スライド 1 - セレクションアンドバリエーション

商社・卸売業向け 営業改革提言
ゲーム理論と行動経済学で推進する
新たな営業改革
第二部 営業組織・人材の行動変革
セレクションアンドバリエーション
©2011 Selection and Variation All Rights Reserved.
AGENDA
商社・卸売業の経営資源の中で人材が2番目に重要
人材の中で営業社員がコアとなる
営業社員の非効率はなぜ発生するのか
なぜ教育研修がすぐに効果をなくすのか
なぜ評価制度が機能しないのか
人は合理的に動くように生まれていない
不合理な人を動かす方法は3つしかない
行動を変える手法 オペラント・コンディショニング
誰もが納得できる仕組みで、ありえない結果を
マネジメントに活用するために
人材マネジメントのフレームワーク
戦略に沿った行動がよい結果を生むという認知
行動を変革するためのオペラント・コンディショニング
営業組織・人事改革事例(1)
– トップセールスを生み出し続けるための特別扱い
– スタープレイヤーを排除するための専門性集結
– 人の旬を活用するためのライフサイクルマネジメント
まとめと提言
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商社・卸売業の経営資源の中で人材が2番目に重要
商社・卸売業のビジネスモデルでもっとも重要な経営資源は資金である。しかし、優秀な人材
なくして資金をビジネスにつなげることができない。
機会把握
既存
小規模
過当
競争
金融
補完
中間流通
情報流通
新規
大規模
早いもの
勝ち
取引仲介
投資
産業創造
商権化
維持継続
過当競争、あるいはほぼ固定
低コスト化競争
リテール側のリスクヘッジ機能として
必要
低コスト化競争
分析力、ネット
ワーク
分析力、
低コスト化競争
提案力、ネット
ワーク
特に新規性のあるビジネスへ進出を考えるほど
人材に対する期待は高度化する。
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人材の中で営業社員がコアとなる
商社・卸売業の人材の中でも、特に付加価値を生む源泉となるのが営業社員である。
機会把握
フロント
営業部門
ミドル
営業サポート部門
物流部門
バック
管理部門
商権化
維持継続
機会把握から商権化にむすびつける領域で
直接的に活躍するのが営業部門である
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営業社員の非効率はなぜ発生するのか
この営業社員だが、効率的に活躍していない場合が多々見受けられる。その原因は以下の3
つである。
インプットの非効率
・調査時間のムダ
・分析時間のムダ
プロセスの非効率
・営業をしていない時
間のムダ
アウトプットとしての
成果へ
インプットとプロセスに関わるムダを排除しないと
アウトプットは変わらない
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なぜ教育研修がすぐに効果をなくすのか
教育研修はインプットのムダを省こうとするもの。その点で評価されるが、行動にまでつながら
なければ結果としてのアウトプットに結びつかない。
結果
行動
大事なことは結果を出すこと
この部分について座学は一時的な変化のみをもたらす
技術・専門性
多くの研修はこの部分をターゲットとしている
知識・能力
個性・考え方
コンピテンシーに代
表される評価制度を
用いて行動を変える
ことが試行されてき
た。
しかし、十分に機能し
ているとはいいがたい。
この部分は採用時点でしか変更できない
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なぜ評価制度が機能しないのか(1)
コンピテンシー評価のように、行動モデルを作成し、それに基づき営業社員の行動を変革しよ
うというマネジメントが多用されている。
より一般的な手法は狭義のインセンティブモデルである。歩合制、出来高制から始まり、現在
では成果主義報酬もこの分野に含むことができる。営業成績に応じた賃金の支払い手法によ
り、結果に対する意識と行動を導こうとするものである。この手法はまた、企業側の固定費リス
クを軽減する。
評価制度
インセンティブモデル
コスト削減面のみ強調
チームワークの阻害
評価誤差の増大
個人の疲弊
機能不全
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なぜ評価制度が機能しないのか(2)
成果主義もインセンティブも、言い換えれば報酬で人の行動を結果に導こうとするもの。しかし
一般的な評価制度は経年的な繰り返しに対応しきれていない。
行動と結果の事実
営業活動
受注/失注
コンピテンシー評価の場合
成果評価の場合
本来のコンピテンシー評価はこの部分を評
価するもの。
成果評価は結果を評価することが大半。
この部分の評価が「適切に」行われた場合、受注/失注の結果
に関わらず、営業活動を行う、という行動は繰り返される。
この部分の評価が「適切に」行われた場合、受注につながる行
動が強化され、失注につながr行動は減少する、はず。
しかし、実際には①受注結果が評価に反映されてしま
う、②評価基準そのものではなく情意評価になる、等の
事態が発生し、「適切に」評価されなくなる。
しかし、実際には①個人評価に帰着するためチーム
ワークを阻害する、②悪い結果を評価された場合に改
善行動を導かない、という問題が生じる。
コンピテンシー評価はその評価難度ゆえに
成果評価の場合は繰り返しでの活動に対応しきれないがために
十分に機能しない
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人は合理的に動くように生まれていない(1)
いずれの評価も、人間が真に合理的に動く、のであれば機能するはず。しかし人間は不合理な
生き物である。行動経済学が不合理性の一部を実証している。
プロスペクト理論による分析結果
プラス1万円
得する便益
満足度100
ある人物の満足度曲線
(変化後)
マイナス1万円
得する便益
不満度
同じ金額を得た場合と失った場合とで、人は
満足/不満足の度合いが異なる。
満足と不満足に対する認識の
相違、当初の期待による結果
への満足のゆがみ、などが
一般的に発生する
プラス1万円
損する便益
不満度
不満度
不満度130
F2(x)
満足度
マイナス1万円
損する便益
F1(x)
満足度
ある人物の満足度曲線
左の例で1万円を獲得した人が
次の機会には、同じ1万円で
満足しなくなる
満足度
F1(x)
フレーミングによる満足度変化
1万円をもらえることは所
与になってしまっている。
(アンカリング)
満足度曲線が移動してしまうため、同じ結果では満足
度がなくなり、不満度だけが高まる可能性が生じる。
子供に置き換えてみよう。
試験で100点をとったらおもちゃを買ってあげる、90点だったらお菓子を
買ってあげる、と約束した。
しかし95点だったので、約束どおりお菓子を買いあたえた。
結果として子供の中に残るのはお菓子を買ってもらった満足ではない。
努力したけれど、わずかな不足で、おもちゃを買ってもらえなかった、と
いう不満だけになる。
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人は合理的に動くように生まれていない(2)
行動経済学で定義する人の行動のゆがみは以下のような原因による。
ゆがみの源泉
誤った行動判断
判断の不正確性
都合の悪い情報は、聞こえているのに聞こえない。
想像できない世界、想像できない数量などについて
は合理的な判断ができない。
【時間的制約】
多くの事象について判断が求められるため、常に最善の意思決定プロセス
を踏むことはできない。
【感情的要因】
自信過剰
後悔の回避
【社会的要因】
ムード
群れの行動
認知不協和の回避
成功体験をひきずる。
チャレンジングな選択で大成功を目指すより、失敗し
づらい保守的判断を選択しやすい。
ゆがみを原因として行動判断を誤る
【限定合理性】
記憶の不正確性
過去の事実を誰も正確に覚えられない。
情報の選別的認識 自分にとって都合のいい情報だけが耳に入る。
簡便的かつ直感的な意思決定に基づき行動して
しまう。これをヒューリスティクスという。以下のよう
な代表例がある。
アンカリング
新規顧客開拓の方が事業全体を成長させ
るが、身近な範囲でだけ営業してしまう、等
少数の法則
市場全体から見れば極めて少ないサンプル
をもとにマーケティング判断を行う、等
有効性の幻想
詳細なスケジュール、詳細な計画のほうが
成功確率が高いと判断する、等
リスクの過小評価
自分の言動を一致させたいプレッシャーから、過去
の言動と矛盾する選択を行いづらい。
9
日本の人口減少は数十年前からわかって
いたが誰も対策していない、等
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不合理な人を動かす方法は3つしかない
ここまでの例に示すように、人間は損得に関して誤った判断を行う。しかし、人間は損得だけで
行動を選択するわけではない。
3つの行動支配
王の支配
権威あるいは力による行動指示
マネジメントへの応用
最も強力
経営者のカリスマ化
特定人物の人事権強化
懲戒制度の厳密適用
創発的
行動基準明確化
勤務ルール変更
称賛制度の適用
一般的
評価・報酬制度
退職金/年金制度
神の支配
倫理観あるいは
自発性に基づく行動指示
商人の支配
損得勘定に基づく行動指示
人はおおむね、いずれかの支配によって
行動を選択している。
行動を変革するには、3つの支配方法を
活用することが有効
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行動を変える手法 オペラント・コンディショニング(1)
人の行動を変化させるために必要な考え方は、行動心理学で定義されている。その概念は以
下の様なものである。
良いサイクル 悪いサイクル
A 先行条件
Antecedent
B 行動
Behavior
C 結果
Consequence
所与の状況で
適切な行動により
望ましい結果が
得られる
所与の状況で
不適切な行動により
悪い結果が
生まれる
この行動を変えたいわけだが、そのため
にはどのような手段を用いればよいか。
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行動を変える手法 オペラント・コンディショニング(2)
行動を変えるということは、人間の学習能力に直接的に訴えかける必要がある。そのためには
行動の結果どのようなインセンティブ(行動をうながす要素:狭義の報酬ではない)が与えるべ
きかを考えなくてはならない。
例えば以下のような事例。
現状
A:先行条件
B:行動
同僚と雑談しながら資料作
成
仕事中
C:結果
・楽しく仕事ができる
・資料作成に時間がかかる
これを行動心理学で分析すると以下のようになる。
現状
A:先行条件
仕事中
B:行動
同僚と雑談しながら資料作
成
C:結果
・楽しく仕事ができる 好子の発生
・資料作成に時間がかかる
好子(こうし)とは行動心理学の用語で、ある行動の直後に提示することで、その行動を増大さ
せる要素のことをいう。この例では好子が発生しているので、Bの行動に対するインセンティブと
なり、行動が繰り返される。
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行動を変える手法 オペラント・コンディショニング(3)
好子の対義語で嫌子(けんし)がある。これはある行動の直後に提示することで、その行動を減
少させる要素のことをいう。
つまり、ある行動を変更させたい場合、①望ましい結果に対して好子を発生させるか、②望ま
しくない行動に対して嫌子を発生させる、ことが行動心理学的な変革の基本となる。
前述の例に対しては、たとえば以下のような対策によって行動変革が実証されている。
現状
A:先行条件
仕事中
A:先行条件
仕事中
A:先行条件
変革後
目標処理数の提示
仕事中
B:行動
同僚に話しかける
B:行動
書類を指示通り作成する
先行条件の
分割と変更
C:結果
好子の発生
楽しくおしゃべり
C:結果
書類の完成(時間がかかる)
B:行動
目標に到達するまで書類を
作成する
C:結果
目標処理数の達成に対する
好子の発生
称賛
同僚に話しかける
楽しくおしゃべり
処理数未達成
好子の発生
嫌子の発生
この嫌子は、一度でも目標処理数を達成し、「称
賛」という好子が発生したあとでのみ発生する
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誰もが納得できる仕組みで、ありえない結果を
オペラント・コンディショニングを、整理すると以下のようになる。
①「してほしくない行動」が生み出している好子を把握する。
②「してほしい行動」で発生する嫌子を把握する。
③「してほしくない行動」に対する嫌子を設定する。
④「してほしい行動」に対して好子を設定する。
⑤「してほしい行動」で生まれる嫌子を緩和する。
⑥先行条件を分割・新設する。
⑦「してほしい行動」の結果に対する好子を発生させる=成功体験を生み出す。
⑧先行条件を繰り返し発生させる。
人材マネジメントを上記の要件を満たすように再設計することで
行動の変革を促す。
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マネジメントに活用するために
行動変革をマネジメントに活用するためには、人材マネジメントそのものの定義を見直す必要
がある。人材マネジメントとは人事制度だけで構成されるものではなく、さまざまなマネジメント
要素が複合して構成されていることを理解する。
ビジョン
「会社に対して何に貢献できるのか」
‐ 誰が顧客なのか/Valueはなにか
- 自社の強みはなにか
‐ 採算性(利益)はあるのか 等
行動を変革する
人材マネジメント
フレームワーク
ビヘイビア
Brain
(変革の方向性)
「会社のビジョンを実現するために、どのような人に
ならなければならないのか/なってはいけないのか」
ビジョン
人事制度
プロセス
「如何に顧客サービス提供効率を最大化
するか」
‐ 顧客バリューの最大化
‐ 投入資源の最少化
等
情報技術
「情報技術をどう活用するか」
‐ データベースマーケティング
‐ ナレッジエクスチェンジ(情報共有) 等
行動
プロセス
情報
技術
組織
「既存/新規の従業員を、あるべきビヘイビアに導
くためにはどのような仕組みが必要か」
左のイメージ図に示すように、行動を変
えるには人事制度だけでは不十分。
人事
制度
まずビジョンありきで、業務のプロセス
や組織のあり方も大きく影響する。
組織
Body
(変革実現への仕組み)
「ビジョンを実現する上で現
段階での組織の最適解は」
‐ スリム
‐ スピーディー
‐ フレキシビリティー
等
故に、これらを総称して
Heart
(変革への情熱)
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人材マネジメントという。
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人材マネジメントのフレームワーク
一般的な人事制度は、以下に示すように①職務体系、②要員管理、③評価制度、④人材配置
/人材育成制度、⑤報酬制度の5要素に区分され。
人事制度に加え、⑥人事機能と⑦その他マネジメント要素、を加味して、総合的な人材マネジ
メントと定義することができる。
経営環境
経営戦略
ミッション,ビジョン、事業ドメイン
市場環境,競争環境、社会環境
人材マネジメントの領域
職務体系は,経営戦略及び経営環境
に照らして,企業が求める人材像を明
確化しグルーピングすることにより設計。
人事制度の領域
①職務体系
企業理念とコア人材像をもとにしながら
行動(ビヘイビア)変革に資する評価基
準と評価ルールを設計する。
③評価制度
人事オペレーションの「集中」と「分散」
を明確化し,戦略的機能とルーチン機
能の高度化・効率化を図る。
その他マネジメント要素には、組織のあ
り方や指揮命令系統、情報システムの
整備などが含まれる(資料末尾の「人材
マネジメントの目的」を参照)。
②要員管理
④人材育成
制度
⑤報酬制度
⑥人事機能
⑦その他マネジメント要素
事業運営に必要な人員を、適切な費用で獲
得する仕組み。採用管理と退職管理に区分
できるが、より高度化させるためには要員計画
の策定が重要。
報酬については、求める人材像を体現してい
る従業員のインセンティブとして十分に機能す
るように設計する。
コア人材の育成とモチベートを目的とした、育
成プランや配置計画が必要。
コア人材像から落としこんだキャリアパスの提
示がポイント。
経営戦略・経営環境からの落とし込みと、全体の整合性が重要なポイント
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戦略に沿った行動がよい結果を生むという認知
あるべき行動は自社の経営戦略に基づき選択される。しかし、自社の戦略だけではあるべき行
動は定義できない。自社の戦略が同一であっても、他社の戦略選択によってあるべき行動が
変化する場合がある。
自社の選択
顧客適応戦略を選択。
リテールサポートを強化することで、シェ
ア拡大を目指す。
競合他社の選択
ダンピング状態の発生
同じく顧客適応戦略を選択。
営業社員に求められる行動は「人間関係構築力」に代表される、取引先との依存関係の深化。
この場合、インセンティブモデルが効果を発揮しやすい。
しかし、競合他社の戦略が変われば、求められる行動も変化する
自社の選択
顧客適応戦略を選択。
リテールサポートを強化することで、シェ
ア拡大を目指す。
競合他社の選択
個別最適対応のニーズ
標準化戦略を採用することで、新規顧
客の開拓と、収益の平準化を目指す。
営業社員に求められる行動は、顧客ビジネスに対する付加価値の創出。そのための「顧客ビジネス理解力」が
必要。あわせて採用時のスクリーニングと人材育成投資が重要になる。
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行動を変革するためのオペラント・コンディショニング
戦略選択によって、オペラント・コンディショニングは以下のように変化する。
顧客適応 VS 顧客適応
顧客適応 VS 標準化戦略
ダンピング状態の市場を勝ち抜くために
特定顧客との関係を深化
市場標準の創造を目指す競合に対し
個別取引先毎へ最適な提案で対抗
取引相手との依存関係構築状態がベスト
市場シェアがKFS
取引相手が成長している状態がベスト
利益率がKFS
強化すべき好子
弱化すべき嫌子
強化すべき好子
弱化すべき嫌子
新規取引先獲得に
対する評価
値引きに対するマイナス評価
既存顧客取引拡大に
対する評価
失注率
取引先との取引年数
低利益率に対するマイナス評価
競争入札・プレゼンでの
受注件数
個人業績
コンプライアンス遵守
取引先別利益率
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営業組織・人事改革事例(1)
トップセールスを生み出し続けるための特別扱い①
スパーセールスが存在する会社における改革の事例。
マネジメントライン
マイスターに対しては指揮命令権を持たない
チーフ
セールス
マイスター
セールス
ディレクター
(部長 SD)
(CSMe)
希望によって
管理職転換
も検討
セールス
マネジャー
(課長 SM)
セールス
マイスター
(SMe)
1年間の個人売上実績が基準を下回った
場合にセールスマイスターに降格。または、
本人希望時に職種転換。
1年間の個人売上実績が基準を超えてい
る場合に昇格を選択可能。
深刻なクレーム等、行動が不適切と判断さ
れた場合に、役員会判断でセールスリーダ
ーに降格。または本人希望時に職種転換。
1年間の個人売上実績が基準を超えてい
る場合に、昇格を選択可能。
セールスリーダー
(SL2)
セールスリーダー
(SL1)
この会社では、全
社売上の30%を
一人で達成する
スーパーセールス
が存在した。
彼のパフォーマン
スを維持しながら、
同様のスーパー
セールスを生み出
し続けるために、
営業職にマイス
ター制度を導入。
※チーフセールスマイスターについては、
専属のアシスタントを与える。
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営業組織・人事改革事例(1)
トップセールスを生み出し続けるための特別扱い②
マイスター制度のポイントは3つ。①特殊役職による特別扱い、②インセンティブへの傾斜配分
、③コンプライアンスの徹底、である。
使用ポイント表
インセンティブポイント変更の効果
チーフセールス
マイスター
(CSMe)
C表
インセンティブ額は理論上
205%増加。
セールス
マイスター
(SMe)
B表
インセンティブ額は理論上
140%増加。
A表
インセンティブ額は理論上
61%増加。
その他変更
固定給部分を
極端に低減
セールスリーダー
(SL2)
セールスリーダー
(SL1)
セールス(S)
セールスアシスタント
(SA)
セールスアシスタントについては、インセンティブ計算はするが、セール
ス等級昇格まで実際の支給はしない。
20
昇格・降格判
断基準を売上
に特化
この会社のインセンティ
ブは売上をベースにしな
がら、案件別の利益額を
基に算出するものだった。
そこで利益からインセン
ティブを算出する基準を
改め、高売上・高利益者
ほどより高いインセンティ
ブを獲得できるように変
更。
過去の最高実績時に照
らし合わせると、トップ
セールスは年収3000
万円以上も達成可能に。
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営業組織・人事改革事例(1)
トップセールスを生み出し続けるための特別扱い③
一方で特別扱いによるコンプライアンス問題発生を避けるために、以下の基準を厳密適用。
また、インセンティブと昇格・降格判断以外の基本給部分については、単純化した4つの指標
で評価し、チームワークなどを補完。
厳密化した基準
売り掛け回収期間
販売動機
自己開拓/会社宛問い合
わせ/各種紹介 等
一般人事考課基準
倫理的行動をとっているか
オペラント・
コンディショニング
としての分析
特別扱い
部下・後輩を育成しているか
名誉の喪失
(マイスターからの転落)
売上
超高収入の
喪失
自己開拓
売り掛け
倫理的行動
チームワークに貢献しているか
他者育成
値引き
チームワーク
値引き率
顧客満足を実現しているか
顧客満足
一旦獲得した好子は、フレーミング効果
によりその後、嫌子として活用される。
例)名誉、超高収入等
現在この会社では、第2、第3のスーパーセールス候補が育っている。
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営業組織・人事改革事例(2)
スタープレイヤーを排除するための専門性集結
前述の例ではたまたまスタープレイヤーが存在したためにその力をさらに高める人材マネジメ
ントが選択されたが、一般的にスタープレイヤーに頼るマネジメントは危険。
次の事例では、機能別組織を前提として、スタープレイヤーをあえて生み出さないようにして
業績を高めたものを紹介。ポイントは、営業部隊ではなく、営業を支える営業サポート部門を
改革した点。
設計の基本概念
人材マネジメント設計方針
結果としての制度概要
競争しない
ビジネスへ
マネジメントへの
専門性要求、任用基準化
ニーズのビジネスモデル化を
専門部隊と会議体で推進
ビジネスモデル創出に
特化
個別業務は標準化
※営業活動を含む
ランクオーダーを徹底する
昇格と降格
ランクオーダーにあわせた
年収設定
付加価値を生まない部分は
アウトソース
上司は部下よりも
専門性が高い状態を創出
高利益率を背景とした高年収を
実現⇒人材マーケットにも訴求
成長を是、現状維持を否とする
積極的な社風の創出
利益から高率で
人材教育へ再投資
制度だけではなく組織・会議体を変革することで戦略との連携を徹底
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営業組織・人事改革事例(3)
人の旬を活用するためのライフサイクルマネジメント
3つ目の例は、インセンティブのデメリット部分を意識して、制度構築の基本を「失うものを小さ
くして」「得るものを大きくする」という方針としたもの。
ポイントは①従業員の生活を守る仕組みを第一に、②チーム業績を反映し、③各種ライフイベ
ント補助としての福利厚生を充実化させた点。
部長
報酬水準
チーム業績インセンティブ
課長
並
一般セールス
低
高
同年次での差は
モデル年令報酬への
進度でコントロール
20歳 22歳
24歳
30歳
40歳
50歳
ライフイベントに対応した各種補助
・社宅借り上げ制度
・学資保険補助
・養老/介護保険補助
・扶養家族誕生祝い
など
60歳 モデル年令
安定性を高める効果を重視。成長性を確保するには要員管理も必要。
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まとめと提言
最適行動を生み出すためには、経験化とタイムリーさ
さまざまな人事制度があるが、絵に描いた餅を提示するものも少なくない。しかし、口に入れたことのない餅を夢見て行動す
ることは困難。ポイントは、一度手に入れたものをなくしたくない、と考える人の特性を有効に活用する。
また、行動の直後になんらかのフィードバックがなければ、せっかくの餅は行動とリンクしない。人事考課サイクルだけでフォ
ローできないタイムリーさは、組織体制、上司権限、会議体などに反映することで、総合的な人材マネジメントを形成する。
繰り返しを見据えてマネジメントを変革する
事業は存続しつづけるものであり、人は年をとっていく。その当たり前の事実を忘れると、変革のタイミングでは適切な仕組
みとなっていても、わずか1年後にすら機能しなくなっている場合がある。成果を出した人がそれにみあった評価・報酬・役割
を受け取った次のタイミングでどのように考えて行動するのか、成果を出せなかった人が次にどのような行動を選択するのか、
やがて同じ人物が10歳年をとったあとにどのような行動をとるのか、ということをシミュレーションしながらマネジメントを変革し
なくてはならない。
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