〇生活・総合的な学習の時間

はじめに
生活科や総合的な学習の時間は、「生きる力」の中核を担うものとして誕生した教
科・領域です。現在の我が国では、グローバル化の進展や、絶え間ない技術革新等
により社会構造や雇用環境は大きく変化し、子どもたちが就く職業も現在とは様変
わりしていくことになるであろうということが指摘されております。そのような中
で、平成26年11月には、文部科学省より「初等中等教育における教育課程の基
準等の在り方について(諮問)」が示され、課題の発見と解決に向けて主体的・協働
的に学ぶ学習いわゆる「アクティブ・ラーニング」の重要性が述べられました。ま
さに、今後、生活科及び総合的な学習の時間は、児童が主体的に活動し、課題に対
して探究的に学んでいく学習としての役割を、より一層期待されていると言えるの
ではないでしょうか。
さて、生活科・総合的な学習の時間研究委員会が、「自ら学び続ける子どもの育成
~自己の変容を自覚させる単元構成の工夫を通して~」という研究テーマを掲げて
今年で4年目となります。
私たち研究委員会の使命は、「新しいふくおかの教育計画後期実施計画」の具現化
です。本研究委員会では、特に重点施策1―④「地域の特性を生かした教育」を踏
まえ、地域の「人・もの・こと」を対象とする単元構成の工夫に力を入れてまいり
ました。また重点施策2―②「学校と家庭・地域の連携の強化」において、地域から
ゲストティーチャーを授業に招聘したり、学習したことを発信する対象として地域
の方や保護者を位置づけたりしました。このような取組を通して、重点施策1-②
「確かな学力の向上」における「主体的に学習する態度」や「課題解決に必要な思
考力・判断力・表現力」などの定着を推進してきたところです。
本年度は、学習過程の中で、体験活動と交流活動を交互に繰り返し位置づけた
り、また、子どもが自己の変容をメタ認知できるよう、教師との「相談タイム」を
適宜位置づけたりするなど単元構成の工夫に重点を置いて研究を進めてまいりまし
た。このような取組を通して、子どもたちは、自ら課題を解決しようとする意欲
や、解決のための学び方などを身に付けることができ成果を実感しているところで
す。また、一人一人の研究委員も授業構想力を身に付け、子どもの行動やノート、
発言から、学びの積み上げを見取ろうとする意識や能力が高まってきています。
来年度は、さらに福岡市の教育の充実に寄与できる具体的な手だて等を提案でき
るよう、研究をより一層進めてまいる所存であります。ありがとうございました。
福岡市生活科・総合的な学習の時間研究委員会
委員長
峯田
明子(福岡市立赤坂小学校校長)
平成26年度 生活科・総合的な学習研究委員会 全体主題
自ら学び続ける子どもの育成
~自己の変容を自覚させる単元構成の工夫を通して~
研究の考え方
1. 小学校教科等研究委員会の研究の方向
○(子どもが)基礎的・基本的な事項を着実に身に付ける指導
○ 教師の創意工夫を生かす指導
○ (子ども)一人ひとりの個性を伸ばし、創造性を育成する指導
○ 教科の特性を明確にした指導
2. 小学校教科等研究委員会の研究主題
学習指導要領を踏まえ、
「新しいふくおかの教育計画」後期実施計画の具体化を図る学習指導のあり方
「新しいふくおかの教育計画」後期実施計画の具体化としては
重点施策1-①確かな学力の向上:子どもたち一人ひとりに「主体的に学習する態度」
「課題解決に
必要な思考力・判断力・表現力」などを身に付けさせる。
→自己の変容を自覚させる単元構成の工夫により、自ら学び続ける子どもを育てる。
重点施策1-④地域の特性を生かした教育と国際教育の推進
→地域の「人・もの・こと」を対象とする学習の計画
重点施策2-②学校と家庭・地域の連携の強化
→学習の GT や表現・発信の相手としての地域人材や保護者の活用
3. 学習指導要領改定の要点より
生活科改定の趣旨
総合的な学習の時間改定の趣旨
・活動や体験を通して得られた気付きを質的に
・総合的な学習のねらいや育てたい力(身に付けた
高める指導の充実
・思考と表現の一体化
・知的好奇心を高め、科学的な見方・考え方の
基礎を養うための指導の充実
・生命の尊さや、自然現象について体験的に
学習することの重視
・幼児教育と小学校教育との具体的な連携
い力)の明確化
・他者と協同して課題を解決しようとする学習活動
の重視
・教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習、探究
的な学習を行うことをより明確化
・子どもの発達段階に応じた適切な学習活動の展開
・体験活動と言語活動の充実
主題及び副主題の意味
「自ら学び続ける」とは
生活科においては、豊かな体験を通して自分の気付きを表現し、友達の気付きと比べながら、無自覚だったこ
とを自覚したり、気付きと気付きを関連づけたり、対象への気付きを自分自身への気付きにつなげたりして、気
付きの質を高めていく。この気付きの質の高まりは、子どもが願いをもち、それを発展させることへとつながり、
自ら学び続ける姿となる。
総合的な学習においては、地域の「人・もの、こと」との関わりを通して課題を発見し、解決していきながら、
自分の見方や考え方、対象との関わり方の現状と変容を、表現、交流、評価していく。このことを通して身近な
地域の対象に関わっていける自分の力や役割を発見したとき子どもの学びが連続していくと考える。
つまり、生活科でも、総合的な学習でも、
「自ら学び続ける」とは、子どもが活動を貫く切実な課題意識をも
ち、体験や対象への関わり、問題解決の各段階ごとに、気付きや見方、考え方の変容を自覚していくことによっ
て、課題意識が連続していく姿である。
「自己の変容」とは
生活科において、対象と関わったとき、子どもには様々な気付きが生まれる。しかし、せっかく生まれた気付
きもそれを表現したり、他の気付きと比べたりしなければ、そのよさや価値に気付かないままになってしまう。
同様に総合的な学習においても、地域の「人・もの・こと」に対して課題を見つけ、解決していく。しかし、問
題解決過程での気付きや理解や新たな課題などを整理・分析したり、表現したりしなければ、対象に対する気付
き、子どもの思いや願いの広まりや深まりが出ない。子どもが聞いたり、話したり、書いたりすることを通して
子どもの気付き、思いや願いが変容していくことである。
「自覚させる」とは、
自覚するとは、子どもが、対象に対する課題や気付き、見方や考え方を整理して表現し、視覚化することで、
はじめとの違いを明らかにし、他者と比べることで自分のよさや役割(できること)を実感することである。そう
することで、地域の対象に対する見方や考え方と、自分自身の役割の認識の変化が表現され、整理されることに
なり、生活科・総合的な学習の目標である自分の成長に気付いたり、自己の生き方を考えたりすることができる。
教師が学習計画を作成する段階で目指す子どもの姿を明確にして、どのような変容を期待するか予め予想して
おくこと、単元においては、生活科のカードや総合的な学習のポートフォリオを作成したり、交流したり、振り
返ったりする場において、気付きや願いなどを選んだり、比べたり、分類したり、つなげたり、まとめたりして
整理している活動を位置づけること、教師が対話などを通して、子どもの気付きや課題意識を意味づけたり、価
値づけたり、方向付けたりして意識させる適切な支援をすることが必要であると考えられる。
4.研究の目標
生活科・総合的な学習において、自己の変容を自覚させる単元構成の工夫のあり方を究明する。
5.研究の仮説
自己の変容を自覚させる単元構成の工夫をすれば、自ら学び続ける子どもを育成することができるであろう。
6.研究の内容
上記のような仮説の検証のため、本研究委員会では以下の3点の内容で研究を推進する。
① 目指す子どもの姿の明確化
② 振り返り活動及び交流活動を位置付けた学習過程
③ 変容の自覚を促すための教師の支援
7.研究の手立て
①
学習の探究の各過程及び単元終了後の目指す子どもの姿を明確にした学習計画の作成
② 振り返り活動・交流活動を繰り返し位置付けた学習過程及び体験や交流前後のポートフォリオの比較
③ 気付きを価値付ける教師と子どもの対話(相談タイム)の設定
第1学年 生活科学習指導案
1.
単元名 「みんなの
にこにこ
だいさくせん」
こんな子どもに
○家庭での自分の生活や家族の思いに目を向け,自分ができることに関心を持ち,家族の願いを実
感するとともに,自分の役割を積極的に果たそうとすることができる。 【関心・意欲・態度】
○家族が喜ぶ時のことを考えたり聞いたりして,分かったことを表現するとともに,
「にこにこ」を
増やすために自分に何ができるかを考え,自分なりに計画を立てて実行することができる。
【思考・表現】
○家庭生活を支えている家族について考えるようになり,自分でできることに気付くことができる。
【気付き】
こんな教材で
本単元は,学習指導要領の内容(2)
「家庭と生活」をもとに単元を構成
し,内容構成の具体的な視点として
は,
「ア健康で安全な生活」
「イ身近な
人々との接し方」「コ成長への喜び」
「サ基本的な生活習慣や生活技能」を
位置づけて単元を構成している。
本単元では,まず,自分の生活を振
り返ることから,支えはぐくんでくれ
る家族のことを見つめる。児童にとっ
て家族や家庭は身近な存在であるた
め,見つめ直す機会は少ない。そこで,
家族のにこにこしているときを調べ,
家族のよさなどに目を向けるように
する。
次に,家族のにこにこを増やすため
に自分ができることを考え,家庭で実
践する。
最後に,実践してみて分かったこと
や家族への思い,今後の自分の生活に
対する意欲などを発表会で表現する。
そうすることで,家族の一員として
の自覚を高め,規則正しい生活・自立
への基礎を培うことにつながると考
え,本単元を設定した。
こんな支援で
ひ
ろ
げ
る
ふ
か
め
る
つ
か
む
○にこにこ成長発表会
友だちの発表から,友だちのが
んばりやよさを見つけ,これから
も続けたいことなどを発表する。
〇ありがとう発表会
自分の活動を振り返り,始めの
自分と比べて成長したところ,家
族への感謝の気持ちを発表する。
○にこにこのコツ発表会
友だちの工夫を取り入れ,さら
に意欲的に活動できるよう,中間
交流会を行う。
〇「にこにこだいさくせん」計画
家族に焦点を当て,家族のにこ
にこを増やすために自分ができそ
うなことの計画を立てさせる。
○わたしの1日にこにこ調べ
自分の1日の生活を調べること
で今の自分ができている事や好き
な事・楽しい事を自覚させる。
〇身近な人のにこにこ調べ
家族を中心に身近な人が笑顔に
なるときを調べさせる。
こんな子どもだから
○家族のことが好きで,家族と出かけたり,遊んだり,一緒に過ごしたりしている。夏休み中には,
家庭での仕事をひとつは決めて,行っている。
【関心・意欲・態度】
○自分の見たことやしたこと,思ったことなどを簡単な絵や文で表すことができている。
【思考・表現】
○自分の生活が家族によって成り立っていることに気付くまでには至っていない。
生1-1
【気付き】
2.
段
階
学習活動計画(全12時間+家庭)
配
時
目指す子どもの姿
教師の支援
〇自分の生活から自分の「にこにこ」を
見つけようとしている。
【関・意・態】
・わたしがにこにこするのは~のとき。
・ぼくができる~をしているとき。
?自分以外のひとはにこにこしている
かな。
〇生活経験との関連
・学校生活の様子を
写真に撮っておき,
思い出しのヒントに
する。
〇家族の「にこにこ」には,自分のがん
ばりなど自分に関することが含まれ
ていることに気付いている。
【気付き】
① (1) 家族がにこにこするときを調べる。
・〇〇がにこにこするのは,わたしが~
をしたときです。
① (2) 分かったことや思ったことを話し合う。
・家族が にこにこしていると,私も嬉
交流①
しい。
?家族が もっとにこにこに ならな
いかな。
〇児童の話からキー
ワードを取り上げ板
書し,チョークの色
を変えるなど板書を
工夫して共有化を図
るとともに,
「にこに
こ」を増やしたいと
いう思いが芽生える
よう,相談タイムを
設ける。
学習活動と内容
1 1. わたしのにこにこどんなとき
①
(1)
自分がにこにこするときについて考え
る。
つ
か
む
/
2 2. かぞくのにこにこどんなとき
3. わたしのにこにこだいさくせん
3 (1)家族のために自分ができそうなことを考
①
え,計画を立てる。
・ひとりでできるもんコース(自立)
・もりもりお手伝いコース(お手伝い)。
・ほんわかあったかコース(団らん)
★家庭での実践「にこにこだいさくせん①」
ふ
か
め
る
(2)中間報告会を行い,自分の活動を見直す。
①
/
交流②
〇事前に保護者に協
力をお願いする。
〇「家族のにこにこ
を増やすために」と
いう活動の目的を意
識させる。
〇活動が充実するよ
う,カードの工夫や
毎日活動を報告でき
る場を設定する。
〇同じような活動を
★家庭での実践「にこにこだいさくせん②」
〇自分の活動を振り返り,自分の成長に したグループで対話
気付くことができる。
【気付き】 タイムを設けること
(3)自分の活動を振り返る。
で,工夫やよさを取
り入れるようにす
る。
〇自分の活動を言葉や絵で表現してい ○ほめほめカードと
アドバイスカードを
る。
【思・表】
活用し,よさを伝え
・いつも~してくれていてありがとう。 合う工夫をする。
①
4. にこにこみんなのだいさくせん
ひ
ろ
げ
る
〇調べたことをもとに自分にできそう
なことを考えることができている。
【関・意・態】
・お母さんをにこにこにさせるぞ。
・お父さんは,きっと~をするとにこに
こするよ。
・ぼくが,一人で~ができたら…。
・~をしたらにこにこが増えました。
・〇〇くんのコツを取り入れよう。
・○○さんすごいな。ぼくもやろう。
3 (1)発表会の準備をする。
・これからも自分で~するね。
・もっとにこにこさせたいな。
②
(2)ありがとう発表会を行う。
交流③
①
〇自分自身の成長,家族の一員であるこ
とに気付いている。
【気付き】
5. どんどんにこにこだいさくせん
3 (1)今までの活動を振り返り,自分の良さや成
①
長に気付く。
(2)発表会の準備をする。
① (3)にこにこ成長発表会を行う。
①
本
時
〇活動を振り返り,できるようになった
事や分かった事,もっとやってみたい事
を自分なりに表現している。 【思・表】
・最初は~しようと思わなかったけども
っと続けたいな。
・ひとりで~できるようになったよ。
・もっとできることはないかな。
・家族がもっとすきになった。
生1-2
〇違う活動をしたペ
アで相談タイムを行
うことで,成長への
気づきを自覚させ
る。
3.
本時指導案
単元名
「みんなの
にこにこ だいさくせん」 本時(12/12)
11 月 19 日 5 時間目
本時目標
〇友だちの良さやがんばりを見つけ,認め合うことで,改めて自分自身の成長や良さに気付き,自
分に自信を持って生活しようとすることができる。
4.
【思考・表現】
本時指導の考え方
(1) 目指す子どもの姿
初めは,自分のこともお母さんに手伝ってもらってやっていたけど,にこにこだいさくせん
で,自分のことは,ひとりでできるようになりました。お母さんは,ぼくが成長して嬉しいと
言って,にこにこになってくれてすごく嬉しかったです。そしてぼくは,○○さんの工夫がと
てもいいなと思ったので,明日からぼくも,家族がもっとにこにこになるように,○○さんの
工夫を取り入れて,続けていきたいです。
(2) 本時仮説
以下の手だてを工夫すれば,家族の思いに気付き,自分自身ができるようになったことを自覚
し,自分や友だちのよさに気付くことができるであろう。
手だて1
保護者からのお手紙
手だて2 「にこにこカード」
手だて1 保護者からのお手紙
保護者からの手紙を読むことで,これからも続けたい,もっと家族の役に立ちたいという家族へ
の思いを確かめ,家族の一員としての自覚を高めさせたい。
手だて2
「にこにこカード」
友だちの発表を聞く際に,
「にこにこカード」を活用し,友だちの工夫やがんばりなどのよさを見
つける。友だちからのカードをもらうことで,自分の成長への気付きを高めさせたい。
5.
板書計画
めあて
「にこにこだいさくせん」で がんばってきたことを ふりかえろう。
ひとりでできるもんコース
おしごともりもりコース
はっぴょうのしかた
ほんわかだんらんコース
これからのじぶん
生1-3
6.
本時展開
学習活動と内容
めざす子どもの姿
教師の支援
1.今までの学習を振り返り,本時のめあてを知る。
めあて
にこにこだいさくせんで
がんばってきたことを ふりかえろう。
2. 自分自身の成長を考える。
○お家の方か
らの手紙を全
(1)お家の方からの手紙を読む。
〇家族の思いに気付くこ
員に用意して
とができる。【気付き】
おく。
(2)手紙に書いてあったことや感想を発表する。
○手紙を読ん
でいるときに
期間指導をし,
児童たちの感
(2)自分の成長と今後の決意表明を発表する。
〇活動を振り返り,でき
想を聞き取っ
るようになったことやも
ておき,発表の
っとやってみたいことを
場にいかす。
自分なりに表現してい
る。【思・表】
(3)
「にこにこカード」を書いて交流する。
〇友だちの良さに気付く
〇にこにこカ
ことができる。
【気付き】 ードを紹介し,
発表を聞く視
〇友だちからカードをも
らうことで,自分の成長
3. 本時学習を振り返る。
やよさに改めて気付くこ
・〇〇さんは,できるようになったことが増えていて
すごいなあと思いました。
・○○さんみたいに,私も今度はうわぐつ洗いをして,
にこにこを増やしたいな。
・○○さんのかたたたきは,お家の人が「疲れがとれ
る」って本当に喜んでいました。
生1-4
とができる。【気付き】
点を与える。
7.
指導の実際と考察
つかむ段階(1/12~3/12)
【目標】
〇自分や家族について考え,関心を高めることができる。
【主な手立てと児童の反応】
○活動を通して,家族への思いを見直す工夫
(1)考えたことを書くカードの作成
家族がにこにこしているときを考えやすいように,まずは,自分自身がにこにこしているとき
を考えさせるため,カード<資料1>を作成し,記入させた。その後,「で
は,自分以外の,家族の人はにこにこしているかな」と問いかけ,家族がに
こにこしているときを考えさせた。
カードには,
「お母さんがにこにこするのは,わたしがしょっきあらいをし
たとき」
「お父さんがにこにこするのは,ゆっくりみんなですごしているとき」
などが書かれ,自分と家族との関わりに気付き,活動への意欲を高めること
ができた。
<資料1
記入カード>
(2)相談タイムや,発表・交流する場面の設定
家族がにこにこするときを考えさせる際,近くの友だちと話したり教師と話したりする相談タ
イムを設けた。友だちの体験を聞くことや,教師との対話の中で,児童は自らの体験や家族の姿
を考えることができていた。また,全体で発表する交流の場を設けた。友だちの発表を聞くこと
で,自分の家族に置き換えて考えたり,家族のよさや温もりを感じたりしていた。その結果,自
分の力でもっと家族のにこにこを増やしたいという意欲を高めることができた。
ふかめる段階(4/12~6/12)
【目標】
〇家族のにこにこを増やすために,自分ができることを考えて家庭で実践することができる。
【主な手立てと児童の反応】
○活動を通して生まれる気付きの質を高める工夫
(1)毎日の活動を記録するカードの作成
家族のにこにこを増やすために自分ができそうなことを考えさせ,計画
を立てさせた。その際,全体でコースを 3 種類に分け(自立・手伝い・団
らん)コースを決めさせた。また,実践は家庭で行うため,活動が見えに
くい。そこで,毎日の活動の実践を記録するカード<資料2>を作成し,
記録させた。このカードには,活動への取り組みを◎・〇・△・×で評
価させ,思ったことや家族の反応などを書かせ,お家の方からのコメン
トを書いてもらった。そのことで,
「自分の活動が家族を喜ばせることに
繋がっている」という実感をともなった気付きを得ることができていた。
<資料2 実践を記録するカード>
生1-5
(2)中間報告会の設定
家庭での実践前半が終わったところで,自分自身の取り組みを振
り返らせた。<資料3>その際,自分の取り組みを同質のペアで
発表する交流の時間を設定し,カード<資料4>を交換すること
で,児童は友達からの賞賛に自信を高めたり,友達のがんばりに
刺激を受けたりした。その結果,「もっとこうしてみよう」など,
気付きの質を高め,取り組みへの意欲を高めることができた。
<資料4
<資料3
振り返りカード>
交換するアドバイスカード>
ひろげる段階(7/12~12/12)
【目標】
〇発表会を通して自分のよさに気付き,家族の思いを実感するとともに自分に自信を持って生活し
ようとすることができる。
【主な手立てと児童の反応】
○自分の成長やよさを実感する工夫
(1)発表会の設定
再度,家庭で実践をして活動を振り返った後,発表会
を 2 回行った。まず,相手に伝わるような表見物<資料
5><資料6>を作成させ,友だちや保護者の前で発表
する場を設定した。実践活動を通して家族の所属意識が
高まり,家族への感謝の気持ちも芽生えてきた児童もい
た。この発表会を通して,児童は保護者へ日頃の感謝の
気持ちを伝え, 家族の一員であるという気付きを高める
ことができた。
<資料5 児童が作成した表現物>
生1-6
<資料6
児童が作成した発表原稿>
(2)家族からの手紙
1 回目の発表会を受けて,友だちのがんばりやよさを伝えあう交流会を設定した。児童はカー
ドを交換することで,友達のがんばりやよさを改めて見つけることができた。また,今まで気付
かなかった自分自身の成長にも気付き,自信を高めることができた。
また,家族からの手紙を用意し,読ませた。手紙には「お手伝いをしてくれてとても助かっ
たよ。ありがとう。
」
「気持ちのこもったよい肩もみのおかげで疲れが取れたよ。嬉しかったです。
」
(一部抜粋)などが書かれており,児童は,家族への思いをさらに強くしていた。「これからも
家族のために何かしたい」という高まった思いを,決意表明という形で友だちの前で発表する場
を設定した。
<保護者からの手紙を読む児童たちの様子>
<決意表明をする児童たちの様子>
生1-7
<決意表明カード>
8.
成果と課題
(1)保護者からのお手紙
【成果】
〇学習の中で,保護者からの手紙を読む活動を位置づけることで,家族の思いや,自分では気付か
なかったよさや成長に気付くことができたり,意欲や自信を高めたりすることができた。
【課題】
●子どもたちが,自分のよさをさらに感じることができるように,手紙を読む際に絶対に喋らない
などの約束を設けて静かに読む雰囲気をつくるなど,手紙の効果的な活用が必要だと感じた。
(2)にこにこカード,相談・対話タイム
【成果】
〇児童は,友だちの工夫やがんばりを進んで見つけてカードに記入していた。小さなカードで,1
枚につきひとつのよさを書くようにしたこともあり,2枚目,3枚目と,たくさん書いている児童
もいた。友だちからのカードをもらうことで,児童は自分の成長に改めて気付いていたため,有効
な手立てだと感じた。また,にこにこカードを書かせる際,ひとりで考えることが難しい児童に対
しては,教師が積極的に話しかけ,相談したり,近くの友だちと少し話し合ったりする「相談・対
話タイム」を取り入れることで,児童の活動への意欲や思いが高まっていた。
【課題】
●相談・対話タイムは,児童の考えや気付きをより理解し,価値付けたり,引き出したりするには
とても有効に感じた。しかし単元全体を通して,児童の思考の流れをしっかりとイメージできてい
なかったことで,児童の思いを引き出すというよりも,誘導的になってしまったところが大きかっ
た。相談・対話タイムは,ねらいをしっかり持ち,計画的・効果的な活用を考える必要があった。
●交流を行う際のグループ編成や,交流の視点を計画段階で細かく考える必要があった。相談・対
話タイムの設定場面や,交流活動の種類・方法などをさらに整理したい。
生1-8
平成26年度
授業者
深町
実施日
平成26年
単元名
生活科授業協議会記録
亜希奈(福岡市立大原小学校)
「みんなの
11月19日(水)5校時
にこにこ
だいさくせん」
1.授業者自評
○
手立て1
「交流活動を位置付けた学習過程について」
にこにこカードを使っての決意表明はよくできていたが,保護者からの手紙を読んだ後の
決意表明の流れが難しかった。どのように学習過程を組めば,子どもの気づきの質が高まっ
たのか検討が必要である。
○
手立て2
「相談タイムの設定について」
生活科学習を2単元同時に進めていたため,にこにこ大作戦の継続が難しく,子どもの意
識が高まりにくかった。子どもたち一人一人の家での実践を聞く相談タイムを設ける時間が
十分ではなかった。
2.質疑
○
ありがとう発表会の様子について
親が7名参加し,「自立・団らんコース」の子は作戦で頑張ったことを発表し,「お手伝い
コース」の子どもたちはありがとう発表会を行った。その後子どもたちから,お家の人に
「ありがとうの気持ちを伝えたい」という声が自然に出てきた。
○
3段階の「気付き」の設定について
単元前は「親に何でもしてもらって当たり前」という意識を持つ子が多かったので,まず
自分に気付き,次に自信をつけていっている自分に気付き,最終的には家族が好きで,だか
らこそもっと家族の為に何かしてあげたいという気付きをさせたいと考えた。
3.協議
○ 手立て1
・
「交流活動を位置付けた学習過程について」
手紙を見た後で,意欲が高まった所で決意表明を書くと良かった。保護者からの手紙の
前に友達カードを交流したら良かった。
・ 「決意」
「宣言」という言葉は1年生には難しい。
・ 子どもたちが保護者からもらった手紙を何度も読み返している所が良かった。その後,
友達に励ましの言葉を書いて,友達と交流して全体に広げたら良かった。
・ 友達との交流したときににこにこカードを渡したら良かった。
・ 「今度は○○したい。
」という意見もあったので,自分の成長を感じるような板書があった
ら良かった。
・ 中間発表会で,自分でできるようになった。→「発表したい!」という思い→発表会の流
れが良かった。自分への気づき,友だちからの気づき、お家の方からの気づきと気づきの
質が高まる為に,ありがとう発表会でにこにこカードを書いて全体に広げたら良かった。
・
①お家の方からのコツを聞いて自信をつける中で,初めてできる喜び
ごいね」と褒められる自己の成長の喜び
②友達から「す
③お家の人からの手紙を読み,自分の良さに気
付くという気づきの質の高まりがあると良かった。
4.指導助言
吉村
○
明先生より
教師の応答について
保護者からの手紙を読んだ後の,教師の「どういう気持ちでした?」の問いに対し,子ど
も達は「温かい気持ち」と答えていたので,それをひろっても良かった。発表した一人一人
の子どもにコメントし,価値付けていた所が良かった。
○
にこにこカードについて
にこにこカードでは「隣の子のカードを書く」という意識付けや絵に描く要素を絞る
ことが必要である。
峯田
○
明子校長先生より
掲示物について
「にこにこ大作戦」のミッションを子どもたちが感じられる掲示物が教室内に欲しかっ
た。にこちゃんマークも大きなにこちゃんマークにして,見える化にするなどの手立てが必
要。
○
本時の学習の流れについて
発表会よりも,その前に自分との交流会にしたい。そのため,今日の時間では,にこにこ
カードは要らなかったと思う。友達からの他者評価は,前の時間に終わっておいて,本時は
お家の方からの手紙のみでよかった。しかも,セレモニー的に行い,大事にされているとい
う瞬間を子どもたち一人一人に感じさせたい。手紙を読み終えた子どもたちへの教師の問い
かけも,
「どんなふうに思った?」
「どこが嬉しかった?」など中味じゃなく、気持ちに触れ
る。そして,「嬉しい手紙をもらって,どうする?」と聞くと自然とお返事書くという流れに
なる。
第1学年生活科学習指導案
1
単元名
「きせつとあそぼう! ~あきといっしょ~」
こんな子どもに
○
秋の自然に進んで触れ合い,自然物を利用した秋の遊びを楽しむことができる。
【関心・意欲・態度】
○ 身近な自然を観察し見つけたことを表現したり,自然物を利用した遊びを考え工夫したりする
ことができる。
【思考・表現】
○ 季節の変化に気付いたり,自然を利用して遊ぶ楽しさや,自分や友達のよさに気付いたりする
ことができる。
【気付き】
こんな教材で
本単元は,内容(5)季節の変化
と生活や(6)自然や物を使った遊
びを受けて,身近な自然に目を向け
興味関心をもって観察したり,身近
にある自然を利用して遊び自体や遊
びに使う物を工夫して作ったりする
活動を行う。その中で,季節の変化
や遊びの面白さ,自然の不思議さに
気付くとともに,みんなで遊びを楽
しむことができるようにすることを
ねらっている。
この単元では,身近な自然を観察
することで,諸感覚を使って繰り返
し自然と触れ合ったり,自分の思い
や願いをもって進んで自然に関わっ
たりするなど,自然の素晴らしさを
十分に味合うことができる単元であ
る。
また,身近な自然を利用した遊び
や遊びに使う物を工夫する中でその
面白さや自然の不思議さに気付いた
り,友達との関わりの中で約束やル
ールの大切さ,それを守って遊ぶこ
との楽しさに気付いたりしていくこ
とができる単元である。
身近な自然に関わっていく過程で,
地域の自然を守っている人や友達,
家の人などに関わることができ,自
分の見付けたことや楽しかったこと
を伝え合っていくことができる内容
(8)をも含む展開ができる単元で
もある。
こんな支援で
ひ
ろ
げ
る
ふ
か
め
る
つ
か
む
○秋の絵本作り
活動を振り返り,工夫したことや楽
しかったことうれしかったこと,分
かったことを家の人に伝える活動を
行う。
○1年生みんなでの遊び
他の学級の友達と互いの工夫や遊び
を紹介し合うことで,季節の変化や
秋の遊びの楽しさを実感させる。
○あきの遊びランド
互いの遊びを紹介し合って遊ぶ活動
を取り入れる。
すごいねカードをシールを活用し,
互いのよさを認め合う活動を行う。
○同じ遊びを考えたグループを生かし
た活動作り
製作から試しの遊び,遊びの工夫な
どの活動をグループ毎にできるよう
な場を構成する。
アイデアカードなどを活用し,互い
の気付きを伝え合い交流する。
○共通体験
秋のお散歩探検を行い,秋の自然物
を収集したり,その場で試しの遊び
を行ったりする中で,一人一人が気
付いたことや分かったことなどを伝
え合い交流する。
○環境作り
春や夏の様子や遊びの写真やカード
を掲示する。
こんな子どもだから
○
春や夏には,自然の様子を観察したり,草花遊びや砂遊び水遊びなどの季節の遊びなどをして,
各々の季節を楽しんできた。虫の声や草花の様子,気温の変化に季節の変化を感じる子ども達も
見られ,通学路の様子にも関心をもっている子ども達も多い。
【関心・意欲・態度】
○ 見つけたことや考えたことを絵や言葉で表現することはできるようになってきたが,身近な自
然を利用して遊びを工夫して作り上げる経験は少ない。
【思考・表現】
○ 春や夏,各々の季節の様子に気付いたり,遊びの面白さを季節の変化に気付いたりすることが
できるようになってきたものの,秋の自然を使った遊びの面白さや,友達と一緒に遊びを工夫す
る楽しさ,自然の不思議さにまでは,気付いていない。
【気付き】
生3 - 1
2
学習活動計画(全11時間)
段階 配時
学習活動と内容
目指す子どもの姿
支援の方法
○通学路の様子など日常
○秋の遊びへの興味
と関連させる。
・関心を高めてい ○探検において観察と共
る。
に試しの遊びなど行っ
【関・意・態】 ている子ども達の様子
② (1)秋のお散歩探検に行く。
を撮影しておく。
か
○一人一人が気付きを賞
① (2)秋のお散歩探検でわかったことや気付
賛できるように,見つ
いたことを話し合う。
けた秋の紹介をする前
・草花
・木の葉
・空気
に,相談タイムを設け
・雲
・生き物
る。
交流1
む
○お散歩探検で分かった
学習のめあて
ことを伝え合う際は,
/
あきのあそびをしよう。
以前の写真やカードを
手がかりに春や夏の様
○自分の遊びを決め
子と比較することがで
1 2 秋の遊びの計画を立てる。
計画表をかく。
きるようにする。
【思・表】○計画書を書き,似た遊
びを作るグループで考
(1)遊びを考える。
えを伝え合う場を設け
ふ
る。
(2)必要な材料・道具を考える。
○製作に当たっては,互
・木の実
・はっぱ
・きのえだ
いに情報を交換できる
ように,遊びの種類毎
に分けたグループ活動
3 3 遊びに必要な物を作ったり準備をした
を取り入れる。
か
りして遊ぶ。
○工夫への視点がもてる
○必要な材料を集め
ように試しの遊びを十
進んで遊びを作っ
分に体験する時間を確
① (1)遊びに必要な物を作り遊ぶ。
ている。
保する。
・マラカス
・どんぐりごま ・けんだま
【関・意・態】○比較しやすいように,
め
・アクセサリー ・まとあて ・おめん
材料・発見場所・遊び
方・楽しいところと視
点を揃える。
① (2)工夫を紹介し合って遊びを見直す。
○工夫しながら遊び ○工夫に必要な材料を準
・遊び方 ・材料 ・数
・大きさ
を考えている。
備できるように,児童
【思・表】 が集めた自然物と場所
交流2
る
の地図を掲示してお
① (3)遊びに必要な物を作り直して遊ぶ。
く。
○友だちのあそびの ○試しの遊びの交流前に
のよいところに気
一人一人の工夫を賞賛
2 4 秋の遊び紹介をする。
付いている。
する場として,相談タ
【気付き】 イムを設ける。
○友達のよさに気付くこ
① (1)秋の遊びじまんカードを書く。
とができるように,グ
ループ中で工夫したこ
/
・名前 ・工夫したところ ・素敵なところ
とや気付いたことをじ
まんカードに書き,伝
① (2)互いの遊びを紹介し遊ぶ。
○友達に自分の遊び
え合う活動を取り入れ
交流3
の工夫や楽しいと
る。
ひ
ころを紹介してい ○楽しさを共感できるよ
1 5 あきの遊びランドに 他の学級を招待
る。
うに,互いに考えた遊
する。
【思・表】 びで遊ぶ体験を取り入
れる。
ろ
○他の学級の友達に,自
① (1)自分の遊びを紹介する。
分の遊びの工夫や遊び
交流3
方を説明しながら案内
(2)秋の遊びランドで一緒に遊ぶ。
する活動を行う。
げ
○自分自身の成長や遊び
○あきのあそびをし
の楽しさや自然の変化
1 6 学習を振り返る。
て楽しかったこと
を振り返ることができ
や分かったことを
るように,家の人に自
る
・できるようになったこと
振り返っている。
分の発見や工夫を伝え
・楽しかったこと
【気付き】 る活動を取り入れる。
つ 3
1
「あきのおさんぽたんけん」を行い,
学習のめあてをつかむ。
生3 - 2
3
本単元の仮説
子ども達が見つけた秋の自然の素敵なところや楽しいところを伝え合い交流する活動や子ども
の気付きを価値付ける教師の支援を行えば,子ども達一人一人が秋の自然の美しさや自然を生か
した遊びの楽しさや自分や友達の工夫やよさに気付くことができるであろう。
手立て1 各過程に位置付けた伝え合う活動の工夫
3段階の学習過程の中に,伝え合い交流する活動を位置付ける。
つかむ過程では,通学路の様子や公園探検などで見つけた秋の素敵なところを伝え合う活動を行う。
自分が見つけたものを互いに伝え合うことで,秋の自然やそれを使って遊ぶことへの関心を高めるこ
とができるであろう。
ふかめる過程では,自分の考えた秋の遊びを,同じ遊びを考えた友達と一緒に遊び,互いに工夫を
伝え合う。工夫を認め合ったことで,共に遊ぶことへの関心を高め遊び方を考えたり,おもちゃを更
に工夫したりすることができるであろう。
ひろげる過程では,他のおもちゃを作った友達と互いの工夫を伝え合い遊ぶ活動を行う。自分と違
う物に触れることで,更に秋の楽しさに気付いたり,自分や友達のよさを実感したるすることができ
るであろう。また,対象は学級から学年の児童へと広げていく。
手立て2 子どもの気付きを価値付ける教師の支援
伝え合い交流する活動において,一人一人が,自分の考えをもって,活動を進めていけるように,
教師との対話タイムを位置付けたり,板書やカードを工夫したりすることで,子ども自身が自分の気
付きの価値を自覚することができるであろう。
4
指導の実際と考察
○
手立て1の実際と考察
つかむ過程においては,日常の変化に気付けるように,通学路の秋探しを行った。また,秋になっ
たことでの変化に気付くことができるように,共通体験として,春に行った公園に探検に出かけた。
その際,探検前には,春や夏の様子を想起できるように,生活科ファイルや,生活科暦,写真やビデ
オ等を活用した。視覚的に想起したことで,秋の変化に気付くことができた。共通体験を取り入れた
ことで,どの子も自分なりに秋の変化を見つけることができていた。それらの気付きを伝え合い交流
する,見つけた秋カード<資料1>をどの子も使って発表したが,更に,集めた実物等を使って発表す
る子ども達もおり,発見の喜びがうかがえた。交流場面において,子ども達が見つけた秋の様々なも
のを,食べ物・草花・虫・空気・はっぱ・木の実・遊びという視点で分類し,子ども達の気付きを価
値付けていった。友達の発表を聞く中で,自分の気付きと同じものに共感したり,違うものに,驚い
たりと,子ども達は秋の自然への関心を高めた。友達が見つけた秋の素敵なところを聞いて,自分も
素敵だなと思ったら,素敵だねシールを渡し合った。認め合ったことで,満足感ももつことができた。
最後に,遊びを取り上げ,<資料2>試しに遊んだことで,遊びへの興味も高まり,秋の遊びへと学習
のめあてが決まった。
真ん中の大きなドングリに
あてたら、かちだよ。うま
くあたるかな。ビー玉おと
しみたいだね。
<資料1
交流カード>
<資料2
あんなに高いところに、
まつぼっくりがなってる
よ。みんな見て。あそこ
から落ちたんだ。
探検での様子>
ふかめる過程においては,同じおもちゃを作る子ども達同士,グループにして,学習を進めた。
計画カードを書く際には,一人一人が書いた後,互いに伝え合うことで,必要な物を書き加えたり,
設計図のヒントにしたりと,活動を見直すことができた。また,製作中に,友達の活動を見ることで
材料や作り方に工夫を加える姿も見られた。伝え合う活動場面では,おもちゃカード<資料3>やおも
ちゃを見せながら,自分が工夫したところを伝え合った後,試しの遊びを行った。友達のおもちゃを
使って遊んだり,自分ので遊んだりする中で,こまやけんだまやつり・迷路の遊びでは,時間や数を
競争したり,お面やアクセサリーでは,互いに誉め合ったり笑わせ合ったりする姿が見られ,遊び方
のルールや得点などが決まっていった。<資料4>
生3 - 3
あと、4分だよ。
おばけのおめんをつけた
ら、驚かせると楽しくな
るよ。お面をして、驚か
せることにしたら、いい
とおもうよ。
おもちゃの
写真
もう、30回もできてるよ。まだ、
1分なのに・・・・もっと、短い時
間でなんかいできるかにしたらいい
かも。何秒くらいにするか、みんな
で、きめよう。剣玉チャンピョンも
決めたら、楽しいね。
<資料3
交流カード>
<資料4
試しの遊びの様子>
ひろげる過程では,自分のおもちゃを紹介し,その後に,遊ぶ活動を取り入れた。遊んだ後は,お
もちゃの工夫のすごいところをカード<資料5>に書いて伝え合った。クラス毎に遊びが異なっていた
り,同じおもちゃでも遊び方が異なっていたりしたので,関わる対象を広げたことで,子ども達は更
に秋の遊びの楽しさを実感することとなった。<資料6>
<資料5
すごいねカード>
<資料6
振り返りの感想>
○
手立て2の実際と考察
子ども一人一人が自分の気付きを自覚できるように,教師との相談タイムをつかむ過程の交流活動
前と,ふかめる過程での同じおもちゃのグループでの試しの活動の前に行った。対話によって,子ど
も達の気付きを賞賛したことで,自信をもって紹介する姿が見られた。つかむ過程では,その気付き
を分類し位置付けた <資料7>ことで,秋への関心を更に高めることができた。 <資料8> ふかめる過
程では,一人一人が考えをもっていたことで,更に楽しい遊び方をと考える姿がみられた。<資料4>
びの写真
5
板書による分類>
探検時の遊
分類の視点
<資料7
<資料8
見つけた素敵カード>
成果と課題
○ 各段階に,交流活動を位置付け,ねらいによって対象を変えて交流していったことで,秋の自
然の美しさそれを生かして遊ぶことの楽しさに気付くことができた。
○ 教師と子どもの対話を生かして,気付きの自覚化を図ったことは,一人一人の気付きを理解す
る上で有効であった。
● 校内の先生や他学年・地域の人を生かした交流の在り方を探っていきたい。
● 単元を通して,一人一人の思いを賞賛把握できるような相談タイムの在り方を探っていきたい。
生3 - 4
第1学年生活科学習指導案
1
単元名 「なかよしいっぱい大さくせん」 ~
もっと,もっと
学校探検 ~
こんな子どもに
○6年生に関心をもち,積極的に関わりをもとうとしている。
【関心・意欲・態度】
○見たり体験したりしたことを言葉や絵で素直に表現することができる。
【思考・表現】
○6年生の委員会活動の様子などを知り,上級生としてみんなが楽しく,気持ちよく生活できるよ
うに役割を担っていることに気付き,自分自身の生活に生かそうとすることができる。【気付き】
こんな教材で
本単元は、内容(1)
「学校の施設
の様子及び先生など学校生活を支え
ている人々や友達のことが分かり,
楽しく安心して遊びや生活ができ
る。
」を発展させたものである。学校
の中で,特にお世話になっている人
(6年生)に関心をもち,6年生の
よさに気づき,進んで関わることを
目指している。1年生の児童にとっ
て6年生は,優しいお兄さん,お姉
さんであり,愛着もあり,とても身
近に感じている児童が多い。しかし,
普段の学校生活の中で,6年生がど
んな活動をしているのか触れる機会
は少ない。
そこでまず,6年生について知っ
ていることや知らないことを出し合
い学校の先生だけでなく,6年生の
存在に目を向けさせる。
次に,委員会活動に取り組んでい
る6年生の様子を見学したり,体験
したりして,どんな仕事をしている
かの視点で6年生をもっと知る機会
になると考える。
最後に,6年生のよさが伝わるた
めに「ぼく,わたしのお兄さん,お
姉さんのじまん」と称して委員会活
動でのそれぞれの6年生の役割や頑
張り,よさをみんなに広げていく。
そうすることで、学校生活を支え
ているのは先生だけでなく,6年生
も役割を担っていることに気づくと
考え,本単元を設定した。
こんな支援で
○ ぼく,わたしの6年生じまん発表会
ひ
ろ
げ
る
ふ
か
め
る
つ
か
む
こんな子どもだから
発表会は,二人組(ペア)の違う活
動グループで行い,その後全体,保護
者へと広げていく。また自慢カードを
使って,自分が見つけた6年生のじま
んを発表する。
そして,6年生からの手紙を通して
自分の活動をふり返り,6年生のよさ
や自分の頑張りに気付き,これからの
自分について考えられるようにする。
○ 委員会活動調べ・グループの交流
はじめに,6年生の委員会活動の様
子を見学させ「どんな仕事をしている
か」と,6年生の役割に目を向けさせ
る。
さらに,委員会活動の仕事を実際に
体験することで,学校の一員として自
覚をもつようにする。
次に,同じ活動グループの交流活動
を行い,委員会活動の仕事で自分が見
たり,体験したりしたことを交流す
る。そして,分かったことや上手くで
きたこと,○○すればいいことなど、
友だちとの関わりから,意欲が継続で
きるようにする。
○ ペアの6年生について
今までの行事をふり返り,お世話に
なっているのは身近な先生だけでな
く,写真を使ってさらに身近にいて,
愛着のある6年生に目を向けさせる。
6年生のことで知りたいことを出
し合い,活動の見通しと意欲を高める
ようにする。
○入学式で初めて6年生と出会い,緊張した中でいろいろなお世話を今までしてもらっている。
また,1学期は6年生と手をつないで歓迎遠足に行ったり,休み時間一緒に遊んだり,なかよ
し集会にペアで参加したりと,6年生と楽しく交流することができた。その中で「6年生と一
緒に遊んだよ。優しくしてもらったよ。
」と,うれしそうに話す姿が見られた。【関心・意欲・態度】
○これまでの学習で,見たことや聞いたこと,分かったことを簡単な絵や文で表すことができている。
【思考・表現】
○ペアの6年生の名前と顔は分かっても,6年生が学校の中でどんな役割をもって,どんな仕事
(委員会活動)をしているかなど,6年生について知らないことや気づいていないことがたく
さんある。
【気付き】
生2-1
2
段階
学習活動計画(全10時間)
配時
学習活動と内容
つ
1
か
む
1
1
目指す子どもの姿
支援の方法
○6年生について考え ○入学してから今まで
関心を高めている。
のことを想起させ,
1.お世話になっている6年生について考える
【関・意・態】
学校の先生だけでな
く,6年生にもお世
6年生について,知っていることや知りたい
○6年生のことでたくさ
話になっていること
ことを発表しよう。
ん知らないことがある
など6年生に目を向
○ ペアの6年生のことを考える。
ことに気づいている。
けさせる。
【気付き】
2.6年生を調べる計画をたてる。
○実際に6年生のとこ
○ 6年生のところにインタビューに行く。
ろに行き知りたいこ
興味があること(得意なこと・好きなこと) ○インタビューして分かった
ことをみんなに教えている。
とを尋ねる。
(1)分かったことをみんなで交流する。
交流1
/
2
ふ
3.ペアの6年生の仕事(委員会活動)を調べる。 ○見学の約束を守り,ペ ○委員会活動に着目さ
アの6年生とすすん
せ「どんな仕事をし
※(休み時間)
で関わろうとしてい
ているのか」の視点
ぼく,わたしのお兄さん,お姉さんの
る。
から6年生を調べる
仕事を調べよう。
(6年生のところにいって Q 作戦)
【関・意・態】
ことを伝える。
①委員会活動の様子を見学する。
○自分が見て,体験
②弟子入り(見習い)活動をする。
①
(1)同じ活動グループでの交流活動
①
(2)調べたことを整理する。
2
4.発表会の準備をする。
か
め
①
①
2
る
/
①
①
ひ
1
○ペアの6年生のじ ○自分の気付きが,友
まんをメモをもと
だちにしっかり伝え
に発表原稿にまと
られるような発表原
(1)発表原稿(自慢カード)に言葉や絵でまとめる。
めようとしてい
稿を用意する。
る。
(2)発表の練習をする。
【思・表】 ○一人一人の気付きを
修正・価値付けする
5.ぼく,わたしのお兄さん,お姉さんの
ため交流前に相談タ
じまん発表会をする。
交流2
○友だちの発表を聞いて
イムを設ける。
それぞれの6年生のす
ぼく,わたしのお兄さん,お姉さんを
ごさに気づき,「わたし ○交流の仕方を伝える。
じまんしよう。
もやってみたい。できる
(1)二人組で交流する。
ようになりたい。」など ○二人組の違う活動グ
ループで発表させ
(2)クラス全体・保護者に向けて発表する。 の思いをもったりして
いる。
る。
【気付き】 ○互いのよさ,頑張りを認め
6.今までの活動をふり返る。
るように働きかける。
ろ
げ
学校みんなのために,これから自分ができる
ことを考えよう。
①
して,分かったこ ○見学したり,体験したり
とを言葉や絵で表
して,気づいたことや思
現している。
ったことなど何でもプリ
【思・表】
ントにメモさせる。
☆
6年生からの手紙を読み,これからの学校
生活で,自分ができることを考える。
(1)二人組で交流する。
交流3
る
生2-2
○これからの自分自身
の生活を見つめ,学校み
んなのために自分がで ○発表会や6年生から
きることを考えている。 の手紙を通して,これ
【気付き】
からの自分について考え
られるようにする。
3
本単元仮説
委員会活動見学や見習い活動を通して,ペアの6年生との関わりをくり返し深め,ふり返らせる単元構成の工夫を
すれば,6年生のすごさ・よさという対象への気付きや6年生からの価値付けから,「ぼくもやってみたい」「もっと
頑張りたい」というような自分自身への気付きを高めることができる子どもを育成することができるであろう。
手立て1 ふり返り活動・交流活動をくり返し位置づけた学習過程
(1)6年生へのインタビューを通した交流活動
つかむ段階の学習過程において,入学から今までのことを想起させ写真をもとに6年生に目を向けさ
せる。その中で,自分たちが知っていることがあまりないことに気付かせ,6年生について知りたいこ
とを考える。次時,実際に6年生の教室に行きペアの6年生にインタビューをする。
<資料1>
そして,インタビューしたことをみんなに伝え活動をふり返ることで,6年生のことをもっと知りた
いという思いや願いつながると考える。
(2)学校探検「6年生のところにいって Q」から、ぼく・わたしのお兄さん、お姉さんの自慢発表会
次に,ふかめる段階の学習過程において,6年生が学校の中でどんな仕事(役割)をしているかと投
げかけ委員会活動に着目させる。そこでペアの6年生の様子を調べる交流する活動を位置づける。調べ
る期間は一週間と限定して探検する。
(6年生のところにいって Q)
はじめの二日間は,分かったことを記録する活動が中心で,残りの二日間は見習い活動を中心に行う。
<資料2>
さらに探検した後は,ふり返る活動として発表原稿に言葉と絵でまとめていく。
(自慢カード)<資料3>
そして,まとめたことを声に出して発表の練習をする。その後,二人組の交流から学級全体・保護者
に向けてと発表を広げていく。そうすることで対象となる6年生の学校の中での役割やすごさに気付く
ことができると考える。
(3)6年生からのお手紙を通した交流活動
ひろげる段階の学習過程において,委員会見習い活動での1年生自身の頑張りをふり返らせ,価値づ
けるために6年生からの手紙を用意する。自分たちの自慢である6年生からの価値付けを受けることで
これからの自分を考える。そして,二人組の交流を通して,今度は友だちからの「いいね。」
「頑張って
ね」と価値付けを図ることで,自分自身の気付きを高めることにつながると考える。
<資料4>
<資料1>
<資料2>
<資料3>
<資料4>
手立て2 気付きを価値づける教師と子どもの対話タイムの設定
つかむ段階の学習過程においては,6年生へのインタビューから探検カードのメモにコメントを入れ,
必要に応じてアドバイスを行い,発表につなげていく。
ふかめる段階の学習過程においては,探検カードの中から「これはどんなお仕事の様子かな?」と子
どもの気付き(絵)に対して教師が尋ね聞き取る時間を設定する。そして,一人一人の気付きを認め価
値付けを行う。
<資料5>
ひろげる段階の学習過程においては,これからの自分について書いたカードにコメントを添えて教室
内に掲示することで,自分たちの身近なところから学校の一員としての自覚を高めることにつながると
考える。<資料6>
何回も一輪車を鉄棒のところまで運
んであげてすごいと思ったよ。
<資料5>
<資料6>
生2-3
身近な生活場面や自分たちの係活動な
どから考えている。
4 指導の実際と考察
○ 手立て1の実際と考察
(1)6年生へのインタビュー活動
自分たちが知りたい,聞きたいという思いや願いがあるため意欲的にインタビューに臨んでいた。
また,インタビューしてわかったことを,どの子もうれしそうに探検カードに記録して6年生も優
しく教える姿が多く見られ,交流活動を楽しくスタートさせることができた。
(2)ぼく・わたしのお兄さん,お姉さんの自慢発表会
委員会活動見学や見習い活動で,6年生がどんな仕事をしていたかなど気付いたことや分かったこ
とを二人組で交流した。
「わたしの,ぼくの自慢の6年生は○○です。」
「○○さんは,□□ができてすごいよ。」
「△△さんの
ように~できたらいいな。
」と発表の型を決めて行った。そうすることで,どの子もペアの6年生の
すごさや自分の思いを自身をもって表現することができた。
(3)6年生からのお手紙を通した交流活動
6年生からの手紙は,どの子もうれしそうな表情を見せていた。手紙の内容については事前に6年
生にお願いしていた。そうすることで,自分たちの頑張りを6年生が認めてくれたという価値付けに
つながった。また,手紙の文面から学校の中で自分ができることを考える基となり,自分自身への気
付きへとつなげることができた。
☆ 最後に,探検したことをふり返る時間を設定して,「はじめは、・・・」「今では・・・」という
ようにカードに書かせ,交流後の自分を見つめることができた。
○ 手立て2の実際と考察
(1)6年生のインタビューメモから「○○が好きなんだね」「○○が得意なんだね」とコメントを入
れたり,
「どうして○○が好きなのかな?」
「他にも得意なことはないかな?」と投げかけたりする
ことで,自分から6年生に聞きに行く姿も見られた。
(2)6年生のとこにいって Q では,子どもの気付き(探検カード)を毎日見取った。気付きがつかめ
ていない子には教師の方から「こんな仕事してなかった?」「このときどんな気持ちになった?」
などを問いかけて気付きを言語化していった。そして,言葉にしたことを「そうなんだね」「そう
思ったんだね」と価値づけて発表へとつなげることができた。
(3)手紙による素敵な6年生からの価値付けから,これからの自分を見つめることができた。また友
だちからの価値付けを受けてどの子もうれしそうな表情を見せていた。
5 成果と課題
○ 関わる対象を大好きな6年生に設定し,くり返しの活動を位置づけたことはよかった。はじめの6
年生に直接インタビューをする交流から委員会活動見学・見習い活動の交流,そして、手紙を通し
ての交流と,互いの関係がさらに深まったように感じる。
「6年生と一緒に○○の仕事をしたよ」と
うれしそうに話しかける姿からも6年生という対象への気付きが高まったと考える。
○ 6年生からの手紙は,とても効果的だった。大好きな6年生,そしてすごい6年生から自分の頑張
りをほめて価値付けされたこと、そして,手紙を何度も読み返す姿からもこれからの自分自身とい
う気付きの高まりにつながったと感じる。
● ひろげる段階の二人組の交流では,じぶんがこれからできること,頑張ることをただ伝え合うだけ
の交流になってしまった。ここでは,相手から「どうしてそう思ったの?」などの問い返しがあれ
ばもっと高まりがあったのではないかと思う。
● すべての段階において児童と直接対話する「対話タイム」の位置づけができなかった。時間の調節
や確保が難しいと感じた。
生2-4
第1学年 生活科学習指導案
1.単元名
「みんなの にこにこ
だいさくさん」
こんな子どもに
○
家庭生活を支えている家族のことや,自分ができることなどについて関心を持ち,自分の役割を積極的に
果たそうとすることができる。
○
【関心・意欲・態度】
家庭生活やそれを支えている家族のこと,自分ができるようになったことなどについて,自分なりに考えた
り工夫したり振り返ったりして,表現することができる。
【思考・表現】
○ 家庭生活を支えている家族のことが分かり,自分ががんばったり,自分でできたりすることが家族の「にこに
こ」に関係することに気づくことができる。
【気付き】
こんな教材で
こんな支援で
本単元は学習指導要領の内容(2)「家庭
○成長に気付く振り返り
生活を支えている家族のことや自分ででき
今までの学習カードを見直したり,家
ることなどについて考え,自分の役割を積極
族からの手紙を読んだりして,今後の家
ひ
ろ
げ
る
的に果たすとともに規則正しく健康に気を
つけて生活することができるようにする」を
関連させたものである。家庭生活を見直し,
家庭生活を支えている家族のことが分かり,
家庭における自分の役割を考え,自分ができ
ることを積極的に行うことを目指している。
ふ
か
め
る
まず,自分や家族のにこにこしているとき
を調べたり,話し合ったりする活動を通して
家族のよさなどに目を向けさせる。次に,家
族のにこにこを増やすために自分ができる
ことを考え,家庭で実践する。そこでは,お
庭生活での自分のことを考え手紙に書か
せる。
○にこにこ作戦報告会
自分の活動を振り返り,自分や友だち
のよさに気付くことができるように発表
会を行う。
○中間報告会での見直し
活動の見直しの時間を設定し,友達の
工夫やよさを取り入れ,意欲的に継続で
きるよう励ます。
○できそうなことを考えた計画
手伝いだけにとどまらず,自分のことが一人
「家族のにこにこを増やすために」とい
でできるようになることや,家族が喜ぶこと
う目的意識をはっきりさせ,視点を与え
つ
か
む
なども視野に入れたい。
そうすることで、家族のよさに気付くとと
もに,規則正しい生活・自立への基礎を培う
ことにつながると考え,本単元を設定した。
て,にこにこ作戦の計画を立てさせる。
○家族のにこにこ調べ
自分がにこにこする時について考えた
後,身近な家族に目を向け,好きな家族が
にこにこな笑顔になるときを調べさせる。
こんな子どもだから
○
家庭環境は様々だが,家族と出かけたり,一緒に過ごしたりしたことについて嬉しそうに話している。学校
での給食当番や係の仕事を進んで行っている。
【関心・意欲・態度】
○
自分のしたことや思ったことを,簡単な絵や文で表すことができる。
○
家族にしてもらっていることを当たり前のことと捉え,家庭生活において,自分にできることを見つけてし
てみようと気付いて取り組むには至っていない。
生 4-1
【思考・表現】
【気付き】
2.学習活動計画(全10時間+家庭)
段階
配時
つ
2
1. にこにこするのは どんなとき
か
①
(1)自分がにこにこするときについて考
む
学習活動と内容
目指す子どもの姿
える。
・家族や友達といるとき
○自分や家族について考
え,関心を高めている。
【関・意・態】
・ぼくができるようになったとき
①
(2) 家族がにこにこするときを調べ,わか
ったことや思ったことを話し合う。
交流1
ふ
4
2. わたしのにこにこだいさくせん
①
(1)家族のために,自分ができそうなこと
か
を考え「にこにこ作戦」の計画を立て話
め
し合う。
る
・じぶんでできるもんコース(自立)
○調べたことをもとに,
自分にできそうな作戦
を考え,書く。
【思・表】
・おてつだいもりもりコース
(お手伝い)
・ほんわかあったかコース
(団欒)
◆
②
家で実践する。 「にこにこ作戦①」 ○進んで活動に取り組ん
でいる。
【関・意・態】
(2) 「にこにこ作戦」の中間報告会を行
○活動を振り返り,工夫
う。
交流2
しながら作戦を考えて
いる。
【思・表】
・活動を自己評価する。
・カードを渡し友達と伝え合う。
・今後の自分の活動を見直す。
◆ 家で実践する。 「にこにこ作戦②」
①
(3)自分の活動を振り返る。
ひ
3
3.みんなの にこにこだいさくせん
ろ
②
(1)発表の準備をする。
げ
①
(2)にこにこ作戦発表会をする。
る
交流3
○友だちの活動のよいと
ころに気付いている。
【気付き】
○自分の活動を言葉や絵
で表現できる。
【思・表】
・カードを渡し,友達と伝え合う。
1
4.もっと にこにこだいさくせん
①
(1)今までの活動を振り返る。
(2)保護者からのメッセージを読み,今後
の自分について考え,家族からの手紙に
返事を書く。
生 4-2
○にこにこ大作戦をし
て,楽しかったことや
分かったことを振り返
っている。 【気付き】
○自分自身の成長や家族
の一員であることに気
づくことができてい
る。
【気付き】
支援の方法
○自立の楽しさを味わえ
るように給食時間,おに
ぎり作りの共通体験を
取り入れる。
○事前に,保護者に家庭で
の実践についてお願い
する。
○家族のにこにこしてい
るときを伝え合う際は
自立・お手伝い・団欒の
3つに分けて板書し,比
較することができるよ
うにする。
○子ども達から「自分の力
でもっと家族のにこに
こを増やしたい」という
意欲を高め,活動の目的
を意識させる。
○活動への見通しがもて
ように,家での実践時は
朝の会で活動を伝える
場を設ける。
○似た作戦をするグルー
プごとに掲示しておく。
○家での実践を,一人一人
に聞く相談タイムを設
ける。
○工夫への視点がもてる
ように,作戦の種類・量・
活動の時間帯や仕方と
視点を与える。
○似た作戦を行ったグル
ープで考えを伝え合う
場を設ける。
○友だちのよさに気付く
ことができるように,友
だちの活動のよい所を
ほめのカードに書かせ
る。
○自分の作戦を行って工
夫したことや気付いた
ことを発表の時に伝え
させる。
○自分の成長に気づかせ
るために違う作戦を行
った友だちにほめのカ
ードを書かせる。
○自分のよさや成長に気
づかせるため,保護者か
ら活動への励ましや感
謝のメッセージを用意
する。
○自分の成長や活動の楽
しさを振り返ることが
できるように,家の人に
自分の発見や工夫を取
り入れ手紙の返事を書
かせる。
3.本単元仮説
子ども達が家庭での実践を通して,
「自分が頑張って,お家の人が笑顔になってほしい」というような思いをも
って,家庭での実践を繰り返し深め,振り返ったり交流したりする単元構成の工夫をすれば,子ども達一人一人
が家族の一員として頑張ったりできるようになった自分や友達の工夫や良さに気付くことができるであろう。
手立て1 家庭での実践を振り返る活動・交流活動を繰り返し位置付けた学習過程,単元前後のアンケート比較
本単元では家庭での実践を元にした活動の為,児童それぞれが互いの活動の様子が見えにくい。そのため,実
践中には朝の会に活動を伝える場を設けたり, 作戦を始めて3日目の中間発表会で似たグループで考えを伝え合
う場を設けたりする。そうすることで,友達の実践にも目を向けることができ,思いを高めながら対象に働きか
けると考える。また単元前後のアンケートをとったり, 作戦終了後にはみんなの前で作戦発表会で交流する場を
もったりすることで,自分の成長に気付きやすくなると考える。
手立て2
子どもの気付きを価値付ける教師と子どもの相談タイムの設定
子ども達は家庭での実践に積極的に取り組むがその反面,自分ががんばったり,自分でできたりすることが家
族の「にこにこ」に関係するとに気づく子は少ないことが予想された。そこで,子ども達に活動を記録するカー
ドを毎日提出させ,教師が活動が停滞している児童には作戦が成功する方法を一緒に考えたり,上手く活動が進
んでいる子には具体的に褒めたりする。
4.指導の実際と考察
○
手立て1の実際と考察
毎日朝の会で家庭での実践を,教室内の掲示を振り返りながら
交流する場を設けた。<資料1> 子ども達は友達の活動の様子を
興味深く聞き,その後の家庭での実践の意欲付けとなった。
中間発表会では振り返りカード<資料2>を記入した後,似たグル
ープで考えを伝え合う場を設け,そこで子どもたちはなぜ失敗し
たのか,どうすれば上手にできるかを考え「もっとこうしたら
<資料1 子ども達の作戦の掲示>
上手にできると思う。
」など気付きの質の高まりが見られた。
作戦発表会では少しずつできるようになった事やがんばった事を
自信をもって発表し,友達から称賛され自分の成長や良さに目を
向けることができた。<資料4>単元前後のアンケート<資料3> や,
家族への手紙からは,
「自分の頑張りでお家の人を笑顔にさせること
ができた。
」と多くの子ども達が実感し,家族の一員として,自覚の
変容が見られた。
○
手立て2の実際と考察
<資料2 振り返りカード>
毎日の活動の実践を記録するカード<資料5>には,◎ ○
<資料3
アンケート>
△ ×で評価をさせ,
教師が一人一人のカードに目を通し,活動が滞っている児童には作戦を一緒に考え,
作戦の種類や活動の時間帯を変え,安心して対象に働きかけ続けることができた。
一方,作戦が上手く進んでいる子には,具体的に何が良いのか価値付けをした。自分
が気付きにくい頑張りを認められることで,その後の対象への働きかけの際,自分
ががんばったり,自分でできたりすることが家族の「にこにこ」に関係することに
<資料5 記録カード>
意識を向け,家族の一員として自己の気づきが高まった。
生 4-3
5.成果と課題
○
振り返りカードを書かせた上で,交流活動を位置付けたことにより子どもたちは自分の家庭での実践が失敗
したのか,どうすれば上手にできるかを考える良い機会となった。また,できるようになった事を発表する最
後の交流活動では全ての子どもが自信をもって発表する姿があり,友達から称賛され自分の成長に目を向ける
ことができた。また単元前後のアンケートを取り入れたことにより,単元前は「できなかったことが,できる
ようになった」
「自分の頑張りでお家の人を笑顔にさせることができた。」と視覚的に自覚の変容を多くの子ど
も達が実感することができた。
○
家庭での実践が主の活動になり,その場で声かけをすることができない為,相談タイムで毎朝,記録カー
ドを提出させた際に,教師が褒めたり価値づけたりする声かけは有効であったと考える。対象に繰り返し働
きつづけることができた。
●
中間発表会では,振り返りカードのみで交流した為,言葉だけではうまく友達に伝わりにくい場面があっ
た。家庭で実践の様子をお家の方に写真に撮って頂くなどして,視覚的なものがあると良かったのではない
かと考えられる。
●
相談タイムで,頑張りたい気持ちはあるものの頑張りが長続きしない子がいた為その子への教師の声かけ
を工夫する必要があった。
<資料4
作戦発表会の原稿>(左:表面 右:裏面)
生 4-4
第2学年生活科学習指導案
1
単元名
「まちをたんけん 大はっけん」小単元名「伝えよう!じまんがいっぱい わたしのまち」
こんな子どもに
○地域で生活したり働いたりしている人々や場所に関心をもち,親しみや愛着をもって,これからも地域
とかかわろうとする態度を育てることができる。
【関心・意欲・態度】
○地域で生活したり働いたりしている人々とかかわり,地域の人の思いや願いを自分なりの言葉で表現し
たり伝え合ったりして,理解することができる。
【思考・表現】
○探検マップづくりを通して,自分たちの生活が地域と深くかかわっていることに気付き,単元当初から
の学習を振り返ることで,成長した自分に気付くことができる。
こんな教材で
生活は地域で生活したり働いたりし
ている人々や様々な場所とかかわっ
ていることが分かり,それらに親し
みや愛着をもち,人々と適切に接す
ることや安全に生活することができ
るようにする」をねらいとしたもの
で,地域の人との出会いや交流を通
して,さらに地域に親しみや愛着が
もてるようになり,地域の人や地域
ともっとかかわっていきたいという
態度を培うことを目指している。
本校区は,三日月山,立花山など
豊かな自然に囲まれており,自然環
境を生かした行事もさかんな地域で
ある。地域のよさにふれ,人との出
会いを通して,地域の特色を理解し,
こんな支援で
ひろげる ふかめる つかむ
本単元は,内容(3)
「自分たちの
【気付き】
より地域をじまんに思えるような学
○年間の地域行事の掲示
これからも地域とかかわりたいという気
持ちを実践につなげられるようにする。
○館長さんを招いたじまん発表会
地域の方の思いや願いを共有できるよう
にキーワードを板書に整理していく。
○探検マップの整理
探検マップに載せる情報を整理すること
で,自分たちの生活が地域と深くかかわ
っていることや,地域の方の思いや願い
に気付くようにする。
○地域の方との出会い
自然,建物,伝統と調べてきた分野ごと
に地域の方を招き,交流する場をもつ。
○探検マップを使った報告会
地域に詳しい公民館長さんから地域の方
を紹介してもらい,学習につなげる。
○夏休みに新発見!わたしのまち報告会
習にしていきたい。
調べてきた中から,地域の人とつながり
があるものをとりあげ,紹介する。
こんな子どもだから
○1学期に校区探検を経験し,調べたことを探検マップにまとめている。夏休み中に,もっと知りたいこ
とを調べに保護者の方と一緒に探検し,さらに地域への関心が高まってきている。 【関心・意欲・態度】
6.単元構想
まちをたんけん 大はっけん
10時間
○これまでの学習を通して,地域の中で見つけたことを中心に自分の言葉で表現することはできている。
しかし,比べて聞いたり,質問したり,伝え合うことが苦手な児童もいる。
【思考・表現】
○地域にある建物や自然などの「もの」に対しては,目を向けるようになった。しかし,地域の「ひと」
や「こと」に関心をもって,自分の生活とのつながりにまで気付くことはできていない。
生5-1
【気付き】
2
段階
学習活動計画(全10時間)
配時
3
①
学習活動と内容
1
目指す子どもの姿
わたしのまち 新はっけん!
①
○調べてきた夏休みの課題
(1)夏休みに新発見した,わたしの
○地域で生活したり
の中から,地域の人とつな
まちの報告会をする。
働いたりしている人
がりがあるものをとりあ
や場所について関心
げ,紹介する。
をもっている。
○相談タイムを取り入れ,
【関・意・態】
地域の人は必ず探検マップ
つ
か
支援の方法
(2)新発見したことを探検マップに
付け加える。
に入れるようにする。
む
○自分たちの生活に地域の
①
(3)公民館長さんを招いて,探検マ
○自分たちの生活に
人が関わっていることに気
ップを使った報告会をする。
地域の人がかかわっ
付かせるために,館長さん
ていることに気付い
に身近な地域の人を紹介し
ている。
【気付き】
ていただく。
交流1
/
○じまんにつながる内容を
3
2
①
(1)身近な地域の人とのエピソード
○わたしのまちのじ
に,相談タイムを設ける。
を出し合い,地域の人に尋ねたいこと
まんについて,もっと
○事前に地域の方に,わた
を考える。
詳しく知りたいこと
しのまちのまちや子どもた
・グリーンガイドさん
などの質問を自分な
ちへの思いや願いも含めて
・郵便局局長さん
りに考えている。
話していただくようにお願
・元PTA会長さん
【思考・表現】
いしておく。
ふ
か
め
もっと知りたい!わたしのまち
地域の方に質問できるよう
○相談タイムの中で,探検
る
②
(2)地域の人に,わたしのまちのこ
○わたしのまちのじ
前には気付かなかった地域
とについて話を聞き,質問する。
まんを見つけようと
の人のこだわりや思い,願
している。【関・意・
いに気付いている児童を称
態】
賛し,マップに付け加える
交流2
/
4
3
ひ
ようにする。
じまんがいっぱい わたしのまち
②
ろ
げ
伝えよう!
①
る
○児童の感想の中に,地域
(1)地域の人から聞いたことを探検
○地域の人の思いや
を愛する気持ちやこれから
マップに付け加えて,交流する。
願いを自分なりの言
も地域にかかわっていこう
葉で表現したり伝え
とする気持ちが表れている
(2)公民館長さんを招いて,
「わた
合ったりしている。
ものをとりあげ,まとめに
しのまちじまん発表会」をする。
【思考・表現】
つなげる。
交流3
①
○以前と現在の自分を比較
○単元を振り返る中
させることで,自分たちが
(3)活動を振り返り,わたしのまち
で,成長した自分に気
友だちと共に成長してきた
に対する自分の思いをまとめる。
付いている。
【気付き】 ことに気付くようにする。
生5-2
3
本単元の仮説
生活科の地域単元「まちをはっけん 大はっけん」において,
「ひと」との出会いを取り入れた探検マ
ップの活用や,視点を与え,振り返らせ,価値付ける教師の支援を行えば,一人ひとりが自分たちの生
活が地域と深くかかわっていることや成長した自分に気付くことができるであろう。
手立て1 交流活動を生かした探検マップや児童主体の掲示物の活用
学習が体験だけで終わることなく,思考と表現の一体化ができるように,気付いたことや考えたことについて
根拠を持って書き表す活動を取り入れることが重要であると考えた。そこで,本単元では,交流の部分である「ひ
と」との出会いを通して,自分たちの生活とのつながりや地域の自慢につながるものを取り上げ,児童が主体と
なって作成した掲示物を授業の中で活用した。
手立て2 毎時間の振り返りや活動中の相談タイムの設定
児童の気付きは,教師があらかじめ授業づくりの段階で予想し,無自覚な気付きから自覚された気付きになる
ように意図を持って働きかける必要があると考えた。そこで,振り返りでは視点を与えて考えを書かせ,一人ひ
とり,ねらいをもった問い返しを行った。活動中には,本時のねらいにつながる児童の感想を取り上げ,さらに
追及したり,考えが持てない児童には,考えていることを教師が聞き出したりすることで,考えを整理し,子ど
もの言葉で思いや考えが書けるように支援した。
4
指導の実際と考察
○手立て1の実際と考察
<資料1>にあるように,1学期の校区探検後に気付いたことを書き表したカードに加え,夏休みや2学期の学
習で出会った地域の「ひと」と心に残った言葉を探検マップに盛り込んだことで,自分たちの生活に「ひと」が
かかわっていることが視覚的にも分かり,地域への思いや願いが強くなった。
地域の方から「地域のためにどんな仕事をしているか。
」
「地域のことをどう思って
いるのか。
」など話を聞いたことをもとにみんなに伝えたい自慢をグループで話し合い
<資料2>のプリントを参考に,児童が主体となって掲示物を作成した。<資料3>
自分たちが作った掲示物を使って,地域の自慢発表会を行った。
大事なことは,色画用紙で目立たせるなど工夫を凝らし,地域の人の思いや願いを
自分の言葉で表現する活動を多く取り入れたことで,さらに地域への愛着が深まった。
<資料1
「ひと」を取り入れた探検マップ>
GT
GT
<資料2
掲示物支援のプリント>
<資料3
GT
「ひと」との出会いから地域への思いがつまった児童主体の掲示物>
生5-3
○手立て2の実際と考察
地域の「ひと」との出会いから,
「地域にはこんな行事があるんだ。
」
「地域には自分たちを見守ってくれている人たちがいるんだ。」と学んで
いる。<資料4> 地域の方との交流前の授業の中で,
「なぜ地域のために
働いているのか」教師が児童に投げかけたことで,児童に課題意識が芽生え
えた。事前に,地域の方には地域の自慢につながるような質問をするように
に指導したが,先に述べた発問が地域の方の思いや願いを共有することに<資料4 学習後の子どもの地域の自慢>
つながるため,意図的に発した。毎時間の学習プリントの視点や活動中の
発問は,授業構想の段階でねらいをもとにどんな気付きや子どものつぶやき
を取り上げるか組み立てていたため,無自覚な気付きから自覚された気付き
となるように支援することができた。
<資料5>では,1年生の自分を振り返り,成長した自分に気付くことが
できている。
1年生のころは,地域の人に挨拶するのが苦手だった。
(挨拶されても
<資料5
返せなかった。
)でも,2年生になって地域の人はやさしいと思ったか
学習後の振り返り>
ら,大きな声で挨拶ができるようになった。
この児童の初発の振り返りは,「1年生のころは苦手だったけど,大きな声で挨拶できるようになった。」と
書いていた。そこで,
「どうして挨拶できるようになったのか。
」丁寧に問い返しをしていくことで,根拠を持っ
た考えを書くことができ,成長した自分に気付くことができた。
日頃から,机間指導で考えが持てない児童には,声をかけ,その子の言葉で一緒に文を作るなど支援を行い,
振り返りを書いた児童には,ねらいにつながることを追求して尋ね,気付きの質が高まるような声かけや支援を
心がけていった。本単元を通して,その児童とのやり取り(相談タイム)の積み重ねが,児童の気付きの質を高
める指導につながることが分かった。
5
成果と課題
○活動が体験だけで終わることなく,相談タイムの中で問い返しを行い,根拠を持って書き表す活動を通して,
気づきを質的に高めることができた。
○繰り返し交流活動を行い,考えたことや見つけたことを探検マップに付け加える活動を通して,思考と表現の
一体化ができていた。
○「ひと」を取り入れた探検マップを掲示していたことで,常に学習を振り返ることができ,自分たちの生活の
つながりに気付き,地域や地域の人への思いや願いが強くなった。<資料6>
○振り返りの時間に視点を与えたうえで,根拠を持って考えを書かせたり,児童主体の掲示物に取り組ませたり
したことで,実生活の中でも課題を持って追究することができるようになった。<資料7>
●今後も継続して「ひと」とかかわり,気付きの質を高め,実生活の中で「生活化」できるようにしていきたい。
<資料6
保護者のアンケート①>
<資料7
生5-4
保護者のアンケート②>
第2学年
1
単元名 「あそんで
生活科学習指導案
ためして くふうして~みんなで楽しむおもちゃランドのおもちゃを作ろう~」
こんな子どもに
◯ 身近にある物を使って遊びや遊びに使う物を工夫し,楽しく遊ぼうとしている。
【関心・意欲・態度】
◯ 身近にある物の特徴を生かしてできる楽しい遊びを考えたり,自分の思いをもって遊びに使う物
を工夫して作ったりすることができる。
【思考・表現】
◯ 身近にある物を使って遊ぶ面白さや自然の不思議さ,自分や友達が作った物の工夫やよさに気付
いている。
【気付き】
こんな教材で
ひろげる
ふかめる
つかむ
本単元は,内容(6)
「身近な自然を
利用したり,身近にある物を使ったり
などして,遊びや遊びに使う物を工夫
してつくり,その面白さや自然の不思
議さに気付き,みんなで遊びを楽しむ
ことができるようにする。
」を軸とした
ものである。子どもたちが,相手意識
を持ったおもちゃづくりの活動をする
ことで,より多様な考えを作り出すこ
とや,工夫することのよさに気付くよ
うにすることをねらいとしている。
そこでまず,1学期のミニミニなか
よしタイムで遊んだ赤坂幼稚園の友達
からの手紙をもとに,自分たちが幼稚
園の子どもたちに何ができるのかにつ
いて考えることで,友だちの存在に目
を向けさせる。
次に,身近な物を幼稚園の友達が楽
しめるおもちゃにするためにはどのよ
うにしたらよいのかを出し合い,計画
を立て,おもちゃづくりに取り組む。
最後に,おもちゃづくりや試し遊び
を通して考えたことや気付いたこと,
深まった思いなどについてポートフォ
リオを使いながら聴き合う。
そうすることで,自分のよさや可能
性に気付き,友達とのかかわりを深め
たり広げたりすることができると考え
る。
こんな支援で
◯ みんなで楽しむおもちゃランド
赤坂幼稚園の友だちを「おもちゃラン
ド」に招待し,作ったおもちゃで遊ん
でもらったり遊び方を教えたりするこ
とを通して,友達とのかかわり深めた
り広げたりすることができるようにす
る。
◯ 振り返り
これまでのおもちゃづくりを通して
おもちゃに対する思いや,工夫点,改
良点について聴き合い,自分と友達の
相違点や共通点に気付く。
◯ 中間交流での見直し
自分の立てた計画や,計画に沿って作
ったおもちゃの材料の使い方や遊び
方,ルール,おもちゃへの思いなどに
ついて交流し,身近にある物の特徴に
目を向け,そのよさや改良点に気付か
せる。また,広げる段階への意欲をさ
らに高めることができるようにする。
◯
幼稚園の友だちからの手紙
1学期のミニミニなかよしタイムで
遊んだ赤坂幼稚園の友達からの手紙を
もとに,自分たちは幼稚園の子どもた
ちに何ができるのかについて考える時
間を設定することで,相手意識をもっ
て学習問題を作ることができるように
する。
こんな子どもだから
◯ 身近な物の中から,自分が使いたい物を選び,音の出るおもちゃを作った。この学習を通して,
身近な物が「たたく・はじく・ふる・こする」などの方法で音の出るおもちゃの材料になることに
気付き,もっとおもちゃづくりをしてみたいという思いが育っている。
【関心・意欲・態度】
◯ これまでの学習で,発見したことや考えたこと,次の学習や生活への思いを絵や文に表したり,
他者と交流したりすることができている。
【思考・表現】
◯ 自分の作ったおもちゃを使って自分なりに楽しむことはできるが,友達との関わりの中でその面
白さを共有することに関する気付きができるまでに至っていない。
【気付き】
生6-1
2
段階
学習活動計画(全14時間)
学習活動と内容
配時
2
つ
か む
①
①
/
赤坂幼稚園の友だちとの遊びに
ついて考える。
(1) 幼稚園の友達から届いた手紙
を読み,赤坂幼稚園の子どもた
ちと楽しく遊ぶ方法を考える。
(2) 試し遊びをし,どうすれば身近
にある材料からおもちゃが作れ
るかを聴き合う。
交流①
①
身近にある材料から作りたいお
もちゃを計画し,友だちと計画を
聴き合う。
(1) これまでに集めてきた材料か
ら作りたいおもちゃを計画 す
る。
(2) それぞれの計画を聴き合う。
め
5
3
②
る
③
①
①
/
計画に沿っておもちゃを作り,
どんなおもちゃを作っているかに
ついて聴き合う。
(1) 必要な材料を集め,おもちゃ
を作る。
(2) 試し遊びを通して,作ってい
るおもちゃについて中間報告を
する。
交流②
(3) 計画を見直し,自分のおもち
ゃを完成させる。
3
5
ひ
4
ろ げ
る
①
◯ おもちゃづくりに向けて興味 ◯ 幼稚園からの手紙
関心をもっている。
をもとに,幼稚園と
【関・意・態】
の交流を想起させ,
○ 身近な材料がおもちゃづくり
おもちゃづくりの
に使えることに気付いている。
視点をもたせる。
【気】 ◯ どのような思いを
抱いているか知る
ため,相談タイムを
設定する。
2
1
②
支援の方法
1
ふ か
3
目指す子どもの姿
作ったおもちゃをみんなに紹介
する。
(1) 自分のおもちゃの工夫点や改
良点についてグループで聴き合
う。
(2) 楽しませるためのおもちゃの
工夫点や改良点について気付い
たことを学級全体で交流する。
幼稚園の友達をおもちゃランド
に招待し,自分たちが作ったおも
ちゃで遊んでもらう。
(1 ) 赤 坂幼 稚園の年中児 を招 待
し,おもちゃで遊んでもらう。
(2) おもちゃづくりについて振り
返る。
交流③
◯ どんな材料,どんなルールで ◯ 計画を絵と文字に
おもちゃを作るか等,自分の計
表させ,おもちゃの
画を立てている。
【思・表】
イメージを具体化
◯ 同じ材料でも,おもちゃづく
させる。
りには共通点や相違点がある
ことに気付いている。 【気】
◯ 幼稚園の友達と遊びたいとい
う気持ちを高めている。
◯ 友だちが作ってい
【関・意・態】
るおもちゃを参考
◯ おもちゃづくりには,飾りや
にさせ,材料の使い
ルール,材料の工夫をすること
方や特性,面白さに
で,より面白いおもちゃになる
目を向けさせる。
ことに気付いている。 【気】
◯ 次時の聴き合い活
動をさぐるため,相
談タイムを行う。
◯ おもちゃの遊び方やルールに
ついて,自分から話そうとして
いる。
【関・意・態】
◯ 材料,遊び方,ル
ール,工夫点につい
◯ 聴き合いを通して考えた自分
て気付きが視覚化
と友達のおもちゃづくりの相
できるよう板書す
違点や共通点から,おもちゃづ
る。
くりへの思いを表現して いる。 ◯ ポートフォリオを
活用して説明でき
【思・表】
るようにする。
◯ おもちゃの遊び方やルール
について自分から進んで話そ
うとしている。
【関・意・態】
◯ 単元を通して気付
◯ おもちゃランドの活動を振
いたこと,これから
り返り,みんなで遊ぶ楽しさ
してみたいことな
に気付いている。 【気】
どの視点で振り返
らせる。
生6-2
3
本単元仮説
以下の手立てをとりながら身近にある物の特徴を生かしながら,遊びや遊びに使う物の計画を立てた
り工夫して作ったりするよう単元構成を工夫すれば,身近にある物を使って遊ぶ面白さや,自分の友達
が作った物の工夫やよさに気付くことができるであろう。
手立て1
視点を明確にして交流活動の設定
本単元では,交流活動を設定した。子どもたちは,進んで友達と交流をすることはできる。しかし,
何のための交流をするのかを明確にした上で交流を行うことで,気付きの質をより高めたり,子どもた
ち同士で学習に対する思いを膨らませることができると考える。
手立て2
振り返り後や交流前の相談タイムの設定
毎時間,学習の振り返りを行うが,気付いていることを言葉で十分に表現できなかったり,自分の気
付きや考えの変容を自覚できていない子どもがいる。そこで,相談タイムを設定することで,気付きを
価値付けたり,はじめとの違いを一緒に明らかにしたりすることができると考える。
4
指導の実際
〇手立て1の実際と考察
交流を行う前,それぞれの視点を明確にした。例えば交流1では,身近な材料がおもちゃづくに使え
ることに気付かせるための交流である。ここでは,ペットボトルを使って遊ぶ体験を通して気付いたこ
とを交流させた。しかし,遊びが中心になってしまったため,交流では「遊び方」についての気付きを
交流させることとなってしまった。交流2では,作っているおもちゃの中間報告を行った。何について
交流したらよいのかを全体で確認し,材料,遊び方,工夫したところの3点についてグループで交流す
るようにした。<資料1>
すると,振り返りの中で,交流の視点に沿って気付きを書くことができる
ようになった子どもが増えた。<資料2>
交流3では,おもちゃランドで幼稚園の友達に遊んでもらった
ことから考えたことや気付いたことを絵や文に表し<資料3>,
それを用いて交流を行った。ここでは,おもちゃづくりを振り返
ることを視点とし,自分の表した絵や文を用いて交流を行ったと
ころ,これまで交流やおもちゃ
を作る活動,おもちゃランドで幼稚園児に楽しんでもらえたこと
<資料1 視点の提示>
などを通して,子どもたちは様々な気付きや考えを持つことがで
きた。
「おもちゃランドで楽しんでもらえてよかった。」という感想に留まらず,
「おもちゃづくりをして
よかった。
」や,
「工夫をすると面白いおもちゃになることがわかった。また作ってみたいな。
」など,つ
かむ段階からの活動を振り返って交流することができた。
このように,視点を明確にして交流を行うことは,気付
きの質を高めるだけでなく,子どもたち同士で高まった気
付きを共有できる有効な手立てだということがわかった。
<資料2 振り返り>
生6-3
〇手立て2の実際と考察
振り返り後や交流前には相談タイムを設定した。
交流後に書かせた振り返りの中で,「〇〇さんのよさを見つけ,
自分のよさを分かるようになってきた。
」と記述した子どもがい
た。<資料4>
ここで,この子どもと「どんなよさがあったの
か。」について話し,気付いていることを一緒に言語化したり,
価値付けたりすることができた。また,同じような気付きの子ど
も同士で話し合い,解決できるように仕組んだところ,休み時間
を使って話し合っている姿も見られた。<資料5>
<資料3 振り返り>
<資料4 振り返り>
<資料5 話し合う子ども>
相談タイムを通して,一つの気付きが次の学習へ繋がるものである場合には,全体で伝えるように促
してみたり<資料6>,さらに工夫を加えたい場合には,何を加えるとよいのか一緒に考え,行動に移
させてみたり<資料7>と,子どもたちの気付きは深まっただけでなく,次への行動力や自己の変容
の認識へ繋がったと考える。よって,相談タイムの設定は有効な手立てだと考えられる。
<資料6 自分の気付きを全体へ伝える様子>
5
<資料7 工夫したいことを考え,
計画を見直す様子>
成果と課題
【成果】
◯
交流の視点を明確にし,その視点を視覚化したことで,たくさんの気付きが生まれたり,子どもた
ち自ら課題を見つけ,解決しようとしたりすることができた。
◯
相談タイムを行うことで,子どもたちの考えや気付きをより理解し,価値付けたり次時の学習へ繋
げたりすることができた。
【課題】
● 交流を行う際のグループ編成や,クラス全体で何を交流するのかの設定の仕方によって気付きの質
が異なるため,計画段階で細かく考える必要があった。
● 相談タイムの時間をどのように確保するのかが難しい。子どもたち全員と十分な相談タイムができ
るような計画が必要だと考えられる。
生6-4
第2学年
1.単元名
「あそんで
ためして
生活科学習指導案
くふうして」
こんな子どもに
○身近にある物を使って,遊びや遊びに使う物を工夫し,楽しく遊ぼうをしている。
【関心・意欲・態度】
○身近にある物の特徴を生かしてできる楽しい遊びを考えたり,自分の思いをもって遊びに使う物を工夫して
作ったりしている。また,遊びや遊びに使う物を作る活動を通して,楽しかったことや気付いたことを,自
分なりに表現したり伝えたりしている。
【思考・表現】
○身近にある物を使って遊ぶ面白さや,自分や友達が作った物の工夫やよさに気付いている。
こんな教材で
【気付き】
こんな支援で
本単元は内容(6)「身近な自然を利用
○成長に気付くふりかえり
今までの学習プリントをまとめたポート
フォリオを見直すことで,活動を振り返
り,自分の成長に気付かせる。
○遊びを広げる場の設定
人との関わりを深め,広げさせたい。その
ために,みんなで遊んだり,1年生を遊び
に招待したりすることで,遊びを工夫し,
みんなで遊ぶ楽しさを感じさせる。
したり,身近にある物を使ったりなどし
て,遊びや遊びに使う物を工夫してつくり,
その面白さや自然の不思議さに気付き,み
んなで遊びを楽しむことができるようにす
る。」を軸としたもので,身近にある物を
使って工夫して遊びに使う物を作ったり,
みんなで遊びを楽しんだりすることをねら
いとしている。また,友達と一緒に楽しく
遊ぶために,遊び方を工夫したり,約束や
ルールを作ったりと,友達とよりよく関わ
ることができるようになることを目指して
いる。
紙や空き箱,輪ゴムなどは児童にとって
とても身近なものである。その身近な物を
使って試行錯誤しながら,遊びに使う物を
作っていく。その中で,動く仕組みなどに
も気付かせ,身近な物の特徴や面白さを広
げさせていきたい。また一緒に遊ぶことを
通して遊び方を工夫しながら,みんなで遊
ぶ楽しさを感じ,人との関わりを深め,広
げていきたい。
そうすることで,身近な物の面白さや見
えない力の不思議さに気付き,自分の生活
を広げることができると考え,本単元を設
定した。
○交流会での見直し
身近な物の面白さに十分気付き,より楽し
いおもちゃを作らせたい。そのために,活
動を見直し,同じものを作ったグループで
交流する場を設定し,友達の作品のよさや
工夫を取り入れる機会を設ける。
○おもちゃ作り
設計,作製,遊ぶという活動を通して,対
象に繰り返し関わらせる。毎時間に振り返
りを行い,自分の思いを表現するだけでな
く,うまくいかなかった点を交流すること
で,友達にアドバイスをもらい,次の活動
の意欲を高めさせる。
○身近な物あつめ
身近な物をたくさん集め,素材の特徴や面
白さを感じ,多様な遊びへの発想を広げさ
せたい。そのために,多様な遊びの経験を
十分にさせる。その際,「積む」「転がす」
「はじく」など動きを表す言葉のカードを
掲示する。
こんな子どもだから
○図画工作の時間には,身近な物を使い,創造的な発想や技能を生かして,意欲的に活動に取り組んでいる。
【関心・意欲・態度】
○自分のしたことや思ったことを表現したり,伝えたりすることができるが,身近にある物の特徴を生かして
遊びを考えたり,遊びに使う物を工夫して作ったりする経験は少ない。
【思考・表現】
○友達の工夫やよさに気付いているが,身近にある物を使って遊ぶ物は,簡単な物にとどまり,面白さに十分
気付いているとは言えない。
【気付き】
生7-1
2.学習活動計画( 全15時間
段階
学習活動と内容
配時
つ
2
①
)
目指す子どもの姿
1.どんな あそびが できるかな
(1)集めてきた物で,試しの遊びをし,身近な
か
物や特徴について考える。
①
(2)動くおもちゃで遊び,遊ぶものや遊び方に
む
ついて意欲を高める。
/
交流①
7
①
2.どんな おもちゃが できるかな
(1) 自分が作りたいおもちゃを考え,設計図
を書く。
支援の方法
○様々な材料が集
まるように学年
○ 集 め た も の を 使 って
通信でお知らせ
進んで遊ぼうとして
する。
いる。 【関・意・態】
○ 集 め た も の の 特 徴を
○動きを表す言葉
話すことができる。
を掲示すること
【思・表】
で,多様な動き
に気付かせる。
○ 自 分 の 思 い や 願 いに
沿ったおもちゃを作
ろうとしている。
【関・意・態】
ふ
②
か
め
①
る
②
/
①
ひ
ろ
6
げ
②
る
③
①
○ 物 の 特 徴 を 生 か しな ○自分の作りたい
ものが作れるよ
がら,おもちゃを作っ
う,場を工夫し
たり,楽しかったこと
たり,十分な材
を表現したりするこ
料を用意したり
とができる。
する。
【思・表】
○相談タイム
(3)中間報告会を行い,自分の活動を見直す。
○ 自 分 の お も ち ゃ のよ ○同じようなもの
・活動を自己評価する。
をつくったグル
さやよりよくなる工
ープで交流させ
夫に気付いている。
・今後の活動について考える。
る。
【気付き】
交流②
○アドバイスカー
ドを用いる。
○相談タイム
(3)自分のつくりたいおもちゃを完成させる。
○場を工夫するこ
とで,うまくい
かないところも
交流しやすくす
る。
○ 物 の 特 徴 を 生 か して
(4)活動の振り返りをする。
工夫するといろいろ
な動きのあるおもち
ゃを作ることができ
ることに気付いてい
る。
【気付き】
3.みんなの おもちゃランド
○すごいねカード
(1)おもちゃランドをひらく。
を用いること
○ 自 分 の つ く っ た おも
で,自分や友達
ちゃを使ってみんな
のつくったおも
で遊んで楽しかった
(2) 1年生を招待する。
ちゃのよさに気
ことや気付いたこと
付かせる。
を進んで表現するこ
とができる。
【思・表】
(2)おもちゃをつくる。
(3) 活動の振り返り,自分自身への成長に気
付く。
交流③
生7-2
○ 身 近 に あ る も の の特 ○事前のアンケー
トや学習プリン
徴を生かしながら遊
トを見直すこと
ぶ楽しさや面白さ,友
で,自分のよさ
達や自分のよさに気
や成長に気付か
付いている。
【気付き】
せる。
3.本単元仮説
単元構成において,以下の手だてを取れば,おもちゃ作りや遊びを通して,自分や友達のよさ,身の回り
にあるものの面白さに気付くことができるだろう。
手立て1 振り返りと交流活動の位置づけ
子どもたちは,身近にあるものを使って遊ぶ経験はあるが,作るものは簡単なものにとどまり,身近にある
ものの面白さに十分に気付いているとは言えない。また,自分のしたことや思ったことを表現したり,伝えた
りすることはできるが,遊びに使うものを工夫して作る経験が少ない。そこで,おもちゃを作る活動や遊ぶ活
動のあとに振り返ったり,グループで交流したりする活動を位置づける。そうすることで,自分や友達のよさ
や成長,みんなで遊ぶ楽しさに気付くだけでなく,自分のおもちゃをさらに工夫したり,身近にあるものの面
白さに気付いたりすることができると考える。
手立て2 振り返り活動でのお話タイムの位置づけ
子どもたちは制作活動が大好きだが,自分の思いや願いに沿ったおもちゃをつくるために,対象に繰り返し
関わる中では,うまくいくことばかりでなく,うまくいかないことも出てくる。そこで,活動中には教師と,
活動の終わりには友達同士で,うまくいったことやうまくいかなかったことを中心にお話タイムを取る。そう
することで,自分の活動を価値付けたり,活動への意欲を高めたりすることができると考える。
4.指導の実際と考察
○手立て1の実際と考察
自分の思いや願いに沿って,おもちゃ作りの活動後,交流活動を行った。
この交流活動では,自分のおもちゃを振り返ったり,友達のおもちゃをじっくり見たり
できるように,同じようなおもちゃを作った2,3人のグループで交流した。その際,
アドバイスカード<資料1>に書かせた。そうすることで,自分のおもちゃをより楽し
くしたいという意欲を高めることができた。アドバイス後の活動の振り返り<資料2>
では,友達からのアドバイスを生かして,さらに工夫することができたことが分かる。
また,よりよいおもちゃをつくることで,自分のよさや成長に気付くことができた。
<資料1 アドバイスカード>
<資料2
アドバイス後の活動の振り返り>
生7-3
おもちゃを完成させた後,再び交流活動を行った。この活動では,自分や友達
のよさ,身近にあるものの面白さに気付かせるため,違うものを作った4,5人
のグループで交流させた。交流では,すごいねカード<資料3>を活用し,友達
のよさを見つけさせた。カードには,おもちゃの遊び方や見た目などについてた
<資料3
すごいねカード>
くさん書くことができた。<資料4>
また,振り返り活動では,自分や友達のつくったおもちゃのよさや,
身近にあるものの面白さに気付くことができた。<資料5>
<資料5
振り返り活動>
<資料4
カードの内容>
○手立て2の実際と考察
おもちゃ作りの活動の中に,教師とのお話タイムを設け,子どもたちの
思いや考えを聞いていった。その際,前時での振り返りカードを見ながら,
一人ひとりの本時活動の目的や活動の価値づけを行った。ある児童は前時で
の活動でおもちゃがこわれてしまい,思ったようにうまくいかなかったと
振り返っていたため<資料6>,これまでの活動の頑張りを認めたり,どう
したらよくなるか考えさせる言葉をかけた。そのことで,より楽しくなる
おもちゃをつくることができた。しかし,一人ひとりの思いを聞くことに
<資料6
振り返り>
時間がかかり,36名全員の子どもたちに的確に価値づけることができなか
った。
5.成果と課題
【成果】
○アドバイスカードやすごいねカードを用いることで,自分や友達のおもちゃのよさや,身近にあるものの面白
さに気付いたり,さらにおもちゃを工夫したいと意欲を高めたりすることができた。
○お話タイムでは,自分の頑張りやうまくいかなかったことなどを対話し,自信を高めたり,活動への意欲を持
続したりしながら活動に取り組むことができた。
【課題】
●友達のおもちゃのよさには気付くことができたが,自分のおもちゃのよさを自分で気付くことが不十分だった
と感じる。写真に撮っておいて比較するなど,視覚的に分かる工夫が必要だったと考えられる。
●本学級の子どもたちが36名だったため,お話タイムでの対話が短くなり,一人ひとりの思いを十分に聞いた
り,価値づけやアドバイスを的確に行ったりすることができなかったのではないかと感じ,教師との対話タイ
ムの形態などで工夫が必要であると考えられる。
生7-4
第 2 学年
1.単元名「あそんで
ためして
生活科学習指導案
くふうして」
こんな子どもに
○
身近な物を使ったおもちゃ作りに関心を持って取り組み,作ったおもちゃで友達と楽しく遊ぼうとして
いる。(関心・意欲・態度)
○
身近な材料を使った遊びや,みんなが楽しむためのルールを考えることができる。また,活動を通して
楽しかったこと,気付いたことを自分なりに表現している。(思考・表現)
○
身近にあるものを工夫して遊びをつくる面白さや,自分や友達の作品のよさや違いに気付くことができ
る。(気付き)
こんな教材で
こんな支援で
○1 年生を招待する
本単元は,内容(6)
「身近な自然を利用
1 年生を招待し,自分が考えたおもち
したり,身近にある物を使ったりなどして,
ゃで楽しくあそんでもらっている充実
の面白さや自然の不思議さに気付き,みん
感,楽しんでもらうために頑張った自分
なで遊びを楽しむことができるようにす
る。」を軸にしたものである。身近にあるも
のを使って遊びに使うものを作ったり,作
ひろげる
遊びや遊びに使う物を工夫してつくり,そ
自身の成長に気付かせる。
○振り返り
今までの学習で自分が工夫したこと
ったものでみんなで遊ぶ楽しみを感じたり
や友達からのアドバイスを振り返り,お
することをねらいとしている。
もちゃ作りの良さや楽しさに気付かせ
プ・紙皿・ペットボトル・段ボールなど,
子ども達のいつも身近にあるものを使って
おもちゃを作りを行っていく。また風・磁
石・ゴム・おもり、などの力にも気付かせ
ふかめる
素材としては,空き箱・トレー・紙コッ
つかむ
に気付かせたい。
最初は同じようなおもちゃを考えて
いる児童同士で計画を発表しあう。自分
の児童が取りかかりやすくする。
げていきたい。また,友達と作り方やルー
ことで,友達と一緒に活動する事の楽しさ
○交流会での見直し
との違いや友達の良さに気付かせ,全て
ることで,身近なものの特徴や面白さを広
ルについてアドバイスをし合いながら作る
る。
中間報告会では違うおもちゃのグル
ープの友達とお互いに,遊ぶ立場になっ
てアドバイスを教え合う。
○身近なもの集め
そうすることで,身近なものの面白さや
素材の特徴をつかむため集めた身近
自分や友達の良さに気付き,より自分の身
な材料を使って試し遊びをする。その際
の回りや友達に関心を広げていくことがで
色々な材料を種類別にするのではなく
きると考え,本単元を設定した。
一緒に並べておくことで多様な組み合
こんな子どもだから
わせの発想を持たせたい。
○身近なものを使って作った経験があまりない,という児童がほとんどである。作ったことがある,という児
童の話を聞き,全ての児童が何か作ってみたい,という意欲を持っている。(関心意欲態度)
○これまでの単元で自分の見たこと,分かったことを簡単な絵や文で表わすことができている。(思考表現)
○図工では空き箱を使って意欲的に作品を作ったが,素材の特徴に目をつけた工夫はあまり見られす,友達と
同じような作品作りにとどまっている。(気付き)
生8-1
2.学習計画(15 時間)
段階
配時
つかむ
2
②
学習活動と内容
1
目指す子どもの姿
支援の方法
○材料を種類別にせ
身近な材料であそんでみよう。
○身近な材料を使っ
ず一緒に並べておく
○自分たちが集めた身近な材料を使い,どんな遊び
て自分もおもちゃを
ことで,多様な組み
ができそうか,試し遊びをする。
作ってみたいと,お
合わせの発想を引き
○教師が作ったおもちゃでも試し遊びを行う。
もちゃ作りに関心を
出させる。
高めている。
○輪ゴム・磁石など
/
【関・意・態】 材料として用意して
4
2
おくことで,子ども
みんなが楽しいおもちゃランドを作ろう。
達の発想を豊かにす
①
②
○おもちゃ作りの計画を立てる。
○自分の作りたいお
る。
○同じおもちゃや,似たようなおもちゃをつくる友
もちゃを自分なりに
○計画の後相談タイム
達と,お互いの計画を聴きあう。
絵や文で計画を立て
○同じようなおもち
ることができる。
ゃを作る子ども同士
交流①
○おもちゃ作りをする。
ふ かめる
【思・表】 で計画を交流させ,
発想が遅れがちな児
4
3
お友達と中間報告会をしよう。
童もヒントを得やす
いようにする。
①
①
①
本時
交流②
○自分や友達のおも
○違うおもちゃを作
違うおもちゃを作っている友達と,お互いに試し
ちゃの良さや,もっ
る友達通しで交流す
遊びをし,遊ぶ立場になってアドバイスや良いとこ
と工夫できるところ
ることで,遊ぶ立場
ろを伝え合う。
に気付くことができ
に立った工夫を考え
○アドバイスをもとにおもちゃを作る。
る。
○第1回中間報告会を行う。
○自分のおもちゃを
○計画の後相談タイム
交流③
見直し,楽しくなる
○いいところカー
違うおもちゃを作っている友達と,お互いに試し
ような工夫を考える
ド・アドバイスカー
ことができる。
ドに気付いたことを
○第2回中間報告会を行う。
遊びをし,遊ぶ立場になってアドバイスや良いとこ
ろを伝え合う。
①
【気付き】 させる。
【思・表】 書かせておくことで
○アドバイスを元におもちゃを完成させる。
後で行う振り返りを
/
しやすくする。
3
4
おもちゃランドであそぼう。
ひろげ る
○自分ができるよう
①
○係分担やルールを見直し,準備をする。
になったことやおも
○時間設定に留意
②
○みんなで楽しく遊び良かったところを振り返る。 ちゃ作りの楽しさに
し,十分に遊ぶこと
気付いている。
5
1 年生を招待しよう。
【気付き】
2
○1年生を招待して,自分の作ったおもちゃであそ
①
んでもらう。
○おもちゃ作りについて振り返る。
①
生8-2
ができるようにす
る。振り返りの時間
も確保する。
仮説
3 本単元仮説
以下の様な手立て
以下の様な手立てを行えば
を行えば,身近にあるものを工夫して遊びを作る面白さや,
,身近にあるものを工夫して遊びを作る面白さや,自分や友達のおもちゃのよさに
,身近にあるものを工夫して遊びを作る面白さや,自分や友達のおもちゃのよさに
気付く子どもを育てることができるだろう
気付く子どもを育てることができるだろう。
を育てることができるだろう
手立て①○毎時間の終わりに2つの視点から振り返りを行う。
“気付いたことや工夫したこと”“困ったこと”の2つの視点から振り返りを行うことで,自分の気付
“困ったこと”の2つの視点から 振り返りを行うことで,自分の気付
きや工夫して成功したことを確かめたり,
きや工夫して成功したことを確かめたり,次の時間には
次の時間にはここを工夫しよう・友達に聞いてみようと意
ここを工夫しよう・友達に聞いてみようと意
欲を持ったりすることができると考える。
○3回の交流場面の設定,
○3回の交流場面の設定,いいところカード・アドバイスカードを活用した交流場面の設定。
いいところカード・アドバイスカードを活用した交流場面の設定。
①おもちゃ作りの計画を立てた後,
おもちゃ作りの計画を立てた後,②第
おもちゃ作りの計画を立てた後, 第 1 回中間報告会の後,③第二回中間報告会の後,
回中間報告会の後, 第二回中間報告会の後,に友達との
第二回中間報告会の後,に友達との
交流場面を設定する。
交流場面を設定する。①においては子どもの実態として
①においては子どもの実態として
①においては子どもの実態としておもちゃ作りにおける経
おもちゃ作りにおける経
おもちゃ作りにおける経験に差があるため,
験に差があるため,
似たおもちゃを計画している人同士で交流する事
似たおもちゃを計画している人同士で交流する事で
で全ての子どもが計画を立てやすくなると考える。
全ての子どもが計画を立てやすくなると考える。
②③においてはいいところカード・アドバイスカードを活用して交流することで
②③においてはいいところカード・アドバイスカードを活用して交流することで自分の良さを認めて
自分の良さを認めて
もらったり,
もらったり,工夫できる新たな気付きを得たり
工夫できる新たな気付きを得たり
工夫できる新たな気付きを得たり,できると考える。
できると考える。
手立て②子どもが活動をした後に,
手立て②子どもが活動をした後に,気付きや思いを確かめる
気付きや思いを確かめる
気付きや思いを確かめる,
,2回の対話タイムの設定。
回の対話タイムの設定。
まず,おもちゃ作りの計画を立てた後に行うことで,
まず,おもちゃ作りの計画を立てた後に行うことで,どのような願いを持っておもちゃ作り
どのような願いを持っておもちゃ作り
どのような願いを持っておもちゃ作りをしようと
をしようと
しているのか確かめることができる。次に,
しているのか確かめることができる。次に,第 1 回の中間報告会の後の行うことで,友達に認めてもら
った自分の良さを確かめたり,次に頑張りたいことを確かめることができると考える。
った自分の良さを確かめたり,次に頑張りたいことを確かめることができると考える。
4 指導の実際と考察
○手立て1の実際と考察
○手立て1の実際と考察
毎時間の終わりに2つの視点から振り返りを書く活動を行った。
“気付いたこと工夫したこと”では
“気付いたこと工夫したこと”では「こうし
「こうし
たら、うまくいった」と自分の気付きを確かめることができ,
“困ったこと”では「なんでこれはできないんだ
“困ったこと”では「なんでこれはできないんだ
ろう」と次に頑張りたいところを
ろう」と次に頑張りたいところを確かめることができた。
確かめることができた。
確かめることができた。最初はなかなか書けない子もいたため,
最初はなかなか書けない子もいたため,
最初はなかなか書けない子もいたため,文例与えたり
文例与えたり
良い意見は全体で共有し
良い意見は全体で共有したりし
たりしながら行った。また
ながら行った。また
ながら行った。また書く時間をしっかり
書く時間をしっかり確保するようにした。
確保するようにした。
交流ではいいところ
交流ではいいところカード
カードとアドバイスカードの二種類
とアドバイスカードの二種類
とアドバイスカードの二種類を
友達と交換することで、友達からの称賛の言葉に自信を高め
友達と交換することで、友達からの称賛の言葉に自信を高め、
、
自分では気づかなかった「こうした方がもっと面白いかもしれない」
ということに気付いたりすることができた。<資料1
ということに気付いたりすることができた。 資料1>
○手立て2の実際と考察
○手立て2の実際と考察
<資料1
資料1>
まず,たっぷりと試し遊びをした後おもちゃの計画を立て,
まず,たっぷりと試し遊びをした後おもちゃの計画を立て,その計画を元に対話を行った。
その計画を元に対話を行った。「試し遊びでこの
仕組みが面白かったから,
仕組みが面白かったから,こんなおもちゃを作ってみたい」
こんなおもちゃを作ってみたい」
こんなおもちゃを作ってみたい」という何故作りたいと思ったかという事を子どもた
という何故作りたいと思ったかという事を子どもた
ちから聞きだし,
ちから聞きだし,良い気付きは称賛し意欲へと繋げた。
良い気付きは称賛し意欲へと繋げた。
良い気付きは称賛し意欲へと繋げた。まだ計画
まだ計画が立てられていない子どもも試し遊びで面白さ
が立てられていない子どもも試し遊びで面白さ
には気付いていたため,
には気付いていたため,それを計画にするといいよとアドバイスをし交流へと繋げることができた。
それを計画にするといいよとアドバイスをし交流へと繋げることができた。
2回目の対話タイムは
2回目の対話タイムは第
第 1 回中間報告会の後に行った。
回中間報告会の後に行った。報告会で友
報告会で友達から褒めてもらって嬉しかったことにつ
達から褒めてもらって嬉しかったことにつ
いては教師からも
いては教師からも称賛をした。
称賛をした。また貰ったアドバイスを元に
また貰ったアドバイスを元に
また貰ったアドバイスを元に次に
次に何をしたいか問い返すことで,
何をしたいか問い返すことで,
何をしたいか問い返すことで,次に自分が
自分が取り
組みたいことを確かめられるようにした。
生8-3
〈資料2〉
〈資料3〉
5 成果と課題
(1) 振り返り活動・交流活動を繰り返し位置付けた学習過程及び体験や交流前後の
振り返り活動・交流活動を繰り返し位置付けた学習過程及び体験や交流前後のポートフォリオの比較
ポートフォリオの比較
の視点
【成果】
○“楽しかったこと・気付いたこと・工夫したこと”と“こまったこと”の2つの視点で振り返りを行
“楽しかったこと・気付いたこと・工夫したこと”と“こまったこと”の2つの視点で振り返りを行
うことにより「
うことにより「~のところを~工夫したらできた
~のところを~工夫したらできた
~のところを~工夫したらできた」
「友達に教えてもらったらできた」と自分の成長に気
付いたり,
「~がうまくいかなくて困った」
「~がうまくいかなくて困った」と次に気を付けたいところや友達に教えてもらいたいことに
と次に気を付けたいところや友達に教えてもらいたいことに
気付いたりすることができた。
〈資料2〉
○おもちゃ作りを計画した後に第 1 回の交流を位置づけた。子どもの実態として,
回の交流を位置づけた。子どもの実態として,家でもよく工作遊び
家でもよく工作遊び
をする子とそうでない子の差が大きかったため,
をする子とそうでない子の差が大きかったため,交流することで、ほとんどの児童が自分で作りたいお
交流することで、ほとんどの児童が自分で作りたいお
もちゃについて考えることができた。〈資料3
〈資料3〉
【課題】
●振り返りを書く時間がしっかり確保できるようにしていたが,
振り返りを書く時間がしっかり確保できるようにしていたが,その振り返りを全
振り返りを書く時間がしっかり確保できるようにしていたが, その振り返りを全体で共有する時間は
体で共有する時間は
あまり取ることができなかった。よりよい気付きを引き出すには全体で共有する時間ももっと確保する
べきだった。
●より気付きを高めるためには,
より気付きを高めるためには,
「おもちゃの作り方」「遊び方のルール」という視点
「遊び方のルール」 という視点を別々の交流の時
を別々の交流の時
に分けて行ったほうが良かった。
(2) 変容の自覚を促すための教師の支援の視点
変容の自覚を促すための教師の支援の視点
【成果】
○試し遊びをしっかりしてから計画を立て,その後に対話タイムを設けたので,試し遊びでどんなこと
に興味をもち,
に興味をもち,どんな思いを持っておもちゃ作りを計画しているのか確かめることができた。
どんな思いを持っておもちゃ作りを計画しているのか確かめることができた。〈資料3〉
2回目の対話は第 2 回中間報告会での交流の後に行ったので,
報告会での交流の後に行ったので,
報告会での交流の後に行ったので,友達から
友達から褒めてもらったいいところを教
褒めてもらったいいところを教
師からも称賛することができ,いま困っていて友達からのアドバイスを元にどのようにしたいと考えて
師からも称賛することができ,いま困っていて友達からのアドバイスを元にどのようにしたいと考えて
いるか確かめることができた。次への見通しができていない子については見通しを持たすことができた。
●対話タイムの時間の確保の仕方が難しく,
●対話タイムの時間の確保の仕方が難しく,計画外の時間で行うことになってしまった。
計画外の時間で行うことになってしまった。
生8-4
4
生活科部の成果と課題
①
学習の探究の各過程及び単元終了後の目指す子どもの姿を明確にした学習計画
○
目指す子どもの姿を明確にしたことで,1 時間 1 時間のねらいがはっきりとした学習を組み立
てることができた。
○
目指す子どもの姿が,より具体的になったことで,教師の手立ても,より具体的になり,個に
応じた支援も,行うことができた。
●
●
②
児童の自己評価を取り入れた評価の在り方を探っていきたい。
1 時間 1 時間の評価の在り方を検討していく必要がある。
振り返り活動・交流活動を繰り返し位置付けた学習過程及び体験や交流前後のポートフォリオの
比較
○
各過程に,ねらいを明確にした交流活動を位置付けたことは,一人一人が自分の活動を進めて
いく上で,効果的であった。
○
交流活動1においては,共通体験を取り入れた後,気付いたことを交流したことで,対象に対
する興味関心を高めることができるとともに,学習の方向性をもたせることができた。
○
交流活動の際に,視点を明確にした交流や,気付きを視覚的にとらえられるような交流を行う
ことで,低学年の子ども達でも,友達との共通点や相違点に気付くことができ,活動を見直すこ
とができた。
○
交流の際には,カードやシールなど交流のための支援を行うことで,交流を促すことができる
と共に,交流前後に自分を振り返ることもでき,有効であった。
○
交流活動の際の対象を,家の人,友達,幼稚園の子ども,ゲストティーチャーなど,単元に合
わせて設定していったことで,自己の変容に気付くことができ,気付きの質を高めることになっ
た。
●
各単元において,どこで,どのような交流を行うか,またその場における教師の支援など,よ
り効果的な交流の在り方を探っていきたい。
●
③
ポートフォリオの形式や効果的な活用方法について検討したい。
気付きを価値付ける教師と子どもの対話(相談タイム)の設定
○
振り返り活動において,教師との対話や教師のコメントは,子ども自身に自己の気付きを自覚
させたり,教師自身が,子どもの思いを理解していく上で大変有効である。
●
単元の中での対話の位置付けや,対話の形態など,更に,検討していくことで,時間の確保を
行っていきたい。
第6学年 総合的な学習の時間学習指導案
1
単元名
「ビオトープの未来を考えよう」
こんな子どもに
○ ビオトープの現状から課題を見出し,その課題を解決する方法を考えるとともに,それらを実行
することでビオトープの抱える問題を解決に結びつけることができる。
【問題解決力】
○ 調査したビオトープの課題や,5年生に引き継ぎたいと考えたことを,グループや学級・学年の
話し合いの中で意欲的に伝えることができる。
【主体的・創造的態度】
○ 調査した課題や引き継ぎたいことの中から,マップや付箋を活用することで,適切なものを選択
したり,理由を明確にしたりすることができる。
【学び方・考え方】
○ 校区の自然について知ったり,ビオトープ環境作りを体験したりすることを通して,身近な自然
や環境を大切にしようと考えることができる。
【自己の生き方】
こんな教材で
広げる
さぐる
つかむ
○ 本単元では,学校中央に位置する
ビオトープを主な教材とする。
本校のビオトープは11年前に
九州工業大学と共同で敷地中央に
開発され,西日本で最大級の面積を
誇っている。
本校の子ども達にとっては,遊び
場であり,理科の観察や生活・総合
的な学習の時間などでもよく利用
される教材でもあり,季節の変化を
感じられる身近な自然である。
ビオトープは,メダカや水生昆虫
など様々な生き物が生息し,季節に
よってはカモやサギがやってくる,
生態系の縮図である。周囲には様々
な植物も生えている。しかし近年,
オオカナダモやジャンボタニシな
どの外来種が増殖してきているこ
とが問題になっている現状がある。
○ 本校では6年生がビオトープの
環境改善を任されてきた。この活動
は,問題発見・解決の学習として,
また,環境学習としての教材価値が
あるものと考えられる。
こんな支援で
○表現活動(引き継ぎ会)で
今年の課題や改善したこと,これまで
の6年生が継いできた思いなどを5年
生に引き継ぐことで,これまでの活動を
振り返り,学習をまとめさせる。
○改善作業(夏・秋の2回)で
改善計画に従って,地形改善・水路
拡張・外来種除去のグループそれぞれ
に改善のため作業させる。
○改善計画で
学級・学年で決定した改善点について
GTのアドバイスを得ながら,具体的な
改善の方法と役割の分担を決定させる。
○調査活動で
ビオトープの現状を個人調査し,その
良い点・悪い点をあげたあと,マップと
付箋紙を用いた話し合いを通し,学年と
しての改善点を決定させる。
こんな子どもだから
○ 問題解決学習において,与えられた課題には意欲的に取り組むことができるが,自ら課題を見
つけたり,解決方法を考えたりする力が不十分である。
【問題解決力】
○ 資料集めや発表物作りに意欲的に取り組むことができるが,調べたことを発信したりしようとす
ることに消極的である。
【主体的・創造的態度】
○ 課題解決のために必要な情報や資料を集めることはある程度できるが,適切なものを選び出す
整理・分析の方法や理由を明確にする力はあまり身についていない。
【学び方・考え方】
○ 環境問題に関する知識は多少あるが,関心が薄く,水や電気などの資源を大切に使用するよう
に意識することはあまりできていない。
【自己の生き方】
総 1―1
2
学習活動計画(全22時間)
段階
配時
つ
か
む
1
①
目指す子どもの姿
(評価)
学習活動と内容
支援の方法
1.今年度のビオトープ改善計画の課題
を作る。
(1)生き物が住んでいるのは,どんな
ところ(場所)だろうか。
(2)生き物が住むのに必要なものは,
どんなものだろうか。
○生き物が住みそうな
○パワーポイントで田
場所や住むのに必要
んぼや自然の中など
な条件を考えて書く
の生き物が住みそう
ことができる。
な場所・必要な条件を
【問題解決力】
捉え易くする。
(3)現在のビオトープは,その条件が
整っているだろうか。
学習課題①
「生き物が住みやすいビオトープ」に
するために,できることを考えよう。
さ
ぐ
る
4
2.ビオトープを調査し,現状と課題に
ついて考え,改善計画を立てる。
①
○子ども達のマップへ
(1)個人でビオトープを調査し,現状の ○マップに現状でよい
点と課題と感じる点
の記入から,気付きが
よい点と課題点をまとめる。
を書くことができる。
少ない子には視点を
(交流①)
相談タイム①
①
(2)個人で調査したものを交流し,学級
としての課題をまとめる。
○ 個人で調査したものを,付箋紙に
色分けしてまとめる。
(・青…よい点・赤…課題点)
○ 分けたものをグループで交流し,
特に課題と思うものを3つ選ぶ。
○ グループの代表が,グループでの
意見を発表し,交流する。
○ 出た意見の中から,学級としての
大きな課題をまとめる。
①
(3)学級ごとの課題を学年全体で交流
し,学年としての課題をまとめる。
○ 各学級の代表が学級での話し合い
結果を発表する。
○ GTの助言をもとに,最優先で取り
組むべき課題をまとめる。
【問題解決力】
○付箋紙を使い,調査結
果を分析することが
できる。
【学び方・考え方】
補足する。
○付箋紙を使って,調査
したことを色で分別
しやすいようにする。
○自分の考える課題を, ○拡大したマップを用
理由を明確にしなが
意し,課題とその箇所
ら説明することがで
を結び付けることが
きる。
できるようにする。
【主体的・創造的態度】
○各学級の発表をもと
に,ビオトープの課題
を捉えることができ
る。
【問題解決力】
総 1―2
○拡大したマップを用
意し,マップ上で学年
の課題をまとめられ
るようにする。
①
(4)課題に応じた改善計画(作業)を
立て,作業を分担する。
○ 課題としてあげた3点を中心に,
作業を3つのグループに分ける。
・水の流れ・水質の悪化
→水路部分の改善・泥上げ
・池だった部分の陸地化
→陸地化部分の掘り下げ
・オオカナダモ,ジャンボタニシなど
の外来種
→除去作業
3.ビオトープの改善作業を行う。
8
②
①
②
○自分が課題だと考え
○グループごとに作業
たグループで,意欲的
内容を説明し,作業が
に改善作業に取り組
円滑に進むようにす
(1)前時で分けたグループごとに,
むことができる。
る。
1回目の改善作業を行う。
【主体的・創造的態度】
○現状から,改善が必要 相談タイム②
(2)1回目の改善作業での成果と残る
と考えられる箇所を
○1回目の作業で改善
課題についてまとめる。
あげることができる。
されたこと、課題が残
(交流②)
【問題解決力】
ることを指摘できる
○自分の考える課題を,
ように支援する。
(3)前回の課題と,夏休みを挟んでの
理由を明確にしなが
環境の変化から,2回目の改善計画
ら説明することがで
を立てる。
きる。
・島周り・水路が浅い
【主体的・創造的態度】
→ヘドロ除去
・元陸地化部分のヘドロ化
→ヘドロ除去
・藻・ジャンボタニシの増加
→外来種・過剰な藻の除去
(4)2回目の改善作業を行う。
②
①
広
げ
る
○意欲的に作業に取り
組むことができる。
【主体的・創造的態度】 ○子ども達のシートへ
(5)2回目の改善作業での成果と課題
の記入から,気付き
をまとめる。
のよいものは声掛け,
(交流③)
気付きが少ない子に
は視点を補足する。
4.5年生への引き継ぎを行う。
6
学習課題②
5年生への「ビオトープ引き継ぎ会」に
ついて考えよう。
①
本
時
○これまでのワークシ
(2)5年生への引き継ぎ計画を立てる。 ○引き継ぐ内容や方法
として適切なものを
ートで振り返りがで
○ どんな内容を引き継ぐか
考えることができる。
きるようにしておく。
○ 引き継ぎの形式はどうするか
【学び方・考え方】
①
(3)学年で引き継ぎ内容・方法を話し
合う。
総 1―3
○付箋紙を使って考え
をまとめられるよう
にする。
⑤
(4)引き継ぎ資料を作成する。
①
(5)引き継ぎ会をする。
1
①
5.1年間の活動を振り返る。
3 本時指導案
単元名 「ビオトープの未来を考えよう」
○引き継ぎ会に必要な
資料を作成すること
ができる。
【問題解決力】
○GTに意見をもらい,
引き継ぎの内容を吟
味しておく。
○どのような資料が必
要か,発表方法ができ
るかアドバイスする。
本時(14/22) 10月20日 5時間目
本時目標
○ 5年生に引き継ぐ内容としての自分の意見を,理由を明確にしながらグループや学級に伝え
ようとすることができる。
【主体的・創造的態度】
○ 5年生にビオトープを引き継ぐにあたって,その内容や方法として適切なものを考えること
ができる。
【学び方・考え方】
4 本時指導の考え方
(1)目指す子ども像
自分たちの活動を踏まえたビオトープの課題や,これまでに引き継がれてきたビオトープに対
する思いなどの中から,5年生に引き継ぐ内容として理由を明確にしながら適切なものを選び出そ
うとすることができる子ども。また,その理由や考えをお互いに伝えたり,聞いたことを自分の考
えに取り入れたりしようとする子ども。
(2)本時仮説
子ども達が5年生に伝えていく内容や方法を話し合う場面において,以下のような手立てを取れ
ば,課題から適切なものを選択したり,理由を明確にしてグループや学級の話し合いの中で伝えた
りすることができる力が育つであろう。
手立て1 付箋紙を用いて,自分の中での課題を整理・分析していく活動
手立て2 少人数の中で,理由を明確にしながら考えを交流する活動
手立て1
付箋紙を用いて,自分の中での課題を整理・分析していく活動
付箋紙を配布し,まず,5年生に引き継ぎたいと思う事柄を個人で記入していく。記入した後,
それらを伝えたいと思う順に整理していくことで,自分の考えの根拠を明らかにしていくことに
つなげる。
手立て2
少人数の中で,理由を明確にしながら考えを交流する活動
学級全体で交流する前に,少人数での交流を行う。このことで全員が自分の意見やその理由を
発信する場面を確保するとともに,多様な見方や考え方に触れることで,自分の考えを深化させ
たり,新しい意見に結び付けたりすることにつなげる。
総 1―4
5
板書計画
めあて
ビオトープ引き継ぎ会に向けて,
学級の意見をまとめよう。
☆引き継ぎ会日程
日時:○/○ ○時間目
場所:体育館
引き継ぎ会で,どんなことを
伝えれば,5年生が来年頑張
ってくれるだろうか?
6
1班
○泥が堆積する
○・・・・・・・・・
○・・・・・・・・・
4班
○ヘドロを除去
○・・・・・・・・・
○・・・・・・・・・
2班
○水の流れが悪くなる
○・・・・・・・・・
○・・・・・・・・・
5班
○ビオトープの歴史
○・・・・・・・・・
○・・・・・・・・・
3班
○外来種が多い
○・・・・・・・・・
○・・・・・・・・・
6班
○自分たちの思い
○・・・・・・・・・
○・・・・・・・・・
学級の引き継ぎ提案内容
○今年あった課題について
○ビオトープの歴史(経緯)
○これからのビオトープ
引き継ぎ会の方法
◎・・・・・・・
○・・・・・・・
△・・・・・・・
展開
学習活動と内容
1.本時のめあてと流れを確認する。
目指す子どもの姿
(1)本時のめあてを確認する。
支援の方法
○これまでの活動内容
を掲示しておき,振り
返れるようにしておく。
めあて:ビオトープ引き継ぎ会に向けて,学級の意見を話し合おう。
(2)本時の手順を確認する。
2.引き継ぎの内容について学級の意見を
まとめる。
(1)個人の意見をまとめる。
・引き継ぎたいことを付箋に書きだす。
・重要だと思う順に付箋を並び替える。
○引き継ぎたい内容を,
理由を考えながら付箋
に書くことができる。
【学び方・考え方】
(2)グループの意見をまとめる。
○自分の意見を,理由を
・個人の意見をグループで交流する。
明確にして伝えること
・グループの中で,必要だと思うものを選ぶ。 ができる。
【主体的・創造的態度】
(3)学級としての意見をまとめる。
・グループで選んだ内容を全体で交流する。
・意見交換しながら,学年の話し合いに提案
する意見をまとめる。
○付箋に書いて自由に
並び替えながら考えを
まとめるようにさせる。
(手立て1)
○必要だと思うものを
選ぶ際に,その理由を
明確にして交流させる。
(手立て2)
3.引き継ぎの方法について学級の提案を
考える。
○出てきた表現方法が
少ない場合は,他教科を
思い出させたり,教師が
補足したりする
・これまでの学習で行ってきた発表方法から,
使えると思うものを発表する。
4.今日の学習で考えたことをまとめる。
総 1―5
7 指導の実際と考察
手立て1(本時)の実際と考察
はじめに掲示物を使ってこれまでの活動を振り返り、めあてを確認した後、5年生に引き継ぎたい内
容について個人の意見をまとめる活動に入った。
前時にレジュメに書いていた「5年生に引き継ぎ会
で伝えたいこと」をもとに、その意見を付箋紙に書き
写していく。<資料1>この手立てについては、改善
計画の際にも行っていたので、子ども達もスムーズに
作業に入ることができた。1人2~3枚、多い児童で
5枚ほどの付箋を書いた。
次に、その付箋紙を自分が伝えたいと思う順に並び
替えていく。付箋紙は容易に並び替えが可能なため、
レジュメに書いていたものから順に変更が出てもよい
<資料1 付箋記入の様子>
という利点が活かされた。
手立て2(本時)の実際と考察
次に、4人を基本とするグループで集まって、考えを交流する活動を行った。<資料2>
交流に付箋紙を使用することで、普段は手をあげて
発表することが苦手な児童でも意見を出しやすくなる
ことや、理由を合わせて発表することが苦手な児童で
も予め書きまとめてある意見を言うだけなので、交流
に参加しやすくなるという利点が考えられる。
実際、児童は話し合い用の紙の上で同じ意見の付箋
紙を重ねたり、5年生に伝える上で重要だと思われる
順を考えながら付箋紙を並び替えたりしながら、グル
ープとしての意見をまとめていった。
<資料2 考えの交流の様子>
<資料3
上位意見を整理する様子>
グループの中でおおよその順位が出たところで、上位
3つをグループの意見として大きな付箋紙に書きまとめ、
用紙上に整理した。<資料3>
その後、それぞれのグループでまとめた意見を代表が
発表し、大きく次のようにまとめられた。<資料4・5>
○ 今年度、改善してきたこと
○ これからのビオトープの生き物
○ ビオトープの昔(歴史)
さらに、教師からの提案として、
○ ビオトープに関わってきた人達の思い を追加した。
<資料4
本時板書>
総 1―6
<資料5
グループでまとめた意見>
手立て3(単元) 気付きを価値づける教師と子どもの対話(相談タイム)設定の実際と考察
相談タイムは、ビオトープの課題について話し合う交流①と、1回目の改善作業の成果及びさらなる
課題について話し合う交流②の事前に設定した。
1回目の相談タイムでは、子ども達がビオトープ
を回って探し出した課題をまとめたマップ<資料6>
を基に課題を広げるための対話を行っていった。子
ども達は、事前にGTからビオトープで考えられる
主な課題について説明を受けており、それらがどの
場所に発生しているかを探して回ったが、これまで
にそのような見方をした経験がないため、なかなか
課題とその場所をマップに示すことができない子も
見られた。そこで、教師がいっしょにマップを見な
がらGTが挙げていた課題を思い出させ、それらが
どんな場所に起こっているかをもう一度見直させる
<資料6 ビオトープ課題マップ>
ことでマップ上の課題を増やしていった。
2回目の相談タイムでは、1回目の改善作業で改善できたところと、まだ課題が残っているところを
交流し、2回目の改善計画について話し合う前に行った。1回目の課題としては、①水路部分の改善
②外来種の除去③陸地化部分の掘り下げの3点にまとめられていたが、作業後の振り返りのシートを
基に、上手く課題が挙げられない子との対話を通して再考した。その結果、水路部分・陸地化部分の改
善に加え、新たに④島周りのヘドロ除去が加わることになった。
8 成果と課題
○ 思考をまとめるために付箋紙を利用したことで、自分が伝えたいと思う順に並び替えていくことが
容易にでき、最もよいと思えるまで試行錯誤することができた。
○ グループ交流にも付箋紙を利用することで、普段手をあげたり意見を言ったりすることが苦手な子
でも、新しい意見(の付箋)を出したり同意を示したりしやすくなった。
○ 相談タイムを設定したことで、課題を探し出すことが苦手な子どもに対して意図的なアドバイスを
与える機会が確保できるようになった。
●
本時時間の全体交流に十分な時間を取ることができなかったため、個人の意見をまとめる時間とグ
ループ交流の時間を分けて確保する必要があったと考えられる。
● 本時の話し合いが2回目の改善作業直後であったこともあってか、引き継ぎたい事が今年度の課題
や改善作業の中身に集中し、5年生が引き継ごうという気持ちになってくれるかという視点や、これ
までビオトープに関わってきた先輩・先生方の思いにまで広がることができなかった。
● 手立てが有効であったかどうかを子ども達の視点で評価する方法が確立できておらず、教師の感じ
方と子どもの感じ方の違いを明確に確かめることができなかった。
総 1―7
生活科・総合的な学習研究委員会協議会記録
○
日時
平成26年10月20日(月)15:30~
○
場所
福岡市立壱岐南小学校図書室
1
はじめの言葉
2
委員長挨拶(福岡市立赤坂小学校校長
3
自評(福岡市立壱岐南小学校
○
椎葉
峯田
明子
校長先生)
拓朗)
付箋は青=良い点、赤=改善点とし、ランキングをつけながら5年生に引き継ぐ
内容を考えさせた。
○ 「 5 年 生 に も っ と 知 っ て ほ し い 」と い う 気 持 ち を 持 た せ る た め の 本 時 で あ っ た が 、
授業計画の見通しが悪く、授業の中で声掛けがなかなかできなかった。
○
少人数の交流においては、付箋紙を使うことで皆の意見を出し合わせることがで
きたのが良かった。
○
最後に意欲を持たせる場面において、
『 先 輩 た ち の 思 い 』や『 歴 史 』と い っ た 意 見
がなかなか出ず、担任から言うような形になってしまった。
4
質疑応答・協議
Q.学習計画中のGTとは。
A.ビオトープ創設から関わってもらっている教授の研究室に在籍している九州工業
大学の院生・学生。
Q.付箋紙を使った学習はいつから行っているのか。
A.ビオトープ学習の中で7月頃から。他教科でも利用している。
Q.子ども達のビオトープへの意識の変化は。
A.1・2年…学校探検、3年…植物・生き物調べ学習、5年…引き継ぎを聞き、次
年度に繋ぐ。
Q.ビオトープの歴史については子ども達は知らないのか。
A.歴史についてはGTの話の中にも入っていた。昔の方々の「思い」については知
らないので、自分もあまり思いを持つことができなかったのではないかと思う。
Q.出てほしかった「思い」は。
A .「 こ れ か ら こ ん な ビ オ ト ー プ に し て ほ し い 」「 ○ ○ ○ だ か ら 住 み や す い 場 所 に し て
ほ し い 」「 な ぜ そ の 作 業 が 必 要 な の か 」 と い う 具 体 的 な 思 い だ っ た 。
Q . 自 分 た ち の 「思 い 」が あ っ て か ら 、 引 き 継 ぎ た い こ と に な る の で は 。
A.GTの発信からスタートの予定だったのだが、GTの都合で6月開始となったた
め去年の引き継ぎで進める形となり、あまり思いが持てていないと感じる。
Q.板書用の画用紙で、理由まで書かせたのはなぜか。
A.代表が発表しやすいこと、後から見返しても理由が分かりやすいように。
Q.相談タイムの位置づけは。
A.行ってはきたが、内容として深まったかどうかあまり実感を持てなかった。視点
を与えてあげられればよかった。
意見としては、
・いいことを書いているのに、あまり伝えきれていない子がいた。
・同じ項目でも、様々な理由が出ていて良かった。テーマに繋がる言葉も出ていた。
・
( 改 善 作 業 が 最 近 で )上 が る 意 見 が 改 善 作 業 に 偏 っ て い た の で 、単 元 構 成 を 工 夫 す れ
ばよかったのではないか。
等の意見が出された。
5
指導助言(
赤坂小学校
峯田校長先生
玉川小
橋爪教頭先生
)
○ 作 業 中 心 に ふ り 返 っ て し ま っ た の は 、や は り 残 念 だ っ た 。相 談 タ イ ム で「 ど う し て ? 」
という声掛け・調べ学習があれば、理由・思いが出てくるのではないか。
○「ビオトープをなぜ作ってほしかったのか」を原点としなければいけない。引き継
ぎ会で聞いていないなら、歴史を振り返るチャンスにする。
○「マンネリ化したビオトープ」だからこそ、やる価値がある題材。良い部分だけで
なく悪い点もふり返り、このままでいいのか問い返していく。
○順位を貼った後が大事。
「 じ ゃ あ 、ど う す る ? 」と 問 う こ と で 、子 ど も の 思 考 が 働 き
出す。
○相談タイムを大切にする。教師の声掛けで自信を持たせることや、言葉がなかなか
足りない子どもに気付きを持たせることができる。
○『今日の学習で』は、必ず書かせる。自己の変容をどう自覚しているか、また、ど
う自覚させるかが重要。
6
終わりの言葉
第6学年 総合的な学習の時間学習指導案
1 単元名
「不思議の国!?ニュージーランド大発見!~マレイズベイと N 校をつなげよう~」
こんな子どもに
○ 自らの興味・関心に基づいてニュージーランド(以下 NZ)や姉妹校のマレイズベイ校(以下 MB 校)の友達に
知らせたい課題を設定し,調べたことや自分の考えをまとめることができる。
【問題解決能力】
○ 各自が情報収集したことや MB 校の友達に伝えたいことをクラスの友達と交流する活動を通して,NZ の
特徴と日本のよさに対する自分の考えを付加・修正,強化することができる。
【学び方・考え方】
○ 言語も文化も異なる MB 校の友達に日本のよさを伝えるため,調べたことをグループで話し合いながら
協同的にまとめ,相手により伝わりやすい表現をめざすことができる。
【主体的,創造的態度】
○ 学習を通して追究した NZ の特徴を理解し,同時に MB 校に伝える日本のよさに気付き,異文化を尊重す
る態度や日本への愛着をもち,学習を通した自分の成長に気付くことができる。
【自己の生き方】
こんな教材で
○ 本単元は子どもたちが毎年交流する
MB 校の友達の母国である NZ の特徴に
ついて課題意識をもち,NZ 独特の食文
化や自然環境,人種の構成などについて
追究していく活動を通して,姉妹校の友
達やその母国への理解を深めることが
できる。また,姉妹校交流で来校する
MB 校の友達が訪日の際に学びたいと
考えている日本の文物について,相手に
伝える目的意識をもって追究すること
で,日本の文物の特徴やそのよさに気付
くことができ,自分たちが暮らしている
日本への愛着をもつことが期待できる。
○ NZ の文化,自然環境,人種や日本の
文化や特徴などについて,初めて見るも
のや不思議に感じるものを見たり,聞い
たりする活動を通し,個人の興味・関心
に基づいて課題を設定することで,子ど
もが主体的に調べ活動を進めていくこ
とが期待できる。また,類似する追究グ
3.こんな子どもの姿をめざしたい
ループを作って,情報を共有しながら調
べ,まとめ・表現する活動を行い,MZ
校の友達に伝えることで,協同的な学び
4、そのためにこんな方法で
のよさを実感できる。
こんな支援で
○
相手意識をもったまとめ・表現
MB 校の友達が訪日の際に知りたい内容を
知らせ,日本語が理解できなくても伝わるよ
うな表現の工夫や簡単な英語表現を工夫する
など,MB 校の友達に伝えるという相手意識
をもったまとめ・表現ができるようにする。
広
げ
る
○
さ
ぐ
る
つ
か
む
整理・分析のための視点の提示
調査した情報が MB 校の子どもたちを迎え
るのにプラスになるか,日本と NZ の文物の
共通点や類似点の2点から,集めた情報を分
類・整理できるような視点の提示を行う。
○
多様な情報源による情報収集
書籍・インタビュー・web 資料検索・実物
の提示など様々な情報源から調べられるよう
に,意識づけて調べるように助言する。
○
課題を練り上げるための情報の分類・整理
NZ の不思議なひと・もの・ことの情報を
分類・整理し,興味関心の共通する友達と
交流することを通して,個人の課題設定がで
きるようにする。
こんな子どもだから
○ 1学期単元「わたしたちの町 N 校」では,各自の興味関心に基づいて課題設定をして探究したが,対象の
類似点や相違点をもとに自分の考えをまとめて発表した経験は少ない。
【問題解決力】
○ 調べたことをグループで話し合いながら協同的にまとめることは苦手としている子どもが多いが,4年
生単元「桧原桜って知ってる?」では他校の生徒からの依頼によって相手意識や目的意識をもって調べるこ
とができた既習経験がある。
【主体的,創造的態度】
○ 各自が情報収集したことを友達と交流する活動を通して,自分の表現物や考えを付加・修正,強化することは
これまで経験が少なく,それができる子どもも多くない。
【学び方・考え方】
○ 既習の単元では,調べ学習で新しい知識を広げたり,GT からの講話を通してその思いに気付いたりする
ことはできているが,それらを通して自分がどのように成長したか気付いたり,自分の今後の生活や生き方
にどのように生かすかまでは考えが至っていない子どもが多い。
【自己の生き方】
総2-1
2.学習活動計画(22時間)
過程
配時
④
1
つ
か
む
1
1
1
本
時
学習活動と内容
目指す子どもの姿(評価)
1 学習対象と出合う。
○NZ に対する疑問や関心、MB
(1)NZ の日本ではあまり目に
校への相手意識を高め、追究へ
しない映像や写真を見て,
の意欲を学習プリントに書い
課題意識を高め,共通課題
て表現することができる。
を決める。
【問題解決力】
○変わった形の食べ物(キワ
ノ・タマリロ)や羊肉の食
習慣の紹介,マーマイト(ビ
ール酵母発酵食品)の試食
○NZ の山や公園,羊の飼育,
間欠泉の様子など,豊かな自
然環境
○マオリの集会所(マラエ)の建
物や装飾とオークランドの
近代的な町並みや森の様子
○NZ のひと・もの・ことにつ
いて見聞きした情報を分類
整理し,課題意識を高め,
共通課題を設定する。
交流1
支援の方法
○
昨年の国際交流を想起し,
迎える立場として,マレイズ
ベイ校(以下 MB 校)の友達の
母国のことをもっと知りたい
という目的意識をもたせる。
○
NZ の文化や自然,人種など
について見慣れない写真や奇
異に感じられる写真や実物を
提示し,NZ に対する疑問の意
識と高め,調べなくてはなら
ないという課題意識を高める
ようにする。
○ 教師が子どもと個別に対話
して,児童の興味・関心をもと
に個人の課題が設定できるよ
うにする。
課題:ニュージーランドのふしぎ発見プロジェクト
~不思議なひと・もの・ことに秘められたわけをさぐろう~
③
1
さ
ぐ
る
2
③
2
広
げ
る
1
③
2
つ
か
む
1
2 課題に基づき,情報収集する。
(1)共通に基づいて,自分が追
究したい NZ の自然や文化 ○個人の課題について、各自で ○「MB 校の友達を迎えるのにプ
ラスになるか」「日本と比べて
追究することができる。
の個人の課題を決める。
共通点・相違点はどこか」の視
【問題解決力】
点から追究するようにする。
(2)追究グループに分かれて, ○自分が決めた課題について、意
欲的に追究することができる。
課題について調べる。
【主体的・創造的態度】 ○ 課題が異なるグループの相
○写真 ○パンフレット
手でも分かるように,絵や写真
○書籍 ○実物
を活用した視覚的なまとめが
できるように助言したり,表現
3 調べた情報を整理・分析して,
物のモデルを例示したりして,
まとめる。
○グループで調べたことを持ち
活動の見通しをもたせる。
(1)調べたことを,グループで
寄って、必要な情報を整理して、
ポスターにまとめる。
交流2
選択し、まとめ・表現することが
(2)
「NZ 報告会」のリハーサル
○グループメンバーが協同でき
できる。
【学び方・考え方】
をする。(同質グループ)
るよう,グループ内で役割分担
して発表できるようにする。
4 報告会をして,新たな課題を ○グループで追究した課題につ
いて、意欲的に報告することが
設定する。
できる。
(1)
「NZ 報告会」をする。
【主体的・創造的態度】
○食文化 ○自然・都市
○人種 ○生き物 ○音楽
(2)訪問するマレイズベイの友
達のビデオレターを見て,
新たな課題を設定する。
○報告会の感想や MB 校のビデオ
○相手への質問も考え,マレイズ
をもとに、新たな課題を設定する
ベイ校の訪日の際に意見交流で
ことができる。
【問題解決力】
きるようにする。
総2-2
課題2:MB 校の友だちに,日本のあれこれ紹介プロジェクト
~日本文化について詳しく調べて紹介しよう~
さ
ぐ
る
②
2
5 情報を収集し,整理・分析する
(1)MB 校の子どもが知りたい
ことを調べる。
○日本の学校 ○食文化
○茶道や華道(伝統文化)
○自然や都市(福岡市)の様子
④
広
げ
る
6 MB 校の友達に伝えるための
準備をする。
2 (1)調べたことの発表の仕方を
考え,まとめる。
2
(2)リハーサルを行う。
③ 5 マレイズベイの友達に発信
する。
交流3
2 (1)追究グループごとに発表す
る。
1 (2)単元全体を振り返り,自己
の生き方を考える。
課題1で調べた NZ のことと ○ 課題Ⅰで調べたことと関連
課題2で調べる日本のことを
させて MB 校の友達に特に伝え
関連させながら、調べるという
たいことを見つけるという追
視点をもって追究している。
究の視点を明確にして調べ学
【学び方・考え方】
習させる。
○ 言語が異なっていても MB 校
の子どもたちが視覚的・体験的 ○MB 校の子どもたちが視覚的・
体験的に理解できるよう,実物
に理解できるようなまとめ方
提示や写真の活用などの発表
を考える。
【学び方・考え方】
の方法を工夫させる。
○
○単元全体を想起し,探究活動や
○活動の様子や,学習プリントを
MB 校の友達との交流を通して得
もとに、単元全体を通して振り返
た日本や NZ への思い,国の違う
らせる。
相手と理解しあう大切さを意識
する。
【自己の生き方】
3 本単元の仮説
子どもたちが疑問や興味を感じられる NZ に関する資料を提示して、それらをもとに個人の課題を設定し、
体験後や交流前に教師が子どもと直接対話しながら体験や交流前後のポートフォリオの価値づけを行えば、
異文化を尊重する態度や日本への愛着をもち,学習を通した自分の成長に気付くことができるであろう。
手だて1
振り返り・交流活動を繰り返し位置付けた学習過程及び体験や交流前後のポートフォリオの比較
単元全体の中に、NZ に関する様々な情報をもとに各自の課題を設定する場面(交流 1)、調べたことをもとに
別の課題のグループに報告するために同質のグループで交流する場面(交流2)、MB の子どもたちに発信する
場面(交流3)と、繰り返し交流活動を位置付ける学習過程を設定し、その前後で各自の学習プリント等をもと
に思考の流れや考えの変化に気付かせる。
手だて2
気付きを価値付ける教師と子どもの対話(相談タイム)の設定
手だて1の交流場面の前に教師が直接子どもと対話し、NZ のよさや日本文化との共通点などの視点で個人
の調べ学習での気付きを価値づけたり、考えの変化を意識させたりする。交流前の相談タイムを位置付けるこ
とで自己の変容に気付かせ、単元全体で自己の生き方を考えることができるようにする。
4.指導の実際と考察
○
手だて1の実際と考察
振り返り活動と交流活動は3回位置付けた。1回目はニュー
ジーランドについてのさまざまなものに触れたり経験したり
して、類似した課題の同質グループで個人の課題を決める場面、
2回目はニュージーランドのものについて決めた課題で調べ
ていったことを別課題の異質グループの友達に伝えるための
まとめ・表現の場面、3回目は、表現する相手を国際交流で
総2-3
<資料1
マレイズベイ校の子どもたちへの発表>
来校する姉妹校のマレイズベイ校の友達にかえて、相手が知りたい日本の名物や名所についてまとめて発
表する交流の場面である。
○
手だて2の実際と考察
相談タイムは、大きく2回設定した。1回目は、単元導入時にニュージーランドのものについて体験し、
調べる課題を決める場面、2回目は、最終的に姉妹校のマレイズベイ校の子どもたちに自分たちが調べた
日本の文化や名物を発信するための表現をまとめる場面である。
課題設定の前の場面では、相談タイムに先立ってニュージーランドの様々なものに触れる体験活動を設
け、課題意識を高めるような支援を位置付けた。子どもたちに提示したものは、食べ物として隣国のオー
ストラリアから輸入している加工品のベジマイトや日常生活でなじみのあるキウイフルーツ、動物として
国のシンボルの羽のない鳥類のキウイ
や恐竜の子孫といわれる爬虫類のトゥ
アタラ、建物としてマオリ族の人たちの
伝統的な集会所であるマラエや現代的
な建造物であるオークランド市のスカ
イタワー、ニュージーランドで有名な歌
手とニュージーランド国歌、そして、マ
レイズベイ校の子どもたちが集まって
<資料2
情報提示したニュージーランドの文物の写真>
劇をしている写真をもとに、その中にさまざまな先住民族のマオリ族と、移民してきた白人と、さらに後
に移民してきたアジア系の人種がいることなどである。4時間にわたってそれらを分けて情報提示しなが
ら、毎回の授業で興味を感じたものに対して記録を残していき、最終的にどの課題について調べていきた
いか課題を決める際に、教師が直接対話をしながら、課題をまとめていった。
単元後段のマレイズベイ校の子どもたちに対する発表の前の場面では、各自が調べたものについて教師
が直接に発表内容や方法をアドバイスする相談タイムを位置付けた。子どもたちは、ニュージーランドの
子どもたちに、今度は自分たちが日本のものを紹介したいという思いで、日本の食べ物、日本の観光名所、
日本の遊び、日本のスポーツ、N 校のまち、修学旅行で訪れた長崎の6グループに分かれてまとめていっ
た。特にどの内容を伝えたいか、発表の道具や分担はどうするかなど、発表内容と方法をまずは同テーマ
のグループの友達と話し合って考えていき、そこで一度完成したものを、教師が聞き手になって発表の中
間報告を相談タイムの形で聞き取った。そして、よりよい内容や方法を教師が直接アドバイスし、よりよ
い表現をめざして付加・修正する作業を行い、実際の発表に臨んだ。
5.成果と課題
〇
前掲の指導計画のように、指導案の中で子どもたちの目指す姿を明確にしたことによって、教師が情報
を提示したり、子どもたちのまとめや表現物に指導したりする際に、意図をもって計画的に指導すること
ができた。支援の②や③にも、子どもの姿を明確にしたことで成果が高まったと考える。
〇
3回位置付けた交流の中で、特に子どもたちが変化や成長を感じたのは3回目のマレイズベイ校との交
流の活動だった。自分たちが伝えたいことを英語に訳し
て、準備や練習をしていたが、自分たちが練習してきた
言葉をしっかり伝えるために発音の大切さを再認識した
<資料3
交流後の気付き>
り<資料3>、一方で、本番でジェスチャーを用いることで相手に伝わることを実感して、言葉だけでな
い
相手とのコミュニケーションのあり方を考えたりした子どもの言葉が見られた<資料4>。また、こ
れらの経験を今後の学習にも生かせそうという言葉や、逆に内容が分からなければ発表できないので、英
総2-4
語だけではいけないということに気付いたりした
振り
返りの言葉も見られた<資料5>。これは、子どもたちが自
己の変容に気付いている姿であると考える。
〇
子どもの興味・関心で課題を設定する際、初めて見る
<資料4
交流後の気付き>
<資料5
交流後の気付き>
興味などから「知りたい」というものを課題にしてしまいそうになったので相談タイムを活用して直接問
い返しを行った。これまでの子どもの 生活経験や昨年までのマレイズベイ校の子どもたちとの関わりの
中で考えていたことと結びつけながら課題設定するようにした。また、
「なぜ~だろう」という課題の言
葉を指定したことで、情報を調べたらすぐに答えが出る課題を考えることにつながった。
●
子どもの思考の変化を流れ図の中に書き込んで掲示し、視覚化するとより効果が高まったと考える。
●
手立てが効果的だったかどうかの評価を、活動前後のアンケート調査なども含めた形で計画しておけばよ
かった。子どもたちの変容の認識がより大きいのはどの段階か明らかにして、手立てを工夫するなどによっ
て、子どもたちが変容を自覚化するより効果的な支援を計画することができると考える。
総2-5
平成26年度 総合的な学習の時間部
研究のまとめ
自己の変容に気付かせるために、総合的な学習の時間部では次のような手立てをとった。
手だて1 学習の探究の各過程及び単元終了後の目指す子どもの姿を明確にした学習計画の作成
手だて2 振り返り活動・交流活動を繰り返し位置付けた学習過程及び体験や交流前後のポートフォリオの
比較
手だて3 気付きを価値付ける教師と子どもの対話(相談タイム)の設定
成果と課題
手だて1 学習の探究の各過程及び単元終了後の目指す子どもの姿を明確にした学習計画の作成
〇
指導案の中で子どもたちの目指す姿を明確にしたことによって、教師が情報を提示したり、子どもたち
が体験で感じたことや、交流に向けたまとめ・表現物を価値づけしたり指導したりする際に、意図をもっ
て計画的に指導することができた。手立ての2や3の効果を高める上でも、子どもの姿を明確にすること
がなければ達成できなかったと考える。
●
ポートフォリオや活動前後のアンケート調査なども含めた形で手だての質的・量的な評価を、総合的な
学習部であらかじめ計画しておくことができればよかった。子どもたちの変容の認識がより大きいのはど
の段階か明らかにして、手立てを工夫するなどによって、子どもたちが変容を自覚するより効果的な支援
を計画することができると考える。
手だて2 振り返り活動・交流活動を繰り返し位置付けた学習過程及び体験や交流前後のポートフォリオの
比較
〇
振り返り・交流活動を単元全体の中に3回以上繰り返し位置付けることは、子どもたちが自身の変化や
成長を感じるための場面を3回以上位置付けることにつながり、子どもたちが自己の変容を意識するのに
効果的だった。また、来年度以降の活動や他教科での学習といったこれからの経験や今後の学習へと方向
づけることで、単元での学びを生かし、自己の生き方を考えるという単元の目標を達成することにもつな
がった。
●
振り返り活動・交流活動を位置付けることはできたが、自己の変容に気付くためにどのような振り返り
や交流の方法が効果的か、特に整理・分析やまとめ・表現の場面での活動の在り方を、今後検討していく
必要がある。
手だて3 気付きを価値付ける教師と子どもの対話(相談タイム)の設定
〇 体験などで得られた子どもたちが気付きにくいよさや価値のある情報を、相談タイムを活用して教師が
直接対話して価値づけることで、すぐに子どもたちが意識することができた。また、子どもの興味・関心
で課題を設定する際、単純な興味やすぐに答えの分かってしまう疑問などから課題を安易に設定してしま
ったり、交流のための表現物作成時に、他グループとの関わりの中で重要な意味をもつ情報を落としてし
まったりすることが、教師との相談タイムを活用した直接の問い返しによって、追究に耐えられる課題を
設定したり、大切な情報を落とさずまとめたりすることにつながった。
●
個別の子どもの思考の変化の中で、特に多かったものや、意味のあるものを流れ図の中に書き込んで掲
示し、視覚化することで、自己の変容をより実感することができたと考える。
~おわりに~
本年度は 、「自ら学び続ける子どもの育成」を研究主題とした4年目として「自
己の変容を自覚させる単元構成の工夫を通して」をサブテーマに掲げ、13名の研
究委員で研究を深めてまいりました。本研究委員会の実践が少しでも、福岡市の生
活・総合的な学習の時間の推進に役立っていけるように頑張っていきたいと思って
います。
研究を推進するにあたり、ご理解とご協力いただいた福岡市教育委員会および研
究委員を支援していただいた各学校の校長先生、ご指導ご助言いただいた福岡市教
育委員会指導部学校指導課主任指導主事
任指導主事
石松あゆみ先生、教育センター研修課主
吉村明 先生に感謝申し上げます。
福岡市生活科総合的な学習研究委員会
副委員長
橋爪
三知子
平成26年度 福岡市生活科総合的な学習研究委員会 研究同人
○指導助言
福岡市教育委員会指導部学校指導課主任指導主事
教育センター研修課主任指導主事
○研究同人
【委員長】
峯田
明子
【副委員長】
橋爪
三知子
(玉 川 小
【生活科部】
武末
幸恵
(笹 丘 小 )部 長
中川
真希
(照 葉 小 )
山下
普永
(弥 永 小 )
白石
留美子
(飯 原 小 )
深町
亜紀奈
(大 原 小 )
片平
美緒
(香 椎 下 原 小 )
大西
正子
( 春住小 )
中川
千佳
(赤坂小)
永野
正樹
(西 花 畑 小 )部 長
三島
景子
(長 尾 小 )
椎葉
拓朗
(壱 岐 南 小 )
【総合的な学習部】
(赤 坂 小
-1-
校長)
教頭)
石松
吉村
あゆみ先生
明
先生