盤強化促進法」で定める特例事業として旧農地保有合理化事業の継続事
業であり、農業委員会のあっせん等により、経営規模縮小農家から農地を買い入れ、農業経営の
規模拡大に意欲のある農家等に対し売り渡すものである。
〈 就農支援部門 〉
6
新規就農者の育成・確保支援事業
最近の農業生産現場では、就農従事者の高齢化や離農が進み、担い手不足が深刻化しており、
新規就農者の育成・確保が急務となっている。こうした中、平成25年度に「農業経営基盤強化
促進法」の一部が改正され、新規就農者の多面的な支援を行う「青年農業者等育成センター」が
位置づけされたところである。公社は、岐阜県から同センターの指定を受け、県が定めた「岐阜
県青年等就農促進方針」に基づき、次の事業を行う。
なお、就農支援資金の貸付等業務については、26年度の新規貸付分から(株)日本政策金融
公庫が行うことになり、公社は既貸付分の償還業務を引き続き行うことになる。
(1)新規就農相談センター事業
就農相談員2名のほか、現地就農アドバイザー1名を設置し、就農相談から就農までの全
般にわたりアドバイス、就農に関する情報提供、就農促進の啓発を行う。
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(2)無料職業紹介事業
平成17年9月1日に厚生労働大臣の事業許可を受け開設した無料職業紹介所を活用し、
青年等の農業法人等への就業を進め、経営規模の拡大を図るとともに岐阜県農業を担う新規
就農者の育成確保に努める。
(3)新規就農者確保事業
青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るため、就農前の研修期間(2年以内)の所得
を確保する給付金を交付する。
新規就農給付金交付計画
区
分
事 業 計 画
給付対象者(人)
50
給付総額(千円)
71,250
備
考
(4)農業経営継承支援受託事業
全国農業会議からの委託事業で、農業経営者の高齢化が進む中、後継者のない経営者から
第三者である新規就農者に農地、機械等の農業資産を継承することを支援する。
(5)就農支援情報整備受託事業
全国農業会議からの委託事業で、新規就農希望者に自治体等による就農支援に関する情報
等を提供するための情報収集を行い、整備する。
7
牧場ふれあい事業
自然に恵まれた東濃牧場及び飛騨牧場を広く県民に開放し、憩いの場所を提供するために次の
事業を行う。
(1)東濃牧場
牧場作業の体験、畜産の加工体験、家畜とのふれあい及びイベントの開催場所の提供等を
行う。
(2)飛騨牧場
県民に牧場の景観等の提供を行うため、条件付きで牧場の開放を行う。
開放期間:毎年7月から翌年3月まで
開放条件:団体に限る、牧場運営に支障を来さない期間・場所、携帯電話必携等
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